2017年 03月 18日 ( 19 )

舞初 の俳句

舞初 の俳句

舞初

例句を挙げる。

幸若の今の世になし舞初 岩谷山梔子
梅の精狂ふ舞初うつくしく 山口青邨
舞初のおひとはるかに拝しけり 黒田杏子 花下草上
舞初のきりきりと締む男帯 中村笙川
舞初の伏目のままに舞ひ通す 渡辺千枝子
舞初の唄仕る師匠かな 馬場星斗
舞初の女大名太郎冠者 後藤夜半 底紅
舞初の子のしづかなる瞳にあへり 堀稲花
舞初の扇があたる電灯に 田川飛旅子
舞初の扇ぱちりと開きけり 金堂豊子
舞初の扇大きく見えしこと 小田尚輝
舞初の扇子ぱつちり開きけり 青柳薫也
舞初の眼ざし宙を宙を追ふ 村上梅泉
舞初の衣裳のままで昼餉どき 松原文子
舞初の露路の奥なる師匠かな 坂東みの介
舞初めのひとり丹柱がくれかな 八染藍子
舞初めの女大名太郎冠者 後藤夜半
舞初めの扇が当る電燈に 田川飛旅子 花文字
舞初めの袂と云ひて抱きゆけり 泉登志
舞初やわが好きのもの所望され 高浜虚子
舞初や女の中の美少年 岡本松濱
舞初や年端もゆかず恋の所作 中 火臣
舞初や扇子無双の槍として 田保与一
舞初や昔おぼえを仕る 白井一江
舞初や朱のはなやげる鼓の緒 宇田零雨
舞初や父がゆづりの修羅扇 小疇静子
舞初や習ひはじめの御所車 高橋淡路女 梶の葉
舞初や鐘を撞くにも扇もて 大堀柊花
白扇を日とし月とし舞始め 木内怜子

舞初 補遺

梅の精狂ふ舞初うつくしく 山口青邨
舞そめや金泥ひかる京扇 正岡子規 舞初
舞初のそれも荻江の松竹梅 高浜年尾
舞初の女大名太郎冠者 後藤夜半 底紅
舞初の扇はさみし帯かたき 鷲谷七菜子 黄炎
舞初の胸乳の張れる巫女ならん 佐藤鬼房
舞初めのつと取り落としたる扇子 鷹羽狩行
舞初めの扇を捨ててより狂ふ 鷹羽狩行
舞初めの発止とひらく扇かな 鷹羽狩行
舞初めの竹の精いま梅の精 鷹羽狩行
舞初めの足袋の汚れのなしとせず 鷹羽狩行

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 04:37 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初釜 の俳句

初釜 の俳句

初釜

例句を挙げる。

初点前ゆたかに膝をまはしけり 森澄雄
初点前祖母の帯地の出し袱紗 吉川与音
初釜にまがる小袖の梅小紋 今井つる女
初釜にスカート緑濃き乙女 百合山羽公 故園
初釜に侍すや故山の風の音 大串 章
初釜に孔雀天目初使ひ 下村ひろし 西陲集
初釜に座して少年まばたける 原田喬
初釜に招かれ月日動き出す 山田弘子 こぶし坂
初釜のこゝろつもりの庭掃除 福田繁子
初釜のたぎちはげしや美女の前 西東三鬼
初釜のはやくも立つる音なりけり 安住敦
初釜のやがて鳴るべき時来たり 高浜年尾
初釜の一と言ふ軸めでたけれ 五十嵐みつ子
初釜の初雪となり戻りけり 伊東余志子
初釜の幾たりか妻となり母となり 遠山弘子
初釜の座を改めて歌留多とる 宇野 氷露子
初釜の懐紙に咲ける菓子椿 細谷鳩舎
初釜の炉に太き炭一文字 佐野美智
初釜の炭を洗ひし日和かな 飯田 法子
初釜の炭火をわたる山の色 森句城子
初釜の瑕も音生むよき古び 加藤知世子 花寂び
初釜の用意の炭を洗ひ置く 三宅節子
初釜の花びら餅の紅明り 村上洋子
初釜の薄雪を踏みお正客 佐野美智
初釜の音色に力もらひけり 北光星
初釜へおろしぞめなる草履かな 近藤 紀代女
初釜やきらきらとして松の塵 奥坂まや
初釜やわれを師とよぶ十余人 及川貞
初釜や傘寿の衿を純白に 及川貞
初釜や友孕みわれ涜れゐて 八木三日女 紅 茸
初釜や嫁ぐ日近き人も居て 菅沢泰子
初釜や客としいふも夫ひとり 白石千鶴子
初釜や朝よりつゞく細雪 佐々登良
初釜や目に入るもののみな青く 渡辺千代
初釜や着物に似合ふ京ことば 沢村越石
初釜や花びら餅のうすくれなゐ 伊東余志子
初釜や茶筅にのこるうすみどり 中村みづ穂
初釜や雪に遅れて来し夫人 宮下翠舟
初釜や鹿も顔出す躙口 谷 陽右
初釜をかるく万朶の露を汲み 栗生純夫 科野路
師のつよき袱紗さばきや初点前 沢田しげ子
桜貝の如き耳してお初釜 青野きみ
瑞気とはこれ初釜を昇る湯気 山口誓子
菓子の名は下萌といふ初点前 片山由美子 風待月
足袋堅く爪先へ気や初点前 牧野寥々
雲ありてこその青空初点前 綾部仁喜 樸簡
美しき火を古色とも釜始 上田五千石
蓋置に青竹切りつ釜始 橋本雪後
機糸に屑繭引くや釜始め 倉田萩郎
うらわかき膝しづまれり初茶の湯 石田波郷
ふるさとの花の干菓子や初茶の湯 村山古郷
初茶の湯あめつち結ぶ柳かな 高林とよ子
初茶の湯名器の箱の紐を解く 滝 峻石
初茶の湯鏡花にちなむ菓子添へて 大島民郎
吾れひとり家風を継ぎて初茶湯 松原文子
松籟に日の影しばし初茶の湯 宮武寒々 朱卓

