砧 の俳句


あかつきの砧の音もなかりけり 楠目橙黄子 橙圃
あはれまむ砧の音と聞き做して 相生垣瓜人 明治草抄
いとはるゝ身を打更けし砧かな 久保田万太郎
いねかしの男うれたき砧かな 黒柳召波 春泥句集
うきことを身一つに泣く砧かな 高橋淡路女
うき我に砧うて今は又止みね 蕪村
うき身うつと人や聞らん小夜砧 松岡青蘿
うき人に手をうたれたる砧かな 蕪村 秋之部 ■ 我則あるじゝて會催しけるに
うちそめし音三つ目なる砧かな 小杉余子 余子句選
うちまぜて遠音かちたる砧かな 飯田蛇笏 山廬集
おもひあまり恋ふる名をうつ砧かな 上島鬼貫
お屋敷でうつとおもほゆ砧かな 久保田万太郎 草の丈
がちやがちやの湧き立つ砧町を過ぐ 原田青児
かるく打つ砧の中のわらひ哉 砧 正岡子規
けい~と夜鴉渡る砧かな 内田百間
この者に砧うたせて給へかし 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
さきがけし簷端の梅や葛砧 橋本鶏二 年輪
さぞ砧孫六やしき志津屋敷 榎本其角
さむしろや月に砧の座ごしらへ 高橋淡路女 梶の葉
しづまりし女夫喧嘩や小夜砧 几董
しるしらぬ里なつかしや小夜砧 白雄
せんだんの花こぼれつぐ水砧 千代田葛彦
その音の藁砧とは知らざりし 宇佐美魚目
そば打つて生マ木砧の重たさよ 橋本多佳子
てらてらとして手に重き砧槌 下村梅子
どたばたは婆の砧と知られけり 一茶
ともし火と砧の音のほか洩れず 後藤比奈夫
ばば打てばばばの音して葛砧 熊谷伊佐緒
ひとつやのひとつ砧に月ひとつ 勘助
ひとつやの一つ砧に月ひとつ 中勘助
ひとの国にやゝ馴るゝ夜の碪かな 高井几董
ひよつこりと牛が貌出す藁砧 酒井やすじ
ふたたびの槌あがりをる砧かな 阿波野青畝
ふんどしになる白布を砧哉 砧 正岡子規
ほこほこと男が打てる藁砧 大石悦子 群萌
まつさをの藁に砧や注連作 柏崎夢香
まつ宵は三絃にうつ碪かな 信徳
みちのくの果に砧を聞く夜かな 渋亭
みづうみの夜毎の月や藁砧 中井余花朗
むつ言の枕にひゞく砧かな 尾崎紅葉
やはらぎし面輪砧の槌を置く 後藤夜半
よくきけば我家にもうつ砧かな 砧 正岡子規
よその夜に我夜後るゝ砧哉 太魯
よめ入りて餘所の砧ぞ打ちにくき 砧 正岡子規
わかれても夜のありたけは砧かな 斯波園女
わら砧暁さめやすき枕上 『定本石橋秀野句文集』
哀れしれと門もとさゝぬ砧かな 砧 正岡子規
芦の屋の灯ゆりこむ砧かな 江戸-立志 元禄百人一句
一つ家に泣聲まじる砧哉 砧 正岡子規
一村は家皆うごく砧哉 砧 正岡子規
一村は女や多き小夜碪 砧 正岡子規
一二夜は砧に紛ふ音もあれ 瓜人
雨そふて悲しさつるゝ砧かな 鳴鳳
雲飛んで砧せはしき夜となりぬ 芥川龍之介
猿引は猿の小袖を砧哉 松尾芭蕉
遠き音聞かむと砧打ちにけり 高橋かず
遠砧この川越ん橋もがな 白雄
遠景に王陵まろき水砧 原田青児
遠方の子を思ひ思ひ衣打つ 砧 正岡子規
奥笠置雪にとざされ葛砧 橋本鶏二
王宮の裡に打ち出し砧かな 楠目橙黄子 橙圃
音添うて雨にしづまる碪かな 千代女
音添ふて雨にしづまる砧かな 千代尼
何おもふ砧俄にうちやみぬ 松瀬青々
嫁入の翌を思ひつゝ砧うつ 砧 正岡子規
花から雪へ砧うち合う境なし 赤尾兜子
海苔砧人の寒苦にしののめす 大谷碧雲居
掛けてある砧の衣の唯白し 松本たかし
葛砧打ちて吉野の里に老ゆ 大川きよ女
葛砧梅に沈みて一戸あり 橋本鶏二 年輪
鎌倉に砧うつ家もなかりけり 砧 正岡子規
寒雁のほろりとなくや藁砧 原 石鼎
巻きかへて又打ち出だす砧かな 内藤鳴雪
岸打てばまた泊船の砧かな 東洋城千句
幾度歟碪うちやむよそごゝろ 高井几董
祇王寺につたはるものや砧盤 高岡智照尼
桔梗やむかし碪の僧が妻 岡井省二
砧うしろとなりし夜の道月に浮きぬ 西村公鳳
