冬の月 の俳句

冬の月 の俳句

冬の月

例句を挙げる。

あら猫のかけ出す軒や冬の月 内藤丈草
いつも見るものとは違ふ冬の月 鬼貫
うきて行く雲の寒さや冬の月 斯波園女
うしろからひそかに出たり冬の月 正岡子規
うす~とけぶる梢や冬の月 渡辺水巴 白日
うちあげて津の町急ぐ冬の月 吉右衛門
この木戸や鎖のさゝれて冬の月 榎本其角
しづかなる柿の木はらや冬の月 黒柳召波 春泥句集
しめなほす奥の草履や冬の月 惟然
しめ直す奥の草鞋や冬の月 広瀬惟然
ともどもに別るゝ心冬の月 稲畑汀子
なぐさめし琴も名残りや冬の月 万里 俳諧撰集玉藻集
びらびらはなき道筋や冬の月 広瀬惟然
まんまるの厚みなかりし冬の月 藤勢津子
むさし野は堂より出る冬の月 上島鬼貫
よき夜ほど氷るなりけり冬の月 浪化
ゴンドラに乗るとき冬の月傾ぐ 佐藤 博重
ランプ灯く「忘れ唱歌」に冬の月 長谷川かな女 牡 丹
一列のレグホン眠る冬の月 柿本多映
亡き魂も出迎へよ門の冬の月 寺田寅彦
人すこし聟入り見るや冬の月 雑草 長谷川零餘子
仏間はまた熟寝の間にて冬の月 鷲谷七菜子 天鼓
兀殿の先だち寒し冬の月 水田正秀
冬の月いざよふこともなく上る 高浜年尾
冬の月いのちわけあふには淡し 保坂敏子
冬の月いま吾が顔にとどき来る 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
冬の月いろいろな欲捨てて寝る 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
冬の月おどろとなりし糸芒 阿部みどり女
冬の月かこみ輝き星数多 高木晴子 晴居
冬の月けざむくにじみ錠を鎖すわれをわれとしひとりねむるべく 山田あさ
冬の月このさびしさをすてきれず 浜野節子
冬の月たかが人間ではないか 栗林千津
冬の月ひそかにかかぐ時計台 柴田白葉女
冬の月より放たれし星一つ 星野立子
冬の月わたしの毛布照らしおり 大高翔
冬の月をみなの髪の匂ひかな 野村喜舟 小石川
冬の月スフィンクスの尾右へ巻く 本澤晴子
冬の月女優志願と隣り合う 二村典子
冬の月寂莫として高きかな 日野草城
冬の月屍は狂ふこともなし 小野冬芽
冬の月提灯つりて道具市 妻木 松瀬青々
冬の月明たかが人間ではないか 栗林千津
冬の月杉を燈まするあらしかな 木導 霜 月 月別句集「韻塞」
冬の月母と子の距離凍てついて 河野静雲
冬の月淋しがられて冴えにけり 古白遺稿 藤野古白
冬の月煮炊きのほのほおちしとき 金田咲子 全身
冬の月琴を背負つて帰りけり 如月真菜
冬の月美しけれど人に告げず 石川文子
冬の月肩のチョークを打ち払ふ 林原耒井 蜩
冬の月軒すれ~に傾けり 温亭句集 篠原温亭
冬の月銀杏の枝の中にあり 松尾 美子
冬の月雲にかかれば暈を持ち 阿部みどり女
冬の月高くなりつつ靄離れぬ 篠原梵 雨
冬の月黒き木仏木に戻り 宇多喜代子
出迎ふる人亡くて門の冬の月 寺田寅彦
出逢った日のパールネツクレス冬の月 松本恭子
厠の扉叩く子がゐて冬の月 松村蒼石 雁
四辻にうどん焚火や冬の月 石友
団地の窓灯はみな消えて冬の月 吉屋信子
土塀壌ちて石入れ据ゑぬ冬の月 新傾向句集 河東碧梧桐
塀添ひに風流れをり冬の月 臼田亞浪 定本亜浪句集
塀裏の桐の木ずえや冬の月 朱仙 霜 月 月別句集「韻塞」
夜々おそく帰るや冬の月まどか 宵曲
大工帰り佐官働き冬の月 永井龍男
大船や帆綱にからむ冬の月 高浜虚子
天測の北緯五十度冬の月 河合いづみ
夫行つてしまひぬ冬の月尖る 仙田洋子 雲は王冠
妻の座は厨に近し冬の月(小松にて) 飴山實 『おりいぶ』
宿坊へ案内の僧や冬の月 比叡 野村泊月
寒知らぬ島かも冬の月にいづる 及川貞 榧の實
寝た家の外から白し冬の月 母斛 選集古今句集
尿放つ子の泪して冬の月 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
