2017年 04月 17日 ( 67 )

小寒の俳句

小寒の俳句

小寒

例句を挙げる。

まひあがりたる小寒の埃のみ 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
大寒む小寒む針もつ妻へ飴投げむ 磯貝碧蹄館 握手
天国の大寒小寒治虫かな 夏石番矢 楽浪
小寒となりしは名のみあたたかや 星野立子
小寒のさゞなみ立てて木場の川 山田土偶
小寒のひかり浸して刷毛目雲 火村卓造
小寒の夕映富士をのぼりつむ 浅羽緑子
小寒の夜半きらきらと洗車場 塚本邦雄 甘露
小寒の闇ををさめし眼閉づ 深谷雄大
小寒の雨に大気のゆるみけり 稲畑汀子
小寒の雨振り仰ぎつつ独語 高澤良一 宿好
小寒の雨来て夜の例会あり 高澤良一 宿好
小寒の雨降る闇に別れけり 高澤良一 宿好
小寒の鵜の肩先のなにもなし 金田咲子 全身 以後
小寒やまぶしき月が枯木越し 相馬遷子 山河
小寒や妻の形見を分けあえり 鈴木静海
小寒や新井を祭る迎へ水 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
小寒や枯草に舞ふうすほこり 長谷川春草
小寒や油いための蓮の味 小澤碧童 碧童句集
小寒や石段下りて小笹原 波多野爽波
小寒や老婆が唱歌みな生かす 山本紫黄
小寒や鴎とび交ふ中華街 柴原保佳
石切の音小寒の谷の中 佐藤 由比古
祖父の世の木臼おほ寒小寒来る 龍太
置き分けて小寒の菜を洗ひをり 石川桂郎 高蘆
避け難き小寒の来て大寒来 嶋田摩耶子

小寒 補遺

置き分けて小寒の菜を洗ひをり 石川桂郎 高蘆
祖父の世の木臼おほ寒小寒来る 飯田龍太
小寒やまぶしき月が枯木越し 相馬遷子 山河
小寒に入るや宵空の月細く 村山故郷
小寒にして大寒とけぢめなし 百合山羽公 樂土以後
小寒き日つづき~て梅見月 原石鼎 花影以後
小寒うに灯をかざしたる鶫かな 右城暮石 句集外 昭和八年
襟元に風の小寒き雛流す 鈴木真砂女 夏帯
飴玉を呉れゆく小寒ム小僧かな 佐藤鬼房

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 22:06 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒参 の俳句

寒参 の俳句

寒参

例句を挙げる。

人の背をいつも楯とし寒参 小荒井旗男
寒参うぐひす張りの長廊下 文田多加子
寒参夜空の青さ沁むばかり 岡本 眸
心経の堂にひびきて寒参り 葛西たずゑ
野の道に電燈ついて寒参り 臼田亜浪
顔ふかく包みて誰そや寒参り 高浜虚子
おくれじの金剛杖も寒詣 塩崎 緑
このあたりにほふ艾や寒詣 阿波野青畝
さりげなく撫で牛を愛づ寒詣 小牧七草
すれ違ひざま寒詣鼓うつ 星野立子
ひたむきに鞍馬をさして寒詣 石田雨圃子
ひともとの梅に立ち寄る寒詣 依光陽子
まつさらの火箸納めの寒詣 松村節子
みあかしに杉の根高し寒詣 竹内南蛮寺
わざをぎの名の提灯や寒詣 南上北人
一願のありて鞍馬へ寒詣 徳山聖杉
万葉の歌の響きや寒詣 加藤知世子 黄 炎
二の鳥居三の鳥居や寒詣 野原 湖心
二十五菩薩おん名を唱し寒詣 田中 満
信心の厚き下町寒詣 高橋春灯
厄年の貌となりゆく寒詣 増成栗人
夫婦とも見ゆる二人の寒詣 福田寿堂
寒詣あとの一人もまがりけり 龍岡 晋
寒詣かたまりてゆくあはれなり 久保田万太郎 草の丈
寒詣りたちまち闇にまぎれけり 林田暁見
寒詣一灯地獄絵を照らす 石倉啓補
寒詣娘ゆゑの祈り長かりき 高橋文子
寒詣木も水の香も封じゆく 金子青銅
寒詣橋に出でたる月夜かな 篠原温亭
寒詣火の番の眼に消えにけり 野村喜舟 小石川
寒詣白き袂の長さかな 川端茅舎
寒詣磴の手摺を鷲掴み 河野あきら
寒詣翔るちん~千鳥かな 尾崎紅葉
寒詣過去は谺の割れる先 首藤基澄
小吉の御籤は結はず寒詣 大石悦子 群萌
小走りに妻従へる寒詣 川端茅舎
岩の間を風の矢がくる寒詣 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
提灯に下りきし靄や寒詣 細木芒角星
提灯に己の影や寒詣 野村喜舟 小石川
提灯に我影さむし寒詣 田中王城
森深く吸はれゆく灯や寒詣 榊原鼓六
移り香を闇にのこして寒詣 白土湘岳子
粉雪の篝火に降る寒詣 長谷川櫂 古志
繰り返す妙法蓮華経寒詣 加藤 洋
背低きは女なるべし寒詣 高浜虚子
蝋燭の金ンの焔や寒詣 村上杏史
遣り過ごす寒詣の背の汗見ずや 原田種茅 径
銀行の角曲りけり寒詣り 阿片瓢郎
風神を祀らすとかや寒詣 後藤夜半 底紅
高き木をおそれつ過ぐる寒詣 澤井我来
焼芋屋裸参りの後につき 佐藤淑子
胸張つて裸参の瞳のすがし 横内照代
裸参りの一歩一歩や根雪鳴る 藤島かの子
酒倉に裸参りの支度かな 田村了咲

寒参 補遺

墓の前月日ながれて寒詣 飯田蛇笏 家郷の霧
風神を祀らすとかや寒詣 後藤夜半 底紅
藤白の嶮を越えずに寒詣 山口誓子
提灯に幹する~と寒詣 川端茅舎
随身を気味わるく見て寒詣 阿波野青畝
小走りに妻従へる寒詣 川端茅舎
寒参夜空の青さ沁むばかり 岡本眸
寒参り刻おいて過ぐる雨夜かな 大野林火 冬青集 雨夜抄
寒詣白き袂の長さかな 川端茅舎
寒詣なむぢななたび生まれよと 阿波野青畝
このあたりにほふ交や寒詣 阿波野青畝

寒参 続補遺

鶯や裸まいりの行木の間 成田蒼虬

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:56 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒造 の俳句

