カテゴリ:ねずみのこまくら句会( 19 )

後評(2017・8)

後評(2017・8)


ねずみのこまくら句会


青鷺の黙考のふり魚捉ふ

(この一句 何処かユーモラス。そこが買いか?)


湧水に弾き出されし水馬

(例えば、柿田川のあの富士湧水などの例を見れば、湧水の弾力性は半端じゃない。正に弾き出されしなのである)


かがり火の消えていくまで盆踊

(かって秋田、西馬音内の盆踊を最後の最後まで見尽くした。踊上手は夜十一時頃から登場して雁化踊等を舞った。夜の更けるに連れ、秋田音頭も卑猥な代え唄に変じた。篝火がガクッと崩れて踊は終焉を迎える)


朝曇り鎌の切れ味悪からず

(滞り無き表現に、言うべきことは全て言ったとでも申しているような作品)


蜩やわたくし雨の過ぎし杜

(かって小生は八丈島で次句を得た。


八丈島で夕立のことを斯く言えば

明日葉を嬉しがらせる所降


小生の「所降」もこの句の「私雨」も同じ処を狙ったもの。

因みに辞書に依ると、「私雨」は局地的に降る雨のことで、箱根、比叡、丹波などのものが有名とある )


朝の試歩蝉の飛び交ふ並木道

(夏も中、後半を過ぎると蝉もバタバタと乱れ飛ぶ。そんな状況か?)


木偶となりぬ夏風邪に声盗られたる

(「木偶となりぬ」と觀念したところに、軽い納得の念を覚える)


宍道湖の締めは土用の蜆かな

(「宍道湖の締め」は「宍道湖の旅の締め」のことなのだろう。言い足らずなのか?これでオーケーなのか読者に聞いて見たいところである)


水音の途切れぬ鬼無里水芭蕉

(水芭蕉の咲くところは、雪解水なり水量が豊富なところ。「水音の途切れぬ鬼無里」とは言い得てる)


熊除け鈴響ける池の井守かな

(人気の無き山湖の静寂を想う)


白粉の花の乱るる遊女屋(のすかいや)

(正に、造った作と思うが、映画のように情念の世界が伝わって来る面も否めない)


羅や双の乳房を緊縛し

(男故女の心中は察しかねるが、字面通りに伝わって来るもの有りと判断した)


朝顔市のポスターのはや大江戸線

(「大江戸線」から江戸を引き出し朝顔市に結び付けた。ここら辺が手柄)


かの猫も消えてしまひし夏の果て

(些末なものに夏果の風情を詠みとっている)


竹の花見たさに藪に踏み入りぬ

ひつそりと咲くがよろしき竹の花

(両句 何処か無手勝流。そこに好感を持った)


青葦に涼(そよ)いでゐたる鳥の声

(漢和辞典を繰ったが、「涼」をそよぐと読ませる根拠は無いと判断するが、作者の意図を確認したいところ…)


紫陽花のてんまりてまり揺れにけり

(童謡 鞠と殿様を下敷きにした洒落た一句。リズミカルな音調を一句に取り込んだ)


風鈴の鳴る時赤子泣き止みぬ

(ひょっとした発見。たわいもないと言えばたわいもないが…)


五箇山の空うめつくす赤とんぼ

(群舞する赤蜻蛉。空埋め尽くすは常識の範疇だが、固有名詞「五箇山」でこの句は活きたのではないか?)


地獄絵に鬼灯燃ゆる珍皇寺

(目下、小生はFacebookに嵌っている。写真家の写す京都の一葉一葉に頷いている。今夏は珍皇寺も度々登場した。どの写真家も盆花のほおづきを冒頭に持って来ていた。)


山頂に己れちっぽけ星飛べり

(五七の達観したような物言いがユニーク。俳句は尋常では面白くない。尋常ならざることを申してナンボのものである…。と言ってやりすぎるとこれ亦駄目である)


大西瓜まずは佛に褒めてねと

(誰に言い聞かしているのか? 己れ自身にか? それとも孫達にか?亡き夫にか?)


田畑を守りて一人の盂蘭盆会

(一人に…の措辞に、安らぎを覚えるのか?寂寞を思うのか?それとも やれやれを思うのか?)


