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ハロウィーン


今日はハロウィンである。
季寄せ(角川俳句大歳時記)を繰るもハロウィンは載っていない。
関連季語として諸聖人の日がある。
記述を見ると

カトリック教会では11月1日を「諸聖人の日」(古くは「万聖節」とも)としているが、英語において「諸聖人の日(万聖節)の夜」を意味する "All-hallow Evening" の短縮形をその語源としている。日没から一日が始まるとする文化においての「11月1日の夜」とは、現在で言う10月31日の日没からとなる。

とある。例句を探したら、ようやくのこと下記がみっかった。

ハロウィンの南瓜パレード港町 古賀まり子
ハロウィンのかぼちやが笑ふウィンドウ 吉原文音
キャラメルの函の天使やハロウィン 星野 麥丘人
高階の窓に星入れハロウィーン 伊藤京子

以上
by 575fudemakase | 2015-10-31 07:11 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

文左の心づけ

文左の心づけ

下記一連は、小生の去る年の正月を迎えんとしていた折の拙作一連である。(句集 石鏡 より)


旧く狭く深き地下鉄十二月
長谷柑生さんよりみかん贈られて
紀州より蜜柑文左の心づけ
着膨れて福神漬を零しけり
柚子湯の柚鎖骨の辺りに寄り着て


柑生さんが私に送ってくれたのは、箱詰めの本場 紀州ものの蜜柑。
グッとタイミングの送りものであった。
そのお礼を兼ねての挨拶句が上句である。

その彼が二三日前に逝った。インターネット句会を長年共にした仲であった。

もう一つ 柑生さんと言えば忘れられないことがある。
去る時の句会で、柑生さんのみが採って呉れた句で、
小生もいささか思い入れのあった句のことである。

東西になるときんときべにあづま

がその一句。鳴門金時も紅あづまも共に代表的なさつまいもの種類。
方や関西の雄、方や関東の雄である。
時に関西人と関東者は張り合う。よく目にするところである。
そこら辺のニュアンスを下敷きにしたつもりだが、それを感知する御仁が御座らぬかの思いであった。
その思いの中に彼が居た。私の思惑通りであったかは定かではないが兎も角、一票は有難いことであった。

合掌


(なお、 紀州より蜜柑文左の心づけ の「 文左の心づけ」なるフレーズは 梅中軒鶯童の浪曲 紀伊国屋文左衛門(戻り船)辺りからパクったものと記憶している  )

因みに小生は浪曲 演歌が大好き。以下のcdを折々聴いている。今の歌謡界 島津亜矢 の 歌謡浪曲 が絶品である。


日本の伝統芸能シリーズ 浪曲編-66 紀伊国屋文左衛門
梅中軒鶯童
紀伊国屋文左衛門(ふいご祭)
紀伊国屋文左衛門(戻り船)

浪曲名人全集七 梅中軒鶯童 紀伊国屋文左衛門 紀文の船出(一)(二)

梅中軒鶯童
紀国屋文左衛門 ~朝の船出~
紀国屋文左衛門 ~戻り船~

三波春夫 歌謡浪曲編「豪商一代 紀伊国屋文左衛門」

島津亜矢 歌謡浪曲 豪商一代 紀伊国屋文左衛門

以上
by 575fudemakase | 2015-10-18 16:30 | 自作 | Trackback | Comments(0)