屋根の上に火事見る人や冬の月 子規句集 虚子・碧梧桐選
山庭に冬の月白あるばかり 瀧井孝作
山火事を知る人もなし冬の月 雉子郎句集 石島雉子郎
嶺の松や後夜後ト前キの冬の月 尾崎迷堂 孤輪
帰天せし母にまどかな冬の月 千原叡子
廓近く来し俳句会冬の月 楠目橙黄子 橙圃
影踏みの果てに上りぬ冬の月 橘孝子
我影の崖に落ちけり冬の月 柳原極堂
戸口から芦の浪花や冬の月 蒼[きう]
戸口まで道が来ており冬の月 鳴戸 奈菜
星屑消して無碍なり崖の冬の月 及川貞 榧の實
木の影や我影動く冬の月 正岡子規
村へ帰る一青年と冬の月 青柳志解樹
束の間の冬の月さへ砕く波 竹屋睦子
松ばやしぬけねばならず冬の月 久保田万太郎 流寓抄
松よりも杉に影ある冬の月 井上井月
松原にとまる電車や冬の月 銀漢 吉岡禅寺洞
松原や闇の上行く冬の月 古白遺稿 藤野古白
柝過ぎて後犬行くや冬の月 河東碧梧桐
桐の実の鳴る程なりて冬の月 井月の句集 井上井月
梨の木や結ひこご(屈)めたる冬の月 鳩枝 俳諧撰集「藤の実」
橙の色を木の間の冬の月 松岡青蘿
次に見し時は天心冬の月 稲畑汀子
此木戸や鎖のさゝれて冬の月 宝井(榎本)其角
水門にうごく木影や冬の月 故郷 吉田冬葉
池氷る山陰白し冬の月 古白遺稿 藤野古白
泣くもあり泣かねば冬の月を見る 石原八束
浅からぬ鍛冶が寐覚や冬の月 加舎白雄
深夜ミサ終へし人らに冬の月 丸山よしたか
温室の花を照らすや冬の月 広江八重桜
濡れて居る梢も見えず冬の月 桃隣
炭売の戻る野道や冬の月 吉川天河水
無医村の消灯早し冬の月 高野清美
焼け香嗅ぐ胸もかばかり冬の月 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
犬にうつ石の扨なし冬の月 炭 太祇 太祇句選後篇
狐狸のする空臼搗きや冬の月 松木星陵
狼のかりま高なり冬の月 奚魚 霜 月 月別句集「韻塞」
町内に湯屋が健在冬の月 高澤良一 寒暑
病院の門を出づれば冬の月 寺田寅彦
白波の上に更たり冬の月 闌更
白雲や女の歯がすみ冬の月 立独 選集「板東太郎」
百品(ももしな)の旅の仕舞ひや冬の月 斯波園女
目のひかる夜咄ずきや冬の月 許六
知らぬ犬と道明るさや冬の月 碧雲居句集 大谷碧雲居
砂に埋む須磨の小家や冬の月 暁台
砂みちのすこし上りや冬の月 久保田万太郎 流寓抄
硝子屋のアロエの鉢に冬の月 横山房子
禅寺の松に来て冬の月となる 文挾夫佐恵
竹の幹太く勁くて冬の月 柴田白葉女 花寂び 以後
笛の音のいつからやみて冬の月 也有
縁日や人散りかかる冬の月 寺田寅彦
肝煎の手をはなれけり冬の月 曲翠 俳諧撰集「有磯海」
背高き法師にあひぬ冬の月 梅室
臍の緒のあと鹹し冬の月 柚木紀子
芋買ひに行きし夜もあり冬の月 尾崎紅葉
荒天を鎮めて上る冬の月 川村甚七
襟巻に首引き入れて冬の月 杉風
見張り猿ゐる絶壁の冬の月 畑中とほる
質置の彳む門や冬の月 黒柳召波 春泥句集
軍門に据うる俘や冬の月 大須賀乙字
鋸山のやゝ東より冬の月 阿部 美津子
長安の糸より細き冬の月 有馬朗人 天為
階に我が影しるき冬の月 岩下ただを
隻腕の河童にあひぬ冬の月 北園克衛 村
雪よりも寒し白髪に冬の月 丈草
露座仏をなかなか越さぬ冬の月 吉田渭城
静なるかしの木はらや冬の月 蕪村 冬之部 ■ 郊外
音たてぬ家霊いとしや冬の月 池田澄子
高々とポプラに風や冬の月 小杉綾子
鳥は浮き魚はしづみて冬の月 才麿
鳥影も葉に見て淋し冬の月 千代尼
これやこの冬三日月の鋭きひかり 久保田万太郎(1889-1963)
その夜夢に寒月の下の師の御言 相馬遷子 山国
ついて来し寒月に木戸閉てにけり 赤尾恵以
ひとごとのやうにみごもり冬三日月 仙田洋子 雲は王冠
ひとり寝て眼に寒月を掲げたり 石塚友二 方寸虚実
まろみなほ朝月凍ててそも偸安 香西照雄 対話
ゆく馬の背に月凍る年の暮 金尾梅の門 古志の歌
