障子 の俳句

障子 の俳句

障子

例句を挙げる。

あかるさも静けさも白障子越し 片山由美子 水精
あけたての障子の内外凍ゆるむ 梅島 婦美
あさがほの枯蔓うつる障子かな 久保田万太郎 流寓抄
いざ障子あけたら蝶もはいらうか 広瀬惟然
いつまでも障子に向いて泣いてをひ 島村茂雄
いづこより花明りして白障子 長谷川櫂 蓬莱
いとど跳んでわが寝障子のうちとなりぬ 森川暁水 淀
いらへなき礼者の前の障子かな 温亭句集 篠原温亭
うしろ手に閉めし障子の内と外 中村苑子(1913-2001)
うすうすと日は荒海の障子かげ 加藤楸邨
うすら氷に離宮の障子映えにけり 阿波野青畝
うす日さす障子の外に籾筵 田中冬二 行人
うそ寒や障子の穴を覗く猫 富田木歩
うちはれて障子も白し初日影 鬼貫
お羽織屋障子を立てて緩みなき 関森勝夫
かげろうの来てさわがしき障子かな 前田普羅 新訂普羅句集
かせどりの障子に踊る影のばし 八牧美喜子
かつこうや山の湯の薬師さんの白い障子 荻原井泉水
かはほりや障子はづせば空うかぶ 太田鴻村 穂国
かんばせに緋をながしたる障子かな 中田剛 珠樹
けもの径抜け出て茶屋の白障子 福原紫朗
こし雪の山見て障子しめにけり 原石鼎
この障子日の出にうつる何やかや 原石鼎 花影以後
こほろぎや夜明けの障子白みつつ 田中冬二 若葉雨
しづかなるいちにちなりし障子かな 長谷川素逝(1907-46)
しばらくして雪見障子の閉ざさるる 桂信子
そのつどや障子を開けて商へる 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
たつきの机にして障子静かに冬をあり 人間を彫る 大橋裸木
たま~に開く障子や帰り花 五十嵐播水 埠頭
つらき日の過ぎゆく夜の障子かな 岩田由美
ともりたる障子に螻蛄のつぶてかな 岡田耿陽
とろゝ飯運びて障子さし合す 百合山羽公 故園
どの障子開けても水戸の冬の天 松本旭
なまなまと芝火のつのる障子かな 古舘曹人 樹下石上
ぬひ物の障子に冬の夕日かな 巴流娘-鴎子 俳諧撰集「藤の実」
ねむりよく障子つゆけし師の側に 近藤一鴻
ねんごろに障子を閉めて見舞ひけり 近藤一鴻
ひつそりと遅き日暮るゝ障子かな 高橋淡路女 梶の葉
ひとの家のぞきこみゆく墓参(戸障子さへとゝのはぬに) 『定本石橋秀野句文集』
ひやゝかなひと障子さしあなしづか 中尾白雨 中尾白雨句集
ふりむけば障子の桟に夜の深さ 長谷川素逝(1907-46)
ふるさとや障子のそとに根木打 新上一我
ほのかなる飾り影さす障子かな 吉武月二郎句集
まつくらき部屋の障子に凭れ居し 竹下しづの女句文集 昭和十一年
まつりたる農具障子の日の裾に 長谷川素逝 村
まなうらに寒ンの障子の青みかな 阿部みどり女 月下美人
みそさざい雪見障子にあらはれし 小路智壽子
みづうみを眠らせておく白障子 西村和子 かりそめならず
みどりごに名のつくまへの白障子 青木文恵
むさし野の枯を閉ざせる大障子 岸原清行
むらさきに暮るゝ障子や雛の窓 高橋淡路女 梶の葉
もののふを鎮めし障子明りとも 滝青佳
もの言はぬひと日昏れたる障子かな 鈴木真砂女 夕螢
もの言はぬ一日の昏れて冬障子 青木起美子
やうやくに癒えて障子の白は白 中田てる代
ゆく水の残すひかりの白障子 鷲谷七菜子 花寂び
よもすがら白き障子をたのしみぬ 林原耒井 蜩
われとわが閉めし障子の夕明り 中村汀女
カーテンに障子の桟の影くねり 高浜虚子
ハム切れば月さす障子松の内 飯田蛇笏 雪峡
一亭の障子ましろく池に向く 村上冬燕
一人立ち障子をあけぬ薬喰 高浜虚子
一切を障子のうちに尼の寺 上田操
一枚の障子明りに伎芸天 稲畑汀子
一枚はいつもわが楯白障子 井沢正江 以後
一灯に母子の浄土白障子 毛塚静枝
一茶忌やどこからも聞く寺障子 西本一都 景色
一軒家障子ともるに間もあらじ 森田峠 避暑散歩
三十三間堂障子に蝿の拝みをり 亀灘淑子
上げ膳の据膳の宿白障子 猪俣千代子 秘 色
不孝者へ崖なす藁家燈の障子 香西照雄 素心
主なき障子真白く桟正し 殿村莵絲子 花寂び 以後
乙女寮落葉松の芽に障子閉づ 千代田葛彦 旅人木
九枚の白障子しめ九体仏 岩崎照子
二つある障子の穴に勝てないよ 糸大八
二日灸障子の破れ庭を見る 内田百間
五箇山の明り障子の雪女郎 古戸ふき子
亡き人の亡きこと思う障子かな 宇多喜代子 象
人入りて障子ともりし飼屋かな 橋本鶏二 年輪
人声や二タ間つづきの白障子 深見けん二 日月
人影の障子にのこる読経の昼 林田紀音夫
人来れば障子を開けて出づるのみ 長谷川素逝 暦日
仏弟子となりし思ひの白障子 神山白愁
佗助や障子の内の話し声 高濱虚子
佛壇の障子煤けて水仙花 寺田寅彦
信濃の土間障子真白く婆ばかり 宮坂静生 青胡桃
倖の住むごと障子灯りぬ 菖蒲あや
僧の声障子の内に杜若 有川 淳子
僧の影して暁の白障子 鷲谷七菜子 花寂び
僧房の二階の障子明るくて 上村占魚 球磨
優曇華のかの学寮の障子かな 阿部完市
優曇華や狐色なる障子紙 斎藤俳小星
元朝の山越えていま障子に日 永井東門居
元朝の障子真白く父母遠し 宮坂静生 青胡桃
兄いもうと目袋似たる障子哉 瀧井孝作
内房の障子煤けし二月かな 原田青児
冬の日の障子白さや吸入器 碧雲居句集 大谷碧雲居
冬の日や障子をかする竹の影 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
冬日一ぱい受けて障子を閉し居る 青峰集 島田青峰
冬木積む舟見てしめし障子哉 西山泊雲 泊雲句集
冬浪の音の聴きたく障子開け 後藤夜半 底紅
冬障子唖となるまで酒を酌み 赤尾恵以
冷やかに明障子が世を隔つ 下村ひろし 西陲集
冷房の書屋笑止の障子立つ 皆吉爽雨 泉声
冷房の水屋の障子しまりけり 後藤夜半
凍てにけり障子の桟の一つづゝ 久保田万太郎 草の丈
凍て寒い日の夕焼け障子の皆に 八年間『碧梧桐句集八年間』 河東碧梧桐
凍晴を障子もつとも知れるなり 村越化石
凩の我影を吹く障子かな 古白遺稿 藤野古白
凩や坂町で買ふ障子紙 月舟俳句集 原月舟
出あるきたさを月うつる障子淋しめり シヤツと雑草 栗林一石路
初冬の障子に近く心足る 椎橋清翠
初冬や障子にうつるものゝかげ 小澤碧童 碧童句集
初冬や障子のうちの晴曇 増田龍雨 龍雨句集
初明りもとより障子明りなす 石川桂郎 四温
初霜や障子にこもる陽の翅音 篠田悦子
初鳩を聴きたる障子あけにけり 野沢純
北窓の雪さへあかり障子かな 重頼
北面の障子明りに思惟坐像 上田五千石 田園
北風の障子ことりと吹き凪げる 寸七翁
北風や鍛冶屋魚屋の腰障子 六花
医師来れば障子の穴に風邪童子 三嶋 隆英
午後といふ不思議なときの白障子 鷹羽狩行
午後の日の障子明りとなりにけり 岡安仁義
南米へ航く船室の障子の間 芝崎枯山川
去年今年障子明りに襲はれし 平畑静塔
古寺の大き障子や茶立虫 小出南総子
古障子入れてそこらのもの親し 山口青邨
古障子色の日差しが花石蕗に 高澤良一 ぱらりとせ
古障子霙るる音のきこえけり 高浜虚子
名月やあけはなちたる大障子 久保田万太郎 流寓抄以後
吹き降りの障子かたひし鳴る中に 長谷川素逝 村
吹き降りの障子ぐらさにねころびて 長谷川素逝 村
唐紙に障子に音や年の豆 久保田万太郎 流寓抄以後
唐辛子干して障子のとざしあり 田中冬二 麦ほこり
善光寺障子に鳩の嘴のあと 西本一都 景色
嚇の移りて障子木影なし 清原枴童 枴童句集
四まいの障子いつぱい冬至の日 長谷川素逝 暦日
