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冬瓜 の俳句

冬瓜 の俳句

冬瓜 の例句

あんかけの冬瓜のせてありにけり 田中冬二 俳句拾遺
うすくもる日の冬瓜に細き火を 正木ゆう子 悠
うつし世の冬瓜を煮て透きとほる 辻美奈子
おだやかな漓江下りに冬瓜汁 松崎鉄之介
ことのほか鼈甲いろの冬瓜汁 石田小坡
さびし世の瓜冬瓜や茄子南瓜 横澤放川
そこに在るまゝの冬瓜師と仰ぐ 高澤良一 暮津
その白描冬瓜あはくなりにけり 赤尾兜子
とうがんの透いてくるまで煮てをりぬ 仙田洋子 橋のあなたに
とうがんをにこりともせず煮てをりぬ 仙田洋子 雲は王冠
どこ叩きても冬瓜の貌なりし 上田操
なまけ癖冬瓜汁より移りけり 高澤良一 随笑
ひとところ擦れて冬瓜届きけり 日原傳
ものごとにはじめとをはり冬瓜汁 大石悦子 聞香
もの言へば父ならむこの冬瓜は 鈴木鷹夫 風の祭
やや寒の病棟に炊く冬瓜汁 小島千架子
よきものと冬瓜勧むるくすしかな 黒柳召波 春泥句集
われものと書かれ冬瓜届きけり 山尾玉藻
一刀の断冬瓜の腹真白 宮崎笛人
三角畑守る冬瓜多産なり 百合山羽公
人間をくりかへしてや冬瓜汁 岡井省二
俎板に冬瓜のせてありにけり 田中冬二 俳句拾遺
俳諧は肚(はら)でするもの冬瓜汁 高澤良一 寒暑
冬枯や八百屋の店の赤冬瓜 冬枯 正岡子規
冬瓜か石か一と雨ごとに秋 宇佐美魚目 天地存問
冬瓜さげぽつくり寺の前通る 奥村さだ子
冬瓜といふ曖昧を二三日 赤尾冨美子
冬瓜と帽子置きあり庫裏の縁 北園克衛
冬瓜と老いて友誼を深めけり 相生垣瓜人
冬瓜におもふ事かく月見かな 山口素堂
冬瓜にききすぎし酢や小丼 飯田蛇笏 山廬集
冬瓜にことに燭のいろ地蔵盆 森 澄雄
冬瓜にこんな食べ方あったっけ 高澤良一 暮津
冬瓜に月のいろある今宵かな 森澄雄
冬瓜に笊の坐りのままならず 神山 果泉
冬瓜のいたゞき初むる秋の霜 李由
冬瓜のうぶ毛に刺さる昼の夢 加藤浩子
冬瓜のかくてもあられ降る夜かな カガ-句空 霜 月 月別句集「韻塞」
冬瓜のころげて荒るる畠かな 村上鬼城
冬瓜のごろりごろりと出羽に雲 鷲谷七菜子 天鼓
冬瓜のごろりと上り框かな 吉村 明
冬瓜のごろりと二日ばかりある 飯田希々
冬瓜のどこを撫でても尾*てい骨 北迫正男
冬瓜のなかに棲みたし火点して 大石悦子
冬瓜のひとつがふさぐ野菜籠 和田 祥子
冬瓜のふくらみを撫し男老ゆ 伊藤白潮
冬瓜のほとり日暮れてゐたりけり 長谷川櫂 虚空
冬瓜のほめられてゐる夏料理 岩田由美 夏安
冬瓜のぽつてり煮えて喜寿祝 梶山千鶴子
冬瓜のわた抜くけむり掴むごと 中尾杏子
冬瓜の切口にたつ秋気かな 織田烏不関
冬瓜の味のやうなる人なりし 桝井順子
冬瓜の坐り碧湖となりにけり 山本洋子
冬瓜の実の一郎さん次郎さん 岩淵喜代子 硝子の仲間
冬瓜の寝こけてゐたる朝月夜 百合山羽公 寒雁
冬瓜の尻のしもふり星祭 辻桃子
冬瓜の枕さだむるかかしかな 千代尼
冬瓜の椀にとろける神無月 横山房子
冬瓜の清しき白をサクと切る 祝 恵子
冬瓜の煮方煮崩れ防止策 高澤良一 素抱
冬瓜の白粉も濃くなりにけり 宮川白夢
冬瓜の種を培っておろおろと泣きたいけれど涙がでない 山崎方代 迦葉
冬瓜の粉吹く子規の面がまへ 川崎展宏
冬瓜の翡翠に透けて母の味 長谷川祥子
冬瓜の老人食を出されけり 高澤良一 随笑
冬瓜の腸刳り檻の猪 山田晧人
冬瓜の葉も蔓も無く行く秋や 漁夫
冬瓜の銀あん下処理ねんごろに 高澤良一 素抱
冬瓜の霜粉老寿のまづはじめ 百合山羽公 寒雁
冬瓜の面々授々に他ならぬ 高澤良一 暮津
冬瓜の面取りをして一人かな 平井 梢
冬瓜は父に南瓜は母に似る 近藤巨松
冬瓜やたがひにかはる顔の形 芭 蕉
冬瓜やたがひに変る顔の形 芭蕉
冬瓜やとりとめのなき日の終り 片山由美子 風待月
冬瓜やもろもろにある上と下 中尾寿美子
冬瓜やよよと泣きたる覚えなし 中尾寿美子
冬瓜や改造農家夢肥やし 百合山羽公 寒雁
冬瓜や海ゆく旅を恋ひゐたる 辻美奈子
冬瓜や牛鳴くことも宵の内 山本洋子
冬瓜や置くといふより転がされ 野中 亮介
冬瓜や補陀落浄土ここにあり 角川春樹 夢殿
冬瓜や霜ふりかけし皮の色 霜 正岡子規
冬瓜や霜ふりかけし秋の色 秋の霜 正岡子規
冬瓜をつゝみ大きくうねる線 相生垣瓜人 微茫集
冬瓜をまたぎ青天白日なり 橋石
冬瓜をまはしてなにもなかりけり 原田喬
冬瓜をもてあましをる一家族 高澤良一 寒暑
冬瓜を二つ並べし脳の皺 柿本多映
冬瓜を他人行儀に叩いてみる 田邊香代子
冬瓜を割つて慈愛にゆきあたる 小宅容義
冬瓜を割り半分の置きどころ 水谷芳子
冬瓜を抱えこの身を恥じらいぬ 鳴戸奈菜
冬瓜を提げて五条の橋の上 川崎展宏
冬瓜を提げて五條の橋の上 川崎展宏
冬瓜を月余に亙り愛蔵す 相生垣瓜人 明治草抄
冬瓜を月餘に亙り愛蔵す 相生垣瓜人
冬瓜を求めて蟹の入り来る 相生垣瓜人 微茫集
冬瓜を煮てゐて友を失へり 柿本多映
冬瓜を置ひに鼓楼をくぐりけり 有馬朗人 耳順
冬瓜を買ひきて妻をおどろかす 星野麥丘人
冬瓜を静物として横たふる 相生垣瓜人 明治草抄
冬瓜一つかぼちや二つに馴染まざる 川崎展宏
冬瓜一個ころがり幻想交響楽 遠山 陽子
冬瓜汁すすまぬ箸を奨められ 高澤良一 素抱
冬瓜汁子あればあるで憂ひけり 安住敦
冬瓜汁病院食に何處か似て 高澤良一 寒暑
冬瓜汁空也の痩を願ひけり 加舎白雄
冬瓜汁腹八分とは佳き言葉 高澤良一 寒暑
冬瓜汁還らぬ人に心寄す 岡崎三四子
北京の宿冬瓜汁のうすみどり 細見綾子 存問
吝ん坊のごとく冬瓜煮てとろ火 高澤良一 素抱
器ごと冬瓜冷やしありにけり 鈴木しげを
土間掃いて冬瓜を轉がして置く 前山 百年
地蔵会のこどもの色の紅冬瓜 森澄雄
坐りよき冬瓜を乗せ猫車 本宮哲郎
大冬瓜撫でてゐたしよいつまでも 鳳 佳子
嫁の座といふ冬瓜のごときもの 奥坂まや
子を棄てよ 冬瓜かくもあまかりき 星永文夫
尼留守の冬瓜座る框かな 服部翠生
山寺や斎の冬瓜きざむ音 飯田蛇笏 霊芝
山晴れてとうがんの尻白きこと 飯島晴子
抱き持つ冬瓜に子の温みあり 百瀬美津
指はじきして冬瓜の品定め 川村紫陽
昨夜の熱身ぬちに残り冬瓜汁 岡部名保子
昼月は冬瓜の味してゐたり 鳥居真里子
晩年は引き算ばかり冬瓜汁 高澤良一 暮津
木耳のよき歯当りや冬瓜汁 下村ひろし
木耳のよき歯當りや冬瓜汁 下村ひろし 西陲集
板敷に冬瓜と時をすごしけり 川崎展宏
母逝きて冬瓜汁の遠くなり 小松弘枝
江南の冬瓜枕よりも大 森田峠 逆瀬川
波音の四方に聞ゆる冬瓜かな 八木林之介 青霞集
流れよる冬瓜一つ九十九里 自在丸幸子
猫舌の家内がつくる冬瓜汁 高澤良一 暮津
産み月のごと冬瓜を抱へゆく 宮内とし子
石垣で大きくなりし冬瓜かな 松藤夏山 夏山句集
笠智衆的に冬瓜を切りにけり 服部智恵子
総体にとぼけた味の冬瓜汁 高澤良一 寒暑
腋といふ腋でとうがん持ち去りぬ 攝津幸彦 鹿々集
自己主張せぬ冬瓜を餡掛けに 高澤良一 燕音
舟つくる音を峯(お)越しや冬瓜汁 中戸川朝人 尋声
舟つくる音を峯越しや冬瓜汁 中戸川朝人
買はれ来て冬瓜十日目もごろり 後藤静枝
買ふ人もなき冬瓜の置かれけり 岸本尚毅 舜
賜はりし冬瓜尉の面したり 水口楠子 『泉汲む』
転がりしままの冬瓜日暮れけり 平田はつみ
転がりて蔓の枯れたる冬瓜かな 高木 一水
追ひかけてきて冬瓜をくれにけり 原田喬
陽のぬくみある冬瓜に刃を入れる 河村与志子
鬼城忌の宵は冬瓜汁とせむ 鈴木五鈴
麓人の描く冬瓜や良寛忌 草間時彦 櫻山


冬瓜 補遺

あはあはと冬瓜汁や月今宵 森澄雄
おだやかな漓江下りに冬瓜汁 松崎鉄之介
この佛冬瓜の粉つきし掌か 岡井省二 五劫集
この間から冬瓜が床の間に 飯島晴子
ころがつて秋のありける冬瓜かな 森澄雄
その白描冬瓜あはくなりにけり 赤尾兜子 玄玄
まんぞくといへばまんぞく冬瓜汁 星野麥丘人 2001年
三角畑守る冬瓜多産なり 百合山羽公 樂土
中伏といふおんじきの冬瓜汁 岡井省二 五劫集
人間をくりかへしてや冬瓜汁 岡井省二 鯛の鯛
八朔の大きとうがんいただきぬ 星野麥丘人
冬の暮冬瓜流れ来桃は来ず 森澄雄
冬枯や八百屋の店の赤冬瓜 正岡子規 冬枯
冬瓜が嫌ひで髪の豊かなる 石田勝彦 百千
冬瓜と老いて友誼を深めけり 相生垣瓜人 負暄
冬瓜にききすぎし酢や小丼 飯田蛇笏 山廬集
冬瓜にことに燭のいろ地蔵盆 森澄雄
冬瓜にはにかみのいろ走りけり 飯島晴子
冬瓜により添ひてゐる影淡し 岸田稚魚 紅葉山
冬瓜に月のいろある今宵かな 森澄雄
冬瓜のいくつころがる月の山 岡井省二 夏炉
冬瓜のいはぬことではなき白さ 飯島晴子
冬瓜のごろりごろりと出羽に雲 鷲谷七菜子 天鼓
冬瓜のその無器用な運びざま 岸田稚魚 紅葉山
冬瓜のとどのつまりを見届けむ 飯島晴子
冬瓜のよこたはり居る出来ごころ 飯島晴子
冬瓜の一塊ゆゑに畑あはれ 相生垣瓜人 負暄
冬瓜の出来まづまづや島の畑 亭午 星野麥丘人
冬瓜の姿がありぬ眉とても 岡井省二 猩々
冬瓜の寝こけてゐたる朝月夜 百合山羽公 寒雁
冬瓜の寝そべつて野良まだ広し 百合山羽公 樂土
冬瓜の微笑といふもありさうな 飯島晴子
冬瓜の畑にをるも潮暦 岡井省二 鯨と犀
冬瓜の畑をありく鈍(のろ)の日よ 燕雀 星野麥丘人
冬瓜の白尻叩く讃岐かな 岡井省二 猩々
冬瓜の種とるそこら火と水と 岡井省二 鯨と犀
冬瓜の種採つてゐる万濃池 岡井省二 山色
冬瓜の粉噴いてをる海と山 岡井省二 鯛の鯛
冬瓜の花に触るるも晴夜かな 飯島晴子
冬瓜の霜粉老寿のまづはじめ 百合山羽公 寒雁
冬瓜の面目もなく重ねられ 川端茅舎
冬瓜も*ろうかんの色帯びにけり 相生垣瓜人 負暄
冬瓜や改造農家夢肥やし 百合山羽公 寒雁
冬瓜や霜ふりかけし皮の色 正岡子規 霜
冬瓜や霜ふりかけし秋の色 正岡子規 秋の霜
冬瓜をさがしに妻の出かけけり 燕雀 星野麥丘人
冬瓜をつゝみ大きくうねる線 相生垣瓜人 微茫集
冬瓜をまたぎ青天白日なり 橋閒石俳句選集 『和栲』以後(Ⅱ)
冬瓜を二枚目半と思ひけり 燕雀 星野麥丘人
冬瓜を優男一刀両断す 岸田稚魚 紅葉山
冬瓜を描けり見るに止め得で 相生垣瓜人 負暄
冬瓜を提げきて結婚するといふ 雨滴集 星野麥丘人
冬瓜を月余に亙り愛蔵す 相生垣瓜人 明治草抄
冬瓜を月餘に亙り愛蔵す 相生垣瓜人 明治草
冬瓜を求めて蟹の入り来る 相生垣瓜人 微茫集
冬瓜を矢鱈に重ね小屋は破れ 川端茅舎
冬瓜を買ひきて妻をおどろかす 星野麥丘人
冬瓜を買ひに鼓楼をくぐりけり 有馬朗人 耳順
冬瓜を跨ぎて男ばかりの日 橋閒石 微光
冬瓜を静物として横たふる 相生垣瓜人 明治草抄
冬瓜汁子あればあるで憂ひけり 安住敦
北京の宿冬瓜汁のうすみどり(中国旅行吟) 細見綾子
周平の武士は微禄や冬瓜汁 星野麥丘人 2004年
地蔵会のこどもの色の紅冬瓜 森澄雄
如意輪を祀れる寺の冬瓜畑 森澄雄
嫂と母が来し日の冬瓜汁 雨滴集 星野麥丘人
山寺や斎の冬瓜きざむ音 飯田蛇笏 霊芝
山晴れてとうがんの尻白きこと 飯島晴子
日が没りぬふと冬瓜の喰ひたくて 星野麥丘人
横ざまに抱き冬瓜の下ぶくれ 伊藤白潮
湖の縁冬瓜佛と縄束と 岡井省二 山色
畫かざる日も冬瓜に惹かれけり 相生垣瓜人 明治草
谷空のかくもけうとき冬瓜汁 飯島晴子
麓人の描く冬瓜や良寛忌 草間時彦 櫻山

冬瓜 続補遺

おとづれに冬瓜おかし狂哥よみ 嵐青
かれ~なるやのべに冬瓜の独ぬる 杉風
よきものと冬瓜勧るくすし哉 黒柳召波
冬瓜におもふ事かく月見かな 素堂
冬瓜のいたゞき初る秋の霜 李由
冬瓜のかくてもあられ降夜哉 句空
冬瓜の市もくづるゝ時雨かな 木導
冬瓜の枕さだむるかゝしかな 千代尼
冬瓜の毛ぶかくなるや後の月 曲翠
冬瓜の針立にけり君が指 三宅嘯山
冬瓜の隅に目を待さむさかな 芙雀
冬瓜やことに江湖の寺の背戸 句空
冬瓜やにらみの介が売屋敷 露川
冬瓜やふたつ有礒の浜庇 句空
冬瓜や垣根はなれてはりまなげ 桃妖
冬瓜や棚におのれが霜の儘 三宅嘯山
冬瓜をほめる医者こそ藪の中 支考
冬瓜汁空也の痩を願ひけり 加舎白雄
扨ははや秋も更たり冬瓜汁 露川
月雪や酒を冬瓜に腫やまひ 樗良
雪空に裸でふとる冬瓜かな 梢風尼

以上

by 575fudemakase | 2017-05-25 06:58 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

新酒 の俳句

新酒 の俳句
新酒

*ひしこを得て厨に捜る新酒哉 寺田寅彦
ある時は新酒に酔うて悔多き 夏目漱石
うき人の新酒勸めついなみあへず 新酒 正岡子規
くゝ~とつぐ古伊部の新酒かな 皿井旭川
この願ひ新酒の升目寛うせよ 河東碧梧桐
したたらす顎鬚欲しや新酒酌む 平畑静塔
しみじみと新酒噛みしめ通夜の客 白岩 三郎
そばかすをくれたる父と新酒汲む 仙田洋子 雲は王冠
たまさかの君に新酒を參らせん 新酒 正岡子規
だぶだぶと桝をこぼるゝ新酒かな 下村牛伴
とつくんのあととくとくと今年酒 鷹羽狩行 第九
なみなみとともしび揺れて新走 藤原たかを
のむほどに顎したたる新酒かな 飯田蛇笏 山廬集
ばうとして新酒の酔のさめやらず 寺田寅彦
ひんがしに校舎二つの新走 平橋昌子
ふくみみる新酒十点みなよろし 西山小鼓子
ふたぬいて月のかけくむ新酒哉 新酒 正岡子規
ほつほつと話解ぐれて新酒酌む 古市絵未
まづ夫と口もとゆるび今年酒 森谷美恵子
よく飲まば価はとらじ今年酒 太祇
わらぢ売る店に新酒をたづねけり 寺田寅彦
カンテラに新酒をあぶる夜長哉 寺田寅彦
ワイン新酒ひとはきらきら才こぼす 紅露ゆき子
一升瓶千本分の新酒樽 高澤良一 石鏡
一本は彼女の為の新酒かな 稲畑廣太郎
一滴もあまさぬ新酒貧清し 栗生純夫 科野路
三輪山の月をあげたる新酒かな 石嶌岳
世のうさや新酒飲み習ふきのふけふ 新酒 正岡子規
九八屋へそろそろ新酒届く頃 河合寿子
九十九の鼻かけ猿に新酒かな 立花北枝
二三人くらがりに飲む新酒かな 村上鬼城
二三匹馬繋ぎたる新酒かな 新酒 正岡子規
二三子の携へ来る新酒かな 高浜虚子
五斗の米すてゝ久しや今年酒 加藤郁乎 江戸桜
人が酔ふ新酒に遠くゐたりけり 加藤楸邨
今年酒にがきは頒つ友も居ず 新谷ひろし
今年酒鯖もほどよくしまりけり 片山鶏頭子
伊丹風の一句作らばや今年酒 岡野知十
伊香保路や新酒仕込みの杜氏唄 田淵定人
元酒蔵の食事処や今年酒 熊谷愛子
八九分に新酒盛べし菴の月 高井几董
出稼ぎの土産に新酒下げて来し 亀井幸子
升呑の價はとらぬ新酒かな 蕪村遺稿 秋
南国の猪口はおほぶり新走 高橋ツトミ
古酒新酒遠くにありて病みにけり 石川桂郎 四温
可からすと能はすと嘗めし新酒哉 尾崎紅葉
名は要らぬとしてかくして新酒古酒 加藤郁乎 江戸桜
君今來ん新酒の燗のわき上る 新酒 正岡子規
呉れたるは新酒にあらず酒の粕 高浜虚子
唐辛子は赤し新酒は酒倉に 田中冬二 俳句拾遺
四十五年我に妻無し新走 岡本圭岳
国取りの国なる新酒汲みにけり 有馬朗人
地言葉のほろほろ新酒香りけり 東谷満也
大厄を残して夫の新走 中村真由美
大蛇より姫聞こしめす今年酒 小村武子
女人とも淡くなりけり新走 藤田湘子 てんてん
客観のコーヒ-主観の新酒哉 寺田寅彦
宵々の二合のきめや今年酒 抱琴
富士包む闇大いなり新酒酌む 渡邊千枝子
小便して新酒の醉の醒め易き 新酒 正岡子規
居酒屋に新酒の友を得たりけり 新酒 正岡子規
山の声火の声出雲の新走 伊達みえ子
山の聟七晩とまる新酒かな 北村春畦
山ン神祀りて杣の新酒酌む 青柳照葉
山神に新酒を供へ石を切る 児玉 菊比呂
岳下り来て安曇野に新酒酌む 岡田 貞峰
征く君に熱き新酒とおぼえけり(波郷氏出征) 『定本 石橋秀野句文集』
御立ちやるか御立ちやれ新酒菊の花 夏目漱石 明治二十八年
思ふこと新酒に醉ふてしまひけり 新酒 正岡子規
恋にせし新酒呑けりかづら結 炭 太祇 太祇句選
恙なく帰国の夫に新酒酌む 野畑節子
惡僧の評議をこらす新酒かな 新酒 正岡子規
憂あり新酒の酔に托すべく 夏目漱石
憂に堪へて市に出づれば新酒かな 鎌田白浜
我もらじ新酒は人の醒やすき 服部嵐雪
我病で新酒の債をはたらるゝ 新酒 正岡子規
我盛らじ新酒は人の醒易き 嵐 雪
拭きこみし酒蔵の階新走 深見けん二
斧置いて框に杣や今年酒 野村泊月
新走きまつて憶ふ父のこと 岡田すず子
新走その一掬の一引を 稲畑汀子
新走舐めて西鶴忌なりけり 柴田孤岩
新走長広舌を揮ひけり 仲岡楽南
新酒あり馬鹿貝を得つ野の小店 新酒 正岡子規
新酒かけて見ばや祇王の墓の上 新酒 正岡子規
新酒かけ御輿の綱の引き締まる 西池みどり
新酒かや火影を口に運びゐし 三宅隆
新酒くまん四十九年の秋は何 加舎白雄
新酒の栓息噴く如く抜かれけり 長野多禰子
新酒や天窓叩きてまいる人 黒柳召波 春泥句集
新酒や秋風渡る蔵の隅 浜田酒堂
新酒や鳴雪翁の三オンス 新酒 正岡子規
新酒よし蜂の子も可ならずとせず 富安風生
新酒よと言ひつつ進め上手かな 池上不二子
新酒を醸す祈りの杜氏の唄 石塚友二
新酒三盃天高く風髪を吹く 新酒 正岡子規
新酒上りて安堵の杜氏と夕餉かな 比叡 野村泊月
新酒上りて燈明あかし庫の奥 比叡 野村泊月
新酒利くことの得手なる漢かな 高浜年尾
新酒利く杜氏の櫛目乱れなし 多田照江
新酒古酒千木鰹木の構へかな 進藤一考
新酒問へばなしと答へて麻をうむ 寺田寅彦
新酒売る茶店ならぶや二三軒 寺田寅彦
新酒愛づ立ち香ふくみ香残り香と 清水教子
新酒汲みとどのつまりは艶話 片山依子
新酒汲み交はし同居の始まりぬ 中村恵美
新酒甕に盈てり家訓壁に在り 露月句集 石井露月
新酒賣る亭主が虎の話哉 新酒 正岡子規
新酒賣る亭主の髯や水滸傳 新酒 正岡子規
新酒賣る家は小菊の莟かな 新酒 正岡子規
新酒酌むは中山寺の僧どもか 正岡子規
新酒酌むをちの鶏鳴ほろほろと 橋本榮治 越在
新酒酌む口中の傷大にして 櫂未知子 蒙古斑
旅人となりにけるより新酒かな 椎本才麿
旅憂しと歯にしみにけり新走 宇田零雨
日の旗の杉葉に竝ぶ新酒哉 新酒 正岡子規
明き灯に新酒の酔の発しけり 日野草城
更に一杯の新酒を盡せ路遠し 新酒 正岡子規
月高し新酒賣る家は猶一里 新酒 正岡子規
杉玉にみどりの残る新酒蔵 佐藤信子
杉玉の新酒のころを山の雨 文挾夫佐恵
杜氏健在新酒の色の皮膚をせり 栗生純夫 科野路
松風に新酒を澄ます山路かな 支考
枯萩を折焚く宿や今年酒 松瀬青々
柿むいて新酒の酔を醒すべく 寺田寅彦
槽上げの玉ほとばしる新走 慶徳健吾
横波にゆさぶる船の新酒哉 新酒 正岡子規
樽あけて泡吹かれよる新酒かな 飯田蛇笏 山廬集
樽の香の少し残りし新酒かな 高濱年尾
母衣(ほろ)かけて新酒に酔る祭かな 黒柳召波 春泥句集
水は*ばくばく鳥は関々新酒店 廣江八重櫻
浮世いかに貧乏徳利の新酒哉 寺田寅彦
灘五郷ふくべに満たす今年酒 大橋克巳
火男の顔して新酒ふくみ見る 広川鴻
熊皮を敷き延ぶ炉辺や新走 黒崎歩
燗もせぬ新酒の味や唐辛子 寺田寅彦
父が酔ひ家の新酒のうれしさに 召波
父が酔ふ家の新酒のうれしさに 黒柳召波 春泥句集
父に供へ妻が相手や今年酒 今泉貞鳳
牛売りし綱肩にあり新酒汲む 西山泊雲
狐啼いて新酒の醉のさめにけり 新酒 正岡子規
猪口の波そのまま口へ今年酒 角光雄
猪口才な孫を肴に今年酒 川田さちえ
瓢成て入り七合や今年酒 純
甕の罅新酒に熊を祭りけり 会津八一
甘海老のとろりとあまき今年酒 片山鶏頭子
生きてあることのうれしき新酒かな 吉井勇
病床に届けてくれし新走 田畑美穂女
登り窯新酒を小さく祀りたり 辻田克巳
盗みたる新酒の味や唐辛子 寺田寅彦
目しひ目をしばたゝき酔ふ新酒かな 阿波野青畝
直会といふは新酒と鯣なり 猿渡青雨
磊落は新酒を偸む事にあらず 新酒 正岡子規
神饌に産地さまざま今年酒 佐々木久子
秋田より新酒と髭の男来る 都筑智子
竹の風新酒の醉はさめにけり 新酒 正岡子規
竹の風新酒の醉を吹きにけり 新酒 正岡子規
竹立てゝ新酒の風の匂ひかな 新酒 正岡子規
竹立てゝ門に新酒と記しけり 新酒 正岡子規
笑ひ皺ふかめし翁新走 長谷川和子
筋書のなき世は楽し新酒どき 西川 五郎
老いて会ふ寮友三五今年酒 下村ひろし 西陲集
聟入に樽提て来る新酒哉 高井几董
肘張りて新酒をかばふかに飲むよ 中村草田男
胸中の父をよごさず今年酒 岩永佐保
膝がしらたゝいて酔へる新酒かな 大橋櫻坡子 雨月
舟盛はいまだ崩さず今年酒 上林レイ子
船頭の風に吹かるゝ新酒哉 新酒 正岡子規
芒さす樽や新酒の贈り物 古屋幾句拙
菊も咲きぬ新酒盗みに來ませ君 新酒 正岡子規
菊咲いて自ら醸す新酒かな 高浜虚子
落ち合ひて新酒に名乗る医者易者 夏目漱石 明治三十一年
落慶の寺に新酒の樽とゞく 小野 秀子
葬禮の崩れや新酒のむ月夜 新酒 正岡子規
蔵明けて旅人入るゝ新酒かな 月居
薄給に妻を愛する新酒かな 会津八一
衣更へて新酒樽に屋號かく 内田百間
袖口のからくれなゐや新酒つぐ 日野草城
見晴しにドナウの長流新酒愛づ 和田西方
試し飲み弥右衛門さんの今年酒 高澤良一 石鏡
詩僧棲む此庫裡新酒熟すべし 渋川玄耳 渋川玄耳句集
諏訪明神のわれも氏子よ新酒酌む 矢崎良子
貧農の足よろよろと新酒かな 飯田蛇笏
貧農の足よろ~と新酒かな 飯田蛇笏 霊芝
買ほどは尽さぬ旅の新酒かな 黒柳召波 春泥句集
迸る音の確や新走 富田のぼる
遠山は雨か飲み干す新走 服部一彦
還暦の祝や新走二本 根津芙紗
酔うてよき越後のどぶといふ新酒 後藤比奈夫 めんない千鳥
酔へば足る新酒否まず古酒辞せず 三溝沙美
野蕪漬辛し新酒の封を切る 谷内茂
長老と諸君とありて新酒酌む 富田巨鹿
陶狸新酒の味見終へた貌 橋本雅枝
霊前の榊にそゝぐ新酒哉 寺田寅彦
願はくば生(き)のまま召せと新酒着く 高澤良一 宿好
風に名のついて吹くより新酒かな 斯波園女
風の名の付いて吹きよる新酒かな 園女 俳諧撰集玉藻集
風をあるいてきて新酒いつぱい 山頭火
飲めといふあと無口なる新走 辻美奈子
馥郁と流人の島の今年酒 鳥居おさむ
馬叱る新酒の醉や頬冠 新酒 正岡子規
馬方に價問ひけり今年酒 寺田寅彦
馬鹿貝の名をなつかしみ新酒哉 新酒 正岡子規
駆け降りて高尾の蕎麦屋新酒汲む 矢野春行士
駕かきのすき腹に飲む新酒哉 新酒 正岡子規
駕に揺る新酒の醉や眠くなる 新酒 正岡子規
駕舁のすき腹に飲む新酒かな 正岡子規
高嶺星わけなく新酒酌みにけり 武田伸一
鬼貫や新酒の中の貧に處ス 蕪村 秋之部 ■ 几董と鳴瀧に遊ぶ