ダイヤ買ひ形見ふえたり寒月夜 八牧美喜子
チヤルメラやまだ宵の町月冴ゆる 『定本石橋秀野句文集』
三寒のどっちつかずの夜半の月 高澤良一 素抱
不二見えて屋根の寒月堅きかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
中天に月冴えんとしてかゝる雲 高浜虚子
人穴を掘れば寒月穴の上 富沢赤黄男
何祈らむ冬三日月を額に享け 横山房子
俎を寒月に立てかけて寝る 小檜山繁子
俳諧のまだ宵なから月氷る 尾崎紅葉
僧居ねば寒月に*いさざ買ひ戻る 赤尾兜子
党人の寒月や此処に悲歌の橋 久米正雄 返り花
冬三日月ひたと機窓に深空航く 富安風生
冬三日月わが形相の今いかに 鳴戸奈菜
冬三日月屋台車に石噛ます 黒沢一太
冬三日月更に呑むため別れゆく 寺井谷子
冬三日月浮く丘のそら縹いろ 柴田白葉女 『月の笛』
冬三日月男宮詣での篠島衆 高澤良一 鳩信
冬三日月祈りて叶ふことならず 福田蓼汀 秋風挽歌
冬三日月羽毛の如く粧ひ出づ 原コウ子
冬三日月見てゐて匙を落しけり 加倉井秋を 午後の窓
冬三日月高野の杉に見失ふ 桑島啓司
吾を唖と燃えさかる火と寒月と 安斎櫻[カイ]子
地辷り止まず冬三日月を拝めども 西本一都
城見えて寒月高し呉の流れ 蘇山人俳句集 羅蘇山人
夜半の月冴えず明るし春近き 及川貞 榧の實
夢にあればわれも幼な子冬三日月 山田諒子
天平の扉を寒月に閉ざしけり 狹川 青史
天竺へ冬三日月をとりにゆく 高桑弘夫
夫へ朝刊冬三日月をはさみました 金子弘子
寒月が鵜川の底の石照らす 栗田やすし
寒月にうつし見む我かこち顔 高井几董
寒月にさらして我が家閉ざしあり 青峰集 島田青峰
寒月にすまひが宿の稽古かな 子曳 五車反古
寒月にそそり立ち折れ波頭 星野立子
寒月にひかる畝あり麦ならむ 水原秋桜子
寒月にまぶたを青く鶏ねむる 田中祐三郎
寒月に古き噴井の夜も滾つ 下村槐太 天涯
寒月に大いに怒る轍あり 秋元不死男
寒月に幻(げ)の影懸り失せにけり 友次郎
寒月に幻の影懸り失せにけり 池内友次郎 結婚まで
寒月に影遊ばせて野の宴 稲岡長
寒月に手を出して戸を叩きけり 榎本冬一郎 眼光
寒月に木を割る寺の男かな 蕪村遺稿 冬
寒月に水捨つひとの華燭の日 桂信子 黄 炎
寒月に水浅くして川流る 誓子
寒月に沈みて低き家並かな 青峰集 島田青峰
寒月に炭窯匂ふ側通る 羽部洞然
寒月に焚火ひとひらづゝのぼる 橋本多佳子
寒月に照そふ関のとざし哉 高井几董
寒月に照る海を見て寝に就く 山口波津女 良人
寒月に立や仁王〔の〕からつ臑 一茶 ■文政三年庚辰(五十八歳)
寒月に縷の立ち顕つはわれ病むか 下村槐太 天涯
寒月に腹鼓うつ狸哉 寺田寅彦
寒月に鍋釜尻を並べけり 柑子句集 籾山柑子
寒月に雲飛ぶ赤城榛名かな 河東碧梧桐
寒月のありと外より人の声 星野立子
寒月のいささかうしろぐらきかな 辻田克巳
寒月のいびつにうつる玻璃戸かな 高浜虚子
寒月のうつくしといふ閨の妻 青邨
寒月のかけらぶつかり合ふ怒濤 福田蓼汀 秋風挽歌
寒月のどちへもつかず離(り)の一字 広瀬惟然
寒月のひかりにとほき星の闇 松村蒼石 寒鶯抄
寒月のわれふところに遺書もなし 富澤赤黄男
寒月の作れる陰につまづける 高木貞子
寒月の光さし添ふ病床に 高浜年尾
寒月の光をちらす千鳥かな 成美
寒月の入る山を知る眠れぬ夜 八牧美喜子
寒月の埠頭も船も寝しづまり 高林蘇城
寒月の大いなるかな藁廂 星野立子
寒月の大藁屋根にささりし如 星野立子
寒月の小さく見えし妬心かな 平井葵
寒月の山を離れてすぐ高し 永方 裕子
寒月の漣も立たず行けども 原田種茅 径
寒月の瀬にのしかかる峯暗し 瀧春一 菜園
寒月の熱海の宿に遅くつき 車谷 弘
寒月の相逢はしめし犀千曲 西本一都 景色
寒月の真昼より見え書を配る 成田千空 地霊
寒月の空に確む終の燕 羽部洞然
寒月の美しくして病む夜かな 苅谷 千代
