カテゴリ:冬の季語( 1192 )

十二月

十二月

十二月に入った。
さきに十一月句をとりあげたので 同様に 十二月句を取り上げる。
319句ばかりあろうか?皆さん何を詠んでおられるか目先の多様さ
をお愉しみください。(俳句例句DBより)

「その内」はもう目の前に十二月 高澤良一 宿好 十月-十二月
いつも見る山に日当り十二月 池田秀水
いま息しをり歩きをり十二月 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
うさぎ屋のばあさんとゐる十二月 夏井いつき
おじゃがの芽惜しげなくかき十二月 市村フミ
おそろしきこと言ひにゆく十二月 夏井いつき
おばさんがくつついてくる十二月 二村典子
お百度や胃のひやひやと十二月 角川春樹 夢殿
かなしみは樹々にもありぬ十二月 阿部みどり女
かへりみて貧しき松や十二月 依光陽子
からくりのごとくもう来ぬ十二月 塚本青曜
からまつの下の跫音十二月 小山森生
くらがりへ水の入りゆく十二月 小室善弘
くろがねの仏の憂しや十二月 角川春樹
くろ~と筧の垢や十二月 楠目橙黄子 橙圃
この時化に出て行く船や十二月 白幡千草
さまざまの赤き実のある十二月 森澄雄
それがまた間違いファクス十二月 小沢信男
どぜう屋の炭火を恋へり十二月 瀧春一
どんよりと蜂蜜こごる十二月 有働亨 汐路
なき母を知る人来たり十二月 長谷川かな女 雨 月
にはとりの上はまつさを十二月 原田喬
のれん出て婦の艶たるは十二月 飯田蛇笏 雪峡
ひそやかに父祖の祀や十二月 森川暁水 黴
ひとが焼く瓦斯火の魚よ十二月 石川桂郎 含羞
ふすまたおして十二月十日白噺 阿部完市 春日朝歌
ぶつぶつ切る小包の紐十二月 皆川白陀
へろへろの日めくりを剥ぐ十二月 小坂かしを
まつすぐに十二月来る月曜日 二村典子
みな死んでしもたよ十二月の熊野 宇多喜代子 象
みんなみの雲の眩しき十二月 竹本仁王山
むべの実に紫のりし十二月 栗林千津
めざめゐて神の灯仰ぐ十二月 松村蒼石 寒鶯抄
もどり来て普段着ぬくし十二月 小島千架子
もの置いてたてよこたてよこ十二月 中戸川朝人
もろもろの島は種なり十二月 夏石番矢
ゆれる帆柱海に傘ふる十二月 久保純夫 瑠璃薔薇館
わが生死食思にかかる十二月 相馬遷子 山河
われひとに夕靄の濃き十二月 松村蒼石 露
われ急くや影も小走り十二月 堀恭子
アノ世ヘモ鮭送ラント宛名書キ十二月ノ雲呼ンデミルナリ 疋田和夫
サハリンの見ゆる岬や十二月 中山允晴
サーカスの象吊る港十二月 野溝サワ子
チンゲン菜油を飛ばす十二月 高澤良一 素抱 十月-十二月
バスに席得て目をつむり十二月 橋本風車
バスの尻バスより見えて十二月 行方克巳
パート募る年令伸びて十二月 山口恵子
ラジカセの響く工事場十二月 松沢満里子
ラーメンの縮れさみしき十二月 篠塚千恵美
一円玉じゃけんにされて十二月 高澤良一 随笑 十月-十二月
一弟子の離婚の沙汰も十二月 安住敦
一柱(ちゅう)の焔めくれて十二月 野澤節子 『八朶集』
主を頌(ほ)むるをさなが歌や十二月 石塚友二
主婦の座に定年欲しき十二月 塙 きく
事務服の吹かれ走りや十二月 草間時彦
二日続きてなほ磨る墨や十二月 長谷川かな女 雨 月
人の世はかそけし暗し十二月 石原八束 『幻生花』
