<   2015年 01月 ( 375 )   > この月の画像一覧



例句を挙げる。

うす塩の鴨に薺の雫かな 浪化
うち離し馬も嘶へよ薺の夜 加舎白雄
うぶすなに尽く畦道に薺摘む 吉田以登
うらうらと日はあり雪の薺摘 藤田あけ烏
さざなみのつれてゆきたる薺かな 山西雅子
しのゝめの窓の燈を消す薺かな 高橋淡路女 梶の葉
とばしるも顔に匂へる薺哉 榎本其角
ならべ置膳に薺の響きかな 我峯 俳諧撰集「有磯海」
ぬれ縁や薺こぼるる土ながら 嵐 雪
はづかしき朝寝の薺はやしけり 高橋淡路女 淡路女百句
ひとり摘む薺の土のやはらかに 中村汀女
ふるさとの不二かゞやける薺かな 勝又一透
へたへたと笑て下手な薺かな 壷角
まつしろに薺咲く田へ柩出る 飴山實 辛酉小雪
まな板にうすくまかるゝ薺かな 松岡青蘿
まん中に巫女ゐて薺囃かな 生田嘉子
わが庭に叔母も来て摘む薺あり 市村究一郎
一とせに一度摘まるる薺かな 松尾芭蕉
一籠の薺にまじる御形かな 吉田冬葉
七種の薺神饌田に摘む 皆川東水
下京やさざめき通る薺うり 蝶夢
世を遠く来る思ひや薺摘み 市村究一郎
井のもとも菫薺のはる辺哉 松岡青蘿
亡母の声とまがふ吉野の薺売り 三宅美穂
京縞の頭巾で出たり薺売り 暁台
人ら老い薺ほとけの座はみどり 櫛原希伊子
俎に薺のあとの匂ひかな 鳴雪
俎に薺用意や六日の夜 大谷句仏
俎をこぼるゝ薺すゞ白も 藤岡うた代
俎板に寒し薺の青雫 此筋 正 月 月別句集「韻塞」
元日の山見に出づる薺かな 室生犀星 魚眠洞發句集
冬薺パイプオルガンみがきあげ 田口彌生
別れ来て浅き薺の径かな 佐藤惣之助
千枚田より摘みきたる薺なる 斎藤梅子
古畑や薺摘行く男ども 芭 蕉
叩くにも君を忘れぬ薺哉 紅爾
君知るや三味線草は薺なり 正岡子規
咲きいでゝ月光ほてる薺かな 渡邊水巴 富士
塔百萬造りて並べ芹薺 和田悟朗
夕波の船に聞ゆる薺かな 孤屋
夜起きて揚屋の薺はやしけり 几董
大利根の霜をかきわけ薺つむ 知世子
大浪の先のちぎれる薺の日 大峯あきら
夫待ちてはやす薺の一握 塩谷はつ枝
奈良どこも遺跡薺の咲く田まで 辻口静夫
子をあやす薺まみれの刃をねかせ 赤松[けい]子 白毫
宵の月西に薺のきこゆ也 如行
山陰に多少の家の薺かな 青々
我顔に薺とばしるうれしさよ 松瀬青々
数々は女一房のせわの薺かな 風睡 俳諧撰集「有磯海」
旅淋し薺咲く田の涯しらず 阿波野青畝
日暮ると驚いて落る椿かなー薺生へたるはなち出の縁 会津八一
明け方に降りたる雪の薺摘む 田村木国
春近し石段下りて薺あり 高野素十
昨日より薺摘みゐる寺男 白方昭女
昼過ぎにたゝきて見たる薺かな 不玉 古句を観る(柴田宵曲)
替る世や薺にあらて鐘の音 乙由 (薺の句を残して死し人のもとヘ)
東京の薺摘みくふなつかしく 楸邨
板の間の夜の音そふ薺哉 妻木 松瀬青々
歩くこと愉しからずや薺咲き 和地清
永遠が戦いでいるか枝の先 薺 次郎
洪水や嬰児の声が遥かにあり 薺 次郎
浮草に薺こぼるる野川かな 会津八一
濡椽や薺こぼるゝ土ながら 服部嵐雪
無条件降服薺咲いてをり 萩原麦草 麦嵐
焼け残る塀の日向の薺かな 臼田亞浪 定本亜浪句集
白箸に色かぐはしき薺かな 秋皎
短夜やかくも咲きゐし若薺 渡辺水巴 白日
総角が手に手に籠や薺つみ 野坡
老の腰摘にもたゝく薺かな 横井也有 蘿葉集
胞衣塚に産毛のごとく薺生ふ 辻田克巳
芹薺けふ暮るる北の根雲が去なず 中塚一碧樓
