2014年 12月 27日 ( 15 )

枯銀杏

枯銀杏
 
例句を挙げる。
 
 
いてふ枯れ軽きビスケツトの包 斉藤夏風
てつぺんに居るがわが子や枯銀杏 高野素十
乳銀杏枯れ残飯のうずたかし 二村典子
星すでにそだちて喬(たか)し枯銀杏 竹下しづの女句文集 昭和十五年
枝ぶりのどうしてかうなる枯いてふ 高澤良一 さざなみやつこ
枯銀杏より神の声悪魔の声 藤岡筑邨
枯銀杏空のあをさの染むばかり 竹下しづの女 [はやて]
銀杏枯れ星座は鎖曳きにけり 大峯あきら
 入り組めるいてふの枯枝枯枝に日  高澤良一  ももすずめ
大往生遂げむばかりの枯公孫樹  高澤良一  さざなみやつこ
青天に米点打ちて公孫樹枯る  高澤良一  さざなみやつこ
いてふの木枯れて素性といふが見ゆ  高澤良一  鳩信

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:52 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

枯欅

枯欅
 
例句を挙げる。
 
かの欅枯れなほしたき日もあらむ 鎌倉佐弓 水の十字架
その中に月まどかなる冬欅 深見けん二 日月
どこまでが母の世の中冬欅 金田咲子
ふるさとは何もて立たす冬欅 綾部仁喜 樸簡
一本は他界へ傾ぐ冬欅 平松彌栄子
今も目を空へ空へと冬欅 加藤楸邨
会ひたきとき何時も鳥ゐて冬欅 猪俣千代子 堆 朱
先生に見下ろさるごと冬欅 高澤良一 宿好
冬けやき瘤りんりんとペン勁し 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
冬欅あまたの星を泊まらせて 田中翠
冬欅ひとしく昏れてゆかんとす 加藤三七子
冬欅わが安心のかたちせり 宮坂静生 春の鹿
冬欅わたしのとまる枝がみえる 澁谷道
冬欅五十年とは短きか 関塚康夫
冬欅刺し子の模様うめてゆく 山来明子
冬欅天を二分の壮気かな 高澤良一 素抱
冬欅星の重みの加はりぬ 中西友紀
冬欅末代つひの離農見たり 荒井正隆
冬欅父は明治を長く経にき 野澤節子 黄 瀬
冬欅瓦よき屋根谷向う 川崎展宏
多感なりすつくと立つは冬欅 河野多希女 こころの鷹
大欅枯れてより日をとりもどす 井上あきを
大欅枯れてシリウスまたたかす 福井房子
大空に罅走らせて枯欅 西村和子 かりそめならず
天網恢恢疎にして枯けやき 三宅やよい
寛容と厳格同居冬欅 高澤良一 宿好
山毛欅枯れて富士より他に何もなき 岸風三樓
悪声の一鴉占めたり冬欅 石塚友二
手を触れて深き思ひの冬欅 澤村昭代
押し出しのおのづからなる冬欅 高澤良一 鳩信
昃れば粛然として冬けやき 高澤良一 素抱
枝々や目になじみたる冬欅 川崎展宏
枯れたるは枯れの厳しさ冬欅 石塚友二
枯欅一樹で足りる故郷は 沢草二
根方よりずいと見上げぬ冬欅 高澤良一 ねずみのこまくら
欅枯れ日にさらさるる幹の瘤 山元土十
欅枯葉ためて眩ゆき阿*吽像 河野南畦 湖の森
武蔵野の空掃き了へし冬欅 手島靖一
死を軽しと言いし日ありぬ冬欅 橋爪鶴麿
満月をからめ獲りたる枯欅 伊藤いと子
澄み切つてやがて暮れたる冬欅 関口謙太
父の忌の遠くが見ゆる冬欅 鳥居美智子
生真面目な木と誰もいふ冬欅 高澤良一 さざなみやつこ
疾風怒濤の晩年もよし冬欅 倉橋羊村
瘤嫌ふ樟と瘤好く冬けやき 高澤良一 随笑
立つことをよろこびひかり冬欅 宮津昭彦
立姿どこをおしても冬欅 高澤良一 ぱらりとせ
買出しといふ言葉あり冬欅 斉藤夏風
銅鐸のごとき手ざはり冬欅 高澤良一 さざなみやつこ
降る星に手をつなぎあふ冬欅 大東晶子
風の音梢に止め冬欅 百瀬美津
鴉の巣あらはに欅枯れにけり 北田美智代
 宿木を寄せぬ欅でありにけり  高澤良一  さざなみやつこ
力みなき冬の欅と見て彳てる  高澤良一  随笑
欅今すっぽんぽんに気負ひなし  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:50 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

枯柏

枯柏
 
例句を挙げる。
 
 
そのつやの漆皿めく枯柏 塚本美恵子
ぴんぴんに空張りにけり枯柏 高澤良一 宿好
ももとせの刹那に見しは枯柏 攝津幸彦 未刊句集
オホーツクの風の饒舌枯柏 青野れい子
山の枯柏夕日がきて炎やす 和知喜八 同齢
悴める掌のかたちして枯柏 高澤良一 ももすずめ
枯柏つひに強情通しけり 高澤良一 ぱらりとせ
枯柏啄木十五の歌まぶし 太田土男
枯柏夕暮の子のふしぎかな 小池友子
枯柏青天井の何処か鳴る 高澤良一 ねずみのこまくら
枯柏風打ち勝って飛ばしけり 高澤良一 ぱらりとせ
母亡くて閉ざす裏木戸枯柏 詫摩まつ子 『卒寿』
音ひとつたてず月下の枯柏 前澤宏光
 
 
以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:49 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