初釜 補遺

ひよどりは樟にゐるらし釜始 星野麥丘人 2002年
ふるさとの花の干菓子や初茶の湯 村山故郷
みちのくの南部の音や釜始 阿波野青畝
初点前ゆたかに膝をまはしけり 森澄雄
初点前貴人に作法なしとせし 平畑静塔
初茶の湯にて洋装の膝頭 山口誓子
初茶の湯ホテルの煖房茶室まで 山口誓子
初茶の湯心鎮まる紺絨毯 山口誓子
初茶の湯炉よりきらきら火の粉飛ぶ 山口誓子
初茶の湯紅袴の巫女が運び来し 山口誓子
初茶の湯結び柳の真ん円く 山口誓子
初茶の湯茶筅細かく回し始む 山口誓子
初茶の湯運ぶ八等身女性 山口誓子
初茶の湯障子のみにて寒さ堰く 山口誓子
初釜にスカート緑濃き乙女 百合山羽公 故園
初釜に参りて田居の雁をききぬ 水原秋櫻子 雪蘆抄
初釜のもつとも厚き妻の膝 森澄雄
初釜の人に背を向く飾り海老 山口誓子
初釜の松籟奏でそめにけり 森澄雄
初釜の湯気の白さを吉とせむ 鷹羽狩行
初釜の湯気を封ぜし鉄の蓋 山口誓子
初釜は裏千家山門に菊の紋 山口青邨
初釜や木根には犬の尿あと 波多野爽波
名水の湧きてあふるる初茶の湯 山口青邨
天井にまで初釜の湯気昇る 山口誓子
怺へゐし湯気初釜の蓋取れば 山口誓子
散じたる席の初釜鳴りつづく 平畑静塔
曲直を示す柱に初茶の湯 阿波野青畝
瑞気とはこれ初釜を昇る湯気 山口誓子
畳の目かくも細かき初茶の湯 山口誓子
美しき火を古色とも釜始 上田五千石『風景』補遺
老いの耳初釜の湯気聞きすます 平畑静塔

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 04:34 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

新年会 の俳句

新年会 の俳句

新年会

例句を挙げる。

いまも師に遠く座すなり新年会 風間ゆき
今も師に遠く坐すなり新年会 風間ゆき
女子寮に男声する新年会 阿部寿雄
床生けの松大いなり新年会 平林洲芳
放浪子酒下げ故郷の新年会 千保霞舟
新年会一本締をきめて果つ 本橋美和
新年会夜の銀座といふところ 土井碧水
新年会果てしか雪に声高に 町田しげき
新年会校歌となりて果てにけり 宮下邦夫
新年会終へて窯場の唄荒し 中島花楠
新年会降る雪を見て高階に 川畑火川
炭火匂ひ人まだ寄らず新年会 山田春洋
袴の裾に銀座の泥や新年会 富安風生
道に逢うて並び入る門や新年会 山口うたゝ

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 04:31 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

