カテゴリ:ねずみのこまくら句会( 17 )

ねずみのこまくら句会短評(2017・7)

ねずみのこまくら句会短評(2017・7)



20奪衣婆に帽載せ石工三尺寝

なんとも好ましいポーズを俳句にした


28大琵琶へ峠{たわ}の虹の根潜りけり

「琵琶湖」を「大琵琶」と表記したことに意味がある。「大琵琶」が当地で言い慣らされている言葉ならなおさら良い。今回は此れに 「峠{たわ}」が加わった。


42紫陽花を切るあじさいの中に入り

これでも俳句になると言うお手本のような俳句。素直になる、巧まない。


49滝が滝四十八滝生みにけり

上五七が滝で韻を踏んでをりリズミカル。赤目四十八滝を詠んだのだろう?


56麦秋や赤子に座敷ひと間貸す

57雲の峰赤子にもある力瘤

上記二句は同一作者であろうか?

前句:「ひと間貸す」の使い方が面白い。実のところは、「占有」されてしまったという状況であろう

後句:「力瘤」が共通項として働いているが、どこか類型的。


70風の日の脚持て余すあめんぼう

強風の日、川の遡上をサボっているアメンボウ達であろう。一処に屯して…


73池の面に気泡のぽこり油照

稲田でも池でもよいだろう。類型はあるであろう…


87麦秋の中を迷うて帰りけり

状景が漫然としている。とらまえどころの無い句である。が何処かそそられる。

私が想ったのは北海道辺りの広大な麦畑。実体験したのは女満別空港に向う途中の麦畑群

(むろん、車でだが)。

または、心理的状景と解してもよい。


98暮れながらてらてらてらと柿若葉

柿若葉がピカピカとかテラテラとかは在り来たりの表現。しかし「暮れながら」と夕映の景

をもってきたのは適切。差し込んでくる金色光が眩しい


104後引かぬやうに十粒のさくらんぼ

出して置けば無くなるまで食べてしまう夫や子ども達。それらを目線にした主婦の防衛策?

それとも自らを律した一句?


109浜ひるがほ砂より生まれ来たりけり

「砂より生まれ」と大胆に踏み込んだ。途中を一切省略しているが、なんとなく説得させられる。

小生が実地に体験したのは千葉県 富浦の浜辺。


113白波に裸ぶつけて神輿揉む

こういった祭は全国的に数多あろう。上五七が小気味よい。


116エプロンは現役印梅を干す

元気印とはよく聞く。が現役印はどうか?でも 抵抗なく入ってくる言葉だ。

要は作者が現役ではないと言うこと。それがハリキッテ梅を干すという。ホホウである。


127病床の管の幾筋さみだるる

「人間は管(くだ)より成れる日短(ひみじか)」(川崎展宏)

これが管俳句の嚆矢であろう。管の状態(複数)はまことに五月雨に適う。


148花氷オーシャンビュウのレストラン

船旅に模した洒落た作りである。


by 575fudemakase | 2017-07-16 03:58 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句


