カテゴリ:夏の季語( 1677 )

玉蜀黍 の花 の俳句

玉蜀黍 の花 の俳句

玉蜀黍の花

なんばんの花に雨ふる山近み 轡田進
なんばんの花のだらりと海ねばる 梶井枯骨
なんばんの花やますぐに雨の降り 福島壺春
なんばんの花傾けてゆきし風 山西雅子
もろこしの花の月夜に住む家かな 鬼城
もろこしの花の金粉遠囃子 永方裕子
もろこしの花咲くつひの栖かな 風生
もろこしの雄花に広葉打ちかぶり 高浜虚子
もろこしの雄花に黄葉打ちかぶり 高浜虚子
ジプシーの家なんばんの花がくれ 岩崎照子
南蛮の花綴りあふれ夜空かな 八木林之助
南蛮の花綴りあふ夜空かな 八木林之助
唐黍の花かがやけり一の関 長谷川明子
唐黍の花の咲きゐる遺跡かな 茂上かの女
唐黍の花の黄いろき魂迎ヘ 萩原麦草 麦嵐
唐黍の雑れそめたる外寝かな 軽部烏帽子 [しどみ]の花
島原のときなし雨や花なんばん 鮫島春潮子
花なんばん国栖の雀のぶら下り 大峯あきら

以上
by 575fudemakase | 2016-08-31 14:16 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

土用凪 の俳句

土用凪 の俳句

土用凪 

引き賣りのけふは店守る土用凪 中原道夫
夕餉して居どこにまよふ土用凪 石塚友二
牛のゐる四肢の下ぬれ土用凪 能村登四郎
夕餉して居どこにまよふ土用凪 石塚 友二
坂道を矮鶏ころげくる土用凪 梶原 宇良
土用凪桂大樹の立つ庭も 八木林之介 青霞集
一つ葉も鳥獣界も土用凪 宇佐美魚目 秋収冬蔵
土用凪こころたちまち病む母ヘ 原裕 新治
山をひらひらおもひだす土用凪 松澤昭 父ら
耳鳴りの又つのる日や土用凪 小沢満佐子
岩をうがちて生簀つくるや土用凪 武田鶯塘(南柯)
音止みし建設現場土用凪 調一子(遠矢)


土用凪 補遺 

このあたり珊瑚艶なり土用凪 阿波野青畝
海空に額ひとつ現れ土用凪 岡井省二 鯛の鯛
牛のゐる四肢の下濡れ土用凪 能村登四郎
石積んで石を余さず土用凪 廣瀬直人
銭亀を畦に拾ひし土用凪 能村登四郎

以上
by 575fudemakase | 2016-08-31 14:14 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

麻 の俳句

麻 の俳句

麻 の例句(←ここをクリック)
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麻 補遺

いつとなく古りし麻姑の手春めく夜 飯田龍太
いろひたくなりて麻の葉いろひけり 岡井省二 鯨と犀
このあたり人素直也麻の畑 正岡子規 麻
すぱりすぱり麻刈るわざの面白き 正岡子規 麻
その顔の汗のべし見や麻畠 森澄雄
たたずめる女人に箆麻に月明り 下村槐太 光背
にこにこと麻の実のまへにたたずみぬ 岡井省二 夏炉
ひもじく並べ野老と天麻(おにのやがら)かな 岡井省二 鯨と犀
ほう~と麻を蒔きたき面てなり 岡井省二 鯨と犀
もの思ふ終りに麻の葉波あり 岡井省二 明野
一麻袋にて足る背戸の芋掘れり 伊丹三樹彦
三人で麻の服着て見つめあふ 飯島晴子
丘の中に麻あり汝もひそみたり 金子兜太
人顔の麻の花なり咲いた咲いた 金子兜太
六月は我が麻姑の手も荒々し 相生垣瓜人 負暄
刈り残す麻に二十日の月出づる 正岡子規 麻
刈麻に夕日さしこむ小庭かな 正岡子規 麻
刈麻やどの小娘の恋衣 正岡子規 麻
前の歯に麻の実噛んで湖の音 岡井省二 山色
向ひ山麻刈る音のとどきけり 及川貞 夕焼
吹き分けて麻の実すこしくれにけり 加藤秋邨
命緒の麻の白きを雪に売る 大野林火 飛花集 昭和四十五年
啓蟄や讃美歌つまる麻袋 橋閒石 卯
城門を出て坂道や麻の月 日野草城
墓参りのときのみに着る麻絣 細見綾子
夏山ヤ岩アラハレテ乱麻皴 正岡子規 夏山
夏引その乱れや二十八天下 正岡子規 夏麻引く
夏近き近江の空や麻の雨 村上鬼城
夕暮やかならず麻の一嵐 正岡子規 麻
夕立や雀のさわぐ麻畠 正岡子規 麻
多勢にて青麻引のいそがるる 平畑静塔
大寺に麻の衣の僧一人 後藤夜半 底紅
大麻や青煤笹を一と祓ひ 後藤夜半 底紅
子らに衣を麻の実拾おう苦菜摘もう 金子兜太
孫の手と麻姑といづれぞ寒日和 飯田龍太
家照つてゐる六月の麻畑 岡井省二 鹿野
山の端に麻釜すずしくのぞくかな 松崎鉄之介
広葉もてうなづき合へり麻大黄 前田普羅 春寒浅間山
形見て鰻焼く待つ麻のれん 石川桂郎 高蘆
我が右の麻座布団のあまりあり 阿波野青畝
手のとどくごとき白雲麻畑に 大野林火 冬雁 昭和二十一年
手毬かゞる麻の葉のほかはなき母よ 中川一碧樓
掌に麻の實恒河の波の見ゆ 岡井省二 猩々
掌に麻の實音を発したる 岡井省二 前後
敗戦の嘗て其日の箆麻の花 三橋敏雄
敢えて男嫌なる麻嵐かな 橋閒石 卯
散らばりし麻坐布団に戻りけり 右城暮石 声と声
日の入りや麻刈るあとの通り雨 正岡子規 麻
明易き人の出入や麻暖簾 前田普羅 普羅句集
星合のこよひは麻のそよぎかな 阿波野青畝
更級にとなりて月の麻績の里 木村蕪城 一位
月明し廃墟このあたり麻茂る 日野草城
棄猫のないて麻畑月夜かな 日野草城
極月の枯蓖麻は引き抜かれけり 岸田稚魚 雁渡し
水明り焔明りの麻畠 廣瀬直人
沖縄の珊瑚をつけし麻の服 細見綾子
海の藻のつきゐるさゞえ麻袋 細見綾子
淡海見ゆ近江今津の麻畠 森澄雄
渺々と麻刈るあとの雲の峰 正岡子規 麻
湖昏れてゆく麻の葉の音なりし 岡井省二 五劫集
炎天の日ざしのふかく麻に澄む 大野林火 冬雁 昭和二十一年
瓢亭や此処に待たしむ麻蒲団 阿波野青畝
白麻にちちひつそりと少女かな 日野草城
白麻に湯通しすみし遠忌かな 能村登四郎
白麻のやや着くづれて人親し 能村登四郎
白麻をたたむが旅のはじめかな 加藤秋邨
石垣を朝の日おりる麻畠 岡井省二 明野
秋風に鳴る岩のあり麻姑杣女 佐藤鬼房
空たれて炭地区の径蓖麻枯るる 飯田蛇笏 雪峡
筆ならず麻姑の手なりし夜の秋 岡井省二 鯛の鯛
索道の石炭落す麻畠 山口誓子
花袋忌の風わたりきし麻畠 燕雀 星野麥丘人
蓖麻かれず耕地あらたに靄のたつ 飯田蛇笏 春蘭
蓖麻の実のねむるよりはつしぐれ 飯田蛇笏 春蘭
蓖麻の実の眠むるより初しぐれ 飯田蛇笏 霊芝
蓖麻は実に巷をゆきて糞す馬 下村槐太 天涯
谿沿ひの一村三里麻の花 松崎鉄之介
送梅雨蓖麻はびこりて実をつづる 飯田蛇笏 白嶽
野老掘り天麻(おにのやがら)も掘りにけり 岡井省二 鯛の鯛
釜中より青丹ゆがきの麻が出る 平畑静塔
露けしや晩年麻のごとくにて 平井照敏 天上大風
青嶺垣麻八尺の丈そろふ 及川貞 夕焼
青麻(チンマ)のび淮陰の昼深かりき 加藤秋邨
青麻の夕ベの祓美しき 高野素十
青麻を地より抜くなり剥がすなり 平畑静塔
飾独楽麻紐白く房は紅 山口青邨
饗庭(あへば)野に麻干して顎のこりけり 岡井省二 夏炉
麻につるゝ山家の雨の脚直し 正岡子規 麻
麻に出て大暑の星を仰ぎけり 日野草城
麻のしげりいのちををしみ 中川一碧樓
麻のれん「ぎをん権兵衛」とは何屋 百合山羽公 樂土以後
麻の実や繋がれて馬白かりき 星野麥丘人
麻の実を身近きものの如く見る 後藤夜半 底紅
麻の服風はまだらに吹くをおぼゆ 篠原梵 年々去来の花 皿
麻の生地の今朝山鳩を聞かざりき 橋閒石俳句選集 『和栲』以後(Ⅱ)
麻の花黄白に咲き霧の民 金子兜太
麻の葉ににこにことゐるだけのこと 岡井省二 夏炉
麻の葉のきりこみふかく涼徹す 大野林火 冬雁 昭和二十一年
麻の葉も神坐す山と青きかな 右城暮石 句集外 昭和十六年
麻の葉を流したりしな湖の宵 岡井省二 有時
麻ひたす其処より濁る沢の水 前田普羅 春寒浅間山
麻を着て家居楽しや布袋草 森澄雄
麻を着て草長け人をなつかしむ 細見綾子
麻三反家五軒子供八九人 正岡子規 麻
麻刈って谿さっぱりと水の音 及川貞 夕焼
麻刈つて大石垣の日ざしかな 岡井省二 山色
麻刈つて渺たる月の渡しかな 飯田蛇笏 山廬集
麻刈の吾にわからぬ言葉かな 正岡子規 麻
麻刈の髭うすうすと若かりけり 橋閒石 卯
麻刈られ土の軟弱日に晒す 野澤節子 鳳蝶
麻刈りしあとを斜めに横切りぬ 草間時彦 櫻山
麻刈りて大きな水車まはるなり 阿波野青畝
麻刈りて屏風に淋し山の影 正岡子規 麻
麻刈りて鳥海山に雲もなし 正岡子規 麻
麻刈りに楕円真赤な日がのぼる 佐藤鬼房
麻大黄おのれがこぼす花の音 前田普羅 春寒浅間山
麻姑の手のすこしつめたき四温かな 飯田龍太
麻姑の手を執りつつ春を惜しみけり 相生垣瓜人 負暄
麻干して麓村とはよき名なり 高野素十
麻干すやいらくさにまだ朝の露 平畑静塔
麻暖簾古き家紋を垂らしたり 村山故郷
麻服に着換へて仏蘭西租界ゆく<上海> 篠原梵 年々去来の花 中北支の四〇日
麻服のおのが白さに眩み行く 篠原梵 年々去来の花 皿
麻服の旅のゆふべの風と波 岡本眸
麻服の皺ともかくも親切に 飯島晴子
麻服の皺や中年ぎりぎりに 岡本眸
麻畑の十四五本は青く透く 大野林火 冬雁 昭和二十一年
麻畑の雀とび月ありにけり 岡井省二 山色
麻畑百姓ありて欠びかな 内藤鳴雪
麻畑長けて音なきところあり 三橋敏雄
麻畠綾に乱るゝ門近きや(松田布兌子居) 細見綾子
麻畠綾に乱るゝ間近きや 細見綾子 桃は八重
麻畠金剛の嶮ここに尽く 福田蓼汀 山火
麻立つてゐる邊に濁りすくひけり 岡井省二 鯨と犀
麻綱のごときわが腕春山の雪のはて 赤尾兜子 歳華集
麻縄を身に纏きつけて春山行く 右城暮石 句集外 昭和三十九年
麻茂り伏屋の軒を見せじとす 富安風生
麻蒲団一枚折るは何の意ぞ 阿波野青畝
麻蚊帳に足うつくしく重ね病む 杉田久女
麻衾暁ごうごうの雨被る 橋本多佳子
麻衾暁の手足を裹み余さず 橋本多佳子
麻衾暁紅を眼に覚めにけり 大野林火 雪華 昭和三十七年
麻負うて一にん来る夕日かな 日野草城
麻負ひて里の乙女等雷一つ 星野立子
麻車出る麻畑の無一物 平畑静塔

以上
by 575fudemakase | 2016-08-31 14:12 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

土用凪 の俳句

土用凪 の俳句

土用凪 

引き賣りのけふは店守る土用凪 中原道夫
夕餉して居どこにまよふ土用凪 石塚友二
牛のゐる四肢の下ぬれ土用凪 能村登四郎
夕餉して居どこにまよふ土用凪 石塚 友二
坂道を矮鶏ころげくる土用凪 梶原 宇良
土用凪桂大樹の立つ庭も 八木林之介 青霞集
一つ葉も鳥獣界も土用凪 宇佐美魚目 秋収冬蔵
土用凪こころたちまち病む母ヘ 原裕 新治
山をひらひらおもひだす土用凪 松澤昭 父ら
耳鳴りの又つのる日や土用凪 小沢満佐子
岩をうがちて生簀つくるや土用凪 武田鶯塘(南柯)
音止みし建設現場土用凪 調一子(遠矢)


土用凪 補遺 

このあたり珊瑚艶なり土用凪 阿波野青畝
海空に額ひとつ現れ土用凪 岡井省二 鯛の鯛
牛のゐる四肢の下濡れ土用凪 能村登四郎
石積んで石を余さず土用凪 廣瀬直人
銭亀を畦に拾ひし土用凪 能村登四郎

以上
by 575fudemakase | 2016-08-31 13:51 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

