2017年 08月 17日 ( 9 )

蝉時雨 の俳句

蝉時雨 の俳句

蝉時雨

「実入れむ実入れむ」田を重くする蝉時雨 和湖長六
あによめの日傘を借りてせみしぐれ 筑紫磐井 婆伽梵
いちにちの省略の刻蝉時雨 三木照恵
いづかたへ父は逝きしか蝉時雨 星野昌彦
うれしさはかなしみとなり蝉時雨 阿部みどり女
オルゴールの円盤の穴蝉時雨 高澤良一 宿好
さくと縄切る全山の蝉時雨 菅原鬨也
ジーパンの張りつく腿や蝉時雨 小檜山繁子
せみしぐれ身体のなかの対の骨 大西泰世
どこまでも蝉時雨とは包まれて 稲畑汀子 汀子第二句集
トンネルを出てしろがねの蝉時雨 五島高資
みほとけのみち渾身の蝉時雨 香下寿外
もてあまし居る長電話蝉時雨 樋口明子
わがために待つこと一つ蝉時雨 龍男
阿闍梨来てしたゝりはげし蝉時雨 筑紫磐井 婆伽梵
安達太良へ赫と日の差す蝉時雨 鈴木萩月
一つ~なつかしき名や蝉時雨 碧雲居句集 大谷碧雲居
一と回り森を大きく蝉時雨 浜口秀村
一樹なき火の山樹海は蝉時雨 福田蓼汀 秋風挽歌
一切の外側の蝉時雨なり 奥坂まや
隠国の長谷一山の蝉時雨 亀井新一
雨止むや欅並木に蝉時雨 羽根井芳夫
永遠のいまどの辺り蝉時雨 津沢マサ子
猿橋の墜ちんばかりや蝉時雨 肥田埜恵子
音符なく調子揃へる蝉時雨 吉留洋子
火の朱鳥石の茅舎や蝉時雨 中杉隆世
過去未来まつすぐに降る蝉時雨 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
我影のこの短かさよ蝉時雨 稲垣恵子
絵馬堂の戦国絵図や蝉時雨 今井誠人「亀山」
階より蝉時雨して光堂 市野沢弘子
笠とるや杜の下道蝉時雨 蝉 正岡子規
樫太る五十六生家の蝉時雨 関根和子
茅蜩が一つそのほかたゞ蝉時雨 北原白秋
干草を踏む蹠ざはり蝉時雨 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
換骨奪胎蝉時雨また蝉時雨 伊丹さち子
汗を吹く茶屋の松風蝉時雨 汗 正岡子規
観念の念にもあらず蝉時雨 川崎展宏
還ります人に故国の蝉時雨 阿部みどり女
岩山の岩を揺すりて蝉時雨 小林たけし
幾枚のタオルをたたむ蝉時雨 対馬康子 吾亦紅
給水船待つ全島の蝉時雨 右城暮石
倶利伽羅の深みどり照り蝉時雨 文挟夫佐恵 黄 瀬
鶏買が影忘れゆく蝉時雨 福田甲子雄
見はるかす我家すゞしや蝉時雨 佐野青陽人 天の川
現世を太く短かく蝉時雨 井上智香代
己が出し穴を満たせり蝉時雨 町垣鳴海
故郷の山深くして蝉時雨 山本仟一
荒御霊に大樹が降らす蝉時雨 林翔 和紙
行水の老骨さらす蝉時雨 米澤吾亦紅
黒衣着てどこか破調の蝉時雨 櫂未知子 貴族
左内の書勇渾淋漓蝉時雨 伊藤いと子
山は即ち水と思へば蝉時雨 高柳重信
山酔いの未通女(おとめ)を襲う蝉時雨 仁平勝 東京物語
死せば死の舌端として蝉時雨 小檜山繁子
獅子舞の道中笛に和す蝉時雨 町田しげき
樹のごとくうしろに父や蝉時雨 鈴木鷹夫 千年
象山神社絵馬るいるいと蝉時雨 片山桃弓
寝転がる我が身の弱さ蝉時雨 宇佐美次男
心頭を滅却しても蝉時雨 野中亮介
森はまだ濡れてをりけり蝉時雨 三木智子
森抜けしこと蝉時雨抜けてをり 稲畑汀子
震災忌上野の山は蝉時雨 降幡加代子
人力の森に這入るや蝉時雨 蝉時雨 正岡子規
水の景ばかりを歩き蝉時雨 水田むつみ
水中にナイフとフォーク蝉時雨 折井紀衣
瑞鳳殿感仙殿と蝉時雨 島崎五穂 『さざれ石』
世を捨てしごとき一舟蝉時雨 古賀まり子
清水の舞台ゆるがし蝉時雨 山内なつみ
生きること精一杯の蝉時雨 亀井歌子
生き急ぐとても一生蝉時雨 小野あゆみ
聖壇の光陰へだつ蝉時雨 橋本榮治
石階にましろき日射し蝉時雨 原田青児
石段に日ざし灼きつく蝉時雨 西岡正保
蝉時雨その中に森ありにけり 塙告冬
蝉時雨たましひは樹を離れゆく 河野多希女 月沙漠
蝉時雨だまらっしゃいと夕立来 高澤良一 鳩信
蝉時雨ちちはは恋し死ぬるまで 中村昭子
蝉時雨つく~法師きこえそめぬ 定本芝不器男句集
蝉時雨つくつく法師きこえそめぬ 芝不器男
蝉時雨ときにはうねることのあり 高澤良一 暮津
蝉時雨まひるの山は荒々し 阿部みどり女
蝉時雨もはや戦前かもしれぬ 摂津幸彦
蝉時雨やぼ用一つ出来にけり 高澤良一 暮津
蝉時雨より深きもの人の息 原裕
蝉時雨リフトの足を漕ぎ急ぐ 田宮真智子
蝉時雨わたし消されてなるものか 伊関葉子
蝉時雨一空間を漬すなり 折井紀衣
蝉時雨一人の常着えらび着て 北原志満子
蝉時雨影の小さき己が部屋 山本けんゐち
蝉時雨黄昏早き恵日寺 木伏芙美子
蝉時雨開腹手術待つ妻に 高橋六一
蝉時雨街幅越え来ぺんやすむ 原田種茅 径
蝉時雨角まがりても蝉しぐれ 阿波澄子
蝉時雨岩屋それぞれ仏さま 杉本寛
蝉時雨急に近づき接岸す 西村和子 夏帽子
蝉時雨供華の花束砂にさし 阿部みどり女
蝉時雨仰むく口や木の雫 蝉時雨 正岡子規
蝉時雨空の真ん中穴あいて 秋元大吉郎
蝉時雨五所塚深き翳落し 藤科美佐子
蝉時雨壕口に声あつまりぬ 玉城一香
蝉時雨子は担送車に追ひつけず 石橋秀野
蝉時雨止みて遠くの蝉時雨 山下美典
蝉時雨寺境を過ぐる余り風 大谷句佛 我は我
蝉時雨女のうしろ行くほかなし 萩原麦草 麦嵐
蝉時雨唱和してゐるひいひいふう 室石由紀子
蝉時雨少しづつ蝉死に替はり 花尻 万博
蝉時雨城山の風連れてくる 八木ケイ
蝉時雨人は勤まることをして 高澤良一 暮津
蝉時雨石鼎旧居その中に 倉田敏夫
蝉時雨蝉の鼓膜は青からむ 磯貝碧蹄館 握手
蝉時雨蝉の来ぬ樹に蝉は来ず 永井龍男
蝉時雨中に鳴きやむひとつかな 加藤楸邨
蝉時雨突然訃報の駅にいる 掛橋初子
蝉時雨日斑(まだら)あびて掃き移る 久女
蝉時雨晩年押しつけられてをり 高澤良一 暮津
蝉時雨庇の下を通ひ路に 林火
蝉時雨楓一枝もみぢして 佐野青陽人 天の川
蝉時雨風の竹にもとりついて 花蓑
蝉時雨墓の伍長は同い齢 森 季高
蝉時雨墓石も古りし田原坂 有働祐子
蝉時雨棒のごとくに人眠り 清崎敏郎
蝉時雨木の葉の雫踊らせて 伊藤恵津子
蝉時雨木々ふるはせて光堂 平畑静塔
蝉時雨流人の島にゐるごとく 丸山ゆきこ(阿蘇)
蝉時雨冷たい水の湧く程に 湖中「発句題叢」
蝉時雨倚れば眠たき大樹かな 比叡 野村泊月
戦災を知る街路樹や蝉時雨 丸山文子
栓締むるごとく止みたる蝉時雨 辰巳奈優美
全山のひとつとなりし蝉時雨 原田青児
草に座し五体満足蝉時雨 田中大夢
足は百姓顔は學生蝉時雨 津田清子
太陽系一惑星の蝉時雨 村松紅花
退屈な鉛筆削り蝉時雨 増田河郎子
大伽藍がらんどうなり蝉時雨 北見さとる
滝音の息づきのひまや蝉時雨 定本芝不器男句集
瀧音の息づきのひまや蝉時雨 芝不器男
池の上にも及び来し蝉時雨 大橋はじめ
庭にもう始まつてゐる蝉時雨 井口雪嶺
庭下駄に柾目のとほり蝉時雨 片山由美子
島へ一歩踏むくらくらと蝉時雨 鈴木鷹夫 大津絵
日の高き巌流島や蝉時雨 高萩弘道
乳呑子の泣く意志強し蝉時雨 藤松遊子
芭蕉とて異端の系譜蝉時雨 久保不律
彼の日また彼のときもまた蝉時雨 伊藤敬子
被爆せし大樹が放つ蝉時雨 朝倉和江
浮嶋やうごきながらの蝉時雨 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
柄杓ゆらと水にしづみぬ蝉時雨 金尾梅の門 古志の歌
墓石より温みつたはり蝉時雨 阿部みどり女
母の忌の母を語らず蝉時雨 小村きよし
傍若無人此の世我が世と蝉時雨 滝本魚顔女 『絵踏』
目覚めれば家すつぽりと蝉時雨 林 雪
野外劇せりふなき刻蝉時雨 伊藤彩雪
頼朝の虚子の鎌倉蝉時雨 星野高士
裏返る蝉のなきがら蝉時雨 蓬田紀枝子
老い母に道見えてゐる蝉時雨 野沢節子 八朶集
曼陀羅図干す山寺の蝉時雨 吉澤卯一
橙青き丘の別れや蝉時雨 横光利一
笊の目につきささる米蝉時雨 岡田史乃
隧道を抜けてあらたの蝉時雨 甲斐誠夫

蝉時雨 補遺

いと低き幹にも蝉や蝉時雨 富安風生
たたら遺蹟番子の音か蝉時雨 松崎鉄之介
どこまでも蝉時雨とは包まれて 稲畑汀子
或時は稽古の如き蝉時雨 後藤比奈夫
一山の僧ひれふす時や蝉時雨 山口青邨
一樹なき火の山樹海は蝉時雨 福田蓼汀 秋風挽歌
隠し湯の跡池泉なす蝉時雨 松崎鉄之介
下りてきし坂がうしろに蝉時雨 清崎敏郎
海をあがりし寒さ夕づく蝉時雨 村山故郷
額は朝鮮人趙重応書蝉時雨 山口青邨
笠とるや杜の下道蝉時雨 正岡子規 蝉
汗を吹く茶屋の松風蝉時雨 正岡子規 汗
機音を聞きわける蝉時雨の中(奥多摩、青梅) 細見綾子
給水船待つ全島の蝉時雨 右城暮石 虻峠
渓流にふりかぶさり来蝉時雨 稲畑汀子
渓流を掃けばすぐ澄む蝉時雨 川端茅舎
健かさいふ蝉時雨浴びながら 大野林火 海門 昭和十年
湖に根の深き島蝉時雨 右城暮石 虻峠
荒御霊に大樹が降らす蝉時雨 林翔 和紙
細密壁画塗る 気遠さの 蝉時雨 伊丹三樹彦
将軍の位に坐して蝉時雨 山口青邨
森抜けしこと蝉時雨抜けてをり 稲畑汀子
人力の森に這入るや蝉時雨 正岡子規 蝉時雨
水自給自足の離島蝉時雨 右城暮石 句集外 昭和四十八年
政宗公馬にまたがる蝉時雨 山口青邨
聖代めく蝉時雨にぞめぐりあへる 中村草田男
石に沁む石工の汗や蝉時雨 日野草城
蝉に附く蟻を只今せみしぐれ 三橋敏雄
蝉時雨のなかや雲中供養佛 森澄雄
蝉時雨より深きもの人の息 原裕 青垣
蝉時雨わが肉に濃緑がしみる 金子兜太
蝉時雨或は篠を乱しけり 相生垣瓜人 負暄
蝉時雨河幅広く主流疾し 津田清子 礼拝
蝉時雨仰むく口や木の雫 正岡子規 蝉時雨
蝉時雨豪酒の仁の横たわる 金子兜太
蝉時雨子は担送車に追ひつけず 石橋秀野
蝉時雨森ふかく海入りこめる 大野林火 早桃 太白集
蝉時雨即身仏に藻抜けの穴 松崎鉄之介
蝉時雨日斑(まだら)あびて掃き移る 杉田久女
蝉時雨熱の掌を組む胸うすし 桂信子 月光抄
蝉時雨能登も果なる葬り処に 清崎敏郎
蝉時雨夫のしづかな眸にひたる 桂信子 月光抄
蝉時雨平家納経模写拝観 山田みづえ まるめろ
蝉時雨棒のごとくに人眠り 清崎敏郎
蝉時雨木彫仏の縦の木肌(きめ) 大野林火 雪華 昭和三十六年
蝉時雨木々ふるはせて光堂 平畑静塔
蝉時雨涼しけれども起居慵し 野見山朱鳥 曼珠沙華
塔しづく止むを待たずに蝉時雨 鷹羽狩行
八ケ嶺に夜の雲遊ぶ蝉時雨 角川源義
便りせん日々のこの蝉時雨 高野素十
木喰の里へ岨道蝉時雨 松崎鉄之介
老い母に道見えてゐる蝉時雨 野澤節子 八朶集
呟ける蝉もあるべし蝉時雨 林翔
滂沱たる蝉時雨とも聞きつべし 相生垣瓜人 負暄
萬力の起す一石蝉時雨 松本たかし
靠れ合うのは無縁仏 蝉時雨 伊丹三樹彦


by 575fudemakase | 2017-08-17 12:39 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

