書初 の俳句

書初 の俳句

書初

例句を挙げる。

いのち毛のよくきいてゐる筆始 小室善弘
いのち毛は白眉の如し筆はじめ 荒井正隆
くれなゐの色紙を選ぶ筆始 野見山ひふみ
しばらくは師の声とあり筆始 深谷雄大
たまきはるいのちのいの字筆始 上田五千石 琥珀
ふくませて朱墨はかなし筆始 三浦恒礼子
ゆづり葉や口にふくみて筆始 其角 (手握蘭口含鶏舌)
わんぱくや先づ掌に筆はじめ 一茶
クレヨンをもてをさならが筆始め 石塚友二 光塵
一といふ字三といふ字の筆始め 高野素十
一の字に己の見えて筆始 田淵宏子
一川に対するごとく書初す 能村研三 鷹の木
一波に消ゆる書初め砂浜に 西東三鬼
亡き人の名をなんとなく筆始 池田澄子 たましいの話
入りきらぬ末の一字やお書初 辻桃子
友禅に青花水の筆はじめ 桂樟蹊子
古稀にして細楷をよくす筆始 四明句集 中川四明
古紙えらび古墨えらびて筆始 町 春草
君が代や猶も永字の筆始 乙由
和を以て貴しと筆始めけり 青畝
墨はじく金地めでたし筆始 下村ひろし 西陲集
大和仮名いの字を児の筆始め 蕪村
天地なき金の色紙に筆始め 澤田緑生
天平の祝ぎ歌うつす筆はじめ 奥田とみ子
夫婦して書初の掌を汚しけり 小川原嘘帥
家計簿のページはじまる筆始 蕪木啓子
恋歌をひらがなに娘の筆始 森澄雄
扇面の波を鎮めて筆はじめ 杉良介
拓チャンの書初め大いなる楕円 池田澄子
文鎮を置けば鎮まり筆始 倉田 紘文
新しき穂先とゝのへ筆始め 森山 治子
日に梅よ思はず恋の筆はじめ そめ 俳諧撰集玉藻集
日本の文字美しき筆始め 田中玉夫
書初す長寿自祝の句短冊 常石芝青
書初のための右馬左馬 後藤比奈夫 めんない千鳥
書初のわれをなぶれる有馬筆 大石悦子 百花
書初の墨流るるを早や吊りぬ 田村一翠
書初の墨病室をかをらしむ 石田波郷
書初の太文字はわが男弟子 古賀まり子 緑の野以後
書初の子に吉野雛ながれつつ 大峯あきら
書初の平和の二文字忘れざれ 石塚友二 光塵
書初の歌は詠み人知らずなる 下村梅子
書初の火鳥のむくろへなへなと 栗生純夫 科野路
書初の片仮名にして力あり 川島奇北
書初の筆の力の余りけり 稲畑汀子(1931-)
書初の筆勢富士へ韻きけり 小川原嘘帥
書初はうれしきかなやいざさらば 重頼
書初はたゞ叮嚀に~ 高浜虚子
書初は恋の場面となりにけり 吉屋信子(1898-1973)
書初めといふもあはれや原稿紙 吉屋信子
書初めのうゐのおくやまけふこえて 高野素十
書初めの一字を聖書より選ぶ 長田等
書初めの子と起き出でゝ書かざりき 杉山 岳陽
書初めや先づ彼の人に文書かな 野見山ひふみ
書初めや良寛さまの齢過ぎ 河野南畦 『元禄の夢』
書初やあたらしき墨匂ひだす 新谷ひろし
書初やうるしの如き大硯 杉田久女
書初やをさなおぼえの万葉歌 竹下しづの女 [はやて]
書初や口上の覚えけふの礼 兼豊 選集「板東太郎」
書初や寸餘の墨をたふとみて 下村ひろし 西陲集
書初や我が家の句は平明に 青峰集 島田青峰
書初や旅人が詠める酒の歌 上村占魚 鮎
書初や日のさす方へ並べ行く 温亭句集 篠原温亭
書初や白き鳥浮く神田川 辻桃子 童子
書初や草の庵の紅唐紙 飯田蛇笏 山廬集
書初や衰へならで枯れしと言ふ 瀧 春一
