カテゴリ:冬の季語( 1193 )

寒の水 の俳句

寒の水 の俳句

寒の水

例句を挙げる。

ごくごくごく水のまことの寒の水 齋藤玄 『無畔』
のんですぐ背骨つらぬく寒の水 角川春樹
ひたひたと担ひこぼしぬ寒の水 西島麦南 人音
ひとり居や映るものなき寒の水 前田普羅 春寒浅間山
ほとけらの多くて寒の水足らず 関戸靖子
めでたさや一荷買ひたる寒の水 白水郎句集 大場白水郎
わさび田のまろ石寒の水ながれ 皆吉爽雨 泉声
一徹の一志を通す寒の水 塙 きく
一条入り一条あふれ寒の水 千代田葛彦 旅人木
一滴の厳しさ寒の水にあり 深川正一郎
一矩形光通さぬ寒の水 佐々木六戈 百韻反故 初學
一言で荒れる唇寒の水 高澤晶子 復活
三寒の水甕に日のそだちをり 長谷川双魚 風形
人気なき御手洗寒の水こぼす 五十嵐波津子
切昆布洒すや寒の水まけて 石塚友二 光塵
包丁の先より垂るる寒の水 加藤耕子
含嗽して舌の根甘し寒の水 石塚友二 光塵
呆けまじと一気に呑みし寒の水 明才地禮子
命あり家あり寒の水を飲む 坂田栄三
咽喉を落つ法悦に似て寒の水 小林康治 『虚實』
喜びの面洗ふや寒の水 前田普羅 新訂普羅句集
大淀の源にして寒の水 西村和子 かりそめならず
寒の水あびし巡査や玉せゝり 佐野不老
寒の水ありありと身体髪膚かな 山田みづえ
寒の水あをあをとして吉野川 日野草城
寒の水かそけき音に煮たちけり 西島麦南 人音
寒の水ごくごく飲んで畑に去る 飯田龍太
寒の水になひこぼせる閾かな 石原舟月 山鵲
寒の水のまず逝きしがあはれかな 石橋秀野
寒の水のみてうつし身二分けに 皆吉爽雨
寒の水ひたひたと呑む猫の舌 大橋敦子 勾 玉以後
寒の水もろもろのもの制し澄む 右城暮石 上下
寒の水をたゝへて噴井煙りゐし 青峰集 島田青峰
寒の水不動明王浴び給ふ 小川千代
寒の水今日の終りの薬飲む 朝倉和江
寒の水喉元を過ぎ大曲り 原裕 正午
寒の水喉越す辛口と思ふ 小倉涌史
寒の水寒餅ひたしたくはへぬ 室生犀星 魚眠洞發句集
寒の水念ずるやうにのみにけり 細見綾子 花寂び
寒の水怖る渕なす女の眼 柴田白葉女 花寂び 以後
寒の水手入れて思ひきりひらく 新谷ひろし
寒の水提げて漁船の中に消ゆ 大屋達治 絢鸞
寒の水柄杓飲みして山暮し ながさく清江
寒の水棒の如くに呑みにけり 藤松遊子
寒の水榊の影を折り畳み 佐々木六戈 百韻反故 初學
寒の水汲み込む甕のゆらぎ見ゆ 殿村莵絲子 遠い橋
寒の水泥酔漢をつたい落つ 鈴木六林男 王国
寒の水湛へつくばひ一穢なし 林大馬
寒の水溢れる音を聞いてをり 星野椿
寒の水澄む喋ることなくなりぬ 吉田紫乃
寒の水牛まばたかず飲むことよ 星野麦丘人
寒の水百薬の長併せ飲む 大宮良夫
寒の水胃の水琴の鳴るごとし 目迫のりを
寒の水腹背の創いたみけり 小林康治 『虚實』
寒の水荒使ひして鯉を切る 新田祐久
寒の水菩薩にそそぎあましたり 柴田白葉女 花寂び 以後
寒の水責めて漉きたる因幡和紙 美柑みつはる
寒の水適格者証出す手は賭博めく 岩田昌寿 地の塩
寒の水飲みてつらぬくもののあり 皆吉爽雨
寒の水飲み干す五臓六腑かな 細見綾子
寒の水飲めばこのまゝ癒ゆるかと 藤崎久を
寒の水飲めばたやすく心満つ 殿村菟絲子
山吹の反り枝も蒼し寒の水 岩田昌寿 地の塩
恙なき五臓六腑や寒の水 青木起美子
掌の窪に死水ほどの寒の水 齋藤玄 『狩眼』
旋回の澱沈みゆく寒の水 如月真菜
林間に見通す日向寒の水 藤井孝子
檻に猿をみて手に濺ぐ寒の水 竹中 宏
歳寒の水みつ陶の梅もどき 石原舟月 山鵲
水噛んで飲めてふ噛むや寒の水 橘川まもる
汲かへていとゞ白さや寒の水 浮流
汲み上げし大地のぬくみ寒の水 成嶋いはほ
汲み上げて地の温みある寒の水 松下晴耕
潦そのまゝ寒の水となる 阿部みどり女 笹鳴
焼跡に透きとほりけり寒の水 石田波郷(1913-69)
父というおとこにありぬ寒の水 大西泰世 『こいびとになつてくださいますか』
父の忌過ぐ皺みて窪む寒の水 小林康治 玄霜
現世のひと口漱ぐ寒の水 藤井冨美子
白魚やさぞな都は寒の水 高井几董
百薬の長にもまさる寒の水 福山英子
老移民 波止場の寒の水を飲む 伊丹三樹彦 樹冠
耳さときものも眠れり寒の水 久保純夫 聖樹
胃に落ちて甘さ戻りぬ寒の水 石塚友二
舌頭にとろりと甘き寒の水 高橋淡路女 淡路女百句
花絶えし壺拭き浄む寒の水 林翔 和紙
荒神に寒の水仕女燈をさゝぐ 西島麦南 人音
藺表へていねいに吹く寒の水 斉藤 大
行末や今こそ恃め寒の水 清水基吉 寒蕭々
見てさへや惣身にひゞく寒の水 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
見知らぬ土地低きところを寒の水 鈴木六林男 谷間の旗
諸手つき墓洗ふべし寒の水 小林康治 四季貧窮
金魚大鱗海の日に汲む寒の水 角川源義 『秋燕』
銭洗ふ新笊抜ける寒の水 村井信子
鮒跳んで苗代寒の水の上 岸本尚毅 舜
麦芽ばえ寒の水舟運河ゆく 西島麦南 人音
ポンプ押しゆるゝふぐりや寒水汲む 川口重美
古草履寒水に澄み聖農奴 香西照雄 対話
地下工場寒水通ふ管太き 細谷源二 鐵
寒水にうたれる行者遠く見ゆ 清水昭子
寒水に楮をさらす身をさらす 松井利彦
寒水に豆腐沈めしままの闇 赤尾恵以
寒水のひと口に勘とり戻す 多田菊葉
寒水の韻き収めし壺の闇 鷲谷七菜子 花寂び
寒水や裏ごしの糊まろやかに 三並蘭香
寒水をのみはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏
寒水を焚き汽罐車を野に放つ 細谷源二 鐵
寒水を飲みはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏 霊芝
寒水速し深夜を少年少女といて 寺田京子 日の鷹
情念の身の寒水を渉り居り 桂信子
朝寒や寒水石の手水鉢 寺田寅彦
梅女の足海草つけて寒水に 横光利一
死後の値の保険に決まるもどり寒 水下寿代
汲みあふる寒水の杓よるべなし 飯田蛇笏 春蘭
焦土より寒水はしりいづるかな 加藤秋邨
生理日の渇き寒水ごくごくのむ 草村素子
礁上の寒水海苔を湛へけり 渡邊水巴 富士
老の盲目かつとあきては寒水くむ 加藤知世子 花寂び
おささらの列へ寒九の浄め水 小枝秀穂女
ひたひたと寒九の水や廚甕 飯田蛇笏(1885-1962)
よき甕に寒九の水を封じけり 武田酔仏
仏にも寒九の水をたてまつる 森澄雄
出来過ぎの話寒九の水呷る 種子田誠子
山河眼にさやか寒九の水のめば 朔多 恭
棒のごと寒九の水を呑みくだす 大石悦子
歓べる寒九の水ののんどかな 石塚友二
氷柱折つて寒九の水を汲みゆけり 茂里正治
筆おろす寒九の水になじませて 武藤あい子
寒最中厠で使ふ水の音 高澤良一 暮津