麻 

あけがたの雨に濡れたる麻を刈る 町田勝彦
いつせいに亀投身す麻嵐 鳥居美智子
かさこそと蝗浪うつ麻袋 細谷鳩舎
かな~や麻の丈はやきはまれり 高橋馬相 秋山越
かるかやのつめ込んである麻袋 水野恒彦
きりきりと麻緒匂はせ垣繕ふ 脇本千鶴子
くる度にこの家親し麻のれん 近藤いぬゐ
このあたり人素直也麻の畑 麻 正岡子規
この谷の麻(み)も蚕(こ)も滅ぶ青時雨 中戸川朝人 星辰
こゝらより川の名変り麻の花 上田花勢
さそり座のそばまで麻の花ざかり 藤田湘子
しのゝめや露の近江の麻畠 蕪村 夏之部 ■ 述懐
すはすはと夜は明易し麻畠 暁台
すぱりすぱり麻刈るわざの面白き 麻 正岡子規
ちからなや麻刈るあとの秋の風 越人 選集古今句集
なつかしき闇のにほひや麻畠 召波「春泥発句集」
ひとところ風鋭くて麻畠 原田喬
まつすぐに雨とほしをり麻畑 きくちつねこ「花晨」
もの思ふ終りに麻の葉波あり 岡井省二「明野」
やね葺きの額白しや麻頭巾 寿仙 俳諧撰集「有磯海」
やや暑し赤麻も丈となりにけり 鈴木しげを
ゆり出だすみどりの波や麻の風 広瀬惟然
ゆり出だす緑の波や麻の風 惟然「菊の香」
一宿して立去る君や麻頭巾 露月句集 石井露月
一日着て麻服に皺松の風 長谷川櫂 蓬莱
一本の竹麻一夏の花として 池田歌子
一本の麻の育ちて花こぼす 中田みづほ
一村は麻より低き家ばかり 露月句集 石井露月
三人とも麻の服着て見つめ合ふ 飯島晴子
三礼の僧がたたみぬ麻の座具 吉田紫乃
下京の一客となる麻衾 上野さち子
下野は風のそだてし麻の丈 三国あさ子
下野や麻刈りすみし魂迎へ 印旛 涌
人中や麻服の身をかたくなに 大石悦子 群萌
何か言ひかけ先に行く麻畑 福井啓子
例幣使街道麻を刈つてをり 西本一都 景色
俤は麻の背広を着て歩む 長谷川櫂 虚空
切る麻の影縮まりてよるべなき 大貫鬼山
刈り残す麻に二十日の月出づる 麻 正岡子規
刈麻に夕日さしこむ小庭かな 麻 正岡子規
刈麻やどの小娘の恋衣 麻 正岡子規
加賀城下麻ののれんに「あめ」の二字 近藤一鴻
十歩して夕焼さめし麻畠 野沢節子
卑弥呼失踪きりきり朝かぜ麻の葉 鈴木 明
友達は男ばかりや麻刈り女 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
口ずさむ鄙歌ありぬ麻畑 手塚 美佐
古町をつらぬく川や麻のれん 八木林之介 青霞集
向ひ山麻刈る音のとどきけり 及川貞 夕焼
吹き分けて麻の実すこしくれにけり 加藤楸邨
四五本をもろ手づかみに麻を抜く 倉田勝栄(けごん)
土曜日の白靴を抱き麻工女 西本一都 景色
墓参りのときのみに着る麻絣 細見綾子 黄 瀬
夏引その乱れや二十八天下 夏麻引く 正岡子規
夏近き近江の空や麻の雨 村上鬼城
夕ぐれの駅に降りたつ麻のひと 長谷川櫂 古志
夕暮やかならず麻の一嵐 麻 正岡子規
夕立や雀のさわぐ麻畠 麻 正岡子規
夜嵐の嬉しき麻の茂りかな 赤木格堂
夜明けつつ青麻畑の高さかな 草間時彦
大寺に麻の衣の僧一人 後藤夜半 底紅
大小の穴のまはりの麻袋 各務耐子
大麻や青煤笹を一と祓ひ 後藤夜半 底紅
妻の座の束縛もなし麻の帯 三好潤子
姫君の麻一つ身に紋寂びぬ 都筑智子
子を負うて志賀の里人麻を刈る 大場活刀
家照つてゐる六月の麻畑 岡井省二
寒天を冷やす平穏麻そよぐ 中山純子 沙 羅以後
山畑に麻の花澄む颱風季 有働亨 汐路
左沢百目木の茶屋の麻のれん 高岡智照
帰化びとの麻織神やもちの花 村田よう子
干麻に汗の笠抛げ縁昼寝 西本一都 景色
強もてにみがきかかりし麻の服 遠藤タミ子
形代に脱いで捨てけり麻袴 成美
形見て鰻焼く待つ麻のれん 石川桂郎 高蘆
御命講や紙子のうへの麻ばかま 奚魚 十 月 月別句集「韻塞」
戸隠の社家の軒にも麻の束 三宅まさる
折りて来し椿とりだす麻袋 長谷川櫂 古志
指し数ふ麻座布団の昼の席 北野平八
散らばりし麻坐布団に戻りけり 右城暮石 声と声
新酒問へばなしと答へて麻をうむ 寺田寅彦
日ざかりをしづかに麻の匂ひかな 大江丸「俳懺悔」
日の入りや麻刈るあとの通り雨 麻 正岡子規
明るくて向ふ透けたる麻畑 田川飛旅子 『花文字』
明易き人の出入や麻暖簾 前田普羅
星赤し人なき路の麻の花 芥川龍之介
星赤し人無き路の麻の丈 芥川龍之介 蕩々帖〔その一〕
晩年や夜明けの胸の麻ぶとん 西宇内(日矢)
暁の雲這ふ木曽の麻畠 奇峯
月の出の蕗茄であがる麻釜かな 吉田鴻司
朝市や漆一字の麻のれん 八井悦子
村覆ふ麻釜のけむり明易き 古賀まり子
杜涼し幣に結びし麻一筋 伊藤いと子
梯子掛けありて屋根にも麻を干す 富岡桐人「かつらぎ選集」
水広き麻の小村のわたしかな 高浜虚子
水明り焔明りの麻畠 広瀬直人
水浴びる子らよこんなに麻の花 金子皆子
浙江の潮観に行かず麻を刈る 森田峠 逆瀬川
淡海見ゆ近江今津の麻畠 森澄雄
渺々と麻刈るあとの雲の峰 麻 正岡子規
漁火すでに遠いひびきや麻畑 伊藤淳子
炎天に鹿沼麻緑蔭に鹿沼土 西本一都 景色
焼け岳にけむりのたてり麻を刈る 田中冬二 俳句拾遺
燕に麻の葉模様かぎりなし 西本一都 景色
父の日の贈物とて麻パジャマ 高澤良一 寒暑
狼の子をはやしけり麻の中 許六
玉三郎観に麻服の皺しやれて 平井さち子 鷹日和
現八の麻張り房州団扇かな 高澤良一 素抱
瓢亭の二字分たれて麻のれん 橋本美代子
痩せしまゝ勤めはじまる麻の服 林原耒井 蜩
白麻の日傘の陰にひそかにゐ 長谷川櫂 虚空
石垣を朝の日おりる麻畠 岡井省二
石鼎の麻着といふがかかりけり 山本洋子
神等去出の大麻の汁をしたたらせ 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
稲妻や裏葉萋たる麻畑 会津八一
素姓よき苧殻立掛け麻工房 浅野アツ子
紡ぐごと麻の葉流す流れけり 関戸靖子
索道の石炭落す麻畑 山口誓子
索道の石炭落す麻畠 山口誓子
老禰宜のかむさびませる麻袴 飯田立春
胸先に風遊ばする麻を着て 青野きみ
能面を神とし祭り麻を刈る 岸 霜蔭
萎えし手に足もて掛ける麻蒲団 中山勝仁
薄柿のにほひもかろし麻頭巾 浪化「浪化発句集」
蛇取りの麻の袋をひきずり来 森井章恵
蠅とり草年端もゆかず麻工女 西本一都 景色
行水に星生む麻の風湧けり 大竹孤悠
裸身に麻の匂ひやすまひ取 許六 七 月 月別句集「韻塞」
赤子に汽車見せて涼しむ麻畑 野澤節子 黄 炎
軍服に似し麻服や一教師 岩田由美 夏安
近江野や麻刈る雨の晴間かな 蕪村「夜半叟句集」
追分といふ別れあり麻暖簾 榎本好宏「三遠」
透き徹るようだ水牛に麻の花 金子皆子
郡家の東百五十歩の麻畠 廣江八重櫻
野火守りの麻かみしもを先だてて 吉田紫乃
野路かへる麻幹なゝめに抱きゐたり 田中午次郎
釣忍むかし産着の麻模様 辻 直美
釦かけ麻のしちめんどくさい肌着 高澤良一 暮津
銀河明りほのぼのと麻殻踏み出づる 金尾梅の門 古志の歌
閑職の皺もふやさぬ麻の服 中山フジ江 『富士南』
降りさうな風にかはりし麻暖簾 丸山しげる
雪山のあなた雪山麻を績む 文挟夫佐恵 雨 月
霊か馬か濃くなりにけり麻畑 阿部完市 鶏論
露けしや晩年麻のごとくにて 平井照敏 天上大風
青嶺垣麻八尺の丈そろふ 及川貞 夕焼
青蓼の厨も見えて麻暖簾 泉鏡花
風死せり伸び極まりし麻の丈 青木瓢子
馬の丈より高き麻刈られゆく 田川飛旅子 花文字
馬追の柱越えゆく麻袴 桂樟蹊子
鳴子引日に五匁の麻をうむ 寺田寅彦
鶴の寝屋で麻のふとんでねむりたし 阿部完市 春日朝歌
麻から売帰る足にて安く候 椎本才麿
麻がらの杖草履手向ん瓜の皮 洞雨 選集「板東太郎」
麻がらを門々売って歩きゐし 岡はる
麻すだれ厨房の脛葱トントン 西かつのり
麻だすきして晝寝児よ秋祭 富田木歩
麻づきん一夏の禅に参じけり 島田五空「裘」
麻につるゝ山家の雨の脚直し 麻 正岡子規
麻の中月の白さに送りけり 高浜虚子
麻の中雨すいすいと見ゆるかな 高浜虚子「虚子全集」
麻の中雨すい~と見ゆるかな 高浜虚子
麻の実や湖も眠たき日のあらむ 大木あまり 雲の塔
麻の実や繋がれて馬白かりき 星野麦丘人
麻の実を身近きものの如く見る 後藤夜半 底紅
麻の服風はまだらに吹くをおぼゆ 篠原梵
麻の皮楮を剥くと異ならず 森田峠 逆瀬川
麻の花マリリンいなくてつまらない 遠山郁好
麻の葉にゆるゆるとくる祝心 宇佐美魚目 天地存問
麻の葉に借銭書て流しけり 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
麻の葉のあからむすゑや雲の峰 中村史邦
麻の葉のきりこみふかく涼徹す 大野林火
麻の葉のきりこみ深く涼徹す 大野林火
麻の葉のほつれそめたる手毬かな 喜舟
麻の葉の軒端をなづる村家哉 寺田寅彦
麻の葉を立つ稲妻の方途なし 萩原麦草 麦嵐
麻の香のくるも涼しや寺の庭 立花北枝
麻はかぼそく花咲く煙草逞しや 滝春一
麻ひたすら其処より濁る沢の水 前田普羅
麻ひたす其処より濁る沢の水 前田普羅 春寒浅間山
麻むすや湯気もれそめし大甑 鈴鹿野風呂 浜木綿
麻を着て寒山寺僧眼施のみ 赤松[ケイ]子
麻を着て麻地の鞄形見めく 黒田杏子 花下草上
麻三反家五軒子供八九人 麻 正岡子規
麻二寸雀かくれの新樹かな 野径 俳諧撰集「藤の実」
麻刈ってまっすぐ空を倒しけり 岩間愛子
麻刈って谿さっぱりと水の音 及川貞 夕焼
麻刈つて渺たる月の渡しかな 飯田蛇笏「山廬集」
麻刈の吾にわからぬ言葉かな 麻 正岡子規
麻刈の毛脛濡らすよ夏の露 梅本塵山
麻刈や麻にかくれて刈りすゝむ 鈴鹿野風呂 浜木綿
麻刈られ土の軟弱日に晒す 野澤節子 黄 炎
麻刈りしあとを斜めに横切りぬ 草間時彦 櫻山
麻刈りてひらく山河の露しげし 堀口星眠
麻刈りて屏風に淋し山の影 麻 正岡子規
麻刈りて稲妻かかる遠嶺かな 橋本鶏二 年輪
麻刈りて蛇を截りたる男哉 酒葉月人
麻刈りて鳥海山に雲もなし 麻 正岡子規
麻刈りの麻の日かげに手を休む 宮津昭彦
麻刈りや白髪かしらのあらはるる 暁台「暁台句集」
麻刈るやのこす種麻小十本 鈴鹿野風呂 浜木綿
麻刈るや喇叭吹き過ぐ鹿沼馬車 小林臍斎
麻刈れば目に渺々と湖水かな 赤木格堂
麻咲いて坊主頭の子に朝日 小澤實
麻干して麓村とはよき名なり 高野素十「初鴉」
麻打ち洗う運河暗緑の旅なり 金子皆子
麻暖簾ずいと蔵まで通し土間 山田弥寿子(青樹)
麻暖簾吹き上りつゝ用なさず 新田千鶴子
麻月夜みちに川水溢れつつ 西村公鳳
麻服で拝す歴代王の墓 上田日差子「忘南」
麻服に皺蓄へてダンディズム 泉田秋硯「月に逢ふ」
麻服のおのが白さに眩み行く 篠原梵
麻服のすがしや帰路は歩きけり 目迫秩父
麻服のはじめは耳を澄ましけり 宮崎夕美
麻服の年尾師の来てよく喋る 坊城としあつ
麻服の皺つよく敵多かりし 菅原鬨也
麻服の皺に憂きこと秘めゐたり 小谷裕子(たかんな)
麻服の皺を豊かにパイプ喫ふ 山田真砂年
麻服の臀は皺をたくはへぬ 大石悦子 百花
麻服の風の乾きも他郷なる 橋本榮治「越在」
麻服を掛けさきほどの私かな 蓬田紀枝子
麻服を着せかけらるゝ手をとほす 滝井孝作
麻服を著せかけらるゝ手をとほす 滝井孝作 浮寝鳥
麻服涼しげ慇懃無礼の口髯も 赤城さかえ句集
麻村や家をへだつる水ぐるま 其角
麻殻をひたすらに折る仕度あり 綾部仁喜 寒木
麻甚平着し見ぬ父をなつかしみ 松村蒼石
麻畑に行々子鳴て黄昏るゝ 寺田寅彦
麻畑や頭へのぼる塵火の香 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
麻畠白黒映画とともに伸ぶ 攝津幸彦 鹿々集
麻畠金剛の嶮ここに尽く 福田蓼汀 山火
麻畠金剛の瞼こゝに尽く 福田蓼汀
麻紡ぐ工女に笹舟流す暇 西本一都 景色
麻臥して風筋とをす小家かな 斜嶺 芭蕉庵小文庫
麻茂り伏屋の軒を見せじとす 富安風生
麻袋新じやが入れて立ちあがる 石田京子(円)
麻袴歩幅に隙の無かりけり 脇本千鶴子(方円)
麻頭巾蓮見にまかる小船かな 召 波
黒髪を梳くごと麻を挽きにけり 鈴木貞雄(若葉)

以上
by 575fudemakase | 2016-08-31 13:47 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

夏の宵 の俳句

夏の宵 の俳句

夏の宵

上陸の眼に犬尿る夏の宵 高橋兎亀夫
名の一字ふと目が止まる夏の宵 谷口桂子
夏の宵うすき疲れのさざ波に 平井照敏
夏の宵カジノに回すルーレット 谷中隆子
夏の宵人慰むに鶏を焼く 船越淑子
夏の宵医師の白衣は感傷なし 藤本阿南
疲れ来てうすき膝なり夏の宵 長谷川かな女 雨 月
言ひたげなくちびる浮かぶ夏の宵 谷口桂子
門に呼ぶ遊女はかなし夏の宵 臼田亜浪 旅人