寒造 の俳句

寒造

例句を挙げる。

おとがひに糀の花や寒造 阿波野青畝
くらがりの土間のでこぼこ寒造 村上青史
ごんぶりもためもささくれ寒造 西本一都 景色
ほのと燈や裸身酒男の寒造り 及川貞 夕焼
みちのくの深雪の倉の寒造 遠藤梧逸
一徹な杜氏を恃みの寒造 伊東宏晃
二階より桶つりおろす寒造 西山小鼓子
佇めばつぶやく醪寒造 岸風三樓
厳島祀る太梁寒造 山田弘子 初期作品
大樽に伊耶那伎の櫂寒造 西村和子 かりそめならず
大風の坂日あたりて寒造 大峯あきら 鳥道
室の神かまどの神や寒造 藤井佐保女
寒造なべて浄らに狂ひなく 下村ひろし 西陲集
寒造はじまる水の生きて来し 後藤比奈夫 初心
寒造りこの泡底に切なきもの 天野莫秋子
寒造りしたゝる甕のひゞき哉 田中王城
寒造りの百の甕おく大野蔵 柴田白葉女
寒造り一つの深井市井にも 栗生純夫 科野路
寒造り千石桶に雲満ちて 品川鈴子
寒造り息もろともの声にあふ 今瀬剛一
寒造り杜氏案内に興もなげ 高濱年尾 年尾句集
寒造り杜氏潔斉點火しぬ 及川貞 夕焼
寒造り水といふこの温きもの 坂巻純子
寒造り渚の如く米沈む 山口誓子
寒造り糀は母のにほひして 藤岡筑邨
寒造り見に雪止んで月射して 及川貞 夕焼
寒造り見るいくつもの注連くぐり 森田公司
寒造仕込むも見るも湯気の中 下村ひろし 西陲集
寒造伏見の水を誇とす 鈴木喜代子
寒造働く杜氏湯気まとひ 幸まつ子
寒造切なき唄を朗々と 堀口まゆみ
寒造寝かせておく間の倉の闇 宗像夕野火
寒造海見えて川速くなる 中拓夫
寒造米の滝より始動して 平畑静塔
寒造終えて杜氏も背広かな 奥田一夫
寒造酒徒も末なるわれに見す 百合山羽公 寒雁
寒造金柑神に供へあり 山本洋子
摺り減りし一番櫂や寒造 西本一都
新旧の酒蔵二つ寒造 澤村啓子
暁に蔵唄きこえ寒造 松尾静子
月山の水を祓へり寒造 丹羽 啓
杜氏が身を賭けて働く寒造り 右城暮石 上下
来て見れば雪の中なる寒造 岸本尚毅 舜
柱暦の大吉日や寒造 西山泊雲 泊雲句集
柿渋を塗りし手桶や寒造 阿部月山子
桶渡りあける高窓寒造 安川汪洋
樅山のなかほどに日や寒造 藤田あけ烏 赤松
歌詠みの杜氏もをりし寒造 能村研三 鷹の木 以後
水に浸し寒造り米青みさす 右城暮石 上下
水を揉むことよりはじめ寒造 石川優
汲み水によき日溜りや寒造 藤田あけ烏 赤松
泡を読む天窓あかり寒造 山田弘子 初期作品
洗ひたるものを重ねし寒造 浜 秋邨
洞然と湯気をさまりし寒造 中村丹井
湯気ひいてはしる蔵人寒造 大橋桜坡子
父祖よりの赤城の里の寒造 伊東宏晃
生きてゐる泡の力や寒造 猪野翠女
白壁のままに倉古る寒造 榎本冬一郎
碓の十梃だてや寒造 召波
磨かれし米の小ささ寒造 長谷川櫂 天球
米つぶに背と腹のあり寒造り 小島千架子
能登杜氏のなべて小柄や寒造 福井貞子
蔵の外たばしる温泉あり寒造 木村蕪城
酒好きになるやも知れず寒造り 及川貞 夕焼
酒庫口のはき替草履寒造 西山泊雲 泊雲句集
酒槽の金紋総朱寒造 西本一都 景色
酒米の冴えたる白さ寒造 水谷 たつ子
門前に竜の玉あり寒造り 森澄雄
雀罠つくるいとまや寒造 西山泊雲 泊雲句集
雪厚き蔵の閂寒造り 及川貞 夕焼

寒造 補遺

あはれなるまでに米搗き寒造 後藤比奈夫
おとがひに糀の花や寒造 阿波野青畝
かぐはしくはたらくことを寒造 飴山實 花浴び
こころ澄むまで米洗ひ寒造り 鷹羽狩行
さやさやと泡のつぶやく寒造 飴山實 花浴び
ほのと燈や裸身酒男の寒造り 及川貞 夕焼
桶の上に影曳く桶や寒造 後藤比奈夫
音無しに老いし鬼怒川寒造 平畑静塔
寒造はじまる水の生きて来し 後藤比奈夫
寒造やめて地酒の一つ消ゆ 百合山羽公 樂土
寒造り見に雪止んで月射して 及川貞 夕焼
寒造り見る発酵のただ中に 山口誓子
寒造り酒米白くなだれ落つ 山口誓子
寒造り渚の如く米沈む 山口誓子
寒造り杜氏潔斉點火しぬ 及川貞 夕焼
寒造一歩も入れず夜の女 平畑静塔
寒造酒徒も末なるわれに見す 百合山羽公 寒雁
寒造喪につつしみつ注連換へず 平畑静塔
寒造男の洗ひ上げしもの 後藤比奈夫
寒造米の滝より始動して 平畑静塔
寒造藁胴巻を松にさせ 平畑静塔
寒造蓆いきいき働ける 後藤比奈夫
魚崎にこんな古町寒造 後藤比奈夫
憩ふ湯気働ける湯気寒造 後藤比奈夫
雑仕にて女人寒造に加ふ 平畑静塔
仕込み日をチヨークで記す寒造り 右城暮石 句集外 昭和四十五年
酒好きになるやも知れず寒造り 及川貞 夕焼
女人見て腐酒とならざる寒造り 山口誓子
小さきほど泡のささやく寒造 飴山實 花浴び
水に浸し寒造り米青みさす 右城暮石 上下
生きものの酒ぶくぶくと寒造り 山口誓子
赤煉瓦煙突四角寒造 右城暮石 天水
雪厚き蔵の閂寒造り 及川貞 夕焼
雪山下醪ふつふつ寒造り 森澄雄
素裸に蒸し米もんで寒造り 鷹羽狩行
天窓や雲のしぶとき寒造 平畑静塔
天道の日は動くなり寒造 平畑静塔
杜氏が身を賭けて働く寒造り 右城暮石 上下
杜氏もはや桶がタンクに寒造 百合山羽公 樂土以後
杜氏一切賭けて働く寒造り 右城暮石 句集外 昭和三十五年
日もすがら灯りつづけり寒造 清崎敏郎
百年の大釜二つ寒造 百合山羽公 樂土以後
米や水よりも人の和寒造り 鷹羽狩行
密室が麹臭くて寒造 阿波野青畝
無意味なる濡れをゆるさず寒造 岡本眸
毛布かけ酵(もと)をねかせて寒造 平畑静塔
門前に龍の玉あり寒造り 森澄雄

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:52 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒餅 の俳句

寒餅 の俳句

寒餅

例句を挙げる。

ずつとおくれて来し寒餅の送り状 細見綾子 黄 炎
のつてきたりし寒餅の杵調子 綾部仁喜 寒木
一臼の寒餅搗けり山売れて 野沢秋燕子
寒の水寒餅ひたしたくはへぬ 室生犀星 魚眠洞發句集
寒餅と襖へだてて赤子かな 大峯あきら 宇宙塵
寒餅にとざせし北の座敷かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
寒餅に罅戦争が始まりぬ 嶋田麻紀
寒餅のうす紫や水にひそみ 伊藤稚草
寒餅のとゞきて雪となりにけり 久保田万太郎 草の丈
寒餅のまだやはらかし辻の神 大石悦子 群萌
寒餅の上澄みに灯の透りけり 石原八束
寒餅の刃ごたへいよよ一徹に 河野南畦 『空の貌』
寒餅の届けば襖あけにけり 長谷川かな女 雨 月
寒餅の紅切れば艶老妻に 山口青邨
寒餅の罅の饒舌はじまりぬ 斎藤みゑ子
寒餅の胡麻よ豆よと搗きあがる 西村三穂子
寒餅の芯からあつく焼けにけり 梅原黄鶴子
寒餅の荷の釘づけの固しかたし 細見綾子 黄 炎
寒餅の黴うつくしく水の中 河野南畦 『黒い夏』
寒餅は水浅けれどいと沈む 細見綾子 花 季
寒餅も寒明け餅も少し搗く 久保 青山
寒餅やことに胡麻餅豆の餅 草間時彦 櫻山
寒餅やしん~として土間暗し 池上柚木夫
寒餅やむらさきふくむ豆のつや 室生犀星(1889-1962)
寒餅や埃しづめるひびの中 室生犀星 犀星發句集
寒餅や手力こめし山家搗 水原秋櫻子
寒餅や最後の癩の詩つよかれ 村越化石
寒餅や母のうしろに夜の色 草間時彦 櫻山
寒餅や秘仏に逢ひし夜は飢ゑて 井沢正江 以後
寒餅や金釘流の母の文 衣川砂生
寒餅を一口食ひて腹へりぬ 綾部仁喜 寒木
寒餅を搗かん搗かんとおもひつつ 松本たかし
寒餅を搗き終り土間掃き終り 大峯あきら 宇宙塵
寒餅を搗くとふまへし力足 河合佳代子
寒餅を搗く両隣に小さく住み 皆川白陀
寒餅を搗く日にしては温かりし 小谷鶴枝
寒餅を搗く日の山の面がまへ 大峯あきら 宇宙塵
寒餅を搗く時だけの大竃 前田壽子
寒餅を搗く音きこえすぐやみぬ 水原秋桜子
寒餅を搗けば日和の山の顔 大峯あきら
寒餅を焼くたのしさに火桶置く 水原秋櫻子
寒餅を食ふやはるかな欅見て 皆川盤水
寒餅吊しふつくりと巻く濃染和紙 高島筍雄
山の風寒餅に紅滲まする 村上しゆら
忽ちに食ひし寒餅五六片 日野草城
朝月や寒餅を搗く一とさわぎ 田住満夫
湖に響く寒餅搗きにけり 室積徂春
癒えし子に寒餅食ます強くなれよ 石塚友二 光塵
矍鑠の父の寒餅届きけり 高橋悦男
紅少し入れて寒餅搗きにけり 今井たけ
紐固く父寒餅を送りきし 山崎 喜八郎
老の膝よせて寒餅伸ばしをり 百合山羽公 故園
貸二階寒餅並べありにけり 藺村
青空がある寒餅を切り並べ 清水径子
けち~と暮して寒の餅もつく 鈴木花蓑句集
むつちりと手応へ寒の餅とどく 能村登四郎 民話
人も来ぬ藪の小家の寒の餅 大峯あきら 宇宙塵
住みつきし町がふるさと寒の餅 風間啓二
別れ棲む都会と田舎寒の餅 福田蓼汀 山火
定型の煮ても焼いても寒の餅 筑紫磐井 花鳥諷詠
寒の餅切る日あたりの古畳 松村蒼石 寒鶯抄
寒の餅割ればことばを吐くごとし 原裕 正午
寒の餅己れを裂きて火に抗す 河野南畦 『風の岬』
川面より低きに搗ける寒の餅 千葉皓史
身をかけし刃のしづみゆく寒の餅 野澤節子 遠い橋