寒の水 補遺

あざらしの潜きたのしむ寒の水 日野草城
アルミ貨の浮くといふこと寒の水 後藤比奈夫
おじいさんも好きだつた寒の水をあじわう 荻原井泉水
なんときびしい寒の水涸れた 種田山頭火 草木塔
ひたひたと寒九の水や厨甕 飯田蛇笏
ひたひたと担ひこぼしぬ寒の水 西島麦南 人音
ひとり居や映るものなき寒の水 前田普羅 春寒浅間山
わきあふれ流れゆくなり寒の水 山口青邨
雲水の打てるはつきり寒の水 後藤比奈夫
円匙たて大地に寒の水うまし 伊丹三樹彦
花絶えし壺拭き浄む寒の水 林翔 和紙
噛んで飲めよと伏見より寒の水 鷹羽狩行
寒の雨洲の水の面に漾たたず 松村蒼石 雁
寒の水あをあをとして吉野川 日野草城
寒の水かそけき音に煮たちけり 西島麦南 人音
寒の水ごくごく飲んで畑に去る 飯田龍太
寒の水こぼれて玉となりにけり 右城暮石 句集外 昭和三十二年
寒の水しづまりかへるうちたたへ 山口青邨
寒の水のまず逝きしがあはれかな 石橋秀野
寒の水ひとりごちのみ「ああおいし」 森澄雄
寒の水ふくみぬたのみある如し 中村汀女
寒の水もろもろのもの制し澄む 右城暮石 上下
寒の水飲み干す五臓六腑かな 細見綾子
寒の水飲む機も遂に得ざりけり 相生垣瓜人 負暄
寒の水触れなば珠と砕くらむ 山口青邨
寒の水地より噴き出で血のごとし 西東三鬼
寒の水念ずるやうにのみにけり 細見綾子
寒の水棒呑みに何恃むべき 岡本眸
寒の水餅つけてより夜のたしか 細見綾子
寒の水玲瓏よよと家鴨掻く 山口青邨
寒の水六百尺の地下より湧く 山口青邨
寒水にしかと若木の光沢赤し 大野林火 青水輪 昭和二十五年
寒水のはじく油を見ねばならぬ 加藤秋邨
寒水の韻き収めし壺の闇 鷲谷七菜子 花寂び
寒水の魚を見てゐて返事せず 西東三鬼
寒水の雑巾妻の手が絞る 日野草城
寒水の緋鯉よきのふの癩の島よ 中村草田男
寒水の鮠はしづかに旋りゐる 加藤秋邨
寒水を飲みはなちたる柄杓かな 飯田蛇笏 霊芝
寒水を焚き汽罐車を野に放つ 細谷源二 鐵
寒水飲み一途に何を求むべき 松崎鉄之介
歓べる寒九の水ののんどかな 石塚友二 玉縄以後
含嗽して舌の根甘し寒の水 石塚友二 光塵
喜びの面洗ふや寒の水 前田普羅 普羅句集
汲みあふる寒水の杓よるべなし 飯田蛇笏 山響集
魚市場傲気に寒の水使ふ 飯島晴子
禁欲や夜半起きて呑む寒の水 伊丹三樹彦
金魚大鱗海の日に汲む寒の水 角川源義
古草履寒水に澄み聖農奴 香西照雄
荒神に寒の水仕女燈をさゝぐ 西島麦南 人音
黒ずむをうぐひと言へり寒の水 細見綾子
紙漉きの寒の水見る約束す 細見綾子
汐入りの水嵩さだまり寒の雨 石田勝彦 秋興
諸手つき墓洗ふべし寒の水 小林康治 四季貧窮
掌の窪に死水ほどの寒の水 斎藤玄 狩眼
焼跡に透きとほりけり寒の水 石田波郷
礁上の寒水海苔を湛へけり 渡邊水巴 富士
寝る時に飲みほしにけり寒の水 細見綾子
神の川橋の上に汲む寒の水 山口青邨
神橋の下寒の水あをかつし 川端茅舎
水餅に寒九の水を重ねけり 百合山羽公 樂土
切昆布洒すや寒の水まけて 石塚友二 光塵
船が曳く筏は長し寒の水 山口青邨
段差なき閾にこぼす寒の水 桂信子「草影」以後
地下工場寒水通ふ管太き 細谷源二 鐵
長風邪の水のうまさも寒の入り 細見綾子
沈み友禅寒水の流れゆるみ 橋本多佳子
鎮魂のごと寒の水のみ干して 細見綾子 虹立つ
梅の花寒水石の寒さかな 正岡子規 梅
麦芽ばえ寒の水舟運河ゆく 西島麦南 人音
父の忌過ぐ皺みて窪む寒の水 小林康治 玄霜
鳴るポンプ病者養ふ寒の水 西東三鬼
癒えし胃の寒水の沁みよろこべり 能村登四郎
老移民 波止場の寒の水を飲む 伊丹三樹彦
甕満たしことばのごとく寒の水 鷹羽狩行

寒の水 続補遺

白魚やさぞな都は寒の水 高井几董
さだめよの遺精もつらし寒の水 其角

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:42 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒垢離 の俳句

寒垢離 の俳句

寒垢離

例句を挙げる。

寒垢離にせなかの龍の披露哉 一茶 ■文政二年己卯(五十七歳)
寒垢離に尻背けたる繋ぎ馬 蕪 村
寒垢離に滝団々とひかり墜つ 山口草堂
寒垢離に背中の龍の披露かな 一茶
寒垢離のあの滝音はひとりなり 小澤克己
寒垢離のあまたの足のふみし巌 宇佐美魚目 天地存問
寒垢離のきのふはゐしと青き歯朶 宇佐美魚目 秋収冬蔵
寒垢離のすがたを近み合掌す 飯田弥伊子
寒垢離のたよわき女誰がためぞ 吉野左衛門
寒垢離のもの干してある巌かな 都築道子
寒垢離の串ざしに干す濡草履 福田蓼汀
寒垢離の印呪の巨き掌がしろき 山口草堂
寒垢離の合掌を解き宙掴み 成田風太郎
寒垢離の喝脳天を抜けにけり 成川雅夫
寒垢離の女人しもたやを出で行きぬ 村山古郷
寒垢離の女葭簀に身をかくす 大久保九山人
寒垢離の念力の充つ濡れ身かな 山崎禎子
寒垢離の気魄鉄壁なせりけり 伊東宏晃
寒垢離の水が女体を打つて火に 山下半夏
寒垢離の水のはなるるとき女身 貴田将子
寒垢離の浄衣抱かされ抱きけり 三浦京子
寒垢離の滝の水汲む大やかん 阿部恵子
寒垢離の滝の飛沫にあな消たり 山口草堂
寒垢離の灯りを外るる一垂氷 宮岡計次
寒垢離の白衣すつくと立ち上がる 福田甲子雄
寒垢離の白衣を橇に曳ききたる 勝尾佐知子
寒垢離の石橋渡る銀杏かな 会津八一
寒垢離の終へたる岩を浄めをり 新井英子
寒垢離の耳の水ふる勢かな 炭 太祇 太祇句選
寒垢離の脱衣着衣に椿の木 宇佐美魚目 天地存問
寒垢離の行衣をつゝむ小風呂敷 幸野梨杖
寒垢離の身をよろよろとあがりきし 有本行路
寒垢離の逆髪濡れて荒法師 富安風生
寒垢離の長髪搾る手の赤し 田頭光枝
寒垢離の風に乗り行く歩みかな 黒柳召波 春泥句集
寒垢離やけふは人の身着がえ時 井原西鶴
寒垢離やはづれんとして車井戸 為成菖蒲園
寒垢離やひとゝせ見たる角力取 高井几董
寒垢離や上の町まで來たりけり 蕪村 冬之部 ■ 感偶
寒垢離や不動の火焔氷る夜に 正岡子規
寒垢離や信心堅き弟子大工 正岡子規
寒垢離や尊き闇の松の風 中山白峰
寒垢離や村を守り継ぐ血のほてり 山崎雅楽
寒垢離や氷柱の中に水細し 西山泊雲 泊雲句集
寒垢離や蘇鉄月夜の妙国寺 折井愚哉
寒垢離や黒髪といふ煩悩は 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
寒垢離をすませて吸へる生玉子 松本巨草
手にお滝足にお滝と寒垢離女 後藤夜半 底紅
満月光寒垢離のごと身を摶てり 渡辺恭子
首に巻く寒垢離僧の数珠凍り 安田晃子
しづかな熱気寒行後の僧にほふ 能村登四郎
しんがりの寒行太鼓乱れ勝ち 藤田光子
寒行が歩むちひさき埃立て 草間時彦
寒行やひとりは米の袋さげ 飴山實 『花浴び』以後
寒行やわがつぐなひの長病ひ 石田あき子
寒行や原爆ドームより消えゆく 田村奎三
寒行や異教徒のごと犬よぎる 中村正幸
寒行僧どこへゆくのと児が問へり 清水洋子
寒行僧の一列の声街をゆく 室岡青雨
寒行僧掌を解く鯉の鰭おもふ 森澄雄
寒行僧早め来つるよ夕しまき 高田蝶衣
寒行僧街人にまぎれず白し 大野林火
寒行太鼓時にみだるる月吹く夜 臼田亞浪 定本亜浪句集
寒行尼大本願に戻り来し 西本一都 景色
居留守して寒行僧を佇たせけり 森田公司
残業の事務所寒行遠ざかる 松根久雄
水の面に天日の張り寒行場 伊藤京子
父逝きて寒行僧の寄らずなりぬ 中村路子
花街の路地を出て来し寒行僧 菅原野火男
道に出て寒行燭をわかち合ふ 加藤まさを