砧うつうつ月天心に上りけり 砧 正岡子規
砧うつはよい女房か案山子どの 泉鏡花
砧うつほとりにあるはとなりの子 軽部烏帽子 [しどみ]の花
砧うつ五條あたりの伏家哉 砧 正岡子規
砧うつ拍子でたゝく薺哉 薺 正岡子規
砧うつ隣に寒きたひね哉 砧 正岡子規
砧うてば破れ了りぬ鮓の石 千家元麿 千家元麿句集
砧かな体の隙間埋めてゆく 高澤晶子
砧てふところのなまへ衣被 田中裕明 櫻姫譚
砧てふ重たきものを打ちもして 辻桃子
砧にもうたれぬ袖の哀れなり 路通
砧の音の冴えぬを嘆く朧かな 竹田菁雨 『瞽女慕情』
砧の灯芋の嵐にいき~と 阿波野青畝
砧はたとやみたる方へ心ゆく 橋本多佳子
砧ひとり能き染物の匂ひかな 浜田酒堂
砧よりふしむつかしき鳴子哉 鳴子 正岡子規
砧一つ小夜中山の月夜かな 飯田蛇笏 山廬集
砧更て月は葎に隠れけり 成美
砧女にかの浦山のすすきかな 飯田蛇笏 山廬集
砧女に大いなる月や浜社 飯田蛇笏 山廬集
砧女やうしろの人を知らでありし 西山泊雲 泊雲句集
砧女や箆美しきうしろ髪 烏頭子
砧女去り闇しばらくは乱れ居る 宮武寒々 朱卓
砧尽きて又の寝覚や納豆汁 其角
砧石の落花の藤をうち払ふ 前田普羅 飛騨紬
砧石父祖よりの音籠りをり 島崎五穂 『さざれ石』
砧打ちやめてすぐには起たぬらし 吉岡翠生
砧打つカンテラの影法師哉 寺田寅彦
砧打つて都の月ぞ瓦屋根 尾崎紅葉
砧打つ臼の上なる灯かな 左衛門
砧打つ音の居眠り加減なる 茨木和生
砧打つ江の雁早き寒さかな 長谷川零余子
砧打つ新垣幸子星月夜 黒田杏子 花下草上
砧打つ人の替りし音変り 塩田月史
砧打つ星の真下に外厠 春樹
砧打つ大きな土間のくらがりに 嵯峨崎呑月
砧打つ二人となりし話声 日野草城
砧打つ里にぞ舟は着きにける 吾空
砧打てばカンテラの灯のまたゝきぬ 寺田寅彦
砧打てばほろほろと星のこぼれける
砧打てば砧打ちけり川向ひ 松村鬼史
砧打て我にきかせよや坊が妻 芭蕉
砧打て我に聞かせよや坊が妻 芭蕉
砧打て我に聞かせよ坊が妻 芭 蕉
砧打二人となりし話し声 日野草城
砧打二人となりし話声 草城
砧槌立てて身にしむ咄かな 橋本鶏二 年輪
砧盤あり差出す灯の下に 高浜虚子
砧盤舞台を梅雨としたりけり 長谷川かな女 花寂び
砧盡て又のね覚や納豆汁 榎本其角
久に来し新羅の古都や遠砧 山地曙子
牛馴れて梦驚かぬ砧哉 砧 正岡子規
居眠りのこくりと覚めて藁砧 橋本鶏二 年輪
峡の日の逃げてしまひし紙砧 山田弘子 初期作品
狭莚に砧打ちけり庭の月 砧 正岡子規
郷愁の砧と思ふ乱れけり 竹田菁雨 『瞽女慕情』
響き来て遊子が胸を打つ砧 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
玉川や夜毎の月に砧打つ 砧 正岡子規
桐は実にむかし筑紫に砧姫 神尾久美子
九十のもとは海女なり砧打つ 森田かずを
空耳か砧の音と聞きたるは 徳永山冬子
月に透く浮靄よろし遠砧 高田蝶衣
月の雲しどろの砧打ちもやめず 虚子
月の出や扉を砧にて抑へ 吉田紫乃
月の浜どの家の打つ砧かな 咲寿一樹
月の野をゆく汽車あきらかに砧うつ 金尾梅の門 古志の歌
月見れば人の砧にいそがはし 野澤羽紅女
月見れば父の砧に閙(いそが)はし 羽紅 俳諧撰集玉藻集
月代や芭蕉林に砧打つ 沢木欣一 沖縄吟遊集
月夜にて音の正しき藁砧 藤井冨美子
月落ちて灯のあるかたや小夜砧 砧 正岡子規
見ぇてゐて砧の槌のあがりけり 阿波野青畝
見えてゐて砧の槌のあがりけり 阿波野青畝
見られゐて無想の肱や籾砧 石塚友二 光塵
元朝の音のすなはち海苔砧 青木重行
古耳ぞ砧の音もあるべかり 相生垣瓜人
古都に聞く砧や秋思こまやかに 鈴鹿野風呂 浜木綿
枯れてゆく山にこだまして砧うつなり 山本木天蓼
湖に響きて消ゆる砧かな 松根東洋城
