正月 の俳句

正月 の俳句

正月

例句を挙げる。

あかつきの水仙の香の喪正月 野沢節子
あたゝかき正月なれば麦踏まん 北里 信子
いそしめる正月髪の選炭婦 石橋梅園
いただくや大和正月三笠山 上島鬼貫
いつも一本柿の木をみて正月来 清水径子
おねしよしておのれ叱るやお正月 野村喜舟
おらんだ正月珍*だの酒はあまかつし 角川源義 『西行の日』
お正月の鴉かあかあ 種田山頭火 草木塔
ぎこちない金と銀とのお正月 加藤ミチル
くらがりの峠とぶ風狂もいて正月 大西健司
げんげ田がすこし青みてお正月 廣江八重櫻
こめかみに焚火の音す正月空 中拓夫 愛鷹
ちんぽ皆ぶらさげ正月の朝湯も去年の顔触れ 橋本夢道 無礼なる妻
としより昔の歌をうたひ正月を酔ひ 七戸黙徒
ぬかづいて曰く正月二日なり 夏目漱石 明治三十二年
ひとり来て仏の正月崖荒し 源 鬼彦
ふるさとや正月を啼く川原鶸 木下夕爾
まんざいや正月にならばぼつぼつと 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
みな猟夫正月餅を搗かぬ村 羽部洞然
むささびと棲み正月の詩書くか 大峯あきら 鳥道
もてなしに正月舞ひの擦りささら 高澤良一 随笑
やっかいな正月の富士詠み初めに 高澤良一 ぱらりとせ
シベリアも正月ならむ父恋し 寺山修司 未刊行初期作品
七文半の吾子の白い足袋にあした正月がくる 橋本夢道 無禮なる妻抄
万両の白たいせつに喪正月 嶋田麻紀
人よむに如かず正月諷詠詩 飯田蛇笏 椿花集
人並に正月を待つ灯影かな 一茶 ■寛政十二年庚申(三十八歳)
人並の正月もせぬしだら哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
以て祝ふ正月中や開豆 安藤十歩老
傾城に正月はなし花かるた 蘇山人俳句集 羅蘇山人
円満な正月顔の看護婦よ 石塚友二
写経して仏正月早や日暮 井沢正江
刈株の鎌跡ななめ正月休み 西東三鬼
北国の正月を待つわらべ唄 今村青魚
北国や家に雪なきお正月 一茶 ■文政三年庚辰(五十八歳)
口開けて正月休みの登り窯 竹中碧水史
和服着て正月の畦やはらかし 池田秀水
喪正月水の音のみ耳につき 宇咲冬男
喪正月申し訳なく肥りけり 飯田 直
四五人を診て正月の和服醫師 下村ひろし 西陲集
墓原に正月の顔揃へけり 原裕 葦牙
大根のしづかさ正月のコックたち 北原志満子
大津絵の筆のはじめは何仏 芭蕉 (三日口を閉て、題正月四日)
大粒の雨正月の闇うがつ 角川源義
大雪となりて今日よりお正月 前田普羅 新訂普羅句集
嫁ぎのこる正月街中の旗はためく 寺田京子 日の鷹
子ら帰り正月すんでしまひたる 石井とし夫
子を持ちて姪美しきお正月 福田紀伊
寺うちも正月なれば鯛に塩 中山純子 沙 羅以後
山路来て正月青き芒かな 渡邊水巴
岳麓や正月菓子の色ぞ濃き 北野民夫
島に住めば柑子沢山な正月日和 河東碧梧桐
座敷まで正月の陽差兵の写真 川崎展宏
庵とは正月の日のあるところ 斉藤夏風
弟子寄りて仏正月賑かに 倉垣和子
待ちかぬる子に「お正月」飛んで来よ 中村明子
春王の正月あとは何と書く 森鴎外
時鳥正月は梅の花咲けり 松尾芭蕉
普段着に潮の匂ひ喪正月 花尻 万博
松少し栽ゑて濱庭正月す 松瀬青々
松籟や正月つひに雨を見ず 佐野青陽人 天の川
枯木に鴉が、お正月もすみました 山頭火
樅の木をくぐる正月礼者かな 前田法比古
