2014年 11月 30日 ( 3 )

初霜

初霜

例句を挙げる。

さめざめと初霜きゆる佳き日なり 松村蒼石 春霰
ちから芝初霜かぶりたかぶりぬ 前田普羅
やはらかに青草充ちて初霜す 松村蒼石 雪
わが名づく赤子つよかれ初霜に 長谷川かな女 花寂び
一つ葉に初霜の消え残りたる 高浜虚子
一刻の炊ぎのけむり初霜消 原石鼎 花影以後
人影す堆の初霜あたゝかに 西島麦南
初霜にとぢこめられし山の音 吉年虹二
初霜に櫛目を正す朝の日箭 有馬籌子
初霜に焚く櫻葉の匂ひかな 松瀬青々
初霜に胸埋め嵯峨の石仏は 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
初霜に覆ひかかるや闇の星 千川 霜 月 月別句集「韻塞」
初霜のありし纜解きにけり 秋山英子
初霜のありたる無人駅ホーム 有永 千里
初霜のありとしもなき波郷の墓 飯島晴子
初霜のことし大霜でありにけり 原石鼎 花影以後
初霜のぬれて日和や譜に朱うつ 原石鼎 花影以後
初霜のまとめられたる無縁墓 鷲谷七菜子 花寂び 以後
初霜のデッキ味噌汁匂ひ来し 鴨下秀峰
初霜の坂口の竹明りかな 梶千秋
初霜の奈良田の宿の十三夜 田中冬二 俳句拾遺
初霜の朝市にゐる迷ひ犬 藤本朋子
初霜の来し上州と聞きしより 稲畑汀子
初霜の柿や天地を貫けり 瀧井孝作
初霜の沙汰や頃日葱蕪 笠斎
初霜の消え束の間の野の光 河野美奇
初霜の石を崩して堰普請 及川仙石
初霜の置く石の臼茎の石 青木重行
初霜の金柑残る葉越しかな 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
初霜の金柑見ゆる葉越しかな 芥川龍之介 澄江堂句抄
初霜の降りて暦日過たず 浜渦美好
初霜の降る音聞いてゐる玻璃戸 梶尾黙魚
初霜は裏羊蹄の翳に踏む 古舘曹人 能登の蛙
初霜やあはれはまろぶざくろの実 久保田万太郎 流寓抄以後
初霜やいよよ百目柿の甘からん 依光陽子
初霜やうす紅の鳩の脚 四明句集 中川四明
初霜やけさおとなしき鹿島灘 藤田あけ烏 赤松
初霜やさすが都の竹箒 炭 太祇 太祇句選後篇
初霜やひとりの咳はおのれ聴く 日野草城(1901-56)
初霜やむらさきがちの佐久の鯉 皆川盤水
初霜ややさしくなりぬ山の色 神原栄二
初霜やわが母なれど面冴え 中村汀女
初霜やわづらふ鶴を遠く見る 蕪 村
初霜やガラス隔てて吾子と会ふ 高橋悦男
初霜や七夜の朝の樽ざかな 荊口 霜 月 月別句集「韻塞」
初霜や余白なき日を繰り返し 大島民郎
初霜や勝手のちがふ酒の燗 中村史邦
初霜や唐招提寺志す 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
初霜や小笹が下のえびかづら 素牛 俳諧撰集「藤の実」
初霜や嵩減り枯れて箒草 西山泊雲 泊雲句集
初霜や川上は墓地のあるところ 辺見じゅん
初霜や底より湧いて鯉の色 広瀬直人
初霜や復旧までの仮の橋 枡田国市
初霜や掌にしたゝらす髪油 青木喜久
初霜や斧を打ちこむ樹の根つこ 秋元不死男
初霜や火事跡といふ黒きもの 鷹羽狩行
初霜や烏を懼すからす羽に 高井几董
初霜や片脚立ちに神の鶏 鈴木花重
初霜や物干竿の節の上 永井荷風
初霜や犬溺する橋のもと 寺田寅彦
初霜や甘藍緊まり極まれば 林原耒井 蜩
初霜や矮鶏諍ふ神の庭 牧野暁行
初霜や稲扱きの歯に降りにけり 冬葉第一句集 吉田冬葉
初霜や粉な屋の驢馬の耳機嫌 四明句集 中川四明
初霜や素焼の土器に御饌の塩 玉貫甲子郎
初霜や茎の歯ぎれも去年迄 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
初霜や茶椀を握る掌 秋来
初霜や菊冷え初むる腰の綿 松尾芭蕉
初霜や落葉の上の青笹に 泉鏡花
初霜や藁燃えて居る土手の上 寺田寅彦
初霜や藪に隣れる住み心 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