寒垢離 補遺

しづかな熱気寒行後の僧匂ふ 能村登四郎
寒こりや思ひきつたる老の顔 正岡子規 寒垢離
寒垢離に逢ひける揚屋の戻りかな 正岡子規 寒垢離
寒垢離の我影はしる月夜かな 正岡子規 寒垢離
寒垢離の女人しもたやを出で行きぬ 村山故郷
寒垢離の人影もなし滝落とす 清崎敏郎
寒垢離の水を浴ひ居る月下哉 正岡子規 寒垢離
寒垢離の麻衣夜の梅に干す 細見綾子
寒垢離の黙って走る二人かな 正岡子規 寒垢離
寒垢離の慘憺たるを放映す 相生垣瓜人 負暄
寒垢離や一人行き又一人行く 正岡子規 寒垢離
寒垢離や兄におくれて母一人 正岡子規 寒垢離
寒垢離や兄皆逝いて母一人 正岡子規 寒垢離
寒垢離や信心堅き弟子大工 正岡子規 寒垢離
寒垢離や二人の童子目に見ゆる 正岡子規 寒垢離
寒垢離や不動の火焔氷る夜に 正岡子規寒垢離
寒垢離や両國渡る鈴の音 正岡子規 寒垢離
寒行が歩むちひさき埃立て 草間時彦 中年
寒行にひとりひとりの視線過ぐ 桂信子 女身
寒行に凌がる心急かれゐて 小林康治 玄霜
寒行の早き歩みに町残り 中村汀女
寒行の足音戦前戦後なし 西東三鬼
寒行の足指永く記憶せり 桂信子 樹影
寒行の足首細くふみだしぬ 有馬朗人 天為
寒行の体臭日本人ならず 藤田湘子 神楽
寒行の提灯ゆゝし誕生寺 村上鬼城
寒行の嗄声の中の澄みし声 能村登四郎
寒行の跣足の音の聞えねど 中村汀女
寒行やひとりは米の袋さげ 飴山實 句集外
寒行を技きしよりバス闇を馳す 大野林火 雪華 昭和三十五年
寒行三人更けし電車の窓を過ぐ 石田波郷
寒行僧街人にまぎれず白し 大野林火 冬青集 雨夜抄
寒行太鼓時にみだるる月吹く夜 臼田亜郎 定本亜浪句集
寒旱寒垢離に水給しつつ 百合山羽公 樂土
月下ゆく寒行の列影持たず 草間時彦 中年
月夜寒行くに現世は蒼ざめて 香西照雄
坂のぼりくる寒行の青つむり 大野林火 月魄集 昭和五十四年
手にお滝足にお滝と寒垢離女 後藤夜半 底紅
星空冴えてくる寒行の太鼓うちだした 種田山頭火
星座みな西す寒行一団も 藤田湘子

寒垢離 続補遺

寒垢離や身を切る風にのりの道 三宅嘯山
寒垢離やひとゝせ見たる角力取 高井几董
寒垢離の簑に雪見る袖もなし 支考
寒垢離の裸衣や入ほくろ 早野巴人
寒垢離の目を覚したる寒さ哉 芙雀
寒垢離の風に乗行歩ミ哉 黒柳召波
寒垢離の耳の水ふる勢かな 炭太祇
寒垢離の外にはないか銭まうけ 芙雀

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:37 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒灸 の俳句

寒灸 の俳句

寒灸

例句を挙げる。

いやいやに蹤いてきたるは寒灸 細川加賀 『玉虫』以後
お念仏申し耐へゐる寒灸 杉森干柿
しっかりと抱へる膝や寒灸 奥田 草秋
そくばくの餘命を惜しみ寒灸 西島麦南
ほつれ毛を咬へ耐へをる寒灸 樋口玉蹊子
わが肩に上る煙や寒灸 下田実花
一念の寒灸十日こゝろざし 上林白草居
下駄箱に白緒がひとつ寒灸 石田勝彦 秋興
寒灸ここにも腹に据ゑかねて 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
寒灸にしみ~とある命かな 川戸野登朗
寒灸に耐へゐる母の背の震へ 船橋一歩
寒灸のここが地獄の入口か 木田千女
寒灸の一火一火と燃えしづむ 皆吉爽雨 泉声
寒灸の三里といはず歩まねば 北見さとる
寒灸の後の背さらす医師の前 三島隆英
寒灸の摶つがごときを肩の上に 皆吉爽雨 泉声
寒灸の肩を互に老いゆくか 舞原余史
寒灸の背を曲ぐる母小さしや 川田一夫
寒灸や悪女の頸のにほはしき 飯田蛇笏 霊芝
寒灸や痩身に火を点じたり 村山古郷
寒灸よりどころなき瞳をつむる 雨丈
寒灸をおろし自伝をつづるなり 森川暁水 黴
寒灸を妻にもしひつ日を過ぎぬ 森川暁水 黴
寒灸小さな背中曲げて待つ 熊谷 芳洲
寒灸師山家に来り泊りけり 前田普羅
寺詣りせし夜の更けて寒灸 大野信子
脳天にきりきりしみて寒灸 上林白草居
もろともに出世こじれて寒の灸 細谷源二
寒の灸髪ふるはせて堪へにけり 森川暁水 黴
寒やいと子に先だたれたる同士 川村紫陽
寒やいと最後の綱とたのみけり 成瀬櫻桃子 素心
方丈に子らを遊ばせ寒の灸 香川はじめ
陽の縁に肩をすぼめて寒やいと 加藤武夫
風の子や裸で逃げる寒の灸 一茶

寒灸 補遺

草城の肩突兀と寒の灸 伊丹三樹彦
身を焼いて身の魔を焼いて寒灸 上野泰
寒灸や中年の膚しみだらけ 日野草城
寒灸や痩身に火を点じたり 村山故郷
寒灸や黄色人種肌をぬぎ 日野草城
寒灸や悪女の頸のにほはしき 飯田蛇笏
寒灸の女の中の男かな 高野素十
下駄箱に白緒がひとつ寒灸 石田勝彦 秋興

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:33 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒稽古 の俳句

寒稽古 の俳句

寒稽古

例句を挙げる。

くぐり門押せば開くなり寒稽古 鈴鹿野風呂
しろじろと月暁けてをり寒稽古 辻岡夏人
一礼に初心忘れず寒稽古 吉井莫生
一礼のすでに圧さるる寒稽古 石崎素秋
丹田にのりし全身寒稽古 深見けん二 日月
噴く山へ拳突き出す寒稽古 谷迫はるえ
大ぶりの椀の湯漬や寒稽古 水原秋櫻子
寒稽古に出しやりし燈の部屋に沁む 原田種茅
寒稽古らし城へゆく道ゆづる 上杉苳子
寒稽古夜更けて残る二人きり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
寒稽古始まる掲示つぎ~に 五十嵐播水 播水句集
寒稽古子弟の骨を鍛ひけり 河東碧梧桐
寒稽古汗ふく顔の幼かり 中原八千子
寒稽古生涯かけし師一人 上村占魚
寒稽古病める師匠の厳しさよ 高浜虚子
寒稽古百射て的の暮れにけり 猪俣千代子
寒稽古突き返し又突き返し 長谷川櫂 虚空
寒稽古終りて拳解かず礼 檜 紀代
寒稽古青き畳に擲(なげう)たる 日野草城
小つづみの血に染まり行く寒稽古 武原はん女(1903-98)
小漢の声の大きく寒稽古 古賀筑史
小豆煮る香のして終る寒稽古 田中 蘇水
山一つ二つ暮れゆく寒稽古 石田三省
己が吹く己が笛の音寒稽古 成瀬 雄達
師三人並び現れ寒稽古 波多野爽波 鋪道の花
指先の光を感じ寒稽古 渡辺和弘
放つ矢に風ひきしまる寒稽古 小森 泰子
故郷の月の明るき寒稽古 福田蓼汀 山火
明けに響く竹刀の音や寒稽古 坂本義雄
月の樹にありあふ柝や寒稽古 飯田蛇笏 霊芝
松籟に心休ませ寒稽古 上野 泰
水さはに胸拭き了へし寒稽古 中田 樵枝
水飲んで京へゆかなむ寒稽古 田中裕明 先生から手紙
渋引きしごと喉強し寒稽古 高浜虚子
渾身の一管ひびく寒稽古 三谷喜与史
神の灯の揺ぎて厳し寒稽古 門岡 一笑
空を蹴り空を突きては寒稽古 長谷川櫂 蓬莱
窓高し竹刀のみ見え寒稽古 森田峠 逆瀬川以後
老いてなほ稽古の鬼や寒稽古 竹原梢梧
胸をもてバレエつま立つ寒稽古 赤松[ケイ]子
行き渋る子を送り出し寒稽古 永森ケイ子
赤胴の似あふ少年寒稽古 中紫水
進み出て一対一や寒稽古 長谷川櫂 虚空
鉞も武芸が中や寒稽古 内田秋皎
門弟の一人きりなる寒稽古 折井眞琴
門弟の中のわが子や寒稽古 高野素十
雪の戸をわれ立ち出づる寒稽古 岩田潔
面つけて沙弥とは見えぬ寒稽古 中村草哉
面取れば妙齢なりし寒稽古 永田百々枝
すたれたる奥浄瑠璃や寒復習 宮野小提灯
たゞ一人ひそかなるかな寒復習 高浜虚子
よこたへる琴の長さや寒復習 辻桃子
半分は泣いてゐる声寒復習 浅野白山
吹く笛の林へ向ひ寒復習 高田 青圃
寒ざらい聲のつぶれる程ならず 高浜年尾
寒復習障子硝子に雪降つて 大橋櫻坡子 雨月
緋袴に坐してひとりの寒復習 黒田杏子 花下草上

寒稽古 補遺

どこそこに寒稽古あり聞くばかり 星野立子
ひよろひよろの男も来り寒稽古 山口青邨
割木さげし寒稽古の人むれて行く 正岡子規 寒稽古
寒稽古すみて広きを犬走る 波多野爽波
寒稽古帰りのみちの煮炊の香 上田五千石『天路』補遺
寒稽古句の鉱脈にゆきあたり 上野泰
寒稽古荒息二人のみ聞くよ 平畑静塔
寒稽古子弟の骨を鍛ひけり 河東碧梧桐
寒稽古青き畳に擲たる 日野草城
寒稽古多作の旆を掲げつつ 上野泰
寒稽古長身の師は受け一手 平畑静塔
月の樹にありあふ柝や寒稽古 飯田蛇笏 山廬集
拳つきだす三十五人寒稽古 平井照敏 猫町
故郷の月の明るき寒稽古 福田蓼汀 山火
師三人並び現れ寒稽古 波多野爽波 鋪道の花
松籟に心休ませ寒稽古 上野泰
正座して顔かるくなる寒稽古 鷹羽狩行
切りむすびたきひとのあり寒稽古 桂信子 草影
切り傷の血潮の甘き寒稽古 鷹羽狩行
大ぶりの椀の湯漬や寒稽古 水原秋櫻子 殉教
夢に見し竹刀大きく寒稽古 高田風人子
門弟の中のわが子や寒稽古 高野素十
撥の手の冷えいつか去り寒稽古 高浜年尾

