2014年 12月 01日 ( 11 )

長谷川櫂句集「柏餅」を読んで

長谷川櫂句集「柏餅」を読んで
青磁社 2013.4.5

一年をここにはじむる机かな
雑司ヶ谷、鬼子母神
草餅やあはれここにも鬼の母
鶯餅羽ばたいて粉こぼしけん
桜貝などに心はなぐさまず
空に出てやあと挨拶雲の峰
青空にかくも小さき水着干す
涼しさのちょっと曲がって茶杓かな
火取虫大きな影の躍りゐる
どら焼の三笠山ありけふの月
金時の名もりうりうの鳴門芋
凩や海老せんべいに海老のかほ
蕎麦掻の腹おぼつかな雪の空
熱燗の力を借りて意見とや
丸餅も角餅もあり国の春
しろたへの富士をかたへに初仕事
九州を沈めて梅雨の上りけり
少年や海パン一丁あればよく
祇園会
こんちきちん煮ゆるがごとき京都かな
鉾は舟町は海なりえんやらや
大空はきのふの虹を記憶せず
雲はみな姿を変へて九月かな
掘り起こす大きな栗や栗ごはん
一夜ゐてあとはいづこへ鉦叩
川崎展宏全句集「春」
全句集小春日和の思ひあり


集中一句と云はれれば、
鉾は舟町は海なりえんやらや
を推したい。

以上
by 575fudemakase | 2014-12-01 17:56 | 句集評など | Trackback | Comments(0)

山眠る

山眠る

例句を挙げる。

いくたびも虹を吐いては山眠る 高野ムツオ
とある門に蒲団負ひ入り山眠る 皆吉爽雨
どつしりと座せと訓へて山眠る 太田土男
なきがらをねぎらひて山眠りけり 石原次郎
なほ青き牧を抱きて山眠る 澤田緑生
ひとかどの女の如し山眠る 守屋明俊
ひとりいる時はよく見え山眠る 鈴木六林男 後座
ふところにヨットハーバー山眠る 館岡沙緻
また次の千年京の山眠る 田山康子
みどり児にふしぎなにほひ山眠る 二階堂文子
よく焼けしうなぎの肝や山眠る 久保田万太郎 流寓抄
わたくしの前おほらかに山眠る 野末たく二
スケートの渦ふところに山眠る 前田 鶴子
チェロの音にベースを重ね山眠る 吉原文音
ロボットの犬を里子に山眠る 小平 湖
三界にはみだして山眠りけり 村中[トウ]子
二三日よく晴れて山眠りけり 細川加賀 生身魂
五六戸のためのポストや山眠る 水本祥壱
五六戸の狩宿かゝへ山眠る 鈴間斗史
仏眼のまつすぐに山眠りをり 永方裕子
凍らざる湖の謎山眠る 大和あい子
切り売りの大糯菓子に山眠る 有馬朗人 耳順
十二経奇経八脈山眠る 佐々木六戈 百韻反故 初學
十団子や寺のまはりに山眠り(宇津谷慶竜寺) 細川加賀 『玉虫』
南面に残せる放馬山眠る 皆吉爽雨
喪服脱がぬ鶺鴒に山眠りをり 堀口星眠 営巣期
土いまだ木の葉のかたち山眠る 正木ゆう子
城趾山眠る黒本尊とともに 松村蒼石 雁
塩炒つてぬくめる腹や山眠る 龍岡晋
墨壺の糸ぴんぴんと山眠る 長谷川双魚 『ひとつとや』
売れぬ機織る窓や山眠りけり 石島雉子郎
夏も殷も周も滅びて山眠る 角川春樹
夕日背に黒々と山眠りたる 稲畑廣太郎
夜よりも昼深々と山眠る 古住蛇骨
大いなる足音きいて山眠る 前田普羅 飛騨紬
太陽をうたがはず山眠りけり 大木あまり 雲の塔
奥へ奥へ夕日を送り山眠る 大野林火
妻の骨ひそと納めて山眠る 本井英
密猟の漢を隠し山眠る 星野秀則
山々に囲まれて山眠りをり 茨木和生 丹生
山吹の黄葉ひら~山眠る 前田普羅 飛騨紬
山帰来の実のつやつやと山眠る 近本セツ子
山眠りいづこへ帰る谺なる 影島智子
山眠りいま遠き川遠き村 中村苑子
山眠りいよいよ黒き自在鉤 倉田晴生
山眠りかけては大き音起つる 上田五千石
山眠りけり係長は働けり 櫂未知子 貴族
山眠りけり刺枯るゝ猿いばら 松根東洋城
山眠りけり白樺は一本立 村越化石 山國抄
山眠りけり眠れざる虫の翔ぶ 藤原かつ代
山眠りこけしばかりが棲める村 井沢正江 湖の伝説
山眠り句碑それぞれに眠りをり 神九六
山眠り大原は煙あぐる見ゆ 岸風三楼 往来
山眠り子供の服のあざやかな 岸本尚毅 舜
山眠り孫は大きく育ちけり 阿部みどり女 笹鳴
山眠り寺の硯の大凹み 大峯あきら 鳥道
山眠り尾のごときみち垂れさがり 村越化石 山國抄
山眠り日月眠りをらざりし 吉年虹二
山眠り椎の実あまた降らせたり 楠本憲吉
山眠り流木砂に埋れをり 大峯あきら 鳥道
山眠り激流国を分ちたる 松本たかし
山眠り火の見へ空のかたよれり 宮津昭彦
山眠り火種のごとく妻が居り 村越化石
山眠り石で囲ひし楮畑 大峯あきら 鳥道
山眠り神は内より閂す 殿村菟絲子 『晩緑』
山眠り遠まなざしのこけしたち 浦木やす子
山眠り雑木ひとしく命ため 阿部みどり女 月下美人
山眠るいたるところに忍び釘 仁平勝 東京物語
山眠るけだしや夢も山の夢 高橋睦郎 荒童鈔
山眠るごとくに臥すか牛として 赤尾兜子
山眠るさまを身近に眠りけり 杉山岳陽
山眠るその懐に碧き沼 柴田奈美
山眠るでかんしょ節で囃しても 梅原富子
山眠るときどき甘き匂ひして 仙田洋子 雲は王冠以後
山眠るとはよく水に映ること 今瀬剛一
山眠るなめくぢ一つ大きくて 岸本尚毅 舜
山眠るはざまの駅に下り立ちし 柴田宵曲
山眠るまばゆき鳥を放ちては 山田みづえ 木語
山眠るや大往生の姿我 松根東洋城
山眠るや山彦凍てし巌一つ 松根東洋城
山眠るや谷空一仙鶴の背に 松根東洋城
山眠るガラス工房懐に 北原富美子
山眠る一と焔にて檜燃え 神尾久美子
山眠る中に貴船の鳥居かな 高浜虚子
山眠る交通止めの札立てて 宮田俊子
山眠る信濃や鯉の飴煮食ひ 石嶌岳
山眠る信玄側に寝返りて 佐々木六戈
山眠る光の音を聴きながら 仙田洋子 雲は王冠
山眠る切支丹墓千と抱き 山本杜城
山眠る厨房熊のししむらも 浦野芳南
山眠る噴火の怖ささらしつつ 安原葉
山眠る噴火名残の蒸気上げ 上柿照代
山眠る四条大橋渡りけり 都筑智子
山眠る夕日の溜り場をふやし 村越化石
山眠る大和の国に来て泊る 山口青邨
山眠る大鋸かかる御師の門 福田蓼汀 秋風挽歌
山眠る如き心に在らばやな 高田蝶衣
山眠る如く机にもたれけり 高浜虚子
山眠る岡山兵庫国境 吉屋信子
山眠る恋の終りを見届けて 黛まどか
山眠る星の投網を打つごとく 神蔵 器
山眠る机の疵の一つならず 鈴木真砂女 夕螢
山眠る柩にならうとする木々も 中原道夫
山眠る浮世絵いろの夕焼に 朝倉和江
山眠る温泉のまちの人やさし 上村占魚 鮎
山眠る湾をいだいて御用邸 雑草 長谷川零餘子
山眠る田の中の道犬走り 山口青邨
山眠る百姓納屋にはひりけり 橋本鶏二 年輪
山眠る真白き山もその奥も 岡田きよ
山眠る眠るは己れかも知れず しかい良通
山眠る石仏無韻の鈴を振り 福田蓼汀
山眠る神話の星が語りだし 宇咲冬男
山眠る罠がどこかにありさうな 藤本始子
山眠る肋に似たる非といふ字 後藤兼志
山眠る若き木地師の眼澄み 館岡沙緻
山眠る行く人なしの道入れて 上田五千石 琥珀
山眠る身幅ほどなる木戸坂も 大岳水一路
山眠る間に璞玉掘り出せり 柴田奈美
山眠る飛騨の質屋の暖簾かな 柑子句集 籾山柑子
山眠る駅に一人の改札員 八巻絹子
峠越す僧形に山眠りけり 金尾梅の門 古志の歌
帯のごと頽雪どめして山眠る 前田普羅 飛騨紬
干菜風呂に祖母のこゑして山眠る 伊東美也子
廃坑にこのごろ月や山眠る 宮武寒々 朱卓
弘法の井のあたゝかさ山眠る 森田峠 逆瀬川
御配流と伝ふ帝の山眠る 猿渡青雨
手習のまつくろ草紙山眠る 龍岡晋
撞くごとに違ふ鐘の音山眠る 鍵和田[のり]子
日あたりの海ほか~と山眠る 尾崎紅葉
朝鮮も満州もなく山眠る 遠藤梧逸
木も草もいつか従ひ山眠る 桂信子
本陣の跡形もなく山眠る 坪井のぶ子
枝打ちの梯子残して山眠る 冨田みのる
柚子打のこゑ遠近に山眠る 古賀まり子 緑の野以後
柳生道浮びおちいり山眠る 井沢正江 一身
残照に頂染めて山眠る 孤村句集 柳下孤村
母ここに育ちし窓や山眠る 深見けん二
水涸れし磧のはてに山眠る 田中冬二 麦ほこり
水白う逝くいぶかしや山眠る 尾崎迷堂 孤輪
法の山眠るに打つて出たる星 赤松[けい]子 白毫
海底の火の山眠る海鼠かな 龍岡晋
湖の映さば映せ山眠る 尾崎迷堂 孤輪
湖艇去る笛こだまして山眠る 宮武寒々 朱卓
滅びたる狼の色山眠る 矢島渚男
火の窯を懐にして山眠る 小木曽かね子
火事注意の看板かかげ山眠る 金元喜代子
火噴くことなほつゞけをり山眠り 高浜年尾
炭竃に塗り込めし火や山眠る 松本たかし
父祖眠る山を抱きて山眠る 福田蓼汀 秋風挽歌
牧水の歌の一つの山眠る 児玉 菊比呂
狛犬に乳房が六つ山眠る 仙 とよえ
生きものの音をたしかめ山眠る 桂信子 遠い橋
白妙の御岳かこみ山眠る 和田錠女
百姓に教へて倦まず山眠る 露月句集 石井露月
百禽のこゑを華とし山眠る 大岳水一路
盗伐の人に許して山眠る 日置草崖
眠る山眠らせ歌ふ子守唄 永峰久比古
眠れざる山山眠るなどといふな 川代くにを
睡迹の神列なりて山眠る 大西淳二
短針のりて進み山眠る 松山足羽
硝子戸にはんけちかわき山眠る 久保田万太郎 流寓抄
窓口に嵌めこまれたる山眠る 瀧井孝作
窯中に紅蓮の炎山眠る 上田佳久子
笠を編む麓の村や山眠る 内田百間
笠編むをたつきの村や山眠る 金尾梅の門 古志の歌
筬音のひとつが残り山眠る 神尾久美子
紅を失ひつゝや山眠る 高木晴子 花 季
結跏趺座かさなりて山眠りけり 持田石映
縄跳びのこゑのむかうで山眠る 鈴木蚊都夫
缶コーヒー膝にはさんで山眠る 津田このみ
老い母の背なのまろさの山眠る 伊藤白潮
背負ひたる子の温もりや山眠る 松山 敏子
茅堂に一尊おさめ山眠る 荒井正隆
荘守の声からからと山眠る 古賀まり子
落石の余韻を長く山眠る 片山由美子 雨の歌
落葉みな万骨となり山眠る 楠本憲吉
薄目せる山も混りて山眠る 能村登四郎
藁塚は皆かたむきぬ山眠る 大谷句佛 我は我
谿へだて山眠りゆく馬頭仏 林翔 和紙
銃声を呑みて熊野の山眠る 坂口 麗峰
銃身にけものの匂ひ山眠る 森田かずや
長城や烽火連ねし山眠る 有馬朗人 天為
長老の葬列長し山眠る 杉本寛
陣中の山眠りけり盾を前 雑草 長谷川零餘子
青空や道に巻かれて山眠る 鈴木六林男 王国
頂の湖の真晴や山眠る 東洋城千句
鬱に入る教師へ低く山眠る 金箱戈止夫
鳰潜きあとの無音に山眠る 野見山ひふみ
ビスケット皿におかれて山ねむる 浦川聡子
山ねむるかたきこもると指すは遠く 長谷川素逝 砲車
山ねむる山のふもとに海ねむるかなしき春の国を旅ゆく 若山牧水
海底の火の山ねむる海鼠かな 龍岡晋
神にして三輪山ねむることもなし 大島民郎
じねんじよや虚子も年尾も眠る山 稲畑廣太郎
ふかぶかと眠る山みな無名なり 堀口星眠 営巣期
一水も無き川眠る山縫へり 阿波野青畝
初鶏のなほ眠る山従へて 原裕 新治
浮雲の影が通りて眠る山 稲畑汀子
湖の舟舫ふは眠る山の石 大岳水一路
父祖眠る山を抱きて山眠る 福田蓼汀 秋風挽歌
眠る山と湯婆を裾にねむらなむ 村越化石 山國抄
眠る山に入り眠られてしまひけり 渡辺恭子
眠る山の水しぼり取る筧かな 野村喜舟 小石川
眠る山の麓に据ゑぬ製縄機 比叡 野村泊月
眠る山まだ眠るには間ある山 高木晴子 花 季
眠る山より松一本を抱え来る 寺井谷子
眠る山よリ松籟と友の声 楠本憲吉
眠る山今かゞやくや雪晴れ間 高濱年尾 年尾句集
眠る山夕日ころりと落ちにけり 鷲谷七菜子
眠る山或日は富士を重ねけり 水原秋櫻子
眠る山樵夫筆立を鳴らしけり 前田普羅
眠る山湯の脈ここにみちびかれ 上田五千石 田園
眠る山父情はかなくも動かざる 樋口英子
眠る山狸寝入りもありぬべし 茨木和生 野迫川
眠る山眠らせ歌ふ子守唄 永峰久比古
眠る山紺紙槿みたるごとくなる 阿波野青畝
眠る山老僧に友無かりけり 高田蝶衣
眠る山薄目して蛾を生みつげり 堀口星眠
眠る山親しも人に疲れ来て 小松崎爽青
眠る山起こさぬやうに骨納め 佐々木忠利
眠る山起さぬやうに数珠をもむ 丸山佳子
眠る山飛泉の声も細りけり 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
眠る山黐埋め穴に埋め終へし 内田百間
蛇眠る山より蒸気たちのぼる 柿本多映
鳶大きく影を落とすや眠る山 青峰集 島田青峰
山ねむる山のふもとに海ねむるかなしき春の国を旅ゆく 若山牧水
あまた木を立たせて山の眠るかな 福井隆子
おのが名を忘れて山の眠りをり 栗原稜歩
こころもち山の眠れる村の中 岡井省二
とぢし眼のうらにも山の眠りけり 木下夕爾
ぬく~と若草山の眠りけり 竹冷句鈔 角田竹冷
ふるさとの山の眠りに和し給ふ(相馬遷子一周忌) 殿村菟絲子 『晩緑』
ほとけ名の山の眠りの鏡の間 岡井省二
山葵田をはさみて山の眠りけり 八木林之介 青霞集
拭きし皿重ねて山の眠りけり 和田耕三郎
浮く雲にもつこり山の眠りけり 中川宋淵
牛にあらず二上山の眠るなり 前田普羅
牧牛を帰して山の眠りけり 石野冬青
田を売りて求めし山の眠るなり 影島智子
筬の音山の眠りを誘ひけり 朝倉和江
金泥経蔵して山の眠りゐる 菊地一雄
鳥つぶて放ちて山の眠りけり 酒井みゆき
鴛鴦眠り山の眠りのつのるなり 松山足羽
さめぬなりひとたび眠りたる山は 京極杞陽
ときに発破掛け全山を眠らせず 上田五千石 田園
キャラバンの疾風に眠る鹽の山 横光利一
ショベルカー眠れる山を削りとる 熊倉 猷
ペンシヨンは眠りし山に扉を閉ざし 山田美知子
一鳥だに鳴かず眠りに入りし山 茂里正治
人に情眠れる山に流かな 松根東洋城
伐採の阿修羅の山も眠りたる 大岳水一路
借景の山も如来も眠りけり 渡辺恭子
十三陵眠らしめ山粧へる 西村和子 窓
大き夢見てゐる山のよく眠る 三宅 桂
大和路に眠らぬ山もありにけり 山下年和
富士の根に眠りかなしむ山幾重 赤松[ケイ]子
寒念仏眠りし山にこだませる 小野 淑
帰り来て山と眠るやもとの塚 内藤丈草
斧もまた山と眠りを同じうす 大岳水一路
日の下に神の眠りの故山かな 吉武月二郎句集
氷眠の山もあるべし白菫 大木あまり 雲の塔
波郷病む火の山浅間眠る間も 殿村莵絲子 牡 丹
火の山の北に眠るは隠居倉山 福田蓼汀 秋風挽歌
火の山や噴煙あげしまま眠り 水原 春郎
父祖の地に眠れる山よ枯れし野よ 成瀬正とし 星月夜
眠らざる雲中の山が普羅の山 原田喬
眠りたる富士や裾野に滝授け 百合山羽公 寒雁
眠りたる山の寝息とおもふ風 朝倉和江
眠りたる山の深さに踏み入りし 黒米松青子
眠りたる山ひゞかせて岩くだく 五十嵐播水 播水句集
眠りつつ山相怒る妙義かな 轡田進
眠りゆく但馬の山は泣きながら 京極杞陽
眠りゆく山懐に独り住む 坂井建
眠りゐる青畝の詠みし寝釈迦山 増成栗人
眠り覚めたる悪相の山ひとつ 飯田龍太 遅速
眠るべき山は裾野に駅をおく 椎橋清翠
眠れたるよろこびに葡萄みづ~し 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
眠れねば鷹くるといふ骨山を 宇佐美魚目 天地存問
石鼎忌眠りし山のあるばかり 角川春樹
祖父のみの眠れる山に墓参かな 岸風三楼 往来
神の山仏の山も眠りけり 竹村忠吉
穂芒や丸く眠れば山の夢 大木あまり 山の夢
端正に山は眠りに入らんとす 永倉しな
笑ひをり麥草眠る寝釋迦山 八木林之介 青霞集
肌ぬくし眠り入らむとする山の 矢島渚男 采薇
肘張りて眠れる山の比叡かな 岸風三楼 往来
背山まだ眠れぬさまに彩れる 稲畑汀子
芝原が眠れる山のいたゞきに 橋本春霞
虚子います比叡は眠りに入りぬべし 由山滋子
蝌蚪生るまだ眠たさの山四方に 前田鶴子
遠きとほき山ほど眠る容ちして 鈴木真砂女 夕螢
銃口や深く眠れる山に向き 池田秀水
高き山低きを抱きて眠りけり 前田圭子
鬼に酒酌ませて山は眠りたる 稲生正子
鳥放ち山は眠りに入らむとす 桂信子 樹影
鹿狼山朝月かかげ眠りけり 阿部みどり女