歌留多讀む息づき若き兄の妻(郷里人吉の老父のもとにて妻子と共に正月を迎ふ) 上村占魚 『霧積』
正座して師は無けれどもお正月 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
正月からとんだ目に遭ふぎっくり腰 高澤良一 寒暑
正月がすぎゆく固き炭を挽く 百合山羽公 故園
正月にするとて星のとぶ夜哉 一茶
正月にちょろくさい事お言やるな 松瀬青々
正月に山雀二つ貝の頬 金子皆子
正月のいたるところに世の出口 鈴木六林男
正月のさてもなんきんたますだれ拡ぐるかなた昭和のけぶる 土井紀枝
正月のふしづけ澄みてゐたりけり 飯田蛇笏 春蘭
正月のもう散らかせる居間跨ぎ 高澤良一 素抱
正月のカイト荒川吹き曝し 松田ひろむ
正月のプランの中のラグビーに 稲畑汀子
正月の下駄の音する飛騨の峡 前田普羅 飛騨紬
正月の人あつまりし落語かな 正岡子規
正月の人来し声のひかる玻璃 升水砂光
正月の俄か訛に泛く田かな 牧野桂一
正月の凧の一つの睥睨す 鷲谷七菜子
正月の凧や子供の手より借り 百合山羽公 寒雁
正月の凧裏窓に漂へり 風間加代
正月の和服つめたき襟合す 百合山羽公 故園
正月の土を上げたる土竜かな 大峯あきら
正月の多摩の枯芦雅やか 細見綾子 天然の風以後
正月の夜を煌々と妻子遊ぶ 辻田克巳
正月の太陽襁褓もて翳る 山口誓子
正月の子供に成て見たき哉 一茶 ■寛政九年丁巳(三十五歳)
正月の子供等が黄色い芝踏みに来てゐる 人間を彫る 大橋裸木
正月の山の指笛童子かな 皆川白陀
正月の山中にして囀れり 岸田稚魚
正月の日まちとふれて来しばかり 長谷川素逝 村
正月の月が明るい手まり歌 綾子
正月の末の寒さや初不動 道芝 久保田万太郎
正月の栄花にほこる爆竹かな 松岡青蘿
正月の海原太鼓の響きもつ 上村占魚 『玄妙』
正月の渡船場寒う渡りけり 柿腸 近藤浩一路
正月の潮の香しばし渚べり 高澤良一 鳩信
正月の玉の日和のいらかかな 飯田蛇笏 山廬集
正月の男といはれ拙に処す 夏目漱石 明治三十一年
正月の白き餅まだ生ける餅 百合山羽公 寒雁
正月の白波を見て老夫婦 桂信子
正月の空の青さに象匂ふ 光田幸代
正月の笑顔となりて故郷へ 稲畑廣太郎
正月の箸にきんとん応へある 久米正雄 返り花
正月の背皮見せをる帳簿かな 久米正雄 返り花
正月の花屑かかる籬かな 吉武月二郎句集
正月の苜蓿青き水田べり 富安風生
正月の茶筅青けれ花過ぎし 碧雲居句集 大谷碧雲居
正月の足袋白うして母在はす 大谷碧雲居
正月の金魚が元気元気かな 皆吉司
正月の雨夜の客につぐ火かな 長谷川春草
正月の雪や一日眉まぶし 細見綾子 存問
正月の雪真清水の中に落つ 廣瀬直人(1929-)
正月の雲のももいろ瑠璃光寺 上野さち子
正月の音なき金鉱山羊歌う 原子公平
正月の風に当りに出で三歩 高澤良一 随笑
正月は嫌いですかと鼻眼鏡 岡田史乃
正月は空白藪のみ騒ぎつづく 香西照雄 対話
正月は黄泉にてと又一人逝く 高澤良一 寒暑
正月もすこし古びし六日かな 三輪一壷
正月ももう七種のなぎさの貝がら(腰越) 荻原井泉水
正月も廿日に成りて雑煮かな 服部嵐雪
正月も身は泥(ひぢりこ)のうなぎかな 服部嵐雪
正月やよき旅をして梅を見る 河東碧梧桐
正月や一歯欠けたる妻の顔 佐野青陽人
正月や三日過ぐれば人古し 高桑闌更 (らんこう)(1726-1798)
