2017年 11月 22日 ( 4 )

軍艦 の俳句

軍艦 の俳句

軍艦

アダリンが白き軍艦を白うせり 西東三鬼
カツ揚る沸騰空母沈むさまに 大原テルカズ
クーラーのしたで潜水艦つくる 大石雄鬼
くろがねの戦艦ドック星月夜 脇本星浪
このわたや空母ぞろりとみんなみへ 永末恵子
すぐそこに軍艦のゐる金魚玉 関口謙太
まぼろしの空母に種を蒔きゐたり 攝津幸彦 鹿々集
まぼろしの戦艦ゆけりさくら貝 白岩 三郎
ヨットハーバー見張りの如く軍艦浮く 影島智子
安珍の軍艦一ツわたし船 正岡子規
雲の峯艨艟雲に隠れ行く 雲の峯 正岡子規
艶笑劇場(バーレスク)地下の「戦艦ポチヨムキン」 高橋龍
遠景に軍艦 落花撥ね 撥ね 基地の少女 伊丹公子
沖へ軍艦髭垂直にきりぎりす 星野昌彦
沖を行く軍艦はあり盆の月 比叡 野村泊月
屋上に洗濯の妻空母海に 金子兜太
音もなく空母の燃ゆる春の海 星野石雀
夏の髪潜水艦になりたがる あざ蓉子
火のついた受話器 軍艦が見える部屋 伊丹公子
火のついてた受話器 軍艦がみえる部屋 伊丹公子
花みかん潜水艦の来てをりぬ 松下章子
花八つ手敵の母艦が潜む庭 高澤良一 随笑
改札より潜水艦の見えて冷ゆ 田中貞雄
海底に軍艦沈んで吐き出す海 大屋達治 繍鸞
海底の戦艦を発つ黒揚羽 高野ムツオ 雲雀の血
貝掘りのすたすたと行く沖に空母 寺井 谷子
顎引いて睡り空母を消す嬰児 五十嵐研三
刈草高く積み軍艦が見えなくなる 鴻巣又四郎
寒い朝巨大空母と茶の間に居り 国 しげ彦
岸釣の軍艦岩は人多し 天野 逸風子
眼をつむり軍船の豚にならう 藤後左右
駆逐艦沖に黒船祭来る 名高栄美子
空母「みどり」秋天に泌みいる血友病 攝津幸彦
空母仮泊の暮れる沖見え餅焦がす 畑稔
空母浮き枯葉ばかりが音たてる 柿本多映
空母来て日がな一日秋の蝿 木枝一翁子
屈強のタオルを運ぶ潜水艦 攝津幸彦
軍艦 いいえ 遊覧船 日暮黄浦江 伊丹公子 機内楽
軍艦が軍艦を撃つ春の海 高柳重信
軍艦が常の笑ひのあひるかな 攝津幸彦
軍艦が大きくなりぬ冬の暮 綾部仁喜 寒木
軍艦が沈んだ海の 老いたる 富澤赤黄男
軍艦が日傘の端で見えぬなり 波多江敦子
軍艦が乳房の上に浮かんでいた 暉峻康瑞
軍艦と鴨の一団入江統べ 高澤良一 石鏡
軍艦と呼ばるるビルやいなびかり 上谷昌憲
軍艦に四万六千日の波 高澤良一 素抱
軍艦に乗つて遥かな雪達磨 渡辺誠一郎
軍艦に鼠がすめり愚は人に 杉村聖林子
軍艦に遅れて着きぬ赤き靴 攝津幸彦
軍艦に天長節の夜会かな 数藤五城
軍艦に明るき祖父の葛湯かな 攝津幸彦 鹿々集
軍艦に落ちゆく鳥や春の鳥 中村 苑子
軍艦のあとかたもなき海市かな 荒木かず枝
軍艦のそばに鰡釣る小舟かな 福田把栗
軍艦のデッキの菊や佳節凪ぎ 飯田蛇笏 山廬集
軍艦のやうな靴ある梅雨の土間 砂山節子
軍艦の沖にかゝるや春の風 春風 正岡子規
軍艦の海苔麁朶に遠く掛りけり 海苔 正岡子規
軍艦の錆浮き上がるカステーラ 星野昌彦
軍艦の出入り眼下に菜を間引く 石松昌子
軍艦の全身見えて氷水 櫂未知子
軍艦の沈みしあとを群千鳥 千鳥 正岡子規
軍艦の泊まる港や植木市 栗原利代子
軍艦の帆檣高し渡り鳥 渡り鳥 正岡子規
軍艦の浮標に下りる千鳥哉 寺田寅彦
軍艦の迷路 鏡に兵の背後がある 伊丹公子 陶器の天使
軍艦の模型に死せり大蜻蛉 坂本久子
軍艦はみな火ともしておぼろかな 会津八一
軍艦は沈むが島は沈まぬぞ 藤後左右
軍艦へ身を寄せている貝がある 山本芒原
軍艦へ夕鯵運ぶボオト哉 楽々
軍艦も父も写真や花火の夜 脇本星浪
