カテゴリ:自作( 25 )

一緒くた

一緒くた

ねんてんの今日の一句に下記句が載っていた。
で、私の句にも過去に「いっしょくた」の句があったので
驚いた次第。私のは、「一緒くた」と漢字表記である。
普段の言葉であるが、句作シーンでは滅多には使われまい。
私の句はこうである。

揚げられて鹿尾菜天草一緒くた さざなみやつこ(1993)
啼く蝉の後先もなく一緒くた 素抱(2004)

(因みに、小生句は pdf形式で全句集をネット上に一般公開している)


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2016年3月9日

種袋種と空気といっしょくた 武田伸一

 「いっしょくた」がいいなあ。こういうことばが詩になるのが俳句の特色ではないか。こういう言葉とは普段の言葉である。「俳句年鑑」2015年版から引いた。(後略)

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また 驚いたことに 増殖する俳句歳時記 を見ていたら 下記句に遭遇した。

July 31 2014
 家族とは濡れし水着の一緒くた

                           小池康生
確かに。もう行くことはなくなったけど家族で海水浴やプールに出かけてぐしょぐしょになった水着を一緒くたにビニール袋に入れて持ち帰った。からんだ水着をほぐして洗濯機に入れて洗うのが主婦である私の仕事だった。びしょぬれになった水着の絡まり具合は「家族」と定義するのにふさわしい。家族の間で交錯する感情の絡みとごたごたを象徴していると言ってもいい。物々しい出だしに対して「一緒くた」とくだけた物言いで収めたことで句の親近感がぐっと増す。一緒くたになった水着を一枚ずつほぐして洗い、洗い上がった水着を形を整えながら干してゆくこと。遠い夏の日には何とも思わなかった作業が、水の匂いと共に懐かしく思い出される。『旧の渚』(2012)所収。(三宅やよい)
by 575fudemakase | 2016-03-12 04:47 | 自作 | Trackback | Comments(0)

文左の心づけ

文左の心づけ

下記一連は、小生の去る年の正月を迎えんとしていた折の拙作一連である。(句集 石鏡 より)


旧く狭く深き地下鉄十二月
長谷柑生さんよりみかん贈られて
紀州より蜜柑文左の心づけ
着膨れて福神漬を零しけり
柚子湯の柚鎖骨の辺りに寄り着て


柑生さんが私に送ってくれたのは、箱詰めの本場 紀州ものの蜜柑。
グッとタイミングの送りものであった。
そのお礼を兼ねての挨拶句が上句である。

その彼が二三日前に逝った。インターネット句会を長年共にした仲であった。

もう一つ 柑生さんと言えば忘れられないことがある。
去る時の句会で、柑生さんのみが採って呉れた句で、
小生もいささか思い入れのあった句のことである。

東西になるときんときべにあづま

がその一句。鳴門金時も紅あづまも共に代表的なさつまいもの種類。
方や関西の雄、方や関東の雄である。
時に関西人と関東者は張り合う。よく目にするところである。
そこら辺のニュアンスを下敷きにしたつもりだが、それを感知する御仁が御座らぬかの思いであった。
その思いの中に彼が居た。私の思惑通りであったかは定かではないが兎も角、一票は有難いことであった。

合掌


(なお、 紀州より蜜柑文左の心づけ の「 文左の心づけ」なるフレーズは 梅中軒鶯童の浪曲 紀伊国屋文左衛門(戻り船)辺りからパクったものと記憶している  )

因みに小生は浪曲 演歌が大好き。以下のcdを折々聴いている。今の歌謡界 島津亜矢 の 歌謡浪曲 が絶品である。


日本の伝統芸能シリーズ 浪曲編-66 紀伊国屋文左衛門
梅中軒鶯童
紀伊国屋文左衛門(ふいご祭)
紀伊国屋文左衛門(戻り船)

浪曲名人全集七 梅中軒鶯童 紀伊国屋文左衛門 紀文の船出(一)(二)

梅中軒鶯童
紀国屋文左衛門 ~朝の船出~
紀国屋文左衛門 ~戻り船~

三波春夫 歌謡浪曲編「豪商一代 紀伊国屋文左衛門」

島津亜矢 歌謡浪曲 豪商一代 紀伊国屋文左衛門

以上
by 575fudemakase | 2015-10-18 16:30 | 自作 | Trackback | Comments(0)

ニュートリノがらみ

ニュートリノがらみ

昨晩テレビを見ていたら、TV上段に梶田さんノーベル物理学賞受賞の文字が踊った。速報を見ればニュートリノに質量があると言う。ニュートリノと言えば、小柴さん。前回のノーベル物理賞受賞である。岐阜山中の地下深く、巨大な水瓶を作り、そこに無数のセンサーを設置してニュートリノを観察した壮挙である。あの時、小生の頭にこびりついたのは、ニュートリノの貫通性、あらゆるもの透過してしまう超能力である。こんな下地があって、さる年 湯西川温泉に一人吟行をした時、いちめんの新樹を見てピンと来たのがニュートリノであった。

以降にその時の小生の連作とスーパーカミオカンデのことを記しておく。今回の梶田さんの受賞は下記のニュートリノの振動の検出に係わることらしい。尚、梶田さんは小柴さんのお弟子さんであるとのこと。正確には戸塚さんのお弟子さん。(朝日新聞 2015.10.6 参照)

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カミオカンデ (KAMIOKANDE)は、ニュートリノを観測するために、岐阜県 神岡鉱山地下1000mに存在した観測装置。1996年にスーパーカミオカンデが稼動したことによりその役目を終え、現在は跡地にカムランドが建設され、2002年1月23日より稼動を始めている。

カミオカンデは、大統一理論の予言する陽子崩壊を実証するため1983年に完成した。

カミオカンデは3000トンの超純水を蓄えたタンクと、その壁面に設置した1000本の光電子増倍管からなる。ここで使用された光電子増倍管は研究グループと浜松ホトニクスが新規に共同開発した口径20インチのものである(一般に広く使われるのは口径2インチ型)。

カミオカンデが地下に設けられたのは、陽子崩壊時に放出されるニュートリノ以外の粒子の影響を避けるためである。ニュートリノはものを貫通する能力が高く、他の物質と反応することなく簡単に地球を抜けていってしまう。しかし、まれに他の物質と衝突することがある。カミオカンデは、このまれに起こる衝突を検出することで間接的に陽子崩壊を実証することを目的とした。

カミオカンデはニュートリノの衝突を検出するため、超純水をつかう。カミオカンデの内部には超純水がためられており、ニュートリノが水の中の電子に衝突したあとに、高速で移動する電子より放出されるチェレンコフ光は青白く発光し、壁面に備え付けられた光電子増倍管で検出する。

チェレンコフ光を検出した光電子増倍管がわかると、計算によりどの方角からきたニュートリノによる反応かがわかるしくみになっている。1987年2月23日、カミオカンデはこの仕組みによって、大マゼラン星雲でおきた超新星爆発(SN 1987A) で生じたニュートリノを偶発的に世界で初めて検出した。この功績により、2002年小柴昌俊東大特別栄誉教授は、ノーベル物理学賞を受賞した。

現在は、太陽ニュートリノやニュートリノ振動の検出、レプトンフレーバーの保存の破れの研究に活躍している。


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梶田さん、ノーベル賞確実視された亡き恩師の研究継ぐ
(朝日新聞 2015.10.6 )

6日、ノーベル物理学賞の受賞が決まった梶田隆章・東京大宇宙線研究所長(56)は、亡くなった恩師の思いを継ぎ、ニュートリノの研究を続けてきた。

 梶田さんがともにニュートリノの研究に取り組み、恩師と仰ぐ戸塚洋二・東京大特別栄誉教授は、この観測でノーベル賞が確実視されていたが、2008年に66歳でがんで亡くなった。思いを継いだ梶田さんは、この日の記者会見で「振動の発見は戸塚先生のご功績が大きい」とあらためて感謝のことばを述べた。

