カテゴリ:冬の季語( 1192 )

雪踏 の俳句

雪踏 の俳句

雪踏

例句を挙げる。

がしと雪踏みしめ見入る水芭蕉 高澤良一 燕音 五月
きしきしと雪踏み山の音起す 高橋沢子
しがらみの雪踏みちらす鵆かな りん 俳諧撰集玉藻集
づかづかと雪踏み出でて芥捨つ 吉野義子
はだら雪踏みて来し温泉に朧なり 林原耒井 蜩
はだれ野のはだら雪踏みえぶり来る 阿部信子
はだれ雪踏み立つや雁はるかなり 水原秋桜子
ひとすぢの雪踏みてあり平泉寺 和田祥子
みみしひて叡山の雪踏みすすむ 伊藤敬子
七福神詣の一歩雪踏んで 能村登四郎
七福神雪踏みかため詣でけり 佐々木勇三郎
六月の雪踏まれずにある峠 山田弘子 こぶし坂
凍雪踏みもしまひとなりし帰雁かな 金尾梅の門 古志の歌
几帳面に雪踏み女盛りかな 池田三郎
初大師雪踏み固めおきにけり 舘野翔鶴
名月や雪踏み分けて石の音 千代尼
室生寺の雪踏んで来し初の旅 皆川盤水
山駅の晴雪踏みて転轍手 西島麦南 人音
左義長の竹組む根雪踏み固め 吉澤卯一
幾度も雪踏みをして客迎ふ 瀬戸 きよ子
文弥祭雪踏む旅となりにけり 橋本榮治 越在
新の雪踏み来て宋代禅講座 高澤良一 さざなみやっこ
松ケ根の雪踏み去ぬる禮者かな 富田木歩
林道の処女雪踏絵のごとくあり 関森勝夫
残る雪踏んて来にけり草の友 枯檜庵句集 大曲駒村
涅槃雪踏み最澄の山に在り 山田松寿
献香や雪踏んで身のひきしまり 川村紫陽
祈りたき程の朝焼け雪踏めば 亀谷麗水
神楽巫女うす雪踏みて出仕しぬ 西島麦南 人音
立春の雪踏みわけて櫻守 黒田杏子 花下草上
立春や雪踏み通ふ月明り 金尾梅の門 古志の歌
菊の香にさすが山路の雪踏(雪駄)かな 服部嵐雪
葬送や雪踏み役の五六人(ふるさとは) 細川加賀 『玉虫』
虚子の墓立子の墓へ雪踏んで 星野椿
裏飛騨は春蚕支度も雪踏みて 河北斜陽
足もとの雪踏みかためジャムプ見る 高濱年尾 年尾句集
遺されて母が雪踏む雪明り 飯田龍太
釈一茶そこまでの雪踏まれあり 下田稔
門川や洗ひ場へ雪踏み固め 神蔵器
雪沓に雪踏めば鳴るうれしさよ 上村占魚 鮎
雪解けて雪踏の音の嬉しさよ 正岡子規
雪踏に出づや海鳴身をつつむ 村上しゆら
雪踏に従いて柩の橇曳けり 大橋櫻坡子 雨月
雪踏のふり返る枯木中となりぬ 河東碧梧桐
雪踏の我をときどき訝しむ 鈴木伸一
雪踏の駅長鼻を赤くして 佐瀬しづ江
雪踏まれありて一茶の土蔵見ゆ 森田峠 避暑散歩
雪踏まれ坊より坊へ路通ず 岡田日郎
雪踏みしあとの革靴底きよら 田川飛旅子 花文字
雪踏みてふるさとはまた遠くなる 木村蕪城 寒泉
雪踏みて乾ける落葉現はれぬ 高浜虚子
雪踏みて来し山小屋にランプ燃ゆ 岡田日郎
雪踏みて母に賀を言ふ奥丹波 杉本寛
雪踏みに幼なごころは縷のごとし 松村蒼石 雪
雪踏みのつけたる道に出でにけり 前田普羅
雪踏みの無言につづく深雪空 松村蒼石 雪
雪踏みの足裏にある星座かな 水野真由美
雪踏みを終へやはらかき土不踏 相沢透石
雪踏むや落葉松の芽をてのひらに 佐野青陽人 天の川
雪踏めば胎の子も聞く雪の声 佐藤美恵子
雪踏めば蝶生まるべし母在るべし 青木薔子
雪踏も神に仕ふる男かな 高野素十
雪踏や道曲ること子の別れ 新谷ひろし
雪踏を先にたてたる野辺送り 田村杉雨
雪踏んで光源氏の猫帰る 大木あまり 山の夢
雪踏んで娘を托すべき家訪へり 奈良文夫
雪踏んで来てみ佛のかくまぢか 細川加賀 生身魂
雪踏んで氷の音の別れかな 加藤知世子 花 季
雪踏んで雪より低く寝まりけり 吉田鴻司
雪踏んで靴くろ~と獄吏かな 飯田蛇笏 霊芝
飢ゑに似し郷愁ぎぎぎと雪踏んで 山本つぼみ
鷹飛ぶや峰の雪踏む旅の者 露月句集 石井露月
黄昏や雪踏まれある枯木中 萩原麦草 麦嵐
黒木御所雪踏み訪ひし跡もなし 桑田青虎

雪踏 補遺

ここ来よと雪踏み呉るる男靴 岡本眸
遺されて母が雪踏む雪あかり 飯田龍太
一歩出て雪踏みたしやふるさとの 右城暮石 散歩圏 補遺 頑張れよ
学久し靴をしずかに暮雪踏む 赤尾兜子 蛇
五月雪踏む危ふさの涅槃坂 能村登四郎
根雪ふみ新雪にぬれ旅の町 及川貞 夕焼
山駅の晴雪踏みて転轍手 西島麦南 人音
山寺の雪踏み年の旅納む 上田五千石『天路』補遺
山上の将軍塚へ斑雪踏む 松崎鉄之介
山上の雪踏み思ひ果たせしよ 右城暮石 句集外 昭和三十六年
宵々に雪ふむ旅も半ばなり 臼田亜郎 定本亜浪句集
神楽巫女うす雪踏みて出仕しぬ 西島麦南 人音
世田ヶ谷や雪ふみ参る亡師の門 村山故郷
雪解けて雪踏の音の嬉しさよ 正岡子規 雪解
雪沓に雪踏めば鳴るうれしさよ 上村占魚 鮎
雪踏みてすとんと脛を没しけり 阿波野青畝
雪踏みてふるさとはまた遠くなる 木村蕪城 寒泉
雪踏みに幼なごころは縷のごとし 松村蒼石 雪
雪踏みの無言につづく深雪空 松村蒼石 雪
雪踏みも神に仕ふる男かな 高野素十
雪踏むやいまさら深き己が業 鈴木真砂女 夏帯
雪踏むや眼のなき魚の哭くごとし 野見山朱鳥 愁絶
雪踏めば星に音あり更けしかな 岡本眸
雪踏んで火焚く厨に戻り来ぬ 山口誓子
雪踏んで旧火口よりみちもあらず 百合山羽公 春園
雪踏んで靴くろ~と獄吏かな 飯田蛇笏 霊芝
凧あげや丘の堅雪踏み馴れて 村山故郷
土不踏粉ナ雪踏めり永平寺 阿波野青畝
洞元湖雪踏む鳥に応えおり 金子兜太
二日はや一茶の墓へ雪踏まれ 松崎鉄之介
物踏で枯草になする雪踏哉 正岡子規 枯草
暮雪ふむ僧長杖をさきだてぬ 飯田蛇笏 山響集
盲犬まなくときなく雪踏める 阿波野青畝
林道の雪踏み入りてすぐ返す 右城暮石 句集外 昭和四十七年

雪踏 続補遺

しがらみの雪踏ちらす千鳥哉 りん女
ほとゝぎす雪踏はづし~ 露川
逢坂を雪踏でこすや蛭子講 成田蒼虬
卯の花の雪踏そめよ笠に杖 中川乙由
鴬や雪ふみわけて若ざかり 蘆文
音のする雪踏で春をおしみけり 吾仲
掛乞や雪ふみわけて妹が許 黒柳召波
菊の香にさすが山路の雪踏哉 嵐雪
近道や雪ふみ残すとしの果 寂芝
今一度雪踏脱せて見せ男 琴風
笹原や雪踏わけて鳴きゞす 支考
三ヶ月や庭の雪踏のはきまかへ 杉風
七夕や娘がせゝる雪踏売 紫白女
若ひ衆の雪踏や憎し山桜 三宅嘯山
酒やよき雪ふみたてし門の前 岱水
春風に雪踏ぬらすや東山 高桑闌更
早乙女の雪踏はあれどはだし哉 知足
茸狩や毛雪踏すべる鹿のみち 野坡
知るや歳暮扨地をはしるも雪踏まで 知足
地雪踏の音に出らるゝ御慶哉 桃先
名月や雪踏分て石の音 千代尼
夜あるきや寒ンの雪踏のひろひ足 其角

以上

by 575fudemakase | 2017-04-18 02:18 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

