2014年 12月 26日 ( 9 )

御用納

御用納

例句を挙げる。

ひねもすを御用納の大焚火 今井つる女
人ごとの御用納の日となれり 高澤良一 随笑 
兎も角も御用納に漕ぎつけし 松山一雪
古筆も洗ひて御用納かな 山県瓜青
夕焼の真赤に御用納かな 藺草慶子
庁門を鎖して御用納かな 川島奇北
御用納憎つくき鼠捕へたり 松倉ゆずる
東京に出でゆく御用納の日 高澤良一 ぱらりとせ 
煙吐く御用納の煙出し 山口青邨
町医者に御用納の日とてなく 一宮十鳩
真顔して御用納の昼の酒 澤木欣一
俳話にて仕事納めを括りけり 本杉桃林
居ながらに鳴子綱引く納屋仕事 片岡紫舟
山仕事納め大師のその日まで 大島民郎
御用仕舞芝生の日ざし澄みにけり 富田野守
早春やすこしばかりの納屋仕事 小杉余子 余子句選
白湯呑んで仕事納めの筆硯 佐藤素人
茸山の仕事納の一焚火 杉 艸子
薔薇園の仕事納めの大焚火 原田青児
野点めく仕事納めの日雇ら 北野石竜子
屋上に御用納めの日の鴉  高澤良一  さざなみやつこ
畳屋の畳のしごき納めかな  高澤良一  石鏡
カーフェリー渡り納めの水脈太し  高澤良一  石鏡
頓挫して御用納の日のクレーン  高澤良一  暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:28 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

枯真菰

枯真菰

例句を挙げる。

乱れつゝ水漬けるさまに真菰枯れ 高濱年尾 年尾句集
川幅や生活を密に枯真菰 北見さとる
枯れ伏して真菰は草とわかれたり 五十嵐播水
枯れ果てし真菰の水や日短か 素十
枯れ真菰風に浮き立つ湖北かな 皆川盤水
枯真菰ひろびろなびく潮の上 松村蒼石 雪
枯真菰やるせなければなびきけり 松村蒼石 雁
枯真菰水辺はすぐに陽の逃ぐる 中村菊一郎
枯真菰沼にさゝりて耳澄ますよ 殿村莵絲子 牡 丹
枯真菰漂うてゐて芽吹きけり 岸朗
枯真菰瑞の真菰をつゞりけり 軽部烏帽子 [しどみ]の花
枯真菰白鷺たてばかゞよへる 軽部烏頭子
海鳥の降りし日の渦枯真菰 橋本義憲
真菰枯れ芦枯れ沼辺黄なりけり 水原秋桜子
舟ぞこに鳴りて過ぎしは枯真菰 軽部烏頭子
芽柳や水の真菰は枯れしまゝ 水原秋桜子
蝶ひとつ流れて枯るる真菰かな 南部憲吉
道行の果て湿原の枯真菰 熊谷愛子
鴫ひとつ翔けゆきしづむ枯真菰 水原秋櫻子

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:19 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