寒餅 補遺

かばかりの佛供への寒の餅 石田勝彦 秋興以後
この世から餅供へけり寒見舞 飴山實 花浴び
ずつとおくれて来し寒餅の送り状 細見綾子 伎藝天
づつとおくれて来し寒餅の送り状 細見綾子
むつちりと手応へ寒の餅とどく 能村登四郎
寒の水餅つけてより夜のたしか 細見綾子
寒の餅切る日あたりの古畳 松村蒼石 寒鶯抄
寒深き黒田を前に餅を搗く 西東三鬼
寒蓬つみてつくりし蓬餅 細見綾子
寒餅に教師一家の足るごとし 能村登四郎
寒餅に胸のつかへや囲ひ者 日野草城
寒餅に蓬の香ありめでて焼く 水原秋櫻子 餘生
寒餅に罅はしらざるめでたさよ 水原秋櫻子 餘生
寒餅のひび割れ樫の空晴れて 細見綾子
寒餅の荷の釘づけの固しかたし 細見綾子
寒餅の紅切れば艶老妻に 山口青邨
寒餅の焦げて炎をあげにけり 水原秋櫻子 餘生
寒餅の生の重味を持たされし 能村登四郎
寒餅の切口厚し不揃ひに 水原秋櫻子 餘生
寒餅の反りて乾くはなつかしき 後藤比奈夫
寒餅は水浅けれどいと沈む 細見綾子
寒餅は網目匂はせ焼くべかり 水原秋櫻子 殉教
寒餅も彼の花巻の人の情 石塚友二 磯風
寒餅やことに胡麻餅豆の餅 草間時彦
寒餅や手力こめし山家搗 水原秋櫻子 蘆雁
寒餅や雪に摘みけむ蓬の香 水原秋櫻子 蘆雁
寒餅や日溜り蓬搗きまぜて 水原秋櫻子 餘生
寒餅や母のうしろに夜の色 草間時彦 櫻山
寒餅を焼くたのしさに火桶置く 水原秋櫻子 餘生
寒餅を焼くとて炭火ながめをり 水原秋櫻子 餘生
寒餅を切るか鈍重なる音す 山口誓子
寒餅を搗く音きこえすぐやみぬ 水原秋櫻子 重陽
寒夜市餅臼買ひて餅つきたし 西東三鬼
忽ちに食ひし寒餅五六片 日野草城
桜餅寒桜にも先がけし 相生垣瓜人 負暄
三彩の黴寒餅を固めけり 百合山羽公 樂土
水餅に寒九の水を重ねけり 百合山羽公 樂土
雀斑美しく寒餅焼き漕す 鷹羽狩行
切りごろを外さず切りし寒の餅 能村登四郎
別れ棲む都会と田舎寒の餅 福田蓼汀 山火
餅白し寒桜いま花ざかり 飯田龍太
癒えし子に寒餅食ます強くなれよ 石塚友二 光塵
流寓を寒餅黴びて甘やかす 百合山羽公 樂土
力瘤ほどに寒餅ふくれけり 橋閒石
老の膝よせて寒餅伸ばしをり 百合山羽公 故園
泪ぐむまで寒餅のやはらかし 能村登四郎

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:49 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒紅 の俳句