雪卸 の俳句

雪卸 の俳句

雪下し

例句を挙げる。

あそびせむとて生れきて雪卸し 藤井亘
おとづれて来て雪卸ししてくれぬ 京極杞陽 くくたち下巻
ことごとく言葉失ひ雪卸す 橋本榮治 麦生
この家の灯のあるかぎり雪卸し 坂巻純子
その中に女の声や雪卸し 加藤三七子
ねぶた絵の女がひとり雪卸す 松田ひろむ
ほつほつと空に人でて雪卸 永田耕一郎
ろうそくの絵看板より雪卸す 岩崎照子
助っ人に山の快晴雪卸す 高澤良一 寒暑
向ひ同士暮れて黙々雪卸す 西村公鳳
吾子われの顔わかりそめ春の雪 下村槐太 天涯
墓もなき雪へ抛りて雪卸 和知喜八 同齢
声交し社家も在家も雪卸す つじ加代子
女手に観音堂の雪卸す 三木照恵
宝前に酒樽ならび牡丹雪 下村ひろし 西陲集
寡黙なる人の寡黙に雪卸す 荒井英子
屋根にまで犬の来てゐる雪卸し 山崎和賀流
屋根の上に犬も上りし雪卸 竹中一峰
平家姓雪卸しゐる十七戸 岩崎照子
御歌会始や松につもる雪 下田歌舟女
戸隠の奥嶺ちかづく雪卸 松村蒼石 雪
手に届く空の青さよ雪卸 近藤喜久子
旧帽を被りて父が雪卸し 佐藤美恵子
月光のみどりを流す雪卸 志田冬崖
東京からと言ひ雪卸し見てをりぬ 能村研三 鷹の木
枕木の駅に到りて残る雪 下村槐太 天涯
海鳴りの町々昏らみ雪下す 柴田白葉女
無住寺の檀家総出に雪卸す 坂内佳禰
瑕を負ふ天の青さや雪下ろす 水野真由美
町ぢゆうが夜中に起きて雪卸す 中村節代
疲るれば屋根で一服雪卸す 島田キヌエ
禅寺の椿ゆすりし雪下し 榎本好宏
篁に朝が来にけり雪卸 石田波郷
綱渡るかに空よぎりゆく雪下し 文挟夫佐恵 遠い橋
膝たてて寝る雪卸しすみし夜 安藤五百枝
藪入りのいづこも屋根の雪卸す 川上季石
赤きものつけて女も雪卸 福田蓼汀 山火
里人に雪卸すすべ習ひては 松尾緑富
銀行も郵便局も雪卸す 佐藤五秀
門徒衆泊りがけなる雪卸 風間みきを
雪下しはるかに汽車の声しぼる 金尾梅の門 古志の歌
雪下し剣岳はひとり夕焼くる 金尾梅の門 古志の歌
雪下し夕空碧くせまり来る 金尾梅の門
雪下し終へよ狸が煮えたるに 石井露月
雪下し青天に腰のばしけり 金尾梅の門 古志の歌
雪下ろし終へよ狸が煮えたるに 石井露月
雪下ろし鏡の後たゞならず 殿村菟絲子 『牡丹』
雪下ろす人ゐて悲し遠く見ゆ 遠藤梧逸
雪下ろす兄貴の穴を埋めるため 櫂未知子 貴族
雪下ろす勉強部屋はこのあたり 松倉ゆずる
雪卸いて蜂の巣の洞みえる 和知喜八 同齢
雪卸しあぐねて幾日人に疎し 成田千空 地霊
雪卸してはどうかと巡査来し 広中白骨
雪卸し一隅の青天はためかす 新谷ひろし
雪卸し今炉の上に居るらしき 三宅句生
雪卸し助けて御慶申しけり 黒田桜の園
雪卸し吾が家に入るも雪匂ふ 黒田桜の園
雪卸し屋をゆるがすことのあり 高濱年尾 年尾句集
雪卸し暮れており立つ深雪かな 前田普羅 飛騨紬
雪卸し有事の艦の見えてゐる 鈴木伸一
雪卸し真青の海を見て憩ふ 三宅草木
雪卸し能登見ゆるまで上りけり 前田普羅 新訂普羅句集
雪卸し足場かためをしてはじむ 高濱年尾 年尾句集
雪卸し雪ふりかぶるとき五十路 赤城さかえ句集
雪卸すかうじやよりも御宿先 岸田稚魚
雪卸すための帰郷にあらねども 箱崎一好
雪卸す人に通りし煙かな 高野素十
雪卸す屋根の下より機音覚む 加藤知世子 花寂び
雪卸す屋根梯子より暮れにけり 吉澤 卯一
雪卸す見える鴉の声切に 西村公鳳
雪卸す雪へ梯子を深くさし 山崎ひさを
雪卸少女ならねど赤き靴 長谷川櫂 古志
雪卸翔ぶものはみな二翼張り 友岡子郷 日の径
雪国に生れし妻の雪卸し 橋詰 一石
雪明りしてまだ暗し雪卸し 瀬戸 十字
雲にこゑして雪卸す町の上 石原舟月
雲水の雪卸すにも合掌す 矢野聖峰
青空に声あらはれて雪卸す 落合水尾
食っちゃ寝て食っちゃ寝て雪卸しけり 小林輝子
人影は見えずどんどと雪おろす 川崎展宏
十余人あがり伽藍の雪おろし 井上雪
命綱屋根に振り分け雪おろす 細川葉風
夜の屋根に女声わき雪おろし 加藤楸邨
夜を残す寝覚や夏の雪おろし 上島鬼貫
寒すずめこぼるる桑の雪おろし 石原舟月
峯の木に鵯とびはずむ雪おろし 飯田蛇笏 春蘭
暮れそむる奥山見えて雪おろす 前田普羅 飛騨紬
機音の窓もしづみぬ雪おろし 皆吉爽雨
海鳴りの町々昏み雪おろす 柴田白葉女 遠い橋
父祖の地の雪降る限り雪おろす 村山砂田男
行人にほいくと雪おろしけり 中島杏堂
雪おろしわびしくなれば声出して 望月精光
雪おろし棒のごとくに声とどく 新田裕久
雪おろす人の面を鷽わたる 前田普羅 飛騨紬
雪おろす剃刀のやうな海を置き 飴山實
かまくらを崩したる雪捨てに行く 茨木和生 往馬
なやらひの犀川へ雪捨てにゆく 田中裕明 櫻姫譚
磯川の紺青みだし雪捨つる 佐野まもる 海郷
雪捨つる白鳥の湾皺ませて 小林康治 玄霜
雪捨つる雪気に頬の鳴るごとし 高澤良一 素抱
雪捨てし河口の濁り海に出づ 井上雪
雪捨てて母通る道つくりけり 大木あまり 火のいろに
雪捨てる川水の波やとぶ烏 滝井孝作 浮寝鳥
雪捨てゝ波もたゝまず信濃川 篠田悌二郎 風雪前
助っ人に山の快晴雪卸す 高澤良一 寒暑


雪卸 補遺

賽子のころがるさまに雪卸 阿波野青畝
峯の木に鵯とびはずむ雪おろし 飯田蛇笏 山響集
暮れそむる奥山見えて雪おろす 前田普羅 飛騨紬
風邪負へば雪卸す声罵詈に似る 大野林火 雪華 昭和三十七年
湯畑の湯気ゆく屋根の雪卸し 松本たかし
梯子より落ちもして又雪下す 阿波野青畝
雪下ろせ下ろせと鴉裏山に 松崎鉄之介
雪下し庇合もくそもなかりけり 阿波野青畝
雪下しの句碑の除幕に火の恋し 松崎鉄之介
雪卸ポンコツ車没しけり 阿波野青畝
雪卸す堂に両界曼荼羅図 阿波野青畝
雪卸す人に通りし煙かな 高野素十
雪卸すかうじやよりも御宿先 岸田稚魚
雪卸し暮れており立つ深雪かな 前田普羅 飛騨紬
雪卸し能登見ゆるまで上りけり 前田普羅 普羅句集
雪おろす人の面を鷽わたる 前田普羅 飛騨紬
雪おろす人の見てゐる遠頽雪 前田普羅 飛騨紬
赤きものつけて女も雪卸 福田蓼汀 山火
罪消ゆる日まで雪掻き雪卸し 鷹羽狩行
戸隠の奥嶺ちかづく雪卸 松村蒼石 雪
屋根の雪卸さずスキー送迎車 上田五千石『風景』補遺
屋根の雪おろして雪に埋めらるる 平井照敏 猫町
煙突の影おく屋根の雪おろす 橋閒石 雪

雪卸 続補遺 

夜を残す寝覚や夏の雪おろし 鬼貫
空掘や鳥もねつかぬ雪おろし 琴風

以上

by 575fudemakase | 2017-04-18 02:12 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