夏の宵 補遺

五郎助をもろうてきたる夏の宵 岡井省二 鯨と犀
菊もありて人なし夏の宵月夜 支考
門に呼ぶ遊女はかなし夏の宵 臼田亜浪 旅人 抄

以上
by 575fudemakase | 2016-08-22 19:27 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

雷 の俳句

雷 の俳句

雷 その1 (←ここをクリック)
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雷 その2 (←ここをクリック)
http://fudemaka57.exblog.jp/26129803/


雷 補遺

あり地獄雷のとどろき近くなる 加藤秋邨
いかづちにさびしき昼寝覚めにけり 野見山朱鳥 愁絶
いかづちに少しの雨や西鵯忌 森澄雄
いかづちに松籟どつと乱れ落つ 川端茅舎
いかづちのはじめ親しげ伊豆泊り 鷹羽狩行
いかづちの下に沼刈衆昼寝 高野素十
いかづちの夜空を離らぬキャムプかな 山口誓子
いかづちの天に近づきつつ病めり 野見山朱鳥 幻日
いかづちの我が恋遠き藍浴衣 角川源義
いかづちの炎のいつくしき夜なりけり 小林康治 四季貧窮
いきいきと明日が来るなり夜の雷 藤田湘子 途上
うす雲の雷さへぎりて舞ひにけり 飯田蛇笏 春蘭
うつくしき眼と会ふ次の雷待つ間 西東三鬼
お産せし猫の驚く小雷 高田風人子
かきくもり雷鳴雹をたたきつけぬ 長谷川素逝 砲車
かげりなき月に雷火のあとしるき 上村占魚
かすかな雷雑魚寝たのしむ女生徒に 佐藤鬼房
かまきりの玻璃戸をのぼり雷うかがふ 臼田亜郎 定本亜浪句集
かみなりの墓場もあらん見にゆかん 金子兜太
からまつのうつる泉に雷匂ふ 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
きりぎりす雷後時経て声すめる 水原秋櫻子 蘆雁以後
こんなに小鳥が知らせに来るよ雷来るぞ 金子兜太
ごろごろと火嚢の中雷走る 上野泰 佐介
ずくずくに濡れ參じたり雷踏んで 石塚友二 光塵
だらだら梅雨とどめさす雷起りけり 能村登四郎
はしれ雷声はりあげて露語おしう 古沢太穂 三十代
はたた神「陰鬼」を撃ちて余すなし 相生垣瓜人 微茫集
はたた神むつかるにてもあるならむ 相生垣瓜人 明治草
はたた神七浦かけて響みけり 日野草城
はたた神今宵の月を玩ぶ 相生垣瓜人 明治草抄
はたた神咲きたる花を踏み越えし 相生垣瓜人 負暄
はたた神夜半の大山現れたまふ 阿波野青畝
はるかより雷霆脚を垂れて来る 山口青邨
ぱりぱりと雷蹼が生え出さう 佐藤鬼房
ひとそばえ微涼あらたに小いかづち 飯田蛇笏 春蘭
ひとそばへ微涼あらたに小いかづち 飯田蛇笏 心像
ふたたびは聞く心もてはたたがみ 稲畑汀子
まつすぐの雷火の柱揺れにけり 阿波野青畝
みづうみに雷気のわたる花藻かな 飯田龍太
みどり児を尻から抱いて日雷 能村登四郎
みどり翳す灯の下に読めば遠き雷 加藤秋邨
むきだしの岩になりたや雷雨浴び 佐藤鬼房
やや離る雷あなどりて夕仕度 岡本眸
よべ雷火浴びたる焼岳の赤く聳つ 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
わが大き耳羽摶つがに夜の雷 藤田湘子 てんてん
わが箴言いぶせく暗く雷鳴す 佐藤鬼房
わが路次の小さき表札を雷わたる 三橋敏雄
ガラス器の罅またはしる日雷 能村登四郎
ガラス戸をしめても雷火たばしりて 阿波野青畝
グリンデルワルドの雷の大きかり 雨滴集 星野麥丘人
コンクリが固める湖岸黒い雷 飴山實 おりいぶ
テイータイム茶をのみに行く雷の下 石田波郷
ドラク口ア展京に来しとき雷至る 阿波野青畝
フリードリヒ・ニイチエのごとき雷雨かな 平井照敏
ブルドーザ山押し拓き雷気満つ 佐藤鬼房
プールの夜箱根足柄雷わたる 山口誓子
ミユンヘンの雷なつかしきものと聞く 稲畑汀子
一夜中一日中の阿蘇の雷 高野素十
一夜吹き荒れし雷雨もわが旅路 稲畑汀子
一山に警策くだる大雷雨 富安風生
一憂あり一雷雨あり我鬼忌の夜 村山故郷
一方に月さしかゝる雷雨かな 原石鼎 花影
一閃の雷火のなかに青胡桃 阿波野青畝
一雷のあとの雨音弔歌とも 林翔
一雷後おもふ日本の創深し 岸田稚魚 負け犬
一雷後の湿り香革命親しきごと 香西照雄 対話
一雷火仙石原に氾濫す 阿波野青畝
一雷雲せんなや充ちて充ちて充ちる 中村草田男
万博に鬼の夕立雷鎮む 平畑静塔
万緑や雷来て吃る御柱 角川源義
下駄はきて星を探しに雷後雨後 西東三鬼
丑三つの闇のやさしき雷のあと 飯田龍太
丘の校舎に雷落つ無傷の吾と海鳥 金子兜太
二三片烏雷雨にうたれ飛び 川端茅舎
井戸蓋に雷干や入峯村 岡井省二 鹿野
人うとき温泉宿にあらぶ雷雨かな 飯田蛇笏 山廬集
人形の熊野はなほ舞ふ雷のあと 山口青邨
人形の関役人に日かみなり 百合山羽公 樂土
人愚なり雷を恐れて蚊帳に伏す 正岡子規 蚊帳
今年竹弓のごときを雷雨打つ 細見綾子 存問
伊豆の夜を遠わたる雷妻癒えよ 金子兜太
低き雷主の血は血として若かりし 中村草田男
何故か帰る雷が時々照らす道 西東三鬼
例幣使街道かみなりに扈従され 平畑静塔
供華となす野草浸けあり夜の雷 岡本眸
停車場に雷を怖るゝ夜の人 河東碧梧桐
働きし汗の胸板雷にさらす 西東三鬼
兄ぶりの孫耳さとき小雷 及川貞 夕焼
光り鳴る雷わが家の真上にて 右城暮石 句集外 昭和四十六年
八月を里に出てくる山の雷 伊藤白潮
八雲立つ出雲は雷のおびただし 角川源義
初朝日雷電の名の神ありて 平畑静塔
初蛙聞きし宵大雷雨あり 村山故郷
初蝉や松を愛して雷死にし 西東三鬼
利根川と荒川の間雷遊ぶ 金子兜太
勤め路の軽雷轟と別れ去る 三橋敏雄
化粧すや雷はためくを一瞥して 山田みづえ 忘
北山の雷を封ぜよ御坊達 村上鬼城
北杜夫読む少年に雷近し 藤田湘子
北西を雷わたる眠らんか 金子兜太
半生に卯き母の聲けふの雷 三橋敏雄
半眼に牛は目ひらき雷の下 加藤秋邨
南国の雷鳴もまた弔ふか 鷹羽狩行
南谷へと雷炸裂の杉立てり 能村登四郎
卵すすり狂女笑へり雷遠し 角川源義
参籠の一日目より雷神 後藤比奈夫
向日葵の八方に雷たばしれり 石田波郷
向日葵や雷後渦ゆく神田川 水原秋櫻子 残鐘
吹浦の闇の匂へる激雷雨 佐藤鬼房
吹落す樫の古葉の雷雨かな 村上鬼城
吾が住める山塊雷の楔うつ 山口誓子
吾に遠く妻運ばるる雷の下 草間時彦 中年
味考えては男の厨梅雨の雷 古沢太穂 捲かるる鴎以後
唄きれぎれ裸の雲を雷照らす 西東三鬼
唐黍のみどり鮮し雷見舞 石田波郷
唐黍の雷気も絶えず太りけり 百合山羽公 樂土
喜雨亭に雷まばたくを仰ぎけり 山田みづえ 手甲
喜雨亭忌東の雷の忘れざる 百合山羽公 樂土以後
土間いちめん雷雨負ひきし桑ひろぐ 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
坑口を出づるや否や雷唸る 阿波野青畝
城楼の風鐸に雷応へをり 上田五千石 天路
埓あらぬ牧草地帯雷雨くる 上田五千石『天路』補遺
塞外の大厦に泊す夜の雷 上田五千石 天路
塩ひさぐ婆の地べたに日雷 石橋秀野
塩壺の塩かきおとす遠き雷 岡本眸
塩田の黒砂光(て)らし音なき雷 西東三鬼
墨色の金うかべたり日雷 石田波郷
夏の果ての雷ひゞく砂上かな 鈴木真砂女 卯浪
夏めくや霽れ雷のひとつぎり 飯田蛇笏 山廬集
夏を惜しみ雷神空を駈けめぐる 林翔
夏旅や温泉山出てきく日雷 飯田蛇笏 山廬集
夏族や温泉山出てきく日雷 飯田蛇笏 霊芝
夏逝くや記憶に残る雷もなし 相馬遷子 山国
夕かっと映え雷雨前彼我黙り 伊丹三樹彦
夕ベ子を怒らせをれば雷雨来ぬ 三橋鷹女
夕刊の束投ぐ雷雨熄みし駅 右城暮石 上下
夕立あと未練呟く雷もあり 林翔
夜々の雷朝毎の靄黍そだつ 水原秋櫻子 餘生
夜の雲のみづ~しさや雷のあと 原石鼎 花影
夜の雷身辺に師の封書おく 桂信子 女身
夜の雷雨朝も降りつぐ月見草 水原秋櫻子 残鐘
夜の雷雨沼なす道に立ち憩ふ 相馬遷子 山国
夜の雷雨砲車に光りては消ゆる 長谷川素逝 砲車
夜の雷雨終焉黒部の水増さん 福田蓼汀 秋風挽歌
夜半の雷いのち賭けし句なほ選ぶ 大野林火 白幡南町 昭和三十年
大學はあり一村の雷に 古舘曹人 砂の音
大津絵の鬼の呟き遠き雷 林翔
大西瓜他郷の雷に鳴られをり 加藤秋邨
大雷雨ばり~芭蕉八つ裂きに 川端茅舎
大雷雨ひとりの蚊帳のなまぐさし 石塚友二 方寸虚実
大雷雨ぺんぺん草は立ち向ふ 藤田湘子 てんてん
大雷雨ラムネ飲みいるわれは男 赤尾兜子 歳華集
大雷雨去りよみがへる駅の時計 右城暮石 声と声
大雷雨悠然とゆく一人ありぬ 臼田亜郎 定本亜浪句集
大雷雨沛然と事忘れたり 岸田稚魚 紅葉山
大雷雨産屋の樹々を日々洗ひ 野見山朱鳥 曼珠沙華
大雷雨真夜に秋来るおもひかな 及川貞 夕焼
大雷雨芭蕉舷々相摩して 野見山朱鳥 曼珠沙華