四五人のみしみし歩く障子かな 岸本尚毅(1961-)
地吹雪のやがて鳴りだす寺障子 古舘曹人 樹下石上
堆書見ゆ避暑山荘の障子より 皆吉爽雨 泉声
墨を磨るほかに音なき白障子 片山由美子 天弓
声かけてみたし間人の道障子 伊藤京子
変化いま午の日夕日白障子 皆吉爽雨
夕照り静かなる障子に巣燕がこぼすもの 人間を彫る 大橋裸木
夜のみ知足煤色淡め灯の障子 香西照雄 対話
夜振の火見ゆる妓楼の障子かな 月舟俳句集 原月舟
夢に障子醒むれば軋む船の壁 田川飛旅子 花文字
大地凍つる為に傾く障子とか 橋本鶏二
大根鎧へる壁の小窓の障子かな 岩木躑躅
大灘の月さす障子入れにけり 前田 青紀
大障子明りの千手観世音 有馬朗人 天為
天台の御座主静かに障子の間 星野椿
天間(あま)障子開く目の前朴咲ける 原 柯城
太白に障子開けばすぐの塀 下村槐太 天涯
妻が留守の障子ぽっとり暮れたり 尾崎放哉
妻は母の肌となりゆく白障子 鷹羽狩行
妻縁を走り障子開け初雪見せにけり 原石鼎 花影以後
姨捨や道向き障子にバスの跳泥 北野民夫
子が覗く寺の障子の猫くぐり 伊藤京子
子出でし障子すきゐて雪けぶる 清原枴童 枴童句集
季節いま雪見障子に花の保津 後藤比奈夫
孫の産湯のさし湯手伝う日の障子 田川飛旅子 『植樹祭』
富士見せてしめし障子や冬の蠅 大場白水郎 散木集
寒き日や障子のうちに煮ゆるもの 高橋睦郎 舊句帖
寒接心障子に緩みなかりけり 関森勝夫
寒明くる白い障子を北にはめ 清水径子
寒雷に日のさしかげる船障子 石原舟月
寒雷や肋骨のごと障子ある 臼田亞浪 定本亜浪句集
寝しづまる障子にひゞく河鹿かな 金尾梅の門 古志の歌
寝そびれてをりし障子に茶立虫 山崎 朝日子
寝冷え子にいぶせく閉ざす障子かな 青峰集 島田青峰
寺障子連りて白し庭木の芽 西山泊雲 泊雲句集
小障子に峠の日あり七日粥 木村蕪城
尼ちらと障子閉しぬ訪ひがたし 神田敏子
尼の声して白障子全けれ 赤松[ケイ]子
尼の手の障子ぴしやりと百千鳥 大木あまり 雲の塔
尼寺の留守と思ひし障子開く 魚井 苔石
尼様の一間綟障子でありし 茨木和生 丹生
尾長きて冷え俄かなる障子かな 角川源義
山から母に障子しめきつてある シヤツと雑草 栗林一石路
山の日の障子にありて寒見舞 高室呉龍
山の日はやさし障子の内外かな 江口千樹
山吹に留守かや障子すきたれど 阿波野青畝
山吹に障子しめたる病かな 青峰集 島田青峰
山坊の障子一枚づつ暮れる 椎橋清翠
山坊や夜霧にぬるゝ大障子 高橋淡路女 梶の葉
山寺の障子締めあり仏生会 高浜虚子
山寺や障子の外を帰る雁 高浜虚子
山笑ふ日の古障子明けておく 野島島人
山霧のつひに障子を濡らしけり 今井杏太郎
嵯峨絵図を乞へば障子の開きにけり 五十嵐播水
川へだつ障子ぞ更くる紅燈忌 桂樟蹊子
川千鳥障子は雪にぬれにけり 之水
川風の俄にぬくし船障子 雉子郎句集 石島雉子郎
師走の日まだある障子灯を入るゝ 久米正雄 返り花
帰り花昃り障子昃りぬ 五十嵐播水 埠頭
庫裡口の潜り障子や寒の雨 河野静雲 閻魔
弾初や障子の隙に隅田川 竹内南蛮寺
待たされてゐる洛北の白障子 藤田あけ烏 赤松
忘れし文字探しにたちて白障子 平井さち子 完流
念仏は独語西日の障子より 古舘曹人 能登の蛙
恋めくや雪見障子を閉めてより 星野椿
恵那山ありと思ふ障子の雪明り 森田峠 避暑散歩
戸障子のあけたての音燕子花 関戸靖子
戸障子の古く身に入む海の宿 魚目
手が出でて障子閉まりしあとは霧 爽波
手毬かがるひとりに障子日影かな 飯田蛇笏 山廬集
摂心の障子まんさく咲きにけり 森田公司
数へ日の百の障子の日のにほひ 辻桃子
文楽の人形の手の泣く障子 文挟夫佐恵
日と風に睦み山家の破れ障子 鍵和田[ゆう]子 浮標
日なき障子に人現はれぬ池の鴛鴦 高濱年尾 年尾句集
日のあたる窓の障子や福寿草 荷風
日のあたる障子のもとに身を愛す 佐野良太 樫
日の力ぬけたる山家障子かな 上田五千石 森林
日の温み障子いよいよましろなり 星野立子
日の障子とても助炭の静けさに 川端茅舎
日の障子冬の林相を影としぬ 米沢吾亦紅 童顔
日の障子千振を干す箕をもたせ 福田蓼汀 山火
日の障子太鼓の如し福寿草 松本たかし(1906-56)
日の障子日の盗人でありにけり 古舘曹人 砂の音
日一日障子の外の霰かな 森鴎外
日当れる障子のうちや二日灸 篠原鳳作
日本的な白で 人影すぎる障子 伊丹公子
日脚やゝ伸びしと思ふ障子かな 是木 二楽
日輪と山川あそぶ障子かな 脇本星浪
早梅や尼の素顔の障子より 森澄雄
早梅や障子細目に厭離庵 安田仙郎
明けたてのきかぬ障子や十三夜 黙禅
明け放つ障子の蔭や芙蓉咲く 高浜虚子
明け暮れのさらさら過ぎぬ白障子 櫛原希伊子
明け立てのきかぬ障子や十三夜 後の月 酒井黙禪
明るさが匂ひゐるなり新障子 椎橋清翠
時雨るゝや障子にうつる芒影 木歩句集 富田木歩
晝からは蔭なる障子開きあり 田中裕明 山信
晩鐘の雪の障子に僅かな疵 前山松花
普茶単菜鵙啼く障子あけ放ち 稲垣きくの 黄 瀬
暁けしらむ障子に地震の息ながく 西本一都 景色
暗くとも暮るるに間ある障子かな 小杉余子
暗闇に石のつらなる障子かな 岸本尚毅 舜
暮れそめて冬木影ある障子かな 木歩句集 富田木歩
曉けしらむ障子に地震の息ながく 西本一都
朝の日の障子にとゞく枕かな 上村占魚 鮎
朝やけも夕やけも映る障子かな 原石鼎 花影以後
朝より暮色の障子蟇鳴ける 山口草堂
朝鶴の声が障子にひゞくほど 松本圭二
木かくれて禰宜の障子や朝寒き 会津八一
木がくれて藤残る家の障子かな 渡辺水巴 白日
木の芽和に障子しめやかに閉ざしけり 青峰集 島田青峰
木の葉しぐれか明り障子に日てら~ 乙字俳句集 大須賀乙字
木曾川のかゞやく鳥屋の障子かな 本田一杉
木曾谷や馬の宿にも障子立つ 羽部洞然
木犀の香にあけたての障子かな 高浜虚子
末枯や障子にかゝる雨の音 金尾梅の門 古志の歌
村ぢゆうの障子が白し豚を飼ふ 木村蕪城
杣が家は障子一重の根雪かな 山口草堂
来来世見ゆるが如く堂障子 高澤良一 宿好
松の間の障子真白く御歌会 澤木欣一
松風の晒す障子となりにけり 中島月笠
枯木影障子ぴしゃりと閉せる家 高澤良一 素抱
枯色の明り障子となりにけり 山口草堂
枯芝に障子開けたるまま夜に 岸本尚毅 舜
柊散る障子越しなる尼の声 吉野義子
柔かき障子明りに観世音 富安風生
柴漬や川風受けて店障子 楠目橙黄子 橙圃
柴門へ障子見せけり冬座敷 小杉余子 余子句選
梅がゝに障子ひらけば月夜哉 一茶 ■寛政七年乙卯(三十三歳)
梅が香に障子明くればまだ寒し 伽孝 俳諧撰集「藤の実」
梅が香や明けつひろげつ破障子 水田正秀
梅林を来てうなぎ屋の障子文字 高橋青塢
梧桐一本二階障子の悴めり 柴田白葉女 牡 丹
棧荒き藍師の土間の白障子 文挟夫佐恵 遠い橋
椋鳥に障子開け出て僧あくび 河野静雲 閻魔
楼門の楼上障子霧に暁け 皆吉爽雨 泉声
横笛庵障子明りの納め句座 清藤徳子
樹の暮るるまで白障子あけて読む 神尾久美子 桐の木
次の世に隣りて真夜の白障子 柴田佐知子
歌よみの山へ眉あぐ白障子 加藤耕子
死の如き障子あり灯のはつと点く 松本たかし
母は流れき 川べの障子灯の莟み 友岡子郷 遠方
母在りて米寿や凜と白障子 森 武司
母離りて障子の桟のしんしんと 角谷昌子
水の夢みてするすると障子あく 長谷川双魚 『ひとつとや』
水仙や灯明き障子月忘る 宮武寒々 朱卓
水仙や白き障子のとも移り 芭蕉