雪掻 の俳句

雪掻 の俳句

雪掻

例句を挙げる。

くすり湯をわかし雪掻はじめけり 天正のぶ子
これが仕事にありついた雪掻人夫か 栗林一石路
たくし上ぐる法衣や雪掻雪に立て 河野静雲 閻魔
ゆづり葉の紅緒垂れし雪掻きにけり 室生犀星 魚眠洞發句集
世捨人ら雪掻いてをり初閻魔 小林寂無
世話人等雪掻いてをり初閻魔 井上猴々
入営や古兵笑ひつ雪掻けり 中島月笠 月笠句集
列車出しあとの雪掻き駅員等 高浜年尾
十一面さんに雪掻腰のばす 八木林之介 青霞集
地震去つて街の雪掻はじまりぬ 青葉三角草
夕づきては雲のちりゆく雪掻ける 金尾梅の門 古志の歌
大本山永平寺雪掻く音の低からず 橋本榮治 麦生
家毎に雪掻く灯影旅に似し 渡辺水巴 白日
屋根の雪掻きて地上に雪増やす 茨木和生 木の國
屠蘇祝ぎもなかば雪掻き立ちにけり 坂本山秀朗
川甚や吹雪の庭に雪掻ける 阿部みどり女 笹鳴
日のくれの雪掻かれありかるた宿 桜坡子
春の雪掻けば重たし戦止まず 相馬遷子 雪嶺
椎の木雪もつに触れず雪掻く シヤツと雑草 栗林一石路
橋の雪掻く夕ベの潮顔にかぶさつてくる 人間を彫る 大橋裸木
歩く幅だけの雪掻き仏守る 井上雪
汀まで雪掻き遊ぶ禰宜ふたり 殿村莵絲子 雨 月
温泉場雪掻き根雪ひっぺがし 高澤良一 寒暑
灰降りし雪掻きぬ小草秋萌えて 河東碧梧桐
牧守の夫婦雪掻き分れたり 田村了咲
田舎じることろり雪掻当番日 平井さち子 紅き栞
甲板の雪掻いて千鳥囃しけり 乙字俳句集 大須賀乙字
虚空蔵菩薩雪掻く音の中 橋本榮治 越在
雪掻いておどろく若さ雪食めり 藤原たかを
雪掻いてゐる音ありしねざめかな 久保田万太郎 草の丈
雪掻いて女は野兎の息したる 対馬康子 純情
雪掻いて妻が勤めの吾をとほす 小川千賀
雪掻いて普請はじまる弥生かな 阿部みどり女 笹鳴
雪掻いて橋より落とす男かな 高澤良一 素抱
雪掻いて雪の白さのなかにをり 日下部宵三
雪掻いて黄菊の花のあらはるゝ 高野素十
雪掻きし山家の庭に野猿坐す 中島美也
雪掻きし市内に来り橇難渋 中村汀女
雪掻きし後の手力魚おろす 平井さち子 紅き栞
雪掻きし手足の火照り抱きねむる 古賀まり子
雪掻きし火照りや志功観世音 神保弥生
雪掻きし道を辿れば鯉生簀 茨木和生 丹生
雪掻きていつかはひとりになる妻か 加倉井秋を
雪掻きてふゆる雪光生きる力 寺田京子 日の鷹
雪掻きて二日の店を開けにけり 榎本栄子
雪掻きて地肌なき駅出羽の国 茨木和生 木の國
雪掻きて小弓はじめや村すずめ 素 丸
雪掻きて汗に柔らぐ女身たり 白井米子
雪掻きて男うしろが鳴るごとし 寺田京子 日の鷹
雪掻きて賀状を待てる牧夫あり 服部鹿頭矢
雪掻きて高野を出でぬ身なるべし 森田峠 避暑散歩
雪掻きて高野出でざる身なるべし 森田峠 避暑散歩
雪掻きではじまる分校漱石忌 坂内佳禰
雪掻きに出でて寝馬をみまもりつ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
雪掻きのついつい因幡訛かな 向山隆峰
雪掻きのねぎらはれつつ人通す 馬場移公子
雪掻きのまばらと見えて総出なり 宮津昭彦
雪掻きのをはりもシヨベル雪に挿し 吉田鴻司
雪掻きのシヨベルを贈る新所帯 宮崎美代子
雪掻きの出合ひて丘の道通ず 大熊輝一 土の香
雪掻きの出揃ふまでを足踏みす 都筑智子
雪掻きの囚徒をちらと鉄の門 鷹羽狩行 七草
雪掻きの少年一途なる姿 柴田白葉女 遠い橋
雪掻きの時間も入れて早起きす 岡田順子
雪掻きの真似事する子裏通り 高澤良一 随笑
雪掻きの胸乳ぬらしてゐたりけり 菅原多つを
雪掻きの靴はき替へて出勤す 村井桂子
雪掻きの音闇うごきはじめたり 宮坂静生 樹下
雪掻きや有合の板おもしろに 野村喜舟 小石川
雪掻きを若き駅夫の励みをり 落合水尾
雪掻くに足らざる力愛しまるる 寺田京子 日の鷹
雪掻くや乾きし土を掘りいだし 加藤楸邨
雪掻くや狂女おしげも隣組 皆川白陀
雪掻くや神へ近づく道として 小林康治 『華髪』
雪掻くや行人袖を払ひ過ぐ 高浜虚子
雪掻く音さくさくとまた葱切る音 古沢太穂
雪掻けばえんじのつよき蕗の薹 瀧澤伊代次
雪掻けば直ちに見ゆる礼者かな 普羅
雪掻けば雪降る前の地の渇き 中村苑子
雪掻にうつて出るなりお嬶衆 平畑静塔
雪掻に童女も混る赤シャベル 稲葉三恵子
雪掻に聲かくまこと短か言 八木林之介 青霞集
雪掻のとりつきのぼる大伽藍 伊藤柏翠
雪掻のまばらと見えて総出なり 宮津昭彦
雪掻の一人となりし乳の神 斉藤夏風
雪掻の嬰児籠育ちの人ばかり 斉藤夏風
雪掻の巫女の緋袴舞ふに似て 田塚 公晴
雪掻は船の傾くまゝとせり 河野南畦 『花と流氷』
雪掻や僧若ものの声発す 平井さち子 鷹日和
雪掻を特技の項に足しにけり 櫂未知子 蒙古斑
雪掻人夫が大きな靴で踏み立つた雪朝 人間を彫る 大橋裸木
雪掻湯女あそんでいるのといはれもす 西本一都
雪降ればすぐに雪掻き妻なき父 寺田京子 日の鷹
つひに見ず深夜の除雪人夫の顔 細見綾子(1907-97)
シヤベル立てゝ除雪人夫の埋りゐる 龍胆 長谷川かな女
ラッセル車まだ置かれある桜かな 橋本榮治 越在
ラッセル車置かれしままに余花の雨 原田青児
ラッセル車翼たたみて鴉に似る 宮津昭彦
口赫っと開けて森ありラッセル車 依田明倫
吹雪く闇除雪夫の灯の泳ぐ見ゆ 石橋辰之助 山暦
小廻りの利く除雪車も出動す 山田弘子 螢川
日輪に除雪車雪をあげてすすむ 橋本多佳子
更けて又除雪車街をゆつくりと 深見けん二
束縛を蹴散らし除雪車の夜明け 櫂未知子 貴族
業務日誌連日除雪異状なし 福田蓼汀 秋風挽歌
橋の上の除雪夫朝の身はしなふ 平井さち子 完流
沿線の除雪森透く茜濃し(二月、磐田へ赴任) 飴山實 『おりいぶ』
炭小屋に行く道除雪してあらず 茨木和生 野迫川
熱の中ふりむかずゆく除雪の父 大井雅人 龍岡村
百年橋除雪車の来て村つなぐ 田中英子
窓掘り出して除雪の終りとす 千葉 仁
老父除雪女子供は家に居なさい 齊藤美規
近づいて来る除雪車の大き灯よ 長島衣伊子
除雪夫が吹雪を衝いて集り来 高濱年尾 年尾句集
除雪夫に吹雪のひゞき鉄路うつ 石橋辰之助 山暦
除雪夫に曉の日輪岳を出づ 伊東宏晃
除雪夫に白魔の闇の涯ぞなき 石橋辰之助 山暦
除雪夫の吹雪衝く夜の装なりぬ 石橋辰之助 山暦
除雪夫の寝姿爐火と凍み果つる 石橋辰之助
除雪夫の寝息冴えきて寝むらえぬ 石橋辰之助 山暦
除雪夫の憩ふといへど雪の上 山崎ひさを
除雪夫の灯を振り合ひてより別れ 岡田波流夫
除雪夫の炉火のおごりにわが泊つる 石橋辰之助 山暦
除雪夫の眼光たゞに炉火まもり 石橋辰之助 山暦
除雪夫の雪に耐へ住む顔きびし 石橋辰之助 山暦
除雪夫の雪凍む夜は寝にやすく 石橋辰之助 山暦
除雪夫ら酒飲みこぼす雪匂ふ 西村公鳳
除雪夫を北国烏見下ろしに 松崎鉄之介
除雪婦が並ぶ丸太のごとき腰 竹田青雨
除雪婦の細帯に雪濁るなり 林薫子
除雪車にあかつきの天昏かりき 水原秋桜子
除雪車にさらわれし人形のこと 対馬康子 愛国
除雪車に沖の鴎がたち騒ぐ 加藤楸邨
除雪車に目覚て雪を掻きにけり 遠藤 孝作
除雪車のあとさんさんと子が溢れ 岸田稚魚 筍流し
除雪車のそこのけそこのけお通りだい 高澤良一 随笑
除雪車のたむろしている駅に着く 福永鳴風
除雪車の傷だらけなりすれちがふ 八木林之助
除雪車の働く音の昏れて来し 山田弘子 螢川
除雪車の光芒闇を開き来る 金箱戈止夫
除雪車の力も及び難しとや 中田みづほ
除雪車の地ひびき真夜の胸の上 黒田櫻の園
除雪車の折返し点峡せばむ 中戸川朝人 尋声
除雪車の通りし道に初明り 関 秀子
除雪車の鎖は太し巻かれたる 長谷川櫂 古志
除雪車の駆けづり湖の町眠る 伊東宏晃
除雪車を優先させて救急車 津田清子
鳰ちかく湖駅除雪車汚れたり 宮武寒々 朱卓


雪掻 補遺

こゝに死ぬる雪を掻いてゐる 中川一碧樓
つひに見ず深夜の除雪人夫の顔 細見綾子
ぶつつりと切れたる除雪隊のはし 平畑静塔
駅逓古りドイツ唐檜の除雪林 松崎鉄之介
沿線の除雪森透く茜濃し 飴山實 おりいぶ
屋根楽になる雪掻もとび下りて 平畑静塔
家毎に雪掻く灯影旅に似し 渡邊水巴 白日
火のごとき朝焼の下雪を掻く 相馬遷子 山河
灰降りし雪掻きぬ小草秋萌えて 河東碧梧桐
干す舟の雪掻き落す日晴たり 河東碧梧桐
看護婦寮朝の雪掻きはじまりぬ 星野麥丘人
業務日誌連日除雪異状なし 福田蓼汀 秋風挽歌
更けて又除雪車街をゆつくりと 深見けん二
罪消ゆる日まで雪掻き雪卸し 鷹羽狩行
春の雪掻けば重たし戦止まず 相馬遷子 雪嶺
除雪軍の通りしあとに雪降れり 清崎敏郎
除雪車に雪降る海がうごきくる 加藤秋邨
除雪車のあとさんさんと子が溢れ 岸田稚魚 筍流し
除雪車のきらめく燈にもつもる雪 水原秋櫻子 秋苑
除雪車のプロペラ雪を噛みてやすむ 橋本多佳子
除雪車の日暮れて着きし月寒(ツキサップ) 渡邊白泉
除雪車の力尽きてはいこふ駅 水原秋櫻子 秋苑
除雪車を据ゑて通行禁止せり 右城暮石 天水
除雪車を優先させて救急車 清崎敏郎
除雪夫の涙顔して戻りけり 阿波野青畝
除雪夫を北国烏見下ろしに 松崎鉄之介
除雪婦へ死の闇死者らよみがへる 佐藤鬼房
信号手青旗に除雪車をゆかす 橋本多佳子
雪を掻き落して白し雪の上 右城暮石 声と声
雪掻いてゆくみづうみのにべもなし 廣瀬直人
雪掻いて黄菊の花のあらはるゝ 高野素十
雪掻いて元日の墓洗ひけり 星野麥丘人 2005年
雪掻いて村に一つの交差点 岡本眸
雪掻いて礫酬いし門辺かな 河東碧梧桐
雪掻きしスコップの柄の朱柄なる 山口誓子
雪掻きし路面ホテルの扉口まで 山口誓子
雪掻きてつなげり庫裡と本堂を 右城暮石 句集外 昭和五十九年
雪掻きて雪嶺に白き道つくる 山口誓子
雪掻きに遅速 出稼ぎ村でもある 伊丹三樹彦
雪掻きの囚徒をちらと鉄の門 鷹羽狩行
雪掻きの頬燃え通し 北国処女 伊丹三樹彦
雪掻きの老いのひとりの後生楽 寒食 星野麥丘人
雪掻くと稿半ばにて机立つ 安住敦
雪掻くやペンより重きシヨベルもて 安住敦
雪掻けば雪降る前の地の渇き 中村苑子
雪掻けば直ちに見ゆる礼者かな 前田普羅 普羅句集
中庭の雪掻く人に四方灯る 山口青邨
仲町や禿もまじり雪掻す 正岡子規 雪
通夜明けぬましろき雪を掻きにいづ 大野林火 海門 昭和十一年
湯の町の目貫短し雪を掻く 阿波野青畝
道路のみ雪掻き上げて太陽照る 右城暮石 句集外 昭和五十四年
文弱の親子で雪を掻きにけり 安住敦
母の墓の雪掻きをれば鳶緩し 安住敦
軋む梁 雪掻く明日へ 背を丸める 伊丹三樹彦

雪掻 続補遺

門~や積も定めず雪掻す 加舎白雄
百人の雪掻しばし薺ほり 其角

以上

by 575fudemakase | 2017-04-18 02:06 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