予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号

5真っ二つ疵の梅雨茸匂なし
12大雪渓豆粒ほどの登攀者
13宮内庁管理の墓域岩たばこ
14滝の綺羅浴びてしづかに生気湧く
17出水禍を免る安堵罪めくも
18鮎解禁未明の川に五六人
20奪衣婆に帽載せ石工三尺寝
22平家蛍国母の陵へ消えゆけり
25海亀来る浜辺は遥か月赤し
28大琵琶へ峠{たわ}の虹の根潜りけり
36鰻肝食べ丹田に力かな
41噴水の穂先微塵の日を集め
42紫陽花を切るあじさいの中に入り
45ヒマラヤ杉青実一枝に出揃ひぬ
46鮎めしの炊きあがるまで川風に
49滝が滝四十八滝生みにけり
52凌霄花女主は病むといふ
56麦秋や赤子に座敷ひと間貸す
57雲の峰赤子にもある力瘤
58十一や富士山頂の曉けはじむ
59一人吟行暫く梅雨の蝶につく
61算術の大算盤や新樹光
67道志村水源守る朝草刈
69雲海に真教寺尾根割って入る
70風の日の脚持て余すあめんぼう
73池の面に気泡のぽこり油照
74ただ今と還暦の子の盆帰省
82老鴬桂昌院廟門開き
83朝戸出に一日の活噴井掬む
85銀座裏こんなところに夏の月
87麦秋の中を迷うて帰りけり
89巌隔て音を一つに夫婦滝
92睡蓮の揺れてひよつこり亀の首
95繊月の光り無数に鮎飛べり
98暮れながらてらてらてらと柿若葉
99足跡の縦よこ斜め苗の浮く
104後引かぬやうに十粒のさくらんぼ
105鮎一字染め抜く茶屋の夏暖簾
109浜ひるがほ砂より生まれ来たりけり
111蛍火を囲ふ子の指うすくれない
113白波に裸ぶつけて神輿揉む
115七夕や夫は十年対岸に
116エプロンは現役印梅を干す
119起き掛けの腓返りや半夏雨
126夫支ふ為の筋トレ風薫る
127病床の管の幾筋さみだるる
128蝉一つ夜のしじまを踏み外す
129おもむろに茅の輪抜ければ海展け
132送電線うなり出したる青嵐
133贔屓違ふナイター観戦老夫婦
136花菖蒲いとらうたげに萎みたる
138子孝行してゐるつもり田草取る
148花氷オーシャンビュウのレストラン
149小衝立越しの会釈や鰌鍋
150鰹一尾提げ来て厨任さるる
155油照り動くものなき交差点

以上


by 575fudemakase | 2017-07-13 19:45 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評 (2017・6)

後評 (2017・6)



6籐寝椅子老て食後の深眠り

「老て」に作者の日常を慮る。小生も今月句会に「老いたれば」の一句

を投じた。老いの句を作ることは弱音とも聞こえるが、又自然とも思える


8隙間なく簾の掛かる茶屋二階

茶屋らしさがキッチリと描かれている


35神の田を濁さず歩く井守かな

何と井守が神の田を濁さず歩くと唐突に持ち出した。

この持ち出し方が好い


40音もなく漕ぐ船頭の日焼顔

じっとりした暑さを感じる。辺りはダンマリ 風死すの状態か?


82揚羽蝶糸屋機屋と店並び

何故か揚羽蝶と糸屋機屋の結び付きが好ましい。理屈では解き明か

せない。又「店並び」も端然としていてよろしい。店並びは たなならび

と読ませるのだろう。

句意は揚羽蝶が糸屋と機屋と二軒を訪うように飛んで行くと言うことか?

背後に緩やかなリズム感が感じられる。


86頂へバトンタッチの立葵

既に咲き終わった我が家の白花合歓もこれから咲き出そうと

している宗旦木槿も下方の花から次から次へと天辺目がけて咲き出す。

ちょっとくだけたバトンタッチの片仮名表示もあたかも運動会のようで

軽快。


121オーボエの遥かなる声夕焼野

当句も片仮名表記。オーボエは大吠に通じる。確と意識はしてないが頭の

方は勝手にそう思い込んでいる節がある。俳句って、実はゴク単純なところ

に根ざしている場合もあろう。


147落暉追ふドクターイエロー麦の秋

当句も片仮名表記。二物を色で合わせた。また 麦の穂は一直線に飛ぶ弓矢の矢

の如し。疾走する新幹線も矢の如しである。


159数独に興じて一人梅雨に入る

数独が流行っている。バス、電車の車中でも良く見かける。

愚妻も喋らなくなったら、いつか数独にハマっている。


179温泉(ゆ)巡りの客の下駄音明早し

もう温泉場で出湯の梯子などやらなくてなったが、昔は率先して朝湯巡り

を敢行したものだ。草津等は10箇所ぐらい出湯がある。その裡、好みの出湯

が出来たものだ。草津在住の中澤文次郎さん(濱 古参同人。物故)の好みは、近場の千代ノ湯であった。



by 575fudemakase | 2017-06-19 06:23 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・5)

後評(2017・5)