新酒 補遺

うき人の新酒勸めついなみあへず 正岡子規 新酒
かねがねもひとりが好きや今年酒 中村汀女
きよらかに白盃や今年酒 日野草城
ことほぐに古酒も新酒もなかりけり 上田五千石『琥珀』補遺
この願ひ新酒の升目寛うせよ 河東碧梧桐
したたらす顎髯欲しや新酒酌む 平畑静塔
すきはらの舌にするどき新酒かな 日野草城
たまさかの君に新酒を參らせん 正岡子規 新酒
とつくんのあととくとくと今年酒 鷹羽狩行
ながらへよとて今年米今年酒 鷹羽狩行
のむほどに顎したたる新酒かな 飯田蛇笏 山廬集
ふたぬいて月のかけくむ新酒哉 正岡子規 新酒
下戸なりし師も神にます新酒召せ 林翔
世のうさや新酒飲み習ふきのふけふ 正岡子規 新酒
丹波よりうまかりし筈新酒著く 高浜年尾
二三匹馬繋ぎたる新酒かな 正岡子規 新酒
人が酔ふ新酒に遠くゐたりけり加藤秋邨
先づは取る可杯(べくさかづき)や新走 三橋敏雄
古酒新酒みちのく人と酌み交す 高野素十
古酒新酒遠くにありて病みにけり 石川桂郎 四温
君今來ん新酒の燗のわき上る 正岡子規 新酒
呑口をほとばしりたる新酒かな 日野草城
外ケ浜見てきしよりの新酒かな 高野素十
小便して新酒の醉の醒め易き 正岡子規 新酒
居酒屋に新酒の友を得たりけり 正岡子規 新酒
山の色しふねくこぞる新走 飯島晴子
征く君に熱き新酒とおぼえけり 石橋秀野
思ふこと新酒に醉ふてしまひけり 正岡子規 新酒
惡僧の評議をこらす新酒かな 正岡子規 新酒
愁人に今宵すゝむる新酒かな 村山故郷
我病で新酒の債をはたらるゝ 正岡子規 新酒
手力や新酒の樽に錐を立つ 日野草城
故人こゝに在りし遺物と新酒かな 河東碧梧桐
新走その一掬の一引を 稲畑汀子
新酒あり馬鹿貝を得つ野の小店 正岡子規 新酒
新酒かけて見ばや祇王の墓の上 正岡子規 新酒
新酒や鳴雪翁の三オンス 正岡子規 新酒
新酒三盃天高く風髪を吹く 正岡子規 新酒
新酒賣る亭主が虎の話哉 正岡子規 新酒
新酒賣る亭主の髯や水滸傳 正岡子規 新酒
新酒賣る家は小菊の莟かな 正岡子規 新酒
新酒酌むは中山寺の僧どもか 正岡子規 新酒
日の旗の杉葉に竝ぶ新酒哉 正岡子規 新酒
明き灯に新酒の酔の発しけり 日野草城
更に一杯の新酒を盡せ路遠し 正岡子規 新酒
月高し新酒賣る家は猶一里 正岡子規 新酒
東宮司富岡宮司新酒酌む 高野素十
横波にゆさぶる船の新酒哉 正岡子規 新酒
樽あけて泡吹かれよる新酒かな 飯田蛇笏 山廬集
炉の側に信夫女と新酒かな 河東碧梧桐
狐啼いて新酒の醉のさめにけり 正岡子規 新酒
癩者見し新酒美酒飲む人も見し 中村草田男
目しひ目をしばたたき酔ふ新酒かな 阿波野青畝
磊落は新酒を偸む事にあらず 正岡子規 新酒
竹の風新酒の醉はさめにけり 正岡子規 新酒
竹の風新酒の醉を吹きにけり 正岡子規 新酒
竹立てゝ新酒の風の匂ひかな 正岡子規 新酒
竹立てゝ門に新酒と記しけり 正岡子規 新酒
老いたりや舐めてすぐ足る今年酒 森澄雄
職人衆に注ぐ新酒の口鳴れり 松崎鉄之介
肘張りて新酒をかばふかに飲むよ 中村草田男
肴謡戦友と酌む新酒かな 松崎鉄之介
船頭の風に吹かるゝ新酒哉 正岡子規 新酒
草の戸に辰馬が新酒匂ひけり 河東碧梧桐
菊も咲きぬ新酒盗みに來ませ君 正岡子規 新酒
葬禮の崩れや新酒のむ月夜 正岡子規 新酒
袖口のからくれなゐや新酒つぐ 日野草城
貧農の足よろ~と新酒かな 飯田蛇笏 霊芝
酔うてよき越後のどぶといふ新酒 後藤比奈夫
馬叱る新酒の醉や頬冠 正岡子規 新酒
馬鹿貝の名をなつかしみ新酒哉 正岡子規 新酒
駕かきのすき腹に飲む新酒哉 正岡子規 新酒
駕に揺る新酒の醉や眠くなる 正岡子規 新酒
鬼貫のこれや伊丹の新走 星野麥丘人 2001年

新酒 続補遺

あら川の音聞て酔ふ新酒かな 桜井梅室
うけ持た盃軽き新酒哉 三宅嘯山
かけ出の貝にもてなす新酒哉 其角
さめやすき新酒はくまじ白雄来 鈴木道彦
はじめから跡振て見る新酒哉 鳳朗
ひと徳利別にちいいさき新酒哉 成田蒼虬
よもすがら津に新酒で泥に成る 乙訓
一ッづゝ新酒の酔の跡ぞ追ふ 三宅嘯山
一盃に貝つくりたる新酒哉 三宅嘯山
九十九の鼻かけ猿に新酒哉 北枝
二階から二階へ送る新酒かな 木導
今年酒箒にまつる日もありや 寥松
八九分に新酒盛べし菴の月 高井几董
八庄司新酒拡めの喧嘩かな 三宅嘯山
凝るこゝろ新酒の沫に散もの歟 寥松
初萩の花の雫に新酒かな 沙明
噛酒の代を語らばや今年酒 存碩 江左風流
恋にせし新酒呑けりかづら結 炭太祇
我もらじ新酒は人の醒やすき 嵐雪
我れもらじ新酒は人の醒やすき 嵐雪 玄峰集
戸をたゝく人も寐声や新酒買 野坡
手短に新酒の酔の男らし 三宅嘯山
新酒にはよき肩あり松の月 支考
新酒に酔ふはえふ同士五百弟子 支考
新酒の伊丹の湯には幾廻り 〔ブン〕村
新酒の樽のかゞみや旅の宿 許六
新酒の銭がめ橋や駕のもの 凉菟
新酒まで盃とりし仏かな 乙訓
新酒や天窓叩てまいる人 黒柳召波
新酒や秋風渡る蔵の隅 洒堂
新酒や青葉そへたる酒ばやし 呂風
新酒少し色に出けり百の媚 三宅嘯山
新酒酌て又見直すや角田川 田崔産 犬古今
旅人となりにけるより新酒哉 椎本才麿
末とげぬ人にたとへて新酒かな 素丸 素丸発句集
松風に新酒を澄す山路かな 支考
母衣かけて新酒に酔る祭哉 黒柳召波
涼風や新酒をおもふ蔵の窓 支考
湯女臭き有馬の里の新酒かな 許六
炉びらきもちかし新酒のあたゝまり 怒風
父が酔家の新酒のうれしさに 黒柳召波
片手つく下女が酌にて新酒哉 木導
町内の新酒ひろめや口ふさぎ 諷竹
聟入に樽提て来る新酒哉 高井几董
草鞋のまゝにかけ寄る新酒かな 馬場存義
蕣のあはれをかへせ新酒汲 松窓乙二
衣裳にも恋にも替し新酒籠 東皐
買ほどは尽さぬ旅の新酒哉 黒柳召波
足あぶる亭主にきけば新酒哉 其角
風に名のついて吹より新酒哉 園女
風流の宿や新酒の器まで 凉菟
馬士の雪をほしがる新酒哉 風国

以上

by 575fudemakase | 2017-05-25 05:41 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

邯鄲 の俳句

邯鄲 の俳句

邯鄲

例句を挙げる。

こときれてなほ邯鄲のうすみどり 富安風生(1885-1979)
はるけきを待つ邯鄲の鳴くを待つ 齋藤玄 『雁道』
むらさめに邯鄲のなく山の草 飯田蛇笏 春蘭
一見もなく邯鄲を百聞す 白岩三郎
傷ひとつなき邯鄲の骸かな 岸本尚毅 舜
刻過ぎゆく邯鄲のこゑ止めば 橋本榮治 越在
口に指立てて邯鄲吾子と聞く 石川桂郎 高蘆
夕日草にあり邯鄲の鳴き始む 高木晴子 花 季
夕霧に邯鄲のやむ山の草 飯田蛇笏
嬰児だいて邯鄲きかな花圃の中 飯田蛇笏 春蘭
宿題の子に邯鄲の遠音澄む 西村和子 窓
待つほどに月の邯鄲沼堤 石井とし夫
後手をついて邯鄲聴いてをり 石嶌岳
月の出の邯鄲の闇うすれつつ 大野林火
月消ぬる邯鄲それのごとく鳴く 山口青邨
欠席の返事邯鄲を聞く会へ 田川飛旅子 『邯鄲』
湧きつぎて邯鄲のこゑ今ありぬ 岸田稚魚 筍流し
火にちかく邯鄲の鳴く秋ぐもり 飯田蛇笏 春蘭
牛売りし夜は邯鄲が胸に棲む 加藤安希子
玲瓏として邯鄲のむくろかな 富安風生
目つむりて邯鄲の聲引きよせし(武州御嶽山上) 上村占魚 『萩山』
瞑りて邯鄲の闇近づけぬ 永峰久比古
秋暑く手首尾狂ひし邯鄲師 文挟夫佐恵 雨 月
籠枕して邯鄲の夢もなし 後藤比奈夫 祇園守
粟炊いて邯鄲謡ふ男哉 寺田寅彦
缺席の返事邯鄲を聞く会へ 田川飛旅子
美しき死を邯鄲に教へらる 富安風生
羽化終へし邯鄲おのれのぬけがらを喰らひ尽くして顔あげざりき 久我田鶴子
聴かれしや水巴がこゑを邯鄲を 渡辺恭子
萱の根に沁む邯鄲のきかれたり 村越化石 山國抄
虫籠の邯鄲淡し月させば 水原秋櫻子
裾野包み邯鄲包み霧月夜 町田しげき
足しびれて邯鄲の昼寐夢さめぬ 子規句集 虚子・碧梧桐選
身じろげるとき邯鄲に鳴かれけり 高澤良一 ももすずめ
邯鄲とききしが山雨俄なり 甲賀山村
邯鄲と人いふに耳さびしかり 岸田稚魚
邯鄲にくもれるまなこ拭きにけり 赤尾兜子
邯鄲に地の刻移る月あかり 豊長みのる
邯鄲に歩けば見えてくる夜道 辻井ト童
邯鄲に美しき客あれば足る 京極杞陽
邯鄲のこゑあり風のあはひより 岩渕晃三
邯鄲のこゑのしろがね綴りけり 根岸 善雄
邯鄲のこゑの中なり夜坐の僧 藤原如水
邯鄲のこゑ月光をのぼるなり 三嶋隆英
邯鄲のそれと聞きゐるさはりかな 高澤良一 素抱
邯鄲のなか~啼かぬ豪奢かな 中島月笠 月笠句集
邯鄲のほの~啼いて虫屋かな 中島月笠 月笠句集
邯鄲の人見も知らず鳴きにけり 後藤夜半 翠黛
邯鄲の冷たき脚を思ふべし 長谷川櫂
邯鄲の声すぐそこに闇深し 下田閑声子
邯鄲の声たゞしさよ風の中 相馬遷子 山河
邯鄲の声に佇む熔岩の径 内山 茂
邯鄲の声のしろがね風落つる 関根黄鶴亭
邯鄲の声のゆくへのせせらげる 原 柯城
邯鄲の声の満ち干の月の谷 野沢節子
邯鄲の声まろび来て光琳画 河野南畦
邯鄲の声明六つの鐘のあと 西村公鳳
邯鄲の声沁むばかり月の熔岩 小林碧郎
邯鄲の声真似せよと云はれても 山中みね子
邯鄲の声触れてくる夜の素顔 野澤節子 花 季
邯鄲の夜は人かげもまた淡し 土方 秋湖
邯鄲の夢とも空をゆく火とも(盟友鈴木詮子逝く) 石原八束 『仮幻』以後
邯鄲の夢はじまりし水中花 橋田憲明
邯鄲の夢路追ひ来て鳴きつづく 水原秋櫻子
邯鄲の宿のそば殻枕かな 荒井正隆
邯鄲の屏風のかげに飼はれをり 辻桃子
邯鄲の市に鰒見る雪の朝 蕪村遺稿 冬
邯鄲の市栄えをり夕葎 堀口星眠 営巣期
邯鄲の息つくときのしゞまかな 斎藤千萩
邯鄲の文体凛とまた縷々と 田川飛旅子 『山法師』
邯鄲の枕かゝへて二日灸 妻木 松瀬青々
邯鄲の歌三昧や影見えて 堀口星眠 営巣期
邯鄲の流離流離と鳴きにけり 永田耕一郎 雪明
邯鄲の穂芒遠はけぶるなり 山口草堂
邯鄲の筥鳴りひびきをりにけり 鈴木貞雄
邯鄲の粗末なる蟲の鳴きにけり 後藤夜半
邯鄲の絶えし夜より山の音 澤田 緑生
邯鄲の縷々と翳抱く萱ばかり 山口草堂
邯鄲の草より淡く草に棲む 脇 祥一
邯鄲の葉裏にほそき月の声 角川源義
邯鄲の薄羽かなしく捕へらる 新井 英子
邯鄲の辺や生えそめし昼の髯 岸田稚魚
邯鄲の遠きは風に消えにけり 井上波二
邯鄲の闇もて富士を塗りつぶす 宮下翠舟
邯鄲の闇をへだてて外湯の灯 井沢正江
邯鄲の闇茫々と風が過ぎ 永作美千穂
邯鄲の音色を通り過ぎてをり 稲畑汀子
邯鄲の骸透くまで鳴きとほす 山口草堂
邯鄲の鳴き細りつつすきとほり 西村和子 窓
邯鄲の鳴くほか能のなき顔ぞ 堀口星眠 営巣期
邯鄲の鳴ける遠音に風の出て 行方克巳
邯鄲はいまとらはれの夜の騎士 堀口星眠 営巣期
邯鄲やあまたの虫の声の中 黒坂紫陽子
邯鄲やうつりすまひし家の垣 木津柳芽
邯鄲やからまつ林遠く置き 館岡沙緻
邯鄲やこよひの宿は御師の家 沢木欣一
邯鄲やみちのおくなる一挽歌 加藤楸邨
邯鄲やみづいろの山くろき川 中拓夫
邯鄲やゆめにも未だ帰還せず 北見さとる
邯鄲や一燈くらき山の駅 奈良千代子
邯鄲や並べて寝座は正しうす 清水基吉 寒蕭々
邯鄲や人はそれぞれ霧に消え 古賀まり子 緑の野以後
邯鄲や叢中泉あるごとし 羽部洞然
邯鄲や呼名もたざる牧の犬 堀口星眠 営巣期
邯鄲や地上三尺まで暗し 和田悟朗
邯鄲や夜の山寺のどこにでも 山口 笙堂
邯鄲や子供の頃のまくらがり 清水基吉
邯鄲や山みづの曳く夕あかり 荒井正隆
邯鄲や山家は昼の星見えて 内山亜川
邯鄲や我れのみ踏まぬ草の露 碧雲居句集 大谷碧雲居
邯鄲や戦遠のきつつ近く 小檜山繁子
邯鄲や掘られて甑(こしき)けむり色 宮坂静生
邯鄲や日のかたぶきに山颪 飯田蛇笏 山廬集
邯鄲や星の滴に草は濡れ 竹内留村
邯鄲や昼の霧ゆく千草原 鷲谷七菜子 花寂び
邯鄲や月待ちて立つ奥の院 水原秋桜子
邯鄲や月齢育ちつゝありし 岩原玖々
邯鄲や樅のほつ枝に星一つ 相馬遷子 山国
邯鄲や櫛の歯立ての夜を徹す 加藤知世子 花 季
邯鄲や永久の眠りにつくもよし 高畑信子
邯鄲や湖囲む灯のまたたかず 松田 多朗
邯鄲や滋養の酒を舌の先 村越化石
邯鄲や生涯といふ涯にゐて 木内怜子
邯鄲や町の灯に載る雲一朶 伊藤いと子
邯鄲や白樺ばやし晝ねむり 相馬遷子 雪嶺
邯鄲や目瞑れば四囲はや黄土 金箱戈止夫
邯鄲や神に近づく道けはし 加藤知世子 花寂び
邯鄲や移す歩に影したがひて 及川貞
邯鄲や箸を逃るる笹豆腐 藤原たかを
邯鄲や精霊来る径つづり 羽部洞然
邯鄲や翳さしやすき草の山 鷲谷七菜子 花寂び
邯鄲や胎蔵の空はるかにも 大西淳二
邯鄲や胸元の闇濡れはじむ ほんだゆき
邯鄲や荷葉のみどりなかなかに 伊丹 丈蘭
邯鄲や萩わけゆきて谷見えず 殿村莵絲子
邯鄲や貧しさ語り継がれ来し 稲畑汀子
邯鄲や酒断ちて知る夜の襞 正木浩一
邯鄲や酔余の昼寝泛くごとし 山口草堂
邯鄲や隣る一つも月の山 村越化石
邯鄲や露ふる音の草にあり 竹内留村
邯鄲や顔もわからずすれ違ふ 岡田日郎
邯鄲や風鎮まれば草に鳴く 菅原文子
邯鄲や高原はものの翳ひそむ 山口草堂
邯鄲をきくべき部屋は灯を入れず 稲垣きくの 黄 瀬
邯鄲をきく爪先に身を乗せし 岡田 和子
邯鄲を手捕りしあとの風淋し 堀口星眠 営巣期
邯鄲を捕りし双手の露まみれ 根岸 善雄
邯鄲を聞きとめてをる遠目かな 千代田葛彦
邯鄲を聞くそばがらの枕かな 川崎展宏
邯鄲を聞く一行のばらばらに 森田公司
邯鄲を聴きにひきずる下駄の音 高澤良一 ねずみのこまくら
邯鄲を覗き込みては胸薄し 岸田稚魚 筍流し
邯鄲を遠き音色と思ひ聴く 工藤いはほ
邯鄲を飼ふわが庭のいづこかに 相馬遷子 山河
邯鄲を飼へば火攻めのごとく鳴く 堀口星眠 営巣期
邯鄲死すバレリーナの死の如く 鈴木貞雄
鈴虫は雨邯鄲は雫打つ 松山足羽
雲の上の塔に邯鄲飼ひたしや 大木あまり 雲の塔
風が打つ戸に邯鄲のつつがなし 目迫秩父
風が消す邯鄲のこゑ人の夢 渡邊千枝子
鳴きやめぬ邯鄲となる側に居る 石井とし夫



邯鄲 補遺

いにしへの邯鄲に黍熟れにけり 加藤秋邨
おもひあらた邯鄲の鳴く國土かも 飯田蛇笏 白嶽
こゝこせは世は邯鄲の枕はし 正岡子規
こときれてなほ邯鄲のうすみどり 富安風生
なのはなやかへり見すれば邯鄲里 加藤曉台
はるけきを待つ邯鄲の鳴くを待つ 斎藤玄 雁道
むらさめに邯鄲のなく山の草 飯田蛇笏 春蘭
嬰児だいて邯鄲きかな花圃の中 飯田蛇笏 春蘭
火にちかく邯鄲かきて秋ぐもり 飯田蛇笏 心像
火にちかく邯鄲の鳴く秋ぐもり 飯田蛇笏 春蘭
楽遠くなり邯鄲の昼寝夢さめぬ 正岡子規 昼寝
橋こせは世は邯鄲の枕かな 正岡子規
橋こせは世ハ邯鄲や枕はし 正岡子規
月の出の邯鄲の闇うすれつつ 大野林火 早桃 太白集
月消ぬる邯鄲それのごとく鳴く 山口青邨
口に指立てて邯鄲吾子と聞く 石川桂郎 高蘆
書屋の灯消し邯鄲に夜を与ふ 富安風生
戦死者と邯鄲の灼くる野を過ぎゆく 加藤秋邨
足しひれて邯鄲の昼寝夢さめぬ 正岡子規 昼寝
待宵や邯鄲籠に鳴きいでて 水原秋櫻子 蘆雁
虫籠の邯鄲淡く声あはし 水原秋櫻子 殉教
虫籠の邯鄲淡し月させば 水原秋櫻子 殉教
朝の間の邯鄲の鳴く刻しばし 清崎敏郎
渡りゆけは世ハ邯鄲の枕かな 正岡子規
渡りゆけは世は邯鄲や枕はし 正岡子規
微は微にて邯鄲の髭風を待つ 加藤秋邨
美しき死を邯鄲に教へらる 富安風生
聞きすましみて邯鄲の声なりし 清崎敏郎
霧こめて四顧邯鄲の声ばかり 富安風生
湧きつぎて邯鄲のこゑ今ありぬ 岸田稚魚 筍流し
玲瓏として邯鄲のむくろかな 富安風生
籠枕して邯鄲の夢もなし 後藤比奈夫
縷々と鳴き邯鄲声を絶たぬかな 清崎敏郎
邯鄲 の音は湖上にも満ちにけり 富安風生
邯鄲と人いふに耳さびしかり 岸田稚魚
邯鄲にくもれるまなこ拭きにけり 赤尾兜子 歳華集
邯鄲につかれ忘れる枕かな 正岡子規 虫の声
邯鄲に息つぐときのありて風 鷲谷七菜子 天鼓
邯鄲に鳴き変りゐし夜のしじま 稲畑汀子
邯鄲のいただきに生の声落す 加藤秋邨
邯鄲のこゑのぼりゐる夜干梅 森澄雄
邯鄲のせり上りくる峠神 岸田稚魚
邯鄲の闇のどこかに胡笛かな 松崎鉄之介
邯鄲の一つにすがり他は棄つる 加藤秋邨
邯鄲の音よりだんだん丸乳房 加藤秋邨
邯鄲の細音たどれば潮の音 加藤秋邨
邯鄲の止みし草の葉ばかりかな 加藤秋邨
邯鄲の死こそ上品上位佛 富安風生
邯鄲の死装束の銀光り 富安風生
邯鄲の人見も知らず鳴きにけり 後藤夜半 翠黛
邯鄲の声たゞしさよ風の中 相馬遷子 山河
邯鄲の声もかれがれ灯も消えて 山口青邨
邯鄲の声触れてくる夜の素顔 野澤節子 花季
邯鄲の声澄み通る美しや 高浜年尾
邯鄲の粗末なる虫の鳴きにけり 後藤夜半 翠黛
邯鄲の辺や生えそめし昼の髯 岸田稚魚
邯鄲の枕ぞ花の根の曲り 桃隣
邯鄲の夢路追ひ来て鳴きつづく 水原秋櫻子 餘生
邯鄲の鳴き止む吾の気配にて 右城暮石 句集外 昭和五十九年
邯鄲の鳴く草叢の草やさし 山口青邨
邯鄲の鳴けるあたりを窺ひし 清崎敏郎
邯鄲の鳴けるところへ近寄れず 右城暮石 虻峠
邯鄲の鳴けると傘を傾けし 清崎敏郎
邯鄲の葉裏にほそき月の声 角川源義
邯鄲の鬨の寄せ来る夜の湖 富安風生
邯鄲は足助の霊地獄谷 右城暮石 天水
邯鄲は蠅なき時のねざめ哉 馬場存義
邯鄲やくらがりの海動きゐて 加藤秋邨
邯鄲やしばし葛吹く御師の門 水原秋櫻子 殉教
邯鄲やすぐそこにある日本海 加藤秋邨
邯鄲やすべるごとくに夜気ながれ 上田五千石 天路
邯鄲や阿蘇のしづけさ底知れず 上田五千石 天路
邯鄲や哀れ方方SENSE切れ 永田耕衣
邯鄲や伊賀は月夜の薯蕷 森澄雄
邯鄲や一日千の選句終へ 鷹羽狩行
邯鄲や三人の二人肱枕 森澄雄
邯鄲や耳ゆるされて山の村 岡井省二 有時
邯鄲や十六夜殊に声澄みて 水原秋櫻子 蘆雁
邯鄲や摂津六波羅まつ昼間 岡井省二 大日
邯鄲や昼の霧ゆく千草原 鷲谷七菜子 花寂び
邯鄲や日のかたぶきに山颪 飯田蛇笏
邯鄲や白樺ばやし晝ねむり 相馬遷子 雪嶺
邯鄲や風の葉音は葛ばかり 水原秋櫻子 殉教
邯鄲や霧に白める亭午の日 富安風生
邯鄲や明日は手術と思ふさへ 村山故郷
邯鄲や盲仏は耳を持つ 加藤秋邨
邯鄲や夜目にそびえし大江山 森澄雄
邯鄲や樅のほつ枝に星一つ 相馬遷子 山国
邯鄲や翳さしやすき草の山 鷲谷七菜子 花寂び
邯鄲をとめたる草も枯れはてぬ 飯田蛇笏 家郷の霧
邯鄲をとる灯の葛を染めにけり 水原秋櫻子 殉教
邯鄲を飼ふわが庭のいづこかに 相馬遷子 山河
邯鄲を葬る一伍一什かな 富安風生
邯鄲を覗き込みては胸薄し 岸田稚魚 筍流し

以上

by 575fudemakase | 2017-05-19 05:08 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

菊芋の花 の俳

菊芋の花 の俳句

菊芋

例句を挙げる。

凱旋門見えて朝市菊芋も 小池文子 巴里蕭条
寺一つ隠す菊芋べらばうに 高澤良一 暮津
手一杯菊芋摘みて童女めく 山根きぬえ
文庫(ふみくら)の裏山菊芋咲き出して 高澤良一 素抱
旧盆の菊芋の丈高きかな 池田秀水
花菊芋日傘に保母の瞳が涼し 宮坂静生 青胡桃
菊芋に日照雨の走る木曽路かな 大脇徳恵
菊芋の咲きて猛火のごとき照り 藤沢紗智子
菊芋の花が満開山の駅 青柳照葉
菊芋の花にばらばら雨白し 小松崎爽青
菊芋の花の外に出ず病むとなく 文挾夫佐恵
菊芋の跋扈仮バスターミナル 高澤良一 石鏡
菊芋の長けて切なきまで青空 高澤良一 石鏡
菊芋や瀟洒な寺のしょうしゃな墓 福田太ろを

菊芋の花 補遺

菊芋の雨の黄色や野川べり 細見綾子


by 575fudemakase | 2017-05-19 04:58 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