以上
by 575fudemakase | 2014-12-01 00:53 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

12月の拙句

12月の拙句

ねずみのこまくら句会 14年間の12月投句の拙句をリストアップする。


2013年
じゃんけんをしたがる蜆蝶二つ  
挨拶のこゑまで縮む寒さかな  
餅を切ること無くなりぬちゃんちゃんこ  
初鵙のなかなかだうして意地っぱり  
冬雨としての謙虚さ具へをり  
尖裂ける焔見つめて十二月  
踏切にて極月の風啖ひけり  
東京湾ひたすら青きまゝ冬へ  
野を吹きて何がなんでも枯らす風  
一切を一ッの色につつむ霜

2012年
強霜の天に敵対するごとし  
手に移る鉄棒の香や冬青空  
新聞の両端持って文化の日  
大霜の道はりはりと哭(な)けるなり  
公園の落葉踏み踏み鳩寄り来  
しろしろと八つ手の花の塔を組む  
師走来と連呼す踏切警報音  
湯ぼてりの老人ちんたら下着を着る  
肺奥に達す鋭き咳をして  
片づかぬ机を前にして師走

2011年
もの積み上げ立て掛け寝かせ年の市  
栗を剥く刃物は澁に盲ひけり  
ピアノ下手でヨウシュゴボウののたうつ家  
伸びし手に蟷螂あれッといふ目つき  
鱸揚げ小坪は逗子の台所  
清貧は斯くのごときと葱の白  
拙宅に転がり込んで鳴くこおろぎ  
敗荷を自暴の果とみるもよし  
座を起つに足がポキンと鳴る秋夜  
かりがねや人は末路を医師に投げ

2010年
朝刊がくる駆け足で冬がくる  
極月の湯に透き打ち身の絆創膏  
冬の雨おのづと点る外燈に  
なんだこれ皇帝ダリアの札下げて  
神の留守妻より鍵を渡されて  
古本を売れと云ふ妻漱石忌  
あきらめが先づさきに立つ風邪心地  
年の瀬の力仕事をかって出る  
いちどきに種採れざればちょくちょく採る  
七五三押せば撮れると云はれ押す

2009年
往き交へるもの一つなき寒林に  
寒木の背後にあるもの唯青空  
寒木を唯映すのみ水たまり  
そっけなき寒木に行き當たる朝  
寒雀しきり振る尾の一文字  
寒林のいつも何處かに擦過音  
寒木のささくれながらなほ彳てる  
金海鼠(きんこ)など提げ来て妻の手わずらはす  
寒木の佇つといふ行徹しけり  
寒木の念ずるものが総てなり

2008年
同色のべべとぽっくり七五三  
貧交や八ッ手は淡き光投げ  
肩書きを云々するとは海鼠以下  
鷲の眼の凝然たるをはぐらかす  
懸崖菊は一艘二艘と数ふべし  
寒鯉の総身真水絞りけり  
市の立つ如し白鳥屯すは  
末枯れて日を経しものを火に投ず  
冬蜂の脚折り曲げて塵の中  
寒鯉の揚げられ放つ真水の香

2007年
暮早し常に酒あり肴あり  
空箱を溜め込む妻や小六月  
寒鯉の去りたれば水淋しめり  
吾が生活日向ぼこりと大差なし  
寒潮の海月に芯のごときもの  
着脹れに麻痺して仕舞はないやうに  
同窓会深酔せよと海鼠出づ  
気心は菊のかほるが如くなり  
この渋さ見かけ倒しの柿なりき  
極月の鴉漁るを咎め立て

2006年
水仙は起立国語の授業中  
抱えくる五郎八といふ濁酒  
日本晴れ咳の一つもしたくなり  
電気毛布妻に勧めて受け入れられ  
冬の洗面真水を顔に打ちつけて  
隣室てふ一語に冬の響きあり  
東京湾数え日の日を敷き詰めぬ  
湯屋を出づ縁のつめたき金盥  
冬が来る睫毛のいっぽんいっぽんに  
腋の下締めて降り立つ冬鴎

2005年
一筆箋付の自然薯届きけり  
居心地のよくてかうなる自然生  
水の上に返り咲くもの日曜日  
草の絮やたらに飛んでかえりゃんせ  
死ぬまでの我が持時間日向ぼこ  
この路地の日照時間花八つ手  
純白にして冬菊のたたずまひ  
落葉の香つつめるフリーマーケット  
かく窶れ見向きもされぬねこじゃらし  
隼人瓜ポパイのつくる力瘤

2004年
軍港を暮れしむ鴨の一旅団  
掛大根富士見ゆる日も見えざる日も  
霜旦の大地跫音返すなり  
じっと見て蕪に目鼻のあるやうな  
下仁田葱そのふやふやに沁むる味  
飯茶碗こんなにぬくくと或る朝  
錦木の錦を蔵ふ季来たり  
氷川丸老骨飾りクリスマス  
公園の掻き出し落葉だう使ふ  
泛く原理鴨と同じや軍艦は

2003年
ぐんと冷え今日着るものに大わらわ  
三世代みんなめかして七五三  
小考も大考もなく年逝かす  
心電図厚着を脱いで楽にして  
あのやうに鵙は山茱萸の実を盗む  
患者皆着膨れ病院狭くする  
ばうとして昼の焚火にあたりゐる  
短日のすこし狂ひて眼鏡の度  
横濱は縣廳前の落葉の景  
落葉逃ぐ箒で足で押さえても

2002年
鴨の陣崩してしまふさあ知らぬ  
おこうこと酒あれば佳し桂郎忌  
火桶せし家の間取りの思はる夜  
河豚鍋にあやかる程のさそい無し  
小説の中の火燵に虚子と子規  
自然薯の包み方からして律義  
花八つ手にはか曇りとなりにけり  
吸はる牡蠣舌同類と思ひけり  
散り始め銀杏精彩欠きにけり  
湯豆腐の上の電球揺れて地震

2001年
海あかり帯びて小さな蜜柑かな  
大根台地葉っぱが眩し眩しとも  
岩窟の上の磯菊日を蒐む  
水仙の道尽きここより岩畳  
もりもりと大根の肩磯畑に  
島の鳶こゑ逆落とし篠枯らす  
流木に冬麗の砂零しみぬ  
夜叉倍子の実に流れくる鳶の笛  
磯鵯の襟首瑠璃に礁空  
まんばうの話などして磯日向

2000年
卓上に蜜柑のぼれる頃となりぬ  
このいっぽん散るを待ちゐる他の冬木  
月の面のあばたさむざむ家に入る  
洞も瘤もつつみ隠さず見す冬木  
包まれて陽のほとぼりの干蒲団  
皆散るは文無しに似て大いてふ  
大銀杏黄葉輪舞に瞬きづめ  
強いられて欅葉落とすにはあらず  
丸腰の裸木なれば寄り易し  
瘤隆と立寄り易き一冬木


以上



by 575fudemakase | 2014-12-01 00:52 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

