2014年 12月 09日 ( 9 )

冬の日

冬の日

例句を挙げる。

この草をわが草として冬の日のうすくなるまで横はるなり 土屋文明
たゝかひのまなかの冬の日と仰ぐ 高橋馬相 秋山越
つつしみ繰る平家の系図冬の日に 杉本寛
どすんと冬の日が暮れ一人の獄は一人なり 橋本夢道 無礼なる妻
ふるき帽いただき冬の日にちかく 細谷源二 鐵
まな鶴も短き冬の日あし哉 也有 (真鶴ケ崎)
ハンモックの吾子冬の日が桐の木に 中山純子 沙羅
一軒のために冬の日ある如し 山中みね子
全身が書に飢えて冬の日は海となる 橋本夢道 無禮なる妻抄
冬の日 青い魚が せわしく買われて暮れた 吉岡禅寺洞
冬の日が墓墓の影を天に吊る 下村槐太 天涯
冬の日が羞らひともる児の耳に 林翔 和紙
冬の日が風にゆらゆら骨納め 細川加賀
冬の日が鷺を舞はせて充ちてをり 高橋馬相 秋山越
冬の日とわれと消ぬべき一呼吸 齋藤玄 『雁道』
冬の日と余生の息とさしちがふ 齋藤玄 『雁道』
冬の日にのけぞる檻の羆かな 太田鴻村 穂国
冬の日に埴輪掘りたる人死ぬか 萩原麦草 麦嵐
冬の日に焼けて今年の猟終る 甲斐 謙次郎
冬の日に透けてウツボの天日干し 高澤良一 随笑 
冬の日に釦をかがる卒寿かな 阿部みどり女 月下美人
冬の日に駱駝の鼻先白っぽく 高澤良一 鳩信 
冬の日のあをむところに針魚干す 友岡子郷
冬の日のいちばん底にゐるつもり 糸屋和恵
冬の日のいま松に落ち畦に落つ 水原秋櫻子
冬の日のおだやかなる息苦しけれ 冬の土宮林菫哉
冬の日のこの土太古の匂ひかな 飯田蛇笏 霊芝
冬の日のしばらく照らす我身かな 高野素十
冬の日のふつと離るる余呉の湖 下條杜志子
冬の日のまぶしくなりて力抜け 阿部みどり女
冬の日のみるみる低き供華挿せる 齋藤玄 『玄』
冬の日のむごき墓石選びかな 斎藤玄 雁道
冬の日のやつがれいくや出でていくや 加藤郁乎
冬の日のゆめに入りたる橋一つ 宇佐美魚目
冬の日の三時になりぬ早や悲し 高浜虚子
冬の日の乳よりも濃し楮汁 沢木欣一 地聲
冬の日の亡夫の木椅子揺らし遣る 殿村菟絲子 『菟絲』
冬の日の今はなくとも観世音 星野高士
冬の日の刈田のはてに暮れんとす 正岡子規
冬の日の古墨のはなしそれ限り 宇佐美魚目 天地存問
冬の日の喪服の肩のうすぼこり 土田 広
冬の日の夕照橋を渡りけり 青木重行
冬の日の失せたる塔を仰ぎをり 五十嵐播水 播水句集
冬の日の小藪の隅に落ちにけり 子規遺稿子規句集 正岡子規
冬の日の尼をふり向く夫ありて 殿村莵絲子 牡 丹
冬の日の川釣の竿遺しけり 宇佐美魚目 秋収冬蔵
冬の日の我が影を置く都かな 佐藤惣之助
冬の日の暮の畳に酒を吸はれた 人間を彫る 大橋裸木
冬の日の朝晴全き静けさよ 青峰集 島田青峰
冬の日の杉うごき雲の動きひとり居 安斎櫻[カイ]子
冬の日の柵に相寄り象と人 小間さち子
冬の日の水をはなれし鯉の息 宇佐美魚目 天地存問
冬の日の沈むを惜しむわれのみか 星野立子
冬の日の海に没る音をきかんとす 森澄雄
冬の日の照りゐる嶽のうらおもて 栗生純夫 科野路
冬の日の眩しと吾子や病めるなり 石塚友二 光塵
冬の日の眼に満つる海あるときは一つの波に海はかくるる 佐藤佐太郎
冬の日の筆の林に暮れて行く 正岡子規
冬の日の羅漢寄せあふ咽喉佛 古舘曹人 砂の音
冬の日の胸かい抱き町を行く 阿部みどり女
冬の日の落ちて明るし城の松 子規句集 虚子・碧梧桐選
冬の日の落つるを沼は息ひそめ 石井とし夫
冬の日の言葉は水のわくように 鈴木六林男
冬の日の障子白さや吸入器 碧雲居句集 大谷碧雲居
冬の日の雁の背丈の寸づまり 齋藤玄 『雁道』
冬の日の露店のうしろ渡るなり 岸田稚魚
冬の日は墜ちーぽんの葦のこる 富澤赤黄男
冬の日は赤く涙はあたたかし 萩原麦草 麦嵐
冬の日やざしきぼつこがゐはせぬか 山田みづえ 木語
冬の日やすがたただせし軍鶏の丈ヶ 松橋利雄
冬の日やつれなく残る蓮の茎 松瀬青々
冬の日やとけては氷る忘れ水 一鼠
冬の日や亡児がうつしゑの曇り拭く 林原耒井 蜩
冬の日や仏の花の松ぼくり 野村喜舟 小石川
冬の日や兄のかたくななつかしき 野村喜舟 小石川
冬の日や写真の隅をいつも占む 八牧美喜子
冬の日や前に塞がる己が影 村上鬼城(1865-1938)
冬の日や去るに遺せし印一つ 宮武寒々 朱卓
冬の日や園の中なる径の枝 尾崎迷堂 孤輪
冬の日や塩の中なる浄め塩 鷹羽狩行
冬の日や大きな柳ゆれてゐる 岸本尚毅 選集「氷」
冬の日や富士を残して落ちにけり 種市清子
冬の日や屋上の吾を見ぬ人等 香西照雄 対話
冬の日や庭木の枝の地に近く 南 うみを
冬の日や指しぬきぬるき魚の棚 水田正秀
冬の日や樹を伐仆す五六本 石井露月
冬の日や欄の埃を吹いて凭る 龍胆 長谷川かな女
冬の日や歯医者が鳴らす金属音 伍賀稚子
冬の日や火種大事にやきとり屋 金子佳子
冬の日や父が手擦れの菓子木型 石嶌岳
冬の日や知らぬ町に来て人を訪ふ 室生犀星 犀星発句集
冬の日や磯路は濡れて松落葉 有働亨 汐路
冬の日や縁の下まで箒の目 長谷川櫂(1954-)
冬の日や老もなかばの隠れ笠 智月 俳諧撰集玉藻集
冬の日や臥して見あぐる琴の丈 野澤節子(1920-95)
冬の日や苔に水打つ法善寺 青木重行
冬の日や蜂も親しきもののうち 奥野桐花
冬の日や蝶々が吸ひ水減りぬ 金子晋
冬の日や象の病気をみておわる 宇多喜代子
冬の日や障子をかする竹の影 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
冬の日や雀煤けて駅の屋根 野村喜舟 小石川
冬の日や馬上に氷る影法師 芭蕉
冬の日や馬關の潮瀬衰へず(下関) 上村占魚 『橡の木』
冬の日や鵜匠の羽織る黒紬 殿村莵絲子 花寂び 以後
冬の日や龍の落し子長汀 野村喜舟 小石川
冬の日をだんだら縞に幹の幸 細谷源二 砂金帯
冬の日をまぶしみ母のふところに 椎橋清翠
冬の日を仰ぎ目くらむ一事かな 岸田稚魚 『紅葉山』
冬の日を高きに陸上競技場 片山由美子
冬の日を鴉が行つて落して了ふ 橋本多佳子
冬の日聰きもの鯉は人に竹林は風に 安斎櫻[カイ]子
古都歩きゐて冬の日の真あたらし 鷲谷七菜子
壁の荒れ慈しむ目と冬の日と 殿村莵絲子 牡 丹
太幹のしづかさ冬の日をながし 長谷川素逝 暦日
峠に見冬の日返しゐし壁ぞ 深見けん二
左右ありや子の沓冬の日に穿かす 皆吉爽雨
恋破れたり冬の日のスタジアム 和田耕三郎
旧くて大きな銀杏が冬の日と話す 磯貝碧蹄館 握手
月桂樹剪られて冬の日に匂ふ 山田登美子
梟の眼に冬の日午なり 子規句集 虚子・碧梧桐選
泥沼に冬の日の堕ちゐたりたり 上野泰 春潮
炎々と燃ゆ冬の日の遠きゆえ 萩原麦草 麦嵐
父と母の御墓一つ冬の日に 長谷川かな女 雨 月
珈琲を飲むとき冬の日は斜め 今井杏太郎
石に水触れ冬の日のちりぢりに 斉藤夏風
穏やかな冬の日着物たたみけり 猪俣千代子 堆 朱
窓を拭く冬の日は手で包めさう 西村和子 かりそめならず
緑蔭の冬の日に似るレストラン 京極杞陽 くくたち上巻
花屋敷冬の日の乗る観覧車 高澤良一 燕音 
苔さわぐことなき冬の日なりけり 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
蕪干せば冬の日低うなりにけり 松瀬青々
身起すや冬の日が先づ心火挙ぐ 成田千空 地霊
長いまつ毛して冬の日病んでいる 荻原井泉水
降るものに数ある冬の日よりかな 渡牛 五車反古
露座仏の背に冬の日のありにけり 井上一灯
頭重き冬の日ことに神は近し 田川飛旅子 『外套』
魚剖きて余念なかりし一枚のうす刃となりてありし冬の日 安永蕗子
鯉の朱の澄みぬ冬の日深むごと 橋本榮治 麦生
「いろはにこんぺえと」地を跳べ地が父冬日が母 磯貝碧蹄館 握手
「黄金バット」が吃るよ冬日が眼にしむよ 磯貝碧蹄館 握手
いかに生きよといふにや冬日晴るゝのみ 安斎櫻[カイ]子
いくさ経し罅硝子戸の冬日かな 徳永山冬子
いつぽんの幹のさへぎる冬日なり 長谷川素逝 暦日
いつもここで冬日の終り川一条 千代田葛彦 旅人木
いつ失せてもよき瀬戸物屋の冬日 加倉井秋を 『欸乃』
いづこにも冬日いちにち来給はず 飯田龍太
お化け煙突冬日を赤児のごと抱けり 磯貝碧蹄館 握手
かくれ鬼冬日の塀に顔あてて 上野泰 佐介
かげる山のうしろ照る山冬日低し 相馬遷子 山国
かすかにも冬日のさして来りけり 高木晴子 晴居
かの日さながら路傍冬日の肥桶達 赤城さかえ句集
から~と落込んで行く冬日かな 高浜虚子
ぎつしりの材木の底にある冬日 臼田亞浪 定本亜浪句集
くくり女と同じ冬日にうづくまる 細見綾子 存問
くちづけは永きものかな冬日華奢 齋藤玄 『玄』
くらしつまるか村人に美しき冬日の空(戦時體制) 安斎櫻[カイ]子
くれなゐのこゝろの闇の冬日かな 飯田蛇笏
けだものの食欲る目もて冬日見る 右城暮石
ここいら松ばかりの冬日の小さい家がある 人間を彫る 大橋裸木
ことごとく冬日に顔を突き出し征く 石橋辰之助
すがれゐしものにあまねき冬日かな 稲畑汀子
すきまなくかたまる羊冬日落つ 石井とし夫
すぐ翳る冬日の家も捨てかねつ 清水基吉 寒蕭々
すでにすでに冬日を鼻におん屍 石塚友二 光塵
すべり台冬日溜りへ子等こぼし 塙告冬
すめらぎの城壁の冬日雉子いでず 渡邊水巴 富士
せきれいの来て一閃の冬日さす 柴田白葉女 遠い橋
そのあとの冬日昃ることもなく 波多野爽波 鋪道の花
たまたまの風音にかすむ冬日かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
つかの間の冬日つかの間逢ひ得たり 成瀬桜桃子
つかの間の冬日にたれし日覆かな 中尾白雨 中尾白雨句集
ときのまの黄瀬戸の色の冬日見し 相生垣瓜人 微茫集
とろ~と冬日が溶ける埴輪かな 萩原麦草 麦嵐
