2014年 12月 06日 ( 10 )

年用意

年用意

例句を挙げる。

くれなゐの襷一本年用意 岡部名保子
しづかなるくらしの中の年用意 小原牧水
すぐ妻を呼ぶ年用意始まれり 白岩 三郎
すぐ高き當麻の月や年用意 山本洋子
つねに陽を背に確かめて年用意 佐藤美恵子
とことはの二人暮しの年用意 松本たかし
ひもすがら小雪ちらつく年用意 伊達外秋
ふる雪のかりそめならず年用意 久保田万太郎 流寓抄以後
べつたりと濡れし俎年用意 橋本鶏二 年輪
みほとけに菊畑のこす年用意 山田孝子
むつかしきことは云ふまじ年用意 高田つや女
もの捨つることより始め年用意 藤陵紫泡
カレンダー掛換へて終ふ年用意 永野 祥子
カレンダー獄中に貼り年用意 角川春樹
一人居の身のつゝましく年用意 三浦 マサ子
一書買ふことにて足れり年用意 佐々木麦童
一束の牛蒡を埋けて年用意 金親化石
一束の菜に蕾あり年用意 龍岡晋
一袋猫もごまめの年用意 小林一茶
久々に穴掘ることも年用意 能村研三 鷹の木 以後
二人前の豆煮て了る年用意 玉置石松子
人混みを妻に従ふ年用意 中林利作
休日の増えし男の年用意 玉澤淑子
何にでも老のかけ声年用意 小松月尚
使ひ捨て懐炉買ひため年用意 角川春樹
俎板に大鯛跳ぬる年用意 和田千恵子
児の髪を切りすぎにけり年用意 百瀬ゆき子
円鏡のラジオやせわし年用意 小沢昭一
切符買ふ列に並んで年用意 三宅 桂
厨の灯ひとつ吊り足し年用意 岡本 眸
古絵馬を焚き護摩堂の年用意 北村 周
吾と古りし鍋釜磨き年用意 工藤郁子
啄木鳥の穴を繕ひ年用意 荒川文雄
夕映の妻にしたがふ年用意 笹川正明
外濠の鴨を窗辺に年用意 飯田蛇笏 雪峡
夢殿へ白砂敷き足す年用意 山田孝子
大いなる年より年へ年用意 赤星水竹居
大漁旗立てて一村年用意 深見けん二
天に遊ばしめ鳩舎の年用意 安良岡昭一
天気予報聞いて出掛ける年用意 田中こずゑ
夫婦して買ひ物好きの年用意 西村和子 夏帽子
娘にまかせ心許なき年用意 幸喜美
子の丈の妻におよべり年用意 平野彩雨
山茶花の実のはじけけり年用意 小澤碧童 碧童句集
川浚ひしたる貴船の年用意 土山紫牛
川端に鵜籠洗ふも年用意 藤井智子
巡航船迎へて島の年用意 小野寺孤羊
年用意おしらさまにも晴衣着せ 原 柯城
年用意とて紙を剪る甲申 黒田杏子 花下草上
年用意なほこまごまと主婦の用 島村茂雄
年用意ならぬ古壺買ひ戻る 下村ひろし 西陲集
年用意にと届きたる雉子一羽 秋山 万里
年用意のひとつひとつに猫寄り来 寺井谷子
年用意ほのぼの匂ふ牛蒡の身 高橋鋼乙
年用意やまひ養ふばかりにて 島野光生
年用意よき鰹節を選びけり 山本蓬郎
年用意をはりし水を打ちにけり 岸風三楼 往来
年用意メモ消しゆけば残る吾 入江知世子
年用意利尻昆布の砂おとす 細見綾子
年用意医師は薬とり揃へ 築山能波
年用意引越しの荷を梱ることも 神山幸子
年用意掛け替へゐる潮暦 水野露草
年用意日々の掃除もその積り 古賀志津子
年用意曲がつてしまう釘ばかり 山田金栄
年用意朝日も夕日も大きくて 大峯あきら 鳥道
年用意海女の盥に三角波 香西照雄 素心
年用意漱石の猫追ひ出され 脇 祥一
年用意町筋清くなりにけり 岩田元子
年用意画廊に陳べて偽画偽筆 田中千岳
年用意竹青々と切られけり 大道寺きよし
年用意編目密なる箕も加へ 能村登四郎
年用意老いての知恵もすこしあり 千手 和子
年用意肥汲むだけとなりにけり 宮野絹風
年用意蔵より洩るる母の音 西村梛子
年用意遺ひのこりや炭二俵 小澤碧童 碧童句集
年用意靄あたゝかき日なりけり 久保田万太郎 草の丈
年用意風邪も抜かねばならぬかな 三輪一壷
御身拭すませて師家の年用意 野島無量子
心にも捨つるものあり年用意 山田弘子 懐
戸の鈴もよく鳴るやうに年用意 中田みづほ
手水舎に青竹柄杓年用意 平井 梢
抽斗に肚立ててゐる年用意 辻田克巳
捨て好きは母似のひとつ年用意 鳥居美智子
文筆の徒にもありけり年用意 山口青邨(1892-1988)
木がくれにうぶすなともる年用意 伊東月草
木のまはりばかり澄みゆく年用意 廣瀬直人
母の死が風化してゆく年用意 小林 曜
沙弥が刷る歳徳神も年用意 河野静雲
沙彌が刷る歳徳神も年用意 河野静雲 閻魔
洗い杵かけつらねある年用意 高梨花人
浮浪者狩りして公園の年用意 右城暮石 上下
渺々と雲年用意とてなかりけり 日置千鶴子
牧場にどつと著く藁年用意 清田松琴
田仕舞の地蔵に供華や年用意 角川源義
病僧やかさりこそりと年用意 川端茅舎
痰壷をきよめることも年用意 日野草城
白菜と夜目に運びて年用意 中村汀女
百日忌母亡き子等の年用意 能登原清美
相国寺仏師を入れて年用意 中西蘖
真直に釘打つことも年用意 堤 京子
石叩来る静かさに年用意 矢野藍女
立ち退きを迫られてゐて年用意 園 敦恵
竹青く縄白くあり年用意 青木まさ子
簡単な筈があれこれ年用意 稲畑汀子
籠に植う春七草の年用意 松藤夏山 夏山句集
縄の玉ころがってゐる年用意 高野素十
老い母と二人三脚年用意 大澄利江
老僧の自坊にもどり年用意 井上和子
老犬寝がちその小屋塗りて年用意 及川貞 夕焼
聖堂の燭台磨き年用意 奥田花珠子
聴診器拭ひて終る年用意 西川五郎
薄れしは野菜のあまみ年用意 鍵和田[ゆう]子 浮標
蚕室も納屋も掃ひて年用意 長谷川素逝 村
蝦夷松に幣やゆづり葉年用意 飯田弥伊子
護摩木割る事より寺の年用意 斎藤トミ
踏石も洗ひ上げたる年用意 佐藤美恵子
酒少し女二人の年用意 上田康代
金的を貼り替え矢場の年用意 浅井仁水
鋸粉から海老さぐりだす年用意 飴山實 『次の花』
錆止めをあかあか塗りて年用意 高澤良一 随笑 
長男の力借りもし年用意 稲畑汀子
閻魔堂開けてみ寺の年用意 山東恒子
雉子一羽山より提げて年用意 中村純子
青竹の切先匂ふ年用意 小関紹子
青竹の柵名園の年用意 右城暮石 上下
青竹の音のそれぞれ年用意 左海把津
青竹の香をことのほか年用意 伊藤敬子
頼もしき圧力鍋や年用意 高澤良一 随笑 
髪染むることより始む年用意 石川和子
髪染めることも一つの年用意 宮島秋女
髪結のおつなのもとの年用意 久保田万太郎 草の丈
鮠串を焙りて杣の年用意 太田蓁樹
鳥居立つ干潟に焚火年用意 河野頼人
妓を廃めて身ほとり淋し春支度 吉田小幸
子らの間に座つて居りて春支度 長谷川かな女 花 季
師の軸を掛けてをはりぬ春支度 味冨蜆蝶
年金の暮しに馴れて春支度 中村清治
引越もまた一流転春支度 藤田美乗
抽斗のものより変へて春支度 増成淡紅子
掛け替へし襦袢の襟も春支度 牧野右太代
春支度すみたる庭に雨ぬくく 上林まさ女
春支度京のしきたり嫁しるや 風間さく
畝傍山にいま日の当る春支度 山本洋子
硝子窓拭きて日暮れぬ春支度 則近文子
老人の宿痾に堪へて春支度 平野 山石
色街のしきたりを守り春支度 大久保橙青
野良着など繕ひ終へて春支度 今井 三千寿
さる家の
愛車ポルシェびしょびしょにして年用意  高澤良一  石鏡
年用意年々妻は手を抜けり  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:58 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)