水見舞ふや大仙掌に障子しまる 清原枴童 枴童句集
水音を聞く曲がり家の白障子 曽我部多美子
水鳥と今日の淡さや障子越し 中島月笠 月笠句集
水鳥の来てゐるらしき障子かな 小松原芳静
河豚の座の障子の隙を閉めにけり 高橋淡路女 梶の葉
沼の風障子にあたる炬燵かな 橋本鶏二 年輪
法悦に満ちて坐を起つ白障子 古市絵未
波郷忌の障子明りに近く座し 藤田あけ烏
波音のときをりひびく新障子 片山由美子 水精
泥はねし納屋の障子や下萌ゆる 冬葉第一句集 吉田冬葉
浮塵子来て鼓打つなり夜の障子 石塚友二
海しづかなれば障子をあけておく 川島彷徨子 榛の木
海明り障子のうちの水仙花 英治
湯豆腐や障子の外の隅田川 庄司瓦全
満うちし音かへりゆく障子かな 橋本多佳子
漱石忌障子の日ざしまた得たり 立花 豊子
潜り戸の障子も白く寒に入る 田中冬二 若葉雨
潮騒をへだつる障子美しく 原田青児
濁世絶つ障子が白し別火坊 津田清子
濤うちし音かへりゆく障子かな 橋本多佳子
濯ぎ干す妻の影ある障子かな 山口いさを
火の山の裾の障子の初明り 宮坂静生 青胡桃
火の番の障子に太き影法師 高浜虚子
火をつくる障子暮れゆく野分かな 金尾梅の門 古志の歌
灯くまでの障子の中に夕ぐらさ 長谷川素逝 暦日
灯の障子につらく闇の落葉哉 西山泊雲 泊雲句集
灯の障子一つその他はみな荒磯 香西照雄 対話
灯りたる障子に螻蛄の礫かな 岡田耿陽
灯をまつや障子の破れ雪見する 金尾梅の門 古志の歌
灯を消して白波立てり夜の障子 井沢正江 以後
灯を消して障子にはかに雪明り 上村占魚 鮎
炭焼きのともして障子金にせり 大野林火
煤掃の二階障子や屋根の上 原石鼎
熱のたび赫き障子の夢を見る 平松弥栄子
燈の障子吾子の影無しどこにも無し 香西照雄 素心
爐を開く空も障子も優色に 及川貞 夕焼
爪たてた猫のぬけ道 障子穴 西田美智子
片方の足袋のありしは障子ぎは 細見綾子 花 季
牛鍋や障子の外の神保町 綾部仁喜 寒木
牡丹見せて障子しめたる火桶かな 渡辺水巴 白日
牡丹雪うつりて降れる障子かな 比叡 野村泊月
牡丹雪と知らるる障子明りかな 永井龍男
牡丹雪に障子再び開きけり 五十嵐播水 播水句集
牡蠣舟の灯りゐ人気なき障子 後藤比奈夫 初心
牡蠣舟や障子細目に雪を見る 高橋淡路女 梶の葉
牡蠣船の障子や波をひからせて 角 光雄
猪鍋や川音へだつ白障子 金久美智子
猫の子に障子のうちもよき日和 下村槐太 光背
猿がくるので締めておく障子とよ 稲垣きくの 牡 丹
玄界の騒立つて来し障子かな 野中亮介
玄関の白障子まで石畳 茨木和生 遠つ川
玻璃障子の午後を曇らし時雨来し 青峰集 島田青峰
現し世のはなし声する白障子 中山純子 沙 羅以後
生涯の書屋の障子今を暮れ 皆吉爽雨
畳替せずとも障子白ければ 高木晴子 花 季
病める母の障子の外の枯野かな 原石鼎
病人がときをり開く白障子 岩城 久治
白々と障子しめあり冬安居 前沢落葉女
白き手が開ける余寒の障子かな 五所平之助
白き騎馬障子の桟に縁どられ 和田悟朗
白障子あくれば虚空へ通ふらし 那珂太郎
白障子この世の染みをすぐもらふ 坂本俊子
白障子しめて師恩の闇白し 赤松子
白障子の明けゆく此の世の桟の影 中村草田男
白障子までひとすぢに畝起す 平畑静塔
白障子よりもあわき光束宴の果 赤尾兜子
白障子一枚塵土隔てけり 伊藤敬子
白障子人の深さを映しけり 中村正幸
白障子白美しき石鼎庵 塩川雄三
白障子立てて心のさだまれり 小林京子
白障子紙衣は更に白くして 堀内薫
白障子透かして母のいのち見ゆ 石寒太 翔
白障子閉ざすはこころ放つなり 正木ゆう子 静かな水
白障子飲食の香を写しゐる 鳥居おさむ
白雨や障子懸けたる片びさし 服部嵐雪
百姓の破れ障子や嫁ケ君 田中冬二 俳句拾遺
皆働きに出てしまひ障子あけた儘の家 尾崎放哉
盆梅の影現れし障子かな 高浜虚子
盆霧の奥の会津の白障子 黒田杏子 花下草上
目覚めての不安たかぶる白障子 田中みち代
真白さに児の手ためらふ新障子 山口あさ子
短日の障子のひとつなほ日なた 長谷川素逝 暦日
破る児がまた可愛ゆくて冬障子 今泉貞鳳
破れあり親子障子の親の方 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
破れたる障子のままやつむぎ機 磯貝碧蹄館
破れ障子から群青の東京湾 櫂未知子 貴族
破障子児が覗き妻が茶をよこす 石川桂郎 含羞
破障子風吹かば吹け唄聴かむ 石塚友二
碧空へつづく山家の白障子 角田宗実子
禅林や早や建て切りし夕障子 北野民夫
稗抜いて障子灯りぬ一軒家 大峯あきら 鳥道
穐(あき)の日や障子かげろふうろこがた 許六
空の青さ障子にしみる梅の宿 太田鴻村 穂国
窓障子きいろにともり飼屋かな 銀漢 吉岡禅寺洞
竹馬の影を障子に父病めり 梧朗
竹馬の影近づきし障子かな 松本たかし
笑ひ声もれくる障子開け迷ふ 湯川雅
箸割れば響く障子や納豆汁 石塚友二
節分の人影大きく夜の障子 長谷川みどり女
節句明けて蛤煮出す障子かな 上島鬼貫
簷影の下り来し朝の障子かな 日野草城
籾摺りのほこりにしまり日の障子 長谷川素逝 村
糸を繰る音のしまれる日の障子 長谷川素逝 村
絶壁を閉じたるのちの白障子 森田廣
縁障子雪解雫のてりくもり 清原枴童 枴童句集
置炬燵夜風障子につめたかり 坂本四方太
美しき障子明りや嫁が君 加古宗也
美しき鳥来といへど障子内 原石鼎
老容れし障子の外の花と鳥 丸山海道
考へを逃さぬ障子閉めにけり 木村淳一郎
聞香の障子ひと重に今年竹 佐野美智
肌寒やうすれ日のさす窓障子 星野麦人
腰窓の障子灯る敷松葉 富安風生
腰障子が明いてゐて土間の油粕の一たま 梅林句屑 喜谷六花
腰高の水無瀬の殿の障子かな 後藤夜半
臘八の海鳴りを断つ白障子 佐野美智
臘梅のこぼれ日障子透きとほす 菅裸馬
船障子雪に明けさせ初卯かな 小泉迂外
色戀が雪見障子の向うがは 筑紫磐井 婆伽梵
芝居帰り障子に母の影若し 香西照雄 対話
芦の芽や浪明りする船障子 鬼城
茶を利くやじつと障子の桟を見て 巌谷小波
茸取に障子開け話す主かな 島村元句集
草の戸の障子に居りぬいぼむしり 高橋淡路女 梶の葉
草若葉翁に障子あけまつる 下村槐太 光背
荒海や蛤店の高障子 藤田あけ烏 赤松
荻しづまり障子を入るゝ艸の宿 松瀬青々
落つる日の障子見てをり置火燵 本田あふひ
落書の透けて明るき障子かな 長谷川櫂 天球
蒼海のうねりや障子閉ざしても 野澤節子
蓬莱のかげ暖かき障子かな 西林青石
蓬莱や障子明くれば日の光り 竹冷句鈔 角田竹冷
蕎麦打たずなりし障子をそのまゝに(深大寺にて) 『定本 石橋秀野句文集』
薄日さす障子の外に冬仕度 田中冬二 俳句拾遺
薬のんでは大寒の障子を見てゐる 臼田亞浪 定本亜浪句集
藁廂ふかぶか障子灯に熟れて 香西照雄 対話
藤の雨見飽きてしめし障子かな 高橋淡路女 梶の葉
藻の上をさざ波はしる障子かな 岸本尚毅 鶏頭
蘭の影障子にあるや風邪籠り 島村元句集
虻鳴いて入るに穴なき障子哉 山本洒石
蛎船の障子細目や夜の雪 孤軒句集 三宅孤軒
衆僧にしらむ障子や常楽会 三星山彦
街道に障子を閉めて紙一重 山口誓子 一隅
見あさたる滝の障子をしめにけり 木下夕爾
見るからに重き障子に手をかけず 波多野爽波 『一筆』以後
見上げれば吉野は障子破れをり 波多野爽波 『湯呑』
覚めてまだ今日を思はず白障子 岡本 眸
謡初へ青空うつる白障子 田川飛旅子
豆撒をし居る二階の障子かな 温亭句集 篠原温亭
起ちあがる影の夜寒の灯の障子 長谷川素逝 暦日