どすんと冬日男は鉄器女は土器 窪田丈耳
にはたづみ冬日まみれや白毫寺 岸田稚魚 筍流し
はなやぐ冬日昔国禁の書なりしを 内藤吐天 鳴海抄
はりつめし人の面に冬日かな 阿部みどり女 笹鳴
ひとやさし背に置かれし冬日また 木下夕爾
ひとりゆけば雉子たつ墓の冬日かな 龍岡晋
ひよどりの持ち来し冬日墓の上 岸田稚魚 筍流し
ひよどりの瘠せ眼に立ちて冬日なる 室生犀星 犀星発句集
ふたまたの幹へながれて冬日かな 長谷川素逝 暦日
ぶらんこを漕ぎ上げてゆき冬日蹴る 川口重美
もちの木の上の冬日に力あり 高野素十
やはらかき餅の如くに冬日かな 高浜虚子(1874-1959)
ゆらゆらと冬日のたばこ稼ぐ時間 椎橋清翠
ゆるすまじ富士真ッ向うに冬日の基地 栗林一石路
よこたはる杖を冬日がじつと見る 竹中宏 句集未収録
よび出して聞きたる声に冬日さし 長谷川かな女 雨 月
わが山のしゞまぞ冬日耳に鳴り 石橋辰之助 山暦
わすれゐるときのうれしさ冬日濃く 木村蕪城 一位
われぬくめ没りし冬日よ誰れあたたむ 中戸川朝人
をちかたのみどりさだまる冬日かな 長谷川双魚 『ひとつとや』
をとこにありてをんなにあらぬ冬日暮 平井照敏
タンカーの曳きずつてゆく冬日かな 下田水心子
トマス小崎身丈かなしく冬日浴ぶ 下村ひろし 西陲集
バラックも並めば冬日にこの明るさ 香西照雄 対話
ポストの頭冬日てらてら虚実古り 木村蕪城 寒泉
マッチ擦る横浜の坂冬日満つ 皆吉司
マリヤの前母亡きわれの背に冬日 成瀬桜桃子 風色
ローンテニス冬日の肩の触れあふも 萩原麦草 麦嵐
ヴェニスにて死ぬべし冬日沈むとき 有馬朗人
一人旅気楽で淋し冬日浴ぶ 山田弘子
一度だけの波音冬日昏れにけり 桂信子 黄 炎
一日の暖かなりし冬日落つ 上村占魚 球磨
一隅をひたと照らして冬日去る 鬼塚梵丹
七面鳥冬日の中にわらひけり 原石鼎 花影以後
中年工女冬日笑むごと弁当開く 岩田昌寿 地の塩
主も大工冬日ぬくめし鑿を買ふ 有馬朗人 知命
乳ふくむ仔豚が冬日の芯となる 岩田昌寿 地の塩
乳を滴りて母牛のあゆむ冬日かな 飯田蛇笏 霊芝
乳牛のそよりと動く冬日哉 中川宋淵 詩龕
二間貰て冬日のひくしみだれ籠 廣江八重櫻
五分粥の一匙にある冬日かな 井上雪
五重の塔の朱は朱からず冬日落つ 阿部みどり女 笹鳴
井桁に乾し薪を冬日の塔となす 川口重美
亡き人の鼎に現るる冬日かな 永田耕衣 物質
人たちて椅子の冬日もいつかなし 福田蓼汀 山火
人として冬日の鹿の眼過ぐ 神蔵器
人の家辞し市電の隅にこの冬日 香西照雄 対話
人よれば驢馬うれしがる冬日哉 阿部みどり女 笹鳴
人を待つ冬日に頬を輝かし 成瀬正とし 星月夜
人刺しし蜂が冬日を煌めかす 山田弘子
人家あるところ冬日のよく當り 上村占魚 『霧積』
人遠く低き冬日のもとにあり 木村蕪城 一位
人黙り冬日の岩にいどみゐる 石橋辰之助 山暦
今しがたありし冬日の其処に無し 粟津松彩子
今下りし塔に冬日や浄名会 雑草 長谷川零餘子
今在りし冬日の何処へ十賊刈 高澤良一 ぱらりとせ 
今日もきて冬日百くる真珠筏 和知喜八 同齢
何か慌し立つは冬日のどん底に 赤尾兜子
何ごともなかりし如く冬日あり 星野立子
何よりも冬日が馳走仏日庵 高澤良一 さざなみやっこ 
使へる鉛筆地上に拾ひ冬日拾ふ 磯貝碧蹄館 握手
俳句とは冬日だまりのひとり言 今井杏太郎
倶利伽羅の西にまはりし冬日かな 前田普羅 能登蒼し
傷兵の冬日を犬がかきみだす 横山白虹
傾いて地蔵艶なる冬日かな 橋石 和栲
僻地校さらば冬日の葱坊主 堀井春一郎
兵児帯を探す机辺の冬日沿ひ 原裕 葦牙
円柱の並びつらなる冬日かな 比叡 野村泊月
冬日あたるうぶ毛の中のひよめき正し 篠原梵
冬日あびるに桜の園のひろすぎる 川島彷徨子 榛の木
冬日からりと歩み居る己れ無くもかな 中島月笠 月笠句集
冬日が 陰影を與えて ビルを墓石とした 吉岡禅寺洞
冬日が照る山容に応ふべし 中塚一碧樓
冬日が磨く骨董市のトランペット 西村和子 かりそめならず
冬日くさし一日離れてゐたりし子 細見綾子 花寂び
冬日こぼるるなら町の奈良格子 三輪陽子
冬日さし色のかげんの草の山 岡井省二
冬日さすあんかうの肌かはきけり 室生犀星 魚眠洞發句集
冬日さすこの道がまた楽しくて 中村吉右衛門
冬日さす上段の間に明治帝 木村蕪城 寒泉
冬日さす土間ぬち牛の孕み腹 木村蕪城 寒泉
冬日さす寝部屋恋部屋人待つも 岩田昌寿 地の塩
冬日さす式台ひろき山屋敷 西島麦南 人音
冬日さす柱列賽者ゆかしむる 皆吉爽雨 泉声
冬日さへ遠きに隔て門跡寺 大橋敦子 手 鞠
冬日さむう蜉蝣くづれぬ水の面 室生犀星 魚眠洞發句集
冬日さやかと告ぐれば頷く死迫る額 赤城さかえ句集
冬日しかと匙の光となりて澄む 柴田白葉女 遠い橋
冬日すぐかげる木椅子を毎日出す 中山純子 沙羅
冬日たかし乙女らがいて琴ひく家 古沢太穂 古沢太穂句集
冬日といふこのいとほしきもの膝にあり 角川春樹
冬日なき芝にマッチの軸こぼす 横山白虹
冬日なめらか今は父母なきたしかさよ 石塚友二 光塵
冬日に伸ばす皺を無限に狂女の老 岩田昌寿 地の塩
冬日に干す籠に縋りて貝死なず 林翔 和紙
冬日に微笑師弟切磋は会へば足る 香西照雄 対話
冬日のぼる焼跡大きな影のごと 桜井博道 海上
冬日の松皮剥げやすし一人居む 内藤吐天 鳴海抄
冬日の枝に鴉も去んでしまつてまたオルガン 三好草一
冬日の縁弾み通せり今金色 香西照雄 対話
冬日の象べつの日向にわれらをり 桜井博道
冬日の馬うなづくはばのみ進む 安東次男 裏山
冬日は一つ幸福もまた多からず 細谷源二 砂金帯
冬日もとより人をなぐさむるものでなく 細谷源二 砂金帯
冬日やさし濃娘壺抱くは添乳めき 成瀬桜桃子 風色
冬日よぎる軽子の畚翼めき 小林康治 玄霜
冬日よりあをしイエスを描きたる 野見山朱鳥
冬日を頒つ友なし山を開拓す 細谷源二 砂金帯
冬日一ぱい受けて障子を閉し居る 青峰集 島田青峰
冬日今瞼にありて重たけれ 高浜虚子
冬日伸び狂人の手が伸ぶこぼれ飯 岩田昌寿 地の塩
冬日低し吾と子の間妻急がん 石田波郷
冬日低し鶏犬病者相群れて 石田波郷
冬日去る柱の影のついて行く 松本巨草
冬日呆 虎陽炎の虎となる 富澤赤黄男
冬日宙少女鼓隊の母となる日 石田波郷
冬日宙湧水八重にひらきけり 高澤良一 ぱらりとせ 
冬日宙見る見る孤児が煙草吸う 石橋辰之助
冬日強し愛吉を殺した被爆の船の朽ちざま見よ 橋本夢道 無類の妻
冬日抱きゴールキーパー立ち上がる 藺草慶子
冬日掬ふ如き両掌や日向ぼこ 池内友次郎
冬日柔か冬木柔か何れぞや 高浜虚子
冬日浴びをる夫の背緋鯉の背 中山純子 沙羅
冬日浴び鳶の炯眼彫り深し 香西照雄 対話
冬日浴ぶとき翼せり翌檜 松山足羽
冬日消えとほき島山に紺還る 篠原梵 雨
冬日消え池のほとりの女消え 高野素十
冬日消ぬわが悔恨にかゝはりなく 横山白虹
冬日消ゆオコジョのやうにすばしこく 高澤良一 寒暑 
冬日消ゆ道は築地を左右となる 皆吉爽雨 泉声
冬日澄む天のまほらゆ火は降るや 久米正雄 返り花
冬日濃きことに心を集めをり 後藤夜半
冬日濃く林泉の橋さへ苔匂ふ 岸風三楼 往来
冬日濃しわが手汚さぬことばかり 岩岡中正
冬日濃し冬日淡しと干す瓦 後藤比奈夫 初心
冬日濃し山羊の毛残る土器太鼓 都筑智子
冬日燦々さよならを終の一語とす 赤城さかえ句集
冬日移るちりめん白地一寸織られ 橋本多佳子
冬日縁はなし一とときはずみけり 飯田蛇笏 山廬集
冬日缺けても人を敬いて座しいたり 細谷源二
冬日義理ほど石山の石切るに 津田清子 二人称
冬日見え鴉かたまり首伸ばす 西東三鬼
冬日踏む宗祗の碑より十歩ほど 細見綾子 天然の風
冬日蹴るくびれのふかき勁き足 篠原梵
冬日逃げるな河原の穴に石取女 沢木欣一 塩田
冬日透る子の駈けぼこり学強ひねば 香西照雄 対話
冬日閑薄き顱頂を笑ひ合ふ 石田あき子 見舞籠
出鉄を見し眼冬日の運河越ゆ 桜井博道 海上
分銅と冬日の縁に再会す 原田喬
切株に冬日二段の鋸の跡 大串章(1937-)
刑務所も枕む冬日も汚れをり 成瀬正とし 星月夜
削る度冬日は板に新しや 香西照雄 対話
化粧成り女冬日に立ちいづる 波多野爽波 鋪道の花
千代田城げに太極の冬日かな 飯田蛇笏 春蘭
号外を見つつ冬日を来る二人 阿部みどり女
合はす掌の揃へば冬日燦爛と 下村ひろし 西陲集
向かひゐて禅問答に似る冬日 櫂未知子 貴族
吾が佇てば墓石傾ぎ来冬日の中 石塚友二 光塵
吾子の掌をつつみ冬日を掌につつむ 古館曹人
吾子生まる冬日幽かの妻を覗く 石川桂郎 含羞
呪文とけ冬日の亀が歩き出す 桂信子 遠い橋
噴火口のぞく片頬冬日が染む 鈴木真砂女 夕螢
噴火烟町に降るなる冬日かな 冬葉第一句集 吉田冬葉
国愛しむまことに松の冬日かな 石塚友二 方寸虚実
垣へだてとなりの庭も冬日の菜 篠原梵 雨
埋立地冬日は己彩り射す 有働亨 汐路
城壁にあれば冬日が野に落つる 長谷川素逝 砲車
城頭に冬日衰へゆくときに 京極杞陽 くくたち下巻
塩田の上の冬日の頼母しき 高野素十
塩買ふや紫がかる冬日暮 細見綾子 花 季
墜ちてゆく 燃ゆる冬日を股挟み 三橋鷹女
墾田殖え墓殖え冬日あまねきのみ 香西照雄
壇上の教授の足に冬日あり 安原葉
売る本の重さ冬日の中に佇つ 飴山實 『おりいぶ』
多摩一すじ冬日に展け光なす 古沢太穂 古沢太穂句集
大いなる寺跡に来し冬日かな 冬葉第一句集 吉田冬葉
大きなる空あり冬日あふれしむ(都築蕃椒居) 上村占魚 『石の犬』
大仏に袈裟掛にある冬日かな 高浜虚子
大仏の冬日は山に移りけり 星野立子
大仏の肩に冬日も風もながれ 京極杞陽 くくたち上巻
大仏の頬ゆたかなる冬日かな 池内友次郎 結婚まで
大仏は親し冬日はあたたかし 伊藤柏翠
大佛の冬日は山に移りけり 星野立子(1903-85)