落蝉 の俳句

落蝉 の俳句

落蝉

いと白き落蝉の腹風立ちぬ 高澤良一 暮津
せんだって落蝉を無視した処 池田澄子 たましいの話
ちやぼ不思議がる落蝉の断末魔 辻田克巳
にはたづみ蝉の落ちたる光悦寺 川崎展宏
ふきもせぬ風に落ちけり蝉のから 蝉の殻 正岡子規
唖蝉と放てばちちと草に落つ 中拓夫
唖蝉の惜しとも云はず落て死す 寺田寅彦
唖蝉をつつき落して雀飛ぶ 鬼城
仰のけに落ちて鳴きけり秋の蝉 一茶
見馴れたる木から晩蝉転げ落つ 高澤良一 素抱
山の旭や蝉落ちて啼く秋海棠 中島月笠 月笠句集
死蝉をときをり落し蝉しぐれ 藤田湘子
自転車の荷台に蝉の落ちゐたり 高澤良一 暮津
秋の蝉歌い足らずに落ちにけり 越智幸子
秋風やほろりと落し蝉の殻 秋風 正岡子規
秋風を掴みて落ちし蝉ならむ 行方克己 昆虫記
秋立つやほろりと落ちし蝉の殻 正岡子規
梢よりあだに落ちけり蝉のから 芭蕉
神前の堅き大地や蝉落つる 比叡 野村泊月
青空がずり落ちて蝉転落死 高澤良一 寒暑
石原に蝉落ち居けりいまの雨 召波
蝉しぐれより蝉ひとつこぼれ落つ 内藤恵子「冬芽」
蝉鳴いて落ちて秋きぬ忘れ庵 勘助
蝉落ちてひびきわたりぬ法隆寺 原田喬
蝉落ちて遠くの蝉の鳴きにけり 今井杏太郎
蝉落ちるタイムカプセル埋設点 勝田澄子
掃かれゆく落蝉の胸厚かりき 小島淑子
早や一つ落ちゐて蝉のあっけなし 高澤良一 寒暑
地下女将軍へ一切の蝉落つる 川崎展宏
通り雨長らふ蝉に落蝉に 高澤良一 随笑
辻褄合ふ一落蝉と樹の位置と 高澤良一 暮津
冬至の日炎上つくしたれば落つ 井沢正江 晩蝉
動かざる落ち蝉拾ひ鳴かれけり 萩原正章
日暮るゝや夜蝉頻りに葉を落ち合ふ 原石鼎 花影以後
晩涼や蝉落ちまろぶ石畳 木下夕爾
扉に触れてぢぢと鳴き落つ夜の蝉 嶋田麻紀
万歳をして落つ蝉の手をそのまゝ 高澤良一 寒暑
夜の蝉美々しき声を挙げて落つ 文挟夫佐恵 雨 月
薬莢のごときものなり落蝉は 杉本雷造
夕蝉のすとんとこゑを落しけり 高澤良一 素抱
落ちてゐる蝉の骸と商店街 高澤良一 暮津
落ち蝉に歩を返す猫ありにけり 原裕
落ち蝉の覚めず落ちゐる砂の上 松瀬青々
落ち蝉の砂に羽摶つ尚暑し 河東碧梧桐
落蝉とくたびれし時間転がれり 柴田奈美
落蝉にいつもの空があり真青 高澤良一 寒暑
落蝉に火の匂ひある掌 波戸岡旭
落蝉に息吹きかけて放ちけり 青鷺
落蝉に土はいつでもやわらかい 桜木美保子
落蝉に風の囁き絶え間なし 山崎千枝子
落蝉のあっけらかんと乾きゐる 酒井裕子
落蝉のごとく仰向きぐうたら寝 高澤良一 随笑
落蝉のころりと参る姿かな 高澤良一 随笑
落蝉のたそがれの土匂ひたり 橋本和子
落蝉のほとり過ぎゆく勤め人 高澤良一 暮津
落蝉のまたここにもの思ひかな 高澤良一 素抱
落蝉のやっと静かに我もしずか 池田澄子 たましいの話
落蝉の一つは玄関灯真下 高澤良一 素抱
落蝉の一つやや這ふ兜かな 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
落蝉の蟻乗せしまま歩き出す 篠田重好
落蝉の仰向くは空深きゆゑ 宮坂 静生
落蝉の四肢まだ動く動かせよ 三輪閑蛙
落蝉の静かに草を上りけり 比叡 野村泊月
落蝉の足蹴にされて一、二転 高澤良一 素抱
落蝉の天空を風吹き抜けり 高澤良一 素抱
落蝉の落ち方むろん頭から 高澤良一 寒暑
落蝉の翅ヒクヒクとさきほどまで 高澤良一 暮津
落蝉の翅をひらけば山河透き 岸原清行
落蝉は有為の奥山けふ越えて 高澤良一 素抱
落蝉をヘッドライトのよぎり消ゆ 高澤良一 素抱
落蝉を一分隊も蒐めたる 後藤比奈夫 めんない千鳥
落蝉を起せば飛んで行きにけり 奥野桐花
落蝉を拾へばこゑをあげにけり 白井 爽風

落蝉 補遺

落蝉を一分隊も蒐めたる 後藤比奈夫
落蝉は落ち菩提子は舞ひて落つ 後藤比奈夫
落蝉の裏返りゐて声を出す 右城暮石 虻峠
落蝉の眉間や昔見しごとく 山口誓子
落蝉の頭や墨を塗られしか 山口誓子
落ち蝉の砂に羽摶つ尚暑し 河東碧梧桐
日暮るゝや夜蝉頻りに葉を落ち合ふ 原石鼎 花影以後
草を翔ち草に落ちたる秋の蝉 山口青邨
草に落ち蝉鳴きいづる雨後の月 水原秋櫻子 餘生
掃き溜めてありしみくじと落蝉と 後藤比奈夫
松蝉の地に落ち這へり松ひそか 松本たかし
秋蝉の落ちて地心へ流れけり 水原秋櫻子 餘生
秋の蝉落つ袖無を著たるかに 三橋敏雄
秋の蝉落ちたる原のひろさかな 三橋敏雄
秋の蝉本の谷間に落ちしづか 山口青邨
秋の蝉羽根を開いて落ちにけり 三橋敏雄
紙鉛筆散らかる中に蝉落ちし 細見綾子
死蝉をときをり落し蝉しぐれ 藤田湘子 神楽
死はそこにここに落蝉のみならず 林翔
唖蝉をつゝき落して雀飛ぶ 村上鬼城
おのづから倚る樹定まり蝉は落つ 山口青邨

落蝉 続補遺

葉を落て嵐や蝉のつかみ啼 早野巴人
行く秋や椴より落る蝉の殻 桃隣

by 575fudemakase | 2017-08-17 12:37 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