踊 の俳句

踊 の俳句

踊 の例句

踊 補遺

あらはれて踊の人数つづくなり 後藤夜半 翠黛
いざ踊れ溝の蛙ものら猫も 正岡子規 踊
いつせいに手あげて踊りの身が細る 中村草田男
いづくともなく踊りより散りゆくと 高野素十
いづくともなく集りて踊るとか 高野素十
いづくより湧きくる踊ぞめきかや 稲畑汀子
いでたちの下駄をまづ打つ踊りかな 石田勝彦 秋興以後
うき人の袂觸れたる踊哉 正岡子規 踊
うたごゑのかなしく踊たけなはに 長谷川素逝 村
うつし世をかなしとこぞり踊唄 福田蓼汀 秋風挽歌
うらみとは踊も歌もすぎゆくもの 中村草田男
おうおうと男掛声都踊 山口誓子
おのがための手拙踊か亀泳ぐ 香西照雄 対話
おはん踊る松の寿十二月 山口青邨
おわら流し踊る歩をもて蹤けるかな 松崎鉄之介
お忍びとならざることも阿波踊 稲畑汀子
かなしびを節おもしろに踊唄 上田五千石『琥珀』補遺
かゞり火の白樺燃えて踊りけり 及川貞 夕焼
きりもなくふえて踊子草となる 後藤比奈夫
くり出して 供養踊のすみてより 長谷川素逝 村
ぐいぐいと潮の引け刻盆踊 鷹羽狩行
けふよりの踊けいこの遠太鼓 長谷川素逝 村
げじげじの踊るかたちにあたり見る 岸田稚魚 雁渡し
こきりこや蝌蚪の踊れる水のなか 桂信子 草影
ここのところ東踊の灯があふれ 山口青邨
これが最後の枯木の踊一つ星 西東三鬼
こゑすでにかんこ踊りとおもひけり 岡井省二 五劫集
しかすがに胸うちさわぐ踊哉 正岡子規 踊
しづめ唄そびらにはなれ踊の輪 石川桂郎 高蘆
すすむよりしざる踊の威儀くづれ 阿波野青畝
そも~は都踊で見染めけり 日野草城
たかぶりの音かたかたと踊下駄 稲畑汀子
たはぶれに妻抱き踊る夜の秋 伊藤白潮
たましひのあらはに踊る夜涼かな 山田みづえ 木語
ちかづきの多過ぎてうき踊哉 正岡子規 踊
つづみうつ肉手丁々都踊 橋本多佳子
づか~と来て踊子にさゝやける 高野素十
てのひらをかへせばすすむ踊かな 阿波野青畝
どちらから見ても踊子草踊る 後藤比奈夫
なか空に夜も城映え盆踊 村山故郷
なまくさき漁村の月の踊かな 正岡子規 踊
にぎはひの筋へ入りゆく踊の尾 上田五千石『琥珀』補遺
のうぜんのもと踊り子の待ち合はす 大野林火 潺潺集 昭和四十年
はじめからいびつ郡上の踊の輪 鷹羽狩行
はるばると来てさみしさを踊るなり 岡本眸
ふるさとは好きよ好きよと踊りをり 高田風人子
まづ逢ふも信夫の里の踊り子草 岡井省二 前後
もう歯のない犬もめぐりて踊の輪 中村草田男
もてなしの餅つき踊月の宿 角川源義
もろともに露の身いとふ踊りかな 飯田蛇笏 山廬集
も一人の我を踊りの中に見つ 能村登四郎
やせ村に老もこぞりし踊かな 正岡子規 踊
やまぎりに濡れて踊るや音頭取 飯田蛇笏 霊芝
や吟ひたる踊子わたり橋躍る 阿波野青畝
ゆきかへり郡上踊の橋たがヘ 石川桂郎 高蘆
よし原は猫もうかれておどりけり 正岡子規 踊
よべ踊りけさ朝月夜別れけり 大野林火 潺潺集 昭和四十年
より添ひて踊の顔を包むなる 後藤夜半 翠黛
わが影は 鬼が踊るか 稲光り 富澤赤黄男
わが知れる東踊の老妓はも 山口青邨
われの汽車踊の阿波へ走るのみ 阿波野青畝
をどれ踊れしんぞいのちの山乙女 臼田亜浪 旅人 抄
をみならにいまの時過ぐ盆踊 森澄雄
アミ文化村の踊の杵の音 阿波野青畝
タツノオトシゴ踊りをる海市かな 岡井省二 鯨と犀
ポインセチアぼくにはタンゴ踊れない 亭午 星野麥丘人
マツ赤になつて烏瓜踊つてるばかり 尾崎放哉 小豆島時代
ミスブランシ踊り子脚をくみいこふ 安住敦
レコードの唄空ら流し踊り場に 右城暮石 句集外 昭和五十二年
ロートレクの踊子手袋黒く長く 山口青邨
一ところくらきをくぐる踊の輪 橋本多佳子
一と踊り命がけなる大蛾かな 前田普羅 春寒浅間山
一人おきに男女の踊哉 正岡子規 踊
一人置きに女のまじる踊かな 正岡子規 踊
一夜被て一夜の情踊笠 後藤比奈夫
一山に社寺をちりばめ 踊子草 伊丹三樹彦
一巡りして踊笠なほ目深か 鷹羽狩行
一年に一度の美声踊り唄 右城暮石 句集外 昭和三十八年
一歩~踊の足の二歩進む 高野素十
一瞬の空虚かすめし踊りの輪 能村登四郎
一管の笛取つて老いず盆踊 山口青邨
一遍が踊ればころぶ団栗も 有馬朗人 非稀
一遍の踊りとなりし海髪(おごのり)よ 岡井省二 猩々
七月のセル着せられて踊り見に 石川桂郎 含羞
万亭の門行き都踊かな 高浜年尾
三日月は山も踊も照らさざる 平畑静塔
上下の夜河原ほのと此所踊り 中村草田男
上手下手などと云はずに踊るべし 右城暮石 散歩圏
下萌の踊子草と思はるる 山口青邨
下萌の踊子草もはやたむろ 山口青邨
両刀を人に預けて踊りけり 内藤鳴雪
主ならねど癩と踊りて我汗す 平畑静塔
予定表都踊と書き足しぬ 稲畑汀子
五十路またよきぞと唱へ宵踊り 中村草田男
井田川の橋袂なる踊りの輪(富山県、八尾風の盆三句) 細見綾子
人の世のかなしきうたを踊るなり 長谷川素逝 村
仏にも歓喜踊躍の春埃 後藤比奈夫
住吉は松とりまいて踊かな 正岡子規 踊
余の人も混ぜて狂女の連踊る 平畑静塔
供神の龍踊かこむ海の眼玉 金子兜太
俺の分までもつと腰ふり蝌蚪踊れ 岸田稚魚 雁渡し
俺の分までもつと腰振り蝌蚪踊れ 岸田稚魚 負け犬
倒木に踊り足りたる腰おろす 岡本眸
兜虫よこぎりゐたる踊の座 加藤秋邨
八つ鹿の羯鼓ほがらか庭踊 佐藤鬼房
八月尽蟹を踊らすテレビ見て 百合山羽公 寒雁
内海へなだれ屋島の踊子草 鷹羽狩行
出を待てる東踊の男ぶり 山口青邨
出踊りしたは遠い日 井戸辺で障子洗う 伊丹三樹彦
出迎へし阿波の医師も踊足袋 飴山實 句集外
初夢に見し踊子をつつしめり 森澄雄
初盆の供養踊をうけてをり 長谷川素逝 村
加はらず狂女の踊見る阿呆 平畑静塔
十五夜の怒濤へ若き踊りの手 西東三鬼
合歓の花鷺は娶りの踊りして 飴山實 句集外
吉原の踊過ぎたる夜寒哉 正岡子規 夜寒
名月に花風(はなふう)といふ踊り見し 細見綾子 曼陀羅
名月に花風といふ踊り見し(沖繩二句) 細見綾子
名月や何やら踊る海の面 正岡子規 名月
向合ひ踊る合間が風の道 松崎鉄之介
君が代を踊りそめけり花の春 正岡子規 初春
吾にうなづき手拍ちうなづき踊子等 中村草田男
土偶まかいの 首や手足や 踊る農夫 伊丹三樹彦
塀の上蝉取袋二つ踊り 上野泰 春潮
墓山の階に踊場風光る 上田五千石 森林
夜の林檎歯並みずみずしく踊り子 伊丹三樹彦
夜の目にも踊りの場の草青し 清崎敏郎
夜を更かす踊子草をかたはらに 後藤比奈夫
夜を踊るウイグルびとに月の庭 松崎鉄之介
夜気截つて踊は指の先に力 大野林火 飛花集 昭和四十四年
大盗の怨霊の鷺の少女踊る 橋閒石 風景
天の川ま夜中の酔ひどれは踊る 種田山頭火 草木塔
天草をよべの踊の場に干す 清崎敏郎
女にも生れて見たき踊哉 正岡子規 踊
好きたいか好かれるよりもと踊歌 中村草田男
好漢や生れは阿波の踊の手 百合山羽公 樂土
嫗まるまる昆布巻姿花下に踊る 中村草田男
学問を憎んで踊る老子の徒 村上鬼城
宵の間の角力くづれて踊哉 正岡子規 踊
宵月の出汐の踊はずみ来し 臼田亜郎 定本亜浪句集
家の人供養踊に掌をあはす 長谷川素逝 村
寒椿踊らんとして坐りなほす 平井照敏 猫町
寺々や盆の踊に破れ築地 石橋秀野
寺苑なり踊の櫓立ちゐるは 山口誓子
小時も老ゆ東踊の三味をひき 山口青邨
小脇にはして軽すぎる踊笠 後藤比奈夫
小踊りクルス胸裸に走りくる拓地 三橋敏雄
尻をつく大道踊夕桜 古舘曹人 樹下石上
尾鰭めく紅帯の房踊へ行く 香西照雄 素心
屈強な踊り手揃ふ伊勢神楽 松崎鉄之介
屠殺場近く九階灯ともり男女踊る 金子兜太
山の町踊に夜は膨れけり 大野林火 飛花集 昭和四十四年
山会に猫が踊るよ漱石忌 山口青邨
山国の聞けば淋しき踊唄 稲畑汀子
山姥の通りぬけたる踊の灯 星野麥丘人
山山に木曽の踊も終りけり 松本たかし
山川にのりて下るよ踊唄 平畑静塔
川に音還る踊の灯の消えて 岡本眸
帯の卍揺れても卍阿波踊 林翔
帯もまだ結べぬ手にて盆踊 百合山羽公 樂土以後
常臥しの踊りもならず空也の忌 森澄雄
幕間や初夏の虹彩踊り段 石塚友二 方寸虚実
幣たてゝ彦山踊月の出に 杉田久女
店先によべの踊子たゝずめる 清崎敏郎
弔ひの黒衣冠りて盆踊 山口誓子
引く手差す手押す手もあれや女踊る 香西照雄 素心
引く波を追ふかに進み踊の輪 香西照雄 素心
弟の死んで招ばるる阿波踊 松崎鉄之介
影大き手が何まねく盆踊 鷲谷七菜子 天鼓
影引いて踊る鴉や春の暮 渡邊白泉
彼岸会の老婆の踊り素面素手 右城暮石 句集外 昭和三十九年
待つほどに踊ぞめきの押して来し 稲畑汀子
後姿踊りつつ去る追はんとす 中村草田男
忍ぶ夜はおわら踊の笠着よと 後藤比奈夫
念仏踊は歩いてゆくよ月赤し 山田みづえ 手甲
念仏踊ぽつりぽつりと花の雨 岸田稚魚
念仏踊仏も神もめぐりけり 大野林火 方円集 昭和五十二年
念仏踊大杉雫してゐたり 大野林火 方円集 昭和五十二年
思はざる人が踊の輪にをりぬ 星野立子
思はざる旅愁ゴーゴー皆踊る 星野立子
懸巣飛び老いし伊昔紅踊るなり 水原秋櫻子 残鐘
我を遂に癩の踊の輪に投ず 平畑静塔
或夏の或夜も流れ踊も去る 中村草田男
戻りゆく踊疲れの三味抱いて 高浜年尾
手うら足うら後へかへす踊かな 原石鼎 花影
手のそよぐ方へ進みて盆踊 鷹羽狩行
手のひらを上踊の手~ 高野素十
手を上げて月受け止むる踊かな 上野泰
手を伸べて烏にかも似て盆踊 鷹羽狩行
手を拍つて佐渡へおいでと吾も踊る 阿波野青畝
押し出され踊らされをり花筵 清崎敏郎
掻きたててどんどの小さき火の踊り 伊藤白潮
揃はざる足音の過ぎ踊子草 岸田稚魚 紅葉山
揚げ舟に月さしてゐる踊かな 大野林火 早桃 太白集
揚げ舟に高張立てし踊かな 高野素十
故郷の土蹴つて鳴らして踊下駄 大野林火 飛花集 昭和四十四年
斜陽館へ踊りの列の末に蹤く 能村登四郎
新幹線より見て盆踊ひとつまみ 岡本眸
日がくれて踊りに出たり生身玉 正岡子規 踊
日月のごとくに巡り踊の輪 野見山朱鳥 運命
昇りつつ踊の月となりゆけり 岡本眸
明けて鉾立つ青杉山と踊りそろふ 松崎鉄之介
明月の中に何やら踊りけり 正岡子規 名月
星浴びて山又山の山に踊る 大野林火 方円集 昭和五十二年
春の夜や都踊はよういやさ 日野草城
春の日や踊教ふる足拍子 正岡子規 春日
春の飛雪鉄路が踊り集まりゆく 石田波郷
春来るか孤児ら踊りの足つきなど 古沢太穂 三十代
春興にきそひ踊るや六歌仙 水原秋櫻子 餘生
昼酒の鬼の踊りし曼珠沙華 森澄雄
時化ぬけの八朔踊もやるといふ 長谷川素逝 村
時計見て看護婦踊より脱けゆく 加藤秋邨
暗い沖へ手あげ爪立ち盆踊 西東三鬼
曳猿の紐いつぱいに踊りをり 星野立子
月とどまる踊りの唄の天に抜け 大野林火 潺潺集 昭和四十年
月とるごと種まくごとく踊りけり 山口青邨
月と雲遊べり人は踊の輪 後藤比奈夫
月に踊る中にはいれば輪となりぬ 上村占魚 鮎
月の出て渚近づく踊唄 岸田稚魚 筍流し
月出でゝ鬼もあらはに踊かな 河東碧梧桐
月明の落葉踊れり槻一樹 草間時彦 中年
月更けて恋の部に入る踊かな 内藤鳴雪
月赤し雨乞踊見に行かん 正岡子規 雨乞
月遍照の嶺々に手をあげ踊るなり 大野林火 雪華 昭和三十四年
木々芽吹く中にも柿の枝踊り 石川桂郎 含羞
木曾谷に十二拍子の踊あり 山口青邨
村過る踊子草の短かさに 古舘曹人 樹下石上
東をどり幕汐汲の踊にて 山口青邨
東踊の菓子をそなへし人を知る 山口青邨
東踊宮本武蔵出を待てる 山口青邨
松山乙女踊るを見るゆゑ松山人 中村草田男
枯原の水越ゆ影を踊らせて 右城暮石 句集外 昭和二十三年
棘ふかき踊子を包みさる吹雪 橋閒石 風景
椰子風に 笛吹くかぎり 蛇踊る 伊丹三樹彦
榛の花伊豆の踊り子この道を 山口青邨
横丁で紛れて外れて阿波踊 稲畑汀子
樫のくらみへ片よりたがる踊の輪 能村登四郎
歌垣の世は變りたる踊りかな 正岡子規 踊
歎き唄郡上踊を挟む軒 石川桂郎 高蘆
正気にて狂女よつぴてでも踊る 平畑静塔
死馬の骨買われ逆光のポプラ踊る 橋閒石 荒栲
殺し場も東踊にありにけり 山口青邨
母の顔見えれば踊りかくれけり 中村汀女
母子踊る粉雪の如く静寂に 三橋鷹女
母恋し放下念佛踊見て 石田勝彦 雙杵
母酔うて古き手振りの踊かな 内藤鳴雪
毬はぜる淋しさの踊子青し 橋閒石 風景
水打ちては魚臭をしづめ踊りつぐ 上田五千石『田園』補遺
水際青芝鼓うち肢ふむ鹿踊 佐藤鬼房
汐まねき呪文の踊りくりひろげ 野見山朱鳥 曼珠沙華
汐騒も更けぬ平家の踊唄 星野麥丘人
流しまた一つの風情阿波踊 高浜年尾
流し踊り過ぎ打水の跡も見ゆ 能村登四郎
浦祭祭囃子に波踊り 上野泰 春潮
浪華踊見つつはあれど旅疲れ 富安風生
浮誇孑孑裸踊の肌の沢(つや) 中村草田男
海暮れて踊子の足袋白くめぐる 角川源義
淋しさに踊子草のふゆるなり 後藤比奈夫
渦潮にはげみて踊かけにけり 飴山實 句集外
湯口に踊る白繭小春の糸を繰る 古沢太穂 古沢太穂句集
湯女踊る渓声夜は調変へ 山口青邨
満月のひと夜さ踊り阿波を去る 森澄雄
漂着の平家供養の盆踊 山口誓子
火事見舞東踊の小時より 高野素十
火踊も餘燼となりし馬追かな 百合山羽公 樂土
火踊りの火を撒くフィルム凍る舷 古沢太穂 火雲
火踊信玄塚を焼くばかり 百合山羽公 樂土以後
火踊先づ設楽野のいなびかり 百合山羽公 樂土以後
火踊衆の着きたる煙かな 石田勝彦 雙杵
灯がついて踊の音は大津かな 山口青邨
灯の芯に来し踊り子の帯ゆるみ 能村登四郎
煖炉灼く夫よタンゴを踊らうか 三橋鷹女
熊祭るアイヌも踊れ菊の洒 内藤鳴雪
燈が点きて踊櫓は花御堂 山口誓子
燭光が踊る素顔をかがやかす 平畑静塔
爪先で進み退く阿波踊 山口誓子
爪先の喜んでゐる踊かな 後藤比奈夫
牡丹の芽踊るが如くわが立てば 山口青邨
狂院の百合のとび出す盆踊 古舘曹人 砂の音
狂院をめぐりて暗き盆踊 西東三鬼
狐面つけて踊りの輪の中に 中村苑
独りでも踊ろうよ葛の花がくれ 橋閒石 虚 『和栲』以後(I)
猫じやらしそよぎ夜を待つ阿波踊 森澄雄
瓦場に燭の乏しい踊りの輪 佐藤鬼房
田遊の鈍の踊の果てもなし 岸田稚魚
男嫌ひのこむらちらりと阿波踊 鷹羽狩行
男装し太腿を見す阿波踊 山口誓子
町中の木槿暮るれば阿波踊 森澄雄
療苑の盆踊赤ふんだんに 右城暮石 上下
癩の手が夜天つかまむとする踊 平畑静塔
癩の踊螢火入れてたけなはに 大野林火 雪華 昭和三十四年
癩盲のかたまり踊唄を聞く 大野林火 雪華 昭和三十四年
癩踊るみな来世を見る眼して 大野林火 雪華 昭和三十四年
白粉の濃ゆきを待てる踊笠 後藤比奈夫
白脛をかくさず風に踊るなり 藤田湘子 てんてん
白鳥見る雪の踊場かがやかに 古舘曹人 能登の蛙
盆の夜や踊りて癩が地にぎつしり 平畑静塔
盆の月既に高しや踊の輪 高浜年尾
盆の町見るも踊るも更けにけり 鈴木真砂女 紫木蓮
盆は皆に逢ふて踊つて一夜きり 大野林火 飛花集 昭和四十四年
盆唄や今生も一と踊りにて 石塚友二 曠日
盆踊も雨や里人風呂へ行く 中村草田男
盆踊落葉松を月駈けぬけぬ 加藤秋邨
盆踊頭上の月がよく踊り 阿波野青畝
眦に紅決したる踊りかな 石橋秀野
眼窩深く翳り沖縄びと踊る 藤田湘子
石の上に踊るかまきり風もなし 西東三鬼
石舞台月夜はむろん踊る舞台 金子兜太
破れたる翅もたゝむ蛾の踊 前田普羅 春寒浅間山
神輿踊り人踊る秋の風囃せ 村山故郷
神輿踊る秋日散らして橋の上に 村山故郷
秋日さす山車で踊れるひよつとこに 清崎敏郎
秩父人秋蚕あがりぬと来て踊る 水原秋櫻子 残鐘
稲の花たんとたもれや仕踊 山田みづえ 木語
稲太る月夜の手足盆踊 飴山實 おりいぶ
空路で見る米の字の燈は盆踊 山口誓子
空間を両手で掻ける阿波踊 山口誓子
窓のかげよその二階の踊かな 正岡子規 踊
窓開かぬぼろバス 熊の無駄踊り 伊丹三樹彦
竜踊の一瞬鱗裏返し 阿波野青畝
精神科切りまで美声にて踊る 平畑静塔
精神科踊りて要らず眠り薬 平畑静塔
精神科踊るつなぎの輪のとけず 平畑静塔
精神科踊ればどん底には非ず 平畑静塔
紅袂徒歩に石踏み踊るなり 中村草田男
細きふり見するを踊女かな 右城暮石 句集外 昭和十五年
緑衣着て踊るこの世のひとならず 山口誓子
編笠は深きがよけれ阿波踊 鷹羽狩行
繰り出してはや急調の阿波踊 鷹羽狩行
罪障の面隠して踊る盆 鈴木真砂女 紫木蓮
群舞たったひとりの踊子を凝視め 伊丹三樹彦
羽を打つて小天狗どもの踊かな 正岡子規 踊
羽打つて小天狗どもの踊哉 正岡子規 踊
老いながら椿となつて踊りけり 三橋鷹女
老狂女百まで踊り生きむとす 平畑静塔
耳噛んで踊るや暑き死の太鼓 西東三鬼
聖樹下に踊りてはらふ塵少し 原裕 葦牙
肌寒の提灯赤き踊かな 日野草城
肘白き君が踊の手ぶりかな 正岡子規 踊
背の高い人のこにくき踊哉 正岡子規 踊
脇挟みたきはおけさの踊笠 後藤比奈夫
腕といふしなやかなもの盆踊 能村登四郎
腰いやに低く繰り出し阿波踊 鷹羽狩行
腰細く踊り過ぎしは汝ならむ 岸田稚魚 筍流し
膰(ひもろぎ)を負ひ豊年の鹿踊 佐藤鬼房
膳玉悪玉踊り惚けて雨期終る 金子兜太
舞踏会諜者が諜者ときて踊る 伊丹三樹彦
花風を踊る爪先き月の波(沖縄) 細見綾子
芽柳や短かき枝の踊りやう 星野立子
若者よ踊一途に魂抜けて 高田風人子
英人も露人もましる踊哉 正岡子規 踊
草取衆一人は紅緒踊笠 山口青邨
草相撲の相撲に負けて踊かな 村上鬼城
萬歳の踊りかけたり町はつれ 正岡子規 万歳
葛の蔓触れて踊れる出水川 右城暮石 句集外 昭和六十年
葛山を嵐のいづる踊かな 飴山實 花浴び
葭切に水打ち誘ふよ踊歌 香西照雄 素心
虫送り踊の鉦の甲高し 清崎敏郎
蛇踊のいと単調にくりかへす高浜年尾
蛇踊の万の鱗の一つ落つ 野見山朱鳥 荊冠
蛇踊りや山々に雲蟠り 高野素十
蛇踊り秋冷誘ふ辻の楽 角川源義
蝌蚪踊る貯炭場の水よきことあれ 小林康治 玄霜
蟷螂の風を踊りてゐたりけり 平井照敏 天上大風
行く水に横顔続けや踊の輪 中村草田男
街角の少し暗きに踊り痴れ 稲畑汀子
袈裟揺るる最勝人の踊かな 阿波野青畝
袖なくてうき洋服の踊り哉 正岡子規 踊
裸木の極みとなりて踊り出す 岡本眸
裾引いて踊りくれしも春立てり 細見綾子
見古りたるあしべ踊の廊下番 後藤夜半 翠黛
親負うて踊念佛見に行ん 正岡子規 踊
誰そや闇に小石投げこむ踊哉 正岡子規 踊
謝肉祭水売女踊り出す 有馬朗人 天為
貌を人にかくして踊りけり 石橋秀野
負はれたる子供もせなで踊哉 正岡子規 踊
越の月存分踊り明かすべし 阿波野青畝
足元の闇を蹴り蹴り踊る盆 鈴木真砂女 紫木蓮
足指を踊らす体操 寝待月 伊丹三樹彦
足調子千がひとつに踊下駄 大野林火 飛花集 昭和四十四年
踊あはれ没日の浜に影を曳き 後藤比奈夫
踊あるふるさと持ちて皆帰る 大野林火 飛花集 昭和四十五年
踊うた低くひくくて汐さし来 星野麥丘人
踊おぼえて木の葉さびしくひかる宿 飯島晴子
踊すみ燈籠納めすみ闇夜 長谷川素逝 村
踊すみ燈籠送りすみ闇夜 長谷川素逝 暦日
踊たけなは片肌脱ぎの太鼓打ち 福田蓼汀 秋風挽歌
踊の手ひらひら進み風の盆 福田蓼汀 秋風挽歌
踊の手金星を指し夫を指し 香西照雄 素心
踊の灯なくば三日月のみの谷 鷹羽狩行
踊の灯北斗星さへみな消えて 中村草田男
踊の町清流も灯をちりばむる 松崎鉄之介
踊の輪ただに輪廻のかがやきに 中村草田男
踊の輪に入らむとならず立ち出でぬ 中村草田男
踊の輪ドナウ川風たちつるる 林翔 和紙
踊の輪寝覚の床の入口に 山口青邨
踊の輪潮さしひたす空地の端 佐藤鬼房
踊の輪老婆眼さだめ口むすび 西東三鬼
踊はじまる町空火取虫離れ 松崎鉄之介
踊より戻りて水を一息に 清崎敏郎
踊らねばすこし損せり阿波の夜 能村登四郎
踊らまくさかさ頬冠したりけり 松本たかし
踊らんと顔を包めばうつくしき 後藤夜半 翠黛
踊りが歌ふ「かはらぬものは空の青」中村草田男
踊りくる飛んでくるなる秋の水 石田勝彦 秋興以後
踊りけり初荷の山も崩れよと 正岡子規 初荷
踊りけり腰にぶらつく奉加帳 正岡子規 踊
踊りたけなは闇から闇へ猫が跳び 上田五千石『田園』補遺
踊りたるどんぐり独楽は負けにけり 阿波野青畝
踊りたる狂女と生きし二十年 平畑静塔
踊りつづくここが墳墓の大地蹴り 大野林火 雪華 昭和三十四年
踊りつづく癩に祭の酒などなし 大野林火 雪華 昭和三十四年
踊りつゝ異国の旗の下の除夜 山口誓子
踊りの夜川に這ひでて葛の蔓(富山県、八尾風の盆三句) 細見綾子
踊りの灯木曾は檜山の立ちそそり 大野林火 潺潺集 昭和四十年
踊りの輪挫きし足は闇へゆく 赤尾兜子 玄玄
踊りの輪数珠のかたちに盆送る 鈴木真砂女 紫木蓮
踊りの輪殖ゆるや盆もけふかぎり 大野林火 潺潺集 昭和四十年
踊りゆくどこまでも同じ輪の上を 橋本多佳子
踊りゆく踊りの指のさす方へ 橋本多佳子
踊りゐて月の埠頭となりてゐし 岸田稚魚 筍流し
踊りをりいつさきの衆烏賊の衆 清崎敏郎
踊り凧 踊らせ 老爺の日銭のほど 伊丹三樹彦
踊り唄終りを始めにくりかへし 橋本多佳子
踊り唄遠しそこよりあゆみ来て 橋本多佳子
踊り場に赤い紐落ち雁わたし 岡井省二 鯛の鯛
踊り場の世話役がたゞ歩き廻る 右城暮石 句集外 昭和三十六年
踊り子にトマトのこれる畑かな 永田耕衣
踊り子のうすら汗してにほひをり 森澄雄
踊り子のひとり日焼けて踊りゐる 安住敦
踊り子の二たび三たび梅雨窓に 中村汀女
踊り子の少年少女のうぜんかずら 能村登四郎
踊り子の揃ふ飼屋の虫の声 前田普羅 春寒浅間山
踊り子の眉ぬるる星の影蒼く 村山故郷
踊り子の背ナに乗りゆく小蟷螂 野澤節子 存身
踊り子の踊り疲れて月さびし 村山故郷
踊り子の踏めば玉吐く沢清水 前田普羅 春寒浅間山
踊り子の酒のふくべの笑ふかな 角川源義
踊り子を次々に呑み太柱 上野泰 春潮
踊り抜き阿波の旅寝の深かりし 稲畑汀子
踊り明し唄ひ明して風の盆 福田蓼汀 秋風挽歌
踊り来て月の匂ひの衣を畳む 橋閒石 雪
踊り櫓解かれしといふ縄丸太 能村登四郎
踊り見に来て川音のよろしもよ(富山県、八尾風の盆三句) 細見綾子
踊り見の婆巾着の堅握り 能村登四郎
踊り足早池峯霧の渦まけり 加藤秋邨
踊るかな春の夕日の影法師 正岡子規 春の夕
踊るなり月に髑髏の影を曳き 三橋鷹女
踊るなり紙も蚕も滅ぶれど 大野林火 飛花集 昭和四十五年
踊るべく人集まりぬ夕堤 内藤鳴雪
踊るらめ女泣かせぬ世の来るまで 中村草田男
踊る人月に手を挙げ足を上げ 高浜年尾
踊る夜の坂ゆるやかに風の盆(富山五句) 鷹羽狩行
踊る夜もくろがねの輪の水練児 百合山羽公 寒雁
踊る路地踊り抜かねば抜けられず 岡本眸
踊る輪にさからひ妹をさがす 鷹羽狩行
踊る輪に身が透きとほるまで踊り 能村登四郎
踊る輪の主を馳せ過ぎ戻る犬 鷹羽狩行
踊る輪の暗きところを暗く過ぎ 鷹羽狩行
踊れよと呼びかけられて旅の我 高浜年尾
踊れよと横川法師の説きにけり 阿波野青畝
踊れ踊れ花のちる迄暮るゝ迄 正岡子規 散桜
踊去るよわが母不言(だま)つてただ逝きて 中村草田男
踊去るよ乙女へ映りし吾なりしも 中村草田男
踊去るよ故友の妻はや嫁しもして 中村草田男
踊唄いきの尾長の老いのこゑ 野見山朱鳥 運命
踊唄ほどには踊進まざる 後藤比奈夫
踊場の一瞬の闇去年今年 山口青邨
踊太鼓地酒ぶつかけ滅多打ち 岸田稚魚 筍流し
踊太鼓夕誘ふ海のあなたより 種田山頭火 自画像 層雲集
踊女の足の上品上生に 後藤比奈夫
踊姫衣を擲つを照らしをる 阿波野青畝
踊娘の帯は黒繻子風の盆 清崎敏郎
踊娘の昂ぶりさます路地の闇 岡本眸
踊子がさつき丸への投げテープ 川端茅舎
踊子となるくずのはの子供かな 阿波野青畝
踊子のそれ~恋をもちにけり 日野草城
踊子のひとり外れたる二の輪かな 星野麥丘人
踊子の笠のうちこそ見まほしく 高浜年尾
踊子の顔つくろへり年ゆけり 山口誓子
踊子も冷たきものを飲める除夜 山口誓子
踊子や除夜の淑女を眼に偸む 山口誓子
踊子宿簾の裾を川流れ 大野林火 飛花集 昭和四十四年
踊子草おけさの島は人減ると 上田五千石『琥珀』補遺
踊子草かこみ何やら揉めてゐる 飯島晴子
踊子草咲きむらがれる坊の庭 山口青邨
踊意先づ指に走りて雲の峯 中村草田男
踊散じて児の瞳の黒き乳母車 中村草田男
踊望む塀の低さよ座の高さよ 中村草田男
踊浴衣は白波模様裾は紺 香西照雄 素心
踊笛腰にさしたる老の伊達 山口青邨
踊笠いくつ覗けば妻をらん 飴山實 句集外
踊笠うしろに脱ぎし汗男 百合山羽公 寒雁
踊笠二つにたたみ縁に腰 阿波野青畝
踊笠被りて眉目の生れけり 後藤比奈夫
踊見し木曽の夜霧に中り病む 松本たかし
踊見の妻古りたれど連れにけり 松村蒼石 寒鶯抄
踊見るうしろを夜舟たちゆけり 大野林火 早桃 太白集
踊見る家郷にありし日の如く 上田五千石『琥珀』補遺
踊見る犬はけものの息荒く 雪しろ 野澤節子
踊見る色傘しづむおかぼ畑 前田普羅 春寒浅間山
踊見る踊疲れを憩ひつつ 松本たかし
踊見送りさぐれば千切れて柳の葉 中村草田男
踊髪とけばもの落つはら~と 高浜年尾
蹴出しつつしみつつしみて阿波踊 鷹羽狩行
軽羅の末子門前無人の一と踊 中村草田男
輪に踊るひとつの美貌盗みつつ 鷹羽狩行
通ひ路のあしべ踊の宵景色 後藤夜半 翠黛
運動会夫人ら重心低く踊る 草間時彦 中年
道ばたに蘆辺踊の二階かな 後藤夜半 翠黛
達磨殿踊り出したり秋のくれ 正岡子規 秋の暮
遠い丘に踊るじじばば青棗 金子兜太
郡上のなあまでは踊れて狩行かな 鷹羽狩行
郡上踊扁平足のとちりけり 石川桂郎 高蘆
郡上踊肌にしつとり阿波しじら 松崎鉄之介
都踊の戻りを外れて酔ひにけり 日野草城
都踊り美女嬋娟を競ひけり 村山故郷
醫師の友あり長崎に踊るかな 岡井省二 前後
金髪に風たちやすき盆踊 鷹羽狩行
銀座より東踊にみちびく灯 山口青邨
銀紙の聖鐘踊子ら足を組み 山口青邨
銃声一発、さくらに白骨の踊りいでたるなり 荻原井泉水
長簓しなふ暮春の鹿踊り 能村登四郎
阿波の阿は阿呆の阿よと踊りけり 鷹羽狩行
阿波を去る踊桟敷を解く道を 稲畑汀子
阿波踊のぞき郡上で踊りけり 松崎鉄之介
阿波踊らしく踊れてをらずとも 稲畑汀子
阿波踊をどる楽しさ故に来し 高浜年尾
阿波踊下駄の爪先立てしまま 山口誓子
阿波踊両手差し上げ宙掴む 山口誓子
阿波踊男女の別は腿で知る 山口誓子
降る雪が踊る櫟を降りつつむ 石田波郷
院長の掛声精神科は踊る 平畑静塔
除夜たのしわが踊手は歯をかくさず 山口誓子
集りてはやも踊りの輪となれり 桂信子 草影
雑踏のどこが踊の輪といへず 稲畑汀子
難民の踊る仮面の眼を感ず 平畑静塔
雨あとの荒草いきれ盆踊 鷹羽狩行
雨の踊子毛布に眠る手を出して 金子兜太
雨雲の月をかすめし踊哉 正岡子規 月
雪の上に日の斑の踊り童子墓 鷲谷七菜子 銃身
雪の夜の踊子の痣かくすなし 岸田稚魚 筍流し
雪の虚空を語りつつ踊りの手となりぬ 加藤秋邨
雪解水雀踊りなすに憩ひをり 石川桂郎 含羞
雲ほのと明るむ島の盆踊 鷹羽狩行
雷のあとを淋しき踊哉 正岡子規 踊
露ふみふみ暗き月下の鹿踊 佐藤鬼房
青天に湧く粉雪やえんぶり踊り 草間時彦 中年
青年直ぐ 輪になる 踊る 遠郭公 伊丹三樹彦
青木賊都踊は音洩らさず 波多野爽波
音あはれ放下踊の大ささら 百合山羽公 樂土以後
頭に椿夜は出て踊る石佛 三橋鷹女
頭燈の無礼盆踊を照らす 山口誓子
風にいやいや踊らされ鳥威し鷹羽狩行
風の盆男踊りは鳥に似て 有馬朗人 非稀
風の蝶日の蝶舞と踊の差 鷹羽狩行
風よりも軽かりしもの踊笠 後藤比奈夫
風上の踊にわれの足拍子 林翔 和紙
風出でて泣かむばかりの踊唄 岡本眸
骨のみの工場を透きて盆踊 西東三鬼
鬼大師呪符をかざして踊らぼや 阿波野青畝
鬼若も山を下りて踊かな 内藤鳴雪
鳥威し夜も踊れり蜑の墓地 右城暮石 句集外 昭和五十七年
鳳仙花咲くくらがりを来て踊 中村汀女
鳶の笛習い 村には踊り櫓 伊丹三樹彦
鴨川踊われも霞みて先斗町 森澄雄
鹿踊り跳ねてはちらす桜蘂 能村登四郎
鹿踊頭の垂に春の字を 山口青邨
黒煙けふなき空へ踊りの手 西東三鬼
鼻先を霧の流るる踊かな 清崎敏郎
龕燈や郡上踊へ橋渡す 石川桂郎 高蘆