大雷雨鬱王と会うあさの夢 赤尾兜子 歳華集
天上はかみなりぐせやきりぎりす 三橋鷹女
天雷よ来れ車雷に厭きにけり 相生垣瓜人 明治草
天駆けるものいかづちもわが胸も 野見山朱鳥 運命
天騒ぎ摩利支天岳に雷おこる 水原秋櫻子 秋苑
太古の空に爆ぜし雷火がやつて来た 金子兜太
奥山や雷雲いでて日のあたる 飯田蛇笏 旅ゆく諷詠
奥駈の行の最初に雷雨浴ぶ 津田清子
如露一つ傾け去りぬ雷神 石塚友二 磊[カイ]集
妹と寝て初かみなりに覚めにけり 日野草城
姫神の中腹に雷こもるらし 佐藤鬼房
媾曳に天の雷火の下急ぐ 野見山朱鳥 曼珠沙華
子雷太鼓しめらせはぐれたる 平畑静塔
孑孑の浮いて晴れたる雷雨かな 村上鬼城
客若し秋意ひらめく多摩の雷 水原秋櫻子 帰心
密葬や雷贈られて夜の崖 秋元不死男
富士裾野雷神落ちし火の柱 山口誓子
寒明けぬ一軽雷も聞かずして 相生垣瓜人 明治草
寝台の我をつんざく雷鼓かな 阿波野青畝
寝衣闇に着替へんと次の雷光待つ 伊丹三樹彦
寡婦の前一撃岩割る日雷 中村草田男
小湾の空路となりて雷頻り 上田五千石『田園』補遺
屋上の高き女体に雷光る 西東三鬼
山の湖にひびかひ雷のころがり来 高浜年尾
山の萩一斉に赤し雷わたる 三橋鷹女
山の雷わが墓に来てうちくだけ 西東三鬼
山一つ向ふの雷や明易き 村山故郷
山刀伐峠を越え来し夜の雷雨かな
山削る裸の唄に雷加はる 西東三鬼
山国の雷雨にはてし祭かな 松崎鉄之介
山家より雲たちのぼり雷はれぬ 水原秋櫻子 磐梯
山寺は 雷ねんごろに 沙羅の花 伊丹三樹彦
山揚にかみなりは須佐之男の声 平畑静塔
山桑に朝の雷雨が一束 佐藤鬼房
山祗の灯もまたたきて大雷雨 富安風生
山羊は角挙げ藻岩山上雷火立つ 林翔 和紙
山谷の忽ちひびく雷雨かな 日野草城
山距てゐし雷音の近づけり 右城暮石 天水
山門を入り雷鳴の濃紫陽花 廣瀬直人
山雷や毛野の青野に人も見えず 臼田亜郎 定本亜浪句集
岩藤や降らで過ぎにし山の雷 森澄雄
嶺かけて雷の礼砲降車口 鷹羽狩行
川蟹の踏まれて赤し雷さかる 角川源義
巣ごもりに雷おそれをり岩燕 水原秋櫻子 緑雲
左右の嶺のわが真上鳴る峡の雷 中村草田男
已みがたく雷の空飛ぶ白鷺よ 津田清子
帰らん哉夫よ南山を雷めぐるぞ 金子兜太
帽の露振つて雷雨の蒙古人 加藤秋邨
年甲斐もなき雷怖ぢや古男 日野草城
店番やならひの如く来る雷雨 及川貞 榧の實
庭の松小さし雷呼ぶこともあらじ 山口青邨
庭石に梅雨明けの雷ひゞきけり 桂信子 月光抄
建築主雷を頭上に工場建つ 細谷源二 鐵
復員の姿に雷雨衝き来る 山口青邨
忠魂碑の囲いは砲弾 日雷 伊丹三樹彦
快楽ともいま十呼吸一雷火 藤田湘子 てんてん
愛憎に夜青き雷閃一閃 伊丹三樹彦
愛痛きまで雷鳴の蒼樹なり 佐藤鬼房
戦争終りただ雷鳴の日なりけり 中村草田男
指切りて鮮血に雷雨沛然たり 松崎鉄之介
挿木つく芽のさみどりに雷嵐 右城暮石 句集外 昭和十五年
撫子に雷ふるふ小庭かな 正岡子規 撫子
撫肩の岩の据れる雷田 佐藤鬼房
敷網の上に一閃の雷火かな 清崎敏郎
旅人をおどろかす雷起りけり 山口青邨
日輪も転ぶ浅間の雷雨かな 中村草田男
日雷うしろめたさの門を出る 波多野爽波
日雷かろがろと石摶つたりけり 岸田稚魚 筍流し
日雷かろんぜられしぼんのくぼ 小林康治 四季貧窮
日雷泥鰌の夢を覚しけり 鈴木真砂女 居待月
日雷泥鰌の夢を覚ましけり 鈴木真砂女
日雷皮膚蒸しつづけ製茶工 飴山實 おりいぶ
昇降機しづかに雷の夜を昇る 西東三鬼
昨夜の雷一掃したる山日和 稲畑汀子
昼の雷夜の雷水巴忌なりけり 石田波郷
智照尼のうす墨ごろも雷涼し 阿波野青畝
暁の雷雨を蝉が鳴きとほす 右城暮石 句集外 昭和二十三年
暁の雷鳴二つ走り梅雨 右城暮石 句集外 昭和五十六年
暑き日やだしぬけことの火雷 村上鬼城
暑くるしく乱れ心地や雷を聴く 正岡子規 暑
月さして鳴き澄む蝉や雷のあと 水原秋櫻子 霜林
朝の雷昼の雷あり旅つづけ 高浜年尾
朝の雷老年工のゆく上に 西東三鬼
木の無花果食ふや天雷遠き間に 西東三鬼
本伏せし仰臥の臍に日雷 森澄雄
札所寺雷伴ひし走り梅雨(徳島) 細見綾子
来んとする雷雲を呼び誕生日 中村草田男
東京の雷ぐせに滞在す 稲畑汀子
板絵涼しそは風神か雷神か 上村占魚
枯松に雷雨けろりと去りし天 右城暮石 句集外 昭和三十三年
桑の実や奥多摩日々に小雷 飯田蛇笏 春蘭
梅雨あけの雷ぞときけり喪の妻は 石田波郷
梅雨の雷いま脳天を渡りくる 石川桂郎 四温
梅雨の雷ずしんとひとつ寺廊下 石田勝彦 百千
梅雨の雷ドア音なくしてひらく 加藤秋邨
梅雨の雷二つころげて宿に着く 稲畑汀子
梅雨の雷何か忘れゐし胸さわぐ 加藤秋邨
梅雨の雷去りてつめたき櫛をとる 鷲谷七菜子 黄炎
梅雨の雷姿くづせるままいつまで 岸田稚魚 負け犬
梅雨の雷子にタン壺をあてがはれ 石橋秀野
梅雨の雷想ひも遠くまろぶもの 林翔
梅雨の雷沖かけて埠頭荘厳す 小林康治 玄霜
梅雨の雷瓦落と来て後つゞくなし 石塚友二 光塵
梅雨の雷砲車の断目つひになし 加藤秋邨
梅雨の雷黒眼鏡のみ嗤いこけ 赤尾兜子 蛇
梅雨の雷黴くさき廊うちひびき 加藤秋邨
梅雨空に罅はしらせて雷一つ 相馬遷子 山河
棉シャツの着心地に居り遠き雷 岡本眸
棗より合歓あはれなり大雷雨 石田波郷
棟ゆがみ雷除けの鎌ぞひかりたる 水原秋櫻子 古鏡
棟梁や大臍もちて雷嫌ひ 日野草城
樫叢の繁に雷雲押し通る 右城暮石 句集外 昭和十七年
死ねと撃つ雷を喜び貯炭どち 小林康治 玄霜
残されし心は去らず梅雨の雷 稲畑汀子
水縄に雷ちかみつゝ糸とんぼ 飴山實
水繩に雷ちかみつゝ糸とんぼ 飴山實 辛酉小雪
水袋提げ山上の雷にあふ 佐藤鬼房
沈みゆく炭田地帯雷わたる 西東三鬼
河童忌の雷あそぶ夜空かな 村山故郷
泥炭の激しき流れ遠き雷 西東三鬼
洋皿に銀匙鳴りては雷起る 上田五千石『田園』補遺
洞然と雷聞きて未だ生きて 川端茅舎
浅間が叱し遠山応ふ日雷 中村草田男
浅間のみ雷雲中に呶々しつつ 中村草田男
海の上の雷音すでに月夜かな 村山故郷
海蝕の貝塚なりや激雷雨 佐藤鬼房
涼突風雷雲に白き雲生る 右城暮石 句集外 昭和十七年
深山寺雲井の月に雷過ぎぬ 飯田蛇笏 霊芝
湖の雷の尚殷々と 高野素十
湖を雷打つ午後の誕生日 有馬朗人 母国拾遺
湖畔亭にヘヤピンこぼれ雷匂ふ 西東三鬼
源氏よむ燭またたけり梅雨の雷 鷲谷七菜子 黄炎
激雷に剃りて女の頸つめたし 石川桂郎 含羞
激雷のあとや柱を噛む鼠 山口誓子
激雷のその後青し北の海 中村汀女
激雷の冷ますゆとうや傾けては 石川桂郎 高蘆
激雷の座にたへずペンを擱きて立つ 山口青邨
激雷の戦ふ国土なきまでに 山口誓子
激雷や北欧の海色失し 中村汀女
激雷を知らず目覚めし出雲寄り 赤尾兜子 玄玄
瀬音消えたちまち至る雷雨かな 稲畑汀子
火炎樹や留守の都の雷騒ぎ 角川源義
点滴の顔の一つや雷遠し 岸田稚魚 紅葉山
無雑なる雷鳴なれや聞くべかり 相生垣瓜人 明治草
煙突の煙現はれ雷雨去る 右城暮石 上下
煤の沖梅雨緑なる雷火立つ 小林康治 玄霜
燕の子眠し食ひたし雷起る 西東三鬼
犬が鎖曳きずる音し雷雨止む 右城暮石 虻峠
独奏や雷雨を厚き壁に絶ち 津田清子 礼拝
猫まじり悲鳴まじりの雷雨かな 平井照敏 猫町
玻璃窓の中の灯影雷雨かな 日野草城
琉璃に飛び来る油虫雷雨激し 右城暮石 句集外 昭和三十五年
瓜番が雷死の葬青とかげ 日野草城
畦塗るや軽雷耳にこゝろよく 西島麦南 人音
疲れ寝の妻の白脛雷火立つ 佐藤鬼房
病む妻の寝嵩恋ひをり雷恋ひをり 小林康治 玄霜
痕れ寝の妻の白脛雷火立つ 佐藤鬼房
発電所雷雨の中に灯れり 清崎敏郎
白日のいかづち近くなりにけり 川端茅舎
白砂に別雷(わけいかづち)の実梅かな 波多野爽波
白鳩に光をさまり雷近づく 中村草田男
百合うつり雷とどろけり熱帯魚 石田波郷
盆供流るる雷鳴の多摩河原 飯田龍太
相模野に月おきて雷さかりゆく 角川源義
真っ先に尾長孔雀の雷雨避く 右城暮石 上下
真夜の雷傲然とわれ書を去らず 加藤秋邨
真夜の雷吾子と坐りゐて聴きにける 加藤秋邨
睡る子の手足ひらきて雷の風 飯田龍太
睡蓮にぴりぴり雷の駆りけり 臼田亜郎 定本亜浪句集
石の蟇雷雨に摶たれひかりだす 赤尾兜子 歳華集
碌山のひれ臥す像に日雷 松崎鉄之介
磐座に 建柱一本 日雷 伊丹三樹彦
神仏の島雷鳴を神鎮む 右城暮石 句集外 昭和四十五年
秋の田の大和を雷の鳴りわたる 下村槐太 天涯
秋雲をころがる音や小いかづち 飯田蛇笏 山廬集
稿の前雷打つて夜が湿りゆく 森澄雄
穂高岳雷雲の上に巖そびゆ 水原秋櫻子 秋苑
空(くう)掴む神将の手ぞ 日雷 伊丹三樹彦
空揚げの虎魚をめでよ雷のあと 水原秋櫻子 蘆雁以後
空腹に梅雨のかみなりひびくなり 日野草城
空蝉にしばらくありし雷神 齋藤玄 飛雪
空蝉に呆け雷とどきけり 下村槐太 光背
空雷くびれて胃を病む忍者ども 赤尾兜子 虚像
窓に雷光折れ黒人の血濃き女 三橋敏雄