6束の間の連綿として春尽きぬ

作者は「束の間」がずーと続いていると言っているんですね?そして春が

尽きると云つているんですね? しかし肝心な実態が示されていない。

これは何だと言う訳であるが、胸にすとんと収まるところもある。

この句は解釈するな、以心伝心で判れとでも言っているような句である。


9麦笛に野良の一服なりしかな

農俳句が身についていますなぁ…と言いたい。


18山の辺の名もなき古墳竹散れり

俳句は無名がいい… を懐かしく思いだす。


32夏来る大琵琶の沖海の色

ひとつ難点がありとせば、色である。「いろ」と平仮名にしたい。

これ以上の解説はしたくない。


48学級に馴染みし子らに夏来たる

学級に馴染みし子ら と実に細かいタイミングを見ている

この観察眼が全てである。


55東天紅の神さぶ声に夏立てり

神さぶ声に にグットタイミングのものを持って来た。夏立てり である。


67立夏なり仕立て下ろしの波と風

「仕立て下ろし」は一寸粋であると思えるも、どこか小智であるとも…

まあ硬いことは言わずに頂いて置こう。


72茶屋町の紅殻格子燕交ふ

茶屋町の紅殻格子 はどこかありそう。其れに配するに 乙鳥。

まあ出来ているのでしょうね…


89そら豆の花の目怖し母は亡し

この子はこどもの時、そら豆の花が怖いと言っては … と事ある度に

からかっていたその母も今や亡しと言うことか?


138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

団扇太鼓は幾たびも聞いた。唯 山鳥の母衣を打つが適切であるか否かであるが、

適切と思えた。


171昭和の日キューピーの浮く船溜り

「天皇誕生日」「みどりの日」「昭和の日」と変遷した。

老人にとって、回顧詠は得手である。横浜育ちの小生にとって、

濱の定例句会のあった石川町あたりの船溜まりでは日常茶飯に見られ景で

あつたと記憶する。人形と言えば横濱は 赤い靴履いてた女の子…の故郷

である。



149芽吹き急トピアリーパンダの歩きさふ

177下闇の見えぬわたかの水輪生む

上記 二句を

トピアリーパンダのっそり芽吹く中

下闇にうっすらわたかの水輪生む

と改変した方がよいのでは…と申すのが小生の意見。


状況を仔細に渡って述べる替わりに「のっそり」「うっすら」なる擬態語で

むんずとやってしまった方が手取り早いと思うのである。

擬態語の効用と言いたい。


by 575fudemakase | 2017-05-21 03:08 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


6束の間の連綿として春尽きぬ

9麦笛に野良の一服なりしかな

16父の手の網より外す花うぐひ

18山の辺の名もなき古墳竹散れり

19正座して無言の食事昭和の日

24大甍囲み萌黄の薄暑光

25懸け橋を菩薩のお練り清和の天

28高々と挙兵の山の吹流し

32夏来る大琵琶の沖海の色

33緋牡丹に煩わしきこと忘れをり

40荷風忌や投込寺の碑に雫

43蛇の衣聖天堂に燭ひとつ

48学級に馴染みし子らに夏来たる

49野良の足洗ふ外井戸月おぼろ

50昭和の日切干し大根甘く煮て

55東天紅の神さぶ声に夏立てり

56山寺の和尚と眺む桐の花

58若僧の総出伽藍の溝浚ひ

59牡丹の芽朱塗りに螺鈿硯箱

61松の芯天守に続く能舞台

66河鹿笛息子おごりの露天風呂

67立夏なり仕立て下ろしの波と風

75蚕豆や頑固おやじに育てられ

79月山を遠景にしてさくらんぼ

89そら豆の花の目怖し母は亡し

91雨止みぬ牡丹十花の崩れざま

104淀の渦ゆらりと飛花を巻きこみぬ

107菖蒲湯はやはり銭湯下駄ばきで

110雨細し蕾も見えて花あやめ

112半鐘に始まる雅楽来迎会

121田植え機の動く二反田遠筑波

123トンネルの先にトンネル谷若葉

125行商の籠の触れゆく花卯木

138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

141源流の音にこごみの渦を解く

145ゆつくりと溶かす漢方花疲れ

155雪彦山(せつぴこ)の沢にさ走る柳鮠

163すみれ咲く本郷菊坂石畳

166練供養泣き抱かれ行く稚児菩薩

167富士に向き畝切る音の五月かな

171昭和の日キューピーの浮く船溜り

175山頂へ向かう小道や新樹光

178翡翠の消えしところに巣のあらむ

179八十八夜いまだに背戸のある暮らし

180麦秋をサイクリングの光ゆく


以上







by 575fudemakase | 2017-05-15 06:24 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