書初や親子と生れ詩に仕ふ 青峰集 島田青峰
書初を一々つるす鴨居かな 温亭句集 篠原温亭
松の字 松のごとく竹の字 竹のごとく書初する 荻原井泉水
横書に心の小窓筆始 後藤比奈夫 めんない千鳥
母と一字母とあそびて筆はじめ 町田しげき
江南の梅の翁や筆始 仲岡楽南
海の子の海の一字の筆始 野上飛雲
海一句金短冊に筆始 有働 亨
満々と黒き海あり筆始 正田稲洋
発心の書初古今恋の歌 大石悦子 群萌
白壁や子供がすさみ筆始 黄口
空海と決めある筆や筆始 後藤比奈夫 めんない千鳥
窓にとぶ都鳥あり筆始 桜坡子
立札や法三章の筆始 子規句集 虚子・碧梧桐選
筆はじめ去年よりの修羅走りだす 小檜山繁子
筆始こめかみ酔ひてきたりけり 小林康治
筆始しら魚しろき芭蕉の句 波多野恒子
筆始ほろ酔ひの字もめでたけれ 柏木志浪
筆始めこめかみ酔ひてきたりけり 小林康治 『華髪』
筆始め決意の文字のにじみけり 中林利作
筆始め要らぬところに力入れ 高澤良一 宿好
筆始幼子にして大書せり 渡邉秋男
筆始書家の子の書に拙かり 福田井村
筆始歌仙ひそめくけしきかな 芝不器男
筆始浮き立つ半紙撫で押へ 渡辺善夫
筆始虚子秋桜子山頭火 酒井 武
美しき名のわが妻の書初めよ 鷹羽狩行
胸張つて書初へ身を臥せにける 中村草田男
良寛を学びて遠し筆始 中 火臣
色紙や色好みの家に筆はじめ 遊女-利生 俳諧撰集玉藻集
華墨得て筆紙憾めり筆始め 石塚友二 光塵
蒼天の夢を淋漓と筆始め すずき波浪
酔ふままに羽織の裏を筆始 荷風
酔眼に毛氈の朱や筆始め 島村元句集
野に日ざし山に影ある筆始 辻桃子
金屏や賢き妹が筆始 会津八一
鉄つくる固き指もて筆始 沢一三
雪置きて山高く見ゆ筆始 秋山幹生
零といふ字を書初めにして父は 皆吉司
いはねども色に吉書の花桜 常春 元禄百人一句
しづり雪吉書の筆に応へけり 増田龍雨 龍雨句集
一の字に力入れたる吉書かな 池上浩山人
一休のこはざれ歌の吉書かな 浜田波静
一字なほにじみひろごる試筆かな 皆吉爽雨
二紙三紙いよゝ書き劣る試筆かな 志田素琴
伝貫之高野切なる吉書かな 立花杢公
住み佗びて昔ながらの試筆かな 青峰集 島田青峰
八十歳吉書の朱筆入るるかな 岡部しのぶ
半歌仙独吟したる試筆かな 茨木和生 往馬
吉書ながら世の消息のせはしなき 服部嵐雪
吉書也天下の世継物がたり 井原西鶴
命毛ながし末子に与ふ吉書の筆 北野民夫
山荘客を見すして大臣の試筆哉 尾崎紅葉
師に侍して吉書の墨をすりにけり 杉田久女
旧正の吉書のれんや華僑街 下村ひろし 西陲集
書賃のみかんみい~吉書哉 一茶 ■文政二年己卯(五十七歳)
水仙や試筆のあとの緋毛氈 より入
沖荒の見ゆる二階に試筆かな 茨木和生 倭
渇筆を絶え絶えと継ぐ吉書かな 大石悦子 百花
画仙紙の天地はかりて試筆かな 富田潮児
痩金体気どりの被奴も試筆すや 高山れおな
硯の海闊く一家の吉書かな 露月句集 石井露月
筆ひぢて結びし文字の吉書哉 宗鑑
粋と書き酔と書きたる吉書かな 星野紗一
綾瀬あり試筆の筆を洗ふなる 木村蕪城 寒泉
落字して老いの吉書のめでたけれ 池上浩山人
蜑が子の吉書の文字も千代の春 松藤夏山 夏山句集
試筆する二日の友に来りけり 五十嵐播水 播水句集
酔筆と人は見るらむ吉書かな 相生垣瓜人