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葛布
例句を挙げる。

あなたなる夜雨の葛のあなたかな 芝不器男(1903-30)
あへなくも鎌にかゝりぬ葛の蔓 楠目橙黄子 橙圃
あるときはしるき温泉けぶり葛の雨 阿波野青畝
いくたびも真葛の雨の鳴りにけり 大峯あきら
うごめいてゐて葛堀の影となる 鷲谷七菜子
かくれゆく旅のごとしや葛の谿 能村登四郎 合掌部落
けふあすは誰も死なない真葛原 飯島晴子
けものめく葛うちはらふ盆支度 飴山 實
この谷は葛も過ぎけり迢空忌 加藤薫子
こぼす露こぼさぬ露や萩と葛 正岡子規
こゑ出して山姥に似る真葛原 鍵和田釉子
さきを行く人かき消えし葛月夜 佐野美智
しがらめし葛に砂利あげ堰づくり 木村蕪城 寒泉
たばこの火あづけし葛の広葉かな 木下夕爾
なつかしき香風園の若き葛 京極杞陽 くくたち下巻
なほ遠き葛の靡きに凭りにけり 斎藤玄 雁道
はじまれりおそろしき葛の露の原 和知喜八 同齢
ひたすらに葛の裏ゆくことのある 齋藤玄 『無畔』
ひよどりの勁きあたまの葛を打ち 依光陽子
ひるがへる葛より湯女白かりし 町田しげき
やっかいなものにて葛の遊び蔓 高澤良一 素抱
やまみちのはたとくもりて葛の雨 橋本鶏二
ゆき過ぐる風が風呼ぶ真葛原 岡部名保子
ダムの上に天日小さき葛の谷 遠藤梧逸
ハレもケも良面(ヤヤミエ)葛の裏葉かな 安東次男 昨
バンガロー隣といふも葛がくれ 鳥居ひろし
一睡のつもりなりしが真葛原 大庭紫逢(1947-)
一面の真葛の山の月一つ 躑躅
七夕や葛ふく風は夜明から 横井也有 蘿葉集
三熊野や葛衰へぬ照りざまに 宮津昭彦
下り簗見てその辺の真葛見て 大峯あきら
不退寺のさればやここに真葛 森 澄雄
二王にもより添ふ葛のしげりかな 園女 俳諧撰集玉藻集
井田川の葛ひるかくる風の盆 新田裕久
人の居て葛の葉ゆれぬ木下闇 前田普羅
今落ちしばかりの葛は紅きかな 立子
仔馬ゐる葛の葉ずれの音きこゆ 相生垣瓜人 微茫集
仕舞風呂葛原深く入る心地 宇多喜代子 象
何もなきところへ出でて葛蔓 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
倒れたる竹には葛の纏ひたる 京極杞陽 くくたち下巻
倫理から倫理へ葛の水曜日 坪内稔典
倶利伽羅の真葛の雨の滝なせり 新田祐久
傘あげて見よ一山の雨の葛 細川加賀
先頭を笛吹きが行く真葛原 鈴木豊子
全山の葛のしじまの破れざる 松本たかし
全山の葛の衰へ見ゆるかな 高浜虚子
北見れば渇く想ひや真葛原 山本 源
十一が鳴いて玉巻く谿の葛 波多野爽波
口すゝぐ天の真名井は葛がくれ 杉田久女
古るまゝに葛がくれなり岩魚小屋 水原秋桜子
唐紙や敷居の細道蔦葛 露甘 選集「板東太郎」
嗚咽しつつ産卵見てをり葛繁る 竹中宏 饕餮
国栖奏や葛巻き締む丸柱 野澤節子
土工らを乗せて着くバス葛の原 大橋敦子 手 鞠
坑婦去ぬ霧のほそみち葛のみち 横山白虹
城山の葛のはづれの我が家かな 京極杞陽
夕立や泥によごれし葛の蔓 比叡 野村泊月
夜の葛人のぬくみのふつと過ぎ 岸田稚魚
夜葛魚に袖ぬらしたる内井哉 加舎白雄
大井川葛は暴走して止まず 高澤良一 宿好
大斜面役の行者の葛黄ばむ 右城暮石 上下
奈良坂の葛狂ほしき野分かな 青畝
奥木曾村顔あげて過ぐ雨の葛 岸田稚魚 筍流し
女体より出でて真葛原に立つ 高野ムツオ
妻たちの移動図書館真葛原 堀之内長一
姉が泣き葛籠の中は紐ばかり 鳴戸奈菜
宇津谷の葛も了りの峠道 高澤良一 燕音
実葛青年海を見て下山 蓮田双川
小昼の手おのおの葛の葉もて拭く 堀磯路
尼寺の定家葛の夜なりけり 大石悦子
山々を覆ひし葛や星月夜 松本たかし
山の日のどかと入りたる真葛かな 大峯あきら
山の雨激ちやすしへ葛のさま 中田剛 竟日
山の雨葛の葉に音たてにけり 池上浩山人
山墓の葛は地を這ふ別れかな 古館曹人
山女釣る葛のかくせる激つ瀬に 岸風三樓
山女釣真葛が谷へ没し去り 楠目橙黄子 橙圃
山山を覆いし葛や星月夜 松本たかし
山川の出水一縷の葛ひたし 山口青邨
山風を怖るゝ鶏や葛の秋 原 石鼎
廃船攻める青葛が沖奏でおり 赤城さかえ句集
忘れめや実葛の丘の榻二つ 杉田久女
急雨来る葛のさわぎの北信濃 鈴鹿野風呂 浜木綿
悪霊やいちまい葛の葉があれば 中尾寿美子
我をおもへる葛の一葉も闇ならん 河原枇杷男
搦手の虎口あたりは葛かづら 鈴木里士
文に師の下痢の酒断ち葛茂る 石川桂郎 高蘆
文月の葛がびつしり最上川 皆川盤水
旅人に行きそふ駄馬や葛の秋 飯田蛇笏 山廬集
旅人の腰かけ話葛の雨 木村蕪城 寒泉
日と月と憂心照臨葛の丘 金子兜太 詩經國風
日月を伏字とおもふ真葛原 齋藤愼爾
早乙女の葛葉ふみこむ山田かな 加舎白雄
星合の旅三樹彦や葛彦と 赤松[ケイ]子
昼見ても夜見ても葛茂りをり 岸本尚毅 舜
晩涼の葛もすこしく眠る葉か 皆吉爽雨 泉声
暑きかな葛這ひのぼる山のギス 太田鴻村 穂国
月天心家のなかまで真葛原 河原枇杷男(1930-)
松の葉の葛屋に立つや霜の朝 水田正秀
枕から真葛ヶ原へゆるき坂 富田敏子
桟橋や命をからむ蔦葛 松尾芭蕉
極暑くる葛の減りたる紙袋 神尾久美子 桐の木以後
殉教の島の深谷葛覆ふ 鈴木貞雄
汐さして葛撫子の勢ひけり 前田普羅 能登蒼し
沸々の湯を得て葛は透きとほる 藤田湘子
洗ひ牛葛真つ青に昏れはじむ 石田波郷
流星や水音こもる真葛原 飯野てい子
浸りゐて水馴れぬ葛やけさの秋 芝不器男
湯の宿に鉄管あまた葛の蔓 百合山羽公 寒雁
湯の町のはづれ湯が落つ葛の雨 岡田日郎
滝水の流れを更へて葛茂る 河野南畦 湖の森
激つ瀬の音おそろしや葛の道 山口波津女 良人
濤吠ゆる絶壁葛に呪縛され 河野南畦 湖の森
火の山の川すぐ濁り葛の雨 福田蓼汀 秋風挽歌
照射せし山に焦たる葛葉哉 加舎白雄
燈のなきがわが家と思ふ葛月夜 佐野美智
爽涼や葛ひるがへる鎌のさき 石原舟月 山鵲
牛頭没し葛の葉太く裏返り 川端茅舎
犬死して遠しと思ふ葛の道 石田あき子 見舞籠
現に一人鳥と過ぎたる真葛原 伊藤淳子
琵琶の音や葛の裏葉を吹返す 滝川愚仏
生きて会ふ道に垂れたる葛を踏みて 石田波郷
病む妻をおきて旅なる葛の雨 原田青児
発破待つ白日あをむ真葛原 伊藤いと子
白といふ色の段階葛さらす 西村旅翠
白河の夜雨の葛を見て過ぎぬ 細川加賀
白露を流して葛のいろ浅き 西村公鳳
百姓の葛に踏込む野分かな 齋藤玄 『玄』
相寄りて葛の雨きく傘ふれし 杉田久女
真葛から女夫出てゆく鉢叩 四明句集 中川四明
真葛より鳥海聳てる城址かな 西本一都 景色
真葛原あすかを謎のまま覆ふ 津田清子
真葛原うらはらの日月に躓きぬ 手塚美佐
真葛原しんしんとある海の景 志摩知子
真葛原とみに瀬ひゞく風変り 楠目橙黄子 橙圃
真葛原にさし入れし手の行方かな たむらちせい
真葛原ゆらゆら母の胎内も 廣瀬直人
真葛原野干(やかん)の母を戀ひわたれ 筑紫磐井 婆伽梵
真葛野に晴曇繁し音もなく 金子兜太 少年/生長
真葛野よ憎めば涙にごります 芹沢愛子
眠りたるのちは靡けり真葛原 久保純夫 聖樹
眼球の傷つくほどや葛茂る 波多野爽波 『一筆』以後
磧湯の女体の遠き葛の雨 遠藤梧逸