寒月の胸にとほりて夜もすがら 太田鴻村 穂国
寒月の蹤きくるゆゑに歩むなり 飯野 計夫
寒月の通天わたるひとりかな 川端茅舎
寒月の野を機関士ら眠られず 内藤吐天 鳴海抄
寒月の金の稚し水の上 角川源義
寒月の門へ火の飛ブ鍛冶屋哉 炭 太祇 太祇句選
寒月の高くて地に影置かず 岸風三楼 往来
寒月は丑満の雲すこし灼く 佐野良太 樫
寒月へのぼる靴音螺旋階 近藤甚之助
寒月や きりきりしろき歯を鳴らし 富澤赤黄男
寒月やいよいよ冴えて風の声 荷風
寒月やからりと捨てるから玉子 大江丸
寒月やきんきん女嗤ひたり 磯貝碧蹄館 握手
寒月やもつとも耐ふる松柏 齋藤玄 飛雪
寒月やわが発心にくもりなし 西沢信生
寒月やわれ白面の反逆者 原石鼎
寒月や別れの肌のあたたかく 鳥居おさむ
寒月や受胎ののちの身のしづか 辻美奈子
寒月や古人に見する我が心 東洋城千句
寒月や喰ひつきさうな鬼瓦 一茶
寒月や天の一方に越の山 野田別天楼
寒月や妙義も見えて木樵町 安斎桜[カイ]子
寒月や宿の女の国なまり 森田峠 初期
寒月や居合をしへの葭がこひ 尾張-荷兮 元禄百人一句
寒月や岬に松を照り出だし 尾崎迷堂 孤輪
寒月や御鷹の宿もするあたり 乙二
寒月や我ひとり行橋の音 炭太 (たんたいぎ)(1709-1771)
寒月や我一人行く河豚の客 雨山楼
寒月や撃柝ひゞく監獄署 寺田寅彦
寒月や支度調ふ食堂車 永井龍男
寒月や斯くて去る港顧みす 楠目橙黄子 橙圃
寒月や更けて物洗ふ台所 寺田寅彦
寒月や枯木の中の竹三竿 蕪村 冬之部 ■ 感偶
寒月や比叡より高き如意ケ嶽 五十嵐播水 播水句集
寒月や水車一廻りに二度きしみ 川村紫陽
寒月や涛と戦ふ離れ巌 青峰集 島田青峰
寒月や灯影に冱てん白拍子 飯田蛇笏 山廬集
寒月や牛市のこゑまだ宙に 百合山羽公 故園
寒月や猫の夜会の港町 大屋達治
寒月や獄庭松の奢る枝 河野静雲
寒月や獣突くべき竹の鎗 石井露月
寒月や獺がくはへし魚のそり 野村喜舟
寒月や玻璃戸の内に刃物売る 大橋敦子 母子草
寒月や留守頼れし奥の院 炭 太祇 太祇句選
寒月や白紙の飛狩のあと 加舎白雄
寒月や皿より棄つる魚の骨 大串章
寒月や盥の水に鼠捕 六花
寒月や眼を開けてゐし熱帯魚 林 民子
寒月や石きり山のいしぼとけ 加舎白雄
寒月や穢多(ゑた)が虎竹に肉の影 黒柳召波 春泥句集
寒月や穴の如くに黒き犬 川端茅舎
寒月や翼の如くいのち去る 朱鳥
寒月や耳光らせて僧の群 中川宋淵
寒月や舌のごとくに雲より垂れ 河野静雲 閻魔
寒月や藪をはなれて畑の上 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
寒月や衆徒の群議の過て後 蕪村 冬之部 ■ 感偶
寒月や行ひ人の赤はだか 高井几董
寒月や表にものを取りに出て 上野泰 佐介
寒月や裏戸灯りて沼の宿 橋本鶏二 年輪
寒月や見渡すかぎり甃(いしだたみ) 川端茅舎(1897-1941)
寒月や谷に渦巻く温泉の煙 寺田寅彦
寒月や貴女のにはとり静かなり 攝津幸彦
寒月や路上ピエロの白化粧 仙田洋子 橋のあなたに
寒月や野の大門の谺呼ぶ 乙字俳句集 大須賀乙字
寒月や鋸岩のあからさま 蕪村 冬之部 ■ 感偶
寒月や門なき寺の天高し 蕪村 冬之部 ■ 感偶
寒月や門をしめゐる前通る 波多野爽波 鋪道の花
寒月や門をたゝけば沓の音 蕪村遺稿 冬
寒月や雑木の中の松の幹 岸本尚毅 舜
寒月や雲尽きて猶風烈し 正岡子規
寒月や高い窓ある庫裏の闇 古白遺稿 藤野古白
寒月や魂離れかへらざる 山本洋子
寒月や鹿ひゆうと鳴く岡の上 五十川茶村
寒月をともなひ妣の国に着く 佐川広治
寒月をとらへし梢の高からず 稲畑汀子
寒月をまたぐに惜しき潦 桂信子
寒月を一寸仰いでさつさと行く 加倉井秋を 『胡桃』
寒月を呑む鶴すこし亀もすこし 攝津幸彦
寒月を浴び来ておのれ軽くなる 滝佳杖
寒月を絡んで巨樹の枝こまか 比叡 野村泊月