稲の花ぐっすり眠りし朝かな

(「稲の花」と「ぐっすり眠る」の間にはどういう関連があるのか? 「ぐっすり眠る」の古語に うまい(熟寝)がある。どうやらこの裡の一漢字「熟」にその原因があるようである)


流鏑馬道けふは涼風通ふ道

(流鏑馬から一日間を置いた叙法に、この句の安らかさの原因があろう)


大本山がらんだうなり百日紅

(大本山は本来 がらんどう。大本山は知識の宝庫。「知識の宝庫」なんてそもそもガランドウ也と禅坊主宜しく言いたい)


峯雲や父の掌の添ふ逆上がり

(きめ細かな表現に賛同した)


泥鰌鍋尻ポケットに下足札

(ザックバランな泥鰌屋の雰囲気をザックバランに詠んだ)


たよりなや甘さ控えし土用餅

(元来、土用餅は暑に打ち勝つ為に考案されたものであろう。その為には味もシッカリしていなければならない。それなのに…と言った処なのであろう)


漱石の墓所に金えのころと猫

(何故 金えのころなのか? 私は漱石全集の装丁デザインのことをちらっと想ったりした)


母許や西瓜の躍る自噴井戸

(説明の要無しであろう)


母の紅つけてうれしや祭の子

(これは人様の子を詠んだのではない。自己の懐古詠じゃあないのか? それの方が味わい深い)


雲の峰山の向かうは沸騰中

(訳は判らんが、「沸騰中」の措辞は気になる。それが読者を引っ張って離さない)


八歳の虚空八月十五日

(戦時のある時点に一気呵成に遡っていった作者に共感した)


以上


by 575fudemakase | 2017-08-20 18:37 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


1鉾宿の月讀命「つきよみ」祀る低天井

3野馬追の檄阿武隈山に谺せり

8地平まで北の大地の蕎麦の花

14その中に美しきくれなゐ夏落葉

15拭き艶の箱階段や西鶴忌

16烏瓜の花背戸垣を好みけり

18羅や双の乳房を緊縛し

21黒松の篠突く雨に扇置く

22野萱草佐渡にあまたの能舞台

23宍道湖の締めは土用の蜆かな

27鮎美し古代のままや黄みを帯ぶ

29行く夏の川面に遊ぶ赤き毬

31朝の試歩蝉の飛び交ふ並木道

33水音の途切れぬ鬼無里水芭蕉

38大文字火勢余りて跳ねあがり

39塾の少女雛罌粟ほどの欠伸して

42夏雲立つ丈七丈の鰹塚

43かの猫も消えてしまひし夏の果て

46漱石の墓所に金えのころと猫

48新涼や句集の表紙決まりたる

49舟小屋へ舟曳く漁師朝曇

52秋暑し象舎にのぞく大き尻

55踊り子の紙の雪追ふ羽根扇

56十一や富士山頂より暁けぬ

57新豆腐富士の湧水無尽蔵

62墓灼けて骨の仏も暑からむ

63青鷺の黙考のふり魚捉ふ

68原爆忌採血室のひとひとひと

69八歳の虚空八月十五日

70五箇山の空うめつくす赤とんぼ

72熊除け鈴響ける池の井守かな

73明け易し漁火の陣崩れ初む

74地獄絵に鬼灯燃ゆる珍皇寺

78鉄線を供花としまみゆ師の墓前

82鰡あまた沖飛び熊野灘ひろぐ

83D51の煙朦朦大夏野

85母許や西瓜の躍る自噴井戸

89夏座敷真ん中に犬四肢伸ばし

91エアコンを持ちきし人に扇風機

93暗闇にわれを窺うごきかぶり

95山頂に己れちっぽけ星飛べり

96片蔭を欲る電柱の影さへも

97風鈴の鳴る時赤子泣き止みぬ

98木偶となりぬ夏風邪に声盗られたる

99田畑を守りて一人の盂蘭盆会

100大本山がらんだうなり百日紅

103蓮見舟たゆたふ池や生絹波

107たよりなや甘さ控えし土用餅

108瑠璃鳴くや一人っきりの山の畑

112青芝に沈む踏み石夕まぐれ

114夕河鹿湯ぼてり覚ます川原風

115朝顔市のポスターのはや大江戸線

116泥鰌鍋尻ポケットに下足札

120俎板の鰯は行儀良く並び

124白粉の花の乱るる遊女屋(のすかいや)

