2017年 05月 15日 ( 3 )

茨木和生 第十三句集 熊樫を読んで

茨木和生 第十三句集 熊樫を読んで


2016・5・11 東京四季出版


ご恵送深謝。

この句集で特筆すべき点は、句集上梓日がお孫さんの誕生日であること、

また 一年間かぎりの作品であることである。


以下に共鳴句を挙げる。


年よりも若いと言はれ初麗

東京にゐること忘れ忘初

竜の玉まこと尽くしてひかりけり

一灯が点けり寒暮の小漁港

杉山の高くまで竹雪催

泳ぐともなく寒鯉の流れ来る

寒鴉日向に着地して歩く

立春と酒呉るる人ありにけり

あるやもと崖見てをれば蕗の薹

薄氷の上を羽毛の走りけり

薄氷に太陽崩れゐたりけり

えかげんな時間大和の春ごとは

降り出して空がにぎやか春の雪

雉走り過ぐここからは口吉野

地続きにゐることたしか雉のこゑ

田に戻ることなき大地葦芽ぐむ

瓜蠅の駆除済みと書く苗木買ふ

多々羅跡歩きて蕨摘みにけり

頂きに行かずに春の山歩く

動き出すものも見えゐて蝌蚪の紐

溜池の稚金魚百万匹はゐる

飛んで逃ぐるよりも走りて雀の子

眼を外しをればまた来て雀の子

門川も稚鮎ののぼり来る頃ぞ

眠ること勤めの妻の朝寝かな

春の雲梯子外して運びゆく

杉菜入らしめず山畑育めり

禁煙をして旨きもの桜餅

山墓は里に移され山桜

竹荒れの山を仰げば山桜

尺物を御饌に揃へて桜鯛

大物は時には安値桜鯛

青空は雲に薄るる残花かな

柏手を朝日に打てり朴の花

朴の花谷音ときに空に抜け

鹿の子の日差に跳ねて出て来たり

蒸しゐたれども蛇の出てをらず

電車にも慣れをりここの行々子

梅雨茸毒といひても触るる人

人の手のぬくもり厭ふかたつむり

蝸牛桜の脂を舐めゐたり

鳥落しゆきたる空の蝸牛

梅雨の鳶吹き上げられてとどまれり

煙草臭きことも格別蝮捕

青嵐田水が畔を越すことも

城濠を駆け空に出ず夏燕

老鶯の真珠(またま)の声をころがせる

なんぼでも鳴き出す河鹿聴きをれば

魚呑むときのすばやさ山椒魚

火を見たることなき眼山椒魚

おいに限るよ半裂を呼ぶならば

夜店用金魚と雑に扱へり

漁船より飛び込みもして泳ぎをり

写経道場を涼風抜け来たり

言うてみるもの夏鹿の肉貰ふ

夏鹿の肉を校長より貰ふ

灯明を磐に絶やさず日の盛

空嘔吐せる犬がゐて草いきれ

斑鳩も平群も地蔵盆賑やか

糠味噌の機嫌もよくて秋の色

楤の花日照雨の見えて過ぎにけり

岡不作とは枝豆の粒にまで

丁子屋の煮付なにより江鮭

動きをらざれば氣付かず秋の蛇

峠まで歩いて来たる栗拾ひ

一村の墓が一寺に秋日和

狸かと思ふ猫ゐて狩の宿

日向ぼこわてら三つ子と婆笑ふ

着ぶくれの尻割り込んで来たりけり

短日や山の日差が空に去り

東京の木の葉の色も十二月

干魚に日差を届け冬の雲

列車来る時間に人来冬の暮



茨木さんは現下、最も充実している作家であろう。

松瀬青々全句集、右城暮石全句集等の業績も見逃せない。



by 575fudemakase | 2017-05-15 10:10 | 句集評など | Trackback | Comments(0)