五年目に歸れば妹が砧かな 砧 正岡子規
五欲まだ枯れず老いしよ遠砧 望月明
後れ毛をふるはせて打つ砧かな 日野草城
御所方も夜寒につづく砧かな ふぢ 俳諧撰集玉藻集
御霊住む沖繩にひびけ藁砧 中勘助
行きゆけば左右になるや灯と砧 梅室
高砧更けゆく月にとぎれなし 鈴鹿野風呂 浜木綿
高雄路や紅葉の下の砧盤 比叡 野村泊月
此頃は旅らしうなる砧かな 砧 正岡子規
佐田をとふ夜川に遠の砧哉 加舎白雄
佐保姫の砧をかくす舟の小屋 星野紗一
左手の槌のはじむる藁砧 後藤夜半
三千の遊女に砧うたせばや 砧 正岡子規
山かげの月未だなる砧かな 嶋田青峰
山家鳥虫歌の情砧かな 龍岡晋
山彦の打てもどしに砧かな 紫貞女
山里の砧の音も宵のほど 松藤夏山
四大門の一つ毀たれ砧かな 楠目橙黄子 橙圃
市中や砧打ち絶えて何の聲 砧 正岡子規
市中や砧打ち絶えて夜の聲 砧 正岡子規
思ふこと砧に更けて人の影 砧 正岡子規
指うちてしばらくとやむ砧哉 高井几董
紙砧ひびき国栖の田凍りけり 大網信行
紙砧をりをり石の音発す 橋本多佳子
紙砧子守わらべの立つ戸より 及川貞
紙砧打つ夕凍みの一山家 つじ加代子
寺へ嫁ぎし姉の砧がきこゆなり 吉田冬葉
時々は砧持ち替へ藁を打つ 奥田 草秋
七つ八つ打ちては休み豆砧 笹木 雪子
蛇笏忌のもう日のささぬ藁砧 吉田紫乃
寂しさを砧にきかで紙衣哉 横井也有 蘿葉集
寂光院の道問へば置く藁砧 松藤夏山 夏山句集
手にし見る砧打ちたる暮しはも 松尾緑富
手拭に紅葉打ちこむ砧かな 紅葉 正岡子規
手拭に紅葉打ち出す砧かな 紅葉 正岡子規
酒を賣る家に灯はなし遠砧 井上井月
秋の猫砧の上をまたぎゆく 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
秋雨の人こそみえね藁砧 中勘助
秋風や窓の戸うごくさよ砧 秋風 正岡子規
舟に寐よ大津の砧三井の鐘 砧 正岡子規
熟柿の落てとばしる砧かな 高井几董
出しぬけに砧打ち出す隣哉 砧 正岡子規
春蘭や暗きに打てる紙砧 水原秋櫻子
宵々の砧もうとし初しぐれ 我則
小博奕にまけて戻れば砧かな 砧 正岡子規
小夜砧妹が茶の子の大きさよ 一茶 ■文化十二年乙亥(五十三歳)
小夜砧隣のむすこ戻りけり 春蛙
小夜碪そこらあたりは山ばかり 蒼[きう]
床の間の砧の槌を打ちて呼ぶ 後藤夜半 底紅
松の瘤愛しき砧打ちにけり 加倉井秋を
松茸の笠のびびれる砧かな 徐寅 八 月 月別句集「韻塞」
寝ねどきのよべよりとほき遠砧 相馬 黄枝
寝よといふ寝ざめの夫や小夜砧 炭たいぎ
神送り出して宮司の藁砧 ふけとしこ 鎌の刃
人遅し砧打たうよ更かさうよ 砧 正岡子規
仁和寺や門の前なる遠砧 几董
菅笠にともしをかこふ砧の音 砧 正岡子規
世に住まば聞(きけ)と師走の碪かな 西鶴
世に住まば聞けと師走の碪かな 西鶴
世に住まば聞と師走の碪哉 井原西鶴
星ちるや多摩の里人砧打つ 砧 正岡子規
星落つる籬の中や砧うつ 高浜虚子
星隕つる多摩の里人砧打つ 高浜虚子
晴山に高々と昼砧かな 楠目橙黄子 橙圃
生家には諭吉が母の砧槌 森田峠
生柴をちよろちよろさせて砧かな 美濃-千川 俳諧撰集「有磯海」
声澄みて北斗にひびく砧かな 芭蕉
西風の里や大勢砧打つ 中川富女
青海が簀の外に迫り海苔砧 臼田亜浪 旅人
説教に行かでやもめの砧かな 砧 正岡子規
浅茅生の碪に踊る狐かな 言水
船かけて明石の砧聞く夜かな 砧 正岡子規
喪ごころや手触れて重き砧槌 金久美智子
相住みや砧に向ふ比丘比丘尼 召波
相住や砧に向ふ比丘比丘尼 黒柳召波 春泥句集
草の戸やいみじう古き砧盤 高橋淡路女 梶の葉
其姿思ふぞ月に打つ砧 尾崎紅葉
打ちみだれ片乳白き砧かな 泉鏡花
打ちやみつ打ちつ砧に恨あり 砧 正岡子規
打ちやむに間のなき冬の碪かな 来山