足袋と干菜とうつる障子かな 室生犀星 魚眠洞發句集
身に入むや障子の音の朝の蜘蛛 野村喜舟 小石川
身の誉れ小さく祝ひ障子の辺 村越化石
軒氷柱障子浄らに住みなせり 中村四峰
近々と夜学の灯なる障子かな 小杉余子 余子句選
道はさむ障子よろしき馬籠かな 森田峠 避暑散歩
道ばたに障子開けたる黴の宿 阿波野青畝
道障子残すに人のこもごもと 下田稔
達磨忌の障子明けたり茶の木原 松瀬青々
遠つ峯の風ならん障子の梅うごく 室生犀星 魚眠洞發句集
都鳥飛び交ふ猫間障子かな 京極杞陽 くくたち下巻
重なりしところの暗き障子かな 山田 静雄
針に糸かざしてゐたり新障子 井上雪
長良川雪待つ舟の白障子 殿村菟絲子
門川の障子にひびく十三夜 愛須真青
閉ざすより闇の息づく白障子 片山由美子 水精
開けて見て閉めてたしかむ古障子 吉江八千代
閻王のほとりの障子替へてあり 後藤夜半 翠黛
障子あけてすぐ又しめし破蓮 高浜虚子
障子あけて夜となる軒の寒の雨 及川貞 榧の實
障子あけて病間あり薔薇を見る 子規句集 虚子・碧梧桐選
障子あけて空の真洞や冬座敷 飯田蛇笏 山廬集
障子あけて置く海も暮れ切る 尾崎放哉
障子あけて部屋のゆとりを冬惜む 富田木歩
障子あけて飛石みゆる三つほど 久保田万太郎 草の丈
障子あけよ上野の雪を一目見ん 正岡子規
障子あけ水を見てゐる枯夫婦 長谷川双魚 風形
障子ごとゆがめる庫裡や風光る 八木林之介 青霞集
障子さし合はせ明るさ行き渡る 滝川ふみ子
障子して心灯るを待ちゐけり 林原耒井 蜩
障子して読めば外の面に音おほし 篠原梵 雨
障子しむる妻の眼最後までのこる 山口誓子
障子しめきつて淋しさをみたす 尾崎放哉(1885-1926)
障子しめきり寒梅の沙汰もなく 後藤夜半 底紅
障子しめてことさらさむき瀬音かな 高橋潤
障子しめて夜寒の客を帰さゞる 雑草 長谷川零餘子
障子しめて火鉢なつかし若楓 雑草 長谷川零餘子
障子しめぬ夕冷えよりもしぐれ冷え 久保田万太郎 流寓抄
障子たててロシアに最も近く寝る 平井さち子 紅き栞
障子たてて明るくさびし草の宿 吉武月二郎句集
障子たてゝ味噌汁うまき朝かな 上村占魚 鮎
障子たて白一色に雪見舟 近藤一鴻
障子なき家に移りて落ちつかず 菱田トクエ
障子にしみて汽笛鳴るつつましき朝餉 シヤツと雑草 栗林一石路
障子には毛布つるしぬ冬ごもり 室生犀星 犀星発句集
障子に蝶血痰の喉こそばゆく 川口重美
障子のしじまにしもやけの血をしぼる 人間を彫る 大橋裸木
障子の影が一人の咳する 住宅顕信 未完成
障子の日いつてんの穢をとどむなし 長谷川素逝 暦日
障子の破れをこぼるゝ灯あり路次夜寒 西山泊雲 泊雲句集
障子の穴から覗いて見ても留守である 尾崎放哉
障子の穴くぐり三月来るなり 村越化石
障子の穴にみゆるは八つ手の葉の緑 川島彷徨子 榛の木
障子はづして裏見通しの植田かな 田北 ぎどう
障子まで来る蝿もあり翁の日 暁台 (義仲寺蕉翁碑前)
障子もる灯に簾うく路次浅し 富田木歩
障子より子の手飛び出す万愚節 藤野 力
障子より飛び失せし日が垣に飛び 上野泰 佐介
障子一枚諍ひは手にとる如し 細川加賀
障子内の頬を犯せる花の冷え 宮武寒々 朱卓
障子古り妻の書架にも本ふえて 田村了咲
障子外通る許りや冬座敷 高浜虚子
障子少し開け敗荷を目に入れし 八束
障子戸のすべる迅さや冬隣 仁平勝 東京物語
障子手にかけて声かけ夕時雨 鈴木真砂女 生簀籠
障子打つ風の音のみ臘八会 肱岡恵子
障子撫でる風の時折二日かな 阿部みどり女 月下美人
障子明けよ上野の雪を一目見ん 正岡子規
障子替へ身に養生を強ふごとし 宮津昭彦
障子洩る灯に簾うく路次浅し 木歩句集 富田木歩
障子灯影へつばくろ風を切り戻る 羽部洞然
障子白く含羞のひと不在なり 鈴木栄子
障子白く爐火あかし白玉椿挿す 及川貞 夕焼
障子百枚に梅の木影のありにけり 雑草 長谷川零餘子
障子窓白く聖夜の弥撒を待つ 古賀まり子 降誕歌
障子立つ天地の白さ一文字に 井沢正江 湖の伝説
障子締めて炉辺なつかしむ黍の雨 杉田久女
障子谷へけふが日までも向ひゐしか 下村槐太 天涯
障子越しさわだつ湖の氷解 木村蕪城 寒泉
障子透くひかり母子の糸車 長田等
障子透く日に眼とぢおもんみる 上村占魚 鮎
障子閉ざし老僧病むと聞く許り 高浜虚子
障子閉ぢて一家の長よ五十はや 猿橋統流子
障子閉めしばらくははの世母の忌よ 奈良文夫
障子閉めてふるさとは書に沈み易し 大串章 朝の舟
障子閉め切り終焉の母看取る 渡辺二郎
障子閉め庭の青鵐に心置き 大橋杣男
障子閉め港の哀話消ぬべくも 古舘曹人 能登の蛙
障子開いてこゑとこどもととび出づる 小川軽舟
障子開いて人見えて居る謡初 温亭句集 篠原温亭
障子開け墓苑の空気満たしけり 阿部みどり女 月下美人
障子際に帯おいて寝る霜夜かな 綾子
隠れ住んで陽炎うつる障子かな 柑子句集 籾山柑子
雀来て障子にうごく花の影 漱石
雁鳴くや船の障子に汐明り 孤軒句集 三宅孤軒
離れ家の障子灯さる敷松葉 山田節子
雨かゝる障子の音や雁の声 高田蝶衣
雨の日の障子ぐらさも臥さるのみ 長谷川素逝 暦日
雨の日の障子明りに幽霊図 高澤良一 宿好
雨安居の人の世へだつ白障子 塩谷はつ枝
雨月とて障子のうちの遊びごと 高濱年尾 年尾句集
雪に向き白瞑目の障子の家 大井雅人 龍岡村
雪の不二障子硝子の中にあり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
雪の果山の日あたる障子かな 龍雨
雪ふるよ障子の穴を見てあれば 正岡子規
雪やつむ障子の帋の音更ぬ 炭 太祇 太祇句選
雪山の障子をひらきたるかたち 齊藤美規
雪晴の障子細目に慈眼かな 川端茅舎
雪晴や障子の外の与謝の海 竹内三桂
雪激し障子の白さまさるとき ふけとしこ 鎌の刃
雪礫あたりし障子開きけり 清原枴童 枴童句集
雪見障子一つしぶくて上がらざる 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
雪解の雫の影や日の障子 癖三酔句集 岡本癖三酔
雪解縁障子開けたる二三日 高濱年尾 年尾句集
雪起し障子震はし過ぎにけり 本間翠雪
雪降るよ障子の穴を見てあれば 正岡子規(1867-1903)
雪風のさつと過りし障子かな 高濱年尾 年尾句集
雲のぞく障子の穴や冬ごもり 正岡子規
霜柱踏めば障子を開く僧 野村泊月
霜除にぬれさぎ白き障子かな 増田龍雨 龍雨句集
霧しづしづ迫る障子のきりぎりす 林原耒井 蜩
鞠唄や障子隔てゝ縁の先 竹冷句鈔 角田竹冷
風の日は障子のうちに灯籠かな 高浜虚子
風出でゝ黍の音ある障子かな 尾崎迷堂 孤輪
風花に雪見障子を上げらるる 後藤夜半 底紅
飛騨山の腰高障子に人と成り 瀧井孝作
餅花や障子に旧の十日月 阿部みどり女 月下美人
馬追の障子一重に母の影 長田等
駒鳥鳴いて白き障子のそら二階 西村公鳳
鰊干す障子の内の訛声 瀧澤伊代次
鳥影の一瞬障子瞬ける 高澤良一 素抱
鳴子引入りたる障子灯りけり 芝不器男
鴨引いて庫裡の障子は灯となりぬ 大峯あきら 鳥道
鵙日和寺の障子の両開き 宇陀草子
鵙近し野の声いつもある障子 水野爽径
鶏呼んで山の婦くらき障子閉む 高井北杜
鶏頭の庭とほざけて白障子 古賀まり子 緑の野
鷹ヶ峯借景として障子干す 後藤比奈夫 祇園守
鹿肉もありと高遠冬障子 細見綾子
十六夜の宿の障子を走らする 高澤良一 燕音
云ふことをきかぬ障子を外し遣る 高澤良一 石鏡