例句を挙げる。

あら海や鯨の帰る身づくろひ 水田正秀
いかめしや鯨五寸に年忘れ 樗良
いくとせを鯨と呼ばれ陸の奥 鈴木六林男 悪霊
いつの生か鯨でありし寂しかりし 正木ゆう子
うららかや鯨図鑑の小さな目 矢島渚男 梟
おくんちのカラクリ鯨潮を吹く 高澤良一 燕音 
おのおのの喰過がほや鯨汁 几董
お使ひはさらし鯨よ爺ちゃん子 高澤良一 宿好 
お物師や星を唱ふる鯨さし 泰 清
お長屋の老人会や鯨汁 子規句集 虚子・碧梧桐選
か、か弱い 鯨の耳を噛んでみる 坪内稔典
かなかなや沖で鯨もきいている 中川二毫子
かゝり居しが去にしを知らず鯨船 尾崎迷堂 孤輪
くろがねの鍋の分厚き山鯨 山崎幻児
ことごとく老いて鯨の煮ゆる昼 攝津幸彦
この浦の鯨の墓に舸子案内 向野楠葉
さみだるる沖にさびしき鯨かな 仙田洋子 雲は王冠以後
ひたすらに煮つまってゆく鯨鍋 宇多喜代子
めいっぱい踊り場使ひ鯨曳 高澤良一 燕音 
もてなしの鯨はほめて清水かな 幸田露伴 拾遺
やがて死ぬ鯨のように樟若葉 坪内稔典
れんぎように巨鯨の影の月日かな 金子兜太 皆之
われ鯱となりて鯨を追ふ月夜 真鍋呉夫
をの~の喰過がほや鯨汁 几董
サルトルや鯨や釘や春の沖 増田まさみ
シーボルト挿し絵に遺す鯨曳 高澤良一 燕音 
レースの波ひそひそ 鯨が来そうな日 伊丹 公子
一番は迯げて跡なし鯨突 太祗
七浦をうるほす山車の鯨曳 高澤良一 燕音 
京に入りて市の鯨を見たりけり 泉鏡花
人つひに巨いさ得ぬる鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
低頭に過ぎしひと日の鯨汁 北村直彦
何笑ふて波間に消へし鯨の目 高澤良一 ぱらりとせ 
冬浪の白起つばかり鯨望荘 高澤良一 燕音 
凩に鯨潮吠く平戸かな 夏目漱石 明治二十八年
切売りの鯨・鮪も十二月 鈴木真砂女 夕螢
初汐や鯨の浮ぶ氷見の海 野村喜舟 小石川
初漁の前や手もみの鯨唄 小関芳江
十六夜や鯨来初めし熊野浦 蕪村
反古張の鯨の胴や年の暮 龍岡晋
古墳見て戻りし夜の鯨汁 田村一翠
喝采に潮吹き足らぬ山車鯨 高澤良一 燕音 
噴水遠ク望メバ鯨魚ノ潮吹クカト 高澤良一 鳩信 
土佐沖のヘッドスラッグ鯨の旅 丘本風彦
夏の灯の鯨の本へ乱反射 高澤良一 ももすずめ 
夏潮に鯨きてをりデスマスク 岡田省二
夕日さす波の鯨や片しぐれ 巴人
夜光る鯨のまなこまなむすめ 夏石番矢 神々のフーガ
大きさも知らず鯨の二三寸 子規句集 虚子・碧梧桐選
大南風勇名(いさな)の息をつくやうに 高澤良一 ぱらりとせ 
大小の油目泳ぐ鯨汁 上村占魚 『一火』
大年の海原叩け鯨の尾 遠山陽子
大漁の鯨によごれ銚子町 松藤夏山 夏山句集
大航海時代終りし鯨かな 橋本榮治 逆旅
大風に吹かれて去りぬ鯨売 石井露月
大鯨黄なる西日に曝しけり 松瀬青々
好晴を鯨は潮を吹きにけり 野村喜舟 小石川
子鯨の迷ひ入りたる港かな 川田十雨
宵宵や雌鯨吼ゆる沖の雲 会津八一
寝物語りに鯨の声の小さかり 大石雄鬼
小鯨の前曳(さきびき)祭の子がわーい 高澤良一 燕音 
屠蘇酌むや南海道の鯨守り 広江八重桜
山吹に鯨の海の流れをり 武藤紀子
山巓よ眠る鯨を涅槃とす 久保純夫 聖樹
島の子が鯨が来るぞと春の潮 前川紅楼
店頭や吊りて日をへし山鯨 二木倭文夫
御前が崎馬がたち有り似せ鯨 調和 選集「板東太郎」
情事に似たりこもりて鯨煮ることよ 草間時彦
散らばれる鯨の骨や草の花 長谷川櫂
既に得し鯨や逃て月ひとつ 蕪村遺稿 冬
明易の鯨のこゑといふがやさし 中田剛 珠樹
星月夜鯨親子に旅のあり 上澤樹実人
春愁や鉢曇らせて塩鯨 石塚友二 光塵
晩年は鯨を愛す日の帝 折笠美秋 虎嘯記
普陀落の海の鯨と思ひけり 小枝秀穂女
暁や鯨の吼ゆる霜の海 暁台
暦果つばしやんばしやあんと鯨の尾 田中哲也
曳かれくる鯨笑つて楽器となる 三橋敏雄 まぼろしの鱶
残されて鯨の背骨のごと根雪 高澤良一 燕音 
水温む鯨が海を選んだ日 土肥あき子
水無月や鯛はあれども塩鯨 松尾芭蕉
汐曇り鯨の妻のなく夜かな 蓼太
江の島が鯨に見ゆる冬霞 宮脇白夜
江東区さみだれ電車鯨のようにゆく 橋本夢道 無禮なる妻抄
沈む日に汐吹きかくる鯨かな 谺
沖をゆく青鯨よりもなほ遠く日本はありて常にしうごく 川野里子
注連飾して鯨揚ぐ大轆轤 沖一風
浦人や鯨の油幾日汲む 河東碧梧桐
海いろの変り迷子の鯨跳ね 松本千鶴子
海の幸南の国の鯨猟 奥田彩雲
海峡ほそく凪ぎて鯨のよく通る 水原秋桜子
深夜街鯨のからだがリードしている 佐々木 宏
渋滞のついに鯨に呑まれけり 五島高資
潮吹いて鯨老いゆく春の暮 木内彰志
濤の間に濤ならなくの鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