枯芒

枯芒

例句を挙げる。

あり余ることばの果ての冬芒 政野すず子
うちなびき音こそなけれ枯芒 茅舎
うつら~雪に照る日や枯芒 中島月笠 月笠句集
おだやかにぬくき日のあり枯尾花 高橋淡路女 梶の葉
かぜはみな松に戻りて枯尾花 井上井月
かろうどや蓋の透きより枯薄 中村史邦
さゞなみは影をつくらず枯尾花 渡邊水巴 富士
つい~と黄の走りつつ枯芒 虚子
ともかくもならでや雪の枯尾花 芭蕉 選集古今句集
ともかくも風にまかせてかれ尾花枯尾花 千代尼
なき骸を笠に隠すや枯尾花 其角 (芭蕉翁悼)
ふり返る夕日の高さ枯尾花 稲畑汀子
みみづくに変りかけゐて枯芒 照敏
わが影が消えてあたりの枯芒 阿部みどり女 笹鳴
わが頬にふれてあたたか枯芒 青邨
ボートひとつ富士へ漕ぎ出す冬芒 百合山羽公 故園
七湯の烟淋しや枯芒 子規句集 虚子・碧梧桐選
中天の日の光浸み枯尾花 原石鼎 花影以後
亡帥亡夫触れて真綿の冬芒 殿村莵絲子 雨 月
人うめし印の笠や枯芒 内藤鳴雪
人の告げし芭蕉塚あり枯芒 細谷柚翁
人通りふと賑やかに枯尾花 波多野爽波 鋪道の花
佐渡を見る人来て坐わる枯芒 普羅
何のかの便りの風や枯芒 蓬山 (芭蕉追善)
俳諧の骨拾はうよ枯尾花 尾崎紅葉
冬芒せかずなづまず水流る 上田五千石 田園
冬芒なびき止みしは翳のごと 山口草堂
冬芒位牌歯みつけて日があそぶ 磯貝碧蹄館 握手
冬芒日は断崖にとどまれり 岡田日郎
冬芒明星は翔びはじめけり 堀口星眠 青葉木菟
冬芒未曾有の光流れけり 進藤一考
冬芒猟銃音を肩すかし 百合山羽公 寒雁
冬芒顔やはらかくまはしけり 八木林之介 青霞集
分け入りて風音も又枯尾花 稲畑汀子 汀子第三句集
分去れの右さらしなへ冬芒 鈴木しげを
切株に虚空さまよふ枯尾花 石鼎
初蝶の枯芒より高き日に 阿部みどり女
化野の寂光退さる枯尾花 角田独峰
千葉どのゝ假家引ケたり枯尾花 蕪村 冬之部 ■ うかふ瀬に遊びて、むかし栢莚が此所にての狂句を思ひ出て、其風調に倣ふ
原中に風一筋や枯尾花 吟江
合流をはたしての緩冬芒 上田五千石(1933-97)
吹きあてゝこぼるゝ砂や枯芒 松本たかし
吹き抜けし風のぬけがら枯尾花 長山あや
嘱目に枯尾花あり初句会 富安風生
姥捨山あたりは雨か冬すすき 勝又木風雨
嫁とりし狐が顔や枯尾花 会津八一
尾を強くふりゆく馬や枯芒 高橋淡路女 梶の葉
山宿の外温泉通ひや枯尾花 松尾緑富
山風に痩せゆくばかり枯芒 大橋敦子 手 鞠
岩に生ひて松の勁さよ枯芒 島村元句集
岩山の崩れし跡や枯尾花 寺田寅彦
巌山の霜枯すすき空およぎ 太田鴻村 穂国
川幅を追ひつめてゆく枯芒 鷲谷七菜子 游影
川狭く板橋高し枯尾花 正岡子規
年越して立つ枯芒おそろしき 平井照敏
御料地の名馬嘶く枯尾花 寺田寅彦
御陵の前きらきらと枯芒 成瀬正とし 星月夜
我も死して碑に辺(ほとり)せむ枯尾花 蕪村
折れてなほ日に華やげり冬芒 岡田日郎
振り向けば山見ゆるなり枯芒 龍男
捌けたる人のごとくに芒枯れ 高澤良一 随笑 
日にとくる霜の白さや枯芒 原石鼎
日に映ずほうけし薄枯ながら 夏目漱石 明治三十一年
日の芒枯れつくすより影揃ふ 鷲谷七菜子 雨 月
昃りて風の起りし枯芒 佐々木 小夜
是より西共同墓地や枯尾花 寺田寅彦
月一つ隠しかねたり枯尾花 買明
本堂の後ろの山の枯芒 比叡 野村泊月
東風吹くや尚砂山の枯芒 野村喜舟 小石川
枯すすき海はこれより雲の色 静塔
枯すすき端山の月の昼のぼる 太田鴻村 穂国
枯すすき逃げて来し犬わがほとり 草田男
枯すすき雲より落ちて夕日あり 木津柳芽
枯すすき風より早き霧襲ふ 足立原斗南郎
枯すすき風吹けば子ら顯はるる 高橋沐石
枯れ芒枯れ極まりて紅走る 広瀬一朗
枯尾花いちめんの日に酔ふことなし 高澤良一 燕音 
枯尾花に赤い提灯さしつけたり 北原白秋
枯尾花ばかりの小山鳥も鳴かず 梅沢墨水
枯尾花天城颪に揺れやまず 武田光子
枯尾花息やすやすと過ぎにけり 稚魚
枯尾花放せし絮も光りつゝ 河野美奇
枯尾花日光富士を消しにけり 渡邊水巴 富士
