寒燈 の俳句

寒燈 の俳句

寒燈

例句を挙げる。

あるときは寒燈を神のごとまぶしむ 斎藤空華 空華句集
こときれし母在しけり寒灯下 上崎暮潮
すぐ冷える独りの食事寒燈 永森とみ子
またたかぬ寒燈川に映るは揺れ 福田蓼汀 秋風挽歌
まとまらぬ引導の偈や寒灯 森永杉洞
みじろげば哀しみ兆す寒灯 鷲谷七菜子 黄炎
やもめなる人子に仕へ寒灯 阿部みどり女 笹鳴
わがための寒灯なれば枕に寄せ 秋庭俊彦 果樹
わが影を揺らす寒灯いづくにか 中戸川朝人 星辰
わが汽笛一寒燈を呼びて過ぐ 西東三鬼
一つづつ寒灯を持つ狐塚 小泉八重子
一寒燈ありすさまじく引潮す 大野林火
一寒燈おのが柱を照らすのみ 香西照雄 対話
一寒燈主客を照らす片面づゝ 中村草田男
一点に寒燈の艶お六櫛 下田稔
一面に暗き天井寒燈 高濱年尾 年尾句集
二行書き一行消すや寒灯下 高浜虚子
信じたし寒燈に諸手ぬくめ佇つ 岩田昌寿 地の塩
占ひの灯も寒灯といふべしや 吉田未灰
呼ぶ声は自分に聞こえ寒灯下 池田澄子 たましいの話
回転扉寒燈散らし落着きぬ 河野南畦 『花と流氷』
在はすやと訪ひて戸ぼその寒灯 田畑美穂女
城囲み寒燈ひしとかたまれる 福田蓼汀 山火
夜を遡る船あり寒燈ひとつ吊り 福田蓼汀 秋風挽歌
夜明け遠し寒灯を振り汽缶車呼ぶ 鈴木六林男 第三突堤
大榾の寝返り打てる火の粉かな 徳永寒灯
妻と祈る寒灯くらき下にして 成瀬桜桃子 風色
妻をらぬ妻の高さの寒灯けす 石原 透
子がかへり一寒燈の座が満ちぬ 加藤秋邨 火の記憶
子が泣けば父が飯炊く寒燈 石橋秀野
寒灯にカチリと鍵の合ひし音 毛塚静枝
寒灯に一つおかれし柩かな 青木節子
寒灯に寝顔曝して島離る 津田清子
寒灯に母と子供のうなじかな 中村汀女
寒灯に黄しき貌の並びけり 小寺正三
寒灯のひとつひとつに家あらん 福田蓼汀
寒灯のまた一つ消え過疎すすむ 山下美典
寒灯の一つ一つよ国敗れ 西東三鬼
寒灯の奥の神の座暗かりし 鈴木 灰山子
寒灯の洩れゐるそこに日本海 大倉文笛
寒灯の角いくつかや師を見舞ふ 玉置 仙蒋
寒灯は待つためのもの赤い箸 対馬康子 純情
寒灯や吾を見守るものに吾 上田五千石 風景
寒灯や快きまで世に背き 深川正一郎
寒灯や抜いて貰いし指の刺 富田潮児
寒灯や蹠に草鞋履かせ了へ 小林康治 四季貧窮
寒灯や身に古る月日あきらかに 西島麦南
寒灯や陶は磁よりもあたゝかく 日野草城
寒灯より紐下がりいる人の世や 寺井谷子
寒灯を消したるあとに見ゆるもの 森川和江
寒灯一人となりてさとき耳 阿部みどり女 『微風』
寒灯下己れ宥さぬ花を抜く 朝倉和江
寒灯下手術にゆきし兵の床 横山白虹
寒灯下明暗もなき思惟かな 高浜虚子
寒灯下面テもあげず沈金師 伊藤柏翠
寒灯掲げて鞆の泊り船 高濱年尾 年尾句集
寒灯消し病室に夜が又 藤木和子
寒燈が照らせる葱に子を待てり 細見綾子 黄 炎
寒燈といひたけれどもやゝ艶に 久保田万太郎 草の丈
寒燈といへどラジオを点すのみ 永井龍男
寒燈といへど温き灯旅人に 柴田白葉女 花寂び 以後
寒燈にこの頃親し古俳諧 赤星水竹居
寒燈にこもり居の髪ほほけたる 柴田白葉女 遠い橋
