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鎌鼬 の俳句

鎌鼬 の俳句

鎌鼬

例句を挙げる。

お隣の瓦飛びくる鎌鼬 佐藤 重子
さげてゐしものとりおとし鎌鼬 吉岡秋帆影
つっかけの先をすくはれ鎌鼬 赤松子
わが膽に棲みてひさしき鎌鼬 眞鍋呉夫
三人の一人こけたり鎌鼬 池内たけし(1889-1974)
傷を見て少年泣けり鎌鼬 三星山彦
声あげて見てもひとりや鎌鼬 田中よし雄
広重の富士は三角鎌鼬 成瀬櫻桃子
御僧の足してやりぬ鎌鼬 高浜虚子
心急くまゝにまろびて鎌鼬 長谷川 蕗女
本を売り心の隅に鎌鼬 赤尾兜子
柚もぐやきりりと足に鎌鼬 由利茘枝
死神に尻餅つかせ鎌鼬 林 翔
血塗りたる女人あはれや鎌鼬 檜垣括瓠
話には聞いてをりしが鎌鼬 高橋秋郊
貌見せぬ夜叉払ひたる鎌鼬 中村順子
野を飛んできたりし脛に鎌鼬 瀧澤伊代次
鍵穴をぬけてあやふし鎌鼬 筑紫磐井 婆伽梵
鎌鼬/榛の木原の/花嫁/孤影 林桂 黄昏の薔薇 抄
鎌鼬ほったらかしに海のあり 小林貴子
鎌鼬われは静かに病み臥せる 石川桂郎 四温
鎌鼬冬のふらここ漕ぎ眩む 鈴木栄子
鎌鼬前九年町上り坂 宮慶一郎
鎌鼬萱追ふ人の倒れけり 水原秋桜子
馬売りて墓地抜けし夜の鎌鼬 千保霞舟
かまいたち楔を入れて木を挽けば 茨木和生

鎌鼬 補遺

山鳴つて山おそろしや鎌鼬 村山故郷
本を売り心の隅に鎌鼬 赤尾兜子 玄玄
河床掘る群れの下手(しもて)に鎌鼬 佐藤鬼房
牡蠣殻の山に棲むもの鎌いたち 百合山羽公 樂土
記憶の中一生一度鎌鼬 松崎鉄之介
鎌鼬われは静かに病み臥せる 石川桂郎 四温
鎌鼬萱負ふ人の倒れけり 水原秋櫻子 秋櫻子句集
鳥籠の籤(ひご)に噛みつく鎌鼬 佐藤鬼房

以上

by 575fudemakase | 2017-01-28 03:17 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

霜 の俳句

霜 の俳句

霜 の例句1

霜 の例句2

霜 補遺1

霜 補遺2

by 575fudemakase | 2017-01-27 21:38 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

霜柱 の俳句

霜柱 の俳句

霜柱

例句を挙げる。

あたらしき墓のまはりの霜柱 蘭草 慶子
かがやきて空の色ある霜柱 大澤 山世木
からくりの糸いづこにも霜柱 宇佐美魚目 天地存問
ざくざくと踏めば我ある霜柱 林原耒井 蜩
しろがねのこゑびつしりと霜柱 田口紅子
その後も合点のゆかぬ霜柱 田中裕明 櫻姫譚
たとふればわが舎利に似し霜柱 角川春樹
つる枯るる埴崕くづれ霜柱 飯田蛇笏 春蘭
にはとりの蹴散らす朝の霜柱 横田 清香
ふみ立ちて見て霜柱力あり 高浜年尾
ほきとをる下駄の歯形や霜柱 夏目漱石 明治三十四年
ましぐらに小鳥の羽音霜柱 松村蒼石 雪
わが家の門の寒さよ霜柱 京極杞陽 くくたち上巻
一枚の葉が立つて居り霜柱 永田耕一郎 方途
一筋といふや師弟の霜柱 古館曹人
上棟のどかどかと踏む霜柱 福川悠子
世につらきこと早起きよ霜柱 嶋田摩耶子
亡き友は男ばかりや霜柱 秋元不死男
人のわれの癌踏み砕く霜柱 永井龍男
人の家の情に住んで霜柱 石塚友二
何をしに生れて来しか霜柱 鳥居美智子
余震にて倒れてゐたる霜柱 上島清子
元旦の入口のなき霜柱 星野紗一
土ともに崩るる崕の霜柱 正岡子規
土濡れてをり霜柱立ちしらし 野村久雄
墓守はものおぼえよく霜柱 鳥居美智子
大寺や庭一面の霜柱 高浜虚子
夫とし妻としなゝくさ一日の霜柱 中塚一碧樓
室内に朝日折れ入る霜柱 田中裕明 櫻姫譚
寓意なぞなき縦列の霜柱 小宅容義
小田の水ながれてあさし霜柱 松村蒼石 寒鶯抄
山靴に踏めど崩れず霜柱 岡田日郎
峠路の句碑をうづむる霜柱 飯田蛇笏 雪峡
待つ一事ありてはなやぐ霜柱 野見山ひふみ
待避すや壕の真昼の霜柱 原田種茅 径
恪勤の一路隆めぬ霜柱 香西照雄 素心
成満僧待つ瑞門の霜柱 毛塚静枝
戦歿の友のみ若し霜柱 三橋敏雄 眞神
掃きすてし今朝のほこりや霜柱 高浜虚子
斑鳩の骨並ぶかに霜柱 佐川広治
日本語の内側に立つ霜柱 櫂未知子 貴族
星影の降り積みしかに霜柱 稲岡長
昭和より流謫の日々や霜柱 斎藤慎爾
暁紅のあそびといふか霜柱 牧石剛明
梅龕の墓に花無し霜柱 子規句集 虚子・碧梧桐選
横ざまに薙ぎて春立つ霜柱 井沢正江 火襷
潔癖なる沈黙午後の霜柱 津田清子 礼 拝
火の山にして霜柱浄土あり 大橋敦子 手 鞠
狐糞二タ粒秋の霜柱 和知喜八 同齢
玄室の階の数歩や霜柱 斉藤夏風
生垣や人侘びて庭に霜柱 河東碧梧桐
産みに行く夜のびつしりと霜柱 辻美奈子
男手のなくて釘打つ霜柱 澁谷道
畑土のやはらかなれば霜柱 今井杏太郎
痩馬のあら道遅や霜柱 会津八一
石突やかけ声埋づむ霜柱 言水 選集「板東太郎」
私語と私語かたまっている霜柱 坂間恒子
筒井筒まはりの深き霜柱 平山千江
結び直すまがきのもとの霜柱 田山諷子
縄帯の悴いくつぞ霜柱 一茶 ■文化十三年丙子(五十四歳)
苔青き踏むあたりにも霜柱 河東碧梧桐
菊も刈り芒も刈りぬ霜柱 正岡子規
落残る赤き木の実や霜柱 永井荷風
藪かげに土芳の碑あり霜柱 橋本鶏二 年輪
裏道の貝がら砂利や霜柱 丸之 選集「板東太郎」
赫土を盛りて二月の霜柱 松村蒼石 雁
踏みてみてまた踏みしめて霜柱 渡辺茫子
踏み入りて朝日はじける霜柱 上部晴子
踏んづぶしをるなり甲斐の霜柱 高澤良一 ぱらりとせ
踏込んで楽しむ奈落霜柱 嶋田麻紀
轟々たる空や朝日の霜柱 石塚友二
農夫なり系譜辿れば霜柱 鳥谷部康之
遠い日のなづなつむ野の霜柱 所富江
遺言のとほりに土葬霜柱 小室風詩
金輪際茅舎の墓の霜柱 椎橋清翠
鉄の切粉もち上げて霜柱立つ 田川飛旅子 花文字
降臨の地より荒ぶる霜柱 佐藤美恵子
霜柱あとかたもなく午後となりぬ 藤松遊子
霜柱いま崩壊をはじめたる 下村梅子
霜柱おびただしき針胸に持ち 嶋田麻紀
霜柱ぐわらぐわらくづし獣追ふ 前田普羅
霜柱ここ櫛の歯の欠けにけり 川端茅舎
霜柱この土をわが墳墓とす 加藤楸邨
霜柱こゝろおとろへゐたるかな 清水基吉 寒蕭々
霜柱さくさく踏まれ放置畑 佐倉あさ子
霜柱しらさぎ空に群るゝなり 久保田万太郎
霜柱そくそくとなる骨の髄 近藤寿美子
霜柱そだちし石のほとりかな 川端茅舎
霜柱それもやがては眼に馴れて 京極杞陽 くくたち上巻
霜柱で土ふくらむよ自家建つべく 香西照雄 素心
霜柱どの一本も目ざめをり 加藤楸邨
霜柱なほあり夕日とどきけり 松村蒼石 雁
霜柱の皓歯や校歌くり返す 奈良文夫
霜柱の針の山中蘭の温室 殿村莵絲子 花寂び 以後
霜柱はがねのこゑをはなちけり 石原八束(1919-98)
霜柱はた落葉踏む星暗き 堀口星眠
霜柱はや立つ父を葬りしに 津田清子 礼 拝
霜柱ふみてけはしき眉目なる 阿部みどり女
霜柱また年送るこの村に 百合山羽公 故園
霜柱もつとも深きところを踏み 行方克巳
霜柱わが足跡に噛み合へり 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
霜柱ギラギラと立つ田舎の空虚 内藤吐天 鳴海抄
霜柱一夜に髭は伸びまさり 福永耕二
霜柱中年のあと何がくる 平井照敏 天上大風
霜柱伸び霜柱押し倒す 右城暮石
霜柱何の埃の為體(ていたらく) 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
霜柱余命を賭けし一誌冴ゆ 小林康治
霜柱俳句は切字響きけり 石田波郷(1913-69)
霜柱倒れつつあり幽かなり 松本たかし
霜柱兄の欠けたる地に光る 西東三鬼
霜柱到るところに母棲める 河原枇杷男 定本烏宙論
霜柱十二月八日の無数の靴 山口和夫
霜柱千々に砕けむ遠山河 殿村莵絲子 雨 月
霜柱壊ゆるごとくに死に給ふ 小林康治 四季貧窮
霜柱売るべく文は懐中に 清水基吉 寒蕭々
霜柱大きな家に住んでをり 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
霜柱天快適に梢容れ 宇佐美魚目 秋収冬蔵
霜柱女の跫音たのしむも 石田あき子 見舞籠
霜柱子供らが蹴り針千本 殿村菟絲子 『菟絲』
霜柱小石以外は潮騒です 伊藤淳子
霜柱崩る朝日と犬の足残し 畠山あさみ
霜柱崩れて花をなすところ 深見けん二
霜柱心経亡父の声も和す 上野さち子
霜柱払ふて起たす忘れ鍬 河本沙美子
霜柱新しき土古き土 高木晴子 晴居
霜柱春ちかづけばうごきけり 田中裕明 櫻姫譚
霜柱春の骰子七も出でよ 川口重美
霜柱枕辺ちかく立ちて覚む 山口誓子
霜柱次第に倒れいそぐなり 松本たかし
霜柱歓喜のごとく倒れゆく 野見山朱鳥
霜柱水の匂ひの未来都市 保坂敏子
霜柱獵人畑を荒しけり 寺田寅彦
霜柱生れる音を風に聞き 中村恭子
霜柱癌といふ字を踏み砕く 永井龍男
霜柱白宮殿を現じけり 下村梅子
霜柱眼中のものなまめかし 中田剛 珠樹以後
霜柱石灯籠は倒れけり 正岡子規
霜柱立つ日立たぬ日家にあり 高野素十
霜柱立つ音明日のため眠る 西東三鬼
霜柱総立ち吾を迎へたり 塩川雄三
霜柱老急かるるにあらねども 松村蒼石 雁
霜柱膝が奈落と思ひけり 松山足羽
霜柱花種を差し上げてをり 太田土男
霜柱虚空べしべし音の立つ 宇多喜代子 象
霜柱街の灯までの闇に踏む 仙田洋子 橋のあなたに
霜柱踏みくだくとき生きてをり 小畑一天
霜柱踏みてつぶるる音をきく 山中弘通
霜柱踏み火口湖の深さ問ふ 横山房子
霜柱踏み胸中に反旗かな 小野伶
霜柱踏み行末を念はざる 松村蒼石 露
霜柱踏む音子には及ばざる 川本政代
霜柱踏めばくづるる犯したり 油布五線
霜柱踏めば傷つきさうな靴 蘆田富代
霜柱踏めば障子を開く僧 野村泊月
霜柱踏んで来て乗る始発バス 原村圭子
霜柱踏んで笑顔のくづれ落つ 仙田洋子 橋のあなたに
霜柱選びし職に四十年 太田土男
霜柱金色堂は鎖されて 露月句集 石井露月
霜柱銀にはなやぐ父の死後 平井照敏 天上大風
霜柱隣同士の習ひ立ち(句歌詩帖「草蔵」初句会) 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
霜柱顔ふるるまで見て佳しや 橋本多佳子
霜柱馬場を持上げ朝稽古 早川典江
霜柱高き山刀伐峠なる 下村梅子
霜柱黄泉より橋のかかりけり 梶山千鶴子
飛石の高さになりぬ霜柱 上川井梨葉
鳶に鳶からめり春の霜柱 栗生純夫 科野路
鶯やかろく掃かるゝ霜柱 大場白水郎 散木集
麦の芽の土をもたげて霜柱 西山泊雲 泊雲句集
むらさきは月の匂ひの霜ばしら 千代田葛彦
小笹原下る近道霜ばしら 寺田寅彦
田を走る鶫に万の霜ばしら 加藤草杖
石寒し四十七士が霜ばしら 高井几董
霜ばしら虫をききこし岡うらに 木津柳芽 白鷺抄
霜ばしら選仏場をかこみけり 川端茅舎
霜柱意志を通して阿らず 高澤良一

