2017年 03月 27日 ( 12 )

飾 の俳句

飾 の俳句


例句を挙げる。

あまりたる輪飾かくるところがな 後藤夜半 翠黛
いとちさき輪飾の何の飾りもあらぬかゞやき 中塚一碧樓
ころげ出てどの輪飾の橙か 松岡伊佐緒
さみどりの輪飾ひとつ旅住居 高橋淡路女 淡路女百句
わがいどこ簷に輪飾かけられし 長谷川かな女 牡 丹
七月の輪飾をして元湯かな 八木林之介 青霞集
三崎港まぐろのひとつ輪飾す 橋本榮治 麦生
初市の輪飾飛んで踏まれたり 可空
四阿の輪飾落ちぬ雪の上 たかし
子の家の輪飾をわが掛けにけり 細川加賀 『玉虫』
寒屋の釘に輪飾綬をかくる 百合山羽公 寒雁
山負ひて鶴嘴小屋も輪飾す 石田あき子 見舞籠
床柱輪飾かけていや古りし 吉屋信子
月影に輪飾さやぐ厩ばしら 麦南
本棚の輪かざり歯朶反りふかし 篠原梵 雨
本箱に輪飾の藁かぐはしき 沢木欣一
柱ごと揺れる輪飾精米所 魚地静水
柱にかけし輪飾うつり初鏡 高橋淡路女 梶の葉
歳々の輪飾いよゝ余生なり 貞
死ぬ年の来る輪飾りを吊りにけり 小林康治 『虚實』
氷雪裡輪飾かけて固き戸ぞ 楠目橙黄子 橙圃
海女の桶輪飾かけて重ねあり 田上鯨波
湯豆腐や輪飾残る薄みどり 渡辺水巴 白日
潮風や輪飾ゆらぐ温室の口 新井英子
燈台に輪飾のある怒濤かな 飛旅子
箸となる杉輪飾をして匂ふ 小澤満佐子
船室のノブの輪飾り風に鳴り 高澤良一 寒暑
血のにほひする輪飾の屠牛場 藤井亘
裏門や小き輪飾歯朶勝に 子規
輪飾にしめきつてある小門かな 正岡子規
輪飾に山の音ため酒造る 瓜生和子
輪飾に暗く静かや農具部屋 癖三酔
輪飾に鴨の抜け羽や浮御堂 米澤吾亦紅
輪飾のかたまり合うて燃えにけり 高野素十
輪飾のすいとさみしき買ひにけリ 皆吉爽雨
輪飾のランプの鈎にかゝりたる 寺田寅彦
輪飾の一つ吹かるる外後架 石川桂郎 四温
輪飾の一円相を海に懸け 石田勝彦 秋興
輪飾の一本の藁のこと想う 鈴木六林男
輪飾の井桁あふるる清水かな 会津八一
輪飾の少しゆがみて目出度けれ 高浜虚子
輪飾の尾のかそけさよ蜃が家 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
輪飾の影月光に垂れてあり 深見けん二
輪飾の枝折戸風に任せある 句仏
輪飾の歯朶青うして選句かな 渡辺水巴 白日
輪飾の稲穂をこぼす雀らし 長谷川吉雄
輪飾の藁の香こもる仏間かな 大門麻子
輪飾の農船波をかぶり着く 中本柑風
輪飾も既に六日の乾びやう 高澤良一 随笑
輪飾やことばのふえし鸚鵡にも 大石悦子 百花
輪飾やなまじやみたる雪の冷エ 久保田万太郎 流寓抄以後
輪飾や一つ構へに子の所帯 安住 敦
輪飾や一物いだく木ノ葉猿 占魚
輪飾や乳はつて待つ牧の牛 小林黒石礁
輪飾や凭る壁もなき四畳半 石橋秀野
輪飾や失ひしものばかりにて 小林康治
輪飾や我は借家の第一号 内藤鳴雪
輪飾や扁額に日ふ和敬道 下村ひろし 西陲集
輪飾や拭き細りたる門格子 吉屋信子
輪飾や棲めば棲まるる仮住居 吉屋信子
輪飾や母の手擦れのゐざり機 氏家さち子
輪飾や洗ひ細りし店格子 植松冬嶺星
輪飾や海辺に棲めば海の風 草間時彦 櫻山
輪飾や焼けのこりたる家暗く 大場白水郎 散木集
輪飾や神の鹿来る裏戸口 中島黒洲
輪飾や竈の上の昼淋し 河東碧梧桐
輪飾や織りかけてある絣機 上田天鼓
輪飾や織上げ近き筵機 木村仁美
輪飾や蜑のいつける巌祠 鈴鹿野風呂 浜木綿
輪飾や譲りの鎗の承塵にも 会津八一
輪飾や辻の仏の御首へ 一茶
輪飾や鏡中雪の降りしきる 龍雨
輪飾や雨に打たるる仏にも 民郎
輪飾や飛騨の工の道具箱 矢野奇遇
輪飾や高く貧しき山ばかり 平畑静塔
輪飾りのすでに煤けつ墨造り 澤田 緑生
輪飾りの下の寒暖計のぼる 秋を
輪飾りの今年は汽車に揺るゝ家 正雄
輪飾りの船に雌雄のあるごとし 榎本好宏
輪飾りや竃の上の昼淋し 碧梧桐
輪飾りを懸けなん切火打ちにけり 渡辺恭子
輪飾りを掛けし其他は総て略 松本たかし
輪飾りを火に抛つて女去る 上野さち子
輪飾りを着けて電動車椅子 大西一冬
輪飾をいくつか見たり風の村 手塚七木
輪飾をかけてもらひて傾ぐ墓 清崎敏郎
輪飾をかけて年待つ三輪車 土屋みね子
輪飾を掛けし其他はすべて略 松本たかし
輪飾を掛けて休める機械かな けいほ
輪飾を掛けて使はず外厠 松本たかし
輪飾を掛け余り来て厠神 鈴鹿野風呂
輪飾を焚きし匂ひをたなごころ 大石悦子 群萌
輪飾を負ひて石獣舌を吐く 古市絵未
輪飾を鉄扉に掛けて堰守る 岩永草渓
釘といふこの強きもの輪飾りす 殿村菟絲子 『晩緑』
霙るるや木戸の輪飾り外すにも 永井東門居
あたゝかき海風遊ぶ飾かな 中火臣
こゝにかけかしこにかくる飾かな 清原枴童 枴童句集
京振りの掛看板に飾かな 大谷句仏
古鍬を研ぎすましたる飾かな 村上鬼城
塩打ちし名吉挿したる飾かな 茨木和生 丹生
宇治川に臨む鳥居の飾かな 比叡 野村泊月
御仏に尼がかけ居る飾かな 高浜虚子
暮早に閉す門なる飾かな 増田龍雨 龍雨句集
波の間に見えて生簀の飾かな 岡田耿陽
海老少し風に曲りし飾かな 古川芋蔓
海鼠突く鈷ひとすぢの飾かな 河原白朝
白雲の匂ひて通る飾かな 大峯あきら
葛飾の藁の匂ひの飾かな 原田旦鹿
霰して納め遅れの飾かな 石田勝彦 秋興

飾 補遺

香るなる居村の飾買ひにけり 阿波野青畝
飾縄や幾千代かけん青ろくろ 酉水 江戸広小路
飾燒く坐敷の庭の日向哉 正岡子規 左義長
飾焼く裏畑すこし菜が青く 山口青邨
飾焼く紫の焔黄の焔 山口青邨
飾焼く破魔矢白妙の羽も焔に 山口青邨
飾焼く煙を上げぬ雪の上 山口青邨
飾焼く焔の中に海の色も 山口青邨
飾焼く書庫の輪飾とりわすれ 山口青邨
飾焼く劫火とならん焔あり 山口青邨
飾焼くすこしの煙畑に上ぐ 山口青邨
飾焼くおかめの面も燃ゆるぞかし 山口青邨
飾無し石の天地の石工小屋 阿波野青畝
飾焚やかまはぬ事になく鴉 鈴木道彦
飾焚く軸のとぼしきマッチ箱 飯田龍太
飾焚く根松も小さき焔もち 山口青邨
飾焚く星遠き夜と思ひつつ 飯田龍太
飾焚き老残の川たかぶらす 岡本眸
飾掛くためのみにある釘古ぶ 能村登四郎
飾小く門と知らで人の行き過ぎぬ 正岡子規 飾
飾売帰りしあとのぽつかりと 波多野爽波
飾売古リヤカーを飾りくる 百合山羽公 樂土
飾売りて酔ひたくれ居る男かな 村上鬼城
飾のみ吹飛ばされて海難碑 阿波野青畝
飾すこし枯菊すこし燃え了る 山口青邨
飾してあり冬燕の出入口 百合山羽公 樂土
頬被り女のしてや飾売 森澄雄
霰して納め遅れの飾かな 石田勝彦 秋興
陋屋の芯の橙飾りけり 百合山羽公 樂土以後
金の火と銀の煙や飾焚く 鷹羽狩行
部屋鏡輪飾の裏生写し 山口誓子
遺影下の遺愛ピアノに輪かざりす 及川貞 夕焼
輪餝りを茅の輪にくゞる鶯か 正岡子規 飾
輪餝りに鶯ゆれる根岸哉 正岡子規 飾
輪飾を金剛力士指に差す 平畑静塔
輪飾を掛けて使はず外厠 松本たかし
輪飾を掛けし其他は総て略 松本たかし
輪飾をルオーの藍の濃き絵にも 後藤比奈夫
輪飾をかけ十二尺の長物よ 山口青邨
輪飾をかけてもらひて傾ぐ墓 清崎敏郎
輪飾りを僅かに買ひてなほ餘る 相生垣瓜人 明治草
輪飾りをつくりて出でし塵すこし 能村登四郎
輪飾りや暗きに馴れて神の馬 鷹羽狩行
輪飾りやとある海辺の釣瓶井戸 鷹羽狩行
輪飾りに風たちやすき石館 鷹羽狩行
輪飾や海辺に棲めば海の風 草間時彦 櫻山
輪飾や吾は借家の第一号 内藤鳴雪
輪飾や凭る壁もなき四畳半 石橋秀野
輪飾やひとつ構に子の所帯 安住敦
輪飾はとれて柱の掛暦 松本たかし
輪飾は「わが闘争」の上に落つ 山口青邨
輪飾の雪じめりして五日かな 岡本眸
輪飾の歯朶青うして選句かな 渡邊水巴 白日
輪飾の橙落す童哉 正岡子規 飾
輪飾の吹き飛んでゐる雪の上 清崎敏郎
輪飾の五つ六つほどあれば足る 清崎敏郎
輪飾の一円相を海に懸け 石田勝彦 秋興
輪飾の一つ吹かるる外後架 石川桂郎 四温
輪飾のゆがみし海士の門を過ぐ 阿波野青畝
輪飾のかたまり合うて燃えにけり 高野素十
輪飾のかすかにかゝる裏戸かな 日野草城
輪飾のかけられてある杭かな 山口青邨
輪飾のおちてなじまぬ水面かな 清崎敏郎
輪飾に楪一片去来の墓 岡井省二 明野
輪かざりや町人這入る勝手口 正岡子規 飾
輪かざりや梅にもひとつづゝかける 鈴木道彦
輪かざりに標札探る禮者かな 正岡子規 礼者
輪かざりに〆切りてある小門哉 正岡子規 飾
軍鶏小屋の輪飾かけて佃かな 飯島晴子
赤門の橙小き飾り哉 正岡子規 飾
赤彦のいしぶみの前飾焚く 木村蕪城 寒泉
裏門や小さ輪飾齒朶勝に 正岡子規 飾
裏門の輪飾人に取られけり 正岡子規 飾
藁しべに風立ちやすく飾売 鷹羽狩行
蒲公英の座を焦してむ飾焼く 山口青邨
船出でしあと閃々と飾売り 廣瀬直人
神棚の飾は解かず鳥曇 古舘曹人 樹下石上
神主の家の飾の寒さかな 阿波野青畝
玉〆の又一と焔飾焚く 高野素十
湯豆腐や輪飾残る薄みどり 渡邊水巴 白日
浪華の間床の間遠くお飾す 山口青邨
歳晩や白川女なる飾売 日野草城
歯朶の葉の燃ゆる早さや飾焚く 高野素十
歯朶の葉の形の灰や飾焚く 高野素十
橙や都の家数四十萬 正岡子規 飾
枯菊を焚きたるあとに飾焚く 山口青邨
枝にかけかりそめめける飾かな 富安風生
本棚の輪かざりの歯朶反りふかし 篠原梵 年々去来の花 雨
本の稜輪飾かけてわが書斎 山口青邨
本の上ただおく小枝松飾 山口青邨
木曽を出て都の家のかざり炭 正岡子規 飾
木曽を出てこの三寳のかさり炭 正岡子規 飾
月蝕や黒き銭溜め飾売 百合山羽公 寒雁
月影に輪飾さやぐ厩ばしら 西島麦南 人音
月夜見尊の青き藁飾 燕雀 星野麥丘人
日させよちちままははの門飾 渡邊白泉
日かげりて輪飾青くなりにけり 日野草城
数寄屋橋ありしところに飾売 鷹羽狩行
御飾は千羽鶴門松は稀 平畑静塔
幽けかる輪飾りのみぞ頼みなる 相生垣瓜人 負暄
巨いさや雀の出入る〆飾 杉田久女
川の面に藁屑うかべ飾売り 鷹羽狩行
山深く輪飾のある泉かな 能村登四郎
山を出て何を聾に飾売 上島鬼貫
寒屋の釘に輪飾綬をかくる 百合山羽公 寒雁
客のなき飾りの中の飾売 鷹羽狩行
客のなきときは火に寄り飾売 鷹羽狩行
女手に注運飾打つ音きこゆ 日野草城
奥山や人こぬ家の門かざり 正岡子規 飾
大き草家都ぶりなるお飾を 山口青邨
夢殿に小さき輪かざり結びあり(法降寺) 細見綾子
壁にかけて二挺の鍬の飾かな 村上鬼城
喞筒の井輪飾かけて深し深し 山口誓子
古鍬を研ぎすましたる飾かな 村上鬼城
古辻や地藏の堂のしめ飾り 正岡子規 飾
半弓に輪飾かけし承塵かな 内藤鳴雪
冬灯ともりて飾紐を垂れ 清崎敏郎
兩側に長き三井の飾り哉 正岡子規 飾
住吉の大前にして飾焚く 石田勝彦 秋興以後
仰ぎ見る大〆飾出雲さび 杉田久女
丸きもの初日輪飾り鏡餅 正岡子規 鏡餅
三寳に蓬莱の山靜なり 正岡子規 飾
ナチの旗赤し輪飾かけそゆる 山口青邨
ゆるやかにときの過ぎゆく宵飾 古舘曹人 樹下石上
めでたさや餝りの蜜柑盗まれて 正岡子規 飾
まづもゆるあはれお飾の紅扇 山口青邨
はぐれ海猫ゐて屋の上の鯱飾 能村登四郎
その前をきれいに掃いて飾売る 山口青邨
きよらなる畑の上に飾焼く 山口青邨
かりそめに住みなす飾かかりけり 阿波野青畝
お飾をはづしてまはる涙かな 日野草城
お水屋やはさらほさらと風飾 阿波野青畝
おかざりの橙落す童かな 正岡子規 飾
いとちさき輪飾の何の飾りもあらぬかゞやき 中川一碧樓
あまりたる輪飾かくるところがな 後藤夜半 翠黛

以上

by 575fudemakase | 2017-03-27 17:14 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