芹薺御形*はこべら犬の糞 佐々木六戈 百韻反故 初學
芹薺踏みよごしたる雪の泥 惟然
草の戸や門辺に御形薺など 高橋淡路女 梶の葉
薬園の静さに咲く薺かな 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
薺うり我子になれよ銭くれん 松岡青蘿
薺けふ六葉七葉にもさかへけり 松岡青蘿
薺つむかたびらゆきのふまれけり 飯田蛇笏
薺つむ帷子雪のふまれけり 飯田蛇笏 春蘭
薺つむ野や枯萩もおもひ草 松岡青蘿
薺の國響郡の爼村 高澤良一 ぱらりとせ 
薺の日髭をたたいてあたりけり 高澤良一 素抱 
薺はやす浅草川の家居哉 竹冷句鈔 角田竹冷
薺咲いて足音ひそめざるを得ず 岸田稚魚
薺咲きキリシタン村牛飼へり 田村了咲
薺咲き翼のごとく海霧通ふ 小林康治 玄霜
薺咲き足音ひそめざるを得ず 岸田稚魚
薺咲くまでの日が充ち蚕飼村 神尾久美子 桐の木
薺咲く天女降りしといふ辺り 柿本多映
薺咲く満蔵院は隣寺 八木林之介 青霞集
薺咲く道は土橋を渡りけり 平井照敏 天上大風
薺唄母もうたはずなりにけり 斎藤玄 玄
薺売り鮒の釣場ををしへけり 白雄
薺売石薬師より御所に入る 四明句集 中川四明
薺売鮒の釣場をおしへけり 加舎白雄
薺揃まうと蒲團より起き出でしこの朝 中塚一碧樓
薺摘むうしろしきりに塀雫 泊雲
薺摘む安曇平の日溜りに 石 昌子
薺摘む頬にしたがへる雪の阿蘇 汀女
薺洗ふ掌の中みどりたのしめる 中城浪香
薺生ふ朝日将軍墓所御前 高澤良一 燕音 
賤が子は薺見る目のかしこさよ 杉風
道場は薺たたくかたたかぬか 京-好春 元禄百人一句
金毘羅の神饌田小屋あと薺萌ゆ 水田千風
隠國のいづこで摘まむ初薺 安東次男
雑炊の名もはやされて薺哉 支考
雑炊の色も雪間の薺かな 几董
雨あとの水に立ちつつ咲く薺 宇佐美魚目 秋収冬蔵
雨降つてやさしき遊び薺の日 山本洋子
せりなづな御形といひて声の止む 展宏
とだえては船に聞ゆるなづなかな 大江丸
なづな摘む小凪の丘のうすみどり 糟谷英城
なづな摘む落人みちを少しゆき 加藤三七子
もの思ふゆゑに世にある芹なづな 上田五千石 琥珀
一歩をば痛感したり芹なづな 永田耕衣 陸沈考
七草のなづなすずしろたたく音高く起れり七草けふは 若山牧水
六日八日中に七日のなづなかな 上島鬼貫
出羽人はやさしなづなもはこべらも 鈴木玉斗
初なづな鰹のたゝき納豆まで 素堂
初詣なづなの畦を踏みゆけり 谷口ゆり女
古畑やなづな摘みゆく男ども 松尾芭蕉
少年に小遣ふやすせりなづな 原裕 新治
御飛脚の堀河出てなづな哉 召波
根小屋までうち下したるなづなかな 中村史邦
沢蟹の鋏もうごくなづなかな 蓼太
病間へもとどけとなづな囃す音 塩崎緑
石は石はけふ白川のなづなかな 浜田酒堂
芹なづなあとはななくさとして杳 櫂未知子 蒙古斑以後
芹なづな海より暮るゝ国ざかひ 石橋秀野
道ばたになづな生ふなり膳所の町 鈴鹿野風呂
遠い日のなづなつむ野の霜柱 所富江
酪農の娘にうす雪やなづな摘 飯田蛇笏 春蘭
隣り村ぺんぺん草の畦往けば  高澤良一  寒暑
なずな季田沼の通夜は泊りがけ  高澤良一  石鏡
犬の尿ぺんぺん草の枯れし穂に  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:54 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