祇園会や真葛が原の風かほる 蕪村
福耳の石仏葛が凭りたがる 河野南畦 湖の森
秋たつやはじめて葛のあちら向 千代尼
秋晴やあえかの葛を馬の標 芝不器男
秋郊の葛の葉といふ小さき駅 川端茅舎
秋雨や葛這ひ出でし神の庭 前田普羅
秋風や簀子上りし葛の蔓 長谷川かな女 雨 月
糸瓜忌や雨に痩せたる葛の嵩 鈴木しげを
紅葉洩る陽がとろとろと葛干場 八木三日女
肩うすき男女たたずむ真葛原 角谷昌子
芭蕉越えて戻らぬ峠葛茂る 品川鈴子
荒らかに吹き散りにけり葛の露 高橋淡路女 梶の葉
落人の明眸にして真葛原 宇多喜代子 象
落石が網目出でんと葛の崖 河野南畦 『硝子の船』
葉裏見せ月夜地獄の葛の原 原裕 正午
葛かけて黒部の端山そゝり立つ 前田普羅 新訂普羅句集
葛がくれ幕府御用の銅の道 品川鈴子
葛たるゝ山川こゝに瀬を早み 掛木爽風
葛に住む四戸は減りも増えもせず 森田峠 避暑散歩
葛に汲水の行ゑや御禊川 横井也有 蘿葉集
葛の中人を見すごす峠神 森澄雄 游方
葛の先牡蠣殻山へ及びけり 木村里風子
葛の崖笠置の山は上に在りと 年尾
葛の底歯朶の底なる蛇となり 尾崎迷堂 孤輪
葛の棚落ちたるまゝにそよぎ居り 高浜虚子
葛の毳ここらで道の尽きをるよ 高澤良一 素抱
葛の空笛吹川の音と知る 森田峠 避暑散歩
葛の葉にふとりふとりて野分かな 小松-塵生 俳諧撰集「有磯海」
葛の葉に秋風の穴あきにけり 京極杞陽
葛の葉に雨降る音の施餓鬼寺 若月瑞峰
葛の葉に音なじみきししぐれかな 成瀬桜桃子 風色
葛の葉に風かけ登りかけくだる 鎌田露山
葛の葉のうらみ顔なる細雨かな 蕪村
葛の葉のおもて見せけり今朝の霜 芭 蕉
葛の葉のひかるあたりがすでに紀伊 駒敏郎 遠天
葛の葉の上を風吹く暑さかな 立子
葛の葉の化粧ふに山の日の加勢 高澤良一 宿好
葛の葉の吹かれつ孤注すでになし 中田剛 珠樹以後
葛の葉の吹きしづまれば静なり 高浜虚子
葛の葉の日は衰へず豆叩く 石田あき子 見舞籠
葛の葉の葛であることいやでいやで 田邊香代子
葛の葉の裏も表も濡れてゐし 打出 たけを
葛の葉の裏返すとや捨扇 野村喜舟 小石川
葛の葉の追ひかけて来る齢かな 北見さとる
葛の葉の面見せけり今朝の霜 松尾芭蕉
葛の葉やひるがへる時音もなし 前田普羅
葛の葉や世に腰懸けぬうら表 浜田酒堂
葛の葉や人ごゑ揺るる地獄谷 高瀬哲夫
葛の葉や売地札立つ一区画 藤本スエ子
葛の葉や月のおもてにひるがへる 田子水鴨
葛の葉や沼尻の風ほとびをり 小林康治 玄霜
葛の葉や滝のとどろく岩がくり 飯田蛇笏 山廬集
葛の葉や翻るとき音もなし 前田普羅
葛の葉をたよりに露の降りはじむ 登四郎
葛の葉をまとひしぐるる猪の檻 大島民郎
葛の葉を流るる靄や十三夜 原田青児
葛の蔓ひたすら垂れて地を探す 沢木欣一
葛の蔓大樹めがけて日永かな 櫻井土音
葛の蔓道路標識のぼりゆく 町田一雄
葛の谷汽笛おくれてとどきけり 成田浩
葛の谷行けばだんだん家貧し 松本たかし
葛の道都に似ぬをうらみかな 椎本才麿
葛の雨くらしキヤンプのあしたより 岸風三楼 往来
葛の雨はじきて肥後の赤牛よ 鈴木しげを
葛の雨浅間はつとに雲隠れ 中杉隆世
葛の風やわらかく相続人あつまる 瀬間 陽子
葛の風一握の繭巌に干す 藤田湘子 雲の流域
葛の風滝かかるさまかはりけり 水原秋桜子
葛ばかりはびこる地価の下がりけり 坂本登美子
葛ひけば気骨ありけり明治村 佐藤美恵子
葛もてつづる簗の簀踏みわたる 皆吉爽雨 泉声
葛よ光れ低姿勢とは卑しい語 赤城さかえ
葛を吹くへくそかづらを吹きし風 後藤夜半 底紅
葛を売る庭から庭へ尉鶲 古賀寿代
葛を負ひ鍬を杖とし山坂を 橋本鶏二 年輪
葛を負ふ緑の山を負ふごとし 福永耕二
葛原に風立ち易き文月かな 北野石龍子
葛原の小角索めん炬火よぎる 横山白虹
葛原の風の中にて猫白し 横山白虹
葛原や一夜の霜の葉を焦す 石川桂郎 四温
葛原を母と越え来し風の盆 黒田杏子 木の椅子
葛吹かれ秋篠川は秋の川 神尾久美子
葛吹くや立上りたる舟の人 橋本鶏二 年輪
葛垂るる胸算用をたゝみ出づ 石田波郷
葛垂れていたみはげしき大構 木村蕪城 寒泉
葛垂れて日あたる漣の水すまし 飯田蛇笏 霊芝
葛堀るや蹴抜(けすけ)の堂の夕日影 志用 俳諧撰集「藤の実」
葛少し芒にからみ梅雨あがる 前田普羅 新訂普羅句集
葛拓き途上に滝を拝みしよ 宮津昭彦
葛散るや天の渚のくづれつつ 齋藤玄 『狩眼』
葛木やうかべる塵を爪はじき 几董
葛煮えるように霧湧く宇陀郡 澁谷道
葛紅葉二葉三葉透け木の間の日 西山泊雲 泊雲句集
葛蔓の何を仕出かすこの勢ひ 高澤良一 素抱
葛袴ほす家もあり杜若 麦水
葛見るは息ととのふるてだてかな 岸田稚魚 筍流し
葛野萩薬餌提げ来て通ひ妻 石川桂郎 含羞
葛黄葉遠慮がちなる色合ひに 高澤良一 鳩信
虫の夜の更けては葛の吹きかへす 飯田蛇笏 霊芝
虫喰の穴ひとつなし真葛原 三橋敏雄 畳の上
蛍葛たぐりて余る師恩縷々 能村登四郎 天上華
蝦蟇・一つ目覗く葛籠(つづら)より 高澤良一 燕音
袈裟いろの葛打ち敷ける土牢前 高澤良一 燕音
見おぼえの葛見おぼえの竹倒れ 京極杞陽 くくたち下巻
誰か見し時のみ盆の真葛原 斎藤玄 雁道
谿とざす葛の光や秋の暮 佐野青陽人 天の川
踊の灯二つ灯りて葛川 浜岡 延子
踊りの夜川に這ひでて葛の蔓 細見綾子 黄 瀬
身じろぎも許さぬ月の真葛原 福田甲子雄
身の置きどころとて真葛原月もなく 斎藤玄 無畔
追想をすれば真葛ヶ原くすくす 清水径子
遊び舟しばし真葛に維ぎけり 前田普羅 能登蒼し
道伸びて追分宿の真葛かな 星野麥丘人
道草も葛這ひかゝり鈴鹿越 鈴鹿野風呂 浜木綿
遠葛のささやき膝に子の眠り 林翔 和紙
里宮も戸隠道も葛の秋 西本一都 景色
重陽の雨が叩けり真葛原 有働亨
野となりて秋も真葛も流れけり 斎藤玄 雁道
野の草を見る会葛に屯して 高澤良一 ももすずめ
針仕事はげしく葛の吹かれけり 岸本尚毅 鶏頭
鈴鹿越伊勢路となりて葛の雨 鈴鹿野風呂 浜木綿
開発が頓挫の真葛原なりし 橋本 博
雨粒か飛沫か葛の葉をぬらし 中田剛 珠樹
雷に葛の葉いとゞ静かかな 月舟俳句集 原月舟
電柱に葛辿り着き盆来る 百合山羽公 寒雁
霧の中馬は葛の葉嗅ぎわけて 佐野良太 樫
霧の葛一葉二葉とひるがへる 佐藤鬼房 朝の日
霧罩めて日のさしそめし葛かな 飯田蛇笏 霊芝
露けしや真葛がもとの蝉塚は 小林康治 玄霜
露涼し鎌にかけたる葛の蔓 飯田蛇笏 霊芝
青葛を臑にそよがせ病む友ら 赤城さかえ
音も無く葛のみ騒ぐときのある 京極杞陽 くくたち下巻
風あれば風に縋りて葛の原 稲岡長
風炉据ゑて葛の馳せよる窓辺あり 井沢正江 以後
駅柵を越えて大和の真葛原 岡崎淳子
鬼の出る葛籠を負うて摩耶詣 星野石雀
魂のあやつられゐる真葛原 石田阿畏子
鮎焼くや葛を打つ雨また強く 富安風生
鯉はねて葛こぼしけり滑川 青木重行
鱒池へ葛はちぎつて棄ててあり 細見綾子
黄ばみたる大きな葉あり葛の棚 楠目橙黄子 橙圃
照りつける鉄砲鼻に葛灼けて 高澤良一 ももすずめ
精悍なにほひの蔓でありにけり 高澤良一 ぱらりとせ
とりついたりとりつかれたり葛の蔓 高澤良一 鳩信
あらあらしく落ちて来るなり葛の雨 高澤良一 随笑
言うならば葛這屋敷荒れ放題 高澤良一 石鏡