歯朶 の俳句

歯朶 の俳句

歯朶
うらじろの反りてかすかに山の声 高崎武義
うらじろの葉の反り返り二日かな 佐藤信子
お供へに歯朶のみどりのほの匂ふ 高橋淡路女 梶の葉
からび反る歯朶に神意の灯のゆらぐ 峻石
きさらぎの水あかそみて歯朶のさき 松村蒼石 寒鶯抄
た(薫)きさしや歯朶の中よりこぼれ梅 山口素堂
ぬかるみに踏まれし歯朶や年の市 渡辺水巴 白日
ぬり膳や一日~の歯朶の塵 青々
はれあがる雨あし見えて歯朶あかり 室生犀星 犀星發句集
ふしづけや引佐細江に歯朶浮かぶ 瀧井孝作
やまびとや採りもつ歯朶も一とたばね 飯田蛇笏 山廬集
ゆづり葉や歯朶や都は山くさし 子規
乙姫の手向の歯朶かうき身宿 乙二
二の腕の裏白し朝寝の土工らし 香西照雄 対話
傘に歯朶かゝりけり恵方棚 夕道
元日や動かぬ歯朶の影ぼうし 蓼太
初夢もなく穿く足袋の裏白し 渡邊水巴
古寺の一チ古る堂や歯朶掛けて 尾崎迷堂 孤輪
吊り歯朶に深山育ちの小夕焼 橋本渡舟
名こそかはれ江戸の裏白京の歯朶 正岡子規
君が代はゆづり葉白し歯朶青し 文体
塩噴きて舟の裏白そり返る 工藤義夫
売られゐる間も乾きをり裏白は 嶋田麻紀
大歯朶をのせたり古き獅子頭 長谷川かな女 雨 月
姥捨の梅雨の奥なる歯朶浄土 櫛原希伊子
孔雀歯朶手に~山の暁すゞし 佐野青陽人 天の川
富士晴れに瑞の葉ささぐ孔雀歯朶 山口草堂
岩窟の歯朶天井のあふらるゝ 井手 芳子
岩魚釣歯朶の葉揺れに沈み去る 石橋辰之助 山暦
崖歯朶に斑の夕日柴盗む 徳弘純 非望
帽子掛に歯朶の余りを祝ひけり 高井左川
年の市歯朶より白きものを見ず 碧雲居
底に敷く歯朶からびけり潤日籠 辰馬伯洲
掃きよせし水引の屑歯朶の屑 菜花
掃初や梅の下なる歯朶一片 前川素泉
新年の山深く歯朶はみどりなる 室生犀星 十返花
昼くらく歯朶も映らぬ泉かな 五十嵐播水
晴れあがる雨あし見えて歯朶明り 室生犀星
木曾殿の塚に裏白侍らしめ 高澤良一 燕音
末枯るる歯朶に素足の聖母像 堀口星眠 営巣期
末枯るゝ杉の下道歯朶薊 正岡子規
本棚の輪かざりの歯朶反りふかし 梵
松籟のしきりに歯朶を青くせり 岸田稚魚 『萩供養』
松茸や赤い松葉が歯朶の中 滝井孝作 浮寝鳥
枯るゝもの枯れ神山の歯朶青し 長谷川 より子
楪の青くて歯朶のからびたる 池内たけし
橙や裏白がくれなつかしき 子規句集 虚子・碧梧桐選
歯朶いまだ凛々しく青し炭俵 高浜虚子
歯朶つよく戦捷の餅乗せにけり 長谷川かな女 雨 月
歯朶にゐて太古顔なる蜥蜴かな 野村喜舟
歯朶に手をかけて上れり落葉沢 高澤良一 燕音
歯朶に風二日夜更けて客のあり 小松崎爽青
歯朶の上に置けば傾ぐよ小盃 高田蝶衣
歯朶の枯れ残菊の紅子に帰らん 細見綾子 雉子
歯朶の葉に見よ包尾の鯛のそり 耕雪
歯朶の葉の七符は誰を小殿原 言水
歯朶の谷深く夕づく二月かな 松村蒼石 雁
歯朶の雪ひそかにすべる泉かな 比叡 野村泊月
歯朶はさむ戸に安らかに住ひけり 長谷川かな女 雨 月
歯朶を抜き直の白樺爽やかに 福田蓼汀 山火
歯朶勝の三方置くや草の宿 高浜虚子
歯朶勝の松茸籠を皆さげぬ 高浜虚子
歯朶原を通つて行くや墓參 寺田寅彦
歯朶反りし神へ三日の灯を捧ぐ 須田蘇風
歯朶小松添へて茸の荷そこ~に 西山泊雲 泊雲句集
歯朶枯るる初めの色を胸におく 細見綾子
歯朶枯るゝ一言主の宮ほとり 岡本松浜 白菊
歯朶活けて年入れ替る坊厠 高澤良一 ねずみのこまくら
歯朶添へて松あらたむる宮居かな 荷兮
歯朶萌ゆる巌の節理の正しさに 古舘曹人 能登の蛙
歯朶蕨土もかれ~冬の山 觀魚 伊藤觀魚
歯朶谷へ紅絹ふんはりと脱ぎ捨つる 熊谷愛子
歯朶雫雪解とまがふ三汀忌 永井龍男
歯朶青きところへ鬼をやらひけり 山本洋子
歯朶青く福藁五尺あまりかな 露月句集 石井露月
歯朶青く童女笑顔を夜更けまで 飯田龍太
歯朶類が枯れ和み合ふ世の一隅 細見綾子
歯朶飾る客足稀の写真館 松本幹雄
毛むくじゃら歯朶打つ暖雨生々し 高澤良一 素抱
氷張る寒さの歯朶にこたへけり 増田龍雨 龍雨句集
泉くむ歯朶の青きに胸染めて 清水 節子
海の日や人が歩める歯朶の山 岡井省二
涼しさや境内こゝに歯朶の谷 尾崎迷堂 孤輪
滝音や群歯朶の下暗ければ 佐野鬼人
滴りに歯朶の葉先の応へをり 伊藤蘇洞
焼き残るどんどの歯朶の青さかな 俳維摩
焼山や嵩其まゝに歯朶の容 西山泊雲 泊雲句集
熔鉱の熱風に揺れ飾歯朶 斎藤朗笛
父子ならん対の毛衣歯朶を負ふ 大野せいあ
物の文(あや)今松歯朶と明けにけり 京-遊園 元禄百人一句
病葉の歯朶にあたりて落ちにけり 紀陽
百姓(たみくさ)や歯朶ゆひ添る牛の角 笛風
真日あびて行きゆく原に歯朶の青 石橋辰之助 山暦
真青さや雉子かくせし谷の歯朶 尾崎迷堂 孤輪
石橋に歯朶が生えゐる清水かな 野村喜舟 小石川
神の灯に焦げたる歯朶の葉先かな ながし
秘めごとのように反りだし裏白よ 久保 純夫
紅茸やまことしやかに歯朶外れ 清原枴童 枴童句集
緑金の歯朶や寒巌みづみづし 内藤吐天 鳴海抄
老鴬や歯朶に湧き澄む山清水 碧雲居句集 大谷碧雲居
船頭の閨の裏白青かりし 鈴木太郎
花に来て歯朶かざり見る社哉 鈍可
茸籠に妻は一枚歯朶そへて 砂井斗志男
茸籠に敷く歯朶青き京を発つ 中村汀女
葛と萩並みて姉妹花葉裏白し 香西照雄 素心
葛の底歯朶の底なる蛇となり 尾崎迷堂 孤輪
蓬莱の歯朶踏みはづす鼠かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
蓬莱や海老嵩高に歯朶がくれ 碧梧桐
蝶の腹やさしくは見ゆ歯朶の上 室生犀星
蝶の腹優しくは見る歯朶の上 室生犀星 犀星發句集
裏山に手づから剪りて歯朶長し 風生
裏白と一夜明くれば古稀の父 百合山羽公 故園
裏白にたそがれの風立ちにけり 根岸 善雄
裏白に和歌三神の灯影かな 北涯
裏白に夕日しばらくありにけり 草間時彦 櫻山
裏白に映えて神代の灯かな 野村泊月
裏白に齢かさねし父と母 百合山羽公
裏白のうらまで年の光かな 巴水
裏白のからびまろまり藁を纒き たかし
裏白のともればすこし枯れてけり 太田鴻村 穂国
裏白のひと荷の婆や浄瑠璃寺 宮坂静生
裏白のみどりの仔細老あたらし 桂信子 花寂び 以後
裏白の岩のわれ目に焼け残る 寺田寅彦
裏白の影濃くしたり谷戸の寺 間中恵美子
裏白の渇きに触れし夜の指 中嶋秀子
裏白の縮みあがれる日々の風 白岩てい子
裏白の葉が乾反りつつくもりのまま正月二日寒く暮れにき 松村英一
裏白の葉のちりちりと十日かな 江間 蕗子
裏白の葉裏ぶつぶつ母が消えた 相川玖美子
裏白は東雲招くそよぎ哉 順也
裏白やからから笑ふ山の姥 伊丹さち子
裏白や卒寿の母のかぞへ唄 松本照子
裏白や天竜の瀬は風の底 木村蕪城
裏白や市中にして古る路標 木村蕪城 寒泉
裏白や新しき足袋さがしあて 石川桂郎 四温
裏白や朝に夕に火をつくり 中村雅樹
裏白や野山歩きし今朝の夢 滝井孝作 浮寝鳥
裏白や鉄階段の子の住居 辻 男行
裏白や長寿家系のひとりなる 作山 和子
裏白や齢重ねし父と母 百合山羽公
裏白を切りて湯壺にしづもりぬ 野中 亮介
裏白を剪り山中に音を足す 飴山實 辛酉小雪
裏白を掛けし日の門風の門 白井爽風
裏白採り湧水絶えし父の山 中拓夫
裏谷は歯朶ばかりなり斧始 堀口星眠 営巣期
裏門や小き輪飾歯朶勝に 子規
見せばやな餅の長櫃歯朶入れて 才麿
見てあれば裏白に火の廻りけり 藤田あけ烏 赤松
誰が聟ぞ歯朶に餅負ふ丑の年 芭蕉
輪飾の歯朶青うして選句かな 渡辺水巴 白日
道芝に雨のあがるや歯朶明り 室生犀星 犀星發句集
門の歯朶三日の土に落ちてあり 松浜
雉子翔ちぬ歯朶の新芽のまぶしさに 塚原 夜潮
霜とけて陽炎あぐる深山歯朶 前田普羅 飛騨紬
青歯朶や後脚で立つ牧羊神の笛 横山白虹
風若くさゞなみの歯朶裏白し 松月
飾り歯朶取りに行かれぬほどの雪 松田水石
飾焚く歯朶火ちよろちよろちりちりと 川畑火川
餅が敷く裏白楪病に死ぬな 野沢節子
餅を夢に折り結ぶ歯朶の草枕 松尾芭蕉
鶏も今朝歯朶にや世々の星を呼ぶ 水田正秀
鶯や柴もひたぬれ歯朶の雨 楠目橙黄子 橙圃
鹿の子よ歯朶踏みはづすことなかれ 原石鼎
鹿火屋あり歯朶群落の崖を負ひ 高濱年尾 年尾句集
咳こだまリョウメンシダの林にて 高澤良一 さざなみやつこ

歯朶 補遺

鹿の子よ歯朶踏みはづすことなかれ 原石鼎 花影
鶏鳴の空ざまに歯朶刈られけり 斎藤玄 狩眼
鮓大皿音立てて降る歯朶の雨 中村汀女
風にあらがひ裏白の白くなる 鷹羽狩行
青歯朶を髪にも挿して年新た 細見綾子
青歯朶の夕まさりつつ吹かれたる 岡井省二 山色
青き歯朶籠めてかなしき崖氷柱 橋閒石
露霜やまだ歯朶青き南谷 福田蓼汀 秋風挽歌
霜とけて陽炎あぐる深山歯朶 前田普羅 飛騨紬
鏡餅青歯朶左右に葉を張れり 山口誓子
輪飾の歯朶青うして選句かな 渡邊水巴 白日
裏白を剪り山中に音を足す 飴山實
裏白や齢かさねし父と母 百合山羽公 故園
裏白や父が飾れば青まさり 中村汀女
裏白や新しき足袋さがしあて 石川桂郎 四温
裏白や市中にして古る路標 木村蕪城 寒泉
裏白のみどりの仔細老あたらし 桂信子 晩春
裏白のひんとはねたる姿哉 正岡子規 裏白
裏白のちりちりちりと燃え了る 山口青邨
裏白のうなじを見せて乾きをり 鷹羽狩行
裏白のある夜伊勢海老に語って曰く 正岡子規 裏白
裏白に夕日しばらくありにけり 草間時彦 櫻山
裏白と一夜明くれば古稀の父 百合山羽公 故園
裏山に手づから剪りて歯朶長し 富安風生
蝸牛や歯朶の明るき蝕の崖 角川源義
薄い胸射る 直日(じかび) 原始の 歯朶高原 伊丹三樹彦
蓬莱や海老かさ高に歯朶隠れ 河東碧梧桐
苦き胃よ巌の裂目の冬歯朶よ 佐藤鬼房
群歯朶のひたすら青し枯林 日野草城
竹林にさみどり色の歯朶の思惟 楠本憲吉 方壺集
秋風の歯朶うちさやぎ山香風呂 石田波郷
石の鳥居大裏白を結びたる 右城暮石 散歩圏
白禅の外はゆるさず歯朶茂る 富安風生
病室に深山顔なる歯朶のいろ 飯田龍太
焼石や春の裾山草もなし 正岡子規 春の草
焼山の歯朶ぱち~と終夜 内藤鳴雪
湯どころや行く秋青き深山歯朶 石塚友二 光塵
消息や歯朶刈そこにあらはれて 岡井省二 五劫集
海の日や人が歩める歯朶の山 岡井省二 明野
注連飾る間も裏白の反りかへり 鷹羽狩行
氷柱見て枯れきりし歯朶の葉を燃やす 右城暮石 句集外 昭和十六年
毎年とる山の斜面のよき歯朶を 細見綾子
母系の海よ貝塚に冬の歯朶みどり 佐藤鬼房
歯朶類が枯れ和み会ふ世の一隅 細見綾子
歯朶青き風を吹き上げ城の崖(金沢) 細見綾子
歯朶萌ゆる巌の節理の正しさに 古舘曹人 能登の蛙
歯朶生なほいづくと思ひ後の月 岡井省二 夏炉
歯朶枯るる初めの色を胸におく 細見綾子
歯朶叢に喜雨雑草園主人稿起す 山口青邨
歯朶刈に会ひたる谷の日ざしかな 岡井省二 山色
歯朶を抜き直の白樺爽やかに 福田蓼汀 山火
歯朶もえて岩瀧かけるきぎすかな 飯田蛇笏 山響集
歯朶もえて岩滝かけるきぎすかな 飯田蛇笏 春蘭
歯朶むらにしらじらと散る桜かな 阿波野青畝
歯朶の谷深く夕づく二月かな 松村蒼石 雁
歯朶の葉の燃ゆる早さや飾焚く 高野素十
歯朶の葉の形の灰や飾焚く 高野素十
歯朶の葉に積む雪落ちんとして落ちず 山口誓子
歯朶の膳古人のやうに坐りたき 細見綾子
歯朶の枯れ残菊の紅子に帰らん 細見綾子
歯朶の山に咲けば白くも梅のある 右城暮石 句集外 昭和十二年
歯朶の名の或はいたち或は蛇 富安風生
歯朶などの青きうつゝにゐて暑さ 右城暮石 句集外 昭和十七年
歯朶で蓋せし茸籠とすれ違ふ 鷹羽狩行
歯朶たけて塔の心礎をかくさざる 富安風生
正月歯朶必ずそこでとるといふ 細見綾子
橙や裏白がくれなつかしき 正岡子規 裏白
梅雨寒の歯朶の葉ゆらり立ち上る 山口青邨
梅畑に裏白撰びすてゝある 右城暮石 句集外 昭和十一年
梅かたき畑ぬけ山へ歯朶取りに 右城暮石 句集外 昭和八年
松茸にあらざる木の子歯朶にさし 前田普羅 春寒浅間山
松籟のしきりに歯朶を青くせり 岸田稚魚
村人に秘中の秘仏歯朶萌ゆる 上田五千石 風景
本棚の輪かざりの歯朶反りふかし 篠原梵 年々去来の花 雨
朝光の金刷く初夏の孔雀歯朶 渡邊水巴 富士
故里の青歯朶白き蝶あそぶ 細見綾子
故郷より山歯朶の束年の暮 細見綾子
或る崎は石蕗もて青歯朶もて覆ふ 松本たかし
怨霊の煙雨といはん歯朶の萌え 佐藤鬼房
御開帳歯朶の野に人出でてをり 岡井省二 山色
庭の歯朶あほつ夜目にも初嵐 山口青邨
広峰の青歯朶神代さながらに 山口誓子
巌がくり歯朶枯れなやむ秋日かな 飯田蛇笏 霊芝
崖歯朶の枯るるを雨の電車より 細見綾子
岩角やつゝじ花さく歯朶隠れ 正岡子規 つつじ
岩瀧の歯朶萌えあふれ雉子乳む 飯田蛇笏 山響集
山草を刈る臀聳え信濃乙女 上田五千石『琥珀』補遺
山草をたたきし鞭を子が愛す 細見綾子 和語
山草の行き来に触るる一葉あり 石川桂郎 四温
山歯朶に添へたる赤き冬苺 細見綾子
夕ぐれの歯朶のかげより老のこゑ 飯田龍太
夏蝶や歯朶揺りてまた雨来る 飯田蛇笏 霊芝
夏蝶や歯朶ゆりて又雨来る 飯田蛇笏 山廬集
夏の蝶翔け青歯朶の日も緑 福田蓼汀 秋風挽歌
名こそかはれ江戸の裏白京の齒朶 正岡子規裏白
伊豆の海青きにとりし歯朶なりと 細見綾子
丈長き丹波の歯朶を飾りたし 細見綾子
フエノロサの墓へのみちの孔雀歯朶 燕雀 星野麥丘人
やまびとや採りもつ歯朶も一とたばね 飯田蛇笏 山廬集
ひと抱へほど正月の歯朶くるゝ 細見綾子
ぬかるみに踏まれし歯朶や年の市 渡邊水巴 白日
たかんなや山草しげきかなたにも 飯田蛇笏 白嶽
さくらどき筒井の中に歯朶生かな 岡井省二 山色
きりさめや歯朶ふみいづる山男 飯田蛇笏 心像
きさらぎの水あかそみて歯朶のさき 松村蒼石 寒鶯抄
がさ市にある裏白の艶湿り 能村登四郎
かぐはしや時雨すぎたる歯朶の谷 川端茅舎
かがやくは梅雨の叢の歯朶一枚 山口青邨
いまの代も山草闌けて青飢飯 飯田蛇笏 家郷の霧