松過 の俳句

松過 の俳句

松過

例句を挙げる。

なんとなく松過ぎ福神漬甘き 岡本 眸
一憂を持ち越せり松過ぎにけり 本土みよ治
一頭の馬松過ぎの山の中 原田喬
主婦のひま松過ぎし夜の琴鳴らす 及川貞 榧の實
人の顔ふたたび寒く松過ぎぬ 井沢正江 火襷
何するとなく松過ぎてしまひけり 那須乙郎
劇場街青空ふかく松過ぎぬ 河合拓雄
喪服などその儘に松過ぎてをり 古賀まり子 緑の野以後
小田原に半日居りて松過ぎぬ 吉田鴻司
明日受賞松過ぎの月大きかり 毛塚静枝
松過きし人の心や杜甫が銭 尾崎紅葉
松過ぎしことをも忘れゐたるかな 黒川悦子
松過ぎし勤労の餉にたんのうす 西島麦南 人音
松過ぎし師の家に飢満たしをり 細川加賀
松過ぎし父亡き部屋の広々と 上野 静作
松過ぎてがらりと変る人通り 星野立子
松過ぎてなほ賀状来る賀状出す 山口波津女
松過ぎてなまこのような人がいる 青木貞雄
松過ぎてよりの一人の楽しくて 高木晴子 晴居
松過ぎてサラダ色めく夕餉膳 初川トミ子
松過ぎて伊万里の鉢の残り菓子 今泉貞鳳
松過ぎて個室の孤独始まれり 朝倉和江
松過ぎて再び雪の大路かな 浅野白山
松過ぎて夜汽車欲しがる体あり 櫂未知子 蒙古斑以後
松過ぎて年始まはりの役者かな 中村吉右衛門
松過ぎて教師に戻る夜の日記 星野麦丘人
松過ぎて橋の無い川暴れ出す 中村和代
松過ぎて父の辺に殖ゆ漢学書 杉本寛
松過ぎて狐の皮の干されけり 白岩てい子
松過ぎて蓮如の像に風の声 石黒哲夫
松過ぎて読むや賀状を叮嚀に 秋月すが子
松過ぎて雨の一日の束ね髪 古賀まり子
松過ぎて頼り来りしみよりかな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
松過ぎといふ光陰を惜みけり 深見けん二
松過ぎぬ砲車轣轆と夜半を過ぎ 中島斌男
松過ぎのある日染み入る酒の味 永井龍男
松過ぎのかきもち焦げる香に坐せり 渡辺桂子
松過ぎのかへる田舎のありし母 神尾久美子 桐の木
松過ぎのさびしさはひとりだけのもの 加倉井秋を 午後の窓
松過ぎのそのさみしさとこゝろづく 篠田悌二郎
松過ぎのひと只逝き泣きにけり 佐川広治
松過ぎのまつさをな湾肋骨 原田喬
松過ぎのめし美しく炊きあがる 辻美奈子
松過ぎのノンバンクの灯にゆられ 菊川貞夫
松過ぎの一日二日水の如 川崎展宏
松過ぎの万歳が降り文庫駅 青木重行
松過ぎの事業怒濤のごとく寄す 小路紫峡
松過ぎの今年の晴れのまだつづく 安養白翠
松過ぎの列が校舎へ入りゆける 永井龍男
松過ぎの前山に煙上りゐる 青柳志解樹
松過ぎの又も光陰矢の如く 高浜虚子(1874-1959)
松過ぎの夕日濃くなる日本海 佐川広治
松過ぎの大阪人のたよりかな 久保田万太郎
松過ぎの天に脚組み電工夫 槫沼けい一
松過ぎの天より垂るる暮色かな 櫛原希伊子
松過ぎの家居の雨となりにけり 安住敦
松過ぎの富士山見ゆる駅に来て 原田青児
松過ぎの寒さ白日たぎる潮 渡邊水巴 富士
松過ぎの少し熱めの湯の加減 高澤良一 素抱
松過ぎの帽子がなじむ頭かな 田川飛旅子
松過ぎの床の間らしく飾られて 成瀬正とし 星月夜
松過ぎの廓の客となりにけり 角川春樹
松過ぎの弁当つめてもらひけり 清水基吉
松過ぎの後山に淀む炭煙り 飯田蛇笏 椿花集
松過ぎの手触れてこぼす壺の花 関戸靖子
松過ぎの提灯増やす人形屋 佐藤文子
松過ぎの散髪老人ばかりにて 高澤良一 素抱
松過ぎの日と風翼あるものに 高澤良一 随笑
松過ぎの日をぞんぶんに路地ぐらし 菖蒲あや
松過ぎの月が散らせし小雪あり 永井龍男
松過ぎの机上に光る紙ナイフ 淵脇護
松過ぎの水仙さびし木瓜活けよ 永井龍男
松過ぎの泊船へ漕ぐ遊女かな 矢津 羨魚
松過ぎの波を納めて安芸の国 角川照子
松過ぎの熟柿を匙ですくひゐる 鳥居おさむ
松過ぎの玉露に癒えし舌の荒 久米正雄 返り花
松過ぎの直りて動く貯金箱 中桐晶子
松過ぎの福神巡りしたりけり 青木月斗
松過ぎの空を鳴らして風小僧 高澤良一 随笑
松過ぎの羽子の漂ふ隅田川 冨田みのる
松過ぎの肉桂のにほふ五色豆 高澤良一 燕音
松過ぎの自転車を踏む思ひかな 藤田あけ烏 赤松
松過ぎの荷風ゆかりの天丼屋 渡辺二三雄
松過ぎの葉書一枚読む日暮 廣瀬直人
松過ぎの蘭植ゑに来し人のあり 長谷川かな女 雨 月
松過ぎの街となりをり夕明り 金箱戈止夫
松過ぎの金屏を立てのこしたる 皆吉爽雨
松過ぎの附箋の手紙濡れゐたり 八田木枯
松過ぎの雨のひと日を訪ひあふも 村上光子
松過ぎの青さぶ空をかさねけり 岡井省二
松過ぎの風ごうごうと父母の顔 藤岡筑邨
松過ぎの風呂屋の前の掛凧 冨田みのる
松過ぎの髭そらぬ顔ばかりかな 加藤楸邨
松過ぎやお菓子買ひをる子供達 小澤碧童 碧童句集
松過ぎやとろ火にかざす浅田飴 龍岡晋
松過ぎやのばしてゐたる用抱ヘ 大場白水郎 散木集
松過ぎや兎角こなれぬ腹のもの 石塚友二 光塵
松過ぎや女易者が町の角 今泉貞鳳
松過ぎや妻のたしなむ実母散 龍岡晋
松過ぎや宵より星の爛々と 相馬遷子 雪嶺
松過ぎや斑雪の上の雪催ひ 石田波郷
松過ぎや柚子落ちてゐる藪の中 腰山梅子
松過ぎや街はる~と葬車駆る 飯田蛇笏 霊芝
松過ぎや酔うて来し仕儀しかじかと 永井龍男
松過のお稽古ごとに身を入れて 吉田小幸
松過のがらりと変る人通り 星野立子
松過の会といふのもふさはしく 稲畑汀子
松過の又も光陰矢の如く 高浜虚子
松過の月明し酔へる人に会はず 原田種茅 径
松過の木曾に雪無き淋しさよ 池田圃村
松過の港泊りの女づれ 藤田湘子 春祭
松過の蕎麦の鶉の卵かな 藤田湘子 春祭
松過の身ぢかの仏送りけり 石原舟月 山鵲
松過の銀座和光に待ち合はせ 山田閏子
松過の餅焼く匂ひ山の駅 及川秋美
松過やふと近くある妻の顔 藤田湘子 雲の流域
松過やよろづに七味唐辛子 岸本尚毅
松過や個展の椅子に深坐り 八木林之助
松過や織りかけ機の左右に風 芝不器男
松過や肉屋は鉤に肉吊し 栗原米作
栃木屋の鴨啼いて松過ぎにけり 藤田あけ烏 赤松
汐まねき雑魚に交りゐて松過ぎぬ 長谷川かな女 花寂び
潮騒や松過ぎの咳落すのみ 渡辺七三郎
犬つれて松過ぎの人歩きけり 高橋淡路女 梶の葉
球戯場出て松過ぎの焼山硬く 宮武寒々 朱卓
美しきものみな寒く松過ぎぬ 金児杜鵑花
自転車が過ぐ松過ぎの雪雫 中拓夫 愛鷹
船乗は船に帰りて松過ぎぬ 福田蓼汀 山火
色なきも砂糖湯一杯松過ぎぬ 中村草田男
馬ばかりゆき松過ぎの牛を見ず 下村槐太 天涯
鼓打つ人今は亡く松過ぎぬ 松本つや女
一盆のこぼれ繭玉松すぎぬ 皆吉爽雨
山川をながるゝ鴛鴦に松すぎぬ 飯田蛇笏
松すぎし祝祭の灯にゆきあへり 飯田蛇笏 春蘭
松すぎのはやくも今日といふ日かな 久保田万太郎
松すぎのをんなの疲れ海苔あぶる 渡辺桂子
松すぎの寒さもどしぬ堰の上 石川桂郎 高蘆
松すぎの遠濤みゆる夕竃 柴田白葉女 遠い橋
松すぎや宵のちまたにすまふとり 木津柳芽 白鷺抄
いつものやうに鍵かけ松も過ぎ 加倉井秋を 午後の窓
三ケ日閃き過ぎぬ松も過ぎぬ 石塚友二 光塵
佃煮の釜のほてりや松も過ぎ 今泉貞鳳
前向きとなりし姿勢に松も過ぎ 中川秋太
大津繪に散財始め松とれて 高澤良一 燕音
普段着のこころに松も過ぎてけり 石塚友二
朝からの雀のこゑや松とれて 高澤良一 さざなみやっこ
松とれし一つ地球にいくさあり 都筑智子
松とれし下田や遺る海鼠壁 貞弘 衛
松とれし公民館に本返す 稗田 富貴子
松とれし心ゆとりや雪が降る 臼田亜浪 旅人
松とれし町の雨来て初句会 杉田久女
松とれし門の椿に花ありぬ 林原耒井 蜩
松とれてゆるき刻あり没日あり 金田咲子 全身 以後
松とれて俄に雪の山家かな 東洋城
松とれて太田胃散もなべて暇 高澤良一 素抱
松とれて夫と向きあふ灯をともす 長野多禰子
松とれて妻の座ぬくし渋茶の香 豊島登風
松とれて小穴二つや門の前 肋骨
松とれて後の睦月のかけ足に 草村素子
松とれて心の内に頭上ぐ虫 高澤良一 燕音
松とれて日ぐれ夜ふけとピアノ弾く 及川貞 夕焼
松とれて日はさんさんと高梢に 高澤良一 随笑
松とれて湯町に戻る川の音 高澤良一 寒暑
松とれて費えのうちの芋大根 石橋秀野
松とれて鉄門鉄に戻りけり 大西一冬
松とれて雪降りて常の日となりぬ 及川貞 夕焼
槇垣のうちより琴や松も過ぎ 岸風三樓
看とられて松も過ぎしとおもふのみ 稲垣きくの
腰にせる懐炉大事に松も過ぎ 岸風三樓
薪割る音また響く松とれて 高浜虚子
門ゆくも心安けれ松とれて 高橋淡路女 梶の葉
さりげなく妻の外出や松明けぬ 千葉 仁
松明けの蟹船を出てゆきにけり 古舘曹人 樹下石上
松過ぎの洗濯物に差す薄日 高澤良一 暮津