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by 575fudemakase | 2014-12-09 00:41 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

冬林檎

冬林檎

例句を挙げる。

あかあかと柩の底に冬林檎 藺草慶子
いのち愛し遮二無二啜る冬りんご 原田青児
まつさらな空がいちまい冬林檎 市原光子
不平あらば壁に擲て寒林檎 日野草城
二番目の孫は女よ冬林檎 小俣由とり
俎を傷つけて割る冬林檎 今瀬剛一
冬りんご海の向かふに海のあり 大森理恵
冬林檎宇宙ひろがる話して 鎌倉佐弓 水の十字架
冬林檎生きかへり来し笑らしき 小池文子 巴里蕭条
刃をあててかがやきが増す冬林檎 今瀬剛一
実の緊まりよき冬林檎真二つに 橘川まもる
思慮深し鏡の中の冬林檎 大竹広樹
愛するためふたつ眼をもつ冬林檎 寺田京子 日の鷹
指燃えて磨る冬りんご夫看とる 飯田晴子
病者あれば小さき幸欲し冬林檎 角川源義
窓にいま太陽生まる冬林檎 花谷和子
大将が蜜をうんぬん冬林檎  高澤良一  石鏡
哲学の一つも持てと冬林檎  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-09 00:39 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

蒲団

蒲団

例句を挙げる。

*こおろぎに夜明けの布団かぶりけり 太田鴻村 穂国
あけくれの布団重たし冬の蠅 石橋秀野
ありたけの蒲団干されて行者宿 藤本安騎生
ある夜蒲団剥がれて友を失へり 工藤克巳
ある時は蒲団のおごり好もしき 虚子
いちまいの蒲団の裏の枯野かな 齋藤愼爾
いつまでの田舎教師や蒲団干す バレリーナ鮎子
いつまでも足疲れゐし布団かな 楠目橙黄子 橙圃
いとし子のうもれてまろき蒲団かな 長谷川春草
いとし子を神護ります蒲団かな 増田龍雨 龍雨句集
いばりせし蒲団ほしたり須磨の里 蕪村
うたたねに矩鮭蒲団の胸ょりは来ず 篠原梵 雨
おきぬけに脚絆はいたる蒲団かな 冬葉第一句集 吉田冬葉
おほらかや蒲団を干せる庭の空 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
おもひやめて足のばしたる蒲団かな 占魚
おもひ入つて人闇にたつ布団かな 飯田蛇笏 山廬集
けふの段取り朝の蒲団の中にゐて 高澤良一 鳩信 
けふ干してぬくき蒲団ぞちゝろ虫 五十崎古郷句集
この布団熱冷えて死ぬおのれかな 飯田蛇笏 山廬集
この蒲団わが人生を知つてをり 猪子青芽
この蒲団幾度君を泊めにけり 荻原井泉水
こんもりと妻の蒲団の山かたち 高澤良一 さざなみやっこ 
さよちどり加茂川越ゆる貸し蒲団 無腸
しきつめし蒲団の裾をふみ通る 篠原梵 雨
しばらくは預かる母の蒲団干す 大見川久代
しゝむらは水火の夢の蒲団かな 野村喜舟 小石川
せぐくまる蒲団の中や夜もすがら 漱石
たびごころほのかに寝まる肩蒲団 石原舟月
ため息をとがめられたる布団かな 龍岡晋
ぢゝばゝの一つ布団になまいだぶ 河野静雲 閻魔
つめたかりし蒲団に死にもせざりけり 鬼城
つめたさの蒲団に死にもせざりけり 鬼城
とある門に蒲団負ひ入り山眠る 皆吉爽雨
とぢ糸の萌黄食ひ入る布団かな 温亭句集 篠原温亭
ともしびの涙ににごる蒲団かな 金尾梅の門 古志の歌
どこかに死高階今日も蒲団干す 西川 織子
どの家もみな仕合せや干蒲団 鈴木花蓑
なきがらの冷えにぞひえし蒲団かな 西島麦南 人音
ぬくみなほ我れに母ある蒲団かな 臼田亞浪 定本亜浪句集
ひえびえと妻の布団をたたみけり 岸本尚毅 舜
ひさびさの旅路草家の干布団 太田鴻村 穂国
ひとり寝の炎をつゝむ布団かな 野村喜舟 小石川
ひねもすや遠山かくす干蒲団 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
ふく~にふくれて母の布団かな 野村喜舟 小石川
ふるさとは旅館の昼の蒲団部屋 敏雄
ほく~と老の寝にゆく布団かな 銀漢 吉岡禅寺洞
ほつくりと蒲団に入りて寝たりけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
ほととぎす猪牙の布団の朝じめり 抱一
ぽつくりと蒲団に入りて寐たりけり 臼田亜浪 旅人
またたきの音静かなる蒲団かな 原月舟
またも来て猫の寝そべる干し布団 高澤良一 随笑 
みなは寝し仏壇とぢてひと夜の蒲団に入る 梅林句屑 喜谷六花
みひらきて風きかんとす蒲団かな 金尾梅の門 古志の歌
むらさきの大紐つけぬ腰布団 鈴木薊子
めつた打ち百花の柄の干し布団 檜紀代
ものの香のゆかしや旅の薄蒲団 正岡子規
ももさくら 島の一夜の布団の圧 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 島嶼派
やはらかく犬が噛みあひ干蒲団 福島小蕾
やゝ叱りすぎたる吾子の蒲団敷く 大谷展生
よき布団目鼻あらはに覚めてあり 前田普羅 能登蒼し
わがために敷く押入れの布団かな 小杉余子 余子句選
わが夢を娘に遊学の蒲団縫ふ 丸橋静子
わが町の弥生地帯に蒲団干す 小泉八重子
わびしさや旅寐の蒲団数をよむ 炭 太祇 太祇句選
ビルの間に残る一軒布団干す 中村和子
ベビー蒲団干してミルクの匂ひ立つ 栗山妙子
マンションの物干竿の梅雨布団 高澤良一 素抱 
ミレニアムまだ生き足らぬ布団干す 松本夜詩夫
一つ打つ時計のあとを背蒲団 赤松[けい]子 白毫
一人寝の蒲団たたみて牧閉す 森田 峠
一人寝の蒲団の見ゆる牧閉ざす 森田峠 三角屋根
一宿の恩弥陀に謝し蒲団著る 右田百女
一枚の紅葉こぼるゝ布団敷く 山口青邨
一枚の貰ひ布団や冬構へ 吉武月二郎句集
一枚は綿の片寄る干布団 飯島晴子
一生一泊布団の跡にぬくき畳 香西照雄 対話
三人の故郷の遠き蒲団かな 余子
上海に背負ひて来たる蒲団かな 日原傳
丹前もかけて艶めく布団哉 小澤碧童 碧童句集
乾坤にわれらがいのち蒲団干す 山本歩禅
二階開け紅蒲団干す廓かな 堀 古蝶
人呼びてわれは凭り居る蒲団かな 長谷川かな女 雨 月
人間のすつぽんとなる蒲団かな 広江八重桜
今も重き蒲団を好む宗易忌 鈴木鷹夫
他所者のきれいな布団干してある 行方克巳
仮の世へ蒲団干し終え居ずなりぬ 久保純夫
佐渡ヶ島ほどに布団を離しけり 櫂未知子 蒙古斑
何もかも布団にかけて旅寝かな 五十嵐播水 播水句集
何処やらに蒲団を着たる涅槃像 岡井省二
余花の雨布団の上の鼓かな たかし
信天翁殺して母の羽根蒲団 鳥居美智子
僧堂のたたみて薄き蒲団かな 佐藤うた子
元日の子と並び敷く布団かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
先生の眠つてをりし蒲団かな 今井杏太郎
光氏(みつうぢ)と紫と寝る布団かな 松根東洋城
八つ手ちかき干蒲団蜂蠅とゐる 川島彷徨子 榛の木
公園と芝をつづきに蒲団干す 中戸川朝人 星辰
六つなるは父の布団にねせてけり 杉田久女
内海に鱶泳ぐ日の蒲団干し 江里昭彦 ロマンチック・ラブ・イデオ口ギー
冬の果蒲団にしづむ夜の疲れ 飯田蛇笏 椿花集
冬物出す妻がもこもこ布団陰 高澤良一 宿好 
冬蒲団妻のかほりは子のかほり 中村草田男
冷たさの蒲団に死にもせざりけり 村上鬼城
分去れも貸蒲団屋の薔薇も秋 田口彌生
初孫を迎へる布団干しにけり 裏木里美
初雪や献上鷹の馬蒲団 臥高 俳諧撰集「藤の実」
午後の日の今燃えてをり干蒲団 高浜虚子
単線の古びし駅舎布団干す 添野光子
厄病神付いて離れぬ布団干す 篠田吉広
厚布団一夜の恩やいとまごひ 岩木躑躅
原爆忌むき出しに干す布団綿 木田千女
古人かくて逝きしと想ふ布団かな 碧童
古綿の腰萎え蒲団干さずんば 石塚友二
古蒲団かぶりだまつて弟病む 菖蒲あや
吉野山重き布団をかけられし 辻桃子
名山に正面ありぬ干蒲団 小川軽舟
吐き気がす蒲団鞭打つ妻を見て 石川桂郎 含羞
品々の蒲団に登る木魚哉 服部嵐雪
唐草の色なくなりし蒲団かな 桜坡子
唐草の蒲団に眠る子二人 縹雨
喧嘩して布団離せど遠からず 福永直子
囀や妻洗ひ干す尿布団 小原菁々子
団十郎を昔泊めたる蒲団かな 白水郎句集 大場白水郎
地曳網沖より合図布団振る 高濱年尾 年尾句集
埋火や己がじゝ子の布団敷く 碧雲居句集 大谷碧雲居
堂守や落葉の中の干布団 野村喜舟 小石川
墓地に向き花柄蒲団干せる家 高澤良一 ももすずめ 
夜べの雪あとかたも無き干布団 青葉三角草
夜具蒲団かむりしよりの我の闇 上野泰 佐介
夜具蒲団かむり聞きゐる子守唄 上野泰 佐介
夜遅く寝るべき布団敷きはやむ 飯田蛇笏 椿花集
夜鷹鳴き旅の布団に寝返りぬ 辰巳あした
夜鷹鳴く山小屋蒲団配り終へ 西村梛子
夢に夢見て蒲団の外に出す腕よ 桑原三郎 花表
大き足蒲団はみ出し継母逝けり 菖蒲あや あ や
大兵のかり寝あはれむ蒲団哉 與謝蕪村
大屋根に布団干したり雲雀なく 冬の土宮林菫哉
大岩に布団干したりでゆの谷 楠目橙黄子 橙圃
大風の底ひにのべし蒲団かな 金尾梅の門 古志の歌
天草は重石のやうに蒲団被す 中戸川朝人 星辰
天龍に落ちんばかりの干蒲団 青畝
奉公のあきあきしたる布団かな 森川暁水 黴
子規所蔵本肉蒲団四海波 日原傳
子規随筆今宵も読むや蒲団著て 癖三酔句集 岡本癖三酔
学僧ら眠り短き蒲団干す 塩谷はつ枝
客布団大手をひろげ抱き来る 温亭句集 篠原温亭
宵の間は虱もなくて古蒲団 百池 五車反古
家の者よ蒲団敷くよろこびの満ち 小澤碧童 碧童句集
家中の蒲団を干して海が見ゆ 野木桃花
家内(うち)よりこゑそこらの布団取り込めと 高澤良一 随笑 
寐かさなき母になられし蒲団かな 岡本松濱
寒さうに母の寝たまふ蒲団かな 正岡子規
寝かさなき母になられし蒲団かな 岡本松濱
寝ごこちの干蒲団とはわかりけり 片岡片々子
寝ごゝろや火燵蒲団のさめぬ内 榎本其角
寝られねばまた肩つつむ蒲団かな 長谷川春草
寝冷え子の又踏み脱ぎし蒲団かな 青峰集 島田青峰
寝積や布団の上の紋どころ 阿波野青畝
小夜ちどり加茂川越る貸蒲団 無腸 五車反古
小蒲団に夜寒の足をちぢめけり 会津八一
少年の日の友と寝る蒲団かな 上村占魚 鮎
尾瀬小屋の布団新しほととぎす 林田潤子
山々を枕に敷きぬ三布蒲団 芥川龍之介
山で見た青空が鳴る布団かな 峠谷清広
山坊の堅き蒲団や紅葉冷 板谷芳浄
山影の迫りてゐたる干蒲団 池田秀水
山賤のうすき布団に病みにけり 清原枴童 枴童句集
山里に家々に足る蒲団かな 尾崎迷堂 孤輪
山駕籠の蒲団の蠅を払ひ乗る 河野静雲 閻魔
峡の日や干してはなやぐ肩布団 松井恭子
峰に月襟に蒲団の垢さわぐ 加藤知世子 花寂び
峰二つ越えて寝てゐる蒲団かな 銀漢 吉岡禅寺洞
島渡し教師と蒲団のせて著く 香川静香
川の渦光る裏窓布団干す 加藤知世子 花 季
巡錫の夜毎そぐはぬ蒲団かな 大谷句佛 我は我
布団きて寝たる姿や東山 嵐 雪
布団たたむ人を去来す栄華かな 飯田蛇笏 山廬集
布団の向きそれぞれかへて蚊帳をつる 川島彷徨子 榛の木
布団はね咳きむせぶもの真紅なり 中尾白雨 中尾白雨句集
布団より内股見せて応と起つ 榎本冬一郎 眼光
布団より出し一生の手なりけり 遠藤梧逸
布団より足先のぞく電波の日 杉田さだ子
布団より鳥の羽根出て冬ぬくし 大木あまり 山の夢
布団をかけてやれば蹴とばす反抗期 白川順子
布団一重十万億土距たりぬ 西山泊雲 泊雲句集
布団取り込むは一ト日を蔵ふごと 高澤良一 随笑 
布団売ぼそぼそ菊をほめて去る 中尾杏子
布団干して待つは椎降る家なりし 林原耒井 蜩
布団干し菊焚くことのひと日持つ 鈴木真砂女 夕螢
布団干し親子の絆膨らます 竹村幸四郎
布団干すたびに見下ろす回向院 松村幸一
布団干すやいしくも濡れし露の蓼 渡辺水巴 白日
布団干すや子が摘んで来し茶の芽生 佐野青陽人 天の川
布団干す人と目の合う日和かな 守田 実
布団干す名畑の山を渡り鵙 前田普羅 新訂普羅句集
布団干す真下雪代川走り 石田勝彦 秋興
布団干す雲の行方を追ひ乍ら 稲畑汀子
布団畳む囚人体温封じ籠め 香西照雄 素心
布団皺直して布団干せる妻 高澤良一 随笑 
布団肩まで故郷へ戻ること思ふ 鈴木真砂女 夕螢
布団重し過去が責めくる胸の上 河野南畦 『花と流氷』
帆をあぐるごとく布団を干す秋日 皆吉 司
師より吾に蒲団かぶるな起きよと文 京極杞陽