霜柱 補遺

さく~と丸雪ふり込霜ばしら 野童
たき火せる父に霜柱はかたし 尾崎放哉 大正時代
たゝばたて蓬がもとの霜ばしら 加舎白雄
つる枯るる埴崕くづれ霜柱 飯田蛇笏 春蘭
はるばると来しかな墓の霜柱 右城暮石 句集外 昭和二十九年
ふと踏んで瞬の童心霜柱 林翔
ふみ立ちて見て霜柱力あり 高浜年尾
ましぐらに小鳥の羽音霜柱 松村蒼石 雪
もろともに崩るゝ崖の霜柱 正岡子規 霜柱
一亭の艮に立つ霜柱 阿波野青畝
一筋といふや師弟の霜柱 古舘曹人 能登の蛙
人の家の情に棲んで霜柱 石塚友二 磯風
人行かぬ北の家陰や霜柱 正岡子規 霜柱
偽りて上乾きをり霜柱 阿波野青畝
午後の日の漸く届き霜柱 高浜年尾
土ともに崩るゝ崕の霜柱 正岡子規 霜柱
地に伏せし身のまはりみな霜柱 加藤秋邨
夜まわりの無情見えけり霜柱 正岡子規 霜柱
天上にして地上なり霜柱 三橋敏雄
夫とし妻としなゝくさ一日の霜柱 中川一碧樓
子のための妻に未明の霜柱 飯田龍太
寒林の一戸覚めたり霜柱 日野草城
小田の水ながれてあさし霜柱 松村蒼石 寒鶯抄
山の辺の巫女の通ひ路霜柱 阿波野青畝
峠路の句碑をうづむる霜柱 飯田蛇笏 雪峡
崩れたるところが白し霜柱 右城暮石 句集外 昭和六十一年
川端タにあぶなげもなし霜柱 利牛
忿然と霜柱蹴り気衰ふ 岸田稚魚 紅葉山
恪勤の一路隆めぬ霜柱 香西照雄 素心
意地張つて生きるもろさや霜柱 中村苑子
我宿の塀の崩れや霜ばしら 芦角
戦歿の友のみ若し霜柱 三橋敏雄
指を折ル痛はしらず霜ばしら 野坡
敵多きことも四十や霜柱 星野麥丘人
新陳の層を累ねて霜柱 阿波野青畝
日のさゝぬ四角な庭や霜柱 正岡子規 霜柱
日の方へ富士のかしげる霜柱 上田五千石 天路
日暮里に下宿屋を探り霜柱 河東碧梧桐
日輪に帰命頂礼霜柱 野見山朱鳥 荊冠
枯れ盡す菊の畠の霜柱 正岡子規 霜柱
梅龕の墓に花無し霜柱 正岡子規 霜柱
死は休死や解け佇ち霜柱 永田耕衣
死者遠し墓地に全き霜柱 岡本眸
残る阿呆霜柱みな消え失せて 永田耕衣
水仙は咲かでやみけり霜柱 正岡子規 霜柱
水音のやうやく高し霜柱 加藤秋邨
潔癖なる沈黙午後の霜柱 津田清子 礼拝
火の山の硫黄に負けず霜柱 阿波野青畝
焚火せし跡も持ち上げ霜柱 右城暮石 句集外 昭和六十一年
焼かれ追はれきて霜柱うつくしき 加藤秋邨
熊笹に踏み入り崩す霜柱 水原秋櫻子 緑雲
父の墓 孤絶 まひるの霜柱 伊丹三樹彦
生垣や人佗びて庭に霜柱 河東碧梧桐
白雲や梺は岩に霜柱 高桑闌更
石に彫る帰天の月日霜柱 阿波野青畝
石ひとつすとんと沈め霜柱 石田勝彦 秋興以後
石寒し四十七士が霜ばしら 高井几董
石工店前午を過ぎたる霜柱 森澄雄
礎像と数千万の霜柱 阿波野青畝
立や煙柚味噌に結ぶ霜ばしら 松滴 富士石
籾敷くや踏めば落ち込む霜柱 正岡子規 霜柱
納骨の日や矗々と霜柱 岸田稚魚
苔青き踏むあたりにも霜柱 河東碧梧桐
菊も刈り薄も刈りぬ霜柱 正岡子規 霜柱
蕾つく梅の苗木や霜柱 正岡子規 霜柱
赫土を盛りて二月の霜柱 松村蒼石 雁
赭土の赭きをもたげ霜柱 鷹羽狩行
踏めば鳴る落葉の下の霜柱 加藤秋邨
道と見えて人の庭踏む霜柱 河東碧梧桐
遠き死や土を掴みし霜柱 加藤秋邨
隠れ家や未下りの霜柱 正岡子規 霜柱
霜ばしら世情疎まる日々を踏む 伊丹三樹彦
霜ばしら日輪鯉の洲をこえず 百合山羽公 春園
霜ばしら水摶つ鯉をあげにけり 百合山羽公 春園
霜ばしら選佛場をかこみけり 川端茅舎
霜ばしら鯉の汀は深きいろを 百合山羽公 春園
霜ばしら鯉の汀へひとゆける 百合山羽公 春園
霜ばしら鯉の汀へみちつくり 百合山羽公 春園
霜ばしら鯉の洲波とうつところ 百合山羽公 春園
霜ばしら鯉の生簀の音きこゆ 百合山羽公 春園
霜ばしら鯉を養ふ汀べも 百合山羽公 春園
霜ばしら鰭うつ鯉を苞に結ふ 百合山羽公 春園
霜柱きしる法華の浄土かな 阿波野青畝
霜柱ぎつしり上げし癩の墓 大野林火 白幡南町 昭和三十年
霜柱ぐわら~くづし獣追ふ 前田普羅 飛騨紬
霜柱この土をわが墳墓とす 加藤秋邨
霜柱こゝ櫛の歯の欠けにけり 川端茅舎
霜柱そだちし石のほとりかな 川端茅舎
霜柱そつくり乗りし鋤の上 石田勝彦 秋興以後
霜柱で土ふくらむよ自家建つべく 香西照雄 素心
霜柱どの一本も目ざめをり 加藤秋邨
霜柱なほあり夕日とどきけり 松村蒼石 雁
霜柱はや立つ父を葬りしに 津田清子 礼拝
霜柱ひつこぬけたる長さかな 川端茅舎
霜柱また年送るこの村に 百合山羽公 故園
霜柱もじりを見せて倒れけり 阿波野青畝
霜柱中年のあと何がくる 平井照敏 天上大風
霜柱久しく見ざりし踏まざりし 右城暮石 句集外 昭和三十八年
霜柱伸び霜柱押し倒す 右城暮石 天水
霜柱俳句は切字響きけり 石田波郷
霜柱倒るる光明滅し 松本たかし
霜柱兄の欠けたる地に光る 西東三鬼
霜柱公園を出てビル林立 松崎鉄之介
霜柱土階の層をなしにけり 川端茅舎
霜柱墓標の白木くもらせぬ 大野林火 冬雁 昭和二十二年
霜柱壊ゆるごとくに死に給ふ 小林康治 四季貧窮
霜柱子のいらだつは何に因る 加藤秋邨
霜柱崖は毛細根を垂り 川端茅舎
霜柱彼負へるもの我も負ふ 山田みづえ 忘
霜柱恋を遠くに踏みて潰ゆ 伊丹三樹彦
霜柱恪勤といふは憚られ 雨滴集 星野麥丘人
霜柱掌に日りんが小さくなる 飯田蛇笏 家郷の霧
霜柱松籟を浴び青みをり 大野林火 青水輪 昭和二十五年
霜柱枕辺ちかく立ちて覚む 山口誓子
霜柱次第に倒れいそぐなり 松本たかし
霜柱泥を吐きつつ結晶す 山口青邨
霜柱海のこなたの寂しさに 三橋敏雄
霜柱父もその母も癌で死にき 日野草城
霜柱牙をむき出し崖崩る 山口青邨
霜柱牝鶏絶えず眸をうごかし 桂信子 月光抄
霜柱玲瓏麦の芽は沈む 山口青邨
霜柱甘藷先生かくれけり 川端茅舎
霜柱白し東京を去る人等 加藤秋邨
霜柱石燈籠は倒れけり 正岡子規 霜柱
霜柱老急かるるにあらねども 松村蒼石 雁
霜柱胸底の声我を呼ぶ 加藤秋邨
霜柱苔のいのちに障りけり 阿波野青畝
霜柱踏みて得心次目ざす 右城暮石 散歩圏
霜柱踏み崩さずに居れざるよ 右城暮石 句集外 昭和五十五年
霜柱踏み折る音の過ぎにけり 加藤秋邨
霜柱踏み砕き身の丈つまる 三橋鷹女
霜柱身をかこむ闇ふかかりき 加藤秋邨
霜柱銀にはなやぐ父の死後 平井照敏 天上大風
霜柱雌蘂雄蘂のごときを踏み 鷹羽狩行
霜柱驚きに鈍なる勿れ 藤田湘子
鬼の歯の霜柱山をゆく山びと 金子兜太
黒土にふみくだく音霜ばしら 祐甫