松過 補遺

なんとなく松過ぎ福神漬甘き 岡本眸
主婦のひま松過ぎし夜の琴鳴らす 及川貞 榧の實
地震あとの声松過ぎの家々に 桂信子 花影
山川をながるる鴛鴦に松すぎぬ 飯田蛇笏 春蘭
晴れすぎるほどの青空松過ぎぬ 村山故郷
松すぎし祝祭の燈にゆきあへり 飯田蛇笏 山響集
松すぎのなほ賀客とし田舎より 高浜年尾
松すぎの寒さもどしぬ堰の上 石川桂郎 高蘆
松すぎの慌しさにすぐ慣れし 高浜年尾
松すぎの牝牛をつなぐ蔬菜園 飯田蛇笏 白嶽
松の内松過と日は経ち易し 富安風生
松明けの天の岸辺の嗚咽かな 佐藤鬼房
松明けの手斧の音の午ちかき 飴山實 花浴び
松明けの蟹船を出てゆきにけり 古舘曹人 樹下石上
松明けを気楽にいでて人を訪ふ 高浜年尾
松過ぎし勤労の餉にたんのうす 西島麦南 人音
松過ぎし富士の真白に風の上 高田風人子
松過ぎてより寵愛の烏賊徳利 後藤比奈夫
松過ぎてより届きたる絵馬一つ 後藤比奈夫
松過ぎて十日を過ぎて畑の雪 山口誓子
松過ぎて忘れさるべき何々ぞ 上田五千石『琥珀』補遺
松過ぎて漸く天気崩るゝか 星野立子
松過ぎて葉牡丹畑跡もなし 伊丹三樹彦
松過ぎて足袋屋は足袋を作りをり 藤田湘子 神楽
松過ぎにけり風呂桶の蓋干して 岡本眸
松過ぎに松過ぎにとて松過ぎぬ 富安風生
松過ぎのがらりと変る人通り 星野立子
松過ぎのしばらく翳る電車の中 廣瀬直人
松過ぎのもぐら土あぐ牡丹の根 細見綾子
松過ぎの切岸急に晴れわたる 佐藤鬼房
松過ぎの只の太陽はしりをり 加藤秋邨
松過ぎの堰切つて時なだれだす 鷹羽狩行
松過ぎの声を大きく酒の礼 鷹羽狩行
松過ぎの夕日さしゐる白襖 飯田龍太
松過ぎの寒さ白日たぎる潮 渡邊水巴 富士
松過ぎの後山に淀む炭煙り 飯田蛇笏 椿花集
松過ぎの手足の爪も伸びにけり 鷹羽狩行
松過ぎの橙落ちて拾はれず 伊丹三樹彦
松過ぎの灰のぬくもり夕座敷 桂信子 花影
松過ぎの葉書一枚読む日暮 廣瀬直人 帰路
松過ぎの賀客よカジユアルウェアー褒め 林翔
松過ぎの青さぶ空をかさねけり 岡井省二 鹿野
松過ぎの駅裏に病む体置く 佐藤鬼房
松過ぎの鬚そらぬ顔ばかりかな 加藤秋邨
松過ぎの黒豆を煮る鉄の鍋 草間時彦
松過ぎや兎角こなれぬ腹のもの 石塚友二 光塵
松過ぎや宵より星の爛々と 相馬遷子 雪嶺
松過ぎや絵筆洗ひし水のいろ 山田みづえ 木語
松過ぎや街はる~と葬車駆る 飯田蛇笏 霊芝
松過ぎや骨湯にしんまであたたまり 鷹羽狩行
松過といふ刻もまた流れそむ 後藤比奈夫
松過の一日は蓮の枯を見に 安住敦
松過の友蹌踉と来りけり 山口青邨
松過の子が来て妻とあそびをり 安住敦
松過の幸運それはトランプの 山口青邨
松過の病人見舞ふ一事あり 安住敦
松過の盆梅紅白盛りなり 山口青邨
松過の鉄扉押しあげ女出づ 岡本眸
松過の風雪にある小家かな 富安風生
松過や絵巻の中の鷹ヶ峰 藤田湘子 神楽
縛レられて蛸が畦行く松過ぎぬ 秋元不死男
船乗は船に帰りて松過ぎぬ 福田蓼汀 山火
色なきも砂糖湯一杯松過ぎぬ 中村草田男
覚めてゐて目つむりてゐて松過ぎぬ 岡本眸
誰となく燈の数へらす松過ぎは 能村登四郎
逢はざりしみじかさに松過ぎにけり 上田五千石 琥珀
遠嶺すみ御はふりの火に松過ぎぬ 飯田蛇笏 白嶽
都心を柩車 松過ぎの一目礼もなし 伊丹三樹彦
雪といふほどもなきもの松過ぎに 能村登四郎
飲食の虔みも解く松過ぎて 能村登四郎
馬ばかりゆき松過ぎの牛を見ず 下村槐太 天涯

松過 続補遺

松過てうれしや終の道 杉風
松過や小ひらめなどのとれて来る 鈴木道彦
松過やすこし気をもつ芝ざかな 寥松
松明けして見るやそこから雪の山 成田蒼虬

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 04:22 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初句会 の俳句