128朝曇り鎌の切れ味悪からず

129かがり火の消えていくまで盆踊

130峯雲や父の掌の添ふ逆上がり

131雲の峰山の向かうは沸騰中

136百鬼夜行のありしやとこの梅雨出水

144ひつそりと咲くがよろしき竹の花

147海の日のとても小さなコンサート

149背を向けて夕餉食べをり夜店番

150小躍りして寄り来る海月盥舟

152英会話のテープリピイト生身魂

157稲の花ぐっすり眠りし朝かな

158炎昼の朽ち杭現るる船溜り

159水中花まだ恋知らぬ長睫毛

160竹の花見たさに藪に踏み入りぬ

163大西瓜まずは佛に褒めてねと

168流鏑馬道けふは涼風通ふ道

169母の紅つけてうれしや祭の子

170秋刀魚焼く匂ひの届く奥座敷

174蜩やわたくし雨の過ぎし杜

175雲海を碧き小島や槍・穂高

176湧水に弾き出されし水馬

177接ぎ穂なき言の葉竹の皮散れり

180青葦に涼(そよ)いでゐたる鳥の声


以上






by 575fudemakase | 2017-08-18 05:18 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

ねずみのこまくら句会短評(2017・7)

ねずみのこまくら句会短評(2017・7)



20奪衣婆に帽載せ石工三尺寝

なんとも好ましいポーズを俳句にした


28大琵琶へ峠{たわ}の虹の根潜りけり

「琵琶湖」を「大琵琶」と表記したことに意味がある。「大琵琶」が当地で言い慣らされている言葉ならなおさら良い。今回は此れに 「峠{たわ}」が加わった。


42紫陽花を切るあじさいの中に入り

これでも俳句になると言うお手本のような俳句。素直になる、巧まない。


49滝が滝四十八滝生みにけり

上五七が滝で韻を踏んでをりリズミカル。赤目四十八滝を詠んだのだろう?


56麦秋や赤子に座敷ひと間貸す

57雲の峰赤子にもある力瘤

上記二句は同一作者であろうか?

前句:「ひと間貸す」の使い方が面白い。実のところは、「占有」されてしまったという状況であろう

後句:「力瘤」が共通項として働いているが、どこか類型的。


70風の日の脚持て余すあめんぼう

強風の日、川の遡上をサボっているアメンボウ達であろう。一処に屯して…


73池の面に気泡のぽこり油照

稲田でも池でもよいだろう。類型はあるであろう…


87麦秋の中を迷うて帰りけり

状景が漫然としている。とらまえどころの無い句である。が何処かそそられる。

私が想ったのは北海道辺りの広大な麦畑。実体験したのは女満別空港に向う途中の麦畑群

(むろん、車でだが)。

または、心理的状景と解してもよい。


98暮れながらてらてらてらと柿若葉

柿若葉がピカピカとかテラテラとかは在り来たりの表現。しかし「暮れながら」と夕映の景

をもってきたのは適切。差し込んでくる金色光が眩しい


104後引かぬやうに十粒のさくらんぼ

出して置けば無くなるまで食べてしまう夫や子ども達。それらを目線にした主婦の防衛策?

それとも自らを律した一句?


109浜ひるがほ砂より生まれ来たりけり

「砂より生まれ」と大胆に踏み込んだ。途中を一切省略しているが、なんとなく説得させられる。

小生が実地に体験したのは千葉県 富浦の浜辺。


113白波に裸ぶつけて神輿揉む

こういった祭は全国的に数多あろう。上五七が小気味よい。


116エプロンは現役印梅を干す

元気印とはよく聞く。が現役印はどうか?でも 抵抗なく入ってくる言葉だ。

要は作者が現役ではないと言うこと。それがハリキッテ梅を干すという。ホホウである。


127病床の管の幾筋さみだるる

「人間は管(くだ)より成れる日短(ひみじか)」(川崎展宏)

これが管俳句の嚆矢であろう。管の状態(複数)はまことに五月雨に適う。


148花氷オーシャンビュウのレストラン

船旅に模した洒落た作りである。


by 575fudemakase | 2017-07-16 03:58 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句