冬深し

冬深し

例句を挙げる。

あなどりて真冬の蜂にさゝれけり 森田中霞
ここに又陸稲のみどり島の冬 深見けん二
なにか喰む猿の顔じゆうが冬深む 芦川源
なにもかも倒れて真冬深みたる 宇多喜代子 象
ひとり乗る真冬の奈良の昇降機 原田喬
わが木にて暗き杉立つ真冬かな 中村苑子
一盞のベルモット書斎冬深し 山口青邨
乳の形あることはあり冬深む 上野さち子
二三日父母を見ず冬ふかむ 橋本榮治 麦生
五本杉五本囁く冬深空 殿村菟絲子 『菟絲』
人*かんの真冬をわたる筬の音 飯田蛇笏 椿花集
人の言ふ反革命や冬深む 相馬遷子 雪嶺
冬ふかき日の吹かれをり桑畑 金尾梅の門 古志の歌
冬ふかき月のひかりを離さぬ木 中田剛 珠樹
冬ふかくほとけの彫りも見えがてに 室生犀星 犀星発句集
冬ふかく風吹く大地霑へり 飯田蛇笏 椿花集
冬ふかしとつぶやけば又深くなりぬ 草間時彦
冬ふかし仏飾るに花鳥の図 土橋石楠花
冬ふかし朝は煤降る映画街 金子潮
冬ふかし薔薇園石の天使おく 原田青児
冬ふかし豆挽く揺れのなかにあり 中田剛 珠樹
冬ふかむかな音もなく隣り合ひ 岡田 和子
冬ふかむさびしさ限りなき砂丘 伊東宏晃
冬ふかむ父情の深みゆくごとく 飯田龍太
冬帽の真冬の浪花男かな 攝津幸彦
冬深き井戸のけむりよ朝まだき 室生犀星(1889-1962)
冬深き坂の途中の岐れけり 小島良子
冬深き志野の湯呑の肌ざはり 大場美夜子
冬深き癌研灯り砦なす 菖蒲あや あ や
冬深く墓掘る者は低唱す 有馬朗人 知命
冬深く萎えし花々幾日ぞ 室生犀星 犀星発句集
冬深しいちじくの根に灰撒いて 鈴木しげを
冬深しからだ全部で振り向きぬ 須川洋子
冬深し二俣川といふところ 鈴木しげを
冬深し思ひのままに土乾く 松村蒼石 雪
冬深し手に乗る禽の夢を見て 飯田龍太 山の木
冬深し柱の中の濤の音 長谷川櫂(1954-)
冬深し海も夜毎のいさり火も 八木絵馬
冬深し秤が元へ戻る音 成田千空 地霊
冬深し老と死の字は六字画 宮本はるお
冬深し老婆がどこにでも坐り 長谷川双魚 風形
冬深し脱ぎすてし靴の朝は穿く 瀧春一 菜園
冬深し藪へ入り込む川の砂 大峯あきら 鳥道
冬深し闇に濃き闇薄き闇 柏禎
冬深し闇に踏みたるひとの尾も 河原枇杷男
冬深し顔を作れば黒子泛き 長谷川双魚 『ひとつとや』
冬深し鼈甲いろの漬菜にも 細谷鳩舎
冬深むとも春近しとも木々の色 橋本榮治 逆旅
冬深む刻字うするる支那小凾 加藤三恵子
冬深む息つめしわが影の黒 櫛原希伊子
冬深む漬物石の重たさに 渡辺寛子
冬深む蒼空ばかり身延線 森澄雄
冬深む黙契のごと双拳 村越化石 山國抄
冬深井みんな無口になつてゐる 栗林千津
出で行くはむしろ不安の真冬の道 石田波郷
切株も獣顔して冬ふかむ 岡本まち子
喪の中に幹立ち真冬始まれる 和田悟朗
噴煙の伏して崩れず冬深し 米谷静二
四囲の音聴き澄ますとき冬深く 加藤楸邨
堪忍と鳴る鹿威し冬深し 佐々木六戈 百韻反故 初學
山上は真冬の小鳥うららに人に鳴き寄る 人間を彫る 大橋裸木
山猫もどんぐりも冬深むなか 大串 章
峡湾の碧さや牟婁の冬深き 内藤吐天 鳴海抄
島真冬船より投ぐる餌に猿来 太田嗟
師恩友情妻子の情冬ふかむ 相馬遷子 山河
干魚あぶる市中に来て冬深き 室生犀星 犀星発句集
愛染と墨書して冬深まれり 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
故人みなよき顔に冬深し 宇多喜代子 象
方丈の寸尺狂ひなき真冬 庄司圭吾
日の当る方へ歩みて冬深む 朝倉和江
晩餐図椅子一つあけ冬深し 有馬朗人 天為
樅の葉の結晶満ちて冬ふかし 堀口星眠 営巣期
歯を磨きながら死にたい 真冬ガソリンスタンドの床に降る星 穂村弘
死支度など捗どらず冬深む 井出寒子
母を責めひとり真冬の海にくる 江川貞代
水墨の槎(いかだ)に孤客冬深む 小澤實(1956-)
水音にそそぐ水音冬深し 行方克巳
波かもめ遠啼きに冬深めたり 河野南畦 湖の森
煮えてきて蜆おどろく冬深し 辻桃子
爪かけて木原の斜陽冬ふかむ 飯田蛇笏 椿花集
父と子のかげる真冬の昆虫館 長谷川双魚 風形
猩々の一物突起せる真冬 高澤良一 燕音 
田を截つて大地真冬の鮮らしさ 飯田蛇笏
男鹿に冬ふかむ廃船壊ちつゝ 能村登四郎 合掌部落
白樺の枝こまやかに冬ふかむ 石田あき子
真冬の故郷正座してものおもはする 飯田龍太 春の道
真冬の洞単身で来て顔とがる 澁谷道
真冬日のマンシヨンに棲む聖マリア 平田栄一
真冬日の割れそうな壺売られおり 關根 巧
真冬日の古城のほかは海である 高橋比呂子
真冬日の夕ベは死螢ばかりとぶ 佐々木宏
真冬日の絞めやすくある鶏の首 海老名衣子
真冬日の鼻の先より昏れにけり 成田昭男
真冬日をバスは二時間来ぬつもり 櫂未知子 貴族
真冬日を死なずさぶがる鯉も又 齋藤玄 『雁道』
石山そぎ立ち真冬の鴉鳴きかかる 人間を彫る 大橋裸木
砂丘ゆく人すぐ遠く冬ふかむ 伊東宏晃
祖母の形見少しづつ減り冬深む 古賀まり子 緑の野以後
神輿屋の神輿に埃冬深む 林翔 和紙
窯出しの紅のにじみや冬深む 遠藤律
笹にまじるあやめみどり葉冬深き 室生犀星 犀星発句集
糊皿に一雷鳴や冬深し 外川飼虎
老母の煮炊き常凡冬ふかむ 上野さち子
耐へよとや真冬一と間に塩と綿 成田千空 地霊
胎児にとって真冬のフォルテは必要不可欠 夏石番矢
脚絆も黒く若き君等の冬深まる 鈴木六林男 第三突堤
薙刀と絵皿ならべて冬深し 中田剛 珠樹以後
親星を子星はなれず冬深む 木附沢麦青
角砂糖しみじみ溶けて真冬なり 中山純子 沙 羅以後
足掛け一日真冬さながら弁護人 宮崎二健
踏切りが振るつよき白旗真冬の豚 寺田京子 日の鷹
遠く咲く真冬の花火ピアニスト 高橋謙次郎
銀山や真冬の清水たばしりぬ 辻 桃子
鍋の向こうに力士の手形冬深し 大山キヌ子
馬駆くる鉄の壁掛冬深き 田村了咲
鯔網に冬ふかみつつ空つ風 飯田蛇笏 雪峡
鳶は輪をひたすらなぞり冬深む 中 拓夫
麻姑の手の指のかたちに冬深む 長谷川久々子
あしの皮はぎおちる冬の深みけり 室生犀星 犀星発句集
とくさまつすぐな冬の深さよ 室生犀星
シエーバーの充電冬の深みけり 林 誠司
峠教ゆ冬の深みのなつかしく 村越化石 山國抄
干鰯たやさぬ冬の深まりて 室生犀星 犀星発句集
好きなことばかりしてゐて深む冬  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:48 | 冬の季語 | Trackback