初霜や障子にこもる陽の翅音 篠田悦子
初霜や雀居並ふ疎籬斜め 尾崎紅葉
初霜や麦の芽二寸ばかりなり 寺田寅彦
初霜や麦まく土のうら表 北枝 霜 月 月別句集「韻塞」
初霜や黄葉ほろ~と垣枳殻 西山泊雲 泊雲句集
初霜を鴉のわたる佛國寺 三好達治 路上百句
初霜消花の咲く木の葉の上に 原石鼎 花影以後
初霜越えて逃れにゆく祈りにゆく 平畑静塔
医師去つて初霜の香の残りけり 野澤節子 黄 瀬
子をふちどる朝日の赤さ初霜す 大熊輝一
桑焦がすほどの初霜には非ず 荒川あつし
沼べりに初霜コメデアン死んで 栗林千津
縄切れに置く初霜やいろは蔵 野村喜舟
縫ひ進む糸か初霜むすぶ音か 永井龍男
踏んで見もして初霜の解けやすき 篠崎 杏二
雁来ればすぐ初霜や伊賀盆地 橋本鶏二

以上
by 575fudemakase | 2014-11-30 00:53 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

神迎

神迎

例句を挙げる。

くれなゐの実を荒きとも神迎 宮坂静生 山開
したたかに降り清めけり神迎 藤田八郎
はらはらと走る雑仕や神迎 阿波野青畝
もののふの霊を鎮めの神迎へ 小路紫峡
一月の落葉も掃て神迎 蝶 夢
三宝に鯉の息づく神迎 角淳子
二羽の鳶円を描きて神迎 法本フミ女
八重波に向ひて祝詞神迎 金森柑子
参道の箒目正しく神迎ふ 白木サダ子
大岳の夜明け火を焚く神迎 藤原如水
巫女の髪水引を懸け神迎 安西閑山寺
拍手も海鳴りの中神迎 渡部美知子
日々荒れてともしの暗さ神迎ふ 桑原視草
氏神の囲ひ済ませて神迎 渡辺セツ
海鳥の目覚めよきこゑ神迎へ 木内彰志
湖の上を疾風来るなり神迎 水原秋桜子
湖の月あきらかに神迎へ 前田圭史
燈籠の障子も替へて神迎 比叡 野村泊月
神の木の揺れひとしきり神迎へ 遠藤若狭男
神迎して歌神に献ず句碑 大橋敦子 手 鞠
神迎ふ一山六社みな灯り 木田素子
神迎ふ伊勢の荒風日もすがら 山本しげき
神迎ふ出雲の国の石畳 有馬朗人
神迎ふ出雲は日和つづきかな 岡本春人
神迎ふ太き纜注連として 道川虹洋
神迎ふ形に居るや池の亀 久米正雄 返り花
神迎ふ水面静けき人造湖 上野澄江
神迎へ巫女車座に汁粉食ふ 豊田豊
神迎へ新月の環あきらかに 佐野良太 樫
神迎へ静かに済みし湖の村 有働 清一郎
神迎水口だちか馬の鈴 浜田酒堂
稲の香のしるき国原神迎 栗間酔舟
空稲架の芯まで濡れて神迎へ 小早川蘇宇
笛吹きて鳶も産土神迎へけり 野原 春醪
荒神の散らす落葉や神迎ふ 佐々木醒湖
裸木に雀あつまる神迎 柴田白葉女
野々宮や四五人寄りて神迎 野村泊月
青苔に山茶花にほふ神迎 水原秋櫻子
頓て国しろし召すべう神迎 竹冷句鈔 角田竹冷
鬨あぐるごと大焚火神迎ふ 上原朝城
鴨居まで日の届きゐる神迎へ 能村研三 鷹の木
鶏もうたひ参らす神迎 正岡子規
あかつきに雪降りし山神還る 藤田湘子
吊り橋をゆらして山の神還る 飯田弘子
大風の吹く日なりけり神還 飯田 波津恵
宝前に椎降りつくし神還る 亀井糸游
後戻り出来ぬ吊橋神還る 角田サチ
御開扉に鵯のとぶ影神還る 亀井糸游
拝殿に赤いスリッパ神還る 相馬沙緻
新生児あまた並びて神還る 辻美奈子
枯れをはる夜空の銀杏神還る 皆吉爽雨 泉声
洞ぬちに神還りまし海荒るゝ 大橋敦子 匂 玉
湖かもめ矢羽根のごとし神還る 高井北杜
湧きつげる雲の幾重や神還る 小林 弘子
白樺に斑の満ちて神還りけり 堀口星眠 営巣期
真白な鳥先立てて神還る 原田喬
神還りたまへと海人の太鼓打つ 山岸 治子
神還りませ波洗ふ大鳥居 高木晴子
神還り給ふ地酒のこくも見に 百合山羽公
神還り給へる富士の白さかな 岩永極鳥
神還り賑はふ婚礼大安日 羽吹利夫
神還るその大股は猿田彦 今瀬剛一
神還るみちが砂紋にありにけり 吉田紫乃
神還る千木より雲へ乗り継ぎて 熊野鳥湖
神還る島にまつたき虹の橋 鳥越すみこ
神還る心張り棒をがたつかせ 武田和郎