冬野

冬野

例句を挙げる。

いちはやく白山覚めし冬野かな 金尾梅の門 古志の歌
いつの日も冬野の真中帰りくる 平井照敏
いとし我が影法師行く冬野道 福田清人 坂鳥(附・生い立ちの記)
しかられて冬野に係累捨てにゆく 糸山由紀子
そのまゝの去歳をことしの冬野哉 幸田露伴 江東集
たそがれの大雲動く冬野かな 中川宋淵
なほ目ざす冬野明るき道のあり 稲畑汀子
ひともとの松はるかなる冬野かな 金尾梅の門 古志の歌
サーカスの幕よりたやすく冬野に出る 橋本美代子
一ト抓みほどの菜畑ある冬野 沖鴎潮
伯楽が鍼に血を見る冬野かな 黒柳召波 春泥句集
冬野あり誉れの高き一樹あり 中烏健二
冬野かへる群羊に牧夫ぬきん出て 橋本多佳子
冬野の犬回帰してその空虚を嗅ぐ 竹中宏 饕餮
冬野より大きな花を見せにくる 柿本多映
冬野より父を呼ぶ声憚らず 福永耕二
冬野来て風の継ぎ目の言葉欲し 奥原雉城
冬野来る靴音か父母に逢う音か 長谷川かな女 牡 丹
冬野行きつめ尖つた山の下に宿とる 人間を彫る 大橋裸木
司会者のゐない冬野のドラマが昏れ 野村秋介
土までも枯てかなしき冬野哉 高井几董
地の窪に屋の棟見ゆる冬野かな 岩木躑躅
地震過ぎし冬野はるかに雲の照り 金尾梅の門 古志の歌
夕ぐれは冬野の虹をくぐりぬけ道行く川と誰にか告げむ 安永蕗子
夕映の冬野をつなぐ橋ひとつ 角川春樹
大仏を見かけて遠き冬野かな 高井几董
天に手の昏れ残りゐる冬野かな 河原枇杷男 密
姉を焼いて臙脂のロールスロイスで冬野 橋田サカエ
学校の旗竿高き冬野かな 正岡子規
寝すごす冬野昨日が犬の形で来る 磯貝碧蹄館 握手
川に沿ひ川に別れて冬野行く 西村数
巨き手の影ある冬野冬の河 野崎眞理子
手も出さず物荷ひ行冬野哉 来山
手庇をそれて鳶舞ふ冬野かな 板谷芳浄
捨人やあたゝかさうに冬野行く 其角
暗くなる冬野ほのかに壁を残し 大井雅人 龍岡村
書庫に羽毛ただよえり冬野を呼べり 渋谷道
東西に汽車のわかるる冬野かな 金尾梅の門
玉川の一筋光る冬野かな 内藤鳴雪
生て世に古銭堀り出す冬野かな 黒柳召波 春泥句集
紅の唇冬野の神に見られけり 殿村菟絲子
終の日か冬野を真直ぐに立ちゆく烟 赤城さかえ句集
草も木も枯れつくしたる冬野来て背に負へる子の重みのみあり 島田修二
菜を洗ひ冬野の水を皺にする 古館曹人
虹の唇冬野の神に見られけり 殿村菟絲子 『路傍』
蜀に入る冬野の道や驢馬の糞 蘇山人俳句集 羅蘇山人
豊作も凶作の田もたゞ冬野 遠山みよ志
貝塚に石器を拾ふ冬野哉 正岡子規
鈍行を愛し冬野へ身をゆだぬ 金箱戈止夫
離村して冬野にすてし糸車 小鷹ふさ子
音が生みたい冬野の蹄鉄日があゆむ 磯貝碧蹄館 握手
骨灰となりぬ冬野のてのひらに 齋藤玄 『玄』
冬の蚊の終の野にゆく聲ならん(さる女に示す) 廣江八重櫻
冬の野に壜を捨てては夢みけり 正木ゆう子
血のやうな真赤な日が沈み冬の野を汽車の走る 四丁句集第一巻 鵜沢四丁
電線の光とぎれて冬の野ヘ 阿部みどり女 笹鳴
お日照るや雪野のくまの鵯のこゑ 金尾梅の門 古志の歌
きんいろのきつねの駆けた足跡か雪野に滲むちいさな闇は 加藤治郎
はてしなき雪野に鶴は朱を点ず 木下ふみ子
みかへれば雪野のひかり榛にそふ 川島彷徨子 榛の木
一片の雪だにつけず雪野の木 小澤實
二タ杉より離々の人家の雪野かな 野村喜舟 小石川
分水嶺汽車を雪野へ放ちけり 羽部洞然
啼かず飛ばず雪野鴉の二羽三羽 鈴木真砂女 夕螢
夕空や雪野に黒き楊柳 永井龍男
子が知れる雪野の果の屠殺場 澤木欣一
帰農記に雪野の果の木は入れず 細谷源二 砂金帯
後続を待てり雪野の平にて 津田清子
手の平を落とし雪野に転びたる 大石雄鬼
林檎置く車窓雪野は果もなく 永井龍男
柏の葉生きて雪野を駈けつづく 堀口星眠 営巣期
清算のごとく雪野の石の家 三谷昭 獣身
玉川の一筋光る雪野かな 内藤鳴雪
画竜点晴どころではなく雪野かな 櫂未知子 蒙古斑
略奪の速さに過ぎて雪野汽車 岡本 眸
白馬ばかり朝焼けゐるよ雪野果て 角川源義
眼とひたいで出逢う雪野に光り合い 岩間愛子
禽のみに目聡く斑雪野に住めり 堀口星眠 営巣期
花嫁が雪野まぶしき駅に下車 阿部みどり女
行人に雪野の起伏晴れにけり 金尾梅の門 古志の歌
踏みわたる雪野日たけつ鶏遠き 金尾梅の門 古志の歌
雪野へと続く個室に父は臥す 櫂未知子 貴族
雪野ゆくもろ手隠して背を曲げて 鈴木真砂女
雪野ゆく誰もひとりの手を垂れて 阿部誠文
雪野一個所肥壷にふくらめる 栗生純夫 科野路
雪野原涯に昼餉のうすみどり 平井久美子
雪野来て雪野の果に灯をともす 三谷昭 獣身
雪野照り莎の金ンの紛れたる 成田千空 地霊
雪野行き吾には吾の放浪記 大橋敦子 匂 玉
雪野遠し墓に遇ふさへ親しくて 成瀬桜桃子 風色
雪野鴉雨誘ふ声しぼるなり 金尾梅の門 古志の歌
風紋のしるき雪野を踏み戻る 辻 桃子
騎初や鞭加へ越す雪野原 広江八重櫻
ひた歩く雪原恋の罠あらずや 仙田洋子 雲は王冠
ぼほと日が落つ雪原の畦木ども 桜井博道 海上
まぶしくて雪原ひかりの鹿ふやす 永田耕一郎 氷紋
みそさざい聴く雪原に橇止めて 小坂順子
一村のみ雪原白紙委任状 河野薫
久々に照る雪原のあの木この木 佐野良太
体重をかけ雪原を横切らねば 嶋田摩耶子
傷あらぬ雪原に顔埋めたし 能村研三 騎士
初鴉雪原低くとびつづけ 小野池水
唇耳そばだてて雪原を遠く見る 飯田龍太
夜の嶽を燈が登りゆく根雪原(立山連峰) 河野南畦 『湖の森』
山室のひとつ灯蒼む根雪原 河野南畦 湖の森
川鳴れど雪原暮れて道失ふ 岡田日郎
影一つだになくて雪原睡くなる 野澤節子 遠い橋
採氷や唯雪原の網走湖 唐笠何蝶
星白く炎えて雪原なほ暮れず 相馬遷子 雪嶺
月光の雪原を這ふはぐれ雲 岡田日郎
朝日さす雪原金沙銀沙照り 鈴木貞雄
林檎の芯抛る雪原の大反射 内藤吐天 鳴海抄
枯葉揉まるる音澄んで雪原の月 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
根雪原影の嶽おく月明り 河野南畦 湖の森
橇失せぬ雪原と星あふところ 平野 露子
汽笛しみゆく雪原の果に出そむ星 シヤツと雑草 栗林一石路
汽車全く雪原に入り人黙る 西東三鬼
没日の後雪原海の色をなす 有働亨 汐路
泉まで雪原踏まれ往来あり 岡田日郎
燈台の燈が雪原へ伸び切れず 河野南畦 『硝子の船』
白日の雪原を行く浚はれゆく 成田千空 地霊
眠りも祈り雪原は雪重ね 齋藤愼爾
硝子戸に雪原あふる卒業歌 有働亨 汐路
耳そばだてて雪原を遠く見る 飯田龍太 童眸
耳聾ひて雪原と青空にあり 千代田葛彦 旅人木
若さ遣り場なし雪原の道つゞく 右城暮石 声と声
雪原とならばまた来む芒原 橋本美代子
雪原においてきぼりのごと一戸 高澤良一 随笑 
雪原におらぶ言の葉なさぬ語を 川口重美
雪原につんと彳ちたる萱いっぽん 高澤良一 随笑 
雪原にまつたき夕日垂れ来たる 石橋辰之助 山暦
雪原にわが機影投げ初飛行 室賀杜桂
雪原にわが誕生の紅一すじ 魚沼泉
雪原に佇つ初陣のこころあり 中原道夫
雪原に兵叱る声きびしかり 片山桃史 北方兵團
雪原に到り双手を挙げて会ふ 成田千空 地霊
雪原に北斗の針の廻りけり 福田蓼汀 秋風挽歌
雪原に北斗七ツの六ッ昇る 岡田日郎
雪原に十勝の月をあげにけり 星野松路
雪原に呼気のみ太しゆまりして 川口重美
雪原に土よりの杭うらがなし 成田千空 地霊
雪原に天つ日暗きまで照りぬ 岡田日郎
雪原に太のどのびて鶏鳴す 北原志満子
雪原に小さき礼拝堂暮れ残る 仙田洋子
雪原に川あらはれて重きかな 桜井博道 海上
雪原に建てて見捨てて己が墓 中島斌雄
雪原に月光ゆらぐこともなし 岡田日郎
雪原に月光充ちて無きごとし 岡田日郎
雪原に杭打つ土の匂ふまで 加藤憲曠
雪原に汽笛の沈む成木責 石田波郷
雪原に沼あり水晶水湛ふ 岡田日郎
雪原に灯して牧舎年を守る 金箱戈止夫
雪原に片手袋の指忘れ 対馬康子 吾亦紅
雪原に犬放ち炉火熾んなり 河野南畦 『黒い夏』
雪原に白顕ち晒す布の丈 野澤節子 『存身』
雪原に硬き闇あり星を嵌め 相馬遷子 雪嶺
雪原に立方体のホテルかな 岩崎照子
雪原に紛れざらんと鶴啼けり 岸田稚魚 筍流し
雪原に行き暮れいつか星の中 岡田日郎
雪原に踏み入るなんと淋しき世 熊谷静石
雪原に道あるらしや人遠し 高木晴子
雪原に雪原の道ただ岐る 八木林之助
雪原に雪降り月光の跡癒やす 岡田日郎
雪原に風吹き夕日消しにけり 岡田日郎
雪原に鴉の掟翔けては降り 齋藤愼爾
雪原のいづこ月光ひらりと舞ふ 岡田日郎
雪原のおのが影へと鷲下り来 山口草堂
雪原のなかに川ある墳墓の地 佐川広治
雪原の一樹かがやき囀れり 相馬遷子
雪原の一樹高しと日はのぼる 石田波郷
雪原の三寒四温浅間噴く 相馬遷子 山国
雪原の中に春立つ産屋はも 依田明倫
雪原の人か一点動くを待つ 有働亨 汐路
雪原の兎の足跡藪目指す 斉藤志津子
雪原の夜明孤屋は火を燃やす 福田蓼汀 秋風挽歌
雪原の夜風ぶつかれ街に酔ふ 石橋辰之助 山暦
雪原の天地神明去りがたし 古舘曹人 能登の蛙
雪原の平らに書かれし遺書ありき 寺田京子
雪原の日矢に盲ひし達磨売り 木内彰志
雪原の月光かたまる一巨木 岡田日郎
雪原の月枯蔓に大いなる 西本一都
雪原の木の影あはし影を踏む 仙田洋子 橋のあなたに
雪原の果て見て歩くばかりなり 永田耕一郎 氷紋
雪原の極星高く橇ゆけり 橋本多佳子
雪原の水漬く一線菜現れぬ 原田種茅 径
雪原の水音鈴ふるごと暮るる 鷲谷七菜子 雨 月
雪原の深創ゑぐり天塩川 山崎秋穂
雪原の焚火に月の上りけり 岩田由美
雪原の白光月光を以つて消す 岡田日郎
雪原の突起もつとも白き藁塚 河合凱夫
雪原の藁塚として寄り添へる 樋笠文
雪原の藍の彼方の吾子七夜 堀口星眠 営巣期
雪原の見えぬところに翳生ず 宗田安正
雪原の赤きサイロのロシヤ文字 松崎鉄之介
雪原の起伏失せつゝ雪深む 大橋敦子 匂 玉
雪原の雪舐め老犬牛を追ふ 岡田日郎
雪原の靄に日が溶け二月盡 相馬遷子 雪嶺
雪原の青さ身に沁む朝の楽 堀口星眠 火山灰の道
雪原の風遠し樹氷晶々と 内藤吐天
雪原の高き一樹を恃みとす 小澤克己
雪原の黒きところが能の村 佐川広治
雪原は月読神伏してゐる 平井照敏
雪原やとんで二つの監視塔 石川桂郎 高蘆
雪原や抜きさしの歩の女の息 猪俣千代子 堆 朱
雪原や肩から上の人往き来 嶋田摩耶子
雪原や落ち方の月隈見する 臼田亞浪 定本亜浪句集
雪原をわたる日ざしに馬放つ 木村凍邨
雪原を分つ落葉松襖かな 古賀まり子 緑の野以後
雪原を琴唄まろびゆく夕べ 文挟夫佐恵 雨 月
雪原を跳びては羽摶ち鶴の舞 伊東宏晃
雪原を跳び跳ぶ兎一未来 中島斌雄
雪眼鏡雪原に日も牛も碧き 橋本多佳子
馬となるべき魂あをく雪原に 正木ゆう子
鴨飛んで雪原に大き影落す 林 翔
鷲下りて雪原の年あらたなり 草堂
黄鷹の雪原の果まで飛翔 長谷川かな女 花寂び
冬の原チンギス・ハーンを再生す 中田 美子
流星を連れに語らず冬の原 金尾梅の門 古志の歌
白日は硫気に染まず冬の原 渡邊水巴 富士
やがてたつ鶴粛然と雪の野に 竹下陶子
元日の日輪雪の野をわたる 宮崎青岬
墓前なり月山雪の野に泛ぶ 篠田悌二郎
降る雪の野の深井戸の谺かな 高柳重信
雪の野にもろびとこぞりて雪汚す 今泉康弘
雪の野に夜陰おもたき寺廂 松村蒼石 雪
雪の野に拾ふ薄墨羽毛なり 古賀まり子 緑の野以後
雪の野に狭軌の鉄の路つづく 山口誓子 紅日
雪の野のいま夕鶴に波うてる 古館曹人
雪の野のふたりの人のつひにあふ 山口青邨(1892-1988)
雪の野の上に見えつつ富士ヶ嶺はくろずむ雲とともに黒ずむ 宮原勉
雪の野の兎華麗な罠に陥つ 能村研三 騎士
雪の野の彼方を行くは知る人か 高濱年尾 年尾句集
雪の野の灯影まことに片ほとり 中村草田男
雪の野や畝なす茶垣遠黝し 杉山岳陽 晩婚
雪の野を一人学校より帰る 山口誓子 紅日
雪の野を方向づける川流れ 津田清子 二人称
雪の野を最上の幅でおし通す 津田清子