柴漬

柴漬

例句を挙げる。

あからさまなる柴漬や水眠る 柑子句集 籾山柑子
夜興引に柴漬に夜を徹しけり 会津八一
大いなる柴漬やある橋の下 会津八一
手繰らるゝ柴漬を追ふ濁りかな 夏目麦周
柴漬(ふしづけ)に見るもかなしき小魚かな 高浜虚子(1874-1959)
柴漬(ふしづけ)や芦浦領の浜年貢 中村史邦
柴漬にすがりてあがるものかなし 富安風生
柴漬にまこと消ぬべき小魚かな 高浜虚子
柴漬に小海老跳ねつゝ朝澄めり 水原秋桜子
柴漬に波を送りて舟ゆき来 小林かつひこ
柴漬に見るもかなしき小魚かな 高浜虚子
柴漬のあたりしぐれてゐたるかな 岡田詩音
柴漬のありとも見えぬ落葉かな 西田巴子
柴漬のま青の笹を上げにけり 三上房江
柴漬の句碑のほとりに舫ひ舟 松崎鉄之介
柴漬の味ののりきし初紅葉 宮下麗葉
柴漬の忘られしごと日々にあり 雉子郎句集 石島雉子郎
柴漬の悲しき小魚ばかりかな 高浜虚子
柴漬の手間ひま銀の夕立す 古舘曹人 砂の音
柴漬の旦に鯉を逸しけり 会津八一
柴漬の杭にいささか水動く 宮井港青
柴漬の沈みもやらで春の雨 蕪村 春之部 ■ 夢中吟
柴漬の沼のおもてのふくらめり 米澤吾亦紅
柴漬の泡がぶくぶく出てをりぬ 小川 背泳子
柴漬の深きに浮ぶ木の葉かな 会津八一
柴漬の艫臍泣きゆく鳰の中 飴山實 『次の花』
柴漬の青き葉に垢付き始む 茨木和生
柴漬の首尾見る小桟橋に乗り 井沢正江
柴漬やをねをね晴れて山遠し 村上鬼城
柴漬や今入る魚の昼閑か 松根東洋城
柴漬や古利根けふの日を沈む 水原秋櫻子
柴漬や夕富士夙に見失ふ 石橋辰之助
柴漬や川上に水なかりけり 村上鬼城
柴漬や川風受けて店障子 楠目橙黄子 橙圃
柴漬や拵淀に魚の影 井上井月
柴漬や月を尋ねて住給ふ 小林一茶
柴漬や水の上にも枝の混み 大川つとむ
柴漬や簀建の中の波こまか 高野素十
柴漬や風波立ちて二つ見ゆ 村上鬼城
柴漬をあげて夕日によろめける 篠田悌二郎
柴漬をおもむろに去る海老のあり 本田あふひ
柴漬をはねる力もなくこぼる 岡安仁義
柴漬を仕かけてよりの湖日和 高木 房
柴漬を引くや伏見のとぼそより 会津八一
柴漬を揚ぐる人あり花の雨 渡辺水巴 白日
柴漬を揚げる手ごたへなり重し 小川修平
柴漬を解くや日輪なよ~と 為成菖蒲園
ふし漬の水に集る野風哉 妻木 松瀬青々
ふし漬やいつ取りに来るものとしも 松瀬青々

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:35 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

鼬罠

鼬罠

例句を挙げる。

うすうすと雪のかゝれる鼬罠 菊池恒一路
おごそかに展示されたる鼬罠 神戸周子
その頃の父の零落鼬罠 橋本鶏二
ひつそり閑として鼬罠にあり 小川洋太郎
三輪山のここが横がほ鼬罠 山上樹実雄
大ざつぱなる仕掛とは鼬罠 坊城中子
尼寺の藪に仕掛けて鼬罠 橋本花風
常念岳を雲に閉ぢこめ鼬罠 唐沢南海子
敏捷な故にかゝりし鼬罠 柴原保佳
藤蔓の弓づる張つて鼬罠 高崎こち
藻の厚く積もりてをりぬ鼬罠 中村雅樹
遊鯉守る鼬罠かけ老住持 細見しゆこう
風の星ものいふごとし鼬罠 柴田白葉女 雨 月
鶏小屋の脇にしつらふ鼬罠 岩島 畔水
鼬罠あるてふ庫裏に廻り見る 高濱年尾 年尾句集
鼬罠かけたる浅き眠りかな 日隈 翠香
鼬罠かけて村山高からず 大峯あきら
鼬罠かけて梟に啼かれけり 鈴木薊子
鼬罠人去つて声残りけり 細谷みみを
鼬罠仕掛ける無口通しけり 嶋田一歩
鼬罠匂ひ残さず仕掛置く 楠昭雄
鼬罠妙見太鼓鳴つてをり 吉本伊智朗
鼬罠孫に伝へて死にゆけり 高木公園
鼬罠掛けてどこかに鼬の眼 高橋良子
鼬罠猫のかゝりてさわぎたる 瀧澤伊代次

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:33 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

年取

年取

例句を挙げる。

小机に年取るこゝろざしいかに 清水基吉 寒蕭々
年取が済みて炬燵に炉に集ひ 高野素十
年取に月のかけらもしたしくて 三宅一鳴
年取の夜の部屋ごとの灯の華麗 井沢正江
年取の大鰤梁につるしたり 瀧澤伊代次
赤城山一つ年取る面構え 高澤良一 寒暑 
須磨の浦の年取ものや柴一把 芭蕉
白をもて一つ年とる浮鴎 森 澄雄
桂川年とるものを洗ひ居り 岡田耿陽
年とるや帆柱の数ありそうみ 炭 太祇 太祇句選後篇

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:31 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

鯨鍋

鯨鍋

例句を挙げる。

ひたすらに煮つまってゆく鯨鍋 宇多喜代子
珍しき高知の雪や鯨鍋 西武比古
鯨鍋あつし叛骨そゝのかす 小林康治
鯨鍋夜の海鳴りに眉をあげぬ 深見涼哉
おのおのの喰過がほや鯨汁 几董
お長屋の老人会や鯨汁 子規句集 虚子・碧梧桐選
低頭に過ぎしひと日の鯨汁 北村直彦
八朔やぎをん川上鯨汁 黒田杏子 花下草上
古墳見て戻りし夜の鯨汁 田村一翠
大小の油目泳ぐ鯨汁 上村占魚 『一火』
鯨汁のれんが割れて空青き 岸本尚毅 鶏頭
鯨汁熱き啜るや外吹雪く 大谷繞石