神還る日の大雨の厳島 有馬朗人 耳順
神還る風に置かれし白木椅子 岸原清行
風袋ひらきつつ神還りけり 堀口星眠 青葉木菟
鮒鮓も食べごろならむ神還る 大島民郎
二の滝の音の交響神帰る 橋本榮治 麦生
帰ります神ねぎらひの祝詞かな 島田五空
田植神唐へ帰ると田植唄 辻桃子 ねむ 以後
神帰り其座や袖の花鎮 言水
神帰る心ほのぼの地酒くむ 山根村笛
野に焚くは帰山の田神送る火か 佐野美智

以上
by 575fudemakase | 2014-11-30 00:43 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)



例句を挙げる。

うしろより凩逃す俳諧師 小林康治
おだやかな凩なんぞ忘れをり 高木晴子 花 季
けふは凩のはがき一枚 種田山頭火(1882-1940)
それ以後の凩胸に棲みつきぬ 石川文子
どこからも見え凩の木となりぬ 辻美奈子
はじめての凩の夜や海近づく 大林清子
ひそと泣けり凩に頬殴られて 皆川白陀
ひときはは凩ちかきひぢ枕 三好達治
ひとところ凩のみちあけておく 小島花枝
ふたりして岬の凩きくことも 大木あまり(1941-)
めつむりて凩をきくとにもあらず 木下夕爾
もしジャズが止めば凩ばかりの夜 寺山修司 未刊行初期作品
やわらかに凩を包み絹という 和田悟朗
ポプラの木凩去りてマッチ棒 吉田茂子
三椏と知る凩の熄みし枝 耕二
亡き人のこゑとも海の凩は 橋本榮治 麦生
人界を去る魂のあり凩と 文挟夫佐恵 雨 月
今日も事なし凩に洒量るのみ 山頭火
先生の亡き世凩吹き放題 今瀬剛一
内明りする土間の土凩す 内田百間
冬の蝶凩の里に飛びにけり 室生犀星 魚眠洞發句集
凩がうばふひとりの夜の影 八束
凩が凩を追ひフーガ果つ 岡田日郎
凩が吹き寄せし人バスを待つ 嶋田摩耶子
凩が奪ふ孤りの夜の影 石原八束 秋風琴
凩が目にしむゆゑに涙ぐみ 下村梅子
凩じみた風地のものを掃らつて畑道 梅林句屑 喜谷六花
凩となりぬ蝸牛の空せ貝 榎本其角
凩と父の呼吸の鬩ぐに耐へ 野澤節子 黄 瀬
凩と観じてしばしをりにけり 京極杞陽
凩にあらそふごとし鐘の声 高井几董
凩にうち沈みたる小家がち 尾崎陽堂
凩にうめる間寒き入り湯かな 荊口 十 月 月別句集「韻塞」
凩にこころさすらふ湯呑かな 鍵和田釉子
凩にころぶ夕べのバケツかな 京極杞陽 くくたち上巻
凩にしつかりふさぐ蠣の蓋 正岡子規
凩にすくてぞ鮭はからびけん 柴浅茅
凩にひろげて白し小風呂敷 芥川龍之介 我鬼窟句抄
凩にも木にも誇張のある如し 相生垣瓜人 微茫集
凩に三味も枯木の一ツ哉 正岡子規
凩に二日の月のふきちるか 荷兮
凩に何やら一羽寒げなり 杉風
凩に光る口舌のうらおもて 松澤昭 神立
凩に出づる髪の根ひきしまり 田畑美穂女
凩に削ぎ落とされし街の景 高澤良一 随笑 
凩に匂ひやつけし返り花 松尾芭蕉
凩に吹き落されな馬の尻 正岡子規
凩に吹れてたつやかがみ山 立花北枝
凩に吾をくろがねの像とし行く 竹下しづの女句文集 昭和二十四年
凩に壁塗る足場揺れやまず 平間彌生
凩に大提灯の静かさよ 正岡子規
凩に富嶽百景抛りだす 松澤昭 山處
凩に早鐘つくや増上寺 夏目漱石 明治二十九年
凩に星かたまりて乏しかり 阿部みどり女
凩に晝行く鬼を見たりけり 石井露月
凩に木の股童子泣く夜かな 大須賀乙字(1881-1920)
凩に杖を進むる捨聖 高澤良一 随笑 
凩に根深尖りて並びけり 人間を彫る(裸木第一句集) 大橋裸木
凩に桑畑柿の畑も無し 百合山羽公 故園
凩に浅間の煙吹き散るか 高浜虚子
凩に物貯へむ土掘りつ 石井露月
凩に狸の鼻の乾き鳧 内田百間
凩に生きて届きし海鼠かな 石井露月
凩に練で御はす仁王哉 夏目漱石 明治二十八年
凩に置き忘られし赤鳥居 柴田白葉女
凩に菅笠たつる旅寝かな 越人
凩に菊こそ映ゆれ田居辺り 芝不器男
凩に詠唱さるる夜の娼家 松澤昭 神立
凩に身内の襞を深うせり 国枝栄子