 大学院に進んだ若い梶田さんの前に現れた戸塚さんは、ドイツから帰国して間もない気鋭の研究者だった。「先輩たちは口々に『厳しい人が帰ってきた』と言っていた」

 戸塚さんは、カミオカンデで素粒子ニュートリノをとらえた業績で02年にノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊さんの後を引き継いだ。1996年に稼働したスーパーカミオカンデで、研究グループをリードした。

 「鬼軍曹」と呼ばれ、若い研究者たちに「実験物理学者にはデータが一番重要」とたたき込んだ。その一方で、研究室でウイスキーを片手に梶田さんら若手を激励する温かさがあった。

 戸塚さんは宇宙線研の所長になっていた00年、大腸がんの手術を受ける。その翌年、スーパーカミオカンデの光検出器の半分が壊れる大事故が発生。実験継続が危ぶまれ、メンバーは途方にくれた。

 だが、戸塚さんはあきらめず、1年後の実験再開を表明した。破損原因もはっきりせず見通しもないなか、病を押して強い指導力を発揮。メンバーを奮い立たせ、翌年、観測は再開された。梶田さんは「戸塚先生の献身的で強力なリーダーシップがなければ、現在のスーパーカミオカンデも宇宙線研も考えられない」と振り返る。

 戸塚さんの葬儀で小柴さんは「もうしばらく元気でいてくれれば、日本中が(受賞で)大喜びする可能性が多分にあったのに」と弔辞を読んだ。

 戸塚さんが亡くなってから7年。惜しまれつつ早世した師の仕事を引き継いだ梶田さんに、「カミオカ」2回目のノーベル賞が舞い込んだ。

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小生 第十句集 素抱 より

湯西川行
ハンカチをすこし余分に旅支度
山藤のむらさき散り込む魚道あり
分け入りし山ならではの一新樹
ニュートリノ天網を抜け新樹山
ニュートリノ達してをらむ新樹山
敦盛草母衣らしきもの抱え初め
林間にさんざめく鳥新樹雨
前山の新樹に吸はる昼の雨
新樹山臨みてアイスミルクかな
出湯出づ脛のすうすう新樹冷え
山女釣荒くれ岩をひょいひょいと
一行の瞬き仰ぐ新樹雨
山径を降らるるままに新樹雨
身の内の閂外れ若葉の湯
新樹雨顔にぽつんとあとばらばら
鳥ごゑの語尾尻上り新樹山
新樹雨四辺を打ちてまたたく間
大粒となりて新樹を襲ふあめ
新緑に慣れたところで山下る日
写生して山の新樹のもくもく感
河原石皚々天より下り藤
藤見事見事とぞとこゑ車中より
花あけび引率の子は上級生
山峡の燕巣造りこれからよ
新緑の此岸に村はかたまりて
新緑の押し寄せてゐる一山村
新樹高しいつまでもゐる鳥の向き
花通草物音一つたてぬ村
栃若葉山の天気に恵まれて
岩魚の瀬すこし上ミ手に山女の瀬
桐の咲く民宿で売る遊魚券
蕗を過ぐスクールバスの空車
オムレツのやうにやはらか新樹山
旧道は細々常磐木落葉みち
山藤とおぼしきが垂れ向ひ山
奥鬼怒川温泉
バードウイーク森のみどりに染まるべく
代田水いまにも雨が降りさうに
いつ降ってもよささうな空花空木
雷又雷尾根の新樹を震はせて
雷( いかづち) は会津の方よりそれっきり
板の間に落つかなぶんの硬き尻
湯疲れのそこはか溜る新樹雨
湯けむりも櫟若葉ももくもくと
杉落葉積もり旧道絶えだえに
新樹山連なるまゝをスケッチす
鬼怒川温泉
若葉風温泉街に吹き込めり

以上
by 575fudemakase | 2015-10-07 05:32 | 自作 | Trackback | Comments(0)

10月の拙句 2015

10月の拙句 2015


ねずみのこまくら句会 15年間の10月投句の拙句をリストアップする。

2014年
玉すだれのこっちの道を行ってみよう
踏み潰され飛び散る毛虫所詮は水
穴子割かれ真一文字となるその身
機嫌よく朝の浅漬高鳴らす
すずむしの鈴を転がす台地ゆく
秋の湯屋カミソリ一ケ三十円
靴箱の上に靴置き颱風裡
木犀は風の間に間に高台駅
秋寂びの濡れ縁猫の昼寝台
文鎮のからかね戦艦秋ぐもり

2013年
腰に手をやりて秋暑の炒めもの  
夏草にボテボテ打球来て止まる  
委任状細部埋めて昼の虫  
茶の間消え浴室点る良夜かな(隣家)  
躰よりこころ抜け出す星月夜  
秋の暮そんな感じがより適ひ  
その字づら虎の威をかる蝿虎  
迷はぬやう再度秋暑の路教ふ  
リロリロとこゑに張りある朝の虫  
へこたれず鶏頭倒れても横這ひ

2012年
天高くあらんその意に雲そむき  
東西になるときんときべにあずま  
よべ良夜の玄関灯の消し忘れ  
栗むく妻「あらもう六時」とそこを起つ  
蜘蛛の囲を一つ破りて十破る  
ぎんなんを剥く手を休めうんざり顔  
月と雲折合つかず雨となる  
水に木に秋の降り立つけはひかな  
山かーんと晴るる日柴栗蹴っ飛ばす  
ががんぼの物腰よろしく古書店主

2011年
無月なるコップの尻の濡れてゐる  
芋つゝき食の好みもほぼ同じ  
めをとして浅漬け好みとはなりぬ  
道の端の雄日芝うらぶれざるは無く  
夕餉あと手持ち無沙汰よさすれば月  
めうが・なす月見の供物はありあはせ  
妻横に寝息立てゐる良夜かな  
秋曇りどこかで消毒せる匂ひ  
水に落つ草叢に落つ木の実かな  
虫の音に隙間のあらず漆闇

2010年
火ぶくれの脂ぶくれの焼きさんま  
ぶだう郷空気が旨し水旨し  
客引の十円さんまに人だかり  
天麩羅の油切りをり夜の秋  
秋晴れの昨日何せし筋肉痛  
苦瓜の疣々雨滴零しけり  
坪庭にいやはや何とも蟲繁し  
芙蓉咲き出せるはをとつひあたりより  
しきたりの如くにぶだう洗ふなり  
三秋へ堰切るやうに梨・ぶだう

2009年
爽やかに云へる一つといふ数詞  
成り行きのさうはゆかないいわし雲  
整然とせぬがよき庭小鳥くる  
夜気押して夕顔の花開きけり  
値の張るもえいっ買っちゃおうだだちゃ豆  
大破して青芭蕉とは云へぬもの  
午前中種採りをして過ごしけり  
栗の皮剥くといふよりひっぺがす  
まるまって芙蓉は朝を迎えけり  
小判草雨にふやけて腐るとは

2008年
貫入の尻まで及ぶ石榴の実  
あれれれと虫喰い茹で栗抛り出す  
どちらかと云へば秋刀魚の尾の部分  
大椨のくびれるところ秋湿り  
突然の雨に引きつる虫音とも  
近場にて萩を見るなら寶戒寺  
色無き風家に使はぬ部屋殖えて  
鳩吹く風待たず内閣倒れけり  
溝蕎麦の倒れ込むまで雨滴抱き  
稲の花人生くよくよしてゐては

2007年
澱む茶のごとく坐しゐて夜長の底  
夜寒さのがちゃがちゃやらねば締まらぬ戸  
秋晴をだうかうもなく家に居り  
悪たれは何處にでも居るまんじゅさげ  
向日葵の種皆窮屈さうにして  
「さうはどっこい」身ひねりかわす蜘蛛の糸  
魚にもくちびるやや寒覚へけり  
冬瓜にこんな食べ方あったっけ  
月の家ヒゲタ醤油の髭の屋根  
種採のほかに用なき庭となり