人込みに白き月見し十二月 臼田亞浪 定本亜浪句集
仏花買ふ銭が幼なし十二月 長谷川双魚 風形
仲見世の裏行く癖も十二月 石川桂郎
住所録坐右に置きて十二月 本田三千代
何事も先手取るべし十二月 高澤良一 鳩信 白帝
信号の替はりおそくて十二月 加藤一智
借りて読む獄書のくさき十二月 秋元不死男
元禄の雪が雪呼ぶ十二月 河野南畦 『元禄の夢』
光なき遠嶺の紺や十二月 大岳水一路
入浴も仕事のひとつ十二月 佐野みつ
入込みに白き月見し十二月 臼田亜浪
六地蔵装ひ変へて十二月 藤本スエ子
共生の宇宙会議や十二月 國島十雨
再校の筆とることも十二月 井桁蒼水
凌渫船杭つかみ出す十二月 秋元不死男
分銅に光る鱗も十二月 加藤耕子
切売りの鯨・鮪も十二月 鈴木真砂女 夕螢
刈らぬ萩だん~惜しく十二月 長谷川かな女 雨 月
利き指の繃帯白き十二月 片岡とし子
削るほど紅さす板や十二月 能村登四郎
十二月あくまで箱を折らむとす 栗林千津
十二月あのひと刺しに汽車で行く 穴井太(1926-97)
十二月あひると愛人疾走す 攝津幸彦
十二月いつも後ろに鴉いる 遠藤 煌
十二月さくらもみぢの二葉三葉 松村蒼石 寒鶯抄
十二月と思ひペンとる常のごと 福田蓼汀 山火
十二月どうするどうする甘納豆 坪内稔典
十二月の大根畑は買われて村は寒むざむ大根を抜き大根を洗い 橋本夢道 無禮なる妻抄
十二月の屋根の漏り直してくれてゐる 小澤碧童 碧童句集
十二月の曇空よ暮れてしまへ 原田種茅 径
十二月の甘藷に日をあて女欲し 岩田昌寿 地の塩
十二月の窓明けはなち産声きく 加藤知世子 花 季
十二月ひとに疲れを量らるる 野澤節子 遠い橋
十二月まなざしちらと嫁ぎけり 中尾寿美子
十二月みたらしに檜の新柱 小松原みや子
十二月を赤舟も大鯉もはしる利根 阿部完市 春日朝歌
十二月一日のあした富士を見る 福田把栗
十二月一日も雨八日も雨 宇多喜代子 象
十二月一日天意の船の逗留も 河野静雲
十二月七日の銀座小糠雨 山田閏子
十二月三十日の氷かな 今井杏太郎
十二月人をしかるに日をかぞへ 川柳
十二月余白なくなる蜜柑の酸 阿部みどり女
十二月候文の手紙来し 石川魚子
十二月八日あまたのラブホテル 岩城久治
十二月八日かがみて恥骨あり 熊谷愛子
十二月八日ごつごつ石ばかり 廣瀬直人
十二月八日たまたま洲崎かな 伊藤いと子
十二月八日の冴えに退りけり 渡邊水巴 富士
十二月八日の日差がんもどき 原田喬
十二月八日の昼の物音す 高澤良一 随笑 十月-十二月
十二月八日の薄きおみおつけ 高澤良一 随笑 十月-十二月
十二月八日の都夜霧濃し 藤井寿江子
十二月八日の霜の屋根幾万 加藤秋邨 雪後の天
十二月八日やぬるき湯に浸かり 森田智子
十二月八日よ母が寒がりぬ 榎本好宏
十二月八日を夫の言ひ出づる 天野慶子
十二月八日を過ぎて生残る 三橋敏雄 畳の上
十二月八日ミルクの膜厚き 櫂未知子 蒙古斑以後
十二月八日一人言へども誰も云はず 熊谷愛子
十二月八日卵黄漲りぬ 原田喬
十二月八日同年酌み交はす 森田峠 逆瀬川以後
十二月八日味噌汁熱うせよ 桜井博道
十二月八日夜干しのズボン垂れ 内田 美沙
十二月八日新聞両手もてひらく 前田典子
十二月八日月夜の通り雨 菊地千枝子
十二月八日根をもつごとき霜 桜井博道 海上
十二月八日沖見てゐる一人 宮城白路