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:26 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

枯草

枯草

例句を挙げる。

あら草枯れ立ち墓にする地取り シヤツと雑草 栗林一石路
おしうつる日かげ淋しも草枯るる 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
おしつつむ曇り枯草ひくくひくく 松村蒼石 雁
おちついて死ねさうな草枯るる 種田山頭火
おとろへはまづ足よりぞ草枯るゝ 久保田万太郎 流寓抄以後
つまさきに雨しぶく草枯れにけり 金尾梅の門 古志の歌
ひそかにて枯草昏む壺泉 柴田白葉女 花寂び 以後
ひもすがら日は枯草に猫柳 松村蒼石 寒鶯抄
ふと雨のかはく匂ひが枯草に 中田剛 珠樹以後
ほつと舟の帆ふんわり枯草 シヤツと雑草 栗林一石路
ほのぼのと枯草に坐し生きぼとけ 林翔
やつぱり一人はさみしい枯草 種田山頭火(1882-1940)
よみがへる寝墓の嵩や草枯れて 朝倉和江
わが肌のほとほとぬくし草枯るる 原コウ子
わが門辺刈られずありて草枯るる 後藤夜半 底紅
われからの如き枯草とはなりぬ 中田剛 珠樹以後
われを愧ぢてゐ枯草など焚火してゐる 中塚一碧樓
一望に枯草の曳く光りかな 吉武月二郎句集
一木一草枯れゆくときの力とぞ 阪本宮尾
乾期くる黄の枯草に毒舌撒き 金子兜太
人の背の枯草吹くや春の風 碧雲居句集 大谷碧雲居
位牌の祖母よ草枯土橋揺れますよ 香西照雄 対話
何草の末枯草ぞ花一つ 暁台
元日の枯草焼くも遊びかな 佐野良太 樫
元日や枯草の鳴る風の音 高橋淡路女 梶の葉
兵舎のあと枯草圧して雪残る 桜井博道 海上
初不二を枯草山の肩に見つ 水原秋櫻子
初日かげ枯草の穂とふきなびけ 梅の門
力抜けゆく枯草にふる雪みれば 森澄雄
地の果てゆ草枯れ寄する二克山 臼田亞浪 定本亜浪句集
埋火やうら枯草の花一つ 雑草 長谷川零餘子
塩田の跡の広さに草枯るゝ 伊藤柏翠
墓場に手が生え枯草を撫で耽る 八木三日女 赤い地図
声忘れゐる枯草に日のぬくみ 林 翔
夏枯草の畦に座れば雨落つる 西口百艸
大江戸の街は錦や草枯るゝ 飯田蛇笏
女髪より枯草を取り別れけり 秋元不死男
孤児ら遊び土手の枯草擦り切れし 津田清子
小寒や枯草に舞ふうすほこり 長谷川春草
小鳥籠枯草ふれてありにけり 中田剛 珠樹
山の霧枯草道の先きを断つ 佐野良太 樫
川あはれかく枯草に絞られし 木下夕爾
干櫃をぬらしゝ雨や草枯るゝ 金尾梅の門 古志の歌
干足袋のこはぜの光り草枯るゝ 金尾梅の門 古志の歌
径としゆききする空地の草枯れ シヤツと雑草 栗林一石路
探照燈の光芒下むきに地の枯草 長谷川素逝 砲車
旗たたむとき枯草の匂ひせる 中田剛 珠樹以後
日おち屋根の枯草 シヤツと雑草 栗林一石路
日のひかりきこゆ枯草山にひとり 山口草堂
日記帳枯草のことところどころ 佐野良太 樫
明日も来る山の枯草に道具をしまふ シヤツと雑草 栗林一石路
春草に伏し枯草をつけて立つ 西東三鬼
昼休みのテニスコートまで草枯れてゐる シヤツと雑草 栗林一石路
會津の山遠く見え草枯るゝかな朝かな 中塚一碧樓
月明の一枯草の伽藍かな 河原枇杷男 訶梨陀夜
望遠鏡に枯草ばかり覗きけり 長谷川かな女 雨 月
未明の枯草鳴らしやまざり交る犬等 赤城さかえ句集
札所への枯草道は近かりし 椎野 房子
枯れ草に國亡びたる初日かな 会津八一
枯草がふまれちびゐる道と言ひ 細見綾子 花 季
枯草しいて月をまうへに 山頭火
枯草とおもひしがはたと牛聳ゆ 栗生純夫 科野路
枯草となりて安らぐ裾野かな 山本柳翠
枯草にあまねきものは深空かな 平野冴子
枯草にかたくなな凧になつてる シヤツと雑草 栗林一石路
枯草にかりそめの艶おける雨 木暮つとむ
枯草にこぼれて涙枯れ色に 鈴木真砂女 夕螢
枯草にたゞあるものの棒の切れ 廣江八重櫻
枯草にほのと櫟の月明り 広瀬直人
枯草にまじる蓬の初日かな 渡辺水巴 白日
枯草にやや薄ら日の温みあり 相馬遷子 雪嶺
枯草にゆまりする音ききつつ過ぐ 篠原梵 雨
枯草にゐて蠅も昆虫なり 瀧春一 菜園
枯草にキャラメルの箱河あわれ 金子兜太
枯草に二人の我のひとり棲む 河原枇杷男
枯草に午笛のながき尾が隠る 山口誓子
枯草に友のながせし血しほこれ 長谷川素逝 砲車
枯草に坐し子を捧ぐ母の笑 石塚友二 方寸虚実
枯草に寝ころぶやからだーつ 山頭火
枯草に尚さま~の姿あり 高浜虚子
枯草に屈んで笑ふ韓の人 須藤 徹
枯草に心やすくも憩はるゝ 池内たけし
枯草に手の影がゆき母が過ぎ たむらちせい
枯草に日あたるといふよき事あり 細見綾子 花 季
枯草に日あたるははの忌日かな 西山誠
枯草に水を離れし氷かな 温亭句集 篠原温亭
枯草に沁みとほる火となりにけり 中田剛 珠樹以後
枯草に沈みむせびて師のまぼろし 柴田白葉女 『夕浪』
枯草に没して少年鳩飼へる 北市都黄男
枯草に潜水服のまま転ぶ 工藤義夫