軍艦や流るる汗に鋼の膚 筑紫磐井 婆伽梵
軍艦をひとひねりする秋の暮 攝津幸彦
軍艦を見に行く舟や秋日和 秋日和 正岡子規
軍艦を桃と思ひて沈めたり あざ蓉子
軍艦を陸に封じて雲の峰 綾部仁喜 樸簡
軍艦何のかたまり青田闇からみえ 五十嵐研三
軍艦島見んと花野を抜けにけり 高田たみ子
軍艦曇る無音の沖や秋砂防 古沢太穂 古沢太穂句集
軍艦入港朝の艀に乳張らせ 金子兜太
軍船は海にしづみて花ぐもり 飯田蛇笏 山廬集
軍船よ浮ぶ豚舎よどうにかならう 藤後左右
軍船よ浮ぶ豚舎よ死にたくは無い 藤後左右
軍船よ浮ぶ豚舎よ着けばわかる 藤後左右
軍船よ浮ぶ豚舎よ負けはすまい 藤後左右
原子力空母卯浪を蹴立て発つ 稲畑廣太郎
高原を空母とおもふ良夜かな 仲寒蝉
妻は母艦 ぼくは母艦の灯へかえる 二見杏路
菜の花の沖に潜水艦浮かぶ 佐川広治
珊瑚生れもう戦艦の来ぬ青さ 玉城一香
秋かすむ戦艦といふこはれもの 松澤雅世
十五夜の沖軍艦の行く眩暈 下向良子
十五夜の潜水艦は水の中 攝津幸彦
春月の丘校舎成り艦艇沈み果てぬ 藤後左右
初汐やどつくにはいる軍船 初潮 正岡子規
初嵐軍艦悠然として來る 初嵐 正岡子規
松虫や兄は潜水艦乗りだ 相原左義長
榛名赤城も霞む軍艦の世は過ぎて 伊丹公子
深海に軍艦腐る磯遊び 吉田汀史
水羊羹軍艦いろに冷えている 山田雲洞
雪だるま兄は潜水艦だった 相原左義長
雪崩です沈みゆく白い軍艦です 田中芥子
戦艦が沈んでゆきし夜長かな 大口元通
戦艦にて父の越えけむ海原を飛機に越え来て父を越ええず 金子貞雄
戦艦の骨箱にして蕨萌ゆ 川崎展宏
戦艦の如く冬雲進みけり 本居三太
戦艦は海底にあり黄砂降る 大庭紫逢
戦艦描く鉛筆をまた十本削り 五十嵐研三
洗つた手から軍艦の錆よみがえる 林田紀音夫
潜水艦さくらのために浮上する 佐藤虎雄
潜水艦のごとく眠りぬ熱帯夜 森須 蘭
潜水艦のようにとんぼが飛んでいる 西川 徹郎
潜水艦繋がれ数え日の入江 高澤良一 石鏡
潜水艦全艦浮上夏来る 重松早由未
潜水艦泊つる呉港鰡飛べり 川口崇子
潜水艦浮いて若布も浮いて来る 原徹 銀化
潜水艦浮かびあがれば雨月なり 杉本雷造
潜水艦霧雨隠りにその艦尾 高澤良一 石鏡
窓のなき潜水艦に雪降れり 茨木和生 木の國
霜月の軍艦ひそむ入江かな 霜月 正岡子規
敵艦は撃たれ月光梅に照る 渡邊水巴 富士
敵艦を弔す水仙挿しゝばかり 渡邊水巴 富士
冬の波軍艦岩をひと呑みす 富内英一
冬雲や父軍艦に朱を掲げ 宇多喜代子
虹が出るあゝ鼻先に軍艦 秋元不死男
日暮れ胸裡に冥府の空母わだかまる 林田紀音夫
入学や軍艦冨士を校舎とし 大橋櫻坡子 雨月
猫の上の日向の汚れ空母近し 杉本雷造
梅雨入の大学病院軍艦めく 高澤良一 寒暑
白栄えて我がくれないの軍船 松田正徳
白鳥や空母浮んでなにもせず 和田悟朗
麦踏や沖にはみだす空母の灯 竹下流彩
病院は軍艦に似て終戦日 高澤良一 素抱
父の日のドックに乾く潜水艦 内田美紗 誕生日
風入るる軍艦榛名よりの文 高橋沢子(愛媛若葉)
分捕の軍艦見ゆる涼みかな 正岡子規
暮れてなほ母艦遊びや青木の実 高澤良一 素抱
明易や軍艦はまだ錆のまま 宇多喜代子 象
明月の夜の湾に肌漬けて青ざめてゐた軍艦 藤田秋泉
木瓜咲いて軍艦マーチ歌いだす 岸本マチ子
遊覧船の鏡裡に 軍艦と少年の首 伊丹公子
緑蔭に男は優しき潜水艦 夏石番矢
冷まじや軍艦のそば下駄流れゆき 納漠の夢
鷲の眼に濤と戦ふ巨艦あり 永田青嵐
泛く原理鴨と同じや軍艦は 高澤良一 石鏡
稻妻や敵艦遠く迯げて行く 稲妻 正岡子規
蠅生れ戦車軍艦復た還る 石塚友二