十二月八日産声二度起る 萩原麦草 麦嵐
十二月八日鯊釣る帽深く 殿村莵絲子 牡 丹
十二月医者に持薬のあることも 飯田龍太 遅速
十二月友にふとん屋こんにやく屋 内田 美沙
十二月塔に蜥蜴の彫られけり 皆吉司
十二月富士嶺は星ぶつけられ 阿部完市 春日朝歌
十二月小筆の増えし硯箱 伊東一升
十二月山明るくて退路なし 櫛原希伊子
十二月心に留む忌日あり 小島阿具里
十二月截られし鉄と昼休む 森田智子
十二月枯土の家に盲導犬 攝津幸彦
十二月桑原になくすずめかな 飯田蛇笏 山廬集
十二月梅少し咲きて空寂か 渡邊水巴 富士
十二月歯療機は娘をかい抱く 宮武寒々 朱卓
十二月洲に白鷺の嘴疲れ 松村蒼石 雪
十二月潤みののぼる蘆の茎 松村蒼石 雪
十二月火の神恋うて火の用心 中山純子 沙 羅以後
十二月瓦礫の音は踏むものに 古沢太穂 古沢太穂句集
十二月真向きの船の鋭さも 友岡子郷
十二月空廻りするドアのノブ 石川文子
十二月緘じて空中観覧車 松山足羽
十二月藁いろに町暮れにけり 中まり子
十二月蜻蛉の翅草に透きぬ 渡邊水巴 富士
十二月街頭神を説く処女 福田蓼汀 秋風挽歌
十二月農車に黒き油さす 榎本冬一郎 眼光
十二月遁れて坐る落語席 野地新助
十二月青空を見る小さき旅 今井田敬子
十二月風の行方へ人還る 遠藤とみじ
十二月魚の眼のみな吾を見る 細谷源二 砂金帯
千羽鶴千の退屈十二月 正木志司子
原色の花から糶られ十二月 塩崎翠羊
口ビーにも脚立働く十二月 山田弘子
味噌送りくれしが便り十二月 石川桂郎 四温
喜んでピザ生地を伸(の)す十二月 高澤良一 素抱 十月-十二月
喪の旅の日記空白十二月 小林草吾
噛み合へる犬に一瞥十二月 阿部みどり女
四つ辻の飯鋪の魚槽十二月 宮武寒々 朱卓
回教の鉄扉の固し十二月 森田峠 逆瀬川
地のぬくみ慕ふ山の蛾十二月 古賀まり子
地球儀のうすきほこりや十二月 牧 ひろ子
坑夫らに雪降れるのみ十二月 淡路青踏
塗り替へてポスト肩張る十二月 反町和子
夜の底の挽き臼ひびく十二月 飴山實 『おりいぶ』
夜嵐の海より起り十二月 鈴木真砂女 夕螢
夜行性獣の闇十二月 森田智子
大波をあやつる海や十二月 大木あまり 火球
大鍋に鯛を蒸しゐる十二月 荻野杏子
大鯰焼いて尾州の十二月 斉藤夏風
如是我聞パンの匂いの十二月 石崎素秋
嬰を膝に立たせ弾ませ十二月 伊藤いと子
子にもらふ添ひ寝のぬくみ十二月 木内怜子
宗論をして歩く媼あり十二月 長谷川かな女 花 季
家長わが仏頂づらも十二月 清水基吉
寒暖も病めばむなしや十二月 神尾季羊
寒木瓜も売れて三越十二月 松藤夏山 夏山句集
寝る髪と壁の空間十二月 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
寺山に尾長声張る十二月 和田祥子
尼の荷のまことにちさき十二月 黒田杏子 水の扉
山なみを空に刻みし十二月 馬場移公子
山上に人の灯を生む十二月 原裕 青垣
山中に新しき道十二月 和田耕三郎
山描いて山見えてくる十二月 森田智子
山道や不義理つづきの十二月 福田甲子雄
川狭くとぎれ流るる十二月 大貫正子
巨き歯に追はるゝごとし十二月 石塚友二 方寸虚実
帯の文仏壇に映ゆ十二月 宮武寒々 朱卓
庭師来て風素通りよ十二月 杉本寛
廃船の深坐りして十二月 秋光泉児