寒紅 の俳句

寒紅

例句を挙げる。

いささかの寒紅さして奪衣婆 有馬朗人 知命
うつすらと寒紅余命あかりかな 栗林千津
つよくひく寒紅に舟溜りくる 宇佐美魚目 天地存問
人形にちよんと寒紅さしにけり 有馬朗人
働いて帰る寒紅ひきにけり 菖蒲あや 路 地
円山の雪寒紅の猪口に降る 長谷川かな女 雨 月
古妻の寒紅をさす一事かな 日野草城
喪にこもる日々寒紅はうすく刷く 黒瀬静江
娘義太夫寒紅の口大開き 辻桃子 花
寒紅といふ言葉には濃きこころ 後藤夜半 底紅
寒紅にしづかに曇る日なりけり 原石鼎
寒紅に口尖がらせし娘かな 皿井旭川
寒紅に女心をみたりけり 田畑美穂女
寒紅に松風つのりきたりけり 綾部仁喜 樸簡
寒紅に疲れを隠し看取妻 飯田 波津恵
寒紅に鬢附油凍りけり 野村喜舟 小石川
寒紅のきりりと親を拒みをり 黛執
寒紅のくちびる何の果肉なる 上田五千石
寒紅のことば慎みゐたるなり 石嶌岳
寒紅の一文牛の溜りけり 野村喜舟 小石川
寒紅の去りし鏡の虚空かな 野見山朱鳥
寒紅の口うつくしき京言葉 蒲生院鳥
寒紅の口を結びてかたくなに 田上一蕉子
寒紅の口を絞りて舞妓かな 皿井旭川
寒紅の口許生きて来し会話 稲畑汀子
寒紅の唇うばはれて嫉妬断つ 仙田洋子 橋のあなたに
寒紅の唇に利酒つかまつる 佐久間慧子
寒紅の唇動き読みすすむ 小澤實
寒紅の店の内儀の美しき 高浜虚子
寒紅の提灯の文字女文字 田中冬二 麦ほこり
寒紅の濃き唇を開かざり 富安風生
寒紅の濃くさしたるを怖れけり 鷹羽狩行 十友
寒紅の燃えて何をか言はんとす 井沢正江
寒紅の皓歯にすこしうつろへる 久米正雄 返り花
寒紅の皿糸底の古りにけり 京極紀陽
寒紅の筆の命毛短くも 奈良鹿郎
寒紅の舞妓も見たり外套被る 百合山羽公 故園
寒紅の貝合せめく絵なりけり 下村梅子
寒紅は末摘む花の色なりし 下村梅子
寒紅もその年頃の杏子色 後藤夜半 底紅
寒紅やいとけなき手にする化粧 岡本松浜 白菊
寒紅やおどけて心ひきたてて 清水万里子
寒紅やかつてをとめの鏡の座 河野南畦 『花と流氷』
寒紅やせうなきことを深嘆き 辻桃子
寒紅や一つの墓にひざまづき 宇佐美魚目
寒紅や二夫にまみえて子をなさず 吉屋信子
寒紅や京としいへば紅の事 小澤碧童 碧童句集
寒紅や人剌す如く言ひ捨てゝ 牧野美津穂
寒紅や何も言はじと心決め 西村和子 窓
寒紅や夫の好まぬ髪結はむ 池上不二子
寒紅や女ひとりの幸はあるか 楠本憲吉
寒紅や妻となり萎えゆけるもの 大石悦子 群萌
寒紅や小菊にぬぐふくすり指 星野麦人
寒紅や己がわがまゝ己れ知る 木内悠起子
寒紅や心の奥に神も魔も 上野泰
寒紅や心の闇は覗かれず 鈴木真砂女 夕螢
寒紅や心隈どるごとく引く 大石悦子 群萌
寒紅や暖簾をくぐる女形 小川陽子
寒紅や暗き翳ある我が運命 下田実花
寒紅や月蝕の闇宵のうち 宇佐美魚目 秋収冬蔵
寒紅や母にはいつも祈りあり 都筑智子
寒紅や皿の糸底かかる指 野村喜舟
寒紅や眉定まりて人の妻 島村元句集
寒紅や石女と言ふ語はかなし 木村梧葉
寒紅や素直に通す人の意地 松本青羊
寒紅や美しき嘘うべなえり 大野岬歩
寒紅や老いさまざまに三姉妹 三好昭美
寒紅や花びら餅はほの赤し 高木晴子
寒紅や贋金をもて胸飾る 岸風三樓
寒紅や過ぎし世を恋ふ古簪 高橋淡路女 梶の葉
寒紅や酒も煙草もたしなまず 鈴木真砂女 生簀籠
寒紅や鏡の中に火の如し 野見山朱鳥
寒紅や雲欲すれば雲生れて 知久芳子
寒紅や鴨煮るくちに濃く刷かれ 龍岡晋
寒紅をさしたるのみの素顔かな 三宅清三郎
寒紅をさしていつもの富士額 後藤夜半 底紅
寒紅をさして無聊の日なりけり 龍奈賀子
寒紅をさす鏡中の暗さかな 町野けい子
寒紅をさせるお顔を見納めに 深見けん二 日月
寒紅をつけるいとまに妻はあり 上野泰 春潮
寒紅をつけ辛辣なこと言えり 沖口遼々子
寒紅をとりし白き手目にのこる 田中冬二 麦ほこり
寒紅をひいて反論もくろめり 樋笠文
寒紅をひきしづかなる一日を 深見けん二
寒紅をひきつつ言葉探しけり 鳥山米子
寒紅をひきて女形の顔となる 中山秋月
寒紅をひきて心に鞭打たん 天野 貞枝
寒紅を二つはきたる小皿かな 村上鬼城
寒紅を土産にくれし宿屋かな 田中冬二 麦ほこり
寒紅を引きて瞋りのなかにをり 大石悦子 群萌
寒紅を引きなつかしやわが死顔 恩田侑布子
寒紅を引くことのみの分限かな 今泉貞鳳
寒紅を引くたび想ふ礁あり 高千夏子
寒紅を拭ひ利酒つかまつる 宇和川喬子
寒紅を濃くさしたるを怖れけり 鷹羽狩行
寒紅を濃く稿債に倦みし日よ 稲畑汀子
寒紅を落として葱を刻みけり 中田尚子
寒紅を買ふ妻をみし小路かな 長谷川櫂 蓬莱
寒紅濃く半裸半跏の奈良へゆく 渋谷道
寒紅猫咲きそめ紙のうす明り 成田千空 地霊
封印のごとく寒紅引きにけり 小林知佳
慶弔に出向く寒紅一本持ち 神尾久美子 桐の木
旅重ね寒紅重ねおもねりぬ 萩原麦草 麦嵐
昨夜の夢かなし寒紅そと淡く 高橋笛美
曖昧に生きぬ証しの寒紅ひく 中村明子
桃水のため寒紅を引きし日も 太田夏子
濤に雨近し寒紅消さず寝る 神尾久美子 掌
物縫ふや寒紅売を心まち 高橋淡路女 梶の葉
笑み解けて寒紅つきし前歯かな 杉田久女
筆噛んで寒紅の唇汚さざる 村林星汀
筺底にわがいつの日の寒紅ぞ 高橋淡路女
罪障のふかき寒紅濃かりけり 鈴木真砂女 生簀籠
職を得て寒紅を濃く引きにけり 桑原美津子
芸道のきびし寒紅落しもあへず 長谷川かな女 花寂び
買初に寒紅の口切りにけり 橡面坊
丑紅を皆濃くつけて話しけり 高浜虚子
丑紅にをんなとなりし瞳のすゞし 野沢順水

寒紅 補遺

いささかの寒紅さして奪衣婆 有馬朗人 知命
丑紅といふ夜の川すぐそこに 岡井省二 猩々
丑紅の金の蓋紙あけにけり 三橋鷹女
丑紅の唇にちよとかむ筆のさき 阿波野青畝
丑紅やのぞいてみたる油瓶 岡井省二 鯛の鯛
丑紅や虫もころさぬおちよぼ口 飴山實 花浴び
寒紅といふ言葉には濃きこころ 後藤夜半 底紅
寒紅に紅さしゆびのふと不憫 後藤比奈夫
寒紅に日輪ひと日漿のごと 岡井省二 明野
寒紅のくちびる何の果肉なる 上田五千石 風景
寒紅のごとく蒔絵のうるし溶く 後藤比奈夫
寒紅の顔逆立てる枕かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
寒紅の去りし鏡の虚空かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
寒紅の口許生きて来し会話 稲畑汀子
寒紅の伝へつたへし美色はも 上田五千石『琥珀』補遺
寒紅の濃き唇を開かざり 富安風生
寒紅の濃くさしたるを怖れけり 鷹羽狩行
寒紅の舞妓も見たり外套被る 百合山羽公 故園
寒紅もその年頃の杏子色 後藤夜半 底紅
寒紅や鏡の中に火の如し 野見山朱鳥 曼珠沙華
寒紅や酒も煙草もたしなまず 鈴木真砂女
寒紅や女ひとりの幸はあるか 楠本憲吉 孤客
寒紅や色白むしろ蒼を帯び 上田五千石『琥珀』補遺
寒紅や心の闇は覗かれず 鈴木真砂女
寒紅や曩(さき)の湖いまもあり 岡井省二 山色
寒紅をさしていつもの富士額 後藤夜半 底紅
寒紅をさしてやるとて顎に手を 松本たかし
寒紅をさして初恋草とゐる 後藤比奈夫
寒紅をさしもするなり古娘 日野草城
寒紅をさす言ひたきを言ひ尽くし 鷹羽狩行
寒紅をつけるいとまに妻はあり 上野泰 春潮
寒紅をひきしづかなる一日を 深見けん二
寒紅を足す一木に真向ひて 上田五千石『琥珀』補遺
寒紅を濡らして舌の走りけり 野見山朱鳥 曼珠沙華
古妻の寒紅をさす一事かな 日野草城
罪障のふかき寒紅濃かりけり 鈴木真砂女
笑み解けて寒紅つきし前歯かな 杉田久女
又の名の丑紅の色と思ひをり 岡井省二 山色

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:45 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒の水 の俳句