凩に追はるゝ如く任地去る 永田青嵐
凩に雲のそびえやもらひ雨 水田正秀
凩に面を上げて歩きけり 里見宜愁
凩に頭巾忘れてうき身かな 黒柳召波 春泥句集
凩に顔あはせゐる嬉しさよ 仙田洋子 橋のあなたに
凩に鯨潮吠く平戸かな 夏目漱石 明治二十八年
凩に鰒ひつさげて高足駄 泉鏡花
凩に鰓吹るるや鈎の魚 與謝蕪村
凩のあたりどころやこぶ柳 内藤丈草
凩のあとはしづかな人枯らし 高柳重信
凩のあとやまことに山と川 古白遺稿 藤野古白
凩のあと満月が木に懸り 佐藤鬼房 何處ヘ
凩のいづこガラスの割るゝ音 梶井基次郎
凩のかまどの火色匂ふかな 高木静花
凩のさびしい喉をして眠る 対馬康子 純情
凩のしきりにつのる入日哉 志慶
凩のとほくを攻めてゐたりけり 石田郷子
凩のはたとやみたる枝の先 藤岡筑邨
凩のはては有けり海の音 言水
凩のひつかかりゐる峠の木 原裕 正午
凩のふけてゆく澄んでくる心 山頭火
凩のまがりくねつて響きけり 夏目漱石 明治三十二年
凩のまじりて吹くか秋の雲 中村史邦
凩の一夜に山の色奪ふ 宇川紫鳥
凩の一日吹いて居りにけり 涼菟
凩の上に物なき月夜哉 夏目漱石 明治二十八年
凩の上野に近きいほりかな 正岡子規
凩の下にゐろとも吹かぬなり 夏目漱石 明治三十四年
凩の中に灯りぬ閻魔堂 川端茅舎
凩の中より月の升りけり 正岡子規
凩の中一途ゆく鳥とならめ 能村登四郎
凩の創はみずみずしきみどり 永末恵子
凩の吹きかはりゐる外廁 原裕 新治
凩の吹ききはまりし海の紺 深見けん二
凩の吹きはらしたる鐘の色 未灰句集(未灰句集第一集) 渡邊未灰
凩の吹きゆくうしろすがたかな 服部嵐雪 (1654-1707)
凩の吹き初め奈良の夜空見ゆ 右城暮石
凩の吹き抜けし朝晴れ渡り 稲畑汀子
凩の吹くべき松も生えざりき 夏目漱石 明治三十二年
凩の地にも落さぬ時雨かな 去来
凩の地迄落さぬしぐれかな 向井去来
凩の夜のくちづけでありしかな 金子笛美
凩の夜のでこぼこの路と思ふのみ 原田種茅 径
凩の夜の口づけでありしかな 高橋笛美
凩の夜の鏡中に枕みゆく 柴田白葉女
凩の夜天の端や輜重行 齋藤玄 飛雪
凩の安曇野藁塚の堪へ性 藤岡筑邨
凩の尻吹き上げる厠かな 会津八一
凩の山に日あるや厠出て 飯田蛇笏 山廬集
凩の峰は剣の如くなり 夏目漱石 明治三十二年
凩の庭の折戸をあほる音 寺田寅彦
凩の我影を吹く障子かな 古白遺稿 藤野古白
凩の抜けて明るき雑木山 安藤まこと
凩の拾へさうなる星ばかり 宮津昭彦
凩の日がなうそぶく御陵かな 下村梅子
凩の明家を猫のより処 正岡子規
凩の時間を炒め厨人 田川飛旅子 『山法師』
凩の果てはありけり海の音 言水
凩の果てみちのくの果に住む 小川 眞砂二
凩の果の夕空血が滲む 登四郎
凩の棲む刈萱を背負ひあぐ 羽部洞然
凩の横に引する砲車かな 尾崎紅葉
凩の樹を木鼠のはひ下りる 高田蝶衣
凩の死角一灯生きてをり 植田暁生
凩の残すものなく千枚田 小川 浩
凩の沖へとあるる筑紫潟 夏目漱石 明治三十一年
凩の浄林の釜恙なきや 子規句集 虚子・碧梧桐選
凩の海道山の中辿る 百合山羽公 寒雁
凩の消え門川のながれゐる 京極杞陽 くくたち下巻
凩の温泉の客稀に来りけり 露月句集 石井露月
凩の煙突に鳴る夜半哉 寺田寅彦
凩の燈を置ける机かな 阿部みどり女
凩の琴立てられて木に還る 渋谷道
凩の町に貧しき曲馬来し 佐藤郷雨
凩の磧はるかに瀬をわかつ 川島彷徨子 榛の木
凩の空見なほすや鶴の声 去来
凩の耳に詰りし別れかな 羽部洞然
凩の裏の山から鳴て来る 寺田寅彦
凩の身は七とせや像の雛 中村史邦
凩の鐘楼危ふし巌の角 夏目漱石 明治三十二年
凩の雨戸たゝくや夜もすがら 寺田寅彦
凩はやむ間あり海鳴りはやまず 福田蓼汀 秋風挽歌
凩は賽の磧の石飛ばす 福田蓼汀 秋風挽歌
凩は高野聖を掴みけり 野村喜舟 小石川
凩も亦風神の司る 伊藤柏翠
凩も袋にひとつ葉抹香 昌夏 選集「板東太郎」
凩も負けて太鼓の木魂かな 正岡子規