打ちやめて大空ひろき砧かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
打ち止めて日の当りたる砧かな 萩原麦草 麦嵐
打つ砧稲架の月日の漁の隙 廣江八重櫻
打やまぬ碪たのもし夜の旅 炭 太祇 太祇句選後篇
大家の内庭に打つ砧かな 砧 正岡子規
大江戸や砧を聞かぬ人の数 砧 正岡子規
大木に響きて淋し藁碪 吉武月二郎句集
仲のよきわるき砧のふたりかな 久保田万太郎 流寓抄
昼砧ゆかしかりけり浄瑠璃寺 中村三山
昼砧ゆかしかりける浄瑠璃寺 三山
昼砧雨の中行く馬上かな 楠目橙黄子 橙圃
昼砧打ち新正の四五戸田に 西村公鳳
昼砧槌出てをりし山家かな 阿波野青畝
虫喰の砧に昔ばなし住む 田中由喜子
蝶の昼艶深くなる砧盤 原裕 『青垣』
鳥渡る父の浮名も鐵砧も 河原枇杷男 訶梨陀夜
渡守の妻が砧や川向ひ 寺田寅彦
都出てもはやかなしき砧かな 京-和及 元禄百人一句
島に来て湖忘れゐしわら砧 桂樟蹊子
灯を細め寝つけば響く砧かな 杉風
灯火に風打付ける砧かな 青蘿
灯明の灯をかき立て砧かな 許六
二軒家は二軒とも打つ砧哉 砧 正岡子規
二軒家ハ二軒家ともうつ砧哉 砧 正岡子規
二處長者の内の砧かな 砧 正岡子規
尼の打つ砧の音がききたくて 下村梅子
日暮から長屋へやつて砧かな 如元 八 月 月別句集「韻塞」
乳のまぬ子は寐入けりさよきぬた 砧 正岡子規
忍ぶれど砧の音にいでにけり 砧 正岡子規
年々に藏の傾く砧哉 砧 正岡子規
年歩む大樟の根の砧石 岸原清行
納屋にあるもの砧などみな親し たかし
煤掃に砧すさまじ雪の上 亡士-嵐蘭 極 月 月別句集「韻塞」
白壁にひゞく蘇州の水砧 森田峠 逆瀬川
薄月や水行く末の小夜砧 闌更
八十の母の音楽豆砧 成田智世子
八瀬も早や大原に近き砧かな 七三郎
悲しさの数にも入るか小夜砧 中村史邦
夫帰るまでは此児死なさじ小夜砧 比叡 野村泊月
夫帰るまで此児死なさじ小夜砧 野村泊月
武蔵野は砧うつ家もなかりけり 福田把栗
封人の妻の打ちたる砧これ 後藤比奈夫
風吹いて鹿風やんで砧かな 砧 正岡子規
腹の立つ時や砧の片拍子 作州たゞ女 俳諧撰集玉藻集
聞かばやと思ふ砧を打ち出しぬ 夏目漱石
聞きありく五条あたりの砧かな 涼菟
柄を上に砧の槌を立てて置く 後藤夜半 底紅
柄を立てて砧置かれし寒さかな 岸本尚毅 舜
母そこに在ます如くに砧あり 広瀬ひろし
母在らば砧の話もう少し 鈴木鷹夫 千年
峰越衆に火貸すなかばも打つ砧 石鼎
峯越衆に火貸すなかばも打つ砧 原石鼎
夢ゆるくうつつせはしき砧かな 大魯
夢ゆるくうつゝせはしき砧かな 大魯
霧深き廣野に千々の砧かな 蕪村遺稿 秋
面白う砧をゆるや秋の風 秋風 正岡子規
木枯や子らゐぬ村の冬砧 中勘助
餅花や幾代を土間の砧石 倉田晴生
門前のやまびこかへす碪かな 飯田蛇笏 山廬集
門前の姥が砧や妙心寺 松瀬青々
夜をこめて今に淋しや海苔砧 島田みつ子
夜咄の夫呼び戻す砧かな 古白
憂き我に砧打て今は又止みね 蕪村
憂ひつつ砧うちたる土間ならん 加藤三七子
邑内の巨樹の秋なる砧かな 楠目橙黄子 橙圃
夕月や砧聞ゆる城の内 砧 正岡子規
嵐吹く芒の中や砧打つ 砧 正岡子規
藍滲む宮古上布の砧盤 飯島晴子
里の月衣うつべく夜はなりぬ 砧 正岡子規
里の月砧打つべく夜はなりぬ 砧 正岡子規
立ちて見る昼の砧の曲もなし 岡本松浜 白菊
流刑小屋砧聞こえし夜もあらむ 三村純也
旅に出てどこかで砧見し記憶 星野立子
淋しさに来れば母屋も砧かな 孤舟
淋しさは裸男の砧かな 砧 正岡子規
鈴蟲の中によるうつ砧かな 砧 正岡子規
露ほろりほろり砧の拍子かな 砧 正岡子規
狼や梺にひくき小夜砧 砧 正岡子規
老の手にしつかりとうつ碪かな 高橋淡路女 梶の葉
老海女の唄のせて打つ胡麻砧 中山秋月