以上
by 575fudemakase | 2015-10-17 00:02 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

葛布

葛布

昨晩(2015年10月15日) テレビ東京で静岡 掛川の伝統織物 葛布の製造過程が放映された。葛の簾が紹介されていたが、米国の著名なインテリアデザイナーの自宅に飾られていた簾はワンダフルであった。

と言う訳で 葛布 葛の花 葛 等の例句を紹介する。
 

葛布織る涼やかに筬はしらせて 平賀 扶人

風死すも葛布の簾そよぐなり 羽部洞然

葛布織る機音葛を風煽ち 石川桂郎 高蘆

葛布の着ごころしれや夕涼 伊賀-買山 俳諧撰集「有磯海」


木の芽風織り込むごとし葛布織る 三浦妃代 『花野に佇つ』

色なき風織りて色なき葛布かな 手塚美佐
by 575fudemakase | 2015-10-16 08:55 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

葛の花

葛の花

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例句を挙げる。

あそび田へなだれなだるる葛の花 佐々布和子
いつまでも続く暑さや葛の花 上野 静作
いでたちの鈴鹿越かも葛の花 亀井糸游
かがひの場探しあぐねて葛の花 欣一
さびしさをためきれず来し葛の花 杉山 岳陽
その昔 武装解除の 葛の花 伊丹三樹彦 花恋句集二部作 花仙人
たうたうと水の落ちゐる葛の花 石田郷子
たゝなはる八重山みちや葛の花 高橋淡路女 梶の葉
ちか道は沢深みかも葛の花 橙黄子
はなびらも花のままなる花葛も 後藤夜半
ひかへ目な色に惹かれて葛の花 稲畑汀子
みくまのゝふかやま葛の花にほふ 加藤かけい
みづうみへこころ傾く葛の花 川崎展宏
み熊野に船木伐り出す葛の花 田村愛子
むづかしき禅門出れば葛の花 高浜虚子(1874-1959)
むらさきに雷起す葛の花 萩原麦草 麦嵐
むらさきを深く信濃の葛の花 片山由美子 水精 以後
もやもやとしてしづまるや葛の花 山店 芭蕉庵小文庫
ゆるぎなき鞍馬法燈葛の花 神尾久美子 桐の木
わが行けばつゆとびかかる葛の花 橋本多佳子
七草の葛は咲けども師は亡くて 京極杞陽
三尊の 一尊笑う 葛の花 伊丹三樹彦 花恋句集二部作 花仙人
三日居りて山霧のみの葛の花 水原秋桜子
下りゆく鮎に花葛垂れにけり 岸風三樓
下闇や真葛這ひ咲く一と葎 田士英句集 田中田士英
乳房みな涙のかたち葛の花 中嶋透子
二重三重山に阻まれ葛の花 平城悳江
五十猛の葛の花噛む女かな 夏石番矢 楽浪
人の身にかつと日当る葛の花 飯島晴子(1921-2000)
今落ちしばかりの葛は紅きかな 立子
仰ぎみて葛の落花でありしこと 大橋一郎
僧兵駆け下るまぼろし葛の花 廣瀬直人
兎追ひし山こそ思へ葛の花 所山花
八州の果や真葛のあばれ咲き つじ加代子
凶作田鴉に葛の花ざかり 飯田龍太
別るるは一語で足りし葛の花 中村苑子
千早口雨きらきらと葛の花 星野すま子
半日の日和まうけや葛咲いて 手塚美佐 昔の香
吊橋は定員十五葛の花 細川加賀 『玉虫』
咲きのぼりつめてこぼるる葛の花 高橋悦男
嘆きつつ葛の花踏み越えんとす 林翔 和紙
坊毎に懸けし高樋よ葛の花 久女
墓の夫にもの問ふことよ葛の花 関戸靖子
墓道は島の畑みち葛咲けり 沼澤石次
夕暮の暑き空気に惜しむべきことわりもなく葛の花の香 板宮清治
夜がつまみ捨つものならむ葛落花 高澤良一 素抱
夢にのみひと隠れくる葛の花 野澤節子 花 季
大学に城門残る葛の花 西村和子 かりそめならず
大岩に水位の刻み葛の花 山西雅子
天に葛飛び咲く赭き切通し 末次雨城
天嶮の底ヒに葛の花の道 岩崎照子
奥つ瀬のこだまかよふや葛の花 水原秋櫻子
対岸は新興宅地葛の花 田代登志
山の子等花葛がくれ学校へ 佐藤漾人
山ひとつ掘りつくさるる葛の花 大木あまり 雲の塔
山ふかく葛咲いて月けぶらする 伊藤京子
山居よし一水葛の花がくれ 中田余瓶
山川に葛の落花のすきとほり 石井とし夫
山川のある日濁りぬ葛の花 播水句集 五十嵐播水
山川は出水してをり葛の花 高濱年尾 年尾句集
山川や流れそめたる葛の花 高野素十
山深く狂女に逢へり葛の花 高浜虚子(1874-1959)
山畑の境も失せて葛の花 平地美紗子
山羊の子にやらんと引きて葛咲ける 皆吉爽雨
山翳の冷えうつりきし葛の花 つじ加代子
山荘のすでに閉ざされ葛の花 金堂豊子
山路に石段ありて葛の花 高浜虚子
山道も吾妻郡葛の花 敏郎
岩角にかけてシヤツ干す葛の花 堀口星眠 営巣期
岩風呂へ下りゆく道の葛の花 比叡 野村泊月
峡の湯に老どち浸る葛の花 吉澤卯一
布に煮て余りを咲かふ葛の花 沾徳 七 月 月別句集「韻塞」
引きて見む葛の花咲く蔓いづれ 皆吉爽雨 泉声
心はや葛の露散るかなたかな 齋藤玄 飛雪
抱一の観たるがごとく葛の花 富安風生
教はりし如く葛咲き簗の径 帯刀章梧朗
日のにほひ月夜にのこり葛の花 森澄雄
日本海見えてくる葛の花越しに 奥谷郁代
日照雨して重き匂ひの葛の花 及川秋美
日面テの色となりたる葛の花 行方克巳
松風の秋ひきたつる葛の花 斎藤玄 雁道
橋桁に水の渦まく葛の花 栗山妙子
水の面に落つばらばらと葛の花 石田勝彦 秋興
法輪の芒にはふや葛の花 乙二
泳ぎつつ湯壺を更ふる葛の花 岡田 貞峰
泳ぎ子のすこし流され葛の花 山本洋子
温泉煙の絶ゆる時なし葛の花 渡辺きし子
湖へひと知れぬ道葛の花 折野美恵子
湯治場の山深ければ葛の花 高澤良一 素抱
滝径のはや散り急ぐ葛の花 安倍 不味
瀬音よりも雨ひそやかに葛の花 木下夕爾
火の山へゆく花葛の径の幅 大峯あきら 鳥道
熔岩に早這ひそめて葛の花 比叡 野村泊月
牧柵の影の全し葛の花 木下夕爾
男老いて男を愛す葛の花 永田耕衣(1900-97)
白晝の闇したがへて葛咲けり 松村蒼石 雪
盗まれて仏減りゆく葛の花 たむらちせい
真青な竹にからみて葛の花 岩田由美
石に彫る佛とびちる葛の花 野呂春眠
石組んで飯炊きし跡葛の花 川村紫陽
童女らの泳ぎ場あさし葛の花 白澤よし子
筆休花葛を見て足らひけり 石川桂郎 高蘆
簗へゆく橋に木戸あり葛の花 翠舟
翅音のあるとあらずと葛の花 依光陽子
老いし父昼も睡れり葛の花 皆川盤水
老いゆくもたのし葛咲き楮さらす 細見綾子 黄 炎
背のびして 骨のよろこぶ 葛の花 伊丹三樹彦 花恋句集二部作 花仙人
脛のみか腿をはばみて葛の花 草田男
自在鉤まで花葛の風届く 上野さち子
花葛にがんじがらめの丸太橋 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
花葛に兼好の言わかりけり 長谷川かな女 雨 月
花葛に紙姉様を二つ置き 長谷川かな女 花寂び
花葛のあかるき後山驟雨すぐ 蛇笏
花葛のあかるむ後山驟雨すぐ 飯田蛇笏 椿花集