軍艦 補遺

アダリンが白き軍艦を白うせり 西東三鬼
ガラスのコツプ--戦艦が炎えてゐる 富澤赤黄男
すれちがふ戦艦我等稼ぐなり 三橋敏雄
むつふじと軍艦の名よあはれ林檎 山口青邨
よろけ顕つ女神の尿の艨艟(いくさぶね) 佐藤鬼房
わが孤絶の 無燈の軍艦(ふね)は脱出せり 富澤赤黄男
われありぬ軍艦島に春の海 山口青邨
安珍の軍艦一ツわたし船 正岡子規
雲の峯艨艟雲に隠れ行く 正岡子規 雲の峯
屋上に洗濯の妻空母海に 金子兜太
灰色の艨艟据り浪寒し 日野草城
寒江に敵艦甲板以下浸り 山口誓子
軍艦が沈んだ海の 老いたる鴎 富澤赤黄男
軍艦に落ちゆく鳥や春の鳥 中村苑子
軍艦のデッキの菊や佳節凪ぎ 飯田蛇笏 山廬集
軍艦のどれもより朝の喇叭が鳴れり 尾崎放哉 大正時代
軍艦の沖にかゝるや春の風 正岡子規 春風
軍艦の海苔麁朶に遠く掛りけり 正岡子規 海苔
軍艦の沈みしあとを群千鳥 正岡子規 千鳥
軍艦の帆檣高し渡り鳥 正岡子規 渡り鳥
軍艦を見に行く舟や秋日和 正岡子規 秋日和
軍艦大鯨の水兵が受く破魔矢かな 山口青邨
軍艦入港朝の艀に乳張らせ 金子兜太
軍船は海にしづみて花ぐもり 飯田蛇笏 山廬集
月下ゆき<旗艦>誌かなしく背嚢に 伊丹三樹彦
燦めく空母 石段に子の拳銃昏れ 伊丹三樹彦
捨て犬の灰色にみる母艦浮き 赤尾兜子 虚像
秋の浪艦艇長き艫を牽く 山口誓子
初汐やどつくにはいる軍船 正岡子規 初潮
初嵐軍艦悠然として來る 正岡子規 初嵐
吹雪くらみの 僚艦 専らラッパ磨く 伊丹三樹彦
吹雪く渡舟 僚艦みたいに女囲み 伊丹三樹彦
潜水艦ぽっかり フォークダンスの男女の沖 伊丹三樹彦
霜月の軍艦ひそむ入江かな 正岡子規 霜月
敵艦は撃たれ月光梅に照る 渡邊水巴 富士
敵艦を弔す水仙挿しゝばかり 渡邊水巴 富士
溺愛の虻つれてゆく軍艦よ 飯島晴子
蝿生れ戦車軍艦復た還る 石塚友二 光塵
分捕の軍艦見ゆる涼みかな 正岡子規 納涼
霧雨の艦艇あをき夏衣の娘 佐藤鬼房
明笛鳴り軍艦通る月見草 中村草田男
稻妻や敵艦遠く迯げて行く 正岡子規 稲妻
藪漕ぎ抜けの島頂 昔 「敵艦見ゆ」 伊丹三樹彦
蠅生れ戦車軍艦復た還る 石塚友二 光塵
襁褓の隙空母仮泊の暑い海 飴山實 おりいぶ

by 575fudemakase | 2017-11-22 08:20 | 無季 | Trackback | Comments(0)

