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星野麥丘人遺句集「小椿居以後」を読んで

星野麥丘人遺句集「小椿居以後」を読んで

2014年5月20日 角川学芸出版

共鳴句を挙げる

冬終る万々歳といふべしや
三椏ノ花切腹(ハラキリ)ハ忠ナラズ

四月十五日
湘子逝く丘の暮春のででっぽう
百間忌日神鳴とて二つ三つ
水摂(と)れは妻の口癖夏来る

第三十一回鶴九州鍛錬会にて 三句
九州の毛蟲にしては小さかり
白扇を流してみむか壇ノ浦

水馬にもストーカーらしき奴
閻王に詣でて腓返りとは
痩せすぎて甚平さまにならざりき
硝子玉吹いて真ッ赤や終戦日
白粉花や五時が終ひの針仕事
野槐(ななかまど)受けて立つことなくなりぬ
八十ヲ孔子ハ曰ハズ七竈
蒲団干す見られてゐると知りながら
年の瀬や家の中にて妻ころげ
通院が一切なりき年の暮
目玉焼二つ四日となりにけり
怺へむとするは寒さにあらざりき
春遅々とわが血中の血色素(ヘモグロビン)
錦絵の一枚摺や春の夜
万愚節子宝の湯に首出して
鯉に麸を水黽にはさて何を
ながむしと聞いて二の足踏みにけり
梅雨寒や妻にも開かぬ壜の口
二の腕に刺青はなし夜の秋
台風来あんぱん一個卓上に
落霜紅耐へねばならぬことばかり
水楢と訊いてその実を拾ひけり
関西のさんまも焼けば焦げるなり
蓮掘の夫婦に声のかけられず
冬籠昼来て夜のくりかへし
只管といふは春待つことなりき
鶯や妻の鏡台東向き
ひらがなの名札のみやこわすれかな
養花天風のたよりの死のたより
行く春や俳句は久保田万太郎
花過ぎし上七軒を通りけり
夏茶碗錦江湾をまむかひに
沼一つ二つ三つ目蛭むしろ
一二三二二三とあめんばう
漆掻らしき男が通りけり
新涼や摘ませてもらふミントの葉
秋風やたしかなことは一つだけ
牛膝敵とおもへば皆敵ぞ
九月尽筆も硯もそのままに

飯島晴子氏の言ひしかと
関東のしぐれは只の田舎雨

レクイエムに非ず梟の啼きたるは
人参を洗へば晴れてきたりけり
ぎんなんを炒っても寒き日なりけり
友二忌や昼は高菜のにぎり飯
風船を割って忍法目くらまし
鹿尾菜煮て法然さまの日なりけり
ふらここを漕ぎに来しこと内緒なり
藁素坊(わらすぼ)の話に耳をかたむけぬ
梅雨晴間僧の他出とみたりけり
夕風やへちまの花は子規の花
秋風や齢思へばこのままで
すでにして桐は老いたり道元忌
大きいといふはいいこと秋の山
底紅は教会の花いつも雨
塩竈のさんま定食手始めに
出来秋や塞の神にもずんだ餅
結局は松の手入を見たるのみ
キャラメルの函の天使やハロウィン
にんげんは男と女をしどりも
元日のお寺さまとは深大寺
うぐひすの鳴いてゐるのに妻立てず
リラ冷えの古きレコードダミアかな
地震ありて蒲公英一座どよめきぬ
しゃぼん玉大人になれば皆不幸
以上でも以下でもなくて金魚玉
他所者は只見るばかり縄目鉾
毛虫殺す妻の分まで殺しけり
すこしづつ糸瓜がへちまらしくなり
かなかなの山かなかなの寺ありぬ
コスモスに皆手を上げて来りけり
鳥渡る暮しのなかの車椅子
木の葉髪二人で病んでゐたりけり
狐火のことは蕪村にまかすべし
龍の玉奈良が都でありしころ
よろこばし妻の糞(まり)出てクリスマス
拒みてもくるものばかり十二月
小晦日昼は一人のにしんそば

われらは
年暮れて要支援また要介護

春よ来よ酸素外して妻よ来よ
能なくてはうれん草を茹でてをり
目刺焼く目刺の他にあらざれば
禍は葱の花よりはじまりぬ
戒名の妻となりけり花の雨
悉くといへば落花のことなりき
コロッケか刺身にするか養花天