干されたる蒲団の重み竿に見ゆ 前田まさを
干してある蒲団に菊の虻とまる 上野泰 佐介
干し布団厚きは稀の客のため 右城暮石 上下
干布団してある椽に賀客かな たかし
干布団吃水深く寝に落ちる 武田和郎
干布団広げて夫婦二人分 高澤良一 随笑 
干布団日和や吾の出番あり 高澤良一 随笑 
干布団水仙みえて畑に垣 滝井孝作 浮寝鳥
干布団綿の謀議のふくれゆく 金丸敬子
干布団美しからず蝶飛べど 川端茅舎
干布団荒磯の潮つぶやける 水原秋桜子
干蒲団うすむらさきに沖はあり 菅原鬨也
干蒲団のかをりはあまし熟睡の香 川島彷徨子 榛の木
干蒲団ほど新しきものはなし 宮坂静生 春の鹿
干蒲団ラケツトで叩き十八歳 川崎慶子
干蒲団取り込めといふ例のこゑ 高澤良一 寒暑 
干蒲団叩いて日暮れ早めけり 阿部静雄
干蒲団叩き叩きてひとり住み 菖蒲あや あ や
干蒲団外し抱へて母帰宅 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
干蒲団富士の白妙差しにけり 高澤良一 鳩信 
干蒲団打てば遠山縷のごとし 飯田龍太
干蒲団日和と妻に謂はれをり 高澤良一 さざなみやっこ 
干蒲団男の子がなくてふくらめり 藤田湘子
干蒲団箱根の谷に叩きをり 藤田湘子
干蒲団険しくなりぬ昃りて 高澤良一 燕音 
年の瀬のまづしき蒲団垣に濡る 飯田蛇笏 春蘭
年わすれ忘寐に着る蒲団かな 松岡青蘿
年惜しむともなく蒲団敷きにけり 中島月笠 月笠句集
年立つとこゑや隣の蒲団より 高澤良一 鳩信 
年頃を過ぎし織子の腰布団 有本銘仙
幸せの嵩に脹らみ干布団 檜 紀代
幽明のあはひに翅の布団かな 寺井文子
底冷えの布団の前の歎異抄 平井照敏 天上大風
引つ被る蒲団の中のむかしかな 市堀 玉宗
弟死にしそのままの蒲団ふくらみ シヤツと雑草 栗林一石路
弦切れし思ひの蒲団被ぐのみ 石塚友二 光塵
弱き身に姑の情の肩蒲団 荒木奎子
彼岸はじまれり法楽の干し布団 中山純子 沙羅
待てば来ず雨の夜寒の薄蒲団 正岡子規
御仏の蒲団は薄き冬日かな 阿部次郎
微酔して蒲団の中に謡ひけり 浜田波静
志持てば破れし蒲団とて 伊藤柏翠
思ひ湧く果なき蒲団かむりけり 石塚友二 光塵
恨寐の蒲団そなたへゆがみけり 高井几董
愚痴多くなりたる母の背布団 安田孔甫
我が骨のゆるぶ音する蒲団かな 青々
戸袋の戸が三重良寛の布団いかに 香西照雄 素心
折返ししくもかぶるも蒲団かな 大垣-海動 俳諧撰集「有磯海」
拵へてくれし蒲団に甘え寝る 鈴木花蓑句集
捨布団あり寒林を戻るなり 森田公司
摘草の布団を越えてゆきにけり 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
敷きかけの布団に倒れ従兄妹たち 池田澄子 たましいの話
敷きつめてまばゆき布団泊らんか 栗生純夫 科野路
新らしき蒲団に聴くや春の雨 村上鬼城
新築のベランダくまなく布団干す 金元喜代子
旅の夜の我くぐまれる蒲団かな 黒柳召波 春泥句集
日が没し始む布団を置き去りに 高澤良一 随笑 
日に干して嬰の蒲団の綴ぢゑくぼ 増田 松枝
日はあらぬ方へ布団の蒼ざめる 高澤良一 随笑 
日をたゝみこみし蒲団の軽さかな 小山句美
日溜りの布団のやうにうちとけて 高澤良一 随笑 
早起の煙しみつく蒲団かな 松村蒼石 寒鶯抄
星空をふりかぶり寝る蒲団かな 松根東洋城
春の雨布団の上の刃物にも 高澤晶子 純愛
春めきし布団潜つて遊びし頃 矢島渚男 延年
春一が蒲団落としてゆきにけり 高澤良一 さざなみやっこ 
春昼や布団正しき置炬燵 五十嵐播水 播水句集
春立や蒲団清らに雨を聴く 露月句集 石井露月
春闘や荷台に積み上ぐ貸布団 金子佳子
春雷や布団の上の旅衣 島村元句集
昼も見るつれなき人の蒲団哉 高井几董
昼寝さめてかけます春の布団かな 島村元句集
晩年は軽くかるくと羽根布団 加藤燕雨
暗中に蒲団の襟を掴みをり 下村槐太 天涯
更けて寝る蒲団に嵩のなきおのれ 山口草堂
更紗布団のつめたさを手に夜雨聴く 原田種茅 径
朝は蒲団のぬくもりから瘠せたおのれを出す 人間を彫る 大橋裸木
朝寒やねればがさつく藁布団 芥川龍之介
朝立や布団の上の身ごしらへ 温亭句集 篠原温亭
木兎啼くと重き布団を引つぱりぬ 福田蓼汀 山火
木枯の川引きよせて白蒲団 齋藤愼爾
木綿一家展べ餅重ね布団めく 香西照雄 対話
末枯の夕焼うつる布団かな 増田龍雨 龍雨句集
朱欒照る日のあかるさに干蒲団 五十崎古郷句集
束の間の日差あつめて干す蒲団 安藤マチ子
来てゐたることのわかりし布団かな 左右
枕辺にともしび燃ゆる蒲団かな 西島麦南 人音
枯木宿に色を動かす蒲団かな 月舟俳句集 原月舟
枯野晴布団の色をはばからず 鳥居おさむ
柊を挿して蒲団の中にをり 神尾季羊
業平忌赤き蒲団のほされけり 高柳重信
欄の下かゞよふ瀬あり干蒲団 秋櫻子
欄間より小夜風通ふ蒲団かな 茅舎
歌うたひつゝ新妻や蒲団敷く 森田峠 避暑散歩
死神を蹴る力なき蒲団かな 高浜虚子
母が家の布団の重き朴落葉 森賀まり
母に勝るは若さのみ布団づしと干す 根津恵美子
母子とて布団から子の手がでる シヤツと雑草 栗林一石路
母病めり蒲団の上に黒き羽織 大野林火
毛布外套なんど蒲団にかけて寝る 寺田寅彦
毛蒲団の上を走るや大鼠 正岡子規
気の遠くなるまで蒲団干されけり 高澤良一 ねずみのこまくら 
水落とすより身に添へる布団哉 増田龍雨 龍雨句集
沼の怪想ふ布団に芦鳴りて シヤツと雑草 栗林一石路
法窟といひて煎餅蒲団干す 竹中弘明
泣くために布団に入るやうなもの 中田品女
泣虫の子が泣く布団へ旅の了り 金子兜太
注連の内狂士の蒲団被くあり 尾崎紅葉
活僧の蒲団をたゝむ魔風哉 炭 太祇 太祇句選
流し行く新内我は絹蒲団 東洋城千句
海の日のそよろと渡る干布団 綾部仁喜 寒木
海光や屋根に干しある縞布団 館岡沙緻
海穏か布団たゝんで縁に立つ 阿部みどり女 笹鳴
海老に寝る癖なほ老いて蒲団かな 小澤碧童 碧童句集
涙顔嗚呼冷えつらん蒲団かな 飯田蛇笏 霊芝
湖波は家裏のしらべ蒲団干す 大東晶子
湯たんぽに小高くなりし布団かな 温亭句集 篠原温亭
湯治客あるにはありて干蒲団 清崎敏郎
満ち汐の静けさに寐る蒲団かな 増田龍雨 龍雨句集
灯ともさぬ瞽女の炬燵の厚蒲団 西本一都 景色
灯を消せば山河冴えくる布団かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
灯合を思ひ出しをり布団干す 加倉井秋を 『午後の窓』
炬燵なき蒲団や足ののべ心 正岡子規
無精さや蒲団の中で足袋を脱ぐ 正岡子規
熱哀し蒲団のそとに置く片手 鈴木しづ子
燈の下に今日の身は無き布団かな 渡辺水巴 白日
燈台を思ひ出しをり蒲団干す 秋を
父の死や布団の下にはした銭 細谷源二 砂金帯
牛小屋に牛寝て新婚蒲団干す 宮坂静生 青胡桃
牡丹生けてうすき蒲団に臥たりけり 桂信子 黄 瀬
玉子酒僧の炬燵の派手布団 五十嵐播水
生ひ立ちを見らるゝごとし蒲団穴 高澤良一 随笑 
生臭き布団の中やいさな取 野村喜舟 小石川
田水落つ母の蒲団の固きまま 永田耕衣
疲れし身横たふ薄き坊布団 高木晴子 花 季
病む僧の蒲団のすそに僧一人 高野素十
病めば蒲団のそと冬海の青きを覚え 中塚一碧樓(1887-1946)
病る身の蒲団を替ゆる小春かな 大石 守明 五車反古
病感来蒲団の苦情申しけり 感来 (病床苦吟の中)
白蒲団鏡の如く干されあり 上野泰 佐介
白鳥の湖畔に泊てて羽根蒲団 品川鈴子
百叩きされて驚く干布団 児玉仁良
目や鼻や絆朧に蒲団の子 石塚友二 光塵
眉埋めて闇ぞうれしき蒲団かな 増田龍雨 龍雨句集
看護婦のマスク布団を干す時も 青葉三角草
着なれたる蒲団嬉しや旅帰り 藤原拈華
短夜の蒲団敷く音起りけり 波多野爽波 鋪道の花
神経科を見舞う脳天蒲団干す 寺田京子 日の鷹
秋の夜や蒲団をしきに男来る 高浜虚子
秋簾布団の上に日のかけら 高澤良一 素抱 
立職に更けし布団はわが母港 後藤綾子
竝び寝て母子淋しき布団かな 高橋淡路女 梶の葉
竹秋や蒲団干し居る榛名駕 島村はじめ
籠堂にたゝみ置きある蒲団かな 河野静雲 閻魔
籾量を胸算用や蒲団かぶり 大熊輝一 土の香
紆余曲折蒲団思案を君もごそと 河東碧梧桐
絹蒲団稍蔵臭く泊りけり 原田浜人
絹蒲団重ねても猶旅寝かな 尾崎紅葉
綴糸の萌黄凹みし布団かな 吉屋信子
縁に干す蒲団の上の落葉かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
繚乱の花柄布団風邪ひけり 能村研三 鷹の木 以後
美しき布団に病みて死ぬ気なく 森田愛子
美しき布団息あるごとくなり 五十嵐播水 播水句集
美しき蒲団かけたり置炬燵 村上鬼城
美しき蒲団干したり十二欄 内藤鳴雪
羽根布団とは軽きもの春立ちぬ 岸田稚魚
羽根蒲団空気の如く身に掛くる 安田 晃子
翔べよ翔べ老人ホームの干布団 飯島晴子(1921-2000)
聖人に夢なしと聞く厚蒲団 有馬朗人 耳順
肩布団更けてたゞよふ如くなり 八木林之助
肩蒲団したる*えり師がいくたりも 洛水
肩蒲団ねむる容色おとろへぬ 飯田蛇笏 春蘭
肩蒲団まで賜わりし湖の宿 鈴木泰子
肩蒲団渓声耳になれにけり 西島麦南 人音
肩蒲団肩に馴れたる夫婦哉 向野幽水
背蒲団狆に著せ紐長く持ち 高浜虚子
胸さぐる両手小き布団かな 森鴎外
胸布団あて裸漁夫網たぐる 高濱年尾 年尾句集
脚のみが見えて畦ゆく布団売 工藤義夫
腰布団身にあて念ふ母の恩 宮下翠舟
腹這ひて語るも旅の蒲団かな 鞍 悦子
膝に蒲団はさみて寝るや守宮鳴く 沢木欣一
膝入れて炬燵布団の紅うごく 京極杞陽 くくたち下巻
舌のごと干蒲団垂れあいまい屋 清崎敏郎
舌垂れし如くに窓の干蒲団 山田凡二
航空便解けば膨らむ羽根蒲団 品川鈴子
船宿の千鳥染めたる布団かな 会津八一
花の山のそりと蒲団敷きに来る 攝津幸彦
花びらのときに入りこむ蒲団部屋 桂信子 緑夜
花夕ベ子らの蒲団のすでに敷かれ 加倉井秋を
荒海をひかへし宿の蒲団かな 月舟俳句集 原月舟
菊晴や布団とぢゐて子に復習ひ 阿部みどり女 笹鳴
華やかに炬燵布団の歌ぢらし 福田蓼汀 山火
萎えし手に足もて掛ける麻蒲団 中山勝仁
落葉踏んで去る友に閉めて蒲団敷く 西山泊雲 泊雲句集
葉畑の日南わづかや蒲団干 生田花朝女
葬りあと湖に向け蒲団干す 宇多喜代子
葭切や布団を叩く音のして 後藤 章
蒲団うてば畳の音の貧しうて 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
蒲団かへて又病床の高さかな 高濱年尾 年尾句集
蒲団から頭を出せば春が来た 佐藤紅緑(1874-1949)
蒲団が米に変りぬ妻にやさしくせむ 田川飛旅子 花文字
蒲団してきく風音のおとなしき 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
蒲団して薬餌とる身の興ざめぬ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
蒲団すぐ本にかこまる職無くて 田川飛旅子 『山法師』
蒲団にも襟といふもの梅月夜 神尾久美子 桐の木以後
蒲団のずれ直し呉れをる妻をうつつ 高澤良一 ぱらりとせ 
蒲団のにほひいらだたしくならんとすおぞし 梅林句屑 喜谷六花
蒲団の重さ天井の低さ五十腕に 原田種茅 径
蒲団ほす家の暮しのみられけり 麦南
蒲団まく朝の寒さや花の雪 斯波園女
蒲団まで凍てし固さの狩の宿 檜 紀代
蒲団まで朝の寒さや花の雪 園女 俳諧撰集玉藻集
蒲団より手をさしのべし別れかな 鈴木洋々子
蒲団より落ちたる文庫本スリラー 藤田湘子
蒲団をうごかしてゐる朝のわが子である シヤツと雑草 栗林一石路
蒲団出て月面歩行(ムーンウォーク)のぎっくり腰 高澤良一 寒暑 
蒲団叩きたんぽぽ離ればなれなり 小川軽舟
蒲団叩けば団地に谺開戦日 奈良文夫
蒲団屋の長女は風を孕みけり 仁平勝 東京物語
蒲団干され人間臭き船溜り 高橋流石
蒲団干して読めるもの湖の明るさに シヤツと雑草 栗林一石路
蒲団干しに出るたび遠くの方を見る 加倉井秋を 午後の窓
蒲団干すついでに死神も干す 前田吐実男
蒲団干すや旭今輝く城の鯱 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
蒲団干す卒寿の力あまりけり 黒田櫻の園
蒲団干す学生だけの留守家族 高間礼子
蒲団干す小庭を覗く鴉かな 会津八一