花葛のうすむらさきは母のいろ 吉田紫乃
花葛の匂ふと聞けば匂ふかな 川上朴史
花葛の果ての果てまで昼の海 龍太
花葛の秋にからまる山路哉 方壷
花葛の色のどこかに明暗を 中島よし絵
花葛の谿より走る筧かな 杉田久女
花葛の雨に立ちぬれ岩魚釣 水原秋桜子
花葛やこはれさうなる昼の月 夏井いつき
花葛やたのしみながら釣支度 高濱年尾 年尾句集
花葛や不便承知で来しロッジ 三輪満子
花葛や巌におかれし願狐 篠原鳳作 海の旅
花葛や松ふきたふす田成畑 中村史邦
花葛や松ふき倒す田成畑 史邦 芭蕉庵小文庫
花葛や激つ水には清濁なし 津田清子
花葛や馬柵をぬけゆく詣で道 鈴鹿野風呂 浜木綿
花葛を登り綱とし神の岩 加藤知世子 花寂び
花葛山守る神は髪豊か 松本たかし
葉には其うらみもあらむ葛の花 松岡青蘿
葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり 釈迢空
葛の花かすかに蝉の鳴いてゐる 岸本尚毅 鶏頭
葛の花くぐりて響く流かな 石昌子
葛の花くらく死にたく死にがたく 白泉
葛の花こぼれて石にとどまれり 青邨
葛の花たぐり寄せては胸濡らす 椎橋清翠
葛の花にほふなるべし夜道とる 下村梅子
葛の花のにほひの風を過ぎて知る 篠原梵 雨
葛の花の葉の葛藪のうつろ シヤツと雑草 栗林一石路
葛の花ふかき水音がする 栗林一石路
葛の花まだゆきてみぬ崖の道 平井照敏 天上大風
葛の花むかしの恋は山河越ゆ 狩行
葛の花トンネル口は風に満ち 鷹羽狩行
葛の花上へ上へと咲き競ひ 上村占魚 球磨
葛の花人の世憎み人を愛し 本井英
葛の花傘持ち山の郵便夫 福田蓼汀
葛の花凪ぎたる海を還り来ず 中拓夫
葛の花匂ふ踏切鳴りづめに 名高栄美子
葛の花咲や古井の竹の頃 女桃長
葛の花四五聯かけて巌かな 西山泊雲 泊雲句集
葛の花地に立ち上がるところかな 藺草慶子
葛の花地震の断層とも見えず 森田峠 避暑散歩
葛の花垂れて短かし蒙古塚 旭 (志賀島)
葛の花夜空ほとほと滴れり 楸邨
葛の花天の限りを雨音す 大野林火
葛の花崖にたつもの白波と 中田剛 珠樹
葛の花崖に小さき流人の墓 加藤耕子
葛の花引くは深山の母を引く 金箱戈止夫
葛の花村の風吹く村の道 村越化石
葛の花来るなと言つたではないか 飯島晴子
葛の花次第にかなし故郷のうた 知世子
葛の花水さびしめば水応へ 岸田稚魚
葛の花水に引ずる嵐かな 一茶
葛の花水に泛めば幽なる 後藤夜半
葛の花流人時忠ただ哀れ 誓子 (平時忠歌碑除幕式)
葛の花浪子不動のきりぎしに 瀧 春一
葛の花淵のいろより山が澄み 佃藤尾
葛の花渓へ傾く巫女部落 福田蓼汀 秋風挽歌
葛の花湯帰り人は匂ひ過ぐ 野澤節子 黄 炎
葛の花瀬つきの鮎に近寄れず 石川桂郎 高蘆
葛の花田を出でし水揉みあえり 徳弘純 麦のほとり
葛の花石の燈台明治調 沢木欣一
葛の花葉うらに見えて風渡る 高見孝子
葛の花葬られしごと峡に臥す 角川源義
葛の花遠つ江(あふみ)へ怨み文 能村登四郎(1911-2002)
葛の花釣りある駕に這ひ渡り 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
葛の花雀吹かれてをりにけり 中川禮子
葛の花雨に少女の喉甘ゆ 岸田稚魚 筍流し
葛の花雨截つて飛ぶ山鴉 皆川盤水
葛の花飯場に咲いてよごれなし 鈴鹿野風呂 浜木綿
葛咲いてゆふべの月の山に入る 今井杏太郎
葛咲いて蟹水中に二つ死せり 横山白虹
葛咲きて飯場に似たる湯治宿 森田 峠
葛咲くやいたるところに切通 槐太
葛咲くやバスを支へし道の肩 大島民郎
葛咲くやペンシヨン村に通り雨 河村昌子
葛咲くや女人結界こゑもなし 春樹
葛咲くや妻子に遠き膝頭 原裕 葦牙
葛咲くや嬬恋村の字いくつ 石田波郷(1913-69)
葛咲くや左手書きの柊二歌碑 鈴木しげを
葛咲くや成就不成就絵馬襖 北見さとる
葛咲くや泪のかわくこと淋し 成田清子
葛咲くや湯けむり競ふ渓二つ 手島靖一
葛咲くや濁流わたる熊野犬 水原秋櫻子
葛咲くや父に終りし馬小作 木附沢麦青
葛咲くや生計に狂ひなかりしか 宮地れい子
葛咲くや茶断するほどおもひつめ 辻桃子 ねむ
葛咲くや荒瀬押し出す岩ばかり 太田 蓁樹
葛咲くや雨駈けてゆくアスファルト 西村和子 かりそめならず
葛咲くや雲居に鷹を探すころ 大岳水一路
葛咲くや風の吹く山吹かぬ谷 皿茶
葛咲けど水泡澱める神田川 秋櫻子
葛咲けり毛虫地に置く糞ゆたか 飯田龍太
葛咲ける崖の上茂吉記念館 松村蒼石 雁
葛引くや朽ちて落ちたる山筧 原石鼎
葛散るや天の渚のくづれつつ 齋藤玄 『狩眼』
蔓に蔓からみてへくそ葛咲く 瀬戸 十字
蔓の先遠くにありて葛咲けり 森田峠 避暑散歩
蔓這うて清水ひたりや葛の花 四明句集 中川四明
虚子行きし旧道は荒れ葛咲けり 堤俳一佳
蚕飼ふ往還に葛咲きかかり 猪俣千代子 秘 色
蟻一つ壺をめぐれり葛の花 阿部みどり女
裏山に一つの道や葛の花 野村喜舟 小石川
裾払ふ水冷えに花葛の散る 金尾梅の門 古志の歌
親不知子不知葛の花縮む 松山足羽
身ひとつを旅荷とおもふ葛の花 上田五千石(1933-97)
迢空の越えし山路や葛の花 中村昭一
追ふことは追はれゐること葛の花 小串歌枝
送行の葛の花ふむ草鞋かな 飯田蛇笏 霊芝
遅刻児に日が重くなる葛の花 福田甲子雄
野明りや跼むにやすき葛の花 斎藤玄 狩眼
野生馬に水呑む序列葛の花 早川利浩
野遊びに 発条(ばね)のはたらく 葛の花 伊丹三樹彦 花恋句集二部作 花仙人
鉄炮の山ふところや葛の花 成美
隠といふこと美しき葛の花 遠藤梧逸
隼の瀬音浴びをり葛の花 野沢節子 八朶集以後
離々離々と定家葛の花もつれ 矢島渚男 梟
雨ふれば雨に葛咲く山泉 飯田蛇笏 椿花集
雨多し今年の葛の咲く頃も 阿部みどり女
雨晴や煙のこもる葛の花 嵐竹
雨流る山路に葛の落花の渦 阿部みどり女
雨滴とも葛の花ちるとも感ず 山西雅子
雨粒におどろく蜂や葛の花 岸本尚毅 鶏頭
雨風の阿賀が矢走る葛の花 小林康治 玄霜
電柱に木のさびしさや葛の花 宮津昭彦
青空のどこ涯とせむ葛の花 三森鉄治
青空の雨をこぼせり葛の花 大木あまり 火球
音なくて崖の真昼の葛の花 山西雅子
風おこる葛の花みせてこぼるる 原田種茅 径
風の花葛/ももんがに/かの/紺色孤独 林桂 銀の蝉
風音に如くはなかりき葛の花 斎藤玄 雁道
馬の瞳のあをさ愛しも葛の花 小松崎爽青
馬子唄の鈴鹿はのこる葛の花 鈴鹿野風呂 浜木綿
騒然と山国くるる葛の花 小松崎爽青
高館に矢をなす雨や葛の花 小松崎爽青
高館へ風吹き上ぐる葛の花 加藤知世子 花寂び
鮎簗に打敷くものに葛の花 八木林之介 青霞集
鵯越いま花葛の逆落し 品川鈴子
崎鼻に葛とおぼしき花吹かれ 高澤良一 ももすずめ
野の草を見る会葛に屯して 高澤良一 ももすずめ
湯治場の山深ければ葛の花 高澤良一 素抱
葛咲いてやぶらこうじのぶらこうじ 高澤良一 暮津