芸術劇場 高橋竹山 孤高の響き
じゃみせんじょんから坊様(ぼさま)に蹤きて雪の原  高澤良一  燕音

以上
by 575fudemakase | 2014-12-01 00:34 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

十二月

十二月

例句を挙げる。

「その内」はもう目の前に十二月 高澤良一 宿好 
いつも見る山に日当り十二月 池田秀水
いま息しをり歩きをり十二月 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
うさぎ屋のばあさんとゐる十二月 夏井いつき
おじゃがの芽惜しげなくかき十二月 市村フミ
おそろしきこと言ひにゆく十二月 夏井いつき
おばさんがくつついてくる十二月 二村典子
お百度や胃のひやひやと十二月 角川春樹 夢殿
かなしみは樹々にもありぬ十二月 阿部みどり女
かへりみて貧しき松や十二月 依光陽子
からくりのごとくもう来ぬ十二月 塚本青曜
からまつの下の跫音十二月 小山森生
くらがりへ水の入りゆく十二月 小室善弘
くろがねの仏の憂しや十二月 角川春樹
くろ~と筧の垢や十二月 楠目橙黄子 橙圃
この時化に出て行く船や十二月 白幡千草
さまざまの赤き実のある十二月 森澄雄
それがまた間違いファクス十二月 小沢信男
どぜう屋の炭火を恋へり十二月 瀧春一
どんよりと蜂蜜こごる十二月 有働亨 汐路
なき母を知る人来たり十二月 長谷川かな女 雨 月
にはとりの上はまつさを十二月 原田喬
のれん出て婦の艶たるは十二月 飯田蛇笏 雪峡
ひそやかに父祖の祀や十二月 森川暁水 黴
ひとが焼く瓦斯火の魚よ十二月 石川桂郎 含羞
ふすまたおして十二月十日白噺 阿部完市 春日朝歌
ぶつぶつ切る小包の紐十二月 皆川白陀
へろへろの日めくりを剥ぐ十二月 小坂かしを
まつすぐに十二月来る月曜日 二村典子
みな死んでしもたよ十二月の熊野 宇多喜代子 象
みんなみの雲の眩しき十二月 竹本仁王山
むべの実に紫のりし十二月 栗林千津
めざめゐて神の灯仰ぐ十二月 松村蒼石 寒鶯抄
もどり来て普段着ぬくし十二月 小島千架子
もの置いてたてよこたてよこ十二月 中戸川朝人
もろもろの島は種なり十二月 夏石番矢
ゆれる帆柱海に傘ふる十二月 久保純夫 瑠璃薔薇館
わが生死食思にかかる十二月 相馬遷子 山河
われひとに夕靄の濃き十二月 松村蒼石 露
われ急くや影も小走り十二月 堀恭子
アノ世ヘモ鮭送ラント宛名書キ十二月ノ雲呼ンデミルナリ 疋田和夫
サハリンの見ゆる岬や十二月 中山允晴
サーカスの象吊る港十二月 野溝サワ子
チンゲン菜油を飛ばす十二月 高澤良一 素抱 
バスに席得て目をつむり十二月 橋本風車
バスの尻バスより見えて十二月 行方克巳
パート募る年令伸びて十二月 山口恵子
ラジカセの響く工事場十二月 松沢満里子
ラーメンの縮れさみしき十二月 篠塚千恵美
一円玉じゃけんにされて十二月 高澤良一 随笑 
一弟子の離婚の沙汰も十二月 安住敦
一柱(ちゅう)の焔めくれて十二月 野澤節子 『八朶集』
主を頌(ほ)むるをさなが歌や十二月 石塚友二
主婦の座に定年欲しき十二月 塙 きく
事務服の吹かれ走りや十二月 草間時彦
二日続きてなほ磨る墨や十二月 長谷川かな女 雨 月
人の世はかそけし暗し十二月 石原八束 『幻生花』
人込みに白き月見し十二月 臼田亞浪 定本亜浪句集
仏花買ふ銭が幼なし十二月 長谷川双魚 風形
仲見世の裏行く癖も十二月 石川桂郎
住所録坐右に置きて十二月 本田三千代
何事も先手取るべし十二月 高澤良一 鳩信 
信号の替はりおそくて十二月 加藤一智
借りて読む獄書のくさき十二月 秋元不死男
元禄の雪が雪呼ぶ十二月 河野南畦 『元禄の夢』
光なき遠嶺の紺や十二月 大岳水一路
入浴も仕事のひとつ十二月 佐野みつ
入込みに白き月見し十二月 臼田亜浪
六地蔵装ひ変へて十二月 藤本スエ子
共生の宇宙会議や十二月 國島十雨
再校の筆とることも十二月 井桁蒼水
凌渫船杭つかみ出す十二月 秋元不死男
分銅に光る鱗も十二月 加藤耕子
切売りの鯨・鮪も十二月 鈴木真砂女 夕螢
刈らぬ萩だん~惜しく十二月 長谷川かな女 雨 月
利き指の繃帯白き十二月 片岡とし子
削るほど紅さす板や十二月 能村登四郎
十二月あくまで箱を折らむとす 栗林千津
十二月あのひと刺しに汽車で行く 穴井太(1926-97)
十二月あひると愛人疾走す 攝津幸彦
十二月いつも後ろに鴉いる 遠藤 煌
十二月さくらもみぢの二葉三葉 松村蒼石 寒鶯抄
十二月と思ひペンとる常のごと 福田蓼汀 山火
十二月どうするどうする甘納豆 坪内稔典
十二月の大根畑は買われて村は寒むざむ大根を抜き大根を洗い 橋本夢道 無禮なる妻抄
十二月の屋根の漏り直してくれてゐる 小澤碧童 碧童句集
十二月の曇空よ暮れてしまへ 原田種茅 径
十二月の甘藷に日をあて女欲し 岩田昌寿 地の塩
十二月の窓明けはなち産声きく 加藤知世子 花 季
十二月ひとに疲れを量らるる 野澤節子 遠い橋
十二月まなざしちらと嫁ぎけり 中尾寿美子
十二月みたらしに檜の新柱 小松原みや子
十二月を赤舟も大鯉もはしる利根 阿部完市 春日朝歌
十二月一日のあした富士を見る 福田把栗
十二月一日も雨八日も雨 宇多喜代子 象
十二月一日天意の船の逗留も 河野静雲
十二月七日の銀座小糠雨 山田閏子
十二月三十日の氷かな 今井杏太郎
十二月人をしかるに日をかぞへ 川柳
十二月余白なくなる蜜柑の酸 阿部みどり女
十二月候文の手紙来し 石川魚子
十二月八日あまたのラブホテル 岩城久治
十二月八日かがみて恥骨あり 熊谷愛子
十二月八日ごつごつ石ばかり 廣瀬直人
十二月八日たまたま洲崎かな 伊藤いと子
十二月八日の冴えに退りけり 渡邊水巴 富士
十二月八日の日差がんもどき 原田喬
十二月八日の昼の物音す 高澤良一 随笑 
十二月八日の薄きおみおつけ 高澤良一 随笑 
十二月八日の都夜霧濃し 藤井寿江子
十二月八日の霜の屋根幾万 加藤秋邨 雪後の天
十二月八日やぬるき湯に浸かり 森田智子
十二月八日よ母が寒がりぬ 榎本好宏
十二月八日を夫の言ひ出づる 天野慶子
十二月八日を過ぎて生残る 三橋敏雄 畳の上
十二月八日ミルクの膜厚き 櫂未知子 蒙古斑以後
十二月八日一人言へども誰も云はず 熊谷愛子
十二月八日卵黄漲りぬ 原田喬
十二月八日同年酌み交はす 森田峠 逆瀬川以後
十二月八日味噌汁熱うせよ 桜井博道
十二月八日夜干しのズボン垂れ 内田 美沙
十二月八日新聞両手もてひらく 前田典子
十二月八日月夜の通り雨 菊地千枝子
十二月八日根をもつごとき霜 桜井博道 海上
十二月八日沖見てゐる一人 宮城白路
十二月八日産声二度起る 萩原麦草 麦嵐
十二月八日鯊釣る帽深く 殿村莵絲子 牡 丹
十二月医者に持薬のあることも 飯田龍太 遅速
十二月友にふとん屋こんにやく屋 内田 美沙
十二月塔に蜥蜴の彫られけり 皆吉司
十二月富士嶺は星ぶつけられ 阿部完市 春日朝歌
十二月小筆の増えし硯箱 伊東一升
十二月山明るくて退路なし 櫛原希伊子
十二月心に留む忌日あり 小島阿具里
十二月截られし鉄と昼休む 森田智子
十二月枯土の家に盲導犬 攝津幸彦
十二月桑原になくすずめかな 飯田蛇笏 山廬集
十二月梅少し咲きて空寂か 渡邊水巴 富士
十二月歯療機は娘をかい抱く 宮武寒々 朱卓
十二月洲に白鷺の嘴疲れ 松村蒼石 雪
十二月潤みののぼる蘆の茎 松村蒼石 雪
十二月火の神恋うて火の用心 中山純子 沙 羅以後
十二月瓦礫の音は踏むものに 古沢太穂 古沢太穂句集
十二月真向きの船の鋭さも 友岡子郷
十二月空廻りするドアのノブ 石川文子
十二月緘じて空中観覧車 松山足羽
十二月藁いろに町暮れにけり 中まり子
十二月蜻蛉の翅草に透きぬ 渡邊水巴 富士
十二月街頭神を説く処女 福田蓼汀 秋風挽歌
十二月農車に黒き油さす 榎本冬一郎 眼光
十二月遁れて坐る落語席 野地新助
十二月青空を見る小さき旅 今井田敬子
十二月風の行方へ人還る 遠藤とみじ
十二月魚の眼のみな吾を見る 細谷源二 砂金帯
千羽鶴千の退屈十二月 正木志司子
原色の花から糶られ十二月 塩崎翠羊
口ビーにも脚立働く十二月 山田弘子
味噌送りくれしが便り十二月 石川桂郎 四温
喜んでピザ生地を伸(の)す十二月 高澤良一 素抱 
喪の旅の日記空白十二月 小林草吾
噛み合へる犬に一瞥十二月 阿部みどり女
四つ辻の飯鋪の魚槽十二月 宮武寒々 朱卓
回教の鉄扉の固し十二月 森田峠 逆瀬川
地のぬくみ慕ふ山の蛾十二月 古賀まり子
地球儀のうすきほこりや十二月 牧 ひろ子
坑夫らに雪降れるのみ十二月 淡路青踏
塗り替へてポスト肩張る十二月 反町和子
夜の底の挽き臼ひびく十二月 飴山實 『おりいぶ』
夜嵐の海より起り十二月 鈴木真砂女 夕螢
夜行性獣の闇十二月 森田智子
大波をあやつる海や十二月 大木あまり 火球
大鍋に鯛を蒸しゐる十二月 荻野杏子
大鯰焼いて尾州の十二月 斉藤夏風
如是我聞パンの匂いの十二月 石崎素秋
嬰を膝に立たせ弾ませ十二月 伊藤いと子
子にもらふ添ひ寝のぬくみ十二月 木内怜子
宗論をして歩く媼あり十二月 長谷川かな女 花 季
家長わが仏頂づらも十二月 清水基吉
寒暖も病めばむなしや十二月 神尾季羊
寒木瓜も売れて三越十二月 松藤夏山 夏山句集
寝る髪と壁の空間十二月 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
寺山に尾長声張る十二月 和田祥子
尼の荷のまことにちさき十二月 黒田杏子 水の扉
山なみを空に刻みし十二月 馬場移公子
山上に人の灯を生む十二月 原裕 青垣
山中に新しき道十二月 和田耕三郎
山描いて山見えてくる十二月 森田智子
山道や不義理つづきの十二月 福田甲子雄
川狭くとぎれ流るる十二月 大貫正子
巨き歯に追はるゝごとし十二月 石塚友二 方寸虚実
帯の文仏壇に映ゆ十二月 宮武寒々 朱卓
庭師来て風素通りよ十二月 杉本寛
廃船の深坐りして十二月 秋光泉児
御仏の貌美しき十二月 角川春樹
微光にも白樺さめて十二月 勝又木風雨
悲しびの刻寝て消せり十二月 冨田みのる
愚かさに泣き笑ひして十二月 佐藤美恵子
愚かにもいのち拾ひし十二月 原田青児
戸の隙の日矢に起きいで十二月 石田あき子 見舞籠
扉みな父の胸板十二月 澁谷道
手榴弾のやうなハムとどけられ十二月 皆吉司
抒と箴の間のきらきらの十二月 渋谷道
振り込みの控隠しに十二月 高澤良一 素抱 
旅人の好き蕎麦食ふや十二月 前田普羅
日たかくて花卉に風吹く十二月 石原舟月 山鵲
星見れば星なつかしゝ十二月 原石鼎 花影以後
書きとめてそれ清書して十二月 高澤良一 鳩信 
書く暇なき鞄のはがき十二月 皆川白陀
木の香けふ松に荒れしや十二月 石川桂郎 含羞
朴の木に雲来て遊ぶ十二月 原田青児
村人等酒に舌焼く十二月 有馬朗人 知命
松の間にまじる黄葉や十二月 石田 波郷
松籟に足音のなき十二月 萩原麦草 麦嵐
松隆と樟隆々と十二月 高澤良一 随笑 
桐の木へ真直ぐ歩き十二月 神尾久美子 桐の木
桶あれば桶をのぞいて十二月 桂信子
棄て兼ねしものを捨て切る十二月 長田友子
棚吊ればすぐ物が載り十二月 岡本差知子
植木屋の妻の訃知りぬ十二月 沢木欣一 赤富士
標本の針うつくしき十二月 大木あまり 雲の塔
横顔の流れてゐたり十二月 猪俣千代子 堆 朱
機を織ることより知らず十二月 森垣 昭子
欲しきもの買ひて淋しき十二月 野見山ひふみ
止まり木に若者とをり十二月 古賀まり子
武蔵野は青空がよし十二月 細見綾子
母病めば詩ごころ涸れ十二月 大橋敦子
水足して甕の落着く十二月 神尾久美子 桐の木
浅草や異人僧立つ十二月 松山足羽
浚渫船杭つかみ出す十二月 秋元不死男
深海魚の目をして街は十二月 青木貞雄
火の色やけふにはじまる十二月 日野草城
炉ほとりの甕に澄む日や十二月 飯田蛇笏(1885-1962)
為すことを為して悔あり十二月 中嶋秀子
熱湯を刃にかける十二月 小島千架子
爪汚す極みの職や十二月 石川桂郎 高蘆
父の亡き日々にも慣れて十二月 冨田みのる
牡蠣フライ食べ十二月八日かな 石川文子
猪の肉いたみて届く十二月 石川桂郎 四温
玄海の砂噛む波も十二月 清水基吉
町を行く人々に十二月来し 串上青蓑
異邦人とゐて十二月八日かな 米山杜城子
病める日は病める句をなし十二月 大串 章
病院へゆく素手さげて十二月 石原舟月
百の樹に百の海鳴り十二月 木村敏男
盛り上がり珠となる血や十二月 渡辺鮎太
真近なる山の青空十二月 松村蒼石 雁
眼を閉ぢて眼玉痩せたる十二月 殿村菟絲子 『菟絲』
眼を閑づは肯ふことや十二月 津森延世
石とばす風踏み浅間十二月 伊藤敬子
石の上に踏みし枯藺や十二月 永田耕衣 加古
石叩尾を酷使して十二月 大木あまり 火のいろに
磨ぎ水を流す漣十二月 赤松[けい]子 白毫
福助の頭は空つぽや十二月 小泉八重子
空箱の中に空箱十二月 八染藍子
章魚さげて島より患者十二月 井上杉香
竹割つて鵜籠つくろふ十二月 栗田やすし
箱たたきつぶされてゐる十二月 辻田克巳
糸屑も華やぐ色の十二月 吉田みち子
絵襖の前に眠れり十二月 飯島晴子
羽織脱ぎ耳たぶ染めて十二月 阿部みどり女 月下美人
老い兆す頭ごなしに十二月 小嶋萬棒
老年の遊び歩きや十二月 遠藤梧逸
耳に灯がたまる十二月寝てをれば 桜井博道 海上
胸中に聖句かがやく十二月 古賀まり子 降誕歌
脱衣場の板敷き踏める十二月 高澤良一 鳩信 
臆病な虎を鍛へる十二月 櫂未知子 蒙古斑
船底に白百合積まる十二月 一志貴美子
芥焚くうしろにはかに十二月 長谷川双魚 『ひとつとや』
花の糶終へて風鳴る十二月 山之内赫子
花束の茎を揃へて十二月 嶋田麻紀
花舗に花の赤きを満たす十二月 松崎鉄之介
英霊の家に濃き日や十二月 佐野青陽人 天の川
落ちてあるからたちの実や十二月 銀漢 吉岡禅寺洞
藪深く咲き居る花や十二月 庄司瓦全
蛇行して揺るる電車や十二月 山下典子
蝋涙のはなやぎにをり十二月 原裕 青垣
蟷螂の翅まだ青き十二月 高澤良一 燕音 
見なれたる山のふところ十二月 岡井省二
購ひし本忘れまた購ふ十二月 上野さち子
赤旗の鷹の羽音の十二月 大木あまり 山の夢
赤松の肌濃くなせり十二月 長島生一
起重機の鋭角に伸び十二月 伊藤順雄
跫音の低きは男十二月 石居康幸
路地抜けて行く忙しさも十二月 高浜年尾
路地歩く癖はなほらず十二月 谷口桂子
踊り子と終の電車の十二月 清水基吉 寒蕭々
身を立てて己が影生む十二月 原裕 『王城句帖』
身近なる山の青空十二月 松村蒼石 雁
辻にのみ銀座の日向十二月 皆吉爽雨 泉声
近々と鴉が降りし十二月 斎藤道子
追ふ日あり追はるゝ日あり十二月 清水忠彦
連れ出せば妻は小柄の十二月 北登猛
道路よく掘り起されて十二月 棚橋澄子
遠い木が見えてくる夕十二月 能村登四郎(1911-2002)
遠きほど嶺の青みて十二月 土生重次
遺書めきしあとがきを読む十二月 山崎冬華
酒運ぶ足袋のちらつく十二月 椎橋清翠
門前の石蕗に声掛く十二月 原裕 青垣
開戦の日ではなくジヨン・レノンの命日と紹介さるる十二月八日 小野雅子
開戦の目に沁むばかり冬菜の霜(昭和十六年十二月八日) 田川飛旅子 『花文字』
陋巷のわが家が産屋十二月 下村槐太 光背
雨傘をはみだす両肩十二月 安田くにえ
電飾の胸元もまた十二月 嶋田麻紀
霜柱十二月八日の無数の靴 山口和夫
青空を海に拡げて十二月 伊藤通明
靴履きて巫女いそぎ行く十二月 内野睦子
風の日の雲美しや十二月 有働亨 汐路
風吹けば人皆素顔十二月 上島 顕司
風連れて牛買が来る十二月 倉田 晴生
飄々と栗鼠跳ぶ迅さ十二月 堀口星眠 営巣期
食いこぼす朝の飯粒十二月八日 窪田丈耳
馬がをり火を焚いてゐる十二月 野島恵禾
駅時計の真下にゐたり十二月 北野平八
髪染めて己なぐさむ十二月 藤岡きみゑ
鮒鮓の桶のゆるびも十二月 草間時彦 櫻山
鯉運ぶ水美しき十二月 皆川盤水
鰐の匂いの夕暮れが来る十二月 坪内稔典
鶏しめて太柱より十二月 小島千架子
鷲老いて胸毛ふかるる十二月 桂信子 黄 瀬
鹿苑の松に昼月十二月 石原舟月
黄はたんぽぽ潮岬の十二月 橋本三汀
旧く狭く深き地下鉄十二月  高澤良一  石鏡
十二月八日無風の横須賀港  高澤良一  石鏡
探偵社の車内広告十二月  高澤良一  石鏡
トンカチはリズムと心得十二月  高澤良一  石鏡
渡り蟹の食べ殻を捨つ十二月  高澤良一  暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-12-01 00:32 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