無花果爛熟冷凍鯨肉半ば溶け 吉野義子
牛に乗つて鯨見るなり佐渡の浦 藤野古白
珍しき高知の雪や鯨鍋 西武比古
男荒ぶ 沖に鯨を泳がせて 岸田房子
疲れるな鯨のハムをパンにはさむ 古沢太穂 古沢太穂句集
白浜や紀の国人とみる鯨 久米正雄 返り花
白長須鯨を花に誘ふかな 栗林千津
百余艘鯨に向ふ霰かな 会津八一
盆波のうねり座頭鯨(ざとう)の背のやうに 高澤良一 ぱらりとせ 
盆過ぎの天に巨鯨や衰へず 攝津幸彦
秋風は鯨がちらす鰯雲 一雪
経済学部教室に鯨の尾がある 藤原弘和
絵日記の鯨 漂着 休暇果て 伊丹啓子
繰り出すは屋台鯨の親爺舟 高澤良一 燕音 
能登の浦鯨捕れしと湧き返る 藤浦昭代
船日誌鯨を見ると記しけり 中山稲青
花ぞらに鯨舎(げいしゃ)と登る凌雲閣(じふにかい) 筑紫磐井 婆伽梵
草山や沖の鯨を見に上ぼる 原石鼎
菜の花や鯨もよらず海暮ぬ 蕪村 春之部 ■ 春景
蒼天と碧海にのみ居る鯨 久米正雄 返り花
薔薇一輪鯨のどこに挿しましよう 藤岡筑邨
薫風や朱もあざやかに鯨肉 佐川広治
虎落笛夜は鯨を連れてくる 澤本三乗
蜜柑の国鯨の国の紀州かな 尾崎迷堂 孤輪
血に染まり夕日に染まり鯨裂く 米倉明司
西鶴もたしなみしこの山鯨 成瀬正とし 星月夜
角に切て縄でさげ行鯨哉 松瀬青々
解纜や亜庭の鯨浮き出でぬ 山口誓子
貧厨に鯨肉配給雪が降る 山口青邨
躯こゝに命いづくの鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
連翹に巨鯨の影の月日かな 金子兜太
銀漢の尾をふりかぶり鯨割く 崎浦南極
鐘かすむ鯨八千供養の碑 内原陽子
長鯨の海吸ひ盡す汐干かな 会津八一
雁門や鯨さばしる五月雨 露沾 選集「板東太郎」
雄鯨の愛の泪や星あかり 堀口星眠 営巣期
雪の上に鯨を売りて生きのこる 加藤楸邨
雲嶺より鯨を曳いて帰るかな あざ蓉子
電話急鯨とれしと幾度も 新山 武子
霜月や鯨入り来し伊勢の海 宇佐美魚目
霜降や立方体の鯨肉 辻桃子
須弥山説香水海の鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
飲食の鯨を沖に日蓮忌 大屋達治 龍宮
高濤に鯨の尾鰭直立す 山崎ひさを
鯨(いさな)とる伊勢よりおこる大南風 筑紫磐井 野干
鯨(いさな)とる荒々しきは伊勢をのこ 筑紫磐井 野干
鯨くる海を遠見に袋掛 高須禎子
鯨とれて婦等絹を買ひにけり 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
鯨にも脚がありきと青蛙 有馬朗人 耳順
鯨のぺニス見ており雪が斜めに降り 長谷川草々
鯨の目大仏の目に似て細し 広瀬香魚
鯨の血流れて海に入り沈む 橋本多佳子
鯨の血流れて砂に溜りけり 吉武月二郎
鯨よる大海原の静かさよ 正岡子規
鯨よる浜とよ人もたゞならず 尾崎紅葉
鯨切るや梯子なんぞを取散らし 野村喜舟 小石川
鯨取り鯨の髭を持ちきたる 瀧澤伊代次
鯨吼えて村に近づく嵐かな 大野洒竹
鯨売りて定る業もなかりけり 長谷川零餘子
鯨売り市に刀を皷しけり 蕪村
鯨売る市井の匹夫身に文す 佐藤紅緑
鯨寄る浜とよ人もたゝならす 尾崎紅葉
鯨捕り黒き腕に夏羽織 前田普羅 新訂普羅句集
鯨捕れて浦の臭さよ實梅照る 前田普羅
鯨来る土佐の海なり凪ぎわたり 今井千鶴子
鯨来る海を背にしてだいこ引く 吉村すず
鯨汁のれんが割れて空青き 岸本尚毅 鶏頭
鯨汁熱き啜るや外吹雪く 大谷繞石
鯨汐船傾きて南進す 柴田白葉女 『冬椿』『遠い橋』『岬の日』
鯨浮く安宅の関に日の当る 野村喜舟
鯨潮船かたむきて南進す 柴田白葉女 遠い橋
鯨煮る雪間の根深引き抜かれ 小林康治 玄霜
鯨突のよろひて立つたる浜辺かな 柳原極堂
鯨肉揚ぐ影が鯨肉に冬日かな 小原菁々子
鯨舟新島守を慰めつ 黒柳召波 春泥句集
鯨船の消息とてはなかりけり 尾崎迷堂 孤輪
鯨船われは舵とる悲しさよ 久米正雄 返り花
鯨裂く血の波返す渚かな 津江碧雨
鯨見えなかったね と タラップ踏む 井上真実
鯨賣市に刀を皷(ナラ)しけり 蕪村 冬之部 ■ 几董判句合
鯨追ふ父よ海ある惑星に棲み 齋藤愼爾
鯨鍋あつし叛骨そそのかす 小林康治
鯨鳴く水族館を出て小雪 対馬康子 愛国
鷹舞ふは鯨括りし松とかや 西本一都
黒潮の騒ぐ匂ひや鯨追ふ 田中化生
龍胆も鯨も掴むわが双手 杉田久女
ロシア船籍二万噸
ラバウルへ南下勇魚のシャリアピン  高澤良一  随笑
高知
絵看板潮噴く鯨が泳いじょる  高澤良一  寒暑
和田浦に遊んで鯨のステーキを  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:57 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

