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二月尽の俳句

二月尽の俳句

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二月尽 補遺

いま割れしばかりの岩ぞ二月尽 飯田龍太
いま消えし樅に雪飛ぶ二月尽 相馬遷子 山国
たそがれの壁の絵暦二月尽 飯田龍太
ちら~と空を梅ちり二月尽 原石鼎 花影以後
ひとさしの舞のあはれや二月尽 福田蓼汀 山火
みづうみの水に手ふれて二月尽 細見綾子
二月尽利休の心温ねけり 阿波野青畝
二月尽天城山葵に涙して 細見綾子
二月尽林中に鹿も吾も膝折り 橋本多佳子
二月尽片なびく古葦の秀は 松村蒼石 雁
二月尽猫に夜の顔昼の顔 飯田龍太
二月尽百姓の豚飽かず肥え 百合山羽公 故園
冷凍庫に入れ置くものや二月尽 鈴木真砂女 夕螢
子びたりでよし雪ぐせの二月尽 伊藤白潮
山わかつ日裏日表二月尽 福田蓼汀 秋風挽歌
川幅のいくばくふとり二月尽 能村登四郎
川波の 氷片まじえ 二月尽 伊丹三樹彦
干しあはびあまさあはれさ二月尽 細見綾子
文殻を燃やすあそびも二月尽 上田五千石『琥珀』補遺
昨日句会ありし畳や二月尽 山口誓子
月ヶ瀬の梅干しを喰み二月尽 細見綾子
木々の瘤空にきらめく二月尽 原裕 青垣
木の股の明りと影や二月盡 岡井省二 前後
校正に雁字搦めや二月尽 亭午 星野麥丘人
橘や蒼きうるふの二月盡 三橋敏雄
水底に稚魚のくれなゐ二月尽 飯田龍太
湿原は鶴の涯なる二月盡 古舘曹人 砂の音
瀬の岩へ跳んで銭鳴る二月尽 秋元不死男
瀬頭に息あはせをり二月尽 佐藤鬼房
灯して蘭に霧吹く二月尽 飯田龍太
猫穴の風おこたらず二月尽 飯島晴子
生きものを見ぬ石庭の二月尽 福田蓼汀 秋風挽歌
眼帯の右眼うるほひ二月尽 鷹羽狩行
老友の睦むあはれや二月尽 福田蓼汀 秋風挽歌
色恋の沙汰など水に二月尽 上田五千石『琥珀』補遺
落選の友あり二月尽寒し 日野草城
薪棚ごそりとへこみ二月尽 阿波野青畝
衣帯人にやりて病母の二月尽 能村登四郎
雪原の靄に日が溶け二月盡 相馬遷子 雪嶺
風邪の眼に雪嶺ゆらぐ二月尽 相馬遷子 山国

以上
by 575fudemakase | 2016-02-29 00:02 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

菜の花 の俳句

菜の花 の俳句

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菜の花 補遺

いささかの雪や挿されし花菜の黄 臼田亜郎 定本亜浪句集
いまさらに菜箸長し夕花菜 野澤節子 八朶集以後
いろ~の雛のこれは菜種雛 高野素十
かいま見る山吹ねたむ菜種かな 小西来山
かさね着や菜の花かほる雨あがり 白雄
かの頃の人らと梅史菜の花に 原石鼎 花影以後
げんげ田に花菜田隣り入間川 角川源義
こころゆるびゐたり花菜は実への雨 藤田湘子 途上
このあたり関ヶ原とや菜種咲き 星野立子
この島におなじ日りん花菜時 飯田蛇笏 家郷の霧
こぼれ菜の花むらがりの島の墓 上村占魚
こまごまと農夫の話花菜満つ 廣瀬直人
さざめきて菜の花の揺れ交しをり 清崎敏郎
たそがれをみせばや菜種ちらぬ内 土芳
なほひまの菜の花日和参宮に 長谷川素逝 村
なんだ菜種の早咲きか買つて来たんか雨の日 中川一碧樓
ひそやかに子がぬすみたる花菜かな 大野林火 海門 昭和七年以前
ふところの菜の花雛はしぼみけり 三橋鷹女
ふらふらと行けば菜の花はや見ゆる 政岡子規 菜の花
ふるさとに来て旅愁はも菜の花黄 中村苑子
べたべたに田も菜の花も照りみだる 水原秋櫻子 霜林
また凄む 磯波 菜種の乱れ咲き 伊丹三樹彦
むすめさんが活けてくれたる桃や菜の花 種田山頭火 自画像 落穂集
めとりし日けふ筑紫野の菜の花に 森澄雄
やせ村に今菜の花のさかり哉 政岡子規 菜の花
よしの出てまた菜の花の旅寐かな 松岡青蘿
トカラ馬瞑るはかなし花菜のなか 赤尾兜子 歳華集
一と本一と本描かれて花菜橋わたし 中村草田男
一日の路や菜の花浪の花 政岡子規 菜の花
一日~花持のびる菜種哉 土芳
一本づつ涼しいやうな花菜かな 細見綾子 桃は八重
三島の富士近し菜種の花つづき(栗田やすしさん居) 細見綾子
三鬼の葬へ菜種嵐の傘傾け 小林康治 玄霜
上り帆の菜の花の上に見ゆる哉 政岡子規 菜の花
世を戀うて花菜の嵐吹く中に 飯田蛇笏 家郷の霧
乱礁眼下に 菜の花一畝 麦一畝 伊丹三樹彦
二上に夕日の降つ花菜かな 角川源義
二月はや菜の花丈をなしにけり 清崎敏郎
二階ごと尺八鳴る山家花菜の中 中村草田男
亡き貌の揺れて花菜の遠明り 鷲谷七菜子 銃身
人の服黒より白へ花菜咲く 波多野爽波 鋪道の花
人愛しめ花菜は蝶を肯へる 石塚友二 光塵
人立ちて菜の花は黄を輝かし 上野泰
伏見かと菜種の上の桃の花 雪芝
体内の菜の花あかり野良着きて 平畑静塔
傘の裏菜の花明り旅の我 上野泰
兼平の塚をとりまく菜種哉 政岡子規 菜の花
兼平の塚取り巻いて菜種咲く 政岡子規 菜の花
利休像たくまし菜の花をもて祀る 山口青邨
利根明り菜の花明り窓を過ぐ 篠原梵 年々去来の花 皿
剪つて来し菜の花視野に見あたらず 右城暮石 散歩圏
北上は声なく流る花菜敷き 山口青邨
半眼に菜の花染みて在しけり 橋閒石 卯
古壁に菜の花咲くや浄土寺 政岡子規 菜の花
咲き呆け壷の菜の花冬籠 山口青邨
咲き囃す花菜の中の庵かな 日野草城
喫泉に顔伏せてゐて花菜照 岡本眸
土もの憂し菜種の莢の青極まり 右城暮石 句集外 昭和三十一年
土乾き菜の花はもう終りかな 細見綾子 桃は八重
土堤を黄とする菜の花は土堤の花 山口誓子
塔の影伸び菜の花の色となる 稲畑汀子
塗り替へし神馬の胡粉菜種御供 右城暮石 虻峠
墓の頭に菜の花おきてゆくもあり 細見綾子
墓まうで花菜をゆけば夢のごとし 大野林火 海門 昭和七年
夕されば水より低き花菜ぞひ 中村汀女
夕凪の湖より低き花菜道 橋閒石 雪
夕月のまだ光らざり菜種畑 上村占魚 鮎
夕爾の花菜夕爾の雲雀そこに夕爾 安住敦
夕花菜帰漁の唄のはずみ来よ 臼田亜郎 定本亜浪句集
夜の菜の花の匂ひ立つ君を帰さじ 中川一碧樓
夜半覚めて寒月瓶の菜の花に 山口青邨
大きほくろと生きて定年花菜淡し 古沢太穂 火雲
妻の辺に久しや車窓花菜過ぐ 香西照雄 素心
子恋ひ旅豊後菜の花夢のごと 小林康治 玄霜
安房の海や山の頂まで花菜 村山故郷
家遠近暮れて菜の花はるか也 政岡子規 菜の花
寺ありて菜種咲くなり西の京 政岡子規 菜の花
小袋のこぼれ花咲菜種哉 建部巣兆
山吹も菜の花も咲く小庭哉 政岡子規 山吹
崖つぷちなる菜の花の仰がるる 清崎敏郎
嵩もなき菜の花和や赤絵鉢 水原秋櫻子 蘆雁
往て来れば鞜にちり付菜種哉 土芳
息せるや菜の花明り片頬に 西東三鬼
愚禿親鸞を触れりあの花菜 香西照雄 葱室
戻りくる菜の花車二頭立 高野素十
戻り鴫渡り来し田の菜種かな 右城暮石 句集外 昭和三年
手向るや野は菜の花の幾畑 昌房
捨てである花菜うれしや逢はで去る 杉田久女
捨畑に花菜の色の行き渡る 稲畑汀子
放牛の花菜がなくばさびしからむ 大野林火 雪華 昭和三十九年
新らしき電信村も菜種道 尾崎放哉 中学時代
旅に狎れて酔へば菜の花明りかな 小林康治 玄霜
旅に買ふ菓子のかるさよ花菜雨 鷲谷七菜子 銃身
旅を来て友二菜の花拈華かな 小林康治 玄霜
日のそばに蝶がきてゐる花菜かな 高屋窓秋
明日は知らず菜の花種となる確さ 岸田稚魚 雁渡し
明日香村菜の花もつともつと欲し 亭午 星野麥丘人
明星や運河に出でし花菜道 橋閒石 雪
春事の頃の河内は菜種色 後藤比奈夫
春潮と菜の花に旅織りなされ 上野泰 春潮
昼のやうに夜の暖き菜種花 右城暮石 句集外 昭和三年
昼吠る犬や菜種の花の奥 蓼太 蓼太句集二編
時明り花菜明りの額ぼくろ 佐藤鬼房
朝風や菜の花浮す椀の中 石塚友二 磯風
朧夜や水田をもれて菜種畑 十丈
木彫雛菜の花散ればはなやぎぬ 福田蓼汀 山火
本を読む菜の花明り本にあり 山口青邨
村ところところ菜の花見ゆるかな 政岡子規 菜の花
桃も花菜も昨日に遠し彼岸雪 臼田亜浪 旅人 抄
桃生けて菜の花生けて不足なし 後藤夜半 底紅
桃菜種かりゐも三年流れたり 石塚友二 光塵
桜過菜の花越て金閣寺 高桑闌更
梅に肥て菜の花吸はぬ鳥もなし 井上士朗
植なりに流れて行や菜種花 りん女
橋下へ及ぶさざなみ花菜明り 香西照雄 素心
死火山屋島菜の花どきはかもめかもめ 金子兜太
殷ここに亡び菜の花明りかな 有馬朗人 天為
母と行く一筋道の花菜かな 中村汀女
母の忌やこぼれ花菜を鶏ついばみ 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
水ぎはまで埋む菜の花長良川 細見綾子
水くらく菜の花白く日暮れたり 宮紫暁
水越して行く楽しさの菜種花 右城暮石 句集外 昭和二年
氷岳襖までは菜の花 揚雲雀 伊丹三樹彦
永き日や菜種つたひの七曲り 政岡子規 日永
江南の花菜に旅も終るかな 松崎鉄之介
沖の銀圏消えぬ脚下に花菜展く 香西照雄 素心
沼べりの闇噎せつぽき花菜かな 岡本眸
法螺ふくや菜の花の方うち向て 鳳朗
波うつて牛腹かへる花菜風 上田五千石『田園』補遺
流離の日返し桃生け花菜生け 後藤比奈夫
海ひくく花菜明りの安房の国 鷹羽狩行
海を縮め天の花菜に辺地校 古舘曹人 能登の蛙
海寄りに花菜咲き満ち死に給ふ 佐藤鬼房
海山のあひだひそかに花菜咲く 村山故郷
海明りして菜の花に行く夜かな 河東碧梧桐
清羹に菜の花黄なる二月かな 富安風生
湯豆腐や菜の花桶にたくましき 渡邊水巴 富士
湾と池のさざなみ同紋花菜隔て 香西照雄 素心
滋賀の雨花菜つづきに竹の秋 飯田蛇笏 雪峡
濯ぎても濁らぬ流水花菜明り 香西照雄 素心
火色強める野鍛冶 何さま花菜ざかり 伊丹三樹彦
熱の唇乾き花菜の風に佇つ 橋閒石 雪
牛にも齢湖も花菜の黄も淡く 桂信子 晩春
牛の胴花菜あかりの湖へだつ 桂信子 晩春
猫ふえて菜種油の春暮れぬ 橋閒石 和栲
玄の墓や菜の花明り消え 山口青邨
玉掘って菜の花倒る出土変 百合山羽公 寒雁
産着きて菜の花持や桜がり 杉風
男海夫漁休み日を花菜に立つ 村山故郷
目に遠く菜種咲けると野を横に 石塚友二 光塵
睡くて睡くて菜の花ばかりで見えぬ敵 金子兜太
瞑れば菜の花色に安房の空 石塚友二 玉縄以後
禿びし菜の花に突風亡師の忌 佐藤鬼房
竿のもの片より乾く花菜風 橋閒石 雪
笊に花菜明日葺く花御堂の傍 大野林火 月魄集 昭和五十四年
筑紫路の菜の花雨にこそ濡れむ 小林康治 玄霜
紅梅も菜種もさくや門の中 政岡子規 紅梅
緋桃菜の花遺残空洞胸に泡く 石田波郷
群生し丈揃はざる花菜畑 山口誓子
耕人の花菜明りに立ち憩ふ 上野泰
胃袋に菜の花詰まる牛の艶 津田清子
胴長の犬がさみしき菜の花が咲けり 中川一碧樓
花菜かげ蝶こぼれては地にはねぬ 飯田蛇笏 春蘭
花菜どき内側ひかるミルク罐 佐藤鬼房
花菜の中夕爾ベレーをかぶりて来 安住敦
花菜の辺まぶしや乙女辺過るかに 香西照雄 対話
花菜の辺水ちかづけて紀の川は 大野林火 方円集 昭和四十九年
花菜の黄沼風門にあふれたり 村山故郷
花菜は実に 結願の髪 堂で吹かれ 伊丹三樹彦
花菜ほの~香を吐いて白みそめし風 種田山頭火 自画像 層雲集
花菜より汽車の貌くる陽炎と 森澄雄
花菜より花菜へ闇の闇ぐるま 三橋鷹女
花菜をト口吾ならば身を托すまじ 山口誓子
花菜中天日うつる沼一つ 大野林火 雪華 昭和四十年
花菜咲き家に暗き間明るき間 岡本眸
花菜咲き水をじやぶ~水仕事 細見綾子 桃は八重
花菜咲き送電塔の脚埋まる 伊丹三樹彦
花菜明りたしかめていし生の息 赤尾兜子 歳華集
花菜明りはやブランコに乗る老婆 赤尾兜子 歳華集
花菜来て河の光りの匂ひなき 大野林火 冬青集 雨夜抄
花菜澄むわがこころづま幸ありや 下村槐太 天涯
花菜濃きかなた海坂くもるなり 鷲谷七菜子 黄炎
花菜濃き夕べたやすく人死して 鷲谷七菜子 黄炎
花菜照り身売工場のしんかんと 伊丹三樹彦
花菜照る石炭船に黒牛積む 松崎鉄之介
花菜照る阿波にはじまる札所道 上田五千石『琥珀』補遺
花菜畑とだえけり家々くらく 大野林火 海門 昭和八年
花菜畑人もかゞやき入り来たる 石塚友二 光塵
花菜道海女一列に磯開き 上野泰
花菜雨北上の汽罐焚きて待つ 角川源義
花菜雨能登はなゝめに松さゝり 飴山實 少長集
花菜雨車に酔ひて母ねむる 松崎鉄之介
花菜風血縁とほく吹かれ合ふ 鷲谷七菜子 銃身
芸妓駆け来て屍にすがる菜の花明り 金子兜太
菜の花 なのはな 街から来た子に翼生えて 伊丹三樹彦
菜の花がぎっしりむかし焦士帯 伊丹三樹彦
菜の花がしあはせさうに黄色して 細見綾子 桃は八重
菜の花が咲きて耳取峠とふ 清崎敏郎
菜の花が実になりにけるものあはれ 細見綾子 桃は八重
菜の花が岬をなすや琵琶の湖 渡邊水巴 白日
菜の花つゝむ小家や路一つ 政岡子規 菜の花
菜の花といふ平凡を愛しけり 富安風生
菜の花に 戯れんまで 糸桜 伊丹三樹彦
菜の花にくるり~と入日哉 成田蒼虬
菜の花にこたへて嬉し筬の音 琴風
菜の花にそふて道あり村稲荷 政岡子規 菜の花
菜の花にそめよすゞめの柿衣 井上士朗
菜の花になれも小さき幸欲るや 角川源義
菜の花にばけつ叩いて子の合図 中村汀女
菜の花に一日で出来上りし家 尾崎放哉 大正時代
菜の花に便所のやうな祠かな 川端茅舎
菜の花に口ばしそめて啼雀 井上士朗
菜の花に咲かわりけり金鳳花 句空
菜の花に大名うねる麓かな 井上士朗
菜の花に婚礼したる狐哉 政岡子規 菜の花
菜の花に居あまる蝶の石地蔵 政岡子規 菜の花
菜の花に幅を広げて川曲り 鷹羽狩行
菜の花に日月淡し師の歿後 桂信子 晩春
菜の花に日闌て起し朝かな 尚白
菜の花に明はなれけり小提灯 卓池
菜の花に春行水の光かな 黒柳召波
菜の花に朧一里や嵯峨の寺 内藤鳴雪
菜の花に未練の夕日及びけり 岡本眸
菜の花に気がろき袷ごゝろ哉 りん女
菜の花に汐さし上る小川かな 河東碧梧桐
菜の花に海光及ぶところかな 稲畑汀子
菜の花に渾身の黄のありにけり 平井照敏
菜の花に溺れむ歓喜師の句碑は 林翔
菜の花に煤掃をする飼家かな 村上鬼城
菜の花に玉わすれ知皃ぎつね 長翠
菜の花に田家没して雁かへる 百合山羽公 故園
菜の花に疲れてをればみな昔 加藤秋邨
菜の花に白波のよく立つ日かな 桂信子 花影
菜の花に色うしなひし仏哉 鳳朗
菜の花に落つる日の紅たらたらと 福田蓼汀 山火
菜の花に蝶意外庵そののちも 高野素十
菜の花に裏戸はいつも明けはなたれ 桂信子 月光抄
菜の花に裾野は黄也峯の雪 牧童
菜の花に視線つなぎてゆけば海 稲畑汀子
菜の花に車の音の明るき夜 大野林火 冬青集 雨夜抄
菜の花に障子がほそくあけてある 大野林火 海門 昭和七年以前
菜の花のいつこぼれてや小石原 三宅嘯山
菜の花のいろをぬすみし胡蝶かな 為有
菜の花のうつとしくなる関屋かな 鈴木道彦
菜の花のうはつら風もなかりけり 魯九
菜の花のおのが黄に倦む入日中 能村登四郎
菜の花のおぼろが空につゞくなり 細見綾子 桃は八重
菜の花のかほりめてたや野らの糞 政岡子規 菜の花
菜の花のここらも盛りすぎし旅 高野素十
菜の花のごときものかたはらに欲し 平井照敏
菜の花のさく頃里の餅赤し 政岡子規 菜の花
菜の花のたましい遊ふ胡蝶かな 政岡子規 胡蝶
菜の花のどこで逢ひてもよき黄かな 後藤比奈夫
菜の花のにほひは甘くにがきかな 白雄
菜の花のはつ~にみゆる都かな 曉台
菜の花のふかみ見するや風移り 路健
菜の花のほいやりと来る匂ひ哉 北枝
菜の花のむかふに立や朝日山 朱拙
菜の花のゆふべの葬り吾も欲らむ 伊丹三樹彦
菜の花の一劃一線水田満つ 水原秋櫻子 帰心
菜の花の上にかさなる生駒かな 政岡子規 菜の花
菜の花の上に淀舟動きけり 政岡子規 菜の花
菜の花の上吹風のやなぎかな 木導
菜の花の中に三條四條かな 政岡子規 菜の花
菜の花の中に城あり郡山 許六
菜の花の中に夕日の黄なるかな 政岡子規 菜の花
菜の花の中に大きな道のあり 山口青邨
菜の花の中に家ある桃の花 森澄雄
菜の花の中に川あり渡し舟 政岡子規 菜の花
菜の花の中に狐の祠哉 政岡子規 菜の花
菜の花の中に稲荷の鳥居かな 政岡子規 菜の花
菜の花の中に道あり一軒家 政岡子規 菜の花
菜の花の中に高きはからしかな 荷兮
菜の花の中や手に持獅子頭 松窓乙二
菜の花の倶利伽羅うけて広さ哉 林紅
菜の花の匂ひや鳰の礒畑 惟然
菜の花の北国故の痩せやうや 上野泰
菜の花の向ふに見ゆる都かな 政岡子規 菜の花
菜の花の咲くところまで来て話 高野素十
菜の花の咲くとも告げて忌を修す 高野素十
菜の花の四角つなぎてゆく車窓 稲畑汀子
菜の花の四角に咲きぬ麦の中 政岡子規 菜の花
菜の花の夕ぐれながくなりにけり 長谷川素逝 暦日
菜の花の夕明り中あやふきかな 岸田稚魚 負け犬
菜の花の夜明の月に馬上かな 村上鬼城
菜の花の失せし近江をまのあたり 飴山實 辛酉小雪
菜の花の実をもち未だ寂しからず 下村槐太 天涯
菜の花の寒がる雨の降りにけり 清崎敏郎
菜の花の小坊主に角なかりけり 其角 五元集
菜の花の小村ゆたかに見ゆる哉 政岡子規 菜の花
菜の花の少しばかりは見ゆる哉 政岡子規 菜の花
菜の花の岬を出でゝ蜆舟 川端茅舎
菜の花の弁に光やうす霞 原石鼎 花影
菜の花の引きぬかれたるばかりかな 右城暮石 散歩圏
菜の花の影やうつろふ海のへり 木導
菜の花の散込窓やおこし米 毛〔ガン〕
菜の花の暮るるや人を待ち得たり 中村汀女
菜の花の暮れてなほある水明り 長谷川素逝 暦日
菜の花の朝光に燃ゆひとところ 山口青邨
菜の花の流るゝ水の諸子かな 高野素十
菜の花の消えゆくごとく実となりぬ 山口青邨
菜の花の照明誇りよみがへれ 香西照雄 素心
菜の花の痩せむせぶかに夕づく日 右城暮石 句集外 昭和十六年
菜の花の白和もよし雛料理 山口青邨
菜の花の盛に一夜啼田螺 曽良
菜の花の端山里過ぎ西行忌 右城暮石 句集外 昭和七年
菜の花の紀路見越すや山のきれ 几董
菜の花の脊戸を流るゝ雨間かな 曉台
菜の花の舞こんで居る坐敷哉 建部巣兆
菜の花の色にも染ず蝶の夢 中川乙由
菜の花の茎浅海に在るごとし 赤尾兜子 歳華集
菜の花の莟をせつく胡蝶哉 為有
菜の花の蜜は上味蝶の吻 平畑静塔
菜の花の身うちについて鳴蛙 樗良
菜の花の道行人の岡見哉 黒柳召波
菜の花の野末に低し天王寺 政岡子規 菜の花
菜の花の雨や神子田花表田 惟然
菜の花の露ひいやりと尻をうつ 政岡子規 菜の花
菜の花の露ひやゝかや顔と尻 政岡子規 菜の花
菜の花の露ひゝやりと顔をうつ 政岡子規 菜の花
菜の花の風に躍りて疎なるかな 清崎敏郎
菜の花の風まぶしくて畦蛙 森澄雄
菜の花の黄には心の閉ざされず 後藤比奈夫
菜の花の黄色のほかは島淋し 後藤比奈夫
菜の花はみなうこん也初瀬寺 許六
菜の花は夜も燃えつつ明けそむる 山口青邨
菜の花は濃く土佐人の血は熱く 松本たかし
菜の花も匂ひて春の野菜籠 水原秋櫻子 蘆雁
菜の花も活けて雛を野にさそふ 平畑静塔
菜の花やあちらこちらに七大寺 政岡子規 菜の花
菜の花やはつとあかるき町はつれ 政岡子規 菜の花
菜の花やよう似た顔の姉妹 政岡子規 菜の花
菜の花や一人乗りたる二人乗 政岡子規 菜の花
菜の花や仁王の草鞋提げて行く 政岡子規 菜の花
菜の花や余念もなしに蝶の舞 政岡子規 菜の花
菜の花や勅使の車通りけり 政岡子規 菜の花
菜の花や大根の花はうら淋し 政岡子規 大根の花
菜の花や奥州通ふ汽車の笛 政岡子規 菜の花
菜の花や娘に出あふ田舎道 政岡子規 菜の花
菜の花や小娘ひとり此大家 政岡子規 菜の花
菜の花や小学校の昼餉時 政岡子規 菜の花
菜の花や岡崎女郎衆人を呼ぶ 政岡子規 菜の花
菜の花や昼も蛙の鳴く処 政岡子規 菜の花
菜の花や海をへだてゝ淡路島 政岡子規 菜の花
菜の花や海苔干す家の裏畠 政岡子規 菜の花
菜の花や焼場の煙たえだえに 政岡子規 菜の花
菜の花や牛の尿する渡し船 政岡子規 菜の花
菜の花や物見に上る姫御前 政岡子規 菜の花
菜の花や獅子の頭の行く小道 政岡子規 菜の花
菜の花や絵馬売る店の夕日影 政岡子規 菜の花
菜の花や視学迎へる村の口 政岡子規 菜の花
菜の花や道者よびあふ七曲り 政岡子規 菜の花
菜の花や野中の寺の椽の下 政岡子規 菜の花
菜の花や金蓮光る門徒寺 政岡子規 菜の花
菜の花や雨にぬれたる嫁狐 政岡子規 菜の花
菜の花や雨やんで日未なり 政岡子規 菜の花
菜の花や雲は茶色の入日影 政岡子規 菜の花
菜の花や駅から駅へ三里半 政岡子規 菜の花
菜の花をいざ見に行む孫を杖 支考
菜の花をはさんで麦の畝青し 政岡子規 青麦
菜の花をよろこび給ふべしと思ひ 高野素十
菜の花を上から見るか揚げ雲雀 政岡子規 揚雲雀
菜の花を供へて我等忌を修す 高野素十
菜の花を入れてめでたし粥柱 山田みづえ 草譜
菜の花を出でゝ飛び行く蝶黄なり 政岡子規 蝶
菜の花を点して九段桜かな 佐藤鬼房
菜の花を瓶に枯らして後挿さず 伊丹三樹彦
菜の花を身うちにつけてなく蛙 李由
菜の花を食ひすぎて脳毀れたる 佐藤鬼房
菜の花日和母居しことが母の恩 中村草田男
菜の花片吹きとぶ吉野山畑 右城暮石 句集外 昭和三十六年
菜の花紫雲英染物そろふ鯉幟 百合山羽公 樂土
菜の花遠し貧者に抜きし歯を返す 西東三鬼
菜や麦や杉の木の間に野が見ゆる 政岡子規 菜の花
菜や麦や森の中より野が見ゆる 政岡子規 菜の花
菜種が咲きかけた夜明方の貧民 中川一碧樓
菜種ぐもり河童天上つかうまつり 石橋秀野
菜種のつぼみもつ明るさ風吹くか 中川一碧樓
菜種の農日本いつまでかくあらむ 及川貞 夕焼
菜種よりぬれいろふかし麦の波 卯七
菜種刈る菜種の花のあはれ添ふ 山口青邨
菜種咲いて小村近しと見ゆる哉 政岡子規 菜の花
菜種咲いて風なき国となりにけり 村上鬼城
菜種散る泥の小道の轍哉 政岡子規 菜の花
菜種星をんなの眠り底知れず 西東三鬼
菜種殻積みて準備す春祭 右城暮石 散歩圏
菜種熟れ乳房おほひし衣うすし 細見綾子
菜種熟れ打ち伏すものを室生寺 細見綾子
菜種田の雨をいちにち刈つてをり 長谷川素逝 村
菜種畑吾子駈入りて煙るなり 石川桂郎 含羞
葉書買ひ菜の花雨の晴れしばかり 細見綾子 桃は八重
虻が来て動かしてゐる花菜かな 細見綾子 桃は八重
蝶と化す菜の花ばかり峠村 上田五千石 森林
蝶ひたすらとまる廃屋の菜の花に 赤尾兜子 歳華集
行く春や大根の花も菜の花も 政岡子規 行く春
行春に花とり置て菜種哉 荻人
行春の麦に追はるゝ菜種かな 去来
西域へ道のはじめを花菜畑 松崎鉄之介
見て通る菜種の花の日数哉 土芳
誰がわざや天衣あかるむ花菜など 伊丹三樹彦
諸手挙げ少女や花菜に溺れたく 香西照雄 素心
谷はいちめん木の芽伸ぶ中の花菜照る 種田山頭火 自画像 層雲集
農の餉の花菜あかりに灯があはれ 森澄雄
農夫の葬おのがつくりし菜の花過ぎ 加藤秋邨
退院の花瓶菜の花残したり 山口青邨
道曲るとき菜の花の列曲る 稲畑汀子
遠き花菜暮るればちかき花菜浮ぶ 大野林火 早桃 太白集
遠浅をもて波隔て花菜畑 鷹羽狩行
遠賀川水系古墳花菜村 野見山朱鳥 運命
遠里の麦や菜種や朝霞 鬼貫
避寒宿刺身のつまに菜の花添へ 鈴木真砂女 居待月
郭公は花菜の丘の奥の山 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
酔えぬ夜は菜の花色の夢が欲し 橋閒石 虚 『和栲』以後(I)
里の昼菜の花深し鶏の声 牧童
野の花や菜種が果は山の際 小西来山
鈴振りふり 遍路溺れる 花菜の海 伊丹三樹彦
長き塀にそひつゝ花菜田へいでたり 種田山頭火 自画像 層雲集
門前の花菜の雨や涅槃像 飯田蛇笏 山廬集
関ケ原菜の花の黄はペンキ塗り 山口誓子
闇ひとしからずげんげ田花菜畑 鷹羽狩行
陵道大きく曲がり花菜黄に 村山故郷
陽のしたゝりに山襞の花菜むせぶ香や 種田山頭火 自画像 層雲集
雛壇の桃も菜の花も影として 山口青邨
雛壇の菜の花は散り易きかな 清崎敏郎
雨に暮るゝ日を菜の花のさかり哉 松岡青蘿
雨の日を閉ざす雨靄花菜畑 鷹羽狩行
雨の花菜 ずうっと 乳子の頬照る旅 伊丹三樹彦
雨の花菜寝がへりしてもつめたしや 大野林火 海門 昭和七年以前
雨もいや菜種ふぐなどなほのこと 燕雀 星野麥丘人
雨上り少しみだれし花菜かな 細見綾子 桃は八重
青蛾ゐて甘菜の花に南吹く 飯田蛇笏 霊芝
青麦に菜の花の黄の滲み出づ 富安風生
青麦やところところに菜種咲く 政岡子規 青麦
頂点で見る三角の花菜畑 鷹羽狩行
額縁の金やはらかに花菜挿し 中村汀女
風ある旅菜種の駅に身を休む 飴山實 おりいぶ
風呼ぶ夕映え花菜は金の環浮かべ浮かべ 古沢太穂 古沢太穂句集
飼鳥の餌にする菜種折にけり 政岡子規 菜の花
餅ほして菜の花匂ふ日和哉 乙訓
驢馬を飼ひたし菜種咲く死後のため 佐藤鬼房
骨壺のごと酒花菜母郷行 古舘曹人 能登の蛙
高円の月の出遅し花菜寒 上田五千石 天路
高塔に花菜かがよふかみ想ふも 伊丹三樹彦
鬼ケ浜には菜の花のこぼれ咲き 佐藤鬼房
鳥啼くや藪は菜種のこぼれ咲き 堀麦水
麦と菜の花の中から白帆哉 政岡子規 菜の花
麦と菜の花の間を白帆哉 政岡子規 菜の花
麦の風菜種の花は散にけり 政岡子規 麦
麦は穂に菜種とびさき田水満つ 飯田蛇笏 白嶽
麦を出て道菜の花の中に入る 政岡子規 菜の花
麦菜種おもふどしとて唐にしき 土芳
麦菜種見分て蝶の行衛かな 望月宋屋
黄を主張せり菜の花の一画は 山口誓子
黒牛が駅に顔入れ菜の花嗅ぐ 加藤秋邨