郎いまだ歸らずと打つ砧かな 砧 正岡子規
藁砧うちつつ咄あともどり 橋本鶏二 年輪
藁砧とんとんと鳴りこつこつと 高野素十
藁砧なつかしきかな垣間見る 松藤夏山 夏山句集
藁砧唄はねば雪降りつもる 佐藤俊子 『雪の本丸』
藁砧合点合点と聞こえけり 大石悦子 聞香
藁砧歯のなき顔で笑ひけり 宇佐美魚目
藁砧震に乗るごと弾みけり 中山砂光子 『納沙布』
藁砧打つやはげしき夫婦槌 大島兎月
藁砧置きあるままに雪囲 竹腰八柏
藁砧彼岸来るとも見えぬなり 久米正雄 返り花
藁束に置きし砧の槌しづむ 橋本鶏二
寐た牛の鼻先にうつ砧哉 砧 正岡子規
寐よといふ寝ざめの夫や小夜砧 炭 太祇 太祇句選
朧野ヤ朧ヲ破ル藁砧 朧 正岡子規
杣が妻戸口に打てり葛砧 橋本鶏二 年輪
碪(きぬた)ひとり能(よき)染ものゝ匂ひかな 洒堂
碪(きぬた)打ちて我に聞かせよ坊が妻 松尾芭蕉
碪女に大いなる月や浜社 飯田蛇笏 霊芝
碪打ちてわれに聞かせよ坊が妻 松尾芭蕉
碪打ちて我に聞かせよや坊が妻 芭蕉
碪打つて我にきかせよや坊が妻 芭蕉
碪打て我にきかせよや坊が妻 芭蕉
碪打て我にきかせよ坊が妻 芭 蕉
箒編む黍殻をうつ寒砧 西本一都 景色
繩なひ居れば砧打出す隣かな 寺田寅彦
餘りうたば砧にくえんふじの雪 砧 正岡子規
髢吊して今日も砧のあろじかな 竹下しづの女 [はやて]

砧 補遺

あはれまむ砧の音と聞き做して 相生垣瓜人 明治草
うちまぜて遠音かちたる砧かな 飯田蛇笏 山廬集
かるく打つ砧の中のわらひ哉 正岡子規 砧
カルサンの女が打つや藁砧 河東碧梧桐
クリークは石炭搬び砧打ち 阿波野青畝
さるほどに砧もやみぬ峯の月 日野草城
たはれ女の槌かくしたる砧かな 河東碧梧桐
ともし火と砧の音のほか洩れず 後藤比奈夫
とろ砧雪解の瀬瀬ときほひけり 岡井省二 明野
はつきりと砧の声の榛と松 岡井省二 有時
ふたたびの槌あがりをる砧かな 阿波野青畝
ぶら下る今は使はぬ砧かな 山口青邨
ふんどしになる白布を砧哉 正岡子規 砧
ほと~と砧たゝけば愁湧く 日野草城
やはらぎし面輪砧の槌を置く 後藤夜半 底紅
よくきけば我家にもうつ砧かな 正岡子規 砧
よめ入りて餘所の砧ぞ打ちにくき 正岡子規 砧
わが母の打ちし砧を想起せむ 相生垣瓜人 明治草
わら砧暁さめやすき枕上 石橋秀野
哀れしれと門もとさゝぬ砧かな 正岡子規 砧
暗き音ばかりを使ひ砧打つ 後藤比奈夫
一つ家に泣聲まじる砧哉 正岡子規 砧
一村は家皆うごく砧哉 正岡子規 砧
一村は女や多き小夜碪 正岡子規 砧
一二夜は砧に紛ふ音もあれ 相生垣瓜人 明治草
縁遠き姉妹二挺砧かな 日野草城
遠方の子を思ひ思ひ衣打つ 正岡子規 砧
桶洗ふ男は去らず水砧 阿波野青畝
嫁入の翌を思ひつゝ砧うつ 正岡子規 砧
花から雪へ砧うち合う境なし 赤尾兜子 歳華集
郭公や土間に残りし砧石 大野林火 方円集 昭和五十三年
鎌倉に砧うつ家もなかりけり 正岡子規 砧
寒雁のほろりとなくや藁砧 原石鼎 花影以後
貴船菊生けてほとりの砧槌 後藤比奈夫
桔梗やむかし碪の僧が妻 岡井省二 鹿野
砧うつうつ月天心に上りけり 正岡子規 砧
砧うつ五條あたりの伏家哉 正岡子規 砧
砧うつ拍子でたゝく薺哉 正岡子規 薺
砧うつ隣に寒きたひね哉 正岡子規 砧
砧の灯芋の嵐にいきいきと 阿波野青畝
砧よりふしむつかしき鳴子哉 正岡子規 鳴子
砧一つ小夜中山の月夜かな 飯田蛇笏 山廬集
砧女にかの浦山のすすきかな 飯田蛇笏
砧女に大いなる月や浜社 飯田蛇笏 山廬集
砧女に灯影遮り来し情夫 日野草城
砧石の落花の藤をうち払ふ 前田普羅 飛騨紬
砧打ち日木の音を疑はず 後藤比奈夫
砧打つ力みて母がたぼたぼす 平畑静塔
砧打てばほろほろと星のこぼれける 正岡子規 砧
砧打二人となりし話声 日野草城
砧槌とろろあふひを打ちて減る 後藤比奈夫