妻七七忌
連理草只後さきのことなるよ
一本で足りる夏葱抜きにけり
緑蔭の男密偵かも知れず
鶏頭に拘るつもりなかりけり
生盆といはれ叩頭するばかり
かなかなや一人暮しの皿小鉢
きのふ西瓜けふ冬瓜の走りかな
一人では当所(あてど)などなし秋日和
どこにでもコスモスの道ありにけり
ひょんの笛吹いてくる子に出遭ひけり
落葉踏むをとこが一人遺されぬ
一歩亦一歩墓への落葉かな
ハレルヤは妻のこゑかなクリスマス
大年やバッハミサ曲ロ短調
紙雛と相性のよきメロンパン
はじまりは男と女さくら餅
春岬いまも一人で行くところ
甲矢(はや)といひ乙矢といひて五月かな
ことごとく少年老いぬ冷奴
風鈴をもう買ふこともなかりけり
アメダスの画面は雨やさくらんぼ
向日葵やよせばいいのにニーチェなど
一燈は二燈に如かず梅雨の家
焚きたくはない送火を焚きにけり
鶏頭と自問自答をすることに
あきかぜや杖突いて行く妻の墓
四つ目垣むくげは白を以てせよ
初冬の男の家事となりにけり
新年や女流というて将棋指
筆硯の二日も暮れてしまひけり
繃帯は人差指や寒の入
ヘルパーに柳葉魚が読めて焼いてをり
半ぺんに二日のごはん一片食
フロリダへ行きたし雪の日なりけり
ダウ平均どうでもよろし又雪が
冬深し手くび足くび盆のくぼ
二月これ侍月といふべきか
花散って叡山変りなかりけり
日雀来て紅茶の午後となりにけり
樟若葉オルガンさんたまりあかな
瓜もみも少し上手になりにけり
昼は又冷麦とせむひとり身は
ひとり身といへば丈草竹落葉
盆提灯点せば山と川とかな
夕残暑男針持つことありぬ
石あれば掛けてつくつくぼふしかな
秋風やイエスタディを繰返し
朝顔に一膳飯の一茶かな
どんぐりや故人といふは妻すま子
柿剥きぬ任せておけばみな剥きぬ
蛸飯を炊いて冬立つ日なりけり
里芋と葱の相性疑はず
焼鳥の串は二本と決めてあり
ユニクロを着て老人の年忘
極月や酸素吸入3のまま
年暮るる妻への香のままならず
体温は平熱年も暮れにけり
寒の水嚥んで忘るる認知症
焼藷のまんなか食べてみたかりき
カーテンを開けば雪となってゐし
冬晴れやカレーライスも一人では
冬夕焼廊下の隅の車椅子
友二忌や丸善インクいまもなほ
すずめにはすずめの声や雛祭
汚染また除染の記事や戻り寒
彼岸会や忘れてならぬ子規の母
雪の夜の大雪隠となりにけり
花冷のベッド軋ますばかりかな
清明や妻へ無沙汰の福泉寺

以上
by 575fudemakase | 2015-05-20 10:43 | 句集評など | Trackback | Comments(0)

五月句会終わって

五月句会終わって

(妄言陳謝)

言いたいこと言います

潮引くや素足の裏を砂流れ
(自分が言いたい所を人に先に言われてしまったと言う感じ)
麦は穂に無頼なりしが便り寄す
(俳句には季語が必須と言う条件に、一寸格好がつかなくなってしまったという感じがする。私だけか?そこで開き直ってやってみたのが無季の次句。
その昔無頼なりしが便り寄す 無理は身体に毒である)
踏青や仏になかり土踏まず
(仏足石に土踏まずが無いというのは常識。それを思えば当句若干さっぴかれる)
飛鳥なる名もさまざまの石遅日
(何かまだ表現がごたごたしている。言わんとしている所は面白い。いっそ、こうしちゃったら、と提示したのが次句。やんわりと正面を外して詠う。飛鳥野にふさはしき石遅日の石)
冷奴何か足らざる一日かな
(かな が一寸間伸びしているなと言う感じ。完成の形は
冷奴……何か足らざる日)
気風よき羽田漁師の穴子飯
(漁師で気風がよいのは言うまでもなく当たり前。気風よき穴子漁師の… なら判る。)
谷若葉日に日に橋を隠しゆく
(山の吊橋を上から俯瞰しているようで)
桜蘂降りて昨日も今日も雨
(昨日も今日も などと二語も使わずに。今日も の一言で充分。その形は。前にも述べたとおり 自堕落に桜蘂降り今日も雨)
草笛吹く戦前戦後を生きて来て
(草笛吹く戦前戦後と生きて来て 「と」の効用を思っていただきい。「と」のところで一呼吸入れるのだ)
尾の位置の変はれば蛇の動きけり
(動くなり だろう。何か意思を徹す如く断言するのだ)
ひっそりと木を伐る響き芽吹き山
(この時期の芽吹山は何か神聖さすら感じる。シュッシュッという鋸の音がこぎみよい)
魔除けにと残す一本蝮草
(こんな縁起の担ぎ方もあるのですね)
鍵曲(かいまがり)土塀はみ出し夏みかん
(鍵曲(かいまがり)をネットで調べてみると。鍵曲. 萩・長門エリア; 名所・史跡. カイマガリ. 鍵曲は鍵の手に曲がった通路で、戦いの際見通しを悪くして防御しやすくしたもの。 堀内地区・追い回し筋、平安古地区・大児玉横丁にある。 城下町特有の街路の姿をそのままに残している…とある。夏蜜柑と言えば九州辺りだろうが、萩と聴けばその歴史を含めて一興)
市場暑し籠の合鴨声あぐる
(「暑し」と「蒸し」は違う。ここは「蒸し」だろう)
せつなき香たどれば椎の花咲ける
(私の場合の実地体験は東京 港区の狸穴坂)
ふるさとや夏炉をなほも常として
(叙述は「ふるさとや夏炉をなほも常の景」か「ふるさとや夏炉を常の景として」ではないか?)
馬車うまの昼餉時間や君影草
(何処を思えばよいのだろう。私は那須高原の◯◯ランド辺りがいいと思った)
菖蒲湯をどつと溢らす若さあり
(「若さあり」ではなく「青年ら」とストレートにやってもよいと思う)