初句会 の俳句

初句会

例句を挙げる。

ねんごろな言伝とどき初句会 中村汀女
はなやぎてをみなばかりの初句会 中村澄子
まむかひに海と山ある初句会 峰尾みち子
みづうみを見て来し旅や初句会 角川春樹
ゆらゆらと人妻の香や初句会 鈴木鷹夫
上人と一つ火桶に初句会 原田浜人
中の誰が起す風雲初句会 林翔
丸ビルの最後の初句会となり 稲畑廣太郎
俳句莫迦ばかり集り初句会 高澤良一 随笑
初句会ふたたび運を賜はりぬ 徳光光女
初句会亡き師に会はん心地して 山田凡二
初句会人みな老ゆること忘れ 山崎千枝子
初句会何はともあれ机出す 高木晴子 花 季
初句会手の切れさうな空を詠む 杉野諒一
初句会旅戻りなる顔もありぬ 松根東洋城
初句会既に二十日も過ぎんとす 高浜年尾
初句会星美しき家路かな 内藤豊子
初句会末座に闘志しづかなり 長浜大薩子
初句会浮世話をするよりも 高浜虚子
初句会確かむ紙の裏おもて 高澤良一 随笑
初句会終へたる帯をゆるめけり 館岡沙緻
初句会綺麗に句箋裁たれたり 野村喜舟
厨より妻も出句や初句会 宮下翠舟
受付のロビー華やぐ初句会 長崎小夜子
吾のみに火桶たまはる初句会 滝 春一
嘱目に枯尾花あり初句会 富安風生
壁に杖立てかけてあり初句会 高澤良一 宿好
大学のまんなかにある初句会 田中朗々
大川を窓下に見つつ初句会 長屋せい子
天寿国隅許されし初句会 田仲了司
妹がりの初句会とて五六人 高濱年尾 年尾句集
嬰留守の揺りかごのぞく初句会 植村通草
字余りの如き余生や初句会 吉野香風子
小人数の親しき仲の初句会 松本たかし
小短冊綺麗に揃へ初句会 高濱年尾 年尾句集
屑籠の編目に日透く初句会 沢木欣一
平凡に老いて座にあり初句会 宮内保寿庵
御幸橋渡りて来たる初句会 渡辺 しづ
折詰の紐の赤房初句会 猿橋統流子
持ち古りし歳時記大事初句会 吉屋信子
松とれし町の雨来て初句会 杉田久女
枯芝を踏んで囑目初句会 吉屋信子
沈丁はもう赤らみて初句会 星野立子
法華寺さま菓子も薄紅初句会 澤田弦四朗
生涯の句なり君とりてよ初句会 山口青邨
眼前に東山あり初句会 五十嵐播水 播水句集
窓の富士いときはやかや初句会 徳永山冬子
窓近く東山あり初句会 岩崎照子
紙といふこの白きもの初句会 池田秀水
美しき菓子を持ち寄り初句会 岡部六弥太
老眼の眼鏡清めて初句会 星 陽子
見渡して誰彼若し初句会 小出秋光
角櫓明るく見ゆる初句会 原山 英士
軍靴古りほとんどを占め初句会 永井龍男
辰年の辰の日なりし初句会 脇本良太郎
遺されし筆硯座右に初句会 星野立子
鐘も経も聞こえて庫裏に初句会 山田弘子 初期作品
雨降りの小間はよきかな初句会 高木晴子 花 季
鴉鳶鵙鵯の声初句会 松根久雄
山の気に声ややさぶる初披講 栗生純夫 科野路

初句会 補遺

いわきより蕗のたうさげ初句会 細見綾子
にぎはひに恋句投げんか初句会 上田五千石『琥珀』補遺
中の誰が起す風雲初句会 林翔
二人一人六人どつと初句会 高田風人子
初句会その天賞の硯ぞよ 石塚友二 玉縄以後
初句会万年筆の赤い軸 亭午 星野麥丘人
初披講声音の無理を通しけり 上田五千石『琥珀』補遺
君と共に發句話さん事始 正岡子規 初句会
妹がりの初句会とて五六人 高浜年尾
小人数の親しき仲の初句会 松本たかし
書き捨つる句をいとほしむ初句会 山口青邨
末座より名乗り大きく初句会 上田五千石『琥珀』補遺
松とれし町の雨来て初句会 杉田久女
狭き家にざわめき起り初句会 高浜年尾
生涯の句なり君とりてよ初句会 山口青邨
虎舞の人形飾り初句会 山口青邨
虚仮の世に虚仮のかほ寄せ初句会 飴山實 花浴び
虚子庵に集ふならひの初句会 星野立子
足尾より陶師も参ず初句会 村山故郷
逆廻りなる稿がくる初句会 能村登四郎
遺されし筆硯座右に初句会 星野立子
那須人が字引を請ひぬ初句会 細見綾子
雑草園梅万蕾の初句会 山口青邨

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 03:39 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初旅 の俳句