枯尾花景の終焉ならざりし 稲畑汀子 春光
枯尾花淋しきことも夢の如 杞陽
枯尾花狐の祭のはじまりぬ 伊藤 梢
枯尾花眉うすくなる身のほとり 浅本紅雨
枯尾花編み込まれあり炭俵 井桁敏子
枯尾花醜き小町臥りけり 高井几董
枯尾花野守が鬢にさはりけり 蕪村遺稿 冬
枯芒かさりかさりと夜明けたり 一茶
枯芒ただ輝きぬ風の中 汀女
枯芒におはす後の一仏 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
枯芒むかし婆ゝ鬼あつたとさ 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
枯芒刈りふせてありこと~く 久保田万太郎 草の丈
枯芒刈れば日あたる堤かな 長谷川かな女 雨 月
枯芒北に向つて靡きけり 夏目漱石 明治三十二年
枯芒北へ北へと身を寄せる 船水ゆき
枯芒日を押込まれまだ燃えぬ 林 翔
枯芒比丘尼平と聞くからに 山口青邨
枯芒洩れ日あたりてそよぎけり 前田普羅 飛騨紬
枯芒狩場の割符拾ひけり 青嵐
枯芒訪ね行くべき仔細なし 公平
枯芒霜の夜頃は寒からめ 寺田寅彦
根に残る力や雪の枯尾花 古白遺稿 藤野古白
根は切れて極楽にあり枯尾ばな枯尾花 千代尼
母の忌の烈火のごとき枯尾花 河原枇杷男 蝶座
気をつけて見るほど寒し枯すすき 杉風 極 月 月別句集「韻塞」
水の後に水はつづけり冬芒 千代田葛彦 旅人木
水際の日に~遠し枯尾花 暁台
汚れ犬白尾がゆたか枯芒 香西照雄 素心
流水に緩急のあり枯薄 福田蓼汀 秋風挽歌
浄く老いむ無風の愛の枯芒 林翔 和紙
火の山へ芒枯れゆき妻恋し 杉山岳陽 晩婚
火の玉の夕日を包む枯尾花 殿村菟絲子 『樹下』
焚て又手向となれや枯尾花 沾峨 (炉辺独坐)
煤煙に黒ずみあはれ枯芒 高浜虚子
父か世にかはらぬ色や枯尾花 維駒 (父か病中の吟を見て往事を思ふ)
狐火の燃えつくばかり枯尾花 蕪村
生きてまた絮あたたかき冬芒 橋本多佳子
生けありし枯芒絮とばしもす 高浜年尾
田村丸の祀れる鬼や枯薄 菅原師竹句集
相好をくづさず入る日冬芒 中拓夫
石佛の慈顔片照る冬芒 下村ひろし 西陲集
磯釣が魚負ひのぼる枯芒 秋櫻子
秋去ていく日になりぬ枯尾花 蕪村遺稿 冬
秋風の仕入たを見よ枯尾花 野澤凡兆
絶海の島頂に枯すすき 品川鈴子
翁顔の昼月泛べ冬芒 佐野美智
耐へるともなき冬芒まだ元気 橋本榮治 越在
自在とは風よりかるき枯尾花 山口いさを
舟慕ふ淀野の犬や枯尾花 几董
芒枯れくつくつ笑ふ山河あり 齋藤愼爾
芒枯れし池に出づ工場さかる音を 河東碧梧桐
芒枯れつくして年も了りけり 久保田万太郎 流寓抄
芒枯れ少しまじれる蘆も枯れ 波多野爽波 『鋪道の花』
芒枯れ尽くして風の粗くなる 三浦光児
落柿舎のひとむら芒枯れにけり 鬼城
薄日とは余命にも似て枯芒 中村田人
藁塚のつゞく堤や枯芒 高田蝶衣
蘇る水の稲妻枯尾花 斎藤玄
血を吸うて冬芒より離れけり 花尻 万博
路傍の石に夕日や枯すすき 鏡花
遁れ来しわが息ながす冬芒 藤田湘子
鏡とらば二つの鬢や枯尾花 黒柳召波 春泥句集
陽だまりや野梅が下の枯尾花 大谷句佛 我は我
雨になる風の重さよ枯尾花 長谷川 耕畝
雨よりも細き穂に揺れ冬芒 長山あや
雲上に嶺ありにけり冬芒 田中澄子
雲雲を逐ふ枯すすき兵征かしむ 太田鴻村 穂国
靡くなり須磨の上野の枯尾花 高田蝶衣
風の音通りゆくとき枯芒 稲畑汀子 汀子第二句集
風止めば日をたくはへて枯芒 只野柯舟
風速もきのふと同じ冬芒 百合山羽公 寒雁
馬塚を馬が嗅ぎをり枯薄 出沢寿美子
駈け巡る夢のほとりに枯尾花 高澤良一 燕音 
鰊番屋空を抱き込む枯すすき 角川春樹
龍胆を見付けてうれし枯尾花 半残 (先師懐旧)
枯れすすき伏しては兎走らする 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
風招き夕陽送りて枯れ芒 高橋利雄
どこに身を置くや万目枯れすすき 苑子
愁ふるとなくたのしまず枯れすすき 蛇笏