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by 575fudemakase | 2016-08-22 19:22 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

雷 その2

雷 その2

祭の空ひかるばかりの雷すぎし 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
積む本の言の葉の圧 日雷 西尾千佳子(青玄)
空き腹のかくも健やか日雷 亀割 潔
空海忌高野の雨の雷支へ 土田祈久男
空知野に走る雷火や植ゑ急ぐ 石塚友二
空腹(すきばら)に雷ひゞく夏野哉 小林一茶 (1763-1827)
空腹に雷ひゞく夏野哉 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
空蝉にしばらくありし雷神 齋藤玄 飛雪
空蝉に呆け雷とどきけり 下村槐太 光背
空谿に卯の花しろしはたたがみ 木津柳芽 白鷺抄
空谿に卯の花白しはたたがみ 柳芽
窓へ逃ぐロシヤ民謡昼の雷 高井北杜
立ち跼み豆蒔く少女雷遠し 三谷昭 獣身
立山に閃光ありし日雷 坂本ひろし(ホトトギス)
竜胆に冠着山よりの雷三日 久保龍 『火口の蝶』
端渓の硯の海に雷近し 阿部みどり女 『雪嶺』
竹の根の浮上がりきし日雷 小島健 木の実
竹伐やいかづち雲の嶺に生る 岸風三樓
竹煮草夜々の雷火のたばしれる 馬場移公子
筆太き蓮如名号日雷 山本洋子
篠の芽や古棺を蔵す雷神社 西本一都 景色
簗守るや奥嶺にこもる夜の雷 河北斜陽
粽蒸す火色鮮し雷のあと 山岸治子
紙燈籠雷のひかりにしらみけり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
紙芝居の柝や梅雨の雷二つ三つ 『定本石橋秀野句文集』
縁側に椅子ありて雷かすかなり 原田喬
置く帽の藺草匂へり夜の雷 鍵和田[ゆう]子 浮標
美しくかみなりひびく草葉かな 永田耕衣 加古
美幌路の雷火しばらく楡に炎ゆ 堀口星眠 営巣期
胡麻の花雷後の暑さもどりきぬ 五十崎古郷句集
脳天に雷火くらひしその刹那 緒方句狂
脳天を走るいかづち子よ還れ 蛯名晶子
腑抜け寝に夜の雷わたる死ねとこそ 小林康治 玄霜
腹に据えかねるところをはたた神 高澤良一 石鏡
腿高きグレコは女白き雷 三橋敏雄 まぼろしの鱶
興るとき紺天冒す一雷雲 野澤節子 黄 瀬
艶やかに仔犬乳を吸ふ雷のあと 河野多希女 琴 恋
花どきやとりこぼしたる雷ひとつ 岸田稚魚 筍流し
花慈姑生駒に育つ子雷 田中英子
花火百雷天も正気の天ならず 百合山羽公 寒雁
花胡麻も末となりたる雷雨かな 高橋馬相 秋山越
花起しの雷といふらむすぐ終る 原子岱子
芽木林たまたま雷の雲垂りつ 臼田亞浪 定本亜浪句集
苧環の昏れゆく国へ雷わたる 和田悟朗
茄子植ゑてかみなり癖のつきにけり 藤岡筑邨
茶をたてるひたすらなりしはたたがみ 小林康治 四季貧窮
茶柱虫障子の月光雷のごと 加藤楸邨
草に寝て遠近わかぬ雷ききぬ 川島彷徨子 榛の木
草の中に鶯啼ける雷雨かな 白水郎句集 大場白水郎
草の中に鶯鳴ける雷雨かな 大場白水郎 散木集
草原に牛の袂便日雷 大木あまり 火球
荒尾根の雲へこだまの雷一過 河野南畦
荒鋤きの黒賞で雷の鳴り出せり 村越化石 山國抄
萱草に雷遠き日かげかな 萱草の花 正岡子規
落ちし雷を盥に伏せて鮓の石 夏目漱石 明治三十六年
落葉松に雷雲下りしまのあたり 龍胆 長谷川かな女
落葉松の芽にどろどろと雷起る 木村蕪城 一位
葛切のギヤマン雷火奔りけり 水原秋櫻子
葛水や百雷臍を下り行く 内藤鳴雪
蒟蒻の芽に力出て雷日ぐせ 大熊輝一 土の香
蓮の葉や雷雨の中に飜り 浅井啼魚
蔑めり激しからざる雷などを 山田みづえ 木語
薔薇に雷ややありて虚を衝かれけり 下村槐太 天涯
虫喰の木佛尊し日雷 山本洋子
蚊雷やなかば時計の刻む音 森鴎外
蚤とんで失せぬ雷火に村打たれ 宇佐美魚目 秋収冬蔵
蛙跳び権現雷を駆りにけり 河北斜陽
蛭降つて大台山中雷火立つ 平川 尭
蛸壺に一喝くれて海の雷 高澤良一 暮津
蜻蛉生れ雷迫る野を漂へり 中井眸史
蜻蛉群れ雷後の堂を明るくす 下村ひろし 西陲集
蝶の羽のどつと流るゝ雷雨かな 茅舎
蟹が眼を立てて集る雷の下 西東三鬼
行水の雷臍を驚かす 行水 正岡子規
行水や雷雨を催さず 福田井村
袈裟がけに神等去出の雷海を裂く 石原八束 『黒凍みの道』
襖絵の風神雷神夏近し 藤井寿江子
西明るし市電ひたすら雷雨衝く 右城暮石 声と声
言葉尻濁せるごとく雷了る 高澤良一 寒暑
訪れて雷雨の中に話しけり 楠目橙黄子 橙圃
誕生日あかつきの雷顔の上に 西東三鬼
谷川の瀬音のこりて雷雨去る 緒方氷果
谿二つ雷火立ちては相照す 秋櫻子
豚舎より小豚飛び出す日雷 根岸善雄
買うてさて雷太鼓誰に遣らむ 林翔 和紙
赤ん坊の蹠あつし雷の下 楸邨
赤米を噛めば来たりぬ日雷 原裕 『王城句帖』
跨線橋行き雷神の尾を見たり 大橋敦子
軽雷すヌードモデルと茶を喫めば 岸田稚魚
軽雷に始まり奥鬼怒ぶりの雨 高澤良一 素抱
軽雷のあとの遅日をもてあます 水原秋桜子
軽雷のとりとめもなくポップコーン 高澤良一 寒暑
軽雷の豹変ぶりにあきれ顔 高澤良一 随笑
軽雷の飛び入りもあり雨名月 高澤良一 随笑
軽雷やきのふ過ぎゐし誕生日 岸風三樓
軽雷や星の来てゐし煙出し 加藤楸邨
軽雷や松を下りくる赤楝蛇 水原秋櫻子「残鐘」
軽雷や水のまわりに水が立つ 永末恵子 発色
軽雷をものともせざり峡燕 高澤良一 素抱
轟くといふには遠き日雷 伊藤政美「天の森」
迅雷に一瞬木々の真青なり 長谷川かな女 雨 月
迅雷の三連発や雨呼べる 高澤良一 寒暑
迅雷の身にしみし夜を父の夢 野澤節子 遠い橋
迅雷やおそろしきまで草静か 原石鼎
迅雷や竈あふるゝ焔澄み 高橋馬相 秋山越
迅雷や草にひれふす草刈女 西山泊雲 泊雲句集
送火やいかづちなほもひそむ嶺 大岳水一路
途中より雷のまじれる蓮の雨 藤崎久を
連れてきし闇の破れてはたたがみ 湯川河南
連結手激雷の地にひたと伏す 金丸鐵蕉 『動輪』
遊牧の民棒立ちに日雷 宇咲冬男
達磨からもひとつ達磨日雷 田中美沙
達磨忌にこは一喝の雷の音 蝶夢
遠い雷埠頭にころがる赤い缶 穴井太 鶏と鳩と夕焼と
遠山にいかづち籠る稲の花 佐々木 咲
遠近の森ことごとく雷火刺す 石田あき子 見舞籠
遺句集の手応へ一夜雷渡る 鍵和田[ゆう]子 未来図
酢を嗜む雷干や宵の雨 塩原井月
重ねたる高野泊りを雷の上 赤松[ケイ]子
野の燕雷火を浴びて啼きにけり 佐野良太 樫
野の風や蟷螂生る雷神 島田五空
野良帽に黄色いリボン日雷 影島智子
金剛山雷ぐせのつきゐたり 大島雄作
金華山軽雷北に鵜飼了ふ 飯田蛇笏 春蘭
釣り上げし鯰に雷火にはかなり 松本 幹雄
鉄線花蔓撥ねて雷来つつあり 石田あき子 見舞籠
鉢植の藤は実重に雷遠し 久米正雄 返り花
錆斧を抱くと那覇の日雷 橋本榮治 麦生
鍬先に走る雷気を猶耕す 久米正雄 返り花
長閑すぎて虚雷きくなり山の湖 大須賀乙字
閃々と雷火泥濘の道に燃ゆ 相馬遷子 山国
阿夫利嶺の俄かなる雷杉植ゑる 中拓夫 愛鷹
隣家麦を炒る香をやめず雷遠し 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
雀翔ち雷雨終りにちかづけり 松村蒼石 雪
雑草は城の雑兵雷に 古舘曹人 砂の音
雨すでに過ぎたる雷さわやかに 中村汀女
雨のうへ雷もあり寅彦忌 高澤良一 寒暑
雨ほしくかみなりぐせの天にらむ 高井北杜
雨乞へば遠くに雷の音幽か 馬場隆子
雨激し雷に力を得し如く 高椋竜生
雨連れて湖上を渡るはたた神 猪俣千代子 堆 朱
雪加鳴き雷後匂へる牧草地 斎藤道子
雲が呑むウィーンの森雷火立つ 林翔 和紙
雲の峰雷を封じて聳えけり 夏目漱石 明治三十六年
雲龍桜幹を雷火に裂かれ咲く 川村紫陽
雷(いかづち)に出し抜かれたる急ぎ道 高澤良一 素抱
雷(いかづち)は会津の方よそれっきり 高澤良一 素抱
雷あとの吹きしむ風も水辺かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
雷いんで靄だつ月の杉襖(上州吾妻山中二句) 上村占魚 『天上の宴』
雷いんで音一つづつよみがへる 上村占魚 『石の犬』
雷うたば田に消えむ遠き田草取 小林康治 玄霜
雷うつ埠頭軽子歓喜の躍る形 小林康治 玄霜
雷おこしなつかし新茶澄みてあり 土方花酔
雷が加勢の子供相撲かな 片山由美子 風待月
雷が西瓜に入れし縞模様 高澤良一 素抱
雷こんこん死びとの如き男の手 鈴木しづ子
雷さへも交りし雨に旅衣 成瀬正とし 星月夜
雷すぎしことばしづかに薔薇を撰る 石田波郷
雷すぎしプラム酒の瓶すかし見む 石田あき子 見舞籠
雷つもりつもりつもりて哀しさよ 久保田万太郎 流寓抄
雷とても敗者の如し去るときは 蔦三郎
雷とどろその夜わが家白らみけり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
雷とどろ睡蓮は閉ぢ終んぬる 臼田亞浪 定本亜浪句集
雷とほし頭を垂るゝ八重桜 前田普羅 飛騨紬
雷と猫相性悪き鞍馬かな 大木あまり 火のいろに
雷と雹その下にまだ蚕飼ふ 百合山羽公 寒雁
雷にい行くうしろを断たれけり 高澤良一 暮津
雷に切り刻まれをり鋸山 高澤良一 寒暑
雷に小家は焼かれて瓜の花 蕪村
雷に小屋は焼かれて瓜の花 蕪村
雷に小屋は焼れて瓜の花 蕪村
雷に小屋は燒れて瓜の花 蕪村 夏之部
雷に怯えて長き睫(まつげ)かな 日野草城(1901-56)
雷に怯えて長き睫かな 日野草城
雷に腹這ひの身を起したる 石嶌岳
雷に茄子も一つこけにけり 涼菟
雷に魂消て青し蕃椒 青唐辛 正岡子規
雷のあとかまきり生ればらばらに 増田かこ
雷のあとを淋しき踊哉 踊 正岡子規
雷のあと夕焼はげしき野の病舎 古賀まり子 洗 禮
雷のあと日影忘れて花葵 飯田蛇笏 山廬集
雷のあと氷室のなかにゐる如し 高澤良一 随笑
雷のあと竹冴えて祖の魂を待つ 鶏二
雷のあと蝌蚪騒然と声もなし 榎本冬一郎 眼光
雷のあと誰かのゐたるけはひあり 加藤楸邨
雷のごと大虻の過ぎにけり 上野泰 佐介
雷のごろつく中を行々し 一茶 ■文化元年甲子(四十二歳)
雷のしたキヤベツ抱きて走り出す 石田波郷
雷のとどろとどろと蟻の変 下村槐太 天涯
雷のなかなか去らず泥鰌樽 鈴木真砂女 夕螢
雷の一夜破れし芭蕉かな 会津八一
雷の一太刀浴びぬ相模灘 高澤良一 寒暑
雷の上にもんどり打ちし猪ならめ 行方克己 昆虫記
雷の下キャベツ抱きて走り出す 石田波郷
雷の下キヤベツ抱きて走り出す 石田波郷「雨覆」
雷の下恃むべくして何掴む 斎藤空華 空華句集
雷の下暗く潮寄る磯辺かな 尾崎迷堂 孤輪
雷の下雪渓を馳せて膝ゆるむ 相馬遷子 山國
雷の余韻の下の京都かな 五十嵐播水 播水句集
雷の十歩に落つる夏野哉 夏野 正岡子規
雷の四、五頭走る冷奴 坪内稔典
雷の夜いきいきと古き家 大井雅人 龍岡村
雷の夜のひとつ足りない頭数 鈴木きぬ絵
雷の夜の乏しき本をいとしめり 細谷源二 砂金帯
雷の夜の黒やわらかくミシンの首 大井雅人 龍岡村
雷の夜をまろび臥しつゝ独りなり 杉山岳陽
雷の尻すぼまりに海の方 高澤良一 寒暑
雷の居坐る日々の鳳仙花 坪内稔典
雷の崖ぎすに火の刻水の刻 齋藤愼爾
雷の後用なき母に声かくる 麻生 和子
雷の晴れ倒れし酒旗に蚯蚓かな 飯田蛇笏 山廬集
雷の村を覆へりまたたくま 角光雄
雷の来るの来ぬのと麦を刈る 原裕 投影
雷の楔を入るゝ相模灘 高澤良一 暮津
雷の止みてなほ雨降り続く 吉野長慎
雷の殷殷として夏の山 会津八一
雷の踏みわたりたる天やはらか 正木ゆう子 静かな水
雷の転げ落ちたる方頭魚 久保美智子
雷の近づいて来し箒草 岸本尚毅 舜
雷の遠く去りたる唐黍をもぐ 横山丁々
雷の間をはつしはつしと藪拓く 加藤知世子 花寂び
雷の陣や柱の下の誰 松根東洋城「渋柿句集」
雷の雨ころがし漬のらつきよう甕 中戸川朝人 残心
雷の雨と競ひて凄じき 高野冨士子
雷の雲踏み越えて夏野かな 会津八一
雷の霏霏とこまかく地に砕け 橋本鶏二
雷の音のひと夜遠くをわたりをり 草田男
雷の音雲のなかにてとどろきをり殺生石にあゆみ近づく 太田水穂
雷の駆け回りゐる京の空 長谷川櫂 蓬莱
雷はげし男の子ぞ生ると告げ去りぬ 相馬遷子 山国
雷は太古の響き青若葉 柴田奈美
雷は好き稲妻は嫌ひなり 高木晴子 花 季
雷ひそか花活けてゐる女たち 飯田龍太「遅速」
雷ひとつひびきをはりし石の中 加藤楸邨
雷まろびゆく音の土に身をおく シヤツと雑草 栗林一石路
雷も涼みに出たり海の上 尾崎紅葉
雷やみし合歓の日南の旅人かな 飯田蛇笏「山廬集」
雷や四方の樹海の子雷 佐藤念腹
雷や国の鎮の幾柱 野村喜舟 小石川
雷や濡れ震ひ居る牧の馬 東洋城千句
雷や猫かへり来る草の宿 村上鬼城
雷や玻璃戸の中の大花瓶 高濱年尾 年尾句集
雷や白浪立ちて浦渡舟 楠目橙黄子 橙圃
雷や縁に相寄る瓜二つ 草城