踊 続補遺

あの中のうつ気踊かさくら人 寥松
うかと出て家路に遠き踊哉 黒柳召波
かの後家のうしろに踊る狐哉 黒柳召波
しらぬどし夫婦と妖て踊かな 望月宋屋
しら露の中に手を打踊かな 成田蒼虬
たて臼もともに踊や祇園の会 嵐雪
たまうちや抱たも踊る男の子 三宅嘯山
つゝみ合し夫婦出くわす踊哉 高井几董
なひ恋を尻にあらする踊哉 吾仲
につとりと御所の五郎が踊哉 りん女
はちたゝき少し踊て廻向かな 樗良
まくり手が踊崩してをどりけり 加藤曉台
ゆふだちをまつ江の鱸踊けり 三宅嘯山
よひやみや門に稚き踊声 炭太祇
七夕の川をへだてゝ踊かな 李由
七猿の仲間に踊る師走かな 冠里 類柑子
不拍子の踊是非なし庄屋の子 白雪
世には着て親に背むくを馬鹿踊 鬼貫
世の中の踊は丸し十七夜 中川乙由
主の子の後には邪魔な踊かな 三宅嘯山
乗掛で踊の中を旅出かな 小西来山
兄弟は踊に影の添ふごとく 凉菟
卯の花や踊崩れてほととぎす 鬼貫
名月にひかれて行や里踊 林紅
在郷で死て戻りし踊かな 桃隣
声はてる踊の果や乱れ鶏 荻子
夜は相撲昼は踊の噂さ哉 露印
夜明るや酒のきをひの一踊 長虹
夢と成し骸骨踊る荻の声 其角
大分は茶屋に崩るゝ踊哉 如行
嫉き夜の夏書の筆の踊けり 三宅嘯山
子心の哀やよそにきく踊 玄梅
小娘の生先しるしかけ踊 其角
小踊に夜更る五条あたりかな 秋之坊
広庭や踊のあとに蔵立む 一笑(金沢)
影見れば我一丈の踊哉 乙訓
憂き人を独りへだてゝ踊かな 不屑 新類題発句集
朱雀野は薄もういて踊かな 馬場存義
極楽の札場込合ふ踊かな 越人
殿様かたお前の沖や踊舟 立詠 板東太郎
母式*ぶ闇よりやみへ踊かな 黒柳召波
水の音踊たあとへ戻りけり 田川鳳朗
法談は其座に置て踊かな 野紅
瓜市の跡は場になる踊りかな 其角
生ケぶねの魚も踊るやはるの雨 程已
目にありや去年わかれし組踊 望月宋屋
眠たがる子をかりに来る踊かな 卓池
秋もやゝ西にきこゆる踊かな 桜井梅室
笠かして地蔵姿の踊見む 一笑(金沢)
聖*りょうも見に出らるゝや子の踊 露川
腹貸さぬ子に錦あり盆踊 午心 発句類聚
虫の音や踊見あきて戻り足 十丈
蚊屋釣て踊に出るや女房なし 木因
見ぬふりや踊子のもぐ門の桃 鈴木道彦
見られねば猶うらやまし盆踊 桃隣
親ならば見よ踊子の袖の鈴 北枝
談義から鹿にはいりて踊かな 野紅
踊にも出せよ摺粉木音羽山 凉菟
踊の夜田に乞ふ雨をいとひけり 三宅嘯山
踊るべきほどには酔て盆の月 李由
踊召シて番の大郎に酒たうべけり 其角
踊子の帰り来ぬ夜やきり~す 丈草
踊子の笠ならべたる牡丹かな 支考
踊子やかき消やうに稲荷山 尚白
踊子やひとり~の親ごゝろ 舎羅
踊子や滋賀の都も汗くさき 千那
踊子や皃月になり闇になり 田川鳳朗
踊子を馬でいづくへ星は北 其角 五元集
辻踊一崩して丸ふなる 釣壺
間拍子の合ふてあはれや盆踊 馬場存義
雨の夜は踊を習ふ裏屋哉 一笑(金沢)
面白き癖見出しけり辻踊 野紅

以上

by 575fudemakase | 2017-05-17 09:09 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

落葉 補遺 2

落葉 補遺 2

水色の奇術の果の楡落葉 橋閒石 荒栲
汐いつか満ちし静けさ江の落葉 臼田亜郎 定本亜浪句集
池に落つ琴坂落葉深くせる 山口青邨
池のほとり露仏あるなり松落葉 河東碧梧桐
池へだて共に映れり落葉焚 水原秋櫻子 緑雲
池近き芝に柳の落葉哉 正岡子規 柳散る
河骨に稀の落葉を法の松 清崎敏郎
沼尻の落葉くぐりて水澄めり 松村蒼石 雁
泉水に落葉のたまる小舟哉 正岡子規 落葉
波のごと落葉沓脱石を舐む 山口青邨
泣きつ祈る人の子に落葉そゝぐかな 種田山頭火 自画像 層雲集
泥の手を洗ふ落葉の水溜り 右城暮石 天水
流されて来し落葉にて流れ堰く 津田清子
海を背に薄らなみだの落葉焚 佐藤鬼房
海光へ屋根の落葉を掃きおとす 岡本眸
海恍とねむる櫟生の落葉どき 飯田龍太
海辺行けば這ひ草咲いて松落葉 河東碧梧桐
消灯時廊ぬけがけの落葉かな 角川源義
涼風は桜落葉をこぼす程 清崎敏郎
深かりし佛峠の落葉かな 相生垣瓜人 明治草
深大寺大屋根落葉ささりしまま 細見綾子 和語
深潭にして一片の落葉生く 富安風生
渋色の蟷螂に桜落葉かな 河東碧梧桐
渓埋めし水禍の岩に落葉はや 福田蓼汀 秋風挽歌
渓橋に落葉しそめし碑のみゆる 飯田蛇笏 椿花集
温泉の宿の旗はらはらと木葉ちる 正岡子規 落葉
湖の上に舞ひ行く落葉哉 正岡子規落葉
湯船にも落葉吹き込み山の国 草間時彦 櫻山
満月の流水落葉了りけり 水原秋櫻子 玄魚
滑川源泉といふ落葉ふる 山口青邨
滝のごと落葉を穴に掃き落す 上野泰 佐介
滝壷に吸はれし落葉出でて来ず 大野林火 冬雁 昭和二十二年
潦落葉空より地の底より 西東三鬼
濡縁に白菜を干す落葉一枚 山口青邨
火の髪の花火の下は降る落葉 中村苑子
火をかけてすずかけ落葉すぐになし 富安風生
火をなだめ落葉をかぶせ又かぶせ 阿波野青畝
火を恋ふは焔恋ふなり落葉焚き 橋本多佳子
火を放つべく築かれし落葉の城 鷹羽狩行
火事のあと木の実落葉の降り積めり 角川源義
火移りてはかなく燃ゆる落葉かな 日野草城
火葬場のうしろの山の落葉どき 飯田龍太
焚かれをり夜は木菟が来る樹の落葉 大野林火 方円集 昭和五十一年
焚くこともまた急がるる落葉掻き 鷹羽狩行
焚く落葉まなかより煙あげそむる 大野林火 冬雁 昭和二十一年
焚火中炎のせては落葉失せ 上野泰 佐介
無花果の落葉後続落葉無く 永田耕衣
無花果落葉の柄を枝の離層痕に當つ 永田耕衣
無花果落葉個々定位置に茫然と 永田耕衣
煙立つ生きて帰りし落葉焚 西東三鬼
燧石使つてみたき落葉あり 後藤比奈夫
爆心地訪へば落葉の音高し 稲畑汀子
爛々と虎の眼に降る落葉 富澤赤黄男
爪のいろ明るく落葉はじまりぬ 岡本眸
父が掃けば母が焚いてゐる落葉 種田山頭火 自画像 落穂集
父の忌の 葉裏ばかりの 桐落葉 伊丹三樹彦
父上は嵐のあとの落葉かき 高野素十
物語のごとくにさくら落葉かな 山田みづえ 木語
犬猫と夜はめつむる落葉の家 西東三鬼
狂院の落葉焚き白き水を出す 右城暮石 句集外 昭和二十六年
狒々塚や落葉の渦に足とらる 角川源義
独り行くや落葉蹈む音身にしめて 日野草城
独楽二つぶつかり離れ落葉中 星野立子
狼の墓堀り探す落葉哉 正岡子規 落葉
猪の夜たゞがさつく落葉哉 正岡子規 落葉
猫眠り刻々落葉降りつもる 山口青邨
甃欅落葉に日々埋もる 野澤節子 八朶集以後
甘酒を上燗神の落葉焚き 平畑静塔
生きてゐる木の実が爆ぜて落葉焚き 鷹羽狩行
生涯を感謝すこころ落葉降る 飯田蛇笏 家郷の霧
産土の氏子当番落葉掃く 右城暮石 散歩圏
産土の落葉に雪の舞ひそめし 飯田龍太
用二つ済ます落葉の喫茶店 岡本眸
町に出づ落葉を焚くは妻に委ね 安住敦
町中に落葉に埋れ宮古りぬ 星野立子
町落葉何か買はねば淋しくて 岡本眸
略歴に略すいろいろ落葉降る 上田五千石『琥珀』補遺
番雁の踏める落葉に朝日かな 原石鼎 花影以後
病む窓のあかるし落葉をはりしや 鷲谷七菜子 黄炎
病む窓の落葉色して石鼎忌 石田波郷
痩頬の昃りて桜落葉かな 藤田湘子 途上
療園やシベリア廊下に落葉翔く 角川源義
療園や雪の音して落葉ふむ 角川源義
癒え遅々たり月の落葉の白き嵩 岡本眸
白き手の病者ばかりの落葉焚 石田波郷
白日の旅してゐたり落葉山 鷲谷七菜子 一盞
白日は我が霊なりし落葉かな 渡邊水巴 白日
白樺の落葉しつくし朝の鐘 山口青邨
白樺の落葉を踏むは久しぶり 後藤比奈夫
白骨の手足が戦ぐ落葉季 三橋鷹女
百済観音をがみに落葉踏みゆけり 細見綾子
皆土に還る落葉もその一つ 石塚友二 玉縄抄
皇居にも深落葉道陛下の道 山口誓子
盆栽にするどく飛びし落葉あり 波多野爽波
盆栽の欅も落葉急ぐなり 高田風人子
目つむれば欅落葉す夜の谷 飯田龍太
目に沖の巌に立つ浪落葉踏む 石塚友二 光塵
目襖に落葉の兎売られゆく 加藤秋邨
真昼うらゝかに落葉みな灰となりぬ 種田山頭火 自画像 層雲集
真直ぐに青空切れて落葉谿 松村蒼石 雪
知らぬ人と咄して落葉くさき夜を 右城暮石 句集外 昭和九年
石の上落葉二三枚冬めける 山口青邨
石の亭石の腰掛落葉降る 山口青邨
石の椅子掛けしかたちに深落葉 鷹羽狩行
石垣にかかる落葉も掃き落とす 右城暮石 天水
石楠花に聚碧園の樟落葉 飯田蛇笏 家郷の霧
石臼にのつたる桜落葉かな 飴山實 次の花
砂をつかめば射す松落葉人親し 中村草田男
砂白く松の落葉や数ふべし 正岡子規 散り松葉
碧落の都心へ落葉別れとは 原裕 葦牙
確かな岩壁落葉のときは落葉のなか 金子兜太
礎石うづむ桜落葉や真紅 山口青邨
礼拝に落葉踏む音遅れて着く 津田清子 礼拝
神の山ふらす落葉をふりかぶり 山口青邨
神の森水無月風に*かしわ落葉 前田普羅 能登蒼し
福寿草落葉の中や人にかくれ 山口青邨
秋もはや栗の落葉や目黒道 正岡子規 栗
秋日踏む菩提寺磴の梅落葉 西島麦南 人音
税関の塔白し街落葉しぬ 大野林火 冬青集 雨夜抄
稿急ぐ落葉色して訪る蛾 秋元不死男
空のふかさは落葉しづんでゐる水 種田山頭火 草木塔
空也忌の虚空を落葉ただよひぬ 石田波郷
空林の落葉明るし虎落笛 日野草城
空蝉にすでに落葉の二三枚 大野林火 冬雁 昭和二十二年
窓の下なつかしき日の落葉かな 飯田蛇笏 山廬集
窓の外の落葉のそらを人行けり 三橋敏雄
窓の影夕日の落葉頻り也 正岡子規 落葉
窓打つや落葉しぐれの風の渦 石塚友二 方寸虚実
立ちつくすとき落葉散る音の中 稲畑汀子
立岩の裏も神ある落葉かな 河東碧梧桐
童等のはや立つ落葉ふる句碑に 山口青邨
童等のふつつり去りし夕落葉 中村汀女
笊干すや垣の落葉に遠き山 飯田蛇笏 山廬集
笹原に落葉はげしくつきささる 山口青邨
箒さき吹き返さるゝ落葉かな 高野素十
築地門遅れ落葉をしまひけり 石田勝彦 雙杵
築山の上より落葉掻き下る 高浜年尾
紙燭して落葉の中を通りけり 正岡子規 落葉
素裸はなみのこに息合はすため 佐藤鬼房
紬着て妻をり桜落葉かな 草間時彦
細き道のしきりに曲る落葉かな 正岡子規 落葉
細目にて神しろしめす落葉掃 平畑静塔
終日やかさりこそりと萩落葉 山口青邨
終焉の地や落葉舞ふ日の飄 角川源義
絵馬堂の内日のぬくき落葉かな 飯田蛇笏 山廬集
網干すに遠の幾山落葉いろ 細谷源二 鐵
縄文の甕のかけらに落葉舞ふ 山口青邨
繊き月低く落葉の舞ひつれて 山口青邨
繚乱と落葉の天に舞ひはてむ 佐藤鬼房
美しき帯がこぼしぬ松落葉 山口青邨
義歯ゆるむばかり夕べの落葉焚 佐藤鬼房
老の手の箒落葉や干反り逃ぐ 石塚友二 方寸虚実
老妻の安堵したるらむ落葉掃く 山口青邨
老斑の月より落葉一枚着く 西東三鬼
老樹は白梅と聞く墓前落葉のあたたかし 荻原井泉水
耕人に山の落葉の飛ぶ日かな 松本たかし
肌に添ふ落葉愛しや露天風呂 林翔
肩にかかる落葉もぬくし冬の蝶 村山故郷
背に落葉大古の柩見て帰る 有馬朗人 母国拾遺
背嚢ごと身を投げた日よ 落葉鳴る 伊丹三樹彦
背景のありて落葉の降り易し 後藤比奈夫
胴体に落葉ひらひら暇な牛 草間時彦 中年
胸の奥より風の音せり落葉せり 岸田稚魚 負け犬
臘梅の落葉生命線透かす 後藤比奈夫
自からをねぎらふ神の落葉掃き 平畑静塔
自然林てふは落葉を掃かぬこと 後藤比奈夫
舞ひながら渦にまかるゝ落葉哉 正岡子規 落葉
舞ひながら渦に吸はるゝ木葉哉 正岡子規 落葉
舞ひ上る落葉に足を掬はれし 上野泰 佐介
舞ひ舞ひし銀杏落葉が水の上 清崎敏郎
舟に住む犬が落葉の中歩く 有馬朗人 知命
舟蟲に欄の濤翳松落葉 飯田蛇笏 山響集
芝火燃え落葉ひつくりかへり燃え 上野泰 佐介
花のごとき祝いの菓子や落葉宿 山口青邨
花の如く銀杏落葉を集め持ち 波多野爽波 鋪道の花
花を掃き青き落葉を掃きにけり 富安風生
花神楽落葉神楽もたけなはに 百合山羽公 樂土
苔を掃く箒やはらかまた落葉 山口青邨
苔寺の落葉を掃きし箒あり 上野泰
若き日をおろそかにして落葉踏む 後藤比奈夫
英霊を祀る日に逢ふ落葉かな 石塚友二 方寸虚実
茶坐敷の五尺の庭を落葉哉 正岡子規 落葉
茶屋敷の五尺の庭の落葉哉 正岡子規 落葉
草庵の落葉の中の黄菊かな 山口青邨
菊の簇れ落葉をかぶり乱れ伏す 杉田久女
菊畑に欅の落葉はじまりぬ 清崎敏郎
菩提樹の落葉を透かし雪解くる 山口青邨
萩伐られ菊枯れ梅の落葉哉 正岡子規 枯菊
落付きの知れぬ木の葉や風の空 正岡子規 落葉
落窪は落葉溜めわれは静臥せり 石田波郷
落葉 落葉落葉 床の中にも降る 三橋鷹女
落葉、雀も来年勅題の鳥ではある 荻原井泉水
落葉あたたかうして藪柑子 種田山頭火 草木塔
落葉あたたかくかみしめる御飯の光り 種田山頭火 草木塔
落葉かきしところ歩けり落葉掻 石田波郷
落葉かき小枝ひろひて親子かな 正岡子規 落葉
落葉かく子に茸の名を尋けり 正岡子規 茸
落葉が褥の石棺 枕座もありまして 伊丹三樹彦
落葉が鳴るだらう足音を待つてゐる 種田山頭火 自画像 落穂集
落葉きよし名残の銅鑼を打ちて別る 及川貞 榧の實
落葉きれいに掃いて池のおちば 荻原井泉水
落葉くぐる水よりひそけき恋を聞く 大野林火 雪華 昭和三十九年
落葉さへあらぬ山路となりにけり 渡邊水巴 白日
落葉さんさん天皇通る警備せり 村山故郷
落葉しいて寝るよりほかない山のうつくしさ 種田山頭火 自画像 落穂集
落葉しげし葬りのかげをつらね行く 大野林火 冬青集 海門以後
落葉しづかな木々石山に根を下ろし 西東三鬼
落葉しづくしたる木の実赤く 種田山頭火 草木塔
落葉してさらにしたしくおとなりの灯の 種田山頭火 草木塔
落葉してむつかしげなる枳殻かな 正岡子規 落葉
落葉してめぐり倦まざる島の鳶 廣瀬直人
落葉してやどり木青き梢哉 正岡子規 落葉
落葉して乞丐に齢なかりけり 石橋秀野
落葉して人にかかはりなき谺 原裕 青垣
落葉して仁王にまさる幹の瘤 鷹羽狩行
落葉して何のささめく日の墓群 鷲谷七菜子 黄炎
落葉して北に傾く銀杏かな 正岡子規 落葉
落葉して厨子に観音像ひとつ 廣瀬直人
落葉して友のひとり子少し馴れ 廣瀬直人
落葉して塔より低き銀杏哉 正岡子規 落葉
落葉して大空の柚子のありどころ 種田山頭火 自画像 落穂集
落葉して天に吸はるる白樺 鷲谷七菜子 一盞
落葉して岩の秀にある夕日かな 上村占魚 鮎
落葉して己れ培ふ椴松よ 津田清子
落葉して幾条ひびく終電車 飯田龍太
落葉して心元なき接木かな 村上鬼城
落葉して思惟仏に月惜しみなし 鷲谷七菜子 花寂び
落葉して景色広がりゆきにけり 稲畑汀子
落葉して木目あらはの一茶像 鷹羽狩行
落葉して枝にぎやかに並木たり 上田五千石『風景』補遺
落葉して栴檀の実の残りゆき 山口誓子
落葉して湖水の漁に疎きかな 河東碧梧桐
落葉して瀧かくれなし池に落つ 水原秋櫻子 雪蘆抄
落葉して白樺白樺らしくなる 津田清子
落葉して礎もなし關の跡 正岡子規 落葉
落葉して老木怒る姿あり 正岡子規 落葉
落葉して蔓高々と懸りけり 前田普羅 普羅句集
落葉して薬草の根を養へり 右城暮石 天水
落葉して遠き歩行者音もなし 石田波郷
落葉して遽に羅漢の裏寒し 小林康治 玄霜
落葉して頬の尖りの目には立たぬ 藤田湘子 途上
落葉して鳥啼く里の老木哉 正岡子規 落葉
落葉すやしづかに庫裡の甕の水 飯田蛇笏 山廬集
落葉すやひそかにひそかに戦慄する 岸田稚魚 雁渡し
落葉すや木曾の塗師の門ひろく 臼田亜郎 定本亜浪句集
落葉すや神憑く三つの影法師 飯田蛇笏 霊芝
落葉するおとにさめゐるまぶたかな 飴山實 少長集
落葉するこれから水がうまくなる 種田山頭火 草木塔
落葉する前のいちまいづつの葉よ 後藤比奈夫
落葉せし槻の枝の囮かな 正岡子規 落葉
落葉せり食大胆に臆病に 藤田湘子 神楽
落葉せる一樹といへど直ならず 上田五千石『琥珀』補遺
落葉たく わが手にひかる念珠もなし 富澤赤黄男
落葉たく煙の中の顔である 尾崎放哉 須磨寺時代
落葉たまりゐる絞り屋の蔵の窓(愛知県有松) 細見綾子
落葉だまりふみゆけばともる朧かな 大野林火 海門 昭和七年以前
落葉とびはや頬赤き佐久乙女 林翔 和紙
落葉と吾風吹き上げて坂長し 香西照雄 対話
落葉と年内にくる賀状が喪中たれかれ 荻原井泉水
落葉どつと奏づるものに皇帝の曲 山口青邨
落葉なか忘れむとして身を置けり 松村蒼石 雪
落葉なき合歓の下霜とけやらぬ 飯田蛇笏 山響集
落葉なほおのれの幹の辺を去らず 岡本眸
落葉につれベレーたのしき草田男像 古沢太穂 古沢太穂句集
落葉には重り合ふといふ情 後藤比奈夫
落葉に偲ぶ学の鉄鎖の重かりしよ 中村草田男
落葉に坐すショルダーバッグ投げ出して 安住敦
落葉に教師と妻とかげはこぶ 大野林火 海門 昭和十一年
落葉に溺れむ家や主病む 能村登四郎
落葉に雨 無音 母との一つ炬燵 伊丹三樹彦
落葉に鶲まぎるる風の宮 山田みづえ 草譜
落葉の、水仙の芽かよ 種田山頭火 草木塔
落葉のあと夜の物音のひそみをり 鷲谷七菜子 黄炎
落葉のせ大仏をのせ大地かな 上野泰
落葉の上に雨して冬の来るなり 細見綾子
落葉の下で釘になつた蚯蚓 三橋鷹女
落葉の下に棲むこほろぎは長く生く 津田清子 礼拝
落葉の中に行けば行かるる路あるなり 荻原井泉水
落葉の中一顆の果球詩神秘む 山口青邨
落葉の中剃りあやまりし死者の顔 岸田稚魚 負け犬
落葉の中母国語一つこぼれ落つ 有馬朗人 母国
落葉の墓地に晴計合せて兄いもと 岡本眸
落葉の夜歌仙これより恋の部へ 飯田龍太
落葉の少女ノートに何か書いては抱き 岡本眸
落葉の嵩病室よりの楽遍し 石田波郷
落葉の沢石という石五百羅漢 金子兜太
落葉の雨しぐれの雨も興そへむ 山口青邨
落葉の音泪を溜めて何見やる 岸田稚魚 雁渡し
落葉の黄回想とほきてのひらに 鷲谷七菜子 黄炎
落葉はく上野の茶屋の女哉 正岡子規 落葉
落葉はげしこの山墓を埋むべく 山口青邨
落葉はげし主婦の座降りしわが肩に 岡本眸
落葉はや石の色せし一二枚 岡本眸
落葉はや聖堂に観る海戦史 上田五千石『天路』補遺
落葉は落ちて落ちつくところ毎朝霜 荻原井泉水
落葉ひらめく静かに急かる齢あり 能村登四郎
落葉ひら~風のゆくへに従ひぬ 上村占魚 鮎
落葉ふかく水汲めば水の澄みやう 種田山頭火 草木塔
落葉ふかしけりけりゆきて心たのし 長谷川素逝 砲車
落葉ふきまくる風のよろよろあるく 種田山頭火 自画像 落穂集
落葉ふみくるその足音は知つてゐる 種田山頭火 草木塔
落葉ふみわけほどよい野糞で 種田山頭火 自画像 落穂集
落葉ふみ泉の神の菖蒲谷 角川源義
落葉ふむおほよそ橡の落葉にて 山口青邨
落葉ふむわれにつきくる栗鼠いとし 山口青邨
落葉ふむ分れし道のまた曾へり 高野素十
落葉ふむ音なき落葉肩に受け 及川貞 夕焼
落葉ふり東京通りいまはなし 山口青邨
落葉ふるふる うつくしき夜景かな 富澤赤黄男
落葉ふる停留場よ明石町 山口青邨
落葉ふる奥ふかく御仏を観る 種田山頭火 草木塔
落葉ふる庭に山鳩ゐて迎ふ 山口青邨
落葉ふる音ここに来てかすかなり 山口青邨
落葉ふんで人道念を全うす 飯田蛇笏 霊芝
落葉ふんで豆腐やさんが来たので豆腐を 種田山頭火 草木塔
落葉へばりつく朝の草履干しをく 尾崎放哉 須磨寺時代
落葉へらへら顔をゆがめて笑ふ事 尾崎放哉 一燈園時代
落葉ほろ~汽笛鳴らしつゝ汽車が来し 種田山頭火 自画像 層雲集
落葉まだよく音立てて櫟山 鷲谷七菜子 游影
落葉みちふりかへりてもひとはなし 安住敦
落葉みな万骨となり山眠る 楠本憲吉 方壺集
落葉みな乾反葉ばかり山の窪 能村登四郎
落葉もて卍描けり法の庭 山口青邨
落葉やがてわが足跡をうづめぬる 種田山頭火 自画像 層雲集
落葉やゝ深きところが道らしき 高野素十
落葉よりあるひはピアノ早かりき 加藤秋邨
落葉よりぬつくと生えて炭焼夫 林翔
落葉より立ち上りたる大樹かな 稲畑汀子
落葉より薄目開けをり蕗の薹 石塚友二 磊[カイ]集
落葉を踏んで来て恋人に逢つたなどといふ 種田山頭火 草木塔
落葉一通り掃いてきた髪をつくろう 荻原井泉水
落葉五六枚錦木の葉二三枚 山口青邨
落葉何かに辿りつかんと光るなり 加藤秋邨
落葉吹きたまりしところ古墳あり 星野立子
落葉吹く蔵間ひ猫のぬけてゆく 臼田亜浪 旅人 抄
落葉噴く烟の巻舒おもしろや 阿波野青畝
落葉地にとどくや時間ゆるみけり 加藤秋邨
落葉存分浴びきたりし夜肉を煮る 大野林火 雪華 昭和三十八年
落葉寄せつくる墓火に風の音 角川源義
落葉寒人を忘ぜず町行けば 石田波郷
落葉尽き寄生木の群天を占む 林翔 和紙
落葉尽き日射しはなやぎそめしかな 鷲谷七菜子 游影
落葉径リス死んでをり瞑目す 高田風人子
落葉径分かるるところ左へ行く 高田風人子
落葉急ぐ秘宝はつねに小さきもの 古舘曹人 能登の蛙
落葉拾うて棄てて別れたきり 尾崎放哉 須磨寺時代
落葉掃いて土に見出でし小草かな 原石鼎 花影
落葉掃いて文庫の訴訟安堵かな 河東碧梧桐
落葉掃かれある子の墓をたゞ掃きぬ 及川貞 榧の實
落葉掃き居る人の後ろの往来を知らず 尾崎放哉 一燈園時代
落葉掃くおのれを探しゐるごとく 平井照敏
落葉掃く妻やや口あけて専らなり 石田波郷