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 21:29 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

虎落笛 の俳句

虎落笛 の俳句

虎落笛

例句を挙げる。

けふのすぐきのふとなりて虎落笛 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
この齢で何をおそるゝ虎落笛 及川貞
さいはての時化の港の虎落笛 平野竜風
ふとさめし夜の深さに虎落笛 清崎敏郎
ふるさとに父の独酌虎落笛 大串章
ほてりたる炉辺の湯呑や虎落笛 松藤夏山 夏山句集
またたくはわが知れる星虎落笛 村越化石 山國抄
みちのくや厠もつとも虎落笛 草間時彦
めぐる日や釈迦三尊に虎落笛 和田悟朗 法隆寺伝承
やはらかき児の蹠拭く虎落笛 中田幸子
わが月日妻にはさむし虎落笛 加藤楸邨
オペラ果て魔力を得たり虎落笛 吉原文音
オリオンの出に先んじて虎落笛 上田五千石 田園
シベリアの星は幾重か虎落笛 最東峰
シベリヤの使者のつぶやき虎落笛 山下美典
一汁一菜垣根が奏づ虎落笛 中村草田男
亡き人の声還るとも虎落笛 大橋敦子
人の黙こはし岬の虎落笛 大木あまり
仰臥して死後や朝の虎落笛 古舘曹人 能登の蛙
体温を越えし念珠や虎落笛 鳥居美智子
叡山は虎落笛さへ仏陀めく 堀 無沙詩
吊り皮にしがみつきゐて虎落笛 仙田洋子 橋のあなたに
堤防の長々と暮れ虎落笛 荒金 久平
売りに来し潮濡章魚や虎落笛 石塚友二 光塵
夕づつの光りぬ呆きぬ虎落笛 阿波野青畝(1899-1992)
夜は村に霊還り来る虎落笛 笹川正明
夜更けて吹き手の替る虎落笛 棚山 波朗
夢で師の子は師と瓜二つ虎落笛 磯貝碧蹄館 握手
太梁は夜に艶増す虎落笛 能村研三 騎士
奥能登の百日止まぬ虎落笛 松本伸一
子の病気いつも突然虎落笛 下田青女
寝まるほか用なきひとり虎落笛 菖蒲あや あ や
寝る前の錠剤一つ虎落笛 錦織畔燼
寝返れば耳吹く風や虎落笛 石塚友二
山の雲海へ移りぬ虎落笛 稲畑汀子
山車倉に昔の闇や虎落笛 中村風信子
川音と同じ夜空の虎落笛 廣瀬直人
帰り来し故郷の山河虎落笛 星野立子
座礁船北の挽歌や虎落笛 林 青峰
忌日なき遊女の墓や虎落笛 正岡照世
愛憎や卓上に吹く虎落笛 塚本邦雄(1922-)
折鶴蘭鏡にうつり虎落笛 阿部みどり女 月下美人
抹殺の線を真直に虎落笛 殿村菟絲子 『樹下』
掘れば出る籠城の米虎落笛 久保田雅代
新しき枕眠れず虎落笛 星野椿
旗を灯に変える刻来る虎落笛 鈴木六林男 第三突堤
日の匂して水上の虎落笛 斎藤玄 雁道
日輪の月より白し虎落笛 川端茅舎
昼暗き笹叢ばかり虎落笛 加藤知世子 花 季
月光の棕梠つつぬけに虎落笛 町田しげき
月磨き星を磨きぬ虎落笛 津村典見
朽舟の嗚咽の如し虎落笛 三上美津女
来ずなりしは去りゆく友か虎落笛 大野林火
柝鶴蘭鏡にうつり虎落笛 阿部みどり女
樹には樹の哀しみのあり虎落笛 木下夕爾
樹に宿る神のこゑとも虎落笛 伊藤いと子
檣頭にあつまるロープ虎落笛 中村房子
歌碑の辺がぬくしと寄るや虎落笛 加藤知世子 黄 炎
歩一歩闇ひきしまる虎落笛 相馬遷子 雪嶺
母看とり夫看とる夜の虎落笛 仲澤 昭
母親の影より生まれ虎落笛 高澤晶子 純愛
河越えてほういほういと虎落笛 内原陽子
泣き寝入るは遺族のみかは虎落笛 香西照雄 素心
海鳴りか虎落笛かや暮れ落ちぬ 高木晴子
海鳴りの天駆け虎落笛となる 桑田青虎
港の灯瞬きもせず虎落笛 水原春郎
湖暮れて一戸一戸の虎落笛 山田みづえ
湯が沸いてしだいしだいに虎落笛 長谷川双魚 風形
湯に聞けば泣きをんなめき虎落笛 井沢正江 以後
漁具小屋の影うずくまる虎落笛 石川博司
漂とちち渺とはは飛ぶ虎落笛 飯田綾子
灯を消せば階下の納屋の虎落笛 羽部洞然
燈火の揺れとどまらず虎落笛 松本たかし
牛が仔を生みしゆふべの虎落笛 百合山羽公 故園
琴糸を縒る灯も消えて虎落笛 細井みち
生きて聞く夫亡き夜の虎落笛 柳生千枝子
白日の天地悲しむ虎落笛 相馬遷子 雪嶺
真ん丸な月あり真夜の虎落笛 柘植梅芳女
神々の空ゆく哄ひ虎落笛 渡邊千枝子
立枯れて芙蓉も鳴るや虎落笛 石川桂郎
紫の氷かなしや虎落笛 川端茅舎
終バスのひたすら走る虎落笛 山田節子
繋がれ合ふ囚人・電柱虎落笛 香西照雄 素心
肉親の顔が遠のく虎落笛 柴田白葉女 遠い橋
胸廓の裡を思へば虎落笛 日野草城
葬送の堂を包みて虎落笛 稲畑汀子
藁小屋に湯の花ねむる虎落笛 大島民郎
虎落笛「烏の塒山」は眠らぬ山 佐野美智
虎落笛あかりが消えし添乳どき 百合山羽公 故園
虎落笛いつの世よりの太き梁 広瀬町子
虎落笛この一管は父の国 松山足羽
虎落笛こぼるるばかり星乾き 鷹羽狩行 誕生
虎落笛ねむれぬ病我にあり 上村占魚 鮎
虎落笛のゆくさき見ゆる夕の川 柴田白葉女 花寂び 以後
虎落笛ひしめくものに乳房あり 岸本マチ子
虎落笛ふるへやまざる壺の花 阿部みどり女
虎落笛また父母の墓にきぬ 三宅句生
虎落笛めつむりをればひと昔 櫛原希伊子
虎落笛わが片肺の半世紀 神原健
虎落笛わが詩に欲しき塩の艶 磯貝碧蹄館 握手
虎落笛ゐつく曲馬の天幕に 西川雅文
虎落笛人の不運に隙間なし 内藤吐天 鳴海抄
虎落笛今宵修道院泊り 津田清子
虎落笛叫びて海に出で去れり 山口誓子
虎落笛叫ぶ少年と銃の隙 原裕 葦牙
虎落笛吉祥天女離れざる 橋本多佳子
虎落笛塵取に塵はなかりけり 五十崎古郷句集
虎落笛夜に甦る怒りあり 伊丹さち子
虎落笛夜は鯨を連れてくる 澤本三乗
虎落笛夢魔にどんぐりまなこあり 仙田洋子 橋のあなたに
虎落笛天の肋も折れにけり 熊谷愛子
虎落笛嫁が泣く場は詩の中 加藤知世子
虎落笛子にも遺らぬ稿を継ぐ 石田 波郷
虎落笛子は散りやすく寄りやすく 山本洋子
虎落笛子をとられたる獣のこゑ 山口波津女
虎落笛子供遊べる声消えて 高浜虚子
虎落笛山より姥が子を盗りに 小川一路
虎落笛帯織る家を迂回せり 磯貝碧蹄館 握手
虎落笛帰らんとする家の形 岡田耕治
虎落笛引掻き傷めくアラブ文字 奈良文夫
虎落笛怪談いよいよ面白く 嶋田摩耶子
虎落笛手をとられゐて影あをし 仙田洋子 橋のあなたに
虎落笛抱かれて夜は何を生む 高澤晶子
虎落笛星の吹けるは竪笛に 井沢正江 以後
虎落笛枯菩提樹のひとり聴く 百合山羽公 寒雁
虎落笛残しただけの留守電話 櫂未知子 貴族
虎落笛母大切に籠りけり 野村喜舟 小石川
虎落笛毛糸編む妻いも寝ずに 五十崎古郷句集
虎落笛水子かへせと繰りかへす 保坂敏子
虎落笛沖荒れやまぬ佐渡泊り 松尾緑富
虎落笛海にすりへる澪つくし 百合山羽公 寒雁
虎落笛涙にじみてゐたりけり 相馬遷子 山国
虎落笛爐に酔ふ耳にかなでけり 西島麥南
虎落笛痛飲のこと我になし 相生垣瓜人
虎落笛百鬼夜行を旨とせり 柴田奈美
虎落笛眠に落ちる子供かな 高浜虚子
虎落笛知恵熱の子とひとつ闇 辻美奈子
虎落笛絨毯に曳く折鶴蘭 阿部みどり女 月下美人
虎落笛絶え入る音の尾ありけり 小杉余子 余子句選
虎落笛美しすぎる音を聞かす 橋本美代子
虎落笛聞きつゝ言葉探しをり 赤木 範子
虎落笛胎児は耳の形して 森田智子
虎落笛胡笳の聲にも似たらむか 相生垣瓜人
虎落笛色とりどりの風をつれ 吉田茂子
虎落笛色紙一枚約果す 石川桂郎 高蘆
虎落笛裁かるゝ身を横たへず 松岡ひでたか
虎落笛道を曲ればひとりなり 佐野良太 樫
虎落笛風樹の嘆のごときもの 長谷川双魚 風形
訪ひ来しは待つ人ならず虎落笛 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
過ぎ去りし日の遠くなる虎落笛 阿部寿雄
野の町の銀座も寝たり虎落笛 三橋敏雄 長濤
金色堂奏づる月の虎落笛 沼澤石次
鉄塔の峰々つなぐ虎落笛 道川虹洋
鉄橋を一塊として虎落笛 鷹羽狩行 誕生
長城に匈奴の叫び虎落笛 品川鈴子
閻王に更けし灯や虎落笛 小原菁々子
電工の働く虎落笛の上 馬越冬芝
風神の韋駄天走り虎落笛 不破幸夫
餓ゑきるまで食べぬが償ひ虎落笛 香西照雄 対話
鰻田に闇うづくまる虎落笛 児玉 寛幸
鳴沙とも目覚めて居りぬ虎落笛 田中英子
いつの世も挽歌は秀でもがり笛 井沢正江 以後
もがり笛いく夜もがらせ花ニ逢はん 檀一雄
もがり笛とまれ寝るべくなれりけり 木下夕爾 遠雷
もがり笛ひめごとめいて布を裁つ 原 尚子
もがり笛よがりのこゑもまぎれけり 加藤郁乎
もがり笛一つ目小僧呼んでをり 上村占魚 『自門』
もがり笛伝言板の文字とがる 林田 江美
もがり笛前山の闇なだれ来る 米沢吾亦紅 童顔
もがり笛夕焼けてゐし耳ふたつ 角川春樹
もがり笛明日醒めざれば寂光土 植村通草
もがり笛星の吹けるは竪笛に 井沢正江
もがり笛洗ひたてなる星ばかり 上田五千石(1933-97)
もがり笛熄めば岬のまた淋し 高嶋遊々子
もがり笛荷風文学うらがなし 石原八束 『秋風琴』
もがり笛風の又三郎やあ一い 上田五千石
三千年先人の声もがり笛 百合山羽公 寒雁
夜を籠めて萱の葺面(つら)もがり笛 高澤良一 随笑
夫征きしままの生活もがり笛 石原舟月
纜の太く短しもがり笛 田中峡一
モガリ笛いく夜もがらせ花ニ逢はん 檀 一雄