雷や葛城雲に隠れずに 尾崎迷堂 孤輪
雷や蒼々として大玉菜 楠目橙黄子 橙圃
雷や赫と日のさす桐の花 石井露月
雷や酢を打つて飯切りをれば 茨木和生 丹生
雷わたる万年筆の太古の黒 守谷茂泰
雷をさそふ昼寝の鼾哉 昼寝 正岡子規
雷を呼ぶ神杉鉾を研ぎ揃へ 愛須真青
雷を怖づことにも派手な女かな 山田弘子 こぶし坂
雷一切世の音攫ひ去りし闇 林昌華
雷一喝御七夜荒れのまぎれなし 岩城未知
雷一鼓摘果の足を踏み替ふる 西本一都 景色
雷二つ聞きすてて茶事半ばかな 青野きみ
雷休む間を太き雨垂直に 高井北杜
雷俄か雀ら来食む詩人の卓 加藤耕子
雷光が触れプラチナの川走る 佐藤美恵子
雷光にいくたび浮かび蟇交む 小島健 木の実
雷光に妙義走らす嶺と(いは)(妙義山二句) 河野南畦 『硝子の船』
雷光に木像ガルーダ眼を剥いて 高澤良一 寒暑
雷光の緑釉も浴び夜のシャワー 野中 亮介
雷光の軒に母の香毛布の香 飯田龍太
雷光や大き蓮葉を破る雨 和田祥子
雷光や天地創造かくもありし 奥田智久
雷光や目鼻ひらきて死者生者 三谷昭 獣身
雷光や蘇鉄の重さむきだしに 河野多希女 こころの鷹
雷公のもぐら叩きに遭ふごとし 高澤良一 寒暑
雷公の所持品太鼓古ぼけて 高澤良一 鳩信
雷去つて四葩に日あり水荷ふ 西島麦南 人音
雷去らぬ山家よ酒徒の忌を修す 高井北杜
雷去りし夕日夏日となりて落つ 石橋辰之助 山暦
雷去りて丸太積む貨車現れし 茨木和生 木の國
雷去りて巌壁せまるお花畑 斎藤道子
雷去りぬ濡れて刃物の生臭く 鍵和田[ゆう]子 未来図
雷去りぬ雷のにほひの戸をひらく 篠田悌二郎
雷去るやひとごゑ高き塀のうち 桂信子 黄 瀬
雷又雷尾根の新樹を震はせて 高澤良一 素抱
雷声を納むと絣括りけり 黒田杏子 花下草上
雷夕立関東大気不安定 高澤良一 素抱
雷嫌ひなりし鏡花の日の雷雨 黒田桜の園
雷嫌ひ宗達の絵も祓ひけり 水原秋櫻子
雷嫌ひ第二の顎は脂肪にて 香西照雄 素心
雷嶮し消ぬべき灯うち仰ぎ 及川貞 夕焼
雷後の日森は秘蔵の緑厚く 相馬遷子 山河
雷怖し黙つてゐても笑つても 遠藤梧逸
雷打ちし一幹のあり施餓鬼寺 矢野芳湖
雷打ちて灯絶えてありぬ蛾の羽音 及川貞 夕焼
雷摶てば雷渾身にみごもりぬ 齋藤玄 『舎木』『飛雪』
雷晴れて一樹の夕日蝉の声 蝉 正岡子規
雷晴れや日にのぞかるる椎の花 飯田蛇笏 山廬集
雷暴れし夜闇新鮮いねがたし 野澤節子 花 季
雷来つつ芥焚く火の起ち上る 馬場移公子
雷果てて現にかへる顔と顔 高澤良一 随笑
雷止んで太平簫ひく凉かな 炭 太祇 太祇句選
雷浴びて我が荒魂は渚に一つ 折笠美秋 君なら蝶に
雷涼し一間暮らしの夜は書屋 皆吉爽雨
雷激しふと真向ひの肖像画 栗林千津
雷激し己恃めと岩の相 岡田貞峰
雷激し施錠をかたく母子の家 高橋良子
雷激し旅急ぐは老い急ぐなり(ジュネーヴ) 殿村菟絲子 『牡丹』
雷激し浴後の髪を梳きをれば 館岡沙緻
雷火あとそれも露けし一茶の地 山内山彦
雷火ありたり宮を焼き楠を裂き 村松紅花
雷火とび喜雨の顔々かがやけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
雷火とふ激しきものにあこがるる 西川五郎
雷火にも逆立つ馬の黒たてがみ 桂信子 黄 瀬
雷火立ち海へ落ちゆく馬柵の先 大森三保子
雷火立つたまゆら蛇気のただよへり 千代田葛彦
雷火立つゴツホのタッチさながらに 川口 淀村
雷火立つ肩の怒れる駒ヶ岳 原 柯城
雷火飛び墓中にストラヴィンスキー 馬場駿吉
雷烈し地下食堂を出し人に 高浜年尾
雷神に腰を据ゑたる鬼瓦 羽鳥たま江
雷神の喝に高層ビル竦む 稲畑廣太郎
雷神の塚より翔つは残り鷺 角川源義
雷神の太刀先杉をばらりずん 高澤良一 ぱらりとせ
雷神の怒るにまかせ静かに居 小口白湖
雷神の深紅の破風や梅花御供 奥田可児
雷神の爪あと杉にあきらかに 下村梅子
雷神はしいらの額狙い撃ち 阿保恭子
雷神は白皙にして耳秀づ 相生垣瓜人
雷神をのぞめる僕や富士登山 飯田蛇笏 霊芝
雷神を四方に放ちて比古荒るゝ 野村泊月
雷神降るその圏族の雹が降る 小澤 實
雷落ちて八十年を顧る 後藤夜半 底紅
雷落ちて大雨晴れたる牡丹かな 清原枴童 枴童句集
雷落ちて手枕はづす僧のあり 藤原如水
雷落ちて火伏の神を焼きにけり 浅見まき子
雷落ちて火柱みせよ胸の上 石田波郷(1913-69)
雷落ちて火柱見せよ胸の上 石田波郷「病鴈」
雷落ちて青む夜駅に妻を待つ 佐藤鬼房 海溝
雷蔵の墓を袈裟切り鵙のこゑ 高澤良一 随笑
雷裂けて全山震ふ吉野杉 桂信子 遠い橋
雷走りやすき安土の瓜畑 山本洋子
雷走りパンの片側くらくせり 岡田史乃
雷走り彼の森までを雨に逢はず 杉山岳陽 晩婚
雷走るとき見合はされ言もなし 杉山岳陽 晩婚
雷走る検査結果の速達便 菊地嘉江(帆船)
雷走る葉煙草の野や父の故郷 鍵和田[ゆう]子 未来図
雷近き松亭々と館かな 大峯あきら 宇宙塵
雷近くなりし庇の楢大樹 龍胆 長谷川かな女
雷近くなるくらやみの鏡かな 鷲谷七菜子 花寂び
雷近く林相翳を深うしぬ 臼田亞浪 定本亜浪句集
雷近づきつつある石の姿なり(龍安寺四句) 岸田稚魚 『筍流し』
雷近づけて簗掛けの男たち 庄司圭吾
雷迫り来る刈草の香のたかく 根岸善雄
雷迫り相摶ち揺るる鳳凰花 千代田葛彦 旅人木
雷逃ぐる悉く青ねこじやらし 清水径子
雷連れて白河越ゆる女かな 鍵和田釉子
雷連れて硯買へざる夫帰る 加藤知世子 花寂び
雷過ぎし一角碧し青胡桃 宮坂静生 雹
雷過ぎし眼下の疎林刃こぼれす 丸山嵐人
雷過ぎし蕊なほふるふ水芭蕉 渡邊千枝子
雷過ぎてポストの口はあたたかし 川崎展宏
雷過ぎて信濃迎へ火すぐ焔だつ 加藤知世子 花寂び
雷過ぎの虹いつまでも飛騨境 宮坂静生 春の鹿
雷遠き戸々の簾に西日かな 清原枴童 枴童句集
雷遠くなり鶏犬の声おこる 臼田亞浪 定本亜浪句集
雷遠くほころびを縫ひゐたりけり 鈴木真砂女 生簀籠
雷遠く雲照る樺に葛さけり 飯田蛇笏 春蘭
雷遠く青唐辛子あぶりけり 内藤吐天 鳴海抄
雷遠しまだまだ咲かぬ花にふれ 金田咲子 全身 以後
雷遠し大和の辻の土けむり 藤田湘子 てんてん
雷遠し氷片指をすべり落つ 柴田白葉女 遠い橋
雷遠し磔像へわれ一歩づつ 古賀まり子 緑の野以後
雷遠し聖堂に脱ぐ旅の靴 古賀まり子「源流」
雷遠し髪解きて夜は女の身 平間真木子「洙」
雷除けの札受く四万六千日 須賀允子
雷雨あと鍬切れのよく土起す 林火
雷雨あと馬鈴薯露呈臍も二三 香西照雄 素心
雷雨くる兆し異境の沓の音 対馬康子 愛国
雷雨すぎ正座の客に杉の箸 桂信子 黄 瀬
雷雨です。以上、西陣からでした 中原幸子
雷雨やむ月に杣家のかけろ鳴く 飯田蛇笏 霊芝
雷雨やむ鼻のつめたき幼児抱く 松村蒼石 春霰
雷雨中別なる降りになる音す 右城暮石 声と声
雷雨中駈けて林間学舎の子 中原一樹
雷雨去つて月夜となりし銀河かな 高橋馬相 秋山越
雷雨去りあさがほ蔓が太息す 松村蒼石
雷雨去り別の夕暮来たりけり 滝青佳
雷雨去り少女スターの写真見る 坪内稔典
雷雨待つ船みな錨投げにけり 水原秋桜子
雷雨後の森を駈けぬけボート乗りに 中山純子 茜
雷雨後の風通りゐる麻衣 森澄雄
雷雨日々じやがいも畑花ざかり 瀧春一
雷雨来ていきいきしたる女かな 山田弘子 懐
雷雨過ぎし校庭電車の灯がひろがる 桜井博道 海上
雷雲と待人どちら先に着く 山田弘子 螢川
雷雲にいざなはれゐる風の葦 松村蒼石 雁
雷雲に波郷を急かせ案じつゝ 杉山岳陽 晩婚
雷雲のたむろせる嶺を主座となす 篠原梵 雨
雷雲のひろごりしのみ立葵 大橋櫻坡子 雨月
雷雲の上げし拳の下のわれ 久米正雄 返り花
雷雲の上に臥しなほ撃ちあへり 片山桃史 北方兵團
雷雲の日にまみれ咲く浅むらさき 阿部みどり女
雷雲の立ちのたしかさ悲報来 小林康治 四季貧窮
雷雲の間に残光の空しばし 中村草田男
雷雲は四海より急山肌錆び 古舘曹人 能登の蛙
雷雲やシャツを括りし大漁旗 関口祥子
雷雲や少年立志の日もありし 角川源義 『口ダンの首』
雷雲や翳るにはやきお花畠 岡本まち子
雷雲や赤ん坊の髪ほうほうと 蓬田紀枝子
雷雲や轟々変る海の紺 加藤知世子 花寂び
雷雲をひたして湖心明かるみぬ 内田百間
雷雲を待つや野茨のしづけさは 林火
雷雲を生み山なみの力瘤 平井さち子 鷹日和
雷雲を裾に退け青妙義 関森勝夫
雷雲を野に学生のオーケストラ 津田清子 礼 拝
雷雲下国境山脈惨と伏す 相馬遷子
雷雲下國境山脈惨と伏す 相馬遷子 雪嶺
雷雲車窓の吾を明るくしこの午後果つ 金子兜太 少年/生長
雷電と血の兵が這ひゐたる壕 片山桃史 北方兵團
雷電のふとせしところ昴あり 篠原梵 雨
雷電の線にからまり黄泉を呼ぶ 和田悟朗 法隆寺伝承
雷音の転がり廻る青盆地 右城暮石 上下
雷颪す光芒とんで野川かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
雷駈ける風のあほちの敗荷かな 佐野良太 樫
雷鳴が渡りさびしき肋せり 林田紀音夫
雷鳴つて大峰山の戸開式 山田春生
雷鳴つて御蚕の眠りは始まれり 普羅
雷鳴つて碧きモーゼの五月の瞳 平井照敏 天上大風
雷鳴つて蚕の眠りは始まれり 前田普羅 飛騨紬
雷鳴にふと俤の重なりし 星野椿
雷鳴に尻照らされて隼人瓜 豊口陽子
雷鳴に尻照らされ隼人瓜 豊口陽子
雷鳴に怯えそれより茸は出ず 西山泊雲 泊雲
雷鳴に湯引きし魚の背きけり 今関幸代
雷鳴に火焔いよいよ青不動 狹川青史
雷鳴に耐ゆ城壁に手をあてて 古舘曹人 砂の音
雷鳴のたび青佐渡を濃くしたり 本宮哲郎
雷鳴のプールに誰か抜手きる 寺田京子
雷鳴の一夜のあとの紅蜀葵 井上雪
雷鳴の中の再会なりしかな 山田弘子 こぶし坂
雷鳴の吹き割りし木も花ざかり 宇佐美魚目 天地存問
雷鳴の擬音江戸村忍者劇 倉橋羊村
雷鳴の真只中で愛しあふ 仙田洋子(1962-)
雷鳴の間遠になればまたにくむ 仙田洋子 橋のあなたに
雷鳴やはらりと活けし縞芒 野澤節子 黄 炎
雷鳴やサティゐるうちに眠るべし 仙田洋子 橋のあなたに
雷鳴やダンテの家は路地の奥 有馬朗人 知命
雷鳴や同ずる一鴉あらずして 相生垣瓜人 明治草抄
雷鳴や少年の背の垂直に 原コウ子
雷鳴や山川草木宙より来 和田悟朗 法隆寺伝承
雷鳴や授業いつきに目覚めたる 宮口 征子
雷鳴や病んで白蛾のかげを忌む 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
雷鳴や脳病院に容赦なく 森田智子
雷鳴や駿河を攻むる甲斐の雲 いのうえかつこ
雷鳴りて大岳の神を送りけり 藤原たかを
雷鳴を二度とは聞かず祈り終ふ 長田等
雷鳴を柩の上にしてすすむ 丘本風彦
雷鴫足を取られる山仕事 篠田悦子
雹止みて天上雷を残しけり 大川千里
電話鳴るや雷雨過ぎたる窓の空 碧雲居句集 大谷碧雲居
露伴忌のいやにしづかな日雷 高澤良一 素抱
青々と持ちて雷や露の菊 河野静雲 閻魔
青柿やかみなり親爺の齢になり 高澤良一 素抱
青蘆の根のゆるみなき日雷 岡本眸
非のうちどころ無き雷を迎へたり 東野鷹志(陸)
韋駄天の日雷ゐて妙義聳つ 中戸川朝人「星辰」
韋駄天の雷に怯ゆる牧の牛 熊田鹿石
音といふ継子を連れて雷は 丸山嵐人
音もなき苺をつぶす雷の下 石田波郷「鶴の眼」
頂相のいかづちあたま畦火立つ 宮坂静生 春の鹿
頭を振りて竹はよろこぶ朝の雷 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
風癖のつきし畦草はたた神 平子 公一
風神も雷神も来よ宗達忌 本岡歌子
風神も雷神も連れ神等去る 黒谷星音
風神雷神筋肉の裂けて黴 大石雄鬼
飛騨山を雷轟きに指させる 鈴鹿野風呂 浜木綿
飛鳥仏に雷禍の記憶ありつべし 大橋敦子(雨月)
食積や屋根の隙行く昼の雷 角川源義
餓鬼岳は雷神の座や見えずとも 小澤實「瞬間」
馬陵城趾雷後日照のお繰り出し 阿部みどり女
駆けつけて雷火匂はす農俳人 近藤一鴻
驟雨避く寺に風神雷神図 榊原惇子
高千穂の斜への菜畑雷稚き 宮武寒々 朱卓
髪あかき女医に診られぬ日雷 大竹多可志
髪刈りし父とその子に雷ひびく 鷹女
鬼城の忌朝より雷の鳴りやまず 飛高隆夫
鬼無里村雷雲みだれ雹とべり 新井英子
鮎鮨やひとたび去りし雷戻り 石田あき子 見舞籠
鮑は身を皿に伸しゐて雷くるか 吉田ひで女
鯉の頭の盛りあがりたる日雷 鈴木鷹夫 春の門
鯉青き山陰の沼雷の峯 大井雅人 龍岡村
鰻田の端の泡立ち日雷 鈴木鷹夫 渚通り
鱧皮や夕餉半ばに雷迫り 村上光子
鳴り物のひとつ雷雲隠し持つ 中原道夫
鳴神の舞台も街も雷雨して 片岡我当
鵜の岩を鵜のはなれつぎ雷きざす 金尾梅の門
鷺翔けて雷遠ざかる翠微かな 飯田蛇笏 霊芝
麓人先生雷除をはや享けし 石田あき子 見舞籠
黎明の雷鳴りしづむ五百重山 飯田蛇笏 霊芝
黒人の濡れて歩める雷雨かな 林徹「群青」
黒塚の老杉雷を呼ぶごとし 石原八束
黒姫に雷ゐてささげ摘む在所 大峯あきら 鳥道
鼻濁音かみなりしぎと擦れちがう 山中葛子
鼾声雷ノ如シ蚊にくはれ居る酔倒れ 蚊 正岡子規