凩やいづこを鳴らす琵琶の海 牧童
凩やかぎりしられぬ星の数 加藤秋邨 野哭
凩やかつて袂は泣くために 今瀬剛一
凩やからまはりする水車 中川宋淵 詩龕
凩やこの頃までは萩の風 與謝蕪村
凩やこぼれて昼の牛の声 園女 俳諧撰集玉藻集
凩やしかと空也の足の趾 田口風子
凩やつぶての如く夕雀 福田蓼汀 山火
凩やとまり烏の横にゆく 井上井月
凩やはみ出てあかき藪の荊 鳥越等栽
凩やはやめに入れる孤りの燈 鈴木しづ子
凩やはるかな星のやうにひとり 渡辺夏代
凩やまた空耳の母を前 石川桂郎 含羞
凩やみつめゐたるは心の坂 長谷川朝風
凩やみづうみけふも草のいろ 中田剛 珠樹
凩や京の揚屋のはこばしご 久保田万太郎 流寓抄
凩や人のいのちの消ゆるとき 山口青邨
凩や何をたよりの猿おがせ 蕪村遺稿 冬
凩や倒れざまにも三ツ星座 芝不器男
凩や出ずに済ませばそれなりに 藤浦昭代
凩や出でしばかりの月吼ゆる 吉原文音
凩や切りて血も出ぬ冷凍魚 浅見さよ
凩や列車降りなば妓買はむ 原石鼎
凩や割箸を持たされしまま 佐々木六戈 百韻反故 初學
凩や動かぬ雲の北に見ゆ 四明句集 中川四明
凩や勢田の小橋の塵も渦 其角
凩や南大門昔顛倒 野村喜舟 小石川
凩や厨の棚に柚子一つ 松村蒼石 露
凩や厩の窓に月のさす 吉田冬葉
凩や吹き静まつて喪の車 夏目漱石 明治三十四年
凩や喪を終る日の袖の上 中村史邦
凩や土橋の元の立佛 寺田寅彦
凩や坂町で買ふ障子紙 月舟俳句集 原月舟
凩や夜襲のごとく貨車過ぎる 鈴木 映
凩や大葬ひの町を練る 芥川龍之介
凩や天狗が築く一夜塔 泉鏡花
凩や女按摩と詩の話 田川飛旅子 『植樹祭』
凩や妙義が岳にうすづく日 村上鬼城
凩や宮の鼓の片颪 椎本才麿
凩や富士の裾野を吹きまくる 古白遺稿 藤野古白
凩や居退りて遠き人の上 石塚友二 方寸虚実
凩や山の終バス昼に発ち 今井真寿美
凩や山吹の葉の黄に染みて 小澤碧童 碧童句集
凩や岩に取りつく羅漢路 夏目漱石 明治三十二年
凩や崖下はよき日向ぼこ 野村喜舟 小石川
凩や常灯明のしんかんと 一茶 ■文政七年甲甲(六十二歳)
凩や廣野にどうと吹起る 蕪村遺稿 冬
凩や弦のきれたる弓のそり 夏目漱石
凩や往来をひた走る鶏 内田百間
凩や怪しき雲のたゝずまひ 寺田寅彦
凩や我が掌のうらおもて 重信
凩や手して塗りたる窓の泥 鬼城
凩や手の平立てる妙義山 中村史邦
凩や抽斗に物の香の籠める 内田百間
凩や散りゆく人に星の濃し 石昌子
凩や日も照り雪も吹散らし 樗良 (粟津原馬上吟)
凩や星吹きこぼす海の上 正岡子規
凩や昼は淋しき廓道 正岡子規
凩や月はね上げし大江山 細井翠湖
凩や木となり草となり父は 西川徹郎 瞳孔祭
凩や木馬の轡ひとり鳴る 四明句集 中川四明
凩や東京の日のありどころ 芥川龍之介 我鬼窟句抄
凩や枯葉する~と馳り出す 寺田寅彦
凩や枯葉の走る塔の屋根 寺田寅彦
凩や桑原に入りて馬車徐行 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
凩や水こし桶に吹きあつる 村上鬼城
凩や水涸れはてて石を吹く 稿本虚子句集 高濱虚子・今村一聲編
凩や池のちりぢり夕讃岐 今井誠人
凩や沖よりさむき山のきれ 榎本其角
凩や浪の上なる佐渡ヶ島 伊藤松宇
凩や海に夕日を吹き落す 漱石
凩や海の深きの迷路まで 対馬康子 吾亦紅
凩や海日夕日を吹き落す 漱石俳句集 夏目漱石
凩や漁翁が鯉の美しき 野村喜舟 小石川
凩や焦土の金庫吹き鳴らす 楸邨
凩や煖炉にいもを焼く夜半 子規句集 虚子・碧梧桐選
凩や煮つけて魚の身の脆き 丸山靖子
凩や牛の鼻先向きかはる 加藤楸邨
凩や牛馬は歩く度に光る 加藤知世子
凩や田より田にゆく水のおと 木導 俳諧撰集「有磯海」
凩や病む眼底の灯は淡し 中山春三
凩や目刺に残る海の色(六年) 芥川龍之介 我鬼句抄
凩や真赤になつて仁王尊 夏目漱石 明治二十八年
凩や眼のひからびる夜なべの灯 木歩句集 富田木歩
凩や眼をつむりたる馬の上 古白遺稿 藤野古白