以上
by 575fudemakase | 2015-10-15 21:46 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

2015年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

2015年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号

コメントし易い句とそうでない句がある
コメントをするまでもない句とそうでない句がある
コメントを誘う句とそうでない句がある
コメントしなければ判らぬ句とそうでない句がある
コメントを付して応援したくなる句とそうでない句がある

1沿線の山々挙り竹の春
9色鳥や三連休の朝明くる
三連休の朝 初っ端にやって来たものはと言えば…
11天井絵の龍のくすみやそぞろ寒
12とろろ汁落石音に箸止まる
14今朝秋の揺るるひかりの中にあり
ひかりの実体は何か分からぬが心地よさそう
17行く秋や黙し語らぬ父の背な
19手間暇も味のうちかな栗おこは
20星の出る迄を退屈月見草
ぼぉーとした顔の女の子を想像した。そう竹久夢二の…
23稲妻は諏訪のあたりや山向かう
26くくり萩風素通しになりにけり
35三秋の第二楽章アンダンテ
42秋の灯の点る家路となりにけり
44銀杏黄葉天へ気根は地をめざし
面白い点に気付いた。
45浜木綿や碇を路地に漁師町
48学校田の朝より騒ぐ稲雀
子供達は稲雀と同族
69墓参かな初めて靴を履く子連れ
墓地といふものが子供の意識に浮上してくる以前を詠み取った。170も同作者
72稲刈の実習もせり留学生
76長き夜の指に馴染める紙の辞書
78大堂に薬師さま在り木の実降る
児童画にでもありそうな…
お寺があって、薬師さまが居て、その屋根にどんぐりが落っこちてくる
86草叢の日差し散らしてしじみ蝶
93左遷とは言はないまでも秋の風
99増量の甘栗太郎黄落期
104更級の日記をたどる夜長かな
106屈みたる我に木の実をくれし子よ
108鰯雲賽の河原の地蔵古り
123一匹のさんま真中に猫と猫
126あぶれ蚊を打たずにおいて食はれけり
ほとけ心を出して救ってやったんだが、食われたか?
128秋蝶の紋を違へてたはむるる
129一徹の貌をさらしてかりんの実
131ときところ違えずに来る生身魂
137外に出づる今宵の月の耀ひに
141秋の暮振り向くをまた振り向かれ
147月光裡沖ゆく船はタンカーか
148身に入むや総身干割れし微笑仏
149紫蘇の実や妻をおわんぬ母永久に
こんな詠み方も出来るんだ!
150鳳仙花妹も母も疾うに逝き
151休耕を決めて久しやあかまんま
野良俳句は手慣れたもの。161も同作者だろう。
161野分晴使ひなれたる男鍬
163「あの雲はもう秋ですね」そっと風
ダイヤローグ、モノローグ作句法。小生もさんざんやったが、やっていない人は試みられたらよろしい。
170よちよちの子に合はせつつ墓参り
172ジョン万の記念碑高し鳥渡る
173金箔の蛤の殻秋逝かす
貝合せとか貝雛は日本の伝統美を今に伝える。金は秋に栄える。
176白萩や能の運びのぶれもせず
「ぶれもせず」が言い得て妙。
179姫街道川に腹染む江鮭(あめのうお)
186あちこちにあがる煙や芋煮会
187豆引きしと夕べ一束貰ひけり
188跳べるかと塀見上ぐ猫草紅葉
191秋の暮灯ともす巨船遠ざかる
192鈴懸のもとに身を寄す秋思とも
194一村の軒といふ軒柿すだれ
196咲ききつて夜明けとなりぬ烏瓜
197魚鼓下げて室津料亭月を待つ
199厚物咲育てて酒屋四代目
さっと仕上げて明解な句作り
200わつと来てだらだら祭しづかなり
205新蕎麦やそば湯に塩のひとつまみ
淡々とした句作りがいい
207刈り伏せし草の中なる水引草
214藁塚の小さきが並び富士に侍す
北斎にこんな構図の絵があってもよさそう。
216月へ盃掲げ傘寿のクラス会
年輪相応でいい
217歩み板懸けられてゐる月の舟
「懸けられてゐる」と云ふのか「添えられてゐる」と云ふのか
230銀杏散るあかるさの中師を憶ふ
師の立ち位置がいいですネ

以上
by 575fudemakase | 2015-10-14 09:59 | 句評など | Trackback | Comments(0)

アキノキリンソウの俳句

アキノキリンソウ


アキノキリンソウ Solidago virgaurea var. asiatica  (キク科 アキノキリンソウ属)

 アキノキリンソウは日本全国に生育する多年生の草本。草原から明るい森林に生育する。和名は秋に咲く麒麟草であり、花が美しいのでベンケイソウ科のキリンソウにたとえたものという。
 別名をアワダチソウといい、花が泡立つように咲くとの意味である。本種と同属の帰化植物にセイタカアワダチソウがある。草丈が1.5mにもなるセイタカアワダチソウの方は嫌われ者のレッテルが貼られる事が多いが、花を良く見れば、どちらも美しく、同じ作りで同属であることがわかる。

  アキノキリンソウの仲間は高山や島嶼などで変異があり、ミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)、キリガミネアキノキリンソウ、ハチジョウアキノキリンソウ、イッスンキンカ、オオアキノキリンソウなどがある。

と植物の解説にはあるが、情緒的には「秋の麒麟草」と「背高泡立草」では全く別物である。
方や日本固有種 方や帰化植物である。
一つ季題の下に、一つは見出し季語として、一つは傍題として混在するのは何かおかしい。特と例句を見比べて頂きたい。


秋の麒麟草

例句を挙げる。


きりん草 それより黄な灯で 墓守棲む 伊丹三樹彦
きりん草一叢ごとの夕明り 石原歌
きりん草傘干され温泉の客発てり 依田由基人
きりん草咲けども焦土かくし得ず 岸風三樓
きりん草城攻め入れば褒美遣る 山口誓子
きりん草山深ければ水騒ぎ 平沢桂二
きりん草枯れゆけり括られもせず 岡本眸
きりん草禁制の山行者嶽 山口誓子
きりん草雲より忽と男出づ 澤田緑生
この広き森のはづれの麒麟草 加藤水万「恩寵」
すさまじの黔き傷負ふ麒麟草 都筑智子
クレーンの首振る速さ麒麟草 河野良文
ブルドーザーの惰眠 錆噴く 麒麟草 伊丹三樹彦
上背のあればやアキノキリン草 高澤良一 燕音
山葵田のこの径が好ききりん草 城戸 和喜子
帰省子のみやこ恋しき麒麟草 森 澄雄
急に来る雨にたじろぐ麒麟草 寺田り江
操車場侵せし麒麟草低し 山口誓子
朝からの修羅の眼 きりん草総揺れ 伊丹三樹彦
湖めぐり来て麒麟草咲ける宿 村上故郷
漂へる石工一団麒麟草 水野真由美
火の山に雲湧き秋の麒麟草 石原栄子
秋の麒麟草ばかり縞枯山の道 若木一朗
蜜柑生る国麒麟草少なけれ 山口誓子
郵便函空らの日つづき麒麟草 槫沼けい一
鉄路にも川にも沿へる麒麟草 山口誓子
長谷寺の谷間は麒麟草浄土 山口誓子
雲湧いて崩れて秋の麒麟草 行方克己 知音
麒麟草日本の芒凌げざる 山口誓子
麒麟草枯れ尽くしたり醜の醜 山口誓子
麒麟草真葛ケ原の中に立つ 山口誓子
麒麟草箱根の関で堰かれずに 山口誓子