空蝉 の俳句

空蝉 の俳句

空蝉

あまりに軽き空蝉山河還るなし 小松崎爽青
いつか壊れる空蝉という置き手紙 芹沢愛子
うつせみと香の銘さへ寒さかな 久保田万太郎 流寓抄
うつせみのあまたつめたき木立かな 中田剛 珠樹
うつせみのおのれつまづく手飼かな 安東次男 昨
うつせみのすでに雫のみどりかな 中田剛 珠樹
うつせみの羽衣の宮や神の留守 神の留守 正岡子規
うつせみの咳なりやこのさびしさは 筑紫磐井 未定稿Σ
うつせみの稚魚を哀しと筆はじめ 村上 麗人
うつせみの爪するどしと記しおく 中田剛 珠樹以後
うつせみの恋は酔ふべき濃あぢさゐ 稲垣きくの 牡 丹
うつせみや一切空の石舞台 渡辺恭子
うつせみや何を活甲斐に我はただ 暁台「暁台句集」
うつぜみをとればこぼれぬ松の膚 日野草城
うつせみを裸になつて晝寝哉 会津八一
うなりなき凧空蝉の破れかな 安藤十歩老
かりそめに空蝉を置く山河かな 齋藤愼爾
くだかるるまへに空蝉鳴いてみよ 清水径子
こひしらに空蝉をもてあそぶなり 稲垣きくの 黄 瀬
これもこれもこれも空蝉平成 斉藤雅子
ずぶ濡れの空蝉一つ見つけけり 高澤良一 燕音
たかがポルノグラフィーの空蝉ではないか 須藤徹
たかぶれば空蝉も鳴く夕茜 渋谷道
てのひらに空蝉のせて山のこゑ 田中里佳
ドロの木より空蝉剥がしやりにけり 高澤良一 燕音
ぬけがらの君うつせみのうつゝなや 蝉の殻 正岡子規
のけぞりに空蝉すがる青柚かな 阿波野青畝
ふと触れし指に空蝉すがりけり 上西左兌子
ふるさとにわが空蝉は突伏して 正木ゆう子
ポケットを出るこなごなの空蝉よ 遠山 陽子
またの名をうつせみ寺に詣でけり 久保田万太郎 草の丈
めざましが鳴る空蝉を机に置けば 不死男
ゆつくりと見る空蝉の行うを 清水径子
愛染の身に空蝉は握られぬ 庄中健吉
一つ葉に空蝉二つ生垣に 高澤良一 素抱
一と震へして空蝉となりゆけり 稲畑廣太郎
遠く行くときは空蝉にかぎる 永末恵子
襖しめて空蝉を吹きくらすかな 飯島晴子
黄泉の子もうつせみの子も白絣 能村登四郎
乙女らよ空蝉の背の割れざまよ 永島靖子
火の国の空蝉高くとまりけり 大石雄鬼
花とみまがふうつせみの形あり 中田剛 珠樹以後
快楽のあとくらくなる空蝉よ 斎藤愼爾 冬の智慧
街空のチヤイム空蝉雨溜めて 木村蕪城 寒泉
閑かさや空蝉は粒ぞろいにて 渋谷道
眼を縦にして空蝉の中おもふ 大石雄鬼
岩に爪たてて空蝉泥まみれ 三鬼
幾度も来し空蝉よ今年また 山西雅子
机上に風起ちて空蝉吹き転がす 高澤良一 素抱
旧姓といふ空蝉に似たるもの 辻 美奈子
仰向きて空蝉山を離れゆく 齋藤愼爾
銀の空蝉かさね秤るかな 山本掌
空蝉が空蝉を追ひつめる杭 川崎展宏 冬
空蝉が見てをり天のさみしさを 徳永山冬子
空蝉が散つて疲れてならぬなり 斎藤玄 雁道
空蝉が草の先まで登りゐし 田原勝子
空蝉とHOPE机上に昼闌けぬ 高澤良一 素抱
空蝉となりても登る爪かけて 照敏
空蝉となりて完全無欠なる 松尾隆信
空蝉となるまでなくを仕事かな 乙州 俳諧撰集「有磯海」
空蝉となるまで登りつめたり 野崎妙子
空蝉と成るべく脚を定めけり 夏井いつき
空蝉と同じ眼蛇の衣の眼は 茨木和生 遠つ川
空蝉にあるはづもなき砂の音 大木孝子
空蝉にかき附かれたる寂しさよ 永田耕衣
空蝉にこころふたつよ相寄らず 稲垣きくの 牡 丹
空蝉にしてやはらかく草つかむ 長谷川櫂 天球
空蝉にして眼光の衰へず 小林一生
空蝉にして飛ぶこころあるごとし 八染藍子
空蝉にしばらくありし雷神 斎藤玄
空蝉にひとしき人生吹けばとぶ みどり女
空蝉にまた夜が来て朝が来て 稲田眸子
空蝉に雨水たまり透きとほる 篠原梵
空蝉に雨水たまる麓かな 高橋龍(龍年纂)
空蝉に艶といふものありにけり 鈴木貞雄
空蝉に金色の風溢れけり 大橋俊彦
空蝉に山の風来て充満す 山冬子
空蝉に水のやうなる風が吹く 阿部みどり女
空蝉に静かな水位ありにけり あざ 蓉子
空蝉に蝉のかなしみ残りけり 林 翔
空蝉に草の匂ひのありにけり 仙田洋子
空蝉に天の一刀過誤もなし 橋本榮治
空蝉に肉残り居る山河かな 永田耕衣
空蝉に入らむと待てる空気哉 永田耕衣
空蝉に呆け雷とどきけり 下村槐太 光背
空蝉に問ひかけてゐる別の我 高澤良一 素抱
空蝉に翅を収めし突起かな 日原 傅
空蝉に跼みても御墓ひくかりき 能村登四郎
空蝉の 全ては昨日までのこと 木村美岐
空蝉のあり処たしかめ凭る机 稲垣きくの 牡 丹
空蝉のいづれも力抜かずゐる 阿部みどり女
空蝉のいのちたぎりしなりのまま 岡崎陽市
空蝉のいのちを生みし足構へ 根本文子
空蝉のいのち全く抜けしいろ 木内怜子
空蝉のかけらも入るらむ長寿薬 高澤良一 素抱
空蝉のからくれないに砕けたり 間石
空蝉のこだま綴りし少年期 斎藤慎爾
空蝉のごとく服脱ぐ背を開けて 加藤三七子
空蝉のごとたましひの抜かれたる 角川春樹
空蝉のごと縋りゐしもの虚し 稲垣きくの 牡 丹
空蝉のこはれゆく日に立会ひし 吉田汀史
空蝉のしかと火薬庫抱きおり 中村 和弘
空蝉のしがみついたり草箒 森無黄
空蝉のしがらみほどき遣りにけり 高澤良一 素抱
空蝉のしつかと地球つかんでいる 大木石子
空蝉のすがりてかろき青木賊 麦南
空蝉のすぐに火となる秋炉かな 大木あまり 火球
空蝉のすこしよぢれてをりにけり 京極杞陽
空蝉のすずなりの木を恐れけり 糸山由紀子
空蝉のそびらに空の入りけり 大原千鶴子
空蝉のたましひはまだ殻の中 大岩里子
空蝉のちからの脚に地の月日 宇多喜代子
空蝉のつかんだ枝風がゆらし 松本華桜
空蝉のつきし葉裏のひるがえり 夏目としえ
空蝉のどれも山頭火の背中 照井 翠
空蝉のなかあはあはと風が吹く 鍵和田[のり]子
空蝉のなかにも水のひろがりて 阿部青鞋
空蝉のなほ苦しみを負ふかたち 鷹羽狩行
空蝉のばらばらなるへ俯ける 中田剛 竟日
空蝉のひとつひそかに山の日日 稲垣きくの 黄 瀬
空蝉のふんばつて居て壊はれけり 前田普羅
空蝉のまだ濡れてゐる羽化曇 宮下十一
空蝉のまだ濡れ色にありにけり 岩崎艸寿
空蝉のまろべば紙の音すなり 小林清之介
空蝉のもはらに青き萩このむ 篠田悌二郎 風雪前
空蝉のやがて忘らる机の上 高澤良一 素抱
空蝉の阿鼻叫喚や厳島 飴山實(1926-2000)
空蝉の握力かぎりなく零に 芹山 桂
空蝉の威をくづさずにあはれなり 阿部みどり女
空蝉の一つが見えてあまた見ゆ 岩田由美
空蝉の一つひっつく常夜燈 高澤良一 暮津
空蝉の一もつもなき胸のうち 浅井千代子
空蝉の一太刀浴びし背中かな 朱鳥
空蝉の一太刀浴びせし背中かな 野見山朱鳥
空蝉の雨ため草にころげけり 阿部みどり女
空蝉の温泉窓に遠く午下り 飯田蛇笏 椿花集
空蝉の開きし背に虚空あり 山本歩禅
空蝉の鎧兜の泥まみれ 鷹羽狩行 十友
空蝉の完全なるをしばらく飼ふ 桑原三郎 晝夜 以後
空蝉の貫き通す初一念 高澤良一 鳩信
空蝉の眼に泥や乾きたる 小澤實
空蝉の眼に覗き込まれたる 松本 久
空蝉の眼より暗きものありや 齋藤愼爾
空蝉の眼窩に光のこりけり 松山足羽
空蝉の脚のつめたきこのさみしさ 成田千空
空蝉の脚の確かさ眼の確かさ 後藤比奈夫
空蝉の胸を抱へて草の上 島田藤江
空蝉の興はや失せて掌に残る 高澤良一 素抱
空蝉の空部屋貸してくれないか 滝口明男
空蝉の桑に吹かるる虫送り 黒沢宗三郎
空蝉の軽さはみだすてのひらや 稲葉直
空蝉の軽さを何の留守かとも 正木ゆう子 悠
空蝉の結婚式の靴がない 攝津幸彦
空蝉の鋼の脚のとこしなへ 高澤良一 素抱
空蝉の号泣の爪立てゐたる ほんだゆき
空蝉の今抜けし色濡れてをり 臺 きくえ
空蝉の魂までは抜け切れず 樋田初子
空蝉の三つまですがる垣戸かな 秋櫻子
空蝉の残る力を欲しと思ふ 片山由美子 水精 以後
空蝉の思ひを徹す山河かな 宗田安正
空蝉の死して落たり樹下の帽 会津八一
空蝉の肢欠けやすき旅にあり 昆ふさ子 『冬桜』
空蝉の湿りもちたる宗祗の忌 小島花枝
空蝉の捨身何飼ふ磯長墓 安東次男 昨
空蝉の寝墓にあるはあらしめよ ひろし (大浦外人墓地)
空蝉の身の透くばかり恋わたる 稲垣きくの
空蝉の身を立てとほす朝の光げ 原裕 『王城句帖』
空蝉の人には告げぬ方途かな 沼尻巳津子
空蝉の吹かるる杜国住居趾 関森勝夫
空蝉の水より迅く流れけり 吉武月二郎句集
空蝉の生き~と幹掴みをり 徳永球石
空蝉の生きて歩きぬ誰も知らず 三橋鷹女
空蝉の声上げて背破れしや 後藤比奈夫 花びら柚子
空蝉の折れたる脚の管なして 山西雅子
空蝉の礎石に吹かる南谷 御子柴光子
空蝉の双掌掴みに高野槇 角川春樹 夢殿
空蝉の着く木々闇をまとひ来る 原裕 葦牙
空蝉の中に熊野の闇を置く 大西健司
空蝉の中の空気を大切に 谷口愼也
空蝉の中も夕映母の国 今井聖
空蝉の朝から鳴けり万骨塔 穴井太 原郷樹林
空蝉の爪のくいこむ被爆の木 助田素水
空蝉の爪のなかなか縋るなる 富安風生
空蝉の爪の切っ先岩に立て 高澤良一 暮津
空蝉の爪の先までがらんどう 永江哀紅糸
空蝉の爪の力は神憑り 吉田淡虹
空蝉の爪の力は葉裏まで 水口澄子
空蝉の爪先少し焦げてをり 高澤良一 素抱
空蝉の爪立て思ひぬけてをり 中川須美子
空蝉の点々森の広さかな 稲畑廣太郎
空蝉の登りきつたる一茶句碑 猪狩行々子
空蝉の透きとほる死のうらやまし 稲垣きくの 牡 丹
空蝉の透けて夕焼濃くなりぬ 内藤吐天 鳴海抄
空蝉の内にも影のありにけり 松丸春生
空蝉の内側に日の当たりをり 正木浩一
空蝉の背にひとすぢの糸のくづ 三嶋 隆英
空蝉の背にひびく風遥かより 坂本山秀朗
空蝉の背にひびく風遙かより 坂本山秀朗
空蝉の背に刻めるは梵字とも 高澤良一 素抱
空蝉の背の一太刀の深かりき 塚田文
空蝉の背の割れに鳴る山の風 井野時子
空蝉の背の裂け目より縷の如きもの 中田みづほ
空蝉の背よりぬけゆく櫂の音 井坂景秋
空蝉の背割れ激流とぞ思ふ 小川双々子
空蝉の背割烈しく去りしもの 金箱戈止夫
空蝉の背中に冷気残りをり 窪田英治
空蝉の反り身にかかふ石祠 梅澤朴秀
空蝉の比較をこばむ貌並ぶ 五十嵐研三
空蝉の飛ばないやうに拾ひけり 今井誠人
空蝉の頻にありて蛇は木に 下村槐太 天涯
空蝉の部屋なら沢山ありますよ あざ蓉子
空蝉の風雨に目鼻古びざる 高澤良一 暮津
空蝉の腹にさし込む夕日哉 野崎柴兮
空蝉の片手掴みに空の端 加藤 耕子
空蝉の宝庫と巡る興半ば 高澤良一 素抱
空蝉の縫目ほぐれし背中かな 稲田幸子
空蝉の無明の眼背を裂かれ 福田蓼汀
空蝉の目の見るものをおそれけり 平井照敏 天上大風
空蝉の立ち端も知らず碁打共 梧胡 俳諧撰集「藤の実」
空蝉の流れて速し柿田川 後藤暁子
空蝉の両眼濡れて在りしかな 河原枇杷男
空蝉の涙の如き眼かな 上野泰
空蝉の露に日の矢のきらめきて 眞鍋呉夫
空蝉の埃除らんと七年経つ 永田耕衣 人生
空蝉の泪のいろに白日は 斎藤梅子
空蝉の琥珀を抜けし翡翠かな 五島高資
空蝉の縋りしかたちして置かる 稲垣きくの 黄 瀬
空蝉の縋る一ト葉ももみづれり 高澤良一 暮津
空蝉の縋れる枝の折れゐたり 辻田克巳
空蝉の縋れる草は引かず置く 相馬沙緻
空蝉の谺とならず谿昏れる 山田晴彦
空蝉ハ 果シテ 風ノ 呪文トナレリ 富澤赤黄男
空蝉はあかるい雨の一農夫 栗林千津
空蝉ばかり仏壇巨大なる村は 林唯夫
空蝉はまだ笑い声残しをり 黒田肇
空蝉ハ果シテ風ノ呪文トナレリ 富澤赤黄男
空蝉は胎児の容千年樹 伊丹さち子
空蝉は白雨飛沫を浴びてをり 高澤良一 石鏡
空蝉は風の重さとなりにけり 田中良一
空蝉は命離して透きとほり 坂巻純子
空蝉へ移す情など日の高し 河野多希女 月沙漠
空蝉へ神父の口より祝祷洩る 田川飛旅子 花文字
空蝉ほど全き殻を脱ぎたしや 花谷和子
空蝉も絵馬にすがりて祈りをり 金原千代子
空蝉も硝子の仲間に加へけり 岩淵喜代子
空蝉も世を観るときは斜に構え 高澤良一 暮津
空蝉も蝉も入れられ一つ籠 高澤良一 素抱
空蝉も墓も夏草隠りかな 小林康治 玄霜
空蝉やあの世へ行きてなほ生きむ 藤本保太
空蝉やある時なにもかもがみえ 木内怜子
空蝉やいのち見事に抜けゐたり 片山由美子
空蝉やきたなき物は人の果 蝶夢「草根発句集」
空蝉やひるがへる葉にとりついて 素十
空蝉やまだやはらかき眼の凹み 渡辺乃梨子
空蝉やまなこに魂残し置く 松せい一
空蝉やよぢのぼりたる枝を抱き 池内たけし
空蝉や愛情の機微埋めたくなる 河野多希女 彫刻の森
空蝉や葦吹く風も父祖の郷 石塚友二
空蝉や詠はねば吾も脱けがらに ましお湖(やまびこ)
空蝉や家をめぐりて水の音 岸田稚魚 筍流し
空蝉や鎧かぶとを飾る亭 柏木豊太
空蝉や巌の湿り近うして 依光陽子
空蝉や熊野懐紙の王子あと 黒田櫻の園
空蝉や妻に肩借す寺の階 原 石水
空蝉や山の日照雨の毛越寺 皆川盤水
空蝉や山河にもどる朝のいろ 大嶽青児
空蝉や残ると思う背の痛み 外山恒吉
空蝉や死海を越えて来し便 白井久雉
空蝉や女名はなき開拓碑 金箱戈止夫
空蝉や娼妓とありし供養塔 山岡よね子
空蝉や松の天辺すがりつく 植田都甫
空蝉や触るも惜しき年埃 永田耕衣 人生
空蝉や人目にさらす殉死遺書 平井さち子 鷹日和
空蝉や千手仏にもあそびの手 奥野昌子
空蝉や草のそよぎを落むとす 野村喜舟 小石川
空蝉や潰えて墓のわかちなし 石川桂郎 高蘆
空蝉や爪立て易き朽塔婆 松岡美代子
空蝉や遁げつ坂逼ふおのが影 石塚友二 方寸虚実
空蝉や日昏れてとほき父母のくに 平田繭子
空蝉や背割れ八月十五日 河野南畦 『元禄の夢』
空蝉や不吉のぞかす背の割れ目 成瀬桜桃子 風色
空蝉や不幸に重さのありとせば 齋藤愼爾
空蝉や父が幼名吉之助 森 一九
空蝉や芙蓉落ちたる音閑か 渡邊水巴 富士
空蝉や風吹き抜けて后塚 齊藤 翠
空蝉や本音だけでは生きられず 高塚明子
空蝉や凡日にして午後長し 米澤吾亦紅
空蝉や命みごとに抜けゐたり 片山由美子
空蝉や諭吉旧居の深廂 宮原双馨
空蝉や有為の奥山知りもせず 中里 良
空蝉や夕景といふ白きもの 夏井いつき
空蝉や予後のいのちの軽さとも 早崎明
空蝉や旅の浴衣を袖だたみ 岡田貞峰
空蝉や聯隊の樹の刻みし名 飯塚すなお
空蝉をあかるき雨の過ぎにけり 井上弘美(俳句)
空蝉をあつめて暗く坐りをり 大串章
空蝉をいつまで捕う樹の余熱 源鬼彦
空蝉をおしろい匂ふ抽斗に 波多野爽波 『一筆』以後
空蝉をおっかなびっくり抓む指 高澤良一 石鏡
空蝉をつぶすこはれぬものが欲し 伊藤トキノ
空蝉をつぶす壊れぬものが欲し 伊藤トキノ
空蝉をとらんとおとす泉かな 飯田蛇笏 霊芝
空蝉をとらんと落す泉かな 飯田蛇笏 山廬集
空蝉をにぎり海への径くだる 田邊香代子
空蝉をのせて銀扇くもりけり 宇佐見魚目
空蝉をひろふ流人の墓ほとり 大野林火
空蝉をみつけて仕事着の硬さ 渋谷道
空蝉を一つしじまにゐて醒めず 高垣美恵子
空蝉を観世音寺の何処に置く 河村昇
空蝉を机上に置いて散歩果つ 高澤良一 素抱
空蝉を空蝉が抱く我鬼忌かな 影浦ようじ
空蝉を見るにも星の別れかな 松岡青蘿
空蝉を見る妻の瞳のうるむなり 岳陽
空蝉を呉れし丸山芸者かな 山内 傾一路
空蝉を子が拾ふ手の女なる 後藤夜半
空蝉を指にすがらせ餉の祷り 子郷
空蝉を手にせりはるかなる想ひ 塚原 夜潮
空蝉を手提に拾ひ一人旅 細見綾子 黄 炎
空蝉を拾い跡見る見損かな 永田耕衣 闌位
空蝉を拾ひし指の濡れてをり 雨宮きぬよ
空蝉を拾ひぬ風の秩父郡 鈴木鷹夫 春の門
空蝉を拾ふのみなる気弱の子 駒沢たか子
空蝉を拾へば笑ひ天よりす 藤田湘子 てんてん
空蝉を拾へば水の零れけり 柿本多映
空蝉を蒐めたる手や若からず 山田みづえ 木語
空蝉を集めて深山暮らしかな 林桂 ことのはひらひら 抄
空蝉を掌に風塵の山のこゑ 豊長みのる
空蝉を硝子の仲間に加へけり 岩淵喜代子
空蝉を吹けばとほくへとびにけり 小西領南
空蝉を川に放りて手招きす 鳴戸奈菜
空蝉を弾ませて辞書置かれけり 岩淵喜代子 朝の椅子
空蝉を置いて白紙に馨り生む 鍵和田釉子
空蝉を置いて白紙に翳り生む 鍵和田[のり]子
空蝉を置きてピアノに土こぼる 鷹羽狩行
空蝉を置けばヨブ記のヨブの声 長田等
空蝉を敦盛塚に供へけり 手島南天
空蝉を入れし袋の落し物 茨木和生
空蝉を入れる器に空き菓子折 高澤良一 素抱
空蝉を燃し地の涯を照しけり 津久井理一
空蝉を白紙に置きて二日過ぐ 赤尾冨美子(南風)
空蝉を抜け来し風の翳りけり 檜紀代
空蝉を頒つ太郎の掌次郎の掌 佐野まもる
空蝉を飛ばしかずかず盆の道 斎藤玄
空蝉を風に拾ひし近江かな 金久美智子
空蝉を風の中にていつくしむ 山口誓子
空蝉を包む夕刊が遅れてゐる 攝津幸彦 鹿々集
空蝉を妹が手にせり欲しと思ふ 山口誓子
空蝉を林のみちに拾ひけり 高橋淡路女 梶の葉
空蝉を恋の言葉のごとく置く 関戸靖子
経蔵の壁に空蝉白峰寺 一宮半月
血の奥にうつせみといふ音するなり 斎藤玄 雁道
月日過ぎ易く空蝉の爪に泥 高澤良一 素抱
現し世に空蝉といふもの残し 柏崎夢香
戸袋に空蝉八一死せる家 鈴木鷹夫 千年
吾子なくて空蝉いつまで机上なる 松本千恵女
広島の空蝉を百ひろひけり 小川双々子
今脱ぎし空蝉透きて夜明けなり 和田 和子
四阿の梁に空蝉高台寺 上野是清
手に置けば空蝉風にとびにけり 高浜虚子
首塚に空蝉拾ふ道灌忌 小野千枝子
拾ひたる空蝉指にすがりつく 橋本多佳子
拾ひ上げし空蝉に昼のかすかかな 中島月笠 月笠句集
拾ひ来しうつせみ卓におきしのみ 安住敦
十ほどの空蝉雪の匂いする 鳴戸奈菜
女の手に空蝉くだけゆきにけり 西東三鬼
少年の机に地図と空蝉と 大木あまり
少年老い空蝉と目を合はせけり 山口正心
掌の中に空蝉爪を立つる軽さ 原田種茅 径
冗談に空蝉個個に歩きけり 永田耕衣
唇の二枚を合はせ吹く空蝉 沼尻巳津子
森閑とこの空蝉の蝉いづこ 福永耕二
神の手の触れ空蝉のふと動く 小泉八重子
水溜めてゐる空蝉の濃かりけり 中戸川朝人 尋声
生ありし日の夢みてか空蝉は 大橋麻沙子
禅定に入りし空蝉堂庇 山崎湖郷(春郊)
掃苔の垣に空蝉のこしたる 皆吉爽雨 泉声
草のぼりつめ空蝉となりゐたり 藤崎久を
草庵や空蝉あまたしがみつく 新子満州男
息をひそめて空蝉になつてゐる 阿部王一
太極拳の翁空蝉より軽し リンズィー、ドゥーグル・J
地上一尺に空蝉幽かなり 百合山羽公 寒雁
鳥雲にうつせみの子は影踏みあひ 齋藤愼爾
爪たててゐる空蝉を剥がしけり 永田耕一郎 雪明
哲学の道に空蝉拾ひけり 高野千代
天の川われを逐いくるは空蝉か 斎藤愼爾 秋庭歌
天の川われを逐ひくるは空蝉か 齋藤愼爾
天気かな空蝉で翔ぶ翔びごころ 折笠美秋 虎嘯記
土くれを抱く空蝉のくらさかな 原裕 『王城句帖』
冬ゆふべうつせみを置く藁半紙 中田剛 珠樹以後
汝等まろき脂ぎつたる空蝉よ 草田男
父の忌の空蝉なれば掌につつむ 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
父の忌の空蝉母の忌の螢 斎藤愼爾 冬の智慧
父の木とよぶ空蝉があまたの木 折原あきの
風遊ぶまろぶほかなき空蝉に 渡邊千枝子
風立ちて空蝉草を楯とせり 岩田沙悟浄
母の忌の空蝉を母と思ひ初めし 中村苑子
母校とは空蝉の木が鳴くところ 守屋明俊
妹が掌の空蝉燃やす夢のあと 齋藤愼爾
夢の世にかかる執着空蝉は 斎藤慎爾(1939-)
夢殻は裂けてそれきり空蝉も 中原道夫
無為にしてひがな空蝉もてあそぶ 川端茅舎
明けのゆめ空蝉ばかり踏みさうな 澁谷道
目に見えぬ程の雨ふる空蝉に 高澤良一 素抱
目を張りて空蝉となりゐたるかな 藤田あけ烏
夕映えてうつせみに踏む寒浄土 相馬遷子 山国
夕焼のうつせみと蝉相識らず 渋谷道
葉さやぎや空蝉すがる葉も見えて 八木絵馬
羅の身より空蝉こぼしたり 齋藤愼爾
聾に掌の空蝉の鳴きくれし 安川喜七
囁きぬ空蝉のこと舟のこと 鳴戸奈菜
埃痩せして空蝉の溜まりけり 永田耕衣 葱室
箒とめて空蝉はがす詩を待つごと 赤城さかえ句集
翔たしめても祈りの眼もつ空蝉は 榎本嵯裕好
腑分け図のごとく詳しく空蝉描く 高澤良一 素抱
薔薇園の薔薇に縋りし空蝉よ 原田青児
螢・蝶・空蝉この世に遅れ着く 齋藤愼爾