福寿草

福寿草

例句を挙げる。

あたゝかく出ませる日子や元日草 長谷川かな女 雨 月
あらそはぬ国いたゞくや福寿草 蓼太
いたはりに狎れて籠りて福寿草 風生
うち初めし鼓に蕾む福寿草 長谷川かな女 牡 丹
かぐはしき磯の香ありてお元日 草間時彦
かぐはしき荒磯のありてお元日 草間時彦
ぬくもりて来し指先や福寿草 草間時彦 櫻山
ねむる嬰に日向がありて福寿草 伊藤京子
ふたもとはかたき莟や福寿草 召波
ふるさとのかたまりなりし福寿草 福原貴子
べらぼうに薬罐大なる福寿草 久米正雄 返り花
まどろめるわれを見守り福寿草 みどり女
みづうみの北は淋しき福寿草 角川春樹
もつさりと言ふも目出たし福寿草 殿村菟絲子 『菟絲』
わが好きの数の七つの福寿草 播水
わりなくも眠き灯明し福寿草 竹の門
一人居のにはかに日差福寿草 川崎展宏
一湾の真帆見てをりぬ福寿草 小澤克己
七芽八芽色のぼりゐて福寿草 荒井正隆
下町や軒端の鉢の福寿草 石塚友二
世淡れの我に濃さとや福寿草 永田耕衣 泥ん
両国の初買やこれ福寿草 文車
丸腰の兜太が行くぞ福寿草 清水哲男(1938-)
人の世の庫裏の裏なる福寿草 瀧 春一
仏具屋に日向がありて福寿草 清崎敏郎
何もなき床に置きけり福寿草 高浜虚子
何時の間に越へたる峠福寿草 佐藤愛子
兎親子福寿草亦親子めく 草田男
出作り小屋開く日群れて福寿草 茂里正治
動かねば他に音はなし福寿草 阿部みどり女
千両の実の凍てやうや福寿草 増田龍雨 龍雨句集
南山を窓の間まや福寿草 四明句集 中川四明
和の一字家訓となして福寿草 辻口静夫
土の香のはなはだ強し福寿草 吉岡秋帆影
地に低く幸せありと福寿草 保坂伸秋
地の果に咲きほほけゐし福寿草 稲畑汀子
地球儀の海青青と福寿草 浅賀渡洋
壁の色すこしさびしく福寿草 京極杞陽 くくたち下巻
夜や坐る刻がわがもの福寿草 川島千枝
大き師の遺墨にまみゆ福寿草 佐藤いね子
大地より金を放てる福寿草 山田閏子
大雪に行方不明の福寿草 長谷川かな女 花寂び
妹が欲しいといふ子福寿草 岡本一代
妻の座の日向ありけり福寿草 石田波郷
子に頼る心も少し福寿草 閑田梅月
寄せ植ゑて一つが傾ぐ福寿草 菅野一狼
寿の一字を立てゝ福寿草 小松崎転石
小書院のこの夕ぐれや福寿草 炭 太祇 太祇句選後篇
嶺を躍り出でし日の子や福寿草 岡部六弥太
帳箱の上に咲きけり福寿草 一茶
幾鉢の花に遅速や福寿草 句仏
座蒲団が十ばかり並び福寿草 相馬 黄枝
庭隅にきゝ耳立つる福寿草 毛塚静枝
愛弟子もまた病者なり福寿草 阿部みどり女
手さぐりの卒寿さておき福寿草 前田 鶴子
指揮棒を福寿草に振るわたし 五島エミ
掛物に十二ケ月や福寿草 阿波野青畝
擂鉢に百本植ゑぬ福寿草 会津八一
文書くもかごとも日向福寿草 汀女
日のあたる窓の障子や福寿草 荷風
日の障子太鼓の如し福寿草 松本たかし(1906-56)
日は一ぱい相寄りもたれ福寿草 及川貞
日本のここが要の福寿草 宇多喜代子 象
日記まだ何も誌さず福寿草 遠藤梧逸
日輪の福寿草の庭二歩三歩 阿部みどり女
書屋のみすがしさ保つ福寿草 水原秋櫻子
朝日さす弓師が店や福寿草 蕪村
椅子よりも正座が好きや福寿草 塩谷はつ枝
楮皮干したる庭の福寿草 田中冬二 行人
水そそぐ石に縞現れ福寿草 大竹きみ江
水入の水をやりけり福寿草 子規
水溜りぴよんと福寿草一家 小平 湖
水音のする雪中の福寿草 菊地弘子
海山の風をつなぎし福寿草 関 千恵子
灯をあげて鎧櫃あり福寿草 小原菁々子
父母在す世を包み居り福寿草 中島月笠 月笠句集
片づけて福寿草のみ置かれあり 高浜虚子
物干の雪払はずよ福寿草 中島月笠 月笠句集
玉蟲を含めりにけり福寿草 松本たかし
病室の湯婆の側や福寿草 広江八重桜
病室の煖炉のそばや福寿草 正岡子規
福寿草くさとは見えぬ影ぼうし 梅室
福寿草くしゃみが腰に応えたぞ 永田耕衣
福寿草ここも風音波音も 村田脩
福寿草この子大器の相ありと 水原春郎
福寿草さいて筆硯多祥かな 鬼城
福寿草しもげしまゝに咲きにけり 白水郎句集 大場白水郎
福寿草すでに異国語まじゆ児と 村上淑子