那智の滝 の俳句

那智の滝 の俳句

那智の滝

いのちなりけり元朝の那智の滝 松尾隆信
しばらくは滝と語りぬ那智の奥 市野沢弘子
せり上る都踊の那智の滝 大橋越央子
どこからも見えて那智滝冬に入る 路 清紫
みづからのしぶきにけぶり那智の滝 片山由美子 天弓
雲よりの那智の御滝神杉に 河野静雲
海からの風にたなびくや那智の瀧 長谷川櫂 虚空
近づけば木立に隠れ那智の滝 片山由美子 天弓
銀漢に鳴りとよもせる那智の滝 鈴木貞雄
結氷をゆるりと落とす那智の滝 小林茂晴
枯滝にして拝まるゝ那智の冬 高浜年尾
御ン滝の那智ぞ那智ぞと翻る 沼尻巳津子
轟きに虹を架けたり那智の瀧 五島高資
秋の海那智山滝を落しけり 内藤吐天
初空に那智の滝あり入港す 山下青葭
神にませばまこと美はし那智の滝
水貝やその足で発つ那智の滝 宇佐美魚目 天地存問
瑞籬や神にまします那智の滝 高橋淡路女 梶の葉
勢いを静めて落とす那智の滝 佐々木ゆき江
大那智の滝の上なる初御空 泊月
大那智の滝水那智を養へり 右城暮石 上下
大和蝉恋ひ来し果てや那智の滝 沼尻巳津子
滝をさゝげ那智の山々鬱蒼たり 相馬遷子 山国
滝を捧げ那智の山々鬱蒼たり 相馬遷子「山国」
滝茶屋や那智の巫女時計見に 高橋淡路女 梶の葉
滝涼し那智の巫女字を習ふ 橋本鶏二 年輪
瀧落ちて月光那智にあふれしむ 黒田杏子 花下草上
注連高く那智の瀧空雲置かず 下村ひろし 西陲集
那智に座す荒ぶる魂を滝となし 稲岡長
那智の滝たま~めをと遍路かな 高橋淡路女 梶の葉
那智の滝一尺見ゆる雛の家 吉本伊智朗
那智の滝見るたのしみの花の旅 星野立子
那智の滝秋の虹へと遡る 五島高資
那智の滝葉月の空に懸りける 加藤不二也
那智の瀧一尺見ゆる雛の家 吉本伊智朗
那智の瀧見し眸に巫女の燃えにけり 野見山朱鳥
那智を去る瞼に滝の落ちつづけ 山口超心鬼
那智滝の巌頭に佇ち青下界 角川源義
那智瀧のしぶきをあびし年もゆく 細見綾子
白でなし透明でなし那智の滝 宇多喜代子
白光の天上天下那智の滝 成田千空
白木蓮や遠くひかりて那智の滝 石原八束
磐石に置きし法皷や那智の滝 橋本鶏二 年輪
緋縅の蝶吹き上げよ那智の瀧 筑紫磐井 婆伽梵
碧落へ注連張つて那智一の滝 肥田埜勝美
補陀落やあらはにおはす那智の滝 高橋淡路女 梶の葉
補陀落や滝の聳ゆる波の上 春樹 (海上より那智の滝を望む)
望むべし神の滝縦一文字(那智瀧) 岸田稚魚 『萩供養』
万緑をしりぞけて滝とどろけり 七菜子 (那智)
命綱付けて注連張る那智の滝 後藤静一
薬草を掘るまなかひに那智の滝 上村英雄
落下する先も虚空や那智の滝 稲岡長
涸れ細りたりとはいへど那智の滝 森田峠 避暑散歩