空蝉 補遺

うつせみの羽衣の宮や神の留守 正岡子規 神の留守
うつせみの杖つく吾や成道会 百合山羽公 樂土以後
うつせみの生身をかしき柚子湯かな 上田五千石 天路
うつせみの翳しろたへに菊の前 赤尾兜子 稚年記
うつせみをとればこぼれぬ松の膚 日野草城
その軽み空蝉こそはいみじけれ 相生垣瓜人 明治草
ながらひて目も空蝉のさらしもの 平畑静塔
ぬけがらの君うつせみのうつゝなや 正岡子規 蝉の殻
のけぞりに空蝉すがる青柚かな 阿波野青畝
遠弟子に空蝉ひとつ天ふらす 能村登四郎
襖しめて空蝉を吹きくらすかな 飯島晴子
黄泉の子もうつせみの子も白絣 能村登四郎
咳のあとうつせみの息ほうと吐く 能村登四郎
街空のチヤイム空蝉雨溜めて 木村蕪城 寒泉
空蝉が散つて疲れてならぬなり 斎藤玄 雁道
空蝉が賽銭函に鄙の宮 飯島晴子
空蝉とあふのきて死にし蝉とあり 山口誓子
空蝉として一点を見つめる眸 後藤比奈夫
空蝉として存ふといふことを 後藤比奈夫
空蝉と夏の終に会ふ哀しさ 後藤比奈夫
空蝉と手にとり見れば蝉こもる 水原秋櫻子 霜林
空蝉にこゝろ重きは何の咎 鈴木真砂女 夏帯
空蝉にさやけき声のあらむとす 相生垣瓜人 負暄
空蝉にしてこれからといふ眼もつ 後藤比奈夫
空蝉にしばらくありし雷神 齋藤玄 飛雪
空蝉にしをるる様のあらむとす 相生垣瓜人 明治草
空蝉にすでに落葉の二三枚 大野林火 冬雁 昭和二十二年
空蝉にはやさしかくる眉なりけり 岡井省二 五劫集
空蝉にまさをき天の透きにけり 百合山羽公 春園
空蝉に雨水たまり透きとほる 篠原梵 年々去来の花 雨
空蝉に舌を探しぬ湖ゆれぬ 岡井省二 夏炉
空蝉に肉残り居る山河かな 永田耕衣 葱室
空蝉に敗戦の日の真澄照り 上田五千石 風景
空蝉に呆け雷とどきけり 下村槐太 光背
空蝉に跼みても御墓ひくかりき 能村登四郎
空蝉のああ効(かい)疲れ鼎の如し 永田耕衣
空蝉のかなたこなたも古来かな 永田耕衣
空蝉のからくれないに砕けたり 橋閒石
空蝉のすがれる庵のはしらかな 川端茅舎
空蝉のとなりの木より鳴きはじむ 鷹羽狩行
空蝉のなほ苦しみを負ふかたち 鷹羽狩行
空蝉のほどの軽さにあこがるる 能村登四郎
空蝉のまこと碧きを見たらずや 岡井省二 五劫集
空蝉のまなこは泡の如くあり 野見山朱鳥 曼珠沙華
空蝉の阿鼻叫喚や巌島 飴山實 花浴び
空蝉の阿鼻叫喚や京の果 飴山實 花浴び
空蝉の一太刀浴びし背中かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
空蝉の温泉窗に遠く午下り 飯田蛇笏
空蝉の鎧兜の泥まみれ 鷹羽狩行
空蝉の脚の確かさ眼の確かさ 後藤比奈夫
空蝉の苦悶の爪と見たりけり 能村登四郎
空蝉の口のあたりの泥かわく 山口青邨
空蝉の掌にあるいまをいま歎く 中村苑子
空蝉の身内にも露宿りける 野見山朱鳥 曼珠沙華
空蝉の人を怖れてゐる高さ 後藤比奈夫
空蝉の生きて歩きぬ誰も知らず 三橋鷹女
空蝉の精妙なるも驚異なり 相生垣瓜人 明治草
空蝉の声上げて背破れしや 後藤比奈夫
空蝉の僧形を蹴る山河かな 永田耕衣
空蝉の着く木々闇をまとひ来る 原裕 葦牙
空蝉の柱のもとの端居かな 百合山羽公 春園
空蝉の爪のとどける物の裏 後藤比奈夫
空蝉の爪のなかなか縋るなる 富安風生
空蝉の泥は払つてやりたかり 後藤比奈夫
空蝉の背の白きもの臍の緒か 鷹羽狩行
空蝉の背の裂目はもチャックなし 安住敦
空蝉の背より胸腔覗かるる 山口誓子
空蝉の背割れの内へくぼみをり 能村登四郎
空蝉の頻にありて蛇は木に 下村槐太 天涯
空蝉の無害三昧響くなり 永田耕衣
空蝉の目の見るものをおそれけり 平井照敏
空蝉の涙の如き眼かな 上野泰
空蝉の毀(め)げて居るなり春の暮 永田耕衣
空蝉ハ 果シテ 風ノ 呪文トナレリ 富澤赤黄男
空蝉もとばばやの空藍屋敷 平畑静塔
空蝉も拡大鏡も子に大事 中村汀女
空蝉も墓も夏草隠りかな 小林康治 玄霜
空蝉やいづこにか酒溢れたる 永田耕衣 葱室
空蝉やこの身ひとつに苦を集め 鈴木真砂女 卯浪
空蝉やひるがへる葉にとりついて 高野素十
空蝉や葦吹く風も父祖の郷 石塚友二 光塵
空蝉や家をめぐりて水の音 岸田稚魚
空蝉や直哉の在りしその壁に 阿波野青畝
空蝉や潰えて墓のわかちなし 石川桂郎 高蘆
空蝉や遁げつ坂逼ふおのが影 石塚友二 方寸虚実
空蝉や芙蓉落ちたる音閑か 渡邊水巴 富士
空蝉や迷あらたなる川も在る 永田耕衣
空蝉をあつめじつくり老いゆくと 飯島晴子
空蝉をおしろい匂ふ抽斗に 波多野爽波
空蝉をかがみ拾へり高畑(奈良二句) 細見綾
空蝉をとらんとおとす泉かな 飯田蛇笏 霊芝
空蝉をとらんと落す泉かな 飯田蛇笏
空蝉をのせてすなほな掌 後藤比奈夫
空蝉をひろふ流人の墓ほとり 大野林火 海門 昭和十一年
空蝉を愛し人間にも飽かず 富安風生
空蝉を救ふ小爪も剥がさず 平畑静塔
空蝉を供えたりけり九鼎に(註*九鼎=中国戦国時代の王位の象徴・青銅器) 永田耕衣
空蝉を九鼎と為す展墓哉 永田耕衣
空蝉を九鼎と為す民家かな 永田耕衣
空蝉を残して鳴きしのみの生 鷹羽狩行
空蝉を指に縋らせ寂び乙女 三橋鷹女
空蝉を手提に拾ひ一人旅(奈良二句) 細見綾子
空蝉を拾い跡見る見損かな 永田耕衣
空蝉を拾へば笑ひ天よりす 藤田湘子 てんてん
空蝉を拾へり蝉の鳴ける樹下 鷹羽狩行
空蝉を蒐めたる手や若からず 山田みづえ 木語
空蝉を出して来るなり高めにぞ 永田耕衣
空蝉を食卓に置く山故郷(丹波にて) 細見綾子
空蝉を卓上に置き人惜しむ(西垣脩さん突如として長逝さる) 細見綾子
空蝉を置きてピアノに土こぼす 鷹羽狩行
空蝉を得たる辺りに返しけり 相生垣瓜人 明治草
空蝉を飛ばしかずかず盆の道 斎藤玄 雁道
空蝉を風の中にていつくしむ 山口誓子
空蝉を妹が手にせり欲しと思ふ 山口誓子
空蝉冷ゆ谷間紅きビニール紐縺れ 赤尾兜子 歳華集
熊油法師空蝉尻細り 百合山羽公 樂土
血の奥にうつせみといふ音するなり 斎藤玄 雁道
光るは仏壇 空蝉囲いの故郷である 伊丹三樹彦
子のいのち眇たり空蝉葉にすがる 山口誓子
死の家や空蝉幹につよき爪 能村登四郎
呪咀の白い札咲く森の空蝉 蹴る 伊丹三樹彦
拾ひたる空蝉指にすがりつく 橋本多佳子
拾ひ来しうつせみ卓におきしのみ 安住敦
十三夜月うつせみの泪眼に 三橋鷹女
十二月空蝉振れば玉の音 秋元不死男
女の手に空蝉くだけゆきにけり 西東三鬼
少女の掌のくぼ ひっそり 飴色空蝉のせ 伊丹三樹彦
掌の秋の空蝉遺り処なし 飯島晴子
食卓のペン皿におく空蝉を 細見綾子
神垣に空蝉あまた見て処女 飯島晴子
水引に居る空蝉をあはれめり 相生垣瓜人 負暄
生害石空蝉すがりかなしけれ 山口青邨
蝉声の真只中の空蝉よ 三橋鷹女
禅寺の空蝉すがる干蒲団(平林寺) 細見綾子
地上一尺に空蝉幽かなり 百合山羽公 寒雁
遅筆わが手に空蝉の誇らしげ 秋元不死男
汝等まろき脂ぎつたる空蝉よ 中村草田男
年越えむ空蝉のあり越えしめむ 相生垣瓜人 負暄
風の黍空蝉一つ落しけり 水原秋櫻子 餘生
仏の裾夕焼に毀れざる空蝉 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
母の忌の空蝉を母と思ひ初めし 中村苑子
夢にも喉に空蝉の肢かかりをり飯島晴子
無為にしてひがな空蝉もてあそぶ 川端茅舎
鳴きしざりつつ空蝉とならぶ蝉 西東三鬼
夕映えてうつせみに踏む寒浄土 相馬遷子 山国
葭の風空蝉水へ落ちにける 水原秋櫻子 秋苑

空蝉 続補遺

富士に入日を空蝉や今日の月 其角
富士に入日を空蝉やけふの月 其角 五元集
空蝉を見るにも星の別れかな 松岡青蘿
空蝉のなみだや生た時よりも 露川
空蝉のかづらかけたり床柱 其角
空蝉に吉原ものゝ訴訟かな 其角
うつせみや宿は木の下桜がり 野坡
うつせみや何を活甲斐に我はたゞ 加藤曉台
うつせみやかよはき草にシガミツキ 東皐
うつせみの現に秋をしる日かな 加藤曉台

by 575fudemakase | 2017-08-17 12:25 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

蝉の穴 の俳句

蝉の穴 の俳句

蝉の穴

けさ生れし蝉穴ふたつ去来墓 茂里正治
しやがみてもこどもになれず蝉の穴 大島雄作
そのあとも力を抜かず蝉の穴 落合水尾
ただ一度蝉の通りし蝉の穴 吉田汀史
ひきかへす風あり蝉の穴を吹く 正木ゆう子 静かな水
ひとつだに入口のなき蝉の穴 菊井義子
ふたたびは還らじ蝉の穴深し 阿波野青畝
ふたたびは帰らじ蝉の穴探し 阿波野青畝
わが悔の無数にありぬ蝉の穴 轡田幸子(若葉)
わが庭のわがものでなき蝉の穴 花谷和子
或る夢の隅の暗きに蝉の穴 河原枇杷男 定本烏宙論
園丁の蝉の穴まで掃きゐたる 坊城中子
炎天の日の入り込まぬ蝉の穴 青葉三角草
皆指を入れてみたがる蝉の穴 高澤良一 暮津
蟻の穴蝉の穴雨流れ入る 中田剛 珠樹以後
月かげのはるかとなりし蝉の穴 斎藤梅子
月光に椽の蒼みし蝉の穴 小山森生
月光の底にいくつも蝉の穴 瀧春一
原爆の日や蝉の穴数へては 藺草慶子
今朝出でし蝉の穴なる冥さかな 檜山哲彦
魂のまなかひに在り蝉の穴 齋藤愼爾
最高気温が天の健康蝉の穴 百合山羽公 寒雁
樹下暗し一つならずも蝉の穴 鈴木一睡
秋蝉の穴あり蠣崎波響墓 西本一都
秋燈蝉の穴より戻り来て 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
住吉の蝉の穴みてきりもなし 斉藤夏風
少年の髪膚のゆくへ蝉の穴 齋藤愼爾
城山にあり弾の穴蝉の穴 品川鈴子
城跡やそこここ暗き蝉の穴 羽部洞然
神仏の混交ながし蝉の穴 岩下四十雀
生きものの通りし暗さ蝉の穴 宮田正和
生きものの匂ひ消えたる蝉の穴 大串章
生家とは火と水それに蝉の穴 宇佐美魚目
西方へ向かいて乾く蝉の穴 寺井谷子
赤ん坊の泣き声がする蝉の穴 斎藤愼爾
蝉すでに老いて出でたる蝉の穴 正木ゆう子
蝉の穴あまたありける港かな 石嶌岳
蝉の穴あまたのひとつ鮮しき 正木ゆう子 静かな水
蝉の穴おのが身に皮膚いちまい 斎藤 愼爾
蝉の穴ここらに集中する訳は 高澤良一 暮津
蝉の穴しづかに舟を待つてゐる 岸本尚毅 鶏頭
蝉の穴ときどきフフと笑ひけり 中尾寿美子
蝉の穴ときどき神も吃るらむ 河原枇杷男 蝶座 以後
蝉の穴のぞき百年後の生家 鳥居真理子
蝉の穴のぞけば海の音がする あざ蓉子
蝉の穴ふたつはさびし山の空 大木あまり
蝉の穴ホーチンミンも斯く潜み 高澤良一 宿好
蝉の穴もうこの世へは誰も来ぬ 齋藤愼爾
蝉の穴ゆつくり濡れてをりにけり 坊城俊樹
蝉の穴われを遠しと思ふのみ 河原枇杷男
蝉の穴一人の時は一人で見る 相原左義長
蝉の穴遠巻きに増え廃炭住 穴井太 原郷樹林
蝉の穴億年後は誰も留守 木村えつ
蝉の穴暇を潰すに少し馴れ 高澤良一 素抱
蝉の穴乾ききつたる大地かな 山内繭彦
蝉の穴眼の穴となる午后ながし 蓬田紀枝子
蝉の穴蟻の穴よりしづかなる 三橋敏雄 眞神
蝉の穴京に七つの出入口 山尾滋子
蝉の穴死ぬるまで皮膚いちまい 齋藤愼爾
蝉の穴十まり一茶翁に侍す 土屋未知
蝉の穴随所に杜の鎮まれり 高澤良一 暮津
蝉の穴数ふることをまだ止めず 高澤良一 暮津
蝉の穴西風ばかり吹いてゐた 柿本多映
蝉の穴赤銅は軒雫して 柿本多映
蝉の穴掃かれて数をふやしけり 肥田埜勝美
蝉の穴探しきりなしもう止めた 高澤良一 暮津
蝉の穴程の寂しさなどといふ 高澤良一 燕音
蝉の穴踏みて我鬼忌の旅にあり 橋本鶏二
蝉の穴踏めば踏んだと忿怒仏 和知喜八 同齢
蝉の穴同士近くて愛しけれ 高澤良一 暮津
蝉の穴二百十日の夕日射す 酒井みゆき
蝉の穴覗きてほむら鎮めをる 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
蝉の穴覗き行く末漠然と 殿村莵絲子 雨 月
蝉の穴覗く故郷を見尽くして 中村 苑子
蝉の穴目利きのごとく覗きをり 大石悦子 聞香
蝉の穴優に一千越えをらむ 高澤良一 暮津
蝉の穴淋しきときは笑ふなり 長谷川双魚
蝉の穴柩通れるところにて 石田勝彦 秋興
蝉穴といふ寂寞をのぞき見る 能村登四郎
蝉穴にとどいてゐたる星の塵 加藤みき
蝉穴に一個の深空ありしかな 斎藤愼爾 冬の智慧 以後
蝉穴に残夢整理の水注ぐ 流ひさし
蝉穴に夕ぐれのきてゐたりけり 澤田薫
蝉穴に跼むや夫たり句友たり 奈良文夫
蝉穴のいづれも深き息のこる 山崎千枝子
蝉穴のひとつは我の死を待つも 河原枇杷男 定本烏宙論
蝉穴の暗き貫通ばらの寺 西東三鬼
蝉穴の暗さに死後の色おもふ 占魚
蝉穴の瞑さに辺り暮れて来ぬ 高澤良一 ぱらりとせ
蝉穴まで歩むは何のやまひかな 河原枇杷男 定本烏宙論
蝉穴よりこの世覗かれゐて塞ぐ 中原道夫
蝉穴を覗き少年期をさがす 加藤三陽
蝉穴を無言で過ぎし一兵士 相原左義長
蝉穴を鴉の次ぎに覗きけり 牧石剛明
蝉穴を鴉の次に覗きけり 牧石剛明
蝉声の数に合はざる蝉の穴 黒坂紫陽子
爽涼の離ればなれの蝉の穴 大木あまり 火球
即興句やたら蝉穴おびただし 星野紗一
代る仕る蝉の穴見る老夫妻 川崎展宏
地(つち)はもと天なり秋の蝉の穴 三橋敏雄 長濤
地はもと天なり秋の蝉の穴 三橋敏雄
仲秋や蝉の穴まで澄みきつて 遠藤正年
長雨にことし少き蝉の穴 高澤良一 素抱
天邪鬼にいちばん見えて蝉の穴 吉田紫乃
同じ世の風吹きかはる蝉の穴 柿木 多映
二河白道蝉のもどれぬ蝉の穴 吉田紫乃
日と風のうすうすありぬ蝉の穴 鈴木鷹夫 大津絵
日盛や蟻這ひ出づる蝉の穴 会津八一
覗きたきものは奈落よ蝉の穴 村上巳津子(曲水)
俳諧寺一茶も見たり蝉の穴 川崎展宏
白亜紀の世界へ続く蝉の穴 加藤房子(秀)
爆心の地の深きより蝉の穴 居升白炎
百一年子規の留守なり蝉の穴 神蔵器
百千と不埓なまでに蝉の穴 つじ加代子
木漏れ日をひそかに生みて蝉の穴 長沼紫紅
流れ星蝉の穴にも涙あと 増田まさみ
輪廻とも見し蝉の穴落城址 桑田青虎
邃し単なる蝉の穴なれど 相生垣瓜人