予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号

5真っ二つ疵の梅雨茸匂なし
12大雪渓豆粒ほどの登攀者
13宮内庁管理の墓域岩たばこ
14滝の綺羅浴びてしづかに生気湧く
17出水禍を免る安堵罪めくも
18鮎解禁未明の川に五六人
20奪衣婆に帽載せ石工三尺寝
22平家蛍国母の陵へ消えゆけり
25海亀来る浜辺は遥か月赤し
28大琵琶へ峠{たわ}の虹の根潜りけり
36鰻肝食べ丹田に力かな
41噴水の穂先微塵の日を集め
42紫陽花を切るあじさいの中に入り
45ヒマラヤ杉青実一枝に出揃ひぬ
46鮎めしの炊きあがるまで川風に
49滝が滝四十八滝生みにけり
52凌霄花女主は病むといふ
56麦秋や赤子に座敷ひと間貸す
57雲の峰赤子にもある力瘤
58十一や富士山頂の曉けはじむ
59一人吟行暫く梅雨の蝶につく
61算術の大算盤や新樹光
67道志村水源守る朝草刈
69雲海に真教寺尾根割って入る
70風の日の脚持て余すあめんぼう
73池の面に気泡のぽこり油照
74ただ今と還暦の子の盆帰省
82老鴬桂昌院廟門開き
83朝戸出に一日の活噴井掬む
85銀座裏こんなところに夏の月
87麦秋の中を迷うて帰りけり
89巌隔て音を一つに夫婦滝
92睡蓮の揺れてひよつこり亀の首
95繊月の光り無数に鮎飛べり
98暮れながらてらてらてらと柿若葉
99足跡の縦よこ斜め苗の浮く
104後引かぬやうに十粒のさくらんぼ
105鮎一字染め抜く茶屋の夏暖簾
109浜ひるがほ砂より生まれ来たりけり
111蛍火を囲ふ子の指うすくれない
113白波に裸ぶつけて神輿揉む
115七夕や夫は十年対岸に
116エプロンは現役印梅を干す
119起き掛けの腓返りや半夏雨
126夫支ふ為の筋トレ風薫る
127病床の管の幾筋さみだるる
128蝉一つ夜のしじまを踏み外す
129おもむろに茅の輪抜ければ海展け
132送電線うなり出したる青嵐
133贔屓違ふナイター観戦老夫婦
136花菖蒲いとらうたげに萎みたる
138子孝行してゐるつもり田草取る
148花氷オーシャンビュウのレストラン
149小衝立越しの会釈や鰌鍋
150鰹一尾提げ来て厨任さるる
155油照り動くものなき交差点

以上


by 575fudemakase | 2017-07-13 19:45 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評 (2017・6)

後評 (2017・6)



6籐寝椅子老て食後の深眠り

「老て」に作者の日常を慮る。小生も今月句会に「老いたれば」の一句

を投じた。老いの句を作ることは弱音とも聞こえるが、又自然とも思える


8隙間なく簾の掛かる茶屋二階

茶屋らしさがキッチリと描かれている


35神の田を濁さず歩く井守かな

何と井守が神の田を濁さず歩くと唐突に持ち出した。

この持ち出し方が好い


40音もなく漕ぐ船頭の日焼顔

じっとりした暑さを感じる。辺りはダンマリ 風死すの状態か?


82揚羽蝶糸屋機屋と店並び

何故か揚羽蝶と糸屋機屋の結び付きが好ましい。理屈では解き明か

せない。又「店並び」も端然としていてよろしい。店並びは たなならび

と読ませるのだろう。

句意は揚羽蝶が糸屋と機屋と二軒を訪うように飛んで行くと言うことか?