初旅 の俳句

初旅

例句を挙げる。

何の生簀かんの生簀と知多初旅 高澤良一 鳩信
初旅にして大いなる富士を見し 小林牧羊
初旅にすぐ艶歌師の恋の唄 殿村菟絲子
初旅に仰ぐシャガール抱擁図 村上 光子
初旅に恋ふ山のあり湖のあり 山田弘子 螢川
初旅に買ひし藺草の色紙掛 山田弘子 初期作品
初旅に雪の富士見え言ふことなし 岩崎照子
初旅のいつか添ひゐる浮寝鳥 吉田鴻司
初旅のしかも世に出る門出かな 鈴木洋々子
初旅のしばしば富士に逢ひにけり 田村木国
初旅のぞつと裏富士抜衣紋 川崎展宏
初旅のつくづく木々なり烏なり 池田澄子 たましいの話
初旅のまづ万歳の三河かな 百合山羽公
初旅のテレフォンカードまだ無傷 中尾杏子
初旅の一歩すなはち磯椿 岡本まち子
初旅の一舟かかる淡路島 羽柴鏡女
初旅の亀山の月曇る春 飯田蛇笏 霊芝
初旅の伊豆湯ヶ島にあくがるる 矢島渚男 延年
初旅の列車といふも一輛車 松倉ゆずる
初旅の友来る富士の裾野より 沢木欣一
初旅の吾に亀裂の干潟あり 榎本愛子
初旅の大山を負ふ駅つづく 皆吉爽雨
初旅の始動エンジン快調に 佐藤信子
初旅の宿は妻籠に定めけり 磯野充伯
初旅の富士の白無垢たぐひなし 西田浩洋
初旅の富士より伊吹たのもしき 西村和子
初旅の富士海に見し山に見し 石川星水女
初旅の晴れ晴れしさよ焼津富士 大谷句仏
初旅の桟橋なれば大揺れに 辻 桃子
初旅の橋をいくつも渡りしこと 伊藤通明
初旅の熊野雷鳴もて明くる 山口超心鬼
初旅の眼裏すでに雪降れり 古賀まり子 緑の野以後
初旅の破魔矢挿す荷を枕上み 茂里正治
初旅の終る街の灯近づき来 梅田実三郎
初旅の肝に力の入る離陸 水上陽三
初旅の膳に両眼立てて蟹 亀井糸游
初旅の雪の近江に雪あらず 百合山羽公 寒雁
初旅の靄にしづめる葡萄郷 山口青邨
初旅の靴の紐締む詩碑の前 山口超心鬼
初旅の鞄に加へ朱印帳 澤島郁子
初旅の鞄一個のレモン秘む 井上 雪
初旅の駅毎に雪深くなり 石井とみ子
初旅はシェークスピアの眠る国 星野椿
初旅やまだ着こなせぬ母の衣 中嶋秀子
初旅や住み憂きといふ能登の旅 瀧 春一
初旅や全き富士を天に置き 壺井久子
初旅や午後の紅茶は東京で 佐土井智津子
初旅や存分に見し鶴の舞 大橋敦子 勾 玉以後
初旅や寒き若狭へ志ざし 野村喜舟
初旅や小松がもとの菜の青さ 稲垣きくの 黄 瀬
初旅や山を従へ船にあり(三河篠島) 上村占魚 『方眼』
初旅や山川つねにわが師なり 吉井莫生
初旅や島の昼餉の鯛茶漬 轡田 進
初旅や嵐の好きな一家族 遠山郁好
初旅や彼方よりただ新大気 中村草田男
初旅や明るき雪の山つづき 阿部みどり女
初旅や月のみの空柔かく 呂啓愉
初旅や木瓜もうれしき物の数 正岡子規
初旅や死出のごとくに片付けて 徳淵富枝
初旅や母を看とりの汽車に乗る 藤間 蘭汀
初旅や赤ベコ首を振る車窓 町田しげき
初旅や近づくものに男山 佐野青陽人
初旅や銀の器に洋酒入れ 小島健 木の実
初旅や雪に灯の入る遠野郷 小島健 木の実
初旅や駄足のような尿重ね 金子兜太
初旅を子に奢らるるめでたさよ 関口祥子
初旅を慰め顔の野菊かな 正岡子規
地図好きの方と初旅して三河 高澤良一 鳩信
妻子つれし初旅法隆寺に暮れぬ 川口川郎
富士を見しこと初旅の余恵とす 辻田克己
恒例の初旅年金取り崩し 高澤良一 宿好
曉闇を押しゆくごとく初旅へ 奈良文夫
荒海見んと一途な夫が初旅へ 槫沼清子
蛸薬師にて初旅の夜が来ぬ 藤田湘子
還暦の初旅花の村に着く 下田稔
雑木山にこぶし點々子の初旅 細見綾子
雪国の雪見ん心初旅に 宮田帰郷
磁石の蓋閉ぢて山旅始かな 上田五千石
心臓の直しが利きて旅始め 高澤良一 鳩信
さきざきに富士を眩しむ旅始め 高澤良一 ぱらりとせ
旅人や鞍に梅さす初駅 安井小洒
さきざきに富士を眩しむ旅始め 高澤良一 ぱらりとせ
年頭の旅の誘ひの声掛かる 高澤良一 宿好
年頭の旅はいつもの顔ぶれで 高澤良一 宿好

初旅 補遺

あの若衆初旅ならん笠の雪 水颯
一揖に社頭よぎりぬ旅始 上田五千石『風景』補遺
初旅といふも仕事を携へて 稲畑汀子
初旅となりて叩かむ一夜庵 阿波野青畝
初旅のまづ万歳の三河かな 百合山羽公 樂土以後
初旅のまづ富士見ゆる窓がよし 桂信子 草影
初旅の三保の松原にて暮れぬ 鈴木真砂女 夏帯
初旅の亀山の月曇る春 飯田蛇笏 霊芝
初旅の伊豆にて流れ跳びにけり 大野林火 月魄集 昭和五十六年
初旅の僧が案内の惟然坊 松崎鉄之介
初旅の座敷くれなゐ八ケ岳を窓 山口青邨
初旅の暮るゝに過ぎぬ奈良井宿 上田五千石『風景』補遺
初旅の終りにはかに灯の増えて 鷹羽狩行
初旅の雪の近江に雪あらず 百合山羽公 寒雁
初旅の靄にしづめる葡萄郷 山口青邨
初旅へ赤きネクタイ選びけり 松崎鉄之介
初旅や寝返りてまた雪明り 岸田稚魚 紅葉山
初旅や常の景色の常の宿 鈴木真砂女 紫木蓮
初旅や彼方よりただ新大気 中村草田男
初旅や拾ひて捨てし貝一つ 鈴木真砂女 夏帯
初旅や木瓜もうれしき物の数 正岡子規 木瓜の花
初旅や福の字つらね下関 阿波野青畝
初旅や駅弁当を妻のため 高田風人子
初旅よ吉備のままがり咀噛せり 阿波野青畝
初旅をなぐさめ顔の野菊哉 正岡子規 野菊
初旅を戻りて米をとぎにけり 鈴木真砂女 紫木蓮
嚢中に角ばる辞引旅はじめ 上田五千石『森林』補遺
思はざる深山入かも旅始 上田五千石 琥珀
木瓜の緋を心の火とも旅はじめ 林翔
深雪踏む楽しさ胸に旅始 林翔
目を上げて初旅にあり雪の嶺 森澄雄
磁石の蓋閉ぢて山旅始かな 上田五千石『風景』補遺
雑木山にこぶし点々子の初旅 細見綾子 冬薔薇

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 03:35 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

福沸 の俳句

福沸 の俳句

福沸

例句を挙げる。

おない年めをと相老い福沸 牛尾泥中
たきつけの火の昂りや福沸 坂口 かぶん
どこよりも茶の間が親し福沸 高橋真智子
ひつそりと七日も過ぎぬ福沸 宮部寸七翁
兄鰥妹孀福沸 和田奄美人
夫婦杉拝み来てより福沸 安部 てい
楢山の馥郁とある福沸 綾部仁喜 寒木
福沸家に古りたる長火鉢 真中千栄
福鍋にきけや蓬莱の松の風 尾崎紅葉
福鍋に入るゝ菜の青よかりけり 井下猴々
福鍋に耳かたむくる心かな 飯田蛇笏
福鍋に選ぶ手慣れの片手鍋 つじ加代子
福鍋の芋ごりごりでありにけり 茨木和生 三輪崎
福鍋や田舎に住めば瓦斯恋し 高浜虚子
灰の静か鍋の静かや福わかし 松根東洋城