寒燈にしろき胸板盗汗拭く 中尾白雨 中尾白雨句集
寒燈になきがらを守り刻を惜しむ 上村占魚 球磨
寒燈にひとり寝る塵たちにけり 中村草田男
寒燈にも蟲の如きが来りけり 相生垣瓜人(1898-1985)
寒燈にやがては帰りゆく友か 下村槐太 天涯
寒燈に寝顔曝して島離る 津田清子 二人称
寒燈に影みじろがぬ子を目守る 西島麥南
寒燈に揃へておかな母の足袋 萩原麦草 麦嵐
寒燈に散る喪帰りの浄め塩 野澤節子 牡 丹
寒燈に柱も細る思ひかな 高浜虚子
寒燈に海鳴りのみを聴くものか 沢木欣一
寒燈に禁断の髪晒しけむ 林原耒井 蜩
寒燈に近づけ息の太さ欲る 村越化石 山國抄
寒燈に遠き水なり飲みをれり 相生垣瓜人 微茫集
寒燈のごとく身じろぎせざりけり 久保田万太郎 流寓抄
寒燈のひとつは母の常夜燈 山崎千枝子
寒燈のわれ縛さんとするに耐ゆ 野澤節子 黄 瀬
寒燈の一つ一つよ国破れ 西東三鬼
寒燈の下に今在りとぞ思ふ 後藤夜半 底紅
寒燈の下や俳魔の影もなし 河東碧梧桐
寒燈の大平野はしからほどく 大口元通
寒燈の撃てるものなら撃ちてみよ 佐々木六戈 百韻反故 初學
寒燈の消えて蛇伸闇に落つ 星野立子
寒燈や 慄然として仏の手 富澤赤黄男
寒燈やかりそめ言に泣きし妻 吉武月二郎句集
寒燈やひもときゆけばはたと祖意 野島無量子
寒燈やわれに少しの技術の書 田村了咲
寒燈やわれ蓬髪の影とつながる 篠原梵
寒燈やホ句のまことのひとすぢに 西島麥南 金剛纂
寒燈や外の霰をきゝすます 西山泊雲 泊雲句集
寒燈や常は使はぬ部屋といふ 星野立子
寒燈や書架にあまりて馬学の書 田村了咲
寒燈や松江大橋雪降るらむ 林原耒井 蜩
寒燈や残る体温掌に惜しむ 柴田白葉女 遠い橋
寒燈や親しみうすき柱照る 清原枴童 枴童句集
寒燈や誰が欠けても傾く家 磯貝碧蹄館 握手
寒燈や身に古る月日あきらかに 西島麦南 人音
寒燈や辞書のみ厚く乏しき書 田村了咲
寒燈や面影も似る文字も似る 中村汀女
寒燈をいくつも灯しみな暗し 星野立子
寒燈をつり古る妻の起居かな 飯田蛇笏 山廬集
寒燈をまた暗めては霧笛鳴る 古賀まり子 緑の野以後
寒燈をめぐらせ琵琶湖大いなる 山口誓子 大洋
寒燈を十指にあつめ貝を割く 磯貝碧蹄館 握手
寒燈を当つ神将の咽喉ぼとけ 橋本多佳子
寒燈を暗しと言へば美しと言ふ 齋藤玄 『雁道』
寒燈を消すとき母につながれり 村越化石
寒燈を遮蔽して紙上ペン涸れず 渡邊水巴 富士
山かけて寒燈乏しひとつしるべ 福田蓼汀 秋風挽歌
引き寄するもののことごと寒灯下 石田勝彦 秋興
手相見の銀座の隅の寒灯 村松五灰子
星こぼれ墜つ野寒灯まじり得ず 豊田都峰
書きて消す手紙一節寒灯下 岸風三楼 往来
書架に書はなき寒燈に膝そろヘ 磯貝碧蹄館 握手
東京の暮しに帰る子に吹雪く 徳永寒灯
枕木に一寒燈が照らせる場 沢木欣一 雪白
消さで置く寒燈のもと薔薇一輪 目迫秩父
湯ざめせし貌寒灯の下過ぐる 桂信子 黄 炎
病む六人一寒燈を消すとき来 石田波郷(1913-69)
笠無くや寒燈とりとめなく鋭し 篠原梵
落葉寒灯がはつきりと點いてきぬ 八木林之介 青霞集