歯朶 続補遺

*こおろぎや一夜宿せし歯朶屏風 白雄 白雄句集
*蟋蟀や一夜宿せし歯朶屏風 加舎白雄
た(薫)きさしや歯朶の中よりこぼれ梅 素堂
乙姫の手向の歯朶かうき身宿 松窓乙二
傘に歯朶かゝりけりえ方だな 夕道
冬枯の歯朶にうつるや鳥の息 浪化
出歯朶よいつあらましの軒の草 嵐蘭
山歯朶や寸にあまれる蝸牛 加舎白雄
山百合や歯朶の間より一ッ咲 加舎白雄
山草やこれも仏のみをむすぶ 松窓乙二
春立や歯朶にとゞまる神矢の根 許六
春雨や猿子をいだく歯朶の露 加藤曉台
正月がいつくる事ぞ霜の歯朶 松窓乙二
歯朶*あぐる火燵の山にとし籠 中川乙由
歯朶うりと一度に鴨の羽音哉 智月尼
歯朶の葉の七苻は誰を小殿ばら 池西言水
歯朶を折て賀を舞出ん髪の霜 濁子
歯朶売のさつと仕舞ふてあられ哉 配力
歯朶添て松あらたむる宮居哉 荷兮
水仙や歯朶買ふ心あすになる 松窓乙二
犬栗や鐘は穂長の地におちし 加舎白雄
老夫山へうら白苅に歯朶苅に 木因
開く日も裏白そよぐ氷室かな 桜井梅室
青いねを穂長にかへて祝ひけり 桜井梅室
青稲を穂長にかへて祝ひけり 桜井梅室
鬼歯朶も蘇鉄も雪の旦かな 加舎白雄
鶏も今朝歯朶にや世々の星を呼 正秀

以上f

by 575fudemakase | 2017-03-27 17:05 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

絵双六 の俳句

絵双六 の俳句

双六 

雙六や盧生の夢のふりあがり 双六 正岡子規
雙六のどこへころげて樂まん 双六 正岡子規
野ざらしの月日を渡る絵双六 工藤富貴
遠き世の双六の雲母零れけり 高橋睦郎
道中双六後や先なる君と我 渡辺波空
道中双六いそがぬ旅のひとり哉 籾山梓月
賽子が火星に届く絵双六 友永佳津朗
賽の目の仮の運命よ絵双六
負け役の父呼びに来る絵双六 鷹羽狩行
草摺りの絵双六古り蔵古りて 谷津妙子
花双六さくら一枝に上りけり 山田みづえ
膝の上をすべる袂や絵双六 佐久間澄水
老い二人双六におどけ冬籠 山田みづえ
絵双六雪の匂ひのする夜なり すずきりつこ
絵双六死にはぐれたる生活かも 古賀まり子 緑の野
絵双六兄嫁一に上がりけり 山田みづえ
絵双六人生戻ることできず 宇咲冬男
絵双六みどりは松と決まりけり 秋山幹生
絵の破片あり双六のたたみあり 上野泰 春潮
素飛びに川越えにけり絵双六 関戸靖子
笊に入れて置く双六の蜜柑かな 長谷川かな女
祖母の世の裏打ちしたる絵双六
畳みゆく双六世界虹と失せ 上野泰 春潮
生きて今宵妻子の前に絵双六 目迫秩父
生きて今妻子の前に絵双六 目迫秩父
死が上り一休禅師の絵双六 石河義介
橋渡り廓を抜けて絵双六 伊藤とし子
日本のちちははあそぶ絵双六 脇本星浪
摩り切れしところが上がり絵双六 小林武子
振り出しへ戻りて遠し絵双六 山口幻花
振り出しに戻るこはさの絵双六 七田谷まりうす
怪獣に撃たれ振出し絵双六 今村夏子
忘れゐしものの一つの絵双六 石川桂郎 四温
年忘れ人生双六しばし止む 百合山羽公
年寄りてたのしみ顔や絵双六 飯田蛇笏 山廬集
少年我へお下髪垂れきし絵双六 中村草田男
孫と行く世界一周絵双六 大貫松子
子供等に双六まけて老の春
子に負けてやる双六のむづかしく 嶋田一歩
大津から程むつかしや絵双六 野村喜舟
四さへある双六の采振らばやな 相生垣瓜人
四さへある双六の賽振らばやな 相生垣瓜人 明治草抄
吾子等はやくはしきかなや絵双六 中村汀女
君追うて越せぬ大井や絵双六 吉武月二郎句集
古き世の絵双六見て年忘れ 成瀬正とし 星月夜
双六を上りて餅を焼く羽目に 田川蘭子
双六をひろげて淋し賽一つ 久保田万太郎 草の丈
双六をしてゐるごとし世はたのし 国弘賢治
双六をあがりたる手で猫掴む 大石雄鬼
双六や額あつめて筒井筒 安井小洒
双六や歩いてをりし能登の国 斉藤美規
双六や押立槍の早上り 西山泊雲
双六や恋の修羅場を逃げてばかり 鈴木栄子
双六や屑目平凡にわが娘 日野草城
双六や大人ばかりが残りたる 内田美紗 魚眼石
双六や二三の駅に富士見ゆる 広田寒山
双六や一夜に消ゆるこころざし 江頭 信子
双六やわが名ひとの名打重ね 野村喜舟 小石川
双六も市井雑事も同じこと
双六めく盲暦を読初に 野澤節子 黄 炎
双六の関所越せねば船路かな 六本和子
双六の長崎出島より発ちぬ 岡部六弥太
双六の都にちかしふる暦
双六の近江の国を引き返す 林佑子
双六の賽転がりて袖の上 山口波津女
双六の賽掌に暖め家長の座 保知券二郎
双六の賽振り奥の細道へ 水原秋櫻子
双六の賽の禍福のまろぶかな 久保田万太郎
双六の賽の一と振り倉敷へ 小林鱒一
双六の賽に雪の気かよひけり 久保田万太郎
双六の賽ころがりて袖の上 山口波津女
双六の賽ころがしてかへしけり 上野泰
双六の賽が目をむきとまりけり 上野泰 春潮
双六の花鳥こぼるる畳かな 橋本鶏二
双六の芭蕉に迅き曾良の脚 大類つとむ
双六の絵図に残りし昭和かな 赤井よしを
双六の絵にも越ゆべき幾山河 江川虹村
双六の正しき折目敷き展べし 島田みつ子
双六の橋の真上に波あがる 角川春樹
双六の振出しのまづ花ざかり 後藤比奈夫
双六の振出しといふ初心あり 後藤比奈夫
双六の折り目正しき国境 宮下恵美子
双六の戻りて大井川越せず 池田秀水
双六の忍者の伊賀を一跳びに 下村ひろし
双六の彦根あたりの齢かな 渡辺 純
双六の川止めに遭ひ茶を淹るる 下村ひろし
双六の山河畳んでありしかな 大石悦子
双六の小夜の中山越えにけり 柴田行太
双六の六部に逢ん宇都の山
双六の入口で手を洗ひけり 石川利夫
双六の京をめざせば川止に 宇田川八江子
双六の五十三次晴れつづき 柴崎富子
双六の二回休みといふ難所 山内山彦
双六の中の人生にも負けて 大槻右城
双六の上り大臣関白に 下田喜代
双六の上り大文字山が待つ 下村ひろし 西陲集
双六の上りは月の世界かな 椎名みすず
双六の上りの賽は掌中に 石原君代
双六の上りて仲間はづれめく 檜紀代
双六の三島に春の日は暮れぬ 春日 正岡子規
双六のわが道中の永かりき 辻田克巳
双六のもつと面白かつた筈 吉沼等外
双六のなかなか果てず雪降り来 辻桃子
双六のとびたる賽にみんなの眼 藤本朱竹
双六のさいを堰きたる折目かな 松野加寿女
双六のごとふり出しに戻れたら 吉田彩
双六のごとく大津に戻りをり 鈴木鷹夫
双六に負けておとなしく美しく 高浜虚子
双六に負けし子母の膝の上 小坂優美子
双六に負けおとなしく美しく
双六に気のなき賽を父振りし 森澄雄
双六に折りかけ垣や梅の花 立花北枝
双六に折かけ垣や梅の花
双六にピーナツの皮零れけり 岡田かげお
双六にいれてもらへず父は立つ 鷹羽狩行
出世して上る双六ふと貧し 後藤比奈夫
写楽の目ぎりぎり寄つて絵双六 紅露ゆき子
写楽の目ぎりぎり寄って絵双六 紅露ゆき子
六ツ目出て宇宙へ行けり絵双六 江藤安司
先急ぎしてをり老いの絵双六 鈴木清
何遍も生まれ変つて絵双六 吉村玲子
伊都や奴や倭や狗奴国や絵双六 中戸川朝人 尋声
伊賀越えて金の洛(みやこ)に絵双六 大屋達治 絵詞
仲見世の昼の灯あはし絵双六 古賀まり子
仲見世の屋の灯あはし絵双六 古賀まり子
今は誰も触れず文篋の絵双六 足立敏子
人生の双六上がり菊薫る 仲川記代
人の世の様描かれて絵双六 高浜虚子
人の世に振出しありぬ絵双六 冨田みのる
下駄を履く双六はやく上がり過ぎ 伊藤白潮
上方は近くて遠し絵双六 斎藤 翆
三道を進むや軍の絵双六 広田寒山
三春発つて江戸を上がりの絵双六 宮津昭彦
三が出て伊勢に三泊り絵双六 北村雪山
万両や配流の戸に古双六 古舘曹人 樹下石上
一番に上りてさみし絵双六 内田美紗 浦島草
一振りで越ゆ双六の箱根山 大石悦子 聞香
わが過去の双六に似て行き戻り 伊東 白楊
むかし菓子といふは固きよ絵双六 金久美智子
ふるさとの山の姿や絵双六 寺山修司 未刊行初期作品
ふりかへす双六の目や梅の花 会津八一
ひと振りの賽に破産や絵双六 久保田育代
ばり~と附録双六ひろげけり 日野草城
ばりばりと附録双六ひろげけり 日野草城
ちちははの愉しき山を絵双六 関戸靖子
してみたくなきもの浄土絵双六 後藤比奈夫 めんない千鳥

絵双六 補遺

してみたくなきもの浄土絵双六 後藤比奈夫
ぱり~と附録双六ひろげゝり 日野草城
一と思ふ双六の賽一と出づ 上野泰
万両や配流の戸に古双六 古舘曹人 樹下石上
出世して上る双六ふと貧し 後藤比奈夫
双六に折かけ垣や梅の花 北枝
双六に負けまじとして末子かな 上野泰
双六のまた振出しへ戻る父 鷹羽狩行
双六の一がよく憑く不思議かな 阿波野青畝
双六の三島に春の日は暮れぬ 正岡子規 春日
双六の京をめぐりて日の暮るる 後藤比奈夫
双六の六部に逢ん宇都の山 建部巣兆
双六の折目が峠又峠 阿波野青畝
双六の振出しで乗る人力車 後藤比奈夫
双六の振出しといふ初心あり 後藤比奈夫
双六の振出しのまづ花ざかり 後藤比奈夫
双六の母に客来てばかりをり 加藤秋邨
双六の民話の神と仏かな 後藤比奈夫
双六の賽が目をむきとまりけり 上野泰 春潮
双六の賽ころがしてかへしけり 上野泰 春潮
双六の道中川止めまぬかれたり 上田五千石『琥珀』補遺
双六の都にちかしふる暦 完来
双六の高雄の紅葉比叡の雪 後藤比奈夫
双六や二浪三浪おもしろき 阿波野青畝
双六や眉目平凡にわが娘 日野草城
双六を好めど碌に出世せず 阿波野青畝
双六を目がけて五指のひらくとき 阿波野青畝
双六岳越え来し小鳥岨に鳴く 水原秋櫻子 緑雲
双六道中二日休みの大井川 上田五千石『琥珀』補遺
吾子等はやくはしきかなや絵双六 中村汀女
呉春の画賎しからざる絵双六 後藤比奈夫
四さへある双六の賽振らばやな 相生垣瓜人 明治草抄
少年われへお下髪垂れきし絵双六 中村草田男
年寄りてたのしみ顔や絵双六 飯田蛇笏 山廬集
年忘れ人生双六しばし止む 百合山羽公 寒雁
忘れゐしものの一つの絵双六 石川桂郎 四温
版元のありたる頃の絵双六 後藤比奈夫
畳みゆく双六世界虹と失せ 上野泰 春潮
絵の破片あり双六のたたみあり 上野泰 春潮
絵双六にもほつほつと平成語 後藤比奈夫
絵双六由比蒲原は日の高き 後藤比奈夫
絵双六茅の輪をくぐり御田も植う 後藤比奈夫
老い二人双六におどけ冬籠 山田みづえ 忘
草の家の屏風に張れり絵双六 尾崎放哉 大学時代
言ふことを聞く賽の目や絵双六 阿波野青畝
負け役の父呼びに来る絵双六 鷹羽狩行
逃げ腰のなほ勝ちつづく絵双六 鷹羽狩行
雙六のどこへころげて樂まん 正岡子規 双六
雙六や盧生の夢のふりあがり 正岡子規 双六
雪や牡丹や双六の旅終りけり 橋閒石 卯