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:18 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

鍋焼

鍋焼

例句を挙げる。

ねもごろに鍋焼饂飩あましけり 村上麓人
モードサロンにある夜鍋焼届きけり 樋笠文
北風に鍋焼饂飩呼びかけたり 子規
日の素顔見ぬ下北の鍋焼食ふ 上田多津子
燭台や小さん鍋焼を仕る 芥川龍之介
美術館出て鍋焼をかこみけり 大久保白村
足腰や鍋焼うどんが行きますよ 池田澄子 たましいの話
逢ふことの鍋焼うどん食べつつよ 草間時彦
運ばれて来る鍋焼の煮立つまま 池田秀水
酒よりも鍋焼を欲り老い兆す 瀧春一
鍋焼ときめて暖簾をくぐり入る 西山泊雲
鍋焼にくつろぐ会議終了後 伊東 伸堂
鍋焼に汗ただちなる食うべけり 中村将晴
鍋焼の小暗き路地をはいりけり 寺田寅彦
鍋焼の屋台に細き煙出し 富永ひさし
鍋焼の提灯赤き港町 岡安迷子
鍋焼の火をとろくして語る哉 尾崎紅葉
鍋焼の行燈を打つ霰かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
鍋焼の鳴門の渦も煮え立ちぬ 高澤良一 ぱらりとせ 
鍋焼やほなぼちぼちといきまひょか 橋本白木
鍋焼や主が猪口の癖久し 尾崎紅葉
鍋焼や情こまやかに戦中派 風間啓二
鍋焼や泊ると決めて父の家 篠田悌二郎
鍋焼や洛南に風荒びゐる 波多野爽波
鍋焼や火事場に遠き坂の上 正岡子規
鍋焼や芝居で泣いて来たばかり 三宅絹子
鍋焼や近江八景靄の中 岸本尚毅 舜
鍋焼や隠れごころに伊勢の旅 角川源義
鍋焼をかこむと云ふも二人なる 岡松 あいこ
鍋焼を吹いて食べさす子守婆 滝沢伊代次
雪ふつて鍋焼好きになりにけり 中谷五秋
なべ焼食べて子は子の家に戻るべし 安住 敦

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:15 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