霜月

霜月

例句を挙げる。

かくて霜月糸を干す男に暮れてゆく空日日 安斎櫻[カイ]子
ことなきに似て霜月のひそけさよ 藤内しづ
その人の亡き霜月のつづきをり 大峯あきら 鳥道
シャガールの馬天翔けよ霜月夜 村上 光子
ジャンギャバン死せり霜月の樹のようなまたその翳のような人 晋樹隆彦
ペン重し霜月六日雨と書く 阿部みどり女
一兎死に孤兎霜月の耳垂るる 川口重美
一茶忌の霜月もひれ屁ひり虫 菅原師竹句集
仏前に供ふ霜月の山竜胆 阿部みどり女 月下美人
土煙りせり霜月の松畠 藤田あけ烏 赤松
後山へ霜降月の橋をふむ 飯田蛇笏 椿花集
後山道ゆく手明くて雪見月 飯田蛇笏 椿花集
懐子霜月二十日過ぎにけり 古舘曹人 樹下石上
提灯の下にあそぶ子お霜月 銀漢 吉岡禅寺洞
新漬の重石うつくし霜月朔 塚本邦雄 甘露
春の霜月ある方へ消ゆるかな 長谷川かな女 雨 月
暮て行時雨霜月師走哉 井原西鶴
朝霧の中に霜月歩み来る 仙田洋子 橋のあなたに
本の名は『河馬に噛まれる』霜月夜 大木あまり 火球
母の忌の霜月鰈子を抱き 八牧美喜子
水カンナ霜月の種こぼしけり 青木重行
浅草や霜月暗き六区の灯 石塚友二
渡殿や人行き交うてお霜月 阿部みどり女 笹鳴
灯の海に蝙蝠とべり神楽月 宮武寒々 朱卓
素手をもて熱湯を掻く霜月祭 佐藤たみ子
落柿舎は閉す霜月月夜かな 近藤浩一路 柿腸
藁炭のふる霜月の遠あぜみち 筑紫磐井 未定稿Σ
見通しのつかず霜月半ば過ぐ 今村青魚
身のどこかああ霜月のけものみち 栗林千津
釣舟を吹く霜月の天気かな 白水郎句集 大場白水郎
雪待月ひそかに椿もえゐたり 加藤秋邨 寒雷
雪待月林はもののこゑ透る 加藤楸邨
霜月 秋雨や蕪村おもいの深睡り 宇多喜代子
霜月のかたつむりこときれてゐし 日野草城
霜月のさ筵かけし人葬る 萩原麦草 麦嵐
霜月のはじめを雨の伊豆にをり 鈴木鷹夫
霜月のひかり泛べて青畳 有働亨
霜月のもぐさの赤き袋かな 鈴木しげを
霜月のをはりに塔のたちにけり 山本洋子
霜月の土間のぬくみや芭蕉庵 加藤知世子 花寂び
霜月の夜を水色に別れきし 秋吉世津子
霜月の奥処や藍の深ねむり 斎藤梅子
霜月の小道にくさる紅葉かな 正岡子規
霜月の屋根の落葉を掃きにけり 比叡 野村泊月
霜月の峡のわかし湯鶏屠る 富岡掬池路
霜月の崩れ崩れし簗を見る 上原 はる
霜月の川口船を見ぬ日かな 藤野古白
霜月の庫裏八角の太柱 加古宗也
霜月の朝少年を中絶せり 斎藤冬海
霜月の染師が摘めり臭木の実 青木重行
霜月の瀧に聲なき瀧不動 下村ひろし 西陲集
霜月の瀬をひるがへす深山風 有泉七種
霜月の白湯の粒子を噛んでをり 鳥居おさむ
霜月の目に見えて時流れたる 相馬遷子 山河
霜月の眼を燃やしいる山童子 長谷川かな女 牡 丹
霜月の紐のてふてふ結びかな 鈴木伸一
霜月の菊に多数の蜂あはれ 阿部みどり女
霜月の菜に咲く花の水色に 廣江八重櫻
霜月の霜なく立てり青芭蕉 水原秋櫻子
霜月の霜に飾られささめごと 松澤昭 神立
霜月の黄釉の鉢に康熙の銘 伊藤いと子
霜月も末の雨浸む菊葎 水原秋櫻子
霜月や*こうの彳々ならびゐて 荷兮
霜月やみそ一番の甲羅酒 太田蓁樹
霜月や下駄の音冴ゆる大通り 寺田寅彦
霜月や京の小蕪の美しき 角川春樹
霜月や去年知らざりし遊びして 大石悦子
霜月や壷に活けたる枝蜜柑 島村元句集
霜月や夜に抗ふ薔薇の白 石塚友二 光塵
霜月や大瀬にうかぶ詣船 飯田蛇笏
霜月や座辺の厭きぬおもひごと 飯田蛇笏 山廬集
霜月や手燭の翳のマリア像 倉田春名
霜月や日ごとにうとき菊畑 高浜虚子
霜月や朝の支度を夜のうちに 椎橋清翠
霜月や朱の紐むすぶ壺の口 神尾久美子 桐の木
霜月や松ぽぐり干す草の宿 月舟俳句集 原月舟
霜月や洩るる馬穴に真綿つめ 石川桂郎 高蘆
霜月や狸にも会う狢獲り 金子兜太 詩經國風
霜月や素通りのごと逝き給ふ(悼横山白虹先生) 殿村菟絲子 『菟絲』
霜月や紬に合はす母の帯 村上光子
霜月や軒にかさねし鰻笊 安住敦
霜月や酒さめて居る蝮取り 前田普羅
霜月や雲もかゝらぬ昼の富士 正岡子規
霜月や額の枝を刈る手応へなく 石川桂郎 四温
霜月や鯨入り来し伊勢の海 宇佐美魚目
霜月夜細く細くせし戸の隙間 橋本多佳子
馬の背や緋蕪のぞかすお霜月 石橋秀野