雪見 の俳句

雪見 の俳句

雪見

例句を挙げる。

いざゆかん雪見にころぶ所迄 松尾芭蕉
いざ雪見容(カタチヅクリ)す簑と笠 蕪村 冬之部 ■ 題七歩詩
いつまで残る軒の雪見て旅に出づる 人間を彫る 大橋裸木
お庭松雪折したる雪見かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
かたちよき魚をえらび雪見酒 田中裕明 櫻姫譚
こぼしたる雪見の酒は吸ふべかり 石川桂郎 高蘆
さんさんと夜の海に降る雪見れば雪はわたつみの暗さを知らず 山田富士郎
しづかにも漕ぎ上る見ゆ雪見舟 高浜虚子
しばしもの言へず雪見と洒落こんで 田中裕明
しばらくして雪見障子の閉ざさるる 桂信子
しんしんと赤子ねむらせ雪見舟 田中裕明 先生から手紙
ためつけて雪見にまかる紙子かな 松尾芭蕉
なにくれと雪見の旅の身の廻り 富安風生
みそさざい雪見障子にあらはれし 小路智壽子
みちのくの厚き丹前雪見酒 松本澄江
をみならの雪見の酒のなにかなし 田中裕明 櫻姫譚
ウイスキーをザボンに濺ぎ雪見の座 松瀬青々
クリートの雪見て変へん衣更 横光利一
一封書本山よりの雪見舞 堀前小木菟
三月の飛雪見てをり税務署にて 相馬遷子 雪嶺
二艘行く雪にまぎれて雪見舟 川崎展宏
人立ちて雪見の舟のゆふまぐれ 田中裕明 花間一壺
仄かにも檜の香り雪見窓 堤京子
余部の鉄橋渡る雪見汽車 関口 勉
八ヶ岳の雪見あげて開く座禅草 福田甲子雄
初詣雪見事なる太鼓橋 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
卯辰山雪見の客をいれにけり 田中裕明 櫻姫譚
夕方やとほき垣根に雪見えて 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
大富士の雪見つ木の芽噛みすてぬ 渡邊水巴 富士
大藪の横たふ嵯峨の雪見かな 市の瀬尺水
天窓に雪見えてゐる小豆粥 後藤 仁
季節いま雪見障子に花の保津 後藤比奈夫
山々に明日は雪見ん網代かな 田中二星
帯固くしめて雪見る契りしあと 田川飛旅子 花文字
庭の雪見るや厠の行き戻り 正岡子規
後山道ゆく手明くて雪見月 飯田蛇笏 椿花集
得し金の雪見酒とはなし難き 石塚友二 光塵
御次男は馬が上手で雪見かな 炭 太祇 太祇句選
思はずの雪見や日枝の前後 内藤丈草
恋めくや雪見障子を閉めてより 星野椿
旺んなる七厘の炎や雪見舟 小川千賀
最上川舟唄のその雪見かな 今井杏太郎
杉山を育てし人と雪見酒 太田土男
核の世の雪見ておはす大笑面 三嶋隆英
梟のごとく夜の雪見つめをり 三森鉄治
楢青み蔵王に縋る斑雪見ゆ 小林康治 玄霜
比叡一つ前に置たる雪見かな 乙州
水鳥の湖に向ひて雪見窓 本間 杏童
海猫鳴いて雪見ぬところなかりけり 石川桂郎 高蘆
湯上りの牛乳昼の雪見つゝ 高澤良一 素抱
湯女乗せし円山川の雪見舟 阿波野青畝
灯をまつや障子の破れ雪見する 金尾梅の門 古志の歌
物の怪の抜けし皮吊る雪見宿 橋本榮治 越在
白拍子雪見の舟にはいりけり 桜井芳水
盤銅の火は炎/\と雪見かな 高井几董
矯めつけて雪見にまかる紙子哉 松尾芭蕉
縁側へ雪見の火桶持ち出して 松元桃村
肉食つて身を養はむ雪見酒 沢木欣一
背丈ほど積むといふ雪見てみたく 今橋真理子
臘梅の雪すぐ熄めど雪見酒 石田あき子 見舞籠
舟までの藁靴を貸す雪見舟 松本泰二
船頭の唄のよろしき雪見かな 斎藤梅子
色戀が雪見障子の向うがは 筑紫磐井 婆伽梵
藁屋根に斑ら雪見ゆ梅の花 室生犀星 犀星發句集
蝶高く登れアルプスの雪見えるまで 石原 透
訥々と雪国よりの雪見舞 島田まつ子
谷底まで晴れし雪見下ろし山家の法会 人間を彫る 大橋裸木
遠山の雪見る市の蜜柑かな 石井露月
野一遍雪見ありきぬ雑煮腹 召波
長楽寺と聞くゆかしきに雪見かな まそほ貝 武定巨口
門を出て行先まどふ雪見かな 永井荷風
降るものの中に雪見え薄紅梅 石鼎
隈笹に残る雪見て最北端 高澤良一 素抱
障子たて白一色に雪見舟 近藤一鴻
雪がふるふる雪見てをれば 種田山頭火 草木塔
雪国に嫁ぐ雪見に招かれて 長谷川回天
雪国の雪見ん心初旅に 宮田帰郷
雪見とて出るや武士の馬に鞍 炭 太祇 太祇句選後篇
雪見とは卍巴と雪降ること 京極杞陽
雪見には殿達恥ずる心かな 少女-さよ 俳諧撰集玉藻集
雪見には行く人もなし吉野山 道澄 選集古今句集
雪見ゆる峰をかくして初時雨 高井几董
雪見れば夜に来といふを待ち難き 下村槐太 光背
雪見舟すこし流れて昏れはじむ 近藤一鴻
雪見舟月輪熊の皮を敷く 茨木和生 往馬
雪見舟松の下より出でざりけり 小杉余子 余子句選
雪見舟葱ふんだんに納豆汁 佐川広治
雪見酒なんのかんのと幸せよ 星野椿
雪見酒ひとくちふくむほがひかな 飯田蛇笏 霊芝
雪見酒泣き上戸には非ざれど 高木晴子 花 季
雪見障子一つしぶくて上がらざる 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
雪降れば雪見の酒をもてなさん 金山 有紘
青莚山に雪見る日にも織る 廣江八重櫻
風花に雪見障子を上げらるる 後藤夜半 底紅
風邪の子に屋根の雪見え雀見え 細見綾子 花寂び
餅さげて雪見る人の来りけり 長谷川かな女 雨 月
鶴の舞ふ盃はよし雪見酒 山口青邨

雪見 補遺

かのひとさへ心に遠し雪見る刻 鈴木真砂女 夏帯
こぼしたる雪見の酒は吸ふべかり 石川桂郎 高蘆
さすらひて洛外を好き雪見酒 飯田蛇笏 心像
しばらくして雪見障子の閉ざさるる 桂信子 花影
しばらくは牡丹雪見よ老時間 藤田湘子 神楽
ずりさがる屋根の雪見ゆ天守閣 右城暮石 句集外 昭和四十九年
ふるさとの根雪見に来し河動く 飴山實 おりいぶ
みそさざい雪見灯籠を抜けにけり 阿波野青畝
伊吹の雪見しばかりなり走り旅 能村登四郎
牡丹雪見ること顔にあらはさず 右城暮石 句集外 昭和二十六年
家買つて今年は庭の雪見かな 正岡子規 雪見
海猫鳴いて雪見ぬところなかりけり 石川桂郎 高蘆
寄せし波陸の雪見てくづれけり 鈴木真砂女 夏帯
季節いま雪見障子に花の保津 後藤比奈夫
月夜かと薄雪見しや夜半の春 原石鼎 花影
後山道ゆく手明くて雪見月 飯田蛇笏
高原に隠る雪見え来る汽車来ず 山口誓子
三月の飛雪見てをり税務署にて 相馬遷子 雪嶺
傘寿へと片足掛けて雪見かな 林翔
松の雪見るや厠の行き戻り 正岡子規 雪
松の木に裏表ある雪見かな 正岡子規 雪見
焼あとの雪見灯籠笹子鳴く 山口青邨
上州の山に雪見るあしたかな 正岡子規 雪
世の中を知らねば人の雪見哉 正岡子規 雪見
雪がふるふる雪見てをれば 種田山頭火
雪の日や雪見車の一鉢を 寒食 星野麥丘人
雪見たるのみに汚れしマスクかな 岡本眸
雪見にと読て涼しき夕かな 正岡子規 涼し
雪見にと聞て涼しき夕かな 正岡子規 涼し
雪見るやスープの匙を置きもする 阿波野青畝
雪見るや金をまうける道すがら 正岡子規 雪
雪見るや始終を肩に手を置かれ 能村登四郎
雪見れば夜に来といふを待ち難き 下村槐太 光背
雪見酒ひとくちふくむほがひかな 飯田蛇笏 霊芝
雪見酒ひとを査かにしたりけり 星野麥丘人
雪見酒ひとを杳かにしたりけり 雨滴集 星野麥丘人
雪見酒一とくちふくむほがひかな 飯田蛇笏
雪見舟船頭ひとり吹きさらし 阿波野青畝
雪女出て来るほどの雪見たし 右城暮石 散歩圏
掃きいだす障子のひまに雪見えて 大野林火 冬青集 雨夜抄
大富士の雪見つ木の芽噛みすてぬ 渡邊水巴 富士
中汲の白きを雪見船に酌む 上村占魚
爪立ちて雪見灯籠雪を待つ 鷹羽狩行
釣忍雪見灯籠の形して 山口青邨
鶴の舞ふ杯はよし雪見酒 山口青邨
庭の雪見るや厠の行き戻り 正岡子規 雪
庭園灯ともし雪見のこころあり 山口青邨
湯女乗せし円山川の雪見舟 阿波野青畝
得し金の雪見酒とはなし難き 石塚友二 光塵
楢青み蔵王に縋る斑雪見ゆ 小林康治 玄霜
富士春雪見えつかくれつ彼我の間ひ 細見綾子
風花に雪見障子を上げらるる 後藤夜半 底紅
風邪の子に屋根の雪見え雀見え 細見綾子
風入れた代り雪見や破れ窓 正岡子規 雪見
閉門の白猫に雪見せるだけ 平畑静塔
老僧の西行に似る雪見哉 正岡子規 雪見
炬燵あり雪見障子の欲しかりし 後藤比奈夫
蘆雪見て気魂おばえし夏書かな 阿波野青畝

雪見 続補遺

かも河の鴨を鉄輪に雪見かな 其角
くるしみて竹のもてなす雪見かな 平砂 反古ふすま
なつかしや雪見し後の下もみぢ 加藤曉台
ほの~と雪に隔や雪見舟 大来 加佐里那止
ほろ酔の是や誠の雪見顔 野童
わが国の雪見に来た歟うるま人 桜井梅室
一舩はさわいであがる雪見かな 寥松 八朶園句纂
覚悟して風引に行雪見哉 杉風
寒垢離の簑に雪見る袖もなし 支考
供先のさがなく語る雪見かな 三宅嘯山
五月雨の晴間を不二の雪見かな 馬場存義
御次男は馬が上手で雪見かな 炭太祇
此地はまだ降らぬ雪見や柴小船 露川
傘や雪見ながらの城通ひ 千川
思はずの雪見や日枝の前後 丈草
曙や伽監~の雪見廻ひ 荷兮
小坊主や雪見の倶をこけまはる 風国
雪の中の雪見付たりひとつ松 田川鳳朗
雪見とて出るや武士の馬に鞍 炭太祇
雪見にも雨にもかなし杖の友 中川乙由
雪見ゆる峰をかくして初時雨 高井几董
雪見よと帆をはづれけり駒が嶽 中川乙由
道連のひとりもないが雪見哉 四睡
日枝一つ前に置たる雪見かな 乙訓
箱崎の松に雪見んすゞり蓋 木因
半衿のうき世を咄す雪見哉 其角
盤銅の火は炎~と雪見かな 高井几董
舞台から杖を飛せて雪見かな 露川
風になびく煙も夏の雪見かな 鬼貫
野一遍雪見ありきぬ雑煮腹 黒柳召波
柳かなとて立どまる雪見かな 寥松
旅に居る人をかぞへて雪見かな 卓池
六月の峯に雪見る枕かな 支考
迯さじと亭主とらゆる雪見哉 土芳

以上

by 575fudemakase | 2017-04-18 02:01 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