凩や窓にふき込むみそさざい 蘭芳 芭蕉庵小文庫
凩や築地の内の藪の音 野村喜舟 小石川
凩や練兵場の砂けむり 寺田寅彦
凩や船の灯までが閨に射す 小林康治 玄霜
凩や芭蕉の緑吹き尽す 正岡子規
凩や花子(こじき)の宿の戸にさはる 黒柳召波 春泥句集
凩や荷馬ひしめき城に入る 四明句集 中川四明
凩や葎を楯に家鴨二羽 子規句集 虚子・碧梧桐選
凩や蔀下ろして山河断つ 野村喜舟 小石川
凩や蝉も栄螺もから許り 正岡子規
凩や西にかかりし昼の月 今井杏太郎
凩や覗いて迯ぐる淵の色 蕪村
凩や赤城の神は火の中に 野村喜舟 小石川
凩や路上とびくる反古を踏む 森田峠 逆瀬川以後
凩や遠き帆船の国の声 対馬康子 愛国
凩や里の子遊ぶ九品仏 野村喜舟 小石川
凩や鉋屑舞ふ普請小屋 寺田寅彦
凩や鐘引きすてし道の端 子規句集 虚子・碧梧桐選
凩や開墾小屋の豆ラムプ 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
凩や陶窯に火の音まはる 加藤知世子 花寂び
凩や雲吹き落す佐渡の海 会津八一
凩や雲吹き落す海のはて 正岡子規
凩や雲裂けて星あらはれぬ 会津八一
凩や雲裏の雲夕焼くる 臼田亞浪 定本亜浪句集
凩や馬に物云ふ戻り道 二葉亭四迷
凩や馬のたてがみ脱色せり 宇多喜代子
凩や馬を犒ふ小百姓 露月句集 石井露月
凩や馬現はれて海の上 松澤昭
凩や鳶にとびつく野の鼬 廣江八重櫻
凩や鴉の口のがらんどう 高浦銘子
凩よ世に拾はれぬみなし栗 榎本其角
凩を入れず燈火をながさぬ戸 京極杞陽 くくたち下巻
凩を拒んでゐたる杭頭 大木あまり 火球
凩を杖に突きけり老の坂 智月 俳諧撰集玉藻集
凩を来てしばらくはもの言はず 青柳志解樹
凩を来て末席におし黙る 吉本 昴
凩を歩く夢中の中にをり 嶋田一歩
凩を海へ掃き出す子らの声 新開一哉
凩を父流水を母の声 千代田葛彦 旅人木
凩を連れて帰るよひとりの部屋 菖蒲あや 路 地
凩を連れ出す坂東太郎かな 坂本坂水
凩夜を荒れて虚空火を見る浅間山 子規句集 虚子・碧梧桐選
凩空見なをすや鶴の声 向井去来
君とあらば凩の世も面白や 寺田寅彦
夕凩にぼんぼり灯り灯りつぐ 永井龍男
夜もしろき凩滝をさかのぼる 石原舟月
大佐渡の軋む凩はじまれり 渡邊千枝子
子を抱く猿に凩ながきかな 吉田紫乃
寝た下を凩づうん~哉 一茶 ■文政七年甲甲(六十二歳)
屋根越えし凩森を得しきこゆ 篠原梵 雨
巨星隕ちぬ凩しんと身に透る 石塚友二 方寸虚実
年々や凩吹て尖る山 夏目漱石 明治三十二年
怖ろしき凩に子の遊ぶなり 松澤昭 神立
戦争が過ぎ凩が過ぎにけり 藤田湘子
摘みけんや茶を凩の秋とも知らで 松尾芭蕉
教師一家が凩の箱舟に揺れゐるよ 柴田白葉女 『冬椿』『遠い橋』『岬の日』
明け方や凩とぎれ~吹く 寺田寅彦
時雨聞き凩を聞き磨崖仏 大橋敦子 手 鞠
月に暈うまれ凩吹きやみぬ 三村純也
木凩に梢の柿の残りかな 服部嵐雪
東京の凩われは田舎もの 石井とし夫
枝飛ぶや八幡様の凩に 岸本尚毅 鶏頭
枯枝が落つ凩の吹き熄む間 右城暮石 上下
榛の木に黒き凩来てゐたり 嶋田麻紀
灯を入れず凩つまる常夜燈 百合山羽公 寒雁
灯を消せば凩の底杉の声 柴田白葉女 花寂び 以後
父の耳遠き凩聴きゐたり 鈴木まゆ
父母の負債や古里の凩に村を押し出さる 橋本夢道
物は何凩の笠雪の簑 正岡子規
瑞檣山凩びかりしてゐたる 石田勝彦
病む母と凩の夜を覚めてゐし 大橋敦子 手 鞠
瞑りて聴くは凩太郎かな 根岸善雄
石の山凩に吹かれ裸なり 夏目漱石 明治三十二年
神将に天魔の吐息凩す 林翔
神楽舞ふ夜は凩の起るらし 佐川広治
空青し凩の序の楢くぬぎ 鈴木しげを
童子寝る凩に母うばはれずに 橋本多佳子
竹藪の外に川あり凩す 内田百間
耳に眼に凩を溜めたまふなる 相生垣瓜人 微茫集
胃痛むや憎みを移す夜凩 林原耒井 蜩
胸中の凩咳となりにけり(三汀の病を問ふ我亦時に病床にあり) 芥川龍之介 我鬼窟句抄