寒の水 の俳句

寒の水

例句を挙げる。

ごくごくごく水のまことの寒の水 齋藤玄 『無畔』
のんですぐ背骨つらぬく寒の水 角川春樹
ひたひたと担ひこぼしぬ寒の水 西島麦南 人音
ひとり居や映るものなき寒の水 前田普羅 春寒浅間山
ほとけらの多くて寒の水足らず 関戸靖子
めでたさや一荷買ひたる寒の水 白水郎句集 大場白水郎
わさび田のまろ石寒の水ながれ 皆吉爽雨 泉声
一徹の一志を通す寒の水 塙 きく
一条入り一条あふれ寒の水 千代田葛彦 旅人木
一滴の厳しさ寒の水にあり 深川正一郎
一矩形光通さぬ寒の水 佐々木六戈 百韻反故 初學
一言で荒れる唇寒の水 高澤晶子 復活
三寒の水甕に日のそだちをり 長谷川双魚 風形
人気なき御手洗寒の水こぼす 五十嵐波津子
切昆布洒すや寒の水まけて 石塚友二 光塵
包丁の先より垂るる寒の水 加藤耕子
含嗽して舌の根甘し寒の水 石塚友二 光塵
呆けまじと一気に呑みし寒の水 明才地禮子
命あり家あり寒の水を飲む 坂田栄三
咽喉を落つ法悦に似て寒の水 小林康治 『虚實』
喜びの面洗ふや寒の水 前田普羅 新訂普羅句集
大淀の源にして寒の水 西村和子 かりそめならず
寒の水あびし巡査や玉せゝり 佐野不老
寒の水ありありと身体髪膚かな 山田みづえ
寒の水あをあをとして吉野川 日野草城
寒の水かそけき音に煮たちけり 西島麦南 人音
寒の水ごくごく飲んで畑に去る 飯田龍太
寒の水になひこぼせる閾かな 石原舟月 山鵲
寒の水のまず逝きしがあはれかな 石橋秀野
寒の水のみてうつし身二分けに 皆吉爽雨
寒の水ひたひたと呑む猫の舌 大橋敦子 勾 玉以後
寒の水もろもろのもの制し澄む 右城暮石 上下
寒の水をたゝへて噴井煙りゐし 青峰集 島田青峰
寒の水不動明王浴び給ふ 小川千代
寒の水今日の終りの薬飲む 朝倉和江
寒の水喉元を過ぎ大曲り 原裕 正午
寒の水喉越す辛口と思ふ 小倉涌史
寒の水寒餅ひたしたくはへぬ 室生犀星 魚眠洞發句集
寒の水念ずるやうにのみにけり 細見綾子 花寂び
寒の水怖る渕なす女の眼 柴田白葉女 花寂び 以後
寒の水手入れて思ひきりひらく 新谷ひろし
寒の水提げて漁船の中に消ゆ 大屋達治 絢鸞
寒の水柄杓飲みして山暮し ながさく清江
寒の水棒の如くに呑みにけり 藤松遊子
寒の水榊の影を折り畳み 佐々木六戈 百韻反故 初學
寒の水汲み込む甕のゆらぎ見ゆ 殿村莵絲子 遠い橋
寒の水泥酔漢をつたい落つ 鈴木六林男 王国
寒の水湛へつくばひ一穢なし 林大馬
寒の水溢れる音を聞いてをり 星野椿
寒の水澄む喋ることなくなりぬ 吉田紫乃
寒の水牛まばたかず飲むことよ 星野麦丘人
寒の水百薬の長併せ飲む 大宮良夫
寒の水胃の水琴の鳴るごとし 目迫のりを
寒の水腹背の創いたみけり 小林康治 『虚實』
寒の水荒使ひして鯉を切る 新田祐久
寒の水菩薩にそそぎあましたり 柴田白葉女 花寂び 以後
寒の水責めて漉きたる因幡和紙 美柑みつはる
寒の水適格者証出す手は賭博めく 岩田昌寿 地の塩
寒の水飲みてつらぬくもののあり 皆吉爽雨
寒の水飲み干す五臓六腑かな 細見綾子
寒の水飲めばこのまゝ癒ゆるかと 藤崎久を
寒の水飲めばたやすく心満つ 殿村菟絲子
山吹の反り枝も蒼し寒の水 岩田昌寿 地の塩
恙なき五臓六腑や寒の水 青木起美子
掌の窪に死水ほどの寒の水 齋藤玄 『狩眼』
旋回の澱沈みゆく寒の水 如月真菜
林間に見通す日向寒の水 藤井孝子
檻に猿をみて手に濺ぐ寒の水 竹中 宏
歳寒の水みつ陶の梅もどき 石原舟月 山鵲
水噛んで飲めてふ噛むや寒の水 橘川まもる
汲かへていとゞ白さや寒の水 浮流
汲み上げし大地のぬくみ寒の水 成嶋いはほ
汲み上げて地の温みある寒の水 松下晴耕
潦そのまゝ寒の水となる 阿部みどり女 笹鳴
焼跡に透きとほりけり寒の水 石田波郷(1913-69)
父というおとこにありぬ寒の水 大西泰世 『こいびとになつてくださいますか』
父の忌過ぐ皺みて窪む寒の水 小林康治 玄霜
現世のひと口漱ぐ寒の水 藤井冨美子
白魚やさぞな都は寒の水 高井几董
百薬の長にもまさる寒の水 福山英子
老移民 波止場の寒の水を飲む 伊丹三樹彦 樹冠
耳さときものも眠れり寒の水 久保純夫 聖樹
胃に落ちて甘さ戻りぬ寒の水 石塚友二
舌頭にとろりと甘き寒の水 高橋淡路女 淡路女百句
花絶えし壺拭き浄む寒の水 林翔 和紙
荒神に寒の水仕女燈をさゝぐ 西島麦南 人音
藺表へていねいに吹く寒の水 斉藤 大
行末や今こそ恃め寒の水 清水基吉 寒蕭々
見てさへや惣身にひゞく寒の水 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
見知らぬ土地低きところを寒の水 鈴木六林男 谷間の旗
諸手つき墓洗ふべし寒の水 小林康治 四季貧窮
金魚大鱗海の日に汲む寒の水 角川源義 『秋燕』
銭洗ふ新笊抜ける寒の水 村井信子
鮒跳んで苗代寒の水の上 岸本尚毅 舜
麦芽ばえ寒の水舟運河ゆく 西島麦南 人音
ポンプ押しゆるゝふぐりや寒水汲む 川口重美
古草履寒水に澄み聖農奴 香西照雄 対話
地下工場寒水通ふ管太き 細谷源二 鐵
寒水にうたれる行者遠く見ゆ 清水昭子
寒水に楮をさらす身をさらす 松井利彦
寒水に豆腐沈めしままの闇 赤尾恵以
寒水のひと口に勘とり戻す 多田菊葉
寒水の韻き収めし壺の闇 鷲谷七菜子 花寂び
寒水や裏ごしの糊まろやかに 三並蘭香
寒水をのみはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏
寒水を焚き汽罐車を野に放つ 細谷源二 鐵
寒水を飲みはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏 霊芝
寒水速し深夜を少年少女といて 寺田京子 日の鷹
情念の身の寒水を渉り居り 桂信子
朝寒や寒水石の手水鉢 寺田寅彦
梅女の足海草つけて寒水に 横光利一
死後の値の保険に決まるもどり寒 水下寿代
汲みあふる寒水の杓よるべなし 飯田蛇笏 春蘭
焦土より寒水はしりいづるかな 加藤秋邨
生理日の渇き寒水ごくごくのむ 草村素子
礁上の寒水海苔を湛へけり 渡邊水巴 富士
老の盲目かつとあきては寒水くむ 加藤知世子 花寂び
おささらの列へ寒九の浄め水 小枝秀穂女
ひたひたと寒九の水や廚甕 飯田蛇笏(1885-1962)
よき甕に寒九の水を封じけり 武田酔仏
仏にも寒九の水をたてまつる 森澄雄
出来過ぎの話寒九の水呷る 種子田誠子
山河眼にさやか寒九の水のめば 朔多 恭
棒のごと寒九の水を呑みくだす 大石悦子
歓べる寒九の水ののんどかな 石塚友二
氷柱折つて寒九の水を汲みゆけり 茂里正治
筆おろす寒九の水になじませて 武藤あい子
寒最中厠で使ふ水の音 高澤良一 暮津