造船所寒燈も酸素の火も裸 西東三鬼
酔眼の一寒燈を家路にす 石川桂郎 含羞
野に遠くとも寒燈の力あり 奥田智久
雉もめば雉に寒燈のぼりくる 北光星
電柱うす暗し寒燈俯くに 小川双々子
頭蓋のくらやみ 手に 寒燈をぶらさげて 富澤赤黄男
魚の腸手掴みに出す寒灯下 木村里風子
黒松の一幹迫る寒灯下 森澄雄(1919-)
冬の夜の灯のおちつきにひそむ魔か 久保田万太郎 流寓抄
冬の夜の灯のなまめきて来りけり 久保田万太郎 草の丈
冬の夜の灯二つ見えて茶屋二軒 佐藤生巣
冬の星暗し山の灯真赤なり 阿部みどり女
冬の水もて仏塔の燈に応ふ 古舘曹人 能登の蛙
冬の水暮れては流す都電の灯 石塚友二 光塵
冬の灯が一つぽつんと子授神 横山白虹
冬の灯に子達を追うて寝かしけり 阿部みどり女 笹鳴
冬の灯に溺るるばかり書ける文 柴田白葉女
冬の灯に花鳥色濃き襖かな 橋本鶏二 年輪
冬の灯に蟲遊ぶ見る恙かな 富田木歩
冬の灯のいきなりつきしあかるさよ 久保田万太郎(1889-1963)
冬の灯のなほはろかなる灯を生めり 米沢吾亦紅 童顔
冬の灯のゆらぐ藍染夢は夏ヘ 加藤知世子 花寂び
冬の灯の死角にいつも死蔵の書 林翔 和紙
冬の灯の浅草のどの道来しや 中村汀女
冬の灯やまつげにかゝる茶のけぶり 金尾梅の門 古志の歌
冬の灯や激して吃る妻なりし 長谷川零余子
冬の灯母居る如く家照らす 浅倉君子
冬の燈に寝るまでの顔かがやかす 野澤節子 黄 瀬
冬の燈の明るき下に寝し児かな 高橋淡路女 梶の葉
冬の燈や泣くとにあらずうづくまり 木下夕爾
切粉の句も出て冬の灯の君は旋盤工 栗林一石路
地上では旅人なりと冬の灯消す 田川飛旅子 『山法師』
壷白くインクは冬の灯を吸へる 富澤赤黄男
大阪の冬の灯ともる頃へ出る 後藤夜半
夫の燈妻の燈いろを頒てる冬の雨 柴田白葉女 雨 月
崖下に冬の灯が満ち司祭の餉 友岡子郷 遠方
思ひ来し湖北の灯なし冬の雨 五十嵐播水
浅草の灯のつぶらなる冬の潮 大木あまり 火球
漁火は冬の祭の夜店の灯 中拓夫
片方の縫ひあげし靴冬の燈消す 中山純子 茜
病棟の灯に遠ざかる冬の道 松村蒼石 寒鶯抄
神在すや在さずと冬の灯にわめく 柴田白葉女 遠い橋
街の灯に一重の冬の霞かな 京極杞陽 くくたち下巻
通夜の灯や嘴の如くに冬の百合 赤松[けい]子 白毫
くすだまの妙にも白き冬灯かな 西島麦南 人音
さくら湯の桜のひらく冬燈 猪俣千代子 堆 朱
じつとせず駅長のもつ冬燈の輪 田川飛旅子 花文字
まだ見えぬ乳のみ子につけ冬灯 島田一歩
ものを書く硯の海に冬灯 真下喜太郎
わが影の二つありたる冬灯 倉田 紘文
わびしくて遂に消すなる冬灯 京極杞陽 くくたち下巻
イコン売る間口は狭し冬灯 水田むつみ
カルテにも終章のあり冬灯 橋本喜夫
サーカスのテントまるごと冬灯 岩淵喜代子 硝子の仲間
中年のわが貌曝す冬灯 柴田白葉女
伏目に冬灯やがて濃くなり果舗の前 香西照雄 対話
冬灯うるむと見しは身の疲れ 稲垣きくの 牡 丹
冬灯ともせば言葉灯りけり 佐土井智津子
冬灯に透きて女濡れたる石のごと 伊東余志子
冬灯二つ一つと消えて山 坊城俊樹