寒月を網する如き枯枝かな 虚子
寒月を顱頂に置きて歩みをり 上野泰 佐介
寒月下あにいもうとのやうに寝て 大木あまり(1941-)
寒月下その鉄蓋を誰も踏み 加倉井秋を 午後の窓
寒月下一塊の雪病むごとし 野澤節子 黄 瀬
寒月下子の落書を踏み戻る 香西照雄 素心
寒月下幹影印し小屋傾ぐ 香西照雄 対話
寒月下影のがれたきわが生身 櫛原希伊子
寒月下灯の濁りたる電車行く 草田男
寒月下盲のごとく沼涸れをり 伊東宏晃
寒月下馬繋がれて濡れにけり 木村虹雨
寒月光あまたの軌條地に漂ひ 横山白虹
寒月光いつか一人となるこの家 古賀まり子 緑の野
寒月光こぶしをひらく赤ん坊 三橋鷹女(1899-1972)
寒月光ゆれゆきなやむ肥車 桂信子 花寂び 以後
寒月光わが影に尾の蹤きゐずや 渡邊千枝子
寒月光われより若き父ふりむく 眞鍋呉夫
寒月光下駄の揃へてありにけり 赤澤新子
寒月光地のひびわるるまで白く 三谷昭 獣身
寒月光山を恋いつつ遁走す 宇多喜代子
寒月光己の骨も透きとほる 糸山由紀子
寒月光心もろとも投げて病む 古賀まり子 緑の野
寒月光掌に享け神楽舞ひにけり 佐川広治
寒月光犬山犬川犬橋犬姫 夏石番矢 神々のフーガ
寒月光真昼に似たる水の照り 大木あまり 火のいろに
寒月光背後見ずとも貨車通る 桂信子 花寂び 以後
寒月光覚めしばかりに家怖ろし 横山房子
寒月光隈なき水で焚火消す 齋藤愼爾
寒月光電柱伝ひ地に流る 西東三鬼
寒梅や痛きばかりに月冴えて 日野草城
山の月冴えて落葉の匂かな 芥川龍之介
山の端に冬三日月の金沈む 阿部みどり女
恋の血の高鳴つていま月凍る 仙田洋子 橋のあなたに
悔のごと繊月凍ててかかりけり 斎藤 道子
曽根崎やむかしの路地に月冴えて 鷲谷七菜子 黄 炎
月冴えし三条麩屋町あられ蕎麦 徳田千鶴子
月冴えてこの夜めでたき会陽かな 燕 々
月冴えて夜鳴そば笛また通る 渋谷 一重
月冴ゆるばかりに出でて仰ぎけり 高浜年尾
月冴ゆる一度は見たき棺造り 小檜山繁子
月冴ゆる石に無数の奴隷の名 有馬朗人 知命
月冴る夜や人を焼く煙見ゆ 蘇山人俳句集 羅蘇山人
月凍つる群青の村その下に 岡田順子
月凍てて千曲犀川あふところ 福田蓼汀 山火
望郷や雪降るごとき寒月光 八牧美喜子
柊家の忍返しに月冴え来 京極杞陽
極楽中心中山寺月冴えし 中島陽華
橋にきし目におのづから月冴ゆる 木津柳芽 白鷺抄
死の家の菌青々寒月下 三谷昭 獣身
母のなき子らに寒月よりの漣 柴田白葉女 『冬泉』
母逝けり寒月白く残る軒 町田しげき
毟りたる一羽の羽毛寒月下 橋本多佳子(1899-1963)
水煙の飛天冬三日月に失せ 阿波野青畝
池を干す水たまりとなれる寒月 尾崎放哉
海が墓冬三日月の指すあたり 北見さとる
海の上に昼月冴えて慈姑掘り 松村蒼石 雪
海を抱く寒月出でし松林 長谷川かな女 花寂び
漁港過ぐ寒月列車と同じ速さ 川村紫陽
煙突と冬三日月と相寄りし 風三楼
疑ふ目冬三日月を見るときも 加倉井秋を 午後の窓
真白な寒月岩山の横へ出づ 岡田日郎
窓押せば寒月雪と地に布けり 青峰集 島田青峰
竹林の奥へ奥へと寒月光 目迫秩父
篠原の月冴残る兜かな 支考
納屋の間に寒月出初め大いなる 河野静雲 閻魔
経蔵に猫の近づく寒月夜 つじ加代子
自縛して寒月よりも細き身よ 古館曹人
賓頭盧は廻り寒月翔けりけり 西本一都 景色
身代りに寒月をあげ櫟の山 和田悟朗
遮断機の影身を下る寒月光 桂信子 花寂び 以後
阿武隈や月冴えて鳴る渚砂 鳥居おさむ
降りし汽車また寒月に発ちゆけり 羽公
雲間洩る寒月ベッド撫でゆけり 榎本鶴さと
頑なに言ひ争へば寒月下 片山桃史 北方兵團
顔に来し寒月光を掌にも享く 右城暮石 上下
風鳴や寒月かじる鬼瓦 幸田露伴 竹芝集
餅買うや寒月光の街の幅 三谷昭 獣身
駅出口寒月喧嘩地区で消え 長谷部さかな
駕を出て寒月高しおのが門 太祇
魚城移るにや寒月の波さゞら 正雄