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by 575fudemakase | 2016-11-15 14:57 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

落葉 補遺 1

落葉 補遺 1

「ここに眠る」こことは落葉一重の地 鷹羽狩行
あくまでも落葉掃く作務つづきけり 稲畑汀子
あざやかに蔦の落葉の柄を長く 山口青邨
あたたかに落葉吹きたむ寿康館 角川源義
あたたかや櫟落葉の降りしきる 中村汀女
あなたなる落葉の深さ思ひけり 阿波野青畝
あひびきやちらりほらりと夜の落葉 日野草城
いかにこの寺を落葉寺と呼ばん 日野草城
いささかの落葉を焚きて煙出す 細見綾子
いそぐなよとは思はねど落葉降る 後藤比奈夫
いちめんに呼名「落穂」の松落葉 中村草田男
いちめん落葉で 何描く微笑 滞仏画家 伊丹三樹彦
いつきても門の落葉の同じほど 波多野爽波 鋪道の花
いつまでも樟落葉掃く音つづく 山口青邨
いつまでも蟲の音一つ落葉踏む 中村汀女
いつもほど落葉を焚いて焚き止みぬ 及川貞 榧の實
いつも誰かが 起きてて灯してて 落葉の家 伊丹三樹彦
いつよりか落葉焚くことなかりけり 雨滴集 星野麥丘人
いつ敷きし雪ぞ峠の落葉季 水原秋櫻子 帰心
いづれ地に朽つる落葉を掃き寄する 桂信子 草影
いてふ落葉もつとも深きところ踏む 山口青邨
いてふ落葉敷きつむ土の見えぬまで 細見綾子
いてふ落葉踏めばよみがへること多し 山口青邨
いと小さき落葉よ汝は夭折か 林翔
いまは日の当る落葉を掃ける音 後藤比奈夫
いやさうに首ふる風の落葉哉 正岡子規 落葉
うしろより忽と音たつ落葉掻 岸田稚魚 紅葉山
うす青き銀杏落葉も置きそめし 松本たかし
うは目見る戸越の空の落葉雨 石塚友二 方寸虚実
おちよぼ口して塩嘗地蔵落葉中 山口青邨
お堂浅くて落葉ふりこむさへ 尾崎放哉 須磨寺時代
お百姓落葉鳴らして大尿 日野草城
かかる入日いつまた見むと落葉踏む 水原秋櫻子 霜林
かきよせて落葉にしるや庭のあき 正岡子規 落葉
かこハれた五尺の庭の落葉哉 正岡子規 落葉
かさなりて栗の落葉のみな長し 長谷川素逝 暦日
かさりともこそりとも墓落葉かな 星野麥丘人
かそけさの落葉の音の枝をつたふ 長谷川素逝 暦日
かの森の終のいてふの落葉見に 安住敦
からかさ干して落葉ふらして居る 尾崎放哉 須磨寺時代
からからと散らかりふゆる落葉かな 三橋敏雄
からまつ落葉まどろめばふるさとの夢 種田山頭火 草木塔
ぎらと光る落葉の中にひそむ水 山口青邨
くわりんの実埋もるあと一枚の落葉 山口青邨
けぶるごと老いていつまで落葉焚 鷲谷七菜子 花寂び
けもの来て何噛みくだく夜の落葉 野澤節子 未明音
ここに径尽きて落葉の寄せてあり 稲畑汀子
ことごとく落葉せり追ひつめられぬ 藤田湘子 途上
このみちどこへゆくふかく落葉して 種田山頭火 自画像 落穂集
この宵の落葉踏む音のみ待てる 山口青邨
この家売り候 桜落葉は積り候 伊丹三樹彦
この枯木この落葉いま波郷亡し 石塚友二 磊[カイ]集
この落葉大学生としても踏みし 富安風生
こまごまと落葉してをり滝の岩 波多野爽波 鋪道の花
これよりは落葉掃くことたのしみに 山口青邨
ころがりてまことに粗なる落葉籠 飯田蛇笏 心像
こんこんと湧きて落葉を泛べたる 清崎敏郎
ごうごうと楡の落葉の降るといふ 高野素十
ご詠歌の振鈴澄むや落葉寺 鷲谷七菜子 游影
さかんなる落葉にあへることうれし 山口青邨
さはればすぐあく落葉の戸にて 尾崎放哉 須磨寺時代
さびしさの手ふれてぬくき落葉あり 鷲谷七菜子 黄炎
さびしさは素足に触るゝ落葉かな 日野草城n
ざうざうと掃く音落葉多きやう 山口青邨
しぐれる落葉はそのままでよし 種田山頭火 自画像 落穂集
しだれざくら総身落葉したりけり 草間時彦 櫻山
しづかさをひいて落葉の音つたふ 長谷川素逝 暦日
しづかなる音のただ降る椎落葉 長谷川素逝 暦日
しめじめと落葉踏む音近づけり 上田五千石『風景』補遺
しめりたる落葉を焚きしことありし 高野素十
すずかけの落葉と人にかこまるる(茅舎賞受賞のため上京、本郷白十字にて記念会二句) 細見綾子
すずかけの落葉吹かるる方へ別る(茅舎賞受賞のため上京、本郷白十字にて記念会二句) 細見綾子
すずかけ落葉妻とは別に町にあり 安住敦
せせらげり落葉の嵩をくぐり出て 清崎敏郎
せつせつと落葉は己が木をくぐる 松村蒼石 雁
せゝらぎて日光通る落葉山 上田五千石『風景』補遺
その中の濡れし落葉も焚かれけり 稲畑汀子
それでよろしい落葉を掃く 種田山頭火 草木塔
そゝけたる梢銀杏の落葉かな 河東碧梧桐
たそがれの海の光りに落葉舞ふ 村山故郷
ただあるく落葉ちりしいてゐる道 種田山頭火 自画像 落穂集
ただひとり落葉を踏みて*たらつみに 飯田蛇笏 椿花集
ただ歩く落葉ちりしいてゐるみち 種田山頭火 自画像 落穂集
たつつけのみな神にして落葉かき 原石鼎 花影以後
たのむ木の椎の落葉をいまは踏む 山口青邨
たまさかの落葉の音のあるばかり 長谷川素逝 暦日
たれびとを夢にたづねん落葉宿 上田五千石『琥珀』補遺
ちぎれ飛ぶ落葉か鳥か撓(たわ)の空 佐藤鬼房
ちりこんだ杉の落葉や心ふと 正岡子規 心太
ちんどんやをちかた通る落葉宿 山口青邨
ちんどん屋いまははやらず街落葉 山口青邨
つぎ足してつぎ足してひろき落葉宿 山口青邨
つくづくと落葉つもりて象潟や 鷲谷七菜子 天鼓
とかくして不二かき出すや落は掻 正岡子規 落葉
ときをりは影となりつつ落葉掻 鷲谷七菜子 游影
とどこほるとみれば通ひて落葉川 上田五千石『天路』補遺
ともしびのあれば落葉のふるが見ゆ 山口青邨
とりに餌を門掃きてさて落葉焚 及川貞 夕焼
とろろそばなんどすすりて落葉茶屋 山口青邨
どうがんじさま時雨来て落葉して 草間時彦 櫻山
どうしても落葉踏まねば行けぬ路 鈴木真砂女 都鳥
どこをどう吹くも落葉の風となる 岡本眸
なおも続く 森の出口のキスと落葉 伊丹三樹彦
なほ暮れて落葉おのおの土の上 長谷川素逝 暦日
なんぼう考へてもおんなじことの落葉ふみあるく 種田山頭火 草木塔
ねぎらひのひと言かかる落葉掻 石田勝彦 秋興以後
ねんねこに母子温くしや夕落葉 中村汀女
はき出せぬ五尺の庭の落葉哉 正岡子規 落葉
はご掛けに大工をやとふ落葉哉 正岡子規 落葉
はじまりし落葉は母に言はで発つ 中村汀女
はらはらと落葉かさかさと老人 藤田湘子 てんてん
はらはらと身に舞かゝる木葉哉 正岡子規 落葉
ひつそりと落葉宿より出湯の香 鷲谷七菜子 天鼓
ひとすぢにこころ馳す落葉夕日なり 大野林火 冬青集 海門以後
ひとふるひ落葉して梢しづかなる 上田五千石『琥珀』補遺
ひねもすの霧に落葉の音もなし 清崎敏郎
ひもすがらみつむるのみや落葉ふる 石田波郷
ひややかに落葉見送るゆふべの木 飯田龍太
ひらひらと吾に落たる木葉哉 正岡子規 落葉
ひらりと礼落葉降る中走せながら 中村草田男
ひるからのあたたかさ落葉つもりけり 村山故郷
ひろひはさむ落葉あまりに大きくて 山口青邨
ふきまろぶ落葉にしかと大地あり 長谷川素逝 暦日
ふたたびす香港夜景落葉坂 中村汀女
ふとき幹落葉の土をぬいてたつ 長谷川素逝 暦日
ふりかゝる松の落葉や雀鳴く 正岡子規 散り松葉
ふりしきる落葉障子の火影にも 山口青邨
ふりつもる落葉におもてかくす水 山口青邨
ふりつもる落葉を蹴れば日にとどく 山口青邨
ふるみちのとぎれし落葉日和かな 鷲谷七菜子 花寂び
ほそほそと烟立つ茶屋の落葉かな 正岡子規 落葉
ほろほろとゐろりの木葉もえてなし 正岡子規 落葉
ほろほろと朝霜もゆる落葉哉 正岡子規 朝霜
みちのくの落葉さびしと彼は書く 山口青邨
みちのくの落葉しつくす林かな 村山故郷
むさしのの空真青なる落葉かな 水原秋櫻子 葛飾
むさし野のまゝに住み古り落葉焚 及川貞 榧の實
むつつりとデリシヤス落葉踏み入りぬ 古舘曹人 能登の蛙
ものを書くうしろ落葉のしきりなる 山口青邨
やはらかに落葉かさみて濃山吹 松村蒼石 雁
やや動く一まい二まい日の落葉 鷲谷七菜子 一盞
ゆづらざる空のありけり栃落葉 石田勝彦 秋興以後
よき庭や苔に落葉に埋まるとも 阿波野青畝
よき落葉道ありて靴埋めたる 細見綾子
よくこぼし萩の落葉を掃く青畝 阿波野青畝
よく見れば落葉の水に蝦魚あそぶ 山口青邨
よびかけられてふりかへつたが落葉林 種田山頭火 草木塔
よべの虫がけろりと歩く落葉かな 渡邊水巴 白日
よぺ殊に星かがやきし落葉かな 村山故郷
らんらんと落葉の豹の瞳かな 平井照敏
わがための欅落葉のをり~に 高野素十
わがふれて節子の琴の落葉の音 山口青邨
わが住めば木々も落葉も植木村 石塚友二 曠日
わが去ればわが句碑のこる椎落葉 秋元不死男
わが庭の落葉の嵩を肯へり 安住敦
わが庭の落葉は掃かず跫音を 山口青邨
わが庵の更けては落葉の音するばかり 種田山頭火 自画像 落穂集
わが歩む落葉の音のあるばかり 杉田久女
わが立つにこの山寺のはや落葉 山口青邨
わが童女似る彼は亡く落葉降る 飯田蛇笏 家郷の霧
わが胸の落葉を拉(しだ)く鴻(おほとり)よ 佐藤鬼房
わが踏むを待ちて落葉の応へけり 相生垣瓜人 負暄
わが髪はわれとあたたか夕落葉 中村汀女
わらんべの酒買ひに行く落葉哉 正岡子規 落葉
をとつひのけふの墓前の落葉かな 岸田稚魚
をりからの月の落葉のうら表 中村汀女
アカシヤの落葉祭りの如くにも 石塚友二 磊[カイ]集
オムレツが上手に焼けて落葉かな 草間時彦
ガイド嬢マロニエ落葉踏んでゐる 阿波野青畝
クツシヨンの花燃ゆるなり落葉宿 山口青邨
クリスマスローズ莟あり落葉の中 山口青邨
サボテンの刺一枚の落葉刺す 山口青邨
シェパードの停る速さや楢落葉 渡邊白泉
ジャケツ厚し落葉焚き来し香をこめて 草間時彦 中年
スープに台皿 路上に雨の落葉の嵩 伊丹三樹彦
セーヌ流れわが靴音に落葉降る 深見けん二
ニコライの鐘の愉しき落葉かな 石田波郷
ピアノ鳴るうかれ落葉の風に舞ふ 上村占魚 鮎
マイセンの陶の貴人(あてびと)落葉宿 山口青邨
マッチ箱落葉へ拗りからなりし 阿波野青畝
マロニエの落葉を踏めば古き巴里 山口青邨
マロニエの黄金の落葉ペガサスも 山口青邨
メデイアとは落葉を運び去る水も 後藤比奈夫
ルネといふ店の白樺落葉かな 能村登四郎
ローソクの透きとほり燃ゆ落葉宿 山口青邨
ローソクを煙草の火とす落葉宿 山口青邨
一つづつ落葉に裏のついてゐし 後藤比奈夫
一としきり落葉して木はまた日を浴ぶ 大野林火 青水輪 昭和二十四年
一人禰宜落葉箒を横使ひ 飯島晴子
一塵やけさ読む新聞松落葉 山口青邨
一宿す富士の裾野の落葉宿 細見綾子
一方向を得て落葉群移動せり 加藤秋邨
一枚の橡の広葉の落葉濡れ 上村占魚 球磨
一枚の神の落葉の影濃きも 高野素十
一枚の落葉となりて昏睡す 野見山朱鳥 愁絶
一枚の落葉一枚の羽机上閑 山口青邨
一眼に落葉一眼に泪溜め 安住敦
一籠の紅葉いくらぞ落葉掻 正岡子規 落葉
一茶の落葉、良寛の落葉わたしが掃く 荻原井泉水
一遍の図絵の祖父塚落葉焚く 松崎鉄之介
一隅に落葉をためて田の仕舞 能村登四郎
万両の落葉に埋もれつつ赤し 山口青邨
三つ栗の其の落葉の一つかや 河東碧梧桐
三人となり落葉掻何を笑ふ 星野立子
三代の嵐九代の落葉かな 正岡子規 落葉
三尺の庭に上野の落葉かな 正岡子規 落葉
三日見ねば総落葉してやすけしや 角川源義
下闇に光る銀杏の落葉かな 正岡子規 銀杏落葉
下馬札の奥は銀杏の落葉かな 内藤鳴雪
不眠にて落葉火の燃えしぶりたる 細見綾子
世に古ぶおくるるごとし落葉籠 岡井省二 五劫集
丘落葉島の夕焼長からず 村山故郷
両の手をさびしがらせて落葉焚く 鷹羽狩行
中天に舞はせて磴の落葉掃く 上野泰 佐介
中庭の落葉となり部屋部屋のスリツパ 尾崎放哉 須磨寺時代
久しぶりに妹がり行けば落葉哉 正岡子規 落葉
二つあるゆゑ耳塚よ松落葉 阿波野青畝
二の酉の落葉月夜となりにけり 草間時彦
二三枚木葉しづみぬ手水鉢 正岡子規 落葉
二三枚落葉沈みぬ手水鉢 正岡子規 落葉
二三疋落葉に遊ぶ雀かな 村上鬼城
二僧都のかたみに鳴るや落葉中 山口青邨
二日雨の泊りの落葉殖やしたる 大野林火 飛花集 昭和四十六年
五六枚さらに加はる落葉の火 鷹羽狩行
亦も肩をすくめて 失語の 落葉のパリ 伊丹三樹彦
京に生れ落葉の奥の奥にく 西東三鬼
亭々とそびえて暮るる落葉の木 飯田龍太
人の焚く落葉のかさを見て過ぎし 中村汀女
人の目に朝日とびつく落葉かな 岡本眸
人の香を断ちたる径の落葉かな 鷲谷七菜子 游影
人は祷り犬尿し去る落葉の刻 岸田稚魚 負け犬
人丸が好きで落葉を掃きにくる 後藤比奈夫
仄とある落葉明りや思慕に似て 安住敦
今宵おひまの射的屋老人 落葉に雨 伊丹三樹彦
今日の日の黄なる落葉に逍遥す 川端茅舎
今日もまた一斗許りの落葉かな 正岡子規 落葉
仏頭の埋もれもせで落葉山 鷲谷七菜子 天鼓
仕方なきことかも知れず落葉降る 星野立子
佇めば水が落葉をくゞる音 清崎敏郎
佐久佐女の森の落葉の紅一枝 大野林火 方円集 昭和四十九年
何か足らないものがある落葉する 種田山頭火 草木塔
何の落葉刻を深く黄にして大き 山口青邨
何を待つ日に日に落葉ふかうなる 種田山頭火 草木塔
修験とは落葉かく踏み岩かく踏み 後藤比奈夫
俸給の薄さよ落葉と舞はせたし 林翔 和紙
個は全や落葉の道の大曲り 西東三鬼
停電の闇に眼をあげ落葉きく 臼田亜郎 定本亜浪句集
傷兵と犬居てしろし落葉昏る 細谷源二 鐵
元日の門前に来る子と落葉 飯田龍太
光より人あらはれぬ山毛欅落葉 鷲谷七菜子 游影
入院や葉脈あざやかなる落葉 西東三鬼
八一逝くつぶやくごとく落葉散る 有馬朗人 母国
八月の櫻落葉を掃けるかな 富安風生
公園の木椅子に凭るは落葉聴く 安住敦
公園の落葉の椅子の隣同士 中村汀女
公園の飼へる狐に落葉降る 山口青邨
内陣に御あかし搖ぐ落葉かな 内藤鳴雪
円山もしづかな日あり落葉降る 後藤比奈夫
冬籠家は落葉にうもれけり 正岡子規 冬籠
冬落葉石垣照らしだす電灯 廣瀬直人 帰路
凍落葉銀閣寺出て煙草喫ふ 百合山羽公 寒雁
凩に舞ひあがりたる落葉哉 正岡子規 凩
凩の外は落葉の月夜哉 正岡子規 凩
出征のあと突風に落葉敷きぬ 渡邊水巴 富士
切株と思へば石や落葉降る 山口青邨
初日うらうら草の戸落葉深きまま 山口青邨
別れたる銀座に欅落葉かな 松崎鉄之介
刻々と土の落葉の暮るるのみ 長谷川素逝 暦日
前をゆく人にはらはら落葉かな 山口青邨
加賀町の宵のさびしさや落葉風 村山故郷
励みとも嘆きとも日の落葉樹 廣瀬直人
匂ふ落葉光は行方さだまらぬ 鷲谷七菜子 銃身
北窓の落葉明りや妻の肩 草間時彦 中年
十字架のうしろ明るし落葉して 津田清子
十月の楡の落葉をはやふみて 山口青邨
十王の落葉を踏んで長命寺 星野麥丘人 2004年
半跏して病も古りぬ落葉ふる 石田波郷
卍の金高く落葉の降る中に 山口青邨
南面の落葉微塵や穴施行 森澄雄
厚落葉より水にじみ修道院 鷹羽狩行
厚落葉踏む父母よりも師の恩に 大野林火 潺潺集 昭和四十二年
厭戦の巌反戦の落葉降る 飯田龍太
厳めしく門立てり落葉ふりやまず 種田山頭火 自画像 層雲集
又別のところに焔落葉焚 深見けん二
受話器に受く母国語窓に降る落葉 有馬朗人 母国
古き樹の残りて街に落葉ふる 山口青邨
古家や狸石打つ落葉の夜 正岡子規 落葉
古文書を時かけて読む落葉の日 鷲谷七菜子 一盞
古池に落葉つもりぬ水の上 正岡子規 落葉
句碑の字の情にふれてふる落葉 山口青邨
吐き出して落葉を惜しむ滝の渦 前田普羅 飛騨紬
含羞みて うつくしかりき 落葉の中 富澤赤黄男
吹かれゆく心落葉の風の中 長谷川素逝 暦日
吹きあがる落葉かかる夜笑はずや 加藤秋邨
吹きあがる落葉にまじり鳥渡る 前田普羅 飛騨紬
吹きおろす木葉の中を旅の人 正岡子規 落葉
吹きたまる紅葉落葉の玄関に 山口青邨
吹きたまる落葉の墓や吾子いかに 角川源義
吹きたまる落葉や町の行き止まり 正岡子規 落葉
吹きよせられてゆふべは落葉おちつく 種田山頭火 自画像 落穂集
吹き下す風の木の葉や壇かつら 正岡子規 落葉
吹き下す風の落葉や背戸の山 正岡子規 落葉
吹き入れし石燈籠の落葉哉 正岡子規 落葉
吹溜りへところがれる風落葉 阿波野青畝
吾を負ひし兄の背老いぬ落葉焚 岡本眸
呼吸惜しむ老にひとひらづつ落葉 林翔 和紙
唇もチーズもうすく落葉おわる 橋閒石 風景
啄むもの あるから鳩が 落葉の墓 伊丹三樹彦
啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々 水原秋櫻子 葛飾
四五枚の木の葉掃き出す廓哉 正岡子規 落葉
団栗の己が落葉に埋れけり 渡邊水巴 白日
国分尼寺らしく赤松落葉かな(備中国分尼寺跡六句) 鷹羽狩行
園丁と鶴と暮れゐる落葉かな 飯田蛇笏 山廬集
園丁の焚くゆりの木の落葉かな 星野麥丘人
團栗の共に掃かるゝ落葉哉 正岡子規 落葉
團栗もかきよせらるゝ落葉哉 正岡子規 団栗
土と暮れ落葉は闇にもどりけり 長谷川素逝 暦日
地があからさまに落葉す動物園 右城暮石 声と声
地で売るは 落葉か アクセサリか 原宿 伊丹三樹彦
地に敷いて朝の落葉のささやかず 長谷川素逝 暦日
地に敷いて落葉のしじまときにあり 長谷川素逝 暦日
地のしじま落葉のしじま敷きにけり 長谷川素逝 暦日
地を見つめをりまたたくに落葉積む 松村蒼石 雁
地を走る落葉さへぎるものもなし 上野泰 佐介
地車や石を積み行く落葉道 正岡子規 落葉
坂の上の落葉つややけし海が見ゆ 大野林火 冬青集 海門以後
坂の上の風ひびき来る落葉かな 村山故郷
垣間見し落葉焚く火の清かりし 相生垣瓜人 負暄
城あとの桜落葉に心止め 上村占魚 球磨

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by 575fudemakase | 2016-11-15 14:54 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