小寒の俳句

小寒の俳句

小寒

例句を挙げる。

まひあがりたる小寒の埃のみ 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
大寒む小寒む針もつ妻へ飴投げむ 磯貝碧蹄館 握手
天国の大寒小寒治虫かな 夏石番矢 楽浪
小寒となりしは名のみあたたかや 星野立子
小寒のさゞなみ立てて木場の川 山田土偶
小寒のひかり浸して刷毛目雲 火村卓造
小寒の夕映富士をのぼりつむ 浅羽緑子
小寒の夜半きらきらと洗車場 塚本邦雄 甘露
小寒の闇ををさめし眼閉づ 深谷雄大
小寒の雨に大気のゆるみけり 稲畑汀子
小寒の雨振り仰ぎつつ独語 高澤良一 宿好
小寒の雨来て夜の例会あり 高澤良一 宿好
小寒の雨降る闇に別れけり 高澤良一 宿好
小寒の鵜の肩先のなにもなし 金田咲子 全身 以後
小寒やまぶしき月が枯木越し 相馬遷子 山河
小寒や妻の形見を分けあえり 鈴木静海
小寒や新井を祭る迎へ水 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
小寒や枯草に舞ふうすほこり 長谷川春草
小寒や油いための蓮の味 小澤碧童 碧童句集
小寒や石段下りて小笹原 波多野爽波
小寒や老婆が唱歌みな生かす 山本紫黄
小寒や鴎とび交ふ中華街 柴原保佳
石切の音小寒の谷の中 佐藤 由比古
祖父の世の木臼おほ寒小寒来る 龍太
置き分けて小寒の菜を洗ひをり 石川桂郎 高蘆
避け難き小寒の来て大寒来 嶋田摩耶子

小寒 補遺

置き分けて小寒の菜を洗ひをり 石川桂郎 高蘆
祖父の世の木臼おほ寒小寒来る 飯田龍太
小寒やまぶしき月が枯木越し 相馬遷子 山河
小寒に入るや宵空の月細く 村山故郷
小寒にして大寒とけぢめなし 百合山羽公 樂土以後
小寒き日つづき~て梅見月 原石鼎 花影以後
小寒うに灯をかざしたる鶫かな 右城暮石 句集外 昭和八年
襟元に風の小寒き雛流す 鈴木真砂女 夏帯
飴玉を呉れゆく小寒ム小僧かな 佐藤鬼房

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 22:06 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒参 の俳句

寒参 の俳句

寒参

例句を挙げる。

人の背をいつも楯とし寒参 小荒井旗男
寒参うぐひす張りの長廊下 文田多加子
寒参夜空の青さ沁むばかり 岡本 眸
心経の堂にひびきて寒参り 葛西たずゑ
野の道に電燈ついて寒参り 臼田亜浪
顔ふかく包みて誰そや寒参り 高浜虚子
おくれじの金剛杖も寒詣 塩崎 緑
このあたりにほふ艾や寒詣 阿波野青畝
さりげなく撫で牛を愛づ寒詣 小牧七草
すれ違ひざま寒詣鼓うつ 星野立子
ひたむきに鞍馬をさして寒詣 石田雨圃子
ひともとの梅に立ち寄る寒詣 依光陽子
まつさらの火箸納めの寒詣 松村節子
みあかしに杉の根高し寒詣 竹内南蛮寺
わざをぎの名の提灯や寒詣 南上北人
一願のありて鞍馬へ寒詣 徳山聖杉
万葉の歌の響きや寒詣 加藤知世子 黄 炎
二の鳥居三の鳥居や寒詣 野原 湖心
二十五菩薩おん名を唱し寒詣 田中 満
信心の厚き下町寒詣 高橋春灯
厄年の貌となりゆく寒詣 増成栗人
夫婦とも見ゆる二人の寒詣 福田寿堂
寒詣あとの一人もまがりけり 龍岡 晋
寒詣かたまりてゆくあはれなり 久保田万太郎 草の丈
寒詣りたちまち闇にまぎれけり 林田暁見
寒詣一灯地獄絵を照らす 石倉啓補
寒詣娘ゆゑの祈り長かりき 高橋文子
寒詣木も水の香も封じゆく 金子青銅
寒詣橋に出でたる月夜かな 篠原温亭
寒詣火の番の眼に消えにけり 野村喜舟 小石川
寒詣白き袂の長さかな 川端茅舎
寒詣磴の手摺を鷲掴み 河野あきら
寒詣翔るちん~千鳥かな 尾崎紅葉
寒詣過去は谺の割れる先 首藤基澄
小吉の御籤は結はず寒詣 大石悦子 群萌
小走りに妻従へる寒詣 川端茅舎
岩の間を風の矢がくる寒詣 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
提灯に下りきし靄や寒詣 細木芒角星
提灯に己の影や寒詣 野村喜舟 小石川
提灯に我影さむし寒詣 田中王城
森深く吸はれゆく灯や寒詣 榊原鼓六
移り香を闇にのこして寒詣 白土湘岳子
粉雪の篝火に降る寒詣 長谷川櫂 古志
繰り返す妙法蓮華経寒詣 加藤 洋
背低きは女なるべし寒詣 高浜虚子
蝋燭の金ンの焔や寒詣 村上杏史
遣り過ごす寒詣の背の汗見ずや 原田種茅 径
銀行の角曲りけり寒詣り 阿片瓢郎
風神を祀らすとかや寒詣 後藤夜半 底紅
高き木をおそれつ過ぐる寒詣 澤井我来
焼芋屋裸参りの後につき 佐藤淑子
胸張つて裸参の瞳のすがし 横内照代
裸参りの一歩一歩や根雪鳴る 藤島かの子
酒倉に裸参りの支度かな 田村了咲

寒参 補遺

墓の前月日ながれて寒詣 飯田蛇笏 家郷の霧
風神を祀らすとかや寒詣 後藤夜半 底紅
藤白の嶮を越えずに寒詣 山口誓子
提灯に幹する~と寒詣 川端茅舎
随身を気味わるく見て寒詣 阿波野青畝
小走りに妻従へる寒詣 川端茅舎
寒参夜空の青さ沁むばかり 岡本眸
寒参り刻おいて過ぐる雨夜かな 大野林火 冬青集 雨夜抄
寒詣白き袂の長さかな 川端茅舎
寒詣なむぢななたび生まれよと 阿波野青畝
このあたりにほふ交や寒詣 阿波野青畝

寒参 続補遺

鶯や裸まいりの行木の間 成田蒼虬

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:56 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒造 の俳句

寒造 の俳句

寒造

例句を挙げる。

おとがひに糀の花や寒造 阿波野青畝
くらがりの土間のでこぼこ寒造 村上青史
ごんぶりもためもささくれ寒造 西本一都 景色
ほのと燈や裸身酒男の寒造り 及川貞 夕焼
みちのくの深雪の倉の寒造 遠藤梧逸
一徹な杜氏を恃みの寒造 伊東宏晃
二階より桶つりおろす寒造 西山小鼓子
佇めばつぶやく醪寒造 岸風三樓
厳島祀る太梁寒造 山田弘子 初期作品
大樽に伊耶那伎の櫂寒造 西村和子 かりそめならず
大風の坂日あたりて寒造 大峯あきら 鳥道
室の神かまどの神や寒造 藤井佐保女
寒造なべて浄らに狂ひなく 下村ひろし 西陲集
寒造はじまる水の生きて来し 後藤比奈夫 初心
寒造りこの泡底に切なきもの 天野莫秋子
寒造りしたゝる甕のひゞき哉 田中王城
寒造りの百の甕おく大野蔵 柴田白葉女
寒造り一つの深井市井にも 栗生純夫 科野路
寒造り千石桶に雲満ちて 品川鈴子
寒造り息もろともの声にあふ 今瀬剛一
寒造り杜氏案内に興もなげ 高濱年尾 年尾句集
寒造り杜氏潔斉點火しぬ 及川貞 夕焼
寒造り水といふこの温きもの 坂巻純子
寒造り渚の如く米沈む 山口誓子
寒造り糀は母のにほひして 藤岡筑邨
寒造り見に雪止んで月射して 及川貞 夕焼
寒造り見るいくつもの注連くぐり 森田公司
寒造仕込むも見るも湯気の中 下村ひろし 西陲集
寒造伏見の水を誇とす 鈴木喜代子
寒造働く杜氏湯気まとひ 幸まつ子
寒造切なき唄を朗々と 堀口まゆみ
寒造寝かせておく間の倉の闇 宗像夕野火
寒造海見えて川速くなる 中拓夫
寒造米の滝より始動して 平畑静塔
寒造終えて杜氏も背広かな 奥田一夫
寒造酒徒も末なるわれに見す 百合山羽公 寒雁
寒造金柑神に供へあり 山本洋子
摺り減りし一番櫂や寒造 西本一都
新旧の酒蔵二つ寒造 澤村啓子
暁に蔵唄きこえ寒造 松尾静子
月山の水を祓へり寒造 丹羽 啓
杜氏が身を賭けて働く寒造り 右城暮石 上下
来て見れば雪の中なる寒造 岸本尚毅 舜
柱暦の大吉日や寒造 西山泊雲 泊雲句集
柿渋を塗りし手桶や寒造 阿部月山子
桶渡りあける高窓寒造 安川汪洋
樅山のなかほどに日や寒造 藤田あけ烏 赤松
歌詠みの杜氏もをりし寒造 能村研三 鷹の木 以後
水に浸し寒造り米青みさす 右城暮石 上下
水を揉むことよりはじめ寒造 石川優
汲み水によき日溜りや寒造 藤田あけ烏 赤松
泡を読む天窓あかり寒造 山田弘子 初期作品
洗ひたるものを重ねし寒造 浜 秋邨
洞然と湯気をさまりし寒造 中村丹井
湯気ひいてはしる蔵人寒造 大橋桜坡子
父祖よりの赤城の里の寒造 伊東宏晃
生きてゐる泡の力や寒造 猪野翠女
白壁のままに倉古る寒造 榎本冬一郎
碓の十梃だてや寒造 召波
磨かれし米の小ささ寒造 長谷川櫂 天球
米つぶに背と腹のあり寒造り 小島千架子
能登杜氏のなべて小柄や寒造 福井貞子
蔵の外たばしる温泉あり寒造 木村蕪城
酒好きになるやも知れず寒造り 及川貞 夕焼
酒庫口のはき替草履寒造 西山泊雲 泊雲句集
酒槽の金紋総朱寒造 西本一都 景色
酒米の冴えたる白さ寒造 水谷 たつ子
門前に竜の玉あり寒造り 森澄雄
雀罠つくるいとまや寒造 西山泊雲 泊雲句集
雪厚き蔵の閂寒造り 及川貞 夕焼