6束の間の連綿として春尽きぬ

9麦笛に野良の一服なりしかな

16父の手の網より外す花うぐひ

18山の辺の名もなき古墳竹散れり

19正座して無言の食事昭和の日

24大甍囲み萌黄の薄暑光

25懸け橋を菩薩のお練り清和の天

28高々と挙兵の山の吹流し

32夏来る大琵琶の沖海の色

33緋牡丹に煩わしきこと忘れをり

40荷風忌や投込寺の碑に雫

43蛇の衣聖天堂に燭ひとつ

48学級に馴染みし子らに夏来たる

49野良の足洗ふ外井戸月おぼろ

50昭和の日切干し大根甘く煮て

55東天紅の神さぶ声に夏立てり

56山寺の和尚と眺む桐の花

58若僧の総出伽藍の溝浚ひ

59牡丹の芽朱塗りに螺鈿硯箱

61松の芯天守に続く能舞台

66河鹿笛息子おごりの露天風呂

67立夏なり仕立て下ろしの波と風

75蚕豆や頑固おやじに育てられ

79月山を遠景にしてさくらんぼ

89そら豆の花の目怖し母は亡し

91雨止みぬ牡丹十花の崩れざま

104淀の渦ゆらりと飛花を巻きこみぬ

107菖蒲湯はやはり銭湯下駄ばきで

110雨細し蕾も見えて花あやめ

112半鐘に始まる雅楽来迎会

121田植え機の動く二反田遠筑波

123トンネルの先にトンネル谷若葉

125行商の籠の触れゆく花卯木

138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

141源流の音にこごみの渦を解く

145ゆつくりと溶かす漢方花疲れ

155雪彦山(せつぴこ)の沢にさ走る柳鮠

163すみれ咲く本郷菊坂石畳

166練供養泣き抱かれ行く稚児菩薩

167富士に向き畝切る音の五月かな

171昭和の日キューピーの浮く船溜り

175山頂へ向かう小道や新樹光

178翡翠の消えしところに巣のあらむ

179八十八夜いまだに背戸のある暮らし

180麦秋をサイクリングの光ゆく


以上







by 575fudemakase | 2017-05-15 06:24 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・4)

後評(2017・4)


評をしたくなる句とそうでない句がある。

なかには、評などするまでもなく、自明な句もある。


76山頭火の句碑にいきなり初音かな

句碑を山頭火のものとしたことが、「いきなり」の語彙に適う。

他のものでは、替え難い。


81墨堤の開花促すスカイツリー

スカイツリーの句はごまんと作られていよう。

だが、スカイツリーが開花を促すとやったのは先ず無いのでは…?。

又墨堤と前近代的な語彙を置いた作者のオトボケもグーである。


148本降りとなり彩ましぬ花海棠

これは旨さの句。「本降りとなり彩ましぬ」等と嘘っぱちのような事を

言っておいて、ホントと思わせるところなど、上手の手の込んだ一句。

騙されたのだが、その手の内に感心するという読み手降参の程の一句。


158ずわい蟹その膝頭なんとせう

これは食すときの難儀な点を指摘した句であろう。

あの関節の辺りの肉をせせり出すのには誰もが苦労する。

そこを問題にしたのが当句。へんな処に注目したのがこの句の手柄であろう。


173馬酔木咲き生駒庭石明るくす

関東には「鎌倉石」なる固有名詞がある。阪神には「生駒石」なるそれが

ある。地名を石に被せてそれらしい感じを読み手に与えること、何も説明せず

とも、伝わってくるものがある。その点の効率の良さを思う。配した季語の

花馬酔木が又よい。


by 575fudemakase | 2017-04-22 02:39 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句