以上
by 575fudemakase | 2016-02-29 00:02 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

春の虹 の俳句

春の虹 の俳句


春の虹

例句を挙げる。

うすかりし春の虹なり消えにけり 五十嵐播水
ことばもて子に距てらる春の虹 柴田白葉女 花寂び 以後
たをやかに幽明距つ春の虹(夫、若水十三回忌) 殿村菟絲子 『菟絲』
ひとごとのような寂しさ春の虹 平井久美子
ほとばしる乳に噎せる子春の虹 小野とみえ
まばたいて睫毛に春の虹たたす 野沢節子 八朶集以後
みんなみに根の残りたる春の虹 伊藤通明
をののける雄鶏一羽春の虹 原田喬
ゲルニカの馬にまたがり春の虹 仙田洋子 雲は王冠
一脚は西大寺より春の虹 河原枇杷男
丘の上に女学院あり春の虹 岸風三楼 往来
乳房や ああ身をそらす 春の虹 富澤赤黄男
五十鈴川奔り出でたる春の虹 野澤節子
兄弟の見上げる春の虹二重 満田春日
初虹の下流るゝや根なし水 松瀬青々
初虹や岳陽楼に登る人 尾崎紅葉
初虹や白川道を花売女 四明句集 中川四明
初虹や裏見が瀧に照る朝日 井上井月
吾子は早やわれを恃まず春の虹 八木芳
墨買ふや大和にかかる春の虹 町田しげき
夢殿に阿*うんの春の虹立てり 冨田みのる
大頭ならでは見えじ春の虹 和田悟朗
天橋の根のくろさや春の虹 西山泊雲 泊雲句集
奥美濃のなかなか消えぬ春の虹 細見綾子 黄 瀬
密息や山の根に浮く春の虹 赤尾兜子
山国や手触れて消えむ春の虹 文挟夫佐恵 雨 月
幼子の泪すぐ消ゆ春の虹 大串章
抽斗につかはぬ音叉春の虹 菅原鬨也
春の虹あえかに立てば事務室のたれもやさしく窓ぎはに寄る 大西民子
春の虹うつれりくらき水の上 柴田白葉女 『冬椿』『遠い橋』『岬の日』
春の虹この道ゆかば都あと 柿本多映
春の虹そのあと昏し足洗ふ 野澤節子 黄 炎
春の虹とゞろく滝に澄みのぼる 中川宋淵
春の虹坂は自転車の上で歌ふ 石川桂郎 含羞
春の虹山羊にはいつも首の鐶 百合山羽公 故園
春の虹川よりいろの湧きにけり 谷口桂子
春の虹幼き我と見ておりぬ 鳴戸奈菜
春の虹手紙の母に愛さるる 寺山修司
春の虹断崖に立つ聖十字 柴田白葉女 遠い橋
春の虹旅を夢見る子と仰ぐ 堀口星眠
春の虹映れりくらき水の上 柴田白葉女 遠い橋
春の虹智恵子の空に懸かりけり 高原春二
春の虹泣ぐせことはもう泣かず 岸田稚魚 筍流し
春の虹消えて木椅子に猫ねむる 柴田白葉女 『月の笛』
春の虹消えまじとしてかかりをり 細見綾子 黄 瀬
春の虹消ぬまでの物思ひかな 中村苑子
春の虹消ゆまでを子と並び立つ 大野林火
春の虹片脚余呉に下しけり 加古宗也
春の虹田村俊子の墓小さき 岩井久美恵
春の虹花選る人を店の中 宮津昭彦
春の虹褪せゆく中に孤りなり 柴田白葉女 遠い橋
春の虹誰にも告げぬうちに消ゆ 朝倉和江
春の虹鳥になる子を育ており 杉田桂
春虹の消えぎはに逢ふ柩出し 福永耕二
春虹の頂見んと森を出づ 溝口青男
春虹や蔵王しめりの靴脱げば 清水基吉
晩年やあまりに淡き春の虹 柴田白葉女 花寂び 以後
朝戸出の人々のみに春の虹 中村汀女
樹影身に揺れつつ遠き春の虹 柴田白葉女 花寂び 以後
武蔵野の森より森へ春の虹 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
歩行器に油さす母春の虹 花田春兆
母の脆さ見すかされをり春の虹 柴田白葉女 花寂び 以後
眼の玉の中にも水や春の虹 桑原三郎 花表
瞽女去つて佐渡に根のある春の虹 佐川広治
砥石持ち母現はるる春の虹 郡山やゑ子
竹山に春の虹立つ間近さよ 松本たかし
苜蓿つめたし春の虹かけて 内藤吐天 鳴海抄
落書にいさゝかの毒春の虹 飴山実
蘭しげる滝口みえて春の虹 飯田蛇笏 春蘭
貧富すべなし春の虹どこからも見ゆ 本多 脩
遠く見るを忘れて久し春の虹 谷口桂子
震度五の空が屈折春の虹 吉原文音
青苔や膝の上まで春の虹 一茶
馬車駈りて野に遊びけり春の虹 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集

春の虹 補遺

うすうすと初虹うつる外山哉 政岡子規 初虹
ひとの手の冷たき記憶春の虹 中村苑子
まばたいて睫毛に春の虹たたす 野澤節子 八朶集以後
乳房や ああ身をそらす 春の虹 富澤赤黄男
初虹に駒装束きて騎手を乗す 飯田蛇笏 白嶽
初虹の初雪よりも消えやすき 政岡子規 初虹
初虹や下に横たふ東山 政岡子規 初虹
初虹や初雪よりも消易き 政岡子規 初虹
初虹や大内山をすぢかひに 政岡子規 初虹
初虹や梅の花まだ白許り 政岡子規 初虹
初虹や真人の眸見えそめし 森澄雄
初虹を見し一日のけふ足れり 森澄雄
北冥の魚の眼街に春の虹 有馬朗人 母国
奥伊豆の雪ある嶺に春の虹 飯田龍太
奥美濃のなかなか消えぬ春の虹(岐卓県根尾川の淡墨桜二句) 細見綾子
密息や山の根に浮く春の虹 赤尾兜子 玄玄
寝園の松濃みどりに春の虹 飯田蛇笏 旅ゆく諷詠
彌撒の鐘初虹うすれゆきにけり 飯田蛇笏 白嶽
明石の門春の虹立つ船にしぶき 松崎鉄之介
春の虹あまだれ小僧楠に棲む 藤田湘子 てんてん
春の虹となりの家も窓ひらく 大野林火 早桃 太白集
春の虹また見えるかと空のぞく 高浜年尾
春の虹やがて消え行く仏達 有馬朗人 母国拾遺
春の虹われに見られてより薄れ 鈴木真砂女 卯浪
春の虹をんなの髪の乾く間は 三橋鷹女
春の虹世紀のゆめのかなたにて 飯田蛇笏 家郷の霧
春の虹伽藍の重き扉をひらく 有馬朗人 母国拾遺
春の虹坂は自転車の上で歌ふ 石川桂郎 含羞
春の虹山羊にはいつも首の鐶 百合山羽公 故園
春の虹我をいぢめてくれにけり 飯島晴子
春の虹泣ぐせことはもう泣かず 岸田稚魚 筍流し
春の虹消えし路上に鶏の首 加藤秋邨
春の虹消えまじとしてかかりをり(岐卓県根尾川の淡墨桜二句) 細見綾子
春の虹消ぬまでの物思ひかな 中村苑子
春の虹消ぬまでを子と並び立つ 大野林火 早桃 太白集
春の虹消ゆるもの問ふこともなく 上田五千石『琥珀』補遺
春の虹獅子頭ぬぎ長子顔 角川源義
朝戸出の人々のみに春の虹 中村汀女
東京の人と見てゐる春の虹 後藤比奈夫
水ぐんで土筆むらがり春の虹 日野草城
片足を比良の汀に春の虹 飴山實 花浴び
珈琲(ブラック)や湖へ大きな春の虹 燕雀 星野麥丘人
花綵(くわさい)列島春の目覚めの虹を張り 佐藤鬼房
蘭しげる瀧口みえて春の虹 飯田蛇笏 白嶽
西山に春の虹立つ母との宿 松崎鉄之介

以上
by 575fudemakase | 2016-02-28 00:02 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