夜鷹蕎麦

夜鷹蕎麦

例句を挙げる。

みちのくの雪降る町の夜鷹蕎麦 山口青邨
夜鷹蕎麦これより曳いてゆくところ 岸本尚毅 舜
夜鷹蕎麦客の附かざる笛長く 佐藤うた子
夜鷹蕎麦来て足早に刻が過ぐ 古賀まり子
夜鷹蕎麦足もとに雨ひかりそめ 細川加賀 生身魂
夜鷹蕎麦食べて間に合ひ終電車 飯田京畔
灯の下に霧のたまるや夜鷹蕎麦 太田鴻村
父方の血は脈脈と夜鷹蕎麦 五野上予史
竹筒に竹箸なんど夜鷹蕎麦 原石鼎 花影以後
船員に夜が尽きにけり夜鷹蕎麦 米沢吾亦紅 童顔
青森の港は暗し夜鷹蕎麦 府金静波
靴下の下に寝る毛や夜鷹蕎麦 田川飛旅子 花文字
上下線ともに不通ぞ夜鳴蕎麦 後藤一之
六道にいまさしかかる夜鳴蕎麦 寺井禾青
夜泣そば水遺ふ音さびしいぞ 島将五
夜泣そば眠らねば水枕鳴る 大井雅人
夜鳴そば呼びて百姓豊の秋 亀井糸游
夜鳴蕎麦来しけはひ犬遠吠えす 代田千七
更くる夜の愛しきものに夜泣そば 中村春逸
月冴えて夜鳴そば笛また通る 渋谷 一重
燈のもとに霧のたまるや夜泣蕎麦 太田鴻村 穂国

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:13 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

鯛焼

鯛焼

例句を挙げる。

くすり湯を出て鯛焼を買へりけり 草間時彦
ぐつたりと鯛焼ぬくし春の星 西東三鬼
まどかなる鯛焼の眼よ月見ずや 堀口星眠 営巣期
初弥撒へ鯛焼持つていきにけり 仙田洋子 雲は王冠
前へ進む眼して鯛焼三尾並ぶ 中村草田男
子がふたり鯛焼の餡あたたかし 中山純子 沙羅
悪びれず鯛焼食ぶる舞妓かな 松村幸一
懐手解けば鯛焼の香なりけり 水原秋櫻子
旧交を又鯛焼と暖めき 相生垣瓜人 明治草抄
春雨や鯛焼売つて別所の湯 田中冬二 若葉雨
熱あつの鯛焼つかむ銭出して 平畑静塔
禰宜平服白紙に鯛焼横たへて 平井さち子 鷹日和
細き灯やスモッグ街の鯛焼屋 本宮夏嶺男
血を採られゐて鯛焼の餡恋し 大木あまり 火球
軍の影鯛焼しぐれてゆくごとし 赤尾兜子
釣銭で鯛焼買ふも年の市 下村ひろし
霙れつつ鯛焼の火を落しをり 水原秋櫻子
髪染めし男も並ぶ鯛焼屋 中村しげ子
鯛焼となる顛末を見つめをり 須川洋子
鯛焼に面窶れてふありしかな 中尾杏子
鯛焼のあつきを食むもわびしからずや 安住 敦
鯛焼のあんこの足らぬ御所の前 大木あまり 雲の塔
鯛焼のはらわた黒し夜の河 吉田汀史
鯛焼のへの字の口を結ぶかな 大橋敦子
鯛焼のまづ尾の餡をたしかめし 能村登四郎
鯛焼のまんまんなかをください 櫂未知子 蒙古斑
鯛焼のドレミの順に裏返す 鈴木栄子
鯛焼の売れ残りゐる花の雨 長谷川櫂 蓬莱
鯛焼の尾鰭と言へる柔きもの 有馬朗人 耳順
鯛焼の屋台に並ぶ塾帰り 相河美智子
鯛焼の背鰭の焦げて麦の秋 松村多美
鯛焼の腹の温みや秋深し 今泉貞鳳
鯛焼の袋のしめり冬の月 下沢とも子
鯛焼の順を待ちをり田舎医師 堀口星眠 青葉木菟
鯛焼の頭は君にわれは尾を 飯島晴子
鯛焼の頭尾のいづれより喰べむ 品川鈴子
鯛焼の餡のあたたかかりしかな 上野初穂
鯛焼の鯛の尾遺る涅槃西風 中島斌雄
鯛焼の鰭よく焦げて目出度さよ 水原秋櫻子
鯛焼もほかと食ふべきものならし 相生垣瓜人
鯛焼やいつか極道身を離れ 五所平之助
鯛焼や内職仲間妻にあり 細川加賀 『玉虫』
鯛焼や庭の木叢を出しぶる月 友岡子郷 遠方
鯛焼や餡に焼きたる口の端 森澄雄
鯛焼をふたつに頒けて尾がさみし ながさく清江
鯛焼を二つに割って餡くらべ 富田潮児
鯛焼を人には告げず好みけり 富安風生
鯛焼を手にささげ持ち冬三日月 長谷川かな女 牡 丹
鯛焼を買ひもて食へり年忘 八木林之介 青霞集
鯛焼を頬から食べてゐて女王 櫂未知子 貴族