牛馴れて梦驚かぬ砧哉 正岡子規 砧
橋の下涼しき水よ砧うつ 山口青邨
狭莚に砧打ちけり庭の月 正岡子規 砧
玉川や夜毎の月に砧打つ 正岡子規 砧
月出でぬ河南河北の砧哉 尾崎放哉 大学時代
月落ちて灯のあるかたや小夜砧 正岡子規 砧
見えてゐて砧の槌のあがりけり 阿波野青畝
見られゐて無想の肱や籾砧 石塚友二 光塵
見習へと砧の槌の傷だらけ 後藤比奈夫
古砧子々孫々のため歪む 後藤比奈夫
古砧父祖の訓の如くあり 後藤比奈夫
古耳ぞ砧の音もあるべかり 相生垣瓜人 明治草
五年目に歸れば妹が砧かな 正岡子規 砧
後れ毛をふるはせて打つ砧かな 日野草城
高々と月を打上げし砧かな 日野草城
豪家なるジョンバの砧また聞かん 河東碧梧桐
国栖人に初蝶の舞ふ砧石 大野林火 雪華 昭和四十年
此頃は旅らしうなる砧かな 正岡子規 砧
再遊の宿も同じき砧かな 河東碧梧桐
作り物として夫恋ひの砧あり 能村登四郎
作物(つくりもの)の舟や砧や鏡の間 松本たかし
三千の遊女に砧うたせばや 正岡子規 砧
姉妹の青衣紅衣の砧うつ 山口青邨
市中や砧打ち絶えて何の聲 正岡子規 砧
市中や砧打ち絶えて夜の聲 正岡子規 砧
思ふこと砧に更けて人の影 正岡子規 砧
紙砧をりをり石の音発す 橋本多佳子
紙砧子守わらべの立つ戸より 及川貞 夕焼
耳なれて妻の砧や夢に入る 尾崎放哉 大学時代
手拭に紅葉打ちこむ砧かな 正岡子規 紅葉
手拭に紅葉打ち出す砧かな 正岡子規 紅葉
秋風や窓の戸うごくさよ砧 正岡子規 秋風
舟に寐よ大津の砧三井の鐘 正岡子規 砧
舟行やほぼ摺れずれに水砧 阿波野青畝
舟行や砧も聞え鐘聞え 阿波野青畝
出しぬけに砧打ち出す隣哉 正岡子規 砧
春蘭や暗きに打てる紙砧 水原秋櫻子 玄魚
初冬や緋染紺屋の朝砧 村上鬼城
小さい子砧しどろに打ちもやめず 河東碧梧桐
小城下も秋知り顔の砧かな 内藤鳴雪
小博奕にまけて戻れば砧かな 正岡子規 砧
小夜砧打つてみささぎなぐさめよ 阿波野青畝
床の間の砧の槌を打ちて呼ぶ 後藤夜半 底紅
沼守りになりたや砧など打つて 佐藤鬼房
上品に砧の槌の古びたる 後藤比奈夫
蝕める機もあり古き砧かな 河東碧梧桐
人遅し砧打たうよ更かさうよ 正岡子規 砧
水砧はずみ夕焼黄なりけり 阿波野青畝
水砧一つの石の上叩き 阿波野青畝
水砧競ひしあとに髪洗ふ 阿波野青畝
水砧同心円の波送る 阿波野青畝
水砧灘江の谺天にあり 阿波野青畝
菅笠にともしをかこふ砧の音 正岡子規 砧
星ちるや多摩の里人砧打つ 正岡子規 砧
声はあり砧の音はあらずして 相生垣瓜人 明治草
青海が簀の外に迫り海苔砧 臼田亜浪 旅人 抄
説教に行かでやもめの砧かな 正岡子規 砧
船かけて明石の砧聞く夜かな 正岡子規 砧
草ばくち砧女も来て交りけり 日野草城
打ちやみつ打ちつ砧に恨あり 正岡子規 砧
打ち減りて砧やさしくなつてゐし 後藤比奈夫
大家の内庭に打つ砧かな 正岡子規 砧
大江戸や砧を聞かぬ人の数 正岡子規 砧
奪りあげてみたきは小豆砧かな 岡井省二 明野
昼砧槌出てをりし山家かな 阿波野青畝
蝶の昼艶深くなる砧盤 原裕 青垣
豆砧音の吸はるるばかりなり 石田勝彦 百千
鍋焚火しばし砧も箕も照らす 高野素十
南船の水きらめけり水砧 阿波野青畝
二軒家は二軒とも打つ砧哉 正岡子規 砧
二軒家ハ二軒家ともうつ砧哉 正岡子規 砧
二處長者の内の砧かな 正岡子規 砧
日盛や門前に打つ箔砧 前田普羅 普羅句集
乳のまぬ子は寐入けりさよきぬた 正岡子規 砧
忍ぶれど砧の音にいでにけり 正岡子規 砧
年々に藏の傾く砧哉 正岡子規 砧
納屋にあるもの砧などみな親し 松本たかし
庇無き家並より出て水砧 阿波野青畝
父を越えられぬと思ふ古砧 後藤比奈夫
風吹いて鹿風やんで砧かな 正岡子規 砧
平らなる石を定めて水砧 阿波野青畝
柄を上に砧の槌を立てて置く 後藤夜半 底紅