冬灯人のこころを見まもりぬ 富安風生
冬灯夜に目覚めるものたちと 二村典子
冬灯姫路の駅にともり初め 吉屋信子
冬灯愛語としもや跡切れがち 稲垣きくの 黄 瀬
冬灯死は容顔にとほからず 飯田蛇笏 春蘭
冬灯消し憎きをとこに会ひにゆく 長谷川双魚 風形
冬灯消すしぐさは妻の手にも似て 谷口桂子
冬灯白樺の担架いま着きぬ 小池文子 巴里蕭条
冬灯蝶々飛び出すマッチ箱 二村典子
冬灯蟹の甲羅はキチン質 高澤良一 さざなみやっこ
冬灯蹴つ飛ばし吾子生れけり 上野泰 佐介
冬燈灰皿にある世紀末 藤田弥生
加賀友禅えがく百花や冬灯 楠 久子
十指の爪ひそかに冬灯をひとつづつ 野澤節子 黄 炎
十畳に少し暗しや冬灯 上野泰 佐介
問ひかけてひとりに気付く冬灯 品田淙竹
夕刊に世相険しや冬灯 吉屋信子
夕湿める田廬の冬灯満ち足りぬ 飯田蛇笏 霊芝
妻に貸す老眼鏡や冬灯 春山他石
嫁ぎゆく蛾のものばかり冬灯 鈴木真砂女
子の重荷負うてはやれぬ冬灯 西村和子 かりそめならず
峡住みの言葉置くごと冬灯 有馬籌子
巧言令色鮮仁矣冬灯 稲垣きくの 黄 瀬
幸福感真白き卓布冬灯に垂れ 桂信子
心ひかるる仕立屋の冬灯 西村和子 夏帽子
戸袋より塩もの冬灯の中に客 飴山實 『おりいぶ』
母と寝て畳あまさず冬燈 館岡沙緻
泊船の一つ緑に冬灯 高澤良一 素抱
炉の上に吊りて動きし冬灯かな 長谷川かな女 雨 月
熱き掌を撫でて冬灯の暗きなか 阿部みどり女
熱の子らに十六燭てう冬灯ともる 古沢太穂 古沢太穂句集
父旅にある夜は冬灯ふくらみおる 寺田京子 日の鷹
王冠のごとくに首都の冬灯 阿波野青畝
琴覆赤きがかなし冬灯 五十嵐播水 埠頭
皿ならぶ夫の空席冬燈の圏 柴田白葉女 遠い橋
看護帽寄せ合うて食う冬灯の下 赤城さかえ
禁煙の良人あはれや冬灯 三汀せん 吉屋信子
糸さすとき冬燈のもとへ母は佇つ 宮坂静生 青胡桃
綺羅星を地に覆へす冬灯 富安風生
美容室もつとも冬灯飼い馴らす 寺田京子 日の鷹
臥して見る冬燈のひくさここは我家 橋本多佳子
花聟あばかれ酒杯に冬灯溢るるよ 赤城さかえ句集
若者の居る明るさの冬灯 稲畑汀子
銀屏に魍魎あそぶ冬燈 富安風生
銀無垢の茶托の翳り冬灯 中村汀女
飯すめば病母につどふ冬灯 五十嵐播水 播水句集
ゆめを見て泣く子に寒の燈をともす 篠原梵 雨
仏五十守り三寒の灯を消しぬ 影島智子
寒の雨楽堂の灯を明うせよ 柴田白葉女 『冬泉』
独りでに点く冬街灯(ふゆともし)世は進み 高澤良一 石鏡

寒燈 補遺

くすだまの妙にも白き冬灯かな 西島麥南 金剛纂
ケーブルの灯の尾つらなり冬の山 石橋秀野
こゝもビル建つ寒燈の工事照らし 右城暮石 句集外 昭和三十一年
サーカスに白馬が居り冬灯 中村汀女
しろ~とつれなき壁や冬の灯に 日野草城
だんまりの句作りに入る冬燈 上田五千石『琥珀』補遺
はらからの寡黙饒舌冬燈 佐藤鬼房
またたかぬ寒燈川に映るは揺れ 福田蓼汀 秋風挽歌
みじろげば哀しみ兆す寒燈 鷲谷七菜子 黄炎
わが汽笛一寒燈を呼びて過ぐ 西東三鬼
わが起てば影法師も起つ冬燈 富安風生
わが才を疑ふ夜々の寒灯 橋閒石 雪