背後に緩やかなリズム感が感じられる。


86頂へバトンタッチの立葵

既に咲き終わった我が家の白花合歓もこれから咲き出そうと

している宗旦木槿も下方の花から次から次へと天辺目がけて咲き出す。

ちょっとくだけたバトンタッチの片仮名表示もあたかも運動会のようで

軽快。


121オーボエの遥かなる声夕焼野

当句も片仮名表記。オーボエは大吠に通じる。確と意識はしてないが頭の

方は勝手にそう思い込んでいる節がある。俳句って、実はゴク単純なところ

に根ざしている場合もあろう。


147落暉追ふドクターイエロー麦の秋

当句も片仮名表記。二物を色で合わせた。また 麦の穂は一直線に飛ぶ弓矢の矢

の如し。疾走する新幹線も矢の如しである。


159数独に興じて一人梅雨に入る

数独が流行っている。バス、電車の車中でも良く見かける。

愚妻も喋らなくなったら、いつか数独にハマっている。


179温泉(ゆ)巡りの客の下駄音明早し

もう温泉場で出湯の梯子などやらなくてなったが、昔は率先して朝湯巡り

を敢行したものだ。草津等は10箇所ぐらい出湯がある。その裡、好みの出湯

が出来たものだ。草津在住の中澤文次郎さん(濱 古参同人。物故)の好みは、近場の千代ノ湯であった。



by 575fudemakase | 2017-06-19 06:23 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・5)

後評(2017・5)


6束の間の連綿として春尽きぬ

作者は「束の間」がずーと続いていると言っているんですね?そして春が

尽きると云つているんですね? しかし肝心な実態が示されていない。

これは何だと言う訳であるが、胸にすとんと収まるところもある。

この句は解釈するな、以心伝心で判れとでも言っているような句である。


9麦笛に野良の一服なりしかな

農俳句が身についていますなぁ…と言いたい。


18山の辺の名もなき古墳竹散れり

俳句は無名がいい… を懐かしく思いだす。


32夏来る大琵琶の沖海の色

ひとつ難点がありとせば、色である。「いろ」と平仮名にしたい。

これ以上の解説はしたくない。


48学級に馴染みし子らに夏来たる

学級に馴染みし子ら と実に細かいタイミングを見ている

この観察眼が全てである。


55東天紅の神さぶ声に夏立てり

神さぶ声に にグットタイミングのものを持って来た。夏立てり である。


67立夏なり仕立て下ろしの波と風

「仕立て下ろし」は一寸粋であると思えるも、どこか小智であるとも…

まあ硬いことは言わずに頂いて置こう。


72茶屋町の紅殻格子燕交ふ

茶屋町の紅殻格子 はどこかありそう。其れに配するに 乙鳥。

まあ出来ているのでしょうね…


89そら豆の花の目怖し母は亡し

この子はこどもの時、そら豆の花が怖いと言っては … と事ある度に

からかっていたその母も今や亡しと言うことか?


138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

団扇太鼓は幾たびも聞いた。唯 山鳥の母衣を打つが適切であるか否かであるが、

適切と思えた。


171昭和の日キューピーの浮く船溜り

「天皇誕生日」「みどりの日」「昭和の日」と変遷した。

老人にとって、回顧詠は得手である。横浜育ちの小生にとって、

濱の定例句会のあった石川町あたりの船溜まりでは日常茶飯に見られ景で

あつたと記憶する。人形と言えば横濱は 赤い靴履いてた女の子…の故郷

である。



149芽吹き急トピアリーパンダの歩きさふ

177下闇の見えぬわたかの水輪生む

上記 二句を

トピアリーパンダのっそり芽吹く中

下闇にうっすらわたかの水輪生む

と改変した方がよいのでは…と申すのが小生の意見。


状況を仔細に渡って述べる替わりに「のっそり」「うっすら」なる擬態語で

むんずとやってしまった方が手取り早いと思うのである。

擬態語の効用と言いたい。


by 575fudemakase | 2017-05-21 03:08 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