枯草に盗人や米こぼしたる 浜田波静
枯草に石ころ眩しいえくぼかも 本田ひとみ
枯草に石と化したる亀並ぶ 山田弘子
枯草に立てばほとりに雨の音 五十嵐播水 播水句集
枯草に立テは落る囹かな 炭 太祇 太祇句選
枯草に脂のしみや人を焼く 雑草 長谷川零餘子
枯草に蹄鉄工の火花散る 上村占魚 鮎
枯草に軍馬の汗を掻き落す 石川桂郎 含羞
枯草に鉄杭積まる造成地 松本照子
枯草に鳴り行く影や馬の鈴 安斎櫻[カイ]子
枯草に鴨の彩羽をむしりすつ 臼田亞浪 定本亜浪句集
枯草のうすくれなゐや西の京 山本洋子
枯草のかたまり合ひて佳き日なり 藤田湘子 黒
枯草のがんじがらめよ休耕田 太田土男
枯草のそよげどそよげど富士端しき 臼田亞浪 定本亜浪句集
枯草のちびて強きを足裏にす 細見綾子
枯草のちりちり鳴りて山落暉 福田蓼汀
枯草のなほ艶なるに火を放つ 百合山羽公 寒雁
枯草のひと思ふとき金色に 鈴木真砂女
枯草のへろへろ燃えぬ生き難し 小林康治 『四季貧窮』
枯草のもう赤い芽の一月二日一月三日 栗林一石路
枯草のビラを拾つて読んで見る 佐野良太 樫
枯草の一すぢ指にまきてはとく 横山白虹
枯草の一茎青みのこしをり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
枯草の三脚の絵に戻つてくる シヤツと雑草 栗林一石路
枯草の上にかげひく雪ほたる 石原八束 秋風琴
枯草の上に大きな海があり 山西雅子
枯草の中に氷柱の光り見ゆ 高濱年尾 年尾句集
枯草の中の賑ふ春の雨 室生犀星
枯草の中はあたたか海蒼し 西田明水
枯草の中やここにも一仏 村沢夏風
枯草の八十八のほとけみち 徳脇 富枝
枯草の坐りし跡へ坐りけり 青木重行
枯草の大孤独居士此処に居る 永田耕衣
枯草の実を持ちてゐて煙のごと 清原枴童 枴童句集
枯草の日に汝が瞼はぢらひぬ 横山白虹
枯草の日のしづけさに従へり 岸秋渓子
枯草の日の中にゐる故人かな 日美清史
枯草の日を失ひて荒々し 高田風人子
枯草の日差しをのぼる微塵あり 中田剛 珠樹以後
枯草の朝日どの道からもはたらきにくる 栗林一石路
枯草の果てにはかなき池ひとつ 山西雅子
枯草の歩み礎石の上となる 皆吉爽雨 泉声
枯草の穂を揃へたる時雨かな 萩原麦草 麦嵐
枯草の雨滴目となり柩過ぐ 大井雅人 龍岡村
枯草の雨犬まじまじと海をみる 金尾梅の門
枯草の風あたゝかに月夜かな 金尾梅の門 古志の歌
枯草の香あたたかく往きにけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
枯草ふんで女近づいてくる 山頭火
枯草も火を待つまでに極りし 百合山羽公 寒雁
枯草や住居無くんば命熱し 永田耕衣 陸沈考
枯草や大きな井戸の径一つ 吉武月二郎句集
枯草や寄食に馴れし人に逢ふ 永井龍男
枯草や日の燃え落ちる口の中 永田耕衣 闌位
枯草や畑百姓はまだはだし 廣江八重櫻
枯草われを兄よ兄よと呼べり 河原枇杷男 密
枯草をぴちぴちふみておそるるなし 栗林一石路
枯草を一人の幅の径下る 篠原梵
枯草を吾は踏みゆき妹は径を 中島斌男
枯草を手に枯芝のかがやきに 山西雅子
枯草を撫づ一瞬の永遠よ 鳴戸奈菜
枯草を触るは燃ゆる心かな 永田耕衣 人生
枯草を踏めばどちらへでも行けて 後藤夜半 底紅
枯草を身にこたへなく踏みて佇つ 上村占魚 鮎
枯草を音たてて男等没日白らめ 桜井博道 海上
枯草寝るによし泪かくすによし 油布五線
枯草山夏柑は色ととのへて 松村蒼石 雪
枯草踏みしだく幾人の吾れや 小林一枝
棺の上に枯草まじる土おとす 川島彷徨子 榛の木
横たはる枯草堤大空に 京極杞陽 くくたち下巻
残る雪枯草よりも沈みゐる 横光利一
母となるか枯草堤行きたりき 細見綾子
母通る枯草色の春日中 飯田龍太
毛のような春の枯草父と子ゆく 大井雅人 龍岡村
水汲女夏枯草を黒衣にて 加藤耕子
汽車の影も一緒に枯草をゆく旅 シヤツと雑草 栗林一石路
沖荒るる日の枯草に松の影 広瀬直人
河面はさしひく汐や草枯るゝ 野村喜舟 小石川
泛びでて枯草の翳勁かりき 中田剛 珠樹以後
泡立草枯れて磧のすべて枯る 池田秀水
海女溜まる崖あたたかに草枯れて 高井北杜
淡雪や枯草車野をわたる 岡本松浜 白菊
火の迫るとき枯草の閑かさよ 橋間石
烏瓜棄てありそこら草枯るゝ 堤剣城
熔接の火が枯草に暮れのこる 石橋辰之助
物草太郎ごろ寝せし草枯れはてぬ 藤岡筑邨
犀思いつつ枯れ草の道を帰りくる 吉田嘉彦
白日に国尽くる所草枯れぬ 斎藤空華 空華句集
白浪は幾枯草の丘のあなた 福田蓼汀 山火
県居に狐なんどや草枯るゝ 尾崎迷堂 孤輪
短日や畔の枯草しろき穂を 五十崎古郷句集
石濤の歩に従ひて草枯るる 相生垣瓜人 微茫集
砂山は狼いろに草枯れゆく 成田千空
秋風に草枯れヘりしところかな 阿部みどり女 笹鳴
空地ことしは何もつくらず草枯るる 栗林一石路
窓の灯の照り合ふ雨に草枯るゝ 金尾梅の門 古志の歌
竹煮草枯れて野の雲大いなる 内藤吐天
箒草枯れぬ洗濯男われ 石橋辰之助