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by 575fudemakase | 2014-12-09 00:34 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)



例句を挙げる。

「ほう」の外梟を呼ぶ声知らず 加藤楸邨
あだし野や松ふく風もゆく鳥も 稲垣きくの 黄 瀬
あはれ夷振り髯の八十神八十梟帥 高柳重信
ある夜来て梟啼きぬ幟竿 正岡子規
うぶすなへ桜芽をふく真中を 阿部みどり女 笹鳴
くらしにこまる人が笛ふく梅雨の日ごと 細谷源二 砂金帯
こし強き蕎麦打てば鳴く梟か 岡部名保子
ことしまた梟啼きぬわたくしの生まれるまへの若葉の闇に 前登志夫
これ着ると梟が啼くめくら縞 飯島晴子(1921-2000)
さすが鶯梟などは飛び込まず 正岡子規
さびしさの絶対量を問ふふくろふ 夏井いつき
とまり木の梟二つ寄り合はず 森田峠 逆瀬川以後
とんでもなき縞梟の胸の内 高澤良一 随笑 
ぬくきもの食べ春待ちの梟鳴く 村越化石 山國抄
はきだめの榎芽をふく日和哉 正岡子規
はつ空や烟草ふく輪の中の比叡 言水
はな紙に足ふく人やかきつばた 暁台
ふくろふが啼く胞衣塚を過ぎたれば 黒田杏子
ふくろふに真紅の手毬つかれをり 加藤秋邨 怒濤
ふくろふに聞け快楽のことならば 夏井いつき
ふくろふのはばたく闇をいまも持つ 小浜杜子男
ふくろふの口ごもり鳴ける良夜かな 水原秋桜子
ふくろふの嘴垂直の寝りぐせ 武藤ともお
ふくろふの声の大きく夫の留守 矢口由起枝
ふくろふの声ふところに孤独かな 高屋窓秋
ふくろふの孵りしことを小声にて 小澤實
ふくろふの我見てあらむ木下ゆく 篠原梵 雨
ふくろふの振るつたことをいふごとし 高澤良一 さざなみやっこ 
ふくろふの日永に耐へる瞼かな 和田知子
ふくろふの森をかへたる気配かな 西山小鼓子
ふくろふの滝のこだまに出て怒る 松村蒼石 雪
ふくろふの目蓋開けて吾を見る 高澤良一 さざなみやっこ 
ふくろふの眉たれ蟻のいでにける 永田耕衣 傲霜
ふくろふの眼ひらく音や雪の檻 山田みづえ 忘
ふくろふはふくろふでわたしはわたしでねむれない 種田山頭火(1882-1940)
ふくろふは貞操帯を知つてゐる 中烏健二
ふくろふは鳴かでもあれや梅雨夕べ 五十崎古郷句集
ふくろふも聞耳頭巾欲る夜かな 白岩 三郎
ふくろふや並みてかがやく洋酒壜 朝倉和江
ふくろふや織子のひとり島育ち 橋本榮治 越在
ふくろふを見においでよとこどもかな 佐々木六戈 百韻反故 初學
ふく汁や恐れをなして喉の関 言水
ふく~にふくれて母の布団かな 野村喜舟 小石川
ほうほうと梟の夜の磨崖佛 嶋田 つる女
わが眼いつぱいに梟の目玉かな 佐野涼
をし啼くや一節切ふく痩をとこ 白雄
オレンジの汁ほとばしり梟鳴く 鈴木有紗
ホーと呼べばふうと応へて小夜梟 寺田寅彦
一つ火を待つ梟と息合はせ 北村仁子
一灯があれば梟よりゆたか 清水径子
二方に梟の啼く月なり 北原白秋
人が人焼くや梟の淋しさで 齋藤愼爾
伸びちぢみするは<時間>の相にて島梟は樹の上に鳴く 岡部桂一郎
元朝の梟鳴くなり瑞泉寺 皆川白陀
八咫鏡梟に皺ありにけり 各務耐子
剥製と見しふくろふが啼きにけり 市場基巳
北風ふく夜ラジオは遺児に唄はする 岸風三楼 往来
南風ふく波止場に雲のたゞよへり 上村占魚 鮎
口拭ふ梟の羹旨かつし 松瀬青々
古椀うかむ池ふく風や萩のつゆ 飯田蛇笏 山廬集
地の音を聴くふくろふに遠き雷 久保田月鈴子
塩田の頃の大釜菜飯ふく 高瀬 初乗
壕ねぶたしほつほと修羅になく梟 中勘助
声かけて縞梟にそむかるる 関口加代子
夕焼の中に危ふく人の立つ 爽波
夜さくらに梟を追ふ礫かな 是宕
夜といふ名の梟と旅に出る 高山雍子
夜は梟必ずや鳴く山ざくら 西村公鳳
大きな眼二つ画けば梟哉 青木月斗
大接心梟ももの思へとや 橋本榮治 麦生
大日如来胎に梟鳴かせをり 熊谷愛子
大風呂の貝ふく迄や大根引 几董
委細面談梟の待つ夜かな 森田緑郎
姥巫女が梟抱いて通りけり 泉鏡花
子の節に戻れば月に鳴く梟 太田鴻村 穂国
山の宿梟啼いてめし遅し 高濱虚子
山番の戸の籠に飼ふ梟かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
己を視むと梟の顔廻す 大島雄作
待宵や梟老いて飼はれたる 山岸治子
後生楽な縞ふくろふの貌のぞく 高澤良一 さざなみやっこ 
我に棲む梟やときに啼く昼も 河原枇杷男 定本烏宙論
文鎮の梟の貌夜も更けた 高澤良一 随笑 
新涼や円く黄色の梟の眼 阿部みどり女
旅おえてまた梟に近く寝る 宇多喜代子 象
日脚伸ぶ卓に就職情報誌 山本ふく子
明け近き梟の聲や散る櫻 内田百間
昼深し身に飼ふ梟の又啼くも 河原枇杷男
暗算の少年に棲んでいる梟 本田博子
月山のふところ深き梟か 山田みづえ
月見草梟の森すぐそこに 川端茅舎
木の股に据れる月や梟鳴く 西山泊雲 泊雲句集
杜かへて鳴く梟や午まつり 藤原如水
梟があげて満月二つあり 和知喜八 同齢
梟がふはりと闇を動かしぬ 米澤吾亦紅
梟がほうと苗代寒の宵 野田歌生
梟が啼いて安心母にあり 山尾玉藻
梟が啼きゐて桜月夜かな 草間時彦 櫻山
梟が啼く胞衣塚を過ぎたれば 黒田杏子
梟が来ては古戸に目をつける 廣江八重櫻
梟が笑ふ目つきや辻角力 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
梟が鳴けりこの世に疎外感 奥坂まや
梟されてもの憂きは断頭以後の長き耳鳴り 高柳重信
梟といへば不思議なことばかり 安田鈴彦
梟となり天の川渡りけり 加藤楸邨
梟と名告り素通りする巷 沼尻巳津子
梟にあはぬ目鏡や朧月 榎本其角
梟にかかはる秘密大事にす 鈴木節子
梟にはぐらかされて帰るのみ 高澤良一 随笑 
梟に人事不省の響きあり 櫂未知子 蒙古斑
梟に似て黙す一家晝を在り 安斎櫻[カイ]子
梟に向き合へば雪降りけり 細田恵子
梟に夢を託して眠る森 村越化石
梟に待たれて月の濃くなりぬ 渡邊千枝子
梟に旅人といふ名をもらひ 上田日差子
梟に月くもり出づ奥椎葉 羽田岳水
梟に森夜ぶかくも来りつれ 竹下しづの女 [はやて]
梟に水のはげしき山の闇 鷲谷七菜子 花寂び
梟に熟睡のときのついに来ず 宇多喜代子
梟に白装束の夜の富士 有働亨
梟に見えしかわれに見えぬ死後 三田きえ子
梟に近くねむりし吉野かな 後長耕浦
梟に雪山星を加へけり 山下竹揺
梟のあはれは薄目うすなさけ 稲垣きくの 牡 丹
梟のころがせる月みづうみへ 熊谷愛子
梟のこゑ裏返る余寒かな 吉田紫乃
梟のごとく夜の雪見つめをり 三森鉄治
梟のしばらくは闇それからも闇 あざ蓉子
梟のしらみおとすな花の陰 立花北枝
梟のつらも仏のわかれかな 加舎白雄
梟のねむたき貌の吹かれける 軽部烏頭子
梟のひと声のみの古墳山 岩井治子
梟のふはりと来たり樅の月 松永鬼子坊
梟のふはりと殺気流れけり 佐々木草馬
梟のまどろむる貌昼に見し 伊藤敬子
梟のまばたきひとつ貰ひしよ 中尾寿美子
梟のむく~氷る支度哉 一茶
梟のもしやの聲を山深く 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
梟のやをら目を開く一の星 北川英子
梟の中身たましひぎつしりと 小嶋萬棒
梟の半眼ひとのけうときか 稲垣きくの 牡 丹
梟の口を開きて声もなく 岸本尚毅 舜
梟の啼いてしまへば風の音 小出秋光
梟の声まねびつつ寝に起ちぬ 福田蓼汀 山火
梟の夜も寐るらん秋の雨 古白遺稿 藤野古白
梟の夢にも船の大鏡 夏石番矢 神々のフーガ
梟の子が瞬きをくり返す 卯之木智子
梟の子を拾ひきし夫婦かな 黒田杏子 一木一草
梟の座うつりせしと大月夜 阿波野青畝
梟の愕く舌を見てしまふ 小田島亮悦
梟の憤りし貌ぞ観られゐる 加藤楸邨
梟の憤りし貌の観られたる 加藤楸邨