正月や塵も落さぬ侘籠 宮部寸七翁
正月や夜の食器は灯の下に 細見綾子
正月や山雀あそぶ松さくら 渡辺水巴 白日
正月や日あたる道のさびしけれ 角川春樹
正月や望みの高き絵馬あふれ 林 民子
正月や木曾には木曾の手まり唄 仁村美津夫
正月や杣の遊びのふところ手 前田普羅 飛騨紬
正月や橙投げる屋敷町 正岡子規
正月や浜の茨の返り咲き 臼田亜浪
正月や牛の母子の畦あそび 細川加賀 生身魂
正月や若狭の日和すぐ崩れ 遠藤若狭男
正月や荒磯の石を耳に当つ 細見綾子 黄 炎
正月や藁の円座に痘の神 森澄雄
正月や袂振りゆく麦畑 金尾梅の門 古志の歌
正月や辻の仏も赤頭巾 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
正月や過ぐれば只の日数のみ 石塚友二
正月や鎌倉山の松の色 岸田劉生
正月をしに戻りたる主かな 比叡 野村泊月
正月を休む医師となりにけり 水原 春郎
正月を出して見せうぞ鏡餅 向井去来
正月を惜しみてかすむ旅人かな 吉武月二郎句集
正月を月下美人のつめたき葉 秋元不死男
正月を馬鹿で暮して二月かな 鳴滝-秋風 選集古今句集
正月日和母にうぶ毛を剃られけり 太田鴻村 穂国
正月晴汽車が見たくて岡に登る 村越化石
正月顔せる皮剥を賞味せり 高澤良一 鳩信
正月駅伝一団抜け出て母校来る 奈良文夫
母亡き正月土管があればそれを覗き 加倉井秋を
水槽に正月顔のマンボウも 高澤良一 燕音
洗ひあげて正月下駄の二足かな 皆川白陀
渓音に乾く産着や花正月 平井さち子
湯の里に遊ぶ正月湯三昧 高澤良一 寒暑
湯を捨てて正月の雪消えぬ谷 中拓夫
満月と正月の山遊びけり 北見弟花
漆黒の髪の子に来しお正月 水野一風子
煮て焼いて正月料理おお忙し 高澤良一 宿好
爆竹や南京町は正月す 鳴雪
祖母恋し正月の海帆掛船 中村草田男
箸箱に箸ごせとかやお正月(安見子五歳出雲言葉に染みて) 『定本石橋秀野句文集』
納豆一本づつ売る正月の言葉のせ 萩原洋灯
老画家とゐて正月の網干場 中拓夫
蔭正月丹波の豆をうす味に 青木まさ子
蜜柑山より真白な雲お正月 川崎展宏
行きずりに犬撫で旅のお正月 福田蓼汀 秋風挽歌
裏白の葉が乾反りつつくもりのまま正月二日寒く暮れにき 松村英一
読むことを専らとせり喪の正月 田川飛旅子 『植樹祭』
貧乏正月でもいつも神代藤平が来て元日なり 橋本夢道 無禮なる妻抄
賀状なき正月強き眸にて迎ふ 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
足くさるまで正月を医師読みたし 平畑静塔
足のべて正月古き畳かな 松岡草羊
軒破れたる正月のざんざ降り 伊丹三樹彦 人中
雀らにパン屑頒つ喪正月 中村明子
雪の寺正月三日の高野豆腐 中山純子 沙羅
霜除に菜の花黄なりお正月 村上鬼城
青空のはりつめてゐるお正月 深見けん二
頬被正月ものの覗突漁(みづきりょう) 高澤良一 鳩信
餅花や正月さむき屋根の雪 飯田蛇笏 山廬集
髪を切ることが粧ひ喪正月 倉垣和子
髭の邪魔いかにきのふの薺粥 也有 (正月八日附丈草の手紙鬚は汁をすゝる邪魔になり云々とあれは)
鮮やかな正月物に目を止めて 高澤良一 さざなみやっこ
龍吐水の音だけ 書野山 正月 伊丹公子
祝月緋綿も見えて綿屋かな 村上鬼城
初春の真珠選別御木本嬢 高澤良一 燕音
初春や出湯のラドン含有量 高澤良一 素抱