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:31 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒泳 の俳句

寒泳 の俳句

寒泳

例句を挙げる。

ある日忸怩として寒泳を見てゐたる 鈴木栄子
すれちがひざま寒泳の髪雫 福永耕二
ややありて寒泳の身の火照り出す 斉木 永久
七十路を越えて寒泳波立てず 鈴木 照子
固き氷割りて寒泳始まれり 稲垣暁星子
寒中水泳観る寒泳の貌をして 河野南畦 『試走車』
寒泳にゐる筈もなき吾さがす 能村研三 鷹の木
寒泳に拍手せざるはわれひとり 小川双々子
寒泳に流れも見せぬ河の面 津田清子
寒泳に芋粥煮ゆる石竃 下村ひろし 西陲集
寒泳に藍一色の嶺(やまね)かな 松村蒼石 寒鶯抄
寒泳のあと高層に日がけぶり 友岡子郷 風日
寒泳のかげ川底をすすみけり 根岸善雄
寒泳のかたまり泳ぐ日の真下 細川加賀 『傷痕』
寒泳のくちびるよりぞ到着す 白岩 三郎
寒泳のすみたる磯の焚火あと 堀田春子
寒泳のとりすがりたる舳先かな 細川加賀 『玉虫』
寒泳のまだ濡らさざる紺水着 長田等
寒泳の先頭川の封を切る 松山足羽
寒泳の前胸板を羽交打ち 中戸川朝人 星辰
寒泳の抜手に水のしたたらず 内藤吐天 鳴海抄
寒泳の柳眉逆立て水を出づ 澤田 緑生
寒泳の歯の根も合はず哀しまる 加藤かけい
寒泳の水引き摺りて上りけり 田村一翠
寒泳の河馬しとやかに足揃へ 堀口星眠 樹の雫
寒泳の法然上人かも知れず 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
寒泳の炭火を土の上に焚く 田中午次郎
寒泳の端のひとりのやや逸り 久保田博
寒泳の粥のさみどりたぎりをり 大沢ひろし
寒泳の衆目を負ふ褌(こん)の白 能村登四郎 幻山水
寒泳の身よりも黒眸濡れてくる 能村登四郎
寒泳の雄叫びに翔く群千鳥 松本幹雄
寒泳の頭に立つ波のひかりなし 金子潮
寒泳の首紺青の海へ出す 池田秀水
寒泳や口中昏く波の立つ 庄司とほる
寒泳や古式泳法皮切りに 三原美加
寒泳や水着になれば齢なし 高田里江
寒泳を了へ雪白のタオル纒ふ 内藤吐天 鳴海抄
寒泳を指の先まで凍てて見る 宮原 双馨
寒泳を観る固き顔かたき貌 佐野まもる
寒泳子行者のごとく川に入る 勝部十糸女
寒泳少女如何なる夫を賜らむ 津田清子
寒泳終るもとの蒼さの川となり 尾形不二子
寒泳者浪子の海を前にせり 高澤良一 ぱらりとせ
幟旗立て寒泳の護衛船 武智ふさ子
掛け声をかけあひ寒泳浜にそふ 初村迪子
父母より長き髪寒泳の立泳ぎ 藤井照久
陸続と来る寒泳の眼かな 大島雄作
勝者なく寒中水泳終りけり 伊藤通明
寒中水泳観る寒泳の貌をして 河野南畦 『試走車』
犬歯見せ寒中水泳よりもどる 大石雄鬼

寒泳 補遺

寒泳少女如何なる夫を賜らむ 津田清子
寒泳の禊ありけりいつく島 平畑静塔
寒泳の白一本を締めしのみ 鷹羽狩行
寒泳の追ひ追はるるもうねり中 能村登四郎
寒泳の成就者首をさし上げし 平畑静塔
寒泳の身よりも黒眸濡れてくる 能村登四郎
寒泳の衆目を負ふ褌の白 能村登四郎
寒泳の若者ひとりふたり知り 能村登四郎
寒泳の古式ゆたかに波立てず 鷹羽狩行
寒泳の見るに忍びぬ画面かな 相生垣瓜人 負暄
寒泳に藍一色の嶺かな 松村蒼石 寒鶯抄
寒泳に送りし拍手鴎翔たす 鷹羽狩行
寒泳に神もきびしく火断ちせり 平畑静塔
炎若うして寒泳を待つ焚火 能村登四郎

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:29 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒声 の俳句

寒声 の俳句

寒声

例句を挙げる。

寒声に嗄らせし喉を大事かな 高浜虚子
寒声のうたてき朝寝宵寝哉 島道素石
寒声のくりかへし居り一ところ 土居牛欣
寒声の天知る地知る御身よな 尾崎紅葉
寒声の水をわたりて冴ゆるかな 小泉迂外
寒声の瞳をてらす灯かな 飯田蛇笏 山廬集
寒声は女なりけり戻り橋 内藤鳴雪
寒声は槐の瘤にとどきけり 小澤實 砧
寒声やあはれ親ある白拍子 高井几董
寒声やうしろは暗き三輪の神 野島無量子
寒声や京に住居の能太夫 召波
寒声や口紅黒く頬蒼く 野村喜舟 小石川
寒声や古うた諷ふ誰が子ぞ 蕪 村
寒声や名乗をしつゝたが子供 風虎
寒声や城にむかへる屋敷町 飯田蛇笏 山廬集
寒声や山伏村の長づつみ(堤) 仙杖 芭蕉庵小文庫
寒声や扇子を顔にうつくしき 妻木 松瀬青々
寒声や月に修羅場の講釈師 尾崎紅葉
寒声や月のしみ入る喉仏 吉田冬葉
寒声や月下に浮御堂さらし 下田稔
寒声や柱のごとき富士応ふ 斎藤 玄
寒声や皆女房をもたぬ人 遊也 選集古今句集
寒声や目鼻そがるる向う風 青木月斗
寒声や親かたどのゝまくらもと 炭 太祇 太祇句選後篇
寒声や辰巳といへば橋いくつ 野村喜舟 小石川
寒声や闇をおそれぬ五人連 尾崎紅葉
寒声や隣は露のをみなへし 小杉余子
寒声や高誦のまゝの朝ぼらけ 芝不器男
寒声をあげ竹間に住みつける 飴山實 『花浴び』以後
寒声をつかひは来たり馬士節 鉄丸 選集「板東太郎」
寒声を引連る松の嵐かな 李由 極 月 月別句集「韻塞」
寒星や仰げばすでに声は無き 相馬遷子 山国
後夜起きをして寒声に出でゆける 岸田信乗
晩学の寒声嗄らし仏書読む 鈴木鈴風
裏声といふ寒声を出してをり 後藤比奈夫

寒声 補遺

きぬぎぬに寒聲きけは哀れ也 正岡子規 寒声
寒声といひ張り上ぐるのみならず 後藤比奈夫
寒声の女の臍を思ひをり 加藤秋邨
寒声の瞳をてらす灯かな 飯田蛇笏
寒声は女なりけり戻り橋 内藤鳴雪
寒声も修練により得たるもの 高浜年尾
寒声や城にむかへる屋敷町 飯田蛇笏 山廬集
寒声をあげ竹間に住みつける 飴山實 句集外
寒声を野中のごとくひゞかせて 右城暮石 句集外 昭和七年
寒聲は寶生流の謠かな 正岡子規 寒声
寒聲やかへりてあとは風の音 正岡子規 寒声
寒聲や一むれさわぐ鴨の聲 正岡子規 寒声
寒聲や横頬寒き小夜嵐 正岡子規 寒声
寒聲や歌ふて戻る裏の町 正岡子規 寒声
寒聲や誰れ石投げる石手川 正岡子規 寒声
裏声といふ寒声を出してをり 後藤比奈夫
夭々たり蓁々たりと寒声す 阿波野青畝

寒声 続補遺

あだづかい寒声つれなし土手通 凉菟
寒声に鬼やら暗し下馬の前 牧童
寒声の暁深し陀羅尼品 十丈
寒声の恨むが如し小傾城 吐月 発句類聚
寒声の中に越けり鉢たゝき 風国
寒声の連衆のそろふ余波哉 嵐青
寒声はみな夜咄の戻りかな 桃妖
寒声は永閑ぶしを鳴戸かな 素丸 素丸発句集
寒声は葬礼かきて仕舞けり 許六
寒声やあはれ親ある白拍子 高井几董
寒声やそも~是は番太郎 書林 誹諧当世男
寒声や京に住居の能太夫 黒柳召波
寒声や橋弁慶のあたり迄 蓼太 蓼太句集二編
寒声や蛍の飛しあたりまで 茶夕 皆白抄
寒声や山伏村の長づゝみ 仙杖
寒声や仕舞一声垣のうち 卓池
寒声や手拍子かゝる川向ひ 牧童
寒声や親かたどのゝまくらもと 炭太祇
寒声や相手にしたる水の面 貞佐 桑々畔発句集
寒声や昼は見しらぬ橋の反 早野巴人
寒声や湯漬くふ人くはぬ人 一笑(金沢)
寒声や南大門の水の月 其角
寒声や彼欄干に立つくして 上[古支] 江戸広小路
寒声や戻りに払ふ帯の霜 瀬川 発句題叢
寒声や役者の直すけら笑ひ 芦角
寒声を引つる松の嵐かな 李由
寒声を鬼もきけとや羅生門 夏目成美
寒声を空へちらす歟日枝颪 三宅嘯山
見送るに寒声消るわかれ哉 尚白
草庵は寒声つかふ舞台かな 存義 古来庵発句集