鯛焼を手にささげ持ち冬三日月 長谷川かな女 牡 丹
あら海に人魚浮めり寒の月 青蘿
カーテンを引き残したる寒の月 湯浅典男
同じ湯にしづみて寒の月明り 龍太
圓生のうたふ聲きこゆ寒の月 久保田万太郎 草の丈
夜学の鐘やさし寒の月と雲に 古沢太穂 古沢太穂句集
大屋根の反りの指したる寒の月 大場去聖
寒の月しきりに雲をくゞりけり 久保田万太郎 草の丈
寒の月ちいさき母の影に添ふ 太田鴻村 穂国
寒の月子はころころと湯へ連るゝ 金尾梅の門 古志の歌
寒の月川風岩をけづるかな 樗良
寒の月押し照る底に病めりけり 小林康治 四季貧窮
寒の月指しければ歪みけり 林原耒井 蜩
寒の月畦の木の影うごきをる 鈴木しづ子
寒の月白炎曳いて山を出づ 飯田蛇笏
寒の月酒にもまろみありとせり 相生垣瓜人
寒の月鋭く痩せて星育つ 森下肖史
更級の郡なぐさめ寒の月 渡辺重昭
水張つて獲りたきほどの寒の月 吉原文音
烏飛て高台橋の寒の月 松岡青蘿
病む父のありての家路寒の月 深見けん二
神官に自宅ありけり寒の月 宇多喜代子 象
胃を病めり貝殻に似て寒の月 眸
荒海に人魚浮けり寒の月 松岡青蘿 (せいら)(1740-1791)
足音のわれを離れず寒の月 片山由美子
身に鱗あらば剥落寒の月 石嶌岳
韓国語放送ひびく寒の月 仙田洋子 橋のあなたに
寺寶なき寺こそよけれ冬満月 高澤良一 石鏡

冬の月 補遺

うしろからひそかに出たり冬の月 正岡子規 冬の月
うす~とけぶる梢や冬の月 渡邊水巴 白日
がらあきの村の石臼冬の月 鷲谷七菜子 花寂び
きぬぎぬや冬の有明寒鴉 正岡子規 冬の月
こまごまと梢は深し冬の月 山口青邨
しっぽくをくふて出づれば冬の月 正岡子規 冬の月
ぬぎすてた下駄に霜あり冬の月 正岡子規 冬の月
ぬぎすてた木履の霜や冬の月 正岡子規 冬の月
チヤルメラやまだ宵の町月冴ゆる 石橋秀野
一汐木汀にささり月冴ゆる 鷲谷七菜子 銃身
不盡の山白くて冬の月夜哉 正岡子規 冬の月
仏間はまた熟寝の間にて冬の月 鷲谷七菜子 天鼓
冬の月いでて歩廊の海冥き 星野立子
冬の月のぼりて君と相見たり 水原秋櫻子 岩礁
冬の月まんまる妻の故郷は 有馬朗人 母国
冬の月より放たれし星一つ 星野立子
冬の月ベツドにすがり糞まれば 石田波郷
冬の月一夜はふしの失にけり 正岡子規 冬の月
冬の月一夜はふじにうせにけり 正岡子規 冬の月
冬の月上り海流とよもせる 村山故郷
冬の月五重の塔の裸なり 正岡子規 冬の月
冬の月寂寞として高きかな 日野草城
冬の月明り冬虫夏草かな 岡井省二 鯛の鯛
冬の月明るきがまま門を閉ざす 星野立子
冬の月枝にからみてゆがみたる 星野立子
冬の月柱が深夜感じをり 加藤秋邨
冬の月深うさしこむ山社 村上鬼城
冬の月焦土に街の名がのこり 加藤秋邨
冬の月骨髄に悔のこりけり 加藤秋邨
冬の月高くなりつつ靄離れぬ 篠原梵 年々去来の花 雨
冬三日月ひたと機窓に深空航く 富安風生
冬三日月わが顔面の目鼻なし 橋閒石 朱明
冬三日月祈りて叶ふことならず 福田蓼汀 秋風挽歌
冬満月この夜幾人汚れけむ 加藤秋邨
冬満月ご赦免の日の近きかな 角川源義
冬満月われをうかがふ目を感ず 加藤秋邨
冬満月三鬼に髭のありしなり 佐藤鬼房
冬満月何かが誘ひふと多弁 加藤秋邨
冬満月蝕のきざしか黄金いろ 角川源義
初冬の月裏門にかゝりけり 正岡子規 冬の月
劍さきの霜もこほるや冬の月 正岡子規 冬の月
厠の扉叩く子がゐて冬の月 松村蒼石 雁
厠出て雨戸あくれば冬の月 正岡子規 冬の月
右眼に見えぬ冬三日月が左眼に双つ 安住敦
君ら去る冬三日月とわれを残し 佐藤鬼房
吹きすさむ凩白し冬の月 正岡子規 冬の月
塀添ひに風流れをり冬の月 臼田亜郎 定本亜浪句集
夜は車めつきり減リて冬の月 高田風人子
夜半の月冴えず明るし春近き 及川貞 榧の實
太刀魚の刃に冬三日月の微光憑く 富安風生
妻の座は厨に近し冬の月 飴山實 おりいぶ
妻近しいま冬の月満ち満ちぬ 有馬朗人 母国拾遺