障子 補遺

あけたての白き障子や針供養 日野草城
あちこちの障子灯りぬ梅林 日野草城
ある寺の障子ほそめに花御堂 高野素十
ある時は障子開きて人を見る 高野素十
ある時は障子開きて町を見る 高野素十
ある時は障子開きて雲を見る 高野素十
いつの日か冷ゆる夜ありて障子はむ 山口誓子
いつも~障子のうちに母ましし 高野素十
いつよりの直哉旧居の破れ障子 鷹羽狩行
いづこかの障子さすこの大き家 山口誓子
いぶせきに障子を白く替へにけり 山口誓子
いまもなほ障子細目の片ゑくぼ 加藤秋邨
うぐひすの初音のひびく障子かな 日野草城
うぐひすや障子の影も胸張りて 水原秋櫻子 殉教
うすら氷に離宮の障子白く映ゆ 阿波野青畝
うそ寒の障子音もなくしまる 橋閒石 朱明
うつしみをいとほしみ張る障子かな 西島麦南 人音
うらおもてさびしさいづれ梅雨障子 大野林火 方円集 昭和四十九年
おそろしき父ゐるらしき冬障子 上田五千石『琥珀』補遺
お降や障子あくれば縁の艶 日野草城
かがやける障子の穴や冬ごもり 日野草城
かやつりぐさびつしよりの夜の障子とづ 大野林火 海門 昭和七年以前
きのふより濃き月光の障子なる 篠原梵 年々去来の花 雨
くらがりや寒の障子のひびらげる 山口誓子
くらければ障子をあけぬ額の花 大野林火 冬雁 昭和二十二年
けふはよいたよりがありさうな障子あけとく 種田山頭火 草木塔
けやきおちばの音をききゐる白障子 野澤節子 八朶集以後
こし雪の山見て障子しめにけり 原石鼎 花影
こなたへと蔑戸障子のつづく部屋 阿波野青畝
この庵の障子破れて植田見ゆ 山口青邨
この障子日の出にうつる何やかや 原石鼎 花影以後
こもり居の障子の白を恃むかな 大野林火 月魄集 昭和五十四年
しじ欲ると障子に苔の青さやぐ 伊丹三樹彦
しづかなるいちにちなりし障子かな 長谷川素逝 暦日
しづかにもさされて白暮障子かな 上田五千石『風景』補遺
しばらくして雪見障子の閉ざさるる 桂信子 花影
しめじ汁のいま夕飯障子をあけ 中川一碧樓
だしぬけに富士しぐれ出す障子の灯 村山故郷
ちらちらと障子の穴に見ゆる雪 正岡子規 雪
つむ~と障子に影や初日鳥 原石鼎 花影
とろゝ飯運びて障子さし合す 百合山羽公 故園
どつと笑ふ通夜客の座へ障子白し 草間時彦 中年
なほ奥の障子震ひぬ冬の雷 山口誓子
なまなまと芝火のつのる障子かな 古舘曹人 樹下石上
ねんごろに一間の障子はりにけり 西島麦南 人音
ねんごろに妻子おもへり障子張り 飯田蛇笏 山廬集
のどかさや障子あくれば野が見ゆる 正岡子規 長閑
はづしたる花の障子や夜に入りぬ 阿波野青畝
はるばると障子を張りに赤穂より 有馬朗人 耳順
ひとりで障子いつぱいの日かげで 種田山頭火 自画像 落穂集
ぴつたりしめた穴だらけの障子である 尾崎放哉 小豆島時代
ふりしきる落葉障子の火影にも 山口青邨
ふるさとや障子にしみて繭の尿 阿波野青畝
ほとばしる雨明るけれ菊障子 中村汀女
ほほゑめる大仏障子開け給ふ 阿波野青畝
まつりたる農具障子の日の裾に 長谷川素逝 村
みごもりて話声なき白障子 飯島晴子
むさしののとある一寺の障子かな 高野素十
もう一人影のうごきし障子かな 岸田稚魚 紅葉山
ものの影仄かにありし白障子 桂信子 草影
もの言はぬひと日昏れたる障子かな 鈴木真砂女 夕螢
ゆく水の残すひかりの白障子 鷲谷七菜子 花寂び
よそ目には灯るのみの古障子 高野素十
わがこもる障子に冬日来ては燃ゆ 山口青邨
わが影は帽子をかぶる海苔障子 山口青邨
アパートに障子の暖と母子の暖 鷹羽狩行
ハム切れば月さす障子松の内 飯田蛇笏 雪峡
一刷の冬日障子にさして消ゆ 山口青邨
一枚の障子明りに伎芸天 稲畑汀子
七卿を匿まひ障子暑からむ 阿波野青畝
万両は猫間障子の画のごとし 阿波野青畝
三方に障子ある部屋避寒宿 星野立子
上人の滅度の障子寒雀 川端茅舎
上蔟の夜やあざやかに障子の桟 鷹羽狩行
下り簗守る一枚の障子かな 清崎敏郎
不孝者へ崖なす藁家燈の障子 香西照雄 素心
人去つて白き障子の年の暮 角川源義
人来れば障子を開けて出づるのみ 長谷川素逝 暦日
以後は滅ぶ 新障子に影もつ蟷螂 伊丹三樹彦
個展の画障子に竝べ選びけり 野見山朱鳥 曼珠沙華
偲びゐむ障子白きを菊咲くを 及川貞 榧の實
僧の影して暁の白障子 鷲谷七菜子 花寂び
僧房の二階の障子明るくて 上村占魚 球磨
僧房の障子あけあり梅雨月夜 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
元日の桟しんとある倉障子 飯田龍太
先づ替る一間の障子あな真白 日野草城
兜虫障子のぼりつめ月出でたり 加藤秋邨
兜虫障子を鳴らす吾子寝ねて 加藤秋邨
冬ごもり障子ひらけば庭の景 日野草城
冬晴の障子微笑を湛へたり 日野草城
冬浪の音の聴きたく障子開け 後藤夜半 底紅
冬至の日どかどか障子わたりゆく 山口青邨
冬近き障子とざして月夜かな 村山故郷
冷房の水屋の障子しまりあり 後藤夜半 底紅
凩は書屋の障子折らんとす 山口青邨
出雲から紙来て障子あらたまる 飴山實 花浴び
初あらし障子の穴を見付たり 正岡子規 初嵐
初明りもとより障子明りなす 石川桂郎 四温
初紅葉白き障子を閉めて無し 日野草城
初茶の湯障子のみにて寒さ堰く 山口誓子
利根の風障子を鳴らす味噌おでん 山口青邨
前山に替へし障子を閉しけり 高野素十
匂ひ来るは芍薬かも障子ほのぬくし 角川源義
北面の障子明りに思惟坐像 上田五千石 田園
十三夜くぐり障子に炉火映えて 木村蕪城 一位
十五夜や障子にうつる団子突 村上鬼城
十六夜や細めに明けし緑障子 村山故郷
十夜鉦障子灯るを待ちかねて 草間時彦
午後といふ不思議なときの白障子 鷹羽狩行
厨子に二つ障子円かのあかりとり 石川桂郎 高蘆
去年今年障子明りに襲はれし 平畑静塔
叡山を隔つ障子や冬籠 日野草城
古池に三宝院の障子かな 日野草城
古障子入れてそこらのもの親し 山口青邨
名月の障子をとほす光哉 正岡子規 名月
吹き降りの障子かたひし鳴る中に 長谷川素逝 村
吹き降りの障子ぐらさにねころびて 長谷川素逝 村
咳の子の咳すぐひびく夜の障子 中村汀女
喫茶去の敷居の上の障子かな 阿波野青畝
囀や禅寺障子爪掻かれ 平畑静塔
四まいの障子いつぱい冬至の日 長谷川素逝 暦日
四天王白き障子に映えませり 阿波野青畝
四阿の障子にかまれ連翹花 阿波野青畝
国栖人の白き障子を贅となす 阿波野青畝
地吹雪のやがて鳴りだす寺障子 古舘曹人 樹下石上
塞いではならぬ北窓白障子 阿波野青畝
声もなし障子一重のノスカ付屋 阿波野青畝
壺焼や障子汐風に飛ばむばかり 阿波野青畝
外の切子弥陀の障子を染むるなり 阿波野青畝
夜のみ知足煤色淡め灯の障子 香西照雄 対話
夜の障子木犀の香のとどこほる 橋本多佳子
夜は冷ゆる障子のしろさ桜漬 鷲谷七菜子 黄炎
夜半いづる山月障子かがやきて 水原秋櫻子 旅愁
夜桜や灯の障子より男子のこゑ 野澤節子 未明音
夜長さの障子の桟の影とあり 長谷川素逝 暦日
大年のしろき障子にゐて想ふ 三橋鷹女
太白に障子開けばすぐの塀 下村槐太 天涯
好日のかがようばかり障子はる 長谷川素逝 暦日
妹つれて旅二日目の夜の障子 高田風人子
妻が留守の障子ぽつとり暮れたり 尾崎放哉 大正時代
妻は母の肌となりゆく白障子 鷹羽狩行
妻病めばしんしん障子立てるなり 大野林火 方円集 昭和五十年
妻縁を走り障子開け初雪見せにけり 原石鼎 花影以後
婢と障子にもたれ山火見る 高野素十
嫁か君の通ひ路多し破障子 正岡子規 嫁が君
季節いま雪見障子に花の保津 後藤比奈夫
宇津谷に一軒残る道障子 松崎鉄之介
安らかに住めるに似たる障子の灯 松本たかし
実梅落つ音の障子のうちに病む 長谷川素逝 暦日
宿とるや障子の外の葉鶏頭 星野立子
富士に締め大島に開く障子かな 阿波野青畝
富士の野は伏屋の障子月ぞ照る 飯田蛇笏 白嶽
寒菊と白き障子を隔て住む 福田蓼汀 山火
寒雷や肋骨のごと障子ある 臼田亜郎 定本亜浪句集
寒鯉の模様ほのぼの障子閉づ 山口青邨
寺にきてゆく年の障子の白さ 大野林火 海門 昭和七年
小障子に菖蒲の影や夕月夜 正岡子規 菖蒲
小障子の穴に鳶舞ふ小春かな 正岡子規 小春
小障子の隅に日あたる冬籠 正岡子規 冬籠
尚ほも巨眼初春の障子四囲に遠く 中村草田男
尼寺の足音障子締切りて 右城暮石 句集外 昭和三十九年
尼寺の障子昏るるに刻かけず 岡本眸
尾長きて冷え俄かなる障子かな 角川源義
山の音絶えたる夜の障子かな 上田五千石 天路
山吹に留守かや障子すきたれど 阿波野青畝
山吹の黄を挾みゐる障子かな 波多野爽波
山寺の障子を叩く風日和 上村占魚
山月や障子の裡に桑切れる 松村蒼石 寒鶯抄
山水に夜を浸しある障子かな 松村蒼石 寒鶯抄
山車にある廻舞台の破障子 角川源義
山風の障子にあたる夜学かな 日野草城
岩々の歯をかむ障子白き日ぞ 飯田龍太
島の寄り合ひのしめ障子を固くとざし 岸田稚魚 負け犬
嵌め殺し障子のなかの選句業 鷹羽狩行
嶽燕湯宿障子を白くとづ 大野林火 海門 昭和十四年
川に漬けし障子に日毎降りやまず 尾崎放哉 大正時代
