2017年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句


予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号


4彩保つ冬薔薇有りて淋しからず
11藁苞の小粒納豆春を呼ぶ
16鳥帰る針葉樹林映す湖
18流感の一夜ラジオを友として
20二面石二面泣き顔寒の雨
22染付展吹墨の鶴冴え冴えと
28復興へ鱶鰭(ふかひれ)干し場活気湧く
30大根と葱買ひ河津桜狩り
38林泉の浮島めぐる鴛鴦の沓
41煮凝りに添えて木曽路の檜箸
47ひと握り多く鬼門へ豆撒きぬ
51掬いとる生湯葉ぬくし外は雪
53笹鳴のお清めを待つ百足注連  白山神社
55紅さされ雛の息づく雪催ひ
56金継ぎの色絵双鳥寒開くる
60受験子の小さき寝顔に声をかけ
72下宿屋と今も言はれて柊挿す
74春光の滝降臨の水柱
78春立ちぬ固き結び目解くやうに
86鷽替えて亀戸大根提げ帰る
89目借時文机のほか当てどなし
90山笑ふ新幹線に貫かれ
95炬燵寝の果ての熟睡でありしかな
102雪しんしん父母亡きことを今さらに
103花菜飯なんと盛りよき海女の茶屋
106寒鯉の身を細くして沈みをり
112看取らるるまでは看取りて大石忌
113牡丹雪積るつもりはなかりけり
115待春や振り子時計の遅れ癖
117訥弁になりし留守電寒の入
118福音の知らせのやうに日脚伸ぶ
119鬼の豆散らかる中に玩具かな
124寒鴉ホーム短き無人駅
128磐座に喰ひ入る寒の椎の幹
132聖歌隊君は右から三番目
134古伊万里の布袋を眼福小正月
138松明の煙の匂ふ節分会
141起き抜けの水に身震ひ春立てり
143つれづれの試着に落とす紙懐炉
144お下がりの頃の話をつくしんぼ
149かたかごの吉祥天女飛ぶさまに
153雪垂る音のとり巻く浮御堂
155起き抜けに春立つ子らの笑声
157鴨の陣風に解れて風に組む
164ゆつくりと色を楽しむ木の芽和
165春障子ひとりとなりて久しけれ
166しらじらとポーチの糞は寒雀
168紐育よりテレビ電話の寒見舞
171土筆摘みつ水門までの土手歩き
173禅林にかつと日の射す青木の実
177深海魚やたら出回り冴返る
178太鼓橋ふたつ抱えて山眠る
184喪に閉じし窓そのままに北塞ぐ
190神苑の敷き藁厚く牡丹の芽
192万華鏡めき風花のひとしきり
194磐座に掛かりし幣に春の日矢
195老いてなお炬燵の中の陣地取り
196近江富士おぼろに据えて湖暮るる
197稜線を越え来る木霊春立てり
199菓子いろいろ置かれ春待つ水子仏
200雛店のシアトル宛の発送荷

以上

後評(2017・2)


38林泉の浮島めぐる鴛鴦の沓
「林泉」「浮島」「鴛鴦」等と並べられると絵巻だとか
大和絵だとかを想像して仕舞う。雅な色合い、構図を思い浮かべるのである。

78春立ちぬ固き結び目解くやうに
凍てが解ける の内の 「解ける」を「紐の結び目が解ける」に換骨奪胎した。


86鷽替えて亀戸大根提げ帰る
作者が主婦ということを大っぴらに持ち出して詠ったところに
共感。市民感覚が横溢している。

128磐座に喰ひ入る寒の椎の幹
樹木とコンクリート、樹木と金属、樹木と岩石の相克するさまを折々目に
することがある。例えば、樹木の幹に針金を巻きつけて置くと数年後には
樹皮がそれを呑み込んで仕舞う。樹皮は軟体生物のようなもの。
樹木は逞しい。岩手の石割り桜を思い出した。

138松明の煙の匂ふ節分会
「煙の匂ふ」に鄙びた感じが宿る。野趣あふれる一句。
チマチマした節分会に終わっていない。

153雪垂る音のとり巻く浮御堂
「とり巻く」の措辞がうまい。それに「浮御堂」の「浮」の一漢字が効いている。
春先に向かうウキウキ感に繋がるのである。

165春障子ひとりとなりて久しけれ
句柄に余裕がある。確か小説に余裕派というのがあった。漱石だったか?
何事にも余裕のあるのが佳い。

177深海魚やたら出回り冴返る
皆さんは金目鯛が深海魚であることをご存知ですか?
あろうことか、水産資源が枯渇して深海魚の金目まで網に
掛けるようになった。もうジリ貧である。(金目漁は、金目が朝方、深海から浮上して
来る性質を狙って捕獲する漁だという)
中国では内陸部の人間までが魚を食うようになった。仲買で中国に競り負ける事態と
なっている。魚好きの私としては慨嘆の日々である。

197稜線を越え来る木霊春立てり
「稜線」「木霊」「春立つ」等変哲のない用語を三つ並べただけだが、それでも匂ってくる季感
がある。

200雛店のシアトル宛の発送荷
日本人も海外に頻繁に出向く時代となった。一時的にしろ、永住にしろ、海外は
もう身近だ。そでも古い人間には、海外は ヤレ一入の感がある。
by 575fudemakase | 2017-03-26 09:19 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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