以上

by 575fudemakase | 2017-03-27 16:56 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初糶 の俳句

初糶 の俳句

初糶 

初市の花荷積まるる雪の上 山谷三郎
初市や抱き寐の子にも雪積り 田川飛旅子
初市で買ふ青竹の笊ひとつ 若月瑞峰
初市や雪に投げ出す鯛の色 矢野月片
初市に生きたる鯛の糶られけり 秋元草日居
初市のうしろは加茂の流れかな 金子晉
いくたびも山裾めぐり初市へ 巌寺堅隆
初市に妻と来て買ふ志野茶碗 七田谷まりうす
初市のあとの花屑掃かれをり 北詰雁人
初市や雪に漕来る若菜船 嵐蘭
初市の跡はそのまゝ霞かな 成美
初市や海鼠一籠隅にあり 青木月斗
前橋の初市風に明けにけり 瀬尾蓼穂
初市の梯子のうしろ通りけり 栗田九霄子
初市の祝儀値弾む瀬田蜆 斎藤朗笛
車海老跳ねて祝儀の糶初め 加藤芳雪
初市や抱き寐の子にも雪積り 田川飛旅子
初糶の花荷積まるる雪の上 山谷三郎
初市のうしろは加茂の流れかな 金子 晉
信濃川渡りて町の初市へ 成海 静
指二本指三本や初糶りす 上甲 明石
達磨目なくて力む初市方言浴び 相葉有流
初市で買ふ青竹の笊ひとつ 若月瑞峰
初糶のはじめの氷魚汲まれけり 下田 稔
初市の祝儀値弾む瀬田蜆 斎藤朗笛
初市の金盞花抱へ顔隠る 宮津昭彦
初市の焚火受継ぐ煤け漁婦 皆川盤水
トロ箱を蟹の這ひ出る糶初め 福川悠子
靄染めて花の初市香もきそふ 山岸治子
初市の焚火受継ぐ煤け漁婦 皆川盤水
初市や鰤の目凍みて買はれゆく 杉本苑子
初立合世は太平でありにけり 野村喜舟
初市の金盞花抱へ顔隠る 宮津昭彦
ぽんぽんに脹らめる河豚初市に 柳澤和子
初市や海鼠一籠隅にあり 青木月斗
いくたびも山襞めぐり初市へ 巌寺堅隆
初糶やまづ沖の日をおろがみて 白岩 三郎
初糶の白魚湖も明けそめて 長谷川史郊
初糶の濁声潮に鍛へたる 白井新一
初糶の声高らかに築地かな 西岡仁雅
初糶や跳ねては河豚の高値呼ぶ 木屋四風子
初糶の牛の祝儀値きまりけり 成島秩子
初糶の只中太き船の笛 水岡芳子
初糶の果物の香にむせてをり 山田 渓舟
初市や安房の花舟漕ぎよせて 佐藤瑠璃
靄染めて花の初市香もきそふ 山岸治子
初糶の背に暁光の日本海 海野ふさ子
初市や刻印にほふ熊野杉 松本幹雄
初市や大臼値ぶむ声太き 遠藤孝作
初市に引きゆく牛を飾りけり 野原 春醪
不逞なる顔のをこぜを糶初め 橋本榮治 逆旅
初市へ農夫甘藍光らせて 森水仙
飾られて初市に出る牛の瞳よ 千原叡子
初市の豚の鼻みな息をせり 神生彩史
初市の金盞花抱へ顔隠る 宮津昭彦
いさましく柝を入れてけり初相場 加藤汀波
初市に生きたる鯛の糶られけり 秋元草日居
初糶の祝なますはお手のくぼ ふみ子
初市の鰤差上げて糶りにけり 霜天
初糶や蛸の逃げるを引戻し 杏史
初市や雪に投げ出す鯛の色 月片
初市の輪飾飛んで踏まれたり 可空
初市の積荷にもたれ空は晴れ 菖蒲園
初市や深海魚族糶られをり 春
初市や霧立ちこめし天満橋 鼎二
いさましく柝を入れてけり初相場 汀波
初市に生きたる鯛の糶られけり 草日居
初市や海鼠一籠隅にあり 月斗
初市の跡はそのまゝ霞哉 成美
初市の裸灯に透けり干鰈 伊藤京子
初市や棚の海神吹きさらし 大島民郎
天井値つきし桧や初相場 松本キヨエ
初市の灯をからませて飴細工 宮田きぬ
初糶やまづ冲の日をおろがみて 白岩三郎
荒縄のあり初市のたつところ 山内康典
初市の活気背負ひて帰りきし 神村睦代
初糶や礫のやうに声跳ねて 松橋幸子
潮吹きし貝に祝儀値初市場 真酉圭央里
初糶の落札鈴を鳴らしけり 向久保貞文
初糶や祝儀値段の指弾け 住谷不未夫
初市の提げて大一枚の鯛 杉良介
初糶や山も港もまだ明けず 長沼紫紅
初市や眼鏡の中を牛通る 西村 明
初市の金盞花抱へ顔隠る 宮津昭彦
初糶や目玉とび出す深海魚 早川翠楓
初市の鯛売れしこゑ高めたり 大串章
初市を終へて千鳥の浜となる 徳留末雄
初市や海鼠一籠隅にあり 青木月斗
新海苔の初糶沖にきらめく日 伊藤幸吉
指二本指三本や初糶りす 上甲明石
初市やゴム風船が海へ出る 吉田静二
初市や善女ぶりして夫に蹤く 茂木房子
初糶りの威勢に潮の匂いかな 寿々木昌次郎
初糶の花荷積まるる雪の上 山谷三郎
初市のうしろは加茂の流れかな 金子晉
初市に生きたる鯛の糶られけり 秋元草日居
初市や雪に漕来る若菜船 嵐蘭

初糶 補遺

初市 只中 墓碑売りもいる 墓碑に映り 伊丹三樹彦
初市やくれなゐ競ふ海老と蟹 鷹羽狩行
初市や鋏で提げて海の蟹 鷹羽狩行
初市を終りて書きし手紙とや 高野素十
海老跳ねて海鼠うごめく初市場 鈴木真砂女 都鳥

以上

by 575fudemakase | 2017-03-27 16:51 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初明り の俳句

初明り の俳句

初明り 

初明りもとより障子明りなす 石川桂郎 四温
伊勢海老の籠しづもりぬ初明り 水原秋櫻子
初明りして胸中のモツアルト 平井照敏
堰を越す水のとらへし初明り 木下夕爾
独居して竹四五本の初明り 野澤節子
初明りそのまま命あかりかな 能村登四郎
初明り渚を伸ばす伊良湖岬 伊藤敬子
聖鐘や海へひろがる初明り 朝倉和江
書の面の灯色に代はり初明り 中村草田男
初明りわが片手より見え初むる 長谷川かな女
光るもの波となり来し初明り 稲畑汀子
修法の手跏坐にむすんで初明り 荒木東皐
うす衣をまとひ三輪山初明り 岡本春人
波音の改りたり初明り 高浜年尾
初明りもろ~のもの浮み出づ 佐藤漾人
お城山やうやくそれと初明り 高浜年尾
わが庵の即ち楠の初明り 星野立子
僧列に会ひし石段初明り 石井華風
夜を徹す往診なりし初明り 小島隆保
枕辺のものゝ形や初明り 鈴木洋々子
聖鐘や海へひろがる初明り 朝倉和江
独居して竹四五本の初明り 野澤節子
初明り妙義を遠の畦に置き 市村究一郎
初明り渚を伸ばす伊良湖岬 伊藤敬子
八ケ岳まづ一峰の初明り 宇都木水晶花
初明りたてがみ白き三春駒 高木公園
堰を越す水のとらへし初明り 木下夕爾
舟小屋の柱は丸太初明り 川上季石
初明りわが片手より見え初むる 長谷川かな女
初明りふたり暮しのひとり起き 高島筍雄
初明り不条理をもて稿終る 鈴木六林男
金魚田の十字の畦の初明り 木村蕪城
湖のひろがりてゆく初明り 佐藤 梧林
虚子の句の飯野山より初明り 浜川 穂仙
初明り象あるもの眼に見えそめ 小川双々子
海という大き胎動初明り 中村正幸
歯磨の香に恍惚として初明かり 夜基津吐虫
老母と寝る二夜の寝息初明り 安井昌子
初明りして胸中のモツアルト 平井照敏
初明り粉乳へ挿す銀の匙 田川飛旅子 『花文字』
初明りもつとも光る喉仏 齋藤玄 『舎木』『飛雪』
初明り山河を前のわが庵 阿部みどり女 『微風』
誰か早やポンプ使ひし初明り 阿部みどり女 『笹鳴』
山荘に天窓よりの初明り 青木起美子
誰か早ポムプ使ひし初明り 阿部みどり女
雨戸繰る一枚づつの初明り 高久フミ
岩窟にどよもす浪に初明り 福田蓼汀
初明りそのままいのちあかりかな 能村登四郎
紅失せて童女の寝顔初明り 平畑静塔
除雪車の通りし道に初明り 関 秀子
堰を越す水のとらへし初明り 木下夕爾
ちちははも夫も佛や初明り 上野章子
住み古りて霜すさまじき初明り 殿村菟絲子
保育器に未熟児眠る初明り 佐野たけ子
カーテンの隙一寸の初明り 滝 春一
初明りあしたの雪の田に里に 徂 春
書の面の灯色に代はり初明り 中村草田男
地球儀をくるりと廻す初明り 永田呂邨
国引きの風土記の浜の初明り 岡崎憲正
たらちねの母を立たする初明り 染谷多賀子
摩天楼揺れてくるなり初明り 秋本敦子
初明りまとひつつありぬわが峠 新谷ひろし
太古より壺は壺形初明り 岩淵喜代子
竜吐水の音のたかまり初明り 田中みち代
クレソンの水にはじまる初明り 河合凱夫
母と我の座がかはりをり初明り 中嶋秀子
黒豆は黒汁びたり初明り 山本紫黄
明星いまだ金色保つ初明り 相馬遷子
八十路半ば胸の奥まで初明り 水原秋櫻子
カーテンの隙一寸の初明り 瀧 春一
明治百又一年の初明り 下村ひろし
衢路にあそべる鳩に初あかり 木津柳芽
富士と我隔つものなき初明り 手島 靖一
住み古りて霜すさまじき初明り 殿村莵絲子
島びとの潮汲む磯の初明り 宮原双馨
生きざまを妻な笑ひそ初明り 水野 柿葉
三輪山の見ゆる窓より初明り 小澤満佐子
礁打つ潮の穂先の初明り 小坂灯村
奥宮の杉生香に立つ初明り 長尾久子
伎芸天かしげる面に初明り 石川 魚子
平家納経ほのめく箔の初あかり 平井あい子
初明り気比の神水豊かなる 上田恵美子
摩天楼硝子音階初明り 仙田洋子 雲は王冠
初あかり見えぬ目でもの申すなり 橋本榮治 越在
雪山の初明りして狐罠 小坂順子
紅夫せて童女の寝顔初明り 平畑静塔
来し方を皆佳しと思ふ初明り 遠藤はつ
初明り生きて来し身を起こさうか 近藤重郎
初明りみづうみ靄をひらきけり 伊藤純
堰を越す水のとらへし初明り 木下夕爾
住み古りて霜すさまじき初明り 殿村莵絲子
初明りわが片手より見えそむる 長谷川かな女
さきがけて鶲の声の初明り 田村木国
わが庵の即ち楠の初明り 星野立子
書の面の灯色に代はり初明り 中村草田男
境涯は至福と言はん初明り 浅井青陽子
枕邊のものゝ形や初明り 鈴木洋々子
遠国の雪の音きく初明り 殿村莵絲子
初明り不条理をもて稿おわる 鈴木六林男
初明り光の繭のなかにゐて 平井照敏
影といふものまだ曳かず初明り 鷹羽狩行
初明り象あるもの眼に見えそめ 小川双々子
初明り山河を前のわが庵 阿部みどり女
火の山の裾の障子の初明り 宮坂静生
八十路半ば胸の奥まで初明り 水原秋櫻子
魚の夢に青く染まりし初明り 大島雅美
摩天楼硝子音階初明り 仙田洋子
初明り神います山聳てりけり 河合未光
初明り待つ間の松の真上星 加藤燕雨
ちちははも夫も仏や初明り 上野章子
堰を越す水のとらへし初明り 木下夕爾 定本木下夕爾句集
お城山やうやくそれと初明り 高浜年尾
忽ちに浦の戸毎の初明り 長岡貝郎
初明かり薔薇園はまだ闇の中 原田青児
明星いまだ金色保つ初明り 相馬遷子
初明り覚めし藁コの忍び駒 河合未光
縄文の夢の賀毘禮嶺初明り 小松崎爽青
観覧車一席づつの初明り 塩川雄三
葛飾に残れる松の初明り 能村登四郎
真名鶴の声こんこんと初明り 白澤良子
降る雪やひとひらづつの初明り 金箱戈止夫
乾坤の闇の溶けゆく初明り 伊東宏晃
初明りまなこあることありがたく 河野静雲
初明り大宍道湖を展べんとす 西本一都
面の眼の穴の常闇初明り 田村了咲
初明りして胸中のモツアルト 平井照敏(1931-)
明治百又一年の初明り 下村ひろし 西陲集
初明りして金婚を経し一歩 及川貞 夕焼
初明り病床清瀬も夜明けなむ 及川貞 夕焼
初明り粉乳へ挿す銀の匙 田川飛旅子 花文字
岩窟をどよもす浪に初明り 福田蓼汀 山火
つくばひの氷の上や初明り 阿部みどり女 笹鳴
誰か早やポンプ使ひし初明り 阿部みどり女 笹鳴
初明りみたらしの氷たゝく音 高田蝶衣
初明り妻の雑巾大きかり 河野多希女 月沙漠
遠国の雪の音きく初明り 殿村莵絲子 雨 月
子等成人吾等は閑居初明り 高木晴子 花 季
初明りわが片手より見え初むる 長谷川かな女 牡 丹
鞠の如く見えし子愉し初明り 長谷川かな女 雨 月
嗽ぐ水まろくあり初明り 長谷川かな女 雨 月
初明り山河を前のわが庵 阿部みどり女
初明り我が家枯野に坐りゐる 阿部みどり女
つくばひの氷の上や初明り 阿部みどり女
初明り港は未だ灯を消さず 五十嵐播水 埠頭
玄海の潮路の雲に初明り 吉武月二郎句集
初明り火鉢の焔立ち来けり 臼田亜浪 旅人
明星いまだ金色保つ初明り 相馬遷子 山河
初明りして胸中のモツアルト 平井照敏 天上大風
お城山やうやくそれと初明り 高浜年尾
初明りわがステンレス流し台 山根 真矢
初明り何か幸せあるがごと 田中冬二 俳句拾遺
勲章の重さ老躯の初明り 芥川龍之介 我鬼窟句抄
初明り書架の背文字の中の金 蓬田紀枝子
嗽ぐ水まろくあり初明り 長谷川かな女
一生の今といふ刻初明り 中嶋秀子
初明り山河を前のわが庵 阿部みどり女
初明り渚をのばす伊良湖岬 伊藤敬子
水尾引いてをりたるは鳰初明り 石井とし夫
初明りかがやける手を子に与ふ 今瀬剛一
明星いまだ金色保つ初明り 相馬遷子 山河
焼あとに富士しづまりし初明り 中川宋淵 命篇
堰を越す水のとらへし初明り 木下夕爾
鶏鳴のめぐる一木初明り 原裕 正午
柊の一樹を通る初明り 野沢節子 飛泉
初明り火鉢の焔立ち来けり 臼田亞浪 定本亜浪句集
勲章の重さ老躯の初明り 芥川龍之介
初明りもとより障子明りなす 石川桂郎
太古より壺は壺形初明り 岩淵喜代子
初明り街は未完の絵のごとし 片山由美子
あるがまま生きて今日あり初明り 菖蒲あや
ちちははも夫も仏や初明り 上野 章子
今生のいよいよと言ふ初明り 小出秋光
離陸して日本かたむく初明り 那須淳男
家という大きな卵初明かり 盛戸まりの
嫁ぎ来て牛に呼ばるる初明り 佐藤寒帯草
初明り赤子のやうに目覚めけり 平野きらら
古里の山なだらかに初明り 岸本淑子
城が先づ明けて県都の初明り 門屋六洋
初明りして波の色砂の色 三橋喜代
抽象も具象もありぬ初明り 関口晃代
点字読む夫の指先初明り 加藤美枝子
天上の風鮮しき初明り 門屋大樹
初明り赤子が乳を吸つてをり 石川須賀子
刻太鼓響く湯の街初明かり 三並恵津子
初明りもののあはれに深くゐる 鈴木慶子
鳥篭の覆ひをはづす初明り 山本実昌
初明りまづ北斉の赤富士に 真貝葉月
鳥ひとつ山越えて来し初明り 宇咲冬男
初明りして金鱗の波がしら 野村久子
畳目のきれいに見ゆる初明り 高橋雅世
大鳥居波にうつして初明り 野口次郎
飾り無き家にもおよび初明り 冨舛哲郎
病む手にて光つかまん初明り 坂本松子
ふんどしややうやう黒む初明り 初明 正岡子規
六十年寝起きの一間初明り 高澤良一 宿好
思惟仏の半顔照らす初明り 新船富久
方舟のごとき泊船初明り 小野寺信一郎
大仏殿開きし窓の初明り 遠藤新樹
粒ほどのこけしの口や初明り 熊谷ふみ
初明り浴び飛沫浴ぶ神の岩 木村紀美子
三猿の隠さぬ赤心初明かり 渡辺舎人
湖のひろがりてゆく初明り 佐藤悟林
脈打てる搾乳ホース初明り 実渕真津子
又一艘岬を出でし初明り 越智麦州
初明りしづくのやうな島ひとつ 密田真理子
さしのべし手にたまゆらの初明り 永島理江子
明け初めてただに明るき初明り 田中三二良
産土神は大河のほとり初明り 老川敏彦
点滴の一滴づつの初明り 内山照久
十二支の土鈴そろうて初明り 高室有子
国来よと引きし島山初明り 山本喜朗
初明り書架の背文字の中の金 蓬田紀枝子
かの墓もいま初明りしてをらむ 和田知子
初明り陸は岬を突き出して 庄中健吉
すきまより四方八方初明り 長谷川櫂
戸隠の百渓やいま初明り 千曲山人
網ブイの沖へ道なす初明り 谷内 茂
海鳴りて記紀の山々初明り 徳留末雄
初明り父の白息見えてきし 澤井洋子
薔薇色の初明りさせ病者らに 藤沢周平
堂堂と死にそびれたり初明り 山崎十生
声かけて牛を曳きだす初明り 加藤憲曠
初明り胸中天籟地籟あり 渡部抱朴子
初明り明治の母に及びけり 西嶋あさ子
離陸して日本かたむく初明り 那須淳男
島びとが潮汲む磯の初明り 宮原双馨
波音のうつつに寄せて初明り 稲畑汀子
榊照る道ひと筋に初明り 村田脩
ごつごつと熟年われら初明り 山崎聰
初明り渚をのばす伊良湖岬 伊藤敬子
心にもありたる小窓初明り 後藤比奈夫
いのちまた燃ゆる色なり初明り 神蔵器
初明り嬉々と節穴多き戸よ 松崎鉄之介
影といふものまだ曳かず初明り 鷹羽狩行
明星いまだ金色保つ初明り 相馬遷子
紅失せて童女の寝顔初明り 平畑静塔
わが庵の即ち楠の初明り 星野立子
書の面の灯色に代はり初明り 中村草田男
八十路半ば胸の奥まで初明り 水原秋櫻子
カーテンの隙一寸の初明り 瀧春一
初明りわが片手より見えそむる 長谷川かな女
べた凪に浮ぶ出羽島初明り 藤田真寛
初明り汽笛横切る五ヶ所浦 古川千鶴
初明り三島大社の枯山水 柴山つぐ子
キユーポラの火柱一つ初明り 佐川広治
初明りして稚き松老いし松 軽部烏頭子
湖のひろがりてゆく初明り 佐藤梧林
虚子の句の飯野山より初明り 浜川穂仙
見慣れゐし山の連なる初明り 小泉紀代子
藁屋根を宝のように初明り 野口香葉
詩に韻く山河ひらけし初明り 雲戸喜代
初明り生きて来し身を起こそうか 近藤重郎
毎年よ書架の隅より初明り 後藤比奈夫 めんない千鳥
橋脚を洗ふ波の穂初明り ふけとしこ 鎌の刃
初明り街は未完の絵のごとし 片山由美子 風待月
まだ何の影とも知れず初明り 片山由美子 風待月
火の山の裾の障子の初明り 宮坂静生 青胡桃
初明り揺れつつ枝ぶり整す松 鍵和田[ゆう]子 浮標
初明り一つ咲きたる木霊かな 穴井太 原郷樹林
引き出しに柿の種あり初明り 穴井太 原郷樹林
ススメススメ全山枯れて初明り 穴井太 原郷樹林
初明りうしないしゆめ夢殿に 穴井太 原郷樹林
みささぎのほとりに宿り初明り 深見けん二 日月
真名鶴の声こんこんと初明り 白澤良子
初明り燦と水巴の火桶より 小川原嘘帥
太古より壺は壺形初明り 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
初明りして胸中のモツアルト 平井照敏
産土神は大河のほとり初明り 老川敏彦
初明りそのまま命あかりかな 能村登四郎
書の面の灯色に代はり初明り 中村草田男