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:12 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

熊突

熊突

例句を挙げる。

一斉に熊狩の銃火を噴けり 鈴木貞二
凶年を悲しむ鹿や熊を撃つ 百合山羽公 故園
土間暗し吊りたる熊に突当り 白岩てい子
撃たれたる熊に近づく女傘 井上 雪
旅人に熊狩のうた熊祭り 成瀬 千代
源太村熊撃ちはみな頭のでかき 満田光生
熊撃たる谺一つで終りけり 伊藤しげじ
熊撃ちし日の男等は山拝す 金子三郎
熊撃ちし猟夫に一日客絶えず 黒坂紫陽子
熊撃ちし話大げさ薬罐噴き 松倉ゆずる
熊撃ちに行くとふ微笑髯の中 遠山陽子
熊撃ちに鹿撃ち道を譲りけり 鶴田玲子
熊撃ちのシュプール木々の胸さわぎ 平井さち子 紅き栞
熊撃ちの近寄りがたき傲りかな 山口冬男
熊撃ちも湯治の客も夜の炉端 石井とし夫
熊撃てばさながら大樹倒れけり 松根東洋城
熊撃のはにかんでゐる春炉かな 茨木和生 倭
熊撃の夜語り雪となりにけり 鈴木野菊
熊撃の庭に仔熊を飼ひゐたり 根岸善雄
熊撃の髪剃つて家出て来たる 山中弘通
熊狩の少し伸びたる不精髭 三木はじめ
熊狩の犬別積みに出発す 茨木和生 倭
熊狩りのあとさき吹雪く奥檜山 西川光子
熊穴に入らむとするを撃たれけり 村松南斗
熊突が小屋にある時の眼鏡かな 小杉余子 余子句選
熊突の夫婦帰らず夜の雪 名倉梧月
熊突の石狩川を渡りけり 深見桜山
熊突の話果てたる寝待月 矢島渚男
熊突や海の氷れる北の国 山口漁壮
熊突や爪かけられし古布子 松根東洋城
神棚に熊撃銃の弾丸二つ 綾部仁喜 樸簡
鎖襦袢着て美少女は熊突きに 星野石雀

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:10 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

狩の宿

狩の宿

例句を挙げる。

あかつきの灯を煌々と狩の宿 力石郷水
あす越ゆる天城山あり狩の宿 福田蓼汀 山火
けつまずくものの多かりし狩の宿 伊藤白潮
その昔蒙昧宿や狩の宿 辻桃子
ともしびのこんなに暗し狩の宿 辻桃子
ふる雪に犬も退屈狩の宿 三好雷風
五六戸の狩宿かゝへ山眠る 鈴間斗史
前山に棲み古る木だま狩の宿 米沢吾亦紅 童顔
剥製の熊の銃きず狩の宿 後冨美恵
子供たち眠れる狩の宿を出づ 松藤夏山 夏山句集
山の端の星の大粒狩の宿 戸口千枝子
手配書の写真が貼られ狩の宿 高須のぶを
新しき顔も一二や狩の宿 菅 直桑
明日の山月に峙つ狩の宿 米沢吾亦紅 童顔
梁や手拭薄き狩の宿 藤木倶子
火の山の闇深かりし狩の宿 蓮尾美代子
熊を貼り猪を敷き狩の宿 若井菊生
熊穴を出るころ忙し狩の宿 石井国夫
狩の宿よき月を見て寝たりけり 田村木国
狩の宿オロチヨンの子はもの言はず 田村了咲
狩の宿一番鶏の鳴きにけり 松藤夏山 夏山句集
狩の宿夫と来て雪匂ひつつ 小池文子 巴里蕭条
狩の宿月をさへぎるものもなし 田村木国
狩の宿眇の老が帳場守る 白石よしを
狩の宿階下激しき口喧嘩 辻桃子 童子
狩宿の炬燵や足の混みあへる 辻桃子
狩宿の猪さばき場といふ流れ 村上杏史
狩宿の階段ころげ落ちしひと 辻桃子
狩小屋の夜明なりけり犬の鈴 一茶
蒲団まで凍てし固さの狩の宿 檜 紀代
身につけしものみな干さる狩の宿 佐藤 健
銃箪笥てふ古きもの狩の宿 依田秋葭
階段が土間へすとんと狩の宿 見学 玄
雪掘れば焚く榾ありぬ狩の宿 田村了咲
馬飛ばしかへり来し娘や狩の宿 田村了咲
鷹匠の系図を蔵し狩の宿 島谷王土星