6束の間の連綿として春尽きぬ

9麦笛に野良の一服なりしかな

16父の手の網より外す花うぐひ

18山の辺の名もなき古墳竹散れり

19正座して無言の食事昭和の日

24大甍囲み萌黄の薄暑光

25懸け橋を菩薩のお練り清和の天

28高々と挙兵の山の吹流し

32夏来る大琵琶の沖海の色

33緋牡丹に煩わしきこと忘れをり

40荷風忌や投込寺の碑に雫

43蛇の衣聖天堂に燭ひとつ

48学級に馴染みし子らに夏来たる

49野良の足洗ふ外井戸月おぼろ

50昭和の日切干し大根甘く煮て

55東天紅の神さぶ声に夏立てり

56山寺の和尚と眺む桐の花

58若僧の総出伽藍の溝浚ひ

59牡丹の芽朱塗りに螺鈿硯箱

61松の芯天守に続く能舞台

66河鹿笛息子おごりの露天風呂

67立夏なり仕立て下ろしの波と風

75蚕豆や頑固おやじに育てられ

79月山を遠景にしてさくらんぼ

89そら豆の花の目怖し母は亡し

91雨止みぬ牡丹十花の崩れざま

104淀の渦ゆらりと飛花を巻きこみぬ

107菖蒲湯はやはり銭湯下駄ばきで

110雨細し蕾も見えて花あやめ

112半鐘に始まる雅楽来迎会

121田植え機の動く二反田遠筑波

123トンネルの先にトンネル谷若葉

125行商の籠の触れゆく花卯木

138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

141源流の音にこごみの渦を解く

145ゆつくりと溶かす漢方花疲れ

155雪彦山(せつぴこ)の沢にさ走る柳鮠

163すみれ咲く本郷菊坂石畳

166練供養泣き抱かれ行く稚児菩薩

167富士に向き畝切る音の五月かな

171昭和の日キューピーの浮く船溜り

175山頂へ向かう小道や新樹光

178翡翠の消えしところに巣のあらむ

179八十八夜いまだに背戸のある暮らし

180麦秋をサイクリングの光ゆく


以上







by 575fudemakase | 2017-05-15 06:24 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


6束の間の連綿として春尽きぬ

9麦笛に野良の一服なりしかな

16父の手の網より外す花うぐひ

18山の辺の名もなき古墳竹散れり

19正座して無言の食事昭和の日

24大甍囲み萌黄の薄暑光

25懸け橋を菩薩のお練り清和の天

28高々と挙兵の山の吹流し

32夏来る大琵琶の沖海の色

33緋牡丹に煩わしきこと忘れをり

40荷風忌や投込寺の碑に雫

43蛇の衣聖天堂に燭ひとつ

48学級に馴染みし子らに夏来たる

49野良の足洗ふ外井戸月おぼろ

50昭和の日切干し大根甘く煮て

55東天紅の神さぶ声に夏立てり

56山寺の和尚と眺む桐の花

58若僧の総出伽藍の溝浚ひ

59牡丹の芽朱塗りに螺鈿硯箱

61松の芯天守に続く能舞台

66河鹿笛息子おごりの露天風呂

67立夏なり仕立て下ろしの波と風

75蚕豆や頑固おやじに育てられ

79月山を遠景にしてさくらんぼ

89そら豆の花の目怖し母は亡し

91雨止みぬ牡丹十花の崩れざま

104淀の渦ゆらりと飛花を巻きこみぬ

107菖蒲湯はやはり銭湯下駄ばきで

110雨細し蕾も見えて花あやめ

112半鐘に始まる雅楽来迎会

121田植え機の動く二反田遠筑波

123トンネルの先にトンネル谷若葉

125行商の籠の触れゆく花卯木

138団扇太鼓に合わせ山鳥母衣を打つ

141源流の音にこごみの渦を解く

145ゆつくりと溶かす漢方花疲れ

155雪彦山(せつぴこ)の沢にさ走る柳鮠

163すみれ咲く本郷菊坂石畳

166練供養泣き抱かれ行く稚児菩薩

167富士に向き畝切る音の五月かな

171昭和の日キューピーの浮く船溜り

175山頂へ向かう小道や新樹光

178翡翠の消えしところに巣のあらむ

179八十八夜いまだに背戸のある暮らし

180麦秋をサイクリングの光ゆく


以上







by 575fudemakase | 2017-05-15 06:24 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・4)

後評(2017・4)