以上
by 575fudemakase | 2015-05-18 09:55 | その他 | Trackback | Comments(0)

松島あきら句集「殻いろいろ」を読んで

松島あきら句集「殻いろいろ」を読んで

平成二十七年三月七日 文學の森

著者は大正14年 山形うまれ。結社は「野火」「畔」「銀化」を経て「月の匣」へ。五千石直系の弟子筋にあたる方と思われる

御恵送深謝。遅くなりましたが小生の共鳴するところ書き留めました。
ご笑覧下さりませ。

関跡を花もて埋む勿来かな
流木の遠ざかる間も春の雨
囀りや現金振込ピコピコピコ
間道にこぼれて藤や木もれ日や
春鴎山が動きて出港す
南無三宝地面の椿おびただし
牡丹寺堂を狭めてゐる閻王
棒立ちは拒絶のかたち春の鹿
みちのくにはまぶしき言葉春一番
板谷楓咲くよ木綿の手ざはりに
何もなき空を見上ぐる春日和
白木蓮風の矢印混み合へる
みづからを直角に折る雪解水
料峭の白きトルソのごと欅
鳥帰る北斗は低くうるみたり
倒木の木霊鎮めの雪解靄
二の声ははろけし雨の夜の帰雁
春疾風シャツの背中の髑髏かな
鉄塔もだんだん芽吹く雑木山
世の塵をまだ寄せつけぬ雪解川
鯉幟海まだ遠き最上川
一木もあらぬ地獄絵蝉時雨
万緑の中の詳細語られず
引き返す蜜柑の花の香りかな
ふくいくと夜の色して一八は
白皙の鼻梁のままに梅雨仏
焼印の香の新しき登山杖
鉄漿蜻蛉(おはぐろ)の喪章置かるる草の上
手あたりの熔岩を重石に登山地図
山百合の多すぎて山汚しけり
つつましきくらしや毛氈苔の花
花樗不器男はいつも二十歳
黒蟻の身ぶり手ぶりに叫ぶらし
はじめから隣家が遠し立葵
芭蕉林に駆け込んでみる俄雨
皮剥の口が呟く明日のこと
あいさつの声に色増す水引草
道標の腕の四方へ鳥渡る
姨捨の水こそよけれ釣舟草
栗の実のつやを拾へば指冷ゆる
あかあかと柿野垂れ死ぬ山日和
まちの霧うすももいろに明くる朝
うら枯れの葛とて引けば大ごとに
去年よりも干上る池塘鬼やんま
黙深き晩翠草堂銀木犀
奪衣婆は億年も婆新松子
秋時雨貧しきころの箱燐寸
ゑのころ草折りて啣へて無職なり
摑まって風を楽しんでゐる蜻蛉
昼の虫藪も畑も島のうち
山畑が山にぞ返る草紅葉
君が代がしみこむ秋気しむやうに
たぽたぽと潮の満ちくる秋暑かな

赤まんま五百余日が生のまま
色変へぬ松や憤死をする松や

最上川涸れて瀬波の白まさる
千羽鶴一羽落ちたる床の冷
本殿の広さや文化財的寒さ
大つごもり夕日を鳶に残しつつ
枇杷の花赤子のときはみな福相
米礫浴びて鴨らは愛さるる
落葉道ときに石塊踏みあてて
鷹あはれもの食ふときはかくさざる
花八つ手余生と思ふ昭和以後
空青きことにおどろく*かんじき行
冬鴎二百三百うねりつつ
お降りの青空よごさぬやうにかな

以上
by 575fudemakase | 2015-05-17 19:44 | 句集評など | Trackback | Comments(0)

小沢昭一の俳句

小沢昭一の俳句

人様の選んだ小沢100句から小生の好みを拾えば…。
()内は小生のコメント。
実は人様の選んだ小沢100句が問題だ。
自撰では決して採らないような句が目の前にぶらさがる。
何だコリャであるがお互いさまである。
昭一俳句についてはすでに4つに分けて予選済みだが、いつか時間があればもう少し絞り込んでみたい。
俳句で綴る変哲半生記(第一章)
俳句で綴る変哲半生記(第二章)
俳句で綴る変哲半生記(第三章)
俳句で綴る変哲半生記(第四章)