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:26 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒見舞 の俳句

寒見舞 の俳句

寒見舞

例句を挙げる。

しもふりの肉ひとつつみ寒見舞 上村占魚
たらちねに伊吹艾の寒見舞 勝井久里子
一言は伊吹の雪を寒見舞 松瀬青々
京へ出るひくき峠や寒見舞 大峯あきら 鳥道
伏見より京の長さや寒見舞 中村其外
喪にこもる人より受けし寒見舞 中嶋音路
大利根の向う出島へ寒見舞 伊志井順
寒見舞したたむ墨のかんばしき 西島麦南
寒見舞とて賜はりぬ佐久の鯉 加藤覚範
寒見舞とろろ一本提げて来し 会田 良
寒見舞礎石を伝ふ松の奥 山本洋子
寒見舞雪の信濃のふるさとへ 岡みゆき
寒見舞香に立つものの包まれて 坂巻純子
尼寺へ京の湯葉屋の寒見舞 内山芳子
山々の雨に低しや寒見舞 関戸靖子
山の日の障子にありて寒見舞 高室呉龍
山畑の落葉をひろひ寒見舞 宇佐美魚目 天地存問
師弟ともなき交りの寒見舞 楠目橙黄子 橙圃
珍重や菱喰雁の寒見舞 川島奇北
畑土の影こまやかや寒見舞 綾部仁喜 寒木
病者には花柄切手寒見舞 田仲了司
眦に折れたる竹や寒見舞 宇佐美魚目 天地存問
紅白のはんぺんの寒見舞かな 小林篤子
茶畠を廻つてゆくや寒見舞 大峯あきら
薄葉に紅ひと流れ寒見舞 石田勝彦 秋興
藁苞のまたも動くや寒見舞 平松竃馬
賀状出しそびれし人に寒見舞 下村ひろし 西陲集
身を正すべし一葉の寒見舞 村越化石
金貸しし人病むと聞き寒見舞 中尾優里
鋏挙ぐ毛蟹とどきて寒見舞 矢ヶ崎雅雲
飲めば生き飲まねば死すと寒見舞 福田甲子雄
鳰どりに鴨添ひゐてや寒見舞 岡井省二
鶏に迎へられたる寒見舞 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨


寒見舞 補遺

*におどりに鴨添ひゐてや寒見舞 岡井省二 明野
この世から餅供へけり寒見舞 飴山實 花浴び
寒見舞とて鬼平と周平と 星野麥丘人 2001年
寒見舞とどのつまりの生一本 寒食 星野麥丘人
寒見舞とどのつまりの生一本 星野麥丘人
寒見舞湖にごりしかと思ふ 岡井省二 夏炉
薄葉に紅ひと流れ寒見舞 秋石田勝彦 興

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:23 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒鯉 の俳句