蝉の穴 補遺

いくばくか冷たくなりし蝉の穴 飯島晴子
ふたたびは帰らず深き蝉の穴 阿波野青畝
何者が塞ぎたりけむ蝉の穴 相生垣瓜人 負暄
鍵屋の辻裏に無数の蝉の穴 松崎鉄之介
糠蝉を生みて小さき蝉の穴 富安風生
最高気温が天の健康蝉の穴 百合山羽公 寒雁
埴土の黒点は蝉の穴なりや 阿波野青畝
蝉の穴あまりに多し疑へる 山口青邨
蝉の穴はかなき道に名をとどむ 有馬朗人立志
蝉の穴よけて踏みたる蝉の穴 後藤比奈夫
蝉の穴わが荒庭に数ふべし 相生垣瓜人 負暄
蝉の穴乾き蟻のぞく秋の風 山口青邨
蝉の穴蟻のぞきても詮なしや 山口青邨
蝉の穴蟻の穴よりしづかなる 三橋敏雄
蝉の穴堅き土にも出てゐたり 右城暮石 句集外 昭和十二年
蝉の穴書庫のあたりのさても多き 山口青邨
蝉の穴覗く故郷を見尽くして 中村苑子
蝉の穴冥へつづくはどの穴か 桂信子 花影
蝉の穴柩通れるところにて 石田勝彦 秋興
蝉穴といふ寂寞をのぞき見る 能村登四郎
蝉穴の暗き貫通ばらの寺 西東三鬼
地はもと天なり秋の蝉の穴 三橋敏雄
土左日記ここに始まる蝉の穴 有馬朗人 立志
那谷寺の苔のここにも蝉の穴 石田勝彦 百千
法起寺の堂裏蝉の穴だらけ 佐藤鬼房
蓑虫庵裏の蝉穴の数いくつ 飴山實
蓑虫庵裏の蝉穴の数いくつ 飴山實 次の花
夕焼けて淫祠の前の蝉の穴 大野林火 雪華 昭和三十六年
邃し単なる蝉の穴なれど 相生垣瓜人 負暄



by 575fudemakase | 2017-08-17 12:23 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

蝉の殻 の俳句

蝉の殻 の俳句

蝉の殻

いくさ知る人いくばくぞ蝉の殻 岡田透子 『珊瑚樹』
かけ出しのころの一句や蝉の殻 鈴木丈司
この蝉殻しんから欲しきものならず 山西雅子
コンビニに蝉と蝉がら持ち込む子 高澤良一 暮津
さかしまに残る力や蝉のから 蝉の殻 正岡子規
せみのからわつて見たれは雫哉 蝉の殻 正岡子規
たれかれのうわさ過ぎゆく蝉の殻 小池万里子
ぬけがらの君うつせみのうつゝなや 蝉の殻 正岡子規
ファーブルの机の上の蝉の殻 増田陽一
ふきもせぬ風に落ちけり蝉のから 蝉の殻 正岡子規
伊勢一の鳥居の脚に蝉の殻 梅田 葵
井月の村きさらぎの蝉の殻 宮坂静生
飲食や朝の蝉から頭が腐る 三橋鷹女
覚えなき山川蝉の殻流れ 齋藤愼爾
屈葬を諾ふごとく蝉の殻 轍郁摩
古池やさかさに浮ふ蝉のから 蝉の殻 正岡子規
狛犬の口の中なる蝉の殻 國守セツ
今生といふはいま蝉殻を脱ぐ 三森鉄治
山を訪はむしるべに蝉の殻 斎藤梅子
子規の碑にまだ柔らかき蝉の殻 天野滋子
治安悪しよ我ががらくたに蝉の殻 石田順久
手の空や蝉殻の空風が過ぐ 櫛原希伊子
秋風やほろりともけし蝉の殻 秋風 正岡子規
秋風やほろりと落し蝉の殻 秋風 正岡子規
秋立つやほろりと落ちし蝉の殻 正岡子規
梢よりあだに落ちけり蝉の殻 松尾芭蕉
職退くと決めし日の庭蝉の殻 須賀遊子 『保津川』
尻込をする児に持たせる蝉の殻 東 久子
真白な壁の途中に蝉の殻 岩田由美
身に覚えなき夢に似て蝉の殻 鎌倉佐弓
吹きふきて蝉の殻ふくや秋の風 中勘助
生ま身にはなかりし艶を蝉の殻 木内怜子「繭」
青春の過ぎにしこころ蝉の殻 福島清恵
蝉がらの水よりはやく流れゆく 西垣脩
蝉の殻だれにも見せずつまらなく 行方克己 無言劇
蝉の殻ちひさきものは艶なりし 中田剛 珠樹以後
蝉の殻拾ふも捨つもふたつ指 佐藤鬼房 朝の日
蝉の殻掌にとれば光はげしき眼 原コウ子
蝉の殻朝日射しきて透きとほる 野田 武
蝉の殻背から壊れてゆきにけり 中田剛 珠樹以後
蝉の殻流れて山を離れゆく 三橋敏雄
蝉よりも生き長らへて蝉の殻 大木あまり 火球
蝉殻がひとつ坂崎出羽の墓 奥村比余呂
蝉殻のそこで時間が止まりをり 高澤良一 暮津
蝉殻の弄ばれて置き去りに 高澤良一 暮津
蝉殻をぬぐや信濃の桑畑 樋笠文
蝉殻を割れば星空響き合う 田村勝実
蝉殻を見つけオーイと男親 池田澄子
蝉殻を終には壊し始めし子 高澤良一 暮津
蝉殻を蒐めゐし子の気が変る 高澤良一 暮津
蝉殻を出づるに身を磨滅して 齋藤愼爾
蝉殻を剥がし欄干歩まする 高澤良一 暮津
蝉殻を溜めて姉弟のちぎりとす 原コウ子
足六つ不足もなしに蝉の殻 蝉の殻 正岡子規
端居して角力はせてみる蝉の殻 三好達治 路上百句
虫籠の中はと見れば蝉の殻 高澤良一 暮津
釣床や蝉の殻など振ひけり 三島霜川
天地の間にかろし蝉の殻 松瀬青々
登呂遺跡ねずみ返しに蝉の殻 江口ひろし
踏んばりしあとあきらかに蝉の殻 大木あまり
日本海早立ちの背に蝉殻一つ 金子兜太
入院や木椅子にすがる蝉の殻 石田あき子 見舞籠
父の忌の朝拾ひたる蝉の殻 中村祐子
風わづかに石の上なる蝉の殻 尾崎紅葉
風雨二日経て褐色の蝉の殻 中田剛 珠樹
片脚は雲をつかみて蝉の殻 高橋悦男
片脚を踏み出してをる蝉の殻 井上弘美
夢解きに水のかかはる蝉の殻 正木ゆう子 悠
明け白み梢々の蝉の殻 中田剛 珠樹以後
有るよりも無は確かなる蝉の殻 新明紫明
欲のある人にみせばや蝉の殻 野澤羽紅女
淋しさにころげて見るや蝉の殻 蝉の殻 正岡子規
露葎まだやはらかき蝉の殻 小川竹代
睨まれて閻魔の堂の蝉の殻 蝉の殻 正岡子規
賽銭箱のぼり詰めたる蝉殻あり 高澤良一 暮津
躓ける恰好のまま蝉の殻 後藤夜半

蝉の殻 補遺

さかしまに残る力や蝉のから 正岡子規 蝉の殻
せみのからわつて見たれは雫哉 正岡子規 蝉の殻
ぬけがらの君うつせみのうつゝなや 正岡子規 蝉の殻
ふきもせぬ風に落ちけり蝉のから 正岡子規 蝉の殻
古池やさかさに浮ふ蝉のから 正岡子規 蝉の殻
秋風やほろりともけし蝉の殻 正岡子規 秋風
秋風やほろりと落し蝉の殻 正岡子規 秋風
秋立つやほろりと落ちし蝉の殻 正岡子規 立秋
松蝉の殻を見つけつ水分へ 飴山實 花浴び
石の上の熊蝉の殻消えゐたる 加藤秋邨
蝉の殻見るにも女科つくる 右城暮石 天水
蝉の殻拾ふも捨つもふたつ指 佐藤鬼房
蝉殻に蝉の行方を問ひたしや 林翔
蝉殻を時にくしやつとつかみけり 岡井省二 前後
蝉殻を朝見つけたる朴葉裏 細見綾子
蝉声に乗じて蝉の殻拾ふ 鷹羽狩行
足六つ不足もなしに蝉の殻 正岡子規 蝉の殻
日本海早立ちの背に蝉殻一つ 金子兜太
淋しさにころげて見るや蝉の殻 正岡子規 蝉の殻
睨まれて閻魔の堂の蝉の殻 正岡子規 蝉の殻
躓ける恰好のまま蝉の殻 後藤夜半 底紅

蝉の殻 続補遺

声はわが耳に残りぬ蝉の殻 桜井梅室
行く秋や椴より落る蝉の殻 桃隣
なにと見む桐の一葉に蝉の殻 加舎白雄


by 575fudemakase | 2017-08-17 12:21 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

蓮の飯 の俳句

蓮の飯 の俳句

蓮の飯

あかときの柴を刈る報謝蓮飯に 赤松子
ある時はありのすさみや蓮の飯 調和 選集「板東太郎」
ひらき食し食して蓮飯葉をたたむ 皆吉爽雨 泉声
また命鯖そへけりな蓮の飯 信徳
塩魚の塩こぼれけり蓮の飯 加舎白雄
佐久の鯉添へて蓮飯届けらる 久保方子
姿見の奥に映れる蓮の飯 松本澄江
松の葉につつむ心を蓮の飯 支考
雀らもせうばんしたり蓮の飯 一茶 ■文化十二年乙亥(五十三歳)
世に活きて腹こやしけり蓮の飯 月居
涼風に蓮の飯喰ふ別かな 中村史邦
涼風に蓮の飯喰ふ別れかな 史邦 俳諧撰集「藤の実」
蓮の飯やあまりさびしき供へ物 大場白水郎 散木集
蓮の飯大器なる葉より食す 皆吉爽雨 泉声
蓮飯に母の削りし蓬箸 横田 和
蓮飯の箸のはこびの葉を破る 皆吉爽雨
蓮飯やあまりさびしき供へもの 大場白水郎
蓮飯や海の明るさ暗さいふ 宇佐美魚目
蓮飯や白き器も仏の日 長谷川かな女
蓮飯や鴉のつつく無縁墓地 永沼弥生

蓮の飯 補遺

焦げをほのかにしらたまの蓮の飯 鷹羽狩行

蓮の飯 続補遺

涼風に蓮の飯喰ふ別哉 史邦
松の葉につゝむ心を蓮の飯 支考
死なで帰る此夕暮に蓮の飯 高桑闌更
塩魚の塩こぼれけり蓮の飯 加舎白雄

by 575fudemakase | 2017-08-17 12:18 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