家墜ちし余燼さめやらず冬の月 村山故郷
宿りそこね月氷る野を急ぎけり 正岡子規 月氷る
寒梅や痛きばかりに月冴えて 日野草城
寒知らぬ島かも冬の月にいづる 及川貞 榧の實
屋根の上に火事見る人や冬の月 正岡子規 冬の月
山川の縒りて流るる冬月夜 森澄雄
山門と寺のあひだの冬の月 渡邊白泉
弾痕と聖堂と冬三日月と 野見山朱鳥 運命
旅の身に島の夜早し冬三日月 村山故郷
日没以後の月は自照や冬の水 中村草田男
星屑消して無碍なり崖の冬の月 及川貞 榧の實
暈なして魑魅をねむらす冬の月 佐藤鬼房
曾根崎やむかしの路地に月冴えて 鷲谷七菜子 黄炎
月冴えぬ熱く淹れたる茶のかをり 日野草城
月冴て市の歳暮のあはれなり 正岡子規 年の暮
月冴ゆと歯を磨き彳ち雨後の幹 伊丹三樹彦
月冴ゆと蕃歌聴きつつ眠りしかや 伊丹三樹彦
月冴ゆるばかりに出でゝ仰ぎけり 高浜年尾
月冴ゆる石に無数の奴隷の名 有馬朗人 知命
木の影や我影動く冬の月 正岡子規 冬の月
枯枝に残月冴ゆる炊ぎかな 杉田久女
柝過ぎて後犬行くや冬の月 河東碧梧桐
母恙なきや推の葉に冬月夜 森澄雄
気が触れる冬三日月を引き寄せて 佐藤鬼房
水煙の飛天冬三日月に失せ 阿波野青畝
水門に鼬死居る冬の月 正岡子規 冬の月
浪人のおこそ頭巾や冬の月 正岡子規 冬の月
海の上に昼月冴えて慈姑掘り 松村蒼石 雪
渺々として空畝や冬の月 日野草城
満齢喜寿冬満月の空邃し 松崎鉄之介
灯なき城中空にあり冬の月 桂信子 草影
焦土より水ほとばしり冬満月 加藤秋邨
煤流るゝ水と草原冬の月 河東碧梧桐
熱なければ冬三日月を妻と見る 大野林火 冬青集 雨夜抄
牛糞の光て寒し冬の月 正岡子規 冬の月
猫のゐて両眼炬の如し冬の月 村上鬼城
玉山の髣髴として冬の月 正岡子規 冬の月
病める眼に冬三日月は嗚呼見えぬ 安住敦
真夜の月冴えて二三の秋蛙 日野草城
睡重りを横泡き急ぐ冬三日月 中村草田男
破れ障子まゝよ木枯冬の月 正岡子規 冬の月
絹を着てこもる一ト日の冬満月 野澤節子 八朶集以後
縄文の弓より細く冬の月 有馬朗人 知命
耳鳴りは宇宙の音か月冴ゆる 林翔
艮(うしとら)に冬満月の浮かび出づ 佐藤鬼房
荒城に似て書斎散乱冬の月 林翔
葬禮の提灯多し冬の月 正岡子規 冬の月
街の中藪あり低く冬の月 山口青邨
裏山や月冴えて笹の音は何 正岡子規 冴
谷川の流れ合して冬の月 渡邊白泉
赤子泣く眞宗寺や冬の月 正岡子規 冬の月
辻君の白手拭や冬の月 正岡子規 冬の月
辻番のともし火青し冬の月 正岡子規 冬の月
酔へば酔語いよいよ尖る冬の月 楠本憲吉 隠花植物
野に老いて冬満月を食ひ減らす 佐藤鬼房
長安の糸より細き冬の月 有馬朗人 天為
門くづれて仁王裸に冬の月 正岡子規 冬の月
門待の車夫の鼾や冬の月 正岡子規 冬の月
闇市の冬三日月にあひにけり 加藤秋邨
雁さわぐ冬の田面の月もなし 正岡子規 冬田
顔見世の連弾冴ゆる月冴ゆる 水原秋櫻子 蓬壺
風吹て月冴わたる木立哉 正岡子規 月
驚くほど明るき冬の月の路次 山口誓子
驛遠く月氷る野を急ぎけり 正岡子規 月氷る
魚河岸や鮫に霜置く冬の月 正岡子規 冬の月
鶏市や鶏くゝられて冬の月 村上鬼城
鶯の凍へ死ぬらん冬の月 正岡子規 冬の月

冬の月 続補遺

あくまでも閑に出たり冬の月 井上士朗
あら猫のかけ出す軒や冬の月 丈草
いつも見る物とは違ふ冬の月 鬼貫
うきて行雲の寒さや冬の月 園女
かけはしや額板のぞく冬の月 許六
かたはらもいたむ簀の戸や冬の月 風国
この木戸や鎖のさゝれて冬の月 其角
さま~と降あく空や冬の月 井上士朗
しづかなる柿の木はらや冬の月 黒柳召波
しめ直す奥の草鞋や冬の月 惟然
すげなきは酢の看板と冬の月 支考
すさまじく堅く成りけり冬の月 素丸 素丸発句集
たて付のすき間や寒し冬の月 許六
たゞひとりすめる景色や冬の月 高桑闌更
ちいさゝや槙立山の冬の月 鈴木道彦
つくばふてひとりと悲し冬の月 牧童