2006年
電波時計電波受信の夜の長き  
ポットの湯底ついてゐる夜長かな  
豚カツのツマのパセリのやうな日々  
ショウリョウバッタ口きくならば減らず口  
雑草の実にもうち捨て難きもの  
敬老日番組玄米健康法  
江ノ電の踏切女郎蜘蛛見上げ  
蜘蛛の囲に一つの攻防見たりけり  
女郎蜘蛛屋敷と云ふに躊躇せず  
空澄むと旅する定年万万歳

2005年
雄日芝に雨透きとほり透きとほり  
銀杏の生る木生らぬ木思し召し  
秋色のこれより亘る街並木  
朝顔の残りの花期を尽してや  
萱初穂泥亀新田たりし地に  
峰雲の力づくにて作りし塔  
好例と引き合ひに出し集(たか)る蟻  
百日紅再燃雨の日曜日  
隼人瓜当世風を通しけり  
口許に力を入れて綱引す

2004年
金木犀侏儒の寸劇始まりさう  
けんぽなし昨夜の嵐の落としもの  
帽子付どんぐり探せどなかなか無し  
颱風禍百葉箱の脚くじけ  
ハイキング気分で葉月のフランスパン  
ここ残し秋刀魚の食べ方知らぬ妻  
颱風を頭上にしてラ・カンパネラ  
コスモスにぼろんぼろんと雨の降る  
鶏頭のだう倒れても墓地の中  
麻酔銃もて撃ち山に戻す熊

2003年
途方もなき稲穂の寄する小学校  
芋煮会蠅も仲間に入りたがる  
稲雀飛来選り取りみどりの田  
秋風にだば発ちますと舟下り  
露どきの魚の眠りに棹さして  
秋興の舟唄下る最上川  
秋霖をついて朝より八目鰻(やつめ)漁  
昼の虫電車はなんぼ待てば来る  
花すすき河の流れのやうにかな  
秋の日にぬくむ渡しのごろた石

2002年
息づける紅葉に急所あるごとし  
神品の桂黄葉とうち仰ぎ  
二大樹の銀杏黄葉の消耗戦  
上背のあればやアキノキリン草  
英名は緑の狐のしっぽ草(えのころ草)  
風体をとやかく云はれ破芭蕉  
鵙が鵙にちょっかい出して遣合へり  
見栄坊の烏瓜村はづれにも  
紐あるごと零余子芋蔓式に落つ  
ずぶ濡れの鵙の平気の平左かな

2001年
祇女尊女祇王尊女と紅葉観る  
嵐山交番点す秋灯  
池暮れて鷺も塒へ天龍寺  
もみづれる寺に預かる幽霊図  
丈山の清貧ゆかし十賊の辺(詩仙堂)  
露の他省き尽くして銀沙灘(銀閣寺)  
長き夜の灯を引き込みて先斗町  
隼人瓜ふくぶくしきを選りて買ふ  
湛慶の作とうんぬん露御坊  
落柿舎の庭木のそれもこれも柿

2000年
枝豆の古参ばかりとなりにけり  
かまつかにひたひたひたと小雨来る  
台風のアッパーカット喰らひけり  
柿すだれ吹かるる影のリズムかな  
秋暑なほ食(を)すピザホットメキシカン  
大粒の青ぶだうより知恵貰ふ  
鎌倉の今昔猛り鵙の寺  
蜻蛉待つ決勝点にゴールイン  
校庭に百日を経し百日草  
物音のよく通る空烏瓜

以上
by 575fudemakase | 2015-10-01 20:48 | 自作 | Trackback | Comments(0)

9月の拙句(2015)

9月の拙句(2015)

ねずみのこまくら句会 15年間の9月投句の拙句をリストアップする。

2014年
花火観る人人人人クレヨン画
これは虹これはおふねでこれは美雨(みう)(孫の云へる)
サイダーのあとは麦湯で口直し
夏惜しむなり廃刊もその一つ
踏みつけしものはと見れば団扇の柄
日当りて途端に止む雨をみなめし
颱風来てすっ飛ぶ木曜時代劇
台風の進路の続報続々報
夏の雨原っぱらしき原っぱ無し
蜻蛉の重なり切なきことをする

2013年
夕立と夕刊いづれが先に来る  
夜を更に深めて皿の黒ぶだう  
夫婦とはそもそも赤の他人にして秋  
もう誰も見遣ることなく蝉の穴  
古びるといふことふうせんかづらにも  
本題になかなか入らず秋扇  
気のついた時には初老いぼむしり  
蟷螂も種採日和の日に浴し  
新藷のはおるむらさき薄衣  
芙蓉越し登校誘ふこゑのして

2012年
真っ直ぐをまっつぐと云ふ老花火師  
よりにより鼻のてっぺん蚊に喰はる  
川音を糧とし長ける青すすき  
芙蓉より淡き花無し晩年へ  
足踏みをしてゐる颱風図に二つ  
ぶち当たり怯むは女郎蜘蛛の方  
俳人は霞を啖ひ大昼寐  
秋の蕾中途半端は許されず  
仕方なく蹤いてゆくなり秋の風  
だいたいの事情は聞いた冷やし酒

2011年
秋曇りうどんこ病の始末せり  
七節虫と気付きのけぞる下駄の音  
夕立に痣をつくりて取り込みもの  
蚊遣り臭き吾が身押したて起床かな  
青柿の小さけれども数こなす  
秋の蝶黄にしてパタパタやってをり  
あきらめの境地に似たり雨の蝉  
甌穴に入りて激する滝の水  
生身魂一糸乱れぬ生活ぶり  
夏の果鰤の血合に箸つけて

2010年
夏掛の軽き不安も寝入りばな  
ヴラジャーに包み込むもの目が泳ぐ  
秋草の乱れを解きに小さき風  
老斑を蚊と間違へて打つはをかし  
蟲時雨応(いら)えなければもう寝たか  
かう云へばああ云ふ妻と衣被  
冷やし酒ややもするとの言呈し  
単純と云へば単純蜘蛛の意図  
露の世に生まれ誰にも看取りごと  
草の花そのうち何處かに出るだろう

2009年
左様かとぶんぶん逃がして遣りにけり  
がむしゃらや火蛾もピストン堀口も  
水着濡れ後は野となれ山となれ  
図に乗ってはたき落とさる金亀子  
雲の峯本腰入れる気のありや  
考えても駄目なことあり天の川  
蝉の穴そこへ蝉殻突っ込む子  
かなぶんは悪(わる)ぞ証拠を押さえたぞ  
飽食の腹さすり出づ夏の月  
垢じみしものを拾へば蚊の骸

2008年
水といふ光鎧ふて遠泳者  
裸にて応対せんと指栞  
めうが汁妻はきのふの残りもの  
消しゴムの滓指先に丸め秋  
房州うちわ握り易くて女竹の柄  
新涼のキャラメル臘の包み紙  
年寄の日なり奮発して酢豚  
敬老日近場歩きし脚の塵  
草の実をしごく力も老いたれば  
老人の脾腹吹くなり秋の風

2007年
芙蓉咲きこっちを向ひて呉れぬ花  
徒浪の盆供曳きては打寄せぬ  
颱風禍まざまざチャンネル切り替えても  
颱風のそれはないだろ土砂崩れ  
草と草擦れ合ふ音も秋のもの  
小雨にもすぐに馴染みてしじみ蝶  
また夕立こどもだましのやうな空  
さきに寐し秋夜の妻の後向き  
朝顔に水やる朝の内がよし  
よその子とすぐうちとけて水遊び

2006年
ぶん投げられ糶らる鰹のメタリック  
逞しきいとどの腿に及ばざり  
一歩づゝ秋来る空とおもひけり  
端居して退職挨拶読み返す  
蝉時雨晩年押しつけられてをり  
夕顔の莟のこれは明後日  
満月にほっとする顔寄せにけり  
小遣いの前借りなどして八月盡  
ゲラ刷這ふ蟻の大きさ9ポほど  
紅にもう一盛り百日紅

