水餅 の俳句

水餅 の俳句

水餅

例句を挙げる。

くらがりに水餅の壺ふるさとは 江里昭彦
たちまちや水に沈みて水餅に 中村汀女
つくづくと淋し水餅つかむとき 竹下史郎
ど忘れや水餅のひびふやけをり 川村紫陽
一つ減りまた水餅の深くなり 山内山彦
妹のごとく水餅眠りをり 櫂未知子 蒙古斑以後
妻病めり水餅深く沈めゐて 橋本榮治 麦生
手さぐりに水餅探し女老ゆ 菖蒲あや 路 地
手を人るる水餅白し納屋の梅 夏目漱石 明治三十二年
朝月夜水餅をなほ眠らせて 村越化石 山國抄
母でなく妻でなく水餅に灯ともして きくちつねこ
母に似て水餅の水を深くせり 萩原麦草 麦嵐
母の喪の水餅の水掌にしみぬ 成瀬桜桃子 風色
母老いぬ水餅の甕のぞくとき 鈴木栄子
水餅となりて沈みて音沙汰なし 伊藤通明
水餅にかび浮き昭和遠きかな 福山良子
水餅にするほどの餅すでになし 百合山羽公 寒雁
水餅にものいふわれの知らぬ妻 鷹羽狩行 遠岸
水餅に主婦のなさけをかけ通す 山口波津女
水餅に手を浸さむとためらへり 杉山岳陽 晩婚
水餅に日月遠き思ひかな 原石鼎
水餅に然るべき手を入れにけり 菅家瑞正
水餅のいびつに見ゆる深さかな 外城恒
水餅のきびしくしみる日のなくて 高木晴子 晴居
水餅のくるりくるりと良寛忌 増成栗人
水餅のすぐふくれたるめでたさよ 深見けん二
水餅のひと夜さとなき無明かな 飴山實 『次の花』
水餅のひらひら沈み重なりぬ 小林 正夫
水餅のまはりいつもの音はじまる 桂信子 黄 瀬
水餅のやうに氷河の横たはる 高澤良一 ぱらりとせ
水餅の厭きたる水を替へにけり 徳永山冬子
水餅の呟を聞く文弱なり 清水冬視
水餅の壷の蓋とる窓明り 高浜虚子
水餅の大甍蔵の静まれる 赤羽 岳王
水餅の尽きたる甕を伏せにけり 徳永山冬子
水餅の掬ひし濁りありにけり 関戸靖子
水餅の水いきいきと主婦の日々 柴田白葉女 花寂び 以後
水餅の水くぐるとき亡母のこゑ 吉田鴻司
水餅の水たつぷりと替へて寝る 杉浦小冬
水餅の水の無精はゆるされず 福田松風子
水餅の水の重り合うてゐし 後藤比奈夫 花びら柚子
水餅の水を上りてすべる箸 重永幽林
水餅の水替ふことを今もして 細見綾子 天然の風以後
水餅の水替へる朝一番に 粟津福子
水餅の水深くなるばかりかな 阿波野青畝
水餅の消えてなくなる濁りかな 市堀玉宗
水餅の混雑しをる壺の中 高浜虚子
水餅の焦げつく春の立てりけり 久保田万太郎 流寓抄
水餅の煮えあがり愚痴洩らしけり 影島智子
水餅の甕出てわれの代も古りし 大野林火
水餅の甕置くほどの暗さあり 加倉井秋を 午後の窓
水餅の秋夜のごとき露けさや 栗生純夫 科野路
水餅の箸を逃げたる壺暗し 田畑比古
水餅の角の水より出てをりし 山崎ひさを
水餅の闇なまぐさく子が叛く 大中祥生
水餅の静まりかへりをりにけり 成瀬正俊
水餅やこころそのまま面冷ゆる 赤松[ケイ]子
水餅やさつと風入る勝手口 中拓夫 愛鷹
水餅やひとつに泛かぶ甲斐の山 鈴木太郎
水餅やひの木の中も月はさす 大峯あきら
水餅や一途に老けし母の鬢 小林康治 四季貧窮
水餅や不平不満に蓋をして 阿部美恵子
水餅や中千本によき娘をる 大峯あきら 鳥道
水餅や土あらあらと暮れにけり 桜井博道 海上
水餅や壷中の天地晦冥に 高浜虚子
水餅や死に関したる書の溜る 田川飛旅子 『山法師』
水餅や母の世よりのありどころ 今井つる女
水餅や母の応へのあるところ 山本洋子
水餅や混沌として甕の中 原石鼎
水餅や湖あをあをとさめざめと 吉田鴻司
水餅や雲ふくよかに日を裹む 鍵和田[ゆう]子 浮標
水餅をさも深きより掬ひ出す 篠田悌二郎
水餅をもてあましては独り住む 前田野生子
水餅をやく大寒のゆるみかな 小澤碧童 碧童句集
水餅を取り出すに灯は要らざりき 岡本 眸
水餅を家に海越ゆ旅に出づ 橋本鶏二
水餅を掬はむか遠き日の海戦よ 三橋敏雄 畳の上
水餅を水よりあげて音はなし 山口波津女 良人
水餅を焼きて過ぎたることを言ふ 細見綾子 黄 炎
水餅を焼くや声なき雨となり 細見綾子 黄 炎
水餅を焼く消炭のやわらかさ 萩原麦草 麦嵐
水餅を老父へ焼きをり病む身なり 清家春起
水餅を覗き亡き人吃りけり 吉本伊智朗
水餅を飼ふ山姥となる日まで 佐藤鬼房 潮海
浄らかに水餅囲ふ貧しからず 有馬籌子
産む日待つ水餅しんと眠らせて 中尾杏子
老人の掌が水餅を掴み出す 奥坂まや
肩出してゐる水餅のふと哀れ 後藤比奈夫
蒼白のキリスト水餅に触りて 小川双々子
角とれてゆく水餅をさびしめり 奈良 葉
都はあるか水餅さびしくはないか 櫂未知子 蒙古斑以後
雲の如くに水餅や甕の底 富吉堂山