市の音障子を替へて飽きにけり 阿波野青畝
幼子が雪夜の障子閉めて去る 飯田龍太
座敷の灯とどくほのぼの菊障子 山口青邨
庭竹の影みどりさす障子かな 鷹羽狩行
庵の障子あけて小ざかな買つてる 尾崎放哉 小豆島時代
張りかへた障子のなかの一人 種田山頭火 草木塔
張り替へし障子に人の気もなくて 山口誓子
張り替へてありたる障子我が留守に 右城暮石 一芸
待つ夜半や月は障子の三段目 正岡子規 月
御嶽へ開けたる障子霊迎 木村蕪城 寒泉
応挙館七間の障子たんぽぽ黄 山口青邨
念仏は独語西日の障子より 古舘曹人 能登の蛙
思ひ果てなし日ねもす障子鳴る悲し 種田山頭火 自画像 層雲集
急霰にあけし障子や冬籠 日野草城
悴める夫婦かたことと鳴る障子 村山故郷
或る時はうすむらさきの障子かな 永田耕衣
戸を閉めて障子閉めたる鉦叩 三橋敏雄
戸袋のまだある障子馬籠宿 後藤比奈夫
戸障子の梅雨湿りして夫の忌よ 鈴木真砂女 夕螢
戸障子を外す祭の在所にて 平畑静塔
手をかくる障子破れゐる飼屋かな 阿波野青畝
手向山障子はりかへられにけり 阿波野青畝
手毬かがるひとりに障子日影かな 飯田蛇笏 山廬集
掃きいだす障子のひまに雪見えて 大野林火 冬青集 雨夜抄
文机に竹の筆立春障子 大野林火 方円集 昭和五十二年
斜から見れば障子の暗かりし 後藤比奈夫
新しき障子に山の蛾をへだて 中村汀女
新婚の間といふ障子破るるも 山口青邨
新涼の夜風障子の紙鳴らす 長谷川素逝 暦日
新涼や障子はめある化粧部屋 杉田久女
新緑の五月に障子さす日あり 山口誓子
新障子はりて挿したる柚の実かな 飯田蛇笏 霊芝
方丈の障子入れたる明るさよ 鷹羽狩行
旅先の淋しさ似たり障子に灯 岡本眸
旅遠し夜の沿線に障子見て 岡本眸
日あたりや障子に羽打つ冬の蠅 正岡子規 冬の蠅
日のかげや陽炎動く障子窓 正岡子規 陽炎
日の力ぬけたる山家障子かな 上田五千石 森林
日の廻り全き障子二枚かな 石塚友二 玉縄以後
日の影や陽炎映る障子窓 正岡子規 陽炎
日の温み障子いよ~ましろなり 星野立子
日の障子とても助炭の静けさに 川端茅舎
日の障子千振を干す箕をもたせ 福田蓼汀 山火
日の障子太鼓の如し福寿草 松本たかし
日の障子日の盗人でありにけり 古舘曹人 砂の音
早梅や尼の素顔の障子より 森澄雄
明日旅立障子にすゝき影の濃き 細見綾子
明月は障子の外や蟲と鐘 正岡子規 名月
昼臥しに風さらさらと新障子 橋本多佳子
時雨るるや障子のうちに蘆花夫人 石田波郷
時雨るるや障子明りに黒仏 山口青邨
晩翠翁障子のうちとなりにけり 阿波野青畝
晴曇つねならぬ 雪国の家紋障子 伊丹三樹彦
暮れてゆく猫間障子の濃山吹 山口青邨
暾の湖を外の障子の茶立虫 岡井省二 山色
曇り日の障子冬ざれ光れり 尾崎放哉 小豆島時代
曇日の青麦犇く障子の隙 野澤節子 未明音
曲り家の馬屋口障子せせる雪 上田五千石『琥珀』補遺
曼珠沙華障子はる妻独言 角川源義
月さして障子の裾の明るけれ 山口青邨
月さして障子は紙のつゆけさよ 大野林火 雪華 昭和三十九年
月光に障子をかたくさしあはす 山口誓子
月光の障子が音もなく消ゆる 篠原梵 年々去来の花 中空
月明の障子のうちに昔在 原石鼎 花影
月明りしそめし寺の障子かな 上村占魚 球磨
月見の灯障子の外にともりたる 高野素十
朝なさな焚火の映る障子かな 日野草城
朝の日の障子にとゞく枕かな 上村占魚 鮎
朝やけも夕やけも映る障子かな 原石鼎 花影以後
朝寒の峯旭あたり来し障子かな 杉田久女
朝寒や緑透いて見ゆ障子窓 正岡子規 朝寒
朝涼の障子ひらいてありしかな 阿波野青畝
木がくれて藤残る家の障子かな 渡邊水巴 白日
木犀や障子しめたる佛の間 正岡子規 木犀
末の末その歌の寺障子しめ 阿波野青畝
朴の花障子の裾に旭がさして 山口青邨
松影の障子這ひ行く月夜哉 正岡子規 月夜
松風や月の障子に法の影 正岡子規 月
枯るる景見むとあけたる障子かな 安住敦
枯芒障子開くれば吾を招く 正岡子規 枯薄
桃の晴産屋の障子開きけり 尾崎放哉 大学時代
桐落ちて庵の障子の破れ哉 正岡子規 桐一葉
桑に沿ひ破れ障子の横を通る 清崎敏郎
梅日和をはる夕日の障子かな 日野草城
梅植ん障子に影のさすやうに 正岡子規 梅
梅雨淋し障子の外を烏とぶ 正岡子規 梅雨
死の如き障子あり灯のはつとつく 松本たかし
母のゐさうな夕凍ての蔵障子 廣瀬直人 帰路
母を言はず障子を夕刊打ちし頃 中村草田男
母亡くて殊にひびかふ白障子 伊藤白潮
水仙、障子にふるる音が雪らしく 荻原井泉水
水鏡冴えたる亭は白障子 阿波野青畝
永き日の脚や障子の三段目 正岡子規 日永
油障子つくろひ神農さん迎へ 能村登四郎
油障子ともりあかあか猪を売る 山口青邨
油障子ともりやまくぢらと読まる 山口青邨
海を隔つ障子一重や寒に入る 橋閒石 雪
海棠に障子明けたる化粧哉 正岡子規 海棠
浸けてある障子のあたりうろうろと 波多野爽波
涅槃寺障子細目に雪の松 星野立子
深梅雨の暗い呼吸して寺障子 松村蒼石 雪
温・故・知・新と四枚の障子立つ 鷹羽狩行
湖の面の銀に障子を開け放つ 桂信子 花影
湖上銀河箒の影のある障子 中村草田男
湖近き梅雨の障子を立てにけり 岡本眸
漫談の障子あけゝり山眠る 日野草城
濁世絶つ障子が白し別火坊 津田清子
濤うちし音返りゆく障子かな 橋本多佳子
火事遠し点る障子戸にある屋号 松崎鉄之介
火箸もて障子に蝿を追窮す 正岡子規 蝿
灯くまでの障子の中に夕ぐらさ 長谷川素逝 暦日
灯ともせば影かけのぼる障子かな 山田みづえ 手甲
灯の障子一つその他はみな荒磯 香西照雄 対話
灯の障子坐像の影はまろきもの 中村草田男
灯の障子湯気の影あり糧の影か 中村草田男
灯の障子照り交しをり雪の道 大野林火 白幡南町 昭和三十年
灯を消して障子にはかに雪明り 上村占魚 鮎
炉火さかん障子をへだて囮鳴く 山口青邨
炬燵ありと障子に書きし茶店哉 尾崎放哉 大学時代
炬燵あり雪見障子の欲しかりし 後藤比奈夫
炭焼のともして障子金にせり 大野林火 雪華 昭和三十七年
点ればすぐ障子閉して女客 松崎鉄之介
煎薬の匂ひ来る障子とざしけり 角川源義
燈の障子吾子の影無しどこにも無し 香西照雄 素心
燈の障子月見草色妻和むか 香西照雄 素心
燕来ぬ山家の障子真白に 橋本多佳子
爐を開く空も障子も優色に 及川貞 夕焼
父のゐる大きな影や灯の障子 野見山朱鳥 曼珠沙華
父母とゐて障子に霧のなだるる夜 大野林火 海門 昭和七年以前
片方の足袋のありしは障子ぎは 細見綾子
牡丹の香へだてて暗き障子あり 鷲谷七菜子 黄炎
牡丹繚乱として障子閉づ禁客寺 村山故郷
牡丹見せて障子しめたる火桶かな 渡邊水巴 白日
牡蠣舟の灯りゐ人気なき障子 後藤比奈夫
牡蠣舟や障子のひまの雨の橋 杉田久女
独楽がつくりし障子の穴をまたのぞく 加藤秋邨
猫の子に障子のうちもよき日和 下村槐太 光背
猫の恋がらす障子に無分別 正岡子規 猫の恋
猫間障子一枚冬紅葉を見する 山口青邨
玉椿 用ある障子間かれて 伊丹三樹彦
玻璃障子霰たばしり日ノ箭ふり 川端茅舎
生々流転猫間障子の初日影 山口青邨
生きものの闇の来てゐる障子かな 鷲谷七菜子 花寂び
畳摺るごとくに月の障子開け 阿波野青畝
病みて障子はる間もあらず子を迎ふ 及川貞 榧の實
病める母の障子の外の枯野かな 原石鼎 花影
病人に夕映障子丈高き 岡本眸
病臭の障子背に声あらず 石橋秀野
白障子ならべし餅に日脚断つ 平畑静塔
白障子の明けゆく此の世の桟の影 中村草田男
白障子よりもあわき光束宴の果 赤尾兜子 歳華集
皆働きに出てしまひ障子あけた儘の家 尾崎放哉 一燈園時代
目覚むれば障子開くれば日本海 岡本眸
相掛けてよし軒廂菊障子 山口青邨
真如とはこれ月の夜の紙障子 山口誓子
睦み合ふ遍路の声の障子洩る 松崎鉄之介
短夜の障子の外を婢が通る 岡本眸
短日の障子のひとつなほ日なた 長谷川素逝 暦日
石庭のしんしんと白障子かな 村山故郷
破れ障子まゝよ木枯冬の月 正岡子規 冬の月
破れ障子まゝよ木枯寒の月 正岡子規 寒月
破れ障子我が家楽しと思ひけり 上野泰
破寺の破障子や梅落花 山口青邨
破芭蕉障子に映る青鮫大 岡井省二 猩々
破障子児が覗き妻が茶をよこす 石川桂郎 含羞
禅天魔大道場の障子かな 阿波野青畝
禅寺の大障子張る雨の日に(山梨、恵林寺二句) 細見綾子
穀象のゆくへに朝の障子かな 加藤秋邨
穀象等障子があれば匐ひのぼる 山口誓子
立春やあけたてあらき障子うち 石橋秀野
端座して障子枯いろ夢のごとし 大野林火 月魄集 昭和五十五年
竹の間といふ立春の白障子 岡井省二 鹿野
箒星障子にひかる夜寒哉 正岡子規 夜寒
箸割れば響く障子や納豆汁 石塚友二 曠日
簷影の下り来し朝の障子かな 日野草城
籾摺りのほこりにしまり日の障子 長谷川素逝 村
糸を繰る音のしまれる日の障子 長谷川素逝 村
紅梅やさつとあいたる塗障子 正岡子規 紅梅
紅葉谷障子破れて湯宿あり 細見綾子
紫衣の僧十人余り障子かげ 上野泰
繕ひも正しき梅の障子かな 川端茅舎
美しき鳥来といへど障子内 原石鼎 花影
舎利塔の内陣に白障子嵌む 右城暮石 虻峠