寒鯉 の俳句

寒鯉

例句を挙げる。

すれ違ふ寒鯉に渦おこりけり 岸本尚毅 選集「氷」
たもとほる寒鯉釣の一人かな 青畝
まざと見たり寒鯉沈むときの瞳を 川口重美
わが咳けば寒鯉鰭をうごかしぬ 風生
わが堕ちし穴寒鯉の口なりし 熊谷愛子
ライターの青火寒鯉水に澄む 三谷昭 獣身
一すぢの日に寒鯉のみじろぎぬ 不断草
一椀にあまる冬鯉の胴廻り 栗生純夫 科野路
別の桶にも寒鯉の水しぶき 龍太
動かざる寒鯉を見て決断す 中西咲央
動かねば寒鯉の金くもらざる 西川 織子
反転の寒鯉黄銀日矢の中 中村明子
寒鯉がうごき嶺々めざめたり 楸邨
寒鯉が動き公園動きだす 森田智子
寒鯉となりてゐたりし夢の中 片山由美子 水精
寒鯉となり渓聲を天に擧ぐ 古舘曹人 砂の音
寒鯉とわかる深さにをりにけり 新井ひろし
寒鯉とわれ遂にわれより動く 能村研三(1949-)
寒鯉にときをり青き葉も散りぬ 岸本尚毅 鶏頭
寒鯉にぴしりと脛を打たれたり 太田鴻村 穂国
寒鯉に一すぢの日のさしにけり 渡辺一魯
寒鯉に又きぬずれの音のして 大峯あきら
寒鯉に喪服の男手をたたく 坂間恒子
寒鯉に影のずしりとぶらさがる 斉藤扶美
寒鯉に手叩き寺の白飯粒 中山純子 沙羅
寒鯉に揺るぎなき水重なれる 橋田憲明
寒鯉に方丈よりの灯かげかな 清原枴童 枴童句集
寒鯉に昃りし水の重さかな 山田閏子
寒鯉に見ゆれ光の棒に見ゆれ 齋藤玄 『狩眼』
寒鯉に金輪際のひかりかな 齋藤玄 『玄』
寒鯉に隠るるところなかりけり 藺草慶子
寒鯉に音をとばして刀鍛冶 石田勝彦 秋興
寒鯉のあとしざりつゝ相寄りぬ 三宅清三郎
寒鯉のあらはの鰭や古盥 飯田蛇笏 山廬集
寒鯉のうねる心音ひそみをり 新谷ひろし
寒鯉のかたまつてゐて触れ合はず 伊藤伊那男
寒鯉のかたまるあたりより昏し 嶋田麻紀
寒鯉のぎくと向き変ふ帰心かな 鍵和田釉子
寒鯉のけむりの如く去りにけり 杉山碧風
寒鯉のごつとぶつかり煙るかな 小島健(1946-)
寒鯉のさびしらの目の動くかな 坂本山秀朗
寒鯉のしづかなりけり瞼深く 青邨
寒鯉のしばしおのれを流しゐる 鳥居おさむ
寒鯉のそよぎに水の応へざる 上田五千石 琥珀
寒鯉のひとつの色にまはりけり 古舘曹人 樹下石上
寒鯉のふたたびよつてくる目つき 松澤 昭
寒鯉のふたつのひげを思ひ寝る 三橋敏雄 畳の上
寒鯉のまためぐり来し柱かな 藺草慶子
寒鯉のまなじりあげて喪を泳ぐ 松本照子
寒鯉のみじろげば湧くにごりかな 菁果
寒鯉のものを言ひたる目が動く 澄雄
寒鯉のもの言ひつひに聞きもらす 嶋田麻紀
寒鯉のゆらりと水の殺到す 脇 祥一
寒鯉の一擲したる力かな 高濱虚子
寒鯉の上にこの世の風が吹く 鈴木鷹夫
寒鯉の二匹問答するごとし 太田土男
寒鯉の光る水面をさざめかす 稲畑汀子
寒鯉の凝然たるを凝視せり 相生垣瓜人
寒鯉の叡智めぐらすごとくなり 高澤良一 燕音
寒鯉の口で息して腑を抜かる 右城暮石 声と声
寒鯉の口にひろがるかすみかな 久保純夫 水渉記
寒鯉の呪縛ときたる水の色 鈴木貞雄
寒鯉の呼吸大きく秤られし 酒井智代
寒鯉の売れてだぶつく命水 羽公
寒鯉の売れのこりゐて日の暮るる 田中冬二 麦ほこり
寒鯉の居ると云ふなる水蒼し 普羅
寒鯉の常陸山垣低くして 軽部烏頭子
寒鯉の平安水の昏さに馴れ 桂信子 黄 瀬
寒鯉の張(ふく)よかなるを見逃さず 佐川広治
寒鯉の怫然たるを売買す 相生垣瓜人 明治草抄
寒鯉の悠々たるを叱陀せり 原裕 『新治』
寒鯉の散るとき水の厚みかな 伊丹さち子
寒鯉の斑のとどこほるささめ雪 後藤夜半
寒鯉の桶に大利根柏屋と 田中冬二 行人
寒鯉の桶底に沈みて藍ばめる 田中冬二 行人
寒鯉の権(はか)らるる目の何見ゆる 山口草堂
寒鯉の水くもらせて山の雨 茨木和生 遠つ川
寒鯉の水に来ており山の翳 白井房夫
寒鯉の水の筋金呑みしごと 宮坂静生
寒鯉の水の粘りてゐたりけり 草間時彦 櫻山
寒鯉の水押す力鈍りたる 高澤良一 鳩信
寒鯉の沈みきりたるあと知らず 館岡沙緻
寒鯉の泳ぎ畢せし影なるや 鳥居おさむ
寒鯉の流れに耐へてをりにけり 谷口忠男
寒鯉の浮びきし口餌をはづれ 平野青坡
寒鯉の深く沈みて石となる(母の死) 河野南畦 『空の貌』
寒鯉の澄むや奥より主客の声 赤城さかえ
寒鯉の班のとどこほるささめ雪 後藤夜半
寒鯉の生き身をはさむひとの前 野沢節子
寒鯉の生くる証の泥けむり 遠藤若狭男
寒鯉の百の一鰭だに揺れず 大岳水一路
寒鯉の籠しづまらず秤らるる 波田 三水
寒鯉の背なの高みの現れし 岸本尚毅
寒鯉の背鰭の水はぬめりけり 齊藤夏風
寒鯉の胴さやさやと触れ合へる 太田嗟
寒鯉の腹中にてもさざなみす 齋藤玄 『狩眼』
寒鯉の臓腑ぬくしと捌きをり 北村保
寒鯉の色あつまつてなほ淡し 曹人
寒鯉の色うつり来て消えにけり 静雲
寒鯉の花びらとなり沈みをり 靖子
寒鯉の苞提げゆくに河碧し 栗生純夫 科野路
寒鯉の買はるる空のうすみどり 白葉女
寒鯉の蹴たてし泥のまだひろがる 森田峠 避暑散歩
寒鯉の身を摺り合ひて桶に澄む 中島杏子
寒鯉の遠き雲よりしづかなり 黒木 夜雨
寒鯉の金泥のごと沈みゐる 鈴木貞雄
寒鯉の金鐶の眼を嵌めにけり 福田蓼汀
寒鯉の闇に水打つ山の宿 林 瑠美
寒鯉の雌伏を沈めをりにけり 山田弘子
寒鯉の雲のごとくにしづもれる 山口青邨
寒鯉の静にむきをかへにけり 保坂文虹
寒鯉の音なく群れて脂肌 小檜山繁子
寒鯉の頭揃えて沈みをり 榎田きよ子
寒鯉の鬱々としてたむろせり 五十嵐播水
寒鯉の魚籠にひかりて月ありぬ 秋櫻子
寒鯉の鰭あほりたる水玄(くろ)き 高澤良一 素抱
寒鯉の黒光りして斬られけり 飯田蛇笏(1885-1962)
寒鯉はしづかなるかな鰭を垂れ 水原秋櫻子
寒鯉は背が濃し贅肉なき詩人 香西照雄
寒鯉やたかし歩みし道辺にて 草間時彦 櫻山
寒鯉やみられてしまい発狂す 鈴木六林男
寒鯉やむら胆据ゑて水の底 石塚友二 光塵
寒鯉や乳房の胸に手を入れて 鈴木六林男 王国
寒鯉や底をコントラバス響く 柴田奈美
寒鯉や日ねもす顔を突き合せ 前田普羅 春寒浅間山
寒鯉や浅き生簀に脊を並べ 増田龍雨 龍雨句集
寒鯉や石ともなれず身じろぎぬ 但馬美作
寒鯉や見られてしまい発狂す 鈴木六林男
寒鯉をぐるぐる巻に新聞紙 細川加賀 生身魂
寒鯉をまな板にのせふたごころ 中山純子 沙 羅以後
寒鯉を丸太掴みに丸太切り 上村占魚 『自門』
寒鯉を二夜つゞけて貰ひけり 原石鼎 花影以後
寒鯉を包む苞なく笹にさす 田中冬二 行人
寒鯉を封づ氷の曇りけり 高澤良一 随笑
寒鯉を持つ腕ぐいと突き出せり 茨木和生 野迫川
寒鯉を掬ひしたもの撓みかな 橋本鶏二 年輪
寒鯉を提げ墓原をよぎりけり 館岡沙緻
寒鯉を生かす盥の天地かな 三幹竹
寒鯉を真白しと見れば鰭の藍 水原秋櫻子
寒鯉を突きぬ静かに濁る水 石井とし夫
寒鯉を苞にして抱く銃の如 今瀬剛一
寒鯉を苞造りして重たさよ 杉雨
寒鯉を見て雲水の去りゆけり 森澄雄
寒鯉を雲のごとくに食はず飼ふ 森澄雄
寒鯉仮死の如く潜むも不倫めき 楠本憲吉
寒鯉棒の如くに動かざる 加来 小洞
寒鯉雄々し黒天鵞絨の座布団も 草田男
尾へ抜けて寒鯉の身をはしる力 加藤秋邨 まぼろしの鹿
山動くかに寒鯉の動きけり 藤崎久を
帯ほどくごと寒鯉のうごきいづ 島谷 征良
掬ひたる寒鯉網におとなしく 上村占魚 球磨
晩年や寒鯉動く夜の川 上田晩春郎
水洟をすすり寒鯉売つて居り 田中冬二 麦ほこり
浮いて来し寒鯉にこゑかけにけり 細川加賀 生身魂
甘露煮や寒鯉の金なほのこり 楸邨
生きてゐる重さ寒鯉苞に巻く 火川
群のまま寒鯉すこし動きけり 上野泰 佐介
記憶するために寒鯉にさわる 永末恵子 留守
陽の下にただ寒鯉の尾鰭あり 田中鬼骨
鯉爺の寒鯉つきのなくなりし 久保 青山
泳ぎ来る鯉にさゞなみ凍るかも 渡邊水巴 富士
大鯉の屍見にゆく凍のなか 飯田龍太 山の木
ふくらかに腸蔵す寒の鯉 矢島渚男 梟
やや寒の鯉にゆらりと鯉寄りて 高澤良一 さざなみやっこ
三寒の鯉がみじろぐ泥けむり 能村登四郎
二日三日生けて得食はず寒の鯉 林原耒井 蜩
僧体のやうなつもりの寒の鯉 齋藤玄 『狩眼』
冬の海紺青の斑の鯉澄める 水原秋桜子
冬の鯉光飲んでは沈みけり 稲垣恵子
冬の鯉幽く梵鐘ひゞきけり 渡邊水巴 富士
冬の鯉日ごとに不動たらむとす 大串 章
別の世のほうが賑やか寒の鯉 宇多喜代子 象
動かぬが修羅となるなり寒の鯉 斎藤玄
口しめて男の月日冬の鯉 永田耕一郎 方途
家ぬちに男のいろの寒の鯉 関戸靖子
寒の鯉もの言いたげに瞑りぬ 宇多喜代子 象
寒の鯉身をしぼりつつ朱をこぼす 鍵和田釉子
寒の鯉金輪際をうごかざる 川端茅舎
少年に白紙おかれて冬の鯉 桂信子 黄 瀬
山の子が提げて静かな寒の鯉 稲垣晩童
日を封じ山ふところに寒の鯉 斎藤玄 狩眼
水底に昼夜を分ち冬の鯉 桂信子 黄 瀬
滝口にたゆたふ寒の鯉として 大高芭瑠子
神仏まづ暮れ給ふなり冬の鯉 中山純子 沙 羅以後
葛飾の鯉の黒さや寒の雨 野村喜舟 小石川
薄墨がひろがり寒の鯉うかぶ 能村登四郎(1911-2002)
身に鳴つて食としにけり冬の鯉 斎藤玄 雁道
身動きも夢見ごころや寒の鯉 森澄雄 四遠
透明になるまで眠る寒の鯉 谷口桂子
閑かなる水の重たし冬の鯉 東條和子
鰭動くとき生きてをり寒の鯉 六花女
青蓮院(粟田御所)
掌を打てるところへ寒ンの御所の鯉 高澤良一 燕音
寒鯉は黎明の色つと動く 高澤良一 暮津