那智の滝 補遺

うすもみぢしてよそほへり滝の山(那智の滝) 細見綾子
はるばると来しふだらくの滝の前(那智の滝三句) 細見綾子
ふだらくの那智瀧紅葉してあらむ 細見綾子
一月や素の水落す那智の瀧 森澄雄
稲架組みて那智の里人滝も見ず 村山故郷
沖邊より見ゆ天懸る瀧は那智 三橋敏雄
萱艸の花の朱の冴え那智の瀧(那智) 細見綾子
行く秋のふだらく山の鐘つきし(那智の滝) 細見綾子
時じくに秋空欠けて滝落つる(那智の滝) 細見綾子
秋の蝶ふたたび滝をよぎりたる(那智の滝二句) 細見綾子
昭和五十五年五月五日の那智御瀧 百合山羽公 樂土
大那智の滝一つ見て熊野去る 右城暮石 句集外 昭和三十九年
大那智の滝水那智を養へり 右城暮石 上下
滝の面のはつかな日ざし秋の虹(那智の滝) 細見綾子
滝をさゝげ那智の山々鬱蒼たり 相馬遷子 山国
滝落ちて朱の秋の蝶生れたり(那智の滝二句) 細見綾子
瀧しぶきにひたすら濡れてゐたりけり(那智の滝三句) 細見綾子
注連掛くる雪解小滝も那智の裔 上田五千石『琥珀』補遺
那智の滝まなかひに枝垂桜かな 山口青邨
那智の滝見るたのしみの花の旅 星野立子
那智の瀧高し巡禮道遠し 百合山羽公 樂土
那智の瀧木々草々の伏しなびき 阿波野青畝
那智詣かなひて滝の写真撮る 阿波野青畝
那智滝のしぶきをあびし年も行く 細見綾子
那智滝の大秋晴に会ひにけり 村山故郷
那智滝の巖頭に佇ち青下界 角川源義
那智瀧のしぶきをあびし年も行く 細見綾子 存問
盃の瀧水をのみほしにけり(那智の滝三句) 細見綾子
白毫の遠きを拝し那智の滝 鷹羽狩行


by 575fudemakase | 2017-11-22 08:16 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・9)

後評(2017・9)


お花畑天女のやうな雲流れ

恐らくお花畑には山霞等が流れていよう。俳句に詠んだのは目線上のお空の方。

同作者に秋簾の句があったが、アレは明治・大正・昭和初期あたりに既に詠まれてゐてもおかしくないと判断する故ここでは推さない。


歪なることまだ知らず青くわりん

当句に、何処か説教臭が籠もるのは、人に依っては瑕瑾と映ることがあるやもしれない。


青嵐仏横抱き螺髪彫る

仏師か?眼前如実である


葛の花誰も通らぬ道となり

もう誰も通らなくなった小径が葛原に消えている。


行き合ひの空より現れて滝一条

滝が自然に視野に入って来る…そこら辺の呼吸をうまく言い取っている


地獄草紙蛆虫眼ぎよろりかな

絵はマンガチックに出来あがっている。一寸稚拙にさえ感ずる程度に…。一言「ギョロリ」が効いた。今年 盛夏に三井記念美術館で 地獄絵展を見て来た。無論 地獄草紙も展観した。

上記の通りであった。


サングラス街騒シンとする思い

暗色に沈んでゆく想いはこんな感じか?


ゆく秋のこんなに深い空はじめて

独り言俳句のようなところがよい。「こんな」「あんな」は私も多用するところ。この措辞は

句の叙述に当たって、より具体性を与えるのでオススメしたいところ。(指示代名詞の効用)


頭を揺らし夏蚕は繭を作りゆく

夏蚕の頭部に焦点を当てて臨場感を引き出した。


溶けるほど雨に打たるる白芙蓉

雨に遭った芙蓉は正に溶けるが如くである。私は毎日咲いて散る芙蓉を見ているが全くこの通り。

材質感を完全に捉えている。芙蓉は白芙蓉でないと駄目だ。


ほらそことほつれをかがる蜘蛛を指す

逐一言葉を拾って一句と為した。この方の旨さは群を抜いている


鈴の緒のこんなに痩せてきて大暑

「こんなに痩せてきて」は一寸間延びして冗長感は否めないが、実体はシッカリ捉えてはいよう。


虫干の紐より帯のだらりかな

「紐」も「帯」もダラリとぶら下がることには大差はない。なのに、この作者は「帯」の方に敢えて、軍配を挙げる。駄目押しをやるのである。何故か。材質感を明示したいのである。