以上
by 575fudemakase | 2014-12-01 00:05 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

酢海鼠

酢海鼠

例句を挙げる。

シャンソンと酢海鼠いまも好きですか 吉澤利枝
坂東の血が酢海鼠を嫌ふなり 藤田湘子
海鼠酢に漬ける殺生いたしけり 高澤良一 素抱 
硬直の酢のもの海鼠勘弁な 高澤良一 素抱 
酢に逢うて石となりたる海鼠かな 野村喜舟 小石川
酢海鼠が好きで無口で意固地者 築城百々平
酢海鼠となり果てし身を箸に懸け 高澤良一 素抱
酢海鼠に錆つく顎を使ひけり 高澤良一 素抱 
酢海鼠に顎の運動いちにっさん 高澤良一 素抱 
酢海鼠や昔日の丈夫いまの惰夫 花岡昭
酢海鼠や桂郎酒筆讃へつつ 福永耕二
酢海鼠や父をあやしむ子らの顔 堀口星眠 営巣期
酢海鼠や窓に雪雲圧し来たり 鈴木柏葉
酢海鼠を掌皿に漁夫の咽鳴らす 榊原碧洋
酢海鼠を背中さびしく食ひにけり 野中 亮介
酢瓶いくつ最昔(そのかみ)矢岐の大生海鼠(おほなまこ) 松意
雪の夜の酢を効かせたる海鼠かな 角川春樹

以上
by 575fudemakase | 2014-12-01 00:04 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

海鼠腸

海鼠腸

例句を挙げる。

海鼠腸が好きで勝気で病身で 森田愛子
海鼠腸しつゝ強姦たる火曜会かな 加藤郁乎
海鼠腸に昵懇の箸汚しけり 内田美紗 魚眼石 以降
海鼠腸に無頼のこころ制しけり 大串章 百鳥 以後
海鼠腸に玄海のひびき伝れり 米沢吾亦紅
海鼠腸の壺埋めたき氷室哉 利重
海鼠腸の瓶厚硝子海鼠腸みゆ 小澤實
海鼠腸やよき教へ子がよき漁夫に 大星たかし
海鼠腸や亡父の好みの小盃 二階堂 英子
海鼠腸や岬に古びし小料理屋 古賀ただし
海鼠腸や年忌のあとを能登に来て 梶山千鶴子
海鼠腸や月まだ色を得ずにあり 日原 傅
海鼠腸や朱のよく入りし三冊子 宇佐美魚目
海鼠腸や生きること未だおもしろく 小原啄葉
海鼠腸をすすり失礼つかまつる 助田素水
海鼠腸をすするかすかに悲しみも 秋山巳之流
海鼠腸をすするや絹をすするごと 礒部尺山子
海鼠腸を啜る霞を食ふ心地 宮本美津江
海鼠腸を計る手許を見詰めゐし 里村芳子
かけつけのこのわたざけはすこし無理 久保田万太郎 草の丈
このわたに唯ながかりし父の酒 松本たかし
このわたの壺を抱いて啜りけり 島田五空
このわたの桶の乗りゐる父の膳 松本たかし
このわたの酸かり企みあるごとし 大石悦子 聞香
このわたは小樽海鼠は中樽に 鈴木真砂女 夕螢
このわたや今宵ぐい飲大きかり 下田実花
このわたや沈思の眼盃へ 磯辺尺山子
このわたや空母ぞろりとみんなみへ 永末恵子
このわたや縷々綿々と箸を垂れ 中野三允
このわたや遠方に散る姥桜 増田まさみ
このわたを捜す留守居や花曇 小澤碧童 碧童句集
このわたを泳がせてゐる海鼠かな 矢島渚男 延年
このわたを立つて啜れる向うむき(當ツテ機ニ開キ得タリ虚口ノ口-栢庭意禅師) 飴山實 『辛酉小雪』
このわたを食べているなり吃るなり 永末恵子
どれかひとつはこのわたの握り飯 茨木和生 往馬
撰り分くるこのわた一番二番あり 杉原竹女

以上
by 575fudemakase | 2014-12-01 00:02 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