確か小沢の「俳句で綴る変哲半生記」が出たその年の「俳句年鑑」で、これを推したのは唯一歌人だった記憶がある。何と言う為体だろう。

二の酉も白みかけたり股火鉢
ねんねこの咳が受けとる福引券
薔薇植えて元銀幕の女王かな
蜆殻踏みてやむかしかくれんぼ
(蜆殻でもよいし、浅蜊殻でもよい。昭和の御代には自宅の庭もその前の路地もやたら貝殻類がぶん投げられ、敷き詰められていた。小生の場合は自宅が海に近かったので主に浅蜊殻。一応水道水で洗って捨てられたのだが、これに蠅がプンプン付き纏って小うるさかった。そんな路地で昭和の子供達は遊んだものだ。小沢句のあれこれには風俗史が刻み込まれている。)
白き道に白き日傘の消えにけり
(掲句の「白き道」に読み手は何を想像するか。小生の場合には、雨風に洗われた貝殻道。飽くまで具象、抽象的な「白き道」ではインパクトがない。敢えて言うなら「消えにけり」ではなく「消えゆけり」だろう)
新米をとぐ母の手の水加減
笹舟をのの字に流す春の水
てふてふの素通りするや名なし草
夏山の鬱蒼怖く登らざる
(夏山の一層怖く登らざる とも読める)
変哲忌鯵のひらきを供えかし
吉原へ羽子板市の裏をゆく
天衣無縫おたまじゃくしの丸い口
(天衣無縫なる措辞が生きた)
神武綏靖(じんむすいぜい)…暗記も薄れ建国日
萍を花簪に鯉うかぶ
春の日にそつとしてみる死んだふり
叱られた子の草笛や川沿いに
(いかにも昭和の児らしい)
亀に水かけて残暑の見舞とす
寒月の俺亡きあとも照りやがる
(小沢の口吻を直接的に伝えて興をそそる)

面白かったのが100句選出者の一文。以下、長くなるが引用する。

解説 春眠のような永眠 齊藤慎爾

小沢昭一さんの存在はあなたにとって何ですか。答えは問う相手の数ほど返ってくる。俳優、歌手、芸能研究家、劇団主宰者、写真家…。「そういえば趣味で俳句を作っていましたね」という答えは専門俳人からのものであった。その言い方には、専門俳人の矜持、タレントや女優や歌舞伎役者、お遊びで俳句に興じてみせる芸能人とは違う、という差別感情がみえみえであった。
では俳句に限定して話をすすめよう。あなたは小沢さんより俳句を大切に考えていると自信をもって言えますか。小沢さんは昭和四十四年から、月一回行われてきた「東京やなぎ句会」を皆勤で通した。小学校六年間、中学校三年間、合計九年間の「皆勤賞」を貰ったことを人生の誇りとしてきたあなたも、四十四年間の無欠席にはかなわない。あなたは小沢さんのように、「俳句は私にとって有り難い娑婆遊び」と言明する自信がありますか。〈今年から丸儲けぞよ娑婆遊び〉(一茶)を口癖に、身をもって実践してきたのが小沢さんの生涯でした。その遊びは、「遊びをせんとや生まれけん、戯れせんとや生まれけん」の必死の、哀しい命がけの遊びでした。
「死んでから、人生で一番幸せだった日を一日だけ味わわせてやろうと神様から言われたら、トンボや小鮒でも捕りますか。いや句会で仲間と喋りたい。……となると、せめて三日は頂きたいですなァ」
専門俳人のあなた、このような情熱で俳句を、俳句仲間を愛していますか。久保田万太郎の代表作として、人々が、〈湯豆腐やいのちのはてのうすあかり〉を挙げるとき、ひとり〈奉公に行く誰彼や海蠃廻し〉を採った。そんな眼力がありますか。〈春眠のまま永眠を願いとす〉〈人の世の短さを問ひ長き夜〉のような絶句を遺せますか。ええ、むろん「あなた」はこの私自身のことであります。合掌。


(2013・5 俳壇より)
by 575fudemakase | 2015-05-16 04:04 | 句評など | Trackback | Comments(0)

2015年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

2015年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
ちなみに、当句会メンバーの平均年齢は後期高齢者の部類にはいる。

12仏生会甘露の雨の地へ注ぐ
16岩つばめ爺まだ現れぬ爺が岳
17短夜や煎餅蒲団の坊泊り
18廃線の枕木朽ちて百千鳥
19不吉とは迷惑至極と椿落つ
椿落つ不吉とは是迷惑な!
という表現もありか?
24緑さす豊満とはの天平仏
28衣更して別珍の六地蔵
37入園式準備の小さき椅子並び
43鯉のぼり日曜画家の並ぶ土手
44思わずの独り言増ゆ葱の花
47山科の朝摘みうるい煮浸しに
49青嵐牧に追ひ込む羊の群れ
57潮引くや素足の裏を砂流れ
この感触誰もが経験しているところ
60異人墓地石の聖書のかげろへり
新緑の横浜の外人墓地は正にこうだ。
61腕に浮く青き血管夏立てり   
71渓底より深山鶯吉野道
75神南備の裳裾を曳けり藤の花
83一炊に御室ざくらのをはりけり
当句を解釈するには、〝一炊〟の字義と〝都〟が鍵となろう。

「邯鄲の夢」

趙の時代に「廬生」という若者が人生の目標も定まらぬまま故郷を離れ、趙の都の邯鄲に赴く。廬生はそこで呂翁という道士(日本でいう仙人)に出会い、延々と僅かな田畑を持つだけの自らの身の不平を語った。するとその道士は夢が叶うという枕を廬生に授ける。そして廬生はその枕を使ってみると、みるみる出世し嫁も貰い、時には冤罪で投獄され、名声を求めたことを後悔して自殺しようとしたり、運よく処罰を免れたり、冤罪が晴らされ信義を取り戻ししたりしながら栄旺栄華を極め、国王にも就き賢臣の誉れを恣に至る。子や孫にも恵まれ、幸福な生活を送った。しかし年齢には勝てず、多くの人々に惜しまれながら眠るように死んだ。ふと目覚めると、実は最初に呂翁という道士に出会った当日であり、寝る前に火に掛けた粟粥がまだ煮揚がってさえいなかった。全ては夢であり束の間の出来事であったのである。廬生は枕元に居た呂翁に「人生の栄枯盛衰全てを見ました。先生は私の欲を払ってくださった」と丁寧に礼を言い、故郷へ帰って行った。