船宿の障子灯れば日短 清崎敏郎
芋汁や紙すゝけたる大障子 杉田久女
芝居帰り障子に母の影若し 香西照雄 対話
花人帰りて夜の障子を開きけり 前田普羅 普羅句集
草若葉翁に障子あけまつる 下村槐太 光背
荒海の鮭喰ふ障子桟太し 草間時彦 中年
荒谷の身におぼえなき白障子 飯島晴子
菊寂びてありたる屋形障子かな 後藤夜半 底紅
菊花壇の障子をあぶる西日哉 正岡子規 菊
菊障子朝光あふれしめにけり 中村汀女
菜の花に障子がほそくあけてある 大野林火 海門 昭和七年以前
蒼々と障子張り替へられゐたり 山口誓子
蕎麦打たずなりし障子をそのまゝに 石橋秀野
薬のんでは大寒の障子を見てゐる 臼田亜郎 定本亜浪句集
藁廂ふかぶか障子灯に熟れて 香西照雄 対話
虻の影障子にうなる日永かな 正岡子規 日永
蜈蚣這ふ音ある障子灯に白し 橋閒石 雪
蝋梅の色の覗ける障子かな 岸田稚魚 紅葉山
行年の障子昃りぬ貨車煙 石田波郷
街道に障子を閉めて紙一重 山口誓子
襖にもたれ障子叩きて故人を呼ぶ 中村草田男
見るうちに薄墨になる浸け障子 能村登四郎
見るからに重き障子に手をかけず 波多野爽波
見上げれば吉野は障子破れをり 波多野爽波
見終りて飼屋の障子かたく閉む 山口誓子
覚めてまだ今日を思はず白障子 岡本眸
赤子泣かせて 障子雪白 紙漉村 伊丹三樹彦
起ちあがる影の夜寒の灯の障子 長谷川素逝 暦日
轆轤場の三尺障子花あかり 能村登四郎
過ぎて日の遠さ白壁白障子 岡本眸
過去未来一切無なる白障子 能村登四郎
道ばたに障子開けたる黴の宿 阿波野青畝
遠き家の障子が照れる蓮根掘り 能村登四郎
遠最上川暮れゆくががんぼ障子うち 山口青邨
部屋住に似て障子辺に机置く 松崎鉄之介
酒倉の切窓障子雪遊ぶ 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
野が見ゆるガラス障子や冬籠 正岡子規 冬籠
野のはての蛇飼ふ家の障子哉 尾崎放哉 大学時代
野の家の障子の白がすべてを占む 松崎鉄之介
金色にひかる朝寝の障子かな 阿波野青畝
鉄舟寺障子を月に明け放つ 大野林火 青水輪 昭和二十三年
鏡開障子に影のとびにけり 岡井省二 鯛の鯛
長き夜や障子の外をともし行く 正岡子規 夜長
長閑さや障子の穴に海見えて 正岡子規 長閑
門川に浸す障子やちぎれ雲 中村苑子
閉してなほ湖光の障子さくらどき 鷲谷七菜子 花寂び
閉めてある障子が人を焦がれをり 後藤比奈夫
閉めて一人の障子を虫が来てたたく 種田山頭火 草木塔
閑ぢがちとなりし障子やこぼれ萩 松本たかし
閻王のほとりの障子替へてあり 後藤夜半 翠黛
閻王は障子を閉ざす紅梅に 山口青邨
降る雪の影を障子に旅ごころ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
障子あけて夜となる軒の寒の雨 及川貞 榧の實
障子あけて業平像と日向ぼこ 大野林火 方円集 昭和五十年
障子あけて病間あり薔薇を見る 正岡子規 薔薇
障子あけて空の真洞や冬座敷 飯田蛇笏 山廬集
障子あけて置く海も暮れ来る 尾崎放哉 小豆島時代
障子いつぱいに山の陽さしたり 尾崎放哉 大正時代
障子いつぱいの冬の日ふつとかげるとおわり 荻原井泉水
障子いま明るむ息の出で入りに 山口誓子
障子して夜川音なし菊膾 石田波郷
障子して読めば外の面に音おほし 篠原梵 年々去来の花 雨
障子しむる妻の眼最後までのこる 山口誓子
障子しめきつて淋しさをみたす 尾崎放哉 須磨寺時代
障子しめきり寒梅の沙汰もなく 後藤夜半 底紅
障子しめて四方の紅葉を感じをり 星野立子
障子しめて雨音しげし柿の花 杉田久女
障子ずりあげしを冬の賄が知る 阿波野青畝
障子たてゝ味噌汁うまき朝かな 上村占魚 鮎
障子などどのやうに川千鳥なく 細見綾子 桃は八重
障子にも穀象つきぬ米を出て 山口誓子
障子に泉の音は月になるらしく 荻原井泉水
障子に近く蘆枯るる風音 尾崎放哉 小豆島時代
障子のみ白く屋根裏明りとる 山口青邨
障子のややすすけたる元日おだやかな日のさし 荻原井泉水
障子の影いろいろ変り河鹿川 山口青邨
障子の日いつてんの穢をとどむなし 長谷川素逝 暦日
障子の穴から覗いて見ても留守である 尾崎放哉 小豆島時代
障子はる手もとの風をいとひけり 西島麦南 人音
障子はる窓辺の芙蓉実を古りぬ 西島麦南 人音
障子ひそと死にたる父を母拭きをり 草間時彦 中年
障子ほそめに鵙の梢の見えるほど 橋閒石 微光
障子ましろここ戯作者の四畳半 山口青邨
障子までもえる様なり山椿 正岡子規 椿
障子みな外づせりこゝは丹波の家 右城暮石 句集外 昭和二十四年
障子より飛び失せし日が垣に飛び 上野泰 佐介
障子一枚あけて山吹黄葉艶 山口青邨
障子一重に山家匿ふものあるなり 平畑静塔
障子入れこけし寵愛の情ふかく 山口青邨
障子入れて日影落ちつきぬ雁来紅 渡邊水巴 白日
障子内に梳く黒髪や落葉雨 原石鼎 花影
障子張りかへて居る小さいナイフ一挺 尾崎放哉 小豆島時代
障子張り了へて海光漲らす 上田五千石『琥珀』補遺
障子張り替へてしばしを慰むか 相馬遷子 山河
障子張るくわりんの青実そこにあり(山梨、恵林寺二句) 細見綾子
障子張るやわがいくとせに子棒虚し 松村蒼石 寒鶯抄
障子張る妹に花も過ぎにけり 渡邊水巴 白日
障子張る糊ぷつぷつと煮え上り 上村占魚 球磨
障子張る話となれば聞き流す 飴山實 次の花
障子戸をくぐると暗き寒厨 角川源義
障子手にかけて声かけ夕時雨 鈴木真砂女 生簀籠
障子明けよ上野の雪を一目見ん 正岡子規 雪
障子明け居れば病床に虻の来る 正岡子規 虻
障子明暗髭も伸びつつあるならむ 大野林火 月魄集 昭和五十四年
障子替へ紺青の帙の書を置けり 水原秋櫻子 蓬壺
障子梅の木の影、大雪大に晴れ 荻原井泉水
障子浸け一筋の煤流したる 大野林火 月魄集 昭和五十六年
障子無き離れ座敷の牡丹かな 阿波野青畝
障子白く平凡に朝はじまれり 岡本眸
障子白く日が照つて来、病んでいるかげつて来 荻原井泉水
障子白く炉火あかし白玉椿挿す 及川貞 榧の實
障子白く爐火あかし白玉椿挿す 及川貞 夕焼
障子白く耀るゆゑ開けて林泉を見ず 山口誓子
障子白く襖も白く時雨宿 山口青邨
障子終日ひらくことなき牡丹かな 橋閒石 虚 『和栲』以後(I)
障子締めて炉辺なつかしむ黍の雨 杉田久女
障子裏這ふ虫まざと梅雨明り窓 種田山頭火 自画像 層雲集
障子谷へけふが日までも向ひゐしか 下村槐太 天涯
障子越しさわだつ湖の氷解 木村蕪城 寒泉
障子越す紅葉あかりや焼あまご 能村登四郎
障子透く日に眼とぢおもんみる 上村占魚 鮎
障子閉して苔の青かげ綾なすも 伊丹三樹彦
障子閉めがちに隣も妊れる 鷹羽狩行
障子閉めたる飼屋に声す聞きとれず 岡井省二 明野
障子閉めて落葉しづかに終る日ぞ 中村汀女
障子閉め港の哀話消ぬべくも 古舘曹人 能登の蛙
障子開くはや一片の落花あり 山口青邨
障子隙寒紅梅の翁さび 阿波野青畝
障子際に帯おいて寝る霜夜かな 細見綾子 桃は八重
隠れ栖む人の替へたる障子かな 阿波野青畝
隠棲の障子に猫の爪の跡 津田清子
隠耶蘇鉄壁をなす障子張る 有馬朗人 知命
難苦へて母すこやかや障子張る 杉田久女
雨なしの戸障子の内二十日過ぐ 石川桂郎 高蘆
雨のしみ雲のごとくに古障子 山口青邨
雨の日の障子ぐらさも臥さるのみ 長谷川素逝 暦日
雨去つて夕日さしぐむ冬障子 上田五千石『琥珀』補遺
雨月の寺自き障子の中に吾 大野林火 方円集 昭和五十一年
雪かげの障子いづれも閉てしまま 伊丹三樹彦
雪の日や猫間障子をちよと上げて 山口青邨
雪ふるよ障子の穴を見てあれば 正岡子規 雪
雪ふる夜の障子多けれ逝くや 中川一碧樓
雪晴の障子細目に慈眼かな 川端茅舎
雲のそく障子の穴や冬こもり 正岡子規 冬籠
青々と障子にうつるはせを哉 正岡子規 芭蕉
青支へ障子半開けいざり機(結城紬織り) 細見綾子
風出でし障子の中のとろろ飯 大野林火 月魄集 昭和五十五年
風寒み障子ま白くしめし家 尾崎放哉 大正時代
風花に雪見障子を上げらるる 後藤夜半 底紅
風邪に居て障子の内の小春かな 尾崎放哉 大学時代
風鳴りの峡さえざえと白障子 鷲谷七菜子 銃身
駐在の二枚障子に灯が入りぬ 岡本眸
骨だけの障子が川を流れだす 飴山實 次の花
鮴の川障子の外を走るなり 阿波野青畝
鯉の字を油障子に葉月かな 鷲谷七菜子 天鼓
鳥や来て障子に動く花の影 正岡子規 花
鳥や葉の影よぎるために障子あり 篠原梵 年々去来の花 中空
鳥影のいくたび過ぐる白障子 中村苑子
鴨鳴いて月さしそめし障子かな 加藤秋邨
鵙の声母おとなしき障子張り 大野林火 冬青集 雨夜抄
鵙遠き午前の障子まつ白し 橋閒石 雪
鶏舎が灯り嶽の月さす障子かな 飯田蛇笏 山響集
鶴鳴く霜夜の障子ま白くて寝る 尾崎放哉 須磨寺時代
鷹ヶ峯借景として障子干す 後藤比奈夫
鹿肉もありと高遠冬障子 細見綾子
麦熟れて夕真白き障子かな 中村汀女
麦青く山廬の障子染めんとす 山口青邨
黄落や障子しめれば赤子匂ふ(金沢にて) 細見綾子
鼻隆きヘルンを思ふ障子かな 阿波野青畝
龍頭鷁首現前落花の障子開くより 山口青邨