水餅 補遺

いとほしきもの水餅の甕の罅 後藤比奈夫
うすらひや翳のたゞよふ水の餅 飴山實
この暗さ水餅の甕あれば置く 岡本眸
さびしくて水餅二つ三つ減らす 能村登四郎
たちまちや水に沈みて水餅に 中村汀女
ひと揺らぎして水餅の沈みけり 鷹羽狩行
寒の水餅つけてより夜のたしか 細見綾子
肩出してゐる水餅のふと哀れ 後藤比奈夫
菜が置かれあり水餅の蓋の上 岡本眸
水餅にするほどの餅すでになし 百合山羽公 寒雁
水餅にものいふわれの知らぬ妻 鷹羽狩行
水餅に寒九の水を重ねけり 百合山羽公 樂土
水餅に似る水槽の章魚の群 桂信子 草影
水餅のひと夜さとなき無明かな 飴山實
水餅の暗し暗しと嘯きぬ 後藤比奈夫
水餅の玉のごときを蔵したる 鷹羽狩行
水餅の真夜すこし殖ゆ水の嵩 能村登四郎
水餅の水にも手入れ暮らしをり 細見綾子
水餅の水に浮きたくなりし白 後藤比奈夫
水餅の水の暁闇薄暮かな 後藤比奈夫
水餅の水の重り合うてゐし 後藤比奈夫
水餅の水の濁りや冴返る 日野草城
水餅の水の濁れる濁世かな 後藤比奈夫
水餅の水ふきながら妹は 細見綾子
水餅の水索然と揺れにけり 阿波野青畝
水餅の水深くなるばかりかな 阿波野青畝
水餅の水替ふこともくらしかな 細見綾子
水餅の水薄情に見ゆる日も 後藤比奈夫
水餅の水餅らしく沈みをり 桂信子 花影
水餅の二つ三つは忘れられ 能村登四郎
水餅の甕が母胎のまるみ持つ 鷹羽狩行
水餅の甕をいだいていくさ怖れ 山口青邨
水餅の甕出てわれの代も古りし 大野林火 飛花集 昭和四十七年
水餅は水に沈みて夕明り 中村汀女
水餅もやや衰へて水を出づ 相生垣瓜人 明治草
水餅も安んぜざるを得ざるべし 相生垣瓜人 明治草
水餅も漸く水に厭きたらむ 相生垣瓜人 明治草
水餅や一途に老けし母の鬢 小林康治 四季貧窮
水餅や神饌のおもかげ既に無く 阿波野青畝
水餅や余寒の水に残りある 河東碧梧桐
水餅をまさぐりてなほ届かざる 鷹羽狩行
水餅を苛むものとせざるなり 相生垣瓜人 明治草
水餅を幾つ沈めし安堵かな 能村登四郎
水餅を掬はむか遠き日の海戦よ 三橋敏雄
水餅を魚のごとくに掴み出す 鷹羽狩行
水餅を飼ふ山姥となる日まで 佐藤鬼房
水餅を取り出すに灯は要らざりき 岡本眸
水餅を焼きて過ぎたることを言ふ 細見綾子
水餅を焼くや声なき雨となり 細見綾子
水餅を沈着く玉とぞ見むとする 相生垣瓜人 明治草
沈丁花咲くまで水餅の水替へし 細見綾子
底にまだ水餅らしきもののあり 桂信子 花影
溺愛や水くさき水餅も食べ 鷹羽狩行
病室の隅や水餅冷えまさる 石田波郷
浮き気味に減る水餅や六十春 三橋敏雄
風に夜が明け水餅の白さ増す 鷹羽狩行
風音が怖し水餅取りに来て 岡本眸
忘られてゐる水餅に似たるかな 能村登四郎
夜深食ふ水餅に老俄くる 能村登四郎
立春を過ぎ水餅の泣つ面 佐藤鬼房
甕を覗きて水餅の息に触る 鷹羽狩行

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 16:07 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

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