御仏の貌美しき十二月 角川春樹(1942-)
微光にも白樺さめて十二月 勝又木風雨
悲しびの刻寝て消せり十二月 冨田みのる
愚かさに泣き笑ひして十二月 佐藤美恵子
愚かにもいのち拾ひし十二月 原田青児
戸の隙の日矢に起きいで十二月 石田あき子 見舞籠
扉みな父の胸板十二月 澁谷道
手榴弾のやうなハムとどけられ十二月 皆吉司
抒と箴の間のきらきらの十二月 渋谷道
振り込みの控隠しに十二月 高澤良一 素抱 十月-十二月
旅人の好き蕎麦食ふや十二月 前田普羅
日たかくて花卉に風吹く十二月 石原舟月 山鵲
星見れば星なつかしゝ十二月 原石鼎 花影以後
書きとめてそれ清書して十二月 高澤良一 鳩信 白帝
書く暇なき鞄のはがき十二月 皆川白陀
木の香けふ松に荒れしや十二月 石川桂郎 含羞
朴の木に雲来て遊ぶ十二月 原田青児
村人等酒に舌焼く十二月 有馬朗人 知命
松の間にまじる黄葉や十二月 石田 波郷
松籟に足音のなき十二月 萩原麦草 麦嵐
松隆と樟隆々と十二月 高澤良一 随笑 十月-十二月
桐の木へ真直ぐ歩き十二月 神尾久美子 桐の木
桶あれば桶をのぞいて十二月 桂信子(1914-)
棄て兼ねしものを捨て切る十二月 長田友子
棚吊ればすぐ物が載り十二月 岡本差知子
植木屋の妻の訃知りぬ十二月 沢木欣一 赤富士
標本の針うつくしき十二月 大木あまり 雲の塔
横顔の流れてゐたり十二月 猪俣千代子 堆 朱
機を織ることより知らず十二月 森垣 昭子
欲しきもの買ひて淋しき十二月 野見山ひふみ
止まり木に若者とをり十二月 古賀まり子
武蔵野は青空がよし十二月 細見綾子
母病めば詩ごころ涸れ十二月 大橋敦子
水足して甕の落着く十二月 神尾久美子 桐の木
浅草や異人僧立つ十二月 松山足羽
浚渫船杭つかみ出す十二月 秋元不死男
深海魚の目をして街は十二月 青木貞雄
火の色やけふにはじまる十二月 日野草城
炉ほとりの甕に澄む日や十二月 飯田蛇笏(1885-1962)
為すことを為して悔あり十二月 中嶋秀子
熱湯を刃にかける十二月 小島千架子
爪汚す極みの職や十二月 石川桂郎 高蘆
父の亡き日々にも慣れて十二月 冨田みのる
牡蠣フライ食べ十二月八日かな 石川文子
猪の肉いたみて届く十二月 石川桂郎 四温
玄海の砂噛む波も十二月 清水基吉
町を行く人々に十二月来し 串上青蓑
異邦人とゐて十二月八日かな 米山杜城子
病める日は病める句をなし十二月 大串 章
病院へゆく素手さげて十二月 石原舟月
百の樹に百の海鳴り十二月 木村敏男
盛り上がり珠となる血や十二月 渡辺鮎太
真近なる山の青空十二月 松村蒼石 雁
眼を閉ぢて眼玉痩せたる十二月 殿村菟絲子 『菟絲』
眼を閑づは肯ふことや十二月 津森延世
石とばす風踏み浅間十二月 伊藤敬子
石の上に踏みし枯藺や十二月 永田耕衣 加古
石叩尾を酷使して十二月 大木あまり 火のいろに
磨ぎ水を流す漣十二月 赤松[けい]子 白毫
福助の頭は空つぽや十二月 小泉八重子
空箱の中に空箱十二月 八染藍子
章魚さげて島より患者十二月 井上杉香
竹割つて鵜籠つくろふ十二月 栗田やすし
箱たたきつぶされてゐる十二月 辻田克巳
糸屑も華やぐ色の十二月 吉田みち子
絵襖の前に眠れり十二月 飯島晴子
羽織脱ぎ耳たぶ染めて十二月 阿部みどり女 月下美人
老い兆す頭ごなしに十二月 小嶋萬棒
老年の遊び歩きや十二月 遠藤梧逸