時雨 続補遺 2

時雨 続補遺 2

悲しさも云ちらしたる時雨哉 卓袋
慈悲ふかき代官たちて初時雨 露印
成レ~と降か時雨に七回り 此筋
我せこが帰りし夢や時雨の戸 りん女
我ひとり食の替出すしぐれ哉 野坡
我山は足駄いたゞくしぐれ哉 其角
我庵も瀬田の時雨の剃毛ついで 其角
戸障子や何所の時雨のあまり風 魯町
所望なら時雨さう也後の月 蘆本
手の跡やおもひまいらせ袖しぐれ 旦藁
手向草あふぎの上に時雨けり 万子
打こみの酒の友来るしぐれ哉 夕兆
折さして枝見る猿や露しぐれ 高桑闌更
折角と鵜の羽ほして時雨かな 寂芝
折~の時雨伊吹はぬらせども 千川
押かけの客と名乗や夕しぐれ 正秀
担ひもて毛呂に翁のしぐれかな 加舎白雄
拝み処にのぼる小坂の時雨哉 卯七
振うては居眠る鳥や村しぐれ 三宅嘯山
捨られて野中の松の時雨けり 魯九
提て出る市の狸や初しぐれ 木因
散雲の下は沙汰なきしぐれかな 林紅
文も見ぬ時雨降る夜ぞ定なき 鬼貫
文消しておもひの窓の時雨哉 乙訓
新わらの屋根の雫や初しぐれ 森川許六
新庭の石も落付初しぐれ 洒堂
新田に稗殻煙るしぐれ哉 昌房
新藁の屋ねの雫や初しぐれ 許六
旅すがた時雨のよ芭蕉翁 樗良
旅すれば時雨の跡のあたゝまり 鈴木道彦
旅ならば亭主もあらん夕時雨 万子
旅なれぬやつこつれけり夕時雨 許六
旅の意地坂を見おくるしぐれかな 怒風
旅の旅つひに宗祇の時雨かな 素堂
旅人とたが呼かけん袖しぐれ 濁子
既に来る足音余所へ小夜時雨 早野巴人
日のさしてふるや蜜柑に初しぐれ 卓池
日の早う暮たばかりぞはつ時雨 田川鳳朗
日の脚に追はるゝ雲やはつしぐれ 千代尼
日は落て波をあかしの夕時雨 樗良
旧庵にしらぬ僧あり初しぐれ 百里
是きりと見ゆる日もなき時雨かな 吐月 発句類聚
時雨きく佗もありけり東山 桜井梅室
時雨きく顔は替らぬ心かな 其角
時雨きや並びかねたるぶね 千那
時雨くる酔やのこりて村時雨
時雨けりたばこ荷主の草鞋懸 諷竹
時雨していとゞわりなきわかれ哉 樗良
時雨して入かはりけり池の鳥 桜井梅室
時雨するほどは間もあるゆふべ哉 田川鳳朗
時雨する日や能因がから車 許六
時雨せよなどか橋立真野の比良 角上
時雨そめ黒木になるは何々ぞ 椎本才麿
時雨だつ雲や泣~峯の月 支考
時雨ては音なし河に明切ぬ 雪芝
時雨ても乾く宿有旅羽織 中川乙由
時雨ても仕回ず月の薄曇 三宅嘯山
時雨ても雫短し天王寺 鬼貫
時雨てや花迄残るひの木笠 園女
時雨とはよう名をつけた~ 野紅
時雨にも名のおもしろき美濃路哉 中川乙由
時雨にも海静なり旅硯 中川乙由
時雨にも見ばやつぼんでのこる菊 蘆本
時雨ねば松は隙なり小六月 支考
時雨ふる比守武御供なりけるや 一笑(金沢)
時雨ほど声ふりかゝるひばり哉 松岡青蘿
時雨もみぢ旅寐翫する両亭主 土芳
時雨るやしぐれぬ中の一心寺 小西来山
時雨るや戻りして来る馬の鈴 昌房
時雨るや手元へうつる斧の影 成田蒼虬
時雨るや舟へ佃の茶の匂ひ 車英 園圃録
時雨るや舟まつ岸の戻り馬 加舎白雄
時雨るや落る葉にさへ生れ色 野坡
時雨るや軒にもさがる鼠の尾 早野巴人
時雨るや辛抱づよき烏芋掘 卓池
時雨るるや軒にもさがる鼠の尾 早野巴人
時雨るゝといふ名甲斐あれ二見がた 中川乙由
時雨るゝやひかえ細工の気草臥 岱水
時雨るゝやへだゝる雲も膝の上 りん女
時雨るゝやもとあらそいのないじや迄 芦角
時雨るゝや墨のヂマル新卒都婆 夕兆
時雨るゝや弥陀の利生を呀にや 百里
時雨るゝや町屋の中の薬師堂 志太野坡
時雨るゝや背負つれたる木葉かご 壺中
時雨るゝや門口もなき薪の*ならべ 琴風
時雨るゝや高雄しまふて一夜松 角上
時雨るゝや黒木つむ屋の窓あかり 野沢凡兆
時雨をばはだしにしてや初紅葉 左次
時雨ゝやおくへもゆかず筆なやみ 玄虎
時雨ゝや一降ふつて峯の松 建部巣兆
時雨ゝや壁もそこらの土の色 蘆本
時雨ゝや牛に付たる油筒 高桑闌更
時雨ゝや町屋の中の薬師堂 野坡
時雨ゝや竹かつぎゆく鳥羽縄手 高桑闌更
時雨ゝや葱台の片柳 其角
時雨ゝや角まじへゐる野べの牛 高桑闌更
時雨来てまた時雨行く夕べかな 完来 発句題叢
時雨来よ花も紅葉有磯海 樗良
時雨来る空や八百やのおとりこし 許六
時雨来る空や八百屋の御取越 〔ブン〕村
時雨来る空や女中の多賀参 許六
時雨痩松私の物干にと書り 其角
時雨聞て腸さぐる寐覚かな 松岡青蘿
時雨行日をおもかげの翁かな 加舎白雄
時雨行笠や十夜の鉦の奥 中川乙由
時雨行風やいづこの根ぶか汁 〔ブン〕村
時雨降座はしづまりぬ古後達 凉菟
時雨雁箕手にならぶ時もあり 松窓乙二
時雨~に鎰かり置ん草の庵 挙白
時雨~能名になるぞ夜の雨 朱拙
晴て行跡にもの有初しぐれ 中川乙由
暁の鐘ぬれてある時雨かな 木因
暑さへなをなさけなるしぐれかな 樗良
暮かゝる餌やの窓の時雨かな 許六
暮て行一羽烏や初しぐれ 諷竹
暮て行時雨霜月師走哉 西鶴
暮るとてけふも時雨や九月尽 桃隣
更行や鐘もしぐれもさゞ波も 完来
月と雲時宜はすんだり初時雨 北枝
月はよう御出なされた時雨かな 旦藁
月は花はけふはしぐれの翁哉 加舎白雄
月まちや我宵がちに山しぐれ 土芳
月代や時雨のあとのむしの声 丈草
月代をいそぐやう也村しぐれ 千川
月待や我宵がちに山時雨 土芳
月時雨さりとては古きけしきかな 井上士朗
月時雨もるを庵の会式かな 成田蒼虬
月蝕のはり合になるしぐれかな 鈴木道彦
月越しの松風ぬらすしぐれ哉 松窓乙二
有明となれば度々しぐれ哉 許六
有明や時雨まちとる杉の上 浪化
朔日の出合がしらや初しぐれ 洒堂
朔日の待るゝ数かはつしぐれ 露川
朔日はこらえて見たる時雨哉 野紅
朔日や日の有うちを夕時雨 高桑闌更
朝がほの種はなれたり初しぐれ 成田蒼虬
朝しぐれあはしき心かく斗 土芳
朝夕の不二もけぶらぬ時雨かな 建部巣兆
木々の葉も地に有付てしぐれ哉 野坡
木の浜やしぐれにかゆる小越舟 正秀
木仙やあいに時雨のつよう来る 十丈
木兎の寝やうとすれば時雨かな 中川乙由
木斛のてり葉を風にしぐれ哉 支考
木母寺はしぐれも夜~の方はづれ 鈴木道彦
杉たつる門に蚊の鳴しぐれ哉 高井几董
杉の森天狗おそろし時雨哉 林紅
村しぐれ一二の橋の竹笠屋 荷兮
村しぐれ跡はこぶねの*篝かな 芦角
村たちてぬれたる文や初しぐれ りん女
村時雨めいわく川や数しらず 正秀
村時雨中に立たる虹ひとつ 千川
村時雨山は男鹿のなみだかな 馬場存義
杣が火のけぶり行あふしぐれかな 成田蒼虬
杣小家の焼さしは何初しぐれ 中川乙由
来た時雨能句したいとつのめ立 泥足
来る冬をまたぬ時雨ぞ哀なれ 露川
来月は猶雪降ンはつしぐれ 千里
東人窓に時雨を見とれけり 三宅嘯山
東雲やしぐれめく物先あはれ 土芳
松に蔦片手うちなる時雨かな 野口在色
松のほど時雨の楯となる菴 加舎白雄
松ばらや時雨せぬ日も冬のをと 杉風
松五尺そよやことしの初時雨 尚白
松低きさとやしぐれの鴉あれ 井上士朗
松原のすきまを見する時雨哉 其角
松原の御製にもるゝ時雨かな 許六
松陰の硯に息をしぐれ哉 其角
松風のぬけて行たるしぐれ哉 千代尼
松風の里は籾するしぐれ哉 嵐雪
板壁や馬の寐かぬる小夜しぐれ 史邦
板壁や馬の寝かぬる小夜しぐれ 中村史邦
枯ながら時雨をしぼる柳哉 三宅嘯山
枯菊の夜るは淀のる初時雨 野坡
枯葛の夜るは泣のかはつしぐれ 野坡
柊はしぐれぬ顔で咲にけり 素覧
染かけて山へ日の入る時雨かな 玄武 新類題発句集
染らねば時雨匂はす葱ばたけ 野坡
染物に星の入たるしぐれかな 探志
柳など梢は重し初時雨 去来
柳にも雫みじかしはつしぐれ 千代尼
柴の戸に夜明烏や初しぐれ 建部巣兆
柴の戸やしぐれた跡の雲の減 丈草
柴はぬれて牛はさながら時雨哉 其角
柴売の柴にことかくしぐれ哉 正秀
柿の葉のまだひらついてしぐれ哉 如行
柿包む日和もなしやむら時雨 露川
栩搗か引板の名残か村しぐれ 千那
根はなしと罪ゆるさるゝしぐれ哉 三宅嘯山
梅の木は苔のつくなりはつしぐれ 寥松
梅の樹の容すはつしぐれ 高井几董
梅咲り松は時雨に茶を立ル比 杉風
梟の身をまかせたるしぐれかな 夏目成美
梨の花しぐれにぬれて猶淋し 野水
梵論~の時雨すがたや京の町 長翠
棒公の棒であしらふ時雨哉 朱拙
棹鹿の身すかしもどる時雨哉 寂芝
椎柴に間なき時雨のはこび哉 加舎白雄
楠の根を静かにぬらす時雨哉 与謝蕪村
業平にしぐれのうたはなかりけり 鈴木道彦
楮ひたす水もにごさぬしぐれ哉 卓池
楯つきて待やむかふも時雨雲 正秀
橋筋は夜の賑ふしぐれかな 成田蒼虬
次ぎ歌の友やしぐれの霊迎へ 長翠
歟の声の時雨成けり軒の暮 野坡
止めば降る時雨の坂や五十町 馬場存義
正風は此人よりぞはつしぐれ 恵風 ふるすだれ
此あたり何をあてどに時雨るゝぞ 諷竹
此うへは白きものとてしぐれけり 千代尼
此ごろの野辺にまたるゝ時雨かな 樗良
此なみだ我か人のか村時雨 乙訓
此はづみ風がぬかさぬ時雨かな 野径
此中はしぐれても立ッ日数かな 野坡
此別れにつこりとして時雨けり 露川
此墓の三とせは夢にしぐれかな 智月尼
此寐覚かねて時雨の板びさし 寥松
此月の時雨を見せよにほの海 曲翠
此比のむかしになりし時雨かな 嵐青
此法やはなは降らでも初時雨 野坡
此猿はやしろ久しき時雨かな 園女
此畑に大根のこる時雨かな 嵐青
此釜の煮えかあらぬか初時雨 蓼太 発句類聚
此顔がもとの我なり幾時雨 木因
武蔵野やいく所にも見る時雨 舟泉
比叡おろししぐれの度や寝床替 丈草
比叡までものぼれ時雨のはしり舟 李由
比良の雲湖水に夜の時雨哉 凉葉
気がつけば夢の中にも時雨哉 路青
気のうつる石のくぼみや初時雨 りん女
水枯や石川ぬらす初しぐれ 荷兮
江戸住やしぐれ問こす人ゆかし 黒柳召波
江戸桜心かよはんいくしぐれ 濁子
江戸瓦しまぬ程ふる時雨かな 露言 富士石
池の星またはら~と時雨かな 立花北枝
池の星又はら~と時雨かな 北枝
沖の雲しぐれて帰れ後脊山 加藤曉台
沖西の朝日くり出す時雨かな 沾圃
沖見ゆる障子の穴もしぐれけり 桜井梅室
河原毛の烏帽子の上や初しぐれ 去来
沸音の時雨を風炉の名残哉 田川鳳朗
油断せぬかほや時雨るゝ琵琶法し 北枝
泉涌寺を顔でをしゆる時雨かな 成田蒼虬
洩るまでは聞すましけりさよ時雨 桜井梅室い
洩る月をなぐさめかねて行しぐれ 井上士朗
流れたる雲や時雨るゝ長等山 北枝
流人船実に時雨て見贈りぬ 加舎白雄
浮出し海人佗しげな時雨かな 三宅嘯山
海山のしぐれつきあふ菴の上 丈草
海山の骨を見するや初しぐれ 游刀
海川の乗らぬ所を時雨かな 紫道
海越に田地をぬらすしぐれ哉 里東
淋しさに宿や時雨のくだり闇 松窓乙二
淡路より時雨もすなり月も照 松岡青蘿
淡路山つゝぽりとして時雨けり 壺中
深川の豆煎噺時雨けり 田川鳳朗
深川は月もしぐるる夜風かな 杉風 続別座敷
深川は月も時雨るゝ夜風かな 杉風
深草へ便のほしきしぐれかな 木導
深谷やしきる時雨の音もなし 嵐雪
渋柿も紅粉や流れて初時雨 露川
渋鮎や扨は水にも露しぐれ三宅嘯山
渡し守ばかり蓑着るしぐれ哉 傘下
湖を屋ねから見せん村しぐれ 尚白
湯豆腐や都は知らず北時雨 仙化
漸と京に着けり村しぐれ 芙雀
澄月にかゝる曇りや露しぐれ 三宅嘯山
濡がみに日は包まれて時雨けり 素丸 素丸発句集
濡にける的矢をしはくしぐれ哉 炭太祇
瀟湘の灯のさやはづす時雨哉 土芳
火ともしの何もかぶらで露しぐれ 加舎白雄
火燵切思案の中やはつしぐれ 吾仲
炭がまや烟からみて行時雨 五明
炭売やいかに時雨るゝ皃の形 小春
煙帛にじめ~とふるしぐれかな 松窓乙二
片庇飯櫃過るしぐれ哉 一笑(金沢)
片日影棺ゆく野の時雨かな 伊藤信徳
片袖は人に見せばやはつ時雨 亀世
片袖をほせば片袖しぐれかな 梢風尼
牛が来てしるう成ほど時雨けり 許六
牛の子も鼻ゆるされて時雨哉 中川乙由
牛の子や杭にすり付むらしぐれ 泥足
牛売て伯父と道きる時雨かな 去来
牛馬のくさゝもなくて時雨かな 浪化
物の葉につれだつ音や初しぐれ りん女
物音の夜な~変るしぐれ哉 望月宋屋
犬の子のかさなり転ぶしぐれ哉 百里
犬吼る昼も淀野のしぐれかな 夏目成美
狂乱のこゑや時雨る角田川 不碩 伊達衣
独居や古人かやうの小夜しぐれ 井上士朗
狭布子のひとへ夢の時雨の五月庵 杉風
猪に誰かけられし夕しぐれ 加舎白雄
猫鳥の行列もなき時雨哉 荻人
玄関にて御傘と申時雨哉 炭太祇
玉まつり時雨のすがた眼にうかぶ 樗良
玉笹や不断時雨るゝ元箱根 西鶴
琴箱を荷ひゆくなり夕しぐれ 加舎白雄
瓢箪のかたまりすます時雨哉 斜嶺
瓢箪の形も定るや初しぐれ 中川乙由
生て世に寐覚うれしき時雨哉 黒柳召波
田はもとの地に落付や初時雨 千代尼
田舎気の見ゆる処や初しぐれ 成田蒼虬
畠ふむ鳥も山見る時雨かな 凉菟
番雁の畔もちかねるしぐれかな 鈴木道彦
畳屋のいなでぞありぬ夕しぐれ 高井几董
疇道をうろたへ廻る時雨かな 正秀
痩像に魂を入歟小夜しぐれ 松岡青蘿
痩臑をさすりて時雨聞夜哉 五明
白壁によごれ待なり初しぐれ 中川乙由
白河に袖かき合すしぐれ哉 望月宋屋
白菊の残る甲斐あるしぐれかな 成田蒼虬
白雲の里の時雨や檜木笠 荊口
白雲や時雨かゝゆる町の上 卯七
百までといはるゝ顔の時雨哉 朱拙
百年の芭蕉しぐれのあるじ哉 樗良
皃しらぬ世にも泣さん時雨かな 土芳
盗捨売にするしぐれかな 朱拙
目出度さを松に顕はす時雨哉 越人
相傘は医師ともす也むら時雨 馬場存義
真赤にしぐれも待ず唐がらし 諷竹
真野は二度かた田は今や初時雨 野坡
眼にのぼる花かき交て一しぐれ 加藤曉台
瞬をひきたてゝふれ初しぐれ 卓池
石くろく晴残してや一しぐれ 土芳
石経の墨を添けり初しぐれ 丈草
石臼の陰のしぐれてあそこ爰 丈草
砂山や小松ありつく初しぐれ 素覧
砂清し時雨過行鳥居さき 成田蒼虬
碁にまけてつれなく見ゆる時雨哉 杉風
神帰り根笹に走る時雨哉 為有
神鳴がなふて待るゝ時雨かな 中川乙由
神鳴のまことになりし時雨哉 其角
稲垣の見ゆるところや初しぐれ 成田蒼虬
穴熊の出ては引込時雨かな 為有
空鮭にあふてや其程初時雨 吾仲
突出した舟はのがるゝ時雨かな 桜井梅室
窓ぶたになるやしぐれの松のかげ 井上士朗
窓明て双紙洗やはつ時雨 中川乙由
立がれの松や素肌にむら時雨 魯九
立よれば祢宜はしる人時雨の火 早野巴人
立臼のぐるりは暗し夕しぐれ 樗良
竪横と屏風に暮て時雨かな 浪化
竹に来て猶脚はやき時雨哉 野坡
竹の絵を掛て悲しき時雨哉 孤屋
笠とれば六十皃の時雨かな 園女
笠に着た黒木は売てしぐれけり 桜井梅室
笠を泣時雨なつかし北南 望翠
笠取よ富士の霧笠時雨笠 其角
笠提て塚をめぐるや村しぐれ 北枝
笹の葉に西日のめぐる時雨かな 椎本才麿
筆屋が軒鹿の涙や時雨行 凉菟
筆嶋を時雨寄てや千句塚 中川乙由
箒目の角もとれざるしぐれ哉 素覧
簑ほしと石も今日泣けはつ時雨 田川鳳朗
簑を着て鷺こそ進め夕しぐれ 其角
簑笠の翁しぐれしむかし哉 万子
簑笠もほからかし行時雨哉 左次
簑箱の古実聞たし初時雨 支考
米山のふる道ゆがむはつしぐれ 成田蒼虬
糸に只声のこぼるる時雨かな 鬼貫
約束に手はじく夜の時雨哉 りん女
紅葉引船もしどろに時雨かな 許六
細き灯もあらたに光る時雨かな 桜井梅室
結構な日を定てや初しぐれ 舎羅
網けふこそ比良の初しぐれ 木節
網さらす松原ばかりしぐれかな 素堂
綿ざねのいりつく音や村時雨 吾仲
綿売のすげなきものに時雨かな 桜井梅室
義仲寺のふみ濡て来る時雨かな 桜井梅室
羽折かさむ月にかゝれる村時雨 杉風
羽織着て出かゝる空の時雨かな 高井几董
翁見む夢のしぐれは誠にて 松岡青蘿
翌日もふるとてけふも降時雨かな 松窓乙二
耳にある声のはづれや夕時雨 土芳
耳にある声の外也夕時雨 土芳
聞からに胸ふさがるゝ露時雨 路健
聞しよりかくも時雨の筑波ふき 寥松
肝心の日は時雨けり大根曳 洒堂
背中むく里の住居や夕しぐれ 嵐青
胸に手を置て寐覚るしぐれ哉 水颯
腹のなるをとも更行しぐれかな 旦藁
舎りうれし時雨乾かす我衣 高桑闌更
舟人にぬかれて乗し時雨かな 尚白
舟~の片腹おかし横時雨 傘下
色かへぬ松やしぐれのあまし物 野水
芋ほりに男はやりぬむら時雨 風国
芋喰の腹へらしけり初時雨 荊口
芝うらや時雨て帰る牛の角 加舎白雄
芝うらや時雨れて帰る牛の角 白雄 白雄句集
芝原の生キ出てかなしつゆしぐれ 白雪
芥子苗のうごきそへけり初しぐれ りん女
芥火の細口あけてはつ時雨 成田蒼虬
芭蕉~枯葉に袖のしぐれ哉 風麦
花鳥やあつめて塚の初しぐれ 昌房
苔ながらいく世男松の露しぐれ 句空
苔に水聞ちからなき時雨哉 舎羅
苫船や夢に時雨るゝ八幡山 松岡青蘿
茅ふく軒をしぐれのまことかな 井上士朗
茅屋に俤のこる時雨かな 正秀
茶に塩のたらぬ朝也はつしぐれ 成田蒼虬
茶を呑ば茶ばたけに降る時雨かな 野坡
茶を煎て時雨あまたに聞なさん 嵐雪
茶袋に泪のかゝる時雨かな 路青
草に木につかはれながら村しぐれ 惟然
草の戸に焼火はほそし夕時雨 桃妖
荒海の鳥もきこゆるしぐれかな 卓池
菅笠や似たと泣出す袖時雨 亀洞
菊の日のきくより白きしぐれ哉 松窓乙二
菊の香や鼻からぬけて露時雨 吾仲
落さふな雲の茂みや時雨先 浪化
落日の稲妻なして時雨けり 三宅嘯山
落葉せぬ京もふるびや初時雨 露川
葉はしぐれ根は水清し冬の芹 野坡
葉多葉粉に一ぺん降や初しぐれ 露川
葛葉よりかさつく比のしぐれ哉 許六
蒟蒻の湯気あたゝかにしぐれ哉 猿雖
蓑むしの死なで鳴夜や初しぐれ 松岡青蘿
蔓ものゝつるのゆるみやはつ時雨 露印
蔦の葉の落た処を時雨けり 此筋
蕎麦腹に扨も時雨の降ッたりな 白雪
蕪菜に田舎だよりの時雨かな 吾仲
藁焼てうちは音なき時雨哉 中川乙由
藤ばかま香のをとなしく時雨ふる 寥松
藤豆のまだ咲たがるしぐれかな 寥松
蘿の葉の細かに動くしぐれ哉 助然
蜀黍の陰をわたるや露時雨 荷兮
蟷螂の座鋪つくるや初しぐれ 寂芝
蟷螂の羽も染にけりつゆしぐれ 三宅嘯山
行しぐれ簑着て追んおもひあり 加舎白雄
行灯をかゝげさしてや初時雨 含粘
行違ふ船にものいふしぐれかな 井上士朗
行雲のはし乱ッゝ初しぐれ 高桑闌更
衰やしぐれ待身となりにける 黒柳召波
袖しぐれ百二十里を墓参り 望月宋屋
袖つまにもつれし雲や露時雨 嵐雪
西行もしばし棚かるしぐれ哉 尚白
見しり逢ふ人のやどりの時雨哉 荷兮
角田川舟ちん高き時雨かな 蕉雨 八巣発句集
言信るしぐれや我が病ムまくら 杉風
言葉尽て扇に画し雪しぐれ 樗良
訪ひに行うちに月見るしぐれかな 亀世
誰肩に牡丹の旅や初しぐれ 曲翠
豆腐やの火影たよりや小夜時雨 程已
責馬のいくつ残るぞ初しぐれ 左柳
買切と馬にのり出すしぐれかな 雪芝
赤ばるやむなしき苔を初時雨 文鳥
起出る間に音絶えし時雨哉 田川鳳朗
足たゝぬ蛭子ふねなき時雨かな 野坡
足癖になるやしぐれの里めぐり 野坡
足袋はいてじつとして居る時雨哉 杉風
跡遠く時雨て来たり今朝の事 左柳
跫もきえて時雨の又寐かな 朱拙
踏分る杖のあまりのしぐれかな 野坡
軒に来て我ぞ鳩啼露時雨 除風
軒のしぐれ地の霜池もいく古び 完来
軒下のふりこふらつく時雨哉 泥足
軒口の乱るゝ穂屋のしぐれ哉 望月宋屋
近付の道具も出たりはつしぐれ 凉菟
近江笠越前簑のしぐれ哉 千那
近江路や紀の路に消る時雨哉 土芳
近道をおもひこなしてしぐれかな 野紅
近道を阿闍梨につるゝ時雨哉 園女
迯尻を笑ふからすもしぐれかな 正秀
追ついて霰の跡のしぐれ哉 旦藁
追鳥の幸得たるしぐれかな 卓池
逢坂の先ぬるゝほど時雨けり 許六
遊びやうわすれて居るに初時雨 土芳
道~やしぐれを照らす柿の色 樗良
都染江戸に向きけり初時雨 言水 江戸十歌仙
酒になるげんかい灘のしぐれ哉 野明
酒や時雨のめば紅葉ぬ人もなし 松氷貞徳
酒桶を只干兼ししぐれかな 許六
野ざらしの露よしぐれよ剃髪塚 樗良
野は霍の嘴ふりあげて初しぐれ 成田蒼虬
野路くれて牛の貝ふく時雨哉 卓池
野風ふく室町がしら初時雨 高井几董
金屏に乾く時雨のやどりかな 中川乙由
釣柿の夕日ぞかはる北しぐれ 其角
錦織家見によればしぐれ哉 高井几董
鍋屋からかぶつて戻る時雨かな 木導
鍋本にかたぐ日影や村しぐれ 丈草
鐘つきて肝のつぶるゝ時雨かな 非群
鐘の音あらひ立たる時雨かな 木導
鐘の音やしぐれ降行あとのやま 加藤曉台
鑓持の猶振たつるしぐれ哉 正秀
門てるや裏の片屋の横しぐれ 角上
門口や夕日さし込村しぐれ 一笑(金沢)
門番の膝にかゝるや北しぐれ 木導
降うちに亦異音の時雨かな 琴風
降さしてまた幾所か初しぐれ 千代尼
降そめてふりもさだめずはつ時雨 樗良
降て来るしぐれや野路の松二本 壺中
降にけり紅葉らうへのはつしぐれ 成田蒼虬
降らぬ日の猶定まらぬ時雨哉 田川鳳朗
降中へふりこむ音や小夜時雨 五明
降出して時雨は負る日よりかな 紫貞女
降込て硯をぬらす時雨かな 亀世
降雪を泥にこねたる時雨哉 正秀
隠家の森やしぐれの青幣 りん女
雑魚はまのごつたに見える時雨哉 寥松
離別荷の潜にぬれるしぐれ哉 三宅嘯山
難波女の駕に見て行しぐれ哉 高井几董
雨にわかち風にまぎるゝしぐれかな 樗良
雪までのなじみを竹の時雨かな 小西来山
雪見ゆる峰をかくして初時雨 高井几董
雪雲は愛宕にたばふしぐれ哉 浪化
雲しぐれかゝるや星の白眼がち 正秀
雲はあれど時雨もたねばたゞ寒し 井上士朗
雲はしぐれ鐘は其世の感に伏 加藤曉台
雲よりも先にこぼるゝしぐれ哉 去来
雲母行豆腐にかゝるしぐれ哉 黒柳召波
雲水のうつゝ海道は時雨けり 凉菟
雷おつる松はかれ野の初しぐれ 丈草
雹ふれ時雨の雲の行だまり 子珊
霄の中上野浅草としぐれけり 夏目成美
霄暗を時雨わかるゝ小舟かな 加舎白雄
霜時雨それも昔や坐興庵 嵐雪
露しぐれその間をいそぐ夕日哉 乙訓
露しぐれ我目にのみや虹のさす 三宅嘯山
露しぐれ時雨し跡の照る日哉 高桑闌更
露時雨さしては来り聾傘 挙白
露時雨しぐれんとすれば日の赤き 加舎白雄
青海の根は切れて来る時雨哉 百里
青鵐啼くやしぐれの先ばしり 井上士朗
静さやしぐれこがらし休むとき 桜井梅室
面うちの宿にしぐれの旅寐哉 早野巴人
面白や時雨る透間の流星 探志
音のした戸に人もなし夕時雨 有井諸九
音のみぞ深山しぐれは木のあなた 寥松
頓て入る月や二日の夕時雨 史邦
額板や時雨転じて胡粉の霜 牧童
顔あげてきけば寐覚の河時雨 芙雀
顔しらぬ世にもなかせんしぐれ哉 土芳
類ひなや鰤の脊さらし初時雨 樗良
風はやし時雨待とる峯の松 猿雖
風雲や時雨をくゞる比良おもて 丈草
飛石のしめり加減やはつ時雨 中川乙由
食どきにさしあふ村のしぐれ哉 去来
食堂に雀啼くなり夕時雨 各務支考
食堂に雀啼なり夕時雨 支考
食焼て柴ぬらしけりはつしぐれ 許六
飼猿の引窓つたふしぐれ哉 其角
首かけん笠ぬいの島初しぐれ 西鶴
馬かりて竹田の里や行しぐれ 乙訓
馬の尾に払ひ行なる時雨哉 望月宋屋
馬の背を染よしぐれの紫根 長翠
馬はぬれ牛は夕日の村しぐれ 杜国
馬道は梺をまねる時雨かな 呂風
馬道は麓を廻るしぐれかな 呂風
馬鑓の空もしぐれの往来かな 土芳
馬駕籠も時雨にかなし墓参 呂風
駅路で人にとはるゝしぐれ哉 りん女
駕籠舁は百の空見るしぐれかな 野坡
驚かぬ網引のさまや初しぐれ 高桑闌更
魂まつり雪も時雨も袖の露 樗良
魚鳥もたらで我等がしぐれ神 長翠
鰒も出て浮世を渡る時雨哉 吾仲
鰯やくかざも伏見の時雨哉 臥高
鰹の木にたよる山路の時雨哉 牡年
鱗のこゝろはふかしはつしぐれ 加藤曉台
鳥の羽もさはらば雲の時雨口 丈草
鳥急におどろく松のしぐれ哉 仙化
鳥羽田には時雨ふるらし水菜船 加藤曉台
鳰の巣のあらはなるよりしぐれそめ 加藤曉台
鳳まはる平等院の時雨かな 尚白
鳴海にてしぐれそめけり草鞋の緒 井上士朗
鳴門時雨れて浮世の松は風もなし 大淀三千風
鳶の羽もかいつくろひぬ初しぐれ 向井去来
鳶の羽も刷ぬはつしぐれ 去来
鳶尾の葉はみなぬれにけり初しぐれ 鼠弾
鴬のすり込竹のしぐれ哉 紫白女
鴬やしぐれにまじる藪の音 朱拙
鶏の尾に入日はさしてしぐれ哉 望月宋屋
鶏頭の花に持て来る時雨哉 岱水
鶴啼もあてにはならず夕しぐれ 成田蒼虬
鷺ぬれて鶴に日のさすしぐれ哉 与謝蕪村
鷺烏片日がはりや夕時雨 其角
鹿の声跡はしぐれて明にけり 凉菟
鹿の音や松にしぐれて九月尽 除風
麦糞の土に落つくしぐれ哉 李由
黄昏や月見えそめて時雨二度 桜井梅室
黒みけり沖の時雨の行どころ 丈草