寒の水 補遺

あざらしの潜きたのしむ寒の水 日野草城
アルミ貨の浮くといふこと寒の水 後藤比奈夫
おじいさんも好きだつた寒の水をあじわう 荻原井泉水
なんときびしい寒の水涸れた 種田山頭火 草木塔
ひたひたと寒九の水や厨甕 飯田蛇笏
ひたひたと担ひこぼしぬ寒の水 西島麦南 人音
ひとり居や映るものなき寒の水 前田普羅 春寒浅間山
わきあふれ流れゆくなり寒の水 山口青邨
雲水の打てるはつきり寒の水 後藤比奈夫
円匙たて大地に寒の水うまし 伊丹三樹彦
花絶えし壺拭き浄む寒の水 林翔 和紙
噛んで飲めよと伏見より寒の水 鷹羽狩行
寒の雨洲の水の面に漾たたず 松村蒼石 雁
寒の水あをあをとして吉野川 日野草城
寒の水かそけき音に煮たちけり 西島麦南 人音
寒の水ごくごく飲んで畑に去る 飯田龍太
寒の水こぼれて玉となりにけり 右城暮石 句集外 昭和三十二年
寒の水しづまりかへるうちたたへ 山口青邨
寒の水のまず逝きしがあはれかな 石橋秀野
寒の水ひとりごちのみ「ああおいし」 森澄雄
寒の水ふくみぬたのみある如し 中村汀女
寒の水もろもろのもの制し澄む 右城暮石 上下
寒の水飲み干す五臓六腑かな 細見綾子
寒の水飲む機も遂に得ざりけり 相生垣瓜人 負暄
寒の水触れなば珠と砕くらむ 山口青邨
寒の水地より噴き出で血のごとし 西東三鬼
寒の水念ずるやうにのみにけり 細見綾子
寒の水棒呑みに何恃むべき 岡本眸
寒の水餅つけてより夜のたしか 細見綾子
寒の水玲瓏よよと家鴨掻く 山口青邨
寒の水六百尺の地下より湧く 山口青邨
寒水にしかと若木の光沢赤し 大野林火 青水輪 昭和二十五年
寒水のはじく油を見ねばならぬ 加藤秋邨
寒水の韻き収めし壺の闇 鷲谷七菜子 花寂び
寒水の魚を見てゐて返事せず 西東三鬼
寒水の雑巾妻の手が絞る 日野草城
寒水の緋鯉よきのふの癩の島よ 中村草田男
寒水の鮠はしづかに旋りゐる 加藤秋邨
寒水を飲みはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏 霊芝
寒水を焚き汽罐車を野に放つ 細谷源二 鐵
寒水飲み一途に何を求むべき 松崎鉄之介
歓べる寒九の水ののんどかな 石塚友二 玉縄以後
含嗽して舌の根甘し寒の水 石塚友二 光塵
喜びの面洗ふや寒の水 前田普羅 普羅句集
汲みあふる寒水の杓よるべなし 飯田蛇笏 山響集
魚市場傲気に寒の水使ふ 飯島晴子
禁欲や夜半起きて呑む寒の水 伊丹三樹彦
金魚大鱗海の日に汲む寒の水 角川源義
古草履寒水に澄み聖農奴 香西照雄
荒神に寒の水仕女燈をさゝぐ 西島麦南 人音
黒ずむをうぐひと言へり寒の水 細見綾子
紙漉きの寒の水見る約束す 細見綾子
汐入りの水嵩さだまり寒の雨 石田勝彦 秋興
諸手つき墓洗ふべし寒の水 小林康治 四季貧窮
掌の窪に死水ほどの寒の水 斎藤玄 狩眼
焼跡に透きとほりけり寒の水 石田波郷
礁上の寒水海苔を湛へけり 渡邊水巴 富士
寝る時に飲みほしにけり寒の水 細見綾子
神の川橋の上に汲む寒の水 山口青邨
神橋の下寒の水あをかつし 川端茅舎
水餅に寒九の水を重ねけり 百合山羽公 樂土
切昆布洒すや寒の水まけて 石塚友二 光塵
船が曳く筏は長し寒の水 山口青邨
段差なき閾にこぼす寒の水 桂信子「草影」以後
地下工場寒水通ふ管太き 細谷源二 鐵
長風邪の水のうまさも寒の入り 細見綾子
沈み友禅寒水の流れゆるみ 橋本多佳子
鎮魂のごと寒の水のみ干して 細見綾子 虹立つ
梅の花寒水石の寒さかな 正岡子規 梅
麦芽ばえ寒の水舟運河ゆく 西島麦南 人音
父の忌過ぐ皺みて窪む寒の水 小林康治 玄霜
鳴るポンプ病者養ふ寒の水 西東三鬼
癒えし胃の寒水の沁みよろこべり 能村登四郎
老移民 波止場の寒の水を飲む 伊丹三樹彦
甕満たしことばのごとく寒の水 鷹羽狩行

寒の水 続補遺

白魚やさぞな都は寒の水 高井几董
さだめよの遺精もつらし寒の水 其角

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:42 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒垢離 の俳句

寒垢離 の俳句

寒垢離

例句を挙げる。

寒垢離にせなかの龍の披露哉 一茶 ■文政二年己卯(五十七歳)
寒垢離に尻背けたる繋ぎ馬 蕪 村
寒垢離に滝団々とひかり墜つ 山口草堂
寒垢離に背中の龍の披露かな 一茶
寒垢離のあの滝音はひとりなり 小澤克己
寒垢離のあまたの足のふみし巌 宇佐美魚目 天地存問
寒垢離のきのふはゐしと青き歯朶 宇佐美魚目 秋収冬蔵
寒垢離のすがたを近み合掌す 飯田弥伊子
寒垢離のたよわき女誰がためぞ 吉野左衛門
寒垢離のもの干してある巌かな 都築道子
寒垢離の串ざしに干す濡草履 福田蓼汀
寒垢離の印呪の巨き掌がしろき 山口草堂
寒垢離の合掌を解き宙掴み 成田風太郎
寒垢離の喝脳天を抜けにけり 成川雅夫
寒垢離の女人しもたやを出で行きぬ 村山古郷
寒垢離の女葭簀に身をかくす 大久保九山人
寒垢離の念力の充つ濡れ身かな 山崎禎子
寒垢離の気魄鉄壁なせりけり 伊東宏晃
寒垢離の水が女体を打つて火に 山下半夏
寒垢離の水のはなるるとき女身 貴田将子
寒垢離の浄衣抱かされ抱きけり 三浦京子
寒垢離の滝の水汲む大やかん 阿部恵子
寒垢離の滝の飛沫にあな消たり 山口草堂
寒垢離の灯りを外るる一垂氷 宮岡計次
寒垢離の白衣すつくと立ち上がる 福田甲子雄
寒垢離の白衣を橇に曳ききたる 勝尾佐知子
寒垢離の石橋渡る銀杏かな 会津八一
寒垢離の終へたる岩を浄めをり 新井英子
寒垢離の耳の水ふる勢かな 炭 太祇 太祇句選
寒垢離の脱衣着衣に椿の木 宇佐美魚目 天地存問
寒垢離の行衣をつゝむ小風呂敷 幸野梨杖
寒垢離の身をよろよろとあがりきし 有本行路
寒垢離の逆髪濡れて荒法師 富安風生
寒垢離の長髪搾る手の赤し 田頭光枝
寒垢離の風に乗り行く歩みかな 黒柳召波 春泥句集
寒垢離やけふは人の身着がえ時 井原西鶴
寒垢離やはづれんとして車井戸 為成菖蒲園
寒垢離やひとゝせ見たる角力取 高井几董
寒垢離や上の町まで來たりけり 蕪村 冬之部 ■ 感偶
寒垢離や不動の火焔氷る夜に 正岡子規
寒垢離や信心堅き弟子大工 正岡子規
寒垢離や尊き闇の松の風 中山白峰
寒垢離や村を守り継ぐ血のほてり 山崎雅楽
寒垢離や氷柱の中に水細し 西山泊雲 泊雲句集
寒垢離や蘇鉄月夜の妙国寺 折井愚哉
寒垢離や黒髪といふ煩悩は 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
寒垢離をすませて吸へる生玉子 松本巨草
手にお滝足にお滝と寒垢離女 後藤夜半 底紅
満月光寒垢離のごと身を摶てり 渡辺恭子
首に巻く寒垢離僧の数珠凍り 安田晃子
しづかな熱気寒行後の僧にほふ 能村登四郎
しんがりの寒行太鼓乱れ勝ち 藤田光子
寒行が歩むちひさき埃立て 草間時彦
寒行やひとりは米の袋さげ 飴山實 『花浴び』以後
寒行やわがつぐなひの長病ひ 石田あき子
寒行や原爆ドームより消えゆく 田村奎三
寒行や異教徒のごと犬よぎる 中村正幸
寒行僧どこへゆくのと児が問へり 清水洋子
寒行僧の一列の声街をゆく 室岡青雨
寒行僧掌を解く鯉の鰭おもふ 森澄雄
寒行僧早め来つるよ夕しまき 高田蝶衣
寒行僧街人にまぎれず白し 大野林火
寒行太鼓時にみだるる月吹く夜 臼田亞浪 定本亜浪句集
寒行尼大本願に戻り来し 西本一都 景色
居留守して寒行僧を佇たせけり 森田公司
残業の事務所寒行遠ざかる 松根久雄
水の面に天日の張り寒行場 伊藤京子
父逝きて寒行僧の寄らずなりぬ 中村路子
花街の路地を出て来し寒行僧 菅原野火男
道に出て寒行燭をわかち合ふ 加藤まさを