泡立草

例句を挙げる。

いちめんの黄色は背高泡立草 今井杏太郎
おばさんしきりに述べる背高泡立草 五島高資
この辺り倒れながらも泡立草 高澤良一 燕音
つん抜けて本領発揮泡立草 高澤良一 石鏡
ひところの勢ひは何処泡立草 高澤良一 随笑
わが暮るるうしろ背高泡立草 岸田稚魚
七草のため背高泡立草を攘つ 川崎展宏
万歩計泡立草を見て帰る 吉田ひろし
万葉の丘に鉾立つ泡立草 塩川雄三
世の末の花かも背高泡立草 矢野 絢
保線夫にレール・泡立草無限 小宅光子 『雲に風に』
十三夜背高泡立草に 京極杞陽
国土沈むときも旺んに泡立草 横山房子
夜も昼も泡立草の来てゐたり 柿本多映
大利根の曲れば曲る泡立草 角川照子
安達太良の天へ丈なす泡立草 三枝青雲
少年のこころきはまる放課後を泡立草が野を席巻す 前川佐重郎
少年は何を見ている泡立草 外島節子
帝陵の泡立草を刈りゐたり 塩川雄三
席巻といふ語まさしく泡立草 高澤良一 暮津
忘れゐし空地黄となす泡立草 山口波津女
擁き起こすことなし泡立草末期 中原道夫
新木場の夕日背高泡立草 三枝成子
昭和永し旅路いづこも泡立草 安江緑翠 『枯野の家』
末期癌と知りつつせいたか泡立草 石寒太 炎環
枯れ果てて泡立草の高さかな 臼田登尾留
次から次泡立草のかぶれ咲き 高澤良一 燕音
沼を吹く風を黄色に泡立草 和知喜八
泡立草 ぼんやり灯る 武家屋敷 伊丹公子 時間紀行
泡立草くらくら晴るる丘の上 上野美智子
泡立草だつて私は二級河川 筑網敦子
泡立草宮址占領してゐたり 塩川雄三
泡立草昏睡の母に残照 榎本愛子
泡立草枯れて磧のすべて枯る 池田秀水
泡立草毒もつ如き碧き空 西藤 昭
泡立草泡立ちてゐる風の尖 一柳はるみ
泡立草空き地におしくらまんじゅうす 高澤良一 随笑
泡立草立ってた無人精米所 竹村雀宝
泡立草立往生の川っぷち 高澤良一 鳩信
泡立草貧しき仲間勁き仲間 津田清子
泡立草錆つくものは錆つきて 高澤良一 さざなみやつこ
湖西線背高泡立草に延び 京極杞陽
濁流と背高泡立草夜明け 菅原鬨也
火葬場のけむりに靡き泡立草 鷹羽狩行
煙るまま枯れて背高泡立草 辻美奈子
父が消え母消え背高泡立草 藤本敦代
生まれ出て泡立草にまぎれけり 柿本多映
目のうちにそとにせいたか泡立草 岸田稚魚
真白な外車を囲み泡立草 頓宮れい
背高泡立草鉄砲隊をひた隠し 星野紗一
胸中に嘘あたためて泡立草 青柳志解樹
衆恃むごとく泡立草咲きぬ 岸風三樓
見せかけの色ではびこる泡立草 大野ひろし
解せぬ笑い泡立草が裏口に 岩淵稲花
跡取りの軽い子を抱き泡立草 瀬間 陽子
週末の日聚め背高泡立草 高澤良一 宿好
運のなき日は背高や泡立草 平井照敏 天上大風
遠来の客へ総立ち泡立草 川島芳江
酔漢と泡立草の野に迷ふ 藤城茂生
隙あらば田にも入りたし泡立草 芦澤芦水
風遊ぶ休耕田の泡立草 土屋みね子
飛んでゐる背高泡立草の絮 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅


以上
by 575fudemakase | 2015-10-12 09:35 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

龍淵に潜む

龍淵に潜む
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例句を挙げる。

龍淵に潜む言葉の綱わたり(句作) 高澤良一 暮津
龍淵に潜む陛下のご容体 辻桃子
龍淵に潜む好機を逸しけり 高澤良一 宿好
龍淵に潜む透視図医師と見て 高澤良一 ももすずめ
龍淵に潜む水面のまつたひら 大野崇文
龍淵に山門不幸なる木札 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
龍淵に潜んで碧き瞳なる 五島高資
龍淵に潜むごとわれ常臥して 森澄雄
竜淵に牧の蝮は罎詰よ 百合山羽公 樂土以後
竜淵に潜むお山の風の音 村山故郷
竜淵へ入る頃ほひを月と寝る 伊藤格
竜淵に潜む岩ごけ湿らせて 千保露舟
竜淵に潜む色愛で紹興酒 高澤良一 石鏡
竜淵に潜む槽(ふね)より豆腐揚ぐ 高澤良一 石鏡
竜淵に潜む肩井(ケンセイ)指圧して 高澤良一 素抱
竜淵に潜みとろんと紹興酒 高澤良一 宿好
竜淵に潜む箪笥のナフタリン 高澤良一 寒暑
竜淵に潜む秘湯に四肢伸ばし 高澤良一 寒暑
竜淵に潜む面持ちして診られ 高澤良一 さざなみやつこ
竜淵に潜めり火星近づけば 新井秋鴨
竜淵に入る源泉の無味無臭 関位安代
竜淵に潜みし夜を古書匂ふ 越智哲眞
竜淵に潜む男の子の蒙古斑 須佐薫子

以上
by 575fudemakase | 2015-10-11 03:43 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

雀蛤となる

雀蛤となる
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例句を挙げる。

ちよぼちよぼと蛤となる雀かな 宮野三八子
三皇五帝雀蛤となりにけり 瀾水
大まかに巴里たつ雀蛤恋し 小池文子 巴里蕭条
子は雀身は蛤のうき別れ 夏目漱石
指圧教室通へば雀蛤に 高澤良一 素抱
旅に出て居る間に雀蛤に 高澤良一 素抱
濡れてゐたる蛤どれも雀の斑 高島信一
目減りする年金雀蛤に 高澤良一 素抱
蛤とならう雀かよう飛ばず 竹冷句鈔 角田竹冷
蛤になるべくも見えず老雀 会津八一
蛤になる苦も見えぬ雀かな 一茶
蛤になれざる雀の影あそび 高澤良一 素抱
蛤に残る雀のころの舌 伊藤白潮
蛤に雀の斑あり哀れかな 村上鬼城(1865-1938)
蛤に雀の記憶ありにけり 斎藤隆顕
蛤のすがたも見えず稲雀 李由 八 月 月別句集「韻塞」
蛤のどこが雀の眼玉やら 本田穆堂
蛤の夢に雀のころの磯 上田五千石 琥珀
蛤の湿舌雀の頃のまま 高澤良一 随笑
蛤や少し雀のこゑを出す 森澄雄 游方
蛤をすすれば雀庭に増ゆ 沢木欣一
遠からず蛤となる雀これ 高澤良一 燕音
雀蛤となるべきちぎりもぎりかな 河東碧梧桐
雀蛤となる江の島の露店かな 辻桃子
雀蛤と化して食はれけるかも 櫂未知子 蒙古斑
雀蛤と化せる次第をつゆ知らず 高澤良一 随笑
雀蛤になること容易なこっちゃない 高澤良一 鳩信
雀蛤に女は何に蛇の衣 会津八一
物数奇がかうじて雀蛤に 高澤良一 鳩信

以上
by 575fudemakase | 2015-10-10 00:02 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