梟の月夜や甕の中までも 大峯あきら 鳥道
梟の木になりきつて童話村 柴田朱美
梟の来ぬ夜も長し猿の声 立花北枝
梟の次のまばたきまで待つか 糸大八
梟の次の声待ち書を膝に 千代田葛彦 旅人木
梟の正しくこちを向きにけり 如月真菜
梟の父よと呼びし一度かな 永田耕一郎
梟の目(ま)じろぎ出でぬ年木樵 芝不器男
梟の目じろぎいでぬ年木樵 芝不器男
梟の目に射られたる除夜詣 大森三保子
梟の目玉見に行く星の中 矢島渚男
梟の真に受けし貌そこにあり 高澤良一 宿好 
梟の眼うごく時計の夜長かな 龍岡晋
梟の眼が熱を帯びてゐる 夏井いつき
梟の眼に冬の日午なり 子規句集 虚子・碧梧桐選
梟の空でわらふや鉢叩 妻木 松瀬青々
梟の笑顔めくなり涅槃西風 杉本雷造
梟の笛吹いて梟より淋し 矢島渚男 船のやうに
梟の置物模糊と昼寝覚 高澤良一 寒暑 
梟の聲にみだれし螢かな 泉鏡花
梟の見えぬ目欲しや疎む日は 稲垣きくの 牡 丹
梟の視界は深紅かもしれぬ 杉良介
梟の谺のこもる月の杜 つじ加代子
梟の貌立て直す真暗がり 高澤良一 ぱらりとせ 
梟の金色の目は雪呼ぶ目 清水緑子
梟の闇に乳の香はげしかり 森ちづる
梟の闇を点せり嵯峨豆腐 西村公鳳
梟の預かっている夜の番地 乾鉄片子
梟の顔あげてゐる夕かな 三橋敏雄 まぼろしの鱶
梟の顔の回転また回転 森田峠
梟の魔法仕掛けのこゑ出せり 高澤良一 ぱらりとせ 
梟の鳴く奥能登のまくらがり 羽田 岳水
梟の鳴く月夜かな闇夜かな 青木重行
梟はぜんまいじかけかもしれず 平子 公一
梟はセロのどの弦弾けば鳴く 川代くにを
梟は子供らが寝てしまつて啼く 加倉井秋を 『胡桃』
梟は山の深息子をあやす 矢島渚男 采薇
梟は聞いてる星の爆ぜる音 齋藤愼爾
梟も大僧正も居るには居る 林朋子
梟も死なねば凍ぬ梢かな 加舎白雄
梟も面癖直せ春の雨 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
梟やけはひは風の冥かりき 小池文子 巴里蕭条
梟やたけき皇后の夜半の御所 竹下しづの女 [はやて]
梟やときにみづうみうしほの香 中田剛 珠樹
梟やわが享年を推しはかる 宇多喜代子 象
梟やハリハリ漬を噛み居れば 皆川白陀
梟や住めば都と譬ふれど 石昌子
梟や出てはもどれぬ夢の村 上田五千石 琥珀
梟や口真似すれば杜の中 寺田寅彦
梟や唾のみくだす童の目 加藤楸邨
梟や坊主頭に変身す 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
梟や夢の奈落に落ちしこと 齋藤愼爾
梟や大鋸屑に炎のとりつきて 中田剛 珠樹以後
梟や干菜で足蒸す夜頃なり 富田木歩
梟や干葉で足蒸す夜頃なり 木歩句集 富田木歩
梟や底光りせる皿秤 中田剛 珠樹以後
梟や愛を語るにこともなげ 二村典子
梟や我が書の傷みともおもひ 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
梟や振り子時計の少なくなり 皆吉司
梟や昔むかしの星隕ちて 齋藤愼爾
梟や昼とは別のひとつの世 山崎あきら
梟や時の向かうに影の国 齋藤愼爾
梟や机の下も風棲める 木下夕爾(1914-65)
梟や松の瘤には昼居ける 尾崎迷堂 孤輪
梟や柱に古ぶ火伏札 高橋悦男
梟や桐畑中の家低き 金尾梅の門 古志の歌
梟や森の寝息の漏るるごと 無田真理子
梟や樹々月光を奪ひ合ひ 田中ひなげし
梟や火箸を深く灰に挿し 江頭信子
梟や燠にちらりと炎立ち 鷲谷七菜子
梟や産後の膳を燈のもとに 中山純子 沙羅
梟や白湯一杯を寝る前に 木倉フミヱ
梟や石の鳥居に月照れば 野村喜舟 小石川
梟や竹の木偶泣く裏に啼く 吉田紫乃
梟や米櫃に母米満たす 榎本好宏
梟や聞耳立つる三千騎 正岡子規
梟や肩さむしとて寝がえるに 古沢太穂 古沢太穂句集
梟や記紀の山々とはの闇 齋藤愼爾
梟や闇のはじめは白に似て 齋藤愼爾
梟よ尾花の谷の月明に鳴きし昔を皆とりかへせ 与謝野晶子
梟よ蚊屋なき家と沙汰するな 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
梟をなぶるや寺の昼狐 正岡子規
梟をみにゆき一人帰り来ず 宇多喜代子
梟を師とせるおもひなくもがな 高澤良一 随笑 
梟を見にゆき一人帰り来ず 宇多喜代子
梟を飼ふ高層を生きるため 櫂未知子 貴族
梟啼くあべこべの世が近づくぞ 原徹
梟声やこなしの花もたそがれて 相馬遷子
梟好きピカソの遊びごころの壺 高澤良一 随笑 
梟時計鳴くこと忘れ星月夜 室生幸太郎
梟淋し人の如くに瞑る時 原石鼎
梟笛吹かうよ深みゆく秋を 川井玉枝
梟飼ふをどり子の寝に冬の星 宮武寒々 朱卓
梟首なり西瓜提灯日数経て 坂井建
梟首を見たる絵本や秋暑し 野村喜舟
梟鳴き夜目に大きくなりし杜 長谷川かな女 花 季
梟鳴く夜や炉火細く夫を待つ 原山 はね子
梟鳴く暗い量感窯場の火 三谷昭 獣身
梟鳴て明星森にかくれけり 寺田寅彦
森林鉄道ふくろふの木を通過せり 蓬田節子
横たはる脳死のわれか梟か 芳田照代
止まらぬ月ぞ梟ほうと言ふ(高山泊り) 殿村菟絲子 『菟絲』
泥炭地晝も夜も来る飢え梟 細谷源二
泪眼をほそめて花の梟かな 飯田蛇笏 雪峡
海を知る梟またも眼をつむる 二村典子
海女部落遠かりしとや汗をふく 高木晴子 花 季
涸磧梟師は長影をひき 宇多喜代子
灰かぐらそれからおもむろに梟 千代田葛彦 旅人木
煤おとし夜は梟の顔なりや 村越化石 山國抄
熔岩山に梟鳴ける良夜哉 篠原鳳作
物体として梟の昼の顔 田波富布
玄関の梟の額にまづ年賀 加藤楸邨
病棟の十時は深夜梟鳴く 磯村翠風
目つむりて梟に顔なくなりし 山田閏子
目覚めいて師の梟の鳴くを待つ 和知喜八
真夜中に梟鳴きぬ梅雨の入 原石鼎 花影以後
石に置く灯や梟啼く音羽山 宮武寒々 朱卓
稲妻や梟の臥ところまで 李遊
稲淵の梟よ日の柞(ははそ)山 藤田あけ烏 赤松
穂麦の上行く「一梟首」速度狂 香西照雄 対話
紙衣着て梟の貌となりきりぬ 加藤楸邨
紫蘇の葉や裏ふく風の朝夕べ 飯田蛇笏 山廬集
絵蝋燭梟がまた買いにくる 澤木美子
縞ふくろふかすかにゆれてゐる如し 飯島晴子
老梟となりゆくもよし波枕 佐藤鬼房
老眼と言い梟の前にいる 澁谷道
耳に入れて来た梟の声を出す 大木石子
背後懼れざる炎日の梟の目 千代田葛彦 旅人木
胸に夜々梟が棲み呆と鳴く 三谷昭 獣身
草笛をふく川幅の老詩人 橋石 和栲
蔵座敷梟に灯を洩らすまじ 櫛原希伊子
血を盗つてたつぷり盗つて梟来 筑紫磐井 花鳥諷詠
行く年や梟に似たるたいこもち 白水郎句集 大場白水郎
襟立てて梟の領域を通る 宇多喜代子 象
谷に鳴く梟の上の夜道かな 尾崎迷堂 孤輪
辻堂に梟立ち込む月夜かな 内藤丈草
遠く梟残業の火は窓に充ち 田川飛旅子 花文字
鉄皿に葉巻のけむり梟の夜 飯田蛇笏
雪降り来るか梟の目瞑れば 橋本榮治 逆旅
頭の中に梟のゐて点滴中 赤尾恵以
顔も目もすべて梟まろまろと 森田峠
顔剃らせゐて梟のことおもふ 橋 石
顔立てて梟勿体ぶった様 高澤良一 随笑 
飢はるか白ふくろふの夢の中 柚木紀子
飼はれたる梟にまた冬の夜 門奈明子
駈けて痴れて梟の眼となる魔女 河野多希女 納め髪
魔女ならず白梟のとぶおどろ 依田明倫
鴨待てば梟の鳴きはじめたる 森田峠 避暑散歩
鷹女ならず白梟のとぶおどろ 依田明倫
麦の穂に新月の梟鳴くきこゆ 冬の土宮林菫哉
黒谷の夜を鳴き交はす梟かな 五十嵐播水 播水句集
鼬罠かけて梟に啼かれけり 鈴木薊子
吸ひ込まるふくろふの目のレモン色  高澤良一  ぱらりとせ
もんもんのもんを破れず縞梟  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-09 00:32 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)