桃の花 の俳句

桃の花 の俳句

桃の花 の例句 (←ここをクリック)
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桃の花 補遺

あめふれど霧消す丘べ桃の花 飯田蛇笏 雪峡
ありと言へば闇夜もよろし桃の花 森澄雄
うたた寝についでうたた寝桃の花 森澄雄
うたた寝のわれも杜子春桃の花 森澄雄
うたゝねの窓に胡蝶やもゝの花 政岡子規 桃の花
かなしみのしづかな笑ひ桃の花 平井照敏
から尻に夫婦のりけり桃の花 政岡子規 桃の花
くちすすぐみづ井の甘さ桃の花 大野林火 白幡南町 昭和三十三年
けふ出でてわれも野の人桃の花 森澄雄
ことふりしいくさ咄や桃の花 政岡子規 桃の花
この山に緋桃が咲いて御開帳 森澄雄
この峡の水を醸して桃の花 飴山實 次の花
しばらくは桃なかむるや馬の糞 政岡子規 桃の花
しばらくは渡舟客なし桃の花 村山故郷
それを見にとんぼがへりや桃の花 森澄雄
ちこ一人御手なふるや桃の花 政岡子規 桃の花
ちご一人羊なぶるやもゝのはな 政岡子規 桃の花
てらてらと桃の中なり幾個村 政岡子規 桃の花
てらてらと桃咲く中や何ヶ村 政岡子規 桃の花
はなれたる舟の流れず桃の花 政岡子規 桃の花
ははそはの母に歯はなく桃の花 三橋敏雄
ひだるさや杣の子の食む桃の花 飴山實 花浴び
ひとりとはこの世にひとり桃の花 高屋窓秋
ひるめしはむすび一つよ桃の花 星野麥丘人
ふだん着でふだんの心桃の花 細見綾子 桃は八重
まうへかたまる盆地の星よ桃咲けり 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
みなぎりて四国三郎桃の花 鷲谷七菜子 天鼓
めぐりあひしことの美し桃の花 高屋窓秋
もの言うて歯が美しや桃の花 森澄雄
ゆく先の水かげろふに桃の花 森澄雄
わが持たぬ曲線ばかり桃の花 加藤秋邨
わが旅路こゝより能登や桃の花 高浜年尾
をさなきをみせてゆまるや桃の花 森澄雄
アパート巍(ぎ)然古き畑に桃咲いて 山口青邨
一ト畑は嫗のほまち桃の花 飴山實 辛酉小雪
一本は物干しにせよ桃の花 政岡子規 桃の花
一村を日に蒸しこめて桃の花 内藤鳴雪
一軒の藁家全き桃の花 廣瀬直人
三年にして六尺の桃の花 政岡子規 桃の花
不言問木尚妹与兄桃李 政岡子規 桃の花
世の中のいくさに逃げて桃の花 政岡子規 桃の花
並松をあとにひかへて桃の花 政岡子規 桃の花
人一人までを乱れて桃の花 永田耕衣
人仰ぎ犬駈け過ぐる桃の花 星野立子
人住まぬ山と思へば桃の花 政岡子規 桃の花
人載せて牛載せて桃の渡し哉 政岡子規 桃の花
仏壇に桃活けてある三日哉 政岡子規 桃の花
仏恩の日向うしなふ桃の花 上田五千石 天路
傾きてながるる古瀬桃咲ける 松村蒼石 寒鶯抄
其中に家四五軒や桃林 政岡子規 桃の花
出女が恋する桃に花が咲く 政岡子規 桃の花
出女が恋持つ桃に花が咲く 政岡子規 桃の花
剪りすくめられし枝より桃咲ける 百合山羽公 故園
原中や突然として桃の花 政岡子規 桃の花
原稿紙まだ白のまま桃の花 森澄雄
古瓦積まれて緋桃まつ盛り 松村蒼石 雁
句ごころはたをやにたもて桃の花 上田五千石『風景』補遺
唐人を吠ゆる犬あり桃の花 政岡子規 桃の花
四度瀑の天にすわる日桃の花 飯田蛇笏 家郷の霧
四方からよるや野中の桃の花 政岡子規 桃の花
土間の甕緋桃浸けあり遠砂丘 大野林火 雪華 昭和三十四年
地につゞくこの寂しさは桃の花 高屋窓秋
城東に住みける桃の翁哉 政岡子規 桃の花
壮年の昼寝ぐせつく桃の花 森澄雄
外科療舎出て荼毘のみち緋桃咲く 飯田蛇笏 家郷の霧
夜々吼ゆる犬のゐるなり桃の花 森澄雄
夜机に涙ふたつぶ桃の花 石田勝彦 百千
大戦果わたる海かな桃の花 渡邊水巴 富士
天冠を雛に著せたり桃の花 政岡子規 雛
妻は名の釈尼光華へ桃の花 森澄雄
室町や緋桃咲いたる古き家 河東碧梧桐
富士かくる雨に桃さく田畔かな 飯田蛇笏 雪峡
小娘の畑打つ頃や桃の花 政岡子規 桃の花
小娘も畑うつ頃や桃の花 政岡子規 桃の花
屏風して夜の物隠す桃の花 村上鬼城
山畑の花桃の下ひとり猫 森澄雄
山碧し花桃風を染むばかり 飯田龍太
山門のうちにも桃の花ざかり 森澄雄
峡空は海溝の青桃の花 上田五千石『琥珀』補遺
川上は桃も桜もなかりけり 政岡子規 桃の花
往き来して耕耘倦まず桃の花 森澄雄
御供米の取次所とて桃の花 岡本眸
徽草なき学帽の子や桃の花 清崎敏郎
恋猫に留守あづけるや桃の花 政岡子規 桃の花
恋猫の留守あづかるや桃の花 政岡子規 桃の花
悦楽か怡楽か桃の花ざかり 森澄雄
扁額に雑華世界や桃の花 森澄雄
故郷に桃咲く家や知らぬ人 政岡子規 桃の花
故郷はいとこの多し桃の花 政岡子規 桃の花
料理屋は川魚ばかり桃の花 政岡子規 桃の花
旅にして昼餉の酒や桃の花 河東碧梧桐
日おもての水は自堕落桃の花 鷹羽狩行
昔爺と婆と住みけり桃の花 政岡子規 桃の花
春の水手桶に満ちて桃咲けり 高屋窓秋
時かけて桃咲く寺の普茶料理 森澄雄
暮れ際に桃の色出す桃の花 上田五千石 森林
曉闇も人類無かれ桃の花 永田耕衣
朝靄にくれなゐ溶けて桃咲けり 相馬遷子 山河
村童の異人にたかる桃の花 政岡子規 桃の花
東から日の射す裾に桃の花 右城暮石 声と声
枝あげてあげて白桃咲きにけり 石田勝彦 秋興
柑園をかくゆきぬけに桃咲けり 飯田蛇笏 春蘭
柳青しあひまあひまの桃の花 政岡子規 桃の花
桃さくやゐなかは旧の雛祭 政岡子規 桃の花
桃さくや三寸程の上り鮎 政岡子規 桃の花
桃さくや李白は樽を枕にて 政岡子規 桃の花
桃さくや湖水のへりの十箇村 河東碧梧桐
桃さくや紙のやうなるふしの山 政岡子規 桃の花
桃さくや脚半菅笠竹の杖 政岡子規 桃の花
桃の背戸柳の門や二三軒 政岡子規 桃の花
桃の花あたら惜しげもなく伐れり 右城暮石 一芸
桃の花いづくに靄の生れゐる 松村蒼石 雪
桃の花てのひら右とひだりかな 亭午 星野麥丘人
桃の花どつと禅よせて来るやうな 右城暮石 句集外 昭和七年
桃の花には臥薪なし嘗胆も 後藤比奈夫
桃の花に降りてやうやく霧ながる 加藤秋邨
桃の花の下にて桃となる少女 平井照敏
桃の花ビルの奈落へ投げ込まる 岡本眸
桃の花人待ち顔の野中哉 政岡子規 桃の花
桃の花加へ背負籠ひと揺すり 岡本眸
桃の花吾は黙つて日を愛す 細見綾子
桃の花垂れ込んでくる月日かな 飯島晴子
桃の花家半ばまで陽が入りて 森澄雄
桃の花母よと思えば父現われ 永田耕衣
桃の花満ちて小声の夫婦来る 廣瀬直人 帰路
桃の花空の重たき日なりけり 鈴木真砂女 都鳥
桃の花窓から粉が飛ぶ製粉所 中村草田男
桃の花老の眼にこそ精しけれ 永田耕衣
桃の花若狭蝶の干されけり 阿波野青畝
桃の花葉ののびやすき山の畑 右城暮石 句集外 昭和六年
桃の花過ぎし橋を渡りてひろし 中川一碧樓
桃の花遠く白玉光りたり 細見綾子 桃は八重
桃の花鏡は知らぬ姿哉 政岡子規 桃の花
桃の花鏡を知らぬ娘かな 政岡子規 桃の花
桃の花雨風の夜がまだ残り 廣瀬直人
桃の花露あるうちは人の来ず 右城暮石 声と声
桃原の墓とつたへて桃の花 飴山實 花浴び
桃咲いて三歳の子の小弁当 林翔 和紙
桃咲いて厩も見えぬ門の内 村上鬼城
桃咲いて機織る村の戸口かな 政岡子規 桃の花
桃咲いて沼が近くにある感じ 清崎敏郎
桃咲いて牛行く背戸の小山かな 政岡子規 桃の花
桃咲いて犬ひたむきに通りけり 橋閒石 和栲
桃咲いて畦畑の麦そろひたる 飯田蛇笏 椿花集
桃咲いて笠縫村に長居せり 岡井省二 山色
桃咲いて近づくものに忌のひとつ 鷲谷七菜子 花寂び
桃咲いて遠目にまろき農婦の手 岡本眸
桃咲いて開けてゐるなり筆箪笥 岡井省二 鯨と犀
桃咲いて風の日輪たかかりき 飯田蛇笏 春蘭
桃咲いて風は素足で歩きけり 平井照敏 天上大風
桃咲きて鳥もけものも逃げぬ里 鷹羽狩行
桃咲くと その木をめぐる 半健康 伊丹三樹彦
桃咲くと鉄線の棘へだて話す 岡本眸
桃咲くと風の中なる一童子 原裕 青垣
桃咲くやあけぼのめきし夕映に 渡邊水巴 白日
桃咲くやつとに遍路となるごとく 岡井省二 猩々
桃咲くや古き都の子守唄 政岡子規 桃の花
桃咲くや可愛いと思ふ女あり 政岡子規 桃の花
桃咲くや塔影低く日は斜 村山故郷
桃咲くや墓地につづける野の焼場 松崎鉄之介
桃咲くや妻になる人誰誰そ 政岡子規 桃の花
桃咲くや川の明りの鉄路まで 岡本眸
桃咲くや海道の星みなうるみ 百合山羽公 故園
桃咲くや病秀才は門を出ず 上田五千石『田園』補遺
桃咲くや納豆工場真夜の燈を 大野林火 白幡南町 昭和三十年
桃咲くや隣の娘婚礼す 政岡子規 桃の花
桃咲くや雪壁かすむ間の岳 水原秋櫻子 餘生
桃咲く里へ降り紅顔の落下傘 金子兜太
桃咲けば女人あはれや桃に昏れ 三橋鷹女
桃咲けば手まづさへぎる鮠の水 飴山實 次の花
桃咲けり咲けりと誰も言はず過ぐ 三橋敏雄
桃咲けり島人鳥賊を門に干す 村山故郷
桃咲けり燦爛として海荒れつ 水原秋櫻子 古鏡
桃咲けり胸の中まで空気満ち 三橋敏雄
桃柳河に臨みて誰が楼ぞ 政岡子規 桃の花
桃梅を笑へば梅も桃を笑らふ 政岡子規 桃の花
桃畑白桃ひとつ目立ちけり 政岡子規 桃の花
桃赤し山の東の古砦 政岡子規 桃の花
桜より奧に桃さく上野哉 政岡子規 桜
橋こえて桃の小村へいそぐ哉 政岡子規 桃の花
此里に美女二人あり桃の花 政岡子規 桃の花
歯のうづきかかへて一日桃の花 森澄雄
歳老いて何の奢りの緋桃咲く 森澄雄
母の忌や梅にかはりて桃の花 岸田稚魚 紅葉山
水仙の花のさかりや桃の花 政岡子規 桃の花
汐気含む空気に桃の花開く 右城暮石 句集外 昭和三十六年
法苑の雨美しや桃の花 上田五千石『天路』補遺
海ぬれて沙丘の風に桃咲けり 飯田蛇笏 雪峡
海山をこの見具合や桃のかけ 政岡子規 桃の花
淡海晴れ母との車窓桃の花 松崎鉄之介
温泉の里は桃咲く谷の川ほとり 星野立子
湖に臨む小村や桃の花 政岡子規 桃の花
潺々と水来て去りぬ桃の花 飴山實 辛酉小雪
灯を消して桃咲く駅でありにけり 山田みづえ 木語
灯を消せば許六の桃のかをり哉 政岡子規 桃の花
点滴注射明日より減るよ桃の花 相馬遷子 山河
烈風や月下にさわぐ緋桃あり 原石鼎 花影
焼津桃咲き突堤の魚蹴つとばす 飴山實 おりいぶ
熔岩かげに緋桃ホテルヘ湖畔道 松崎鉄之介
燕の家尋ぬるや桃の花 政岡子規 桃の花
父死後や面影も死に桃咲くか 森澄雄
牛飼も牛も眠るや桃の花 政岡子規 桃の花
犂牛に畛桃さく富士おもて 飯田蛇笏 雪峡
犬の子を負ふた子供や桃の花 政岡子規 桃の花
生き身こそ蹤跡無かれ桃の花 永田耕衣
生徒の眼緋桃買ふ吾を祝福す 林翔 和紙
田に水を入れんと湖北桃の花 飴山實 花浴び
畑中に一本咲くや桃の花 政岡子規 桃の花
白桃の花やこぼるゝ朝の露 政岡子規 桃の花
白桃の花やこぼれて松のつゆ 政岡子規 桃の花
白桃の露や花なる花や露 政岡子規 桃の花
白桃やのこるは花よちるは露 政岡子規 桃の花
白桃や日永うして西王母 政岡子規 桃の花
百姓の不機嫌にして桃咲けり 橋本多佳子
百姓の娘うつくし桃の花 政岡子規 桃の花
百姓の目ばかり窪み桃の花 廣瀬直人
盗或る夜桃の小村を掠め去る 政岡子規 桃の花
目覚むるも睡るも男桃の花 廣瀬直人
石にも児の温み桃の花間の男声 赤尾兜子 歳華集
神々いつより生肉嫌う桃の花 赤尾兜子 歳華集
神棚に榊と雛の桃の花 高野素十
移し植えて信濃の緋桃三年ごし 松村蒼石 雁
税軽き十戸の村や桃の花 内藤鳴雪
穴師より三山のぞむ桃の花 森澄雄
立ちのいて見てはやすむや桃のかけ 政岡子規 桃の花
童子刻むわが体温の桃の花 橋閒石 荒栲
紅唇をゆがめて桃の花くぐる 上田五千石 森林
紅梅に咲き勝たれけり桃の花 政岡子規 桃の花
紅梅を緋桃とも見む雛の日 林翔
紙ひひな花瓶桃の花をますぐ 山口青邨
綾取りの山ふところの桃の花 原裕 青垣
緋桃さき板の間につく両手あり 飯島晴子
緋桃なり神々はまた歩き出す 飯島晴子
緋桃咲き入学の子の道草す 森澄雄
緋桃咲き閨秀画家の家を前 松崎鉄之介
緋桃咲く何に汲みても水光り 岡本眸
緋桃咲く垣に積まるる焼酎甕 松崎鉄之介
緋桃咲く庭にぽつんと備前窯 松崎鉄之介
緋桃白桃うらみつらみをならべけり 日野草城
緋桃菜の花遺残空洞胸に泡く 石田波郷
緋桃見つつ我が目瞬きゐるらしき 加藤秋邨
繋がれて牛も眠るやもゝの花 政岡子規 桃の花
老姉妹緋桃さかりの旅にあり 星野立子
聞かれれば答へる老婆桃の花 廣瀬直人
背戸並ふ小家小家や桃の花 政岡子規 桃の花
膝で折り魚籠にさし込む桃の花 飴山實 花浴び
舟ありて人居らぬ桃の渡し哉 政岡子規 桃の花
花密に緋桃のしだれまつたうす 上田五千石『琥珀』補遺
花桃に泛いて快楽の一寺院 飯田龍太
花桃に白砂の睡り午后の橋 飯田龍太
花桃に逆巻く水のひびきゐる 飯田龍太
花桃のすこし濃すぎる潦 廣瀬直人
花桃の下の涼しき荒筵 飯田龍太
花桃の八重垣へだつ隣はも 上田五千石『風景』補遺
花桃の前に貸したる夫の智慧 中村草田男
花桃の果てに一途の暮天あり 飯田龍太
花桃の満ちたる色に追はれゆく 廣瀬直人
花桃の紅が甘えて山の雨 飯田龍太
花桃の蕋をあらはに真晝時 飯田蛇笏 心像
花桃や一望にして寧楽盆地 森澄雄
花桃や噴火に会ひし人等住む 野見山朱鳥 運命
花鎮め祭の御饌に桃の花 高野素十
茶店あり白馬繋ぐ桃の花 政岡子規 桃の花
草屋二軒赤白の桃咲ける哉 政岡子規 桃の花
草鞋かけて桃の一枝たわみけり 政岡子規 桃の花
荒土の花桃母の死病去る 飯田龍太
荷車に娘載せけり桃の花 政岡子規 桃の花
菜の花の中に家ある桃の花 森澄雄
蔵の香に狎れしなりはひ桃の花 飯田蛇笏 家郷の霧
薄紙のやうなふじあり桃の花 政岡子規 桃の花
行くやすむ気まゝな旅や桃の花 政岡子規 桃の花
衣紋ぬき農婦風入る桃の花 大野林火 雪華 昭和三十四年
褒めること誉められること桃の花 上田五千石『琥珀』補遺
親しさは見送ることの桃の花 古舘曹人 砂の音
賜ふならば白桃の花枝豊かに 大野林火 青水輪 昭和二十六年
賤か家の垣根うつくし桃柳 政岡子規 桃の花
足し算も覚束無くて桃の花 飯島晴子
路はたに桃の花咲く小村かな 政岡子規 桃の花
近山が唇吸い合うや桃の花 永田耕衣
近山の唇落ちかかる桃の花 永田耕衣
運やつと向いて来し桃咲きにけり 鈴木真砂女 都鳥
道うるほへり桃の花したがへり 廣瀬直人 帰路
道元にやさしかりける桃の花 森澄雄
道路鏡にも満開の桃の花 右城暮石 句集外 昭和四十八年
遠墓原も眩しき午後や桃咲いて 中村苑子
野に出れば人みなやさし桃の花 高野素十
鍋提げて桃の中道妻帰る 政岡子規 桃の花
鍬を肩に橋行く人や桃の花 政岡子規 桃の花
鎌倉の雨や緋桃に殊に降る(鎌倉、東慶寺) 細見綾子
開眼のごと桃の花ねむるなり 永田耕衣
降る雨の筋よく見えて桃の花 森澄雄
陶工に今年女の子や桃の花 森澄雄
雛の日の郵便局の桃の花 深見けん二
雛壇や葉を吐いてゐる桃の花 清崎敏郎
雨あしとならぬ雨つぶ桃の花 鷹羽狩行
雨戸まだ開けず湖北は桃の花 飴山實 花浴び
雨空が三日つづいて桃の花 草間時彦
雨雫ぼとぼと落す桃の花 細見綾子
雨雫ぼと~落す桃の花 虹立つ 細見綾子
雨雲のおこす風かも桃の花 飴山實 花浴び
雪代の川のむかうの桃の花 山口青邨
雪山の午下はけぶろふ桃の花 上田五千石 天路
青空に山容溶けて桃の花 上田五千石『風景』補遺
飯くはす小店もなくて桃の村 政岡子規 桃の花
駕吊りし庄屋の門や桃の花 政岡子規 桃の花
髪染めてタンカーは過ぐ桃の花 赤尾兜子 歳華集
髪梳くは死よりも黒し桃の花 高屋窓秋
髪焦げて教へ子は来ぬ緋桃抱き 加藤秋邨
魚浮くや桃の小川の水よどみ 政岡子規 桃の花
鯖大師桃咲く島におはします 阿波野青畝
鶏の目の見てみぬふりの桃の花 上田五千石 風景
鶏鳴くや小冨士の麓桃の花 政岡子規 桃の花
鶏鳴て村静かなり桃の花 政岡子規 桃の花
鶏鳴も花桃睡き彼方より 飯田龍太
麦生もて塗りつぶす隅に桃咲けり 水原秋櫻子 霜林