籍けといふ末枯草を籍きにけり 石田勝彦 秋興
老人或る枯草に飛びつきにけり 永田耕衣 悪霊
膝抱いて枯草藉いて失業す 原田種茅 径
舎利舎利と枯草を行く女かな 永田耕衣
色つけて花つけて草枯れてゆく 上野章子
草枯て人にはくずの松虫よ 几董
草枯て狐の飛脚通りけり 蕪村 冬之部 ■ 春夜樓會
草枯に勧化の僧の坐りけり 菅原師竹句集
草枯に宇津の餅屋の床几かな 乙字俳句集 大須賀乙字
草枯に影置く朝の怒り肩 高井北杜
草枯に染物を干す朝日かな 河東碧梧桐
草枯に百里の旅を了るかな 小杉余子 余子句選
草枯に真赤な汀子なりしかな 高浜虚子
草枯に蚯蚓呑みゐる蜥蜴かな 雑草 長谷川零餘子
草枯のそこらまぶしく鞄置く 木村蕪城 一位
草枯の家つゝぬけに暮れにけり 金尾梅の門 古志の歌
草枯の月夜に見えていちじるし 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
草枯の粉虫を呑んで咽せにけり 佐野良太 樫
草枯の道鄒に入る道祖神 寺田寅彦
草枯やいつのころより狸塚 大野信子
草枯や一もと残る何の花 正岡子規
草枯や一夢と消えし都の灯 石井露月
草枯や又国越ゆる鶴のむれ 飯田蛇笏 山廬集
草枯や家の向キなど一里輪 尾崎迷堂 孤輪
草枯や彼女が負籠に鳶ついて 廣江八重櫻
草枯や明日殺す鶏時つくる 雉子郎句集 石島雉子郎
草枯や時無草のささみどり 室生犀星 魚眠洞發句集
草枯や海士が墓皆海に向く(羽越線車中) 石井露月
草枯や灯して念ず観世音 宮武寒々 朱卓
草枯や石の狐の口長く 野村喜舟 小石川
草枯や絵馬落ちてある稲荷道 高田蝶衣
草枯や角曲りたる子の柩 佐野青陽人 天の川
草枯や道より高く舟がゆく 佐野良太 樫
草枯や野辺ゆく人に市の音 飯田蛇笏 山廬集
草枯や鯉にうつ餌の一とにぎり 飯田蛇笏 山廬集
草枯るるはげしさに海光るのみ 原コウ子
草枯るる日向の音にめぐりあふ 有働亨 汐路
草枯るる真夜中何を呼ぶ犬ぞ 西東三鬼
草枯るゝまゝに明るき家のうち 林原耒井 蜩
草枯るゝ園生に逢うて噂かな 萩原麦草 麦嵐
草枯るゝ家路の闇のあたゝかく 金尾梅の門 古志の歌
草枯るゝ日数を眺め来りけり 高浜虚子
草枯るゝ賤の垣根や枸杞赤し 正岡子規
草枯るゝ雨の洩れ灯を誰ぞ知らむ 林原耒井 蜩
草枯れそむ良寛のふとん裂れ方寸 細見綾子 黄 炎
草枯れつくし人がゐて陽にあたたまる 人間を彫る 大橋裸木
草枯れてゴム製品を燃すけむり 桑原三郎 晝夜 以後
草枯れて命ひそめし地の面あり 稲畑汀子
草枯れて地蔵が示す道しるべ 福原十王
草枯れて夕光げの浪飛べりけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
草枯れて宮址の溝のあからさま 津田清子 二人称
草枯れて狐の飛脚通りけり 蕪村
草枯れて看板の脚しかと立つ 伍賀稚子
草枯れて石のてらつく夕日かな 村上鬼城
草枯れて神山遠き鳥居かな 軽部烏帽子 [しどみ]の花
草枯れて色失へる雀かな 太田鴻村 穂国
草枯れぬ墓のみおのづと丈くらべ 香西照雄 素心
草枯れの雨あたゝかに夜明けたり 金尾梅の門 古志の歌
草枯れの頃の寒風山赤し(男鹿半島にて) 上村占魚 『一火』
草枯れや五六歩離れ人澄める 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
草枯れんとして暫しありまだ生きつ 雑草 長谷川零餘子
草枯をもて日のさまを移したる 岡井省二
草枯別れ路わが影さへも地になくて 川口重美
萩刈つてしばらく置きぬ枯草に 阿部みどり女 笹鳴
蓑も枯草のいろに人をり 安斎櫻[カイ]子
蓬萌ゆ枯草の骨踏めば鳴る 阿部みどり女
蕭条と名の草枯るゝばかりなり 大場白水郎 散木集
見るところみな枯草や百花園 星野立子
親鸞忌日の枯草のことば聴く 鷲谷七菜子 黄炎
誰の忌や跼めばささやく枯草や 河原枇杷男 定本烏宙論
貯木場丸太積み上げ草枯るる 北村かね子
賽すれば足る心かな草枯るゝ 雑草 長谷川零餘子
足にさばく枯草組織野より野ヘ 赤城さかえ
近松の墓訪ふや草枯るゝ道 岡本松浜 白菊
遠い船のけむりがゆききする埋立地の枯草にすわっている 橋本夢道 無禮なる妻抄
野に寝れば髪枯草にまつはりぬ 橋本多佳子
野の城や日あたりながら草枯れぬ 小林康治 四季貧窮
銀婚や枯草色の毛糸買ふ 石川文子
長閑さや暮れて枯草ふくらめる 渡辺水巴 白日
関ケ原夜も草枯るゝ薄明り 斎藤空華 空華句集
霜の枯草に石いまもあるさま シヤツと雑草 栗林一石路
霜枯の萩草枯の芒かな 八千渓
靴の泥枯草つけて富士を見る 横光利一
風のひま身にそふ月や草枯るゝ 金尾梅の門 古志の歌
風の向きに伏し枯草の年移る 鈴木六林男
鯉揚げて枯草に泥したたれり 南 うみを
錆錨アロエ枯草部落の端  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:26 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