福寿草なれば豊かや静心 森澄雄
福寿草に日の当たり居り言ふことなし 中村汀女
福寿草のかたちに結ぶ祝ひ帯 影島智子
福寿草の少し開いて亭午なり 大野洒竹
福寿草の日向に母を連れ出して 伊藤通明
福寿草の黄に陽たまれる豊かさよ 青峰集 島田青峰
福寿草ひらききつたりまぶしかり 細見綾子 天然の風
福寿草ひらきてこぼす真砂かな 鶏二
福寿草ひらきてまろし古典よむ 高橋淡路女 淡路女百句
福寿草や卓にかけたる白錦 村上鬼城
福寿草ゆるやかに過ぐ今の刻 能村登四郎
福寿草よりかも苔に喜色あり 後藤夜半 底紅
福寿草わがそばに咲き黄いろなる 廣江八重櫻
福寿草わが晩年の知己増えぬ 伊東宏晃
福寿草一寸ものゝ始なり 言水
福寿草二輪ひらきぬ福と寿と 林 翔
福寿草処士といふ名の美しき 遠藤梧逸
福寿草十花燦たる鉢一つ 水原秋櫻子
福寿草咲いてもわたしは嫁きませぬ 八木三日女
福寿草咲いて筆硯多祥かな 村上鬼城
福寿草咲きて始まる花日記 岡村月子
福寿草咲き簇り棲む二た夫婦 久米正雄 返り花
福寿草咲くや後に土佐が鶴 大魯
福寿草咲くを待ちつつ忘れたる 佐藤紅緑
福寿草奉書は折り目ケバ立ちて 久米正雄 返り花
福寿草女暮しの南窓 村上喜代子
福寿草妻まる顔に女児生むか 柴崎左田男
福寿草家族のごとくかたまれり 蓼汀
福寿草小昼の雨にあてにけり 白水郎
福寿草平均寿命延びにけり 草城
福寿草年かさねても夢多き 尾村馬人
福寿草延びて莟の日数かな 会津八一
福寿草悲喜の話の中に咲く 阿部みどり女 月下美人
福寿草憶良のやうに子を思ふ 大庭星樹
福寿草折れたるままに咲きにけり 会津八一
福寿草掘るとて兵ら野をさがす 長谷川素逝 砲車
福寿草日を一ぱいに含みたる 高浜年尾
福寿草朝の影濃く相寄れる 柳清子
福寿草植ゑよくくれる小鉢かな 会津八一
福寿草母なる子なる蕾かな 山田弘子
福寿草母にこにこと在しけり 森 重昭
福寿草母の嫁の座永かりし 小野克雄
福寿草氷雪の巌迫り立つ 千代田葛彦 旅人木
福寿草泥鰌思いの人に咲く 永田耕衣 人生
福寿草満開雪塊しりぞくに 青邨
福寿草漁師の庭にほゝけたる 松藤夏山 夏山句集
福寿草留守とも見えて亡き翁 永井龍男
福寿草看りごころに子の進路 都筑智子
福寿草縁なきやうなあるやうな 深田やすを
福寿草聞香といふ集ひあり 大橋敦子 手 鞠
福寿草膝に日を乗せ露店翁 百合山羽公
福寿草自適の日々が待たれけり 高澤良一 宿好 
福寿草舳に置いて泊り舟 高山利根
福寿草襖いろはにほへとちり 青畝
福寿草見てしづかなる命かな 清原枴童
福寿草買ひに出て除夜更けにけり 中島月笠 月笠句集
福寿草遺産といふは蔵書のみ 高浜虚子
福寿草雪しりぞきしところより 永田耕一郎
福寿草雪の予報に眠りつぐ 小野口 繁
福寿草黄の走り見せあたたかき 野村完升
禰宜の子に秀でし歌人福寿草 大橋櫻坡子 雨月
窓に向き眼鏡が光る福寿草 菖蒲あや
笈を負ひその後の月日福寿草 深川正一郎
筆の穂の長いのが好き福寿草 後藤夜半
紙漉きの干し場に咲ける福寿草 田中冬二 俳句拾遺
縁の日に当てて山家の福寿草 石 昌子
置きものの如く着ぶくれ福寿草 遠藤梧逸
美しき老にありたし福寿草 串上 青蓑
膳について子等賑々し福寿草 久女
臥すのみの父とてもよし福寿草 毛塚静枝
花ぞ時元日草やひらくらん 井原西鶴
苔くぼに銀の水玉福寿草 静雲
茶を飲める福禄人や福寿草 河野静雲 閻魔
葉の伸びて花の了りし福寿草 川原 道程
蒔絵師の身ほとりに置く福寿草 いちろ
裏山にゑくぼの日ざし福寿草 成田千空
足の痛み時には忘れ福寿草 阿部みどり女 月下美人
金の弁こぞりて開く福寿草 阿部みどり女 月下美人
針山も日にふくらみて福寿草 八染藍子
陽微動福寿草僅かに莟む 西山泊雲 泊雲句集
青丹よし寧楽に墨する福寿草 秋櫻子
青空の端に出されし福寿草 千葉皓史
静かなる元日草に日闌けたり 橡魚子
音もなく日はかがやけり福寿草 仙田洋子 雲は王冠
頼もしき二十七顆の福寿草 後藤夜半 底紅
魚屋が散らす紅鱗福寿草 林翔 和紙
黄は日射し集むる色や福寿草 藤松遊子