中国においては粟の事を「黄粱」といい、廬生が粟粥を煮ている間の物語であることから『黄粱の一炊』としても知られる。いわゆる、日本の落語や小説・漫画でいうところの夢オチの代表的な古典作品としても知られる。

同義の日本の言葉としては「邯鄲夢の枕」、「邯鄲の夢」、「一炊の夢」、「黄粱の夢」など枚挙に暇がないが、一つの物語から多くの言い回しが派生、発生したことからは、日本の文化や価値観に長い間影響を与えたことが窺い知れる。現在ではほとんどの言葉が使われる事がなくなっているが、「邯鄲の夢」は人の栄枯盛衰は所詮夢に過ぎないと、その儚さを表す言葉として知られている。
84お手本を示して逝けり桐の花
90手話使ふ指かろやかな五月かな
先師林火の句に〝子の髪の風に流るる五月かな〟?というのがあったが これは〝指〟と〝五月〟とで同じ趣向。
91桐高く郁子は低きに花零す
共に紫、うす紫系の花を咲かせる。清楚な中にも自己主張がある
95一隅に円座重ねてありにけり
98せつなき香たどれば椎の花咲ける
99拗れても行くほかはなし蜷の道
104暈ある日古巣に残る無精卵
110添水の音間遠にしたり瓢鮎図
115康成忌和賀江の沖の真帆片帆
122気風よき羽田漁師の穴子飯
128白鷺の影を流せる早瀬かな
129バゲットを抱へし帰路や風五月
131宗長の庵をつつむ花の雨
139閑人となりでで虫と刻頒つ
142フリージャ剪るネイルアートの十指もて
144すかんぽや大河に遺る船着場
151溝浚へ澱みに影の動き初む
微妙なところへ目線が行った
152回天の潜みし崖の端百合の花
昔を思えばどうしても戦争に行き着く
158王陵を弔ふ埴輪かぎろひぬ
166馬車うまの昼餉時間や君影草
君影草と言うから何かと思ったらスズランとのこと。でも馬車馬との取り合わせは微笑ましい。
170掌に生絹の触り白牡丹
171たんぽぽの小さき円光野の仏
172うぐひすの軒端まで来て甘茶寺
175トランプの一人占ひ新樹の夜
183花の寺子に労はられ磴上る
184谷若葉日に日に橋を隠しゆく
今回はこの句に惚れた
189谷若葉風に乗り来る和讃かな
195湧水の音にも力五月来ぬ
196バス待つにほどよき木株囀れり
198踏青や仏になかり土踏まず
201一輪車帽と剪定鋏載せ
202ひっそりと木を伐る響き芽吹き山
上五七がいいですネ
204魔除けにと残す一本蝮草
こんなこともあろうか?
207菖蒲湯をどつと溢らす若さあり
210懸命に落ちてゐるなり作り滝
218草笛のよく鳴り土手に座り込む
226春愁というにあらねどギター抱き
227鍵曲(かいまがり)土塀はみ出し夏みかん
鍵曲(かいまがり)の語義を調べてゆくと〝萩〟の地名がでて来た。なるほど。
228草笛を吹いてしんそこ田舎かつぺ
230万葉の籠(こ)もよと遊む花の道
作者の薀蓄は下記辺りに胚胎しているのだろう。

原文:籠毛與 美籠母乳 布久思毛與 美夫君志持 此岳尓 菜採須兒 家吉閑名 告紗根 虚見津 山跡乃國者 押奈戸手 吾許曽居 師吉名倍手 吾己曽座 我許背齒 告目 家呼毛名雄母

作者: 雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)

よみ:籠(こ)もよ、み籠持ち、掘串(ふくし)もよ、み掘串持ち、この岳(をか)に菜(な)摘(つ)ます兒(こ)、家聞かな、告(の)らさね、そらみつ大和の国は、おしなべてわれこそ居(を)れ、しきなべてわれこそ座(ま)せ、われにこそは告らめ、家をも名をも

意味: 良いかごを持って、良い串を持って、この丘で菜(な)を摘むお嬢さん。君の家はどこかな、教えてくれないかな。私は大和の国を治めているものです。だから私には教えてくれるでしょうね、君の家も君の名前も。

句の前の番号は選句稿の通し番号。ネット句会の選句時、この番号を
指定して選句する。

以上

私案あれこれ(五月句会)

妄言陳謝

原句通りがよきか?改善提言案がよろしきか?