虎落笛 補遺

ある年のある夜の記憶虎落笛 飯田龍太
かつて師のいまわが胸過ぐ虎落笛 楠本憲吉 方壺集
たまの早寝をなし得と別る虎落笛 中村草田男
だんだんにひと黙りがち虎落笛 加藤秋邨
ねむりより現へ出づる虎落笛 斎藤玄 狩眼
ふとさめし夜の深さに虎落笛 清崎敏郎
みちのくや厠もつとも虎落笛 草間時彦
もがりぶえとぎれとぎれのものがたり 山口誓子
もがりぶえ初めに叫びありきとぞ 上田五千石 天路
もがり笛厚扉厚壁くぐり来る 橋本多佳子
もがり笛固き夜具とも思はなく 中村汀女
もがり笛塔の暮色に仕る 藤田湘子 てんてん
もがり笛夕刊少年もう一人 鷹羽狩行
もがり笛左千夫に起り在りつづく 平畑静塔
もがり笛振子時計の世は遠く 鷹羽狩行
もがり笛方位まさしく吾に向く 平畑静塔
もがり笛洗ひたてなる星ばかり 上田五千石 琥珀
もがり笛生家といふは見捨てられ 上田五千石『琥珀』補遺
もがり笛話とぎるる恐れけり 中村汀女
もがり笛風の又三郎やあーい 上田五千石 田園
わが月日妻にはさむし虎落笛 加藤秋邨
オリオンの出に先んじて虎落笛 上田五千石 田園
サルトルに聞かせよ海の虎落笛 山口誓子
一夜さや寄邊の軒の虎落笛 三橋敏雄
一椀の飯の職歴虎落笛 佐藤鬼房
一汁一菜垣根が奏づ虎落笛 中村草田男
三千年先人の声もがり笛 百合山羽公 寒雁
乳児ねむる昼もどこかに虎落笛 鷹羽狩行
人の死は誰のあと追ふ虎落笛 秋元不死男
仰臥して死後や朝の虎落笛 古舘曹人 能登の蛙
何か近づく身は一本の虎落笛 加藤秋邨
余生のみ永かりし人よ虎落笛 中村草田男
売りに来し潮濡章魚や虎落笛 石塚友二 光塵
夕づつの光りぬ呆きぬ虎落笛 阿波野青畝
外燈のさき海の闇もがり笛 大野林火 白幡南町 昭和三十三年
大人の亡き成城の道虎落笛 松崎鉄之介
天の邪鬼虎落笛をば吹き遊ぶ 相生垣瓜人 明治草
女ゆゑ夜叉ともなりぬ虎落笛 佐藤鬼房
妻の見舞怠りし夜の虎落笛 能村登四郎
子が寝ねば妻が叱れず虎落笛 加藤秋邨
家つひに檻となる夜の虎落笛 鷹羽狩行
富士の頭を越えて高きを虎落笛 山口誓子
川音と同じ夜空の虎落笛 廣瀬直人
帰り来し故郷の山河虎落笛 星野立子
廃船のここをせんどと虎落笛 鷹羽狩行
建てかけの木の家にはや虎落笛 鷹羽狩行
徒然に吹く者あれや虎落笛 相生垣瓜人 明治草
息を継ぐもののあはれに虎落笛 鷹羽狩行
愚痴きいてくれる人欲し虎落笛 鈴木真砂女 紫木蓮
我の星爛々とせよ虎落笛 阿波野青畝
手さぐりに肌は廣し虎落笛 三橋敏雄
手を出せば手に来てもがり笛小僧 鷹羽狩行
捧腹の声出して馳す虎落笛 佐藤鬼房
日の匂して水上の虎落笛 斎藤玄 雁道
有明は破船の形にもがりぶえ 上田五千石 天路
木にあらぬものも加はり虎落笛 鷹羽狩行
来ずなりしは去りゆく友か虎落笛 大野林火 青水輪 昭和二十五年
東京の一人ぐらしや虎落笛 稲畑汀子
梅嫌果ててゐるなり虎落笛 阿波野青畝
歩一歩闇ひきしまる虎落笛 相馬遷子 雪嶺
河口へとすだまの氷る虎落笛 佐藤鬼房
泣き寝入るは遺族のみかは虎落笛 香西照雄 素心
浦波はまだら光りに虎落笛 佐藤鬼房
海にては何に依りつく虎落笛 山口誓子
海にては海獣のこゑ虎落笛 山口誓子
海を行く妙義生れの虎落笛 山口誓子
海女潜き濤興りくる虎落笛 角川源義
海栗殻が 和し 玄海の虎落笛 伊丹三樹彦
涙痕のひりひり乾く虎落笛 秋元不死男
燈火の揺れとどまらず虎落笛 松本たかし
牛が仔を生みしゆふべの虎落笛 百合山羽公 故園
甘酒の箸は一本もがり笛 阿波野青畝
産月の玻璃戸にゐつく虎落笛 鷹羽狩行
白さ凝る死者の顎髭 もがり笛 伊丹三樹彦
白日の天地悲しむ虎落笛 相馬遷子 雪嶺
石仏の首から首へ虎落笛 鷹羽狩行
禊橋ありしあたりを虎落笛 佐藤鬼房
空林の落葉明るし虎落笛 日野草城
竃神の寄り合ひならん虎落笛 佐藤鬼房
立ち舞きの女狩に夜々の虎落笛 鈴木真砂女 居待月
米量る手の合掌めきし虎落笛 能村登四郎
紫の氷かなしや虎落笛 川端茅舎
繋がれ合ふ囚人・電柱虎落笛 香西照雄 素心
聞き覚えありて鶏舎の虎落笛 右城暮石 散歩圏
胸廓の裡を想へば虎落笛 日野草城
芦屋川もそこらと思ふ虎落笛 山口青邨
莢落ちずおののきやまぬ虎落笛 阿波野青畝
葬送の堂を包みて虎落笛 稲畑汀子
蔵ぼつこ蔵出るころぞもがりぶえ 上田五千石 琥珀
藁家出て肩にとびつく虎落笛 鷹羽狩行
虎落笛 ときには鳰の笛まじえ 伊丹三樹彦
虎落笛あかりが消えし添乳どき 百合山羽公 故園
虎落笛こぼるるばかり星乾き 鷹羽狩行
虎落笛せつぱつまつた刻も過ぎ 鷹羽狩行
虎落笛ねむれぬ病我にあり 上村占魚 鮎
虎落笛のやうに泣ければ男佳し 上田五千石『琥珀』補遺
虎落笛ひとふしはわが肺鳴れり 大野林火 冬雁 昭和二十二年
虎落笛みつまたの花みな動く 阿波野青畝
虎落笛わがのどぶえを誘ふなり 藤田湘子 てんてん
虎落笛今宵修道院泊り 津田清子
虎落笛叫びて海に出で去れり 山口誓子
虎落笛叫ぶ少年と銃の隙 原裕 葦牙
虎落笛吉祥天女離れざる 橋本多佳子
虎落笛嗄るるは本音つくしたり 上田五千石『琥珀』補遺
虎落笛夢青白き世に戻り 飯田龍太
虎落笛大つごもりの温泉の宿に 高浜年尾
虎落笛客去りし身の置きどころ 鈴木真砂女 都鳥
虎落笛山深くけもの眠るべし 大野林火 白幡南町 昭和三十三年
虎落笛建御名方を祀りけり 石田勝彦 雙杵
虎落笛旅寝の胸に指を組む 山口誓子
虎落笛枯菩提樹のひとり聴く 百合山羽公 寒雁
虎落笛樹氷の林抜けるとき 山口誓子
虎落笛海にすりへる澪つくし 百合山羽公 寒雁
虎落笛涙にじみてゐたりけり 相馬遷子 山国
虎落笛瀬戸大橋のほぼ央 阿波野青畝
虎落笛炉に酔ふ耳にかなでけり 西島麦南 人音
虎落笛竹の切口にて鳴れり 右城暮石 散歩圏
虎落笛筑波の耳の暮れにけり 阿波野青畝
虎落笛箕面の早瀬澄みきつて 阿波野青畝
虎落笛聖(セント)ジヨゼフの首の上 石田勝彦 百千
虎落笛聞きしばかりの日数かな 右城暮石 句集外 昭和二十二年
虎落笛胡笳の声にも似たらむか 相生垣瓜人 明治草抄
虎落笛胡茄の声にも似たらむか 相生垣瓜人 明治草
虎落笛胸奥に吠ゆイムジン河 楠本憲吉 孤客
虎落笛色紙一枚約束す 石川桂郎 高蘆
虎落笛蕎麦餅の粘り歯に残り 林翔
虎落笛闇の帷に閃閃と 松本たかし
虎落笛骨が疼くといふ妻に 佐藤鬼房
虎落笛鳴門の橋が吹いてゐる 阿波野青畝
踏鞴(たたら)唄いまに生きゐて虎落笛 佐藤鬼房
身のめぐり波濤犇く虎落笛 角川源義
転ばぬも転ぶも神の子虎落笛 佐藤鬼房
選句辛かりし一夜の虎落笛 鷹羽狩行
野の町の銀座も寝たり虎落笛 三橋敏雄
鉄橋を一塊として虎落笛 鷹羽狩行
鎧戸の洩れ日が怖い虎落笛 佐藤鬼房
長嘆息して虎落笛夜を去れり 鷹羽狩行
長城のわが総身に虎落笛 鷹羽狩行
関東のもの高天の虎落笛 山口誓子
雪捲いて宿ぐるみなる虎落笛 平井照敏 猫町
電柱の責められどほし虎落笛 鷹羽狩行
霊山に星はすくなし虎落笛 加藤秋邨
風の子の一と群れ過ぎぬ虎落笛 川端茅舎
餓ゑきるまで食べぬが償ひ虎落笛 香西照雄 対話
魔笛吹く星はどの星もがり笛 鷹羽狩行
鴾色の空より湧いて虎落笛 飯田龍太