そのことの一瞬止まる遠花火

「そのことの一瞬止まる」とは進行する花火の一所作、一所作に目を配った時の言葉。この目配り、言い分がこの作者の独自なところ。凡人では「そのことの」は先ず出て来ない。


蓼科の霧閉ざしゆく小津旧居

小品で手堅い


川おこぜ父の近くで追ひし頃

「川おこぜ」なんて在の人の言う言葉であろう


鼠花火行き先を決めかねて果つ

大きな方向転換をするでもなく、足許近辺で愚図愚図しているのを見遣って、この小心者めがとでも内心言っているような一句。


汗の身を合掌一礼して正す

叙述に工夫がある。こんな事だって評価の対象になる。ゆめゆめ油断なさるな…


満月を載せて戻りぬ浚渫船

汚れた浚渫船をこう美しく詠むのも芸の裡


金輪際動く気のなき山椒魚

金輪際動かぬ蓮の間の水 は拙作。「金輪際」と「動く」「動かぬ」は昔から接着剤で貼り付けたような間柄。


滝となる水の真白に迸る

滝に豹変する前の水の本性につき言及した


城址も濠も名のみや蒲の絮

昔の痕跡を辿れるのも「蒲の絮」の御蔭。


白粉花飯盛墓の宿場あと

藤沢の宿には飯盛女がゐてその墓もあの辺りにあるからと誘いを受け吟行をした事もあった。

白粉花は、ちとつき過ぎの感もあるが、まぁこんなところかも…。


湯浴みして目瞑りをれば虫のソロ

「虫のソロ」が小憎い表現。


秋夕焼言の葉浮かぶ前に消ゆ

こんな風に持ってまわった表現が未だあったのか? 貶しているのではない。感心して居るのである。内心に起こって消えた一些事…。



以上


by 575fudemakase | 2017-11-22 06:00 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・11)

後評(2017・11)


2017年 11月 ねずみのこまくら句会の諸句


5諾へぬ電話の切れず夜の寒し

(これ実感。ご同情申し上げます。)

10この山の夕日集めて木守柿

(うーん 五七多少難無しとせず…厳しく言えば。)

11蝦夷鹿の雄叫びあとは風の音

(良いのか悪いのか?無論句は出来ていますよ…)

16寝座探す椋鳥の騒騒逢摩時

(こんな感じは確かある)

17秋祭り十枚こはぜゆるぎなし

(いざ出陣と言ったところ)

21上の子の鼻緒直せり七五三

(これは母親でなければ出来ない句)

26噂話あれ馬追の髭動く

(話ろくすっぽ聞いてないと言うこと?なら面白い。あれ松虫は確か唱歌の一小節。凝った句だ。)

31立冬や蒼天を突く避雷針

(詠み方としては正攻法)

33唇に残る通草の甘さかな

(局所を押さえたと思った)

39凍空の羽打つ音を返し来る

(ある程度の水準には行っているのでは?)

50眠る児の掌よりこぼるる木の実かな

(「こぼるる」がいいのか「こぼれし」がいいのか)

52秋惜しむ小雨に浮かぶ石舞台

(石舞台がせり出したという感じ…烟る雨に…)

54断捨離の書棚がらんと文化の日

(私も目下その最中なのです。シーザーの「ガリア戦記」等はもう一度読みたいと残した 一冊)

57やや寒や首まで浸かる薪の風呂

(昔は皆こんなだったんじゃあ…と振り返る。)

58無花果を煮詰める雨のひと日かな

(この手の俳句は何処かで見たような…。昔「濱」の女流がよくやったのでは…。)

59同郷の牛飼の墓冬深し

(一つの物語が在るにはあるが…)

66禅林の玉砂利の音初紅葉

(オーソドックスな詠法。先づ間違いない詠法。)

79秋水の己貫くごとくゆく

(こんな秋水もあろう。心理を自句に託した。)

81秋耕の鍬音高し空高し

(内容は然程とは思うが、「高し」のリフレインに引き摺られる)

86仲見世に飴を切る音七五三

(東京の俳人ならこれぐらいはおちゃのこサイサイでは?出来てはいるが季語は未だ動くのでは?。)

87水琴窟ちんちんちんと冬に入る

(個人的には水琴窟は詠まないが、この句の七五はグーと思う)

91雁鳴くやわたし降りれば空のバス

(七五は魅力的。問題は「雁鳴く」。これ以上があるかと言う点?無論 原句で充分だが。その上…。今句会で小生が一番興味をもつたのは当句。というのは、大野林火の句に「紙漉きのこの婆死ねば一人減る 潺潺集 昭和四十一年」と言うのがあって、その口吻がこの句にも見られるのである。林火親しやである)

93千枚田守る田捨てし田草紅葉

(千枚田も荒れ出した… 市松模様に現実が…)

96化粧櫓渡り櫓と紅葉散る

(写生句 まあまあの作品)

97宮跡を巡り巡りて燕去ぬ

(未練を遺しながらと言う「情」が、吉と出るか凶と出るか?)