曉斎の拳骨啖ふ新春展 高澤良一 暮津
新春の蹴球(サツカー)魂激突す 高澤良一 暮津
正月花抱え女の声掛けゆく 高澤良一 随笑
正月用みかんにもあるLサイズ 高澤良一 石鏡
立ち読みの正月気分文芸誌 高澤良一 石鏡
日を遍く正月の松優れたり 高澤良一 暮津
酢豚酸し正月料理に慣れし口 高澤良一 暮津
雀らも群れをつくりて正月す 高澤良一 暮津
末つ子の受験に励む太郎月 高澤良一 さざなみやつこ
句をつくるはた又授かる太郎月 高澤良一 鳩信
股引をもう手放せぬ太郎月 高澤良一 素抱
浅黄空おらが一茶の國の春 高澤良一 宿好

正月 補遺

あすはお正月の一りんひらく 種田山頭火 草木塔
あつまつてお正月の焚火してゐる 種田山頭火 草木塔
あらたまの春としなれば人笑ふ 正岡子規 初春
あらをかし何に浮世の花の春 正岡子規 初春
いくたびの花の莟ぞ庵の春 正岡子規 初春
うそうそと蝨はひけり菴の春 正岡子規 初春
うたゝねの正月髪の妻の首 日野草城
うつくしき根岸の春やさゝの雪 正岡子規 初春
うれしさの過ぎぬ正月四日なり 正岡子規 正月
おそろしき殿御めでたし花の春 正岡子規 初春
おらんだ正月珍*だの酒はあまかつし 角川源義
お正月が来るバケツは買へて水がいつぱい 種田山頭火 草木塔
お正月の鴉かあかあ 種田山頭火 草木塔
お正月様ぽつぺん吹けば来たりけり 山田みづえ 手甲
くれ竹の根岸にすんで花の春 正岡子規 初春
つくばねは筆のさきなり庵の春 正岡子規 初春
とにかくに坊主をかしや花の春 正岡子規 初春
ともに喪の正月なりき妻ごめの 草間時彦 中年
ひと抱へほど正月の歯朶くるゝ 細見綾子
ふらんす映画観る正月の飴嗅がれ 伊丹三樹彦
まだ素描にて正月の波切画家 山口誓子
むつかしき言の葉草や花の春 正岡子規 初春
めでたさやよその言葉も旅の春 正岡子規 初春
ゆづり葉の紅におどろく喪正月 能村登四郎
エスカレーター新春一家つらなれり 草間時彦 中年
オリオンは新春のひかり樹海の夜 渡邊水巴 富士
一りん咲けばまた一りんのお正月 種田山頭火 草木塔
一人正月の餅も酒もありそして 種田山頭火 自画像 落穂集
一壺かろく正月三日となりにけり 村上鬼城
一年は正月に一生ハ今にあり 正岡子規 正月
一月となりけり雪もふりにけり 正岡子規 正月
七賢の正月來たり竹の春 正岡子規 竹の春
三寶に東海南山庵の春 正岡子規 初春
世の中をすてずことしも花の春 正岡子規 初春
人よむに如かず正月諷詠詩 飯田蛇笏 椿花集
傾城の古郷遠し京の春 正岡子規 初春
元日の掛乞もあり江戸の春 正岡子規 初春
兵隊は國の花なりけふの春 正岡子規 初春
切り餅を買ふ正月も遠のきて 能村登四郎
初春といひていつもの天の星 山口誓子
初春のものの中なる大炬燵 原石鼎 花影以後
初春の二字を書き初めしたりける 細見綾子
初春の二時うつし島の旅館かな 川端茅舎
初春の寂庵よりの縁起もの 後藤比奈夫
初春の山の地蔵となられけり 石田波郷
初春の巳のコブラとは稀らしき 後藤比奈夫
初春の手炉の蒔絵の手にさはり 後藤夜半 底紅
初春の演し物のビラにむかひ着る 篠原梵 年々去来の花 皿
初春の熊野の神符那智の鈴 後藤比奈夫
初春の終点ちかき駅に降る 平井照敏
初春やいわけなき兒の兩鼓 正岡子規 初春
初春や七十五年いきのびん 正岡子規 初春
初春や子が買ひくれしオルゴール 日野草城
初春や島田おもたきタイピスト 日野草城