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:08 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

猟人

猟人

例句を挙げる。

ふり返る猟人の眼の血帯びたり 能村登四郎
初雪の道猟人の影みたり 川島彷徨子 榛の木
天城雪なし猟人北風に吹かれ去ぬ 臼田亞浪 定本亜浪句集
猟人が示しし泉つめたしや 成田千空 地霊
猟人に彩羽見せとぶ雉子かな 野村喜舟 小石川
猟人に猿誑されて酒見せつ 菅原師竹句集
猟人のわしれるあとに石叩 軽部烏帽子 [しどみ]の花
猟人の念仏を聞く新茶かな 麦水「葛箒」
猟人の痩躯長身その犬も 比奈夫
猟人の読み耽りゐる洋書かな 松藤夏山 夏山句集
猟人の里に居るなる眼蓋かな 久米正雄 返り花
猟人の鉄鉋うつや雪の中 炭 太祇 太祇句選後篇
猟人ゆく雪の間道肩揺りゆり 鷲谷七菜子 雨 月
猟人を招じ入れたる山日和 猪俣千代子 秘 色
能登島へ猟人乗せて舟いそぐ 清水青柳
あの山の向うの山の猪猟師 宇多喜代子 象
ひとりひとり猟師が過ぐる葉のない一本の朴の木 安斎櫻[カイ]子
冬来ると夕焼烈し猟師町 小川幸子
奥の間に寝物語す猟師かな 松藤夏山 夏山句集
月影に跳ね鯉ねらふ猟師かな 江州関半村-宮城氏 俳諧撰集「有磯海」
枯木の中猟師の横顔よ去る 安斎櫻[カイ]子
武装して猟師厠を出で来る 飛旅子
犬連れて干し烏賊がくれ猟師来る 小原菁々子
猟師のあと寒気と殺気ともに過ぐ 澄雄
猟師消ゆ老いも死もなく雪空に 佐藤鬼房 朝の日
猟師達かどでの熱茶すゝりけり 松藤夏山 夏山句集
猪の足跡のぞく猟師かな 原石鼎
肩にせる銃身細き猪猟師 右城暮石 上下
頭巾着たる猟師に逢ひぬ谷深み 夏目漱石 明治三十二年
飯食ひし箸折り捨てて猪猟師 茨木和生 遠つ川
鹿二匹つるして猟師夜食す 子規句集 虚子・碧梧桐選
鼻すこし曲りてゐたる猟師かな 肥田埜勝美
*かんじきの猟夫入りゆくたたら山 羽田岳水
いとどしき猟夫の狐臭炉のほとり 山口誓子
いま逢ひし猟夫の銃の音ならむ 大橋桜坡子
きらりとし錆色となり猟夫の眼 斎藤玄
けものみち猟夫の刺し子紺匂ふ 鈴木竜骨
こんにやく村逢ひし猟夫も犬も老ゆ 中戸川朝人 残心
しづもれり猟夫と犬の入りし径 品川鈴子
すぎゆきし猟夫の道の懸るのみ 後藤夜半 翠黛
その猟夫猪に間違へられやすし 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
たちどまる猟夫に田の面ただならず 和田暖泡
ふりむかず猟夫は雪の山に入る 本多 勝彦
みな猟夫正月餅を搗かぬ村 羽部洞然
めつむりて猟夫がなぞる空の創 本庄登志彦
キリストに肖る日曜日の猟夫 阿部娘子
ストローの泡をそのまま猟夫呑む 大石雄鬼
夕蘆原行きて猟夫の肩没す 藤田湘子
大樹林猟夫にひくき月盈ちぬ 飯田蛇笏 霊芝
大霜の墓突つ切つて猟夫ゆく 羽田岳水
尾花咲き猟夫ら富士をうしろにす 臼田亞浪 定本亜浪句集