冬の山2

冬の山2

例句を挙げる。

夕風や捨子のごとく雪嶺攀づ 加藤知世子 花寂び
夜間飛行雪嶺と湖響きあふ 川村紫陽
大和にもかゝる雪嶺雪金剛 右城暮石 上下
天寿とは父を焼く日の遠雪嶺 古舘曹人 能登の蛙
天帝を追ひ傾ける一雪嶺 岡田日郎
妻と雪嶺暮色に奪われまいと白し 細谷源二
子に学費わたす雪嶺の見える駅 福田甲子雄
安曇野や雪嶺におよぶ晝がすみ 及川貞 夕焼
寄生木に雪嶺浮かみゐしが雨 木村蕪城 寒泉
小路ふさぐ雪嶺へ蒸籠けむりけり 金尾梅の門 古志の歌
尺八吹く雪嶺に窓開け放ち 伊藤いと子
崩れ簗雪嶺のぞみそめにけり 五十崎古郷句集
帰路の友にぶし雪嶺は夕日得て 大井雅人 龍岡村
帰還兵なり雪嶺の下に逢ふ 文挟夫佐恵 黄 瀬
幕切れのごと雪嶺の夕日消ゆ 岡田日郎
干割れ落つ餅花一つ雪嶺覚め 喜多牧夫
往還の上雪嶺のたたずまひ 猪俣千代子 秘 色
復活祭雪嶺を青き天に置く 堀口星眠 火山灰の道
恋ふ寒し身は雪嶺の天に浮き 西東三鬼
愛ひらくときも心に雪嶺あり 平木梢花
抜群の雪嶺生涯たどたどし 古舘曹人 能登の蛙
授業日々雪嶺にとりまかれつつ 石田小坡
文江忌の雪嶺の蒼心にす 加藤耕子
斑雪嶺に会ふまばゆさの顔撫でて 村越化石 山國抄
斑雪嶺のふかきへ鱒を提げゆくか 村上しゆら
斑雪嶺の影のゆらぎの絵蝋燭 吉田紫乃
斑雪嶺の暮るるを待ちて旅の酒 星野麦丘人
斑雪嶺や雀尾長も声潤ひ 行木翠葉子
斑雪嶺を仰ぎ応挙の絵を見たり 越智照美
斑雪嶺を神とも仰ぎ棚田打つ 伊東宏晃
旅人に雪嶺翼張りにけり 大橋敦子 匂 玉
日のテラス雪嶺へ展べ佳人亡し 木村蕪城 寒泉
日の出時雪嶺向きを変へはじむ 永田耕一郎 雪明
日を浴びて雪嶺一座づつまどか 岡田日郎
明日へ繋がる寝息雪嶺足先に 太田土男
昏々眠る昨日雪嶺の裾にゐし 佐野美智
星うるむ夜は雪嶺も肩やさし 千代田葛彦 旅人木
星ひとつともり雪嶺ひとつ暮れ 岡田日郎
星光り雪嶺になほ夕日の斑 岡田日郎
星空に雪嶺こぞる夜番かな 松本たかし
晩年の道行きどまる遠雪嶺 木村敏男
暁光にけふ雪嶺となりて立つ 相馬遷子 山河
暮雲おき雪嶺たゞの山に伍す 篠田悌二郎
曇天に雪嶺しづむ野梅かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
月光に雪嶺かくすところなし 大橋桜坡子
月光に雪嶺ひとつ覚めて立つ 相馬遷子 山河
朝ざくら雪嶺の威をゆるめざる 木村蕪城
木菟の夜は雪嶺軒に来て立てる 堀口星眠 火山灰の道
東京へ東京へ車窓雪嶺しづむ 桜井博道 海上
枯桑に雪嶺裾をひきにけり 大橋櫻坡子 雨月
楊萌ゆ雪嶺天にねむれども 有働 亨
楽器抱くように編物雪嶺ふくらめ 寺田京子 日の鷹
榛の花雪嶺かすかに光り暮れ 岡田日郎
歩廊の端に余りし雪嶺の寒さ 内藤吐天 鳴海抄
母の瞳の行き届くかに遠雪嶺 佐藤美恵子
水鳥に凍てはとほらず逆雪嶺 原裕 青垣
汽車とまり遠き雪嶺とまりたり 山口誓子 七曜
汽車どちら向くも雪嶺なくなれり 右城暮石 声と声
汽車喘ぎ雪嶺遠く威ありけり 岸風三楼 往来
汽車降りて雪嶺の高さには馴れず 橋本美代子
洗面の水の痛さの遠雪嶺 石川桂郎
流氷と羅臼の雪嶺いづれ濃き 石原八束 『風信帖』
浮雲いつかなし雪嶺は墓標群 福田蓼汀
海に聳つ雪嶺はこの陸つゞき 右城暮石 上下
海へ雪嶺へ舞ひは銀朱や朱鷺の夢 加藤知世子 花寂び
湖眠る雪嶺深く映すべく 西村和子 かりそめならず
濡れし眼に雪嶺父の愛母の愛 伊藤敬子
炬燵焦げくさし雪嶺暮れてなし 藤岡筑邨
無情なるまで雪嶺の天聳る 榎本冬一郎 眼光
燕来る遠雪嶺の光負ひ 林翔 和紙
牛乳のむ花の雪嶺のつづきにて 細見綾子 黄 炎
牧の犬むつみ来るまゝ雪嶺ヘ 石橋辰之助 山暦
狂院のちなみに鴉声遠雪嶺 古舘曹人 能登の蛙
町の上に雪嶺澄めり吹雪熄む 相馬遷子 山国
畦青み雪嶺しざり秩父別(ちっぷべつ) 高澤良一 素抱
白雲の中白光の一雪嶺 岡田日郎
白雲を雪嶺と見て年忘れ 阿部みどり女
白鳥に雪嶺も頭を並べたり 堀口星眠 営巣期
白鳥の別れ夜空に雪嶺泛く 石原舟月
真夜雪嶺雲なし月光のみまとふ 岡田日郎
矢のごとく降り雪嶺の雪となる 原裕 葦牙
短日や雪嶺天に遺されて 小野宏文
碧落に神雪嶺を彫りにける 福田蓼汀
種浸す若狭は雪嶺遠巻きに 西村公鳳
穂高ほどの名なく雪嶺にて並ぶ 篠田悌二郎
空青し雪嶺これを縫ふごとし 橋本鶏二
立ち憩ふときも雪嶺に真向へり 相馬遷子 山国
競ひ立つ雪嶺をアラスカの天とせり 有働亨 汐路
竹皮を脱ぐ雪嶺に真向ひて 佐野美智
筒鳥や雪嶺映す池しづか 鎌田八重子
米磨ぐや雪嶺いつまで夕茜 岡田日郎
終着駅雪嶺触るるばかりなり 茂里正治
綺羅星は私語し雪嶺これを聴く 松本たかし(1906-56)
繭玉の端雪嶺に触れてゐし 平原玉子
翔ぶことの歓喜雪嶺たたなはる 原和子
老婆より菫を買へり雪嶺下 田川飛旅子
耳うごくごと雪嶺に遠く佇つ 萩原麦草 麦嵐
聴診器ことりと置けば雪嶺あり 岡本正敏
脚はやき僧に雪嶺あとしざり 河野静雲 閻魔
腕組んで唄へば雪嶺ゆらぎ出す 岩田昌寿 地の塩
舞踏室灯せばなづむ雪嶺かな 宮武寒々 朱卓
船の銅羅かの雪嶺に谺せる 福田蓼汀 山火
芦刈りて夕べ雪嶺をあらはにす 茂里正治
花杏雪嶺なぞへに暮れなづむ 石原八束 空の渚
落花霏々雪嶺いまも陸に聳つ 佐野まもる 海郷
蒼天に雲消ゆ雪嶺離りては 岡田日郎
藁屋根の端の雪嶺ことに冴え 桂信子 黄 瀬
見えゐて遠き雪嶺や夫に追ひつけず 加藤知世子 花寂び
谷展け雪嶺右へ右へ濃し 太田嗟
貧しくて照る雪嶺を窓にせり 相馬遷子 山国
貨車連結さる雪嶺の大盤石 齋藤愼爾
赤子哭くたび雪嶺聳え立つ 徳岡蓼花
足袋つくろふ雪嶺の朝から晴れて 内藤吐天 鳴海抄
身は萎えて気はまだ確か雪嶺よ 相馬遷子 山河
農耕の声雪嶺のふもとより 永田耕一郎 海絣
逆雪嶺うすももいろに水あかり 原裕 青垣
連なれる雪嶺の黙天を占む 山本歩禅
遠き雪嶺日の大きな赤児見て 北原志満子
遠く雪嶺一村日の中ぐみ熟るる 近藤馬込子
遠ざかり来て雪嶺の主峰見ゆ 右城暮石 上下
遠ざかる雪嶺近づき来る雪嶺 大橋敦子 手 鞠
遠ぞらに雪嶺のこり機の音 鷲谷七菜子 花寂び
遠雪嶺石楠花は紅こぼれむと 林 翔
遠雪嶺見むと胎児もともに出づ 鷹羽狩行
遠雪嶺近よりがたし去りがたし 古舘曹人 能登の蛙
遠雪嶺黒部に紅葉下りて来し 源義
遥かよりわれにむき照る雪嶺あり 岡田日郎
銀の匙もて雪嶺を窓に指す 神谷九品
鋪装路の果ての雪嶺に駅出でぬ 原田種茅 径
雀交る雪嶺を截る屋根の上 相馬遷子
雛の灯を消せば近づく雪嶺かな 本宮哲郎
雪嶺(ゆきね)を砦書を砦しなほ恋へる 川口重美
雪嶺が北に壁なす大暗黒 榎本冬一郎
雪嶺が台座神鏡の日が一輪 岡田日郎
雪嶺となつて外山の大起伏 竹下しづの女 [はやて]
雪嶺となる雲中にきらめきつゝ 相馬遷子 山河
雪嶺と交歓に日の短かさよ 大島民郎
雪嶺と倒影の間の唐辛子 中戸川朝人
雪嶺と暮色のあひを風吹けり 長谷川双魚 風形
雪嶺と激浪のあひ貨車長し 吉野義子
雪嶺と色同じくて霞立つ 相馬遷子 山河
雪嶺にても女懐中かがみ見る 稲垣きくの 黄 瀬
雪嶺にぶつかりぶつかり凧あがる 藤岡筑邨
雪嶺にむかひて*たらの芽ぶきたる 長谷川素逝
雪嶺にむかひて高し祷りの碑 古賀まり子 降誕歌
雪嶺に一雲すがりともに暮れ 岡田日郎
雪嶺に三日月の匕首飛べりけり 松本たかし
雪嶺に今年別れんとして来たり 岡田日郎
雪嶺に住む鏡掛くれなゐに 神尾久美子 掌
雪嶺に向きて雪解の簷しづく 素逝
雪嶺に向く山車蔵を開け放つ 栗田やすし
雪嶺に向ひて妻と洗面す 椎橋清翠
雪嶺に向ひて砂利を篩ひをり 萩原麦草 麦嵐
雪嶺に地は大霜をもて応ふ 相馬遷子 山河
雪嶺に夕蒼き空残しけり 馬場移公子
雪嶺に対きて雪解の簷しづく 長谷川素逝 暦日
雪嶺に対す籐椅子ふたつ置かれ 岸風三楼 往来
雪嶺に押され梵天近づき来 利部酔咲子
雪嶺に月の部落息ひそむかな 河野多希女 こころの鷹
雪嶺に死ぬ落陽を生かしたし 細谷源二 砂金帯
雪嶺に汽車現れてやや久し 中村汀女
雪嶺に照りりんりんと夜明月 岡田日郎
雪嶺に産声あげて水芭蕉 渡辺和子
雪嶺に発し海まで短か川 山口誓子 青銅
雪嶺に目を離し得ず珈琲のむ 岩崎照子
雪嶺に真向ふ道のあれば行く 太田土男
雪嶺に礼し初湯に入りにけり 柳澤和子
雪嶺に神観し朝日当るより 吉村ひさ志
雪嶺に立つ父の過去子の未来 京極紀陽
雪嶺に終る太陽手は垂れて 細谷源二 砂金帯
雪嶺に輝きし日も昏れそめし 上村占魚 球磨
雪嶺に遠し田があり田がありて 山口波津女 良人
雪嶺に重なりて瑠璃きつき峰 内藤吐天 鳴海抄
雪嶺に雉子全きを吊りにけり 野中亮介
雪嶺に雪あらたなり実朝忌 相馬遷子 山河
雪嶺に電車久しく通らざる 山口波津女 良人
雪嶺に面をあげて卒業歌 岩崎健一
雪嶺に風突き当り苗代寒 石井とし夫
雪嶺に駆けのぼりたき夜ぞ街ヘ 石橋辰之助
雪嶺に骨光るかに月かかる 岡田日郎
雪嶺に鷹の流るる初御空 森澄雄
雪嶺に鼻梁のかげのごときもの 宮津昭彦
雪嶺のいづかたよりの山彦ぞ 猪俣千代子 秘 色
雪嶺のうしろを見たき夕焼かな 太田土男
雪嶺のうつりてひろき水田かな 鈴木花蓑句集
雪嶺のかがやきかへし花すもも 仙田洋子 雲は王冠
雪嶺のかがやき集め紙乾く 細見綾子 黄 炎
雪嶺のかがやく祖谷の出初かな 佐原頼生
雪嶺のかげ射す車窓人睡たり 相馬遷子 山国
雪嶺のかみそり走り尾根を成す 若木一朗
雪嶺のこぞりて迫る大根漬け 駒形白露女
雪嶺のさめては鳶を放ちけり 井上三余
雪嶺のとらへがたけれ雲湧きつぎ 大島民郎
雪嶺のどこかにまぎれ鳥飛べり 岡田日郎
雪嶺のなほ彼方なる一雪嶺 右城暮石
雪嶺のひとたび暮れて顕はるる 森澄雉
雪嶺の上の青空機始め 澤木欣一
雪嶺の並ぶかぎりの青霞 岡田日郎
雪嶺の中まぼろしの一雲嶺 岡田日郎
雪嶺の乙女さびしてスイス領 有働亨 汐路
雪嶺の佐渡の吹つ飛ぶ大嚏 小島 健
雪嶺の光わが身の内照らす 相馬遷子 山河
雪嶺の光をもらふ指輪かな 浦川 聡子
雪嶺の名をみな知らずして眺む 山口誓子 晩刻
雪嶺の天に牆なす牧びらき 小林碧郎
雪嶺の尚彼方なる一雪嶺 右城暮石 声と声
雪嶺の悠久年のあらたまる 阿部みどり女 『光陰』
雪嶺の愁眉に迫る朝かな 蓬田紀枝子
雪嶺の我も我もと晴れ来たる 三村 純也
雪嶺の暮れなむとしてこころの炎 仙田洋子 雲は王冠
雪嶺の朝な影濃き園児服 原裕 葦牙
雪嶺の正装君を送るなり 福永耕二
雪嶺の歯向ふ天のやさしさよ 松本たかし
雪嶺の浮きて流れず茜空 原裕 青垣
雪嶺の無言に充てる太虚かな 松本たかし
雪嶺の照りをうながす除夜詣 原裕 正午
雪嶺の白銀翳り藍に染む 粟津松彩子
雪嶺の目の高さなる小正月 阿部みどり女
雪嶺の稜骨くろし地にも雪 相馬遷子 山河
雪嶺の肩に雲燃え樺の花 西村公鳳
雪嶺の茜や詩論白熱す 加藤知世子 花寂び
雪嶺の裏側へなほ旅つづけ 岡田日郎
雪嶺の裏側まっかかも知れぬ 今瀬剛一
雪嶺の裾を踏まんと来て踏むも 相馬遷子 山国
雪嶺の襞しんしん蒼し金縷梅咲く 加藤知世子
雪嶺の襞亀裂せり父の鬱 齋藤愼爾
雪嶺の襞濃く晴れぬ小松曳 杉田久女
雪嶺の見えてなかなか近づけず 冨田みのる
雪嶺の見えて漆器をつくる町 冨田みのる
雪嶺の見つめすぎたる暗さかな 猪俣千代子 秘 色
雪嶺の覗く苗代かぐろしや 石田波郷
雪嶺の遠き一つの名は知りて 須田冨美子
雪嶺の雪につづける縁の雪 遠藤梧逸
雪嶺の青き昃りのとき浴む 木村蕪城 寒泉
雪嶺の青のきびしき生糸繰る 加藤知世子
雪嶺の青みかかりぬ柏餅 阿部みどり女 『陽炎』
雪嶺の風繭玉に遊ぶかな 村越化石
雪嶺の麓に迫る若葉かな 野村泊月
雪嶺はつらなり畝はたてよこに 長谷川素逝 暦日
雪嶺は天の奥なり目白籠 宇佐美魚目
雪嶺は天柱をなし吾を迎ふ 伊藤彰近
雪嶺は美し道祖神手をつなぐ 坂口緑志
雪嶺は遠し田があり田がありて 波津女
雪嶺は雪嶺に向き黙し会ふ 岡田日郎
雪嶺へひとたび柩掲げたる 中島畦雨
雪嶺へひびき丸太を貨車積みす 榎本冬一郎 眼光
雪嶺へ二輛編成にて発てり 本宮鼎三
雪嶺へ向けチカチカと鶸の嘴 木村蕪城 寒泉
雪嶺へ戸口のくらさ猟夫住む 星眠
雪嶺へ杏の枝のやゝしだれ 椎橋清翠
雪嶺へ白魚を汲む肘上ぐる 田川飛旅子
雪嶺へ貨物車長き列と影 右城暮石 声と声
雪嶺へ通ふゴンドラ外より鍵 大橋敦子 手 鞠
雪嶺へ酷寒満ちて澄みにけり 相馬遷子 山国
雪嶺まで枯れ切つて胎かくされず 森澄雄 雪櫟
雪嶺まで行きては戻るばかりかな 平井照敏 天上大風
雪嶺も一憂一喜雲移る 堀口星眠 営巣期
雪嶺やマラソン選手一人走る 西東三鬼
雪嶺や一つ猟銃音ありしのみ 猪俣千代子 堆 朱
雪嶺や一艇湖の色分ける 中村みよ子
雪嶺や口を拭ひて飯の後 岸本尚毅 舜
雪嶺や右に首垂れイエス像 野澤節子 黄 炎
雪嶺や名もまぶしくて初鴉 森澄雄
雪嶺や地蔵のごとく吾を残す 渡辺七三郎
雪嶺や夕ベのチャイム廊に鳴り 有働亨 汐路
雪嶺や如来の幅に扉を開く 小島千架子
雪嶺や昼夜の膳に鱈鰊 岸本尚毅 舜
雪嶺や死者還らねば棺は空ら 岡田日郎
雪嶺や白眼ばかりの達磨市 渡辺白峰

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by 575fudemakase | 2014-12-01 00:02 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