9石楠花の毬をつきをり山の風
石楠花の毬をつきをり岳の風
15葉桜に吉野御陵を見晴るかす
葉桜の吉野御陵を見晴るかす
20飛鳥なる名もさまざまの石遅日
飛鳥野にふさはしき石遅日の石
22麦は穂に無頼なりしが便り寄す
その昔無頼なりしが便り寄す(季語がなくなっちゃたが…)
33原つぱに風いつぱいの補虫網
原つぱの風いつぱいや補虫網
48散る花を追ふ手のひらの小さかり
飛花を追ふ嬰の掌ひらひらと
58草笛吹く戦前戦後を生きて来て
草笛吹く戦前戦後と生きて来て
草笛吹く戦前戦後引き寄せて
70雲雀鳴く真下のわれに一直線
雲雀のこゑ真下のわれに一直線
77風五月老女四人の気儘旅
葱坊主突っつき女の気儘旅
桐の花女五人の気儘旅
98せつなき香たどれば椎の花咲ける
せつなき香たどれば椎の花であり
切なき香放つは椎の花なりし
99拗れても行くほかはなし蜷の道
蜷の道ハナから拗れ放しなり
106夏鴨の藻屑咥へて石の蔭
夏鴨の藻屑咥へて岩の蔭
夏鴨の藻屑咥へて川の央
112築二百の葛売る老舗つばめ来る
吉野葛商ふ老舗つばめ来る
134ランドセル下ろして花の二三片
ランドセル下ろすに落花二三片
149青春も今も貧なり郁子の花
わが青春時代も金欠郁子の花
151溝浚へ澱みに影の動き初む
溝浚へ澱みに動くは何の影
155垣に咲きぺんぺん草も庭の花
垣咲きのぺんぺん草も庭の花
157森の香とふ入浴剤や五月来ぬ
入浴剤「森の香」さっと五月来ぬ
163尾の位置の変はれば蛇の動きけり
尾の位置の変はれば蛇の動くなり
177不意の偈のやうに常磐木落葉かな
かっつんと常磐木落葉遺偈のやう
194雲雀野にニュータウンの予想絵図
ニュータウンの予想図看板雲雀野に
208桜蘂降りて昨日も今日も雨
自堕落に桜蘂降りけふも雨
213後ずさりしながら蛇を見てをりぬ
後ずさりしながら蛇を見る女

以上
by 575fudemakase | 2015-05-14 07:16 | 句評など | Trackback | Comments(0)

森田峠の俳句

森田峠の俳句

人様の選んだ峠100句から小生の好みを拾えば…。
()内は小生のコメント。

海胆居りて海胆の折れ釘ちらばれる
(これも絵として詠んでいる)
明日ひらくプール細かな波を立て
(目を細めて句と為す作者が想われる)
夏座敷大河来りて彎曲し
咳真似てゐたる生徒らだまりけり
(漫画的に描いて成功)
飛び返し来る燕あり我は行く
(彼は戻り、我は行く)
わがためのもの奥にあり冷蔵庫
(わがためのものとは、愛妻の配慮とか言ったものを指すのか?)
鉾どこにとどまりゐるや雨の京
(一般的にどうだと言はんばかりの鉾の句の多い中で、当句は搦め手から攻めて成功。シンミリとした京情緒を掴み取った)
寝る頃にはじまる隠岐の踊かな
(まあ土地柄といったところか?)
避暑に来て雲をながめの肘枕
御所車轅の長き屏風かな
頭ふるのみ尺取の進まざる
(正に期待を裏切るもの)
肝いかがいかがと仲居鮟鱇鍋
(未だ本場での鮟鱇鍋の経験はない。当句で我慢しておくか?)
吸入器湯気の葛藤まのあたり
(まあ臨場感のあること!)
出航に冬山動きはじめけり
(佐渡島なら両津港を思いたい)
初芝居いま八文字踏むところ
(花魁道中の際に花魁が行う特殊な足の運びが「外八文字」ですと辞書にはある。そのことなのか?)
突堤の一の字にして他は霞む
(徹底的に省略して描いた)
川床仲居つぶやきマッチつかぬなり
(言葉さえも湿って…)
日本人痩せゐしころの籐椅子かな
(これはどう見ても、昭和といふ御世を彷彿とさせる)
肉ちぎる鷲はたゝらを踏みにけり
(よくぞ描いたとおもわれる一句)
たはしあり力士の墓を洗ふべく
(事実は小説より奇なりである)
北窓を開くれば隣家まだ喪中
冬空やキリンは青き草くはへ
(これも構図の妙)
ぶらんこの三つあれば母真ん中に
(これも絵画的一句)
水盤や喧嘩のさまに蟹を置き
(蟹を描くに、最もそれらしい構図は、彼の厳しい甲羅に皺を寄せてプンプン怒っている様はどうだろう?漫画チックな構図)
近寄りしのみにこぼるゝ零余子かな
競艇のなき日初鴨来りけり
(どんなところにも舞い降りる初鴨。初鴨らしい)
海沿ひとなるより急ぐ遍路かな
今誰も居らぬ泳ぎの監視台
(事故などあってくれるなよ!)
注ぐかに如露高く吊り種物屋
扇風機提げて出てくる主かな
(これも漫画的構図)
白高く紫低く菖蒲園
(菖蒲の花の色と言えば、黄、白、ピンク、青。この内、派手なものを除けば、白、青となろうか?謂わば日本絵画的色調)
耳遠く目うとく更に夏痩せぬ
(〝遠く〟〝うとく〟は韻を踏んでいるような?それ故〝耳遠く目うとく〟は極めて音楽的)
わが知らぬわがズボンあり冬支度
(この齢になって思うのだが、私の場合に限って言うのだが、愛着ある衣類はそんなに多くはない。二、三着の極く限られたもの。であるから、このような句に共鳴する)
玄関に杖待ちくるる小春かな