葱鮪

葱鮪

例句を挙げる。

あたたかき葱鮪の湯気やぶしやうひげ 日野草城
たれかれの話となりし葱鮪かな 斎藤優二郎
一族の影の濃くなる葱鮪鍋 八木荘一
四代を生きて傘寿や葱鮪鍋 町田しげき
居酒屋に靄たちこむる葱鮪かな 井上唖々
葱鮪鍋つつく合縁奇縁かな 清水基吉
葱鮪鍋もも引渡世難きかな 秋山夏樹
葱鮪鍋下町に闇にはかなり 伊藤完吾

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:24 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

年忘

年忘

例句を挙げる。

あと一人来るに更けゝり年忘 中島月笠 月笠句集
あながまの云ひ出でごとや年忘 尾崎迷堂 孤輪
いかめしや鯨五寸に年忘れ 樗良
いきいきと話に尾鰭年忘 西川織子
うやむやのどぶ汁囲み年忘れ 山田雅子
お噺も芸の中なり年忘 小波
からすみも雲丹も大切や年忘れ 野村喜舟
ぐい呑は不揃ひがよし年忘れ 五十崎朗
この町に料亭ひとつ年忘 上崎暮潮
さそひには口を濁して年忘れ 高澤良一 鳩信 
しろ金や霰ふる夜の年忘れ 上島鬼貫
せつかれて年忘れする機嫌かな 松尾芭蕉
それぞれの星に名のあり年忘れ 高澤良一 宿好 
ぞろぞろと二階へ通され年忘 高澤良一 ももすずめ 
とにかくにたらぬ日数や年忘 炭 太祇 太祇句選後篇
とんとんと上る階段年忘れ 星野立子
どろどろに酔うてしまひぬ年忘 日野草城
にぎやかに河豚食うて年忘れけり 森澄雄
のれそれにちやんばらなまこ年忘れ 原裕 『出雲』
ひそやかに女とありぬ年忘 松根東洋城
ふる里の鰊漬あり年忘れ 阿部みどり女
へな~と猪肉焼けて年忘れ 萩原麦草 麦嵐
へべれけのお手を拝借年忘れ 高澤良一 鳩信 
ほぐし食ぶ蟹美しき年忘れ 西本一都
また一つ訃の加はりし年忘れ 原裕 正午
まだ若しまだ若し交す年忘 及川貞
むらさきを着るときめたり年忘 宇多喜代子
やがて入り来る四五人や年忘 久保田万太郎 草の丈
ゆくりなく晩霞画幅や年忘 宮坂静生 春の鹿
よきことの五指にも満たず年忘れ 遠藤若狭男
わかき人に交リてうれし年忘 高井几董
ゑひ泣の老爺うたてや年忘 妻木 松瀬青々
をみな等の奢りのワイン年忘 坪井のぶ子
アジトから男が届く年忘 櫂未知子 貴族
シャンペンを交す女の年忘れ 熊倉 猷
ユーカリの白い花見る年忘れ 瀧井孝作
レイ懸けて老船長や年忘 広瀬河太郎
一湾の眺めを肴年忘れ 佐藤鬼房
一輪の梅を見て来ぬ年忘 山口青邨
一門の人を集めて年忘 寿々木米若
三河より五人の女年忘 渡辺 竹子
上りたる二階がうれし年忘れ 藤田湘子 去来の花
主客転倒もとより許せ年忘れ 寺岡情雨
久しぶりなり年忘ゆゑ逢へし 嶋田摩耶子
久闊も昨日会ひしも年忘 堀恭子
二次会の階段狭き年忘れ 斉藤 節
人々の中に我あり年忘 清崎敏郎
人に家をかはせて我は年忘 芭蕉(乙州が新宅にて)
人の世の哀れも唄ひ年忘 田上一蕉子
今もなほ戦の歌を年忘れ 森田峠 避暑散歩
伊豆の湯はうつくしかりし年忘 山口青邨
会へばすぐ舌戦となる年忘 愛澤豊嗣
円山の時雨に逢うて年忘れ 高濱年尾 年尾句集
冒頭にひとりを悼み年忘 細川加賀 生身魂
凭るるに一壁はあり年忘 綾部仁喜 寒木
半日は神を友にや年忘れ 松尾芭蕉
厨にも味見の客や年忘 坊城中子
口裏を合せかねゐる年忘れ 石原八束
古き世の絵双六見て年忘れ 成瀬正とし 星月夜
古書肆に寄りて間のある年忘 高木石子
句を作る屏風の陰や年忘 山口青邨
句弟子来て酒の談義や年忘れ 角川源義
同人となりたることも年忘れ 京極杞陽 くくたち上巻
夜十時より看護婦の年忘 樋口陵雨
夢の世の夢を見る間や年忘 松岡青蘿
大名に酒の友あり年忘れ 炭 太祇 太祇句選
大津絵の鬼が見栄切る年忘 松本幹雄
大男腰をかがめぬ年忘 草間時彦 櫻山
天井にとどくゴムの木年忘れ 岸本尚毅 鶏頭
妻なきを誰も知らざる年忘れ 能村登四郎 寒九
客あれば客あるで又年忘れ 高濱年尾 年尾句集
宮方の武士うつくしや年忘 黒柳召波 春泥句集
家の子に酒ゆるしけり年忘 士喬
家中衆のしのびしのびや年忘 召波
小僧等に法問させて年忘れ 蕪村
居酒屋に日雇ら足る年忘れ 昌寿
屋敷から梅もらふたり年忘 暁台
山の貌ながめつくして年忘 黛執
川舟やこたつしこみて年忘 成美
師の脇に酒つつしむよ年忘れ 石田波郷