寒垢離 補遺

しづかな熱気寒行後の僧匂ふ 能村登四郎
寒こりや思ひきつたる老の顔 正岡子規 寒垢離
寒垢離に逢ひける揚屋の戻りかな 正岡子規 寒垢離
寒垢離の我影はしる月夜かな 正岡子規 寒垢離
寒垢離の女人しもたやを出で行きぬ 村山故郷
寒垢離の人影もなし滝落とす 清崎敏郎
寒垢離の水を浴ひ居る月下哉 正岡子規 寒垢離
寒垢離の麻衣夜の梅に干す 細見綾子
寒垢離の黙って走る二人かな 正岡子規 寒垢離
寒垢離の慘憺たるを放映す 相生垣瓜人 負暄
寒垢離や一人行き又一人行く 正岡子規 寒垢離
寒垢離や兄におくれて母一人 正岡子規 寒垢離
寒垢離や兄皆逝いて母一人 正岡子規 寒垢離
寒垢離や信心堅き弟子大工 正岡子規 寒垢離
寒垢離や二人の童子目に見ゆる 正岡子規 寒垢離
寒垢離や不動の火焔氷る夜に 正岡子規寒垢離
寒垢離や両國渡る鈴の音 正岡子規 寒垢離
寒行が歩むちひさき埃立て 草間時彦 中年
寒行にひとりひとりの視線過ぐ 桂信子 女身
寒行に凌がる心急かれゐて 小林康治 玄霜
寒行の早き歩みに町残り 中村汀女
寒行の足音戦前戦後なし 西東三鬼
寒行の足指永く記憶せり 桂信子 樹影
寒行の足首細くふみだしぬ 有馬朗人 天為
寒行の体臭日本人ならず 藤田湘子 神楽
寒行の提灯ゆゝし誕生寺 村上鬼城
寒行の嗄声の中の澄みし声 能村登四郎
寒行の跣足の音の聞えねど 中村汀女
寒行やひとりは米の袋さげ 飴山實 句集外
寒行を技きしよりバス闇を馳す 大野林火 雪華 昭和三十五年
寒行三人更けし電車の窓を過ぐ 石田波郷
寒行僧街人にまぎれず白し 大野林火 冬青集 雨夜抄
寒行太鼓時にみだるる月吹く夜 臼田亜郎 定本亜浪句集
寒旱寒垢離に水給しつつ 百合山羽公 樂土
月下ゆく寒行の列影持たず 草間時彦 中年
月夜寒行くに現世は蒼ざめて 香西照雄
坂のぼりくる寒行の青つむり 大野林火 月魄集 昭和五十四年
手にお滝足にお滝と寒垢離女 後藤夜半 底紅
星空冴えてくる寒行の太鼓うちだした 種田山頭火
星座みな西す寒行一団も 藤田湘子

寒垢離 続補遺

寒垢離や身を切る風にのりの道 三宅嘯山
寒垢離やひとゝせ見たる角力取 高井几董
寒垢離の簑に雪見る袖もなし 支考
寒垢離の裸衣や入ほくろ 早野巴人
寒垢離の目を覚したる寒さ哉 芙雀
寒垢離の風に乗行歩ミ哉 黒柳召波
寒垢離の耳の水ふる勢かな 炭太祇
寒垢離の外にはないか銭まうけ 芙雀

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:37 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒灸 の俳句

寒灸 の俳句

寒灸

例句を挙げる。

いやいやに蹤いてきたるは寒灸 細川加賀 『玉虫』以後
お念仏申し耐へゐる寒灸 杉森干柿
しっかりと抱へる膝や寒灸 奥田 草秋
そくばくの餘命を惜しみ寒灸 西島麦南
ほつれ毛を咬へ耐へをる寒灸 樋口玉蹊子
わが肩に上る煙や寒灸 下田実花
一念の寒灸十日こゝろざし 上林白草居
下駄箱に白緒がひとつ寒灸 石田勝彦 秋興
寒灸ここにも腹に据ゑかねて 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
寒灸にしみ~とある命かな 川戸野登朗
寒灸に耐へゐる母の背の震へ 船橋一歩
寒灸のここが地獄の入口か 木田千女
寒灸の一火一火と燃えしづむ 皆吉爽雨 泉声
寒灸の三里といはず歩まねば 北見さとる
寒灸の後の背さらす医師の前 三島隆英
寒灸の摶つがごときを肩の上に 皆吉爽雨 泉声
寒灸の肩を互に老いゆくか 舞原余史
寒灸の背を曲ぐる母小さしや 川田一夫
寒灸や悪女の頸のにほはしき 飯田蛇笏 霊芝
寒灸や痩身に火を点じたり 村山古郷
寒灸よりどころなき瞳をつむる 雨丈
寒灸をおろし自伝をつづるなり 森川暁水 黴
寒灸を妻にもしひつ日を過ぎぬ 森川暁水 黴
寒灸小さな背中曲げて待つ 熊谷 芳洲
寒灸師山家に来り泊りけり 前田普羅
寺詣りせし夜の更けて寒灸 大野信子
脳天にきりきりしみて寒灸 上林白草居
もろともに出世こじれて寒の灸 細谷源二
寒の灸髪ふるはせて堪へにけり 森川暁水 黴
寒やいと子に先だたれたる同士 川村紫陽
寒やいと最後の綱とたのみけり 成瀬櫻桃子 素心
方丈に子らを遊ばせ寒の灸 香川はじめ
陽の縁に肩をすぼめて寒やいと 加藤武夫
風の子や裸で逃げる寒の灸 一茶

寒灸 補遺

草城の肩突兀と寒の灸 伊丹三樹彦
身を焼いて身の魔を焼いて寒灸 上野泰
寒灸や中年の膚しみだらけ 日野草城
寒灸や痩身に火を点じたり 村山故郷
寒灸や黄色人種肌をぬぎ 日野草城
寒灸や悪女の頸のにほはしき 飯田蛇笏
寒灸の女の中の男かな 高野素十
下駄箱に白緒がひとつ寒灸 石田勝彦 秋興

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:33 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒稽古 の俳句