2005年
つんつんとへなりと野辺の秋草は  
図書館の席取りの列今朝の秋  
穴惑通しどぎまぎしてゐる妻  
来客にすててこの腰泳がせて  
腹に据えかねるところをはたた神  
船蟲に持ち場持ち場のあるごとし  
煮浸しの鮃を返す八月尽  
昨(きぞ)よりけふ気力の優る紅芙蓉  
かまつかに殴りかからんばかりの雨  
苦瓜の渋面雨に叩かれて

2004年
雨に馴れ雨の隙とぶしじみ蝶  
かさぶたを掻きこはす癖八月尽  
新涼やあらかた骨の膝小僧  
土埃立つ道にこそ田村草  
鮑金(がね)一丁持って海底へ  
かまつかや来し方透いてみえるとも  
犯人を妻の見破る夜の秋  
朝顔の数の引算晦日へ  
紅蜀葵倒れ易きを立たせ咲かす  
芙蓉咲きけふもぼんやり日を過ごす

2003年
珊瑚樹の実や百日をうち過ぎて  
葉鶏頭勢いづいて来たりけり  
夕飯の支度そろそろ蝉音減る  
紫薇花下に極楽おもへとや  
こおろぎが畳のうへに上がり込む  
定年後峯雲つくづく見ることも  
鬼やんま飛行高度を上げにけり  
世尊に掌合はせるごとく芙蓉閉ず  
秋蝉として一日を長びかす  
新藷を水に濯げば紅はしる

2002年
くらげ文様六文銭に相似たり  
刀豆の天麩羅つまむごわつけり  
蟹のいふ事情とやらを聞きやらむ  
通院日またぞろ扇子持ち出して  
いちげんの客とし覗く生姜市  
覚め際に一つ伸びせり保己一忌  
月なかまでお向いさんの芙蓉咲く  
多羅葉の青き実善根積めとこそ  
無常迅速生死事大と萩咲けり  
買うてゆけ神明生姜とめ組絵馬

2001年
白露の亀怪訝さうなる顔を向け  
老人のお手の物なる芝刈機  
むづかしき顔して郁子を詠む御仁  
行ずりの墓地の塀越し槍鶏頭  
にこにこと寺の石榴の和尚顔  
青柿や雷親爺首出す家(懐旧)  
実ざくろや法事の木魚ぽこぽこと  
まんじゅさげ此処を黄泉路と違へ咲く  
ひょろひょろと優(やさ)彼岸花茎を立て  
玄関にて鳴くはこほろぎの居候

2000年
激賞のかまつか折れて仕舞ひけり  
年金の手続きあれこれ日の盛  
孫の来る部屋片づけて鳩麦茶  
さしあたり定期預金に片陰道  
片陰ゆくハローワークの呼び出し日  
風受けて直ぐなる幹をあゆむ蝉  
太幹に蝉ひっついて鳴きにけり  
しゃかりきになりて己(し)が声通す蝉  
さざなみの運河に百の目震災忌  
定年の挨拶状書き八月盡


以上


by 575fudemakase | 2015-09-01 00:02 | 自作 | Trackback | Comments(0)

8月の拙句

8月の拙句

ねずみのこまくら句会 15 年間の8月投句の拙句をリストアップする。

2014年
頭をよぎるものぼんやりと端居かな
蚊のこゑはうなじ辺りかねらいつけ
端居して振り返る日々晩年ぞ
横向いてそのまゝころり三尺寝
端居して爪切り了るあとは扨て
蚊遣火のくらくら廊下の突き当り
芙蓉に風納まるときのなかりけり
くらがりに誰が骨鳴らす熱帯夜
蚊のこゑと疲れは溜りやすきもの
すっぽんぽん暑さ和らぐことしらず

2013年
寝落つまでガタの来てゐる古団扇  
背に食い込むヴラジャーの紐夏旺ん  
本日の目玉の笊盛りたうもろこし  
ぬるき水夏の疲れのたまるごと  
八月も末の樺を労る雨  
夏暁の玄関燈をカチと消す  
一ト夏に伸びきる庭木誉めてやり  
蝉捕って死なす愚かをわが孫も  
まだ懲りず目高金魚と飼ひてなほ  
団扇風手首だらりと寝落ちけり 

2012年
本人の言ひ分だうだか水中り  
かちゃかちゃと夏は大味浅蜊汁  
花札をこき混ぜるかに緋鯉達  
ミソハギの盛りや墓地の案内来る  
色褪せし玩具のやうに昼寝覚  
チョイ役の関敬六の逝ける夏  
踊り場に歓楽街の蛾のむくろ  
早稲の香の入り来る合掌造りかな  
冷酒すともかく貴方明るいねぇ  
夕刊の熱気手にして終戦日 

2011年
鈍感な蝉の頭上に迫る網  
鰻の日これみよがしに流す煙  
キンカン塗り手慣れたもんよ生身魂  
をみなへし蜂(すがる)は勁き足腰持ち  
口癖の「かう暑くては」又漏らす  
やるせなき暑のせいにして痴呆の気(け)  
じくじくと体を為さざる雨後の蝉  
炎天へ出てゆくまへの独り言  
蚊遣して風の来る方抜けゆく方  
夕蝉にまだ見えてゐる木の容

2010年
荒廃の片棒担ぐ藪からし  
別人のごとく佇む夜のひまわり  
花火果つその大空のみみず腫れ  
一方に峰雲一方よりタンカー  
夕立の一気呵成のそれが来た  
生身魂達者なものよ卵焼く  
ふかし藷皮の赤さの切なけれ  
寝そべるに畳いちばん夜の秋  
手すさびの手のゆく腋毛八月尽  
夕立と妻はクイズを抛り出し 

2009年
終らむとしている夏の榎の実  
秋扇大病昨日のごとく遣り  
リハビリに励む立秋もうそこに  
卓上の蟻の一投足見て養生  
誰が仕業穴ぽこだらけの芙蓉の葉  
ピカドンの日もやり過ごし養生す  
ヒリヒリと蝉も胸板負ふ傷も  
竿伸ばす蝉捕の子の腹見する  
百日紅街をモダンにしたりけり  
秋草に適ふ彩刷く一葉あり 

2008年
寝るつもりなき昼寝してもう夕方  
食欲を司る腑の夏疲れ  
蜂の巣はもってのほかと眼にちから  
朝顔の予想に反しこんな彩  
我が家より抛り出したきこの暑さ  
夕立来と二階へ一段とばしの妻  
年寄りの夏着だぶだぶ好みかな  
兜虫不器用同士の角突き合ひ  
妄想の広がり止まぬのうぜん花  
冷し酒とことん溺れきれぬ質(たち)

2007年
釦かけ麻のしちめんどくさい肌着   
腹當をして大事とる齢   
籐椅子に腰を浮かせてまた余震   
門前に蜘蛛の巣張るとはとんでもない   
地震に揺れ金魚と年金暮しのわれ   
雷にい行くうしろを断たれけり   
夕立に何處か伸び伸びして晩酌   
迎え火は共に 送り火はひとり   
ところどころ言葉が消えて大夕立   
真炎天ピシと音して割けるもの 

2006年
スコールは洋上はるか固め降り   
めまとひに足許用心する齢   
朝顔の蔓の一つも蟻の道   
蝿たかる所をそれとなく見居り   
蝿を退け遣るにとどめぬ老いの箸   
向日葵に劣らぬ笑顔のヘルパーさん   
羽黒山祠々の蟻地獄   
暴(あば)かれし蟻の寝殿造かな   
蜘蛛の囲を掛けたきところに掛け待機   
暑き日々俳句詠むにも糞ぢから 

2005年
夏ガキは鳥海山の雨の味   
旅人の喉に納まる夏場ガキ   
霧呼んで行儀の悪き岳樺   
足どりのどんどん軽くなる郭公   
浴衣干す針金ハンガー湯治棟   
雪渓の風がつらさうヒナザクラ   
湯治人ボソボソ話しゐる夏夜   
青嶺攀ずよろよろ岩手県北バス   
ラムネ玉ころりと仙石原晴れて   
郭公に得したやうな顔をせり 