初明 補遺

あひるゐて愚々とこゑする初明り 飴山實 花浴び
うなづきて鴉のお世辞初明り 阿波野青畝
おかめ笹その二三枚初明り 山口青邨
こころざす思ひの色の初明り 能村登四郎
たまきはる命紅さす初明り 能村登四郎
たらちねの愛のごとくに初明り 後藤比奈夫
とく起きて机にあるや初明り 高浜年尾
ふんどしややうやう黒む初明り 正岡子規 初明
ほそりたる命毛が吸ふ初あかり 能村登四郎
ほの~と初明りして古人の句 高野素十
みみづくの耳のふたつが初あかり 岡井省二 鯛の鯛
わが庵の即ち楠の初明り 星野立子
わが街は海より暁くる初明り 稲畑汀子
一塊の石にいのちや初明り 山口青邨
不知火の海初明り鶴も覚む 山口青邨
亡き数の誰彼が見ゆ初明り 佐藤鬼房
人愚かなりほの~と初明り 高野素十
初あかりそのまま命あかりかな 能村登四郎
初明りしてよりどつと深眠り 野澤節子 八朶集以後
初明りして胸中のモツアルト 平井照敏 天上大風
初明りして金婚を経し一歩 及川貞 夕焼
初明りもとより障子明りなす 石川桂郎 四温
初明り嬉々と節穴多き戸よ 松崎鉄之介
初明り思惟の菩薩の指のかげ 阿波野青畝
初明り水のごとくに犬鳴いて 平井照敏
初明り漂ふごとき庭の木々 高浜年尾
初明り火鉢の焔立ち来けり 臼田亜郎 定本亜浪句集
初明り病床清瀬も夜明けなむ 及川貞 夕焼
初明り百合根含め煮白密集 山田みづえ 草譜
初明り紫尾山はむらさき鶴の里 山口青邨
初明り静かなるかな時計鳴る 星野立子
声なくて一部屋づつの初明り 桂信子「草影」以後
大き薬喉を通りぬ初明り 水原秋櫻子 蘆雁以後
岩戸ひらく音は濤音初あかり 林翔
岩窟をどよもす浪に初明り 福田蓼汀 山火
床に飾るアメジスト群晶初明り 山口青邨
引く波に寄せくる波に初明り 鈴木真砂女 紫木蓮
影といふものまだ曳かず初明り 鷹羽狩行
新しき世へみなぎれる初明り 稲畑汀子
明星いまだ金色保つ初明り 相馬遷子 山河
東山裾の灯残り初明り 高浜年尾
松あれば松けぶらせて初明り 能村登四郎
松の下竹ありほのと初明り 山口青邨
毎年よ書架の隅より初明り 後藤比奈夫
波音のうつつに寄せて初明り 稲畑汀子
波音のやがて親しや初明り 高浜年尾
波音の改りたり初明り 高浜年尾
火の島を沖に控へて初明り 高浜年尾
燦爛と化石の魚や初明り 山口青邨
独居して竹四五本の初明り 野澤節子 八朶集以後
琉球の魔除けの毬の初明り 有馬朗人 天為
禍雲の裂目裂目ゆ初明り 阿波野青畝
編隊機とよもすかたや初明り 伊丹三樹彦
老母は東に在す初明り 高浜年尾
葛飾は黒松ばかり初明り 能村登四郎
覆はれし鏡のうちの初明り 鷹羽狩行
賜りし八十六歳初明り 能村登四郎
身辺の余生めきたる初明り 岡本眸
道のべの捨籠青む初明り 上田五千石『琥珀』補遺
鍋鶴も項は白し初明り 山口青邨
陸橋の下獅子は座す初明り 山口青邨
骨明りする日までの身 初明り 伊丹三樹彦
鵜は波に鴉は浜に初明り 鈴木真砂女 夏帯
黒きもの鴉となりぬ初明り 鷹羽狩行
鼈甲の帆船は航く初明り 山口青邨

以上

by 575fudemakase | 2017-03-27 16:49 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初護摩 の俳句

初護摩 の俳句

初護摩 

初護摩のほむらに気合い読経僧 澁沢美代子
数珠で嬰撫でて初護摩終りけり 川澄祐勝
初護摩の炎に厄を投じけり 歌川雅秋子
丹田にひびく初護摩太鼓かな 豊田喜久子
初護摩の法螺に一天ひきしまり 山口峰玉
初護摩や五臓六腑で聞く太鼓 今村 岱
初護摩や我に流るる原始の血 松岡博水
初護摩や親子相打つ大太鼓 山城やえ
初護摩の菩提寺太鼓とどろけり 寺崎美江女
月山に初護摩太鼓轟けり 菅原庄山子
むささびに鳴る初護摩の大太鼓 大島民郎
初護摩やつづれ錦で身を包み 川澄祐勝
初護摩の出を待つ僧の焚火かな 岡村羊羽
初護摩を焚く上堂の太鼓鳴る 立木大泉
初護摩の障子明りに合掌す 沢村春子
初護摩の十二神将けぶらしぬ 松本菊子
初護摩の煙信者を包みけり 小川立冬
初護摩の法螺一山を貫けり 中島ふゆみ
初護摩の法鼓五臓をゆさぶれり 斎藤智恵雄
フラツシユを浴び初護摩の大僧正 中村菊雄
初護摩の爆ず火明りに躬を正す 井桁汀風子
初護摩の猛る炎に合掌す 定形早春
座主の焚く初護摩雪の峰の寺 中尾吸江
わが焚いて浴びて初護摩大煙 後藤薫風
初護摩のほのほゆらめく杉の幹 羽田岳水
初護摩の焔生きたり金色仏 高島筍雄
むささびに鳴る初護摩の大太鼓 大島民郎
初護摩の煙の中に滝仰ぐ 中村桑摘
初護摩や衣の塵を吹き飛ばし 古舘曹人
初護摩の火を僧の手のわしづかみ 井沢正江
蘇民受く初護摩火の粉天井まで 大野林火
初護摩の火の子滅法とどまらず 殿村莵絲子
初護摩札いのち惜しめと送り呉る 西山 誠
初護摩の火の子滅法とどまらず 殿村菟絲子
初護摩やマイクを通る火のひびき 成田郁子
初護摩札いのち惜しめと送り呉る 西山 誠
初護摩の焔生きたり金色仏 高島筍雄
初護摩の火の粉滅法とどまらず 殿村莵絲子 雨 月
初護摩の火を僧の手のわしづかみ 井沢正江 以後

初護摩 補遺

初護摩の闇生む堂の凍てにけり 松崎鉄之介
蘇民受く初護摩火の粉天井まで 大野林火 飛花集 昭和四十五年

以上

by 575fudemakase | 2017-03-27 16:45 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