予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号


1 マングローブ樹林の谷間田水張る
5 自刃跡手箒に掃く春落葉
6 垣繕へり棕櫚縄の蝶結び
15 花韮ら古木をそっと押し包み
17 雲雀よく鳴く天平の野と知りて
19 髪切りて帽子も新調花のとき
21 残雪掘り母納めたる日の遠し
24 鳧おやこ返し田の空鳴きわたる
27 罹災地の父母と上京入学式
30 大護摩会比良の残雪緩びけり
31 自転車は晩節の足うららけし
32 沈丁の夜半に深まる香りかな
35 手伝つて突出し分の土筆受く  
39 湖うらら土器投げの若き声
44 沈丁花襲脱ぎつつ匂ひけり
48 思ひ出は戦中戦後菜飯かな
53 縺れ来て初蝶止まる野良帽子
55 初蝶や卒寿のほそき足もとに
61 緑摘む庭師に樹令たずねけり
63 辛夷咲く山へ夕鐘かけのぼる
66 祇王寺へ坂緩やかや鳥の恋
69 春の闇過行く人の小鈴の音
70 八講の八荒鎮む大護摩会
72 弥生尽午後の醫院に忘れ傘
73 春三番雨戸叩いて去りにけり
74 等々力の渓谷歩く遅日かな
76 山頭火の句碑にいきなり初音かな
77 水草生ふ休日の野の柔ら日に
79 啓蟄や湯気をこもらす堆肥小屋
81 墨堤の開花促すスカイツリー
83 接骨木の花や素知らぬ顔が過ぐ  
87 土筆野に影置く一基通信塔
88 芽柳の天衣のなびく湖明り
89 山鳥の母衣につられて女坂
91 葱坊主に挨拶したき日和かな
94 あれこれを忘れ草笛吹きにけり
103 印刷屋残る界隈沈丁花
105 差し当たりガラスの函の中の春
108 初蝶の畑より庭に長居せり
110 草もろとも削りし畦を厚く塗る
114 晩酌を嗜むための青き踏む
118 八荒の湖へ護摩の矢逆落とし
122 大空に迷ひすぐ落つ初雲雀
124 墨田べりはこべ花咲く塚一つ
125 春霞伊吹の嶺の宙に在り
126 野良帰りの夕風甘し山桜
127 おぼろ夜の仏壇に読む母の手記
131 からくりの蝶を遊ばせ山笑ふ
134 雪形の爺の種まく山日和
138 猫柳垂水の音に揺れ続く
148 本降りとなり彩ましぬ花海棠
149 衣脱ぐ蛇ならば是非見届けん
152 ものなべて遥るけきものに花吹雪
153 胡麻炒りて春菊の早や一品に
158 ずわい蟹その膝頭なんとせう
161 敗戦を経し黒髪の少女雛
163 春の湖ラジコンの舟遊ばせて
167 鎌倉の抜け道覚ゆ日永かな
173 馬酔木咲き生駒庭石明るくす
176 万愚節己が捨てし句また拾ひ
178 深む闇もうすぐ花の咲く気配
180 「舌抜く」と一休の文冴え返る

以上
by 575fudemakase | 2017-04-12 12:44 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句 【再実施】

2017年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句 【再実施】

投句後 パソコンがクラッシュしたので、句会を有志にて再実施した。

予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号

6立子忌の礼儀正しき句会かな
12下萌えや歩くたび鳴る稚児の靴
22奥津城の椿は落ちて色褪せず
36総門に鳩除けネット涅槃西風
41焼け山の縞目くつきりとのぐもり
44古書市に師の初版本鳥雲に
60水中の無音の世界いしぼたん
82大釜を滾らせ白子船を待つ
94五年ものの蒟蒻芋置く梅見茶屋
97陽炎は俑の嘆息かも知れぬ
100老いらくの雛の菓子をたなごころ
111子のノート子の衣を捨つる鳥曇