以上
by 575fudemakase | 2016-08-22 19:15 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

雷 その1

雷 その1

あかつきの雷ひとつ祭かな 龍岡晋
あかときを机にとどく梅雨の雷 黒田杏子 花下草上
あさっての方から聞え軽き雷 高澤良一 寒暑
いかづちにみささぎくらくなりにけり 下村梅子
いかづちに雷おこしとふ餘生 中原道夫
いかづちの乗る北斎の波頭 清家美保子
いかづちの二夜とどろき朴ひらく 谷口秋郷
いかづちの去りて和解の口火切り 木下勝実
いかづちの国に来りぬそを詠まな 西本一都
いかづちの天に近づきつつ病めリ 野見山朱鳥
いかづちの忘れてゆきし十日月 中村契子(白露)
いかづちの戸隠山樹魂とよもせり 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
いかづちの炎のいつくしき夜なりけり 小林康治 四季貧窮
いかづちの産声沖にあがりけり 朝倉和江
いかづちの砂紋つきさすふたごころ ハルツォーク洋子
いかづちの籠る妹子の墓の森 田島和生
いかづちの荒てひさしき夏野かな 史邦 芭蕉庵小文庫
いかづちも転びてあそべ三輪・畝火 筑紫磐井 婆伽梵
いかづちを待ち風神の揺らす社 橋本 榮治
いましがた出かけられしが梅雨の雷 川崎展宏
うけとめて胸壁はあり日雷 福田蓼汀
うす雲の雷さへぎりて舞ひにけり 飯田蛇笏 春蘭
うつくしき眼と会ふ次の雷待つ間 西東三鬼(1900-62)
うるはしき雷様の通るなり 原田喬
えごの花地に叩きつけ雷雨過ぐ 堀 古蝶
かきくもり雷鳴雹をたたきつけぬ 長谷川素逝 砲車
かく刳りしよべの雷雨か萩山路 皆吉爽雨 泉声
かげりなき月に雷火のあとしるき 上村占魚 『天上の宴』
かの戦さに彼我ともふれず夜の雷 平井さち子 完流
かの象の戻らぬ道の日雷 宇多喜代子 象
かまきりの玻璃戸をのぼり雷うかがふ 臼田亞浪 定本亜浪句集
かまつかの色の萌しの雷震ふ 林原耒井 蜩
かみなりに耳をもかさず本読む子 京極杞陽「但馬住」
かみなりのごろごろあそぶ桃の花 中山純子
かみなりの鳴らで曇りし梧(きり)の花 史邦 芭蕉庵小文庫
かみなりへ走る帰宅となりにけり 五島高資
かもめーる五通の濡れて来る雷雨 鈴木鷹夫 千年
かんばせに雷火かかれる時美(くわ)し 深川正一郎
くらがりの方かみなりと法隆寺 和田悟朗 法隆寺伝承
くわばらと云ひて遠のく雷ならず 高澤良一 寒暑
こころまで消す黒板よ遠い雷 対馬康子 純情
この世撃つ雷火も呆れ果てて去る 中戸川朝人 尋声
この日とて雷すなり太閤忌 岡本圭岳
これよりの師のいかづちの庵かな 村松紅花
ごろごろと火嚢の中雷走る 上野泰 佐介
さっきから目くじら立てゝはたた神 高澤良一 素抱
さなきだに雷鴫の三番瀬 高橋澄子
ざりがにのはさみ蒼くて雷雨かな 岸本尚毅 鶏頭
ずくずくに濡れ参じたり雷踏んで 石塚友二 光塵
ずくずくに濡れ參じたり雷踏んで 石塚友二
ためらはで雷押し渡る行者道 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
だしぬけの雷きて近江の仏たち 吉田紫乃
つつじ原湧く雲に雷なづみそむ 寒々
てっぺんの好きな鳥いて雷兆す 高橋綾子
ときじくのいかづち鳴つて冷やかに 岸本尚毅
ともすれば澄む葛水や雷遠し 三宅孤軒
どの窓も雷光の燃ゆ寝転べり 原田種茅 径
ねんぶつを申ししあとや梅雨の雷 大石悦子 聞香
のたうちし雷の跡濡れてゐず 中原道夫
のぼり藤雷の暗さを打ち払ひ 阿部みどり女
はざくらや翔ける雷蝶真一文字 飯田蛇笏 山廬集
はしれ雷声はりあげて露語おしう 古沢太穂 古沢太穂句集
はたたがみ烏滸の三郎ゐざらする 筑紫磐井 婆伽梵
はたたがみ犬は眼をもて吾にたよる 木津柳芽 白鷺抄
はたた神「陰鬼」を撃ちて余すなし 相生垣瓜人 微茫集
はたた神ダイダラ坊を起すなよ 高澤良一 随笑
はたた神下りきて屋根の草さわぐ 青邨
はたた神今宵の月を玩ぶ 相生垣瓜人 明治草抄
はたた神勿来の関にとどろけり 柴田寛石
はたた神南の空は北の模写 田川飛旅子 『山法師』
はたた神古寺巡礼のはたてにて 和田悟朗 法隆寺伝承
はたた神喧嘩の虫を封じけり 上田 春日
はたた神巴里の空を覆ひけり 石井桐陰
はたた神師恩を忘じゐたらずや 杉山 岳陽
はたた神戦場ヶ原駆けぬける 井水貞子
はたた神海に回廊あるごとし 佐川広治
はたた神渡り廊下でつかまった 渡辺のり子
はたた神空を鳴らして空開き 高澤良一 さざなみやつこ
はたた神終りの方を口ごもる 高澤良一 寒暑
はたた神見よ串刺しの鰡の臍 鈴木華尚
はたた神関東平野総立ちす 西山由子(やまびこ)
ばくぜんと躰ある日の日雷 津沢マサ子 空の季節
ひとすぢの命毛雷気充満す 斉藤素女(曲水)
ひとそばえ微涼あらたに小いかづち 飯田蛇笏 春蘭
ひよろ長き吾子の下校や雷伴れて 鳥居おさむ
ふたたびは聞く心もてはたたがみ 稲畑汀子
ふとけむり柩車ましぐら雷雨に消ゆ 加藤知世子 花寂び
またどろどろとかみなりがなる 嵐竹 芭蕉庵小文庫
まなじりに雷雲の湧く藍作り 斎藤 梅子
まひまひや雷がひびける水の皺 佐野良太 樫
み鏡に火のはしりたる雷雨かな 大橋櫻坡子 雨月
むかしほど豪快な雷来ずなりぬ 角光雄
むらさきに雷起す葛の花 萩原麦草 麦嵐
ももんがの穴ある榧に梅雨の雷 磯崎兼久 『孤雲』
やたら落ち手のつけられぬ雷となり 高澤良一 寒暑
わが大き耳羽摶つがに夜の雷 藤田湘子 てんてん
わが瞼雷につられてふるふかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
わが罪はわが前背より日雷 中村草田男
われらゐる谷にこもりぬ木曾の雷 加藤知世子 花寂び
をみなごの杞憂一過の雷雨かな 岩田昌寿 地の塩
アカシヤの波なし駒の雷おこる 太田鴻村 穂国
アカシヤを一本折りにくる雷か 京極杞陽
オロチヨンの炬火で指す遠き雷 平井さち子 紅き栞
ゴルファーを一擲したる雷雨かな 鈴木油山
ナイアガラの水百雷を落しけり 國武和子
ナイアガラ水煙倍にして雷雨 竹中碧水史
ハブ擲ちし手のきな臭し日雷 小熊一人 『珊瑚礁』
バレー部の合宿終る日雷 土橋いさむ
フリードリヒ・ニイチエのごとき雷雨かな 平井照敏
ラジオから声のもどりしはたたがみ 如月真菜
レーダーが雷神とらふ操縦室 橋本美代子
一人ノ為ノ雷ト千人ノ為ノ虹 夏石番矢 人体オペラ
一天に明暗しるき雷雨かな 吉川与音 『琴柱』
一天に雷神あそぶ不死男の忌 三田きえ子「初黄」
一斉に死者が雷雨を駆け上る 片山桃史 北方兵團
一時代駈け抜けしごと雷雨去る 吉岡翠生(諷詠)
一茶の墓よべの雷火の激しさは 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
一遠雷即迅雷に豹変す 高澤良一 暮津
一閃に白骨の温泉や夜の雷 東洋城千句
一閃の雷火のなかに青胡桃 阿波野青畝
一雷の加はりいよよ男梅雨 五十嵐哲也
一雷後おもふ日本の創深し(又原爆症で千葉といふ青年が死んで行つた) 岸田稚魚 『負け犬』
一雷後の湿り香革命親しきごと 香西照雄 対話
七夕のけんらんたるに雷激す 栗林千津
上洲の手加減をせぬ雷にをり 中戸川朝人 尋声
上流の雷雨知らせて釣仲間 西村正子
不死男忌の雷火まみれの髪膚なり 越高飛騨男
不眠者に深夜とどろく梅雨の雷 相馬遷子
不眠者に深夜とゞろく梅雨の雷 相馬遷子
丘の向かうで雷鳴つてゐるナバホの子 齊藤美規
中空を割りし軽雷こぶしの芽 赤松[けい]子 白毫
丹波太郎その郎党の小雷 大石悦子 群萌
丹波太郎の名残りの雷のひと走り 大石悦子 群萌
九つの渦や迅雷人語なし 橋本夢道 無類の妻
乳のごとくかがやく四肢を横たふる夜明けの雷にそをたとふべき 山田富士郎
乾きたる雷鳴夕立去りしあと 大橋敦子
二タ三言寝床で交はす雷のこと 高澤良一 寒暑
二三片烏雷雨にうたれ飛び 川端茅舎
二礼二拍手のちの一礼くる雷雨 対馬康子 吾亦紅
五個空洞雷後の大気残響す 斎藤空華 空華句集
亜浪忌に大き雷落ちにけり 岡田鉄 『卆心』
亡き人の笑ひ声かや日雷 山形晶子
京劇の殺陣(たて)稽古めく雷最中 高澤良一 寒暑
人うとき温泉宿にあらぶ雷雨かな 飯田蛇笏 山廬集
人体は不可解なもの午後の雷 鈴木けんじ
人形の家を出ずると日雷 徳弘純 麦のほとり 以後
人恋えば雷奔ばしる打たれたし 穴井太 鶏と鳩と夕焼と
人愚なり雷を恐れて蚊帳に伏す 蚊帳 正岡子規
人牛を走らす雷火北伊吹 宇佐美魚目 秋収冬蔵
今宵こそ逢ふべかりしに大雷雨 深川正一郎
今日も今日も雷遠き夏野かな 会津八一
仏典は暗きに置けり日雷 神尾久美子 桐の木
低くゐる厠を襲ふ日雷 田川飛旅子 『山法師』
体操のマットの匂ひ日雷 山本左門
何人もさわるべからず雷の穴 宇多喜代子 象
依代のごとき燈台雷火立つ 橋本榮治 麦生
俄か雷しぐれは降らず去りにけり 及川貞 夕焼
保姆と児等一かたまりや大雷雨 城殿としお
信玄の国よりころがり来し雷 和久田隆子
停車場に雷を怖るゝ夜の人 河東碧梧桐
兄ぶりの孫耳さとき小雷 及川貞 夕焼
兆す雷牧神足あと爪割けて 平井さち子 完流
八朔やあかつきかけてつよき雷 新保旦子
八雲立つ出雲は雷(かみ)のおびただし 角川源義 『冬の虹』
八雲立つ出雲は雷のおびただし 角川源義
六斎の暗くなりけり日雷 小川千賀
六角堂六面しぶく雷雨かな 赤松[ケイ]子
写経会や杉すれすれに雷歩く 大木あまり 火のいろに
冷肉の芯の桃色雷雨来る 田川飛旅子
凄じき雷棒の如き雨 松本かをる
凌宵花空の真昼を雷わたる 高橋馬相 秋山越
凌霄にふたゝび迫る雷雨かな 清原枴童 枴童句集
処暑の雷中野重治逝きにけり 館岡沙緻
凱旋門敗者もくぐる雷を追い 中島斌雄
出て見るや雷干の皺加減 吉田冬葉
別れきて駅に夜となる雷ききぬ 川島彷徨子 榛の木
利根川と荒川の間雷遊ぶ 金子兜太「東国抄」
剣ヶ峰雷雲寄せず肩やさし 澤田緑生
化粧すや雷はためくを一瞥して 山田みづえ 忘
北に雷北に仁王の耐うるかな 和田悟朗
北京の旅のはじめを雷走る 勝見玲子
北信濃青きくわりんに雷籠る 高澤良一 宿好
千住の化ケ煙突や雷きざす 三好達治 柿の花
千住の化ヶ煙突や雷きざす 三好達治 路上百句
千島笹雷後もつとも青むなり 岡 荘司
南国の雷雨をもつて城隠す 佐野まもる
南壁に雷火一瞬峙ちし 桑田青虎
南瓜の花破りて雷の逃ぐる音 西東三鬼
去れよ雷寝返れば子の手ありとて 対馬康子 吾亦紅
口で紐解きつつあれば日雷 山崎冨美子
古代ガラスの中が灯りぬ遠き雷 加藤瑠璃子「蒼き隠岐」
只一人雷雨を冒す夏野かな 石井露月
吉野葛買ふや雷雨を避けし簷 中川 石野
吊り皮の無表情なる日雷 小泉八重子
名月や雷のこる柿の末 浜田酒堂
含みたる水に金気や日雷 須賀一恵
吸取紙の逆文字にじみ日雷 河野南畦 『広場』
喪の妻や車窓の雷火浴びとほし 細川加賀
国栖人の貌にとどろく日雷 大峯あきら 鳥道
土用芽や遠くたしかに雷ひとつ 細川加賀 生身魂
地の音を聴くふくろふに遠き雷 久保田月鈴子
地平雷兆しつつあり天瓜粉 佐々木有風
地球儀の海が傾く日雷 野木桃花
地軸折るほどの雷鳴ありにけり 滝青佳
堂暗く天平仏に雷火立つ 狹川青史
塩ひさぐ婆の地べたに日雷(闇市最終の日) 『定本石橋秀野句文集』
夏の花一つも見えず雷来る 横光利一
夏めきて雷ころがれる山葵沢 石原舟月
夏めくや霽れ雷のひとつぎり 飯田蛇笏 山廬集
夏めくや霽れ雷の一つぎり 飯田蛇笏
夏旅や温泉山出てきく日雷 飯田蛇笏「山廬集」
夏族や温泉山出てきく日雷 飯田蛇笏 霊芝
夏果ての雷の消したる眼下の灯 綾部仁喜 樸簡
夏逝くや記憶に残る雷もなし 相馬遷子 山国
夕刊の束投ぐ雷雨熄みし駅 右城暮石 上下
夕毎の雷遠く雛育ちゆく 金尾梅の門 古志の歌
夕立やかみなり走るとなりぐに 室生犀星 犀星発句集
外に多事雷も壮年の轟きに 平井さち子 完流
夜々軽雷病みがちなりし夏は逝く 田川飛旅子 花文字
夜の雲のみづみづしさや雷のあと 原石鼎「花影」
夜の雲のみづ~しさや雷のあと 原石鼎
夜の雲みづ~しさや雷のあと 石鼎
夜の雷の遠ざかりけり絵具溶く ふけとしこ 鎌の刃
夜の雷火巣鳥ひそめる栂照らす 斎藤 道子
夜の雷看板多き街にはげし 成田千空 地霊
夜の雷身辺に師の封書おく 桂信子 黄 炎
夜の雷雨沼なす道に立ち憩ふ 相馬遷子 山国
夜の雷雨砲車に光りては消ゆる 長谷川素逝 砲車
夜の雷雨終焉黒部の水増さん 福田蓼汀 秋風挽歌
夜空よりどすんと雷や花菖蒲 岸本尚毅 舜
大*べしに似し噴煙よ日雷 小林康治
大げさに雷をころがす残存湖 中島斌雄
大學はあり一村の雷に 古舘曹人 砂の音
大江戸や雷の音より銭の音 幸田露伴
大湯見る手摺に雷の迫り来し 龍胆 長谷川かな女
大鋸屑の中を探れば日雷 森田智子
大雷やそれきり見えず盲犬 鬼城
大雷雨あり鴎外の忌の真昼 九鬼あきゑ
大雷雨ひとりの蚊帳のなまぐさし 石塚友二 方寸虚実
大雷雨ぺんぺん草は立ち向ふ 藤田湘子 てんてん
大雷雨やりすごしたる朴の花 大橋敦子
大雷雨博覧会を襲ひけり 池田秀水
大雷雨去りて青磁の湖となる 伊東みのり
大雷雨去りよみがへる駅の時計 右城暮石 声と声
大雷雨友の柩を包みけり 川元安子
大雷雨国引の嶺々発光す 鬼村破骨
大雷雨女友だち来てをりぬ 須川洋子
大雷雨巨樹にはりつき草刈女 西山泊雲 泊雲句集
大雷雨悠然とゆく一人ありぬ 臼田亞浪 定本亜浪句集
大雷雨烏賊火またたくこともなし 鈴木貞雄
大雷雨産屋の樹々を日々洗ひ 野見山朱鳥
大雷雨見舞あきらめ戻りけり 石田あき子 見舞籠
大雷雨鬱王と会うあさの夢 赤尾兜子
大雷雨鬱王と会ふあさの夢 赤尾兜子「歳華集」
大雷雨鬱王と合ふあさの夢 赤尾兜子(1925-81)
天に雷地に火まつりの火を創る 平井さち子 紅き栞
天主堂の炎をさまりし外壁を浮きあがらせて夜の雷鳴る 竹山広
天城嶺の芯に轟く日かみなり 白井新一
天然氷三塊一駄日雷 中戸川朝人
天雷よ来れ車雷に厭きにけり 相生垣瓜人 明治草抄
天騒ぎ摩利支天岳に雷おこる 水原秋櫻子
天騒ぎ魔利支天岳に雷おこる 水原秋桜子
契り得るや雷走る間の彼の顔に 杉山岳陽 晩婚
女浅間が喚ぶかみなりか眠らねば 稲垣きくの 牡 丹
女系断つ直線上の日雷 宇多喜代子
妻の髪温泉に濡れしまゝ雷迫る 石橋辰之助
子を二人抱へる力日雷 近藤伸子
子雷太鼓しめらせはぐれたる 静塔
宝剣岳哮りて泛ぶ夜の雷火 小林碧郎
将門の塚訪ふ日雷のなか 伊藤伊那男