二日 の俳句

二日 の俳句

二日

二日暮れ今年も二日たちにけり 富安風生
黒髪の国の二日を黙し征く 平畑静塔
鷺もゐて伊根の舟屋の二日凪 有田芳子
鶴あゆむ二日の畦のうすみどり 米谷静二
鵜の潜く波みて昏れし二日かな 稲垣きくの 黄 瀬
鳩がとぶ二日の空の浅黄色 阿部みどり女
鳥の影しばしば二日を籠りゐる 阿部みどり女
髪に浮く二日のうすき埃かな 鈴木真砂女 生簀籠
餅腹の汚さゆるせ二日酒 石川桂郎
飛ぶ寅の想得てたのし二日の子 原裕 『青垣』
風花の峡の小村の二日かな 松本たかし
風はたとやめば二日の壇の浦 白倉久子
鞆の津や既に二日の船出ある 松根東洋城
青空へもぐら顔出す二日かな 沢木欣一
電気ストーブ冴えざえ二日明けにけり 永井龍男
雪籠り二日朝夜と昔なし 石川桂郎 高蘆
雪煙あがる二日の岩手富士 山本一史
雪掻きて二日の店を開けにけり 榎本栄子
雪が来て二日の山のすがた見ゆ 中拓夫
雨去りし松に二日の日ざしかな 阪田昭風』
障子撫でる風の時折二日かな 阿部みどり女
鉄棒に少年二人二日の朝 佐藤鬼房
金魚浮び出でし二日の日はさゝね 林原耒井 蜩
酔漢の宵寝を覚す二日かな 石塚友二 光塵
遠山の枯生光れる二日かな 本郷迂象
迷ひ犬歩く二日の高速路 船坂ちか子
辞書ひきに立つや二日の雪催 斉藤夏風
足袋裏のかすかなる穢の二日かな 能村登四郎
越ヶ谷に鴨を見に来る二日かな 池内たけし
赤ん坊に指先噛ます二日かな 加藤かな文
調教馬二日の馬場をひた走る 佐藤信子
誰が踏みし雪ぞ二日の妻の墓 水野柿葉
試筆する二日の友に来りけり 五十嵐播水 播水句集
裏白の葉が乾反りつつくもりのまま正月二日寒く暮れにき 松村英一
行末はまたこの二人二日の夜 篠田悌二郎
蝶いでゝあそぶ高嶺の二日かな 渡邊水巴 富士
蜑が妻二日の凪に麦踏めり 水原秋桜子
虔みて写仏二日の大机 つじ加代子
蘆垣に日のさしぬける二日かな 久保田万太郎 流寓抄
蓮根の穴も二日の午後三時 橋間石
蓬髪にしみつく雪の二日かな 佐藤鬼房
華に先二日ちかよる二日かな 松岡青蘿
菩提樹に雪降りし香の二日かな 西村公鳳
荒海のけふ荒れてゐる二日かな 鈴木真砂女 生簀籠
若き等の駅にあふれて二日かな 新田千津子
若き日の映画も見たりして二日 大牧 広
船神のかざりしづかに二日の夜 伊東月草
腹の上に猫のせてゐる二日かな 行方克己 昆虫記
老人は烏なりけり二日の橋 橋石 和栲
義仲寺にときをりひとの来て二日 片山由美子 天弓
群れて白き羊追わるる二日かな 五十嵐研三
縫初めの二日も暮るる松の風 石原舟月
笹鳴の背戸にきてゐし二日かな 森澄雄
笹鳴の二日はや過ぎたりしこと 高濱年尾 年尾句集
笹鳴に対す二日の主かな 高浜虚子
竹の幹二日の夕日射しにけり 加藤三七子
立てかけし櫂に二日の天が澄む 木村蕪城 寒泉
窯元の賀状届きぬ二日かな 宮田正和
窓開けて二日の風を入れにけり 角川春樹
社務所より刀匠の出づ二日かな 鵜飼みち子
磨る墨の香にしまりたる二日かな 梅里全子 『祝矢』
磨る墨の吸ひつきのよき二日かな 澤田佳久
碁の音の次第に高き二日かな 平野無石
知覧にきて泣いて帰りぬ二日かな 村井国男
真直ぐに二日の空の飛行雲 林 瑠美
病院に妻の戻れる二日かな 高村寿山
留守を訪ひ留守を訪はれし二日かな 五十嵐播水
町中を鴉の荒らす二日かな 小島千架子
生海鼠干す伊良古が崎の二日凪
猫と灰いづれが温き二日かな 柿本多映
独楽打ちの子も見ず正月二日かな 小原菁々子
狩の犬一声鳴きし二日かな 日原傳
牡丹剪つて二日の酔のさめにけり 正岡子規
熱の子に白粥煮ゆる二日かな 永島理江子
焚火の炎上げて二日の富士見ゆる 石田郷子
火を焚きて遊び心の二日はや 雨宮きぬよ
濯ぎ場にすこし雪ある二日かな 沖崎一考
濤音の山の奥より多摩二日 宮坂静生 春の鹿
海鼠あれば二日正月事足んぬ 田中田士英
海牛の二日の波にたゆたへり 高澤良一 ももすずめ
浮島や鴫を二日の景として 佐藤鬼房
河口まで海を見にゆく二日かな 水田光雄
沖かけて波一つなき二日かな 久保田万太郎
永久の喪の母ごころけふ二日 及川貞 夕焼
水浴びの鳩や二日の弥陀の前 服部鹿頭矢
水のごと一日二日三日過ぐ 神蔵器
気の置けぬ二日の客や姪甥等 五十嵐播水 播水句集
毛氈に据ゑて二日の硯かな 中村祐子
歯朶に風二日夜更けて客のあり 小松崎爽青
正月の二日は遊ぶはじめかな 信徳
檀一雄逝きし二日の夜風かな 細川加賀
橙に雨柔らかき二日かな 浅賀渡洋
棒のやうに二日の酒気につらぬかれ 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句
枯草のもう赤い芽の一月二日一月三日 栗林一石路
松風に流れ二日の石たたき 大峯あきら 宇宙塵
東京に闇の戻りし二日かな 戸恒東人
杉玉に用水の鳴る二日かな 高澤良一 随笑
月さえて二日に成りぬ雪仏 蒼[きう]
月さえて二日に成ぬ雪仏 蒼[きう]
月かともいはん間もなき二日かな 杉 風
書初の二日にあらぬ日なりけり 青木重行
暮れ際の雲を見てゐる二日かな 高澤良一 暮津
春立つて二日霞のいこま山 大江丸
春なれて二日の門の楽しけれ 柳女
日も富士も白き光の二日かな 渡邊水巴 富士
日の端の硯の海の二日かな 本庄登志彦
文鎮に海の日のさす二日かな 畠山譲二
放埓の二日となりし酢牡蠣かな 古舘曹人 樹下石上
戸の隙に二日の潮が流れをり 五十地 建
怒ることできてしまひし二日かな 中村春逸
念仏寺雨降る石の二日かな 村上しゆら
志寿太夫の高き声佳き二日かな 都筑智子
引くときも二日の波の岩を越ゆ 田島魚十
庵の春二日の夜より更けにけり 樗堂
庭隅の幹に日のある二日かな 桂信子 遠い橋
常のごと二日の客の裏戸より 高浜虚子
師の影を踏んで二日の女弟子 岡田久慧
師のもとにまかりてやすき二日かな 石塚友二 光塵
峡の空二日の星の吹き溜り 滝 佳杖
岩手山雪けむり立つ二日かな 沼澤 石次
山牛蒡鶲も二日三日かな 加藤楸邨
山彦も山を出ることなき二日 鷹羽狩行
山寺に書見の灯ある二日かな 山本洋子
屑籠に二日の日差し移りけり 高澤良一 宿好
小鼓の朱の緒を締むる二日かな 市川つね子
富士川の水みどりなる二日かな 室積波那女
家訓とてなくて集まる二日かな 深見けん二
客去れば早も日暮るる二日かな 小川匠太郎
客のあと硯開きぬわが二日 石塚友二
子連夫婦来て帰りたる二日かな 安住敦
子らとまる電話かかりし二日かな 五十嵐播水 埠頭
子の来るを待ちてそぞろの二日かな 佐々木克明
子が駆けて二日いろどる宇治堤 小松初枝
嫁になる娘が来てくれし二日かな 藤実艸宇
夫すでに書斎に入りし二日かな 池上不二子
大仏を蔵する鴟尾の二日かな 角川春樹 夢殿
大き聖書置かれ二日の説教台 古賀まり子
大き田に人の出てゐる二日かな 露崎士郎
夢殿や二日の夢に竜の髭 角川春樹 夢殿
夕暮れの湖に日矢入る二日かな 伊藤敬子
夕影の二日の富士や見給はず 小池文子 巴里蕭条
土筆摘みて二日の指に草のいろ 伊藤敬子
噴いてきし飯の匂ひの二日かな 大南テイ子
咥え来し木の葉みどりに二日の猫 北原志満子
別嬪な鳥が来てゐる二日の木 高澤良一 さざなみやつこ
初東風や二日に吹けば月も有り 一草
冬深し二日の糧の米二合 佐原トシ
元旦の鯛焼き返す二日かな 角川春樹
元日二日京のすみずみ霞みけり 蕪村
元日二日ことに三日の日和かな 高橋淡路女
元日も二日も暮れてしまひけり 元日 正岡子規
元日は嬉し二日は面白し 丈左
元日の大雪なりし二日かな 高浜虚子
元日と二日に頒ち鯛を食ぶ 村越化石
傘寿越すことを二日の暮れつ方 皆吉爽雨
二日路は筑波にそふて日ぞ長き 日永 正岡子規
二日見る雪の迎や手代ども 高井几董
二日暮れ今年も二日たちにけり 富安風生
二日暮るゝ客に音して厨かな 楠目橙黄子 橙圃
二日早や米寿の母のご高説 斉藤 仁
二日早や朝空汚すけぶりかな 古市爽石
二日三日四日病む鳥声のほかはなく 石川桂郎 高蘆
二日三日と太陽にとびつくか 松澤昭 面白
二日より深雪に飛ばす鉄火かな 齋藤玄 飛雪
二日より三日の客の多かりし 芦川 巣洲
二日もう吾子を叱つてしまひけり 白根純子
二日めは妻のくにぶり雑煮椀 椙本千代子
二日また孔子の仁の如き日を 梅沢総人
二日はや魚干す入江軒深し 北村典子
二日はや風のとらへし夕日かな 高橋潤
二日はや青三日月に塵もなし 原コウ子
二日はや雪のけはひの翌檜 三田きえ子
二日はや雀色時人恋し 志摩芳次郎
二日はや鑿研ぐ阿波の人形師 溝渕匠史
二日はや酸茎を噛んで恋もなし 嶋田麻紀
二日はや血をもて汚す診療衣 下村ひろし 西陲集
二日はや能登行商の雪合羽 新田祐久
二日はや絵皿の唐児寂しいか 森早恵子
二日はや秘仏にかへる薬師仏 北澤瑞史
二日はや猪撃ちとめて担ぎこし 大口元通
二日はや物憂かりける壁畳 石塚友二 光塵
二日はや烏賊干してゐる日御碕 宮崎 和
二日はや死病の人の牀に侍す 相馬遷子
二日はや死と詩が忍び足でくる 楠本憲吉
二日はや日課となりし湿布貼る 丹野邦子
二日はや工事場廻る警備員 松尾千代子
二日はや妻の煮るもの妻臭し 萩原麦草 麦嵐
二日はやあふるゝ客の我が家の炉 穴井 梨影女
二日の燈とびとびに崎荒るるなり 宮津昭彦
二日の炉松笠黒う燃え了る 萩原麦草 麦嵐
二日にもぬかりはせじな花の春 芭蕉
二日にもなほ寝積まん糠枕 道彦
二日には箒のさきや福寿草 太祇
二日には箒のさきやふく寿草 炭 太祇 太祇句選後篇
二日には原稿依頼殺到す 稲畑廣太郎
二日とて約せしことの早や二三 高浜年尾
二日から甲羅干しせる池の亀 高澤良一 暮津
二日かな矢切の渡し急がざる 渡辺恭子
亀の首二日の空へ差し伸べて 高澤良一 暮津
乾坤に卵立ちたり二日の夜 今井竜蝦
一葉づつ拭ふ二日の壺椿 長谷川かな女
一葉づつ拭ふ二日の壷椿 長谷川かな女
一月二日葉蘭は雪を白うしぬ 萩原麦草 麦嵐
一月二日奇石瑞草を見る 新年 正岡子規
一月二日写真館出て逐電す 的野 雄
一月二日はうちのふきのとが出ている 荻原井泉水
一夜経しものに二日の潦 辻
一トときのあられにくらき二日かな 久保田万太郎 流寓抄
一と葉ずつ拭う二日の壺椿 長谷川かな女 花 季
ピーナッツつるりとむける二日かな 高澤良一 さざなみやつこ
パンちぎる膝に二日の夕陽あて 岩田昌寿 地の塩
ゆるやかにとぶ鳥見えて二日かな 永田耕一郎
やうやくに空温まる二日かな 松村蒼石
もの音のみな遠くして二日かな 木村風師
もしやとてあふぐ二日の初月夜 素 堂
みどり子の匂ふ二日の日向かな 大峯あきら 宇宙塵
ほのぼのと殺生石の二日かな 上田五千石
ふりかけて雪すぐやみし二日かな 久保田万太郎 流寓抄以後
ひつそりと村の二日のつねのごと 長谷川素逝 村
ひえびえと二日の夢に銀の檣 友岡子郷
ぬかづいて曰く正月二日なり 夏目漱石 明治三十二年
とかくして二日となりぬ初暦 小杉余子
つねのごと烏賊売りの来て二日かな 鈴木真砂女
つねのごと烏賊売の来て二日かな 鈴木真砂女
つぎ~に船の出でゆく二日かな 五十嵐播水 埠頭
たま~や二日に出でし穴居妻 萩原麦草 麦嵐
すぐそばの母なつかしき二日かな 前田典子
ざくざくと歩く二日の雑木山 飯田晴
さわぐ笹二日の日射し入りみだれ 桂信子 花寂び 以後
これもちとおこしに来たる二日かな 服部嵐雪
けふ晴れて二日の雨に月育つ 西村正子
くれかかる二日の壁があるばかり 桂 信子
くたびれしものに二日の身を通す 小原禎子
かまくらの不二つまらなき二日かな 久保田万太郎
うら山を石ころげおつ二日の夜 萩原麦草 麦嵐
うらじろの葉の反り返り二日かな 佐藤信子
いさぎよし二日早暁の往診は 相馬遷子 山国
いくらかは窶れしと知る二日かな 龍岡晋
ありなしの塵うつくしき二日かな 山元志津香
あたゝかき昨日につづく二日かな 土永竜仙子
*ひび立てて海のゆるがぬ二日かな きちせあや

二日 補遺

黒髪の国の二日を黙し征く 平畑静塔
鴬の糞踏石に二日なる 山口青邨
鳥の色うごく二日の葱畠 橋閒石 朱明
髪に浮く二日のうすき埃かな 鈴木真砂女
餅腹の汚さゆるせ二日酒 石川桂郎 含羞
飴を口に二日編初の妻とゐる 日野草城
飛ぶ寅の想得てたのし二日の子 原裕 青垣
風立ちて二日の夜の南かな 松崎鉄之介
鉄棒に少年二人二日の朝 佐藤鬼房
酔漢の宵寝を覚す二日かな 石塚友二 光塵
遠松風二日の景の曇りそむ 桂信子 花影
足袋裏のかすかなる穢の二日かな 能村登四郎
衣紋着し客と鴛鴦飼ふ二日かな 原石鼎 花影
蓮根の穴も二日の午後三時 橋閒石
蓬髪にしみつく雪の二日かな 佐藤鬼房
荒海のけふ荒れてゐる二日かな 鈴木真砂女
老人は烏なりけり二日の橋 橋閒石 和栲
繭玉に一縷の風もなき二日 鷹羽狩行
編笠に二日の旅の孤客かな 村上鬼城
筆の穂を噛めば二日も暮れにけり 燕雀 星野麥丘人
笹鳴の背戸にきてゐし二日かな 森澄雄
童らの木霊はじめや二日山 飴山實
立てかけし櫂に二日の天が澄む 木村蕪城 寒泉
町中に御陵を拝す二日かな 村山故郷
浮島や鴫を二日の景として 佐藤鬼房
流木の波間に遊ぶ二日かな 鈴木真砂女 紫木蓮
永久の喪の母ごころけふ二日 及川貞 夕焼
水仙に 二日の入日と 夕月と 伊丹三樹彦
正月二日あたらしい肥桶かついで 種田山頭火 草木塔
榛原の榛の木縫へば二日の駅 橋閒石
日も富士も白き光の二日かな 渡邊水巴 富士
戸締りをいささか早く二日かな 鷹羽狩行
忌と書いて門鎖し籠る二日かな 飯島晴子
庭隅の幹に日のある二日かな 桂信子 初夏
庭川と見えてし利根の二日かな 平畑静塔
師のもとにまかりてやすき二日かな 石塚友二 光塵
巫の白衣くもる二日かな 飯島晴子
山彦も山を出ることなき二日 鷹羽狩行
寂庵の二日の門を過ぎにけり 村山故郷
客のあと硯開きぬわが二日 石塚友二 磊[カイ]集
子連夫婦来て帰りたる二日かな 安住敦
子の家に酔ふとあらねど二日かな 村山故郷
女礼者つづいて来たり二日かな 森澄雄
夜に入りて二日の客や二人来る 村山故郷
埠頭昃らせて二日の雲無聊 橋閒石朱明
元日や餅二日餅三日餅 尾崎放哉 大学時代
元日も二日も暮れてしまひけり 正岡子規 元日
二日鼎談句もなく別る根深汁 村山故郷
二日雪坂の荷馬の糞粗し 佐藤鬼房
二日雪となりし燈下にカルタ並ぶ 大野林火 早桃 太白集
二日雀三日雀と来てくれし 藤田湘子 神楽
二日路は筑波にそふて日ぞ長き 正岡子規 日永
二日暮れ今年も二日たちにけり 富安風生うう
二日早や豹の女に腕絡まれ 楠本憲吉 方壺集
二日早や人恋う酒を過しおり 楠本憲吉 方壺集
二日より深雪に飛ばす鉄火かな 齋藤玄 飛雪
二日はや風邪をたまひて葛湯かな 森澄雄
二日はや羽音残して伝書鳩 鷹羽狩行
二日はや物憂かりける壁畳 石塚友二 光塵
二日はや死病の人の牀に侍す 相馬遷子 山国
二日はや死と詩が忍び足でくる 楠本憲吉 方壺集
二日はや旅立ちゆきぬ檀一雄 山田みづえ 手甲
二日はや元日といふ過去を負ふ 富安風生
二日はや一茶の墓へ雪踏まれ 松崎鉄之介
二日はやくも不審火の噂など 飯田龍太
二日はやうどん見るがに灣はあり 岡井省二 猩々
二日の陽水漬くは田舟たる證 佐藤鬼房
二日の日沈みつゝあり烏とび 星野立子
二日にも夕心をぞ顧みし 相生垣瓜人 負暄
一月二日奇石瑞草を見る 正岡子規 新年
カナリヤを鳴かせてゐたる二日かな 亭午 星野麥丘人
やまのべのみちをゆきたる二日かな 高野素十
ほのぼのと殺生石の二日かな 上田五千石 森林
ひつそりと雀田にゐる二日かな 鷲谷七菜子 一盞
ひつそりと村の二日のつねのごと 長谷川素逝 村
つねのごと烏賊売の来て二日かな 鈴木真砂女
さわぐ笹二日の日射し入りみだれ 桂信子 晩春
うづたかし二日の磯に蜑が糞 平畑静塔
いさぎよし二日早暁の往診は 相馬遷子 山国