初春や焦都相(すがた)を改めず 日野草城
初春や眼鏡のままにうとうとと 日野草城
初春や赤裝束の牛童 正岡子規 初春
初春や雪の中なる善光寺 正岡子規 初春
化粧部屋に吾妹子光る宿の春 正岡子規 初春
君が代を踊りそめけり花の春 正岡子規 初春
咳き込んで あかつき憎む 風邪正月 伊丹三樹彦
喪正月寝正月なる手足かな 山田みづえ 草譜
喪正月来向ふ鴎あな白し 石田勝彦 百千
墓原に正月の顔揃へけり 原裕 葦牙
墨火華麗に盛って 陶師の妻 正月 伊丹三樹彦
大幅の帶そろひけり京の春 正岡子規 初春
天気つづきの田舎の旧の正月 尾崎放哉 小豆島時代
太陽一つふうせん二つ高くもち初春あるく 荻原井泉水
女と淋しい顔して温泉の村のお正月 尾崎放哉 須磨寺時代
女房によびおこされて花の春 正岡子規 初春
姥怖し正月行事知りつくす 桂信子 花影
婆せはし正月の花活けてをり 山口青邨
尚ほも巨眼初春の障子四囲に遠く 中村草田男
山路来て正月青き芒かな 渡邊水巴 白日
干せるだけ干し 朽ち異人館 正月 伊丹三樹彦
年礼の過ぎぬ正月四日なり 正岡子規 正月
庵の春鏡餅より白みけり 正岡子規 初春
心には二十日正月詣で去る 高浜年尾
我等まで神の御末そけふの春 正岡子規 初春
新春と言い寒ンと言い雲焼けて火の如し 荻原井泉水
新春の人立つ書肆に今日も来る 平畑静塔
新春の蝶々来たり雪の上 渡邊水巴 富士
明て春暮ても春のうれしさよ 正岡子規 初春
春くばる都の文や十二萬 正岡子規 初春
春は曙雲紫のつく波山 正岡子規 初春
春もはや運坐賑ふ老梅居 正岡子規 初春
春王の正月書すと書かれたり 正岡子規 正月
景に富む庵や山の春水の春 正岡子規 初春
晴着に襷の、はずして正月の客は縁談らしく 荻原井泉水
末っ子は波乗り正月 濠州便 伊丹三樹彦
東からあれあれ春がくるわいな 正岡子規 初春
松籟が正月の海暗くする 廣瀬直人
枯木に鴉が、お正月もすみました 種田山頭火 草木塔
枯芭蕉もある正月の野面かな 右城暮石 句集外 昭和七年
梅はまだ枯木にもつとして花の春 正岡子規 初春
梅ハまだ枯木に似たり花の春 正岡子規 初春
正月がすぎゆく固き炭を挽く 百合山羽公 故園
正月のあしたへ朱盃洗ひけり 上村占魚
正月のくわゐうまくもまづくもなし 日野草城
正月のこころわかきはわれのみか 飯田蛇笏 家郷の霧
正月のはでな花なり福壽草 正岡子規 福寿草
正月のふしづけ澄みてゐたりけり 飯田蛇笏 春蘭
正月のわが影と入る墓辺かな 飯田龍太
正月の下駄の音する飛騨の峡 前田普羅 飛騨紬
正月の人あつまりし落語かな 正岡子規 正月
正月の凧や子供の手より借り 百合山羽公 寒雁
正月の切餅金言良語かな 百合山羽公 樂土以後
正月の和服つめたき襟合す 百合山羽公 故園
正月の和服着てゐる夫婦かな 草間時彦
正月の塩田の塩粒荒し 細見綾子
正月の墓参の坂を老姉妹 星野立子
正月の夕日あかあか曼荼羅図(当麻寺) 細見綾子
正月の多摩の枯芦雅やか 細見綾子
正月の太陽襁褓もて翳る 山口誓子
正月の富士が見たい風船放ちて自分とする 荻原井泉水
正月の山中にして囀れり 岸田稚魚
正月の微醺乗り行く耕耘機 山口誓子
正月の支度にいそぐ師走哉 正岡子規 師走
正月の日まちとふれて来しばかり 長谷川素逝 村
正月の日向や旅にゆかずとも 岸田稚魚 紅葉山
正月の月が明るい手まり歌 細見綾子 冬薔薇
正月の服着崩れし紋の位置 山口誓子