耳に灯がたまる十二月寝てをれば 桜井博道 海上
胸中に聖句かがやく十二月 古賀まり子 降誕歌
脱衣場の板敷き踏める十二月 高澤良一 鳩信 玄帝
臆病な虎を鍛へる十二月 櫂未知子 蒙古斑
船底に白百合積まる十二月 一志貴美子
芥焚くうしろにはかに十二月 長谷川双魚 『ひとつとや』
花の糶終へて風鳴る十二月 山之内赫子
花束の茎を揃へて十二月 嶋田麻紀
花舗に花の赤きを満たす十二月 松崎鉄之介
英霊の家に濃き日や十二月 佐野青陽人 天の川
落ちてあるからたちの実や十二月 銀漢 吉岡禅寺洞
藪深く咲き居る花や十二月 庄司瓦全
蛇行して揺るる電車や十二月 山下典子
蝋涙のはなやぎにをり十二月 原裕 青垣
蟷螂の翅まだ青き十二月 高澤良一 燕音 十二月
見なれたる山のふところ十二月 岡井省二
購ひし本忘れまた購ふ十二月 上野さち子
赤旗の鷹の羽音の十二月 大木あまり 山の夢
赤松の肌濃くなせり十二月 長島生一
起重機の鋭角に伸び十二月 伊藤順雄
跫音の低きは男十二月 石居康幸
路地抜けて行く忙しさも十二月 高浜年尾
路地歩く癖はなほらず十二月 谷口桂子
踊り子と終の電車の十二月 清水基吉 寒蕭々
身を立てて己が影生む十二月 原裕 『王城句帖』
身近なる山の青空十二月 松村蒼石 雁
辻にのみ銀座の日向十二月 皆吉爽雨 泉声
近々と鴉が降りし十二月 斎藤道子
追ふ日あり追はるゝ日あり十二月 清水忠彦
連れ出せば妻は小柄の十二月 北登猛
道路よく掘り起されて十二月 棚橋澄子
遠い木が見えてくる夕十二月 能村登四郎(1911-2002)
遠きほど嶺の青みて十二月 土生重次
遺書めきしあとがきを読む十二月 山崎冬華
酒運ぶ足袋のちらつく十二月 椎橋清翠
門前の石蕗に声掛く十二月 原裕 青垣
開戦の日ではなくジヨン・レノンの命日と紹介さるる十二月八日 小野雅子
開戦の目に沁むばかり冬菜の霜(昭和十六年十二月八日) 田川飛旅子 『花文字』
陋巷のわが家が産屋十二月 下村槐太 光背
雨傘をはみだす両肩十二月 安田くにえ
電飾の胸元もまた十二月 嶋田麻紀
霜柱十二月八日の無数の靴 山口和夫
青空を海に拡げて十二月 伊藤通明
靴履きて巫女いそぎ行く十二月 内野睦子
風の日の雲美しや十二月 有働亨 汐路
風吹けば人皆素顔十二月 上島 顕司
風連れて牛買が来る十二月 倉田 晴生
飄々と栗鼠跳ぶ迅さ十二月 堀口星眠 営巣期
食いこぼす朝の飯粒十二月八日 窪田丈耳
馬がをり火を焚いてゐる十二月 野島恵禾
駅時計の真下にゐたり十二月 北野平八
髪染めて己なぐさむ十二月 藤岡きみゑ
鮒鮓の桶のゆるびも十二月 草間時彦 櫻山
鯉運ぶ水美しき十二月 皆川盤水
鰐の匂いの夕暮れが来る十二月 坪内稔典
鶏しめて太柱より十二月 小島千架子
鷲老いて胸毛ふかるる十二月 桂信子 黄 瀬
鹿苑の松に昼月十二月 石原舟月
黄はたんぽぽ潮岬の十二月 橋本三汀

以上
by 575fudemakase | 2013-12-03 07:08 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

十一月

十一月

十一月がおわる。
十一月はなんとなく ちゅうぶらりんな月である。二月と同様に。
故に従前から俳人の気を引く月である。それをできるだけあつめてみる。
(俳句例句DBより)