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:30 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

穂俵

穂俵

例句を挙げる。

ほんだはらばかり打ち上げ浜の冬 安藤 雅子
ほんだはら塵の如けど食へといふ 八木林之介 青霞集
ほんだはら多し天草灘航けば 森田峠 避暑散歩
ほんだはら引きずつて波静なり 岡村浩村
ほんだはら波の残してゆきしもの 水田千代子
ほんだはら滅多うちして春休 原田喬
ほんだはら荒磯の匂ひなつかしき 高橋淡路女 梶の葉
ほんだはら速吸の門の渦に浮く 青畝
ほんだはら黒髪のごと飾り終る 青邨
揚船を干しかくしゐる穂俵 品川柳之
歳月や怒濤に返すほんだはら 伊丹さち子
波ゆるむとき穂俵の揺れ戻り 村山 志水
海女小屋の扉口に飾るほんだはら 根岸 善雄
涙痕のごとく穂俵ありにけり 五島高資
穂俵つゝき遊べる小魚かな 高浜虚子
穂俵に乾ける塩のめでたさよ 比奈夫
穂俵に豊年しるし海までも 鳥木
穂俵の林撓めて潮新た 和田ゑい子
穂俵の波にもつれてかたまりぬ 康々
穂俵も七日事なき深みどり 竹原泉園
穂俵やとり初めいはふ五百歳 任口(旧年五万石を給ひて)
穂俵や拵へて売る買ひもする 法策
穂俵をふるへば散りぬ貝の粉 出口叱牛
穂俵を捜す鼠も嘉例かな 石鼎
穂俵を髪に尺とる娘哉 凉進
苫舟の穂俵長き重ね餅 桑原志朗

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:29 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

仏の座

仏の座

例句を挙げる。

かたまつて野火まぬがれし仏の座 石丸 誠
たびらこの花に憩ひて古戦場 北田桃代
たびらこは西の禿に習ひけり 其角
たびらこや洗ひあげおく雪の上 吉田冬葉
どの路地も目覚めてをりぬ仏の座 酒井秀洋
もう一つ満開の花仏の座 上島清子
七草やけふ一色に仏の座 支 考
七草や何をちなみに仏の座 江戸-路通 元禄百人一句
児の声の届く辺に摘む仏の座 磯貝ひろし
土のまゝつまんで来るや仏の座 琢 堂
土手にして日だまりにして仏の座 渋谷士郎
夜は海が近づくといふ仏の座 中尾寿美子
大葬も雨たびらこの花も雨 鶴丸白路
女童の手がかしこくて仏の座 木村虹雨
山裾の日に燦とあり仏の座 工藤弘子
打ち晴れて富士孤高なる仏の座 勝又一透
指先で覚めよと起し仏の座 笠間文子
日の先にあそぶ雀や仏の座 本土みよ治
田平子や午後より川に人の出て 岡井省二
田平子出づ亡母の眼いまも腫れぼたし 磯貝碧蹄館 握手
秀つ峰の赤みさしきし仏の座 川端庸子
秋燈や人鎮まつて仏の座 吉武月二郎句集
膝つきしところにありし仏の座 栗田素江
萩に訪へば飛鳥の御代の仏の座 上村占魚 鮎
貝塚に密生したる仏の座 笹野俊子
遠来のもののごとくに仏の座 鷹羽狩行 六花
限もなや人間の座と仏の座 和田悟朗 法隆寺伝承
雑草と言ふ草あらず仏の座 宇咲冬男
雪の田に手鍬がおこす仏の座 鳥越すみこ
雲割れて日矢の射しけり仏の座 豊長みのる
霜の葉をしかとたたみて仏の座 町田勝彦