草千里より凩の湧くならむ 中田剛 珠樹以後
葦もつれあふ凩の戦あと 羽田岳水
蒙古高句麗凩が来る鬼が来る 文挟夫佐恵 遠い橋
藁塚の列凩太郎崩しけり 小椋 隆
詩僧死してただ凩の里なりき 夏目漱石 明治三十二年
読みさして聴ける凩挿話めき 高澤良一 随笑 
赤松や鳴る凩の幾重なる 池田澄子
路地出でし吾を凩の見逃さず 日置草崖
遊ぶ木のなき凩の我を打つ 折井眞琴
野の色と同じ色着て凩に 上崎暮潮
鏝の焼け試る頬ほてり凩す 内田百間
雨ともならず唯凩の吹き募る 夏目漱石 明治三十七年
骨白し抱いて眠らん凩の夜は 水島稔
ある日喇叭の如き木枯哀しとす 湘子
うす皮の天の一角木枯す 小形さとる
さわさわと木枯がくる薄い胸に 高桑弘夫
なつかぬ児なれど木枯掴み来る 梅田英子
ひとときは木枯ちかき肱枕 三好達治 柿の花
よその子をあやし木枯の顔ひりつく 田川飛旅子 花文字
ペン割れて木枯のあと吼える海 佐藤鬼房 海溝
ポケットベルより木枯しの似合ふひと 櫂未知子 貴族
一夜寝ず二夜ねむれず木枯す 相馬遷子 山河
三十年前のクレオパトラも木枯妻 橋本夢道 良妻愚母
三島忌の朝つぱらから木枯しす 山田みづえ 草譜
両替機札うばうごと木枯や 田中英子
中天に木枯の陽のありにけり 中川宋淵
京に飽きてこの木枯や冬住ひ 松尾芭蕉
今日の空あり一本の木の木枯 千代田葛彦 旅人木
再びの病衣木枯し吹きまどふ 小林康治 四季貧窮
初木枯ちりぢりの友集ひけり 高島秋潮
初木枯酒舟石を響すか 秋山素子
口切や木枯のけふ吹きそめし 森澄雄
句碑建つるな木枯をして吹かしめよ 永井龍男
回転扉木枯の身のつまづき入る 原田種茅 径
塩鮭に木枯吹いて暮れにけり 田中冬二 冬霞
夕焼と木枯を濾す硝子のビル 田川飛旅子
夜の木枯壁に人の名書きつらね 加藤知世子 黄 炎
大事がる柿の木枯て梅の花 高井几董
好晴の木枯が師を連れ去んぬ 岸田稚魚 筍流し
妻に触れざれば木枯の遠くゆく 千代田葛彦 旅人木
妻へ帰るまで木枯の四面楚歌 鷹羽狩行(1930-)
子ら置きて身は放埓の木枯に 柴田白葉女 遠い橋
寒柝に眠り暁木枯に覚む 齋藤愼爾
対岸の木枯は母呼ぶ声か 今瀬剛一
屋根裏へ木枯かよふ出水以後 近藤一鴻
巨き星めらめら燃ゆる木枯に 相馬遷子 山河
帝国ホテルまでつけてくる木枯 櫂未知子 蒙古斑
悪漢になるには木枯に負けぬこと 細谷源二
手の桑に木枯うたふ蚕飼神 加藤知世子 花寂び
拭きほそり名も木枯と言ふ茶杓 佐野美智
日日無帽にて木枯しが坂の上 河村四響
時雨木枯のあれあれて生れ出しもの 高浜虚子
朝のパン外の木枯を見つつ焼く 福田蓼汀 山火
木の家のさて木枯を聞きませう 高屋窓秋
木の根あり己が木枯を聴き澄まし 千代田葛彦 旅人木
木偶の目の夜は金色に木枯吹く 桂信子
木枯 木枯 ひらひらと侏儒の手 富澤赤黄男
木枯がしづまり母の庭仕事 林 やすお
木枯が先かかみそり研ぎが来たのが先か 細田源二
木枯が息するといふ静けさよ 良太
木枯が抱き来し音を海に解く 米澤吾亦紅
木枯が止みていちにち藁白し 萩原麦草 麦嵐
木枯が瞳の奥とほる娶らねば 小橋弘道
木枯が遠くの森をわたる音 長谷川素逝 砲車
木枯しが夜半のホームをつらぬきて隔たる記憶をゆすぶりやまぬ 野中圭
木枯しが知る海溝の深さかな 小澤克己
木枯しに逆らいにつつ目つぶれば狂暴の世のとめどなき渦 おおのいさお
木枯しの果はありけり海の音 言水
木枯しの目玉ぶつかりあう音す 北川邦陽
木枯しの空をナイフが翔んでゆく 黒川 鉛
木枯しの聞こゆる合わせ鏡かな 池田澄子
木枯しの落ちゆく先に夫の墓 中嶋秀子
木枯しはじまる烏帽子仰山にうごく 阿部完市 春日朝歌
木枯しや小学生の立ち話 藤堂洗火
木枯しや母の紅衣が嬰包み 林 翔
木枯しや竹に隠れてしづまりぬ 松尾芭蕉
木枯しを戻りし鼻の尖りけり 那須淳男
木枯とわれを去りゆくわれのあり 千代田葛彦 旅人木
木枯と星とが知つてゐるばかり 矢田部芙美
木枯にあをあをと時流れけり 後澤 啼鳥