桃の花 続補遺

*えり株になるや芦間の桃の花 洒堂
あながちに木ぶりは言ず桃の花 炭太祇
うす藪の口をてり出す桃の花 林紅
うつとしき誉人の来るや桃の花 鳳朗
うや無やの関の娘や桃の花 魯九
おもしろふなれば別れや桃さくら 松岡青蘿
かね借りの京わたらひや桃の花 曽良
さし植の素性はなれず桃の花 桜井梅室
その門と見てこそはしれ桃の花 除風
つたへ置け桃咲宿の不老不死 松岡青蘿
としわすれ盃に桃の花書ン 洒堂
ふつゝかな気さへ添けり桃の花 越人
まいら戸に顔見ゆるやと桃の花 支考
みのむしの動きそめけり桃の花 完来
むつ~とにほふでもなし桃の花 木因
よき雨のはれて戸口の桃の花 成田蒼虬
三日月の割付合たり桃の花 凉菟
人の手にあればめでたし桃の花 桜井梅室
伏見かと菜種の上の桃の花 雪芝
何ぞとまれ花のあとなる桃の花 杉風
信楽の壺屋がかどや桃の花 木導
傘のそらにてつたり桃の花 万子
先達や各笈に桃の花 木因
冠にもさはらず雛の桃の花 松窓乙二
前髪の跡ゆかしさよ桃の花 左次
君が代や里は息する桃の花 塵生
埃扣く坐禅蒲団や桃の花 野紅
墓原やいつもり捨てし桃の花 許六
壁土の畔や水越す桃の花 素覧
夜あかりや桃さく門の砂ばしり 井上士朗
太皷はる家でこそあれ桃の花 凉菟
女業する木履の音や桃の花 程已
実をねらふ足軽町の桃の花 朱廸
実を植た子に伸かちて桃の花 桜井梅室
家一つ村にあまりて桃の花 松窓乙二
宿を出て雛わするれば桃の花 猿雖
富士の笑ひ日に~高し桃の花 千代尼
尋入岩戸のおくや桃の花 尚白
川縁は皆桃さけり洗濯場 浪化
布子着て夏よりは暑し桃の花 支考
戸の開てあれど留守也桃の花 千代尼
手ならひの草紙干たる桃の花 浪化
放下師が雪をかほらせ桃の花 建部巣兆
日半路をてられて来るや桃の花 野坡
早さくか年はも行カで桃の花 桃先
昼舟に乗るやふしみの桃の花 桃隣
月の色中野は桃の花ざかり 早野巴人
朝酒のいざや相手に桃の花 北枝
木や竹も気まゝに青桃の花 助然
木母寺の先は桃さく在処かな 桜井梅室
杖すてゝちかづき顔や桃さくら 浪化
桃さかば笠きて酒を買に来ん 支考
桃さかば雛に似たる人や来ん 乙訓
桃さきし畑や獣の跡もなき 寥松
桃さくやよき家建し梓巫女 吉分太魯
桃さくや内乱薬の門にまで 馬場存義
桃さくや宇治の糞船通ふ時 程已
桃さくや畠の肌の脱はじめ 松窓乙二
桃さくら其奥床し夜の雛 松岡青蘿
桃の花けふより水をさかな哉 小西来山
桃の花さくや疝気といとまごひ 除風
桃の花何とて雨にむつまじき 鳳朗
桃の花折手はづれて流しけり 曉台
桃の花熨斗添ずとも贈るべし 鈴木道彦
桃咲て咽の乾きや長堤 正秀
桃咲て石にかどなき山家かな 支考
桃咲て麦も奥ある在所かな 寂芝
桃咲やすはう簾の日のうつり 里東
桃咲やよしのゝこゝろ捨てから 千代尼
桃咲や古き萱屋の雨いきれ 四睡
桃咲や幾度馬に行あたり 千代尼
桃咲や村の小家の物干場 荊口
桃咲や禰宜の屋鋪の鬼門隅 紫道
桃咲や花のあり数鳥おどし 杉風
桃咲や袷羽織のたゝみ皺 遅望
桃咲や西瓜畠のあらおこし 建部巣兆
桃咲や釣瓶はねたる垣のうち 完来
江の島は湖の中なり桃の花 長翠
深川はふしみに似たり桃の花 一晶 温故集
火はもえて内に人なし桃の花 鼠弾
痩桃の花にめでたる雛かな 許六
立よりて苣な荒しそ桃の花 黒柳召波
笠とらむ売場の酒に桃の花 支考
節句らし夷棚にも桃の花 寥松
紅裏の手ぎは見せてや桃の花 りん女
膳棚につかひあまりや桃の花 此筋
膳立に水うつ比か桃の花 支考
船頭の耳の遠さよ桃の花 支考
色深し今年よりさく桃の花 松岡青蘿
草の戸に草の餅なし桃の花 五明
草槇の身肌もうくや桃の花 野紅
菓子盆にけし人形や桃の花 其角 五元集
蓑笠もとかで伏見の桃の花 卓池
薄色やむかしおぼえて桃の花 蘆本
角菱(つのびし)の餅にありとも桃の花 鬼貫
貰ふべき家遥かなり桃の花 吐月 発句類聚
赤人の数寄にゑぼしや桃の花 北枝
起~は鴬若し桃の花 露川
足軽の女房や碁をうつ桃の花 夕道
軒裏に去年の蚊動く桃の花 鬼貫
道々や犬になかれて桃の花 才麿
部屋~へ分て行けり桃の花 望翠
酒によしことぶきによし桃の花 杉風
醴に散かゝりけり桃の花 許六
里の名や哥にもよまず桃の花 許六
重箱や一輪添し桃の花 千川
野の草も穂をはらみけり桃の花 野紅
金柑はまだ盛なり桃の花 介我
鍬さげてしかりに出るや桃の花 凉菟
降たほど照るは律儀な桃の花 支考
隠れ家も色に出にけり桃の花 千代尼
雛達のつぼみの皃や桃の花 智月尼
雨足の思ひ切ッたる桃の花 荻人
雲中に人の声有桃の花 松窓乙二
青麦の波まだ浅し桃の花 松窓乙二
餅くはで関をばこえじ桃の花 支考
餅喰はぬ旅人はなし桃の花 支考
鴬の飛ひろげたり桃の花 荻人
鵯やされども残す桃の花 釣壺

以上
by 575fudemakase | 2016-02-28 00:02 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

春雨 の俳句

春雨 の俳句

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春雨 補遺 の例句 (←ここをクリック)
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春雨 続補遺 の例句 (←ここをクリック)
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以上
by 575fudemakase | 2016-02-27 00:02 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

春塵 の俳句

春塵 の俳句

春塵

例句を挙げる。

あな醜し肉附の面の春埃 山田みづえ
かなしき日春塵の厨拭いて寐る 草村素子
けだるさやピアノの上の春埃 筑間美江
ふるさとの春塵の道ひかりをり 秋山素子
をとめごの春埃のなかにふとりけり 室生犀星 犀星發句集
一悶着あるごと春塵払ひけり 森 敏子
俳諧も紙の類なり春埃 竹本健司
先生やいま春塵に巻かれつつ 岸本尚毅(1961-)
友に会はん春塵かぶる駅のポスト 桜井博道 海上
友欲しきとき春塵が橋渡る 田川飛旅子 花文字
外套の裾切れ街は春埃 米沢吾亦紅 童顔
多彩仏春塵仏と拝みける 赤松[けい]子 白毫
子規堂の電燈の笠春埃 高澤良一 寒暑
戦没学徒ら透明に群なし春塵駆く 磯貝碧蹄館 握手
拭ひたる卓に春塵棒立ちに 上野泰 佐介
掃きよせし春塵の中針光る 橋本鶏二 年輪
春埃そつと拭いたる子の遺影 吉田きみ
春埃り髪につけをり女香具師 宮武寒々 朱卓
春埃わづかの道を来てすでに 高濱年尾 年尾句集
春埃奉天に来て虹を見し 室生犀星 犀星発句集
春埃拭ひ馴れつゝ卓の傷 高濱年尾 年尾句集
春埃無能の自影でうるほふかに 香西照雄 対話
春埃立てず拝見虚子の館 堀恭子
春塵と吹かれて重き歩みかな 石田あき子 見舞籠
春塵と見えし街の灯君は北ヘ 桜井博道 海上
春塵にたかぶり人とけものどち 石橋秀野
春塵に心まみれて帰りけり 中村苑子
春塵に息浅くして魚のごとし 野沢節子
春塵に押され大阪駅を出づ 辻田克巳
春塵に眼をしばたたき繋ぎ馬 阿部みどり女
春塵に舌の根かわく閻魔王 葉狩てる子
春塵のいづこに住居もつべしや 高橋沐石
春塵のかたづけさせぬ机上かな 石川予風
春塵のたぐひの一つわが句屑 外城恒
春塵のひだ美しき仏達 大橋杣男
春塵の一本松よ眸あぐるたび 永井よしい
春塵の中でベレーの塵はたく 佐野まもる
春塵の分厚く赤茶け煤仁王 高澤良一 鳩信
春塵の同じ暗さへ退勤工 吉田鴻司
春塵の壺の一つを愛すかな 三島 汲水
春塵の如き学問考古学 粟津松彩子
春塵の巷にありて機屋かな 五十崎古郷句集
春塵の没日音なき卓を拭き 加藤楸邨
春塵の玻璃に展示の能衣裳 長谷川かな女 花寂び
春塵の耳を洗へば今日はるか 細川加賀 『玉虫』
春塵の衢(ちまた)落第を告げに行く 大野林火(1904-84)
春塵の軽く揚りて経修理 池上浩山人
春塵の近江に貨車を放ちけり 斉藤夏風
春塵の鏡はうつす人もなく 山口青邨
春塵も置かず遺愛の杯並べ 稲畑汀子
春塵やいつひろごりし生活の輪 久保田万太郎 流寓抄
春塵やこころの馬鹿のトルストイ 平井照敏 天上大風
春塵やふくさかけたる謡本 藤田春梢女
春塵やオゾンの穴を覗き見る 森須 蘭
春塵や吾を見あげて妻の像 河野静雲 閻魔
春塵や寸の仏も彫ふかく 大橋櫻坡子
春塵や東京はわが死にどころ 鈴木真砂女 夕螢
春塵や欅並木に映画館 西本一都 景色
春塵や水路工事の遅々として 倉内法子
春塵や病めば後るゝことばかり 泉春花
春塵や観世音寺の観世音 高野素十(1893-1976)
春塵をかぶり一億より出づる 松澤昭 山處
春塵をつけて妻と子戻るべし 高橋沐石
春塵をひそめ*たなごのつやゝかに 『定本石橋秀野句文集』
春塵をやり過したる眉目かな 高浜虚子
春塵を積みザヴィエルの面の創 有馬朗人
春塵を虹でおさへて撒水車 土生重次
時折に春塵の立つ風情のみ 京極杞陽 くくたち下巻
橋が明日へ源知らぬ春塵どか 磯貝碧蹄館 握手
疾風行春塵溜り来る睫毛 石塚友二 方寸虚実
老農の洗ふ眼鏡や春埃 中村草田男
葬につどふ人に春塵濃き日なり 大橋敦子
裾払ふ折尺伸ばす春埃 米沢吾亦紅 童顔
踏まれゐる邪鬼につもれる春埃 野村美恵
酒少しすぎて唄あり春埃 河野南畦 湖の森
黒豚の春塵まみれ杜甫の国 毛塚静枝
三笠山見る面上に春の塵 銀漢 吉岡禅寺洞
仏壇の宙に生きもの春の塵 鷹羽狩行 第九
伝へ古る渾天儀あり春の塵 有働亨 汐路
十字架の湾頭に舞ふ春の塵 原裕 葦牙
地球儀の世界を覆ふ春の塵 浅見まき子
売れ残る干支の置物春の塵 渡辺 晧
帰り来て耳に東京の春の塵 猿橋統流子
投票をしるすに春の塵ざらざら 横山白虹
新兵の靴引するや春の塵 尾崎紅葉
病人の耳滓春の塵として 嶋田麻紀
病消えてまた町医たり春の塵 相馬遷子 山国
筆の穂にかかりて紅き春の塵 橋本鶏二 年輪
老いて読むつもりの本や春の塵 北見さとる
華鬘なる花鳥雲に春の塵 佐々木六戈 百韻反故 初學
鏡台をたま~縁に春の塵 阿部みどり女 笹鳴

春塵 補遺

あな醜し肉附の面の春埃 山田みづえ 草譜
きら~と松の股から春埃リ 岡井省二 猩々
くるくると黄塵の日の恋雀 藤田湘子
ここに穴あり春塵のマンホール 佐藤鬼房
そのかみの版木かさねつ春埃 伊丹三樹彦
はまなすや黄塵やメモせし頁 加藤秋邨
まきのぼる夜の黄塵とインダス越ゆ 加藤秋邨
ルネサンス風に置きたる春の塵 後藤比奈夫
五十年前の春塵かも知れず 後藤比奈夫
人疎めば吾もうとまれ春塵す 松崎鉄之介
仏にも歓喜踊躍の春埃 後藤比奈夫
仏壇の宙に生きもの春の塵 鷹羽狩行
冬帽の黒脱げば斑らなり黄塵 石塚友二 方寸虚実
十字架の湾頭に舞ふ春の塵 原裕 葦牙
埋れたる土の深さよ春埃 三橋敏雄
大陸の黄塵を歯に噛みて征く 日野草城
子等駈ける春塵のまき起りつゝ 星野立子
屋上園春の黄塵降りかすみ「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
巡業の葛籠春塵払はれず 後藤比奈夫
戦傷に黄塵の陽と鵲と 佐藤鬼房
拭ひたる卓に春塵棒立ちに 上野泰 佐介
捲きあがる黄塵蜂の巣に達す 加藤秋邨
旅帰り先づ春塵の机拭く 稲畑汀子
春の塵目にいちじるし事務の閑 日野草城
春埃無能の自影でうるほふかに 香西照雄 対話
春埃目ばかり剥きて天邪鬼 星野麥丘人 2002年
春塵が水滴の孔塞ぎけり 相生垣瓜人 明治草
春塵といふもすさまじ男部屋 伊丹三樹彦
春塵と炭酸瓦斯を恐れけり 相生垣瓜人 明治草
春塵にたかぶり人とけものどち 石橋秀野
春塵に山羊追ふ杜甫の生れし地よ 松崎鉄之介
春塵に心まみれて帰りけり 中村苑子
春塵に指紋重ねて大竪琴 鷹羽狩行
春塵に秀でし眉やるしゃなぶつ 伊丹三樹彦
春塵のその塵縁や浅からぬ 相生垣瓜人 明治草
春塵の会釈吝まずボスゆける 岸田稚魚 負け犬
春塵の巷落第を告げに行く 大野林火 早桃 海風抄
春塵の紅殻格子遊女ゐず 鷹羽狩行
春塵の鏡はうつすひともなく 山口青邨
春塵の鞘阿弥陀佛御目伏せ 星野立子
春塵の顱頂とがりて菩薩なり 伊丹三樹彦
春塵も国宝として拝しけり 鷹羽狩行
春塵やこころの馬鹿のトルストイ 平井照敏 天上大風
春塵やほとけの肩は厳かしき 伊丹三樹彦
春塵やみとせをろがむ子の位牌 上村占魚
春塵や一人もよろし行かしめよ 中村汀女
春塵や吾子を率て行く亡師の部屋へ 角川源義
春塵や東京はわが死にどころ 鈴木真砂女 夕螢
春塵や泣きごゑばかりがわれらのもの 岸田稚魚 負け犬
春塵や秩父忌生のあるかぎり 大野林火 雪華 昭和四十年
春塵や観世音寺の観世音 高野素十
春塵をしづめて雨のひと日かな 稲畑汀子
春塵をひそめ*たなごのつやゝかに 石橋秀野
春塵を拝みめぐり古都にあり 後藤比奈夫
春塵を浮かべ鱒池のコンクリート底 右城暮石 句集外 昭和三十三年
春塵を積みザヴィエルの面の創 有馬朗人 天為
春風の塵かと見れば蚊の一つ 政岡子規 春の蚊
書屋一歩出れば春塵や塵労や 安住敦
棕梠の毛に古今の塵や春の風 三橋鷹女
汗の目はかがやき黄塵の頬はとがり 長谷川素逝 砲車
活け花のあさき水にも春の塵 鷹羽狩行
湯浴みつゝ黄塵なほもにほふなり 相馬遷子 山国
炎天の蝶黄塵に吹かれけり 臼田亜郎 定本亜浪句集
片附かぬ机辺春塵置きしまま 稲畑汀子
獅子舞を追て歩行や春の塵 鳳朗
疾風行春塵溜り来る睫毛 石塚友二 方寸虚実
病消えてまた町医たり春の塵 相馬遷子 山国
神に狎れ仏に狎れて春の塵 後藤比奈夫
老農の洗ふ眼鏡や春埃 中村草田男
胸像の鼻梁のゆがみ春の塵 鷹羽狩行
臥す母のまはりきららに春の塵 桂信子 新緑
蟹怒りだす 黄塵を掴み喰ひ 三橋鷹女
親不知鵜に黄塵を吹きおろす 加藤秋邨
負の声聞く春塵きわまる崖のひなた 赤尾兜子 歳華集
贋巴里の テラス喫茶の 春の塵 伊丹三樹彦
身辺に春塵の濃くなりにけり 日野草城
退却の歩み黄塵に入りて出づ 三橋敏雄
部隊征く黄塵麦の海ゆ騰ち 日野草城
鍋釜を胸抱きにして春塵裡 加藤秋邨
防人をいたはる歌碑も黄塵裡 阿波野青畝
魯迅先生の机筆硯春埃 山田みづえ まるめろ
黄塵にしるす指文字泥の香す 加藤秋邨
黄塵にひと日疲れて手をあらふ 水原秋櫻子 殉教
黄塵に息浅くして魚のごとし 野澤節子 未明音
黄塵に昼ほとゝぎす聞きとめし 阿波野青畝
黄塵に染む太陽も球根も 百合山羽公 樂土
黄塵に痩せたる牛を牧しけり 阿波野青畝
黄塵に竜の眼乾く 帝の階 伊丹三樹彦
黄塵に追はれよどむや鶴見川 水原秋櫻子 殉教
黄塵のかすみて暮るる行々子 臼田亜浪 旅人 抄
黄塵の中囀りのゆゆしけれ 山口青邨
黄塵の去りぬと矮鶏のときつくる 水原秋櫻子 蘆雁
黄塵の滞る見ゆ夜見ケ浜 阿波野青畝
黄塵の町のこなたに接木する 中村汀女
黄塵の疾風の中の梅白し 上村占魚 球磨
黄塵の覆ふ平家の舟隠し 鷹羽狩行
黄塵の野面の隅に雪の富士 水原秋櫻子 残鐘
黄塵やまづ立塞ぐ甲州路 水原秋櫻子 玄魚
黄塵やわれはわづかな傷かばひ 中村汀女
黄塵や垣くぐり来る四十雀 水原秋櫻子 殉教
黄塵や彼の槻並木彼の城址 水原秋櫻子 殉教
黄塵や淡き影持つ雀ども 加藤秋邨
黄塵や瀬々の涸れたる名栗川 水原秋櫻子 晩華
黄塵や銭を泉の露店板 百合山羽公 寒雁
黄塵や防人の妻を恋ふは宜 阿波野青畝
黄塵や雨知らぬ畑に寝て憩ふ 相馬遷子 山国
黄塵や青梅街道野にいでて 水原秋櫻子 晩華
黄塵をものかは鶴の帰り去る 阿波野青畝
黄塵来白髭さんは失せられて 阿波野青畝
黄塵裡影絵の部隊征きに征く 日野草城

以上
by 575fudemakase | 2016-02-26 00:02 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