霜夜

霜夜

例句を挙げる。

うかうかと生て霜夜の蟋蟀 二柳
かむさりてたみくさ~の霜夜かな 白水郎句集 大場白水郎
かり~と星くづ落す霜夜かな 高木晴子 花 季
きざ柿のしぶのもどれる霜夜かな 犀星
きびしさや寒の霜夜の石の冴え 北原白秋
ころころと虫もむらつく霜夜かな 種文 芭蕉庵小文庫
さし向ひ噺の消ゆる霜夜哉 瓢子
さま~の音走りすぐ霜夜かな 横田弥一
しんしんと大蔵経に霜夜満つ 有馬朗人
そこのみの霜夜灯に製図引く 永井龍男
なぜ死にしと吾子叱りゐる霜夜かな 岡部六弥太
なべ炭の燃ゆる霜夜や生姜酒 水田正秀
ひだるさに馴れてよく寝る霜夜かな 惟然
ひとつづつ霜夜の星のみがかれて 相馬遷子 雪嶺
ほんのりと茶の花くもる霜夜かな 正岡子規
ぼのくぼに雁落かかる霜夜かな 斉部路通 (1649-1783)
ぼのくぼに雁落かゝる霜夜かな 路通
もうひとり子欲しと誘ふ霜夜妻 中条角次郎
もう~と霜夜に烟る煙出し 鬼城
オリオンが移る樹海の霜夜かな 渡邊水巴 富士
カスタネツトなほ耳にあり霜夜なる 文挟夫佐恵 黄 瀬
ナホトカに帰る霜夜の船の銅鑼 福田甲子雄
一いろも動く物なき霜夜かな 野水
一人住み灯して更けて霜夜なる 上野章子
不忍の鴨寝静まる霜夜かな 正岡子規
乞食の犬抱いて寝る霜夜かな 許六
予後の身の霜夜に庇ふ足の冷え 深谷雄大
人抱けば人ひびきける霜夜かな 小澤實 砧
仏壇に句稿あづくる霜夜かな 佐野青陽人 天の川
何もなき壁や霜夜の影法師 寺田寅彦
先生の銭かぞへゐる霜夜かな 寺田寅彦(1878-1935)
兵の児を炉にだく霜夜いかにせん 飯田蛇笏 春蘭
出城みな落ちて霜夜のかがり哉 中勘助
動悸収まらず霜夜の白みたる 桑田青虎
名を捨てて踏む下総の霜夜かな 高柳重信
土掘るや工夫霜夜の肩そろへ 細谷源二 鐵
地つづきに死火山のあり霜夜寝る 宮津昭彦
夢さめて血気萎えたる霜夜かな 石塚友二 光塵
大根の辛子のきゝし霜夜かな 角川春樹
妻と来て霜夜をランプなれど寝ん 杉山岳陽 晩婚
妻も病み霜夜の足の寝て揃ふ 小林康治 玄霜
妻身寄す霜夜鶏鳴遠し遠し 川口重美
妻連れて霜夜を来たり風刺すとも 杉山岳陽 晩婚
子鼠の井戸に落ちたる霜夜かな 寺田寅彦
屑籠に反古音立つる霜夜かな 矢田邦子
山守の月夜野守の霜夜しかの聲 蕪村遺稿 秋
師の枕霜夜の富士へやゝ遠し 佐野青陽人 天の川
幸うすき人と霜夜の一つ屋根 林翔 和紙
待ちくるるいとど霜夜の七つ八つ 立花北枝
念仏より欠伸たふとき霜夜かな 野澤凡兆
我骨のふとんにさはる霜夜かな 蕪村遺稿 冬
戞然とくわりんの落つる霜夜かな 中勘助
手さぐりてインク匂へる霜夜かな(停電連夜の慣ひとなる) 『定本石橋秀野句文集』
手さぐりに水甕さがす霜夜かな 福田甲子雄
星一つ見えて寐られぬ霜夜哉 夏目漱石 明治二十八年
昨日別れし人のおもはる霜夜かな 上村占魚 鮎
月こごし霜夜の琴のるんと鳴り 太田鴻村 穂国
月山のふもとしんしん霜夜にて動かぬ闇を村とよぶなり 馬場あき子
月輪に万霊こもる霜夜かな 渡辺水巴 白日
朱の椀にすこし飯盛る霜夜哉 露月句集 石井露月
朴の月霜夜ごころにくもりけり 原石鼎
柊の花に明け行く霜夜かな ぶん村 霜 月 月別句集「韻塞」
柵越へて馬の逃げ出す霜夜かな 土肥あき子
棒立ちの霜夜の時間ちちははよ 小檜山繁子
水風呂に垢の落ちたる霜夜かな 許六 霜 月 月別句集「韻塞」
海遠く霜夜の溲瓶鳴つており 井上純郎
灯火のすはりて氷る霜夜かな 松岡青蘿 (せいら)(1740-1791)
炭燃えてひとなつかしき霜夜かな 太田鴻村 穂国
煙たえて香爐の冷める霜夜かな 飯田蛇笏
熊坂が長刀あぶる霜夜かな 湖十
燈もたよりも消る霜夜かな 松岡青蘿
燦として霜夜の星や江の五更 古山鶴年
物かは殿霜夜恨みん鐘の 調泉 選集「板東太郎」
犬の子の鳴くに目さめし霜夜かな 森鴎外
狐なく霜夜にいづこ煤はらひ 炭 太祇 太祇句選後篇
玻璃の外ソウルの霜夜ならむかな 河野美奇
産月の牛甘えをる霜夜かな 平賀扶人
病む母に霜夜の市電閃光す 丸山哲郎
病めば霜夜の言葉あたたか犬・猫に 沖田佐久子
眩しみてひらく霜夜の来迎図 鷲谷七菜子 花寂び
磧ゆくわれに霜夜の神楽かな 飯田蛇笏 山廬集
篝焚く函谷関の霜夜かな 寺田寅彦
籠鳥の目灯幕ふかに霜夜かな 乙字俳句集 大須賀乙字
米の椀にすこし飯盛る霜夜哉(妙心寺) 石井露月
米堤ぐる霜夜もラムネたぎらし飲む 竹下しづの女句文集 昭和二十四年
籾摺機がうがうと噴き霜夜なり 佐藤 国夫
紙をもて明りを包む霜夜かな 長谷川櫂
細月の傾きをりぬ霜夜なる 高木晴子
織殿の霜夜も更けぬ女声 黒柳召波 春泥句集
羊煮て兵を労ふ霜夜かな 黒柳召波 春泥句集
老い巧者難儀と晴子告る霜夜 後藤綾子
耳敏くなりし霜夜のつづきけり 永井龍男
肺炎の児に蚊帳くゞる霜夜かな 渡辺水巴 白日
腹の子の風邪引くといふ霜夜かな 野見山朱鳥
臘涙の一滴花となる霜夜 千代田葛彦
苫撫て見るや霜夜の山かつら 山扇
菜畠の霜夜は早し鹿の聲 蕪村 秋之部 ■ 雨中の鹿といふ題を得て
葬儀社に鉋の音す霜夜かな 渡辺水巴 白日
薄綿はのばし兼ねたる霜夜かな 龍之介 (伯母の言葉を)
藪蔭に棄子のさけぶ霜夜哉 寺田寅彦
蚤出でて霜夜を擾すことをせり 相生垣瓜人 微茫集
蝋涙の一滴花となる霜夜 千代田葛彦
言ひそびれし半句を見つめ霜夜かな 谷口桂子
誤診かも知れず霜夜の道かへる 小坂蛍泉
質すべき一語霜夜の書庫に入る 篠塚しげる
質草も枯尽したる霜夜かな 尾崎紅葉
赤貧にたへて髪梳く霜夜かな 飯田蛇笏 山廬集
蹇が霜夜の妻を哭かしゐて 小林康治 玄霜
辻堂に狐の寝たる霜夜かな 正岡子規
遠き燈ほどつぶらに呼べる霜夜帰る 宮津昭彦
酒さめてしゝむら冷ゆる霜夜かな 西島麥南 金剛纂
酒臭きは人けもの臭きは猫霜夜 殿村莵絲子 牡 丹
金柑を星のごと煮る霜夜かな 黒田杏子
鐘の音の腰にこたゆる霜夜かな 諸九尼
障子際に帯おいて寝る霜夜かな 綾子
電話なき霜夜の部屋の広さかな 谷口桂子
霜ふるや病舎も獄も霜夜の塀 古沢太穂 古沢太穂句集
霜夜てふ言葉のありて恋しけれ 細見綾子 花寂び
霜夜なる帰り来る子の遅ければ 池内たけし
霜夜にて胡桃楸邨栗波郷 小檜山繁子
霜夜ぬくく君をいだきて寝るごとし 飯田蛇笏 椿花集
霜夜の寝床がどこかにあらう 種田山頭火 草木塔
霜夜の砦火の海となり落城す 町田しげき
霜夜の鐘六つ無病に寝覚哉 井原西鶴
霜夜ひとり買ひきし塩を壺にうつす 石橋秀野
霜夜ふかしひびく鍵音咎をこめ 赤尾兜子
霜夜また明けてのばせし命かな 橋本榮治 越在
霜夜みどりご主に似姿の熟睡や 大高弘達
霜夜子は泣く父母よりはるかなるものを呼び 加藤楸邨(1905-93)
霜夜寝て四方走り居る汽車のこと 石塚友二 方寸虚実
霜夜来し髪のしめりの愛しけれ 林火
霜夜来て何考ふる煙草の輪 森澄雄
霜夜来て泣きてそのまま寺に棲む 大串章
霜夜経て移り住む家の楢櫟 杉山岳陽 晩婚
霜夜読む洋書の大きな花文字より 田川飛旅子 『花文字』
霜夜逢へばいとしくて胸もとのさま 中塚一碧樓
霜夜野犬杭を打ち込むごとく啼く 森澄雄
靴音はをんならしくも霜夜なる 室生犀星 犀星発句集
鞴火のころげあるきて霜夜かな 飯田蛇笏 霊芝
音のして家引き締まる霜夜かな 瀧澤伊代次
髪なびき/霜夜/夜ごとの/夢枕 折笠美秋 火傅書
鼠に胸渡らるゝ霜夜かな 石塚友二
鼬また来しか霜夜の鶏騒ぐ 鈴木友清
龍の丈ほどの帯解く霜夜かな 池上貴誉子

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:46 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