寒造 補遺

あはれなるまでに米搗き寒造 後藤比奈夫
おとがひに糀の花や寒造 阿波野青畝
かぐはしくはたらくことを寒造 飴山實 花浴び
こころ澄むまで米洗ひ寒造り 鷹羽狩行
さやさやと泡のつぶやく寒造 飴山實 花浴び
ほのと燈や裸身酒男の寒造り 及川貞 夕焼
桶の上に影曳く桶や寒造 後藤比奈夫
音無しに老いし鬼怒川寒造 平畑静塔
寒造はじまる水の生きて来し 後藤比奈夫
寒造やめて地酒の一つ消ゆ 百合山羽公 樂土
寒造り見に雪止んで月射して 及川貞 夕焼
寒造り見る発酵のただ中に 山口誓子
寒造り酒米白くなだれ落つ 山口誓子
寒造り渚の如く米沈む 山口誓子
寒造り杜氏潔斉點火しぬ 及川貞 夕焼
寒造一歩も入れず夜の女 平畑静塔
寒造酒徒も末なるわれに見す 百合山羽公 寒雁
寒造喪につつしみつ注連換へず 平畑静塔
寒造男の洗ひ上げしもの 後藤比奈夫
寒造米の滝より始動して 平畑静塔
寒造藁胴巻を松にさせ 平畑静塔
寒造蓆いきいき働ける 後藤比奈夫
魚崎にこんな古町寒造 後藤比奈夫
憩ふ湯気働ける湯気寒造 後藤比奈夫
雑仕にて女人寒造に加ふ 平畑静塔
仕込み日をチヨークで記す寒造り 右城暮石 句集外 昭和四十五年
酒好きになるやも知れず寒造り 及川貞 夕焼
女人見て腐酒とならざる寒造り 山口誓子
小さきほど泡のささやく寒造 飴山實 花浴び
水に浸し寒造り米青みさす 右城暮石 上下
生きものの酒ぶくぶくと寒造り 山口誓子
赤煉瓦煙突四角寒造 右城暮石 天水
雪厚き蔵の閂寒造り 及川貞 夕焼
雪山下醪ふつふつ寒造り 森澄雄
素裸に蒸し米もんで寒造り 鷹羽狩行
天窓や雲のしぶとき寒造 平畑静塔
天道の日は動くなり寒造 平畑静塔
杜氏が身を賭けて働く寒造り 右城暮石 上下
杜氏もはや桶がタンクに寒造 百合山羽公 樂土以後
杜氏一切賭けて働く寒造り 右城暮石 句集外 昭和三十五年
日もすがら灯りつづけり寒造 清崎敏郎
百年の大釜二つ寒造 百合山羽公 樂土以後
米や水よりも人の和寒造り 鷹羽狩行
密室が麹臭くて寒造 阿波野青畝
無意味なる濡れをゆるさず寒造 岡本眸
毛布かけ酵(もと)をねかせて寒造 平畑静塔
門前に龍の玉あり寒造り 森澄雄

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:52 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒餅 の俳句

寒餅 の俳句

寒餅

例句を挙げる。

ずつとおくれて来し寒餅の送り状 細見綾子 黄 炎
のつてきたりし寒餅の杵調子 綾部仁喜 寒木
一臼の寒餅搗けり山売れて 野沢秋燕子
寒の水寒餅ひたしたくはへぬ 室生犀星 魚眠洞發句集
寒餅と襖へだてて赤子かな 大峯あきら 宇宙塵
寒餅にとざせし北の座敷かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
寒餅に罅戦争が始まりぬ 嶋田麻紀
寒餅のうす紫や水にひそみ 伊藤稚草
寒餅のとゞきて雪となりにけり 久保田万太郎 草の丈
寒餅のまだやはらかし辻の神 大石悦子 群萌
寒餅の上澄みに灯の透りけり 石原八束
寒餅の刃ごたへいよよ一徹に 河野南畦 『空の貌』
寒餅の届けば襖あけにけり 長谷川かな女 雨 月
寒餅の紅切れば艶老妻に 山口青邨
寒餅の罅の饒舌はじまりぬ 斎藤みゑ子
寒餅の胡麻よ豆よと搗きあがる 西村三穂子
寒餅の芯からあつく焼けにけり 梅原黄鶴子
寒餅の荷の釘づけの固しかたし 細見綾子 黄 炎
寒餅の黴うつくしく水の中 河野南畦 『黒い夏』
寒餅は水浅けれどいと沈む 細見綾子 花 季
寒餅も寒明け餅も少し搗く 久保 青山
寒餅やことに胡麻餅豆の餅 草間時彦 櫻山
寒餅やしん~として土間暗し 池上柚木夫
寒餅やむらさきふくむ豆のつや 室生犀星(1889-1962)
寒餅や埃しづめるひびの中 室生犀星 犀星發句集
寒餅や手力こめし山家搗 水原秋櫻子
寒餅や最後の癩の詩つよかれ 村越化石
寒餅や母のうしろに夜の色 草間時彦 櫻山
寒餅や秘仏に逢ひし夜は飢ゑて 井沢正江 以後
寒餅や金釘流の母の文 衣川砂生
寒餅を一口食ひて腹へりぬ 綾部仁喜 寒木
寒餅を搗かん搗かんとおもひつつ 松本たかし
寒餅を搗き終り土間掃き終り 大峯あきら 宇宙塵
寒餅を搗くとふまへし力足 河合佳代子
寒餅を搗く両隣に小さく住み 皆川白陀
寒餅を搗く日にしては温かりし 小谷鶴枝
寒餅を搗く日の山の面がまへ 大峯あきら 宇宙塵
寒餅を搗く時だけの大竃 前田壽子
寒餅を搗く音きこえすぐやみぬ 水原秋桜子
寒餅を搗けば日和の山の顔 大峯あきら
寒餅を焼くたのしさに火桶置く 水原秋櫻子
寒餅を食ふやはるかな欅見て 皆川盤水
寒餅吊しふつくりと巻く濃染和紙 高島筍雄
山の風寒餅に紅滲まする 村上しゆら
忽ちに食ひし寒餅五六片 日野草城
朝月や寒餅を搗く一とさわぎ 田住満夫
湖に響く寒餅搗きにけり 室積徂春
癒えし子に寒餅食ます強くなれよ 石塚友二 光塵
矍鑠の父の寒餅届きけり 高橋悦男
紅少し入れて寒餅搗きにけり 今井たけ
紐固く父寒餅を送りきし 山崎 喜八郎
老の膝よせて寒餅伸ばしをり 百合山羽公 故園
貸二階寒餅並べありにけり 藺村
青空がある寒餅を切り並べ 清水径子
けち~と暮して寒の餅もつく 鈴木花蓑句集
むつちりと手応へ寒の餅とどく 能村登四郎 民話
人も来ぬ藪の小家の寒の餅 大峯あきら 宇宙塵
住みつきし町がふるさと寒の餅 風間啓二
別れ棲む都会と田舎寒の餅 福田蓼汀 山火
定型の煮ても焼いても寒の餅 筑紫磐井 花鳥諷詠
寒の餅切る日あたりの古畳 松村蒼石 寒鶯抄
寒の餅割ればことばを吐くごとし 原裕 正午
寒の餅己れを裂きて火に抗す 河野南畦 『風の岬』
川面より低きに搗ける寒の餅 千葉皓史
身をかけし刃のしづみゆく寒の餅 野澤節子 遠い橋

寒餅 補遺

かばかりの佛供への寒の餅 石田勝彦 秋興以後
この世から餅供へけり寒見舞 飴山實 花浴び
ずつとおくれて来し寒餅の送り状 細見綾子 伎藝天
づつとおくれて来し寒餅の送り状 細見綾子
むつちりと手応へ寒の餅とどく 能村登四郎
寒の水餅つけてより夜のたしか 細見綾子
寒の餅切る日あたりの古畳 松村蒼石 寒鶯抄
寒深き黒田を前に餅を搗く 西東三鬼
寒蓬つみてつくりし蓬餅 細見綾子
寒餅に教師一家の足るごとし 能村登四郎
寒餅に胸のつかへや囲ひ者 日野草城
寒餅に蓬の香ありめでて焼く 水原秋櫻子 餘生
寒餅に罅はしらざるめでたさよ 水原秋櫻子 餘生
寒餅のひび割れ樫の空晴れて 細見綾子
寒餅の荷の釘づけの固しかたし 細見綾子
寒餅の紅切れば艶老妻に 山口青邨
寒餅の焦げて炎をあげにけり 水原秋櫻子 餘生
寒餅の生の重味を持たされし 能村登四郎
寒餅の切口厚し不揃ひに 水原秋櫻子 餘生
寒餅の反りて乾くはなつかしき 後藤比奈夫
寒餅は水浅けれどいと沈む 細見綾子
寒餅は網目匂はせ焼くべかり 水原秋櫻子 殉教
寒餅も彼の花巻の人の情 石塚友二 磯風
寒餅やことに胡麻餅豆の餅 草間時彦
寒餅や手力こめし山家搗 水原秋櫻子 蘆雁
寒餅や雪に摘みけむ蓬の香 水原秋櫻子 蘆雁
寒餅や日溜り蓬搗きまぜて 水原秋櫻子 餘生
寒餅や母のうしろに夜の色 草間時彦 櫻山
寒餅を焼くたのしさに火桶置く 水原秋櫻子 餘生
寒餅を焼くとて炭火ながめをり 水原秋櫻子 餘生
寒餅を切るか鈍重なる音す 山口誓子
寒餅を搗く音きこえすぐやみぬ 水原秋櫻子 重陽
寒夜市餅臼買ひて餅つきたし 西東三鬼
忽ちに食ひし寒餅五六片 日野草城
桜餅寒桜にも先がけし 相生垣瓜人 負暄
三彩の黴寒餅を固めけり 百合山羽公 樂土
水餅に寒九の水を重ねけり 百合山羽公 樂土
雀斑美しく寒餅焼き漕す 鷹羽狩行
切りごろを外さず切りし寒の餅 能村登四郎
別れ棲む都会と田舎寒の餅 福田蓼汀 山火
餅白し寒桜いま花ざかり 飯田龍太
癒えし子に寒餅食ます強くなれよ 石塚友二 光塵
流寓を寒餅黴びて甘やかす 百合山羽公 樂土
力瘤ほどに寒餅ふくれけり 橋閒石
老の膝よせて寒餅伸ばしをり 百合山羽公 故園
泪ぐむまで寒餅のやはらかし 能村登四郎

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:49 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒紅 の俳句