114病み抜けて久の外出春袷
115姑となりて久しや花大根
両句とも「久」が効果的に、無難なく使われている

117畑屑のうちのめさるる雨水かな
130縄延びといふことらしき山笑ふ
見返すと両句とも 「農」のなかなかな句と思える。
「畑屑」という言葉遣いも「農」の実践者として見ればなかなか
の味のある言葉である。それであるから、「うちのめさるる」がより
一層痛ましい。問題は「雨水」である。鑑賞者めいめいに取って季語
「雨水」がどう響くか? 参考に雨水の語義を挙げて置く。更に雨水
一例句も挙げて置く。

二十四気の一つ。立春から十五日目で、陽暦二月十九日ごろ。雪が雨に変わり、草木が芽吹き始める時季。

 書道部が墨擦つてゐる雨水かな

                           大串 章
雑誌の月号表示を追い越すように、季節がどんどん進んでいく今日この頃、ならばと時計を二ヶ月ほど逆回転させても罰は当たるまい。季語は「雨水(うすい)」で春。根本順吉の解説を借用する。「二十四節気の一つ。陰暦正月のなかで、立春後15日、新暦では2月18、19日にあたる。「雨水とは「気雪散じて水と為る也」(『群書類従』第19輯『暦林問答集・上』)といわれるように、雪が雨に変わり、氷が融けて水になるという意味である」。早春の、まだひんやりとした部室だ。正座して、黙々と墨を擦っている数少ない部員たちがいる。いつもの何でもない情景ではあるのだが、今日が雨水かと思えば、ひとりでに感慨がわいてくる。表では、実際に雨が降っているのかもしれない。厳しい寒さがようやく遠のき、硯の水もやわらかく感じられ、降っているとすれば、天からの水もやわらかい。このやわらかい感触とイメージが、部員たちの真剣な姿に墨痕のように滲み重なっていて美しい。句には派手さも衒いもないけれど、まことに「青春は麗し」ではないか。こうしたことを詠ませると、作者と私が友人であるがための身贔屓もなにもなく、大串章は当代一流の俳人だと思っている。「書道部」と「雨水」の取りあわせ……。うめえもんだなア。まいったね。俳誌「百鳥」(2002年4月号)所載。(清水哲男)

又 次句の「縄延び」も独特な一語。その語義も挙げて置く。

縄縮み・縄伸び【なわちぢみ・なわのび】
実測した土地の面積が、登記簿に記載されたものより小さいことを縄縮み、大きいことを縄伸びといいます。
縄縮みや縄伸びは、主に地方の農地や山林で起こります。その原因として考えられるのが、これらの登記簿の面積が、測量技術の未熟な明治初期のものが多いことです。また意図的な理由としては、縄伸びは、税負担軽減のための過少申告、縄縮みは、売買代金の嵩上げを狙った、などが考えられます。

127何事もなかったやうにひひな達
129さんしゅうや庭下駄揃え客を待つ



【一寸ひとこと】

34真つ白の新車を止めて麦を踏む
真っ新な自動車止めて麦を踏む
原句 通りだと若干 青と白の対比が強すぎるきらい有り、そこを避けたい
というのが私の提案。
85ひとりにも一人の意地や蜆汁
「底意地」という言葉が有る。 私流だと ひとり者にも底意地ありて蜆汁
121囀りの同じ一語をひたすらに
私なら 囀りの同じ調子で一日中 とやりたい
129さんしゅうや庭下駄揃え客を待つ
「さんしゅう」の表記だが、文語なら 「さんしゅゆ」と表記したい

以上
by 575fudemakase | 2017-03-26 09:23 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句