団栗

団栗

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例句を挙げる。

あきらめた夜を団栗かんかん鳴る 櫂未知子 蒙古斑
あけすけに団栗の木と冬青空 高澤良一 燕音
おくつきに団栗落ちぬ木遠し 雑草 長谷川零餘子
しののめや団栗の音おちつくす 中川宋淵
どんぐりが一つ落ちたり一つの音 細見綾子(1907-97)
どんぐりが乗りていやがる病者の手 秋元不死男
どんぐりに形大小ありにけり 新部烈人
どんぐりに栗鼠の歯型よ新月なり 村越化石 山國抄
どんぐりのみな心ありはなればなれ 細谷源二 砂金帯
どんぐりの一つは寡黙三つ拾ふ 広谷春彦
どんぐりの一つ淋しところがれる 大内迪子
どんぐりの光る一ケ所づゝがある 石井とし夫
どんぐりの単純すこしづつちがふ 沼等外(1919-)
どんぐりの坂をまろべる風の中 甲田鐘一路
どんぐりの小草にまぎれ荘を閉づ 加藤耕子
どんぐりの山から山へ夕日の軍歌 櫻井博道
どんぐりの山に声澄む小家族 福永耕二
どんぐりの帽子がとれて仕舞ひけり 高澤良一 宿好
どんぐりの影ものびたる土の上 深見けん二
どんぐりの拾へとばかり輝けり 藤野智寿子
どんぐりの私語もたのしや平林寺 石田あき子 見舞籠
どんぐりの背比べして土筆生ふ 堀之内和子
どんぐりの落ちかねてゐる水の照り 中嶋秀子
どんぐりの落ちて日あたる山となる 桂信子 黄 瀬
どんぐりの落ちて来さうな露天風呂 滝 佳枚
どんぐりの転がつてゐる能舞台 田村すゝむ
どんぐりの頭に落ち心かろくなる 油布五線
どんぐりまろぶどんぐり溜まる所まで 野中 亮介
どんぐりも吾もころげて世にはあり 三条羽村
どんぐりも首をすくめる寒さかな 高澤良一 宿好
どんぐりや厠に小さき覗き窓 松岡実子
どんぐりを児等と分ちて富むごとし 樋笠文
どんぐりを拾ひかなしみ人に告げず 福田蓼汀 秋風挽歌
どんぐりを拾ふさまもて息継ぐも 石田あき子 見舞籠
どんぐりを拾ふも遊び心かな 小林 むつ子
どんぐりを拾へば根あり冬日向 藺草慶子
どんぐりを机上に愛づる雨一日 高澤良一 素抱
どんぐりを玩具にまぜて旅鞄 阿部みどり女
どんぐり拾ふ病院の許可時間 細見綾子
どんぐり独楽いで湯の宿の卓に澄める 横山房子
どんぐり降る森を近づけサイロ入 村越化石 山國抄
よその母に蹤いて団栗拾ふ一と日 長谷川かな女 花寂び
今投げし団栗ならず水の底 依光陽子
咳よりもはやく団栗落ちきたる 米澤吾亦紅
喰物もありや松尾の柏団栗 広瀬惟然
回らねば仲間失う団栗独楽 保尾胖子
団栗が掌を打つ遠き日の戦さ 対馬康子 吾亦紅
団栗と子がもたらせし土地言葉 金子 潮
団栗と枯檜葉の降る雪舟碑 堀 古蝶
団栗にうたれし孤独地獄かな 藤田湘子(1926-)
団栗に八専霽れや山の道 飯田蛇笏 山廬集
団栗に海なり聴くや土佐どまり(紀貫之寄港の地と聞けば) 角川源義 『冬の虹』
団栗のころころと詩生れけり 佐藤 木鶏
団栗のころび合ひたり窪だまり 牡年 俳諧撰集「有磯海」
団栗のしたゝか落ちて茶時かな 齋藤玄 飛雪
団栗のわがてのひらで熱を持つ 有馬英子
団栗のゐろりに烟る山の家 野田別天楼
団栗の一つ落ちくる露天風呂 中条久三夫
団栗の二つであふれ吾子の手は 今瀬剛一
団栗の土に還らんひとりごと 吉本 昴
団栗の坂二人ひょいと象形文字 山岡敬典
団栗の寝んねんころりころりかな 一茶
団栗の己が落葉に埋れけり 渡辺水巴 白日
団栗の広葉つきぬく音すなり 子規句集 虚子・碧梧桐選
団栗の栗色兄らに栗拾はれ 香西照雄 素心
団栗の芽を出していて拾われぬ 長谷川かな女 牡 丹
団栗の落ちずなりたる嵐かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
団栗の葎に落ちてくゞる音 鈴木花蓑句集
団栗の野毛坂はまだ続くなり 高澤良一 寒暑
日光澤温泉
団栗の青きが打ちて真の音 高澤良一 寒暑
団栗の音めづらしや板庇 正岡子規
団栗もかきよせらるゝ落葉かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
団栗やうさぎも共に霜崩れ 水田正秀
団栗や似て声たかき母と妻 白岩三郎
団栗や倶利伽羅峠ころげつゝ 東洋城千句
団栗や六角坂に富坂に 野村喜舟 小石川
団栗や寺境内の山王社 尾崎迷堂 孤輪
団栗や屋根をころげて手水鉢 正岡子規
団栗や急なる坂の日を見ざる 阿部みどり女
団栗や熊野の民の朝餉(がれひ) 野澤凡兆
団栗をひらふ祖父母でありにけり 井上茂
団栗をもろに*つぐめる山童 飯田蛇笏 霊芝
団栗を幾十投げて空を欲る 対馬康子 吾亦紅
団栗を掃きこぼし行く箒かな 高浜虚子
団栗を握りしままの子を診をり 西川 五郎
団栗を沈め療園の池曇る 有働亨 汐路
団栗を混へし木々ぞ城を隠す 石田波郷
団栗を踏みつけてゆく反抗期 小国要
団栗一つ供ふ湯神の御神体 高澤良一 寒暑
団栗拾ふ峠あかるきさびしさに 山田麗眺子
団栗溜めこんで長頭系の孫 安藤今朝吉
団栗独楽椎の実十とかへ事しよ 尾崎紅葉
団栗落つ得たりや応と鋪道受け 高澤良一 寒暑
地固くころがる正味どんぐりよ 成田千空 地霊
大和どこも団栗柴の黄ばむ頃 右城暮石 声と声
大和大路団栗下ル菊盛り 如月真菜
天を見ず青団栗を拾ふまで 望月精光
子が語るゆめの団栗つやつやとわれも眠りのきわ漁りおり 石本隆一
子の帯を解けば団栗落ちにけり 矢部金柑子
孤児の癒え近しどんぐり踏みつぶし 西東三鬼
孫の手にどんぐり独楽の良く回はず 森岡 恵女
山かつと団栗道をすれ違ひ 松藤夏山 夏山句集
山猫を思ひどんぐり大事にす 太田土男
懸崖や団栗落つる驀地 寺田寅彦
打合うて団栗こぼす袂かな 尾崎紅葉
拾ふ気になれば団栗いくらでも 柳本津也子
掌にあまる団栗夫も子もなくて 菖蒲あや 路 地
掌にのせて団栗みどり山に雪 中拓夫
朝の地べたにはねかへる団栗独楽です 人間を彫る 大橋裸木
朝日浴びどんぐり芽ぶく毬の中 米本義弘
椎ひろふあとに団栗哀れなり 子規句集 虚子・碧梧桐選
神にのみ下僕団栗踏みしだき 細川加賀 『傷痕』
美的百姓に団栗降るや青きもあり 上林 裕
肌寒や雨の青どんぐりを見て 高澤良一 素抱
自閉児の団栗数へきりもなや 築城百々平
芭蕉さま団栗ひとつもらひます 藤岡筑邨
落城の碑を団栗の打ちにけり 加藤三七子
野毛坂に団栗落ちて転ぶ距離 高澤良一 寒暑
青どんぐり湯川高鳴り流れけり 高澤良一 随笑
青枯の団栗に墓道選びけり 雑草 長谷川零餘子
風邪の子や団栗胡桃抽斗に 中村汀女
黴まじく仁王どんぐり眼かな 高澤良一 ねずみのこまくら
櫟の実足裏に触れて露天風呂 宮田俊子
日々鈍る足を鍛えにどんぐり山 高澤良一 随笑
青どんぐり雨明りして山の道 高澤良一 石鏡
水楢の実の落つなかに休憩す 高澤良一 素抱
また拾ふ団栗拾ってだうするの 高澤良一 石鏡
けふの団栗加ふきのふの団栗に 高澤良一 石鏡
団栗を莫迦云ひながら拾ひをり 高澤良一 石鏡
登り口そこに団栗捨てゝあり 高澤良一 暮津
捨て団栗何故か仔細はわからぬが 高澤良一 暮津

以上
by 575fudemakase | 2015-10-08 04:10 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)


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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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