師直の憎さが足らず年忘れ 西本一都
年忘すぐにとめけり家見廻 水田正秀
年忘まづは女将を褒めてより 白岩 三郎
年忘れすぐに煮つまるさくらなべ 棚山波朗
年忘れまだ四五日は今年かな 九寸児
年忘れわが秘めごとが人言に 北野民夫
年忘れ一本杉の唄が出て 高澤良一 ぱらりとせ 
年忘れ人生双六しばし止む 百合山羽公 寒雁
年忘れ地にちかぢかと笹鳴けり 野澤節子 黄 炎
年忘れ嫌ひな人と並び坐し 片山由美子 水精
年忘れ府中帰りの南部黒 中村史邦
年忘れ徒食は人の屑ならむ 西本一都
年忘れ手拍子合はぬ人が居て 野畑節子
年忘れ旅をわするゝ夜も哉 一茶 ■寛政八年丙辰(三十四歳)
年忘れ曇りのとれぬ山をみて 鈴木太郎
年忘れ最も老を忘れけり 風生
年忘れ流れ流れてうたごゑ喫茶 鈴木栄子
年忘れ神父祖国の歌うたひ 佐々木美津子
年忘れ老は淋しく笑まひをり 虚子
年忘れ踊り出したる鍋の蓋 佐藤ユキ子
年忘れ過去は断片なるとき美 池内友次郎
年忘れ長者独りに餓鬼九人 中村史邦
年忘れ麹先生を懼れつつ 相生垣瓜人
年忘れ黄泉にも句会あるならむ 高澤良一 随笑 
年忘一木の瘤拳打ち 上田五千石
年忘三輪山ぬうつと闇に在り 河原枇杷男
年忘乱に至らず終りけり 桜坡子
年忘侍りて下戸の刻ながし 金子 潮
年忘噂の主も参じけり 荒井正隆
年忘妾宅といふ恥るもの 野村喜舟 小石川
年忘手に手重ねて居たりけり 佐野青陽人
年忘拭へど指のインキかな 碧雲居句集 大谷碧雲居
年忘昔念者と若衆かな 青峨
年忘橙剥いて酒酌まん 正岡子規
年忘母の機嫌のうれしさよ 野村喜舟
年忘終り一等星を見き 池田秀水
年忘老は淋しく笑まひをり 高浜虚子
年忘面々無職ながら生く 高田蝶衣
幽冥へ去りし論客年忘 千原叡子
床上げて酒いささかの年忘れ 奈良文夫
座を起って見る星青き年忘 下村槐太 天涯
座持ちよき一人失ひ年忘れ 能村登四郎
御勝手にお唄ひなされ年忘 高澤良一 随笑 
念入れぬ髪も出来たり年忘れ 斯波園女
悪相の九絵食いつくす年忘れ 宇多喜代子 象
我を入ると膝あひゆづる年忘 元
戦争の句を忘るるな年忘 黒田杏子 花下草上
戸の外にセエヌはありし年忘れ 小池文子 巴里蕭条
房州の波を見に来つ年忘 野村喜舟 小石川
手をしかと握りて泣けり年忘 岸風三樓
折角に忘れて居たを年忘 一茶
拭きこみし柱の艶や年忘 久保田万太郎 草の丈
新橋の奥の細道年忘れ 高澤良一 宿好 
明日あるを当然として年忘 平井さち子 紅き栞
春かけて旅の万(よろづ)や年忘れ 惟然 俳諧撰集「有磯海」
朝の間に文使ひして年忘れ 井月の句集 井上井月
木屋町も久しぶりなる年忘 森桂樹楼
来て泊る横川の僧や年忘 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
歌よみの猛き言の葉年忘 森田峠 逆瀬川
歌舞伎座の絨毯踏みつ年忘 渡邊水巴 富士
毒舌も親しさのうち年忘 山田弘子 初期作品
毛氈の緋のはなやぎや年忘 久保田万太郎 流寓抄
水仙に写真のライト年忘れ 百合山羽公 寒雁
江ノ島の模糊と浮べり年忘 水原春郎
泣き上戸われを離さぬ年忘 小坂蛍泉
泣き人形交々叩き年忘れ 川村紫陽
海原をうしろに昼の年忘れ 松根久雄
海老の眼のあまりに黒し年忘れ 横山白虹
海賊鍋をどりづめなる年忘 工藤義夫
深大寺蕎麦にあづかる年忘 上田五千石 琥珀
漁火のちかぢかとある年忘 勢力海平
燭まして夜を続ぎにけり年忘 黒柳召波 春泥句集
父を恋ふ虚子の一軸年忘れ 成瀬正とし 星月夜
牛の子の角や待つらん年忘れ 荊口 俳諧撰集「有磯海」
独り者ゐるが興添へ年忘 山田弘子 螢川
独り酌む番茶よく出ぬ年忘 中島月笠 月笠句集
猪鍋の火がやや強し年忘れ 土方秋湖
玉子吸ふ女も見えつ年忘 黒柳召波 春泥句集
甘口の酒も好みや年忘 大場白水郎 散木集
生きて泣く籏こと給ふ年忘 石川桂郎 含羞
生き残りたるは四五人年忘 野原春醪
白雲を雪嶺と見て年忘れ 阿部みどり女
笑より涙あふれて年忘れ 林 翔
笑顔見て笑顔となりぬ年忘れ 宮本和代
箸袋裂きて句をとめ年忘れ 赤松[けい]子 白毫
糟糠の妻にも一つ年忘れ 相馬沙緻
美穂女には会へず浪速の年忘 浅井青陽子
義埋もまた楽しみもまた年忘 稲畑汀子
而して白陀がどんや年忘れ 石塚友二
耳しひに声々は楽年忘れ 皆吉爽雨
耳しひのひとり笑はず年忘れ 大竹きみ江