つく~と画図の兎や冬の月 仙化
つめたさの身にさし通す冬の月 杉風
なぐさめし琴も名残や冬の月 万里女
なつかしき夢見るひまや冬の月 李由
なる河や雲は飛退く冬の月 万乎
びら~はなき道筋や冬の月 惟然
むさし野は堂より出る冬の月 鬼貫
よき夜ほど氷るなりけり冬の月 浪化
をし船の沙にきしるや冬の月 素覧
一本の松にとり合冬の月 芙雀
丸ければまろくて淋し冬の月 五明
乞食の尾がしらもなき冬の月 許六
兀殿の先だち寒し冬の月 正秀
六畳に見残されたり冬の月 苔蘇
冬の月ふたにいたゞくさだへがひ りん女
冬の月宿の長さに日のくれて 鈴木道彦
冬の月岩おそろしやさだえ貝 りん女
冬の月杉を澄するあらし哉 木導
冬の月槙の下みち見ゆる 鈴木道彦
冬の月白し豆腐に梅の花 中川乙由
冬の月空なき空にやどりけり 田川鳳朗
冴きつて檜裂たり冬の月 加藤曉台
只すみにすみて小ぐらし冬の月 鈴木道彦
吹落す夜半もあらん冬の月 寥松
哉夜ほど氷る也けり冬の月 仙化
四つ橋の角立けるぞ冬の月 乙訓
塀裏の桐の木ずえや冬の月 朱廸
大木を前に持てや冬の月 凉菟
大枝にかゝりて出たり冬の月 寥松 八朶園句纂
大灘に真中のあり冬の月 田川鳳朗
宵の帆を暁も見む冬の月 其角
居風呂の時宜も果さじ冬の月 探志
山伏に並ぶ背はなし冬の月 田川鳳朗
山風や吹すましても月氷る 寥松
崩す碁の音ふけにけり冬の月 木導
常に留守その影立て冬の月 百里
年浪の名残の床や冬の月 りん女
待出てしばし拝みぬ冬の月 三宅嘯山
御車に惟光かこつ冬月夜 秀億 反古ふすま
念仏のふと聞へけり冬の月 嵐青
我眉の目にかゝる也冬の月 田川鳳朗
戸を引ば砂のおとして冬の月 卓池
戸口から芦の浪花や冬の月 成田蒼虬
戸明よと猫の呼るや冬の月 四睡
手ざわりもかさつく斗冬の月 吾仲
揚場の坊主畳や冬の月 里東
暁の石の井の輪や冬の月 仙化
枯るるほど草にしみこむか冬の月 有井諸九
柳ちりてふたつともなし冬の月 支考
桐の木はあかはだか也冬の月 素覧
楼に立踵こそばし冬の月 尚白
橙の色を木の間の冬の月 松岡青蘿
此木戸や鎖のさゝれて冬の月 宝井其角
歩行ながら文よむ人や冬の月 抱一 軽挙観句藻
水風呂にかたもかくれず冬の月 露川
水風呂に戸尻の風や冬の月 十丈
浅からぬ鍛冶が寐覚や冬の月 加舎白雄
犬にうつ石の扨なし冬の月 炭太祇
猿の目の木にはなれたり冬の月 雪芝
百品の旅の仕舞や冬の月 園女
目のひかる夜咄ずきや冬の月 許六
相違なく出て御ざる也冬の月 寥松
石庭や水の葉も落す冬の月 素覧
砂に埋須磨の小家や冬の月 加藤曉台
篠原の月冴残る甲かな 支考
肝煎の手をはなれけり冬の月 許六
背高き法師にあひぬ冬の月 桜井梅室
茶漬すく人や水田の冬の月 魯九
草の戸の鼠合手に冬の月 岱水
襟巻に首引入て冬の月 杉風
西風に皷の音や冬の月 〔ブン〕村
質置の彳む門や冬の月 黒柳召波
長持の光りてすごし冬の月 毛〔ガン〕
雪よりは寒し白髪に冬の月 丈草
雲きれの底つぼ深し冬の月 鼠弾
飯台に鼠のあがく冬の月 浪化
魚棚や莚打上て冬の月 里東
鳥は浮魚はしづみて冬の月 椎本才麿
鳥影も葉に見て淋し冬の月 千代尼
鳥辺野ゝかたや念仏の冬の月 小春
鳩部屋の穴うそ~と冬の月 支考
黒塗のまくらに馴て冬の月 除風
黒猫も冴る時有冬の月 朱廸

以上

by 575fudemakase | 2017-02-16 10:26 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

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春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

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