障子 続補遺

あやめわく明り障子のみどり哉 其角
いざ障子あけたら蝶もはいろうか 惟然
うぐひすや障子明たりや終いんだ 車庸
うちあけて障子わするゝ櫻かな 小西来山
うめ花や障子にくもる窓の内 釣壺
おとづるゝ庵の障子や冬の奥 鈴木道彦
おぼろ月障子に影は何~ぞ 馬場存義
かげろふや障子かげろふ金屏風 介我
くれがたや障子の色も神無月 成田蒼虬
たそがれもしらず障子の月とはな 此筋
つり柿や障子にくるふ夕日影 内藤丈草
どしぐいの障子をはじく蚊遣哉 りん女
なき跡や時雨てたつる古障子 洞木
はり竹や障子の間を帰る鴈 荷兮
七夕や戸障子立ル夜半過 荊口
三日月や窓の障子の蚊の歩み 子珊
八重に曳四枚障子や庭つばき 野坡
冬淋し障子から出る峯の松 野坡
凩や障子の弓のかへるをと 露印
初しぐれ未つくろはぬ障子より 梢風尼
初ふゆは曇とのみぞ障子越 黒柳召波
十三夜や寐処あかるき障子窓 鈴木道彦
卯の花や障子の白き比丘尼でら 三宅嘯山
古寺の障子も染ぬ神無月 三宅嘯山
埋火や障子より来る夜の明り 浪化
夜着を着て障子明たりけさの雪 黒柳召波
大豆打に奥の障子や月明り 吏全
山霧や障子際から夜のあくる 寥松
張たての障子に明るさむさ哉 嵐青
戸障子の音は雪也松の声 其角
戸障子や何所の時雨のあまり風 魯町
戸障子を幾重ももれて鉢扣 風国
戸障子を明はなしたる彼岸哉 水颯
手折置し紅葉かげろふ障子哉 高井几董
投打の障子を抜るあふぎ哉 三宅嘯山
旅人の障子ひとへや玉まつり 凉菟
日うつりや障子にかゝる雪の影 三宅嘯山
日盛や障子に煮ユる蝉の声 凉菟
月白し障子にうつる合歓の花 三宅嘯山
月華の二本障子や無尽蔵 露川
朝寐する障子の間や霧の山 北枝
梅がゝや明つひろげつ破障子 正秀
梅が香や障子の破も加減よし 中川乙由
残雪や茶山守家の煤障子 五明
水仙にあの火はゆかし障子越 支考
沖見ゆる障子の穴もしぐれけり 桜井梅室
油気にのこる暑さや雨障子 兀峰
海苔の香や障子にうつる僧二人 桜井梅室
白雨や障子懸たる片びさし 嵐雪
白黒の間の障子やむめと星 其角
硝子の障子も寒しきくの花 田川鳳朗
稲妻や障子さしたる虚労病 加舎白雄
節とんで雪にあかるし竹障子 車来
節句明けて蛤煮出す障子かな 鬼貫
腰たかきむかし障子や冬籠 土芳
腰高しむかし障子は冬篭 土芳
菊の香やつれなくだまる障子骨 野紅
蕣や蚊屋の中から障子あけ 杉風
蘭の香や洩れて寝所の塗障子 馬場存義
行鴈やいたむ手に引窓障子 野坡
退やらぬ障子の蝿や物ぐるひ 三宅嘯山
達磨忌に見やる経師が障子哉 加舎白雄
里かれて障子に達磨んめの花 早野巴人
釣柿や障子にくるふ夕日影 丈草
長閑さは障子のそなたこなた哉 江森月居
陽焔や庭に糊干ス障子骨 呂風
障子ごし月のなびかす柳かな 素龍
障子までひゆる匂ひや梅の花 林紅
障子まで来る蝿も有翁の日 加藤曉台
障子一重きかぬかと鳴いとゞ哉 一笑(金沢)
雀子やあかり障子の笹の影 其角
雪やつむ障子の帋の音更ぬ 炭太祇
露の音菊の障子にこの月夜 加舎白雄
青天に障子も青し軒の梅 木導
鬼鹿毛に障子も諏訪の氷哉 亀洞
鴬の障子にかげや軒つたひ 素覧
鴬やこたへて細き障子ぼね 嵐青
鴬や足袋はきかゝる障子越 牧童

以上

by 575fudemakase | 2017-02-15 09:21 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fudemaka57.exblog.jp/tb/26653978
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

カテゴリ

全体
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2011年 04月

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

検索

タグ

最新の記事

実朝忌 の忌日
at 2017-04-22 09:12
茂吉忌 の俳句
at 2017-04-22 09:09
義仲忌 の俳句
at 2017-04-22 09:07
えり挿す の俳句
at 2017-04-22 09:04
かまくら の俳句
at 2017-04-22 09:01

外部リンク

記事ランキング