例句を挙げる。

ありあれば鴛鴦の衾に恨かな 大塚羽山
あをみたる古潭の蕗に衾雪 飯田蛇笏 春蘭
いたつきや庵春さむき白衾 西島麥南 金剛纂
いま眠りに入らむ衾のなかの双手 松村蒼石 雁
うそ寒くふぐり匿ふ衾の中 小林康治 玄霜
かしらへやかけん裾へや古衾 蕪村 冬之部 ■ 東山の梺に住どころ卜したる一音法師に申遺す
すさまじや夫婦の部屋の茣蓙衾 上野さち子
そのかみの伊吹颪や紙衾 斎藤梅子
とかくして命あればぞ革衾 高浜虚子
みちのくや疲れ田つつむ衾雪 平井さち子
わが衾明けつつ霜の積りゐぬ 西村公鳳
一日を心に描く衾かな 池内友次郎
下京の一客となる麻衾 上野さち子
並び寝の我より低き彼の衾 栗生純夫 科野路
久闊や風邪の衾を出でゝ逢ふ 清原枴童 枴童句集
二児あればある煩ひや黴衾 石塚友二 光塵
亡父亡母深夜衾に入れば見ゆ 高室呉龍
亡骸をうづめて寒き衾かな 山本洋子
人吉の雨にわびしき衾かな 阿波野青畝
今日を明日へ衾の睫毛あはせけり 川口重美
体おもくねぬくもりたる春衾 飯田蛇笏 雪峡
兎角して命あればぞ革衾 高浜虚子
冬衾生き身の温さ抗へり 内藤吐天 鳴海抄
冬衾終の日までは花鳥被て 野澤節子 『駿河蘭』
初夢のはかなくたのし古衾 高橋淡路女 梶の葉
古衾寝覚寝覚に句をかゝん 山口鶯子
古衾悪魔に黒髪掴まれぬ 藤木清子
啓蟄の衾あまらずわけあひぬ 清水基吉 寒蕭々
四ッに折て行李にあまる衾かな 高井几董
夜夕立ひやゝかに衾かぶりけり 金尾梅の門 古志の歌
太刀のせてあはれさかへる衾かな 蛇笏
寒菊の花の衾に寝まりまし 石塚友二 光塵
嵩低き病まれし母の衾かな 中嶋 昌子
巡礼や笈の衾を取り出し 尾崎迷堂 孤輪
年々の同じ衾に宿下り 松村蒼石 露
幾夜かは胸凍ばれたり旅衾 松村巨湫
廓ただよべの衾を欄に干す 後藤夜半
旅の夜の大足投げし衾かな 萩原麦草 麦嵐
旅衾温もれば想ふ河鹿の音 林原耒井 蜩
旅衾狐狸の裾野も思ひ寝る 百合山羽公 寒雁
春暁やうちかづきたる古衾 後藤夜半 翠黛
朝日影衾にとどききりぎりす 下村槐太 天涯
木犀や屋根にひろげしよき衾 石橋秀野
枯蓮や寐つかぬ鴛の古衾 斑象
止利仏師衾裾を刳り春の宵 和田悟朗 法隆寺伝承
水鳥や蘆もうもれて雪衾 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
浮くぶ瀬に鴛鴦の衾も見えにけり 樋口得川
消燈後も市井の明さ冬衾 渡辺幻魚
減らしたる衾の上も夜のおぼろ 皆吉爽雨
温石や衾に母のかをりして 小林康治 四季貧窮
独寝も肌やあはする紐衾 梅盛
着てたてば夜るのふ衾もなかりけり 内藤丈草
矢衾の豆腐かなしき針供養 金子伊昔紅
祖母をたのみの子等が厚衾 松村蒼石 露
稚き仏ぞ被まし菊衾 石塚友二 光塵
絵を見ての倉敷どまり厚衾 北野民夫
繕うてやっとさげたる衾かな 杉風 俳諧撰集「有磯海」
肩衾母にならひて着る夜かな 金子翠羽
脱ぎ給ふ御衣(ぎょい)は天下の衾かな 服部嵐雪
脱給ふ御衣は天下の衾哉 服部嵐雪
著てたてば夜の衾もなかりけり 丈草
蕗をとる二足三足衾雪 飯田蛇笏 春蘭
薄衾頤のせて待つものもなし 森澄雄
藪柑子の彩る落葉衾かな 高田蝶衣
虚実なく臥す冬衾さびしむも 野澤節子 黄 瀬
蜉蝣と一つ衾や避暑の宿 大石悦子 聞香
行悩む身も世も露の粗衾 石塚友二 光塵
衾から皃出してよぶ菜うり哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
衾なほつめたく年の明けにけり 鷲谷七菜子
衾の肩抱けば柔か母死なせじ 中村金鈴
衾ふんで霜の宿せうきり/\す 加舎白雄
衾中命冱てつゝせぐくまり 高浜虚子
衾被て木魚の眠る深雪かな 鈴木貞雄
起されてたゝむ衾や去年ことし 素山
足袋脱いで旅寝の衾短かり 萩原麦草 麦嵐
身に付かぬ所はかたきふすま(衾)かな 立花北枝
身の衾海のおもての夜寒かな 椎本才麿
郡内の衾重さよ紅薊 島村元句集
降る雪に老母の衾うごきけり 永田耕衣 與奪鈔
隼を見したかぶりの夜の衾 蕪城
雨漏や風邪の衾の裾あたり 清原枴童 枴童句集
霜葉の明日にまどろむ旅衾 百合山羽公 寒雁
頭へやかけん裾へや古衾 蕪村
風邪衾かすかに重し吾子が踏む 能村登四郎 咀嚼音
鶴を聴く衾のすこし魚臭し 古館曹人
鼠よけに燈ともして寝る衾かな 吉田冬葉

以上
by 575fudemakase | 2014-12-09 00:10 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

夜着

夜着

例句を挙げる。

こも~と亥の子の晩の夜着に寝る 廣江八重櫻
さればこそ夜着重ねしが今朝の雪 信徳
しっとりと雪もつもるや木綿夜着 許六
ぬぎ捨てて夜着も畳まず閏の雪 巴流 俳諧撰集「藤の実」
はつ秋やたたみながらの蚊屋の夜着 ばせを 芭蕉庵小文庫
はるさめやぬけ出たまゝの夜着の穴 内藤丈草(1662-1704)
ひとり寝や幾度夜着の襟をかむ 来山
ほとゝぎすきくや汗とる夜着の中 炭 太祇 太祇句選後篇
わたぬきやはじめて夜着のおそろしき 千代尼
エリザベス一世の夜着秋のほこり 川崎展宏
三井寺に緞子の夜着や後の月 蕪村遺稿 秋
冬籠夜着の袖より窓の月 正岡子規
初秋や畳みながらの蚊屋の夜着 松尾芭蕉
初空を夜着の袖から見たりけり 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
十三夜夜着一枚を重ねたり 田中冬二 冬霞
千鳥鳴けばいつもの夜着を掛けるなり 河東碧梧桐
古夜着も今朝畳なすしめ飾 曾良
夜着うすくして淋しらや春浅き 木歩句集 富田木歩
夜着かけてつらき袖あり置火燵 立花北枝
夜着かけて容いぶせきこたつ哉 高井几董
夜着に寝てかりがね寒し旅の宿 芭蕉
夜着ぬくぬく人手借りずに生きるべう 後藤綾子
夜着は重し呉天に雪を見るあらん 芭蕉
夜着ひとつ祈り出して旅寝かな 松尾芭蕉
夜着を着て障子明たりけさの雪 黒柳召波 春泥句集
客人の夜着押しつくる夜寒かな 程己 九 月 月別句集「韻塞」
寒に入るこころにかるし夜着の裾 卓袋 閏 月 月別句集「韻塞」
春眠や覚むれば夜着の濃紫 松浜
春雨やぬけ出たままの夜着の穴 内藤丈草
極月の法師をつつむ緋夜着かな 飯田蛇笏 山廬集
歌よまず詩作らず自然夜着に雪を聴ク 秋風
湯婆入れて錦の夜着のふくれかな 岡本松浜
父と呼び亡母をつぶやき夜着かぶる 松原文子
物干や夜着かかへ出て花の雲 岱水 俳諧撰集「有磯海」
皃見せや夜着をはなるゝ妹が許 蕪村 冬之部 ■ 題戀
眠り欲る小鳥のごとく夜着かむり 岡本眸
破れ夜着板の如しや杣の宿 松浦真青
菊月の夜着のつめたさまとひけり 藺草慶子
行く秋を身にしたがふや夜着ふとん 浪化
足の出る夜着の裾より初嵐 寺田寅彦
足袋はいて夜着ふみ通る夜ぞ更けし 飯田蛇笏 山廬集
足袋脱いて居るといふ也夜着の中 尾崎紅葉
郷の夜着派手にあらねば身に添へり 三宅一鳴
霙降る宿のしまりや蓑の夜着 丈草 霜 月 月別句集「韻塞」
霰降る宿のしまりや蓑の夜着 内藤丈草
風引てて物思はせん夜着の外 内藤丈草
侘しさは夜著をかけたる火燵かな 桃先
夜著かたくからだにそはぬ寒さ哉 正岡子規
夜著に寝てかりがね寒し旅の宿 芭蕉
掻巻もまくらも秋の風の中 久保田万太郎 草の丈
掻巻やざぶんざぶんと湖の波 川崎展宏
潮さゐのたかまり来る夜著かぶる 上村占魚 球磨
足の出る夜著の裾より初嵐 寺田寅彦
顔見世や夜著をはなるゝ妹が許 蕪村

以上
by 575fudemakase | 2014-12-09 00:08 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

冬雲雀

冬雲雀

例句を挙げる。

われは粗製濫造世代冬ひばり 高野ムツオ
三輪山のしろがねの日に冬ひばり 山本古瓢
乳房の張りくる至福冬ひばり 横山千夏
井戸といふ井戸よりあがる冬雲雀 宗田安正
修道士の耕す影や冬雲雀 水原秋桜子
冬ひばり一尋ごとの空かさね 宇都宮滴水
冬ひばり埋立鳥瞰図に鳴くや 古沢太穂
冬ひばり揚る湖北の隠れ里 伊東宏晃
冬ひばり昂るおもひなしとせず 木下夕爾
冬ひばり海中は日を引き込める 中田剛 珠樹以後
冬ひばり葬の列尾は同窓生 中拓夫
冬ひばり藜の枯を見てゐしに 細見綾子 花寂び
冬雲雀そこより上は天の領 平井照敏 天上大風
冬雲雀そのさへづりのみぢかさよ 橋本多佳子
冬雲雀の声のはるけさダムの色 小木ひろ子
冬雲雀ひくゝ揚りて道成寺 鈴間斗史
冬雲雀らが怖がつて夜が来る 夏井いつき
冬雲雀川の流れを見て落ちる 新村写空
冬雲雀惑ひ藁塚ちぎれとび 下村槐太 天涯
冬雲雀揚りゐし日の暮れにけり 栗原米作
冬雲雀石切場ふかく深くなる 中村草田男
冬雲雀空は姉さま化粧中 伊地知建一
冬雲雀聴きしとおもふ聴きたしと 二宮操一
冬雲雀西日少し上りけり 後の月 酒井黙禪
冬雲雀音を落す田は牛使ふ 下村槐太 天涯
冬雲雀鴉が鳴いて止みにけり 五十崎古郷句集
出雲なる風土記の丘の冬雲雀 小野淳子
望遠鏡と遊ぶ波郷や冬雲雀(東京病院) 細川加賀 『傷痕』
湯に浮くはわたしの放浪冬雲雀 一ノ瀬タカ子
石切りの奈落むは見えず冬雲雀 久保南風子
紀の川の晒布の上の冬ひばり 田村木国
肉体はむこうに落下の冬雲雀 小林行雄
葭刈れば鳴きつれ移る冬雲雀 塩谷はつ枝
街道に孤松艶立つ冬雲雀 桂樟蹊子
鍬ふるふ婆様一人冬雲雀 川口裕敏
靴埋めて火山灰の径ゆく冬雲雀 朝倉和江
馬肉屋の紅殻格子冬ひばり 宮岡計次