聞えたるいかもの食や年忘 高田蝶衣
腰掛の樽叩きつれ年忘 肥田埜勝美
膝抱きて荒野に似たる年忘れ 山田みづえ 忘
若き人ゐなくて愉し年忘 田中裕明 先生から手紙
若後家のあたりに酔うて年忘れ 井上井月
薬のむ水かたはらに年忘れ 吉本伊智朗
行灯を消せば鼠の年忘れ 丈草
衝立の花鳥はなやか年忘れ 木国
襟巻と手袋買つて年忘れ 田中冬二 若葉雨
貝で呑む人をあふぐや年忘 黒柳召波 春泥句集
起々の顔でとなりへ年忘れ 斯波園女
越よりの酒に限りや年忘れ 中戸川朝人 星辰
逢ふに似てはねる炭火や年忘 石川桂郎 四温
過去に生きし老どち寄りて年忘れ 福田蓼汀
酌下手の妻を呵(しか)るや年忘 草城
酒量落つ話どうでも年忘 高澤良一 燕音 
酔ひ臥しの妹なつかしや年忘れ 召波
酔臥の妹なつかしや年忘 黒柳召波 春泥句集
金輪際歌はせて年忘れけり 岩崎照子
銀杯に灯ののり易き年忘れ 蓬田紀枝子
鍋に火のよく廻りたる年忘れ 佐川広治
階段の上のくらがり年忘 藺草慶子
雨中来て袴ぬらしぬ年忘れ 岡本松浜 白菊
須弥壇の闇に隣し年忘れ 亀井糸游
飛行距離伸ばさぬ鳶と年忘れ 原裕 青垣
馬方や恋を罵る年忘 竹冷句鈔 角田竹冷
駅近き会場と決め年忘 稲畑汀子
魚鳥の心は知らず年忘れ 松尾芭蕉
鯛焼を買ひもて食へり年忘 八木林之介 青霞集
鰓なでて酒のむ癖や年忘れ 野村喜舟
黒膳の整然並ぶ年忘 高木 静花
五臓六腑に忘年の酒そそぐ 辻田克巳
友あらずとも忘年の灘の綺羅 斎藤梅子
忘年のどの座にも居る鍋奉行 田中英子
忘年のはなやぎとなり石鼎忌 沖山智恵子
忘年のやさしさ負うて馬の肌 対馬康子 愛国
忘年の城全燈を灯しけり 館岡沙緻
忘年の小舟浮かべて平らかなり 熊谷静石
忘年の山河はまざと鶴翔たず 齋藤玄 『無畔』
忘年の山遠ければ遠き闇 平根良子
忘年の星に酔いどれ天使かな 高澤良一 燕音 
忘年の水の上にある虫柱 山尾玉藻
忘年の火の粉流るる竹の幹 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
忘年の街に別るる好敵手 椎橋清翠
忘年の駅乗り過ごす為体(ていたらく) 高澤良一 さざなみやっこ 
忘年の鳥湧きて消ゆ妃陵あり 山本洋子
忘年やワインにゆるる海のいろ 山崎悦子
忘年や本物は見ぬ己の顔 出井一雨
忘年や真赤な薔薇の束を抱き 吉田トヨ
忘年や身ほとりのものすべて塵 桂信子
忘年や酔うてさみしきおどけぶり 小島千架子
忘年や醸(う)れて梅酒の真紅 辻桃子
忘年酒とどのつまりはひとりかな 清水基吉
森の影ある忘年の葱畑 和知喜八 同齢
獏を見て我が忘年としたりけり 北見さとる
立つてゐる費とが忘年曾幹事 千原草之
紙ひとり燃ゆ忘年の山平ら 飯田龍太
葬列ながし忘年の酒飲みおれば 鈴木六林男 谷間の旗
あなまたや忘年会の招き文 石塚友二 光塵
くじ引きの座に上下なし忘年会 山本 千代
しんと静まり返り忘年会終る 右城暮石 声と声
一明眸またたきともる忘年会 辻田克巳
八畳はこんなに坐れる忘年会 池田澄子 たましいの話
同人会忘年会と金嵩む 高澤良一 鳩信 
忘年会くづれの一人書肆に入る 下村ひろし 西陲集
忘年会くづれの熱き蕎麦湯かな 鈴木しげを
忘年会つゞきし故の不参とも 千原叡子
忘年会一番といふ靴の札 皆川盤水
忘年会妻にはありて吾になし 高澤良一 随笑 
忘年会果てて運河の灯影かな 小川濤美子
忘年会脱けて古本漁りけり 阿片瓢郎
忘年会船一便をやりすごす 秋光泉児
月まぶし忘年会を脱れ出て 遷子
知り過ぎし忘年会の顔並ぶ 佐々木ちてき
立つてゐる人が忘年会幹事 千原草之
遅参なき忘年会の始まれり 普羅
酔はさんと忘年会のはかりごと 鈴木洋々子
雀見て忘年会へ急ぐかな 岸本尚毅 鶏頭
御勝手にお唄ひなされ年忘  高澤良一  随笑
岡晴夫(オカツパル)たうたう出たか年忘  高澤良一  石鏡
下田稔兄
亡き人の十八番を唄ふ年忘  高澤良一  石鏡
熱唱に六十余州年忘れ  高澤良一  暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-12-27 00:24 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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