2004年
鳴神の幕引とんと目途たたぬ  
千里如面山ぶだう酒の送り主  
昼顔閉づしっかり花の稜(かど)立てゝ  
時余る年金暮らしに時計草  
夕立の音立てゝ街呑み込めり  
朝顔のくたんと十時廻る日に  
花火了へ戻る人々誼み顔  
棚咲きの朝顔に風縦横に  
港みらい虹を立たしめ娶る君(横浜ランドマークタワーにて)  
山ぶだう酒渋味(タンニン)と云ひ酸味と云ひ

2003年
さうかさうかお盆休か散髪屋   
青空がまるごと灼けて玉砕日   
炎天をマリオネットのごと歩し来   
肉声に肉声ぶつけ油蝉   
ピッチング入道雲の高さより   
颱風の腕力のほど身にしみて   
蝿叩遺品のごとく扱へる   
こゑも褪せ茶の出がらしのやうな蝉   
机に稿に羽蟻の落下傘部隊   
灰皿に灰横たはる終戦日 

2002年
忘られぬ機銃掃射の藷畑(母の敗戦日)   
あな蟻の門渡り風船葛にも   
急雨にもいけしゃあしゃあの法師蝉   
藪っ蚊の金属音の急降下   
彼の日のごと権兵衛坂は灼けをらむ   
低く飛ぶ真昼間の蝉見てゐたり   
今在さば七十路マリリンモンロー忌   
前の路地蝉捕りの子が往き来して   
日盛りを煌めき渡る風のあり   
この通り蝉は素手もて掴むもの(孫に示す)

2001年
あさがおに夏も了りの尿の音   
天牛の掴まえ方を披露せり   
蜻蛉の翅ゆるめけり枝の先   
秋風のそろと笠間の石狐   
訓示垂る大向日葵と思ひけり   
しじみは朝うなぎは午後と漁仕分け   
タマキビを剥がして遊ぶ盆休   
棒切れで追ひ廻されて蛇必死   
珈琲スタンド椋鳥のごと止まりけり   
魯山人旧居晩夏の厠借る 

2000年
風鈴を聞きつつ予後の身空なり   
栗の樹下髪を叩いて蟻落とす   
風鈴の広長舌を聞き遣るべし   
定年後麦湯の湯気のごとき日々   
空蝉の容に妻の昼寐して   
蝉の穴ホーチンミンの潜みし穴   
炎天に虫瘤の意気盛んなり   
マタドールレッドのトマトピザ焼けて   
定年だあ定年だあと蝉啼ける   
競ひ啼きにいにい蝉のみそっかす


以上
by 575fudemakase | 2015-08-01 17:07 | 自作 | Trackback | Comments(0)

4月の拙句

4月の拙句

ねずみのこまくら句会 14年間の4月投句の拙句をリストアップする。


2013年
春雨に顎を這はせてショベルカー良一
ぬるま湯でぶぐばぐ余寒の歯の掃除 良一
塔婆裏いっぱい蒲公英咲いてをり良一
押し移る風の間に間に寺牡丹良一
近在の誰彼が来て牡丹寺良一
黒牡丹遠にとぐろを巻くホース良一
この後も俳句専一筍飯良一
囀に容のありとせば吊鐘良一
家苞に花種付の灌佛会良一
木の葉髪あまた連ねて王義之展 良一

2012年
日は永くやぶらこうじのぶらこうじ良一
氷る沼冬青空を鑑(かがみ)とし良一
掌に椿歌劇といふは見たことなし良一
公園を統ぶる立木に古巣あり良一
眠るとき耐ゆときありて芽吹くとき 良一
桃蕾みぱいぽぱいぽのしゅうりんがん 良一
春一番逆らひあるくことが好き良一
その気配なけれどさりとて春の川良一
杳として出口が見えぬ蜷の道良一
胸を張るごとく誰しも梅に佇つ 良一

2011年
舗道摶つ緑雨映画の日替日良一
蚕豆は乳母日傘の莢を被て良一
青あらし酒の肴を切らしたる良一
青光り権現さまの桜の實(東照宮)良一
どことなく太りし妻とけんちん汁良一
花の昼小さき急須を傾けて良一
湘南の風味と云へば生しらす良一
肌着脱ぐホックの音も春めきぬ良一
さくら散る僅かな隙をつけこまれ良一
大馬刀は古びし殻に身を窶し 良一

2010年
難点は人の佳きこと花大根良一
白日下干潟淋しく現れにけり良一
花吹雪コンクリートの壁博ちて良一
諸葛菜投棄バイクの鉄腐る 良一
阿亀桜もう散る雨にベソかいて良一
何処とっても柔らかさうな蠅の子よ良一
生あくび一つ噛み切る花の昼 良一
花の昼ジャムパン割ればジャムの色良一
菜の花の集はしむもの乱舞して良一
竹の根の飴色に日の永くなる 良一

2009年
進学子補助線を引き証明す良一
海峡に沿ひとぶ燕ではないか良一
古写真桜と共にある記憶良一
蚕豆の痩せて一つはみそっかす良一
満天を覆ひて花は巧まざる良一
桜咲くちっともいいことないけれど 良一
シャッターががらがら開いて朝ざくら 良一
林間に一韻残し花鳥去る良一
ぶらんこに女の子ゐて浅座り良一
鳥曇り小さき意地を張りづめに 良一

2008年
追剥のやうにアネモネ散らす風良一
蚕豆や晩酌の肩冷えて来し良一
春は粋に三越の包装紙良一
湯上りは柿の若葉のやうに新(さら) 良一
ひやびやと朝の訪れ人に花に良一
ふらここ漕ぐ口をへの字に一の字に 良一
桜見にゆかん一切放り出し良一
石階に燃え移らんと炎のつつじ良一
素直になるほうれん草のおひたしに 良一
鳥雲に映画はいつも完結す良一

2007年
飛花舞はす風の一変フォルティッシモ 良一
花過ぎて花咲くまへと同じ空 良一
花粉症マスクといふはとんがりて良一
空耳に盈ち盈つ花のせりふかな良一
風絶えて花の納まる容かな 良一
日は闌けに闌けて悶々八重櫻 良一
盛りの牡丹危惧する程の雨でなし良一
衝立の向うよりこゑつつじ寺良一
桜蘂降らせて雨の粗くなる良一
十薬に著莪に雨音身ぢかなる 良一

2006年
了る花沈めて山のうすぼんやり良一
石組の石を押すなり花筏良一
蝌蚪容れて空缶朽葉臭き水良一
大石の昼行燈にさくらは似良一
鯉に伍し亀の泳げる仏生会良一
住職は頑固なお人紫荊良一
酔どれのそれそれそれと散る花を良一
夜桜の雪洞高くここ低く良一
ある時は吹雪くが如く春鴎良一
とびっきり遠くにとべる飛花一つ 良一

2005年
花冷えの疊の上の佛ごと良一
真ん中を川ながれをり昼霞良一
山鳥の呂律に合はせ花の散る良一
平日の桜の中を通りけり良一
花闌くと山の鴉の胴間声良一
田蛙のけくけく啼くは先がけ組良一
田の底の朽葉に蝌蚪の身を寄せて良一
こどもごゑ生々木五倍子生ふ山に良一
花見酒過ぎ志ん生の語り口良一
蝿生る家にぶらぶらしてゐては良一

2004年
止まり易き樹木見つけて囀れり良一
越して来て一年になるチューリップ(ご近所) 良一
鯛釣草待ちに待ちたる入園式良一
花の昼人を焼く間を腹ごしらえ良一
花御堂いらかの上の空真青良一
話こもり易し彼岸の診察室良一
入園児の大きあいさつ喉ちんこ良一
夕花菜棺は家に据え置かれ良一
初ざくら脇から道を訊かれけり良一
花筏日を経し彩を泛かべけり 良一

2003年
花くわりん宙を伝ひて日のあゆむ良一
空鳴って風吹く日なりくわりん咲く良一
鉄(くろがね)の朝礼台を落花馳せ 良一
飛花の風辺りが透けて見えにけり良一
紫荊戦はアラーの思し召し良一
鳥よりも人よく遊ぶ花の山良一
うす光りして春草のこんもりと良一
精米所横よりのぼる花の山良一
何事かまくし立てたり花の鳥良一
花の蜜くすねに来たる大き鳥 良一