正月の木深く黒く山の鳥 廣瀬直人
正月の末にとゞきぬ支那みかん 正岡子規 正月
正月の水仙夫が買ふ慣らひ 細見綾子
正月の油を惜しむ宮の巫女 飯田蛇笏 椿花集
正月の海に布帆を進めつゝ 山口誓子
正月の海女海底に庭をもつ 鷹羽狩行
正月の物あはれなり傀儡師 正岡子規 正月
正月の玉の日和のいらかかな 飯田蛇笏 山廬集
正月の男目刺を焼き火照る 三橋敏雄
正月の白き餅まだ生ける餅 百合山羽公 寒雁
正月の目を磨ぐ一刀彫の鷹 佐藤鬼房
正月の看板白地何を描く 伊丹三樹彦
正月の神官忽と笑いける 金子兜太
正月の神饌にと*しいら干されあり 飯島晴子
正月の素の柊の挿されある 岡井省二 明野
正月の耳福といへばゆりかもめ 森澄雄
正月の花活けてある墓拝む 星野立子
正月の谷戸明星が頬冷ます 古沢太穂 火雲
正月の買ひ物やまづ白き紙 細見綾子
正月の身をいとほしむ情切に 飯田蛇笏 家郷の霧
正月の銭にするあわびバスに提げ 岸田稚魚 負け犬
正月の雪くぐり来て湖国かな 廣瀬直人
正月の雪や一日眉まぶし 細見綾子
正月の雪真清水の中に落つ 廣瀬直人
正月の青空市の竿秤 亭午 星野麥丘人
正月の餅送りしといふ便り 細見綾子
正月の騎手の引く眉長く太し 平畑静塔
正月の髷を歌劇に道に見き 山口誓子
正月は浮世に出たり猿まはし 正岡子規 猿廻
正月は空白藪のみ騒ぎつづく 香西照雄 対話
正月は金の帯しめこけし凛々 山口青邨
正月へ向けひた走り帰郷バス 松崎鉄之介
正月ももう七種のなぎさの貝がら 荻原井泉水
正月も五日のひげのいちじるき 日野草城
正月も古りつつ福寿草たもつ 松本たかし
正月も襤褸市たちて二十日かな 村上鬼城
正月や*しいらの男方女方置く 飯島晴子
正月やああ少年に帽子なし 藤田湘子 てんてん
正月や何にして遊ぶ盲者達 村上鬼城
正月や塵も泛べず箕面川 日野草城
正月や夜の食器は灯の下に 細見綾子
正月や山雀あそぶ松さくら 渡邊水巴 白日
正月や放尿は山畑に出て 金子兜太
正月や故里の山故里の川 細見綾子
正月や杣の遊びのふところ手 前田普羅 飛騨紬
正月や橙投げる屋敷町 正岡子規 正月
正月や炬燵の上の朱短冊 松本たかし
正月や胼の手洗ふねもごろに 杉田久女
正月や荒磯の石を耳に当つ 細見綾子
正月や荒磯の貝をふり鳴らし 細見綾子
正月や藁の円座に痘の神 森澄雄
正月や賤の伏屋も文の數 正岡子規 正月
正月や賽のぞろ目をほくそ笑み 藤田湘子 てんてん
正月や那須の地酒を武蔵野まで 細見綾子
正月や里はきのふの古薄 正岡子規 正月
正月や雪をまぶしみ茶をのめり 細見綾子
正月や餅ならべたる佛の間 正岡子規 正月
正月をかたる子とゐる草の上 大野林火 海門 昭和七年以前
正月をして山てゆきぬ鮪船 松本たかし
正月を寝て若者の尿しきり 右城暮石 句集外 昭和二十四年
正月を月下美人のつめたき葉 秋元不死男
正月を水仙の花のさかり哉 正岡子規 正月
正月を語る子とゐる草の上 大野林火 早桃 海風抄
正月二日あたらしい肥桶かついで 種田山頭火 草木塔
正月来る煉炭に夜通し小豆煮られ 古沢太穂 古沢太穂句集
正月歯朶必ずそこでとるといふ 細見綾子
此隅に門松立てり江戸の春 正岡子規 初春
死ぬものと誰も思はず花の春 正岡子規 初春
死ぬるとハ思ハさりけり花の春 正岡子規 初春
母人は江戸はじめての春日哉 正岡子規 初春
民の春同胞三千九百萬 正岡子規 初春
水こほる風にさきけり江戸の春 正岡子規 初春