101絵屏風のラクダの隊商秋惜しむ

(平山郁夫の世界ですネ。それが判ったとして、この先だと言うのかここら辺でokと言うのか)

106投げ釣りや光のやうに秋の鱚

(「光のやうに」が出来ていると思う方おられると思うが、私はこここそ問題と認識している。

「光のやうに」ではまだ句を流しているレベルの話だ。)

110寄鍋を囲む二人となりにけり

(老俳人に類型がありそう。そこが一寸心配)

111日のぬくみ貰うて草のもみぢかな

(私好みの一句。叙し方も自然だし、句の構造もシンプル)

112たったいま掃いたばかりに山茶花散る

(内容は然程無いが語呂としては自然体。言い過ぎになるが、語呂だけでも俳句になるんだよと肝に命じたし!俳句をもっと広義に考えよ!が私の持論である。)

114採りたての蜜柑の届く駐在所

(駐在さんと「さん」が付く関係 。「駐在所」のところ「駐在さん」も有りかも?)

123ベランダの手摺ひやりと後の月

(「後の月」という季語は、どういうところでどう出すかが勝負処)

125黄落や鹿の歯形の残る木々

(類型なしとせずだが…)

126冬の苔日の差さぬ磴ぬめぬめと

(よくもまぁ誰も詠まぬマイナス部分の処を攻めた)

127吹き晴れの空の深さを鳥渡る

( 五七の鷹揚な持って行き方に吸い込まれる…)

132秋風や人の噂のブーメラン

(かなり省略しているが、判らないではない)

140ケリケリと渡り遅れし夜の鳧

(ケリを併せ過ぎた感もあるが、受け手により是非はマチマチか?)

141ぽきぽきと折れて水射す蓮の骨

(作者は「水射す」を言いたいんだろう?その時、蓮は単数、複数どちらが効くか?即ち「ガックリ」か「ぽきぽき」か?)

145日の落ちてぬくもり残る蜜柑山

(山窪のようなところにいるのかな?)

146ころり落つ青き柚子坊夕の鐘

(写生の一種と言ったらいいんでしょうネ 裏でリズムとっているネ)

147鮭のたうつ居繰網漁瀬の疾し

(報告 写生といったところでいやみはなく、スッキリ)

149人の影奪って秋の入日かな

(直ぐには判り難いが、ああそうかと腑に落ちるのでは…)

150白鳥の翔ちたる水のささ濁り

(出来てはいるが、まあまあと言うところか?)

151冬桜仰ぐそびらに天守閣

(寸景描写か?)

158鱗雲うろこ崩さず流れをり

(鱗雲全体が平行移動ということ。 ちょっとした発見)

159大熊手掲げ馴染みのコーヒー店

(下町の珈琲店といったところ… 私は珈琲ゼンゼン駄目だがいるいるコーヒー好き…)

161花八手かくれんぼするもの寄っといで

(「懐古」には弱い)

163葛咲くやくぐり抜けゆく川の音

(葛の紫に川音 清々しくていいじゃない)

166霜の朝硬き音立て牛乳瓶

(「硬き音立て」もいいが、それこそすこし硬き表現じゃあないか?私流だと 霜の朝ことり配達牛乳瓶 )

167猿のこしかけ夫亡き後も育ちをり

(「猿のこしかけ」はガンによいという噂を聴いたことがある。そこら辺の事が入っているんじゃないかこの句には…?)



以上



by 575fudemakase | 2017-11-22 05:52 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

観覧車 の俳句
at 2017-12-18 09:19
海豹 の俳句
at 2017-12-18 09:14
後評(2017・12)
at 2017-12-18 04:31
映画 の俳句
at 2017-12-15 09:21
歳時記 の俳句
at 2017-12-15 08:02

外部リンク

記事ランキング