予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号

3料峭やシート囲いのぼやの跡
9立子忌の礼儀正しき句会かな
13金盞花太陽の黄を散りばめぬ
16四温晴れ幌を外してマーケット
17手松明に頬なぶらるる送水会
18下萌えや歩くたび鳴る稚児の靴
20梅散らす風かと見れば番い鳥
26啓蟄や水抜く池の穴あまた
27雪舞へる函館市場に氷下魚汁
30瀬戸の海凪ぎ素麺の天日干し
32柔らかに纏ふ光や雛納め
33奥津城の椿は落ちて色褪せず
35沈丁花襲脱ぎつつ匂ひけり
44庭畑の残雪散らし矮鶏番ふ
56総門に鳩除けネット涅槃西風
64焼け山の縞目くつきりとのぐもり
66亀鳴くや耳付き壺の耳失せて
67古書市に師の初版本鳥雲に
68雛納め振子時計の音ばかり
74舫ひ船脇差めきて東風の竿
77涅槃絵図掲げる床の鏡なす
81その昔上級生に御蚕の部屋
82母あらば急くや遅日の夕げ時
89芝居はね街におぼろの十日月
91花ミモザ海辺の町のピザの店
99新海苔や甥の嫁御のお里より
107岩窟に銭を洗ひて春浅し
112一輌車来る無人駅雪解靄
113こまがえる草々羨し妹亡く
119くもりけり幼なの握る竜の玉
120享保雛飾り門前写真館
133亀鳴くやもの憂き午後の美容室
134桜餅もぐもぐ鼻毛ごともぐもぐ
141つと突けば磯巾着のすと窄む
142五年ものの蒟蒻芋置く梅見茶屋
145陽炎は俑の嘆息古墳山
151房総の菜の花畑ゆく電車
154終曲の指ねんごろに春の宵
156啓蟄や嘴に虫垂れてをり
158啓蟄や街に出会ひて旧知なる
164梅白し子ども相撲の声高し
165姫椿落ちて乱れず苔の上
166曲がり来て沈丁の香に突き当たる
167病み抜けて久の外出春袷
168姑となりて久しや花大根
172けふはまだましと春めく日の言葉
188何事もなかったやうにひひな達

以上

後評(2017・3)


20梅散らす風かと見れば番い鳥
庭先でこんな光景によく出会うので、ごもっともと相槌を打つ次第。
我が家の梅は枯れてしまったので、桃である。桃は花が終わって葉が
モサモサである。其処へ一陣の擦過音、なあーんだ目白かである。

44庭畑の残雪散らし矮鶏番ふ
「番ふ」がいかにも春到来を告げて、躍動する動詞。
名詞の「番い」は静的であるが、動詞の「番ふ」は動的である。

68雛納め振子時計の音ばかり
静寂な座敷での雛納めといふ一仕事。時計の振り子の音が支配せる世界。
振り子の規則的なリズムに作業もはかどる。

81その昔上級生に御蚕の部屋
養蚕が旺んな時代にはこんな光景もままあったことであろう。
勉強部屋とお蚕さんの部屋が同居していたといふ… 昭和といふ
佳き時代である。そう言えば、濱の古参同人に竹中龍青という人が
居って、その人の句集に「御蚕神」というのがあった。信州 佐久
在の人である。その人の案内で渚男さん等と上田あたりを吟行した
のを思いだした。林火師も信州によく遊んだ一時期があったと仄聞
している。十日夜とか、穂高 山葵農園とか、しょなら様とか挑戦しがい
のある吟行地が多い。

89芝居はね街におぼろの十日月
じっくりと十日月を眺めたことがないが何となく惹かれる。


99新海苔や甥の嫁御のお里より
「甥の嫁御のお里」と畳み込んでゆく処にある種の親身を感じる。
その上に季語が効いているではないか?

100畦焼きは遠き日のこと老ふまじや
「老ふまじや」と、俳句を介して、自分自身に向き合っている。
遠き日の出来事はみな佳きものと感ぜられるよう神様は人間を造った
とでも言っておこうか?。

134桜餅もぐもぐ鼻毛ごともぐもぐ
かなりレトリックのかかった一句である。
ぬけぬけと小汚いところを詠むのも老者の特権であろう。

141つと突けば磯巾着のすと窄む
「つ」と「す」の関係は「あ」と「うん」の関係に類似する。
一音、一字の 照応が面白い。押し合い圧し合いしている。

172けふはまだましと春めく日の言葉
他人が言っているのか それとも 自分が言っているのか?
自分なら自分自身を慰める為の独言?
表現として「春めく日の言葉」がよい。
by 575fudemakase | 2017-03-26 09:20 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


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(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
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例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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