以上
by 575fudemakase | 2016-11-14 10:12 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

時雨 続補遺 1

時雨 続補遺 1

(殺生石)此石やまづ目にたてゝ初しぐれ 寂芝
*かっこどり鳩きかぬ時節のしぐれかな 昌房
*かりやすを呼込比やむら時雨 露川
*しに馬の野経読立つ時雨哉 五明
あそばるゝほどに時雨て月夜かな 朱拙
あたらしき紙子にかゝるしぐれかな 許六
あたゝかに宿は物くふしぐれ哉 野坡
あの松に言の葉残る時雨哉 夕兆
あはれさや時雨るゝ頃の山家集 山口素堂
あふさかは草鞋のうるゝしぐれかな 風国
あふ坂で行違ひけり初しぐれ 諷竹
ありやうは緞子に寐たし初時雨 支考
あり数の宮も藁家もふる時雨 鈴木道彦
あれ聞けと時雨来る夜の鐘の声 其角
いくしきり時雨て行や経の内 游刀
いくしぐれつくりかけたる庵あり 杉風
いさかひに根もなき市の時雨哉 正秀
いそがしや沖の時雨の真帆片帆 去来
いたゞいて硯ならぶるしぐれかな 田川鳳朗
いつの旅もしぐれさそはぬ事ぞなき 松窓乙二
いまのしぐれは松にかゝれる夕日哉 越人
うきことをしらぬ所へしぐれゆく 諷竹
うき雲のけふは迷はずしぐれけり 桜井梅室
うぐひすのしのび歩行や夕時雨 炭太祇
うぐひすの卯時雨に高音哉 高井几董
うたがふなむかし時雨し月の松 田川鳳朗
うちかづく衣笠山や一しぐれ 馬場存義
うちよれば去年のやうに時雨哉 土芳
えり当しけふや時雨の中日和 野坡
おそろしき雲も心や初時雨 中川乙由
おとなしき時雨を聞くや高野山 鬼貫
おとゝしの竹色かへぬしぐれかな 桜井梅室
おもしろき人を呼出す時雨哉 其角
おもひ出す客の機嫌もしぐれ月 浪化
かけ廻る夢に追付ヶひと時雨 琴風
かけ蓑やしぐれ降夜の友は誰 完来
かさ~と紅葉ふむ間に時雨けり 鈴木道彦
かしこまる後も壁のしぐれ哉 浪化
かた袖をひかで戸立るしぐれかな 十丈
かた~は藪のてつだふしぐれ哉 丈草
かつらぎの神もおたちか小夜時雨 露川
かなしさや時雨に染る墓の文字 浪化
からかさに駒のほさるゝしぐれかな 助然
からかさはよき道づれよしぐれ空 卓池
からかさもさしていらぬや村時雨 尚白
から崎のかたへしぐれて行人か 凉菟
から船の黒津に戻る時雨かな 探志
きのふけふあしたは只のしぐれ哉 千代尼
きのふけふ我身になるゝ時雨哉 樗良
きら星の雲は見へずも時雨けり 三宅嘯山
きり~す死ぬほどふれ初時雨 紫白女
くま刷毛に上野のしぐれそゝぎけり 夏目成美
けふあすとうかゞふ雲のしぐれ哉 除風
けふこそは日比忘れぬ時雨かな 桜井梅室
けふだけの水は来る也時雨の輪 成田蒼虬
けふにあたる時雨悲しや昼眠り 知足
けふもまたうどんのはいる時雨哉 其角
こがらしの地にも落さぬしぐれかな 向井去来
こがらしの里はかさほすしぐれ哉 一笑(金沢)
この下の木樵もかゞむ時雨かな 野坡
この日数の故人をおもふしぐれかな 加舎白雄
この比の垣の結目やはつ時雨 野坡
この頃の垣のゆひめや初しぐれ 野坡 続猿蓑
こばしりて村に入る日や初しぐれ 風国
こゝはまだ汐の傍ふる時雨哉 素行
さくら見るけふも時雨のやどり哉 松岡青蘿
さし越スや深山時雨のぬれ筏 加藤曉台
さし足をわすれて闇の時雨哉 正秀
さびしさの時雨や人の胸さらヘ 芦角
さめ~としぐれふくめり月の眉 長翠
さよしぐれ又寐覚けりたばこ盆 望月宋屋
ざゞんざや猶浜松にはつしぐれ 北枝
しぐるゝや時雨れぬ町の時太鼓 桜井梅室
しぐれうとおもふて咲や枇杷の花 野坡
しぐれけむしみ~となる四方の空 荷兮
しぐれけりはしり入けり晴にけり 惟然
しぐれけりほち~高き竹の節 松窓乙二
しぐれけり今夜は聞し箸洗ひ 諷竹
しぐれけり土持あぐる芋がしら 松岡青蘿
しぐれけり宿のはづれの枯薄 除風
しぐれけり尾根のすかひにわらび焚 加藤曉台
しぐれじと浦人申曇かな 長翠
しぐれする音聞初る山路かな 黒柳召波
しぐれせぬ時には雲に鳶一つ 野坡
しぐれせよ翁の夢のきえしほど 松窓乙二
しぐれそめてばせを葉翌を繕はず 加藤曉台
しぐれそめて汐ふく海士の行衛哉 土芳
しぐれたか山田より出し壺荷ひ 諷竹
しぐれづく雲にわれたる入日哉 杉風
しぐれてぞいかにも出たる不破の月 井上士朗
しぐれてや大分見ゆる桜の木 松窓乙二
しぐれにてはなかりける夜の悋気声 早野巴人
しぐれねばものあらたまる日もあらず 加藤曉台
しぐれねば又まつ風のたゞをかず 北枝
しぐれはれて白雲白く松高し 樗良
しぐれむとしては雲ちる嵐かな 卓池
しぐれ会や客を連来て錠明る 鈴木道彦
しぐれ川水の覚えに曲りけり 田川鳳朗
しぐれ待のみをのゝえの朽法師 松窓乙二
しぐれ来て園のにしきを蹈日哉 高井几董
しぐれ来て水しはだちぬ湖の暮 完来
しぐれ来ぬ柱の穴をほる音に 長翠
しぐれ来やさしくる傘のはぢき書 北枝
しぐれ来るあすをもまたで旅の空 井上士朗
しぐれ気のなふて一日小春かな 路通
しぐれ行果は一むらのけぶり哉 加藤曉台
しぐれ行雲のあはいや薄日照 十丈
しぐれ見る窓へ蚊一ツ入にけり 桜井梅室
しぐれ過て草に落来ぬ松の風 高井几董
しぐれ野や吹かれてすごき鷹の草 野坡
しづかさは赤松石を時雨哉 風国
しづ~と来たのにぬるゝしぐれ哉 田川鳳朗
しのゝめにしぐれめくもの先哀 土芳
しばらくを乞食の化粧ふ時雨哉 木因
しほるゝやまだき時雨の藤衣 錦江女
しよろ~と時雨て越や鼠が関 魯九
しら菊の表はしろし初しぐれ 木因
しゝ~し若子の寝覚の時雨かな 西鶴
その中に唯の雲あり初時雨 千代尼
その影や時雨て雲に一むかし 北枝
その筈とおもへどぬるゝ時雨哉 知足
その苫の寒さを菊に時雨けり 凉菟
その言よ月も時雨て塚の前 十丈
そも~や地雨もあはれ初時雨 荊口
たふとさや息つく坂の初しぐれ 正秀
たらずまへ橋に柴おくしぐれ哉 成田蒼虬
たゞかふた草で有しかはつしぐれ 寥松
だまされし星の光や小夜時雨 羽紅女
だゞひろき庭も払はずむら時雨 舎羅
ちからなき御宿申せし時雨かな 諷竹
ちからなく軒を見廻すしぐれ哉 風国
ちとはやうよしのゝ奥の時雨哉 一笑(金沢)
つぎ哥のこれぞしぐれの物語 加舎白雄
つつくりとひとり時雨や夜もすがら 凉菟
つら~と杉の日面行しぐれ 加藤曉台
づぶぬれの合点で鷺はしぐれ哉 白雪
とつかよりほどがやへ二里時雨けり 諷竹
とてもならゆふ暮見たし初しぐれ 寥松
とにかくに篠家はむすべ時雨人 松窓乙二
とり~のけしきあつむる時雨哉 沢雉
とろ~と寐入所を時雨けり 芙雀
ながらへるはづよ時雨もゝらぬ松 桜井梅室
なき跡や時雨てたつる古障子 洞木
なつかしき文見つけたり初しぐれ 田川鳳朗
なべて世は留主なき神の時雨哉 田川鳳朗
なまぐさき里をはなれてしぐれ哉 野明
ならの葉の布になりてやもる時雨 凡兆
にぎやかに菊は咲けり初時雨 浪化
にじり~枴の先や片しぐれ 百里
によこ~と雲の景色や露時雨 桃先
ぬしは誰時雨かたまる小長刀 早野巴人
ぬれわたる鶴の背中や初時雨 許六
ぬれ色を石に残して初しぐれ 舎羅
はこび行や何もない野の初時雨 猿雖
はしり込時雨の門やひとり言 朱拙
はし~は時雨つ九万八千軒 蘆本
はじめての日や漸と一しぐれ 諷竹
はつしぐれけふ汐竈も薄烟り 成田蒼虬
はつしぐれしばらく有て波ひとつ 成田蒼虬
はつしぐれたがはぬ空となりにけり 加舎白雄
はつしぐれまだ朝がほの花ひとつ 杉風 杉風句集
はつしぐれやむやしばしのから錦 樗良
はつしぐれ川砂ながれ止みにけり 寥松 八朶園句纂
はつしぐれ憂世の輪迄ぬけし事 桃隣
はつ時雨よてな女の後帯 遅望
はつ時雨帆に色~の責道具 凉菟
はつ時雨戸あけてミれバ反歩也 山店
はつ時雨戸あけて見れば反歩なり 山店 芭蕉庵小文庫
はつ時雨野守が宵のことばかな 井上士朗
ひか~と池の金魚やむらしぐれ 壺中
ひた~と落葉地につく時雨かな 桃妖
ひつぢ田の麦より青き時雨哉 尚白
ひとしぐれ塚をめぐると見る斗 成田蒼虬
ひと岬は汐汲で居るしぐれ哉 成田蒼虬
ひと時雨するや素堂が嫁菜迄 松窓乙二
ひと朝の時雨の色も拝みたし 成田蒼虬
ひへながら打寐て時雨きくばかり 北枝
ふたつの江尻眼にかけて初しぐれ 成田蒼虬
ふりよ~とても時雨の竹之丞 鈴木道彦
ふり初て日半~の時雨かな 句空
ふり~てあはれはつゞくしぐれかな 野坡
ふる中へ降りこむ音や小夜しぐれ 吉川五明
ふる~と昼になりたる時雨かな 臥高
へら鷺も時雨見かけしかせぎかや 鈴木道彦
まだ鹿の迷ふ道なり初しぐれ 千代尼
まづそらは物のたらざる時雨かな 野紅
まな板の音時めかすしぐれかな 成田蒼虬
みぞれとは時雨に花の咲た時 支考
みぞろ木やしぐれてはこぶ皐月雨 鈴木道彦
みづうみの泡しづまりてしぐれかな 完来
むかしおもふ時雨降る夜の鍋の音 鬼貫
むかしかな今かな軒のはつしぐれ 完来
むきたらで又やしぐれの借り着物 丈草
むざ~と蕎麦殻くさる時雨哉 桃後
むすぼれた所をといて時雨哉 塵生
むらしぐれ三輪の近道尋けり 其角
むらしぐれ古市の里にしばしとて 黒柳召波
むらしぐれ経書堂をやどりかな 馬場存義
むら時雨されどもものはそこなはず 小西来山
めしの泡引ころ庵のしぐれかな 成田蒼虬
もたれたる柱も終にいそしぐれ 丈草
ものゝふの宿は時雨やかゞみ立 早野巴人
もの買ふて京は時雨のやどり哉 馬場存義
もめあふて雪も時雨も来ぬ日哉 田川鳳朗
もらぬかと先おもひつく時雨哉 牡年
もらぬほど今日は時雨よ草の庵 斜嶺
やねふきの海をねぢむく時雨哉 丈草
やよしぐれ出来合喰し中やどり 一笑(金沢)
ゆふべより降まさりッゝ小夜時雨 樗良
わかい時見ぬ暁のしぐれ哉 小西来山
わすれじな湯豆腐あつき時雨の夜 樗良
わりなくて願ひあてけり時雨の日 鈴木道彦
われをよけ~してはつ時雨 田川鳳朗
われ鍋や薪の下もる村しぐれ ト尺
一しぐれあれに里有滝のうへ 露川
一しぐれしぐれてあかし辻行灯 去来
一しぐれしぐれて鴈のさはぎ哉 十丈
一しぐれすかさず啼や山の雉子 成田蒼虬
一しぐれするや五月の雨の中 井上士朗
一しぐれづゝかくれ行岡の松 早野巴人
一しぐれ来るや茶巾のふりなをし 句空
一しぐれ根笹にはしれすゞめ貝 りん女
一しぐれ虎より先に走りけり 桜井梅室
一しぐれ鵜は水底をあさるうち 桜井梅室
一むらの烟はなれて行時雨 加藤曉台
一二度は物にまぎれつ初時雨 許六
一声は鶏もうたふや初時雨 成田蒼虬
一夜きて三井寺うたへ初しぐれ 尚白
一夜づゝ淋しさ替る時雨哉 早野巴人
一方は藪の手伝ふしぐれ哉 丈草
一日に着舟は出ぬ時雨かな 路健
一日は塚の伽する時雨かな 浪化
一疵は簑にをとなし初しぐれ 野坡
一袋松かさ得たりはつしぐれ 白雄 白雄句集
一雲に夜はしぐれけり須磨明石 井上士朗
七とせとしらずやひとり小夜しぐれ 其角
三ヶ月によく時雨たり天の原 半残
三尺の身をにじがうのしぐれ哉 其角
三度くふ旅もつたいな時雨雲 小林一茶
三度まで時雨ていとゞ黒木馬 黒柳召波
三日月もあるやまことの初時雨 桜井梅室
上荷とる薪の上のしぐれかな 芙雀
下手の碁の一番すぐる時雨哉 夕道
不作法に松の月夜をしぐれ哉 吾仲
世にふるはさらにばせをの時雨哉 井上士朗
世の中に老の来る日やはつしぐれ 許六
世の中を絵にかき晴るしぐれ哉 越人
両袖にたゞ何となく時雨かな 惟然
並び居て泣や此道此時雨 北枝
中~に傘も苦になる時雨哉 野坡
九重の人も見え透しぐれ哉 千代尼
乳のみ子に手あてゝ走時雨哉 毛〔ガン〕
乾たり時雨たり我旅姿 凉菟
二夜三夜寐覚とはるゝ時雨かな 松岡青蘿
五十二年ゆめ一時のしぐれ哉 千里
五十歩の兎追ゆる時雨哉 千那
京へ出て目にたつ雲や初時雨 千代尼
人は寐て鼠の顔にもるしぐれ 夏目成美
人を人にかへてほしさよ露時雨 魯九
人恋し杉の嬬手に霧しぐれ 白雄 白雄句集
今に其折も忘れず村時雨 芙雀
今もその折はしぐれてむかし哉 芙雀
今市の市日といへばしぐれかな 許六
今年きく上野の鐘も時雨けり 加舎白雄
今日にあふのみか旅して初時雨 田川鳳朗
今朝見れば松の葉つもる時雨かな 蓼太 蓼太句集初編
仰向て見る人もなきしぐれ哉 千代尼
伏見気で今朝大阪のしぐれかな 小西来山
伐ておく菊を洗ふや一しぐれ 成田蒼虬
休まずにふれや亥の子の初時雨 野紅
何さがす鼠耻かしはつ時雨 其角
何やらん思ふに濡す一しぐれ 土芳
何所やら花の香すなり小夜時雨 松岡青蘿
何気なく着ておはすらん時雨笠 完来
何鳥としらぬもゆかし夕しぐれ 句空
使した犬を撫るや露しぐれ 三宅嘯山
侘られし俤画くしぐれ哉 杉風
便せよ時雨~の冨士の形 中川乙由
俤は軒のあやめのはつ時雨 松窓乙二
俳諧に古人有世のしぐれ哉 高井几董
俳諧の袖も翁も時雨かな 梢風尼
俳諧説て関路を通るしぐれかな 曽良
側藥罐淋しげに涌ク小夜しぐれ 桃後
傘におしもどさるゝしぐれかな 紫貞女
傘の上は月夜のしぐれ哉 黒柳召波
傘提てしらぬ翁ぞむらしぐれ 池西言水
僧うかれけり松はひとりに里時雨 杉風
僧は帰るさらへの道や初時雨 中川乙由
兀山のあたまくだしに時雨哉 蘆本
先以薪のふみやはつしぐれ 凉菟
光なき末のみか月しぐれけり 寥松
兎や角と筧せしより降時雨 建部巣兆
入月やしぐれの雲の底光 丈草
入相や加茂をへだてゝ初しぐれ 風国
八畳の楠の板間をもるしぐれ 其角
公儀しに出れば跡追ふ時雨哉 荊口
其しぐれおふくはしらで泣人か 土芳
其柴の濡色買ん初しぐれ 中川乙由
其筈とてことしの松も時雨けり 小西来山
冬の雨しぐれのあとを継夜哉 黒柳召波
冬瓜の市もくづるゝ時雨かな 木導
凩の地迄落さぬしぐれかな 去来
出女やすこし時雨てぬり木履 洒堂
刀根の二瀬しぐれわけたる渡り哉 加舎白雄
分けあふたやうな時雨や少しづゝ 田川鳳朗
分別のあたまに廻るしぐれかな 助然
初しぐれたとはゞ梅のにほひかな 樗良
初しぐれ今日菴のぬるゝほど 高井几董
初しぐれ傘は余りに新しく 土芳
初しぐれ未つくろはぬ障子より 梢風尼
初しぐれ根笹に飛べよすゞめ貝 りん女
初しぐれ爰もゆみその匂ひ哉 素覧
初しぐれ目にふれ身にもふれにけり 高桑闌更
初しぐれ自在の竹に吹かゝれ 松岡青蘿
初しぐれ草の菴にてはなかりけり 加舎白雄
初しぐれ隣の人も門に立 諷竹
初しぐれ風もぬれずに通りけり 千代尼
初時雨別はこゝぞ馬に鞍 支考
初時雨百舌鳥野の使もどつたか 諷竹
初時雨真昼の道をぬらしけり 露印
初時雨舌うつ海膽の味もこそ 池西言水
初時雨軒に隠者と額もあれ 素覧
初時雨阿仏の旅やつゞら馬 園女
初発心猶つよかれと時雨哉 四睡
化さうな傘おかし村しぐれ 傘下
化に出た狐を化すしぐれかな 小西来山
北がちに見るや伊吹の朝時雨 怒風
北国へこれからはいる時雨かな 嵐青
北山を背中に屹とはつしぐれ 吾仲
十月にちらぬ柳も時雨けり 諷竹
十月にふるはしぐれと名をかへて 北枝
半月や黒ひかたより片しぐれ 尚白
南無月夜南無雪時雨鉢たゝき 井上士朗
原中や星ばつて居て降時雨 如行
又時雨やり過したる月の色 木導
又降はものうたがひのしぐれかな 小西来山
取あへぬ山桝さかなやはつしぐれ 巣兆 曾波可里
取あへぬ山椒さかなやはつしぐれ 建部巣兆
取かへす心も消るしぐれ哉 北枝
取葺やふるき軒もる月時雨 諷竹
口切やみなみは時雨北は雪 木導
口切や峰の時雨に谷の水 野坡
古壁は袖にすれけり小夜時雨 仙化
古郷に高ひ杉あり初しぐれ 荊口
古郷のおもひにしぐれ聞夜哉 樗良
古鳶の魚とりおとすしぐれかな 卓池
只泣て居れば日も立つ時雨哉 路青
名月に時雨干けり棚の上 浪化
名月もふたつ過たりつゆしぐれ 夏目成美
名木の跡へ廻るや一しぐれ 中川乙由
君が名やいづく行衛のほの時雨 土芳
吸物を出せば晴行しぐれ哉 樗良
吹まはす風のしまりや初時雨 北枝
吹上るほこりの中のはつしぐれ 高井几董
吾妻雲時雨する夜は猶ゆかし りん女
喘息に寐つかぬ声や小夜時雨 黒柳召波
喧*嘩より埒の明たる時雨哉 車庸
嘯ば時雨に香あり菊屋酒 小西来山
噂して居たる所へはつしぐれ 諷竹
噺させて置て寐いるや小夜時雨 露川
土山や唄にもうたふはつしぐれ 高桑闌更
在明となれば度~しぐれかな 許六
地にはまだとをらで通る時雨哉 尚白
坊といふ音にしぐれて山路哉 文鳥
垣越の山や松たけ露しぐれ 北枝
埓明ヶた顔や時雨のあとのやま 蘆本
塗ものゝ上にちよぼ~しぐれかな 去来
塚もけふ誠の渡る時雨かな 暁雨 ふるすだれ
塩うりの松原はしる時雨かな 許六
塩間に鮎死かゝるしぐれかな 如行
塵むすぶ麦の葉組や初時雨 紫貞女
墓もどり十方なき世のしぐれ哉 探志
墨吉や今一*しぐれと暮る迄 諷竹
売庵へ米つき覗くしぐれ哉 北鯤
売竹の枝もぐ里やはつ時雨 蘆本
夕しぐれ古江に沈む木の実哉 黒柳召波
夕山や紅葉に翌の時雨雲 成田蒼虬
夕川や霧のしらみを行時雨 加藤曉台
夕日さす波の鯨や片しぐれ 早野巴人
夕暮を少し残して行しぐれ 桜井梅室
夜あらしや時雨の底の旅枕 鬼貫
夜しぐれに小鮠焼くなる匂ひかな 井上士朗
夜しぐれに小鮠焼なる匂ひかな 井上士朗
夜しぐれはよし野にさかりあらし山 井上士朗
夜や闇時雨に染ぬ梅の花 仙化
夜時雨や鳥一啼の枝うつり 野坡
夜着ふとん有のまゝなり初しぐれ 浪化
夢うつゝ三度は袖のしぐれ哉 去来
夢よりか見はてぬ芝居村時雨 其角
夢破るものはしぐれの蹄かな 亀世
大仏もぬれぬ御代ありはつ時雨 許六
大名も簑着て通れ初しぐれ 露川
大根の大根になるしぐれ哉 尚白
大根の延び出るをとや初時雨 りん女
天の原よし原不二の中行く時雨かな 素堂
天井の鼠躁し村時雨 介我
太皷やむ四条面のしぐれ哉 乙訓
妻木とる内侍の尼のしぐれ哉 黒柳召波
宇治木幡京へしぐれてかゝる雲 曲翠
守りてしれ時雨のゆふべ雪の朝 完来
守山のもりを子にする時雨哉 其角
定めなきものなればこそ初時雨 田川鳳朗
客とめむ時雨の雲の通る内 杉風
客とめん山をはなるゝしぐれ雲 杉風
客主月ほどに待しぐれ哉 野坡
室に詣賀茂の時雨ぞ思ひ出る 望月宋屋
宵の中上野浅草としぐれけり 成美 成美家集
宵やみに松はしぐれて通りけり 芙雀
宵闇の杉にさゝやく時雨哉 猿雖
家によりて亭主のしらぬ時雨雲 土芳
家間に野水の見えて初しぐれ 成田蒼虬
宿のない乞食も走るむら時雨 小西来山
宿の時雨さつさ時雨とうたひけり
宿り木のうと~青し初時雨 六窓 新類題発句集
宿札を打や朝露夕しぐれ 除風
宿老に夜番の供やしぐれ降 小西来山
寐心に存分降りぬはつ時雨 田川鳳朗
寝莚にさつと時雨の明り哉 小林一茶
寺深く竹伐音や夕時雨 黒柳召波
小夜*しぐれとなりの臼は挽やみぬ 野坡
小夜しぐれ人を身にする山居哉 其角
小夜しぐれ竹に入おと幽なり 三宅嘯山
小夜しぐれ隣の臼は挽きやみぬ 志太野坡
小夜しぐれ隣へはいる傘の音 嵐蘭
小夜時雨屋根のちかきに休べし 玄梅
小夜時雨船へ鼠のわたる音 早野巴人
小夜時雨誰じやといへば迯るをと 山店
小夜時雨隣へ這入る傘の音 嵐蘭 類題発句集
小女郎にも走りまけたり夕時雨 乙訓
小春とて蝶はくれどもしぐれかな 風国
小田の鷺目も覚さずにしぐれけり 桜井梅室
尼御前の塗笠したふ時雨哉 三宅嘯山
尼達の旅寐催すしぐれかな 建部巣兆
居つゞけの鳥もわたるや初時雨 浪化
屋根*ふきの萱よ~としぐれ哉 蘆本
屋根*ふきや比良の時雨の晴て行 木節
屋根のそしらぬ顔や村時雨 桃隣
屋根取た菊の姿や村しぐれ 三宅嘯山
山々は痩て時雨るゝ今日のみぞ 芦角
山がらの里かせぎするしぐれかな 去来
山ざとや霧の中なるひと時雨 寥松
山に照り川にさす日の時雨哉 紫白女
山の日のをしのけられてしぐれ哉 りん女
山の色やまうす間もなく初しぐれ 寥松
山下や牛にもはこぶしぐれ水 杉風
山人は木祭すらし初時雨 松窓乙二
山吹や時雨をからん笙のぬし 洒堂
山城のとはかは急ぐ時雨かな 黒柳召波
山姥のはやくもめぐるしぐれかな 白雪
山姫の手をこぼるゝや初時雨 望月宋屋
山水をちよつ~とかするしぐれ哉 尚白
山茶花に手をかけたれば時雨けり 井上士朗
山茶花や時雨の亭の片びさし 池西言水
山風や竹箆返しの村時雨 丈草
山~を染てとふるや初しぐれ りん女
峯筋の出来る日もなく時雨哉 荻人
嶋むろで茶を申こそ時雨かな 其角
川上の煎酒にほふしぐれかな 支考
川音の時雨なりけり御用船 支考
巳取に鴨ねだればや初時雨 五明
市中に松を尋ぬるしぐれ哉 支考
市人の炮碌冠るしぐれかな 建部巣兆
常の身にならでもならず時雨哉 土芳
常斎の仲まに入む朝時雨 鼠弾
常盤なる柑子色つくしぐれかな 墨河 江戸の幸
干網に入日染つゝしぐれつゝ 小西来山
平押に五反田くもる時雨かな 野明
年寄れば時雨をだにも待れけり 五明
年月の夢と時雨を手向かな 嵐竹
年毎や花にしぐれにほとゝぎす 樗良
年~に味ひかはるしぐれかな 諷竹
年~や御意得る度に初時雨 支考
幾人かしぐれかけぬく勢田の橋 内藤丈草
幾切にとりなす夜やさら時雨 野坡
幾時雨心そひ行江戸ざくら 濁子
広沢やひとり時雨るゝ沼太良 史邦
底寒く時雨かねたる曇りかな 猿雖
延た夜にしては甲斐なき時雨哉 田川鳳朗
引被る衣の香床し初時雨 支考
張たてゝ傘ほす昼のしぐれ哉 李由
張立の行燈吹ぬくしぐれかな 卓池
張笠に音聞替よ一しぐれ 中川乙由
影の絵に亦追かくる時雨哉 智月尼
彼袴鳶になつたか夕しぐれ 如行
律僧の鼠ぬれ行しぐれかな 小西来山
後の世の事など松のしぐれ哉 諷竹
後の月蕎麦に時雨の間もあらね 松岡青蘿
御さがりと言ん二見の初しぐれ 成田蒼虬
御前には人すくななり夕時雨 越人
御命講のつぶりて走るしぐれかな 許六
御火焼に杉ふる雪の時雨哉 木節
御築地に見こす山辺やいく時雨 炭太祇
御逮夜は芭蕉にうけて時雨けり 百里
御首てる正面通リしぐれけり 高桑闌更
徳利さげて賤の子うたふ時雨哉 四睡
心する紙の匂や夕しぐれ 五明
心せよ時雨も早し東山 成田蒼虬
忍の字を忍ぶとよみてしぐれつゝ 土芳