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 18:06 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

隙間風 の俳句

隙間風 の俳句

隙間風

例句を挙げる。

ありとある隙を占めをる隙間風 相生垣瓜人 微茫集
かく隙ける隙間風とはわらふべし 皆吉爽雨
かたくなな心に隙間風の吹く 山田 敏子
かみ合はぬ話に黙す隙間風 加藤武夫
けぶりゐるランプに見ゆる隙間風 米沢吾亦紅 童顔
この店のここに坐れば隙間風 辻桃子
さりげなく語りゐる座の隙間風 高野彩里
しみじみ孤り寝ても覚めても隙間風 小松崎爽青
すぐ寝つく母いとほしや隙間風 清崎敏郎
ほのゆるゝ閨のとばりは隙間風 杉田久女
みちのくの馴染みの宿の隙間風 小島左京
カーテンの動いてゐるは隙間風 高濱年尾 年尾句集
コンセント大工に貸して隙間風 塩川祐子
サーカスの緊張解けし隙間風 きよみ
二階より隙間風来る母の死後 中尾寿美子
五百年つづける宿の隙間風 茂里正治
人の世に出遅れてゐる隙間風 松山足羽
助け茶屋仕舞ひ仕度の隙間風 加藤知世子 花 季
単身赴任寮プレハブの隙間風 福原紫朗
国宝の寺おほらかに隙間風 鷹羽狩行
夢にまで入る隙間風夫婦たり 大沢初代
妻の指に真珠うるほふ隙間風 千代田葛彦 旅人木
寸分の隙をうかがふ隙間風 富安風生
屑籠を楯なる書屋隙間風 井沢正江 湖の伝説
御座の間の百万石の隙間風 吉本香歩
忍び入り紛れをるなる隙間風 相生垣瓜人 微茫集
恋に怯づは才なきあらず隙間風 石塚友二 方寸虚実
折目正しき屏風より隙間風 鷹羽狩行 七草
折詰に鯛の尾が出て隙間風 波多野爽波
指銜え口中にある隙間風 和田幸司
旅にして海の匂ひの隙間風 山内山彦
時々にふりかへるなり隙間風 高浜虚子
晩年といふ家ありて隙間風 蔦 悦子
朝粥の湯気斜なる隙間風 村上青竜
東京の隙間風とも馴染みたる 山田弘子
枕上来てやる度に隙間風 中村汀女
母がりやむかしのまゝの隙間風 山本晃裕
海の隙間風茶沸しの瓦斯ゆるる 田川飛旅子 花文字
減塩の腰抜汁や隙間風 高橋茶梵楼
潮騒を伴ふ隙間風に叔母 大岳水一路
灯を消して雪の匂ひの隙間風 堀口星眠 青葉木菟
灯虫来し野より来るなり隙間風 相生垣瓜人 微茫集
煤掃きて改め招く隙間風 百合山羽公 寒雁
版画屑転がしてゐる隙間風 中条久三夫
産小屋の十坪に足らぬ隙間風 斉藤夏風
町ながらここは谷の底隙間風 下村槐太 天涯
疼く歯のほとりを行けり隙間風 相生垣瓜人 微茫集
白襖の黒枠不吉隙間風 香西照雄 素心
百姓の夜はしづかや隙間風 橋本鶏二 年輪
眉毛にも耳朶にも著けり隙間風 相生垣瓜人 微茫集
立てまはす古き屏風や隙間風 阿部みどり女 笹鳴
精いつぱい身を楯にして隙間風 森川恭衣
糸繰るや雪気もまじる隙間風 能村登四郎
縄のれん一本挟む隙間風 黒坂紫陽子
蒸しものの細めの瓦斯や隙間風 宍戸富美子
輸かざりやすでに三日の隙間風 久保田万太郎 流寓抄
長病みの夫の背中に隙間風 浅見まき子
閉むるときをどる襖や隙間風 小路紫峡
隙間風かんばし偸安の人よ国よ 香西照雄 対話
隙間風さへ団欒をさまたげず 斎藤道子
隙間風さまざまのもの経て来たり 波多野爽波 『湯呑』
隙間風せんなし火鉢守る父子 小原菁々子
隙間風その数条を熟知せり 相生垣瓜人(1898-1985)
隙間風ちちははの夢吾子の夢 相馬遷子
隙間風とも争はずなりにけり 藤田湘子 春祭
隙間風どのみち立て付け直す家 高澤良一 宿好
隙間風ひとすぢこころ無惨なり 柴田白葉女 花寂び 以後
隙間風エレベーターの扉より 関森勝夫
隙間風パン焼く香り運びくる 田中雅子
隙間風五十腕置くに膝よりなし 原田種茅 径
隙間風何に倣ひて犇くや 相生垣瓜人 微茫集
隙間風元三大師のお札より 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
隙間風兄妹に母の文異ふ 石田波郷
隙間風剃らるる鬚に黒ぞなく 石川桂郎 高蘆
隙間風十二神将みな怒る 阿波野青畝(1899-1992)
隙間風寝嵩崩さず妻子あり 小林康治 四季貧窮
隙間風寝煙草煙顔に来る 米澤吾亦紅
隙間風屏風の山河からも来る 鷹羽狩行 平遠
隙間風座りかへたるところへも 宮下翠舟
隙間風想ひ出す顔みな違ふ 赤尾兜子
隙間風来し方見つめ直すとき 久保田静子
隙間風来る卓上に林檎一つ 山口青邨
隙間風次第しだいに四面楚歌 佐土井智津子
隙間風殺さぬのみの老婆あり 相馬遷子 雪嶺
隙間風母をらぬ家のどこよりか 春日こうじ
隙間風灰を熾して通りけり 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
隙間風祖母と寝し子の寝落ちしか 大野林火
隙間風終生借家びととして 石塚友二
隙間風臍につぶやく言葉とて 加藤知世子 黄 炎
隙間風般若波羅蜜多生きたしや 田川飛旅子 『山法師』
隙間風薔薇色をこそ帯ぶべけれ 相生垣瓜人
隙間風衆愚の目鼻して病めり 小林康治 玄霜
隙間風負ふべくあらぬ身の負ひ目 石塚友二 方寸虚実
隙間風逃ぐる術なき夜々の肩 石塚友二 方寸虚実
隙間風驚き合ひて棲みつかな(木村武子を娶り滝野川に移る) 岸田稚魚 『負け犬』
飲食や檜の家の隙間風 殿村莵絲子 雨 月

隙間風 補遺

あかんぼの香のみ隙間風殆ど無し 中村草田男
ありとある隙を占めをる隙間風 相生垣瓜人 微茫集
いま其処へ命出でゆく隙間風 斎藤玄 狩眼
こころにもありたる隙間隙間風 後藤比奈夫
すぐ寝つく母いとほしや隙間風 清崎敏郎
ほのゆるゝ閨のとばりは隙間風 杉田久女
チエホフの国より机下へ隙間風 上田五千石『琥珀』補遺
下張りの絵の笑ひをり隙間風 阿波野青畝
六甲の隙間風年尾居はいかに 山口青邨
出刃庖丁のみて覗ふ隙間風 富安風生
劇中の鉄火場からも隙間風 鷹羽狩行
古寺を借り隙間風借りにけり 後藤比奈夫
国宝の寺おほらかに隙間風 鷹羽狩行
夏涼しとて姥堂の隙間風 阿波野青畝
夜さむさや宿かすかべの隙間風 松山玖也
寸分の隙間うかがふ隙間風 富安風生
寺山に籟吹き起る隙間風 上田五千石 天路
尼寺に在り腹背に隙間風 藤田湘子 神楽
山中や忠治出湯の隙間風 角川源義
島鴉啼くや旅籠の隙間風 村山故郷
忍び入り紛れをるなる隙間風 相生垣瓜人 微茫集
恋に怯づは才なきあらず隙間風 石塚友二 方寸虚実
恋ひ侘びてあれば渥美の隙間風 上田五千石『琥珀』補遺
懺悔室わが家と同じ隙間風 鷹羽狩行
折目正しき屏風より隙間風 鷹羽狩行
折詰に鯛の尾が出て隙間風 波多野爽波
抽斗をぬけばそこにも隙間風 阿波野青畝
日曜礼拝にまぎれる 隙間風さながら 伊丹三樹彦
晩年か隙間風なき家に住み 鷹羽狩行
灯虫来し野より来るなり隙間風 相生垣瓜人 微茫集
煤掃きて改め招く隙間風 百合山羽公 寒雁
物書くは蟄居のごとし隙間風 上田五千石『田園』補遺
町ながらここは谷の底隙間風 下村槐太 天涯
疼く歯のほとりを行けり隙間風 相生垣瓜人 微茫集
白襖の黒枠不吉隙間風 香西照雄 素心
眉毛にも耳朶にも著けり隙間風 相生垣瓜人 微茫集
眠れねば片頬に触るる隙間風 日野草城
算盤尽質屋番頭隙間風 鷹羽狩行
糸繰るや雪気もまじる隙間風 能村登四郎
老僧の 眉の敏感 隙間風 伊丹三樹彦
耳そばだて待てどそれきり隙間風 松崎鉄之介
脚光浴びて隙間風めく風情なる 中村草田男
解脱など及びもつかぬ隙間風 佐藤鬼房
身に隙のありと思へず隙間風 鷹羽狩行
金屏のかげにうかがふ隙間風 富安風生
隙間風 薬の果てのいびき老母 伊丹三樹彦
隙間風おどろき合ひて住みつかな 岸田稚魚 雁渡し
隙間風かんばし偸安の人よ国よ 香西照雄 対話
隙間風きびしき過去を問はれをり 鷲谷七菜子 黄炎
隙間風さまざまのもの経て来たり 波多野爽波
隙間風その数条を熟知せり 相生垣瓜人 微茫集
隙間風ちゝはゝの夢吾子の夢 相馬遷子 山国
隙間風ひとりの隙につけこみぬ 鈴木真砂女 居待月
隙間風ひとりは己れ怖れけり 岡本眸
隙間風ふせぐにもあらず本積んで 山口青邨
隙間風までにならねど病室に 高浜年尾
隙間風一咳二咳そそり去る 日野草城
隙間風仏間の次の間も閉めよ 鷹羽狩行
隙間風何に倣ひて犇くや 相生垣瓜人 微茫集
隙間風兄妹に母の文異ふ 石田波郷
隙間風刃もののきずの戸に残る 松崎鉄之介
隙間風剃らるる鬚に黒ぞなく 石川桂郎 高蘆
隙間風十二神将みな怒る 阿波野青畝
隙間風天丼うまき今のうつつ 中村草田男
隙間風妻を離してゐたりけり 秋元不死男
隙間風寝嵩崩さず妻子あり 小林康治 四季貧窮
隙間風屏風の山河からも来る 鷹羽狩行
隙間風彼の竹を吹き来るなり 山口青邨
隙間風想ひ出す顔みな違ふ 赤尾兜子 稚年記
隙間風来る卓上に林檎一つ 山口青邨
隙間風死もちらちらと閃めける 能村登四郎
隙間風殺さぬのみの老婆あり 相馬遷子 雪嶺
隙間風汗青農事のみ語る 村山故郷
隙間風狂言自殺の看護(みとり)なる 中村草田男
隙間風祖母と寝し子の寝落ちしか 大野林火 早桃 太白集
隙間風終生借家びととして 石塚友二 曠日
隙間風臥処のうへの闇よぎる 篠原梵 年々去来の花 皿
隙間風衆愚の目鼻して病めり 小林康治 玄霜
隙間風負ふべくあらぬ身の負ひ目 石塚友二 方寸虚実
隙間風車掌の歌の尾客へ来る 中村草田男
隙間風逃ぐる術なき夜々の肩「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
隙間風驚き合ひて棲みつかな 岸田稚魚 負け犬
雨戸締めいやがる隙間風を出す 鷹羽狩行
雪隠の人恋しげな隙間風 鷹羽狩行