畳替

畳替

例句を挙げる。

きさらぎや亀の子寺の畳替 久保田万太郎 流寓抄
くつろげる影新しき畳替 成田郁子
ときならぬ畳替して弥生尽 松村蒼石
一日を洋間にこもり畳替 杉山木川
上がる手の針大きくて畳替へ 藤村克明
交番のたちまち済みし畳替 中 火臣
今替えし畳に母が体操す 山尾玉藻
出替りの畳へおとすなみだかな 炭 太祇 太祇句選
函館とわれから名のり畳替ゆ 中村汀女
又人の住みかはるらし畳替 高浜虚子
古家の畳替して目出度けれ 高浜虚子
大塔に畳を替へて女あり 赤木 範子
天井の竜の見てゐる畳替 後藤 章
女将わが憩ひの部屋の畳替ふ 鈴木真砂女 夕螢
床の間に提灯置いて畳替 石田雨圃子
床低き明治の家や畳替 正木江深
後任の為の官舎の畳替 鈴木洋々子
敲いてはのし歩いては畳替 千葉皓史
早々と畳替して老夫婦 阿部みどり女 笹鳴
替へて早火こぼす師走畳かな 比叡 野村泊月
替りたる畳の上の影法師 石田勝彦 秋興
松蝉や畳替へある八雲の居 林徹
済みしものこれからのもの畳替 児玉輝代
湯薬師の堂の二枚の畳替 室崎みさを
猫の眼のみどりに燃ゆる畳替 中野ただし
町中や庭持つ寄席の畳替 増田龍雨 龍雨句集
畳替して姿見の落着きし 星野椿
畳替して芳しき起居かな 佐藤朴水
畳替して鏡台も新しく 星野立子
畳替すみたる箪笥据わりけり 久保田万太郎
畳替せずとも障子白ければ 高木晴子 花 季
畳替へし香に夜の茶を入替へぬ 山本春子
畳替へて家の古さや寒椿 白水郎句集 大場白水郎
畳替へて煤も真似ごと払ひけり 清原枴童 枴童句集
畳替へて病に対ふ秋簾 相馬遷子 山河
畳替りて新樹の中の御庵 河野静雲 閻魔
畳替わびすけに針はこびゐる 室生犀星 犀星発句集
畳替丸を書くのも字の一つ 小林 敏朗
畳替公孫樹落葉の降る下に 大橋越央子
畳替出来てふたゝび客間とす 稲畑汀子
畳替江戸エスプリの一語あり 筑紫磐井 花鳥諷詠
畳替錐残りをる秋の宵 横光利一
畳替高嶺いちにち日浴びたる 友岡子郷 春隣
禅寺に茶殻の乾く畳替へ 飯塚ゑ子
禰宜吶々巫女蝶々畳替 神尾季羊
絨毯を敷き畳替せぬことに 中村芝鶴
良寛にゆかりの寺の畳替 小林のりん
藺の香たゞようてゐる畳替 宮坂和子
裏山に日のたつぷりと畳替 太田寛郎
谷戸の日の奥までとどく畳替 金子邦子
路地口に吹きつさらしや畳替 佐々木星輝
部屋々々に匂ひしてゐて畳替 下田実花
野の家の畳替へしは盆用意 遠藤正年
青桐は柱のごとし畳替 阿波野青畝
青空の常念岳や畳替 小澤實 砧


以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:43 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

冬座敷

冬座敷

例句を挙げる。

あかあかと熾りたる火や冬座敷 久保田万太郎 流寓抄
いたつきや芭蕉をゆめむ冬座敷 飯田蛇笏 山廬集
いちにんの翁明るき冬座敷 上野さち子
いつの世の誰のオルガン冬座敷 辻田克巳
うすら~生薬匂へ冬座敷 杉の實 安井小洒
たゞ海のみゆるばかりや冬座敷 久保田万太郎 流寓抄
つつましく美しく人冬座敷 成瀬正とし 星月夜
まつすぐに香烟のぼる冬座敷 長谷川櫂 古志
一筆の虹が貫く冬座敷 古舘曹人 砂の音
人形のやうに坐りて冬座敷 柿本多映
何なりと薄鍋かけん冬座敷 黒柳召波 春泥句集
冬座敷かつて昭和の男女かな 宇多喜代子 象
冬座敷くぬぎ林の中にあり 大峯あきら
冬座敷ときどき阿蘇へ向ふ汽車 中村汀女
冬座敷とほる無言の老牧師 飯田龍太
冬座敷わけてもむくは群るる鳥 田中裕明 花間一壺
冬座敷チーズのやうに猫とろけ 石寒太 翔
冬座敷一つ目小僧のお面かな 八木林之介 青霞集
冬座敷体温に近づかむとす 三森鉄治
冬座敷吾子寝てばかり寒むげなき 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
冬座敷子規全集も古りにけり 大島民郎
冬座敷寡言は性とあらねども 石塚友二 方寸虚実
冬座敷欠伸笑ひもひとりにて 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
冬座敷歩きて父の風たてる 辻田克巳
冬座敷首根めぐらし面談なす 中村草田男
別々に山を見てゐる冬座敷 福田甲子雄
卓の果に明治のランプ冬座敷 飯田蛇笏 雪峡
四五人の小会によき冬座敷 高浜虚子
坐ったまま体操をする冬座敷 池田澄子
埒もなき話の弾む冬座敷 梅田男
妻がいふ一閑言や冬座敷 村山古郷
妻の客男もまじる冬座敷 房川喜三男
婚の荷のまとまらずある冬座敷 森田公司
寄せ描きの観山武山冬座敷 きくちつねこ
寝かされて乳飲み児匂ふ冬座敷 塩川祐子
小机の遺品一つや冬座敷 松岡六花女
屍と枕を並べる冬座敷 石原八束
山の日の深く入り来し冬座敷 稲畑汀子
床の辺を占むる結納冬座敷 原田秀子
座布団に残るぬくもり冬座敷 猪爪登美子
思ふゆえ声耳にあり冬座敷 横山蜃楼句鈔 横山蜃楼、山本竹兜選
扁額の明治息づく冬座敷 北見さとる
払暁や父まだぬくき冬座敷 鳥居美智子
掛けてある鏡の暗き冬座敷 倉田 紘文
日の筋に微塵浮かすや冬座敷 小杉余子
晩年の唇赤き母冬座敷 澤木欣一
暗澹と島山つらね冬座敷 飯田龍太
林泉につき出でて冬座敷かな 中山碧城
柩重く出してしまへる冬座敷 徳本映水
柱鏡にひろさ遡る冬座敷 飯田蛇笏 山廬集
柴門へ障子見せけり冬座敷 小杉余子 余子句選
泣きに来し子の坐りたる冬座敷 石原八束 黒凍みの道
海上の日ざし斜めや冬座敷 大須賀乙字
海鳴りを聞く人は聞く冬座敷 仲 寒蝉
消す煙草ばかり見てゐる冬座敷 谷口桂子
湯上りの嬰を真ン中に冬座敷 本宮哲郎
灯点してより落つきぬ冬座敷 清崎敏郎
片隅に亡夫の碁盤冬座敷 野畑節子
物置けばくらがり生れて冬座敷 田中灯京
犬猫と同じ姿や冬座敷 木歩句集 富田木歩
盆景の波白妙に冬座敷 吉屋信子
目薬をさす頤や冬座敷 八木林之介 青霞集
結納の品品飾る冬座敷 小野三紫
縁談に真向き灯ともる冬座敷 廣瀬直人
良寛の一書を床に冬座敷 照田 良女
血の匂ひ失せし竜馬の冬座敷 相良哀楽
襖絵の早池峯合はす冬座敷 古舘曹人 樹下石上
西近江高島の郡冬座敷 波多野爽波 『骰子』
見上げれば夫も絶壁冬座敷 岸本マチ子
貸衣裳ゆつくりたたむ冬座敷 佐川広治
赤々と熾りたる火や冬座敷 久保田万太郎
赤ん坊の尻持ち上ぐる冬座敷 波多野爽波 『一筆』
身籠ると聞きて華やぐ冬座敷 松沢満里子
通されてしましの独り冬座敷 石川桂郎 四温
遺児と寝て一と間森ンたる冬座敷 飯田蛇笏 雪峡
開けずある二間つづきの冬座敷 長谷川櫂 古志
障子あけて空の真洞や冬座敷 飯田蛇笏 山廬集
障子外通る許りや冬座敷 高浜虚子
雁行の声落ちにけり冬座敷 渡辺水巴 白日
静かなることの明るく冬座敷 成瀬正とし 星月夜
静かなる起居の塵や冬座敷 富安風生
面影も薄れゆく冬座敷かな 高木晴子 花 季


以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:42 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