海見れば正月の凧ゆれてをり 岸田稚魚 紅葉山
渚駈け正月の凧あがりけり 岸田稚魚 紅葉山
湯にぬくめ喪の正月の五十の身 大野林火 白幡南町 昭和三十年
炬燧の母には 告げない 正月の虹へ起ち 伊丹三樹彦
烏帽子着る世ともならばや花の春 正岡子規 初春
烟突の煙にぎはふ民の春 正岡子規 初春
爆竹や南京町は正月す 内藤鳴雪
父母います人たれたれそ花の春 正岡子規 初春
犬ふぐり咲いて正月大和の田 森澄雄
猫の子の眷族ふゑて玉の春 正岡子規 初春
猫の顔もみがきあげたり玉の春 正岡子規 初春
琴鼓ならべかけたる睦月哉 正岡子規 正月
病院の妻の正月我が正月 右城暮石 句集外 昭和三十六年
癒えつつや新春の土少し踏む 森澄雄
盆栽の紅梅さくや女御の春 正岡子規 初春
目の前を又正月が馳せ去れり 相生垣瓜人 負暄
目を明て見たれば春となりにけり 正岡子規 初春
破靴を穿き正月の松と立つ 三橋敏雄
祖母恋し正月の海帆掛船 中村草田男
端書あり活版もあり文の春 正岡子規 初春
竹に葉無し松に雌雄無し江戸の春 正岡子規 初春
竹の影梅の影あり窓の春 正岡子規 初春
箸箱に箸ごせとかやお正月 石橋秀野
粉雪降る正月空の遠くより 細見綾子
紀元二千五百五十三年の春 正岡子規 初春
紀元二千五百五十五年の春 正岡子規 初春
紅梅に雪の陳腐なる正月をよしとする 荻原井泉水
細帯の正月妻といふべしや 秋元不死男
經ニ曰ク春王の正月日々食たれり 正岡子規 正月
老もいさめ痩せたりといへども午の年 正岡子規 正月
臨終にして初春吟を書き残す 富安風生
舫ひてここに正月の舳をならべ 種田山頭火 草木塔
舶來の牛も日本の花の春 正岡子規 初春
芭蕉来なばおらんだ正月いかに見む 角川源義
花の春うかれて屠蘇の二日醉 正岡子規 初春
行きずりに犬撫で旅のお正月 福田蓼汀 秋風挽歌
袴着て火ともす庵や花の春 正岡子規 初春
襤褸童正月の道に出でゆくも 岸田稚魚 負け犬
貧乏の正月はうしさりながら 正岡子規 正月
軒破れたる正月のざんざ降り 伊丹三樹彦
迎春の喜びやいのちある限り 村山故郷
迎春の恩愛を身に老の坂 飯田蛇笏 椿花集
迎春の意なるやプール水湛へ 山口誓子
迎春の梢めでたき風呂煙り 飯田龍太
迎春の青磁まろべる慈姑かな 百合山羽公 樂土以後
遠き舟正月淡く過ぎゆけり 桂信子 草影
酔どれ蜑拾ひ正月のバス弾む 岸田稚魚 負け犬
鍬に土つかぬ一日や里の春 正岡子規 初春
閏年や一日遅き花の春 正岡子規 初春
雨浸む溝正月の芥浮び出す 岸田稚魚 負け犬
雪中梅咲く田舎の正月 尾崎放哉 小豆島時代
青空のはりつめてゐるお正月 深見けん二
頬杖や師亡き正月沖曇る 大野林火 青水輪 昭和二十七年
風吹て山里春をしらぬ哉 正岡子規 初春
風吹て雨降てさて花の春 正岡子規 初春
餅花にとびつく猫や玉の春 正岡子規 初春
餅花や正月さむき屋根の雪 飯田蛇笏 山廬集
鬚は龍の鬚、正月風邪ひいている 荻原井泉水
鱒吉が逝く正月の雨なりし 飯島晴子
鶏歩きをり正月の行人裡 伊丹三樹彦
鶯や東よりくる庵の春 正岡子規 初春

正月 続補遺

いただくや大和正月三笠山 上島鬼貫
うまれ得た正月に逢ふ笑顔かな 寥松
けふ脱や正月させて*ふじ衣 浪化
はまの子は正月待よ鳴千鳥 松窓乙二
はるの雨正月皆に成にけり 尚白
一列は正月足袋の花見かな 野坡
人かげや田中の墓もお正月 鈴木道彦
佐保姫といふも正月言葉哉 松窓乙二