寒紅 の俳句

寒紅

例句を挙げる。

いささかの寒紅さして奪衣婆 有馬朗人 知命
うつすらと寒紅余命あかりかな 栗林千津
つよくひく寒紅に舟溜りくる 宇佐美魚目 天地存問
人形にちよんと寒紅さしにけり 有馬朗人
働いて帰る寒紅ひきにけり 菖蒲あや 路 地
円山の雪寒紅の猪口に降る 長谷川かな女 雨 月
古妻の寒紅をさす一事かな 日野草城
喪にこもる日々寒紅はうすく刷く 黒瀬静江
娘義太夫寒紅の口大開き 辻桃子 花
寒紅といふ言葉には濃きこころ 後藤夜半 底紅
寒紅にしづかに曇る日なりけり 原石鼎
寒紅に口尖がらせし娘かな 皿井旭川
寒紅に女心をみたりけり 田畑美穂女
寒紅に松風つのりきたりけり 綾部仁喜 樸簡
寒紅に疲れを隠し看取妻 飯田 波津恵
寒紅に鬢附油凍りけり 野村喜舟 小石川
寒紅のきりりと親を拒みをり 黛執
寒紅のくちびる何の果肉なる 上田五千石
寒紅のことば慎みゐたるなり 石嶌岳
寒紅の一文牛の溜りけり 野村喜舟 小石川
寒紅の去りし鏡の虚空かな 野見山朱鳥
寒紅の口うつくしき京言葉 蒲生院鳥
寒紅の口を結びてかたくなに 田上一蕉子
寒紅の口を絞りて舞妓かな 皿井旭川
寒紅の口許生きて来し会話 稲畑汀子
寒紅の唇うばはれて嫉妬断つ 仙田洋子 橋のあなたに
寒紅の唇に利酒つかまつる 佐久間慧子
寒紅の唇動き読みすすむ 小澤實
寒紅の店の内儀の美しき 高浜虚子
寒紅の提灯の文字女文字 田中冬二 麦ほこり
寒紅の濃き唇を開かざり 富安風生
寒紅の濃くさしたるを怖れけり 鷹羽狩行 十友
寒紅の燃えて何をか言はんとす 井沢正江
寒紅の皓歯にすこしうつろへる 久米正雄 返り花
寒紅の皿糸底の古りにけり 京極紀陽
寒紅の筆の命毛短くも 奈良鹿郎
寒紅の舞妓も見たり外套被る 百合山羽公 故園
寒紅の貝合せめく絵なりけり 下村梅子
寒紅は末摘む花の色なりし 下村梅子
寒紅もその年頃の杏子色 後藤夜半 底紅
寒紅やいとけなき手にする化粧 岡本松浜 白菊
寒紅やおどけて心ひきたてて 清水万里子
寒紅やかつてをとめの鏡の座 河野南畦 『花と流氷』
寒紅やせうなきことを深嘆き 辻桃子
寒紅や一つの墓にひざまづき 宇佐美魚目
寒紅や二夫にまみえて子をなさず 吉屋信子
寒紅や京としいへば紅の事 小澤碧童 碧童句集
寒紅や人剌す如く言ひ捨てゝ 牧野美津穂
寒紅や何も言はじと心決め 西村和子 窓
寒紅や夫の好まぬ髪結はむ 池上不二子
寒紅や女ひとりの幸はあるか 楠本憲吉
寒紅や妻となり萎えゆけるもの 大石悦子 群萌
寒紅や小菊にぬぐふくすり指 星野麦人
寒紅や己がわがまゝ己れ知る 木内悠起子
寒紅や心の奥に神も魔も 上野泰
寒紅や心の闇は覗かれず 鈴木真砂女 夕螢
寒紅や心隈どるごとく引く 大石悦子 群萌
寒紅や暖簾をくぐる女形 小川陽子
寒紅や暗き翳ある我が運命 下田実花
寒紅や月蝕の闇宵のうち 宇佐美魚目 秋収冬蔵
寒紅や母にはいつも祈りあり 都筑智子
寒紅や皿の糸底かかる指 野村喜舟
寒紅や眉定まりて人の妻 島村元句集
寒紅や石女と言ふ語はかなし 木村梧葉
寒紅や素直に通す人の意地 松本青羊
寒紅や美しき嘘うべなえり 大野岬歩
寒紅や老いさまざまに三姉妹 三好昭美
寒紅や花びら餅はほの赤し 高木晴子
寒紅や贋金をもて胸飾る 岸風三樓
寒紅や過ぎし世を恋ふ古簪 高橋淡路女 梶の葉
寒紅や酒も煙草もたしなまず 鈴木真砂女 生簀籠
寒紅や鏡の中に火の如し 野見山朱鳥
寒紅や雲欲すれば雲生れて 知久芳子
寒紅や鴨煮るくちに濃く刷かれ 龍岡晋
寒紅をさしたるのみの素顔かな 三宅清三郎
寒紅をさしていつもの富士額 後藤夜半 底紅
寒紅をさして無聊の日なりけり 龍奈賀子
寒紅をさす鏡中の暗さかな 町野けい子
寒紅をさせるお顔を見納めに 深見けん二 日月
寒紅をつけるいとまに妻はあり 上野泰 春潮
寒紅をつけ辛辣なこと言えり 沖口遼々子
寒紅をとりし白き手目にのこる 田中冬二 麦ほこり
寒紅をひいて反論もくろめり 樋笠文
寒紅をひきしづかなる一日を 深見けん二
寒紅をひきつつ言葉探しけり 鳥山米子
寒紅をひきて女形の顔となる 中山秋月
寒紅をひきて心に鞭打たん 天野 貞枝
寒紅を二つはきたる小皿かな 村上鬼城
寒紅を土産にくれし宿屋かな 田中冬二 麦ほこり
寒紅を引きて瞋りのなかにをり 大石悦子 群萌
寒紅を引きなつかしやわが死顔 恩田侑布子
寒紅を引くことのみの分限かな 今泉貞鳳
寒紅を引くたび想ふ礁あり 高千夏子
寒紅を拭ひ利酒つかまつる 宇和川喬子
寒紅を濃くさしたるを怖れけり 鷹羽狩行
寒紅を濃く稿債に倦みし日よ 稲畑汀子
寒紅を落として葱を刻みけり 中田尚子
寒紅を買ふ妻をみし小路かな 長谷川櫂 蓬莱
寒紅濃く半裸半跏の奈良へゆく 渋谷道
寒紅猫咲きそめ紙のうす明り 成田千空 地霊
封印のごとく寒紅引きにけり 小林知佳
慶弔に出向く寒紅一本持ち 神尾久美子 桐の木
旅重ね寒紅重ねおもねりぬ 萩原麦草 麦嵐
昨夜の夢かなし寒紅そと淡く 高橋笛美
曖昧に生きぬ証しの寒紅ひく 中村明子
桃水のため寒紅を引きし日も 太田夏子
濤に雨近し寒紅消さず寝る 神尾久美子 掌
物縫ふや寒紅売を心まち 高橋淡路女 梶の葉
笑み解けて寒紅つきし前歯かな 杉田久女
筆噛んで寒紅の唇汚さざる 村林星汀
筺底にわがいつの日の寒紅ぞ 高橋淡路女
罪障のふかき寒紅濃かりけり 鈴木真砂女 生簀籠
職を得て寒紅を濃く引きにけり 桑原美津子
芸道のきびし寒紅落しもあへず 長谷川かな女 花寂び
買初に寒紅の口切りにけり 橡面坊
丑紅を皆濃くつけて話しけり 高浜虚子
丑紅にをんなとなりし瞳のすゞし 野沢順水

寒紅 補遺

いささかの寒紅さして奪衣婆 有馬朗人 知命
丑紅といふ夜の川すぐそこに 岡井省二 猩々
丑紅の金の蓋紙あけにけり 三橋鷹女
丑紅の唇にちよとかむ筆のさき 阿波野青畝
丑紅やのぞいてみたる油瓶 岡井省二 鯛の鯛
丑紅や虫もころさぬおちよぼ口 飴山實 花浴び
寒紅といふ言葉には濃きこころ 後藤夜半 底紅
寒紅に紅さしゆびのふと不憫 後藤比奈夫
寒紅に日輪ひと日漿のごと 岡井省二 明野
寒紅のくちびる何の果肉なる 上田五千石 風景
寒紅のごとく蒔絵のうるし溶く 後藤比奈夫
寒紅の顔逆立てる枕かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
寒紅の去りし鏡の虚空かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
寒紅の口許生きて来し会話 稲畑汀子
寒紅の伝へつたへし美色はも 上田五千石『琥珀』補遺
寒紅の濃き唇を開かざり 富安風生
寒紅の濃くさしたるを怖れけり 鷹羽狩行
寒紅の舞妓も見たり外套被る 百合山羽公 故園
寒紅もその年頃の杏子色 後藤夜半 底紅
寒紅や鏡の中に火の如し 野見山朱鳥 曼珠沙華
寒紅や酒も煙草もたしなまず 鈴木真砂女
寒紅や女ひとりの幸はあるか 楠本憲吉 孤客
寒紅や色白むしろ蒼を帯び 上田五千石『琥珀』補遺
寒紅や心の闇は覗かれず 鈴木真砂女
寒紅や曩(さき)の湖いまもあり 岡井省二 山色
寒紅をさしていつもの富士額 後藤夜半 底紅
寒紅をさしてやるとて顎に手を 松本たかし
寒紅をさして初恋草とゐる 後藤比奈夫
寒紅をさしもするなり古娘 日野草城
寒紅をさす言ひたきを言ひ尽くし 鷹羽狩行
寒紅をつけるいとまに妻はあり 上野泰 春潮
寒紅をひきしづかなる一日を 深見けん二
寒紅を足す一木に真向ひて 上田五千石『琥珀』補遺
寒紅を濡らして舌の走りけり 野見山朱鳥 曼珠沙華
古妻の寒紅をさす一事かな 日野草城
罪障のふかき寒紅濃かりけり 鈴木真砂女
笑み解けて寒紅つきし前歯かな 杉田久女
又の名の丑紅の色と思ひをり 岡井省二 山色

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:45 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒の水 の俳句