峰越衆に火貸すなかばも打つ砧 原石鼎 花影
無明無しこつこつと藁砧の音 佐藤鬼房
面白う砧をゆるや秋の風 正岡子規 秋風
門前のやまびこかへす碪かな 飯田蛇笏 山廬集
夕月や砧聞ゆる城の内 正岡子規 正岡子規 砧
嵐吹く芒の中や砧打つ 正岡子規 砧
藍滲む宮古上布の砧盤 飯島晴子
里の月衣うつべく夜はなりぬ 正岡子規 砧
里の月砧打つべく夜はなりぬ 正岡子規 砧
淋しさに砧を打てば砧の音 後藤比奈夫
淋しさは裸男の砧かな 正岡子規 砧
冷え性の蓆重ねて砧かな 日野草城
鈴蟲の中によるうつ砧かな 正岡子規 砧
露ほろりほろり砧の拍子かな 正岡子規 砧
狼や梺にひくき小夜砧 正岡子規 砧
聾ひて宮古上布の砧打つ 飯島晴子
郎いまだ歸らずと打つ砧かな 正岡子規 砧
藁砧とん~と鳴りこつ~と 高野素十
藁砧西安闇に没しけり 松崎鉄之介
藁砧打つてをりしも白川女 高野素十
俤やいつも砧を打ち打ちて 松本たかし
嫂とよくうまのあふ砧かな 日野草城
寐た牛の鼻先にうつ砧哉 正岡子規 砧
朧野ヤ朧ヲ破ル藁砧 正岡子規 朧
瓊子内親王が聞く砧かや 阿波野青畝
碪女に大いなる月や浜社 飯田蛇笏 霊芝
餘りうたば砧にくえんふじの雪 正岡子規 砧

砧 続補遺

あの砧あちら岩瀬か星月夜 支考
あの年にもどりて見たき碪哉 りん女
いねかしの男うれたき砧かな 黒柳召波
うき我に砧うて今は又止みね 与謝蕪村
うき身うつと人や聞らん小夜砧 松岡青蘿
うたゝ寝の関打返す碪かな 蝶羽
うたぬ夜やよその碪をあはれがる 寥松
うちやむに間のなき冬の碪かな 小西来山
うつや碪児に仏の灯をかして 長翠
うつ音に陰日向ある砧かな 田川鳳朗
おのづから恨もえ立砧哉 りん女
おもひあまり恋ふる名をうつ砧かな 鬼貫
おもひあればつよく打るゝ碪哉 一笑(金沢)
おり~は眼る音聞碪哉 尚白
かなしさもうてば打ぬく碪哉 土芳
からころと砧も初夜由利の空 松窓乙二
くりつゝも枕にしかじ碪かな 四睡
さい槌の音をしまへば砧かな 其角
さぞ砧孫六やしき志津屋敷 其角
しやらどけの帯引しめて砧かな 木導
しるしらぬ里なつかしや小夜砧 加舎白雄
すごき夜の碪聞えし小路哉 一笑(金沢)
せんじ茶のうすくなりたる碪哉 荷兮
ときかける砧の耳やあし拍子 りん女
ひとの国にやゝ馴るゝ夜の碪かな 高井几董
やがてうつ砧の槌も星今宵 松窓乙二
やかましう国の栄へをうつ碪 杉風
やとひ女の出直して来て碪かな 桜井梅室
よいほどの浦屋もありてさぞ碪 魯九
よその夜に我夜おくるゝ砧かな 吉分大魯
わかれても夜のありたけは碪かな 園女
芦刈のうらを喰せて砧哉 其角
闇の夜に人の家よむ砧かな 一笑(金沢)
因果屋も柴のとぼその碪かな 牧童
唄なきはさる事なれや小夜碪 道彦 蔦本集
越中に碪うつ也夜中過 四睡
遠砧夜のおとゞに聞ゆべし 加藤曉台
音よきは葛のころもの砧かな 桜井梅室
音添うて雨にしづまる碪かな 千代女
音添ふて雨にしづまる碪かな 千代尼
何やらん咄し~の砧かな 一笑(金沢)
柿の渋ぬける夜冴や遠碪 加藤曉台
鎌倉にとまらでくやし小夜碪 成田蒼虬
看経もまぎるゝ宵の砧かな 昌房
幾度歟碪うちやむよそごゝろ 高井几董
橘に火かげさす家の砧かな 松窓乙二
砧うち槌ころがして居かはりぬ 寥松
砧うつ宿の庭子や茶の給仕 其角
砧きけ庚申の夜は寐ぬ物ぞ 凉菟
砧にはまだあたらしき家居かな 支考
砧の町妻吼る犬あハれなり 其角
砧尽て又のね覚や納豆汁 其角
砧打てつれなき人を責るかな 加藤曉台
漁のなき夜汐と見えて碪かな 桜井梅室
月見れば人の砧にいそがはし 羽紅女
糊味の手あたり出来る碪かな 秋之坊
後の月遠ひ碪のまじるあめ 岱水
后の月きせて砧もうたぬ夜歟 鈴木道彦
行ゆけば左右になるや灯と砧 桜井梅室
此度も砧頼むや小山伏 りん女
此里に碪をきけば鰹かな 百里