二日 続補遺

生海鼠干伊良古が崎の二日凪 加藤曉台
正月もまだ二日路ぞ老の坂 支考
元日も二日になりつ三日の月 五明
元日はかくて二日の待れける 桜井梅室
二日には高枕せんひむろもり 三宅嘯山
二日には箒のさきやふく寿草 炭太祇

以上


by 575fudemakase | 2017-03-27 16:38 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

歌留多 の俳句

歌留多 の俳句

歌留多

例句を挙げる。

うばはれし紺の裏おく歌留多かな 皆吉爽雨
うんすん歌留多一枚足りぬ蔵の中 宮部鱒太
おはこまで人に取られて歌留多の夜 清水忠彦
お手つきに恋の歌留多を繰り返す 稲畑汀子
こころにもあらでながらへ歌留多読む 上田五千石 琥珀
しのぶ恋こがるる恋や歌留多よむ 杉山 喜代子
そのかみの恋のはじめの歌留多かな 細川加賀 『玉虫』以後
そのはしに婢もとれる歌留多かな 五十嵐播水 播水句集
たはやすく恋歌揃へ歌留多とり 辻桃子
とられたくなし歌留多眼にて押へ 不二子
ひらかなの散らかつてゐる歌留多会 後藤立夫
むべ山の札よごれゐる歌留多かな 高橋淡路女 梶の葉
一枚の歌留多の砂に埋れんと 波多野爽波 『一筆』
亡き母の羽織を借りし歌留多かな 岩田由美 夏安
傘寿の師音吐朗々歌留多読む 富樫八千枝
刀自の読む咳まじりなり歌留多とる 皆吉爽雨
初釜の座を改めて歌留多とる 宇野 氷露子
塩田のとある一戸によむ歌留多 佐野まもる 海郷
妻病みて父子の歌留多の倦み易し 奥野曼荼羅
婢の手にとられたる歌留多かな 山口波津女 良人
学校に畳の間ある歌留多かな 森田峠 逆瀬川
座設けや歌留多の蓋の浮きあがり 森田峠
恋の札撫切りにとる歌留多かな 能村研三 鷹の木
恋歌の老によろしき歌留多かな 森澄雄
恋歌はその声をして歌留多読む 森田公司
招かれて隣に更けし歌留多哉 夏目漱石 明治三十二年
掌が飛んで来るなり歌留多取 高澤良一 宿好
掌に歌留多の硬さ歌留多切る 後藤比奈夫
日本の仮名美しき歌留多かな 比奈夫
月の暈かかる歌留多の夜に入りぬ 山田弘子 懐
欝々と歌留多の裏の曇る夜や 久米正雄 返り花
歌留多すむ今宵の月のありどころ 永田青嵐
歌留多ちらばり今さら蔵書とぼしさよ 草田男
歌留多とるいつよりかみな年下に 渡邊千枝子
歌留多とる哀れみぢかき女帝の世 駒木逸歩
歌留多とる声や門前過ぐるとき 岸風三樓
歌留多とる忘れたはずの恋心 片山暁子
歌留多とる皆美しく負けまじく 高浜虚子(1874-1959)
歌留多の灯一途に老いし母のため 山田みづえ
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半 底紅
歌留多の釈迦坊主揃ひや涅槃講 九石 選集「板東太郎」
歌留多会廊下の冷えてゐたりけり 岡本眸
歌留多会散らばる仮名と戦へり 小西宏子
歌留多会老一徹に狙ふ札 下村ひろし 西陲集
歌留多会青き畳の匂ひけり 山口波津女
歌留多取りみかども恋も跳ねとばす 柏原眠雨
歌留多取る昔の速さ手に戻り 明石春潮子
歌留多屋の後家を引出す四分の熱 仁平勝 東京物語
歌留多撥ね白粉の香にほはせっ 正林白牛
歌留多歌老いて肯ふ恋あまた 殿村菟絲子
歌留多読む声のありけり谷戸の月 松本たかし
歌留多読む恋はをみなのいのちにて 野見山朱鳥
歌留多読む息づき若き兄の妻 占魚
歌留多読む明治の祖母の節まはし 下山宏子
水を得た魚のやうに歌留多とる 高岡すみ子
沖休み立て膝海女の歌留多かな 下谷行人
炉塞ぎの伊呂波歌留多は遠くなり 宮崎重作
熊笹にあかりのおよぶ歌留多かな 正木ゆう子 静かな水
片恋の歌留多に負けてしまひけり 鈴木真砂女
病女たちはげしく歌留多奪ひあふ 萩原麦草 麦嵐
罎詰の梨は冷たき歌留多会 久米正雄 返り花
胼の手も交りて歌留多賑はへり 杉田久女
花歌留多むかし男は啖呵きり 石田阿畏子
虚子歌留多ひろげ作りし人偲ぶ 安原葉
負歌留多さみしう笑みて立ちにけり 河野静雲 閻魔
雪晴や歌留多の袖をひるがへし 岩田由美 夏安
二三回とりてなじめり歌がるた 山口波津女 良人
城山を雪ふりかくす歌がるた 大橋櫻坡子 雨月
恋は子のものとなりにし歌がるた 矢島久栄
撥ねとばす一枚恋の歌がるた 加古宗也
業平と小町の並ぶ歌がるた 下村梅子
歌がるた一枚失せて年を経ぬ 大橋櫻坡子 雨月
歌がるた眼鏡ばかりや西の組 蘇山人俳句集 羅蘇山人
歌がるた覚えて恋の苦を知らず 上田五子石
法師出て嫌はるゝなり歌がるた 阿波野青畝
祖母のもの遠き昔の歌がるた 高木晴子 晴居
若き日の母われ知れり歌がるた 山口波津女 良人
茸狩や鼻のさきなる歌がるた 榎本其角
読み札のいちまいを欠く歌がるた 伊藤白潮

歌留多 補遺

お手つきに恋のかるたを繰り返す 稲畑汀子
かるたして帰る雨夜や最合傘 内藤鳴雪
かるたとる手がすばしこく美しく 高浜年尾
かるた切るうしろ菊の香しんと澄み 飯田龍太
かるた取り天下分け目に固唾呑む 阿波野青畝
こころにもあらでながらへ歌留多読む 上田五千石 琥珀
こぼれたるかるたの歌の見えしかな 後藤夜半 翠黛
こぼれゐし歌留多順徳院の歌 阿波野青畝
たらちめの手ずれの歌留多読みにけり 阿波野青畝
だんだんに歌留多減りくる膝頭 後藤比奈夫
ならべゆき心とめゆく歌留多かな 阿波野青畝
みそかごと大音声に歌かるた 鷹羽狩行
わが膝の前の歌留多も一過客 後藤比奈夫
カルタの灯乳霧窗になごむ夜を 飯田蛇笏 雪峡
カルタ切るふもと雪解の雉うたれ 橋閒石 風景
一年生らしく加留多をとりにけり 上野泰 春潮
一年生らしく歌留多をとりにけり 上野泰
一枚の歌留多の砂に埋れんと 波多野爽波
一茶まで俳聖とせし歌留多かな 後藤比奈夫
乾くとも濡るるともいひ歌留多読む 後藤比奈夫
二つ三つ歌も覚えて歌留多かな 村上鬼城
二日雪となりし燈下にカルタ並ぶ 大野林火 早桃 太白集
人麻呂の哥を首の歌留多かな 山口青邨
住吉に嬬ごめなりしかるたかな 阿波野青畝
佳きひとの声音まぢかや歌かるた 桂信子「草影」以後
凧を飾りて子等籠りとるかるたかな 杉田久女
厚化粧かくす頬疵歌かるた 山口青邨
古風なる筥にねむれる歌留多かな 阿波野青畝
声といふ美しきもの歌留多読む 後藤比奈夫
奥の方幾間距てしかるたかな 尾崎放哉 大学時代
妹の目も我が目も歌留多撫でゆけり 阿波野青畝
子ら作る歌留多まの字はママの事 上野泰
子を負ふてかるた貼り居る燈籠哉 正岡子規 燈籠
張りつめてをりしは空気歌留多取る 後藤比奈夫
恋やみなかりそめならぬ歌かるた 上田五千石 琥珀
恋よりも旅に焦がるる歌留多かな 後藤比奈夫
情緒にて歌留多を取れと云ひをれり 相生垣瓜人 負暄
掌に歌留多の硬さ歌留多切る 後藤比奈夫
日本の仮名美しき歌留多かな 後藤比奈夫
朗々と百人一首誦しけり 村山故郷
桐箱にかるたの月日をさめあり 稲畑汀子
歌かるたよみつぎてゆく読み減らしゆく 橋本多佳子
歌かるた人知れずこそ恋ひにけり 村山故郷
歌かるた女ばかりの夜は更けぬ 正岡子規 歌留多
歌かるた戀ならなくに胴氣哉 正岡子規 歌留多
歌かるた昔むかしの母の恋 鷹羽狩行
歌かるた知らぬ女と竝びけり 正岡子規 歌留多
歌かるた読み人かへてとりにけり 村上鬼城
歌留多とる膝の大きく向ひけり 稲畑汀子
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半 底紅
歌留多会廊下の冷えてゐたりけり 岡本眸
歌留多取化粧崩れも顧みず 日野草城
歌留多取粉雪ふるとはよも知らじ 日野草城
歌留多夫人に孔雀といふ名奉る 日野草城
歌留多散らばり今さら蔵書とぼしさよ 中村草田男
歌留多読む恋はをみなのいのちにて 野見山朱鳥 運命
歌留多読む息づき若き兄の妻 上村占魚
決着のつきたる恋のかるたかな 阿波野青畝
源平や恋のかるたは駆け回る 阿波野青畝
生国の越に歌なき歌留多とる 上田五千石 天路
百人に百の致命や捨歌留多 斎藤玄 狩眼
相ともに昔恋しきかるたかな 高浜年尾
粛として閨中の灯や花かるた 飯田蛇笏 霊芝
粧ふは百人一首の小倉山 清崎敏郎
羞らへどとても歌留多の妖手にて 日野草城
老の艶こゑに出にける歌かるた 森澄雄
胼の手も交りて歌留多賑へり 杉田久女
膝に手を重ね歌留多のとれる子よ 後藤比奈夫
花かるた夜々のおもゝち愁ひあり 飯田蛇笏 霊芝
若死の母のかるたの世をおもふ 阿波野青畝
落椿小倉百人一首散る 百合山羽公 樂土
落飾の娘まじへてかるた会 阿波野青畝
蓬莱の一間明るし歌かるた 正岡子規 歌留多
虚子の棒かるたの犬の知らざりし 後藤比奈夫
蝉丸がいぢめられたる歌留多かな 阿波野青畝
裾模様かるたぢらしの春著の妓 高浜年尾
読みびとにあくび出でたる歌留多かな 森澄雄
負けまじと張る眦や加留多とる 上野泰 春潮
賑やかな骨牌(カルタ)の裏面のさみしい繪 富澤赤黄男
遣羽子や夕飯くふて歌かるた 正岡子規 遣羽根
野球帽被て来て歌留多負けられず 後藤比奈夫
雲隠れかるたは孫の小股座 百合山羽公 樂土以後
髪長き世よりの歌をかるた取り 鷹羽狩行
鼻高き清少納言歌カルタ 有馬朗人 知命

歌留多 続補遺

麦蒔やかるたを捌く手のひねり 桃隣
風むすぶ星はいづれの哥かるた 早野巴人
虚の位をかり催す日かるた哉 支考
石鰈やかるた伏せたる遠干潟 琴風
疱瘡したる顔をならべてかるた哉 〔ブン〕村
手いつぱいいすのかるたやつゝじ山 許六
夏草に臑でかるたをそろへけり 其角
住かえて春待宿やかるた箱 馬場存義
かさゝぎの橋や絵入の百人一首 許六

以上

by 575fudemakase | 2017-03-27 16:26 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

福引 の俳句

福引 の俳句

福引

例句を挙げる。

大当りせぬが無難や福引す 西岡正保
宝引に夜をねぬ顔の朧かな 李由 正 月 月別句集「韻塞」
宝引の紐のもつれも一さわぎ 後藤綾子
宝引の紐の汚れてゐたりけり 茨木和生 倭
宝引の霄は過つゝあはぬ恋 高井几董
宝引やさらりと振つて振り落し 村上鬼城
宝引や二度引き当てゝ二番鶏 菅原師竹句集
宝引や外から見える酒の座に 小澤碧童 碧童句集
宝引や後家に馴れよる思ひの綱 言氷 選集「板東太郎」
宝引や洩れなく当る干支の鈴 小林重人
惣立に福引の客帰りけり 増田龍雨 龍雨句集
福引にあたりしものを重宝す 富安風生
福引に一国を引当てんかな 高浜虚子
福引に京紅あてし男かな 瀧澤伊代次
福引に師の短冊を引き当てし 樋口岩丈
福引に当りしものを重宝す 富安風生
福引に通訳つけてはかどらず 井上兎径子
福引のかんらかんらと回りけり 辻桃子
福引のこよなき籤に当りけり 水原秋櫻子
福引のはるかなる目をして引けり 山内山彦
福引のみづひきかけしビールかな 久保田万太郎
福引の列三階に上りけり 本田正四郎
福引の塀をまたぎても飛べず 神蔵 器
福引の当らぬことに自信あり 木村滄雨
福引の当りてどかと藷大根 新津香芽代
福引の当りを囃す大太鼓 羽根田ひろし
福引の目無し達磨を喜ばず 赤堀秋荷
福引の箒をまたぎても飛べず 神蔵器
福引の紙紐の端ちよと赤く 川端龍子
福引の興まださめず母の居間 高浜虚子
福引の野菜の嵩をもてあまし 田中千鶴子
福引へ下駄かつかつと集ひたり 広瀬一朗
福引やくじと名のつくもの弱く 中村伸郎
福引やことしの知恵の小手しらべ 久保田万太郎 流寓抄以後
福引やためらひ引きて当り籤 相島虚吼
福引や女があてし大蕪 野村喜舟
福引や婢も晴ればれと高笑ひ 高橋淡路女 梶の葉
福引や石山の月膳所の城 小澤碧童
袴着て福引なんどおどけたる 菰堂子