以上
by 575fudemakase | 2015-05-13 08:25 | 句評など | Trackback | Comments(0)

森澄雄の俳句

森澄雄の俳句

人様の選んだ澄雄100句から小生の好みを拾えば…。
()内は小生のコメント。

龍太・澄雄より大いなる示唆を受け続けた俳句人生であった。
そうゆう時代に生まれ合わせたことに感謝したい。
私にとって今新鮮と思える澄雄俳句を挙げたい。

首のべてこゑごゑ雁の渡るなり
(海上か山上か。こゑごゑというからには、その反射音が響き合う渓谷などが好ましい)
水爽やかに佛性の鯉の髭
(仏像の髭と鯉の髭、その間を取り持つのは佛性ということ)
雁来つつあらむ微笑(みせう)の觀世音
(琵琶湖 沿岸 の寺々の仏像群がおもいやられます)
川もまた田植濁りや養生(やぶ)郡
(養生(やぶ)の韻きがいい)
をさなきをみせてゆまるや桃の花
(をさなきをみせてが一流のレトリック)
つくしんぼこれを創(つ)りしものを讚(ほ)む
(土筆の頭でも撫でながら当句を作ったか?)
たましひの出で入りしては日向ぼこ
(目に見えるような嘘に唖然!)
鶯のほがらほがらとなりにけり
(ほがらほがらが極めてリズミカル)
簾みな捲き上げてあり大文字
雨蛙点の眸や鑑真忌
(漫画チックな一コマ)
山泉顔をうつして掬みにけり
(顔に張り付く水のひやひや)
日にいくたび眠る嬰(やや)にも日脚伸ぶ
(目線が慈しみ深いものに向いている)
うつ伏して両掌を拳(こぶし)土用灸
(老人の姿態が如実だ)
のつそりと疣のせ歩く蟇
(表現を削って削って疣のみとなった)
永き日のこころ乗せをり雲の上
(一句に全身を預けたような…)
夏休み児にきてわが辺にぎやかに
(余禄を貰ったようで読み手も愉しい)
一月や諸方旅するこころざし
(己がこころの向き方をストレートに表現した)


以上
by 575fudemakase | 2015-05-12 05:27 | 句評など | Trackback | Comments(0)

眞鍋呉夫の俳句

眞鍋呉夫の俳句

人様の選んだ呉夫100句より小生の好みとした句は以下。
()内は小生のコメント。

ひとりぼつち雲から垂れたぶらんこに
(いかにも絵画的構図)
にんげんにみられてかなしき交尾終んぬ
(動物園でのどの動物という訳ではないが…)
羽搏きのかなしきまでに冴えかへる
(羽搏きといふ一生懸命はやはり哀しきもの)
花よりもくれなゐうすき乳暈(ちがさ)かな
(辞書的に見て、乳暈に〝ちがさ〟とルビを振るのは一般的だろうか?
乳暈と書いて にゅううんと読ませるもの。乳輪(にゅうりん)という別語もある )
雷帯びし髪掻きあげつ逢ひにくる
(執念といふものを絵に画けばこうか?)
雪女溶けて光の蜜となり
(雪女の句としてはかなり上質と思う)
龍の玉深く恃みしひとのあり
露の戸を突き出て寂し釘の先
(錆びた釘の質感如実)
死んだ子のはしゃぐ声して風の盆
(風の盆の句としてはぶっ飛んでいるのでは?)
船蟲の散りて砲身あらはるる
(個人的には、横須賀 猿島 もしくは 三浦半島 観音崎辺りの景を想う。本土決戦に備えて外洋に向く砲座群。どなたかの句に鐵を食って生き延びる鉄バクテリアの句があったが、その句なども想起する)
月の前肢をそろへて雁わたる
(映画か動画か何かで大洋を渡る渡り鳥の集団を見た事があるが、それが眼前する)

以上
by 575fudemakase | 2015-05-11 01:43 | 句評など | Trackback | Comments(0)

七十七は長生きか

七十七は長生きか

星野麥丘人の句集「小椿居」を読んで共鳴句を挙げた時、印象に残った一句に

竹落葉七十七は長生きか

がある。
代表句と言うものなどでは決してないものだが、何か気になる句だ。己が寿命につき、自問自答しているような句であるところが小生自身に重なってくる。
今年の夏、小生も七十五歳になる。
全句集は既に編んだし、結社誌としての〝濱〟は既に廃刊しているし、これと言ってもうやる事もない。欲を言えば、もう一句集出来ればと思っている。
 
掲句を含む1ブロックを再掲しておく。


春の山トンボ鉛筆落ちてをり
菫咲く山とかたくり咲く山と
只歩く桜遍路といふがあり
さくら蘂降る晩年の膝頭
鷺草といへば蒲魚(かまとと)寄って来る
エキストラみな白靴を履いてをり
でで虫に雨が好きかと訊いてみる
竹落葉七十七は長生きか
自堕落といふ衰へや土用照