飾売 輪飾

飾売  輪飾

例句を挙げる。

その前をきれいに掃いて飾売る 山口青邨
人混みに車押し入れ飾売 大橋鼠洞
叡山の尖れる空や飾売 鷲谷七菜子
夕市の外れを囃し飾売る 柏谷景昌
夢殿に昼月濃ゆし飾売 角川春樹 夢殿
大欅根本灯して飾売り 澤木欣一
山を出て何を聾に飾売 上島鬼貫
昨日より声の大きく飾売 山田節子
月蝕や黒き銭溜め飾売 百合山羽公 寒雁
毎年よこの道に立つ飾売 岩田由美 夏安
物を焚き熱を逃がして飾売る 田川飛旅子 『使徒の眼』
町裏に都電の軋む飾売 藤木竹志
眼差にともる月日や飾売 望月たかし
神明に近くめ組の飾売 中火臣
船出でしあと閃々と飾売り 廣瀬直人
荻窪にゆふべ富士見ゆ飾売 角川春樹
行く人の後ろ見送り飾売 高浜虚子
裸木に裸灯を吊り飾売 飯野燦雨
観音様のお水屋に売る注連飾 阿部みどり女 笹鳴
鉄砲州小学校の飾売 奥野桐花
飾売だいたいの値をいいかげん 高澤良一 さざなみやっこ 
飾売どこへともなく帰り行く 三村純也
飾売まづ暮れなづむ大欅 皆川盤水
飾売りて酔ひたくれ居る男かな 村上鬼城
飾売常に補充をおこたらず 高道 章
飾売焚火に時を濃くしつつ 遠藤正年
飾売目鼻さだかに暮れにけり 石田あき子 見舞籠
飾海老髭を大事に売られけり 佐藤惠美子
あまりたる輪飾かくるところがな 後藤夜半 翠黛
いとちさき輪飾の何の飾りもあらぬかゞやき 中塚一碧樓
ころげ出てどの輪飾の橙か 松岡伊佐緒
さみどりの輪飾ひとつ旅住居 高橋淡路女 淡路女百句
わがいどこ簷に輪飾かけられし 長谷川かな女 牡 丹
七月の輪飾をして元湯かな 八木林之介 青霞集
三崎港まぐろのひとつ輪飾す 橋本榮治 麦生
初市の輪飾飛んで踏まれたり 可空
四阿の輪飾落ちぬ雪の上 たかし
子の家の輪飾をわが掛けにけり 細川加賀 『玉虫』
寒屋の釘に輪飾綬をかくる 百合山羽公 寒雁
山負ひて鶴嘴小屋も輪飾す 石田あき子 見舞籠
床柱輪飾かけていや古りし 吉屋信子
月影に輪飾さやぐ厩ばしら 麦南
本箱に輪飾の藁かぐはしき 沢木欣一
柱ごと揺れる輪飾精米所 魚地静水
柱にかけし輪飾うつり初鏡 高橋淡路女 梶の葉
歳々の輪飾いよゝ余生なり 貞
氷雪裡輪飾かけて固き戸ぞ 楠目橙黄子 橙圃
海女の桶輪飾かけて重ねあり 田上鯨波
湯豆腐や輪飾残る薄みどり 渡辺水巴 白日
潮風や輪飾ゆらぐ温室の口 新井英子
燈台に輪飾のある怒濤かな 飛旅子
箸となる杉輪飾をして匂ふ 小澤満佐子
血のにほひする輪飾の屠牛場 藤井亘
裏門や小き輪飾歯朶勝に 子規
輪飾にしめきつてある小門かな 正岡子規
輪飾に山の音ため酒造る 瓜生和子
輪飾に暗く静かや農具部屋 癖三酔
輪飾に鴨の抜け羽や浮御堂 米澤吾亦紅
輪飾のかたまり合うて燃えにけり 高野素十
輪飾のすいとさみしき買ひにけリ 皆吉爽雨
輪飾のランプの鈎にかゝりたる 寺田寅彦
輪飾の一つ吹かるる外後架 石川桂郎 四温
輪飾の一円相を海に懸け 石田勝彦 秋興
輪飾の一本の藁のこと想う 鈴木六林男
輪飾の井桁あふるる清水かな 会津八一
輪飾の少しゆがみて目出度けれ 高浜虚子
輪飾の尾のかそけさよ蜃が家 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
輪飾の影月光に垂れてあり 深見けん二
輪飾の枝折戸風に任せある 句仏
輪飾の歯朶青うして選句かな 渡辺水巴 白日
輪飾の稲穂をこぼす雀らし 長谷川吉雄
輪飾の藁の香こもる仏間かな 大門麻子
輪飾の農船波をかぶり着く 中本柑風
輪飾も既に六日の乾びやう 高澤良一 随笑 
輪飾やことばのふえし鸚鵡にも 大石悦子 百花
輪飾やなまじやみたる雪の冷エ 久保田万太郎 流寓抄以後
輪飾や一つ構へに子の所帯 安住 敦
輪飾や一物いだく木ノ葉猿 占魚
輪飾や乳はつて待つ牧の牛 小林黒石礁
輪飾や凭る壁もなき四畳半 石橋秀野
輪飾や失ひしものばかりにて 小林康治
輪飾や我は借家の第一号 内藤鳴雪
輪飾や扁額に日ふ和敬道 下村ひろし 西陲集
輪飾や拭き細りたる門格子 吉屋信子
輪飾や棲めば棲まるゝ仮住居 吉屋信子
輪飾や母の手擦れのゐざり機 氏家さち子
輪飾や洗ひ細りし店格子 植松冬嶺星
輪飾や海辺に棲めば海の風 草間時彦 櫻山
輪飾や焼けのこりたる家暗く 大場白水郎 散木集
輪飾や神の鹿来る裏戸口 中島黒洲
輪飾や竈の上の昼淋し 河東碧梧桐
輪飾や織りかけてある絣機 上田天鼓
輪飾や織上げ近き筵機 木村仁美
輪飾や蜑のいつける巌祠 鈴鹿野風呂 浜木綿
輪飾や譲りの鎗の承塵にも 会津八一
輪飾や辻の仏の御首へ 一茶
輪飾や鏡中雪の降りしきる 龍雨
輪飾や雨に打たるる仏にも 民郎
輪飾や飛騨の工の道具箱 矢野奇遇
輪飾や高く貧しき山ばかり 平畑静塔
輪飾をいくつか見たり風の村 手塚七木
輪飾をかけてもらひて傾ぐ墓 清崎敏郎
輪飾をかけて年待つ三輪車 土屋みね子
輪飾を掛けし其他はすべて略 松本たかし
輪飾を掛けて休める機械かな けいほ
輪飾を掛けて使はず外厠 松本たかし
輪飾を掛け余り来て厠神 鈴鹿野風呂
輪飾を焚きし匂ひをたなごころ 大石悦子 群萌
輪飾を負ひて石獣舌を吐く 古市絵未
輪飾を鉄扉に掛けて堰守る 岩永草渓
釘といふこの強きもの輪飾す 殿村菟絲子
注連売りの子が七輪を煽ぎをり 若月瑞峰
注連売をさらふ風出て市更けし 長谷川かな女 花寂び

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:37 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

ボーナス

ボーナス

例句を挙げる。

ふところにあるボーナスや吊し章魚 野村喜舟
タワーの燈余さず灯りボーナス日 畠山譲二
ボーナスでよろしがさうは云ふものの 高澤良一 ぱらりとせ 
ボーナスに不平はあれどかき船ヘ 清原枴童 枴童句集
ボーナスに少しぜいたく許さるゝ 頓所 八重子
ボーナスに心してあり愉快なり 高浜虚子
ボーナスに無縁となりし足裏かな 三沼画龍
ボーナスのなき淋しさの妻にあり 井尾望東
ボーナスのもう出ぬ冬を迎えけり 高澤良一 宿好 
ボーナスのカレーライスを子とふたり 細谷源二 鐵
ボーナスの出し日のわれに町にぎはふ 石黒雅風
ボーナスの出る日の濠のスワンかな 龍岡晋
ボーナスの声の空しく夫が病む 安井昌子
ボーナスの少し脹れしかのごとく 高浜虚子
ボーナスの懐に手を当ててみる 今橋真理子
ボーナスの胸算用は妻もする 椎橋清翠
ボーナスの評定などは算当せず 鈴木栄子
ボーナスの金うつくしく掌をこぼれ 細谷源二 鐵
ボーナスは赤字の埋めとのたまへり 後藤紅郎
ボーナスやビルを零れて人帰る 辻田克巳
ボーナスや壁画の少女さびしい目 小長井和子
ボーナスや鉄工の家夕やけぬ 細谷源二 鐵
ボーナスを貰ひて青き芝を買ひぬ 日野草城
ボーナスを貰へば教師他愛なし 三村純也
ボーナス待つ深く林檎の創抉り 有働亨 汐路
ボーナス日誰かれとなく街へなびく 岡本政雄
ユダの鬚逆剃り寒くボーナス期 原裕 葦牙
停年の後の職場のボーナス日 小野 武子
夢孕むボーナス袋開きにけり 島田青峰
山を見る夏のボーナスふところに 岸本尚毅 舜
懐にボーナスありて談笑す 日野草城
懐にボーナスはあり銀座あり 榊原秋耳
手のとゞく多摩の横山ボーナス日 菅裸馬
油手を拭くやボーナス配られつ 黒坂紫陽子
老醜やボーナスを獲てリリと笑ふ 竹下しづの女句文集 昭和十二年
誘はれて初ボーナスの娘と街ヘ 山田弘子 こぶし坂
おもひきり大き鍋買ふ冬賞与 早乙女成子
かぞふより賞与一束忽と消ゆ 清水基吉
わが古りしハンドバッグに賞与あり 関口真沙
冬薔薇や賞与劣りし一詩人 草間時彦(1920-)
夏期賞与のつじつま妻が笑ひ出す 米沢吾亦紅 童顔
子の賞与あなどりがたし蚊遣焚く 米澤吾亦紅
宝くじ添へて子が出す冬賞与 船坂ちか子
年末賞与へ月日を数へあはれおろかや 甲田鐘一路
待つのみの島の教師に賞与出づ 伊藤白潮
日々好日賞与に縁の切れしより 大塚とめ子
灰皿に賞与の紙のよき焔 米沢吾亦紅 童顔
炭俵無惨に乾き賞与待つ 小林康治 玄霜
訃に追はれ賞与も梅雨もやゝ寒し 小林康治 玄霜
賞与の日そら豆が出て湯も沸いて 高澤良一 ねずみのこまくら 
賞与の額冬日はいつも斜から 北野民夫
賞与得てしばらく富みぬ巴旦杏 草間時彦
賞与月田の片隅は凍りをり 有働亨 汐路
賞与月疲れざる顔夕映えよ 香西照雄 対話
金魚赤し賞与もて人量らるる 草間時彦