寒の水 の俳句

寒の水

例句を挙げる。

ごくごくごく水のまことの寒の水 齋藤玄 『無畔』
のんですぐ背骨つらぬく寒の水 角川春樹
ひたひたと担ひこぼしぬ寒の水 西島麦南 人音
ひとり居や映るものなき寒の水 前田普羅 春寒浅間山
ほとけらの多くて寒の水足らず 関戸靖子
めでたさや一荷買ひたる寒の水 白水郎句集 大場白水郎
わさび田のまろ石寒の水ながれ 皆吉爽雨 泉声
一徹の一志を通す寒の水 塙 きく
一条入り一条あふれ寒の水 千代田葛彦 旅人木
一滴の厳しさ寒の水にあり 深川正一郎
一矩形光通さぬ寒の水 佐々木六戈 百韻反故 初學
一言で荒れる唇寒の水 高澤晶子 復活
三寒の水甕に日のそだちをり 長谷川双魚 風形
人気なき御手洗寒の水こぼす 五十嵐波津子
切昆布洒すや寒の水まけて 石塚友二 光塵
包丁の先より垂るる寒の水 加藤耕子
含嗽して舌の根甘し寒の水 石塚友二 光塵
呆けまじと一気に呑みし寒の水 明才地禮子
命あり家あり寒の水を飲む 坂田栄三
咽喉を落つ法悦に似て寒の水 小林康治 『虚實』
喜びの面洗ふや寒の水 前田普羅 新訂普羅句集
大淀の源にして寒の水 西村和子 かりそめならず
寒の水あびし巡査や玉せゝり 佐野不老
寒の水ありありと身体髪膚かな 山田みづえ
寒の水あをあをとして吉野川 日野草城
寒の水かそけき音に煮たちけり 西島麦南 人音
寒の水ごくごく飲んで畑に去る 飯田龍太
寒の水になひこぼせる閾かな 石原舟月 山鵲
寒の水のまず逝きしがあはれかな 石橋秀野
寒の水のみてうつし身二分けに 皆吉爽雨
寒の水ひたひたと呑む猫の舌 大橋敦子 勾 玉以後
寒の水もろもろのもの制し澄む 右城暮石 上下
寒の水をたゝへて噴井煙りゐし 青峰集 島田青峰
寒の水不動明王浴び給ふ 小川千代
寒の水今日の終りの薬飲む 朝倉和江
寒の水喉元を過ぎ大曲り 原裕 正午
寒の水喉越す辛口と思ふ 小倉涌史
寒の水寒餅ひたしたくはへぬ 室生犀星 魚眠洞發句集
寒の水念ずるやうにのみにけり 細見綾子 花寂び
寒の水怖る渕なす女の眼 柴田白葉女 花寂び 以後
寒の水手入れて思ひきりひらく 新谷ひろし
寒の水提げて漁船の中に消ゆ 大屋達治 絢鸞
寒の水柄杓飲みして山暮し ながさく清江
寒の水棒の如くに呑みにけり 藤松遊子
寒の水榊の影を折り畳み 佐々木六戈 百韻反故 初學
寒の水汲み込む甕のゆらぎ見ゆ 殿村莵絲子 遠い橋
寒の水泥酔漢をつたい落つ 鈴木六林男 王国
寒の水湛へつくばひ一穢なし 林大馬
寒の水溢れる音を聞いてをり 星野椿
寒の水澄む喋ることなくなりぬ 吉田紫乃
寒の水牛まばたかず飲むことよ 星野麦丘人
寒の水百薬の長併せ飲む 大宮良夫
寒の水胃の水琴の鳴るごとし 目迫のりを
寒の水腹背の創いたみけり 小林康治 『虚實』
寒の水荒使ひして鯉を切る 新田祐久
寒の水菩薩にそそぎあましたり 柴田白葉女 花寂び 以後
寒の水責めて漉きたる因幡和紙 美柑みつはる
寒の水適格者証出す手は賭博めく 岩田昌寿 地の塩
寒の水飲みてつらぬくもののあり 皆吉爽雨
寒の水飲み干す五臓六腑かな 細見綾子
寒の水飲めばこのまゝ癒ゆるかと 藤崎久を
寒の水飲めばたやすく心満つ 殿村菟絲子
山吹の反り枝も蒼し寒の水 岩田昌寿 地の塩
恙なき五臓六腑や寒の水 青木起美子
掌の窪に死水ほどの寒の水 齋藤玄 『狩眼』
旋回の澱沈みゆく寒の水 如月真菜
林間に見通す日向寒の水 藤井孝子
檻に猿をみて手に濺ぐ寒の水 竹中 宏
歳寒の水みつ陶の梅もどき 石原舟月 山鵲
水噛んで飲めてふ噛むや寒の水 橘川まもる
汲かへていとゞ白さや寒の水 浮流
汲み上げし大地のぬくみ寒の水 成嶋いはほ
汲み上げて地の温みある寒の水 松下晴耕
潦そのまゝ寒の水となる 阿部みどり女 笹鳴
焼跡に透きとほりけり寒の水 石田波郷(1913-69)
父というおとこにありぬ寒の水 大西泰世 『こいびとになつてくださいますか』
父の忌過ぐ皺みて窪む寒の水 小林康治 玄霜
現世のひと口漱ぐ寒の水 藤井冨美子
白魚やさぞな都は寒の水 高井几董
百薬の長にもまさる寒の水 福山英子
老移民 波止場の寒の水を飲む 伊丹三樹彦 樹冠
耳さときものも眠れり寒の水 久保純夫 聖樹
胃に落ちて甘さ戻りぬ寒の水 石塚友二
舌頭にとろりと甘き寒の水 高橋淡路女 淡路女百句
花絶えし壺拭き浄む寒の水 林翔 和紙
荒神に寒の水仕女燈をさゝぐ 西島麦南 人音
藺表へていねいに吹く寒の水 斉藤 大
行末や今こそ恃め寒の水 清水基吉 寒蕭々
見てさへや惣身にひゞく寒の水 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
見知らぬ土地低きところを寒の水 鈴木六林男 谷間の旗
諸手つき墓洗ふべし寒の水 小林康治 四季貧窮
金魚大鱗海の日に汲む寒の水 角川源義 『秋燕』
銭洗ふ新笊抜ける寒の水 村井信子
鮒跳んで苗代寒の水の上 岸本尚毅 舜
麦芽ばえ寒の水舟運河ゆく 西島麦南 人音
ポンプ押しゆるゝふぐりや寒水汲む 川口重美
古草履寒水に澄み聖農奴 香西照雄 対話
地下工場寒水通ふ管太き 細谷源二 鐵
寒水にうたれる行者遠く見ゆ 清水昭子
寒水に楮をさらす身をさらす 松井利彦
寒水に豆腐沈めしままの闇 赤尾恵以
寒水のひと口に勘とり戻す 多田菊葉
寒水の韻き収めし壺の闇 鷲谷七菜子 花寂び
寒水や裏ごしの糊まろやかに 三並蘭香
寒水をのみはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏
寒水を焚き汽罐車を野に放つ 細谷源二 鐵
寒水を飲みはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏 霊芝
寒水速し深夜を少年少女といて 寺田京子 日の鷹
情念の身の寒水を渉り居り 桂信子
朝寒や寒水石の手水鉢 寺田寅彦
梅女の足海草つけて寒水に 横光利一
死後の値の保険に決まるもどり寒 水下寿代
汲みあふる寒水の杓よるべなし 飯田蛇笏 春蘭
焦土より寒水はしりいづるかな 加藤秋邨
生理日の渇き寒水ごくごくのむ 草村素子
礁上の寒水海苔を湛へけり 渡邊水巴 富士
老の盲目かつとあきては寒水くむ 加藤知世子 花寂び
おささらの列へ寒九の浄め水 小枝秀穂女
ひたひたと寒九の水や廚甕 飯田蛇笏(1885-1962)
よき甕に寒九の水を封じけり 武田酔仏
仏にも寒九の水をたてまつる 森澄雄
出来過ぎの話寒九の水呷る 種子田誠子
山河眼にさやか寒九の水のめば 朔多 恭
棒のごと寒九の水を呑みくだす 大石悦子
歓べる寒九の水ののんどかな 石塚友二
氷柱折つて寒九の水を汲みゆけり 茂里正治
筆おろす寒九の水になじませて 武藤あい子
寒最中厠で使ふ水の音 高澤良一 暮津

寒の水 補遺

あざらしの潜きたのしむ寒の水 日野草城
アルミ貨の浮くといふこと寒の水 後藤比奈夫
おじいさんも好きだつた寒の水をあじわう 荻原井泉水
なんときびしい寒の水涸れた 種田山頭火 草木塔
ひたひたと寒九の水や厨甕 飯田蛇笏
ひたひたと担ひこぼしぬ寒の水 西島麦南 人音
ひとり居や映るものなき寒の水 前田普羅 春寒浅間山
わきあふれ流れゆくなり寒の水 山口青邨
雲水の打てるはつきり寒の水 後藤比奈夫
円匙たて大地に寒の水うまし 伊丹三樹彦
花絶えし壺拭き浄む寒の水 林翔 和紙
噛んで飲めよと伏見より寒の水 鷹羽狩行
寒の雨洲の水の面に漾たたず 松村蒼石 雁
寒の水あをあをとして吉野川 日野草城
寒の水かそけき音に煮たちけり 西島麦南 人音
寒の水ごくごく飲んで畑に去る 飯田龍太
寒の水こぼれて玉となりにけり 右城暮石 句集外 昭和三十二年
寒の水しづまりかへるうちたたへ 山口青邨
寒の水のまず逝きしがあはれかな 石橋秀野
寒の水ひとりごちのみ「ああおいし」 森澄雄
寒の水ふくみぬたのみある如し 中村汀女
寒の水もろもろのもの制し澄む 右城暮石 上下
寒の水飲み干す五臓六腑かな 細見綾子
寒の水飲む機も遂に得ざりけり 相生垣瓜人 負暄
寒の水触れなば珠と砕くらむ 山口青邨
寒の水地より噴き出で血のごとし 西東三鬼
寒の水念ずるやうにのみにけり 細見綾子
寒の水棒呑みに何恃むべき 岡本眸
寒の水餅つけてより夜のたしか 細見綾子
寒の水玲瓏よよと家鴨掻く 山口青邨
寒の水六百尺の地下より湧く 山口青邨
寒水にしかと若木の光沢赤し 大野林火 青水輪 昭和二十五年
寒水のはじく油を見ねばならぬ 加藤秋邨
寒水の韻き収めし壺の闇 鷲谷七菜子 花寂び
寒水の魚を見てゐて返事せず 西東三鬼
寒水の雑巾妻の手が絞る 日野草城
寒水の緋鯉よきのふの癩の島よ 中村草田男
寒水の鮠はしづかに旋りゐる 加藤秋邨
寒水を飲みはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏 霊芝
寒水を焚き汽罐車を野に放つ 細谷源二 鐵
寒水飲み一途に何を求むべき 松崎鉄之介
歓べる寒九の水ののんどかな 石塚友二 玉縄以後
含嗽して舌の根甘し寒の水 石塚友二 光塵
喜びの面洗ふや寒の水 前田普羅 普羅句集
汲みあふる寒水の杓よるべなし 飯田蛇笏 山響集
魚市場傲気に寒の水使ふ 飯島晴子
禁欲や夜半起きて呑む寒の水 伊丹三樹彦
金魚大鱗海の日に汲む寒の水 角川源義
古草履寒水に澄み聖農奴 香西照雄
荒神に寒の水仕女燈をさゝぐ 西島麦南 人音
黒ずむをうぐひと言へり寒の水 細見綾子
紙漉きの寒の水見る約束す 細見綾子
汐入りの水嵩さだまり寒の雨 石田勝彦 秋興
諸手つき墓洗ふべし寒の水 小林康治 四季貧窮
掌の窪に死水ほどの寒の水 斎藤玄 狩眼
焼跡に透きとほりけり寒の水 石田波郷
礁上の寒水海苔を湛へけり 渡邊水巴 富士
寝る時に飲みほしにけり寒の水 細見綾子
神の川橋の上に汲む寒の水 山口青邨
神橋の下寒の水あをかつし 川端茅舎
水餅に寒九の水を重ねけり 百合山羽公 樂土
切昆布洒すや寒の水まけて 石塚友二 光塵
船が曳く筏は長し寒の水 山口青邨
段差なき閾にこぼす寒の水 桂信子「草影」以後
地下工場寒水通ふ管太き 細谷源二 鐵
長風邪の水のうまさも寒の入り 細見綾子
沈み友禅寒水の流れゆるみ 橋本多佳子
鎮魂のごと寒の水のみ干して 細見綾子 虹立つ
梅の花寒水石の寒さかな 正岡子規 梅
麦芽ばえ寒の水舟運河ゆく 西島麦南 人音
父の忌過ぐ皺みて窪む寒の水 小林康治 玄霜
鳴るポンプ病者養ふ寒の水 西東三鬼
癒えし胃の寒水の沁みよろこべり 能村登四郎
老移民 波止場の寒の水を飲む 伊丹三樹彦
甕満たしことばのごとく寒の水 鷹羽狩行

寒の水 続補遺

白魚やさぞな都は寒の水 高井几董
さだめよの遺精もつらし寒の水 其角

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:42 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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