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 18:01 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

空風 の俳句

空風 の俳句

空風

例句を挙げる。

すがれたる蔓の蔓打つ空つ風 高澤良一 ぱらりとせ
上州の空つ風さへなく晴れて 稲畑汀子
人間の嘘生きはしる空つ風 能村登四郎
八束亡く憂き世仮の世空つ風 小出秋光
吹き寄せられてゆく東京の空つ風に 高澤良一 ねずみのこまくら
垣の上の舟の舳や初御空 風生
手の空や蝉殻の空風が過ぐ 櫛原希伊子
日の光まぜつ返して空つ風 檜 紀代
東京に疲る空風に髪吹かれ 橋本美代子
清教徒着きし岬の空つ風 仙田洋子 雲は王冠
牛は生涯大空を見ず空つ風 宮武寒々
牡蠣殻の山空風と馴れ合ふよ 百合山羽公 寒雁
物売りの声のとぎるる空つ風 貴田将子
百獣の王寝てばかり空つ風 高澤良一 寒暑
目に耳に又空風が余るなり 相生垣瓜人 明治草抄
空つ風どんと吾が家を衝きにけり 高澤良一 さざなみやっこ
空つ風六区は塵をとばすばかり 千葉玲子
空つ風埃吹き上げ慈善鍋 高野素十
空つ風忘れて過ぎし菊屋橋 石川桂郎 高蘆
空つ風濁りし胸の打診音 村本畔秀
空風にかなしき胼のきれにけり 阿部みどり女 笹鳴
空風にご幣ひらひら道祖神 斉木 うた子
空風にガサツな歩き方通す 高澤良一 寒暑
空風に乾びてゐたり氷下魚売 金箱戈止夫
空風に園児吹き飛ばされしとか 川井 梅峰
空風に場所を置き去る靴磨 百合山羽公 寒雁
空風に逆らふ睫毛もてあます 長谷川かな女 雨 月
空風の道ゆくは野良人ばかり 太田鴻村 穂国
空風は青空の日を支へたる 阿部みどり女
空風も詰めだるま籠真ッ赤なり 宮津昭彦
空風や吹き分れたる石たゝき 島村元句集
空風や湾口に泛く荷物船 飯田蛇笏 雪峡
空風や練馬の駅の大泉 石塚友二 光塵
空風や鎖骨に触るる主治医の手 高澤良一 寒暑
空風を繰り出して山何もなし 百合山羽公 寒雁
竹藪の日を踊らせて空つ風 福田千栄子
翔ちし鷺吹き戻されし空つ風 永井善郎
胸中に抱く珠あり空つ風 富安風生
自販機の明るき路地の空つ風 佐倉あさ子
蕎麦食ひに出て父の忌の空つ風 奈良文夫
赤城山までがこの村空つ風 岸善志
路鋲ふむ靴のあらたに空つ風 飯田蛇笏 雪峡
遮れる何物もなく空つ風 豊田光世
風の無い夜は厭だと空つ風に死にゆけり 石橋辰之助
鯔網に冬ふかみつつ空つ風 飯田蛇笏 雪峡

空風 補遺

わが伏屋吹つとばさんず空つ風 富安風生
三叉の花に落ちくる空つ風 山口青邨
北颪白き手が来て髪を剃る 赤尾兜子 歳華集
大き湖据う遠州の空つ風 大野林火 月魄集 昭和五十六年
大年の一空つ風わが舞ひぬ 岸田稚魚 紅葉山
夷俘の血を呼び北颪身ぬち過ぐ 佐藤鬼房
小わつぱのちさき争ひ空つ風 上村占魚 鮎
彼の茶屋にラムネ飲みしが空つ風 永田耕衣
曾祖父仙蔵以前姓なし空つ風 三橋敏雄
枯桑に咋日も今日も空つ風 高浜年尾
柴小屋に空風わたるくき菜哉 三宅嘯山
湖波をそそのかしゐる北颪 上村占魚
牡蠣殻の山空風と馴れ合ふよ 百合山羽公 寒雁
産土の砂が砂擦る空つ風 三橋敏雄
白みゆく空風もなく海は堪へたり 種田山頭火 自画像 層雲集
目に耳に又空風が余るなり 相生垣瓜人 明治草抄
目に耳に又空風が餘るなり 相生垣瓜人 明治草
空っ風の強き日餅の焼きざまし 橋閒石
空つ風にアカハタの歌一襤褸 角川源義
空つ風の強き日餅の焼きざまし 橋閒石 朱明
空つ風忘れて過ぎし菊屋橋 石川桂郎 高蘆
空つ風痩身の師の飄とありき 金子兜太
空風が耳をちぎりに来りけり 相生垣瓜人 明治草
空風に場所を置き去る靴磨 百合山羽公 寒雁
空風に打擲されて我慢せり 相生垣瓜人 負暄
空風の浜松小隊社会鍋 百合山羽公 樂土以後
空風や湾口に泛く荷物船 飯田蛇笏 雪峡
空風や練馬の駅の大泉 石塚友二 光塵
空風を繰り出して山何もなし 百合山羽公 寒雁
聖日の兵ら艀に空つ風 飯田蛇笏 白嶽
花束だって貰うさ 空っ風野郎 伊丹三樹彦
行くさ来さ中山道は北颪 三橋敏雄
赤城颪となるまではただ空つ風 加藤秋邨
路鋲ふむ靴のあらたに空つ風 飯田蛇笏 雪峡
飛花たかく瑠璃空風は濁りけり 西島麦南 人音
鯔網に冬ふかみつつ空つ風 飯田蛇笏 雪峡

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 17:57 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