春風 の俳句

春風 の俳句

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春風 補遺

あし代や矢ぐらの妻の春の風 許六
あの山の坂へこの道春の風 三橋敏雄
あるが中に蒟蒻玉も春の風 松岡青蘿
あれ絣織る機音と春風に 高野素十
うき我に花のなぐれや春の風 許六
うつりきて門の松には春の風 樗良
うなだれて曠野の風に春の旅 飯田蛇笏 白嶽
おほかたは虚子の掌の中春の風 飯田龍太
おろしおくらんぷ屋の荷に春の風 政岡子規 春風
くづれ終へし波のいのちや春の風 鈴木真砂女
ぐるりから春風吹くや鳰の海 政岡子規 春風
ことづての二つ三つも春の風 高野素十
このあとに用まだ一つ春の風 星野立子
この家や浴室までも春の風 高田風人子
これから旅も春風のゆけるところまで 種田山頭火 自画像 落穂集
これはこれは腰が立つたか春の風 政岡子規 春風
さまさまに染むる画筆や春の風 政岡子規 春風
しほらしく小松うごくや春の風 桜井梅室
しやぼてんの山のつゞきも春の風 高野素十
そよそよと杉の間より春の風 政岡子規 春風
たもとほる市はつば市春の風 高野素十
ちりめむの背中に軽し春の風 朱廸
とこぶしと鮑とならべ春の風 鈴木真砂女
とやかうと杉にはなれず春の風 政岡子規 春風
どこでも死ねるからだで春風 種田山頭火 草木塔
どちらから吹くも春風風見鶏 後藤比奈夫
どの磯の松もまねくや春の風 桜井梅室
はなじろむ上古の神や春の風 飯田蛇笏 霊芝
はる風に若駒の尾のなびきけり 政岡子規 春風
はる風の吹きちゞめたりふしの雪 政岡子規 春風
ひかがみをとはに揉むなれ春の風 岡井省二 夏炉
ひき立てる艸の父母たり春の風 素丸 素丸発句集
ひとりぐらしになれて春風門に満つ 大野林火 海門 昭和七年
ふなべり浪のしぶきかかる顔むけて春風とす 荻原井泉水
ほろほろと袴綻ぶ春の風 政岡子規 春風
ぼうと行けば鴎立ちけり春の風 政岡子規 春風
むしろ帆のたるミ見ニけり春の風 政岡子規 春風
むら薄輪に春風や帆のあまり 園女
めでたさに春風吹くや御首途 政岡子規 春風
よき人のよき中に似し春の風 鈴木道彦
らんぷ屋の荷にちろちろと春の風 政岡子規 春風
わらの巣は慈悲のあまりや春の風 りん女
われ貝も浪に通ふか春の風 野紅
カナリヤの夫婦心や春の風 河東碧梧桐
カンガルー袋に乳首春の風 後藤比奈夫
一憂の心にありし春の風 高野素十
一村の二寺隔りて春の風 飯田龍太
一篁一篁の春の風 高野素十
七十の力を以て春の風 高野素十
万葉の風莫の浦春の風 後藤比奈夫
三保行やむかし春風馬堤曲 富安風生
三尺の帯のゆるさよ春の風 政岡子規 春風
三日月の木の間明りや春の風 長翠
三條や袂吹かるる春の風 政岡子規 春風
三條を真中にして春の風 政岡子規 春風
三重に白帆かけたり春の風 政岡子規 春風
不忍に鷁首の船や春の風 政岡子規 春風
不破こえて春風吹くや鳰の海 政岡子規 春風
世わたりは此釣合歟春の風 東皐
串本の近しと聞くも春の風 高野素十
久闊の春風なれば女泣く 高野素十
九十五齢とは後生極楽春の風 富安風生
九十段登りてうれし春の風 林翔
人のふり見てわがふりを春の風 星野立子
人の骨に芽は出ぬものか春風 井上士朗
人もなき几帳を吹くや春の風 政岡子規 春風
人間が動き出しけり春の風 政岡子規 春風
仰向に地蔵こけたり春の風 政岡子規 春風
使者一人大手はいるや春の風 政岡子規 春風
使者一騎大手はいるや春の風 政岡子規 春風
先住の墓にもいまは春の風 高野素十
公園の借馬に乗るや春の風 河東碧梧桐
六国の印章重し春の風 政岡子規 春風
六郷の橋まで来たり春の風 政岡子規 春風
冨士川の海苔すくふ日か春の風 許六
凧をあげると春風らしい子供の群 種田山頭火 草木塔
出て見れば春の風吹く戸口哉 政岡子規 春風
剥製の山鳥の尾や春の風 政岡子規 春風
北風はや春風の詩を生まむとす 三橋敏雄
南より春風吹くや東大寺 政岡子規 春風
卦に曰く春風春雨自ら 高野素十
古佐和や赤菜の中の春の風 許六
古川や鰌泡吹く春の風 政岡子規 春風
古稀といふ春風にをる齢かな 富安風生
古葦に著いてゐる葉の春の風 松本たかし
喜壽艶と解きし心は春の風 富安風生
四方の道ここより発す春の風 橋閒石
四柱の神むつまじや春の風 政岡子規 春風
園児たち休み春風休みかな 後藤比奈夫
地の胸といふ語に春の立ちにけり 細見綾子 天然の風
地震して春の夕の風になる 政岡子規 春の夕
堂の名はみな忘れけり春の風 政岡子規 春風
堂の名はみな忘れたり春の風 政岡子規 春風
壁の窓なほまどか春の風かよふ 山口青邨
壁鏡その後は曇り春の風 山口青邨
夕暮の水のとろりと春の風 臼田亜郎 定本亜浪句集
夜は霜に冴て朝から春の風 卓池
夢かよふ椰子の渚や春の風 水原秋櫻子 蘆雁
大仏の柱くゞるや春の風 勝見二柳
大城の不恰好なり春の風 政岡子規 春風
大寺に知己ひとりゐて春の風 廣瀬直人
大江戸や錦絵を吹く春の風 政岡子規 春風
大蘇鉄三幹を挙ぐ春の風 山口青邨
天に鳴る春風薪を割る男 大野林火 青水輪 昭和二十三年
天守閣よりの松山春の風 高田風人子
太陽に育ちし子供春の風 高田風人子
奉公を僧介添や春の風 河東碧梧桐
女御塚その春風をともにせり 岡井省二 夏炉
女等のスカーフの皆春風に 高野素十
妙興寺村妙興寺春の風 高野素十
妻もたぬ人のうとまし春の風 政岡子規 春風
娶幾組われらにもまた春の風 山口青邨
子をとろの末の末の子春の風 中村汀女
子を持ぬ蜑が家はなし春の風 成田蒼虬
子供下駄吊して売るや春の風 鈴木真砂女
宝積む船の著きけり春の風 政岡子規 春風
小原女をめづらしがるや春の風 政岡子規 春風
小城下に春風吹くや馬芝居 政岡子規 春風
少女には読めぬ寺の名春の風 飯田龍太
居給へば起たせ給へば春の風 富安風生
山々を揺り甲斐駒へ春の風 飯田龍太
山深く松を植うるや春の風 永田耕衣
山越えて刻のあとゆく春の風 飯田龍太
岡寺へ登り二丁や春の風 星野立子
岩群に雲遊ぶ山の春の風 村山故郷
岩間より春風の里見ゆる哉 政岡子規 春風
島の夜半の風にも馴れて春の星 村山故郷
川越えて来し切れ味の春の風 後藤比奈夫
幣大きければ大きな春の風 後藤比奈夫
平家方の赤褌や春の風 政岡子規 春風
廻廊や燈籠ゆれる春の風 政岡子規 春風
廻廊や燈籠動く春の風 政岡子規 春風
待春の大樹の風を孕みたる 上野泰
念腹の船つく頃は春の風 高野素十
想ふべし三歳児以前の春の風 三橋敏雄
成らぬことをすぐにあきらめ春の風 富安風生
手を合はせ我も仏や春の風 高野素十
拝みたき卒寿のふぐり春の風 飯島晴子
撫あげる昼寐の顔や春の風 黒柳召波
撫やるやむしろの下の春の風 鳳朗
散のこる葉を春風のもみぢ哉 松岡青蘿
文台や二見が浦の春の風 政岡子規 春風
料理屋の看板吹くや春の風 政岡子規 春風
旅人の上向いて行く春の風 政岡子規 春風
旅人の城へ上るや春の風 政岡子規 春風
日々の新た日々春の風 高野素十
日の旗や四階五階の春の風 政岡子規 春風
昇天の夢や見るらん春の風 政岡子規 春風
明る野や兎の尻に春の風 曉台
明日も出んあすも野に出ん春の風 井上士朗
春の夜の風引声や禿呼ぶ 政岡子規 春の夜
春の風*みせのせんべい散みだす 東皐
春の風といふよりやはり海の風 後藤比奈夫
春の風ときには死とも会話して 岸田稚魚 紅葉山
春の風とは健康なときの風 後藤比奈夫
春の風よんどころなく吹いてをり 桂信子 花影
春の風わたる鶫の低き空 廣瀬直人 帰路
春の風二つ帆のある小舟哉 政岡子規 春風
春の風宙にも川のながるるよ 平井照敏
春の風少年の影砂と親し 廣瀬直人 帰路
春の風市の月夜の身にそはね 松窓乙二
春の風帆のなき舟も流れけり 政岡子規 春風
春の風心彳みをりにけり 後藤夜半 底紅
春の風戒壇院の柱にも 高野素十
春の風断頭台に上りけり 政岡子規 春風
春の風薄暮の月の幽かなる 日野草城
春の風面てに白洲明りあり 岡井省二 鯛の鯛
春の風馬肉売る店の並ひけり 政岡子規 春風
春風 ブランコ 墜落したはやはり道化 伊丹三樹彦
春風が吹くとて遊ぶ女かな 政岡子規 春風
春風が消えにはとりも暗くなる 飯田龍太
春風つかむ乳母車より十指現れ 伊丹三樹彦
春風として空溝を跳ねまんねん 永田耕衣
春風となる昼網をみてゐたり 岡井省二 有時
春風とはいうものの白浪だちし眺めなり 荻原井泉水
春風にいさみを見せつ土産虎 初水 江戸名物鹿子
春風にこかすな雛の駕籠の衆 荻子
春風にこの一文を携へん 高野素十
春風にこぼれて赤し歯磨粉 政岡子規 春風
春風にさかふて濁る野川哉 松岡青蘿
春風にしぼむものあり干大根 政岡子規 春風
春風にたちまち色の沁む旅心 飯田龍太
春風につい置きしほどの寺門かな(浄瑠璃寺へ) 細見綾子
春風にてらすや騎射の綾藺笠 炭太祇
春風にぬぎもさだめぬ羽織かな 亀翁 猿蓑
春風にのびて縮みて甲斐の山 飯田龍太
春風にのべふすいろや淡路島 松岡青蘿
春風にふき出されけり水の胡蘆 去来
春風にふとりもせぬか虎子石 政岡子規 春風
春風にむかふ椿のしめり哉 野坡
春風にわらすべ盗む雀かな 為有
春風に一人の巫女の現はれし 高野素十
春風に今ゐし老を見失ふ 高野素十
春風に兄凧弟凧段差あり 阿波野青畝
春風に出て充実の蟇 飯田龍太
春風に出土のものの一と莚 高野素十
春風に吹出されたり水の胡蘆 去来
春風に塵もほどくる氷かな 智月尼
春風に尾をひろげたる孔雀哉 政岡子規 春風
春風に慌しくも旅終る 高野素十
春風に我名かへばや京太良 鈴木道彦
春風に捨てゝもどらん魚の腸 原石鼎 花影
春風に昂然といふ言葉あり 高野素十
春風に松毬飛ぶや深山径 前田普羅 春寒浅間山
春風に残しおくべきものもなし 高野素十
春風に生れめでたき女の子 高野素十
春風に白鷺白し松の中 小西来山
春風に眼小さくなる老母 飯田龍太
春風に神官が立ち欅立つ 廣瀬直人
春風に突と馬臭や火山麓 藤田湘子 てんてん
春風に線香の煙まぎれけり 政岡子規 春風
春風に線香燃えてゐるを見る 高野素十
春風に船は煙を陸に引き 中村汀女
春風に荒蕪といふを悲しまん 高野素十
春風に裏木戸開けて見て訪ひぬ 星野立子
春風に転ぶ不覚を人に見せ 鈴木真砂女 都鳥
春風に野生え山吹株成さず 細見綾子 桃は八重
春風に針の折れたる女かな 政岡子規 春風
春風に鍛冶の烏帽子のゆがみけり 政岡子規 春風
春風に門を出でざる自愛かな 富安風生
春風に闘志いだきしむかしごと 山口青邨
春風に雪踏ぬらすや東山 高桑闌更
春風に顔ならべけり燕の子 政岡子規 春風
春風に髪の苦はなし櫛田川 乙由
春風のあとさきもみな咄かな 成美 成美家集
春風のいねいねと囁く眠し 石塚友二 光塵
春風のおしろい刷毛でありにけり 波多野爽波
春風のこそつかせけり炭俵 几董
春風のちよいと茶店が出来ました 種田山頭火 草木塔
春風のとり乱したる弥生哉 政岡子規 弥生
春風のどちらを見ても白帆哉 政岡子規 春風
春風のふつとふくらむ木芽哉 政岡子規 春風
春風のぽつちり白し都鳥 政岡子規 春風
春風のゆくへにも眼をしばたたく 飯田龍太
春風のゆく青空に子の名置く 飯田龍太
春風のアポコペは我が顎かな(悼・鍵谷幸信氏*註・アポコペ=西脇順三郎詩<アポカリプス>(『鹿門』)末尾の四字。ギリシャ語・<以下脱落>の意) 永田耕衣
春風の一人の遠く~行く 高野素十
春風の一日のみち長かりし 高野素十
春風の中に一筋寒さ哉 政岡子規 春風
春風の乞食芝居も鬘かな 河東碧梧桐
春風の人欄に倚る閣の上 政岡子規 春風
春風の六七人に法を説く 高野素十
春風の勿来の関を妻と越え 高野素十
春風の句を案じつゝ散歩哉 政岡子規 春風
春風の右へ左へ炉の煙 高野素十
春風の吹いてをりたる名残惜し 高野素十
春風の吹いて居るなり飴細工 河東碧梧桐
春風の吹いて心の慌し 高野素十
春風の吹きちゞめたる不尽の雪 政岡子規 春風
春風の吹きつけてゐるくぬぎかな 渡邊白泉
春風の吹きやすかりし頬に山 岡井省二 夏炉
春風の吹き残したり富士の雪 政岡子規 春風
春風の吹くにつけても草の庵 政岡子規 春風
春風の吹けども黒き仏かな 政岡子規 春風
春風の吹けばしぼむや干大根 政岡子規 春風
春風の四方にひろがる勝手口 飯田龍太
春風の塵かと見れば蚊の一つ 政岡子規 春の蚊
春風の女凌雲閣に上る 政岡子規 春風
春風の女吹くなり二月堂 政岡子規 春風
春風の姿やさしき柳かな 政岡子規 春風
春風の少し吹きたる芝生かな 高野素十
春風の庭試みに十歩行く 高野素十
春風の心に少し憂あり 高野素十
春風の戸口に赤き幟かな 政岡子規 春風
春風の扉ひらけば南無阿弥陀仏 種田山頭火 草木塔
春風の手柄見せけり桃柳 政岡子規 春風
春風の文殻吹くや留守の宿 政岡子規 春風
春風の断頭台に上りけり 政岡子規 春風
春風の月に跡さす衾かな 智月尼
春風の朝隅々に主婦の智慧 飯田龍太
春風の来る庭詰の僧の膝 後藤比奈夫
春風の来る河馬が目をつむるとき 後藤比奈夫
春風の果に無言の起伏待つ 飯田龍太
春風の柔かに吹く憂ひかな 富安風生
春風の檜原を駈けし少女かな 岡井省二 前後
春風の死ぬる空溝通りかな 永田耕衣
春風の油断も見えぬ柳かな 政岡子規 春風
春風の渡るためにも橋普請 後藤比奈夫
春風の爽やかなるを怪しめり 相生垣瓜人 負暄
春風の石を引切わかれかな 嵐雪
春風の石人二人言はず 高野素十
春風の破れ風車にめぐるもの 平井照敏 猫町
春風の禽にけはしき眼あり 飯田龍太
春風の脊丈みしかし不二のやま 政岡子規 春風
春風の舟飄々と流れけり 政岡子規 春風
春風の船に酔ふたる女哉 政岡子規 春風
春風の苦みや少し蜆汁 晩得 哲阿弥句藻
春風の蓑虫ひよいとのぞいた 種田山頭火 草木塔
春風の裏返し吹く忘れ物 岸田稚魚 紅葉山
春風の輪袈裟の人でありにけり 波多野爽波
春風の辻堂めの字めの字哉 政岡子規 春風
春風の運び来くれし刻の中 後藤比奈夫
春風の鉢の子一つ 種田山頭火 草木塔
春風の隼おのが嶺をめざす 飯田龍太
春風の頬にくつ附くは酷ならむ 永田耕衣
春風の館の楕円の大鏡 上野泰
春風の高さくらべん富士筑波 政岡子規 春風
春風の鷹にむらがる山鴉 飯田龍太
春風の齢八十美しき 高野素十
春風は吹けり裏町に児等あふれ 三橋鷹女
春風は髭に音する山路哉 万子
春風も揃へて麦も稲むしろ 史邦
春風も眠る日和や子守うた 政岡子規 春風
春風も西へ~と百ヶ日 乙訓
春風も静な夜半をまどひ年 惟然
春風やあつてもいらぬ門の錠 鳳朗
春風やあらはに暮るる竃の火 冬青集 大野林火 雨夜抄
春風やおとづれそむる凧 政岡子規 春風
春風やごみ吹きよせて不二の影 政岡子規 春風
春風やすぐに似合ひてボート漕ぐ 星野立子
春風やちよろりちよろりと波の音 政岡子規 春風
春風やにはたづみにもある渚 三橋敏雄
春風やはしらをめぐる寛永寺 諌圃 鼠道行
春風やほろりほろりと折れる蘆 政岡子規 春風
春風やまだ赤さびの杉の色 政岡子規 春風
春風やまりを投げたき草の原 政岡子規 春風
春風やよごれて戻る手習子 吾仲
春風やわかれて見ゆる水の末 長翠
春風やわざくれらしき扇子折 桜井梅室
春風やわら屑うごく泥の中 渡邊白泉
春風やビルの二階は探偵社 雨滴集 星野麥丘人
春風や一期さかえし榛の花 建部巣兆
春風や一膳めしの大行燈 政岡子規 春風
春風や三保の松原清見寺 佐藤鬼房
春風や三味線堀のさゝら波 政岡子規 春風
春風や三尺前の馬の貌 藤田湘子
春風や上げし線香の燃えてゐる 星野立子
春風や不二を見こみの木賃宿 政岡子規 春風
春風や二つかさなる傘のかげ 長翠
春風や二階の君が唾飛ぶ 東皐
春風や五反帆川をさかのぼる 政岡子規 春風
春風や井戸は昔しの星月夜 政岡子規 春風
春風や井戸へはひりしつはくらめ 政岡子規 春風
春風や人の波うつ淡路町 政岡子規 春風
春風や人の見残す鳥部山 鳳朗
春風や人表より裏より来 星野立子
春風や仁王の腕の馬の沓 政岡子規 春風
春風や伊勢をの海人のさばき髪 政岡子規 春風
春風や何の夢見る朽柳 政岡子規 春風
春風や何の木高き武家屋敷 政岡子規 春風
春風や何も彫らざる石の面 橋閒石 雪
春風や侍二人犬の供 小林一茶
春風や侍町の枕売 政岡子規 春風
春風や動くともなき鳶の羽 三宅嘯山
春風や千里距つる呱々の声 林翔
春風や去年の落葉の小石原 政岡子規 春風
春風や右に左に子をかばひ 中村汀女

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by 575fudemakase | 2016-02-25 00:02 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