2002年
花御堂ぽつりぽつりと人の訪ふ良一
照り栄えて伽藍のごとき八重桜良一
当山の風のうまさよ松の芯良一
閑にして寂たり牡丹の間の土良一
葉の上が居心地よくて春の蠅良一
ひとり人より遠ざかりゐて青葉の日々 良一
めかり時映画はシルバー料金にて良一
薫風に洗ひ栄えして茶の作務衣良一
白桃は陶然緋桃は豁然と良一
少年に交じりて干潟ウオッチング 良一

2001年
夕雀花屑蹴って発ちにけり良一
千鳥ケ淵渡りて飛花の第一波良一
ご本尊どぜう髭もて仏生会良一
雪柳三千世界此処にあり良一
ヒヤシンス女としての思ひ切り良一
小粋とは物は云ひやうぺんぺん草良一
二輪草毫も雑草交えずに良一
鈍器もて物を割る音花曇り良一
日に栄えてべんがら色のさくらの枝良一
おのづから脚の弾める花の山 良一

2000年
日月の赤赤椿白椿良一
クロッカスぐらり地表を吹ける風良一
夜気幽気淡墨桜つつみけり良一
夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと良一
夜桜の雪洞尽きるところまで 良一
花満てる日表にして風表良一
帰るさも日永の亀の甲羅干し良一
山道に六方踏めるやぶれ傘 良一
夕桜すっと色調落としけり 良一
たんぽぽに屈むも年の功の順 良一


以上
by 575fudemakase | 2015-04-01 00:17 | 自作 | Trackback | Comments(0)

3月の拙句

3月の拙句

ねずみのこまくら句会 14年間の3月投句の拙句をリストアップする。



2013年
花白しもう期すものもなき齢良一
夜桜の空に吸はれてゆくやうな良一
諸葛菜術後の経過まづまづで良一
文鎮を置くごと泊船花曇良一
どちらかが言い出し夜櫻行となる良一
桜狩言い出しっぺの妻先立て良一
つるつると徹頭徹尾スベタ貝良一
干潟より挙がる喚声悪ふざけ良一
粒選りの大き浅蜊は銭になる良一
肝心なところで馬刀に逃げられし良一

2012年
午祭たまへたまへと雨の中良一
じゃりじゃりの馬鹿貝波に呉れてやる 良一
少年に戻れば浅蜊よく採れて良一
浅蜊掘ときたま大き波啖らひ良一
あの頃はみんな貧乏浅蜊飯良一
熱燗に偏屈哲学振り回し良一
貝掘に上げてくる潮まっしぐら良一
大粒の浅蜊を選りて炊きごはん良一
催花雨と耳あたらしき語を聴くも良一
午まつり白足袋すすと神楽舞 良一

2011年
蠅生まる波止場食堂にて昼食良一
手渡さる河津桜の番付表良一
指さすは春濤一つ起つところ良一
春寒の寝床蹴破る勇気なし良一
古本の整理春までほったらかし良一
すらりとした容姿が全てのさより買ふ 良一
おのづから細魚に目がゆく鮮魚店良一
星から星伝ひて春の星探す良一
太陽も時計回りや金盞花良一
もの忘れ夫婦の春の夜の会話 良一

2010年
寒月に耳を削がれて佇つごとし良一
春寒のよれて糸引く蛇口の水良一
室内干し股引そこにある目覚め良一
大福の粉ふるふると雪催ひ良一
路地口に消え入りさうな雪だるま良一
実南天乏しきを禽嘆かへり良一
湯屋出でて頭寒きはへえっちゃら良一
春寒の水を鳴らせる水仕事 良一
雪だるまもうこさえたか葉っぱの目 良一
ふくよかでおっぱいもある雪だるま 良一

2009年
土いじり日脚がうんと伸びにけり良一
長っ尻春がすみめく銭湯に 良一
立春と言葉ばかりが先走り良一
菱餅のそのそもそもを説明す良一
関節を鳴らして河津桜見る 良一
水仕事春の跫音聞くやうに 良一
太陽に向かってあるく正に春 良一
股引脱ぐ老人静電気におどろく良一
雛の日の客人(まろうど)駆け込み来たりけり 良一
雛の日の抱き上げて乳臭き頬 良一

2008年
三渓園春の木に鳥水に鳥良一
漂ひゆく梅日向より梅日向良一
白梅や風細々と水辺より良一
もやもやと蓮の巻き葉は飴いろに良一
日の永し鴨は赤子のこゑを出す良一
木炭のごとき枝を延べ臥龍梅良一
魁の紅梅の花片寄れる良一
白梅や初心といふを全うす良一
増上寺御忌の太文字掲げたる良一
よろけ履く股引春寒湯屋板間 良一

2007年
じゅくじゅくと沈む足許芹を摘む良一
花見んと来しリハビリに気散じに良一
朝桜禽かい潜りかい潜り良一
夜ざくらに浮かれ出でたる夫婦もの良一
花の下ベルのよく鳴る三輪車良一
一湾に舞ひては降りる春鴎良一
沿線の花に急かされゆくごとし良一
先づこんなところ欅の芽吹きとは良一
郁李や早め早めとなる起居良一
一昨日出かけてよかった花の雨良一

2006年
春荒れの叩きつけてはひっぺがす良一
匙を持ち苺をつぶすこと一途良一
只横にひひな竝べて飾りけり良一
崎人に白群青(びゃくぐん)の空大根引く 良一
鏡凪切干は痩せ細りけり良一
万作は微風を糧として漫ろ良一
接骨木の芽のもし囁くなら平語良一
ゾッとする板の間夜寒残尿感 良一
山に入り雑木ばかりの春あやふや良一
梅林のはてこの道でよいのやら 良一

2005年
裁ち物の音のぞりぞり春の昼良一
桃の花など見て多少寛いで良一
春近き日溜りにゐて土篩ふ良一
紅める枝をここだく春の山良一
草亀の一投足に日脚伸ぶ良一
春の水落ちし処の水皺む良一
辛夷の芽躍らす風のひっきりなし良一
シベリヤを食(お)せばいよいよ寒明くか 良一
眼鏡のつる擦れし一処寒戻り良一
紙碑として一集編むや囀れり 良一

2004年
母上に八十八度草萌えて(米寿)良一
地虫出づ土にたっぷりまみれ来て良一
百(もも)草に声掛け春の土いじり 良一
薄氷ことし一、二度突っきしのみ良一
雨の日の玻璃の裡から花桃みる良一
宿木と古巣の宿り枝を異に良一
著ぶくれてこの一着に終始せり良一
春なれやショウビジネスは海越えて良一
ハリウッド春祝ぐレッドカーペット(オスカー賞授賞式) 良一
着膨れて福神漬を零しけり 良一

2003年
くいくいと友呼ぶ女ごゑ冬かもめ良一
お白州に立たさる思ひ初閻魔良一
梅の名は古代青軸ふむと見て良一
かいつぶり素潜り芸の荒削り良一
白樺の生(き)の色しかと雪中に良一
雪原においてけぼりのごと一戸良一
どぶろくに白川の夜を更かしけり良一
高砂の翁のごとく舞へる雪良一
除雪車のそこのけそこのけお通りだい 良一
初閻魔堂を揺るがす大般若良一

2002年
決めた事決めた通りに諸葛菜良一
野毛山下春ともなれば大道芸良一
春はやにわにゆくこととするピカソ展 良一
長閑な昼煙草はラッキーストライク良一
見てゐれば緋桃の花の桃太郎良一
お水取近づく空を風の行(ぎょう)良一
満開に近きはくれん風足らず良一
ゆめ違ふ勿れ馬醉木の花の刻良一
春空に通ず階段あるごとし良一
水取といふ営みのとこしなへ 良一