寒稽古 の俳句

寒稽古

例句を挙げる。

くぐり門押せば開くなり寒稽古 鈴鹿野風呂
しろじろと月暁けてをり寒稽古 辻岡夏人
一礼に初心忘れず寒稽古 吉井莫生
一礼のすでに圧さるる寒稽古 石崎素秋
丹田にのりし全身寒稽古 深見けん二 日月
噴く山へ拳突き出す寒稽古 谷迫はるえ
大ぶりの椀の湯漬や寒稽古 水原秋櫻子
寒稽古に出しやりし燈の部屋に沁む 原田種茅
寒稽古らし城へゆく道ゆづる 上杉苳子
寒稽古夜更けて残る二人きり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
寒稽古始まる掲示つぎ~に 五十嵐播水 播水句集
寒稽古子弟の骨を鍛ひけり 河東碧梧桐
寒稽古汗ふく顔の幼かり 中原八千子
寒稽古生涯かけし師一人 上村占魚
寒稽古病める師匠の厳しさよ 高浜虚子
寒稽古百射て的の暮れにけり 猪俣千代子
寒稽古突き返し又突き返し 長谷川櫂 虚空
寒稽古終りて拳解かず礼 檜 紀代
寒稽古青き畳に擲(なげう)たる 日野草城
小つづみの血に染まり行く寒稽古 武原はん女(1903-98)
小漢の声の大きく寒稽古 古賀筑史
小豆煮る香のして終る寒稽古 田中 蘇水
山一つ二つ暮れゆく寒稽古 石田三省
己が吹く己が笛の音寒稽古 成瀬 雄達
師三人並び現れ寒稽古 波多野爽波 鋪道の花
指先の光を感じ寒稽古 渡辺和弘
放つ矢に風ひきしまる寒稽古 小森 泰子
故郷の月の明るき寒稽古 福田蓼汀 山火
明けに響く竹刀の音や寒稽古 坂本義雄
月の樹にありあふ柝や寒稽古 飯田蛇笏 霊芝
松籟に心休ませ寒稽古 上野 泰
水さはに胸拭き了へし寒稽古 中田 樵枝
水飲んで京へゆかなむ寒稽古 田中裕明 先生から手紙
渋引きしごと喉強し寒稽古 高浜虚子
渾身の一管ひびく寒稽古 三谷喜与史
神の灯の揺ぎて厳し寒稽古 門岡 一笑
空を蹴り空を突きては寒稽古 長谷川櫂 蓬莱
窓高し竹刀のみ見え寒稽古 森田峠 逆瀬川以後
老いてなほ稽古の鬼や寒稽古 竹原梢梧
胸をもてバレエつま立つ寒稽古 赤松[ケイ]子
行き渋る子を送り出し寒稽古 永森ケイ子
赤胴の似あふ少年寒稽古 中紫水
進み出て一対一や寒稽古 長谷川櫂 虚空
鉞も武芸が中や寒稽古 内田秋皎
門弟の一人きりなる寒稽古 折井眞琴
門弟の中のわが子や寒稽古 高野素十
雪の戸をわれ立ち出づる寒稽古 岩田潔
面つけて沙弥とは見えぬ寒稽古 中村草哉
面取れば妙齢なりし寒稽古 永田百々枝
すたれたる奥浄瑠璃や寒復習 宮野小提灯
たゞ一人ひそかなるかな寒復習 高浜虚子
よこたへる琴の長さや寒復習 辻桃子
半分は泣いてゐる声寒復習 浅野白山
吹く笛の林へ向ひ寒復習 高田 青圃
寒ざらい聲のつぶれる程ならず 高浜年尾
寒復習障子硝子に雪降つて 大橋櫻坡子 雨月
緋袴に坐してひとりの寒復習 黒田杏子 花下草上

寒稽古 補遺

どこそこに寒稽古あり聞くばかり 星野立子
ひよろひよろの男も来り寒稽古 山口青邨
割木さげし寒稽古の人むれて行く 正岡子規 寒稽古
寒稽古すみて広きを犬走る 波多野爽波
寒稽古帰りのみちの煮炊の香 上田五千石『天路』補遺
寒稽古句の鉱脈にゆきあたり 上野泰
寒稽古荒息二人のみ聞くよ 平畑静塔
寒稽古子弟の骨を鍛ひけり 河東碧梧桐
寒稽古青き畳に擲たる 日野草城
寒稽古多作の旆を掲げつつ 上野泰
寒稽古長身の師は受け一手 平畑静塔
月の樹にありあふ柝や寒稽古 飯田蛇笏 山廬集
拳つきだす三十五人寒稽古 平井照敏 猫町
故郷の月の明るき寒稽古 福田蓼汀 山火
師三人並び現れ寒稽古 波多野爽波 鋪道の花
松籟に心休ませ寒稽古 上野泰
正座して顔かるくなる寒稽古 鷹羽狩行
切りむすびたきひとのあり寒稽古 桂信子 草影
切り傷の血潮の甘き寒稽古 鷹羽狩行
大ぶりの椀の湯漬や寒稽古 水原秋櫻子 殉教
夢に見し竹刀大きく寒稽古 高田風人子
門弟の中のわが子や寒稽古 高野素十
撥の手の冷えいつか去り寒稽古 高浜年尾

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:31 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒泳 の俳句

寒泳 の俳句

寒泳

例句を挙げる。

ある日忸怩として寒泳を見てゐたる 鈴木栄子
すれちがひざま寒泳の髪雫 福永耕二
ややありて寒泳の身の火照り出す 斉木 永久
七十路を越えて寒泳波立てず 鈴木 照子
固き氷割りて寒泳始まれり 稲垣暁星子
寒中水泳観る寒泳の貌をして 河野南畦 『試走車』
寒泳にゐる筈もなき吾さがす 能村研三 鷹の木
寒泳に拍手せざるはわれひとり 小川双々子
寒泳に流れも見せぬ河の面 津田清子
寒泳に芋粥煮ゆる石竃 下村ひろし 西陲集
寒泳に藍一色の嶺(やまね)かな 松村蒼石 寒鶯抄
寒泳のあと高層に日がけぶり 友岡子郷 風日
寒泳のかげ川底をすすみけり 根岸善雄
寒泳のかたまり泳ぐ日の真下 細川加賀 『傷痕』
寒泳のくちびるよりぞ到着す 白岩 三郎
寒泳のすみたる磯の焚火あと 堀田春子
寒泳のとりすがりたる舳先かな 細川加賀 『玉虫』
寒泳のまだ濡らさざる紺水着 長田等
寒泳の先頭川の封を切る 松山足羽
寒泳の前胸板を羽交打ち 中戸川朝人 星辰
寒泳の抜手に水のしたたらず 内藤吐天 鳴海抄
寒泳の柳眉逆立て水を出づ 澤田 緑生
寒泳の歯の根も合はず哀しまる 加藤かけい
寒泳の水引き摺りて上りけり 田村一翠
寒泳の河馬しとやかに足揃へ 堀口星眠 樹の雫
寒泳の法然上人かも知れず 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
寒泳の炭火を土の上に焚く 田中午次郎
寒泳の端のひとりのやや逸り 久保田博
寒泳の粥のさみどりたぎりをり 大沢ひろし
寒泳の衆目を負ふ褌(こん)の白 能村登四郎 幻山水
寒泳の身よりも黒眸濡れてくる 能村登四郎
寒泳の雄叫びに翔く群千鳥 松本幹雄
寒泳の頭に立つ波のひかりなし 金子潮
寒泳の首紺青の海へ出す 池田秀水
寒泳や口中昏く波の立つ 庄司とほる
寒泳や古式泳法皮切りに 三原美加
寒泳や水着になれば齢なし 高田里江
寒泳を了へ雪白のタオル纒ふ 内藤吐天 鳴海抄
寒泳を指の先まで凍てて見る 宮原 双馨
寒泳を観る固き顔かたき貌 佐野まもる
寒泳子行者のごとく川に入る 勝部十糸女
寒泳少女如何なる夫を賜らむ 津田清子
寒泳終るもとの蒼さの川となり 尾形不二子
寒泳者浪子の海を前にせり 高澤良一 ぱらりとせ
幟旗立て寒泳の護衛船 武智ふさ子
掛け声をかけあひ寒泳浜にそふ 初村迪子
父母より長き髪寒泳の立泳ぎ 藤井照久
陸続と来る寒泳の眼かな 大島雄作
勝者なく寒中水泳終りけり 伊藤通明
寒中水泳観る寒泳の貌をして 河野南畦 『試走車』
犬歯見せ寒中水泳よりもどる 大石雄鬼

寒泳 補遺

寒泳少女如何なる夫を賜らむ 津田清子
寒泳の禊ありけりいつく島 平畑静塔
寒泳の白一本を締めしのみ 鷹羽狩行
寒泳の追ひ追はるるもうねり中 能村登四郎
寒泳の成就者首をさし上げし 平畑静塔
寒泳の身よりも黒眸濡れてくる 能村登四郎
寒泳の衆目を負ふ褌の白 能村登四郎
寒泳の若者ひとりふたり知り 能村登四郎
寒泳の古式ゆたかに波立てず 鷹羽狩行
寒泳の見るに忍びぬ画面かな 相生垣瓜人 負暄
寒泳に藍一色の嶺かな 松村蒼石 寒鶯抄
寒泳に送りし拍手鴎翔たす 鷹羽狩行
寒泳に神もきびしく火断ちせり 平畑静塔
炎若うして寒泳を待つ焚火 能村登四郎

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:29 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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