福沸 補遺

よろこべば齢ふくふく福沸 上田五千石『琥珀』補遺
義歯除ればまことのぢぢい福沸 阿波野青畝
鉄瓶のやがて音に出て福沸し鷹羽狩行

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 03:23 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

三ヶ日 の俳句

三ヶ日 の俳句

三ヶ日 

こゝろよき炭火のさまや三ヶ日 飯田蛇笏
なすとなくするともなしに三ケ日 井上井月
ひとりぐらしの家例も出来て三ヶ日 関口ふさの
ふくよかな大根煮がよし三ケ日 五十崎 朗
ふるさとに在る三ケ日雪止まず 今村青魚
ふるさとの海の香にあり三ヶ日 鈴木真砂女
わが勝手罷り通れり三ケ日 高澤良一 石鏡
わが名一字わけし児の来る三ヶ日 織田美智子
チューリップさして間借りや三ヶ日 鈴木真砂女
パン食の恋しくなつて三ケ日 松木つやの
ペン立てのはやごちやごちやと三ヶ日 上野さち子
ポストまで歩く時間や三ケ日 横山芦石
一人居て思ふ事なき三ケ日 夏目漱石
一人居や思ふことなき三ヶ日 夏目漱石
三ケ日いたはりし手を又使ふ 山口波津女
三ケ日おだやか四日風吹いて 高澤良一 暮津
三ケ日つかはぬ葱のにほひ来つ 能村登四郎
三ケ日どこへも行かず誰も来ず 岩永草渓
三ケ日に死にたくなしと或僧が 高浜虚子
三ケ日も書斎派と決む本買ひ込み 鈴木栄子
三ケ日やはらかきみち竹山に 岡井省二
三ケ日伊豆の湯宿に干物噛み 今泉貞鳳
三ケ日喜怒哀楽の靴並び 室山花子
三ケ日孫の玩具につまづきぬ 青木よしを
三ケ日家がふくらむほどの晴 小林タミ子
三ケ日幕張りて石屋魂ふやす 加倉井秋を
三ケ日手のり文鳥とも遊び 中嶋郷鬼
三ケ日早や過ぎ四日遅々と過ぎ 星野立子
三ケ日昨日と過ぎて湯豆腐す 小澤碧童 碧童句集
三ケ日書斎は隠れ部屋めきて 山田弘子 こぶし坂
三ケ日父居て母居てみんな居る 楠節子
三ケ日睡魔と遊ぶ閑を得し 伊藤莫乍
三ケ日袴の皺に過ごしけり 前川素泉
三ケ日過ぎたる鯖の味噌煮かな 草間時彦
三ケ日閃き過ぎぬ松も過ぎぬ 石塚友二 光塵
三ケ日雪の白さにつかれけり 倉田素商
三ケ日静かにあれば静かに過ぐ 松崎鉄之介
三ヶ日いたはりし手を又使ふ 山口波津女
三ヶ日だけは休みて受験の子 高橋妙子
三ヶ日つかはぬ葱のにほひ来つ 能村登四郎
三ヶ日夫の罪障計算す 上野さち子
三ヶ日早や過ぎ四日遅々と過ぎ 星野立子
三ヶ日死にたくなしと或僧が 高浜虚子
三ヶ日過ぎたる鯖の味噌煮かな 草間時彦
三ヶ日静かにあれば静かに過ぐ 松崎鉄之介
亀虫も出て三ケ日晴れにけり 矢島渚男 延年
京風のしきたりもよし三ケ日 田中玉夫
人の顔ほのあたたかし三ヶ日 藤陵紫泡
別れ住む子を客として三ケ日 井上土筆
厄年の風邪を貰ひし三ヶ日 湊 淑子
名山に対す厠や三ヶ日 宮武寒々 朱卓
喪隠りの塵も払はず三ケ日 清水基吉
夜は夜の楽しみのあり三ケ日 青柳薫也
大根がもつとも美味し三ヶ日 北村 保
女教師ののらくら過す三ヶ日 楠節子
好い三ケ日であつた妻のつぎものしている今晩 荻原井泉水
好天の裡に了りぬ三ケ日 高澤良一 暮津
子ら寝たり年どし迅き三ケ日 土田互平
客もなき山の教師の三ケ日 赤堀五百里
家居して婦唱夫隨の三ヶ日 加藤春彦
密に粗に風も過客や三ヶ日 伊藤 敬子
寝て過す田舎教師の三ケ日 山下しげ人
山の温泉(ゆ)に骨抜きとなる三ケ日 高澤良一 寒暑
山中の鯉にフ麸をやる三ヶ日 森 澄雄
山中の鯉に麩をやる三ケ日 森澄雄
庭雀時雨ただしき三ケ日 松村蒼石 雁
庭雀晴雨ただしき三ケ日 松村蒼石 雁
後々と日和まさりに三ヶ日 松本たかし
御神楽を舞ひふるさとの三ヶ日 星野秀則
数決めて雑煮あはれや三ケ日 石塚友二 光塵
暖炉焚くのみの奢りや三ヶ日 殿村菟絲子
机上メモまだ白きまま三ケ日 吉屋信子
机上メモまだ白きまゝ三ケ日 吉屋信子
沸き早きひとりの風呂や三ケ日 鈴木真砂女 夕螢
海を見て富士見て過す三ヶ日 星野 椿
炉を焚いて百姓らしき三ヶ日 古川あつし
父と子の声聞き違へ三ヶ日 宮地英子
独居や思ふ事なき三ヶ日 夏目漱石 明治四十三年
相承の袈裟重かりし三ヶ日 川澄祐勝
真鯉つと人の気配の三ケ日 長谷川久々子
稿起すべし三ヶ日惰に過ぎし 成田黄二
箕の中に多賀のお多福三ケ日 伊藤敬子
結局は何もせず過ぎ三ヶ日 稲畑汀子
腫れものも湯に温もりて三ケ日 高澤良一 寒暑
茫洋として夫がゐる三ヶ日 柴田白葉女 『朝の木』
薄墨のにじむを華と三ケ日 鳥居美智子
虚しさに似て倖せや三ケ日 柴田白葉女
虚しさに似て倖はせや三ケ日 柴田白葉女
街空に星粒揃ふ三ケ日 三木蒼生
装ひて母待ち臥せり三ヶ日 古賀まり子
裾を引く妻の立居や三ヶ日 三が日 正岡子規
貰ひ食ひの三ケ日暮れ痰つゝむ 岩田昌寿 地の塩
赤壁の下につぶすや三ヶ日 松浦為王
透き徹るほかなき水や三ヶ日 関口恭代
酒少し楽屋に出たる三ケ日 田中午次郎
酸素吸ふ夫の荒息三ケ日 大川幸子 『小春日和』
鐘楼に焚火跡ある三ヶ日 椎橋清翠
門さして寺町さみし三ケ日 村上鬼城
門を出でず朝風呂立てゝ三ケ日 伊藤とほる
門番に餅を賜ふや三ヶ日 正岡子規
雪虫のかくまで碧き三ケ日 道山昭爾
顔洗ふ千両のある三ヶ日 藤村克明
風邪の子につき合い過ぎし三ヶ日 稲畑汀子
風邪の子につき合ひ過ぎし三ケ日 稲畑汀子
風邪の身に艶なく過ぎし三ケ日 下村ひろし
食紅がひろがつてゆく三ケ日 宇多喜代子
飼牛に山と餌を盛り三ケ日 山下美典