愛怨を襲ぎ来し瞼寒燈下「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
或る家の寒燈が戸にせばめられ 山口誓子
一寒灯閻魔の影を大きくす 有馬朗人 知命
一寒燈ありすさまじく引潮す 大野林火 青水輪 昭和二十四年
一寒燈おのが柱を照らすのみ 香西照雄 対話
引き寄するもののことごと寒灯下 石田勝彦 秋興
雨の中帰す寒燈に見えて消ゆ 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
王冠のごとくに首都の冬灯 阿波野青畝
嫁ぎゆく娘のものばかり冬灯 鈴木真砂女 卯浪
貨車ゆきぬ地上寒燈青きゆゑ 山口誓子
臥して見る冬燈のひくさここは我家 橋本多佳子
海へ洩る寒燈海から誰も見ず 山口誓子
街かどの寒燈地下に必ずBAR 伊丹三樹彦
笠無くや寒燈とりとめなく鋭し 篠原梵 年々去来の花 皿
寒灯にわがいそしめる手くらがり 星野立子
寒灯に寝顔曝して島離る 津田清子
寒灯のいつもただ一つただ高く 山口青邨
寒灯のかたまるところ門司と呼ぶ 鷹羽狩行
寒灯のわれ縛さんとするに耐ゆ 野澤節子 未明音
寒灯の数辛うじて松前町 岡本眸
寒灯の大和を苺どころとす 阿波野青畝
寒灯は粛然柳の糸の中 山口青邨
寒灯やコーヒー熱き欠茶碗 日野草城
寒灯やたしかに己が独り言 鈴木真砂女 卯浪
寒灯や試験近づく広机 日野草城
寒灯や土あがるたび穴深まる 岡本眸
寒灯や陶は磁よりもあたゝかく 日野草城
寒灯や蹠に草鞋履かせ了へ 小林康治 四季貧窮
寒灯を点けて島とも岬とも 鷹羽狩行
寒灯下一家といふもこの五人 上野泰
寒灯下交みに弱き笑のみ「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
寒灯下先師おはせし髭白く 山口青邨
寒燈が暗し泊船かと思ふ 山口誓子
寒燈が照らせる葱に子を待てり 細見綾子
寒燈になきがらを守り刻を惜しむ 上村占魚 球磨
寒燈にひとり寝る塵たちにけり 中村草田男
寒燈にも虫の如きが来りけり 相生垣瓜人 微茫集
寒燈にやがては帰りゆく友か 下村槐太 天涯
寒燈に遠き水なり飲みをれり 相生垣瓜人 微茫集
寒燈に詩のごとき眼のため泪 飯田蛇笏 家郷の霧
寒燈に身を遠ざかる女人の香 飯田蛇笏 家郷の霧
寒燈に千葉の生き貝塩でもむ 細見綾子
寒燈に働く影の頭ばかり 右城暮石 句集外 昭和二十九年
寒燈に眉いきいきと吾妹なり 伊丹三樹彦
寒燈に氷菓を欲るや恋知りて 三橋鷹女
寒燈に寐静まりたる扉ならぶ 篠原梵 年々去来の花 皿
寒燈のあまりに近き顔の隈 能村登四郎
寒燈のきらめくはわが住める町 稲畑汀子
寒燈のゆらぎ静まる時あらず 橋閒石 朱明
寒燈の一つ一つよ国敗れ 西東三鬼
寒燈の下に今在りとぞ思ふ 後藤夜半 底紅
寒燈の下や俳魔の影もなし 河東碧梧桐
寒燈の街にわが影獄を出づ 秋元不死男
寒燈の環にゐ棄猫身を舐むる 加藤秋邨
寒燈の数のいよ~御命日 高野素十
寒燈の吊紐黄なる地震の家 岡本眸
寒燈の届く灯影に病み伏して 星野立子
寒燈まで沖は十里を距つべし 山口誓子
寒燈もすぐに消したる身一つに 中村汀女