福引 補遺

福引を引くときめきのなくはなし 上田五千石『琥珀』補遺
福引や榜葛刺館に客ありて 村山故郷
福引やひく手数多の主は誰れ 内藤鳴雪
福引の笑ひどよめく隣哉 正岡子規 福引
福引の曉鐘と題す包哉 正岡子規 福引
福引の坐敷を照すラムプ哉 正岡子規 福引
福引の何やら知れぬ包み哉 正岡子規 福引
福引のわれ貧に十能を得たり 正岡子規 福引
福引のわれ大なる物を得たり 正岡子規 福引
福引のあとで素人の落後哉 正岡子規 福引
福引に耻をかきたる女哉 正岡子規 福引
福引に公孫勝の手づま哉 正岡子規 福引
福引にまで開運の兆見ゆ 後藤比奈夫
寶引や花蝋燭のぽっぽっぽ 正岡子規 福引
寶引やあとにものうき包み紙 正岡子規 福引
宝引の珠のよしあし手にとりて 高浜年尾

福引 続補遺

貧乏神宝引縄の注連もなし 言水 江戸弁慶
福引や御降済て残る雪 田川鳳朗
福引に何を争ふ嫁舅 望月宋屋
宝引や柳したゝる君が膝 三宅嘯山
宝引や奥上の玉むすび 路山 東日記
宝引や人のすさびも根なし草 寥松
宝引や人のすさびも根なし艸 寥松 八朶園句纂
宝引やめまぜをねだる娘どち 三宅嘯山
宝引やなつが目光る台所 洒堂
宝引やたがいたづらの枕がひ りん女
宝引の霄は過つゝあはぬ恋 高井几董
宝引の味方にまいるおとな哉 黒柳召波
宝引の二場立てや禿部や りん女
宝引に蝸牛の角を叩くなり 其角 五元集
宝引に蝸牛の角をたゝく也 其角
宝引に夜をねぬ皃の朧かな 李由
太々や福引とりてぬけ参り 建部巣兆

以上

by 575fudemakase | 2017-03-27 16:20 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

万歳 の俳句

万歳 の俳句

万歳

例句を挙げる。

お万歳少しいやしき笑顔かな 高橋淡路女 梶の葉
お城がすみ万歳の鼓まだきこゆ 林原耒井 蜩
かけあひの春鼓重ねて万歳師 加藤憲曠
きのふ見し万歳に逢ふや嵯峨の町 蕪村
ざりがにの万歳往時の突撃も 高澤良一 素抱
すたすたと路次ぬけゆくやお万歳 白水郎
めでたしや加賀万歳の町尽くし 沢木欣一 往還
エレベーター万歳乗せて昇り来し 飯島正人
サバイバル万歳を見ている午前二時 平田栄一
フラミンゴそろえば万歳したくなる 岸本マチコ
万歳が撫でて行きたる小犬かな 五所平之助
万歳にたわめる藪や夕渡舟 飯田蛇笏 霊芝
万歳に濠白波の立つ日かな 石田勝彦
万歳に若狭の菓子の売られけり 山本洋子
万歳に陽ざしの深き一間あり 児玉輝代
万歳のうしろ姿も恵方道 高浜虚子
万歳のさす手引く手や鼓打つ 挿雲
万歳のならびとほりてわらび山 宇佐美魚目 天地存問
万歳のひとり来てゐる離島かな 茨木和生
万歳のふみならしけりさゞれ石 梅室
万歳のまかり出たよ親子連 一茶 ■文化元年甲子(四十二歳)
万歳のやどを隣に明けにけり 荷兮
万歳のわらわらゆきて岬かな 関戸靖子
万歳のゑぼし姿やわたし船 炭 太祇 太祇句選後篇
万歳の三河の国へ帰省かな 風生
万歳の三河の波の鼓のごとし 林火
万歳の佇み見るは紙芝居 高浜虚子
万歳の冠初めよりゆるむ 森田峠
万歳の初音や門に入りつづみ 井月の句集 井上井月
万歳の口や真砂は尽きるとも 千代尼
万歳の吹かれ来にけり天津風 野村喜舟 小石川
万歳の太夫の鼓ひとつの荷 結城美津女
万歳の子も万歳の十二歳 高浜虚子
万歳の影大きなる朝日かな 東春
万歳の折れんばかりの大男 浜井武之助
万歳の烏帽子かしぐは酔へるかな 野村喜舟
万歳の烏帽子さげ行く夕日かな 闌更
万歳の畑うつ頃や桃の花 横井也有 蘿葉集
万歳の終りの腰は泣きさうに 加藤知世子 花寂び
万歳の袴がくがく坂下る 殿村菟絲子 『路傍』
万歳の遠ければ遠き世のごとく 青邨
万歳の酔うて居るなり船の中 久保田九品太
万歳の間に玄界のどよもしぬ 野中亮介
万歳の頤ながき旦かな 白雄
万歳の顔に紐垂る煙霧都市 小川双々子
万歳の鶴の広袖ひろげ舞ふ 福田蓼汀
万歳の鼓に袖のかぶさりて 高浜虚子
万歳の鼓森一つ隔てたり 臼田亞浪 定本亜浪句集
万歳は二人づれなる山河かな 佐野青陽人
万歳は今も烏帽子ぞ都鳥 正岡子規
万歳は縞蛇またぎ行方も知れず 安井浩司 阿父学
万歳は語り部の里素通りに 杉本寛
万歳やめしのふきたつ寵の前 炭 太祇 太祇句選
万歳やもどりは老のはづかしく 千代尼
万歳や伊賀の上野の駅の前 西山泊雲 泊雲句集
万歳や佐渡より金の湧き貌に 野村喜舟 小石川
万歳や合点々々の鼓打つ 八木林之助
万歳や岩間は古き宿場町 井上 史葉
万歳や左右にひらいて松の陰 向井去来
万歳や年のはじめの夕まぐれ 久保田万太郎
万歳や猿曳よりも吹かれ行く 余子
万歳や真赤な月の雑木山 辻桃子 桃
万歳や窪田箸尾の鼓振り 富浪夏風
万歳や篠に小笹に雪つもり 小川軽舟
万歳や舞おさめたるしたり顔 炭 太祇 太祇句選
万歳や金春を出て烏森 竹村秋竹
万歳や雀驚く鶴の丸 野村喜舟 小石川
万歳や飯の吹きたつ竃の前 太祇
万歳や館の構にかゝり来る 尾崎迷堂 孤輪
万歳や馬の尻へも一祝ひ 一茶
万歳や鶏なくかたへ行く野道 鳳朗
万歳や黒き手を出し足を出し 正岡子規
万歳や鼓を膝に夕渡 萍雨
万歳をして冬に入る鵙の贄 大木あまり 火球
万歳を其夜とめたる長者振り 四明句集 中川四明
三河万歳東京行は混みにけり 加藤かけい
三河万歳熱の子の瞳が笑ひ出す 志摩芳次郎
三河万歳語る師の笑み太夫めく 田中英子
乗り合はす伊予万歳や船の旅 貞吉 直子
五月万歳「飴の中から金太さんが出たよ」 磯貝碧蹄館 握手
亡父亡母を知る万歳師来て泣けり 海老名衣子
今もなほ千代のためしとご万歳 中田はな
使者の間に鼓しらべや御万歳 四明句集 中川四明
出てゆくや万歳の靴泥あげて 臼田亜浪 旅人
出支度の玄関へ来てお万歳 楠目橙黄子 橙圃
初旅のまづ万歳の三河かな 百合山羽公
前掛の母の万歳花かつを 攝津幸彦
君が春や万ざいらく万歳楽 井原西鶴
大盃を加賀万歳は飲み干しぬ 細川加賀
夫婦して万歳の顔かなしけれ 岩田蒼穹
子に泣かれ加賀万歳の困りけり 伊藤トキノ
山里は万歳遅し梅の花 芭蕉
崖に出て万歳の鼓引き返す 稚魚
才蔵が履きてあはれの古軍靴 北野民夫
才蔵が撫でて行きたる小犬かな 五所平之助
才蔵になじみのはやき童かな 米翁
才蔵の素顔さびしき汽車の中 冠人
本業は粉屋てふ加賀万歳師 千田一路
松過ぎの万歳が降り文庫駅 青木重行
橋越えて三河万歳村移る 野原春醪
源八や万歳も来る僧も来る 水落露石
無造作に万歳楽の鼓かな 子規
秋日殊に万歳幡は朱かがよふ 太田鴻村 穂国
老いぼれし唄はりあげぬ御万歳 阿部みどり女 笹鳴
老万歳ぽんと機嫌の古鼓 百合山羽公
臥てきけばさびしきものよお万歳 鷹女
花散るや加賀万歳に人まばら 高橋睦郎 金澤百句
花盛りきけば万歳山といふ 吉田澗城
裏山の梅ちらほらやお万歳 雑草 長谷川零餘子
誰から死ぬ三河万歳多弁にて 星野昌彦
送る万歳死ぬる万歳夜も円舞曲(ワルツ) 攝津幸彦
酒断つて万歳寒きラジオ切る 石川 桂郎
鎌倉の万歳谷戸で昏れにけり 藤田美代子
門松や万歳去つてちょろ来る 大釜菰堂
雁木道地酒万歳楽買うて 堀 古蝶
霧去りて万歳の手の不明かな 攝津幸彦
鱧食うて伊予万歳を楽しめり 星野高士
才蔵が履きてあはれの古軍靴 北野民夫
才蔵が撫でて行きたる小犬かな 五所平之助
才蔵になじみのはやき童かな 米翁
才蔵の素顔さびしき汽車の中 冠人


万歳 補遺

おのれ楽しむ才蔵に湧く涙かな 松崎鉄之介
七福を一人万歳老太夫 百合山羽公 樂土以後
万歳にたわめる藪や夕渡舟 飯田蛇笏 霊芝
万歳のお宿はどこぞ梅のはな 正岡子規 梅
万歳の三河の国へ帰省かな 富安風生
万歳の三河の波の鼓のごとし 大野林火 月魄集 昭和五十四年
万歳の渡りしあとや水温む 正岡子規 水温む
万歳の皷をあふる竈かな 内藤鳴雪
万歳の里見廻して山ばかり 百合山羽公 樂土以後
万歳の鼓にひらく梅の花 正岡子規 梅
万歳の鼓森一つ隔てたり 臼田亜郎 定本亜浪句集
万歳や古き千代田の門柱 内藤鳴雪
万歳太夫ゲートボールも長といふ 百合山羽公 樂土以後
出てゆくや万歳の靴泥あげて 臼田亜浪 旅人 抄
初旅のまづ万歳の三河かな 百合山羽公 樂土以後
大判の下駄万歳の老太夫 百合山羽公 樂土以後
崖に出て万歳の鼓引き返す 岸田稚魚 負け犬
戸あくるや萬歳來る東より 正岡子規 万歳
才蔵になりさがりたる氏素性 富安風生
才蔵のシベリヤ帰り傘寿すぐ 松崎鉄之介
才蔵の侍烏帽子ゆるがざる 松崎鉄之介
才蔵の祝言十二いのちなが 松崎鉄之介
才藏は葛西あたりの訛かな 正岡子規 万歳
朝な朝な萬才東へ霞み行く 正岡子規 万歳
松あれば則ち入るや萬歳樂 正岡子規 万歳
澤龜の萬歳見せう御國ぶり 正岡子規 万歳
烏帽子着て万歳走る余寒哉 正岡子規 余寒
無雜作に萬歳樂の鼓哉 正岡子規 万歳
紅梅や万歳ばかり烏帽子にて 正岡子規 紅梅
老万歳ぽんと機嫌の古鼓 百合山羽公 樂土以後
萬才のはなし給ふや國なまり 正岡子規 万歳
萬才の目出たくしたるいほり哉 正岡子規 万歳
萬歳が笑へば山もわらひけり 正岡子規 万歳
萬歳と相のりしたる渡し哉 正岡子規 万歳
萬歳に見つけられけり草の庵 正岡子規 万歳
萬歳の家にめでたし古鼓 正岡子規 万歳
萬歳の歸るあとより霞みけり 正岡子規 万歳
萬歳の踊りかけたり町はつれ 正岡子規 万歳
萬歳の顔のやつれや田植笠 正岡子規 万歳
萬歳の鼓を倒す枕かな 正岡子規 万歳
萬歳の鼓聞ゆる朝日かな 正岡子規 万歳
萬歳は今も烏帽子そ都鳥 正岡子規 万歳
萬歳も煙草すふなり町はづれ 正岡子規 万歳
萬歳や三河町出て淡路町 正岡子規 万歳
萬歳や四條をもどる夕日影 正岡子規 万歳
萬歳や黒き手を出し足を出し 正岡子規 万歳

万歳 続補遺

麻蒔やまだ万歳のかぶり物 路青
衣着て今朝は万歳ごゝろ哉 舎羅
朝戸まだ万歳声の覚束な 土芳
才蔵よ鼻毛よまれなうめの花 馬場存義
大万歳くゞりを這入兼にけり 夕道
声万歳よもいちが臼御代の春 杉風
何谷のかくだみたりや万歳声 土芳
三月に万歳見るや不破の関 〔ブン〕村
万歳を帆にして早し渡し舟 蓼太 蓼太句集二編
万歳や鼻の下なる柄払 程已
万歳や鼓嶽をうちながめ 中川乙由
万歳や鼓も例のつかみどり 晩得 哲阿弥句藻
万歳や鶏なくかたへ行野道 田川鳳朗
万歳や雲たてさせて来る気韻 鈴木道彦
万歳や花をせがみに草鞋がけ 傘下
万歳や舞おさめたるしたり顔 炭太祇
万歳や素袍の袖も青によし 三宅嘯山
万歳や欠に扇とりあへず 東皐
万歳や松に中よき袖の 中川乙由
万歳や広き袖よりたばこ入 土芳
万歳や左右にひらいて松の陰 去来
万歳や十三文のあし拍子 馬場存義
万歳やもどりは老のはづかしく 千代尼
万歳やめしのふきたつ寵の前 炭太祇
万歳やはたご物くふ顔もせず 鈴木道彦
万歳やすぼめて這入る片折戸 柳居 柳居発句集
万歳やけふ来て御所の菖葺 野童
万歳も悲しかりけりこのはなし 鈴木道彦
万歳ものぼれ筑波の朝南 松窓乙二
万歳は見たか神代の云はじめ 長虹
万歳の頤ながき旦かな 白雄 白雄句集
万歳の口や真砂は尽るとも 千代尼
万歳の中やくゞりて袖の雨 りん女
万歳のゑぼし姿やわたし船 炭太祇
万歳のゑぼし取たるはなし哉 小春
万歳のやどを隣に明にけり 荷兮
万歳のまづ作法ある扇かな 成田蒼虬
万歳のはやしといひぬ立月日 田川鳳朗
万歳に見えて旅やのかしらつき 雪芝
万歳に蝶~とまれたびら雪 左次
万歳に腹かゝへけり取揚婆々 三宅嘯山
万歳にいはせばいがのなんば秬 土芳
万歳にあはれや老の拍子ぬけ 土芳
万歳と六十六部うつのやま 琴風
万歳が内裏見て来た写し哉 游刀
まんざいや跡の太夫は色白き 桜井梅室
ころも着て今朝は万歳心哉 句空

以上


by 575fudemakase | 2017-03-27 16:15 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

カテゴリ

全体
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

稲稔る の俳句
at 2017-09-10 10:53
秋気 の俳句
at 2017-09-08 13:14
紅葉づ の俳句
at 2017-09-06 08:03
紋白蝶 の俳句
at 2017-09-06 07:54
初風(秋の) の俳句
at 2017-09-04 13:25

外部リンク

記事ランキング