以上
by 575fudemakase | 2016-11-14 10:10 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

時雨 3

時雨 3

横川かのあたり時雨の糸ごしに 成瀬正とし 星月夜
横臥しの片耳を過ぐ夜のしぐれ 丸山海道
樫の木に時雨鳴くなり谷の坊 時雨 正岡子規
樫の木に時雨鳴るなり谷の坊 時雨 正岡子規
橋は夕日竹屋の渡ししぐれけり 時雨 正岡子規
橋立の片波高きしぐれかな 西山泊雲 泊雲句集
橋立をたてに雲ゆく時雨かな 西山泊雲 泊雲句集
機くるひ縞に出て軒時雨れけり 内田百間
橡の実は厚朴におくれてはつしぐれ 飯田蛇笏
檜葉垣や時雨るる石の荒御魂 古舘曹人 樹下石上
檜隈に色どめしたるしぐれかな 安東次男 昨
欅山ながら時雨の庭ながら 京極杞陽 くくたち下巻
歌詠んで又泣きたまふ時雨哉 時雨 正岡子規
正倉院木の実時雨のただ中に 河合佳代子
此の猿はやしろ久しき時雨かな 斯波園女
此頃はどこの時雨に泣いて居る 正岡子規
武藏野や夕日の筑波しくれ不二 時雨 正岡子規
歸り花それも浮世のしくれ哉 時雨 正岡子規
残菊に北山しぐれほしいまゝ 山本い花
残菊のなほはなやかにしぐれけり 日野草城
母の嘆きのとほざかるしぐれ虹 黒田杏子 花下草上
母葬る土美しや時雨降る 橋本多佳子
比叡あたご雲の根透けり村時雨 言水
比叡おろししぐれの度や寝床替 内藤丈草
比叡までものぼれ時雨のはしり舟 李由 俳諧撰集「有磯海」
比枝の雲夜はしぐるゝともし哉 時雨 正岡子規
比枝一つ京と近江のしくれ哉 時雨 正岡子規
毘沙門の杉が時雨をよびにけり 角光雄
水ぎはもなくて古江のしぐれ哉 蕪村遺稿 冬
水にまだあをぞらのこるしぐれかな 久保田万太郎 流寓抄
水の上風追うてゐる時雨かな 吉武月二郎句集
水神に笹生の時雨小降りがち 飯田蛇笏 椿花集
水迅き疎水へ紅葉しぐれかな 槙尾登代子
水面に時雨し跡のなまなまし 右城暮石 上下
水鳥のかたまりかぬる時雨かな 良長 古句を観る(柴田宵曲)
水鳥の背の高う成るしぐれかな 千代尼
水鶏去而入野北方時雨鳧 日夏耿之介 婆羅門誹諧
氷屋の氷にしぐれゐたりけり 田中裕明 山信
池の星またはらはらと時雨かな 立花北枝 (?-1718)
池の星またはら~としぐれかな 北枝
池の星又はらはらと時雨かな 立花北枝
池の鴨森の鴉や夕時雨 寺田寅彦
池隈の鴛鴦の彩濃に時雨かな 松根東洋城
池隈の鴛鴦の彩艶に時雨かな 東洋城千句
汽車此夜不二足柄としぐれけり 時雨 正岡子規
沈みゆく夜の底へ底へ時雨落つ 山頭火
沖を航く船に陽のさす時雨かな 中村美代子
沖夕焼けて鴎鳴き合ふ時雨かな 金尾梅の門 古志の歌
沖晴れて時雨るる此処が三国町 深見けん二
沖波は時雨れて暗し屋根の上 有働亨 汐路
沖見ゆる障子の穴もしぐれけり 梅室
沢音の時雨とまがふ木曾山中 片山由美子 天弓
河原鶸しぐれの道となりにけり 尾林朝太
沸く音の時雨を風炉の名残かな 鳳朗
油断せぬかほや時雨るる琵琶法師 立花北枝
沼の香をしぐれゆく彼方坂あがり 安斎櫻[カイ]子
沼波の光りを消さず時雨来し 石井とし夫
法堂の一角灯るしぐれ哉 中川宋淵 詩龕
波はしりしぐれくもりに七つ島 猿橋統流子 『丹波太郎』
波音かしぐれか旅寝うつゝなる 内田准思
泥地獄時雨を得つつ沸沸と 中村汀女
泪しぐるゝや色にいでにけり我戀は 時雨 正岡子規
洞あればかくれ鬼の木しぐれけり 岩城久治
流れたる雲や時雨るる長等山 カガ-北枝 十 月 月別句集「韻塞」
流人船実に時雨て見送りぬ 加舎白雄
流燈はさんだらぼつちささしぐれ 文挟夫佐恵 遠い橋
浄林の釜にむかしを時雨けり 時雨 正岡子規
浅草に七味を買へば時雨れけり 江口千樹
浅草の時雨打つなりどぜう汁 松山足羽
浜芦屋晴れ山芦屋時雨つゝ 北垣宵一
浦しぐれ灯台母のごと灯る 吉田杉子
浪人となりてひもじき時雨かな 小酒井不木 不木句集
浪人を一夜にふるす時雨哉 時雨 正岡子規
海と山しくるゝ音や前うしろ 時雨 正岡子規
海に去る時雨や追へぬものばかり 西川 織子
海に沖あり霧時雨して見えざれど 高柳重信
海に遠く/海に/向く坂/風しぐれ 林 桂
海に降る時雨や人を隔てつゝ 小佐田哲男
海は照り松は時雨の枝張りて 岩田昌寿 地の塩
海光をはるかに置きて時雨れけり 須藤常央
海原の如く照らしぬ時雨月 波多野爽波 鋪道の花
海山のしぐれつきあふ菴の上 内藤丈草
海棠の花は咲ずや夕しぐれ 蕪村遺稿 冬
海津余呉木之本尾上しぐれけり 草間時彦 櫻山
海溝をたしかに越えししぐれ雁 吉田紫乃
海苔襖重ねて奥行しぐれ軒 平井さち子 完流
海蒼くしぐれ敗戦兵還る 石原舟月
海鼠今松葉しぐれて桶の中 松瀬青々
消ゆるまで時雨に赤き一位笠 川崎展宏
消炭のつやをふくめる時雨かな 室生犀星 魚眠洞發句集
淡路より時雨もすなり月も照 松岡青蘿
深山路や落葉しぐれに逢ふも旅 柴田道人
深川は月も時雨るる夜風かな 杉風
深曇りして時雨よぶ鳰の海 柴田白葉女 『冬泉』
深谷やしきる時雨の音もなし 服部嵐雪
清滝に宿とるべくとしぐれ居り 比叡 野村泊月
渓の樹のぬれざるはなくしぐれやむ 飯田蛇笏 雪峡
渡し場にまだ謫仙のしぐれかな 加藤郁乎 佳気颪
渦染めて鯉のきほへばしぐれけり 金尾梅の門 古志の歌
温泉煙のまた濃くなりし時雨かな 土屋仙之
湖に月をおとすやむらしくれ 時雨 正岡子規
湖のしぐれてきたる祝箸 福島 勲
湖の方雲夕づくとしぐれけり 角川源義 『神々の宴』
湖の色かはり~て時雨雲 高濱年尾 年尾句集
湖の隈藍少しある時雨かな 内藤吐天
湖へむく湖北観音しぐれつつ 川原 博美
湖や底にしくるゝ星の數 時雨 正岡子規
湖西線また*えりが見えしぐれけり 町田しげき
湖頭の碑欠けて無き字に時雨かな 比叡 野村泊月
湯のたぎる家のぐるりを時雨けり 時雨 正岡子規
湯のたぎる薬鑵は貧し時雨けり 阿部みどり女
湯ぶねより一とくべたのむ時雨かな 川端茅舎(1897-1941)
湯場しぐれお吉の唄のものさびず 林原耒井 蜩
湯手拭被せて古提灯も時雨れけり 林原耒井 蜩
源義桂郎しぐるる雲に乗り給ひ 山田みづえ
溝こえて小笹に辷るしぐれ鶏 松村蒼石 寒鶯抄
滂沱たる部分もありてはつしぐれ 渋谷 道
滝壺に滝写りをりしぐれ馳く 猿橋統流子
漂行の鳥影は祖父片しぐれ 佐藤鬼房 朝の日
漉切(すきぎれ)や鼻の穴もれ行く時雨 調巴 選集「板東太郎」
漕ぎ急ぐ舟とも見えず時雨れつゝ 石井とし夫
潮騒や木の葉時雨るる夜の路 臼田亞浪 定本亜浪句集
澤渡りの石ぬれそめし時雨かな 久保田万太郎 草の丈
濡にける的矢をしはくしぐれ哉 炭 太祇 太祇句選
濡れてゐる朴に月あり小夜時雨 松本たかし
濤音にしぐれのまじる行幸宿 宮武寒々 朱卓
瀬の音のいつか時雨るゝ音なりし 稲畑汀子 汀子句集
瀬の音の時雨に似たる蕪蒸 角川春樹
火ともしの火ともしかねつむら時雨 時雨 正岡子規
火の上に読む文濡れし時雨哉 尾崎紅葉
火祭を待つ間時雨の幾度か来て 鈴木真砂女 夕螢
灯かすかに沖は時雨の波の音 時雨 正岡子規
灯れば東廓の時雨傘 高野 典
灯をかへす時雨のありし庭の石 川島彷徨子 榛の木
炉話の寝込み勝ちなり一ト時雨 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
炭斗にしぐれに濡れし炭まじる 能村登四郎
炭斗のしぐれに濡れし炭まじる 能村登四郎
烏丸は時雨れ五条の柳散る 小松崎爽青
烏鳶をかへり見て曰くしぐれんか 時雨 正岡子規
無患子のしぐれし空にみなぎる実 皆吉爽雨 泉声
無愛想な雲の端よりしぐれけり 吉野トシ子
煙草消す男に帰心小夜時雨 谷口桂子
照紅葉さきほど時雨したりとか 阿波野青畝
熊笹のさゝべり白し時雨ふる 川端茅舎
熊笹を時雨のはしる天城越え 山本 洋子
熱湯にこんにやく踊る目借時 雨宮抱星
燐寸すりて人を送れるしぐれかな 室生犀星 犀星発句集
燗ぬるくあるひはあつくしぐれかな 久保田万太郎 草の丈
燗番のしぐれてゐるや大根焚 五十嵐播水
燗酒や屋島あたりがしぐれをり 里見善三郎
燠かきのかくもへりゐて時雨宿 銀漢 吉岡禅寺洞
燭寸かつ振り子の詩なり片しぐれ 加藤郁乎
爛番のしぐれてゐるや大根焚 五十嵐播水 播水句集
爪ほどの貝むらさきに時雨けり 古舘曹人 砂の音
爪琴の下手を上手にしぐれけり 時雨 正岡子規
父の墓夕べあしたとしぐれけり 山田みづえ 木語
父の廟子の廟並ぶ時雨かな 比叡 野村泊月
父の松抱いてしぐるる日なりけり 橋石 和栲
片しぐれして林中の青水輪 冨田みのる
片しぐれ人参島より来たりけり 山尾 玉藻
片しぐれ北山杉の空せまき 高橋君枝
片しぐれ幾日つづくぞ小町寺 麦水
片紅葉しぐれけぶりに鷹ヶ峰 野沢節子
片脚は琵琶の湖中に時雨虹 田畑美穂女
片脚を湖に堅田の時雨虹 杉山恵子
牛つなぐ酒屋の門のしくれ哉 時雨 正岡子規
牛つんで渡る小船や夕しぐれ 正岡子規
牛のせて渡る小舟や夕しくれ 時雨 正岡子規
牛の尾に壁のやぶれをしくれけり 時雨 正岡子規
牛の尾もぬらす名所のしくれ哉 時雨 正岡子規
牛むれて歸る小村のしくれ哉 時雨 正岡子規
牛一つ見えてしぐるゝ尾上哉 時雨 正岡子規
牛車歸る大津のしくれ哉 時雨 正岡子規
牛鍋のふつふつ煮えて伊勢時雨 田部みどり
牛馬のくささもなくて時雨かな 浪化 俳諧撰集「有磯海」
牡丹焚く背なつつぬけにしぐれ闇 吉田未灰
牡丹焚火待つしぐれ傘かたむけて 吉田未灰
物いはば雲はしぐれん冬近し 樗良
牲の牛ひた啼いて時雨満山に 久米正雄 返り花
犀川を渡り地震くる時雨来る 西本一都 景色
犬の碑をけふより打ちて時雨来ぬ 石田あき子 見舞籠
犬一匹受付に寝て時雨寺 市川冨士子
犬張子買へばしぐるる谷中かな 角谷昌子
狐火の次第に消ぇて小夜時雨 井上井月
狐火は消えて野寺の朝しくれ 時雨 正岡子規
狛犬や碓氷の神のしぐれける 川崎展宏
猩々木緋をうち重ねしぐれけり 千代田葛彦 旅人木
猪の岩鼻はしるしくれ哉 時雨 正岡子規
猿一つ蔦にすがりてしぐれけり 正岡子規
猿酒をおもへば深山時雨けり 大串章
獄を出て時雨の中を帰りけり 角川春樹
獅子灯籠鶴灯籠としぐれけり 蓑谷皐一
玄海の沖暗みつゝ時雨来し 高濱年尾
玄関にて御傘と申時雨哉 炭 太祇 太祇句選
玉笹や不断時雨るゝ元箱根 井原西鶴
玻璃すこしよごれて時雨来りけり 深見けん二
珠洲と呼び名舟といひてそだち来し能登のうみやましぐれ降りをり 三井ゆき
球なくて電柱立てり海しぐれ 山口誓子
琵琶の音にさそひ出しけり小夜しくれ 時雨 正岡子規
瓦置く其夜めてたき時雨かな 尾崎紅葉
甌穴によびよせられて時雨ふる 横山白虹
甕群に藍の華浮く時雨山 古舘曹人 樹下石上
甘酒の釜の火色の嵯峨しぐれ 鈴木鷹夫 渚通り
生きて世に寝覚うれしき時雨かな 召波
生姜もてころす馬刺や夕しぐれ 中尾杏子
産小屋に星の穴ある時雨寒 古舘曹人 砂の音
産小屋に藁塗りこめて時雨寒 古舘曹人 砂の音
産小屋の月日を返す時雨傘 古舘曹人 砂の音
田の家の今ともしける夕時雨 臼田亞浪 定本亜浪句集
田戻りや時雨に濡れしものを抱き 橋本鶏二 年輪
由布越えて来し時雨冷え温泉に浸り 高濱年尾 年尾句集
甲山よりも小さく時雨虹 山田弘子 懐
男一人京のしぐれにあひにゆく 矢島渚男 梟
町の灯へ戻りて泊つる小夜時雨 稲畑汀子
畔塚をうかゞひゐるやしぐれけり 齋藤玄 飛雪
留学の子ありしぐるる壁に地図 皆吉爽雨
畝襟や時雨もいたく横嵐 尺草 選集「板東太郎」
畦道をうろたへ廻る時雨かな 水田正秀
畳屋のいなでぞありぬ夕しぐれ 高井几董
畸人傅をとぢかへす夜の間の時雨かな 日夏耿之介 婆羅門俳諧
疾き影は玄海灘の時雨雲 文挟夫佐恵 遠い橋
病床の淡路島よりしぐるるか 田畑美穂女
痩像に魂を入歟小夜しぐれ 松岡青蘿
発ちし子の今はフエリーか小夜時雨 山田紀子
白ベレー大和しぐれに濡れてをり 佐川広治
白味噌の椀の洛中しぐれけり 大屋達治
白朮火を傘に守りゆく時雨かな 大谷句仏
白毫の塔まぼろしに山時雨 小島千架子
白河の関のしぐれの九曜紋 西田真理子
白無垢の蚕蛾のわななくしぐれかな 千代田葛彦
白無垢の蚕蛾わななくしぐれかな 千代田葛彦
白砂の山もあるのにしくれ哉 時雨 正岡子規
白神時雨荒れて猿の横走り 星野紗一
白粥をまぶしくしぐれ通りけり 田中鬼骨
白芥子や時雨の花の咲きつらん 芭蕉「鵲尾冠」
白菊の少しあからむ時雨哉 時雨 正岡子規
白鷺と天の接点しぐれけり 野見山ひふみ
白鷺は堰を離れず夕時雨 笹井雅司
白鷺も鷺見る面もしぐれけり 古賀まり子 緑の野以後
百幹の竹のしぐれてしづくせず 檜紀代
盤渉にしぐるゝ須磨の板屋哉 時雨 正岡子規
目もとより時雨の晴るる庵主さま 川崎展宏
目を閉じるほかに何ある時雨鹿 伊丹三樹彦
目前をむかしに見する時雨哉 蕪村遺稿 冬
目覺むれは猶降つてゐるしくれ哉 時雨 正岡子規
直撃の笑ふほかなし青時雨 檜紀代
相傘に片袖づゝをしぐれかな 横井也有 蘿葉集
相寄りて陶榻ふたつ時雨けり 岸風三楼 往来
眼うとしと母こごみ寝る時雨れんか 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
眼の隅に尼僧の素足しぐれ止む 横山白虹
眼を閉じるほかに何ある 時雨鹿 伊丹三樹彦
着陸の光る時雨となりゆける 稲畑汀子 汀子第三句集
瞽女の唄山椒太夫しぐれけり 西本一都 景色
石にまた戻る石仏時雨晴れ 伊藤敬子
石のしたしさよしぐれけり 荻原井泉水
石の上にやみはじめたる朝しぐれ 岡井省二
石上の霰にそそぐ時雨かな 会津八一
石山に時雨るゝ虹の短けれ 松藤夏山 夏山句集
石廊時雨るゝ夜や「科野路」を読了す 林原耒井 蜩
石段のぬるるにはやきしぐれかな 久保田万太郎
石段のぬるゝにはやきしぐれかな 久保田万太郎 草の丈
石臼の陰のしぐれてあそこ爰(ここ) 内藤丈草
石蕗咲けりけさしぐれたる痕きえず 久保田万太郎 流寓抄
石見路のしぐれやすさよ子持鮎 飴山實 少長集
砂みちのあくなくぬるゝしぐれかな 久保田万太郎 流寓抄
砂原の時雨吸いこんて水もなし 時雨 正岡子規
砂山にぬるゝ草ある時雨かな 増田龍雨 龍雨句集
砂山の砂ふところに墓しぐれ 細見綾子 雉子
砂川の時雨吸こんで水もなし 時雨 正岡子規
砂色の鳥啼く礁しぐれ来る 文挟夫佐恵 雨 月
研ぎたての太刀魚届く夕しぐれ 木屋四風子
碑をかこむ鉛筆の音時雨の音 加藤知世子 花 季
磯しくれ花も紅葉もなかりけり 時雨 正岡子規
礪波越すあはたゞしさよ幾時雨 前田普羅 能登蒼し
祗王寺の篝あととかうちしぐれ 田邊夕陽斜
神の名の嶺より走り霧しぐれ 山田弘子 懐
神主にいぶかしまれつ夕時雨 比叡 野村泊月
神護寺の仏も眠る峯しぐれ あるひ花野
神輿倉昼も灯す青しぐれ 高澤良一 素抱
神農の軸掛け医家の時雨月 浜田徳子
神鏡の曇りかしこき時雨かな 比叡 野村泊月
禅寺の磴に手摺や雪しぐれ 正部家一夫
禅林の廊下うれしきしぐれ哉 蕪村遺稿 冬
禪寺のつくづく古き時雨哉 時雨 正岡子規
種おろし遠峯しぐれのうつるころ 福田甲子雄
種おろし遠嶺しぐれのうつるころ 福田甲子雄
稲佐山寝墓しぐれておはすらん 桑田青虎
稲扱きのモーター競ふ月時雨 柴田白葉女 遠い橋
稲架しぐれ信濃に多き道祖神 西本一都 景色
稲架を打つてしぐれは海へ走り去る 木下夕爾
稲架襖伊賀山時雨今日は来ず 橋本鶏二 年輪
稻掛けて神南村の時雨哉 稲掛 正岡子規
積み込みし俵にぬくきしぐれかな 井上井月
積丹の背山越えくる時雨雲 井熊 茂
穴うさぎ穴掘ればまたしぐれけり 大江眞一路
穴仏異な顔したるしぐれかな 阿波野青畝
穴熊の耳にしぐるゝ夕哉 時雨 正岡子規
空と雲重なり合へば時雨けり 安田哲夫
空になき時雨の音の石にあり 井田すみ子
空に飛ぶ山や時雨の來りけり 時雨 正岡子規
空の八隅くらし時雨の来つつあり 上村占魚 『石の犬』
空ら拭きの机にひびくしぐれかな 高澤良一 ねずみのこまくら
空海の道われの道横しぐれ 黒田杏子 花下草上
空濠へかなかなしぐれ降り込めり 野澤節子
窓あけて見送つてゐる時雨かな 比叡 野村泊月
窓しぐれ鏡の林しぐれけり 阿部みどり女 笹鳴
窓の灯の佐田はまだ寝ぬ時雨かな 蕪村
窓打つや落葉しぐれの風の渦 石塚友二 方寸虚実
窓押すや藪のはざまの時雨星 西山泊雲 泊雲句集
窓推すや時雨ながらの夕月夜 時雨 正岡子規
窯ぐれの手だれ時雨れて窯泣けり 鈴木詮子
竈馬来て硯池をのぞく小夜時雨 高田蝶衣
立臼のぐるりはくらし夕時雨 樗良
立臼のぐるりは暗し夕しぐれ 樗良
竜胆に日のさして居る時雨かな 比叡 野村泊月
竜胆を摘みし野悼み時雨くる 井上哲王
竝ぶ訃やただ柿熟るゝ時雨空 横光利一
竪戸樋の中は旱の時雨かな 士丸
竹の実の嵯峨の時雨に遇ひにけり 青木重行
竹むらやややにしぐるる軒ひさし 室生犀星 魚眠洞發句集
竹売つて酒手にわびむつゆ時雨 立花北枝
竹寺の竹の時雨にあひ申す 松原地蔵尊
竹杖に想ひはせをり加賀しぐれ 大谷 茂
竹林の径ゆづり合ふしぐれ傘 鹿毛み月
竹柏林幾代神びぞしぐれつつ 下村槐太 光背
竹植うるその日を泣くや村しぐれ 素堂「鉢扣」
竹藪を出れば嵯峨なり夕時雨 時雨 正岡子規
笛吹童子時雨の夜は何をなす 鈴木六林男 王国
笠とれば六十顔の時雨かな 斯波園女
笠もなきわれを時雨るるかこは何と 芭蕉
笠もなき我を時雨るるかこは何と 松尾芭蕉
笠塚にふるは紅梅しぐれかな 西本一都 景色
笠塚に笠のいはれをしくれけり 時雨 正岡子規
笠寺や時雨濡らさぬ観世堂 磯野充伯
笠提げて塚をめぐるや村しぐれ 立花北枝
笠提て塚をめぐるや村しぐれ 北枝
笠箱や跡の川音夕しぐれ 調泉 選集「板東太郎」
笹の葉に西日のめぐる時雨かな 椎本才麿
筆あはれ時雨の雲の濃く淡く 相生垣瓜人 微茫集
箱庭の寸馬豆人をしくれけり 時雨 正岡子規
篁の嵯峨はしぐるる墓どころ 石原舟月
簷だれの坊主落ちずに霧時雨 阿波野青畝
籾すりの夜より癖づきし時雨かな 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
糸に只声のこぼるる時雨かな 上島鬼貫
紅をひき出かけずにいる時雨かな 田中基白
紅を引く夜汽車の窓を時雨かな 佐藤文子
紅茸は木の葉に消えず山時雨 飯田龍太
紙漉くや橙のまたしぐれをり 大峯あきら 鳥道
素通りの故郷の山河時雨れをり 山田弘子 こぶし坂
紫に上る時雨も京らしく 星野 椿
紫の時雨の空もありにけり 大峯あきら 宇宙塵
紫陽花を鳴らす鶲の時雨かな 渡辺水巴 白日
結界の身に青時雨埒もなや 角川源義
絵殿の絵脳裡を去らずしぐれけり 下村槐太 天涯
絵馬を見る人顔暗き時雨かな 阿部みどり女
絵馬堂や時雨あそびの子守唄 吉武月二郎句集
絵馬幾重いくへに青葉時雨かな 樋口桂紅
網さらす松原ばかりしぐれかな 素堂
綿の木にしぐれかけたり娵そしり 河東碧梧桐
綿玉のひそかにはぜる時雨哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
緋の夜具をかむりて聴くや坊時雨 近藤一鴻
総門の白蛙股時雨けり 高澤良一 燕音
縁に出て松を仰げば時雨かな 比叡 野村泊月
縦横に絲瓜一つをしくれけり 時雨 正岡子規
縮むかに天の橋立しぐれをり 竹中碧水史
繭の中音しづまりてしぐれなる 室生犀星 遠野集
義仲を梦見る木曾のしくれ哉 時雨 正岡子規
義仲寺へいそぎ侯はつしぐれ 一茶 ■寛政七年乙卯(三十三歳)
義経の落ちし街道しぐれけり 猪俣 壽水
羽の国の稲刈しぐれ湖を渡る 西本一都 景色
羽織着て出かゝる空の時雨かな 高井几董
翁の日ロンドン塔もしぐるると 酒井 武
翁見む夢のしぐれは誠にて 松岡青蘿
翆黛の時雨いよいよはなやかに 高野素十
翠黛(すゐたい)の時雨いよいよはなやかに 高野素十(1893-1976)
翠黛の時雨いよいよはなやかに 高野素十
翠黛の時雨いよ~はなやかに 高野素十
老いぼれしくひつき犬をしぐれけり 時雨 正岡子規
老が恋わすれんとすればしぐれかな 蕪村
老幹の苔したたかに時雨吸ふ 田中水桜
耳に手やこっち次第の村時雨 濯資 選集「板東太郎」
耳奥に時雨の谷の小鳥たち 高野ムツオ 雲雀の血
耳鳴りの耳振つて聴く時雨かな 小出 恋
聖堂の森の時雨や夕鴉 寺田寅彦
聞き耳の至近にありし時雨の夜 岡田 耕治
聞香に一本の松しぐれけり 大石悦子 聞香
聞香の思ひ猿蓑時雨の碑 加藤知世子 花寂び
職辞して帰るに開くしぐれ傘 三浦晴子 『晴』
肉桂(シナモン)で掻き混ぜてゐる時雨かな 中原道夫 巴芹
肌着即体温かなかなしぐれかな 池田澄子
肘張つて蟹茹でらるる雪時雨 鈴木真砂女 夕螢
肝心の日は時雨けり大根曳 浜田酒堂
肥前しぐれて光体となる壺の群 佐川広治
肩先に京訛きく時雨道 渡辺 恭子
肩出して大根青し時雨雲 前田普羅 新訂普羅句集
肩濡らすほどにしぐれて与謝峠 茂里正治
背山よりしぐれ尾を曳く神事能 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
背戸あけて家鴨よびこむしぐれ哉 正岡子規
能登しぐれ曳売りの荷を濡らし過ぐ 茂里正治
能登よりのしぐれが来ると宿をんな 石川文子
能登路には能登路のしぐれはじまれり 安東次男 裏山
能登金剛しぐれの中にそそり立つ 吉田未灰
能面の裏を返せば時雨れけり 清水道子
膝並めて木の実時雨を聞く縁し 杜藻
膝小さく杞陽夫人や時雨寒 山田弘子
膳まはり物淋しさよ夕しくれ 時雨 正岡子規
臘梅や枝まばらなる時雨ぞら 芥川龍之介
自嘲うしろすがたのしぐれてゆくか 種田山頭火
自転車を漕ぐ子と父の夏果てて坂の上なるかなかなしぐれ 三枝昂之
舞妓くる智恩院さま花しぐれ 萩原麦草 麦嵐
舞扇ひらきてとぢて時雨れけり 金久美智子
舟つなぐ百本杭のしくれ哉 時雨 正岡子規
舟一つ遠州灘のしくれ哉 時雨 正岡子規
舟人にぬかれて乗し時雨かな 尚白
船宿の外階段のしぐれけり 行方克己 昆虫記

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by 575fudemakase | 2016-11-13 18:55 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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