魂祭 の俳句

魂祭 の俳句

魂祭

あぢきなや*かやの裾踏む魂祭 蕪村
あぢきなや蚊屋の裙蹈魂祭 蕪村 秋之部 ■ 七夕
アメリカに家系はじまる魂祭 赤木タモツ
いねし子に電車ひゞくや魂祭 渡辺水巴 白日
いもうとも共にあるかや魂祭 及川貞
うつつなる素子まんだら魂祭 角川源義
おもしろき人にてありし魂祭 福田把栗
おろそかになりぬ都の靈祭 魂祭 正岡子規
おろそかになりまさる世の魂祭 魂祭 正岡子規
かゝる苦もやがて消ゆべし魂祭 『定本石橋秀野句文集』
かき立つる灯うすし魂まつり 大阪-李門 俳諧撰集「藤の実」
くさはらを歩めば濡れて魂祭 下坂速穂
くちなはのしづかに失せし魂祭 山口誓子
くるぶしを風の過ぎゆく魂まつり 矢島久栄
こしらへのもなかの舞子魂まつり 後藤夜半
ごたごたと竝べたてたり魂祭 魂祭 正岡子規
こと古りし招魂祭の曲馬団 松本たかし
そなへ物名は何々ぞ魂まつり 卓袋 七 月 月別句集「韻塞」
つらつらとならび給へり魂祭 魂祭 正岡子規
ときくじのかぐの木の実や聖霊棚 飯田蛇笏 山廬集
なき父の膝もとうれし魂祭 樗良
ならぶ佛に母の大き手魂祭 松村蒼石 春霰
なるゝ間のなきもはかなし魂祭 松岡青蘿
にはか点者で魂棚から出しやばりぬ 加藤郁乎
ぬるま湯の朝風呂春季皇霊祭 久永芦秋
ひあはひの風に棚経すみにけり 水巴
ひとつ家の燈のあかあかと魂祭 福田蓼汀 山火
ひろ~と魂棚の前掃かれたる 佐野青陽人
ひろびろと魂棚の前掃かれたる 佐野青陽人
ふるさとの山見えねども魂祭 臼田亜浪 旅人
ほし合のうらさびしさよ魂まつり 松岡青蘿
ほゝづきのわかき青さや魂まつり 鈴木真砂女 生簀籠
まざまざといますが如し魂祭 季吟
まざまざと在スかことし魂まつり 季吟 選集古今句集
むらさきに変りし蓮や魂祭 後藤夜半
ものごしや棚経僧のうら若き 高橋淡路女 梶の葉
ゆきずりの礼を棚経僧同士 角田拾翠
よべの雨閾ぬらしぬ霊祭 芝不器男
よべの雨閾濡らしぬ霊祭 芝 不器男
われより出て魂棚に乗るごとくなり 平井照敏
暗がりをよろこぶ魂や魂祭 柿本多映
遺言の酒そなへけり魂まつり 太祇
遺言の酒備へけり玉祭 太祇
遺言の酒備へけり魂まつり 炭 太祇 太祇句選
一ト部屋や棚経僧をとり残し 小杉余子 余子句選
一束の刈草干して魂まつり 萩原麦草 麦嵐
芋角豆蝋燭継ぎぬ魂棚に 野村喜舟 小石川
雨滴つく青き芒を魂棚に 宮田正和
雲やはり流れてゆきぬ招魂祭 大牧 広
王氏歌ふ招魂祭の花火鳴れば 西東三鬼
牡丹は招魂祭の雨たたへ 萩原麦草 麦嵐
化しさや藤所らかき魂祭 黒柳召波 春泥句集
火を敲く小家や暮の魂祭 松瀬青々
花嫁のうゐうゐしくも魂祭 魂祭 正岡子規
蚊のしらぬ客あはれ也魂まつり 横井也有 蘿葉集
蚊帳の子に吹く朝風や魂祭 碧雲居句集 大谷碧雲居
我病んで魂祭るべくもあらぬ身よ 魂祭 正岡子規
海に向く魂棚昼も灯りをり 鷹野清子
海に出て日は海照らす魂まつり 吉田汀史
海原のもろもろ暮れぬ魂祭 大峯あきら
海素麺(うみそうめん)蜑が世つらし玉祭 昌夏 選集「板東太郎」
刈りかけし草の断層招魂祭 殿村莵絲子 雨 月
鬼灯の窶れて野辺の魂棚に 高澤良一 素抱
脚絆解いて魂祭るなり旅戻 魂祭 正岡子規
急きやうも棚経僧や夕間暮 野村喜舟
灸(やいと)してなきしも我ぞ魂祭 中村史邦
牛なくや其牛かひの魂まつり 魂祭 正岡子規
橋あまた見て魂棚の見当らず 中岡毅雄
業火免がれ暁けの魂棚灯る家 木村蕪城 一位
玉まつり悲しきものと覺えけり 魂祭 正岡子規
玉祭甥が居たらば茶のかよひ 立花北枝
玉祭極樂へ轉宅の文書かん 魂祭 正岡子規
玉祭夜更て瓜の匂ひかな 野梅
熊坂がゆかりやいつの玉祭 松尾芭蕉
桑畑の径湖へ出づ魂まつり 大峯あきら 鳥道
欠かさざりき母に代りぬ招魂祭 宮崎とき女 『雪椿』
月の色さす魂棚の箒草 沢木欣一
懸乞の不機嫌みせそ魂祭 炭 太祇 太祇句選
献燈に汝が名書くなり魂まつり 及川貞 夕焼
見た顏の三つ四つはあり魂祭 魂祭 正岡子規
見るもうし独住居の玉祭 たつ 俳諧撰集玉藻集
言霊のさきはひたまへ魂祭 栗生純夫 科野路
御魂祭折から月の上るなり 飯田蛇笏 椿花集
御先祖はうしろの方に玉祭り 魂祭 正岡子規
梧桐の雨ひとときひびき霊祭 石原舟月 山鵲
克明に籐の手貫や棚経僧 野村喜舟
今年も棚経すましたる齢知るかな 梅林句屑 喜谷六花
魂まつりここが願ひのみやこなり 服部嵐雪
魂まつりすぎれば飛騨はいなびかり 筑紫磐井
魂まつり一本みちに岳が聳つ 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
魂まつり泣くやまことの遊び事 野澤凡兆
魂まつり故人桔梗を好みけり 野村喜舟 小石川
魂まつり貧家の情ぞまことなる 加舎白雄
魂祭けふも焼場のけぶりかな 芭蕉
魂祭ふわふわと来る秋の蝶 正岡子規
魂祭ふわふわと來る秋の蝶 秋の蝶 正岡子規
魂祭る門を覗くや物狂ひ 魂祭 正岡子規
魂祭我は親より老いにけり 内藤鳴雪
魂祭我より若き人の數 魂祭 正岡子規
魂祭庫裏は團子の粉雪哉 魂祭 正岡子規
魂祭種のこされし角小豆(ささげ)かな かめ 俳諧撰集玉藻集
魂祭人間の死は季節なく 斎藤空華 空華句集
魂祭先導をする母の鉦 大石英子
魂祭八千代諷ひし一座也 旧国
魂祭亡き犬の椀に飯を盛る 弘光東洋
魂祭團子をくへといはれけり 魂祭 正岡子規
魂祭樂しみにして待つ子哉 魂祭 正岡子規
魂祭蜩鳴いて夕なり 魂祭 正岡子規
魂棚にカボチャの煮付け召し上がれ 高澤良一 素抱
魂棚にすずしき風を祭りけり 平井照敏
魂棚にとどく物音何々ぞ 大峯あきら
魂棚に戒名長し長寿村 大熊輝一 土の香
魂棚に傘さしかけて仏待つ 吉田 守一
魂棚に仕へて老の黄帷子かな 岡本松浜 白菊
魂棚に杉山の風通ひけり 茂里正治
魂棚に昼のともしや蓮の陰 赤木格堂
魂棚に風吹き入れて泉川 野沢節子
魂棚に壁のひま漏る夕日哉 魂棚 正岡子規
魂棚に穂高の水を供へけり 渡辺峰山
魂棚に母のみ知れる位牌あり 菅原独去
魂棚に亡母の来てゐる湯呑かな 岩田由美
魂棚に團子供へて拜みけり 魂棚 正岡子規
魂棚のくさぐさ見ゆれ路地涼み 後藤夜半
魂棚のくはしきことは教はらで 後藤夜半 底紅
魂棚のたうもろこしはわが昼餉 石田あき子
魂棚のつまの時計も寂びにけり 関戸靖子
魂棚のはかなき影にねまりけり 鬼頭文子
魂棚の奥なつかしや親の顔 去 来
魂棚の奥を起つたびのぞきけり 神蔵 器
魂棚の火を吹き消しぬ夕嵐 魂棚 正岡子規
魂棚の見えて淋しき昼寝かな 鬼城
魂棚の真下にありて母の膝 吉田汀史
魂棚の真向ふ庭をひろく掃く 松村蒼石
魂棚の前に飯喰ふ子供かな 内藤鳴雪
魂棚の早桃の匂ふことしきり 大橋敦子 匂 玉
魂棚の大きな写真新しき 渡辺 いえ子
魂棚の昼灯りをり旅果てぬ 小林康治
魂棚の賑やかしとて葉鶏頭 高澤良一 素抱
魂棚の飯に露おくゆふべ哉 露 正岡子規
魂棚の敷菰滝と辷り落つ 久米正雄 返り花
魂棚やいくさを語る後家二人 魂棚 正岡子規
魂棚やいくさを語る人二人 魂棚 正岡子規
魂棚やぼた餅さめる秋の風 炭 太祇 太祇句選
魂棚やみどりまぎれず子蟷螂 千代田葛彦
魂棚や何はあれとも白團子 魂棚 正岡子規
魂棚や蚊は血ぶくれて飛びありく 上島鬼貫
魂棚や皆ごまごまと茄子(なすび)あへ 服部嵐雪
魂棚や供へて青きものばかり 岸 風三楼
魂棚や坐して届かぬ魔法瓶 石川桂郎 四温
魂棚や飾りたてたりとも思ふ 尾崎迷堂 孤輪
魂棚や真菰が上の灯し盞 尾崎迷堂 孤輪
魂棚や鼠もつかずあはれなり 爾遠
魂棚や草葉をひたす皿の水 飯田蛇笏 霊芝
魂棚や萩叢は灯にうかびをり 清水基吉 寒蕭々
魂棚や不順も順に置直し 横井也有 蘿葉集
魂棚や風の集まる長子の座 戸恒東人
魂棚や壁のひまもる夕つく日 魂棚 正岡子規
魂棚や母の住みにし此の一間 楚川 選集古今句集
魂棚や葉生姜の香にひきしまり 大熊輝一 土の香
魂棚や隣の庭の夜の木々 矢島渚男
魂棚や藪木をもるゝ月の影 丈 艸
魂棚をころげ落つものすぐ傷む 吉岡句城
魂棚をほどけばもとの座敷かな 蕪村
魂棚を結ふにも力つくすなり 馬場移公子
魂棚を組む山川を泳ぎ来て 神蔵 器
魂棚を灯せばともる鯖火かな 榎本冬一郎 眼光
魂棚を葺きてまさをき高野杉 塩谷はつ枝
雑草(あらくさ)は露を蒐めて魂祭 高澤良一 暮津
三井寺や三千坊の魂祭 魂祭 正岡子規
山萩に皇霊祭の日あたれり 長谷川かな女
子の命(みこと)孫の命や招魂祭 宮下翠舟
死なでわれむかしの恋を魂祭 高井几董
事古りし招魂祭の曲馬団 松本たかし
児を抱いて尼うつくしき霊祭 飯田蛇笏
児を抱いて尼美くしき霊祭 飯田蛇笏
児を抱いて尼美しき霊祭 飯田蛇笏
手向草や嵐にやどす聖霊棚 調鶴 選集「板東太郎」
酒ずきの吾が一族や魂まつり 内野蝶々子
酒ものめぬ身となられしか魂祭 魂祭 正岡子規
従弟どち月に語るや魂祭 白雄
春も早や招魂祭のころの雨 富安風生
招魂祭さびし風鹿柱なす 富岡掬池路
招魂祭われ軍籍をもちゐたり 細谷源二 鐵
招魂祭遠く来りし顔と遭ふ 三橋敏雄
招魂祭過ぎし山の手線軌る 久米三汀
招魂祭肩で息するもと兵士 きりぶち輝
招魂祭集ふ戦友五指満たず 佐野克男
招魂祭濡れたる雨後の砂利を踏む 磯貝碧蹄館
鐘楼へのぼらむと一途聖霊祭 小池文子 巴里蕭条
寝道具のかたかたやうき玉祭 向井去来
寝道具の片方やうき玉祭 去来 芭蕉庵小文庫
心にて顔にむかふや魂まつり 上島鬼貫
心にて顔に向ふや魂祭 鬼貫
真ン中に父の位牌や魂祭 羽生 敏子
親もなき子もなき家の玉まつり 魂祭 正岡子規
人の親の来るとばかりや魂まつり 上島鬼貫
数ならぬ身とな思ひそ玉祭 松尾芭蕉
裾ひろき父の浴衣よ魂まつり 福永耕二
世間かなせちりもすだも魂祭 西武
星生れぬ招魂祭の花火のあと 加倉井秋を
生垣の刈りあと匂ひ魂祭 片山由美子
聖靈の寫眞によるや二三日 魂祭 正岡子規
聖靈やすこし後から女だち 魂祭 正岡子規
青空の奥処は暗し魂祭 三橋敏雄(1920-2002)
青空の奥處は暗し魂祭 三橋敏雄
切貼りの糊のしたたる霊祭 栗生純夫
折山の傷む過去帳魂まつり 山崎禎子
先行の不安は消せず招魂祭 浜名礼次郎
戦死者のうから肩やせ招魂祭 細谷源二 鐵
線香や壁にうつして聖霊棚 沾葉 選集「板東太郎」
曽祖父は関の刀匠魂祭 岡本春人
僧の座の敷茣蓙にほひ魂祭 井沢正江
早出みかんの青顔黄顔魂祭 中拓夫 愛鷹
草の家のうすべり敷いて霊祭 佐藤漾人
草の戸や月明かに魂祭 魂祭 正岡子規
草の穂に夕日の金や魂まつり 上村占魚
草ふかく月のおよべる魂まつり 前山松花
蒼々と夜の峰見ゆる魂まつり 成田千空 地霊
孫共か物見に來るよ魂祭 魂祭 正岡子規
孫共が拜みに來るよ魂祭 魂祭 正岡子規
大テント招魂祭の椅子並ぶ 小路紫峡
濯ぎ場へ棚経僧が舟で著く 関 沼男
棚経つとむうしろひる寝の子起さじ 梅林句屑 喜谷六花
棚経につね着の母の来て座る 松村蒼石
棚経に学寮の僧頼みけり 喜谷六花
棚経に犬も座りてゐたりけり 安永圭子
棚経に前山は雨ぬいでゆく 辻田克巳
棚経に白波はしりつつ遠し 細川加賀 『傷痕』
棚経のあまり短く物足らず 宮城きよなみ
棚経のかなしくもなく終りたる 上村占魚 球磨
棚経のみんなのうしろすがたかな 細川加賀
棚経の機音ひゞく仏間かな 吉岡 秋青
棚経の小僧十二三なるが来る 原紫川
棚経の鉦ちん~と急ぎ居り 静雲
棚経の鉦ちんちんと急ぎ居り 河野靜雲
棚経の親子の僧の声そろふ 柴山つぐ子
棚経の僧が路次より現れ来 上野泰 春潮
棚経の僧と話して税のこと 藤平伊知郎
棚経の僧にくらしのこと聞かれ 関戸靖子
棚経の僧にほめらる読経かな 辻 青歩
棚経の僧に参らす饂飩かな 赤木格堂
棚経の僧に煎茶をすすめけり 海野 勲
棚経の僧に包める酒饅頭 中川冬紫子
棚経の僧に夕かげそへるかな 久保田万太郎
棚経の僧の昔は坑夫とか 緒方句狂
棚経の僧の頭を打つ金亀子 田中俊尾
棚経の僧の背高は坐りても 船田太陽子
棚経の僧も戻りて昼の護摩 川澄祐勝
棚経の僧をあふげる病婦かな 小松月尚
棚経の僧を扇げる病婦かな 小松月尚
棚経やお蝋をともす間も待たず 足立蓬丈
棚経やくらしかたむく大檀那 川名句一歩
棚経や紫蘇に風吹く頃となり 斎藤夏風
棚経や慈姑頭の老の僧 石塚友二 光塵
棚経や衆生の中に赤ん坊 岩田由美 夏安
棚経や出て気のつく門違 自笑
棚経や小僧面白さうに讀む 棚経 正岡子規
棚経や水の如くに母在す 山川子
棚経や蝉の羽衣煽ぎけり 前川素泉
棚経や草木も言葉交すなる 宮津昭彦
棚経や谷戸の五六戸次々に 尾崎迷堂 孤輪
棚経や父の寝茣蓙の端ほつれ 皆川白陀
棚経や有髪ながらも寺を守り 森白象
棚経や聲の高さ弟子坊主 其角
棚経や闖入の虻大自在 矢島渚男 船のやうに
棚経僧お経一気に飛ばしけり 山本敏章
棚経僧の青頭が宙にひかり過ぐ 石原舟月
棚経僧小さき木魚を膝元に 亀田やす子
棚経僧燭を扇で消し去りぬ 野村喜舟
棚経僧送りに発てり海女の舟 下谷行人
棚経待つ座布団一枚ほてりけり 小川千賀
男手のやがて佗しき魂祭 岳陽
男手のやがて侘しき魂祭 杉山岳陽
竹林の奥の霧らへり魂祭 臼田亜浪
仲丸の魂祭せむけふの月 蕪村 秋之部 ■ 探題雨月
抽斗の奥に臍の緒魂祭 村田緑星子
長きほど薄き「のしいか」招魂祭 北野民夫
塚助弥燈籠高尾魂祭 西本一都 景色
徹書記のゆかりの宿や玉祭 蕪村遺稿 秋
唐黍にかげろふ軒や玉祭 浜田酒堂
島人よこの杉伐るな魂祭 大峯あきら 鳥道
討死の位牌新らし瓜の馬 魂祭 正岡子規
頭を剃りて棚経僧になりにけり 福島せいぎ
二世ならぬちちはは逢はす魂まつり 佐野美智
日盛やさがしあぐめる棚経僧 河野静雲
乳母が来てまた泣き出しぬ魂祭 山店 芭蕉庵小文庫
年々の招魂祭の裏の宿 高浜虚子
箸の水切って乾かす魂祭 高澤良一 寒暑
病んで父を思ふ心や魂祭 魂祭 正岡子規
貧乏を見せじと人の魂祭 魂祭 正岡子規
父と母招魂祭に旅立ちぬ 中村ルツ子
父八十棚経にゆくオートバイ 池田暘子
父母の墓ふるさとにあり霊祭 吉武月二郎句集
蕗の傘まだ稚なしや招魂祭 鳥羽とほる
塀越の枯野やけふの魂祭 炭 太祇 太祇句選
壁のすきにいなづますこし魂まつり 魂祭 正岡子規
壁のすきに稻妻すなり魂祭 魂祭 正岡子規
母は世になにたのしみし魂祭 高木石子
母人や病をおして魂祭 清原枴童 枴童句集
膨張をせり魂棚の菓子袋 茨木和生
盆棚にハワイ土産の絵蝋燭 竹内和歌枝
盆棚に結願証を飾りけり 櫛田と志子 『繭玉』
盆棚に薯蕷(じょうよ)饅頭真つ白な 石嶌岳
盆棚に薯蕷饅頭真つ白な 石嶌岳
盆棚に青瓢箪を吊るしけり 榎本文代
盆棚に白桃が尻ならべたる 辻桃子
盆棚のあとや畳のうす湿り 根岸善雄
盆棚の青梨ふたつ消え失せぬ 細川加賀 生身魂
盆棚の父の湯呑みの大きかり 飯田眞理子
盆棚や木のミかくのミ皆あはれ 椎本才麿
盆棚や木の実かぐの実皆あはれ 才麿
盆棚をしまひしあとの八畳間 猪俣千代子 秘 色
盆棚をたたむ迅さに手を貸さず 中原道夫
盆棚組むすこし離れて母がをり 猪俣千代子 堆 朱
末の子をたよりに生きて魂祭 福田蓼汀 山火
無縁樣の供物すつれば鴉鳴く 魂祭 正岡子規
木曽寺や客と通夜して玉祭 水田正秀
門閉ぢて新月楡に魂まつり 飯田蛇笏 霊芝
夜を青く富士しづもりて魂まつり 石川青幽
野の草のやや亂れ居る魂祭 永田耕衣
野の露はみな君に供へん魂まつり 中勘助
野地蔵に手縫ひ頭巾や魂祭 岡村優子
弥生尽むらさき帯びし招魂祭 近藤 弘
夕月や皇霊祭の草の家 酒井黙禅
養生の身の魂棚の奥うかがふ 山口草堂
来たまへるもありや魂棚雨ながら 船山
利根渡舟棚経僧をのせて著く 茂木利汀
裏店の隅に今年は魂祭 魂祭 正岡子規
裏富士はを知らず魂まつり 三橋敏雄(1920-2002)
裏富士は鴎を知らず魂まつり 三橋敏雄
里人もー門なみや魂まつり 向井去来
立葵のぞき棚経僧来たる 石原八束 雁の目隠し
霊祭系図正しきことをのみ 吉井莫生
霊祭母屋の妻戸の音は何 服部嵐雪
蓮の香を窓に運ぶや玉祭 乙由
蓮池や折らでそのまま玉祭 松尾芭蕉
露もるや聖霊棚の瓜なすび サガ-荒雀 俳諧撰集「有磯海」
來たまはぬもあるべし旅の魂祭 魂祭 正岡子規
團子もむ皺手あさましたま祭 魂祭 正岡子規
團子もむ皺手耻かし魂祭 魂祭 正岡子規
晝飯は精進鮓や魂祭 魂祭 正岡子規
盂蘭盆の鵲鳴くや墓印 魂祭 正岡子規
盂蘭盆や無縁の墓に鳴く蛙 魂祭 正岡子規
笙の音の鋭きがかなしき魂祭 清治法子
蟲くひの鬼灯悲し魂祭 石井露月
趾の間の広き魂まつり 綾部仁喜 寒木