あたたかき十一月の回り道 松吉良信
あたゝかき十一月もすみにけり 中村草田男
あをあをと十一月の蓬かな 山口いさを
かたくなな十一月の空がある 櫂未知子 蒙古斑
からまつに十一月の雨の音 野中亮介
からまつの十一月の林かな 今井杏太郎
くしゃみして十一月に入りにけり 高澤良一 燕音 十一月
しくしくと十一月の雨が降る 後藤綾子
しら帆百上げる十一月末日の仕事 阿部完市 春日朝歌
ほとけおどけよる十一月のホットケエキ 攝津幸彦
やすんじて牡蠣の十一月迎ふ 石川桂郎 四温
コースター十一月の風を切る 野原 湖心
コート買ふ十一月の旅のため 西村和子 夏帽子
コーヒ濃し十一月の終りけり 森田峠 避暑散歩
ベッド組み立てて十一月の雨 皆吉 司
亀とゐて十一月のはじまりぬ 斎藤隆顕
人目も草も十一月はあからさま 清水径子
今日よりは十一月の旅日記 星野立子
今日よりは十一月の石蕗の花 高木晴子
余日なき十一月の予定表 星野立子
信濃全山十一月の月照らす 桂信子 花寂び 以後
光まとひて十一月の枯木ども 相馬遷子 山国
出水禍の十一月も畳なし 近藤一鴻
十一月あつまつて濃くなつて村人 阿部完市
十一月くしゃみ始めと云ふべかり 高澤良一 寒暑 十月-十二月
十一月こんな日和がよろしくて 高澤良一 寒暑 十月-十二月
十一月しょっぱなの風邪貰ひけり 高澤良一 燕音 十一月
十一月ときめくことも無く過ぎし 丸山しげる
十一月の宮殿の雨の宵 田中裕明 櫻姫譚
十一月の櫛目正しき日の光 中村草田男
十一月の洩れ日大柄濤起こる 鳥居おさむ
十一月の海見ゆリフトゆるやかに 横原律子
十一月の税吏に向くる空気銃 斎藤玄
十一月の船落ちてゐる騙し舟 攝津幸彦 鹿々集
十一月の薄日の影を横切った 高橋信之
十一月の逢曳鳩の眸に見られ 木下夕爾
十一月は青微光なし越前の蟹の雌雄も食はれてしまふ 鈴木春江
十一月をくるぶしのすこやかな 中田剛 竟日
十一月ホンドタヌキの空寝入り 高澤良一 寒暑 十月-十二月
十一月七日声あげて風屋根を過ぐ 古沢太穂 古沢太穂句集
十一月三日は必ず空が青くてわたしたち老いらく 荻原井泉水
十一月六日は雨の親しかり 島谷征良
十一月六日を記す雨とのみ 手塚美佐 昔の香
十一月古きビートルズが歌ふ 中村明子
十一月壁に射す日の白かつし 高澤良一 寒暑 十月-十二月
十一月婚約の孫祝しけり 濃野愛子
十一月寝刻まで茶湯たぎらせよ 斎藤空華 空華句集
十一月朔日服を替へて出づ 広瀬河太郎
十一月枯れゆくは華咲くごとく 平井照敏 天上大風
十一月潮のしぶきの橋点る 伊藤京子
十一月焚いて渚に桜榾 岡井省二
十一月石も素肌をさらすかな 平井照敏
十一月神の醸せし酒にほふ 栗原稜歩
十一月花を扱ひ荒れし手よ 大井雅人
十一月街路樹の色ゆたかなる 作山 和子
咳きながら十一月に入りけり 阿波野青畝
喪の十一月河強風に捲かるる鴎 古沢太穂
墨すつて十一月の卓の上 橋本榮治
墨すつて十一月の洛の宿 橋本榮治 越在
宙に日を十一月の楢櫟 星野麦丘人
家族ゐて十一月のはじまりぬ 藺草慶子
少女の素足路地へすつ飛ぶ十一月 能村登四郎
山に入る十一月の背負籠かな 白岩 三郎
峠見ゆ十一月のむなしさに 細見綾子(1907-97)
川透きて十一月の桑畑 斎藤道子
影淡き十一月の稲架掛くる 石川桂郎 四温