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:12 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

御形

御形

例句を挙げる。

せりなづな御形といひて声の止む 展宏
ふみ外す畦なつかしき御行かな 勝又一透
一籠の薺にまじる御形かな 吉田冬葉
古都に住む身には平野の御行かな 名和三幹竹
御行摘む田の面かすめて風きたる 松本茂子
目について秋の御形のちひささよ 北原白秋
芹薺御形*はこべら犬の糞 佐々木六戈 百韻反故 初學
草の戸や門辺に御形薺など 高橋淡路女 梶の葉
草茂り木茂り加茂の御形かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
風あれど日のぬくければ御形摘む 文挾夫佐恵
高麗の里御行の畦に風移る 広瀬一朗

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:11 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

根白草

根白草

例句を挙げる。

根白草けさ晴れわたる水の上 児玉輝代
根白草摘みに靄立つ泉まで 古川芋蔓
根白草摘み来し妻の手が匂ふ 安住 敦
根白草雉子酒の微醺残りけり 山県瓜青
母いつも夕景のなか根白草 岡本眸
水よりも風の冷たし根白草 角納金城
詞にも玉の緒のあり根白草 神尾久美子

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:06 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

鰤起し

鰤起し

例句を挙げる。

それぞれの客を迎ふる鰤起し 小川濤美子
わたなかを火柱はしる鰤起し 町田しげき
一湾の気色立ちをり鰤起し 宮下翠舟
一閃光初島は覚めぬ鰤おこし 及川貞 夕焼
佐渡の上に日矢旺んなり鰤起し 岸田稚魚 『負け犬』
加賀太鼓乱れ打つなり鰤起し 溝口青於
千枚田暮れてとどろく鰤起し 和田祥子
夜に入りて木屑香たつ鰤起し 橋本 薫
巻舌の濤の暗黒鰤起し 森田緑郎
欣一と出て加賀の夜の鰤おこし 角川源義 『冬の虹』
流人墓地みな壊(く)えてをり鰤起し 石原八束(1919-98)
火の島の日和崩るゝ鰤起し 土屋仙之
炉にあれば腹にこたへぬ鰤起し 森澄雄
父祖の地の住み難きかな鰤起し 今牧茘枝
猫の耳ぴくりぴくりと鰤起し 秋武つよし
白衿に針はこぶ夜の鰤起し 井上雪
砂山の歌碑に日矢立つ鰤起し 伊藤京子
立山の偉を正したる鰤起し 有馬朗人
立山の襞引き締めて鰤起し 蔵 巨水
立山も能登もゆさぶり鰤起し 蔵巨水
能登人に待たれてをりし鰤起し 柿島貫之
茶畑の空はるかより鰤起し 飯田龍太
補陀落やかなた明るき鰤起し 角川春樹
観音をあまた見し夜の鰤起し 坂内佳禰
谷戸深く猟男の棲めり鰤起し 石川桂郎 高蘆
隠岐の雲ただならぬあり鰤起し 昆野草丘
順々にお詰め下さい鰤起し 永末恵子 留守
風待の舳艫相打つ鰤起し 和田祥子
鰤起しずしりと重き露伴集 中西舗土
鰤起しと見る間に虹をかかげたる 菖蒲あや
鰤起し一つとどろく佐渡泊り 高木良多
鰤起し体言止めに至るかな 石田時次
鰤起し入江に波をたたせけり 森田 峠
鰤起し大佐渡小佐渡つらぬけり 皆川盤水
鰤起し奇蹟のごとく虹かかり 菖蒲あや あ や
鰤起し巻雲立ちし隠岐の島 久保茘枝
鰤起し悪人の名に虚子あげて 茨木和生 倭
鰤起し旅寝の手足まだ覚めず 奈良文夫
鰤起し杉山檜山色褪せぬ 阿波野青畝
鰤起し沖は鋼の色深む 北見さとる
鰤起し海抜ゼロの町揺する 篠田悦子
鰤起し白山へ雨ともなひ来 新田祐久
鰤起し程よき時化となりにけり 田中田吉
鰤起し米山さんの辺りより 江島つねを
鰤起し腹に徹りて風邪癒えぬ 加藤楸邨
鰤起し軒につかへて沖高し 本多静江
鰤起し連れて漁船の戻り来し 稲畑廣太郎
鰤起し鷹は小猫を狙ひをり 仙田洋子 橋のあなたに

以上
by 575fudemakase | 2015-01-31 00:04 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