以上
by 575fudemakase | 2014-12-09 00:04 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

大根焚

大根焚

例句を挙げる。

あつあつと風の治まる大根焚 五十嵐彦太
あつあつの婆が涙や大根焚 岸田稚魚 筍流し
いつまでも膝がさむかり大根焚 関戸靖子
お釜はんの鳴り出しにける大根焚(千本釈迦堂) 岸田稚魚 『萩供養』
かたまつて矮鶏の見てをり大根焚 市川 葉
このたびは雨の聞法大根焚 岸田稚魚 筍流し
さみしさのあつけらかんと大根焚 関戸靖子
ざんざ降りの午後とはなりし大根焚 岸田稚魚 筍流し
しやきしやきと婆が働く大根焚 西村和子 かりそめならず
ずぶ濡れの婆ら押し入る大根焚 岸田稚魚 筍流し
たよりなき月の出てゐる大根焚 梶山千鶴子
とんび坐りのうしろに侍る大根焚 岸田稚魚 筍流し
ねんごろに咀嚼し参る大根焚 岸田稚魚 筍流し
はぎれ屋の風のむらさき大根焚 関戸靖子
ははの背はいつも子がゐし大根焚 浅井千代子
ひとときをほろほろ笑ひ大根焚 山上樹実雄
ぶつ切の丸や三角大根焚 高原春二
やゝ震ふ左腕や大根焚 比叡 野村泊月
一山の風動き出す大根焚 加藤石雲
一椀のぬくもりを掌に大根焚 谷口令子
一釜のはやあがりたる大根焚 岸田稚魚 『萩供養』
世の中に婆がこれほど大根焚 橋本文比古
世話方のときなし斎や大根焚 山本八重子
亡夫のことに吾から触れて大根焚 関戸靖子
人の上にいたゞく膳や大根焚 山本梅史
仏恩の梵字賜はり大根焚 佃 郁子
仰山に大根食うべ大根焚 岸田稚魚 『萩供養』
信徒らに終の一釜大根焚 岡田千草
信心の煮つまるいろに大根焚 恩地れい子
僧の声湯気の中なる大根焚 徳本映水
合掌して箸を納むる大根焚 嶋津亜希
大声の法話僧にて大根焚 中村七三郎
大根焚あつあつの口とがりけり 草間時彦
大根焚いろはにほへの下足札 高繁泰治郎
大根焚き炭太祗の句を愛す 成瀬櫻桃子
大根焚き親鸞しのぶと見えぬ顔 伊達外秋
大根焚く匂ひのとどく曼荼羅図 つじ加代子
大根焚く湯気の甘くて夕雀 宮津昭彦
大根焚この日に備ふ外竃 遠藤新樹
大根焚の人中帰る法話僧 五十嵐播水
大根焚やさしき声の婆ばかり 大石悦子 群萌
大根焚三千本の叩き切り 片田千鶴
大根焚子供の靴をポケツトに 田中裕明
大根焚控への釜が湯気を噴き 西村和子 かりそめならず
大根焚日向に杖の二つかな 関戸靖子
大根焚母の年また問はれけり 佐藤信子
大根焚法話最中に配らるゝ 河村宰秀
大根焚混りて僧の鴉めく 宮津昭彦
大根焚湯気の中より大根掬ふ 川口映子
大根焚熱くて法話聞きもらす 東 寿美
大根焚箒の首がほたと落ち 辻桃子
大根焚聴聞の座も湯気にほふ 経谷一二三
大根焚食べて五体の暖まる 廣田天涯
大湯気の中に顔あり大根焚 若林 かつ子
大釜は男手ばかり大根焚 佐藤喜久枝
大釜を据ゑて晴れ来ぬ大根焚 金田初子
婆さまの世話婆がする大根焚 辻田克巳
婆様の世話婆がして大根焚 辻田克巳
小寺とて人になじまれ大根焚 高田淑子
年々の落葉日和や大根焚 名和三幹竹
庭竃の辺りぬかるみ大根焚 由山滋子
弥陀の前食座許され大根焚 向井葵子
後の世もこの世も大事大根焚 北川法雨
御使僧を上座に迎へ大根焚 西川竹風
御僧は長寿を自賛大根焚 大橋とも江
斎の座に洩れくる法話大根焚 平野一鬼
日だまりは婆が占めをり大根焚 草間時彦
昼の靄大根焚く寺つつみけり 池上果山
曼陀羅も拝まれてをり大根焚 金子篤子
朝食を抜いて頂く大根焚 吉村白風
末座には聞えぬ法話大根焚 木代はろし
本堂の暗きに湯気や大根焚 笹浪ひさ子
本堂へ湯気くぐりぬけ大根焚 恒崎 路
死にたれば人来て大根焚きはじむ 槐太
法悦の輪のさんざめく大根焚 大石悦子 群萌
洛中の千寺の一寺大根焚 百合山羽公
火の番の独語おそろし大根焚 関戸靖子
爛番のしぐれてゐるや大根焚 五十嵐播水 播水句集
町方のほとけがほなる大根焚 大石悦子 群萌
祖師像の一笠一蓑大根焚 横谷清芳
立ち食ひも人にならひて大根焚 丸木あや
聞法の恍惚として大根焚 大石悦子 群萌
聞法の襖外して大根焚 坂田流枕
舌焼いて母ぞ恋しき大根焚 岸田稚魚 筍流し
薪の束つぎ~解かれ大根焚 田附涼風
蝋燭の芯切る僧や大根焚 斎藤小夜
護摩終へし僧もいただく大根焚 神谷翠泉
赤ん坊に食べさせてやり大根焚 関戸靖子
酒やめて大根焚にまゐりけり 野村泊月
降つたことおへんと婆や大根焚 茂里正治
青空に一筋の雲大根焚 川端青踏
鳴滝にまたなき日和大根焚 大橋敦子


以上
by 575fudemakase | 2014-12-09 00:03 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

漱石忌

漱石忌

例句を挙げる。

あだ名なき教師の増えて漱石忌 下山宏子
うす紅の和菓子の紙や漱石忌 有馬朗人 天為
うつしゑのうすきあばたや漱石忌 日野草城
この頃はそれからが好き漱石忌 杉本零
つくばひは今ものこりて漱石忌 池邊 美保子
ぬかるみをよけて猫来る漱石忌 石山耶舟
はらからの教師ばかりや漱石忌 高橋悦男
ファクシミリ遅々と送れり漱石忌 高澤良一 随笑 
フォークもて食ふ鮟鱇や漱石忌 日原傳
三代の蔵書となりぬ漱石忌 山県輝天
世界に共通な正直といふ徳義漱石忌 川崎展宏
倫敦に蓑虫住むや漱石忌 橋本風車
僧堂の門閉ざしあり漱石忌 藤崎 実
全集といふ読まぬもの漱石忌 橋本風車
全集の一巻手ずれ漱石忌 岩鼻十三女
共学を知らぬ青春漱石忌 荒井書子
切り抜きのたちまち古ぶ漱石忌 宮坂静生 春の鹿
卒論の堆書にわが子漱石忌 中戸川朝人 星辰
古書整理荒括りして漱石忌 守谷順子
吾が余生情に流され漱石忌 谷口和子
四時頃に書架にさす日や漱石忌 大峯あきら 宇宙塵
団子屋に写真飾られ漱石忌 國田 幸
図書室の深きに日ざし漱石忌 納谷浩一
坊つちやんを読まぬ世代や漱石忌 稲畑廣太郎
天金の復刻開く漱石忌 奥村八一
妻の嘘夫の嘘や漱石忌 阿波野青畝
山会のなほつゞきをり漱石忌 稲畑汀子
崖下の家に灯が点く漱石忌 川崎展宏
干魚の歯の美しや漱石忌 秋元不死男
引用に終始の書評漱石忌 片山由美子 水精
弟子をもて処る身の幸や漱石忌 松根東洋城
恥しの知らぬ英語や漱石忌 野村喜舟 小石川
捨猫のこびゐる眼漱石忌 先野信子
揚げたてのコロッケを喰ふ漱石忌 平野無石
新聞に雨の匂ひや漱石忌 片山由美子 風待月
日曜の朝の琴きく漱石忌 新井英子
時雨よし冬霞よし漱石忌 尾崎迷堂 孤輪
書斎出ぬ主に客や漱石忌 長谷川かな女 雨 月
本郷で人を待つなり漱石忌 大峯あきら 宇宙塵
板塀の日向くさしや漱石忌 宮坂静生 春の鹿
漱石忌かまくら山の夕灯 柴田白葉女 花寂び 以後
漱石忌また吾が母の忌なりけり 大峯あきら 宇宙塵
漱石忌カセットブックのよく売れて 満田春日
漱石忌二十日鼠が垣に消え 友岡子郷 翌
漱石忌余生ひそかにおくりけり 久保田万太郎
漱石忌八日の次の日なりけり 川崎展宏 冬
漱石忌戻れば屋根の暗さ哉 内田百間
漱石忌日々の流れにさからはず 河野南畦 『硝子の船』
漱石忌明暗しるく河原石 火村卓造
漱石忌枯木へだてて彼我病めり 石田波郷
漱石忌枯野おほかた日が当り 森澄雄
漱石忌横文字つひに身につかず 村上 光子
漱石忌洋間の冷えに爪立ちて 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
漱石忌温泉の香の満つる宿に来ぬ 上村占魚 鮎
漱石忌猫に食はしてのち夕餉 平井照敏
漱石忌生くるに難き世の掟 上村占魚 鮎
漱石忌背皮傷みし書を愛す 大峯あきら 宇宙塵
漱石忌英文学の衰へし 田村山火
漱石忌近づく峠茶屋を訪ふ 河津 春兆
漱石忌障子の日ざしまた得たり 立花 豊子
漱石忌雲碧落に遊びをり 村山古郷
焼鳥の歯の美しや漱石忌 秋元不死男
父在りしまゝの書棚や漱石忌 佐藤信子
猫に顔見られゐるなり漱石忌 林 淳美
猫汚れをり漱石の忌日なり 清水忠彦
猫飼ひて成程合点漱石忌 高田風人子
珈琲にきんつばが合ふ漱石忌 本山卓日子
甘党の中にまじりて漱石忌 上村占魚 鮎
病室に夕刊とどく漱石忌 中村明子
白椅子に胃の検査待つ漱石忌 伍賀稚子
着てみたきものに赤シャツ漱石忌 浜中秋雄
硝子戸の中の句会や漱石忌 瀧井孝作
硝子戸の景つつがなく漱石忌 村上光子
筆とりて下ださぬ暇や漱石忌 尾崎迷堂 孤輪
筆順をどうのかうのと漱石忌 三島敏恵
胡散臭く猫通り過ぐ漱石忌 河野南畦 『元禄の夢』
若き日の母の思ひ出漱石忌 大峯あきら 宇宙塵
若者にはやる口髭漱石忌 相馬蓬村
蒐めたるランプを磨き漱石忌 岡田 貞峰
読み書きの書斎に寝起漱石忌 鈴木路世
誰が供ふ文庫乾きて漱石忌 坂井建
赤門に日輪ひくし漱石忌 和田祥子
道草をせずに帰り来漱石忌 高橋達子
銀の匙に麦粉そなへん漱石忌 中勘助
雪掻きではじまる分校漱石忌 坂内佳禰
飛行機の中で肉食ふ漱石忌 遠山陽子
髯を剃る鏡曇れり漱石忌 栗田やすし

以上
by 575fudemakase | 2014-12-09 00:01 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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