木枯にさらはれたくて髪長し 熊谷愛子
木枯にすつくと起きて水を欲る 金尾梅の門
木枯にひろげて白し小風呂敷(六年) 芥川龍之介 我鬼句抄
木枯にむきて歩きぬ連れだちて 高木晴子
木枯にもつとも近く泣きてをり 岸田稚魚 『雪涅槃』
木枯に三日月炎えて米騰る 萩原麦草 麦嵐
木枯に乗りて鴎となりにけり 草間時彦 櫻山
木枯に何聞き出でし火桶主 島村元句集
木枯に吹かれて落ちる群雀 杉山青風
木枯に吹き片寄りし星座燃ゆ 小山草土
木枯に吹落されし杓子かな 中勘助
木枯に国ありあれば亡命す 高野ムツオ
木枯に夕日うかべる信濃口 龍太
木枯に岩吹きとがる杉間かな 松尾芭蕉
木枯に干さばやうき世かくれ蓑 中勘助
木枯に押されて我も人も行く 阿部みどり女
木枯に星の布石はぴしぴしと 上田五千石 田園
木枯に本尊のまなこ仰ぎけり 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
木枯に杖一本を遺しけり 橋本榮治 麦生
木枯に槇割の木玉響きけり 椎本才麿
木枯に死とは翼のあるものか 鳥越すみこ
木枯に水藍青の田二枚 相馬遷子 雪嶺
木枯に波のうち合ふ暗さかな 青木月斗
木枯に浅間の煙吹き散るか 高浜虚子
木枯に海辺を走る狂女かな 比叡 野村泊月
木枯に町二階鎖す日中かな 冬葉第一句集 吉田冬葉
木枯に素十の微塵わが吸ふか 平井照敏 天上大風
木枯に細き煙管を吸ふ女 京極杞陽
木枯に老い父足を曳き歩む 相馬遷子 山河
木枯に耳をち切られて伝単張だ 熊王徳平
木枯に草の実ほけてとびにけり 中勘助
木枯に見えぬ夜の湖見据ゑつつ 那須 乙郎
木枯に負けぬは松の力かな 湖柳
木枯に身より剥がるる思ひあり 是川淑子
木枯に進まぬ馬の尿かな 青峰集 島田青峰
木枯に電線喚めく裾野かな 会津八一
木枯に鳥流されてゆきにけり 日原傳
木枯のいよ~つのるみとりかな 五十嵐播水 播水句集
木枯のうち白めゆくや川の面 西山泊雲 泊雲句集
木枯のごつんごつんと赤ん坊 齋藤愼爾
木枯のさきぶれに空蒼ざめり 関森勝夫
木枯のしんがりにつく童子かな 石嶌岳
木枯のたそがれてきぬ酒の燗 小澤碧童 碧童句集
木枯のつのりきし夜の犬のなく 桝本 澄子
木枯のはじまる山の音といふ 松本陽平
木枯のひとは奈落に灯を抱き 富澤赤黄男
木枯のひと村ゆゆし大根注連 中勘助
木枯のべうべうわが家細りけり 篠田悌二郎 風雪前
木枯の一吹きごとの大銀杏 富樫美津子
木枯の一樹おのれを責めとほす ほんだゆき
木枯の上野の山を鳴て来る 寺田寅彦
木枯の下はいつでも屋根ばかり 仙田洋子 橋のあなたに
木枯の中にて父情くづれ易し 島田柊
木枯の中にわが家あり子を泣かせ 安住敦
木枯の中大根が切られをり 萩原麦草 麦嵐
木枯の中金色に秩父暮る 田中冬二 行人
木枯の作る風紋踏みてゆく 高濱年尾
木枯の個展二号に花咲かせ 古舘曹人 能登の蛙
木枯の又吹きつのり山に住み 高木晴子 晴居
木枯の口に吹き入る修那羅仏 古舘曹人 樹下石上
木枯の叱声めくや父に蹤き 伊藤京子
木枯の吹きにし箒つかみ出づ 斎藤玄 玄
木枯の吹きぬく松はよき木かな 小杉余子 余子句選
木枯の吹き初め奈良の夜空見ゆ 右城暮石 声と声
木枯の吹き抜けてゆく喪の花輪 林 瑠美

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by 575fudemakase | 2014-11-30 00:06 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
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尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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