石寒太句集「生還す」を読んで

石寒太句集「生還す」を読んで
ふらんす堂 2007・12・22 第四句集

共鳴句を挙げる

繭玉をちょんとつつきて退院す
こちら向くときは目白となってをり
青葉木菟毒殺へあと数ページ
鰯雲いま楸邨の乗りゆくよ
いちばん小さきぼたんにかがむ雪のうへ
乙鳥へ乗りたくて手を挙げてゐし
北斎の男波女波や祭来る
忘年やまだ名の付かぬ兎飼ひ
良寛のよろこびさうな春の雪
子を産みに来て寝てばかり十二月
途中からスキップとなり春の雪
うしろより抱かれて春の雪迅し
はこべらの影のごときをひとつ摘み
もう妻の朱き丸つく初暦
筒鳥は黄泉への使者よぽぽぽぽぽ
ままごとのやうな病院食あたたか
陽炎へ病者屈伸してをりぬ
見舞妻櫻の真下帰りけり
のぼりゆく蝶に力や病癒ゆ
引鴨となれず流れの芯にをり
竹煮草の葉の裏返り弔旗とす
母の日のいかづちやはらかく届く
抱き余したり初夏の太郎杉
洛外図にこぼれてひとつ羽抜鶏
紫陽花の毬ひとつ突き母見舞ふ
ノーモア広島一匹のみづすまし
生も死もたつた一文字小鳥来る
肩ゆらしつつ大年の楸邨来
富士山を大きく蹴りしあめんぼう
ナイアガラ瀑布戻りし髪洗ふ
セントラルパーク✳︎まくなぎ走者来る
つるひくべし✳︎まくなぎは打ちはらふべし
升(のぼ)さんの西瓜好きなりその母も
正月のめんどり許許と啼きはじむ
風船のかすかな重さ相打てり
チューリップ侏儒蠢めいてゐたりけり
象の鼻冷たき土に触れつつ来
かたまれるとき白鳥のこゑとなり
きさらぎの水のきらきら逆まけり
疲れたるサンドバックや夕ざくら
ほうたる螢みんな少女となってゐし
つつと来てつーいと落ちし戀螢
かなかなや声の花束降るごとし
てつぺんのひとつ買ひ来し福達磨
羞らひをすでに覚えし裸かな
子も同じ夕虹を見しメールかな
大川の月が太鼓ぞ祭来る
出棺の最中冷蔵庫の唸り
鍵の束ひとつは花野ひらく鍵
この面相見ておけと蛇穴に入る
母逝きし春の小川はさらさら行くよ
一行の弔辞読み得ず芽吹山
キッチンの蜆つぶやき母のこゑ
弔ひのごとくヨットの白帆あり
楸邨思へばいつも落ちくる雪加かな
偏と旁抱き合ふ文字梅雨深し
のうぜん花遺産相続放棄印
葱伏せて逝きたる父の齢かな
咲く前の泪のかたちチューリップ
さくらさくちるさくらちる独語かな
あねもねのはなや「あのね」のあねいもと
首里城の蟻つややかな貌ひとつ
一山の一念滝となり落つる
幻住庵裏へ廻りし羽抜鶏
みちのくの息のぶつかり大ねぶた
柿ふたつ描き遺せる戦没兵
昭和逝き師逝き母逝き新米来

以上
by 575fudemakase | 2015-01-30 10:17 | 句集評など | Trackback | Comments(0)

冬終る

冬終る

例句を挙げる。

ひそかなる亀の死をもち冬終る 有馬朗人 母国
また雨が電柱濡らし冬終る 菖蒲あや 路 地
ファックスを書斎につけて冬終る 内野睦子
仰臥のまま両眼ひやす冬の果 古沢太穂 古沢太穂句集
冬の果蒲団にしづむ夜の疲れ 飯田蛇笏 椿花集
冬去りぬうぶすなの木に子がのぼり 長谷川双魚 風形
冬去るか米のとぎ水流れゆき 細見綾子 花寂び
冬尽きて刳り舟にある日の匂ひ 山上樹実雄
冬尽きて曠野の月はなほ遠き 飯田蛇笏
冬尽くといふ甘美なる語のありき 徳永山冬子
冬尽のふけかきこぼす頭かな 飯田蛇笏 山廬集
冬終へし柵をへだちて親しき濤(鼓ケ浦の山口誓子氏を訪ふ) 河野南畦 『黒い夏』
冬終る封筒の中空色に 有馬朗人 天為
冬終る尾長が紙漉く小屋に来て 皆川盤水
冬終る風かもはるか聖地より 対馬康子 愛国
冬終る鴉水田に尻つけて 岸風三樓
冬終わる封筒の中空色に 有馬朗人
北辺の大冬尽くる海を越ゆ 飯田蛇笏 雪峡
塵捨てに出て蟇見たり冬終る 伊東宏晃
契冲の鶏が啄み冬終る 長谷川かな女 花寂び
庖丁みがく女の力冬終る 菖蒲あや 路 地
水に翳そひいつまでも冬去らず 長谷川双魚 風形
波なりに冬去る白鳥の墓一基 成田千空 地霊
湯屋の前月濃くて冬去りにけり 大野林火
男ゐる遠景に来だ冬去らず 能村登四郎 幻山水
町川に玄能を磨ぐ冬名残 宮武寒々
蝦夷鹿の振り向くしじま三冬尽く 下鉢清子
解く帯は風の音する冬去るか 寺田京子 日の鷹
護符のごと目貼を冬の果つるまで 村越化石 山國抄
酸素ボンベころがり路地の冬終る 菖蒲あや 路 地
長き冬去ると或る朝言ひて起く 細見綾子 花 季
雲は鳴かず大オホツクの冬尽くる 飯田蛇笏 雪峡
雲渉るごと踏む土に冬終る 長谷川かな女 花 季
青淵に入る泥水冬の果 辻桃子


以上
by 575fudemakase | 2015-01-30 00:58 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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by 575fudemakase

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尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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