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


6束の間の連綿として春尽きぬ

9麦笛に野良の一服なりしかな

16父の手の網より外す花うぐひ

18山の辺の名もなき古墳竹散れり

19正座して無言の食事昭和の日

24大甍囲み萌黄の薄暑光

25懸け橋を菩薩のお練り清和の天

28高々と挙兵の山の吹流し

32夏来る大琵琶の沖海の色

33緋牡丹に煩わしきこと忘れをり

40荷風忌や投込寺の碑に雫

43蛇の衣聖天堂に燭ひとつ

48学級に馴染みし子らに夏来たる

49野良の足洗ふ外井戸月おぼろ

50昭和の日切干し大根甘く煮て

55東天紅の神さぶ声に夏立てり

56山寺の和尚と眺む桐の花

58若僧の総出伽藍の溝浚ひ

59牡丹の芽朱塗りに螺鈿硯箱

61松の芯天守に続く能舞台

66河鹿笛息子おごりの露天風呂

67立夏なり仕立て下ろしの波と風

75蚕豆や頑固おやじに育てられ

79月山を遠景にしてさくらんぼ

89そら豆の花の目怖し母は亡し

91雨止みぬ牡丹十花の崩れざま

104淀の渦ゆらりと飛花を巻きこみぬ

107菖蒲湯はやはり銭湯下駄ばきで

110雨細し蕾も見えて花あやめ

112半鐘に始まる雅楽来迎会

121田植え機の動く二反田遠筑波

123トンネルの先にトンネル谷若葉

125行商の籠の触れゆく花卯木

138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

141源流の音にこごみの渦を解く

145ゆつくりと溶かす漢方花疲れ

155雪彦山(せつぴこ)の沢にさ走る柳鮠

163すみれ咲く本郷菊坂石畳

166練供養泣き抱かれ行く稚児菩薩

167富士に向き畝切る音の五月かな

171昭和の日キューピーの浮く船溜り

175山頂へ向かう小道や新樹光

178翡翠の消えしところに巣のあらむ

179八十八夜いまだに背戸のある暮らし

180麦秋をサイクリングの光ゆく


以上







by 575fudemakase | 2017-05-15 06:24 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


6束の間の連綿として春尽きぬ

9麦笛に野良の一服なりしかな

16父の手の網より外す花うぐひ

18山の辺の名もなき古墳竹散れり

19正座して無言の食事昭和の日

24大甍囲み萌黄の薄暑光

25懸け橋を菩薩のお練り清和の天

28高々と挙兵の山の吹流し

32夏来る大琵琶の沖海の色

33緋牡丹に煩わしきこと忘れをり

40荷風忌や投込寺の碑に雫

43蛇の衣聖天堂に燭ひとつ

48学級に馴染みし子らに夏来たる

49野良の足洗ふ外井戸月おぼろ

50昭和の日切干し大根甘く煮て

55東天紅の神さぶ声に夏立てり

56山寺の和尚と眺む桐の花

58若僧の総出伽藍の溝浚ひ

59牡丹の芽朱塗りに螺鈿硯箱

61松の芯天守に続く能舞台

66河鹿笛息子おごりの露天風呂

67立夏なり仕立て下ろしの波と風

75蚕豆や頑固おやじに育てられ

79月山を遠景にしてさくらんぼ

89そら豆の花の目怖し母は亡し

91雨止みぬ牡丹十花の崩れざま

104淀の渦ゆらりと飛花を巻きこみぬ

107菖蒲湯はやはり銭湯下駄ばきで

110雨細し蕾も見えて花あやめ

112半鐘に始まる雅楽来迎会

121田植え機の動く二反田遠筑波

123トンネルの先にトンネル谷若葉

125行商の籠の触れゆく花卯木

138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

141源流の音にこごみの渦を解く

145ゆつくりと溶かす漢方花疲れ

155雪彦山(せつぴこ)の沢にさ走る柳鮠

163すみれ咲く本郷菊坂石畳

166練供養泣き抱かれ行く稚児菩薩

167富士に向き畝切る音の五月かな

171昭和の日キューピーの浮く船溜り

175山頂へ向かう小道や新樹光

178翡翠の消えしところに巣のあらむ

179八十八夜いまだに背戸のある暮らし

180麦秋をサイクリングの光ゆく


以上







by 575fudemakase | 2017-05-15 06:24 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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