後評(2017・9)

後評(2017・9)


お花畑天女のやうな雲流れ

恐らくお花畑には山霞等が流れていよう。俳句に詠んだのは目線上のお空の方。

同作者に秋簾の句があったが、アレは明治・大正・昭和初期あたりに既に詠まれてゐてもおかしくないと判断する故ここでは推さない。


歪なることまだ知らず青くわりん

当句に、何処か説教臭が籠もるのは、人に依っては瑕瑾と映ることがあるやもしれない。


青嵐仏横抱き螺髪彫る

仏師か?眼前如実である


葛の花誰も通らぬ道となり

もう誰も通らなくなった小径が葛原に消えている。


行き合ひの空より現れて滝一条

滝が自然に視野に入って来る…そこら辺の呼吸をうまく言い取っている


地獄草紙蛆虫眼ぎよろりかな

絵はマンガチックに出来あがっている。一寸稚拙にさえ感ずる程度に…。一言「ギョロリ」が効いた。今年 盛夏に三井記念美術館で 地獄絵展を見て来た。無論 地獄草紙も展観した。

上記の通りであった。


サングラス街騒シンとする思い

暗色に沈んでゆく想いはこんな感じか?


ゆく秋のこんなに深い空はじめて

独り言俳句のようなところがよい。「こんな」「あんな」は私も多用するところ。この措辞は

句の叙述に当たって、より具体性を与えるのでオススメしたいところ。(指示代名詞の効用)


頭を揺らし夏蚕は繭を作りゆく

夏蚕の頭部に焦点を当てて臨場感を引き出した。


溶けるほど雨に打たるる白芙蓉

雨に遭った芙蓉は正に溶けるが如くである。私は毎日咲いて散る芙蓉を見ているが全くこの通り。

材質感を完全に捉えている。芙蓉は白芙蓉でないと駄目だ。


ほらそことほつれをかがる蜘蛛を指す

逐一言葉を拾って一句と為した。この方の旨さは群を抜いている


鈴の緒のこんなに痩せてきて大暑

「こんなに痩せてきて」は一寸間延びして冗長感は否めないが、実体はシッカリ捉えてはいよう。


虫干の紐より帯のだらりかな

「紐」も「帯」もダラリとぶら下がることには大差はない。なのに、この作者は「帯」の方に敢えて、軍配を挙げる。駄目押しをやるのである。何故か。材質感を明示したいのである。


そのことの一瞬止まる遠花火

「そのことの一瞬止まる」とは進行する花火の一所作、一所作に目を配った時の言葉。この目配り、言い分がこの作者の独自なところ。凡人では「そのことの」は先ず出て来ない。


蓼科の霧閉ざしゆく小津旧居

小品で手堅い


川おこぜ父の近くで追ひし頃

「川おこぜ」なんて在の人の言う言葉であろう


鼠花火行き先を決めかねて果つ

大きな方向転換をするでもなく、足許近辺で愚図愚図しているのを見遣って、この小心者めがとでも内心言っているような一句。


汗の身を合掌一礼して正す

叙述に工夫がある。こんな事だって評価の対象になる。ゆめゆめ油断なさるな…


満月を載せて戻りぬ浚渫船

汚れた浚渫船をこう美しく詠むのも芸の裡


金輪際動く気のなき山椒魚

金輪際動かぬ蓮の間の水 は拙作。「金輪際」と「動く」「動かぬ」は昔から接着剤で貼り付けたような間柄。


滝となる水の真白に迸る

滝に豹変する前の水の本性につき言及した


城址も濠も名のみや蒲の絮

昔の痕跡を辿れるのも「蒲の絮」の御蔭。


白粉花飯盛墓の宿場あと

藤沢の宿には飯盛女がゐてその墓もあの辺りにあるからと誘いを受け吟行をした事もあった。

白粉花は、ちとつき過ぎの感もあるが、まぁこんなところかも…。


湯浴みして目瞑りをれば虫のソロ

「虫のソロ」が小憎い表現。


秋夕焼言の葉浮かぶ前に消ゆ

こんな風に持ってまわった表現が未だあったのか? 貶しているのではない。感心して居るのである。内心に起こって消えた一些事…。



以上


by 575fudemakase | 2017-11-22 06:00 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)
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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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