桃の花

桃の花 の俳句

桃の花 の例句 (←ここをクリック)
http://fudemaka57.exblog.jp/23767736/


桃の花 補遺

あめふれど霧消す丘べ桃の花 飯田蛇笏 雪峡
ありと言へば闇夜もよろし桃の花 森澄雄
うたた寝についでうたた寝桃の花 森澄雄
うたた寝のわれも杜子春桃の花 森澄雄
うたゝねの窓に胡蝶やもゝの花 政岡子規 桃の花
かなしみのしづかな笑ひ桃の花 平井照敏
から尻に夫婦のりけり桃の花 政岡子規 桃の花
くちすすぐみづ井の甘さ桃の花 大野林火 白幡南町 昭和三十三年
けふ出でてわれも野の人桃の花 森澄雄
ことふりしいくさ咄や桃の花 政岡子規 桃の花
この山に緋桃が咲いて御開帳 森澄雄
この峡の水を醸して桃の花 飴山實 次の花
しばらくは桃なかむるや馬の糞 政岡子規 桃の花
しばらくは渡舟客なし桃の花 村山故郷
それを見にとんぼがへりや桃の花 森澄雄
ちこ一人御手なふるや桃の花 政岡子規 桃の花
ちご一人羊なぶるやもゝのはな 政岡子規 桃の花
てらてらと桃の中なり幾個村 政岡子規 桃の花
てらてらと桃咲く中や何ヶ村 政岡子規 桃の花
はなれたる舟の流れず桃の花 政岡子規 桃の花
ははそはの母に歯はなく桃の花 三橋敏雄
ひだるさや杣の子の食む桃の花 飴山實 花浴び
ひとりとはこの世にひとり桃の花 高屋窓秋
ひるめしはむすび一つよ桃の花 星野麥丘人
ふだん着でふだんの心桃の花 細見綾子 桃は八重
まうへかたまる盆地の星よ桃咲けり 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
みなぎりて四国三郎桃の花 鷲谷七菜子 天鼓
めぐりあひしことの美し桃の花 高屋窓秋
もの言うて歯が美しや桃の花 森澄雄
ゆく先の水かげろふに桃の花 森澄雄
わが持たぬ曲線ばかり桃の花 加藤秋邨
わが旅路こゝより能登や桃の花 高浜年尾
をさなきをみせてゆまるや桃の花 森澄雄
アパート巍(ぎ)然古き畑に桃咲いて 山口青邨
一ト畑は嫗のほまち桃の花 飴山實 辛酉小雪
一本は物干しにせよ桃の花 政岡子規 桃の花
一村を日に蒸しこめて桃の花 内藤鳴雪
一軒の藁家全き桃の花 廣瀬直人
三年にして六尺の桃の花 政岡子規 桃の花
不言問木尚妹与兄桃李 政岡子規 桃の花
世の中のいくさに逃げて桃の花 政岡子規 桃の花
並松をあとにひかへて桃の花 政岡子規 桃の花
人一人までを乱れて桃の花 永田耕衣
人仰ぎ犬駈け過ぐる桃の花 星野立子
人住まぬ山と思へば桃の花 政岡子規 桃の花
人載せて牛載せて桃の渡し哉 政岡子規 桃の花
仏壇に桃活けてある三日哉 政岡子規 桃の花
仏恩の日向うしなふ桃の花 上田五千石 天路
傾きてながるる古瀬桃咲ける 松村蒼石 寒鶯抄
其中に家四五軒や桃林 政岡子規 桃の花
出女が恋する桃に花が咲く 政岡子規 桃の花
出女が恋持つ桃に花が咲く 政岡子規 桃の花
剪りすくめられし枝より桃咲ける 百合山羽公 故園
原中や突然として桃の花 政岡子規 桃の花
原稿紙まだ白のまま桃の花 森澄雄
古瓦積まれて緋桃まつ盛り 松村蒼石 雁
句ごころはたをやにたもて桃の花 上田五千石『風景』補遺
唐人を吠ゆる犬あり桃の花 政岡子規 桃の花
四度瀑の天にすわる日桃の花 飯田蛇笏 家郷の霧
四方からよるや野中の桃の花 政岡子規 桃の花
土間の甕緋桃浸けあり遠砂丘 大野林火 雪華 昭和三十四年
地につゞくこの寂しさは桃の花 高屋窓秋
城東に住みける桃の翁哉 政岡子規 桃の花
壮年の昼寝ぐせつく桃の花 森澄雄
外科療舎出て荼毘のみち緋桃咲く 飯田蛇笏 家郷の霧
夜々吼ゆる犬のゐるなり桃の花 森澄雄
夜机に涙ふたつぶ桃の花 石田勝彦 百千
大戦果わたる海かな桃の花 渡邊水巴 富士
天冠を雛に著せたり桃の花 政岡子規 雛
妻は名の釈尼光華へ桃の花 森澄雄
室町や緋桃咲いたる古き家 河東碧梧桐
富士かくる雨に桃さく田畔かな 飯田蛇笏 雪峡
小娘の畑打つ頃や桃の花 政岡子規 桃の花
小娘も畑うつ頃や桃の花 政岡子規 桃の花
屏風して夜の物隠す桃の花 村上鬼城
山畑の花桃の下ひとり猫 森澄雄
山碧し花桃風を染むばかり 飯田龍太
山門のうちにも桃の花ざかり 森澄雄
峡空は海溝の青桃の花 上田五千石『琥珀』補遺
川上は桃も桜もなかりけり 政岡子規 桃の花
往き来して耕耘倦まず桃の花 森澄雄
御供米の取次所とて桃の花 岡本眸
徽草なき学帽の子や桃の花 清崎敏郎
恋猫に留守あづけるや桃の花 政岡子規 桃の花
恋猫の留守あづかるや桃の花 政岡子規 桃の花
悦楽か怡楽か桃の花ざかり 森澄雄
扁額に雑華世界や桃の花 森澄雄
故郷に桃咲く家や知らぬ人 政岡子規 桃の花
故郷はいとこの多し桃の花 政岡子規 桃の花
料理屋は川魚ばかり桃の花 政岡子規 桃の花
旅にして昼餉の酒や桃の花 河東碧梧桐
日おもての水は自堕落桃の花 鷹羽狩行
昔爺と婆と住みけり桃の花 政岡子規 桃の花
春の水手桶に満ちて桃咲けり 高屋窓秋
時かけて桃咲く寺の普茶料理 森澄雄
暮れ際に桃の色出す桃の花 上田五千石 森林
曉闇も人類無かれ桃の花 永田耕衣
朝靄にくれなゐ溶けて桃咲けり 相馬遷子 山河
村童の異人にたかる桃の花 政岡子規 桃の花
東から日の射す裾に桃の花 右城暮石 声と声
枝あげてあげて白桃咲きにけり 石田勝彦 秋興
柑園をかくゆきぬけに桃咲けり 飯田蛇笏 春蘭
柳青しあひまあひまの桃の花 政岡子規 桃の花
桃さくやゐなかは旧の雛祭 政岡子規 桃の花
桃さくや三寸程の上り鮎 政岡子規 桃の花
桃さくや李白は樽を枕にて 政岡子規 桃の花
桃さくや湖水のへりの十箇村 河東碧梧桐
桃さくや紙のやうなるふしの山 政岡子規 桃の花
桃さくや脚半菅笠竹の杖 政岡子規 桃の花
桃の背戸柳の門や二三軒 政岡子規 桃の花
桃の花あたら惜しげもなく伐れり 右城暮石 一芸
桃の花いづくに靄の生れゐる 松村蒼石 雪
桃の花てのひら右とひだりかな 亭午 星野麥丘人
桃の花どつと禅よせて来るやうな 右城暮石 句集外 昭和七年
桃の花には臥薪なし嘗胆も 後藤比奈夫
桃の花に降りてやうやく霧ながる 加藤秋邨
桃の花の下にて桃となる少女 平井照敏
桃の花ビルの奈落へ投げ込まる 岡本眸
桃の花人待ち顔の野中哉 政岡子規 桃の花
桃の花加へ背負籠ひと揺すり 岡本眸
桃の花吾は黙つて日を愛す 細見綾子
桃の花垂れ込んでくる月日かな 飯島晴子
桃の花家半ばまで陽が入りて 森澄雄
桃の花母よと思えば父現われ 永田耕衣
桃の花満ちて小声の夫婦来る 廣瀬直人 帰路
桃の花空の重たき日なりけり 鈴木真砂女 都鳥
桃の花窓から粉が飛ぶ製粉所 中村草田男
桃の花老の眼にこそ精しけれ 永田耕衣
桃の花若狭蝶の干されけり 阿波野青畝
桃の花葉ののびやすき山の畑 右城暮石 句集外 昭和六年
桃の花過ぎし橋を渡りてひろし 中川一碧樓
桃の花遠く白玉光りたり 細見綾子 桃は八重
桃の花鏡は知らぬ姿哉 政岡子規 桃の花
桃の花鏡を知らぬ娘かな 政岡子規 桃の花
桃の花雨風の夜がまだ残り 廣瀬直人
桃の花露あるうちは人の来ず 右城暮石 声と声
桃原の墓とつたへて桃の花 飴山實 花浴び
桃咲いて三歳の子の小弁当 林翔 和紙
桃咲いて厩も見えぬ門の内 村上鬼城
桃咲いて機織る村の戸口かな 政岡子規 桃の花
桃咲いて沼が近くにある感じ 清崎敏郎
桃咲いて牛行く背戸の小山かな 政岡子規 桃の花
桃咲いて犬ひたむきに通りけり 橋閒石 和栲
桃咲いて畦畑の麦そろひたる 飯田蛇笏 椿花集
桃咲いて笠縫村に長居せり 岡井省二 山色
桃咲いて近づくものに忌のひとつ 鷲谷七菜子 花寂び
桃咲いて遠目にまろき農婦の手 岡本眸
桃咲いて開けてゐるなり筆箪笥 岡井省二 鯨と犀
桃咲いて風の日輪たかかりき 飯田蛇笏 春蘭
桃咲いて風は素足で歩きけり 平井照敏 天上大風
桃咲きて鳥もけものも逃げぬ里 鷹羽狩行
桃咲くと その木をめぐる 半健康 伊丹三樹彦
桃咲くと鉄線の棘へだて話す 岡本眸
桃咲くと風の中なる一童子 原裕 青垣
桃咲くやあけぼのめきし夕映に 渡邊水巴 白日
桃咲くやつとに遍路となるごとく 岡井省二 猩々
桃咲くや古き都の子守唄 政岡子規 桃の花
桃咲くや可愛いと思ふ女あり 政岡子規 桃の花
桃咲くや塔影低く日は斜 村山故郷
桃咲くや墓地につづける野の焼場 松崎鉄之介
桃咲くや妻になる人誰誰そ 政岡子規 桃の花
桃咲くや川の明りの鉄路まで 岡本眸
桃咲くや海道の星みなうるみ 百合山羽公 故園
桃咲くや病秀才は門を出ず 上田五千石『田園』補遺
桃咲くや納豆工場真夜の燈を 大野林火 白幡南町 昭和三十年
桃咲くや隣の娘婚礼す 政岡子規 桃の花
桃咲くや雪壁かすむ間の岳 水原秋櫻子 餘生
桃咲く里へ降り紅顔の落下傘 金子兜太
桃咲けば女人あはれや桃に昏れ 三橋鷹女
桃咲けば手まづさへぎる鮠の水 飴山實 次の花
桃咲けり咲けりと誰も言はず過ぐ 三橋敏雄
桃咲けり島人鳥賊を門に干す 村山故郷
桃咲けり燦爛として海荒れつ 水原秋櫻子 古鏡
桃咲けり胸の中まで空気満ち 三橋敏雄
桃柳河に臨みて誰が楼ぞ 政岡子規 桃の花
桃梅を笑へば梅も桃を笑らふ 政岡子規 桃の花
桃畑白桃ひとつ目立ちけり 政岡子規 桃の花
桃赤し山の東の古砦 政岡子規 桃の花
桜より奧に桃さく上野哉 政岡子規 桜
橋こえて桃の小村へいそぐ哉 政岡子規 桃の花
此里に美女二人あり桃の花 政岡子規 桃の花
歯のうづきかかへて一日桃の花 森澄雄
歳老いて何の奢りの緋桃咲く 森澄雄
母の忌や梅にかはりて桃の花 岸田稚魚 紅葉山
水仙の花のさかりや桃の花 政岡子規 桃の花
汐気含む空気に桃の花開く 右城暮石 句集外 昭和三十六年
法苑の雨美しや桃の花 上田五千石『天路』補遺
海ぬれて沙丘の風に桃咲けり 飯田蛇笏 雪峡
海山をこの見具合や桃のかけ 政岡子規 桃の花
淡海晴れ母との車窓桃の花 松崎鉄之介
温泉の里は桃咲く谷の川ほとり 星野立子
湖に臨む小村や桃の花 政岡子規 桃の花
潺々と水来て去りぬ桃の花 飴山實 辛酉小雪
灯を消して桃咲く駅でありにけり 山田みづえ 木語
灯を消せば許六の桃のかをり哉 政岡子規 桃の花
点滴注射明日より減るよ桃の花 相馬遷子 山河
烈風や月下にさわぐ緋桃あり 原石鼎 花影
焼津桃咲き突堤の魚蹴つとばす 飴山實 おりいぶ
熔岩かげに緋桃ホテルヘ湖畔道 松崎鉄之介
燕の家尋ぬるや桃の花 政岡子規 桃の花
父死後や面影も死に桃咲くか 森澄雄
牛飼も牛も眠るや桃の花 政岡子規 桃の花
犂牛に畛桃さく富士おもて 飯田蛇笏 雪峡
犬の子を負ふた子供や桃の花 政岡子規 桃の花
生き身こそ蹤跡無かれ桃の花 永田耕衣
生徒の眼緋桃買ふ吾を祝福す 林翔 和紙
田に水を入れんと湖北桃の花 飴山實 花浴び
畑中に一本咲くや桃の花 政岡子規 桃の花
白桃の花やこぼるゝ朝の露 政岡子規 桃の花
白桃の花やこぼれて松のつゆ 政岡子規 桃の花
白桃の露や花なる花や露 政岡子規 桃の花
白桃やのこるは花よちるは露 政岡子規 桃の花
白桃や日永うして西王母 政岡子規 桃の花
百姓の不機嫌にして桃咲けり 橋本多佳子
百姓の娘うつくし桃の花 政岡子規 桃の花
百姓の目ばかり窪み桃の花 廣瀬直人
盗或る夜桃の小村を掠め去る 政岡子規 桃の花
目覚むるも睡るも男桃の花 廣瀬直人
石にも児の温み桃の花間の男声 赤尾兜子 歳華集
神々いつより生肉嫌う桃の花 赤尾兜子 歳華集
神棚に榊と雛の桃の花 高野素十
移し植えて信濃の緋桃三年ごし 松村蒼石 雁
税軽き十戸の村や桃の花 内藤鳴雪
穴師より三山のぞむ桃の花 森澄雄
立ちのいて見てはやすむや桃のかけ 政岡子規 桃の花
童子刻むわが体温の桃の花 橋閒石 荒栲
紅唇をゆがめて桃の花くぐる 上田五千石 森林
紅梅に咲き勝たれけり桃の花 政岡子規 桃の花
紅梅を緋桃とも見む雛の日 林翔
紙ひひな花瓶桃の花をますぐ 山口青邨
綾取りの山ふところの桃の花 原裕 青垣
緋桃さき板の間につく両手あり 飯島晴子
緋桃なり神々はまた歩き出す 飯島晴子
緋桃咲き入学の子の道草す 森澄雄
緋桃咲き閨秀画家の家を前 松崎鉄之介
緋桃咲く何に汲みても水光り 岡本眸
緋桃咲く垣に積まるる焼酎甕 松崎鉄之介
緋桃咲く庭にぽつんと備前窯 松崎鉄之介
緋桃白桃うらみつらみをならべけり 日野草城
緋桃菜の花遺残空洞胸に泡く 石田波郷
緋桃見つつ我が目瞬きゐるらしき 加藤秋邨
繋がれて牛も眠るやもゝの花 政岡子規 桃の花
老姉妹緋桃さかりの旅にあり 星野立子
聞かれれば答へる老婆桃の花 廣瀬直人
背戸並ふ小家小家や桃の花 政岡子規 桃の花
膝で折り魚籠にさし込む桃の花 飴山實 花浴び
舟ありて人居らぬ桃の渡し哉 政岡子規 桃の花
花密に緋桃のしだれまつたうす 上田五千石『琥珀』補遺
花桃に泛いて快楽の一寺院 飯田龍太
花桃に白砂の睡り午后の橋 飯田龍太
花桃に逆巻く水のひびきゐる 飯田龍太
花桃のすこし濃すぎる潦 廣瀬直人
花桃の下の涼しき荒筵 飯田龍太
花桃の八重垣へだつ隣はも 上田五千石『風景』補遺
花桃の前に貸したる夫の智慧 中村草田男
花桃の果てに一途の暮天あり 飯田龍太
花桃の満ちたる色に追はれゆく 廣瀬直人
花桃の紅が甘えて山の雨 飯田龍太
花桃の蕋をあらはに真晝時 飯田蛇笏 心像
花桃や一望にして寧楽盆地 森澄雄
花桃や噴火に会ひし人等住む 野見山朱鳥 運命
花鎮め祭の御饌に桃の花 高野素十
茶店あり白馬繋ぐ桃の花 政岡子規 桃の花
草屋二軒赤白の桃咲ける哉 政岡子規 桃の花
草鞋かけて桃の一枝たわみけり 政岡子規 桃の花
荒土の花桃母の死病去る 飯田龍太
荷車に娘載せけり桃の花 政岡子規 桃の花
菜の花の中に家ある桃の花 森澄雄
蔵の香に狎れしなりはひ桃の花 飯田蛇笏 家郷の霧
薄紙のやうなふじあり桃の花 政岡子規 桃の花
行くやすむ気まゝな旅や桃の花 政岡子規 桃の花
衣紋ぬき農婦風入る桃の花 大野林火 雪華 昭和三十四年
褒めること誉められること桃の花 上田五千石『琥珀』補遺
親しさは見送ることの桃の花 古舘曹人 砂の音
賜ふならば白桃の花枝豊かに 大野林火 青水輪 昭和二十六年
賤か家の垣根うつくし桃柳 政岡子規 桃の花
足し算も覚束無くて桃の花 飯島晴子
路はたに桃の花咲く小村かな 政岡子規 桃の花
近山が唇吸い合うや桃の花 永田耕衣
近山の唇落ちかかる桃の花 永田耕衣
運やつと向いて来し桃咲きにけり 鈴木真砂女 都鳥
道うるほへり桃の花したがへり 廣瀬直人 帰路
道元にやさしかりける桃の花 森澄雄
道路鏡にも満開の桃の花 右城暮石 句集外 昭和四十八年
遠墓原も眩しき午後や桃咲いて 中村苑子
野に出れば人みなやさし桃の花 高野素十
鍋提げて桃の中道妻帰る 政岡子規 桃の花
鍬を肩に橋行く人や桃の花 政岡子規 桃の花
鎌倉の雨や緋桃に殊に降る(鎌倉、東慶寺) 細見綾子
開眼のごと桃の花ねむるなり 永田耕衣
降る雨の筋よく見えて桃の花 森澄雄
陶工に今年女の子や桃の花 森澄雄
雛の日の郵便局の桃の花 深見けん二
雛壇や葉を吐いてゐる桃の花 清崎敏郎
雨あしとならぬ雨つぶ桃の花 鷹羽狩行
雨戸まだ開けず湖北は桃の花 飴山實 花浴び
雨空が三日つづいて桃の花 草間時彦
雨雫ぼとぼと落す桃の花 細見綾子
雨雫ぼと~落す桃の花 虹立つ 細見綾子
雨雲のおこす風かも桃の花 飴山實 花浴び
雪代の川のむかうの桃の花 山口青邨
雪山の午下はけぶろふ桃の花 上田五千石 天路
青空に山容溶けて桃の花 上田五千石『風景』補遺
飯くはす小店もなくて桃の村 政岡子規 桃の花
駕吊りし庄屋の門や桃の花 政岡子規 桃の花
髪染めてタンカーは過ぐ桃の花 赤尾兜子 歳華集
髪梳くは死よりも黒し桃の花 高屋窓秋
髪焦げて教へ子は来ぬ緋桃抱き 加藤秋邨
魚浮くや桃の小川の水よどみ 政岡子規 桃の花
鯖大師桃咲く島におはします 阿波野青畝
鶏の目の見てみぬふりの桃の花 上田五千石 風景
鶏鳴くや小冨士の麓桃の花 政岡子規 桃の花
鶏鳴て村静かなり桃の花 政岡子規 桃の花
鶏鳴も花桃睡き彼方より 飯田龍太
麦生もて塗りつぶす隅に桃咲けり 水原秋櫻子 霜林