冬の山1

冬の山1

例句を挙げる。

あたたかき雨にや成らん冬の山 召波
いくたびか冬の山より帰り来る 永末恵子 留守
いづこより来てつくる菜や冬の山 銀漢 吉岡禅寺洞
かくれなく重なり合ふや冬の山 蝶夢
ひよいと出て老人の濃し冬の山 小島千架子
ふるゝものを切る隈笹や冬の山 渡邊水巴
めぐり来る雨に音なし冬の山 蕪村
ユヅリハもアスヒも触るゝ冬の山 前田普羅 能登蒼し
一夜寝て一夜齢とる冬の山 蓼汀
一髪のごとくに冬の山遠く 日原傳
中腹に道の岐れる冬の山 桂信子 遠い橋
人声のすぎたるあとや冬の山 久保田万太郎 流寓抄
兀として塔一つあり冬の山 楠目橙黄子
兎網張り果てし松や冬の山 碧雲居句集 大谷碧雲居
冬の山あるいは暗黒装置であり 佃悦夫
冬の山から巨人症の薬売り 仁平勝 東京物語
冬の山のりしろをやや余しけり 永末恵子 発色
冬の山ややのりしろを余しけり 永末恵子
冬の山より下りきて春の川 鳴戸奈菜
冬の山より人出て昼食す 桑原三郎 晝夜
冬の山人通ふとも見えざりき 夏目漱石 明治二十八年
冬の山傷の如くに鉄路あり 柴原保佳
冬の山八大寺とて見えわたる 上田三樽
冬の山動くものなく径通ず 村越化石
冬の山火伏の行者渉りけり 冬葉第一句集 吉田冬葉
冬の山父よ父よと錠を鎖し 柿本多映
冬の山篠の刈らるゝ音すなり 野村喜舟 小石川
冬の山虹に踏まれて彫深し 西東三鬼
冬の山跫音熄めば吾もなし 福田蓼汀 秋風挽歌
冬の山魔法の杖をたてかけて 石田郷子
北面の芒は刈らず冬の山 柑子句集 籾山柑子
名刹を焼いて泰さや冬の山 宮武寒々 朱卓
唇の言葉の下の冬の山 山西雅子
墨を磨り終えて真向う冬の山 桂信子
夢一羽二羽撃たれゆき冬の山 増田まさみ
大宿坊大蔵王堂冬の山 高野素十
大木の伐り倒しあり冬の山 梧月
庫裡を出て納屋の後ろの冬の山 高浜虚子
律川と呂川と冬の山出づる 八木林之介 青霞集
戸隠へゆく道のある冬の山 朱鳥
探り置きし古墳あらはや冬の山 比叡 野村泊月
撃たれては堕ちゆく天か冬の山 桑原三郎
斧の音深くも入らず冬の山 事紅
星ながら精しく掃きぬ冬の山 永田耕衣
木も石も雌雄の負ひ目冬の山 殿村菟絲子 『菟絲』
木を倒す音静まりし冬の山 立子
歯朶蕨土もかれ~冬の山 觀魚 伊藤觀魚
火の見高う碓氷郡や冬の山 小澤碧童 碧童句集
焼鏝の煙があまし冬の山 清水刀谷
狼に逢はで越えけり冬の山 正岡子規
生ひたちの処に冬の山が在り 中尾寿美子
眼のごとき沼あり深き冬の山 鷲谷七菜子 雨 月
石見とは淋しき国よ冬の山 竹内省十
窯跡の緋の陶片や冬の山 小川軽舟
米研ぎつ過去へさらさら冬の山 安井昌子
自動車のとまりしところ冬の山 高野素十
色変へて夕となりぬ冬の山 前田普羅 飛騨紬
蒼空に罠はじけ居り冬の山 碧雲居句集 大谷碧雲居
表彰状なげしに並べ冬の山 辻桃子
言霊を体温とする冬の山 前田秀子
谷かけて長き竪樋や冬の山 比叡 野村泊月
谷底に吊橋かけぬ冬の山 前田普羅
走者一掃して冬の山冬の川 飯田龍太 遅速
越えてゆく山また山は冬の山 種田山頭火
身綺麗な杣下りてくる冬の山 橋石 和栲
還らざる一歩の響き冬の山 渡辺恭子
銃を背に下り来る看守冬の山 青葉三角草
閉門の時来て重し冬の山 和田悟朗 法隆寺伝承
音のして次の音待つ冬の山 児玉南草
頂上に蛇巻き冬の山乾く 飴山實 『おりいぶ』
骨どこか鳴らし杣ゆく冬の山 鷲谷七菜子 花寂び
魚板打ち冬の山気の濃くなりぬ 能村研三 鷹の木
鯉の子はおどろきやすく冬の山 飴山實 『次の花』
鯉もまた日ざし好めり冬の山 茨木和生 丹生
鯉喰つて目のあそびゆく冬の山 玄
鳥も亦さびしと群るる冬の山 福田蓼汀 秋風挽歌
鳶鴉左右に別れ冬の山 阿部みどり女 月下美人
鵜の糞の白き梢や冬の山 素牛 俳諧撰集「藤の実」
うつし世の闇冬山に及びたり 海老名衣子
おのれ恥づ冬山の日の清らなる 石橋辰之助 山暦
こぼれ出てバスの脊を押し冬山路 赤松[けい]子 白毫
のしかかる冬山の威に順へり 草間時彦 櫻山
ふたごころなしと刻みし歌碑の冬 山本歩禅
ふるさとへ幾重の低き冬山ぞ 京極杞陽 くくたち下巻
またゝく灯冬山の夜を呼びかはし 石橋辰之助 山暦
めづらしく遠冬山の見ゆる日よ 上村占魚 球磨
コンパクト冬山近し臙脂ひく 柴田白葉女 『夕浪』
コーヒーのミルクの渦や今朝の冬 山田節子
一ト火あり又一ト火あり冬山家 松本たかし
一切流転冬山こだまかへしくる 柴田白葉女 花寂び 以後
人焼く煙突を見せて冬山 住宅顕信 未完成
傷止をして冬山に圧されをり 萩原麦草 麦嵐
冬山いたゞきにすこし日当れる 雑草 長谷川零餘子
冬山がずんずんからだのなかにすわる 駒走鷹志
冬山とおなじの黝の雲が増す 篠原梵 雨
冬山にうちひらきあり牧の木戸 佐海
冬山になほ吐く息のとゝのはず 石橋辰之助 山暦
冬山に世を飛び越えて寺一つ 上甲平谷
冬山に乾き棲みつくひとの顔 鈴木六林男 谷間の旗
冬山に伐りて負ひ出す榊かな 尾崎迷堂 孤輪
冬山に僧も狩られし博奕かな 飯田蛇笏 山廬集
冬山に入る青竹の籬より 山本洋子
冬山に吉野拾遺をのこしたる 高野素十
冬山に向ひて居れば友来る 下村槐太 天涯
冬山に土龍の齢たづねけり 田中裕明 花間一壺
冬山に坂部部落貼り付きぬ 草間時彦 櫻山
冬山に壊えをたのしむ仏たち 野見山ひふみ
冬山に憩ひし石を忘れまじ 京極杜藻
冬山に我が耐ふひかり天よりす 石橋辰之助 山暦
冬山に放たむ声の嗄れゐたり 石橋辰之助 山暦
冬山に数珠うる尼が栖かな 飯田蛇笏 春蘭
冬山に来りてこころ緊るとも砕けつるわが白磁かへらず 畑和子
冬山に枯木を折りて音を聞く 飯田蛇笏 椿花集
冬山に狩りし獣や牙長し 広江八重桜
冬山に至りつきつつ出石町 京極杞陽
冬山に道つきあたり電車をり 波多野爽波 鋪道の花
冬山に鶏遊ばせて温泉宿かな 西山泊雲 泊雲句集
冬山のいま終りたる昭和かな 中杉隆世
冬山のいろくづに似し光かな 原裕 正午
冬山のうしろに日輪まはりけり 阿部みどり女 『雪嶺』
冬山のさび藍色のこひしさに 綾子
冬山のしづかなるさへ治世かな 尾崎迷堂 孤輪
冬山のただに青けれ入日どき 秋櫻子
冬山のどこも太陽が歩いたあと 竹本健司
冬山のふかき襞かなこころの翳 飯田龍太
冬山のほのぼのしさを引きあてる 松澤昭 面白
冬山のわがゆくところいのちあり 石橋辰之助
冬山の一点ひかり人住めり 石橋辰之助 山暦
冬山の一重の裏は丹後にて 京極杞陽
冬山の倒れかゝるを支へゆく 松本たかし
冬山の円々とあり低くあり 星野立子
冬山の夕べを岩と分ちけり 徳弘純 麦のほとり
冬山の奥照りに父らはためく 松澤昭 父ら
冬山の崩(が)れ場最も悲しき箇處 山口誓子 方位
冬山の影より倒れ来りけり 中杉隆世
冬山の径落ちたる庇かな 兜羅
冬山の悪意に満ちし姿かな 草間時彦 櫻山
冬山の我がゆくところいのちあり 石橋辰之助 山暦
冬山の我を厭ひて黙したる 松本たかし
冬山の我を挟みて倒れ来る 松本たかし
冬山の扉の裾に伏す宮津かな 西山泊雲 泊雲句集
冬山の拒み塞げる行手かな 松本たかし
冬山の日向日かげの檜の匂ひ 金尾梅の門
冬山の日當るところ人家かな 村上鬼城
冬山の昼をあざむく火の柱 伊東宏晃
冬山の樹々の貌に夕日がある 石橋辰之助 山暦
冬山の汽笛のこだまの船に帰す 下村槐太 天涯
冬山の深き襞かなこころの翳 飯田龍太
冬山の漢はっしと楔打つ 佐藤吟秋
冬山の煙にもある美醜かな 京極杞陽
冬山の犬返しより犬帰る 山口誓子 雪嶽
冬山の石仏群の崩壊す 高野素十
冬山の神たづね継ぎ草千里 角川源義 『冬の虹』
冬山の笹に橇道消えにけり 渡邊水巴 富士
冬山の筧の音に遠ざかる 五十嵐播水 播水句集
冬山の精ひかり出づ水ぐるま 大串章
冬山の終の日消えし虚空かな 福田蓼汀 秋風挽歌
冬山の裏にても火を焚くならん 橋間石
冬山の襞に漂ふ嵐気かな 西山泊雲 泊雲句集
冬山の転びて元に戻りけり 竹本健司
冬山の道づくろひにどつと会ふ 皆吉爽雨
冬山の雪にまみれし身を羽摶つ 石橋辰之助 山暦
冬山の頂きのつと旭かな 西山泊雲 泊雲句集
冬山の麓にならぶ喇嘛八寺 遠藤梧逸
冬山へ坐り直して石鼎忌 酒井裕子
冬山へ斧忘れ来し夜の笑話 原裕 葦牙
冬山へ突き出す彫刻の腕二本 福田蓼汀
冬山やあけくれ通ふ背戸の納屋 石鼎
冬山やこの道もせの広きこと 尾崎迷堂 孤輪
冬山やどこまで登る郵便夫 渡邊水巴
冬山やどこ迄登る郵便夫 渡辺水巴
冬山やましらの通ひ蔓橋 松根東洋城
冬山やまんなかの山粉のごとし 和知喜八
冬山や人猿に似て菓子を売る 前田普羅
冬山や何に赤かる蔓もどき 松根東洋城
冬山や太鼓叩いて登りくる 比叡 野村泊月
冬山や寺に薪割る奥は雪 飯田蛇笏 山廬集
冬山や岩のおもての観世音 石橋秀野
冬山や峠路別に樵り道 尾崎迷堂 孤輪
冬山や帽子をはらう栂の枝 前田普羅 新訂普羅句集
冬山や影を落として通る雲 青峰集 島田青峰
冬山や径あつまりて一と平 前田普羅 飛騨紬
冬山や惜しき月日が今も過ぐ 細見綾子
冬山や我禅定の岩のどれ 松根東洋城
冬山や日輪の辺に一青年 柴田白葉女 花寂び 以後
冬山や昼を灯りて食堂車 楠目橙黄子 橙圃
冬山や暗澹として海見ゆる 野村喜舟 小石川
冬山や木の根岩根の願狐 篠原鳳作 海の旅
冬山や松風海へ吹落す 村上鬼城
冬山や温泉の脈海の底に果つ 内藤吐天
冬山や谷をちがへて寺と宮 中野樹沙丘
冬山や身延と聞いて駕籠に覚む 前田普羅
冬山や遡りあさりて老鵜飼 楠目橙黄子 橙圃
冬山や鉈音よりも谺澄み 羽部洞然
冬山を仰ぎ通しの項かな 草間時彦 櫻山
冬山を仰ぐ身ふかく絹の紐 岡本眸
冬山を叩くが如く魚板打つ 杉浦冷石
冬山を恋ふ目*かんじき壁に吊り 小林康治 『虚實』
冬山を抱へてをればぬくくなる 竹本健司
冬山を旅の帽子の上にかな 草間時彦 櫻山
冬山を窓に心の旅路かな 京極杞陽
冬山を行き冬山を来しのみぞ 遠入 たつみ
冬山を見てきしいざや遊びせん 松澤昭
冬山を越しゆく中年同士にて 菖蒲あや
冬山を雲の洩れ日の這ひあがる 小路紫峡
冬山中に天窓ありし甘美かな 澁谷道
冬山中煙の束の炎の初め 野澤節子 黄 炎
冬山家時計ばかりの音に寝し 石井とし夫
冬山家狐を飼へる臭ひあり 清崎敏郎
冬山家茶碗を洗ふ音もらす 八牧美喜子
冬山水激突し激突し青年のごと何も失わず 橋本夢道
冬山裾夜の深さ知る靄一帯 高濱年尾 年尾句集
冬山見るすいば噛む子の後より 羽部洞然
冬山路ふと吾が影の浮ぶ幹 大岳水一路
冬山路一石一宇供養塔 福田蓼汀 山火
冬山路俄にぬくきところあり 高浜虚子
冬山路教へ倦まざる声すなり 飯田龍太 麓の人
凛として陸奥宗光の墓の冬 山本歩禅
出航を冬山からも見てをりぬ 大串章
別れなむ冬山の襞胸そこに 恩田侑布子
十銭のあきなひするや冬山家 前田普羅 飛騨紬
句縁とは同行五人冬山路 西村和子 かりそめならず
地に降りし猿みな子持ち冬山路 岡部六弥太
墓ならぶ冬山の裾あたたかし 上村占魚 球磨
墓起す冬山低きところかな 藤原款冬
大玻璃戸冬山収め余りあり 上野泰 佐介
大鋸ごりごり木をはむ冬山かげりくる 人間を彫る 大橋裸木
威と言へるもの冬山は低けれど 田中暖流
富士隠す冬山ひとつ東歌 鍵和田釉子
山姥の眸に冬山の色なせる 長谷川かな女 牡 丹
山科の冬山ちかき庵かな 吉田 ひで
忌に集ふ冬山青き水おとす 原裕 葦牙
慾ごゝろ冬山の水に触れて足りぬ 中尾白雨 中尾白雨句集
戸々の犬吠え出てとがむ冬山家 福田蓼汀 秋風挽歌
押し合ひて冬山は日を恋ひにけり 前田普羅 飛騨紬
持佛より人の煤けて冬山家 高田蝶衣
曼荼羅を見ず冬山を去りにけり 石脇みはる
木曾の冬山家ずんずん遠くなる 大串章
木樵ゐて冬山谺さけびどほし 橋本多佳子
朴の実も売つて居るなり冬山家 比叡 野村泊月
東へ低き冬山手紙待つ 馬場移公子
機音冬山へひゞき機音ひとりとなりて 安斎櫻[カイ]子
水を濾す鱒の艶肌冬山中 原裕 青垣
水車場の上ミの冬山人見ゆる 石原舟月 山鵲
汀チヤンにどの冬山の名教へん 京極杞陽
泣くごとく渓流に燈を冬山家 林火
泣虫の妻に一日づつの冬 山本歩禅
火を焚いてゐる冬山の登山口 酒井裕子
火塚めぐり冬山の線ゆるやかなり 太田鴻村 穂国
照雄恋し讃岐の冬山ぽこりぽこり 奈良文夫
父と居て淋しき夜かな冬山家 石昌子
犬吠ゆる冬山彦になりたくて 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
獣干す干物並に冬山家 森田峠 避暑散歩
皮盗まれて白樺の氷き冬 山口速
神さびや冬山縫へる朱ケの垣 西山泊雲 泊雲句集
積み薪に窓もつけをり冬山家 冬葉第一句集 吉田冬葉
空にかぶさられて冬山のしづもりに独り シヤツと雑草 栗林一石路
空籠にただよう冬山河 鳥の 渋谷道
紙漉もやめて遠退く冬山家 百合山羽公 寒雁
能舞の袖冬山を容るるかな 橋本鶏二
草城忌あの冬山の裏見えぬ 阿部完市
落人の悲しみ今も冬山家 深川正一郎
藁の底に葱畑青し冬山家 碧雲居句集 大谷碧雲居
蛇にあらず冬山の路生きてあり 前田普羅
行きたしと冬山裾の川に出で 京極杞陽 くくたち下巻
街道は冬山裾をめぐりけり 青峰集 島田青峰
赤彦の住み今刀自住める冬山家 深見けん二
野の灯より冬山の灯のまたゝくよ 石橋辰之助 山暦
雨ためて冬山の径つくるなし 前田普羅 飛騨紬
風ふいて冬山刻をわきまへず 吉武月二郎句集
あかつきの雪山の上星黄なり 長谷川かな女 雨 月
いつ見ても婆に雪山雪降りをり 中山純子 沙羅

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by 575fudemakase | 2014-12-01 00:01 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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