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:35 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

竃猫

竃猫

例句を挙げる。

しろたへの鞠のごとくに竈猫 飯田蛇笏 霊芝
ガンジーの死を知る寺の竈猫 萩原麦草 麦嵐
丸まりて顔のなくなり竃猫 山田不染
主人散歩のそりのそりと竃猫 山口青邨
何もかも知ってをるなり竈猫 富安風生
大きすぎし顔を汚して竃猫 長谷川かな女 花 季
廚戸に柿の葉ふれば竈猫 西島麥南
忽焉在り忽焉在らず竃猫 三宅清三郎
新嫁の来るとも知らず竃猫 赤星水竹居
毛を焼かれ這ひ出しきたる竈猫 瀧澤伊代次
浜征くにだまりこくりて竃猫 萩原麦草 麦嵐
炬燵猫をんなの疳にさはりけり 鈴木しげを
竃猫妊りをりてふてぶてし 大橋敦子 手 鞠
竃猫打たれて居りし灰ぼこり 中村汀女
竃猫火をかくすもの火に焼けしよ 中村草田男
竃猫父はごろごろ寝て暮らす 熊澤さとし
竃猫貧富も知らず眠りをり 村山古郷
竈猫みごもりをりてふてぶてし 大橋敦子
荒神は瞬きたまひ竈猫 飯田蛇笏 霊芝
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫 松本たかし
閨事に眼をつむりたる炬燵猫 瀧澤伊代次
かまど猫嫁の不機嫌知つてをり 長尾鳥影
かまど猫家猫いよいよ去りがたし 鈴木渥志
かまど猫真顔というもありにけり こしのゆみこ
もめごとに聞き耳を立てかまど猫 宮野 寸青
在りやうも寂光の中かまど猫 倉橋羊村
煌々とせり場を歩くかじけ猫 古舘曹人 樹下石上

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:31 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

ポインセチア

ポインセチア

例句を挙げる。

おだてには乗ってみるもの猩々木 高澤良一 鳩信 
さよならに泣かない約束ポインセチア 松本恭子
ギフトカードにポインセチアのカットかな 高澤良一 さざなみやっこ 
ドア開いてポインセチアの赤が客 山田弘子
ニナリッチコーナーのポインセチアかな 高澤良一 ぱらりとせ 
ポインセチアかざし悪意に染まりける 仙田洋子 橋のあなたに
ポインセチアこころに人の棲まずなりぬ 草間時彦 櫻山
ポインセチアの朱けや一葉忌の夜は 森 白樹
ポインセチアの真つ赤をもつて祝福す 山崎ひさを
ポインセチアの色溢れゐる夜の花舗 宮南幸恵
ポインセチアは窓辺のリボン川波照り 花谷和子
ポインセチアもぐらのような家族たち 渡部陽子
ポインセチアや聖書は黒き表紙かな 三宅絹子
ポインセチア会ひたき人の多いこと 中村汀女
ポインセチア十鉢並べて景気付 高澤良一 鳩信 
ポインセチア思ひつめたる緋をかかぐ 菊地 正
ポインセチア愉しき日のみ夫婦和す 草間時彦
ポインセチア愛の一語の虚実かな 角川源義
ポインセチア教へ子の来て愛質され 星野麦丘人
ポインセチア楽鳴りこもる牧夫寮 古賀まり子 降誕歌
ポインセチア炎え奔放に恋いくつ 仙田洋子 橋のあなたに
ポインセチア生華やぎて余白なし 草間時彦 櫻山
ポインセチア画中に暗き聖家族 上田日差子
ポインセチア皺深き手の罪のごと 永方裕子
ポインセチア神父に午後の憩あり 藤岡晴丘
ポインセチア究極の朱と思いおり 松本夜詩夫
ポインセチア絨緞と燃ゆ聖壇下 下村かよ子
ポインセチア肉むら厚き裸婦の像 加古宗也
ポインセチア色淡ければ胸に抱く 田中幸雪
ポインセチア荷台に揺れて高速路 林 康子
ポインセチア言葉のごとく贈らるる 手塚基子
ポインセチア遥かなる日は御名御璽 木谷はるか
ポインセチア飾り立てつつ「主は来ませり」 高澤良一 鳩信 
ポインセチヤ何に追はるる吾ならん 向笠和子
ポインセチヤ愛の一語の虚実かな 角川源義
リア王読むポインセチアを足許に 高澤良一 ねずみのこまくら 
並びゐるポインセチアと消火器と 高澤良一 さざなみやっこ 
内祝ポインセチアを買うて来ぬ 高澤良一 燕音 
卓球の日向の音のポインセチア 永末恵子 発色
唐突の真紅がよけれ猩々木 高澤良一 鳩信 
夜の部屋ポインセチアが赫すぎる 千坂美津恵
宝石とポインセチアと並べ売る 佐々木平一
宴果てぬ猩々木の緋に疲れ 文挟夫佐恵 黄 瀬
家具替へて序でにポインセチア買ふ 高田風人子
寝化粧の鏡にポインセチア炎ゆ 小路智壽子
小書*かもポインセチヤを得て聖夜 富安風生
島を死守ポインセチアを天の花 浦野芳南
待ち侘びしポインセチアに染まるほど 山田弘子
早々とポインセチアの囲み記事 高澤良一 宿好 
時計鳴り猩々木の緋が静か 阿部[しょう]人
柔らかき財布でポインセチア買ふ 牧石剛明
猩々木挿して近づくクリスマス 阿部みどり女
猩々木緋をうち重ねしぐれけり 千代田葛彦 旅人木
珈琲とポインセチアに待たさるる 今井千鶴子
階段がポインセチアの鉢の数 清水忠彦
飲んで食べて笑って疲れポインセチア 蓮田双川
鶺鴒叩く霽れ間の猩々木 林原耒井 蜩
フルーツパーラーポインセチアに隣る席  高澤良一  宿好

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:01 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