魂祭 補遺

あきらけき鯰のひげも魂祭 岡井省二 鯛の鯛
いねし子に電車ひゞくや魂祭 渡邊水巴 白日
うつつなる素子まんだら魂祭 角川源義
おろそかになりぬ都の靈祭 正岡子規 魂祭
おろそかになりまさる世の魂祭 正岡子規 魂祭
かゝる苦もやがて消ゆべし魂祭 石橋秀野
くちなはのしづかに失せし魂祭 山口誓子
こしらへのもなかの舞子魂まつり 後藤夜半 翠黛
ごたごたと竝べたてたり魂祭 正岡子規 魂祭
こと古りし招魂祭の曲馬団 松本たかし
ささやかな魂棚庭の花剪つて 山口青邨
つらつらとならび給へり魂祭 正岡子規 魂祭
ときくじのかぐの木の実や聖霊棚 飯田蛇笏 山廬集
ひあはひの風に棚経すみにけり 渡邊水巴 白日
ひとつ家の燈のあかあかと魂祭 福田蓼汀 山火
ふるさとの山見えねども魂祭 臼田亜浪 旅人 抄
ほゝづきのわかき青さや魂まつり 鈴木真砂女
むらさきに変りし蓮や魂祭 後藤夜半 翠黛
われより出て魂棚に乗るごとくなり 平井照敏
王氏歌ふ招魂祭の花火鳴れば 西東三鬼
恩友に忠友たり得よ魂祭 中村草田男
火の丈の富士こそ思へ魂祭 三橋敏雄
花嫁のうゐうゐしくも魂祭 正岡子規 魂祭
我病んで魂祭るべくもあらぬ身よ 正岡子規 魂祭
垣隣り今宵は雨の魂まつり 村山故郷
脚絆解いて魂祭るなり旅戻 正岡子規 魂祭
牛なくや其牛かひの魂まつり 正岡子規魂祭
業火免がれ暁けの魂棚灯る家 木村蕪城 一位
玉まつり悲しきものと覺えけり 正岡子規 魂祭
玉祭極樂へ轉宅の文書かん 正岡子規 魂祭
献燈に汝が名書くなり魂まつり 及川貞 夕焼
見た顏の三つ四つはあり魂祭 正岡子規 魂祭
御魂祭折から月の上るなり 飯田蛇笏
御先祖はうしろの方に玉祭り 正岡子規 魂祭
魂祭「蝶よ花よ」は受恩の譜 中村草田男
魂祭ふわふわと來る秋の蝶 正岡子規 秋の蝶
魂祭る門を覗くや物狂ひ 正岡子規 魂祭
魂祭我より若き人の數 正岡子規 魂祭
魂祭庫裏は團子の粉雪哉 正岡子規 魂祭
魂祭吾れは親より老いにけり 内藤鳴雪
魂祭團子をくへといはれけり 正岡子規 魂祭
魂祭樂しみにして待つ子哉 正岡子規 魂祭
魂祭蜩鳴いて夕なり 正岡子規 魂祭
魂棚に花魁草も幽かりき 百合山羽公 春園
魂棚に朝鮮飴をあげ泣きぬ 山口青邨
魂棚に壁のひま漏る夕日哉 正岡子規 魂棚
魂棚に團子供へて拜みけり 正岡子規 魂棚
魂棚のくさぐさ見ゆれ路地涼み 後藤夜半 翠黛
魂棚のくはしきことは教はらで 後藤夜半 底紅
魂棚の火を吹き消しぬ夕嵐 正岡子規 魂棚
魂棚の見えて淋しき寝覚かな 村上鬼城
魂棚の前に飯喰ふ子供かな 内藤鳴雪
魂棚の昼灯りをり旅果てぬ 小林康治 四季貧窮
魂棚の飯に露おくゆふべ哉 正岡子規 露
魂棚の飯に露おく夕かな 内藤鳴雪
魂棚やいくさを語る後家二人 正岡子規 魂棚
魂棚やいくさを語る人二人 正岡子規 魂棚
魂棚や何はあれとも白團子 正岡子規 魂棚
魂棚や月を呼びゐる萩真菰 大野林火 潺潺集 昭和四十年
魂棚や坐して届かぬ魔法瓶 石川桂郎 四温
魂棚や草葉をひたす皿の水 飯田蛇笏 霊芝
魂棚や壁のひまもる夕つく日 正岡子規 魂棚
魂棚や莢のままなる新小豆 森澄雄
三井寺や三千坊の魂祭 正岡子規 魂祭
糸とんぼ魂棚をとぶ誰ならむ 飴山實 句集外
児を抱いて尼うつくしき霊祭 飯田蛇笏 春蘭
酒ものめぬ身となられしか魂祭 正岡子規 魂祭
招魂祭とほく来りし顔と遭ふ 三橋敏雄
招魂祭われ軍籍をもちゐたり 細谷源二 鐵
招魂祭遠く来りし顔と遭ふ 三橋敏雄
招魂祭皮膚に埃降り花火降る三橋敏雄
新建のはや魂棚をしつらへし 清崎敏郎
親もなき子もなき家の玉まつり 正岡子規 魂祭
聖靈の寫眞によるや二三日 正岡子規 魂祭
聖靈やすこし後から女だち 正岡子規 魂祭
青空の奥處は暗し魂祭三橋敏雄
戦死者のうから肩やせ招魂祭 細谷源二 鐵
線香の焼きし錦や魂祭 阿波野青畝
草の戸や月明かに魂祭 正岡子規 魂祭
孫共か物見に來るよ魂祭 正岡子規 魂祭
孫共が拜みに來るよ魂祭 正岡子規 魂祭
棚経につね着の母の来て座る 松村蒼石 雪
棚経に顔なじみなき僧来たり 能村登四郎
棚経のかなしくもなく終りたる 上村占魚 球磨
棚経のハラバリタヤと納めけり 松崎鉄之介
棚経の上りゐる間も威し銃 高野素十
棚経の青龍和尚酒所望 高野素十
棚経の僧が路次より現れ来 上野泰 春潮
棚経やまだ衰へぬ膝がしら 鷹羽狩行
棚経や慈姑頭の老の僧 石塚友二 光塵
棚経や小僧面白さうに讀む 正岡子規 棚経
棚経をあげてをりたる瀞の家 清崎敏郎
短冊を父とかしづく魂祭 山口誓子
朝焼の面むけゆき招魂祭 三橋敏雄
討死の位牌新らし瓜の馬 正岡子規 魂祭
病んで父を思ふ心や魂祭 正岡子規 魂祭
貧乏を見せじと人の魂祭 正岡子規 魂祭
壁のすきにいなづますこし魂まつり 正岡子規 魂祭
壁のすきに稻妻すなり魂祭 正岡子規 魂祭
盆棚に玉泛子一つ置いてあり 亭午 星野麥丘人
盆棚のうしろは深谷霧の海 富安風生
盆棚のもの鬼灯は枝ながら 鷹羽狩行
盆棚をしつらへあれど墓石なし 清崎敏郎
末の子をたよりに生きて魂祭 福田蓼汀 山火
満月の裏はくらやみ魂祭 三橋敏雄
無縁樣の供物すつれば鴉鳴く 正岡子規 魂祭
門閉ぢて新月楡に魂まつり 飯田蛇笏 霊芝
野の草のやや亂れ居る魂祭 永田耕衣
矢絣は招魂祭の宵に着る 山口青邨
葉柳の招魂祭の鹵簿の雨 富安風生
裏店の隅に今年は魂祭 正岡子規 魂祭
裏富士は鴎を知らず魂まつり三橋敏雄
來たまはぬもあるべし旅の魂祭 正岡子規 魂祭
團子もむ皺手あさましたま祭 正岡子規 魂祭
團子もむ皺手耻かし魂祭 正岡子規 魂祭
晝飯は精進鮓や魂祭 正岡子規 魂祭
盂蘭盆の鵲鳴くや墓印 正岡子規 魂祭
盂蘭盆や無縁の墓に鳴く蛙 正岡子規 魂祭