評をしたくなる句とそうでない句がある。

なかには、評などするまでもなく、自明な句もある。


76山頭火の句碑にいきなり初音かな

句碑を山頭火のものとしたことが、「いきなり」の語彙に適う。

他のものでは、替え難い。


81墨堤の開花促すスカイツリー

スカイツリーの句はごまんと作られていよう。

だが、スカイツリーが開花を促すとやったのは先ず無いのでは…?。

又墨堤と前近代的な語彙を置いた作者のオトボケもグーである。


148本降りとなり彩ましぬ花海棠

これは旨さの句。「本降りとなり彩ましぬ」等と嘘っぱちのような事を

言っておいて、ホントと思わせるところなど、上手の手の込んだ一句。

騙されたのだが、その手の内に感心するという読み手降参の程の一句。


158ずわい蟹その膝頭なんとせう

これは食すときの難儀な点を指摘した句であろう。

あの関節の辺りの肉をせせり出すのには誰もが苦労する。

そこを問題にしたのが当句。へんな処に注目したのがこの句の手柄であろう。


173馬酔木咲き生駒庭石明るくす

関東には「鎌倉石」なる固有名詞がある。阪神には「生駒石」なるそれが

ある。地名を石に被せてそれらしい感じを読み手に与えること、何も説明せず

とも、伝わってくるものがある。その点の効率の良さを思う。配した季語の

花馬酔木が又よい。


by 575fudemakase | 2017-04-22 02:39 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句


予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号


1 マングローブ樹林の谷間田水張る
5 自刃跡手箒に掃く春落葉
6 垣繕へり棕櫚縄の蝶結び
15 花韮ら古木をそっと押し包み
17 雲雀よく鳴く天平の野と知りて
19 髪切りて帽子も新調花のとき
21 残雪掘り母納めたる日の遠し
24 鳧おやこ返し田の空鳴きわたる
27 罹災地の父母と上京入学式
30 大護摩会比良の残雪緩びけり
31 自転車は晩節の足うららけし
32 沈丁の夜半に深まる香りかな
35 手伝つて突出し分の土筆受く  
39 湖うらら土器投げの若き声
44 沈丁花襲脱ぎつつ匂ひけり
48 思ひ出は戦中戦後菜飯かな
53 縺れ来て初蝶止まる野良帽子
55 初蝶や卒寿のほそき足もとに
61 緑摘む庭師に樹令たずねけり
63 辛夷咲く山へ夕鐘かけのぼる
66 祇王寺へ坂緩やかや鳥の恋
69 春の闇過行く人の小鈴の音
70 八講の八荒鎮む大護摩会
72 弥生尽午後の醫院に忘れ傘
73 春三番雨戸叩いて去りにけり
74 等々力の渓谷歩く遅日かな
76 山頭火の句碑にいきなり初音かな
77 水草生ふ休日の野の柔ら日に
79 啓蟄や湯気をこもらす堆肥小屋
81 墨堤の開花促すスカイツリー
83 接骨木の花や素知らぬ顔が過ぐ  
87 土筆野に影置く一基通信塔
88 芽柳の天衣のなびく湖明り
89 山鳥の母衣につられて女坂
91 葱坊主に挨拶したき日和かな
94 あれこれを忘れ草笛吹きにけり
103 印刷屋残る界隈沈丁花
105 差し当たりガラスの函の中の春
108 初蝶の畑より庭に長居せり
110 草もろとも削りし畦を厚く塗る
114 晩酌を嗜むための青き踏む
118 八荒の湖へ護摩の矢逆落とし
122 大空に迷ひすぐ落つ初雲雀
124 墨田べりはこべ花咲く塚一つ
125 春霞伊吹の嶺の宙に在り
126 野良帰りの夕風甘し山桜
127 おぼろ夜の仏壇に読む母の手記
131 からくりの蝶を遊ばせ山笑ふ
134 雪形の爺の種まく山日和
138 猫柳垂水の音に揺れ続く
148 本降りとなり彩ましぬ花海棠
149 衣脱ぐ蛇ならば是非見届けん
152 ものなべて遥るけきものに花吹雪
153 胡麻炒りて春菊の早や一品に
158 ずわい蟹その膝頭なんとせう
161 敗戦を経し黒髪の少女雛
163 春の湖ラジコンの舟遊ばせて
167 鎌倉の抜け道覚ゆ日永かな
173 馬酔木咲き生駒庭石明るくす
176 万愚節己が捨てし句また拾ひ
178 深む闇もうすぐ花の咲く気配
180 「舌抜く」と一休の文冴え返る

以上
by 575fudemakase | 2017-04-12 12:44 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


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先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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