寒燈も襖のわれ等が影も身近か 中村草田男
寒燈や 慄然として 佛の手 富澤赤黄男
寒燈やホ句のまことのひとすぢに 西島麥南 金剛纂
寒燈やわれ蓬髪の影とつながる 篠原梵 年々去来の花 皿
寒燈や机邊すぎゆく地震一つ 村山故郷
寒燈や吾を見守るものに吾 上田五千石 風景
寒燈や常は使はぬ部屋といふ 星野立子
寒燈や寝し人は皆壁に向き 星野立子
寒燈や身に古る月日あきらかに 西島麦南 人音
寒燈や誰の世話にもならぬこと 星野立子
寒燈や又も易きに傾きて 星野立子
寒燈や面影も似る文字も似る 中村汀女
寒燈をつゆもこぼさず崖住ひ 鷲谷七菜子 花寂び
寒燈をつり古る妻の起居かな 飯田蛇笏 山廬集
寒燈をひきさげ中共南下の地図 加藤秋邨
寒燈をめぐらせ琵琶湖大いなる 山口誓子
寒燈を暗しと言へば美しと言ふ 斎藤玄 雁道
寒燈を仰ぎ考へ伏して書く 星野立子
寒燈を左右へ離れて妻帰す 石田波郷
寒燈を遮蔽して紙上ペン涸れず 渡邊水巴 富士
寒燈を消し滅亡に駅眠る 西東三鬼
寒燈を消せば うつうつ悪血のなげき 富澤赤黄男
寒燈を身より洩らして物書く妻 山口誓子
寒燈を当つ神将の咽喉ぼとけ 橋本多佳子
寒燈下嘘しらじらと残し去りき 大野林火 早桃 太白集
寒燈下女王の鏡まさに見よ 角川源義
寒燈下心移りて時過ぐる 木村蕪城 一位
寒燈三つ四つ 猫が掠めただけの漁村 伊丹三樹彦
寒燈髪一筋の影も置く 中村汀女
寒燈明滅小僧すよすよと寐入りけり 正岡子規 寒燈
岸に点く寒燈湖を縁どれる 山口誓子
眼患者シネマの冬燈浴び行けり 飯田蛇笏 山響集
寄り添うてこけしも夫婦冬灯 高田風人子
牛歩み去り寒灯に糞のこす 桂信子 月光抄
謹みて一寒灯を奉る 高野素十
銀屏に魍魎あそぶ冬燈 富安風生
句短冊切ればさだまる冬灯かな 中村汀女
見つつ寒き原爆図後に冬灯ともる 加藤秋邨
見守れば寒燈も亦見守りぬ 富安風生
戸袋より塩もの冬灯の中に客 飴山實 おりいぶ
考への矢の飛び交し寒灯下 上野泰
考へを断つ寒燈下過ぐるたび 岡本眸
行人に寒燈まざまざと把手(ノブ)をのみ 中村草田男
国旗の玉の残光機影に早や冬灯 中村草田男
黒松の一幹迫る寒燈下 森澄雄
三十人唱ふ冬灯と吾を囲み 中村草田男
山かけて寒燈乏しひとつしるべ 福田蓼汀 秋風挽歌
子がかへり一寒燈の座が満ちぬ 加藤秋邨
子が泣けば父が飯炊く寒燈 石橋秀野
死に即きてその寒燈も外さるる 斎藤玄 狩眼
耳鼻科の灯路上に歴矣と冬の石 野澤節子 未明音
十畳に少し暗しや冬灯 上野泰 佐介
渋民さらばしばたゝく寒燈よ 上田五千石『田園』補遺
出帆の銅鑼に色めく冬灯かな 日野草城
女車掌おとがひ上げぬ冬灯に呼び 中村草田男
昭和また一つ老いたり寒燈 藤田湘子
焼跡に寒燈の尾の短かしや 松崎鉄之介
硝子戸に寒燈うつり講義つづく 大野林火 早桃 太白集
城囲み寒燈ひしとかたまれる 福田蓼汀 山火
寝し汽車に寒燈点けてわが一郭 山口誓子
新居二階冬灯幾度も消しては点け 松崎鉄之介
諏訪族のいまもこぞりて冬灯 山口青邨
酔眼の一寒燈を家路にす 石川桂郎 含羞
精養軒暗幕を刎ね冬灯 山口青邨