八朔に正月するや寺おとこ 桜井梅室
初春の鮎の魚こそ涼しけれ 木因
初春や家に譲りの太刀はかん 去来
初春や田作り付しむめの枝 玄梅
初春や管絃の鉾のたて所 木因
初春や脇ざし光る町人衆 寥松 八朶園句纂
初春や鴎の眠る門の前 嵐竹
包直し正月つかん座敷杖 杉風
小蝦喰て正月するかかいつぶり 角上
春ちかく正月遠きことしかな 桜井梅室
晦日に正月分の日待かな 岱水
正月がいつくる事ぞ霜の歯朶 松窓乙二
正月が来たか畠に下駄の跡 春来 靫随筆
正月が来とて寒し雪の花 支考
正月と濃茶の時よ友心 嵐竹
正月に見たいかほありとしの市 凉菟
正月のあとを黒める柳かな 吾仲
正月のこなたや餅の音羽山 吾仲
正月のころもにさはる染木哉 松窓乙二
正月のこゝろ崩るゝ彼岸かな 夏目成美
正月のちからわざなり小松びき 桜井梅室
正月のはてや東の稗だんご 尚白
正月のへぎ餅ほつす弥生かな 許六
正月の下戸くゞり来る柳かな 松窓乙二
正月の四日の月の朧かな 乙訓
正月の塩気もとれて梅の花 露川
正月の息や吹かけて朧月 吾仲
正月の月夜はうれし見はせねど 支考
正月の栄花にほこる爆竹かな 松岡青蘿
正月の歯黒ははげつ花の宿 玄梅
正月の皃やふすべる薬鍋 朱拙
正月の霜ふりこぼすやなぎ哉 加舎白雄
正月の魚のかしらや炭だはら 傘下
正月はからかささへもおもしろや 成美 成美家集
正月はみなが足袋はく月夜哉 鈴木道彦
正月は下地して干す柳哉 露川
正月は聟見る窓の笑ひ哉 羽笠
正月もかはらぬ顔の鼠かな 旦々 発句題叢
正月もまだすゝくさしねこの恋 露川
正月もまだ二日路ぞ老の坂 支考
正月も二十日に成て雑煮かな 嵐雪 水ひらめ
正月も喰ひつぶしけり梅の花 林紅
正月も廿日に成て雑煮哉 嵐雪
正月も影はやさびし削かけ 蓼太 蓼太句集初編
正月も手のひまはなし耳の垢 護物 発句題叢
正月も漕ゆくあとの寒かな 亀世
正月も身は泥のうなぎ哉 嵐雪
正月やうれしく見ゆる木綿もの 寥松 八朶園句纂
正月やかならず酔て夕附夜 万子
正月やつんと打出す日のはじめ 木導
正月や三日過れば人古し 高桑闌更
正月や先づきよき物あら莚 朱廸
正月や忘れてあれば袖の月 松窓乙二
正月や牛引女羽織着て 東皐
正月や皮足袋白き鍛冶の弟子 高桑闌更
正月や胼いたましき采女達 高井几董
正月や霞にならぬうす曇 許六
正月をあらひ流して茶漬かな 露川
正月をいなせぬ梅のにほひ哉 露川
正月をやつしてかゝる柳かな 尚白
正月を出して見せうか鏡餅 去来
正月を遊ばぬ人のさくら哉 露印
正月四日よろづ此世をさるによし 凉菟
猫啼て正月めきぬ初月夜 長翠
目に立て正月はやしむめの花 猿雖
簑のけて正月さする柱かな 田川鳳朗
聞しめや諏訪正月の大明神 凉菟
膳立もまだ正月の匂ひかな 支考
西院の梅正月ごとに遠く見る 成田蒼虬
里の子や正月だゝみつめたがる 老鴉 発句題叢
雪こんご幾つ寐てから正月ぞ 桃先
雪花も正月らしや膳のうヘ 成田蒼虬
面白や正月まはり藪のむめ 卯七
鰤の香や正月ながら梅のはな 支考
鳰どりも雨正月や蓮のはな 卓池

以上

by 575fudemakase | 2017-03-10 04:11 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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