三ヶ日 補遺

おのが足ついばむ三ケ日の鷲 鷹羽狩行
かけろ鳴く田子のおきふし三ヶ日 飯田蛇笏 心像
こころよき炭火のさまや三ケ日 飯田蛇笏 山廬集
ともしらの酒あたゝめぬ三ケ日 村上鬼城
ふるさとの海の香にあり三ヶ日 鈴木真砂女 卯浪
チューリップさして間借りや三ヶ日 鈴木真砂女 卯浪
三ケ日つかはぬ葱のにほひ来つ 能村登四郎
三ケ日やはらかきみち竹山に 岡井省二 明野
三ケ日を粥の湯気から妻のかほ 飴山實 句集外
三ケ日籠りて何をするでなく 高浜年尾
三ケ日過ぎたる鯖の味噌煮かな 草間時彦
三ケ日閃き過ぎぬ松も過ぎぬ 石塚友二 光塵
三ケ日静かにあれば静かに過ぐ 松崎鉄之介
三ヶ日すみし朝なり雨降りをり 村山故郷
三ヶ日家居して客にも逢はず 高浜年尾
三ヶ日手持無沙汰をめでたさに 森澄雄
三ヶ日過ぬ胡坐にとろゝ汁 寥松
三ヶ日魚河岸音をひそめけり 鈴木真砂女 紫木蓮
古きより暦もたちぬ三ヶ日 三宅嘯山
夕焼けて松籟三ケ日も終ふ 大野林火 方円集 昭和五十一年
妻には暮の多忙つづけり三ケ日 松崎鉄之介
山中の鯉に麩をやる三ケ日 森澄雄
庭雀晴雨ただしき三ケ日 松村蒼石 雁
後後と日和まさりに三ケ日 松本たかし
拗ね者や炭火護りて三ケ日 日野草城
数決めて雑煮あはれや三ケ日 石塚友二 光塵
沸き早きひとりの風呂や三ケ日 鈴木真砂女 夕螢
炭竃の火床(ほど)の日向も三ケ日 石田勝彦 百千
裾を引く妻の立居や三ヶ日 正岡子規 三が日
跡ばりに祝ふ人あり三ヶ日 岱水
門さして寺町さみし三ケ日 村上鬼城
門番に餅を賜ふや三ヶ日 正岡子規 三が日

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 03:20 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

御用始 の俳句

御用始 の俳句

御用始

例句を挙げる。

うつうつと御用始めを退けにけり 細川加賀
くもり無き御用始の貸めがね 白井爽風
くろずめる朱肉に御用始かな 西川狐草
らちもなき御用始めの訓辞かな 内藤さち子
メモ記す御用始の製図板 作山和子
大金庫開く音御用始かな 城台洋子
宮内庁書陵部御用始かな 山崎ひさを
御用始たつた二人の事務室も 川村ひろし
御用始女課長も髪結ひて 白岩三郎
御用始鳰見ることもその日より 倉橋澄子
指で磨く御用始めの象牙印 岡本六弥太
神妙に御用始めをなにもせず 関根牧草
職辞して吾には御用始なく 佐々木 鳴子
ぬぐはれてある黒板や事務始 五十嵐播水
マラソンの窓下馳せすぎ事務始 岡田 貞峰
モナリザに見詰められをり事務始 新井市人
モーニングなほ着たるあり事務始 日野草城
事務始朝の茶淹るる女の身 瀧春一
事務始青き文字飛ぶ電算機 猿橋統流子
印刷機の既に喧し事務始 日野草城
印影の朱のあざやかに事務始 日野草城
印影の朱を鮮やかに事務始 宮本径考
司書若し和服に慣れず事務始 加倉井秋を
大金庫開くことより事務始 椎野ひろし
引き出しの中の冷たき事務始 中根美保
抽斗に朱肉をさぐる事務始 岡田貞峰
抽斗の朝日にあつし事務始 佐野青陽人 天の川
晴着にて女子事務官の事務始 相馬蓬村
死亡カルテ机上にさむき事務始 古賀まり子
皺のなき黒カーボン紙事務始 河原芦月
筆入れにイニシヤルを入れ事務始め 永島敬子
考課表に書込むことを事務始 鈴木栄子
誰も触れねば何も変わらず事務始 鈴木栄子
御用はじめ出生届ふところに 草村素子

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 03:05 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

騎初 の俳句

騎初 の俳句

騎初

例句を挙げる。

アルプスの晴れに引き出す騎馬始 柳澤さと子
初騎は貞任橋のあたりまで 小原琢葉
初騎乗馬もその歩を正しけり 重信忠宏
木曽馬の宝春号に騎初めす いさ桜子
緊りをる汀の砂や騎馬始 上原富子
緊張の歩幅揃へる騎馬始 水見寿男
降る雪に馬が首ふる馬場始 大野芳子
騎初に厩を出づる良駒哉 青木月斗
騎初に覇王のごとく小手かざす 斎藤正人
騎初の乙女の鞭としてつよし 池田秀水
騎初の足掻漸く早めつゝ 丸山瓢舟
騎初の馬上に火口壁めぐる 向野楠葉
騎初め清めの鞭を三度かな 樋口得川
騎初や中にまじれる一少女 東条樹々
騎初や夫婦乗りして里帰り 石川 かほる
騎初や鞭加へ越す雪野原 広江八重櫻
騎馬始九十九里浜はづれより 下田稔

騎初 補遺

乘そめの足も亂れず雪のあと 正岡子規 馬騎初

以上

by 575fudemakase | 2017-03-18 02:35 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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