桃の花 続補遺

*えり株になるや芦間の桃の花 洒堂
あながちに木ぶりは言ず桃の花 炭太祇
うす藪の口をてり出す桃の花 林紅
うつとしき誉人の来るや桃の花 鳳朗
うや無やの関の娘や桃の花 魯九
おもしろふなれば別れや桃さくら 松岡青蘿
かね借りの京わたらひや桃の花 曽良
さし植の素性はなれず桃の花 桜井梅室
その門と見てこそはしれ桃の花 除風
つたへ置け桃咲宿の不老不死 松岡青蘿
としわすれ盃に桃の花書ン 洒堂
ふつゝかな気さへ添けり桃の花 越人
まいら戸に顔見ゆるやと桃の花 支考
みのむしの動きそめけり桃の花 完来
むつ~とにほふでもなし桃の花 木因
よき雨のはれて戸口の桃の花 成田蒼虬
三日月の割付合たり桃の花 凉菟
人の手にあればめでたし桃の花 桜井梅室
伏見かと菜種の上の桃の花 雪芝
何ぞとまれ花のあとなる桃の花 杉風
信楽の壺屋がかどや桃の花 木導
傘のそらにてつたり桃の花 万子
先達や各笈に桃の花 木因
冠にもさはらず雛の桃の花 松窓乙二
前髪の跡ゆかしさよ桃の花 左次
君が代や里は息する桃の花 塵生
埃扣く坐禅蒲団や桃の花 野紅
墓原やいつもり捨てし桃の花 許六
壁土の畔や水越す桃の花 素覧
夜あかりや桃さく門の砂ばしり 井上士朗
太皷はる家でこそあれ桃の花 凉菟
女業する木履の音や桃の花 程已
実をねらふ足軽町の桃の花 朱廸
実を植た子に伸かちて桃の花 桜井梅室
家一つ村にあまりて桃の花 松窓乙二
宿を出て雛わするれば桃の花 猿雖
富士の笑ひ日に~高し桃の花 千代尼
尋入岩戸のおくや桃の花 尚白
川縁は皆桃さけり洗濯場 浪化
布子着て夏よりは暑し桃の花 支考
戸の開てあれど留守也桃の花 千代尼
手ならひの草紙干たる桃の花 浪化
放下師が雪をかほらせ桃の花 建部巣兆
日半路をてられて来るや桃の花 野坡
早さくか年はも行カで桃の花 桃先
昼舟に乗るやふしみの桃の花 桃隣
月の色中野は桃の花ざかり 早野巴人
朝酒のいざや相手に桃の花 北枝
木や竹も気まゝに青桃の花 助然
木母寺の先は桃さく在処かな 桜井梅室
杖すてゝちかづき顔や桃さくら 浪化
桃さかば笠きて酒を買に来ん 支考
桃さかば雛に似たる人や来ん 乙訓
桃さきし畑や獣の跡もなき 寥松
桃さくやよき家建し梓巫女 吉分太魯
桃さくや内乱薬の門にまで 馬場存義
桃さくや宇治の糞船通ふ時 程已
桃さくや畠の肌の脱はじめ 松窓乙二
桃さくら其奥床し夜の雛 松岡青蘿
桃の花けふより水をさかな哉 小西来山
桃の花さくや疝気といとまごひ 除風
桃の花何とて雨にむつまじき 鳳朗
桃の花折手はづれて流しけり 曉台
桃の花熨斗添ずとも贈るべし 鈴木道彦
桃咲て咽の乾きや長堤 正秀
桃咲て石にかどなき山家かな 支考
桃咲て麦も奥ある在所かな 寂芝
桃咲やすはう簾の日のうつり 里東
桃咲やよしのゝこゝろ捨てから 千代尼
桃咲や古き萱屋の雨いきれ 四睡
桃咲や幾度馬に行あたり 千代尼
桃咲や村の小家の物干場 荊口
桃咲や禰宜の屋鋪の鬼門隅 紫道
桃咲や花のあり数鳥おどし 杉風
桃咲や袷羽織のたゝみ皺 遅望
桃咲や西瓜畠のあらおこし 建部巣兆
桃咲や釣瓶はねたる垣のうち 完来
江の島は湖の中なり桃の花 長翠
深川はふしみに似たり桃の花 一晶 温故集
火はもえて内に人なし桃の花 鼠弾
痩桃の花にめでたる雛かな 許六
立よりて苣な荒しそ桃の花 黒柳召波
笠とらむ売場の酒に桃の花 支考
節句らし夷棚にも桃の花 寥松
紅裏の手ぎは見せてや桃の花 りん女
膳棚につかひあまりや桃の花 此筋
膳立に水うつ比か桃の花 支考
船頭の耳の遠さよ桃の花 支考
色深し今年よりさく桃の花 松岡青蘿
草の戸に草の餅なし桃の花 五明
草槇の身肌もうくや桃の花 野紅
菓子盆にけし人形や桃の花 其角 五元集
蓑笠もとかで伏見の桃の花 卓池
薄色やむかしおぼえて桃の花 蘆本
角菱(つのびし)の餅にありとも桃の花 鬼貫
貰ふべき家遥かなり桃の花 吐月 発句類聚
赤人の数寄にゑぼしや桃の花 北枝
起~は鴬若し桃の花 露川
足軽の女房や碁をうつ桃の花 夕道
軒裏に去年の蚊動く桃の花 鬼貫
道々や犬になかれて桃の花 才麿
部屋~へ分て行けり桃の花 望翠
酒によしことぶきによし桃の花 杉風
醴に散かゝりけり桃の花 許六
里の名や哥にもよまず桃の花 許六
重箱や一輪添し桃の花 千川
野の草も穂をはらみけり桃の花 野紅
金柑はまだ盛なり桃の花 介我
鍬さげてしかりに出るや桃の花 凉菟
降たほど照るは律儀な桃の花 支考
隠れ家も色に出にけり桃の花 千代尼
雛達のつぼみの皃や桃の花 智月尼
雨足の思ひ切ッたる桃の花 荻人
雲中に人の声有桃の花 松窓乙二
青麦の波まだ浅し桃の花 松窓乙二
餅くはで関をばこえじ桃の花 支考
餅喰はぬ旅人はなし桃の花 支考
鴬の飛ひろげたり桃の花 荻人
鵯やされども残す桃の花 釣壺

以上
by 575fudemakase | 2016-02-24 11:39 | Trackback | Comments(0)

椿 補遺2

椿 補遺2

気散じの東司に椿一輪挿 平畑静塔
水の面に落ち大いなる紅椿 桂信子 花影
水垢と椿と吹かれ別れけり 松本たかし
水底に数花明日香の藪椿 大野林火 雪華 昭和四十年
水底に椿こたびは流れ去る 大野林火 飛花集 昭和四十八年
永き日の上枝の椿落ちにけり 日野草城
永き日や一ト木の椿殊に咲く 日野草城
沖かけてゆらり幽暗白椿 佐藤鬼房
沖晴れの開山堂の藪椿 岡井省二 有時
泉暗し古き難破の落椿 三橋敏雄
波のくる砂に椿のさしてあり 山口青邨
波郷忌の家にここだの恋椿 角川源義
泥濘に落ち安らぎの椿かな 鷹羽狩行
泪ためおつるを見ての椿挿す 石川桂郎 四温
洗ひたるごとき椿や師の忌来る 岡本眸
流れゆく椿を風の押しとどむ 松本たかし
流れゆく雛のあと椿流れゆく 大野林火 月魄集 距和五十七年
流れ去る椿の臍の白きかな 前田普羅 普羅句集
流れ得ざる水のよどみの椿哉 政岡子規 落椿
流れ来し椿に添ひて歩きけり 松本たかし
流れ行椿追ひけり曲り道 政岡子規 落椿
浄財の音のコトンと 落椿 伊丹三樹彦
浪騒ぎ 藪騒ぐ島 落椿 伊丹三樹彦
浮ぶ瀬はたちまちに過ぎ落椿 鷹羽狩行
海の鴉椿林の内部知る 橋本多佳子
海女の村昼の男に椿満つ 飯田龍太
海明るすぎて椿の花傷む 右城暮石 上下
海流に日の強く照る藪椿 桂信子 草影
海辺行く傷兵ら士官椿持ちぬ 渡邊水巴 富士
海遠く富士に雪来と椿蒸す 角川源義
深まつて椿のぞつと開くなれ 永田耕衣
深空しぶきて顎と椿かな 岡井省二 猩々
深窓の夜の卓上の落椿 上田五千石『田園』補遺
渦潮に投げて椿を投げ餌とす 鷹羽狩行
湧き出でし旭を孕みたる椿島 佐藤鬼房
湯の道の遅ざくらまた遅椿 日野草城
満庭の椿樹の花序を訊はまくも 中村草田男
満月の椿悉く花果てぬ 石田波郷
満開のいやしからざる椿かな 阿波野青畝
満開の一本立ちの椿かな 右城暮石 散歩圏
滝壺に落ちて椿の崩れざる 平畑静塔
滝津瀬の懸れる如く椿咲く 後藤夜半 底紅
潦椿にのりし水光り 上野泰 春潮
潮の落差しるき礁の落椿 橋閒石 雪
潮風にをどりをどらぬ椿百 阿波野青畝
潮騒にまぎれぬ音や落椿 橋閒石 卯
潮騒のものすさまじく椿咲く阿波野青畝
潮鳴りや霜晴の椿花を見ず 渡邊水巴 富士
激つ瀬やのど瀬にかよふ落椿 山口誓子
激湍に椿泛べる一淀み 能村登四郎
瀬に落ちし椿に水の走り寄り 上野泰 春潮
瀬戸際で見し世はよしや梅椿 能村登四郎
火の独楽を廻して椿瀬を流れ 野見山朱鳥 曼珠沙華
火入れには烏帽子の匠 椿まつり 伊丹三樹彦
灯かへす供華の白菊椿邸 原裕 葦牙
灯ともるや昭々として白椿 日野草城
灯台へ椿踏まねばならざりし 阿波野青畝
灰吹にした跡もあり落椿 政岡子規 落椿
炉をきつて出るや椿に雲もなし 飯田蛇笏 霊芝
為すことはなせり椿の滅多咲 藤田湘子
烈風の中に椿の炎えゐたり 橋閒石 朱明
焚火せし榾残りゐて落椿 右城暮石 句集外 昭和四十五年
煖炉昏し壷の椿を投げ入れよ 三橋鷹女
照るほかは知らぬ椿に祝心 後藤比奈夫
燈台光椿林にあたり散らす 山口誓子
父よりはよき椿ぞの伝へのみ 中村汀女
父祖の地の苔なめらかに椿おつ 飯田蛇笏 白嶽
犇きて椿が椿落しけり 岡本眸
狂女とふ椿はなきや風椿 山口青邨
獄土浄土けぢめなきまま椿落つ 阿波野青畝
玄海を隠す軒端の風椿 阿波野青畝
玉椿 用ある障子間かれて 伊丹三樹彦
玉椿わが身痩せつつ咲きこぞる 富安風生
玉椿八十八の母の息 桂信子 新緑
玉椿大空に日は食まれをり 川端茅舎
玉椿沖の高さに盛りあがる 川端茅舎
玉椿海の日の出は靄ふかし 水原秋櫻子 蘆雁
玉椿玉のやうな子すこやかに 政岡子規 椿
玉椿神座岩を潮干し 角川源義
玉椿空海照りて界なし 川端茅舎
玉椿連理のままに縁むすび 阿波野青畝
玉椿髻華(うず)にさしたる手毬の子 森澄雄
珍品は凡花に如かぬ椿かな 政岡子規 椿
瓶に活けてなほ一輪の風椿 山口青邨
甘酒に 小雪散り込む 椿の宮 伊丹三樹彦
生き皺も骨のようなり椿の日 永田耕衣
生けて待つ珠のやうなる白椿 富安風生
生贄を好まぬ国の 紅椿 伊丹三樹彦
田原かな早咲椿辻々に 上田五千石『琥珀』補遺
画才なきわれをめぐりて落椿 鷹羽狩行
疎ましや椿の寺の案内僧 藤田湘子 神楽
病む明日をつなぎて落つる白椿 斎藤玄 狩眼
病床にけふの椿は明石潟 石田波郷
病経てやや気弱にて椿市 石田波郷
癌病者相次ぎて出づ藪椿 右城暮石 句集外 昭和三十六年
登詣の身は手摺へと 藪椿 伊丹三樹彦
白椿うすみどり帯び湿らへる 大野林火 白幡南町 昭和二十八年
白椿さびしからずや椿の忌 山口青邨
白椿なにか言はねば怖しき 星野麥丘人
白椿ばかり落ちゐし余所の墓 星野立子
白椿ひそやかなるは人語かな 中村汀女
白椿われに冥加の痣ひとつ 藤田湘子
白椿を活けて君いつしか白髪となりし 荻原井泉水
白椿主治医祝ぎ言賜ひけり 石田波郷
白椿咲けるが見ゆる竹の奥 前田普羅 普羅句集
白椿昨日の旅の遥かなる 中村汀女
白椿白莟みたり師に捧ぐ 石田波郷
白椿老僧みずみずしく遊ぶ 金子兜太
白椿落ちたる音に囚はれし 藤田湘子 てんてん
白椿落ちて腐りし日数かな 政岡子規 落椿
白椿落ち際の錆まとひそめ 能村登四郎
白椿雲一山に交響す 高屋窓秋
白波のひるがへる時椿落つ 桂信子 花影
白無垢に また赤無垢に 落椿 伊丹三樹彦
白玉椿をきり落しての小暗かな 齋藤玄 飛雪
百をはなてる神や落椿 飯田蛇笏
百年を経し鏡葉や白椿 水原秋櫻子 旅愁
百椿つぼみばかりや忍冬忌 森澄雄
百鶏をはなてる神や落椿 飯田蛇笏 霊芝
目かくしの手拭とれば落椿 水原秋櫻子 葛飾
目白来てゆする椿の玉雫 松本たかし
目白来よ来よと招きて椿百 阿波野青畝
真中濃く乙女椿の桃色に 原石鼎 花影以後
眼前の椿開きて三日経つ 飯田龍太
矢形飛ぶ雪の縞目の椿かな 石塚友二 光塵
石の上に椿並べて遊ぶ子よ 村上鬼城
石山にこゑの通ひ路落椿 上田五千石『天路』補遺
磨崖ここに椿あり諸仏刻まれておわしけり 荻原井泉水
磯前の椿林に花咲けば 高野素十
磯魚の笠子もあかし山椿 水原秋櫻子 蓬壺
磯鵯に糞かけらるる椿あり 阿波野青畝
祝はゞや花婿花よめ花椿 政岡子規 椿
神々の椿こぼるゝ能登の海 前田普羅 能登蒼し
神代より変らぬ道ぞ紅椿 杉田久女
禅寺に挿す一輪の紅椿 山口誓子
福藁や樹紋飾りし古椿 石田波郷
禽むるゝ大椿樹下に黐搗けり 飯田蛇笏 霊芝
禽を載せ振子ゆらぎの椿かな 阿波野青畝
禿筆は 他人無用の 白椿 伊丹三樹彦
私有地の立入禁止落椿 星野立子
秋時雨椿林の径濡らす 清崎敏郎
移り来てしづけき寺の椿かな 上村占魚 鮎
穴師人に椿の下の井戸暗し(山の辺の道) 細見綾子
立ち出でゝ穢土のうらゝの紅椿 日野草城
童のごとく鵯居る椿かな 阿波野青畝
竹外の一枝は霜の山椿 水原秋櫻子 緑雲
竹山に花ざかりなる紅椿 飯田蛇笏 家郷の霧
竹林に椿折る人の声すなり 前田普羅 普羅句集
竹箒疎なり椿を掃くに足る 福田蓼汀 山火
竹籠にみつや一木の花椿 政岡子規 椿
竹籠にみつや一木の落椿 政岡子規 落椿
笠へぽつとり椿だつた 種田山頭火 草木塔
笠へぽつりと椿だつた 種田山頭火
笹原や笹の中なる落椿 政岡子規 落椿
箒目のままに夕づく 落椿 伊丹三樹彦
節分や栖鳳の軸紅椿(料亭「秋元」) 細見綾子
篁や椿落ちなほ深く落つ 加藤秋邨
籠り飛ぶ小鳥あるらし大椿 松本たかし
糊こぼし椿の花の白きところ 後藤比奈夫
紀の椿飛びて磯菜にころびたり 阿波野青畝
約束のごと椿咲き庵の春 富安風生
約束の如くにそこに落椿 上野泰 春潮
約束の椿はいかに逢ひたしや 富安風生
紅暗し崋山の遺物落椿 百合山羽公 寒雁
紅椿いづれの花も疲れたる 日野草城
紅椿おくれて芽ぐむ木を信ず 平井照敏 猫町
紅椿かがやくときに落ちにけり 上野泰 春潮
紅椿こゝだく散りてなほ咲けり 日野草城
紅椿どこかに人の佇つてをり 桂信子 花影
紅椿びつしり防風林をなす 山口誓子
紅椿仰ぐに さらす喉仏 伊丹三樹彦
紅椿壁炉の上の瓶に挿す 山口誓子
紅椿散り敷く花と守らるる 石川桂郎 四温
紅椿濤音も夜に入りゆけり 桂信子 草影
紅椿白椿恙なかりけり 雨滴集 星野麥丘人
紅椿白椿花好きなご隠居さんで 種田山頭火 自画像 落穂集
紅椿若き一票の手伏せ書き 平畑静塔
紅椿荒石をもて荒瀬とす 山口誓子
紅涙はむかしの泪落椿 上田五千石『田園』補遺
純白の幸福雪に散る椿 有馬朗人 母国
罪障のごとしその根の落椿 橋本多佳子
美しい子が椿照る夕日の中に立ちたれ 尾崎放哉 大正時代
羽山姫命の美(うま)し磯椿 佐藤鬼房
老いながら椿となつて踊りけり 三橋鷹女
老とても面映ゆきとき梅椿 後藤夜半 底紅
老人や何食つて裂く椿の枝 永田耕衣
老侘助有楽椿と言ふもよし 百合山羽公 樂土以後
老居にてすこし椿のなまなまし 能村登四郎
老松に伍してひろがり大椿 上野泰 春潮
老椿己が莟に目つむれり 永田耕衣
聖バレンタイン斬首されし日咲く椿 林翔
聞き得たり椿の落ちし轟音を 相生垣瓜人 明治草
聾唖の指話林の奥に椿透く 野澤節子 未明音
肘の黄は椿をくぐり来しゆゑか 加藤秋邨
肥後椿よき人と居てわが多弁 岡本眸
肥後椿深井ゆたかに汲みこぼし 中村汀女
肥後椿移さんとして咲かれけり 加藤秋邨
背に腹を替えては落つる椿かな 橋閒石 和栲
胎蔵界葉に葉に椿さはに咲く 森澄雄
脳中に入りてたむろす落椿 飯田龍太
腸のよろこんでゐる落椿 飯島晴子
腹這うて椿の枝に乗れる子よ 松本たかし
興奮のなほ冷めやらぬ落椿 相生垣瓜人 明治草抄
舟過ぎし椿の下の早瀬哉 前田普羅 普羅句集
色淡き椿ばかりのあさがすみ 水原秋櫻子 帰心
花さいて幹の斑しるき大椿樹 飯田蛇笏 春蘭
花ちりしあとの枯葉や墓椿 飯田蛇笏 山廬集
花の名を葉に書きつくる椿かな 政岡子規 椿
花の数おしくらしあふ椿かな 阿波野青畝
花びらの肉やはらかに落椿 飯田蛇笏 春蘭
花も葉も一樹全き椿かな 右城暮石 散歩圏 補遺 頑張れよ
花了へし椿つらつら椿の葉 能村登四郎
花咲きて照り葉のかすむ紅椿 飯田蛇笏 家郷の霧
花御堂椿の芯に虻つきて 細見綾子
花御堂紅椿のみまたかなし 山口青邨
花折つて少女椿より降りしばかり 橋本多佳子
花椿きやぴたん屋敷の太鼓橋 角川源義
花椿こほれて虻のはなれけり 政岡子規 落椿
花焦げて落ち~白椿 高野素十
苗二尺花美し名佳し椿買ふ 及川貞 夕焼
苗椿咲きほのめける雪間かな 西島麦南 人音
若者に南風椿も葉ずれする 中村草田男
茶を点てて椿落花の時間あり 加藤秋邨
茶湯寺に日の暮れかかる椿かな 星野麥丘人
菅笠にみつや一木の落椿 政岡子規 落椿
華やぎは通夜の家のみ藪椿 鷹羽狩行
落したか落ちたか路の椿かな 政岡子規 落椿
落したか落ちたか道の山椿 政岡子規 落椿
落しては咲いて椿の数おなじ 岡本眸
落ちあてゝ二ツ落ちたる椿哉 政岡子規 落椿
落ちざまを目にも見るべく椿生く 相生垣瓜人 明治草
落ちずして萎えし椿や浅ましき 相生垣瓜人 負暄
落ちたるにあらず置きたる椿三つ 山口青邨
落ちているのは双柿舎の椿か、この上の 荻原井泉水
落ちてなほ焔となる椿水の上 鷲谷七菜子 銃身
落ちむとす椿に樹下の井戸昏く 後藤比奈夫
落ちる時椿に肉の重さあり 能村登四郎
落ち敷ける椿の花の上の冥さ 長谷川素逝 暦日
落るだけ落て淋しき椿哉 政岡子規 落椿
落日や椿の幹をずり下がり 石田波郷
落椿 どんどん 出雲神楽の裏 伊丹三樹彦
落椿 天竺帰りの大和の地 伊丹三樹彦
落椿 家系に武士は見当らず 伊丹三樹彦
落椿 滅法 坂で喘がす宮 伊丹三樹彦
落椿あかりの罩むる土の上 長谷川素逝 暦日
落椿ありしかば樹をふりあふぐ 日野草城
落椿おとしてめしべふとりけり 平井照敏 猫町
落椿くもる地上の今日の紅 橋本多佳子
落椿ころがつて漁油まみれなる 清崎敏郎
落椿ころがり佗びて根のほとり 日野草城
落椿さらうか 波の穂 つつつつと 伊丹三樹彦
落椿しそめてこぞる蕾なり 及川貞 榧の實
落椿してをる大地起伏あり 上野泰 佐介
落椿して海岸へ抜ける道 清崎敏郎
落椿そこにわが句を追ひつめぬ 加藤秋邨