手術痩せの身に十一月終りけり 上野さち子
投函に十一月の日差す道 高澤良一 宿好 十月-十二月
新しきナイフとフォーク十一月 川崎展宏
旅に見る十一月の水や空 島田みつ子
日の障子十一月の白ならん 大井雅人
日暮見ぬ十一月の道の辺に 原石鼎
星を一撃十一月の人焼く火 対馬康子 純情
星空を足音あゆむ十一月 平井照敏 天上大風
月上る十一月の草の香に 新村写空
松ばかり冴えて十一月といふ 石塚友二
栗いろの十一月の雀らよ 今井杏太郎
桃の木に十一月の日ざしかな 篠崎圭介
武蔵野は十一月の欅かな 松根東洋城
水の辺に十一月の青芭蕉 石原舟月
沖に日矢十一月の波頭 星野椿
河馬を呼ぶ十一月の甘納豆 坪内稔典
洗濯ばさみ強し鳶くる十一月 中山純子 沙羅
海の鵜に十一月の日は移る 小宅容義
混みあひて十一月の鬼籍かな 岩月通子
灯台に十一月の濤しぶき 伊藤敬子
煙草の火十一月がすたすたと 美馬順子
父の忌の十一月の雪を掃く 深谷雄大
猫のぼる十一月のさるすべり 青柳志解樹
瞬けば十一月は冬なりき 殿村菟絲子 『菟絲』
石蕗の黄に十一月はしづかな月 後藤比奈夫 初心
約多き十一月となりにけり 斎藤節子
縞織つて十一月の風の音 鷲谷七菜子 花寂び
美しき十一月のペルシャ猫 山口冬男
義理欠くまま十一月のこゑをきく 高澤良一 随笑 十月-十二月
老人に海優しかり十一月 櫛原希伊子
聖樹はや十一月のレストラン 大久保白村
花少なき十一月に母死せり 和田耕三郎
花石蕗に十一月の始りぬ 高木晴子 晴居
茨の実琥珀十一月終る 山口青邨
落葉松に十一月の来てゐたり 蓬田紀枝子
虚子に問ふ十一月二十五日のこと如何に 川崎展宏(1927-)
街の音十一月も半ば過ぎ 高木晴子 花 季
訪はずまた見舞はず十一月の鵙 野澤節子 黄 炎
詩の湧きつぐことが詩十一月の薔薇 中村草田男
謙虚なる十一月を愛すなり 遠藤梧逸
谷に住む十一月のあたたかし 長谷川素逝 暦日
貌うつす十一月の水の張り 桂信子 花寂び 以後
迷ひ来て十一月の蝶黄なり 藤原たかを
醜松の十一月を水漬ける 齋藤玄 飛雪
鍋もののうまき十一月来たる 石川桂郎 高蘆
長命寺裏や十一月も尽き 岸田稚魚 『雪涅槃』
雑巾の道まつしぐら十一月 赤松[ケイ]子
雨が消す十一月の草の色 大島早苗
雨の十一月林檎灯あつめ前夜祭 古沢太穂 古沢太穂句集
雨や降る凡に十一月三日 石塚友二 光塵
雲ゆくや十一月の大鳥居 猪頭 星荘
雲助大勢十一月の背景より 長谷川かな女 牡 丹
魚を焼く十一月の身のまはり 黛執
鳴くからに十一月の蚊を殺す 赤松[ケイ]子

以上
by 575fudemakase | 2013-11-30 04:42 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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by 575fudemakase

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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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