雪棺は終夜を消さず冬灯 山口青邨
船を迎へし寒燈を島が消す 山口誓子
訴ふるごとき壕舎の一寒燈 大野林火 冬雁 昭和二十一年
倉に孤り茶色の冬灯亦孤り 中村草田男
造船所寒燈も酸素の火も裸 西東三鬼
足音が失せ寒燈の圏内に 岡本眸
対岸の山の冬燈も孤ならず 上田五千石『風景』補遺
大人びし弟子のまぶしや寒燈下 角川源義
地震あとの一寒燈に夜更しす 岡本眸
店の灯にさめざめと降る冬の雨 山口青邨
塗り柱太し美し冬灯 高野素十
冬の水もて仏塔の燈に応ふ 古舘曹人 能登の蛙
冬の水暮れては流す都電の灯 石塚友二 光塵
冬の灯に寝るまでの顔かがやかす 野澤節子 未明音
冬の灯の死角にいつも死蔵の書 林翔 和紙
冬の灯の浅草のどの道来しや 中村汀女
冬の灯の爛々として寒からず 日野草城
冬の灯をはやばや点けてわがひとり 日野草城
冬の燈がさして町川走せゐたり 山口誓子
冬灯ちりばめK氏遺愛のボールペン 楠本憲吉 方壺集
冬灯ともりて飾紐を垂れ 清崎敏郎
冬灯に読む汝や母系の長睫毛 伊丹三樹彦
冬灯のいのちクリスタル・グラスの窓涙す 中村草田男
冬灯へ蜜蜂童話発想近からむ 中村草田男
冬灯遠くの町に月日あり 岡本眸
冬灯死は容顔にとほからず 飯田蛇笏 心像
冬灯蹴つ飛ばし吾子生れけり 上野泰 佐介
冬灯身に引き寄せて明るさよ 中村汀女
冬灯酔ひよろめけど人あらず 鈴木真砂女 夏帯
冬灯滲む夕餉終りし窓々なり 松崎鉄之介
冬燈もて鏤めて燈の海とせる 富安風生
冬燈人のこころを見まもりぬ 富安風生
冬燈脱衣一瞬光り鋭く 飯田蛇笏 家郷の霧
島果の部落の冬灯ヘバス落ちゆく 岸田稚魚 負け犬
踏切へ寒燈二つうつむきあふ 大野林火 青水輪 昭和二十五年
頭蓋のくらやみ 手に 寒燈をぶらさげて 富澤赤黄男
病む六人一寒燈を消すとき来 石田波郷
病棟の灯に遠ざかる冬の道 松村蒼石 寒鶯抄
父母の冬灯父母の居たしかめ寝る子あり 中村草田男
伏目に冬灯やがて濃くなり果舗の前 香西照雄 対話
覆ひたる寒燈機械にひとつづつ 大野林火 早桃 太白集
仏めく母におどろく寒燈下 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
平康里寒燈を窓に洩れしめず 山口誓子
平凡な笠をうなづき冬灯 高田風人子
岬の端寒燈のもう伸び切れぬ 秋元不死男
眠る大阪天守のみ寒燈に泛き 伊丹三樹彦
目鼻なきこけし形影冬灯 山口青邨
夜を遡る船あり寒燈ひとつ吊り 福田蓼汀 秋風挽歌
夕湿める田廬の冬灯満ち足りぬ 飯田蛇笏 霊芝
螺子削る眉に冬灯を吊りよせて 加藤秋邨
連なれる寒燈海を距つる燈 山口誓子
浚渫船それも土着の寒灯よ 鷹羽狩行
綺羅星を地に覆へす冬燈 富安風生
蜑が家の冬灯軒漏り屋根漏りて 中村草田男

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 16:03 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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