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by 575fudemakase | 2016-02-24 10:55 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

椿 補遺1

椿 補遺1


*あさり足る鵯さへづれり山椿 飯田蛇笏 霊芝
あがなひぬ彼岸の市の黒椿 星野麥丘人
あけぼのや陸の水泡の白椿 林翔
あはやとはいま紅椿落つるさま 桂信子 草影
あふぎみて椿の花に見おろさる 日野草城
あまたたび雪にいたみし椿咲く 松本たかし
ありし日思ふ酒中花椿愛せし人 村山故郷
いけかへし持仏の棚の椿哉 政岡子規 椿
いちじるく岨根の椿咲きそめぬ 飯田蛇笏 山廬集
いちりん挿の椿いちりん 種田山頭火 草木塔
いつの間に無住寺となり落椿 能村登四郎
いつまでも骨のうごいてゐる椿 飯島晴子
いま一つ椿落ちなば立去らん 松本たかし
いもうとの袂探れば椿哉 政岡子規 椿
うがひすや椿は赤く眼にともる 松崎鉄之介
うすらひに浮むともなく落椿 山口青邨
うち傾ぎ磯馴椿は老いにけり 阿波野青畝
うつし世に浄土の椿咲くすがた 水原秋櫻子 葛飾
うつぶせに椿ちるなり庭の隅 政岡子規 散椿
うつぶせに椿散る也芝の上 政岡子規 散椿
うつぶせに落椿泛く山泉 飯田蛇笏 白嶽
うつ伏せに風につつつつ落椿 星野立子
うれしさよ接木の椿花一つ 政岡子規 椿
おかまひは出来ねど庭の梅椿 星野立子
おのれにこもる藪椿咲いては落ち 種田山頭火 草木塔
おびたゞしく椿散けり馬繋 政岡子規 散椿
お手玉の殊に上手や梅椿 中村汀女
お百度や落ちた椿を拾ふちご 政岡子規 落椿
お習字のはじまつてゐる椿かな 石田勝彦 秋興
かくはしたなく紅に落椿 鷹羽狩行
かほどまで咲くこともなき椿かな 飯島晴子
から臼の中に落ちたる椿哉 政岡子規 落椿
きさらぎの手の鳴る方や落椿 橋閒石 和栲
くたひれをやすめる道の椿哉 政岡子規 椿
くたふれて立とまりたる椿哉 政岡子規 椿
くれなゐといふは梅にも椿にも 亭午 星野麥丘人
くれなゐのまま流れゆく落椿 飯田龍太
ここにこの落ちて一座の紅椿 上田五千石『森林』補遺
こごえゐし雨滴こぼしぬ白椿 中村汀女
こちらむいて椿いちりんしづかな机 種田山頭火 自画像 落穂集
こち向きて風雨の中の赤椿 星野立子
このごろの夜の朧さや白椿 政岡子規 朧夜
この国の十一月は椿咲く 高野素十
さきがけの椿は淡し西王母 水原秋櫻子 蘆雁
さきがけ椿名は初嵐辧乱れ 大野林火 飛花集 昭和四十五年
しがらみの底ぬけ水や落椿 阿波野青畝
したたかに篠と揉みあふ椿かな 阿波野青畝
しとやかや媛笹の上落椿 山口青邨
その声を呑みつつ椿落ちにけり 相生垣瓜人 負暄
それぞれの夢見てねむる姫椿 飯田龍太
それにしてもこの落椿 首塚は 伊丹三樹彦
たそがれは草やはらかに落椿 松村蒼石 雪
たましひは枝にのこして落椿 鷹羽狩行
ちかくきてうかがふ鵯や椿おつ 飯田蛇笏 春蘭
てのひらで椿転がる 運命線 伊丹三樹彦
どの室も椿を活けて島の宿 山口青邨
どの椿にも日のくれの風こもる 飴山實 少長集
なめくぢり蝸牛花なき椿親し 中村草田男
にひどしを嘉して椿太郎冠者 能村登四郎
ぬかりたる森の阪道椿踏む 政岡子規 落椿
ぬかるみの落椿踏み恥を踏み 鷹羽狩行
ぬかるみを跳び来て椿まつりに遇ふ 山田みづえ 忘
ぬくうてあるけば椿ぽたぽた 種田山頭火 草木塔
はだしにて羅漢出まほし落椿 平畑静塔
はなやかに沖を流るる落椿 山口青邨
ぱらぱらと日雨音する山椿 飯田蛇笏 山廬集
ぱら~と日雨音する山椿 飯田蛇笏 霊芝
ひとつ咲く酒中花はわが恋椿 石田波郷
ひとりゐて落ちたる椿燻べし炉火 橋本多佳子
ひねくりし一枝活けぬ花椿 政岡子規 椿
ひねくりし一輪椿活け得たり 政岡子規 椿
ひねくり者ありふくべ屋椿とぞ呼べる 政岡子規 椿
ひねくれし一枝活けぬ花椿 政岡子規 椿
ひもじくておとなしき子や落椿 日野草城
ひらくよりしづくする椿まつかな 種田山頭火 草木塔
ふみつけて蹄はなれぬ椿哉 政岡子規 落椿
ふる年の光をさめし椿かな 原裕 青垣
ふんだんに夜気吸ひ椿花落す 能村登四郎
ほつたりと笠に落ちたる椿哉 政岡子規 落椿
ほろほろと椿こぼるゝ彼岸哉 政岡子規 彼岸
またひとつ椿が落ちて昏くなる 橋閒石 微光
まだら也接木の椿花一つ 政岡子規 接木
みちのくの椿の花に虚子忌来る 高野素十
むさぼりて椿壽七十八の春 富安風生
ゆき当り瀬石をまはりゆく椿 松本たかし
ゆふぐれの椿となりぬ波の音 雨滴集 星野麥丘人
ゆるゆると登れば成就椿坂 杉田久女
よき声の椿をはこぶ闇路あり 飯島晴子
わがひとりさまよへば一つ紅椿 日野草城
わが声となるまで燃えよ落椿 加藤秋邨
わが性の淋しき道へ落椿 山口青邨
わが生けし椿の花に背かれし 相生垣瓜人 負暄
わが鵯を椿の守といふべきか 阿波野青畝
わらしの緒結ひ直すや山椿 政岡子規 椿
われの手のみづかきもまた椿のくに 岡井省二 五劫集
サラリーマンの晩年あまた落椿 右城暮石 句集外 昭和三十四年
デパートの椿展見て旅にも出ず 安住敦
一つ残りて落ち尽したる椿かな 村上鬼城
一つ落ちて二つ落たる椿哉 政岡子規 落椿
一ととせの契愛しく椿咲く 富安風生
一むねハ花にうもるや花椿 政岡子規 椿
一園の椿五衰に入りにけり 石田勝彦 百千
一夜吹き抜いて海凪ぐ椿かな 村山故郷
一山の箒吊るされ 落椿 伊丹三樹彦
一抹や色をはなるる白椿 斎藤玄 狩眼
一月の空見て椿油かな 岡井省二 猩々
一本の帚椿をとばし掃く 阿波野青畝
一枝の椿を挿して下足番 富安風生
一樹にて紅白混成椿咲く 山口誓子
一水の迅きに落つる椿かな 日野草城
一花地に触れて椿の完成す 岡本眸
一花揺れ二花揺れ椿みんな揺れ 星野立子
一輪の日向の椿鞍馬路 清崎敏郎
一輪の椿の真裏鏡中に 岡本眸
一輪の白玉椿夜の地震 松村蒼石 雁
一重二重は巫子らの瞼 藪椿 伊丹三樹彦
一陣の風を仰げば白椿 下村槐太 光背
一鞭に其数知れず落椿 政岡子規 落椿
七月やきらきらしきは日の椿 石塚友二 玉縄抄
三の午椿拾ひて遊びけり 川端茅舎
三分間夢見 玉椿 散椿 伊丹三樹彦
三方が椿の家に萎える足 飯島晴子
三日経て支離滅裂の落椿 桂信子 花影
両側の竹藪長し赤椿 政岡子規 椿
主病む千の椿を雨に委し 及川貞 夕焼
乙女椿相愛の二つづつゆるる 山口青邨
乙女椿紅濃きゆゑに紅乙女 山口青邨
乙女椿落つ豊国の墓ここに 山口青邨
乳いろの花芯厚くし夜の椿 野澤節子 花季
二枝の椿くねりて活けられず 政岡子規 椿
人の子に白玉椿咲きいでぬ 三橋鷹女
人の目のとどく椿の花静か 廣瀬直人 帰路
人仰ぐ我家の椿仰ぎけり 高野素十
人体に椿の闇のこもりたる 桂信子 花影
人去ればみづから暮れて紅椿 岡本眸
人目あり落ち難からむ花椿 相生垣瓜人 明治草抄
人磨忌山の椿の赤ばかり 星野麥丘人
人麿忌山の椿の赤ばかり 雨滴集 星野麥丘人
仰向いて雲の上ゆく落椿 三橋鷹女
低木にて地を真紅に落椿 山口誓子
低椿あやまちもなく地をけがす 山口誓子
住みなれて藪椿いつまでも咲き 種田山頭火 草木塔
佐保姫のもてなしあつし桃椿 政岡子規 佐保姫
佳き庭の大き椿の咲く下に 後藤比奈夫
佳き椿燦々かぞふ二百株 水原秋櫻子 玄魚
侍の首の脆さよ落椿 政岡子規 落椿
修二会いま火の海椿内陣に 大野林火 飛花集 昭和四十六年
俯いて来て落椿蹈まざりき 日野草城
俳歴に満願はなし 椿寺 伊丹三樹彦
借せといふ貸さぬといふ落椿 種田山頭火 自画像 落穂集
借りて享くほつれ茶碗や姫椿 石川桂郎 高蘆
傘新らに咲きみつ椿みて出でぬ 飯田蛇笏 白嶽
兀として坊主椿の花一つ 政岡子規 椿
先づ落ちし椿のありて続きけむ 相生垣瓜人 明治草
先生死に木の白い椿八月九日 中川一碧樓
光陰や蝕まれゐる落椿 清崎敏郎
光陰を切りたる音や椿落つ 藤田湘子 神楽
八重椿水子の塚に全くあり 平畑静塔
八重椿漁港二月の風鳴れど 水原秋櫻子 蓬壺
八重椿蒼土ぬくくうゑられぬ 飯田蛇笏 春蘭
八重椿青土ぬくくうゑられぬ 飯田蛇笏 心像
公園の林の中に椿かな 政岡子規 椿
兵の碑縫う屈進姿勢 落椿 伊丹三樹彦
兵営の衷の草屋や赤椿 川端茅舎
凍りたる雪著いてあり花椿 松本たかし
凸凹に雪にかくれて落椿 上野泰
凹凸に雪にかくれて落椿 上野泰 春潮
初凪や蘂のあふるる磯椿 水原秋櫻子 蓬壺
初御空念者いろなる玉椿 飯田龍太
初鴉白玉椿活ける手の凍え 渡邊水巴 白日
剣士の墓どころ 遮二無二 椿落ち 伊丹三樹彦
北国の弟子のあかしか紅椿 角川源義
北風や椿油は瓶の底 波多野爽波
千五百椿もろびと来たれとぞ思ふ 石田波郷
千仏とわが喉仏 椿まつり 伊丹三樹彦
千切り捨てし絵葉書のこと落椿 香西照雄 対話
午後からの急な風出て崖椿 星野立子
半眼に椿憂きまで満ちにけり 石田波郷
卓に青歯菜箸置に椿の葉 山口誓子
南無地蔵尊、こどもらがあげる藪椿 種田山頭火 自画像 落穂集
南無観南無観達陀は椿かな 岡井省二 大日
南風に勢ひたちけり椿垣 大野林火 白幡南町 昭和三十年
卵より蝶の安産椿咲き 平畑静塔
厄介や乾かして焼く落椿 右城暮石 散歩圏
参道の継ぎ足し舗装落椿 右城暮石 一芸
双椿たゆたふ流し雛かと思ふ 山口青邨
受洗後のさま全容の落椿 秋元不死男
受難史は俺にも 谷戸に紅椿 伊丹三樹彦
叡山の霧の小みちの椿堂 雨滴集 星野麥丘人
叡山の露の小みちの椿堂 星野麥丘人
口籠りに椿の鳩や読初め 石田波郷
古寺を守り倦む椿落ちくだち 木村蕪城 一位
古書を見て椿を見るに生々し 相生垣瓜人 微茫集
古池にちりこむ梅かな椿かな 政岡子規 散椿
合い性の筆は一本 白椿 伊丹三樹彦
合歓は醒めず椿茂りのしづかさに 中村草田男
呱々の声ありしか闇の白椿 林翔
咲きかはり~八千歳の椿かな 村上鬼城
咲きさかり落ちざる椿花荒し 飯田蛇笏 椿花集
咲きそめし椿にかゝる竹の雨 飯田蛇笏 霊芝
咲き満ちし椿の中の恋雀 草間時彦 櫻山
咲き満ちてほのかに幽し夕椿 日野草城
咲く椿枯芝裾に屋根の縞 飯田龍太
土佐の高知の鶫一羽が椿の根に 金子兜太
地に日数椿無惨となりにけり 桂信子 草影
地に落ちて兜に似たり肥後椿 能村登四郎
地に近く咲きて椿の花おちず 飯田蛇笏 椿花集
地の油吸ひ貯めゐたり椿島 平井照敏 猫町
地よりわくしなだま乙女椿かな 原石鼎 花影以後
地上に母立つぴしぴしと椿折る 橋本多佳子
地虫ないて朱ヶのとぼしき椿かな 石橋秀野
坐禅石椿の真紅宙にあり 大野林火 飛花集 昭和四十五年
塋域に石の碁盤や梅椿 木村蕪城 寒泉
塵塚といふも椿の花ばかり 福田蓼汀 山火
塵塚の新陳代謝落椿 阿波野青畝
塵風のつゞきて椿落つること 原石鼎 花影
墓の裏洗ふ椿と影重ね 岡本眸
墓を建て栖する地の落椿 飯田蛇笏 家郷の霧
墓原や椿咲くより散りたがる 三橋鷹女
夕づきし椿か猫の銜めるは 相生垣瓜人 微茫集
夕冷の襟かきあはす椿かな 鈴木真砂女 夏帯
夕凍みのたたいて落す椿の葉 廣瀬直人
夕椿西念坊が鐘撞けり 雨滴集 星野麥丘人
多すぎる椿をおとす役は鵯 阿波野青畝
多摩の子は椿の下に手毬抱き 富安風生
夜なれば椿の霊を真似歩く 永田耕衣
夜を白き椿心を納む刻 中村汀女
夢に見し白妙椿庭にもある 上村占魚
夢のごとき誓ひなりけり落椿 上村占魚 鮎
大切にしてほしき家梅椿 星野立子
大原路や椿落ち添ふ牛の糞 日野草城
大土間はすでに日暮や姫椿 岡本眸
大木の椿咲きけり山社 内藤鳴雪
大椿なりをしづめて花ざかり 日野草城
大神楽とぞ躍りに躍り風椿 山口青邨
大輪の良弁椿腐ち難し 阿波野青畝
大風に花のかくるゝ椿かな 前田普羅 普羅句集
大風のたましひぬけの椿百 藤田湘子
天つ日の下にはねとぶ落椿 阿波野青畝
天に向き地に向き椿皆動く 阿波野青畝
天険に椿礫を鳴らす浪 山口誓子
太つちよの鵯の来てゐる椿かな 雨滴集 星野麥丘人
太郎冠者吾妻しぼりも藪椿 後藤比奈夫
奈落まで落つべかりける椿かも 相生垣瓜人 明治草
契らばや君は赤われ白椿 政岡子規 椿
奥多摩に椿ばかりの花御堂 細見綾子
奥津城やつらつら椿赤のまま 富安風生
好きといぶ椿挿されてありにけり 上村占魚 球磨
妹がため埴輪を埋めよ花椿 野見山朱鳥 荊冠
妻の肩に手をおく暗さ 椿の森 伊丹三樹彦
妻手術木爪・椿・火のごときもの 加藤秋邨
妻既にことしの椿見しといふ 日野草城
姫椿昼餉を何にせむと出で 石川桂郎 四温
存問の椿や虚子の鎌倉に 星野麥丘人 2001年
完全円椿林の洩れ日みな 山口誓子
客土置く田につながりて椿垣 大野林火 月魄集 昭和五十四年
宮守のはき集めたる椿かな 政岡子規 落椿
宮椿 舞い納めたる袖合わす 伊丹三樹彦
家々のそれぞれ椿さかりなり 及川貞 榧の實
家じゆうの声聞き分けて椿かな 波多野爽波
家越シテ椿ノ蕾ウレシカリ 政岡子規 椿
富みし漁家椿を以て籬とす 阿波野青畝
富士見櫓壁白く椿の花を配す 山口青邨
寒さ受くまゝに椿の葉重なり 右城暮石 声と声
寝過ごせり裏庭椿落ち溜り 津田清子 礼拝
小雀日雀古墳の椿花いまだ 佐藤鬼房
尼寺の青頭を囲ふ山椿 森澄雄
山に椿が咲けば魚族の白い腹 右城暮石 声と声
山の娘が椿がくれに橇を曳く 飯田蛇笏 春蘭
山の椿小鳥が二つかくれたり 臼田亜浪 定本亜浪句集
山の鳥啼くをし見れば紅椿 山口青邨
山ふかきほど濃き椿五合庵 能村登四郎
山墓の春の椿の今は実に 松本たかし
山寺の屋根をころける椿哉 政岡子規 落椿
山寺の山寺らしき落椿 星野麥丘人
山椿おのれも知らずさはに落つ 森澄雄
山椿さはに見たりき利休の忌 森澄雄
山椿よりがうがうと鳩のこゑ 飯田龍太
山椿咲きおとろへし四月尽 村山故郷
山椿小松もろとも崖に伏し 福田蓼汀 山火
山椿撰び折り来て実朝忌 松本たかし
山椿昼間の月の白さ哉 政岡子規 椿
山椿高々とある峠かな 河東碧梧桐
山茶花や椿を待たで波郷死す 石川桂郎 高蘆
山道や椿ころけて草の中 政岡子規 落椿
山風に挿したる椿傾きぬ 山口青邨
岩すべる水にうつぶす椿かな 高野素十
峰の寺掃けば掃くほど椿落ち 阿波野青畝
島抜けのごとく瀬にのり落椿 鷹羽狩行
島椿いくさに死にし人の墓 村山故郷
島椿兵ら一しんに便り書く 村山故郷
島椿学ばざりし明眸吸ふごとし 中村草田男
崖の下より捧げ来し紅椿 山口誓子
崖椿捨身のさまに落ちにけり 能村登四郎
崖椿鶏愕きて屋根へ飛ぶ 福田蓼汀 秋風挽歌
川ながれはうだい椿散り放題 三橋鷹女
川椿男と男現はれぬ 飯島晴子
差引の合ひて椿のまつ盛り 岡本眸
師の墓の男坂女坂椿落つ 山口青邨

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by 575fudemakase | 2016-02-24 10:52 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)


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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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