寒鯉 補遺

しばし見てあれば寒鯉の文様変る 山口青邨
たもとほる寒鯉釣の一人かな 阿波野青畝
ふるさとの夜を寒鯉と眠りけり 橋閒石
むらくもの動くと見れば寒の鯉 鷹羽狩行
雲水の粗食を習ひ冬の鯉 後藤比奈夫
何匹減る 冬の永さの宿場の鯉 伊丹三樹彦
乾店に寒鯉売れず杵売れず 相生垣瓜人 負暄
寒の鯉金輪際をうごかざる 川端茅舎
寒の鯉描く薄墨を塗りかさね 能村登四郎
寒鯉がうごき嶺々めざめたり 加藤秋邨
寒鯉がひらめきて身をかはす時 細見綾子
寒鯉が古新聞に包まるる 相生垣瓜人 負暄
寒鯉が浮くとて呼びき亡き人を 斎藤玄 狩眼
寒鯉となり渓聲を天に擧ぐ 古舘曹人 砂の音
寒鯉となるべきいとま跳ねもして 上田五千石『琥珀』補遺
寒鯉に音をとばして刀鍛冶 石田勝彦 秋興
寒鯉に見ゆれ光の棒に見ゆれ 斎藤玄 狩眼
寒鯉に水の暦日なきごとし 上田五千石『天路』補遺
寒鯉に雪後の水のねばるなり 石田勝彦 百千
寒鯉に日の届きゐる水の中 清崎敏郎
寒鯉に矢切を渡り来し雲ぞ 上田五千石 森林
寒鯉のあぎとふを夢寝入りぎは 森澄雄
寒鯉のあぎとふ口のほのぼのと 山口青邨
寒鯉のあらはの鰭や古盥 飯田蛇笏 山廬集
寒鯉のいのちしずかにかたまれる 楠本憲吉 方壺集
寒鯉のかたまりをればあたたかさう 山口青邨
寒鯉のしづかなりけり瞼深く 山口青邨
寒鯉のしづかなる列通りゆく 山口青邨
寒鯉のその生身こそ幽かなれ 相生垣瓜人 明治草
寒鯉のそよぎに水の応へざる 上田五千石 琥珀
寒鯉のときに陣解く 返り花 伊丹三樹彦
寒鯉のひとつの色にまはりけり 古舘曹人 樹下石上
寒鯉のふたつのひげを思ひ寝る 三橋敏雄
寒鯉のまたたくならめ苞のうち 阿波野青畝
寒鯉のものを言ひたる目が動く 森澄雄
寒鯉の隠ろふむなし林泉ゆくに 伊丹三樹彦
寒鯉の雲のごとくにしづもれる 山口青邨
寒鯉の火炭黒炭沈みをり 上野泰
寒鯉の居ると云ふなる水蒼し 前田普羅 春寒浅間山
寒鯉の魚籠にひかりて月ありぬ 水原秋櫻子 葛飾
寒鯉の凝然たるを凝視せり 相生垣瓜人 負暄
寒鯉の口で息して腑を抜かる 右城暮石 声と声
寒鯉の更なる一尾見たかりき 斎藤玄 狩眼
寒鯉の黒光りして斬られけり 飯田蛇笏 霊芝
寒鯉の紺の尾鰭をひろげけり 山口青邨
寒鯉の飼はれて雲の中を出ず 鷹羽狩行
寒鯉の色あつまつてなほ淡し 古舘曹人 砂の音
寒鯉の色を重ぬることもなく 上田五千石『琥珀』補遺
寒鯉の人にもこころ離れたる 森澄雄
寒鯉の人のやうなる目を見せぬ 星野麥丘人
寒鯉の水の粘りてゐたりけり 草間時彦 櫻山
寒鯉の水照らさずに夕日消ゆ 飯田龍太
寒鯉の生血といふをことわりぬ 亭午 星野麥丘人
寒鯉の大きな吐息万事休 阿波野青畝
寒鯉の端坐のままに暮れ果(おほ)す 森澄雄
寒鯉の沈みて残す遅き色 斎藤玄 狩眼
寒鯉の動かぬこころ庭師知る 後藤比奈夫
寒鯉の濡れ目ばかりとなりゐたり 岡井省二 五劫集
寒鯉の背鰭や撫すになびきつつ 中村草田男
寒鯉の売れてだぶつく命水 百合山羽公 樂土
寒鯉の鰭振つて何を見るならむ 加藤秋邨
寒鯉の腹中にてもさざなみす 斎藤玄 狩眼
寒鯉の模様ほのぼの障子閉づ 山口青邨
寒鯉の目を瞠きて曾我の寺 石田勝彦 雙杵
寒鯉の鱗の少し傷つける 清崎敏郎
寒鯉の怫然たるを売買す 相生垣瓜人 明治草
寒鯉はしづかなるかな鰭を垂れ 水原秋櫻子 秋苑
寒鯉へ声は音ほど達せざり 中村草田男
寒鯉やたかし歩みし道辺にて 草間時彦 櫻山
寒鯉やひと日動かねば方向かはらず 水原秋櫻子 岩礁
寒鯉やむら胆据ゑて水の底 石塚友二 光塵
寒鯉や雲の一端ひしひしと 加藤秋邨
寒鯉や形のごとく影の添ひ 鷹羽狩行
寒鯉や高齢仙の如く逝きし 中村草田男
寒鯉や山の日に耳あからみて 岡井省二 山色
寒鯉や杜の中より越天樂 岡井省二 山色
寒鯉や日ねもす顔を突き合せ 前田普羅 春寒浅間山
寒鯉や薄泥ぼこり著馴れたる 三橋敏雄
寒鯉や牢として岩陰を出ず 鷹羽狩行
寒鯉をみだりに覗き寺を去る 伊藤白潮
寒鯉を雲のごとくに食はず飼ふ 森澄雄
寒鯉を見て雲水の去りゆけり 森澄雄
寒鯉を見るやうすうすと群なせる 水原秋櫻子 古鏡
寒鯉を真白しと見れば鯖の藍 水原秋櫻子 秋苑
寒鯉を沈めし水の鏡かな 鷹羽狩行
寒鯉を沈めほとりす一茶亭 山口青邨
寒鯉を二夜つゞけて貰ひけり 原石鼎 花影以後
寒鯉を包めるものを膝におく 山口青邨
寒鯉を抱き余してぬれざる人 永田耕衣
寒鯉を剖くや刃づたふ重き力 加藤秋邨
寒鯉を檢し牡丹の芽を檢す 相生垣瓜人 明治草
寒鯉を鬻(ひさ)ぎ焚火をさかんにす 中村汀女
寒鯉仮死の如く潜むも不倫めき 楠本憲吉 方壺集
寒鯉雄々し黒天鵞絨の座布団も 中村草田男
眼あけたる寒鯉が岩に侍す廣瀬直人
掬ひたる寒鯉網におとなしく 上村占魚 球磨
居て音のせぬ寒鯉を語らざる 三橋敏雄
峡の夜汽車に苞の寒鯉口をあく 加藤秋邨
橋燈のともるを見上げ寒鯉売 大野林火 冬青集 雨夜抄
群のまま寒鯉すこし動きけり 上野泰 佐介
孤松吹折れ寒鯉水を離る 橋閒石 荒栲
佐久に雪降るか寒鯉苞に厚し 能村登四郎
三寒の鯉が身じろぐ泥けむり 能村登四郎
山の夜の寒鯉に雨かぶさりぬ 森澄雄
山荘も水黒くせり寒の鯉 右城暮石 散歩圏
山中や死の斑ちらつく寒の鯉 鷹羽狩行
死のごとき寒鯉皮膚は眠らざり 能村登四郎
周到な用意の深さ寒の鯉 鷹羽狩行
松籟の尽きては浮かぬ寒の鯉 斎藤玄 狩眼
心学さながらに固まり寒の鯉 鷹羽狩行
身じろがぬもの 寒の鯉 霜の墓 伊丹三樹彦
身に鳴つて食としにけり冬の鯉 斎藤玄 雁道
身動きも夢見ごころや寒の鯉 森澄雄
水深し水の色して寒の鯉 右城暮石 虻峠
水底に昼夜を分ち冬の鯉 桂信子 新緑
西方のあかるさも知る冬の鯉 能村登四郎
逝きしをいたみ生きんと誓ひ寒鯉切る 中村草田男
僧体のやうなつもりの寒の鯉 斎藤玄 狩眼
喪に籠る紅のままにて寒鯉は 鷹羽狩行
喪の婦人にも寒鯉の錦群れ 飯田龍太
只管打坐寒鯉これを倣ひをり 藤田湘子 てんてん
追分や水こぼこぼと冬の鯉 雨滴集 星野麥丘人
冬の鯉沈み草履の音過ぐる 廣瀬直人 帰路
冬の鯉幽く梵鐘ひゞきけり 渡邊水巴 富士
冬の日は空の寒鯉かも知れぬ 平井照敏
冬の梅紺青の斑の鯉澄める 水原秋櫻子 古鏡
動かざる寒鯉姿見えて来し 右城暮石 虻峠
動かぬが修羅となるなり寒の鯉 斎藤玄 狩眼
日を封じ山ふところに寒の鯉 斎藤玄 狩眼
日当りて来て寒鯉の鰭をふる 清崎敏郎
薄墨がひろがり寒の鯉うかぶ 能村登四郎
尾へ抜けて寒鯉の身をはしる力 加藤秋邨
尾力をもて寒鯉の進むなり 石田勝彦 秋興以後
髭ありて閑中の閑冬の鯉 森澄雄
別の桶にも寒鯉の水しぶき 飯田龍太
老いらくは濁り浸りに冬の鯉 能村登四郎
藁苞にして寒鯉の届きけり 清崎敏郎
靄ひくや寒鯉売を橋に置き 星野麥丘人

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:19 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒鮒 の俳句