魂祭 続補遺

ありの実はありやなしやの魂祭 吾仲
から帋の外は浮世ぞ魂まつり 浪化
きのふ見し人や隣の玉祭 其角
さゞ波に源氏供養か魂祭 露川
そなへもの名は何々ぞ魂祭 卓袋 韻塞
そなへ物名は何~ぞ魂まつり 卓袋
そのまゝに八百屋がたなや魂祭 蝶々子 誹諧当世男
なるゝ間のなきもはかなし魂祭 松岡青蘿
ほし合のうらさびしさよ魂まつり 松岡青蘿
まざ~といますが如し魂祭 北村季吟
やま伏や坊主をやとふ玉祭 沾圃
粟稗に此世の風や玉祭 千川
衣なる銭ともいざや玉祭 其角
遺言の酒備へけり魂まつり 炭太祇
蚊屋に寐ておもひやればや玉祭 牧童
蚊帳に寝て呉猛思ふや玉祭 中川乙由
我に逢顔や鏡の魂まつり 露川
脚のある膳は誰~魂祭 五明
極楽の口には合はじ魂祭 班象 発句類聚
玉祭つゝしむ事の自然なり 亀世
玉祭まぶたおろして顔もかな 介我
玉祭甥が居たらば茶のかよひ 北枝
玉祭庭をまわりて何を哉 兀峰
懸乞の不機嫌みせそ魂祭 炭太祇
魂まつりさゝげも角を折られけり 素覧
魂まつり泣やまことの遊び事 凡兆
魂まつり身は養生にこもりけり 小西来山
魂まつり雪も時雨も袖の露 樗良
魂まつり貧家の情ぞまことなる 加舎白雄
魂まつり爰が願のみやことなり 嵐雪
魂祭ぬしは誰を歟くりや川 望月宋屋
魂祭舟より酒を手向けり 亀洞
魂祭餅つく音や夜半楽 百里
魂棚とのみ見て過す月日かな 田川鳳朗
魂棚にこちらむく日を待身かな 支考
魂棚に散や麻木の箸の音 三宅嘯山
魂棚に暑き葎のはしら哉 曽良
魂棚に油火細し我ごとく 支考
魂棚のみになるものは稲穂哉 鈴木道彦
魂棚の奥なつかしや親の顔 向井去来
魂棚の中に紛れぬ仏かな 望月宋屋
魂棚は面白おかしきにほひ哉 百里
魂棚やつひのなじみの台所 桜井梅室
魂棚やはや送り火の片旅籠 怒風
魂棚やぼた餅さめる秋の風 炭 太祇
魂棚や花には仏葉には飯 嵐青
魂棚や蚊は血ぶくれて飛びありく 鬼貫
魂棚や我も維摩の亭主ぶり 三宅嘯山
魂棚や皆ごま~と茄子あへ 嵐雪
魂棚や藪木をもるゝ月の影 内藤丈草
三女夫の手操目出度し魂まつり 三宅嘯山
山かげや寐ぬをこゝろの魂祭 加舎白雄
四阿屋に風をつゝむや魂まつり 野紅
子といふをもたではしらじ霊祭 貞佐 桑々畔発句集
指折に他人も入るや魂祭 中川乙由
死なでわれむかしの恋を魂祭 高井几董
秋を知る蝉猶哀れ魂祭 中川乙由
十団子くはぬも来るや魂まつり 許六
従弟どち月にかたるや玉祭 加舎白雄
渋柿の木の間ながらや玉祭 一笑(金沢)
心にて顔にむかふや魂まつり 鬼貫
人の親の来るとばかりや魂まつり 鬼貫
水むけて我肉寒し魂まつり 樗良
世を見れば乳を土器に魂祭 望月宋屋
青柿の手向あたらじ魂まつり 旦藁
線香や壁にうつして聖霊棚 沾葉 坂東太郎
棚経や此あかつきのあかの水 其角
棚経や手まはしばやにはさみ箱 如行
棚経や小僧をあふぐ後ロから 木因
棚経や声のたかきは弟子坊主 其角
仲麿のおもかげや見し玉祭 支考
桃栗の三とせは夢や玉祭 桜井梅室
奈良初瀬めぐりて旅の魂まつり 樗良
乳母が来てまた泣出しぬ魂祭 山店
貧しさの子を並べけり魂まつり 野坡
塀越の枯野やけふの魂祭 炭 太祇
母つかふ貧さおもへ魂まつり 野坡
盆棚のむかひはふじか清見寺 許六
盆棚やむかひは富士よ清見でら 許六
盆棚や木のミかくのミ皆あはれ 才麿
盆棚や蓮の葉にのる骨仏 許六
磨の音小家がちなり玉祭 中川乙由
枕の香や格子もれ来る玉祭 〔ブン〕村
夢に見るも魂棚近く寐し夜哉 高桑闌更
名月や御霊祭のすゝ払 三宅嘯山
木曽寺や客と通夜して玉祭 正秀
目に見えぬものゝいそがし玉祭 中川乙由
目に見へぬ秋とは是に魂まつり 塵生
目を閉て誰を見るらん魂まつり 仙化
里人も一門なみや魂まつり 去来
霊祭いかにわびしき膳に箸 輝年 新類題発句集
霊祭母屋の妻戸の音は何 嵐雪
蓮の香を窓に運ぶや魂祭 中川乙由
佗しさや寐所ちかき魂祭 黒柳召波
寐道具のかた~やうき玉祭 去来
秬の葉や檐にかげろふ玉祭 洒堂

by 575fudemakase | 2017-08-17 12:17 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

秋の田 の俳句

秋の田 の俳句

秋の田

萬葉の秋の田の歌戀のうた 筑紫磐井
里神楽秋の田の額昔より 阿波野青畝
万葉の秋の田の歌恋の歌 筑紫磐井
島裏にしていくばくの秋の田も 本井英
低垣に秋の田を展べ玉座の間 富安風生
大旱天智天皇の秋の田も 川端茅舎
大旱天智天皇の「秋の田」も 川端茅舎「川端茅舎句集」
蒼天に金きらきらの秋の田の 池上浩山人
秋の田を刈るや白鷺人に近く 山口青邨
秋の田をくる黒傘のキリストは 田川飛旅子
秋の田や鍋割りといふ雨つゞき 嵐翠
秋の田や大藪下のうすみどり 木津柳芽 白鷺抄
秋の田や神話の国の大鳥居 村上安遊
秋の田や月雪花も外ならず 天隣
秋の田や缶にあふるる五円玉 森川和久
秋の田や刈しほ見舞ふかかり人(うど) ぜぜ-昌房 俳諧撰集「藤の実」
秋の田やむかし似合ひし紺絣 高柳重信
秋の田やはかり尽して稗二俵 尚白 (如是作)
秋の田も八まんおほいぼさつ哉 重頼(やはたいて)
秋の田へ大きく弥陀の扉を開く 井田満津子
秋の田へぐらりと日木海の蒼 宇咲冬男
秋の田の隣り村へと馬車に乗る 黄枝
秋の田の夜風しみじみ六十路なる 藤原たかを
秋の田の墓前にひらき一人の傘 古舘曹人 能登の蛙
秋の田の父呼ぶ声の徹るなり 鬼骨
秋の田の馬の横腹通りけり 兄直
秋の田の只中石の鳥居暮る 山口誓子
秋の田の大和を雷の鳴りわたる 下村塊太
秋の田の自転車汽車におくれゆく 六子
秋の田の畦より杣の道となり 城戸 杉生
秋の田の刈穂の庵は米屋哉 之也
秋の田の刈りつめられし鶉哉 夕桜
秋の田の果てなる村の祀ごと 川口利夫
秋の田の下に裾野の滝懸る 百合山羽公 寒雁
秋の田のいねとて追ふや鹿の番 遊流
秋の田のいづれの道をかへらむか 葛山たけし
秋の田に抜きためて手の稗あをし 木津 柳芽
秋の田に大きく燃えて日落ちけり 行方寅次郎
秋の田に石の標や白毫寺 田村鬼現
秋の田に犬の出てゐる祭かな 古舘曹人 樹下石上
秋の田にものを落して晩鴉過ぐ 山口誓子
秋の田となりし眺めや陰の神 清水径子
どこまでも続く秋の田伊予路なる 川口咲子

秋の田 続補遺

秋の田や刈しほ見舞ふかゝり人 昌房
秋の田やはかり尽して稗二俵 尚白
秋の田の夕日にこぼす盈哉 乙訓
軒下の田水あかるし秋の風 桜井梅室

秋の田 追加

ことばかけては人通る稲田いちにち シヤツと雑草 栗林一石路
この雨に刈り兼ねてある稲田かな 深見けん二 日月
ころり往生稲田の案山子見て御座りし 矢田鹿苑子 『白雲悠々』
ふるさとの稲田は低し野辺送り 広瀬みわ
みちのくの空の広さの稲田かな 鈴木わかば
よく育つ稲田に深き靴のあと 澤内ゆき子
をん鶏の喉細うせり早稲田刈 中拓夫 愛鷹
一坪の園児の稲田案山子立つ 内久根眞也
一家鮮し稲田へだてて手を振れば 堀 葦男
一望の稲田母なる大野川 渡辺 彦陽
一望の稲田豊かな湯川村 山口瑞穂
一枚の早稲田御陵に正面す 皆吉爽雨
一石路の「鎌の柄談議」君の故郷の貧乏稲田 橋本夢道 良妻愚母
佐高いま佐大稲田も街中に 下村ひろし 西陲集
冠水の稲田に雲の尾の垂るる 佐久間俊子 『むさし野』
凶作や伊豆の稲田の蝗捕 石塚友二 光塵
出穂の稲田のつづく方十里 椛沢田人
出羽言葉に馬が従きゆく晴れ稲田(月山) 河野南畦 『風の岬』
刈りごろの稲田やさしくなる暮光 大井雅人 龍岡村
刈る前の稲田ふくらみ畦かくす 池田秀水
刈拡ぐ稲田むかしの広さでなし 太田土男
列車音稲田をキタカタキタカタと 高澤良一 石鏡
友が住めるは此の里か稲田ひろびろ 荻原井泉水
友信じつつ湯をかぶる稲田見え 友岡子郷 遠方
吹き降りや稲田へ橋のゆきもどり 飯田蛇笏 山廬集
堂の影稲田に落つる月夜かな 大谷句佛 我は我
夕日が逃げる稲田黍原北信濃 古賀まり子 緑の野以後
夜の稲田母の子宮にひろがれり 高野ムツオ 雲雀の血
宍道湖の波かよへる稲田かな 大場白水郎
宍道湖の波のかよへる稲田かな 大場白水郎 散木集
小松原稲田明りに立ちいでし 石原舟月
山越え来し架線稲田の上にたるむ 津田清子
帰り来れば浅田の早稲田穂に見ゆる 暁台
干拓稲田夜は遠き灯に睦むとか 河野南畦 湖の森
干拓稲田貝殻群が畦に散り 河野南畦 湖の森
徐々にして稲田に月の道敷かれ 能村登四郎 有為の山
惚けぎみの婆よ稲田に立つと光る 田中はるよ
我が思ふ如く人行く稲田かな 中村汀女
早稲田の夜急にしぐれぬ漱石忌 松根東洋城
早稲田刈り見通しにされ九十九里 鉄之介
早稲田風寺に満身創痍仏 今瀬剛一
晩稲田に垂れて信濃の鉛空 草間時彦 櫻山
晩稲田に守護の及べり塞の神 春名章市
晩稲田に音のかそけき夜の雨 五十崎古郷句集
晩稲田の色濃き雨に故郷あり 宮津昭彦
晩稲田や畦間の水の澄みきりて 飯田蛇笏 山廬集
朝餌まく早稲田の葉ずゑつゆむすぶ 飯田蛇笏 春蘭
木曾谷の深し稲田を積み重ね 守屋井蛙
松代や入るも出るも稲田越え 清水杏芽
水仙や早稲田の師走三十日 夏目漱石 大正四年
法事の座早稲田を渉る風入れて 河島唯成
波音の早稲田を囃し出雲崎 小島健 木の実
泥と血で結ばる晩稲田の兄弟 齋藤愼爾
海近き早稲田のよべの雨量かな 中拓夫 愛鷹
潮浴にかよふ早稲田の花ありぬ 木津柳芽 白鷺抄
照り曇る檀風城址稲田寄す 野沢節子
牛小屋に牛ゐて曇らざる稲田 原裕 葦牙
犬蓼の稲田になだれ込むところ 高澤良一 ももすずめ
猪よぎり晩稲田いたく潰えたり 農口鶴仙渓
猪荒れて畳のごとき稲田かな 岡田耿陽
生(なま)壁も籾一粒の早稲田かな 野澤凡兆
盛装を稲田の夕日照らしけり 山口誓子
直立の止め葉揃ひし青稲田 西川雅文
真直ぐに育つよろこび稲田にも 大倉箏子
磬子の余韻仏が稲田へ出で立つよ 磯貝碧蹄館 握手
祭笛主客稲田を巡りをり 松倉ゆずる
秋風やどこにも稲田うちひらけ 久保田万太郎 草の丈
稲妻の百刄稲田湿りもつ 吉田銀葉
稲熱田の一枚昏るゝ風の中 星野麦丘人
稲田とる巾あり峡のこの辺り 高澤良一 燕音
稲田へぬけてゆく跫音を更けてきく 川島彷徨子 榛の木
稲田ゆくまぢかの稲の一つづつ 石川桂郎
稲田バス軽き老母の揺れどほし 津田清子
稲田描く油絵の具を盛り上げて 高澤良一 寒暑
稲田風総身にうけ熟睡せり 佐川広治
窯元のときに稲田を刈ることも 鈴木真砂女 夕螢
窯開けやぐるり稲田にとりまかれ 鈴木真砂女 夕螢
細りつつ日ぐれ晩稲田薬師みち 古沢太穂
落花生掛けある稲田御坊かな 西本一都 景色
藪の風稲田に落ちてたはれ居り 西山泊雲 泊雲句集
見はるかす豊の稲田も御苑内 下村ひろし 西陲集
遊行柳早稲田の水の落ちる音 岩崎眉乃
遠く強き足音信ず稔る稲 田川飛旅子 花文字
里山の間埋む稲田後三年 高澤良一 素抱
釣戻り早稲田一枚刈られたる 金尾梅の門 古志の歌
鈍行の中まで稲田の照り返し 高澤良一 随笑
門前の稲田また減り宗鑑忌 高橋鬼灯
雁渡る月の稲田の眩しさを 中村汀女
雲州橘の袖の香ぞする稲田姫 椎本才麿
霧島や早稲田ひろがる月明り 柴田悦子
露乾ねば稲田をおほふ黄も暗し 篠原梵 雨
青帯びし稲田千人塚を攻め 原裕 新治
風と競ふ帰郷のこころ青稲田 福永耕二
風炎の稲田をはしる青鴉 柴田白葉女 花寂び 以後
黄は貴色い行くに稲田継ぎ目なし 薄 多久雄

by 575fudemakase | 2017-08-17 12:15 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

稔り田 の俳句

稔り田 の俳句


稔り田

たくましき稔り田や空従へて 櫂未知子
どこまでも稔り田どこも刈られずに 草間時彦 櫻山
となりあふ荒田稔り田過疎進む 相澤乙代
バス停は稔り田の中三河晴 関野敦子
演歌まみれわが一身も稔り田も 野田信章
刈らるべき稔田や黄に透きとほり 相馬遷子 山河
逆光の稔り田に密着の頬かむり 大胡寿衛
父よ黄泉はこの稔田の明るさか 田所節子
稔り田に雨や濡れ身の青年佇つ 寺井谷子
稔り田に裾ゆるく曳き津軽富士 高井北杜
稔り田に二つの神輿光り合ふ 冨田みのる
稔り田に風神尻をつきし痕 本井英
稔り田に無頼の草が混り立つ 山口誓子
稔り田の白や俄に鷺となる 中山婦美子
稔り田へせり出す佐渡の能舞台 橋本榮治 麦生
稔り田までひかりの径昼を眠る 北原志満子
稔り田を置く谿々のまつり笛 福永耕二
稔り田を率て香具山の歩きさう 宮坂静生 春の鹿
稔田となる衣川古戦場 塩川雄三
稔田に交りて稗のまんめんじん 高澤良一 随笑
稔田の上に高圧線たるむ 池田秀水
稔田の匂ひ盛り上げ通り雨 篠田 瞳
稔田へ弔花の裏を並べたる 蓬田紀枝子
稔田へ風やはらかし素十の忌 竪 ヤヱ子

稔り田 補遺

どこまでも稔り田どこも刈られずに 草間時彦 櫻山
雨にさへ歓喜の色よ稔り田は 林翔
刈らるべき稔田や黄に透きとほり 相馬遷子 山河
君の亡き家の稔り田鶏の小屋 右城暮石 句集外 昭和三十九年
砕石場稔り田共に棚をなす 山口誓子
実り田を行く自転車のふらふら燈 上田五千石『琥珀』補遺
寂蒔という地の稔り田がつづく 金子兜太
出雲路や稔り田刈田となりあひ(島根七句) 鷹羽狩行
神風と書きし幟を稔り田に 山口誓子
丹波路の稔田の黄や綾子逝く 桂信子 草影
日当りて稔り田は黄の底光り 山口誓子
抜け駆けの穂無し稔り田真平ら 山口誓子
万頃の稔り田祭幟立つ 右城暮石 句集外 昭和四十四年
稔り田が入り込む山の懐に 山口誓子
稔り田に鉄塔の影股開く 山口誓子
稔り田に無頼の草が混り立つ 山口誓子
稔り田のほかこれほどの黄は非ず 右城暮石 散歩圏
稔り田の一部を街路灯照らす 右城暮石 天水
稔り田の中に鉄筋小学校 津田清子
稔り田の夕映えに母薄められ 佐藤鬼房
稔り田は三原色の黄色なり 山口誓子
稔り田は平にて善きものに満つ 山口誓子
稔り田は赭き鉄路に道を開け 山口誓子
稔り田を一望疵の太郎杉 佐藤鬼房
稔り田を無宿者ゆく逆か立ちなんど 金子兜太
稔田の夕映褪むるとは思へず 伊丹三樹彦
稔田を眼下精英樹の孤独 佐藤鬼房
稔田を裳裾に霧らひ国上山 石塚友二 玉縄以後



by 575fudemakase | 2017-08-17 12:13 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)


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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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