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by 575fudemakase | 2016-08-22 19:13 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

瓜 の俳句

瓜 の俳句

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http://fudemaka57.exblog.jp/26129486/


瓜 補遺

うつつをれば瓜になるとよ湖の鳶 岡井省二 山色
うり一つだひて泣きやむ子供哉 正岡子規 瓜
うり一つとなりの畑てみのりけり 正岡子規 瓜
このごろは庖丁に慣れ瓜を揉む 石橋秀野
さみどりの瓜苗運ぶ舟も見し 松本たかし
しばしばや人に雨月の瓜畠 飯田蛇笏 山廬集
たそがれや蹠はなれし瓜の種 加藤秋邨
とぶなべに影ほのかなる瓜の蟲 飯田蛇笏 山響集
ぬすびとに夜々の雨月や瓜畠 飯田蛇笏 山廬集
ひてりさへ瓜はやせたる顔もなし 正岡子規 旱
ひやし瓜沈めても又沈めても 正岡子規 瓜
ふとん干場苦が瓜の蔓すがれ初め(平林寺) 細見綾子
むささびや谷戸に瓜掻き体当たり 百合山羽公 樂土以後
モンゴルの累累たる頭瓜の中 加藤秋邨
一屋の主となりて瓜の番 上田五千石『琥珀』補遺
一笊にして胡の瓜と越の瓜 上田五千石 琥珀
上割れる瓜の太芽の不揃ひや 阿波野青畝
乳呑子の枕も瓜も涼しけれ 橋閒石 微光
人も居らず瓜ひやしたる清水哉 正岡子規 清水
人影のさせば瓜蝿翅拡ぐ 右城暮石 句集外 昭和三十四年
仏壇に瓜のはしりと子のたより 飴山實 花浴び
何もかも瓜まで小さく夢失せき 加藤秋邨
何やらの花さきにけり瓜の皮 正岡子規 瓜
兄弟が瓜と茄子の訴訟哉 正岡子規 瓜
初瓜やまだこびりつく花の形 正岡子規 瓜
別れ蚊や瓜割の井に立ちつくす 石川桂郎 高蘆
前髪の唐子唐子が瓜をもち 山口青邨
口のはに海女いま食ひし瓜の種子 高野素十
哈密(ハミ)瓜切るモハモード氏の刀さばき 松崎鉄之介
喃お僧初瓜一つめすまいか 正岡子規 瓜
四足の瓜も茄子も草の市 正岡子規 草市
垣外ゆく瓜提燈のたづたづし 臼田亜郎 定本亜浪句集
垣破る瓜盗人は狐かな 正岡子規 瓜
夏木にも瓜蠅とべり峠畑 飯田蛇笏 山廬集
大川を瓜のながるゝ施餓鬼かな 百合山羽公 春園
大掴み瓜漬の塩ふり馴れて 及川貞 夕焼
大正のをとこかなしむ瓜畑 石田勝彦 百千
天気予報たまの外れや瓜きざむ 鈴木真砂女 紫木蓮
夫婦は赤子があつてぼんやりと暮らす瓜を作つた 中川一碧樓
女将ある日やりきれなさの瓜揉んで 鈴木真砂女
妊りておちつく妻や瓜を揉む 下村槐太 光背
妹瓜を揉むま独りの月夜かな 渡邊水巴 白日
子の生れし家なり瓜を刻むかな 山口誓子
孝行な瓜番瓜を盗みけり 正岡子規 瓜
学校の敷地になりぬ瓜畑 正岡子規 瓜
宵瓜の狂をさざめけり人形は 臼田亜郎 定本亜浪句集
山へ延びる電線ばかり瓜食ふ子(故郷丹沢芦田村) 細見綾子
干瓜の塩の乾きや日照草 正岡子規 松葉牡丹
手拭に瓜三本をくゝりけり 正岡子規 瓜
揉瓜のひとにぎりにて独りの餉 鷲谷七菜子 黄炎
文月や野に瓜食めば火は流(くだ)れり 金子兜太
日に熱き瓜をくれたる隣びと 桂信子 花影
旱さへ瓜に痩せたるふりもなし 正岡子規 旱
時ながる昨日は瑠璃に今日は瓜に 加藤秋邨
時鳥切子囲ひは瓜の苗 岡井省二 鹿野
朝夕瓜もみ食ふ旱かな 前田普羅 普羅句集
末生の瓜揉むことも月夜かな 日野草城
梅雨のあめしづかに瓜の蔓の知恵 日野草城
此村は帝国党や瓜茄子 正岡子規 瓜
歯切よし秣切る音瓜切る音 中村草田男
氈(かも)瓜の甲乙なんぞいふなかれ 燕雀 星野麥丘人
水打つて石涼しさや瓜をもむ 杉田久女
水清く瓜清き里に隠れけり 正岡子規 瓜
水清く瓜肥えし里に隠れけり 正岡子規 瓜
油虫かくまひ燈下の青瓜どち 香西照雄 対話
流れゆく瓜のお馬や水に月 三橋鷹女
浅漬の瓜の青白噛むひびき 日野草城
浅漬の瓜断つ音や夏の靄 日野草城
海よりの風つのりけり瓜の蔓 中村苑子
涼しさに瓜ぬす人と話しけり 正岡子規 瓜
湖の日が瓜畑にあり歓ばむ 岡井省二 鹿野
瀬しぶきに洗ひて盆の瓜なすび 鷲谷七菜子 天鼓
火中にて瓜馬立てり川旅餓鬼 石川桂郎 高蘆
父と子の清水黄色き瓜食ひて 細見綾子
瓜うまきここ今伊勢といふところ 飯島晴子
瓜うりありくヨボの大きな瓜である 尾崎放哉 小浜時代
瓜くれて瓜盗まれし話かな 正岡子規 瓜
瓜すでにころがつてをり花ざかり 山口青邨
瓜すゝる天の河原に身を起し 飯島晴子
瓜つけし馬も小諸の城下かな 飯田蛇笏 山廬集
瓜ぬすむあやしや御身誰やらん 正岡子規 瓜
瓜の前物持ちかへぬ値切るらし 加藤秋邨
瓜の市ひとり母子を立ちて見る 加藤秋邨
瓜の市土牆傾くばかりなり 阿波野青畝
瓜の疵老同人の病むことよ 百合山羽公 寒雁
瓜の皮夜も黄なり外寝する人に 山口青邨
瓜の種笊にひつつき沖つ波 桂信子 花影
瓜の籠つけて驢馬ゆく市さして 山口青邨
瓜の籠茄子の籠や市の雨 正岡子規 瓜
瓜の荷をふりわけにして驢馬可愛 山口青邨
瓜はめば歯牙なき祖父の笑みかえる 金子兜太
瓜は馬に茄子は牛に南爪は何に 上田五千石『琥珀』補遺
瓜もみの酢の利き過ぎし月夜かな 日野草城
瓜もみや相透く縁のうすみどり 日野草城
瓜よりもわが乗るならば茄子の馬 後藤比奈夫
瓜を啖ふ大紺碧の穹の下 富澤赤黄男
瓜を食む人等愛親覚羅の裔 山口青邨
瓜一つ残暑の草を敷き伏せし 杉田久女
瓜一ツだけば鳴きやむ赤子かな 正岡子規 瓜
瓜主や使うて見する袖がらみ 村上鬼城
瓜二つ重たさうなる禿かな 正岡子規 瓜
瓜刻む妻夕月に見惚れたり 大野林火 早桃 太白集
瓜刻む気兼ねの音の聞えくる 波多野爽波 鋪道の花
瓜刻む足もとに来て蟹可愛 富安風生
瓜刻む音を昏しと聞きにけり 右城暮石 句集外 昭和二十七年
瓜咲くや一つになつて村の音 永田耕衣
瓜喰ふて旅の労れや野の茶店 正岡子規 瓜
瓜喰ふや胸つき出して双子海女 星野麥丘人
瓜喰む眼 この子らの明日 計り得ず 伊丹三樹彦
瓜垣のつぶれめでたき野分かな 河東碧梧桐
瓜好きの僧正山を下りけり 正岡子規 瓜
瓜好きの鬼子は露と答えける 橋閒石 卯
瓜小屋にひとり肌ぬぐ月夜哉 正岡子規 月夜
瓜小屋に人あるさまの草履哉 正岡子規 瓜
瓜小屋に伊勢物語哀れかな 村上鬼城
瓜小屋に音なきよるの蛍哉 正岡子規 蛍
瓜小屋や筵屏風に二タ間あり 村上鬼城
瓜小星や夕立晴れて二日月 村上鬼城
瓜抱いて 童女入門 達治の寺 伊丹三樹彦
瓜持つてさしさはりなき人に蹤く 飯島晴子
瓜持て片手にまねく子供哉 正岡子規 瓜
瓜揉みの指に充ちくる力かな 上田五千石『琥珀』補遺
瓜揉や名も無き民の五十年 日野草城
瓜揉んでさしていのちの惜しからず 鈴木真砂女 居待月
瓜揉んで待てど海路に日和なし 鈴木真砂女 夕螢
瓜揉んで淋しき膳をすゑにけり 石橋秀野
瓜提げて土屋文明駅を出づ 加藤秋邨
瓜漬や笑まひてをみな年古りず 上田五千石 天路
瓜畑に水気失せたる生身魂 森澄雄
瓜畑名残を蒸れ鳴く虫か寄せ蔓に 種田山頭火 自画像 層雲集
瓜畑死人にばかり腹が立つ 飯島晴子
瓜番が雷死の葬青とかげ 日野草城
瓜番とならばツルゲーネフ読まん 上田五千石 天路
瓜番は「あじや」驀進を見送りつ 山口青邨
瓜番を化かしに来たる狐かな 正岡子規 瓜
瓜番屋誰も居らねば近よらず 高浜年尾
瓜盗むこともわすれて涼みけり 正岡子規 瓜
瓜盗りし少年屈みつつ走る 山口誓子
瓜積んで朝舟著きぬ流れ山 河東碧梧桐
瓜舟も遡航下航のその中に 阿波野青畝
瓜苗に水やるさびしさなしとせず 上田五千石 天路
瓜苗の抛り出されし雨の軒 雨滴集 星野麥丘人
瓜苗やたたみてうすきかたみわけ 永田耕衣
瓜茄子どこを関屋の名残とも 正岡子規 瓜
瓜茄子の市立つ中に鍛冶の火も 山口青邨
瓜茄子も群霊のうち川施餓鬼 右城暮石 句集外 昭和四十六年
瓜茄子を植ゑて臨済禅寺かな 右城暮石 句集外 昭和五十五年
瓜茄子命があらば三年目 正岡子規 瓜
瓜茄子食ひて女は倦むことなし 右城暮石 声と声
瓜茹子上り框に置きゆけり(丹沢) 細見綾子
瓜蔓のほぐれ伸びゐる石の上 石橋秀野
瓜蝿の一匹捕へ他は逃げし 右城暮石 一芸
瓜蠅旱天の暾を愉しめる 西島麦南 人音
瓜貰ふ太陽の熱さめざるを 山口誓子
瓜買ふとウズベク語尽き出羽訛 加藤秋邨
瓜食うて我も上るや観音寺 河東碧梧桐
瓜馬のなきがらは足さしあげて 阿波野青畝
瓜馬や盲巫女口説に月出でぬ 角川源義
甘瓜やなほ歩かねば死ぬを得ず 永田耕衣
生涯の手押車や瓜を売る 有馬朗人 天為
男手の瓜揉親子三人かな 石橋秀野
畑には瓜もころがり虚子旧廬 山口青邨
白銀の瓜をかかへし百済の子 有馬朗人 耳順
盆果てし月に瓜馬足萎ゆる 角川源義
祗園まつり家々青き瓜を供ふ 大野林火 海門 昭和十四年
秋立つや瓜も茄子も老の數 正岡子規 立秋
糠味噌に瓜と茄子の契かな 正岡子規 茄子
翅拡ぐ間なし瓜蝿ころげ逃ぐ 右城暮石 散歩圏
舟と舟ぶつかる瓜の市場かな 阿波野青畝
芥子散るや瓜もむ時の夕風に 河東碧梧桐
花瓜や鱗乾きて烏蛇 日野草城
苗市の苗に瓜の区なすびの区 上田五千石 風景
茄子にも瓜にもつかず時鳥 正岡子規 時鳥
茶屋に到り瓜喰はんと思ひつゝありく 正岡子規 瓜
荒海をまへに木挽や初真瓜 飴山實 辛酉小雪
莚敷く村の芝居や瓜の皮 正岡子規 瓜
蒙古より来りし径や瓜を売る 加藤秋邨
虫賣や籠の雫は瓜の露 正岡子規 露
蛇瓜といふ名たづねて撫でては去る 加藤秋邨
蛇瓜のまことしやかに気味悪し 清崎敏郎
要塞と烟と瓜の蔓からまり 富澤赤黄男
見のしじに越瓜を匐ふちちろむし 飯田蛇笏 山響集
豊の色雀の瓜も漏らさざる 百合山羽公 樂土以後
越瓜やここにし安土セミナリオ 森澄雄
道々に瓜の皮ちるあつさ哉 正岡子規 暑
遠雷のままで終りし瓜を揉む 橋閒石 雪
酒臭きわれは瓜なり朝ぐもり 三橋敏雄
陋巷の灯に揉瓜の豊富なる 日野草城
降り止む間なけれぬれつゝ瓜手入 及川貞 榧の實
雁、金魚、瓜など絵天井涼し 岡井省二 夏炉
雷や縁に相倚る瓜二つ 日野草城
青梅雨の瓜青々と漬けあがり 鈴木真砂女 居待月
音たてゝ清水あふれをり瓜をどる 及川貞 榧の實
風呂敷の瓜に手を触れては老婆 山口誓子
香妃の墓詣り来し卓香り瓜 松崎鉄之介
驢馬の耳こもごも忙し瓜の市 阿波野青畝
黄いろの瓜黄いろの人参顔も黄いろ 加藤秋邨

以上
by 575fudemakase | 2016-08-22 17:55 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)


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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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