寒鮒 の俳句

寒鮒

例句を挙げる。

かげさせば寒鮒釣の振返り 林火
ともにゆく寒鮒釣のゆくみちを 久保田万太郎 草の丈
とも立てゝ寒鮒捕りの五六艘 松藤夏山 夏山句集
なびき藻の寂びて寒鮒潜むなり 水原秋桜子
また忍ぶ恋寒鮒のひかるとき 小川双々子
もてなさる焼きし寒鮒さらに煮て 草田男
ダイヤにヒスイにとれてとれて寒鮒 島津 亮
ペリカンの餌の寒鮒の泳ぐなり 日野草城
今にある寒鮒市の古き町 松吉 良信
吾が影が居て寒鮒を濁らしむ 鷹女
呼びこまん寒鮒売の老の声 小澤碧童 碧童句集
堤下りて寒鮒釣となりにけり 七里峡
夕焼けて寒鮒釣も堰の景 水原秋桜子
寒鮒が生きる一日水汚さず 中山純子 沙羅
寒鮒といちにち暮し湖匂ふ 関戸靖子
寒鮒にそえあたたかき飯なりき 古沢太穂 古沢太穂句集
寒鮒にそへあたたかき飯なりき 太穂
寒鮒にまじりて由々し手長蝦 普羅
寒鮒に千年かたちよき麓 松澤昭 山處
寒鮒のあを藻一すぢからみたる 篠田悌二郎
寒鮒のうごかぬひまも日脚かな 犀星
寒鮒のくちびる薄く釣られけり 安田誠一
寒鮒のはがねびかりに釣られけり 町田しげき
寒鮒のまだ一匹も釣れてゐず 本杉勢都子
寒鮒の一夜の生に水にごる 桂信子
寒鮒の口吸う泣きの男かな 永田耕衣 闌位
寒鮒の尾が地を叩く暮色かな 斎藤梅子
寒鮒の死してぞ臭く匂ひけり 永田耕衣 驢鳴集
寒鮒の死にてぞ臭く匂ひけり 永田耕衣(1900-97)
寒鮒の汲みかへられて澄みにけり 前田普羅
寒鮒の泥をはかせて客を待つ 前津 栄子
寒鮒の浮き来日ざしや木の葉舞ふ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
寒鮒の濁りの中に眼をひらき 鷹羽狩行
寒鮒の煮くづれて目玉こぼしけり 絵馬
寒鮒の煮つまる匂ひ女人講 吉沢利枝
寒鮒の生きてゐし血や流れもせず 綾子
寒鮒の瞳にまたゝきもなく売れし 原石鼎
寒鮒の空の青さに反りかへる 阿部寿雄
寒鮒の竹籠廃れし港かな 雑草 長谷川零餘子
寒鮒の竿ぬれてありいつまでも 秋津
寒鮒の籠も秤も粉雪かな 龍雨
寒鮒の跳ねてきまりし棹秤 中村汀女
寒鮒の近江にふかく入りけり 秋山巳之流
寒鮒の釣り上げらるゝ水面かな 前田普羅 新訂普羅句集
寒鮒の釣れて水垢もとのまゝ 秋櫻子
寒鮒の釣れて青空よみがへる 松村蒼石
寒鮒の釣上げし掌にほの暖し 蒼石
寒鮒の青藻一糸をまとひたる 山口青邨
寒鮒の鰓から垂れて藻ひとすぢ 中田剛 珠樹以後
寒鮒や四ッ手揚げたる日の光 白水郎
寒鮒をあげし後こそ湖あをき 桂樟蹊子
寒鮒をこごえた手で数へてくれた 尾崎放哉
寒鮒をころし喰ひたり今日さむし 中山純子 沙羅
寒鮒をまつくろに飼ひ双生児 原田喬
寒鮒をもろ手に受ける十あまり 瀧井孝作
寒鮒を剖けば湖鳴る夕かな 遠藤とみじ
寒鮒を堕して鳶の笛虚空 竹下しづの女句文集 昭和十二年
寒鮒を殺すも食ふも独りかな 西東三鬼
寒鮒を泳がせもして商へる 村中 美代
寒鮒を焼けば山國夕焼色 山口青邨
寒鮒を茶で煮る鍋のあるばかり 龍男
寒鮒を釣りたる雫一つかな 増田龍雨 龍雨句集
寒鮒を釣り大声の戻りけり 斉藤静枝
寒鮒を釣る親と子とならびけり 久保田万太郎 草の丈
寒鮒売子の橇借りて引ききたる 三宅 句生
寒鮒焼く戸に降るばかり山の星 有馬籌子
寒鮒釣りの男へ男さらに寄る 五十嵐研三
寒鮒飼ひ出稼家族音もなし 能村登四郎 合掌部落
尾を少し曲げて寒鮒釣られけり 松藤夏山 夏山句集
山のごとく寒鮒釣に堤あり 木国
山の如寒鮒つりに堤あり 田村木国
明日は死ぬ寒鮒の水入れ替へる 桂信子 黄 瀬
水を釣つて帰る寒鮒釣一人 耕衣
池を出ることを寒鮒思ひけり 永田耕衣 驢鳴集
湖ほとりに寒鮒ひさぐ釣舟屋 平田 千鶴
湖心澄むばかり寒鮒釣れぬなり 金尾梅の門 古志の歌
火に載せて寒鮒飛べり吾子押ふ 沢木欣一
灯りそむ寒鮒売の声のして 後藤郁子
煮くづれの寒鮒一尾母の酒 草間時彦 櫻山
甘露煮や寒鮒の金なほのこり 加藤楸邨
畦田神寒鮒釣のいぶしをり 田島秩父
病むひとへ小さき寒鮒扇ざし 嶋田麻紀
藁苞に寒鮒生かし送りけり 長谷川かな女
藪の池寒鮒釣のはやあらず 高浜虚子
藻の林寒鮒のゐて浮き添へる 五十崎古郷句集
血走れる寒鮒の眼に見据ゑらる 富安風生
貧交や寒鮒の目のいきいきと 加藤楸邨
酒造る家に寒鮒届きあり 田中裕明 山信
釣りて来し寒鮒串に聯ね焼く 雑草 長谷川零餘子
類なき寒鮒の瞳の美しさ 右城暮石 声と声
食せといふ寒鮒出羽のむくり鮒 下田稔
ふた夜さに生きると死ぬと寒の鮒 中山純子
今日ありて盥に生きて寒の鮒 中山純子
寒の鮒ことことと煮て田舎言葉 中山純子

寒鮒 補遺

かげさせば寒鮒釣の振返り 大野林火 早桃 太白集
ペリカンの餌の寒鮒の泳ぐなり 日野草城
もてなさる焼きし寒鮒さらに煮て 中村草田男
一茎の寒鮒釣の顔に折れ 阿波野青畝
寒鮒がうろくづ澄みて生きてゐる 細見綾子
寒鮒にそえあたたかき飯なりき 古沢太穂 古沢太穂句集
寒鮒にまじりて由々し手長蝦 前田普羅 普羅句集
寒鮒のいま骨までが煮ゆる音 能村登四郎
寒鮒のうろこ額に名もなき日 細見綾子
寒鮒の一夜の生に水にごる 桂信子 晩春
寒鮒の桶に血の糸縷々と引く 右城暮石 句集外 昭和五十二年
寒鮒の汲みかへられて澄みにけり 前田普羅 普羅句集
寒鮒の魚籠の暗さにあぎとへる 清崎敏郎
寒鮒の血にじむ鱗衆目に 細見綾子
寒鮒の古池を出ぬ喫茶かな 永田耕衣
寒鮒の死にてぞ臭く匂ひけり 永田耕衣
寒鮒の重き近江の日暮かな 有馬朗人 天為
寒鮒の上を手渡す銀貨かな 中村汀女
寒鮒の生きてゐし血や流れもせず 細見綾子
寒鮒の青藻一糸もまとはざる 山口青邨
寒鮒の青藻一糸をまとひたる 山口青邨
寒鮒の濁りの中に眼をひらき 鷹羽狩行
寒鮒の沈める底を思ひ寝る 鷹羽狩行
寒鮒の釣り上げらるゝ水面かな 前田普羅 普羅句集
寒鮒の鱗をはがし髪にもつく 細見綾子
寒鮒は黒き塊り水底に 細見綾子
寒鮒をこごえた手で数へてくれた 尾崎放哉 須磨寺時代
寒鮒を喰ふ今朝まで黒かりし 鷹羽狩行
寒鮒を殺すも食ふも独りかな 西東三鬼
寒鮒を焼けば山国夕焼色 山口青邨
寒鮒を尋ねて市に鯉を得つ 正岡子規 寒鮒
寒鮒を突いてひねもす波の上 村上鬼城
寒鮒を買ひ来てあそぶ月の下 加藤秋邨
寒鮒を貰ふや笊の雪もろとも 村山故郷
寒鮒黒し金魚昇天したるあと 西東三鬼
寒鮒飼ひ出稼家族音もなし 能村登四郎
寒鮒釣こなべ古墳に一人かな 松崎鉄之介
寒鮒釣ふかきところを見るごとく 飴山實 句集外
机上より寒鮒釣の見えにけり 永田耕衣
血走れる寒鮒の眼に見据ゑらる 富安風生
吾が影が居て寒鮒を濁らしむ 三橋鷹女
口あけて寒鮒に似しかと思ふ 加藤秋邨
妻子ある筈の 寒鮒釣の 孤座 伊丹三樹彦
煮くづれの寒鮒一尾母の酒 草間時彦 櫻山
書に倦めば寒鮒釣のいつかゐる 橋閒石
水に放つや寒鮒みんな泳いでゐる 種田山頭火 草木塔
水を釣つて帰る寒鮒釣一人 永田耕衣
菅浦へ寒鮒釣にさそはれし 飴山實 句集外
生きてしづかな寒鮒もろた 種田山頭火 草木塔
生き残りたる寒鮒の死ににけり 永田耕衣
池を出ることを寒鮒思ひけり 永田耕衣
到来の諏訪の寒鮒神も嘗む 山口青邨
梅折つて寒鮒釣は帰りゆく 山口青邨
比良颪寒鮒あぶる火を囲ひ 能村登四郎
貧交や寒鮒の目のいきいきと 加藤秋邨
幅びろの諏訪の寒鮒見てたのし 山口青邨
命短かし寒鮒に膝濡らさるる 永田耕衣
野の家や利根の寒鮒生かし置く 山口青邨
夕焼けて寒鮒釣も堰の景 水原秋櫻子 葛飾
類なき寒鮒の瞳の美しさ 右城暮石 声と声
狼に寒鮒を獻す獺の衆 正岡子規 寒鮒

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:13 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

寒鯛 の俳句

寒鯛 の俳句

寒鯛

例句を挙げる。

姿よき寒鯛母の誕生日 柿沼常子
寒鯛の切身光茫盛りたるよ 飯塚風像
寒鯛の煮凍り箸に挾みけり 原石鼎
寒鯛の生きる喘ぎのかなしさよ 鈴木真砂女 夕螢
寒鯛の瞳の爛々と気品満つ 鈴木真砂女
寒鯛の色美しく売られをり 布川武男
寒鯛は背が濃し贅肉なき詩人 香西照雄
寒鯛をぶち切り漢ばかりで酔ふ 山口いさを
魚拓とる寒鯛鰭をふりにけり 野村多賀子
冬の鯛遠き海よりきて紅し 百合山羽公
釣りあげて手柄としたり寒の鯛 佐野まもる 海郷

寒鯛 補遺

冬の鯛遠き海よりきて紅し 百合山羽公 故園
星雲に寒鯛はすぐ接したり 岡井省二 鯛の鯛
慌てゝは寒鯛となりゐたるなり 岡井省二 猩々
寒鯛は背が濃し贅肉なき詩人 香西照雄
寒鯛の瞳の爛々と気品満つ 鈴木真砂女
寒鯛の生きる喘ぎのかなしさよ 鈴木真砂女 夕螢
寒鯛の身を拶したる指(および)かな 岡井省二 鯛の鯛

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 21:08 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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by 575fudemakase

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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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