巌で指ぬぐひ猟夫の昼餉済む 鷹羽狩行
御降に猟夫はとほくゆきにけり 田中裕明 花間一壺
思はざる猟夫に逢へり根雪来て 太田 蓁樹
月いでて猟夫になくや山がらす 飯田蛇笏 山廬集
月中の怪に射かけたる猟夫かな 飯田蛇笏 霊芝
杉山へ猟夫のごとく深入りし 野澤節子 遠い橋
構へたる猟夫の跨間レール馳す 佐野まもる
毛皮着て猟夫なんめり汽車待つは 石塚友二
海を見て猟夫がしばし歩をとどむ 山口波津女
熊撃ちし猟夫に一日客絶えず 黒坂紫陽子
犬と息合せて猟夫機を狙ふ 山下美典
犬と犬猟夫と猟夫すれちがふ 田中九青
犬にパン与ふ猟夫の何も食はず 右城暮石 上下
犬の眼と鋭さ同じ猟夫の眼 松村竹炉
犬馴らす牧の猟夫の肥後訛 坂本竜門
猟夫きて催眠術の本買へり 大石雄鬼
猟夫と逢ひわれも蝙蝠傘肩に 山口誓子
猟夫と鴨同じ湖上に夜明待つ 津田清子 礼 拝
猟夫の目して人混みに紛れ入る 川口 襄
猟夫の目犬の目風の中を行く 畑中次郎
猟夫の瞳きびしくてまたさびしさよ 石原舟月
猟夫われ御狩の勢子の裔にして 中村左兵子
猟夫伏せ一羽より目を離さざる 後藤雅夫
猟夫老い岩頭に風聴きてをり 菅原鬨也
猟夫行くさきざき青き天緊る きくちつねこ
猟夫行く日本海の磯づたひ 菖蒲あや あ や
猟犬と知るうしろより猟夫来て 波津女
獲物なき猟夫は天を射ちて去る 篠田悦子
獲物なき猟夫無聊の大焚火 沢 聰
眼ばたきて堪ふ猟夫の身の殺気 橋本多佳子
神棚に征露丸置き猟夫小屋 後藤青峙
立ち去りし猟夫の殺気残りをり 原田青児
落葉踏む猟夫の肩にまた落葉 山田麗眺子
行きすぎし猟夫の笛やあらぬ方 楠目橙黄子 橙圃
行きずりの銃身の艶猟夫の眼 鷲谷七菜子 雨 月
行き逢ひて猟夫とかはす言葉なし 橋本美代子
谷出づる猟夫の見えて梅白し 宮津昭彦
銃床地につけて猟夫も道迷ふ 津田清子 礼 拝
銃斜に負うて猟夫の優男 日野草城
雄々しさや猟夫が眉につもる雪 久米正雄 返り花
雪嶺へ戸口のくらさ猟夫住む 星眠
霙るるや猟夫踏み来る水辺萱 金子 潮
霜とけの囁きをきく猟夫かな 飯田蛇笏 霊芝
霜どけのささやきをきく猟夫かな 飯田蛇笏
飛火野を猟夫よこぎる影荒く 塚本邦雄
傷付きに出掛ける犬も狩人も 櫂未知子 貴族
朝霧や狩人に逢ひ杣に逢ひ 由井蝴蝶
水澄むに映りて星の狩人よ 下田稔
狩人にこそ角はあれ鹿の声 横井也有 蘿葉集
狩人に世辞の一つも茶屋女房 高浜虚子
狩人のことりともせず寝ねにけり 宮坂静生
狩人を呼びまはるかやきじの声 水田正秀
さつき会ひしばかりの猟男まじりをる 辻桃子
山の冷猟男の体躯同じ湯に 森澄雄
猟男のあと寒気と殺気ともに過ぐ 森 澄雄
谷戸深く猟男の棲めり鰤起し 石川桂郎 高蘆

以上
by 575fudemakase | 2014-12-26 00:06 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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