芭蕉に「大津繪に筆の始めは何仏」の句あれば
購へり筆の始めの追分繪 高澤良一 燕音


書初 補遺

おほわだは闇なほ解かず吉書揚 岡本眸
たまきはるいのちのいの字筆始 上田五千石 琥珀
ま しろなる筆の命毛初硯 富安風生
まづしづく落ちて大書や筆始 森澄雄
まほろばの鵄よと吉書揚げにけり 阿波野青畝
みづいろの海の朝来る吉書揚 岡本眸
わが吉書平成元年かじかむな 阿波野青畝
クレヨンをもてをさならが筆始め 石塚友二 光塵
一といふ字三といふ字の筆始め 高野素十
一といふ字人といふ字や筆始め 高野素十
一の字のかすれかぐはし筆始め 鷹羽狩行
一枚だに紐漉かず来てや筆始 三橋敏雄
一波に消ゆる書初め砂浜に 西東三鬼
九と刎ね一と引きすゑ試筆かな 富安風生
任せけり吉書の筆のたはるるに 相生垣瓜人 負暄
初硯日向を少し片づけて 星野麥丘人 2005年
句案じて海山があり初硯 森澄雄
吉書揚げひらひら春の字がとんで 阿波野青畝
吉書揚天の真闇へゆきしもの 飴山實 句集外
吉書揚役の行者が煽るなり 阿波野青畝
吉書揚金冬心に似し習字 阿波野青畝
吉書翁白の帯地を展べにけり 阿波野青畝
命毛の仄々しくも筆始め 相生垣瓜人 明治草
和を以て貴しと筆始めけり 阿波野青畝
壽と書かむ又書かざらむ筆始 相生垣瓜人 負暄
大西洞老杭水巌初硯 飴山實 次の花
履歴書の七枚を書初にせり 日野草城
山の夜のしん~として吉書揚 飴山實 句集外
師に侍して吉書の墨をすりにけり 杉田久女
年玉に上の字を書く試筆哉 正岡子規 年玉
年玉や上の一字を筆はじめ 正岡子規 書初
庵主の禿筆を噛む試筆かな 村上鬼城
弘法は何と書きしぞ筆始 正岡子規 書初
惜しからず吉書に焼きて無一物 平畑静塔
戀の字の糸のもつるる試筆かな 鷹羽狩行
指うるはしきよごれや筆始め 鷹羽狩行
摺墨と媾(あ)ふ肌匂ひ初硯 富安風生
文鎮の脱兎のかたち筆始め 鷹羽狩行
日のさして試筆のなかに横文字も 赤尾兜子 玄玄
書債はたすこころかなしや初硯 山口青邨
書初に且つ読初に良寛詩 上田五千石 天路
書初に鶴の歌書く檀紙哉 正岡子規 書初
書初のための右馬左馬 後藤比奈夫
書初のつたなきをはぢらはずけり 日野草城
書初の今年も拙かりけるよ 正岡子規 書初
書初の墨を磨らんとして熄みぬ 石田波郷
書初の平和の二文字忘れざれ 石塚友二 光塵
書初の弱筆はすぐなげうちぬ 石田波郷
書初の春風万里吾子五年 高田風人子
書初の筆の力の余りけり 稲畑汀子
書初の筆を鎮めて納めけり 稲畑汀子
書初の筆硯拝借 女房殿 伊丹三樹彦
書初の龍は愈々翔たむとす 有馬朗人 非稀
書初めのあさきゆめみしゑひもせす 高野素十
書初めのうゐのおくやまけふこえて 高野素十
書初めを明日に筆の穂の尖り 鷹羽狩行
書初めを褒めて塾の子送り出す 鷹羽狩行
書初やうるしの如き大硯 杉田久女
書初やこの一墨の長齢 百合山羽公 樂土
書初や一点一画方正に 上村占魚
書初や七つ伊呂波を今年また 上村占魚
書初や尊円親王の流を汲む 正岡子規 書初
書初や旅人が詠める酒の歌 上村占魚 鮎
書初や羽子に負けたる君が顔 正岡子規 書初
書初や草の庵の紅唐紙 飯田蛇笏 山廬集
書初や髪の小旗の日のしるし 正岡子規 書初
横書に心の小窓筆始 後藤比奈夫
洛陽の紙の価や筆始 内藤鳴雪
海よりも陸のかがやき初硯 鷹羽狩行
滴らす水蒼かりし初硯 能村登四郎
白桃の水滴かたへ初硯 岡井省二 猩々
砂文学に書初もする乞食かな 内藤鳴雪
磨る墨の金粉浮きて初硯 鷹羽狩行
空海と決めある筆や筆始 後藤比奈夫
立札や法三章の筆始 正岡子規 書初
端渓もは歙硯(きふけん)もあり筆始 森澄雄
筆始め戲れ絵ざつとぞ描きける 相生垣瓜人 明治草
綾瀬あり試筆の筆を洗ふなる 木村蕪城 寒泉
美しき名のわが妻の書初めよ 鷹羽狩行
聖徳を頌する文や筆始 正岡子規 書初
胸張つて書初へ身を臥せにける 中村草田男
腰浮かし試筆くたびれ易きかな 阿波野青畝
花吹書初めの一瓣二瓣かな 三橋敏雄
華墨得て筆紙憾めり筆始め 石塚友二 光塵
雅仙紙や試筆の墨の飛ばば飛べ 阿波野青畝
雙池硯といふなり書初の硯なり 水原秋櫻子 蘆雁
青墨をおろしてやめり初硯 上田五千石『天路』補遺
青楼に酔ひて其角が試筆かな 内藤鳴雪
顔施とふよき言の葉や初硯 富安風生

以上

by 575fudemakase | 2017-03-19 04:52 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fudemaka57.exblog.jp/tb/26728212
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。