以上
by 575fudemakase | 2015-05-06 20:38 | 句評など | Trackback | Comments(0)

「そんな」「こんな」

「そんな」「こんな」

山田弘子句集「月の雛」を読んでいたら、

灯を取りにすいっちょの来るそんな宿

なる句に出くわした。措辞「そんな」の使い方が面白いのである。杞陽にも作例がある。

カドリールそんな踊子草を見つ 京極杞陽
日に焼けし手くびに輪ゴムそんな主婦 京極杞陽

小生も前々からこの措辞面白いものと承知していた
ので幾つかの作例がある。序でに「こんな」の作例
も挙げておく。


措辞「そんな」の例句


ずうつと抱擁 ずうつとシヤンソン そんな夜長 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 神戸・長崎・欧羅巴
そんな日のだまつて子を抱いて出る 井上三喜夫
そんな時刻石燈籠に蠅びつしり 加倉井秋を 午後の窓
そんな目をすれば夕方鰈かな 清水径子
どいつ小雨そんな日はわれたてこもる 阿部完市 軽のやまめ
にせ窓に桃の日そんな桃源境 加藤郁乎
ほうたると同行二人そんな日も 高澤良一 寒暑
壺焼屋にも寄るそんな旅なりし 川田長邦
大昼寝そんな僕眺めてみたい 渡辺貴石
早春そんな語感で眩しい掌のひら 浜 芳女
水の澄むそんな贅沢してゐたり 糸 大八
水中花そんな下手物置かぬ卓 高澤良一 暮津
海鼠に小便そんな愚行もしてみたく 高澤良一 素抱
紙懐炉そんな齢では無けれども 高澤良一 石鏡
耳もとに虻ついて来るそんな村 梅田 桑弧
胡麻蓆一枚そんな駐在所 山田弘子 こぶし坂
芒活けそんな気分になつてをり 鈴木鷹夫 春の門
菊起しコスモス起しそんな日々 高野冨士子
蠅叩そんな不出来と思はれず 高木晴子 花 季
郁李は見る人に見ゆそんな花 高澤良一 寒暑
金魚飼うこと面白きそんな齢 高澤良一 寒暑


措辞「こんな」の例句


こころ こんな日蝶がはずんでゆく 荻原井泉水
こんな句が先師にありて初昔 高澤良一 燕音
こんな夜の夜濯ぎ一茶も惟然もや 高澤良一 寒暑
こんな夜は亀も鳴くかや集ひ来よ 高木晴子 花 季
こんな夜は雪女こんな夜に電話 藤本草四郎
こんな大きな石塔の下で死んでゐる 尾崎放哉(1885-1926)
こんな小さな位牌になつて雁渡し 有働亨
こんな崖にも春は来てゐて垂れる蛇 中村苑子
こんな所に大根蒔きし覚えなし 今瀬剛一
こんな手のやり方もある豆の花 桑野園女
こんな日がいつまで続く初詣 高澤良一 暮津
こんな日が三日続けば花吹雪 高澤良一 寒暑
こんな日にもう戻れない七五三 黒川悦子
こんな日のこんなさよなら春の川 夏井いつき
こんな日のための涙や鬼やんま 大木あまり 火球
こんな日はどうして過ごす鉢金魚 高澤良一 素抱
こんな日はひとりがよろし秋初風 高澤良一 暮津
こんな日はビールが佳けれ酢のものに 高澤良一 素抱
こんな日ばかりを糸瓜にのびられてゐる シヤツと雑草 栗林一石路
こんな日もあるさと落葉踏みしめる 津田ひびき
こんな日よ一気に日脚伸びるのは 武藤和子
こんな時間に八月の潮ひいてゆく 宇多喜代子 象
こんな海べに淋しがつてるお前たちの私だ シヤツと雑草 栗林一石路
こんな白い手をして嫁くか赤とんぼ 川島トク
こんな石にも願かけて人の秋 岩岡中正
こんな蚊が名恵上人を螫(さ)しにけむ 阿波野青畝(1899-1992)
こんな貌吾にあるとはサングラス 古賀貞子
こんな赤にもなれますと縷紅草 後藤比奈夫
初音聞くこんな小さな植込みに 稲畑汀子
十一月こんな日和がよろしくて 高澤良一 寒暑
塩を置くこんな秋思の入口に 櫂未知子 蒙古斑以後
春の鵙こんな日もあるこんな日も 高澤良一 素抱
暗い音色こんな葉っぱを拾いあげ 山中葛子
更衣こんな身軽になれしこと 稲畑汀子
枇杷滴るこんな筈ではなき母に 高澤良一 暮津
枯木が点るこんな夕暮を米買ひに 細谷源二 砂金帯
母こんな筈では真昼の鳳仙花(認知症) 高澤良一 暮津
秋風をこんな呼吸で詠めと逝く 高澤良一 随笑
箱根路の何だ坂こんな坂竹煮草 高澤良一 随笑
草津夜寒こんな湯加減殺生な 高澤良一 随笑

以上
by 575fudemakase | 2015-05-04 18:53 | 句評など | Trackback | Comments(0)


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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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