北風 の俳句

北風 の俳句

北風

例句を挙げる。

あかつきの北風とほる曼珠沙華 飯野燦雨
かの時は北風を香ぐはしとせり 相生垣瓜人 微茫集
これからは毎日北風の浜荷役 福田冷味
しづかなる駒岳の煙に北風ありや 京極杞陽
その夜更け笞のごとく北風吹けり 小林康治 四季貧窮
のどぼとけあらはに北風の中を来し 上野さち子
ひらくコーモリ接収海域の北風避くと 古沢太穂 古沢太穂句集
ふるさとの春の北風つよきかな 久保田万太郎 流寓抄
やつにも注げよ北風が吹きあぐ縄のれん 太穂
わが影の髪乱れつつ北風を行く 山口波津女 良人
われに妻妻にわれあり北風吹く夜 森川暁水 黴
アドバルン北風はらみ下ろさるゝ 阿部みどり女 笹鳴
マスクして北風を目にうけてゆく 篠原梵 雨
ユリの木のまばらなる葉を北風鳴らす 高澤良一 さざなみやっこ
一枚の壁傾きて北風低く(焦土) 河野南畦 『花と流氷』
人行けば我も行くなり北風に 本田あふひ
今も小諸刃のごとき北風の吹き 村松紅花
俯瞰に北風の港契約がんじがらみ 中戸川朝人
傷兵や北風吹く門に母を送る 岸風三楼 往来
八音節か筑紫の国の北風は 夏石番矢
出帆旗北風に羽摶ちて昇りゆく 波津女
切れ切れて北風に残りし母のテープ 羽部洞然
北風あたらしマラソン少女髪撥ねて 三鬼
北風あと心呆うけし夕餉かな 木歩句集 富田木歩
北風がときに宣撫の声をさらふ 長谷川素逝 砲車
北風すさびたまとび瓦ふるひ落つ 長谷川素逝 砲車
北風すさび納め納めと何やかや 久保田万太郎 流寓抄以後
北風す扉にくろがねの巨き鋲 石原舟月 山鵲
北風す穂家のもののぐ古りにけり 石原舟月 山鵲
北風たゆむ神葬の笙火に温む 宮武寒々 朱卓
北風つのるどこより早く厨に灯 岡本眸
北風つよき九番ホールをあへてゆきぬ 軽部烏帽子 [しどみ]の花
北風とおなじ速さに歩きゐしなり 篠原梵
北風とガラスのような二人かな 二村典子
北風にあらがふことを敢へてせじ 風生
北風にいらだてば咳きし胸ほてる 川島彷徨子 榛の木
北風にかけてがせいや帆前垂 久保田万太郎 流寓抄以後
北風にかほのしらけて葬もどり 森川暁水 黴
北風にさからふ腕をしかと組む 岸風三楼 往来
北風にたちむかふ身をほそめけり 本下夕爾
北風によろけそれでも海が好き 飯沼衣代
北風に人細り行き曲り消え 高浜虚子(1874-1959)
北風に向ひ歩きて涙ふく 室町ひろ子
北風に吹かるゝ旅をしてをりぬ 今井杏太郎
北風に吹かれそのまま囚の前 阿部みどり女
北風に吹き歪められ顔嶮し 高浜虚子
北風に唄奪られねば土工佳し 津田清子 礼 拝
北風に情念透きて前後なし 柴田白葉女 花寂び 以後
北風に打つ鉄の皮ぽろぽろと 右城暮石 声と声
北風に揺れゐる檣ばかりなり 五十嵐播水 埠頭
北風に棕櫚が葉鳴らすのみの窓 波多野爽波 鋪道の花
北風に横向き立てるビルディング 京極杞陽 くくたち下巻
北風に浚渫船のあるばかり 五十嵐播水 埠頭
北風に火の粉あげつつ船出でぬ 五十嵐播水 埠頭
北風に牛角を低くして進む 西東三鬼
北風に糞落しゆく荷馬かな 碧梧桐
北風に脳味噌乾き吹かれをり 昌治
北風に腹を叩いて牛通す 長谷川かな女
北風に舟そくばくや湖の浦 尾崎迷堂 孤輪
北風に言葉うばはれ麦踏めり 楸邨
北風に逆ふ自嘲は木炭車か吾か 赤城さかえ
北風に鍋焼饂飩呼びかけたり 子規
北風に雲は東し南しぬ 京極杞陽 くくたち上巻
北風に顔の粉のふくおかしさよ 鳥居美智子
北風に飛びくる雪のきほひかな 比叡 野村泊月
北風に飛ぶ人の隻語を聞きとがむ 竹下しづの女句文集 昭和十五年
北風のうしろにいつも又三郎 今井杏太郎
北風のかたちのこる髪なり擁く 中戸川朝人
北風のこの崖にきて逆まける 上村占魚 鮎
北風のころがり落つる千枚田 大平芳江
北風のなか昂ぶり果ての泪ぬぐふ 鈴木しづ子
北風のふわりと甘くパン工場 木谷はるか
北風のますぐに歩く仲仙道 長谷川かな女 雨 月
北風のまだ力ある花しどみ 福田甲子雄
北風の丘坂なりにわが庭となる 加藤楸邨
北風の人誰もかつては母に甘へし 細谷源二 砂金帯
北風の吹きぬけて山美しき 今井杏太郎
北風の吹きまく雲の尖りかな 上村占魚 鮎
北風の吹くだけ吹きし星の冴え 渋沢秀雄
北風の墓へ縁由の酒をそゝぐなり 清水基吉 寒蕭々
北風の夜やほとほと熱き襁褓籠 下村槐太 光背
北風の大門稀に開くかな 阿部みどり女 笹鳴
北風の奪へる声をつぎにけり 中村汀女
北風の巻尺飛んで捲かれ来る 米沢吾亦紅 童顔
北風の息安めゐる七七忌 橋本榮治 麦生
北風の星嶺も祈りの姿もつ 中島斌雄
北風の昨日も今日も軒の梅 高濱年尾 年尾句集
北風の河岸銑鉄船ひくく河岸につく 川島彷徨子 榛の木
北風の灯を近づけぬ聖書地図 田川飛旅子
北風の爪のあとある大地かな 上野泰 春潮
北風の砂丘を指す馬ならば嘶かむ 金子無患子
北風の磨き上げたる尼の柚子 殿村莵絲子 雨 月
北風の空サーチライトが叉を求めあふ 篠原梵 雨
北風の背中よ窓は嵌め殺し 櫂未知子 蒙古斑
北風の藪鳴りたわむ月夜かな 杉田久女
北風の街砲馬はげしく頬寄せあふ 中島斌男
北風の身を切るといふ言葉かな 中村苑子
北風の釜火に頬を焼かれけり 金尾梅の門 古志の歌
北風の障子ことりと吹き凪げる 寸七翁
北風の鶏羽ばたく型にくくられぬ 羽部洞然
北風はげし書房の書架が街の壁 古館曹人
北風ふく夜ラジオは遺児に唄はする 岸風三楼 往来
北風へ壁も膨らむ楽の渦 林翔 和紙
北風まとふ花梨の下のおびしや宿 町田しげき
北風やあるひは赤き蟹の足 久保田万太郎 流寓抄以後
北風やあをぞらながら暮れはてゝ 芝不器男
北風やお不動山へ土手許り 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
北風やかたまりあうて葬もどり 森川暁水 黴
北風やかなしき楽の曲馬団 福田蓼汀 山火
北風やけふ七ッ峰皆見ゆる 乙字俳句集 大須賀乙字
北風やこの板の間は書を教ふ 波多野爽波 『一筆』以後
北風やつひに立ちとまり吸ふたばこ 佐野良太 樫
北風やふるひ声して葬もどり 森川暁水 黴
北風やほとけの足のぶうらぶら 飯田蛇笏 山廬集
北風やまつかうを打つ砂つぶて 上村占魚 球磨
北風やイエスの言葉つきまとふ 野見山朱鳥
北風や一茶の上蔵窓ひとつ 玉木春夫
北風や余燼の中の幾屍(三月十日未明の大空襲に一眸災火余燼の渦巻く墨東の焦土に佇ちて) 石原八束 『秋風琴』
北風や南に傾ぐ風師山 佐藤漾人
北風や合掌棹しに沼渡舟 橋本鶏二
北風や多摩の渡し場真暗がり 秋櫻子
北風や夜の店番の針仕事 小澤碧童 碧童句集
北風や夜店尻なる古雑誌 五十嵐播水 播水句集
北風や大青竹の吹きしなふ 高橋淡路女 梶の葉
北風や子の物干して賑はしく 野村喜舟 小石川
北風や小草萌え居る葎底 西山泊雲 泊雲句集
北風や山の妙義の屏風立ち 上村占魚 球磨
北風や山越して雁湖に落つ 菅原師竹句集
北風や怒濤へなだれ千枚田 徳永山冬子
北風や戸をさしかけの夜商ひ 小澤碧童 碧童句集
北風や書架に読まざるリルケ頌 火村卓造
北風や杉の三角野の果に 東洋城千句
北風や桑を出し月すぐのぼり 大峯あきら 鳥道
北風や椿油は瓶の底 波多野爽波 『一筆』以後
北風や此処までくるとみな背き 高柳重信
北風や汁に輪禍の供花一基 森本啓太
北風や浪に隠るゝ佐渡ケ島 月斗
北風や涙がつくる燭の虹 高柳重信
北風や爐邊に金魚鉢の大 泰山俳句集拾遺 中村泰山、熊谷省三編
北風や独楽買ふ銭を固く掌に 永井龍男
北風や目汁鼻汁媼あはれ 河野静雲
北風や石を敷きたるロシア町 高浜虚子(1874-1959)
北風や碧童の句の憤り 久保田万太郎 流寓抄以後
北風や神のみたらしから~に 阿部みどり女 笹鳴
北風や移民相手の雑貨店 五十嵐播水 埠頭
北風や肌青々と桐立てり 阿部みどり女
北風や護国寺をさす霊柩車 野村喜舟 小石川
北風や釣つてすぐ売る鯉の色 野村喜舟 小石川
北風や釣瓶に上げし水すくな 小杉余子 余子句選
北風や鍛冶屋魚屋の腰障子 六花
北風や青空ながら暮れはてゝ 不器男
北風をくぐれる水の早さかな 中村汀女
北風をまともに川に沿うてゆく 高濱年尾 年尾句集
北風をゆきつぶら童子を拾ひくる 栗林千津
北風をゆけばなけなしの髪ぼうぼうす 金子兜太 皆之
北風を削り出さるるごとく歩む 石川仁木
北風を帰りて髪の減りにけり 莵絲子
北風を来し相おし鎮め轆轤踏み 加藤知世子 花寂び
北風を来し骨相とがり描きやすし 加藤知世子 黄 炎
北風を軽しと思ふ日暮れけり 今井杏太郎
北風を避くべくもなし馬の上 石井露月
北風三日風男来て篠生刈る 鈴木勁草
北風低く糶に灯して河岸女 河野南畦 湖の森
北風凪ぎて夕陽のしみる桐畠 塚原麦生
北風凪ぎの星空ゆくは鴎かや 金尾梅の門 古志の歌
北風凪の海の落暉や飽かず立つ 金尾梅の門 古志の歌
北風吹いて沼の匂の網乾く 神宮きよい
北風吹いて泥土の干割れ底知れず 有働亨 汐路
北風吹いて瓦礫の中の小もの店 石原舟月
北風吹くやしらじら昼の塩害田 有働亨 汐路
北風吹くや一つ目小僧蹤いてくる 角川春樹
北風吹くや少女外套の裏あかく 岸風三楼 往来
北風吹くや鳴子こけしの首が鳴る 菖蒲あや
北風吹く夜ねむり薬にしばし寝る 森川暁水 黴
北風吹く夜壁の蜘蛛見て寝ずありぬ 森川暁水 黴
北風吹く硝子戸に鍵かけてある 川島彷徨子 榛の木
北風吹く葬儀社の花白妙に 飯田蛇笏
北風吹けば北風に嘶く寒立馬 小松夜潮
北風吹けば砂粒うごく失語の浜 西東三鬼
北風吼ゆる夜に出でゆく酒少し 上和田哲夫
北風寒しだまつて歩くばかりなり 高浜虚子
北風強く夕焼を地の果に押す 飛旅子
北風強し製菓会社の旗緊まり 田川飛旅子 花文字
北風昏くはくれむ弁を閉ぢにけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
北風暗く笛も鳴らさず船出でぬ 五十嵐播水 埠頭
北風荒ぶ赤い帽子の児と船に 上村占魚 鮎
北風荒らびラヂオも今はなき真夜と 森川暁水 黴
北風荒るる夜のそら耳に子泣くこゑ 森川暁水 黴
北風荒るる夜の時計の鳴り嗄れぬ 森川暁水 黴
北風落ちて夕陽のしみる桐畠 塚原麦生
北風防ぐ垣はもあらず泥染は 米谷静二
北風鳴るや五十腕のパイプ歯にあたる 原田種茅 径
北風鳴れり虚しき闇につきあたり 油布五線
千余の赤旗北風をゆくらんひと日家に 赤城さかえ
原子炉を抱く岬や北風吼ゆる 兼田 幸苑
吾子が抱く一壺となりし夫に北風 野見山ひふみ
哨戒機北風に真向ひ音をたかむ 篠原梵 雨
喜多方ラーメンずずと啜れば北風ひゅう 高澤良一 随笑