2001年
枯木に意地蕪村の金地山水圖良一
春や春蕪村の武陵桃源圖良一
場当りのその日暮しの蝌蚪を見て良一
無為徒食送る日に馴れ桃の花良一
桃日に日にちから付けるや八百莟良一
聞き覚えあるこゑ通り桃の花良一
陽に囀るごとく山茱萸咲き出せり良一
群れ離れゆける鴨あり天が下 良一
吾も穴出づるや蟻に遅れじと 良一
蟻穴を出づると母の告げにくる 良一

2000年
辛夷花芽陸続として天に入る良一
もう土に還る彩して落椿良一
北面に目を瞠ける寒椿良一
もめごとも一段落や桃の花良一
けふ一日如何に過さん花山茱萸良一
寒がりは内弁慶に似て家居良一
かたくりの花の貧乏揺すりして良一
優形(やさがた)の春の蠅来て机に止まる 良一
春水のところどころに翳もてり良一
啓蟄の耳掻き出して耳掃除 良一

以上
by 575fudemakase | 2015-03-01 00:15 | 自作 | Trackback | Comments(0)

2月の拙句

2月の拙句

ねずみのこまくら句会 14年間の2月投句の拙句をリストアップする。

2013年
春泥を踵浮かせて渡りきる良一
川底で睡るどんぐり水澄めり良一
福寿草けふがあるから明日がある良一
住み潰すつもりの家の隙間風良一
寒木の梢(うれ)に一鳥声殺し良一
これからは女も愉しむ世と餅焼き良一
雨ほんの木瓜の莟をゆるめるほど良一
ぐりぐりの丸薬寒水もて嚥めり良一
寒釣のえらいこととは風のこと良一
鴛鴦を詠めるにヘタな形容詞 良一

2012年
雨を吸ひ裸木どこかほのあたたか良一
万作の湿りを帯びて膨らむ芽良一
梟の己を遠望するまなざし良一
日脚のび一寸怪しき迂回地図良一
一つ大きくうなづく陛下初相撲良一
快晴をあらせいと嬉べり良一
例により今年はこそと気張るのだが 良一
大寒の日なり蛇口の哭くことも良一
雑木林ゆけば引っつくやうな凍て良一
お鏡に罅の走れる年見据え 良一

2011年
林檎選る林檎のうへに林檎置き良一
各々が夫々の息梅を前良一
雨に肩落とし泥んこ雪だるま良一
この家の子も一人っ子雪だるま良一
胴周りゆるき股引愛用す良一
冬の夜のヒューズが飛びし闇手探り良一
湯気たてゝ湯気こもる部屋満艦飾良一
湯の煮える音にも倦みて生あくび良一
手に素甘ひんやりむっちり雪が降る良一
剪定は強め強めに午前の日良一

2010年
高齢化すすむ結社と亀鳴けり良一
不良めく鴨ゐて四、五羽うち連れぬ良一
金盞花薄雲崎の日を篩ひ良一
熱燗に鼻っ柱のつよき人良一
雪形と敢へて云はざるまでのこと良一
会釈して行き交ふごとし鴨と鴨良一
春隣ピザのトマトの皮あかり良一
漁始めさねさし相模の水覗漁(みづきりょう)良一
裏切らぬ梅の赭さでありにけり良一
細枝の尖より氷ることたしか 良一

2009年
走り根を張らねば春の断崖に良一
万作の万綻ぶといふまでには良一
雨水輪一つ一つの春めくや良一
表具師の鈴木とふ家木瓜咲かせ良一
葉芽花芽葉芽花芽の桜かな良一
恋猫のずっこける音濡れ縁より良一
雪雲に日當ってゐる大うなばら良一
薄氷の閉じ込めし泡突っつきぬ良一
心地よき風が言はせぬ清明と良一
何着やうすつかり春といふ訳には 良一

2008年
おてんと様通して畑の桃咲ける良一
これしきの雨ものかはととんど燃ゆ 良一
膝さすり寒さをこそぎおとす妻良一
裸木に雑念の余地なかるべし良一
落椿載するその掌をつめたくし良一
赤鬼にたてつく青鬼節分会 良一
三椏の花哲学を想はする良一
飼育員春の象牙を抱かせ呉れ良一
剪られじと撥ねていやがる木瓜一枝 良一
ミモザ濃し曇日も亦悪くなし良一

2007年
日の永しラジオは禿げを話題にし良一
猫はまだ己押さへて寒の日々良一
日向ぼこよいしょと起てば目がさまよひ 良一
古電気毛布温度に斑があり良一
鍔迫り合ひサッカー風はアゲインスト 良一
句を敲き敲き歩きぬ水っ洟良一
初日影取り込むソーラーハウスかな良一
寒茜けふの一切了はらせて良一
梅咲いて方代無心乞ふた寺(瑞泉寺)良一
ポンチョ被て弾初めストリートミュージッシャン 良一

2006年
水差しに水満ちゆける音も寒良一
酷寒と蛇口ひねればさう聞こゆ良一
庭石の五、六あるきり寒日向良一
寒明けとふんぎりつけるやうに云ふ良一
寒の日に透けて水性ボールペン良一
何たること大寒の酒切らすとは良一
大寒の夜を閉づビロード地のカーテン 良一
乾燥藷焙れば月(ルナ)の隕石孔(クレーター)良一
川に目を空に目を遣り寒一色良一
大寒の動かぬ雲を透く陽かな 良一

2005年
なめらかにピッチングして春の航良一
檳榔樹そこから勇名(いさな)見えるかい 良一
春の雲あたかも象の縫いぐるみ良一
踏切の傍に菜の花のほほんと良一
南房の花摘み濤色スターチス良一
懸大根げっそり沖に逆巻く涛良一
潮けむり大根台地のどん詰り良一
鎌倉五山一位禅林の梅固し良一
節分興行ぴん助一座かっぽれを良一
吹きつける新手の風に冬ひばり良一

2004年
探梅といふにはあっさり戻り来ぬ良一
幸せの容真上に春の雲良一
裏山はだうなってゐる旧七草良一
城郭の一部をなせる梅の花良一
春寒の家押す風の音どすん良一
寒禽の影を翔たせて樫太枝良一
春の雲見てゐる我も押し移る良一
欠航にて安房の雛罌粟摘がふい良一
群衆の隙間に落ちぬ年の豆良一
あんこ玉薄皮冴えに冴えにけり良一

2003年
心配はご無用顔の海鼠とも良一
関取の錦を飾る太郎月良一
咳ヲシテコンコンチキノコンチキノ良一
水仙の里を名乗りて村ぐるみ良一
春水の無音の流れ片寄れる良一
鼻カラカラ胸ムカムカの風邪引いて良一
包装紙よりストックの首覗く良一
遠からず蛤となる雀これ良一
恐らくは霜バリバリの朝ならむ良一
この坂道これある哉の椿かな 良一

2002年
祝儀値といふがありけり達磨市良一
校庭に水仙しんと授業中良一
赤青の傘の上から鬼の豆良一
節分の豆ならぬ雨降って来ぬ良一
節分の空賑はして雨降り来良一
立春のプライドといふカクテルほす良一
白鳥の懸命な貌着水まで良一
白鳥を指もて数ふ頭で数ふ良一
白鳥をかぞふる頭搖れゐたり良一
白鳥の飛来足掛け十五年良一

2001年
雪晴れの小枝に鳥の往き来あり良一
東京湾いちめんに雪ぶちまけて良一
昼の雪ますます粗くなりにけり良一
豆撒きの僧あちら向きこちら向き良一
をしどりの水皺立てつ伊達姿良一
小競り合ひしながら春の雪落ち来良一
界隈の恋猫にして横坐り良一
月も半ばのこゑきけば梅咲いてゐし良一
既にして接骨木の芽の出臍程良一
院長が指図して針納めしむ 良一

2000年
風邪寝して唄ふかもめの水兵さん良一
咳ヲシテコンコンチキノコンチキノ良一
雛壇になし俳壇のよいしょぶり良一
水鳥に水の一年始まれり良一
俳諧の花おのづから自他の春良一
さんざんな日の食卓にほうれん草良一
さうなのよけふから寒の入なのよ良一
本復はまだ先のこと龍の玉良一
弟子といふひびきのどこか暖く良一
寿福寺や寿の字寿の字に梅の花 良一