雪吊

雪吊

例句を挙げる。

*たく駝師の雪吊松を一眺め 高浜虚子
しだれざくら雪吊をして透きにけり 草間時彦
その下を掃き雪吊の仕上がりぬ 片山由美子 水精 以後
ふかくうなづきともに雪吊へゆかむ 田中裕明 櫻姫譚
ふる里の松の雪吊ゆめに見し 室生礪川
ゆるぎなき雪吊の縄青邨忌 井上まこと
わが師糸この雪吊の縄に似て 橋本榮治 越在
仕上りし雪吊はまづ風を呼び 大西比呂
元結を締めて雪吊ととのひぬ 清水 美恵
冬麗の雪吊ハープ鳴るごとし 大串章
地震はげし雪吊の縄切れ縮み 西本一都
大寒の星に雪吊り光りけり 久保田万太郎
天と地といづれさみしき雪吊は 小川双々子
小さき雪吊は人目に遠くあり 高木晴子
山に雪松の雪吊急がねば 亀村其村
弛びなきことに雪吊美しき 大橋敦子 匂 玉
息合ひて雪吊は陽をかかげたり 小檜山繁子
恵那に雪吊柿あまくなりにけり 大橋櫻坡子 雨月
日当りゐて雪吊のそらぞらし 加藤高秋
水底に雪吊の縄きらきらと 中西舗土
温泉の宿の雪吊松に雨の降る 高濱年尾 年尾句集
潜り入る獅子に雪吊り刎ねにけり 久米正雄 返り花
疊替松は雪吊すませけり 久保田万太郎 草の丈
遠くより雪吊高く見ゆる家 飯島晴子
門あけてあり雪吊を見よとてか 森田峠 避暑散歩
雪吊つて百万石の構へかな 清水基吉
雪吊といへざる松もありにけり 稲畑汀子
雪吊にいつも四五人足とどむ 宮津昭彦
雪吊に三日を降つてものたらぬ 田中裕明 櫻姫譚
雪吊に委ね老松らしくあり 藤浦昭代
雪吊に白山颯とかがやけり 阿波野青畝
雪吊に縋れる夕日父は亡し 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
雪吊に雪が絡めば雪の襤褸 田村了咲
雪吊に雪くるまへの大広間 岡井省二
雪吊に鳥鳴き溜る雨の中 西村公鳳
雪吊のあはひゆききのかいつぶり 関戸靖子
雪吊のある糸桜無き桜 村田芙美子
雪吊のいづれも松に吊られたる 嶋田麻紀
雪吊のがんじがらめに高いこと 松澤昭 面白
雪吊のすみたる空のふるへをり 椎橋清翠
雪吊のその他の木々は鉾刈りに 皆吉爽雨
雪吊のつらら小さし湖の寺 関戸靖子
雪吊のはじめの縄を飛ばしけり 大石悦子 聞香
雪吊のふいに日暮るる水の上 黒田杏子
雪吊のふるへの先に岩手山 鈴木鷹夫
雪吊のまだ新しき繩匂ふ 穂坂日出子
雪吊のむかう梅林うすあかく 田中裕明 櫻姫譚
雪吊のもとどり荒び実朝忌 鍵和田釉子
雪吊の一本切れて吹かれをり 高月 ポプラ
雪吊の一直線といふ歪み 稲畑廣太郎
雪吊の下掃く尼のほほかむり 橋本鶏二 年輪
雪吊の僧が咥へし縄の端 数馬あさじ
雪吊の円錐音を吸ひつくす 手島靖一
雪吊の力あつまる花結び 雨宮抱星
雪吊の力の限り雪の降る 倉田紘文
雪吊の千切れて垂れし深雪かな 鈴木貞雄
雪吊の千条の繩凛として 古賀直子
雪吊の千筋の縄のまぶしかり 浅田 伊賀子
雪吊の大小の小実万両 森澄雄
雪吊の小さきは二三解きてあり 小竹由岐子
雪吊の庭師の腰に万歩計 篠田悦子
雪吊の心棒として先づ立ちぬ 岸風三樓
雪吊の手持ち無沙汰といふべかり 高澤良一 ぱらりとせ 
雪吊の撓みのうへの春満月 松村武雄
雪吊の松が啣えし天狼星 藤木倶子
雪吊の松の風格誰が目にも 野口能夫
雪吊の松を真中に庭広し 高浜虚子
雪吊の松満月を上げにけり 冨田みのる
雪吊の百万石の城曇る 阿波野青畝
雪吊の百本の絃楽なさず 田中朗々
雪吊の真上にありし空の芯 手塚美佐
雪吊の真新しきに棺出つ 清藤徳子
雪吊の稚な木なれば引括る 大石悦子 百花
雪吊の綱の竪琴聞かせてよ 坂本宮尾
雪吊の縄あつまりて空となる 角光雄
雪吊の縄あまた切れ弥彦晴れ 中田みづほ
雪吊の縄ささくれて雪を待つ 片山由美子 水精
雪吊の縄しゆるしゆると投げられし 岸田稚魚 『萩供養』
雪吊の縄するすると天から来 高橋静葩
雪吊の縄のいつぽん怠けをり 伊藤白潮
雪吊の縄みな張りてゆるぎなし 鈴木六風子
雪吊の縄一本も油断なし 三浦文朗
雪吊の縄弛みなし月出でて 田中俊尾
雪吊の縄棒のごと凍て空に 二唐空々
雪吊の裾に漲る力かな 小林草吾
雪吊の門前町に赤子抱く 大峯あきら 鳥道
雪吊の雪待つ一筋づつの張り 土生重次
雪吊の高さを決めてゐる二人 依光陽子
雪吊は宝生の楽俟つごとし 中岡草人
雪吊は禽の竪琴くぐり鳴く 原柯城
雪吊やむかし廓に桐火桶 角川春樹
雪吊や出羽の本間の大邸 斎藤鵜川
雪吊や古き匂の文学館 岡村月子
雪吊や吊つて三日の繩匂ふ 加藤耕子
雪吊や旅の二日目雪となれ 森田峠 避暑散歩
雪吊や旅信を書くに水二滴 宇佐美魚目 天地存問
雪吊や日本の裏に妻が里 古館曹人
雪吊や昼の月上ぐ浜離宮 青木重行
雪吊や暮れのこりたる竹生島 関戸靖子
雪吊や松の気品をそこなはず 檜紀代
雪吊や椿百花をこぼさずに 森澄雄
雪吊や縄のいつぽん怠けをり 伊藤白潮
雪吊や転がして解く繩の束 村本畔秀
雪吊や雪消えしとも待てるとも 森田峠 三角屋根
雪吊や風出て空のピアノ線 河野南畦 湖の森
雪吊りにかからぬ雪の葬りかな 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
雪吊りにひと撥入れて人恋し 能美澄江
雪吊りのひかり百本交はらず 森川光郎
雪吊りの中の落日まぶしめり 新田祐久
雪吊りの半ばに日差し失せにけり 梅本安則
雪吊りの声してゐたり母の家 沢木欣一 二上挽歌
雪吊りの夜は満天の星を吊る 村上沙央
雪吊りの夜空の高くありにけり 日原傳
雪吊りの大三角錐遠眺む 大島千鶴子
雪吊りの心棒として先づ立ちぬ 岸風三樓
雪吊りの松に小鷺の来ることも 岡田日郎
雪吊りの百万石の城曇る 阿波野青畝
雪吊りの緩みやこころ震ふほど 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
雪吊りの縄の一筋地に結ぶ 伊藤敬子
雪吊りの縄の香に憑く夕明り 飯田龍太 涼夜
雪吊りの縄ほたほたとわが頭あり 栗林千津
雪吊りの縄目のしかと雪来ぬ日々 鈴木真砂女 夕螢
雪吊りの繩の香に憑く夕明り 飯田龍太
雪吊りの金剛力を垂らしけり 村上高悦
雪吊りの闇しんかんと火焚きをり 加藤耕子
雪吊りの高みに舞ひて春の雪 中村祐子
雪吊りや吊つて三日の縄匂ふ 加藤耕子
雪吊りや途中で消えし子守唄 磯貝碧蹄館
雪吊りをして雪待ちの木々のさま 鈴木真砂女 夕螢
雪吊りをはづす小さな音の中 角川春樹
雪吊りを解く大松に総がかり 星野恒彦
雪吊をこの細枝にも高野槙 山本健吉
雪吊をして貰ひたる小松かな 轡田 進
雪吊をはづせし木々の吹かれをり 井上雪
雪吊をよくは見ざりし出湯の旅 森田峠 避暑散歩
雪吊を火事装束の駆けぬけて 田中裕明 櫻姫譚
雪吊を見おろし山の木が立てり 大串章
雪吊を見すぎて我が身痩せにけり 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
雪吊を見てゐて背丈伸びにけり 山田みづえ 木語
雪吊を見てゐて酷なことを云ふ 飯島晴子
雪吊を解きたる縄を袋詰め 中西舗土
風に鳴るほど雪吊の弦張つて 中村青路
雪吊りて陣屋等伯ぶりの松  高澤良一  随笑
以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:00 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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