山陰の藪うつりして砧哉 素行
山姥とみし人きえて遠砧 加藤曉台
山寺で聞ばひだるき碪かな 十丈
山彦の打てもどしに砧哉 紫貞女
指うちてしばらくとやむ砧哉 高井几董
寺からは里へやりたる砧かな 吾仲
七草は秋の碪の早苗かな 越人
寂しさの面あはせてうつ砧 寸羅 新類題発句集
秋きぬと碪にかける紅葉かな 玄梅
舟漕ぐと音にも知るや小夜碪 存義 古来庵発句集
十斗はやめてしまふ碪かな 李東
熟柿の落てとばしる砧かな 高井几董
女四五人砧の音の和けり 一笑(金沢)
小家続てなく男かな碪かな 一笑(金沢)
小夜碪そこらあたりは山ばかり 成田蒼虬
小路より奥に這入ば碪かな 呂風
乗懸のねむりをさます砧哉 去来
身のうへも人にまかせて砧かな 高桑闌更
人しれぬ千話や砧の乱拍子 芙雀
仁和寺や門の前なる遠碪 高井几董
吹すれる竹の奥なる小夜砧 高桑闌更
世に住まば聞と師走の碪哉 西鶴
是ほどの碪は聞ず石部山 成田蒼虬
生柴をちよろ~させて砧かな 千川
西国のつれ言合す碪かな 句空
昔めく下手の妻籠の碪かな 露川
洗濯の中に別るゝ小夜砧 諷竹
染ものゝ手も洗はずに碪かな 中川乙由
相住や砧に向ふ比丘比丘尼 黒柳召波
打しめてうたはぬ里の砧哉 一笑(金沢)
打まじり笑へ砧の台所 凉菟
打やまぬ碪たのもし夜の旅 炭太祇
誰~と聞や野垣の小夜砧 りん女
朝けぶりさきまで砧うちし家 寥松
町やどへ出て鑓もちの砧かな 朱拙
釣簾の外に召れて曠の砧哉 三宅嘯山
伝馬町地染の砧更にけり 調甫 富士石
殿づくり慰みにうつ砧哉 一笑(金沢)
燈をほそめ寐つけばひゞく砧哉 杉風
独すむ賀田のわらやの砧かな 舎羅
独打つほどは月洩る砧かな 吐月 発句類聚
縄簾分てきゝよる碪かな 祐甫
二巻に目をさましたる砧かな 其角
尼寺に沙弥を憐む碪かな 三宅嘯山
俳諧でむすめの名也さよ碪 支考
煤たれて屋根裏くらしさよ碪 三宅嘯山
煤掃に砧すさまじ雪の上 嵐蘭
泊り衆もならぶ砧やよい居なし 鈴木道彦
泊り人を寐せて軒並砧哉 桃隣
悲しさの数にも入か小夜碪 史邦
聞おれば擣たくもある碪かな 羽笠
兵法もともに更行砧かな 林紅
蓬窓雨したゝりて退く砧かな 寥松
坊主子に夜を寐ぬ尼の砧哉 許六
墨うすき絵に似て里の碪かな 野紅
墨染を鉦皷に隣る砧かな 其角
又いつかこゝにとまりとうつ砧 凉菟
夢覚て悟道させたる砧かな 兀峰
娘よりよめの音よはき砧哉 去来
夜もすがら病馬の伽の砧かな 左次
夜長しや砧千声に月ひとつ 鈴木道彦
淋しさは中の京なる碪かな 乙訓
隣には人をとめた歟やむ砧 桜井梅室
藁たゝくひゞきによわる砧かな 去来
呵けば砧も共に音低し 三宅嘯山
寐かゝりて遠く成行砧哉 破笠
寐よといふ寝ざめの夫や小夜砧 炭太祇
帚木にかくれてうてる砧かな 夏目成美
搗臼と落間へおりる砧かな 嵐青
碪には似ぬ七草の月夜かな 支考
碪ひとり能染ものゝ匂ひ哉 洒堂
碪聞程こそよけれ奥座敷 凉菟
諷はぬはさすが親子の碪かな 一笑(金沢)
皷やら砧やらたゞあめの音 仙化

by 575fudemakase | 2017-06-07 08:49 | 秋の季語 | Trackback | Comments(1)
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Commented by しどう at 2017-06-07 09:13 x
ありがとうございました。
正岡子規かと、連想しました。


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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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