以上
by 575fudemakase | 2015-02-01 00:11 | 自作 | Trackback

1月の拙句

1月の拙句

ねずみのこまくら句会 15年間の1月投句の拙句をリストアップする。

2014年
味噌漬にんじん妻とぽりぽりやりにけり 良一
けふの昼餉無難なところでおじやにする 良一
夜中に降る雨が山茶花散らしたり良一
女郎花その枯れぶりも大年増良一
大渦に小渦吸はるる十二月良一
枯芝の一端を踏み初老の念良一
嘴跡の抉れ深かり次郎柿良一
食感の立ち上がりくる千枚漬良一
千両の正月期して極まる実 良一
裸木に拳骨一つ啖はして良一

2013年
買い物のつもり無けれど女正月良一
冬紅葉掃除が好きな人の家良一
これが花芽これが葉芽と膨らむ芽に 良一
洒落ていふマラコイデスとは桜草良一
うららかなものに先師の句読点良一
宿木を預り物のごと欅良一
かと云うてこんな形(なり)では着膨れ過ぎ 良一
掃除機をかける間四日の庭にをり良一
快晴をあらせいとうと嬉べり良一
どんど焼重々しきは松のこゑ 良一

2012年
玄冬のすみれ色ぞら君を焼く(斎藤仁三郎)良一
霜柱踏みて集いて弔へり良一
どこまでも佐野の冬晴れ君逝くか良一
気泡湯の泡の行方も年の果良一
除夜の鐘樹間を抜けて拡がれり良一
四方の枯れ脱衣籠まで及びをり良一
心臓の遠(をち)より掛け湯初湯殿 良一
固まってへんてこりんな氷かな良一
空青く紛れ入るなら樹氷林良一
舊式で重たき冬の双眼鏡良一

2011年
板チョコの板欠く音も冴え返る良一
演歌にはこぶしのありて濁り酒良一
薔薇色に輝き五秒後の寒雲良一
電柱のトランス負へる寒茜良一
銭湯は激減月は細るのみ良一
お先にと淑気立つこゑ湯を上がる良一
冬菫見つけしことに事足りて良一
七種の真似事をしてきのふけふ良一
顔凍る看取りの朝を迎へけり良一
紅玉てふ林檎共々ながらへて 良一

2010年
ラーメンの脂弾ける年の瀬へ良一
声高に北海道は雪といふ良一
豆ランプ点けて寝る癖初昔良一
品定め一芽何ぼの福寿草良一
枯菊を焚く風流は持ち合はせず良一
国道に降りて餌漁る初雀良一
松とれて川の流れのやうな日々良一
余所者にて冬至湯うめるをはばかられ 良一
銭湯の客の持ち込む枯木風良一
寒や銭湯紛れなき我鏡中に良一

2009年
なまけゐる腰を起たしめ初箒良一
靴下の毛玉など取り日向ぼこ良一
賀状に付記第一線を退きしと良一
齢相応ということ雑煮の餅半切れ良一
年拓くごとく蛇口をひねりけり良一
逝く年の鳥の古巣に日が當り良一
尖端の枯葉は鳥の容して良一
熱燗に「バカだなおまえ」と肩を抱く 良一
寄植のヴィオラの私語の途切れざる 良一
意気込みの見ゆるが如き初鏡 良一

2008年
鳩翔ってしまひ一木寒げなり良一
首筋は寒さの急所マフラー締む良一
鉛筆削ごりごりごりと冬休良一
昇天をまぬがれゐたり日向ぼこ良一
暁紅に変哲もなき木々回春良一
けんちん汁伝はる寺の総枯木良一
松過の玻璃の汚れを見す日差し良一
通り過ぐ木々が険しく見ゆ大寒良一
日延ばしにせぬこと大事寒雀 良一
焚火して何だかゆとりのやうなもの 良一

2007年
紙幣(さつ)出す音四日のキャッシュカードかな 良一
だいそれた初夢をもう見ること無し良一
参道に見るべきものは初雀良一
しるこより雑煮齢といふことか良一
風流の始め太箸下ろしけり良一
初晴れにひとつ体操でもせんか良一
背焙れば叩くが如し年の火は良一
鈴しゃんと太鼓はどんと除夜詣 良一
初刷を寝床に引き込み読めるなり良一
防寒服しゃっちょこばって歩きけり 良一

2006年
水仙は舟で運ばれ江戸おもて(保田) 良一
水仙に富士を配せる入賞作良一
寒曉に射し貫かれ地の一切良一
冬の暮切羽詰まって翔つ羽音良一
素浪人風に立ち枯れ棒葎良一
冬雨のハネ浴びてをり一樹根良一
鳩糞(ま)りて路上に咲かす冬の華良一
寒雲の染まらぬところ染むところ良一
スピードスケートダントツリンクレコード出る 良一
花アロエ漁師臭さの脱けきらず 良一

2005年
正月の絶えて人無き路の果良一
六日ともなれば空ゆく常の雲良一
元朝の煙草を買ひにボテボテ着良一
日本はこれからだうなる大三十日良一
暮れ際の雲を見てゐる二日かな 良一
軽んずるものを軽んず夢始め良一
制すもの制さるるものサッカーす良一
松過ぎの洗濯物に差す薄日 良一
駄目押しのごとく撞くなり除夜の鐘 良一
只空を眺めてゐても大晦日 良一

2004年
椅子の背に冬至日暮の日が斜め良一
画家たらんおもひ雪山前にして良一
雪上をドドと車の鎖音良一
共同湯木目がうれし宵の雪良一
つららつらら隣のつららみて育つ良一
会場にマスクの市松模様かな良一
鳥影は大柄にして春の鵙良一
肌着に首するりと通し迎ふ年良一
わが町の航空写真初刷に良一
暮れてなほ母艦遊びや青木の実良一

2003年
がやがやと鴨ゐて池を凍らせず良一
宿木の翔び立ちさうな冬青空良一
初湯浴ぶからすの行水始めなり良一
柿の蔕つまらなさうに日を浴みて良一
寒八ツ目吸ひ付くものを選ばざり良一
左から右へながれて寒すずめ良一
出番なき古事類苑の煤払ひ良一
締切日大つごもりと別にあり良一
年立てる空万全を期すごとし良一
初湯して考えごとは何だっけ良一

2002年
この女(ひと)の何と目敏き蕗の薹 良一
鞘堂の鬼の金棒軒氷柱良一
助っ人に山の快晴雪おろす良一
段差また段差根雪の温泉場良一
同僚の第一線を退く真冬良一
みそさざい寝床ばなれも潔く良一
きな臭き世の左義長の大ほむら良一
煤の日を亀の正字の部首談義良一
左義長の灰は鴉となりて翔け良一
大地より湯の湧く鼓動はこべ草

2001年
雪晴れの小枝に鳥の往き来あり良一
東京湾いちめんに雪ぶちまけて良一
昼の雪ますます粗くなりにけり良一
豆撒きの僧あちら向きこちら向き良一
をしどりの水皺立てつ伊達姿 良一
小競り合ひしながら春の雪落ち来良一
界隈の恋猫にして横坐り良一
月も半ばのこゑきけば梅咲いてゐし良一
既にして接骨木の芽の出臍程良一
院長が指図して針納めしむ 良一

2000年
風邪寝して唄ふかもめの水兵さん良一
咳ヲシテコンコンチキノコンチキノ良一
雛壇になし俳壇のよいしょぶり良一
水鳥に水の一年始まれり良一
俳諧の花おのづから自他の春良一
さんざんな日の食卓にほうれん草良一
さうなのよけふから寒の入なのよ良一
本復はまだ先のこと龍の玉良一
弟子といふひびきのどこか暖く良一
寿福寺や寿の字寿の字に梅の花良一

以上
by 575fudemakase | 2015-01-01 00:07 | 自作 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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