喬き木の北風に勝たんとするを見たり 細谷源二 砂金帯
嘆きつつ我を蹤けくる北風も 河原枇杷男 定本烏宙論
埋立地の北風にひからぶ不思議なパン 齊藤夏風
墓に到いて柩吹かるる北風かな 下村槐太 光背
墓地の涯北風吹き電車低く見ゆ 三谷昭 獣身
夕北風一トきは月のほそりかな 久保田万太郎 流寓抄以後
外は北風パン種のぬくみけり 如月真菜
夜ぞ深き葦を折りては北風叫ぶ 竹下しづの女 [はやて]
天城雪なし猟人北風に吹かれ去ぬ 臼田亞浪 定本亜浪句集
天橋に北風憑きて鳴りわたる 石原八束 『仮幻』以後
奔放な北風が海巻く陸は未完 斉藤夏風
嫁ひとり迎ふ総出の北風の村 成田千空 地霊
寝がたし北風(きた)に吹き飛ぶ遠汽笛 川口重美
小さくて薪の神とぞ北風の中 友岡子郷
小鳥の音北風に消えつつ田ゆきこゆ 川島彷徨子 榛の木
山際のあさぎ空より北風は来る 篠原梵 雨
峠は闇われに棲みつく北風も 河原枇杷男 流灌頂
干蛸の口尖りゐる北風強し 壺井久子
必ずと言つて良いほど午後は北風 加藤古木
急に北風たてり雨降嶺青ませて 川島彷徨子 榛の木
急に北風空の形相うち変り 上野泰 佐介
恋猫にまだ北風荒き三崎かな 久米正雄 返り花
抱き止めて北風匂ふ子の旋毛 西村和子 かりそめならず
救急車香ものこさずに北風を去る 昭彦
新北風の幅を見据ゑよ屋根獅子 鳥居おさむ
日もすがら北風の林のさわぐ音 長谷川素逝 村
春の北風大学生を死なしたる 久米正雄 返り花
春水の縮緬皺や北風添へば 栗生純夫 科野路
昼くらく北風つよき日なりけり 長谷川素逝 砲車
末枯や北風強く當る山 石井露月
杉葉かけて北風防ぎ銭乞へる 比叡 野村泊月
村々へ秩父北風おろしけり 喜谷六花
村は槇籬高く北風堰いて住む 長谷川素逝 村
梅の陽と北風に嬰児のもの晒す 鈴木六林男 第三突堤
棕梠の葉が肝胆くだく夜の北風 田川飛旅子 花文字
樫山に北風雪を降らしけり 右城暮石 声と声
橋二つ渡る参賀に北風まとも 木田素子
死を言ふ妻はげしく叱す北風の中 徳永山冬子
水の上を北風の吹き通りけり 今井杏太郎
池に波たゝせて春の北風寒き 大場白水郎 散木集
沈いし顔北風にこわばり工場退ける 田川飛旅子 花文字
波止暗く北風に鳴る旗手ん手 五十嵐播水 埠頭
海べりに旗立ち北風を裂きいたり 飴山實 『おりいぶ』
海苔採の眼しよぼしよぼと北風まとふ 大野林火
海道や松蔭小家北風に 尾崎迷堂 孤輪
温泉の煙北風しづまれば山かくす 深見けん二
滅びてはいま北風の素通り村 有働 亨
漂泊や北風の波退く潮仏 石原八束 『幻生花』
潟の水乗れる田のほか北風暗し 西村公鳳
濠の波北風すさみそめにけり 麦南
火を飼つて鍛造北風に隙だらけ 宮津昭彦
火口壁の身の影北風に舞ひ暗む 石原八束 空の渚
炉にゐるや別の己れが北風を行き 松崎鉄之介
燕俄かにおしやべり北風を帰り来て 羽部洞然
片頬にひたと蒼海の藍と北風(きた) 竹下しづの女句文集 昭和十三年
特攻基地址北風に椰子の葉ささら鳴り 奈良文夫
獄の門出て北風に背を押さる 秋元不死男
田を移るたびに北風つよき谷 飯田龍太
白波しみじみ砲音なき日の北風に 古沢太穂 古沢太穂句集
白波や筑波北風の帆曳き船 石原八束 『高野谿』
白鳥の相寄る北風のつのる中 成瀬桜桃子 風色
目も耳も北風に散らし後ずさり 渡部陽子
砂を売る砂山の村北風晒らし 成田千空 地霊
砂舟の水尾撓む北風大幅に 成田千空 地霊
神の階青空に見え北風吹けり 柴田白葉女 花寂び 以後
空は北風地にはりつきて監獄署 飯田蛇笏 山廬集
窓の椎夕日に映えて北風かな 木歩句集 富田木歩
竹を打つ音北風となりにけり 山岡正嗣
笹つなぎの雑魚北風乾きつゝ 泰山俳句集拾遺 中村泰山、熊谷省三編
純白の結び目北風の遺骨一つ 成田千空 地霊
羽音して北風吹き分る野末の樹 成田千空 地霊
老いたれば非常を常に春の北風 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
耳傾むく北風より遠き物音に 林火
草山の墓北風に吹きはれぬ 西島麦南 人音
荒園の夜は犬群れて北風すさぶ 中尾白雨 中尾白雨句集
荒神松買ふにがま口北風晒し 高澤良一 ねずみのこまくら
蛸壺の北風受けてころがれり 松藤夏山 夏山句集
街燈の独楽の子北風に連れ去られ 石原八束 空の渚
覆われて貨車に角ばるもの北風へ 田川飛旅子 花文字
角曲るとき北風に相対す 川原 程子
訃ははるか鉄板鳴らし北風はしる 三谷昭 獣身
起重機索厳と垂直北風吹く 羽部洞然
足上げて鶴のごとしよ北風吹く日 仙田洋子 橋のあなたに
身の内に北風の入口出口あり 加藤はま子
身をぬけてゆく北風のつぶて打ち 長谷川久々子
軍旗に手向うなの気球に北風の吹きつけている風景 栗林一石路
逆髪や北風の風渡野葬り道 文挟夫佐恵 遠い橋
道のべや北風にむつむ女夫鍛冶 飯田蛇笏 山廬集
道の辺の噴井に落る北風かな 増田龍雨 龍雨句集
部屋くらく坐りぬ立ちぬ北風すさぶ 片山桃史 北方兵團
部屋になほ北風を戻りし耳なじまぬ 篠原梵
野辺送りまさしう野辺を北風に吹かれ 奈良文夫
鍵をもて導かるるや北風の獄 松村蒼石 春霰
長江の出口入口北風を呑む 柴崎左田男
非命多喜二北風の機関車煙伏す 成田千空 地霊
非常梯子北風へ少女の裾ふくらむ 田川飛旅子 花文字
頬に北風あてて一歩も退かず 鎌倉佐弓 水の十字架
風呂敷をもつ子がすぎて北風吹けり 長谷川双魚 『ひとつとや』
飢ゑし啼く海猫に日増しの北風嵐(禮文島) 上村占魚 『自門』
鬼灯忌の北風を聴く一人かな 有働亨 汐路
鶏遠音きこゆる北風に病臥かな 富田木歩
鶏頭の毛穴立ち行く北風かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
甲板に出づれば北風に面張られ 高澤良一 石鏡
SOUVENIRSHOPスカジャン北風に吊り 高澤良一 石鏡
あらぬこと口走りては寒風に 高澤良一 素抱
家に入りまだ寒風の足取なり 富田直治
寒風が揉んで変形せぬプール 渋谷道
寒風となり大富士の声となる 齋藤玄 飛雪
寒風と雀と昏るゝおのがじし 竹下しづの女句文集
寒風にあらがいて骨太りけり 森田智子
寒風にすぐ取乱す棕梠を愛す 田川飛旅子 花文字
寒風にとびとどまれる鴎かな 京極杞陽
寒風にふきしぼらるゝ思ひかな 星野立子
寒風にふき紋られて歩きをり 上野泰
寒風に向つて歩く外はなし 池内たけし
寒風に吹きしぼらるる思ひかな 星野立子
寒風に吹き絞られて歩きをり 上野泰 春潮
寒風に声かけゆくは亡父ならむ 寺田京子 日の鷹
寒風に売る金色の卵焼 大木あまり
寒風に少女はつよき言葉持つ 右城暮石 声と声
寒風に曝され金に突きとばされ 石橋辰之助
寒風に背筋伸ばして誕生日 菖蒲あや
寒風に葱ぬくわれに絃歌やめ 杉田久女
寒風に赤旗立てて厄除寺 船津俶子
寒風に身を*そそがむと出でて来し 上野さち子
寒風に顔ちぢまりて吾子戻る 中嶋秀子
寒風のつよければ振る旗おもし 長谷川素逝 砲車
寒風のぶつかりあひて海に出づ 山口誓子
寒風のむすびめごとの雀かな 齋藤玄 『雁道』
寒風の中にとどまる骨の鯉 斎藤玄 雁道
寒風の吹込んでゐるビルディング 京極杞陽 くくたち下巻
寒風の土へ掘り出す紅かぶら 福田甲子雄
寒風の子を見てあれば抱き去れり 長谷川かな女 牡 丹
寒風の盆地芭蕉の出奔地 楠節子
寒風の真黒き架線ああ家に 齋藤愼爾
寒風の研き上げたる星の街 水田むつみ
寒風の通天閣もの落すなよ 右城暮石 上下
寒風の陸灯船の灯が加はる 右城暮石 声と声
寒風の鴨浮き鴉翔ちにけり 齋藤玄 飛雪
寒風へ首差し伸べて川鵜たつ 加藤耕子
寒風やたかくは飛ばぬ土の鳥 銀漢 吉岡禅寺洞
寒風やたくましと見しひとのそば 桂 信子
寒風やだんまり解かぬ夜泣石 渡辺恭子
寒風やふくらむものは立ち上り 石田勝彦 秋興
寒風や半分ひらく島の店 山根きぬえ
寒風や石の如くに抱く決意 藤浦昭代
寒風や砂を流るる砂の紋 石田勝彦
寒風や羽根折つて来る鳥真白 金箱戈止夫
寒風や菜に飛ぶ虫の散り~に 渡辺水巴 白日
寒風や鉄火ちかみの膝頭 齋藤玄 飛雪
寒風や隊伍みじかき帰還兵 渡邊水巴 富士
寒風を一気に吸つて過去を吐く 河渕香保女
寒風を来し子に光る耳二つ 細川加賀 『傷痕』
寒風を来し目に少し涙ため 星野立子
寒風を殺してゐたり波殺し 大木あまり 火のいろに
寒風を突いて人皆用ありげ 星野立子
寒風を見舞ひ耳順を言ひ合ひぬ 田中英子
寒風裡裸の軍鶏がときつくる 福田蓼汀 山火
死ねよ死ねよと寒風に漢帆を走らす 細谷源二
汝が骨を経て吾に到る寒風か 成田千空 地霊
海に出て寒風の陸みすぼらし 右城暮石 声と声
無人の家夜更けて戻る寒風裡 石塚友二 方寸虚実
焼酎に胃をやきてすぐ寒風へ 右城暮石 上下
猫入り寒風の闇へわが辞する 古沢太穂 古沢太穂句集
生花冴ゆ夜の寒風歩く人に 大井雅人 龍岡村
石棺観て寒風を来し耳ふさぐ 河野多希女 納め髪
竹群に寒風集め達磨市 真鍋貴子
縋るものなし寒風に取り縋る 三橋鷹女
肉病むのみ寒風玻璃戸を平手打 香西照雄 対話
西晴れて寒風見えず絶えず吹く 相馬遷子 山河
見え透いてゐて寒風の荒ぶなり 相生垣瓜人 微茫集
門を入りさらに寒風の石の坂 香西照雄 対話
青空に寒風おのれはためけり 中村草田男
鳰浮くと即座に寒風襲ひたる 関森勝夫
朔風やわら一本を噛む兎 五味真穂
朔風や十にも足らぬ羊守る 遠藤梧逸
朔風や木目浮きたる跪拝台 小林 貴子
かりがねを湖北の雲に冬の風 飯田蛇笏 椿花集
ゆるぎなき大楠冬の風やどす 上村占魚
中空に月吹上げよ冬の風 阿部次郎
何か鳴る焦土は暮れぬ冬の風 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
冬の風人生誤算なからんや 飯田蛇笏
垂れ蔦の石垣を擦る冬の風 高田蝶衣
巨亀の骨より冬の風が吹く 対馬康子 純情
軒のもの倒れる音や冬の風 田村木国
道のべに痢して鳴く鵜や冬の風 飯田蛇笏 山廬集
顔に手を触れず一日冬の風 右城暮石 声と声

北風 補遺

かの時は北風を香ぐはしとせり 相生垣瓜人 微茫集
かりがねを湖北の雲に冬の風 飯田蛇笏 椿花集
かるがると北風に吹かるる信なき日 鷲谷七菜子 黄炎
このページ繰ればかならず北風が吹く 中村苑子
その夜更け笞のごとく北風吹けり 小林康治 四季貧窮
はるかにも北風の鶏鳴家殖えたり 野澤節子 未明音
みちのくの外海荒るる北風立ち 村山故郷
やつにも注げよ北風が吹きあぐ縄のれん 古沢太穂 古沢太穂句集
わが電波北風吹く夜の陸よびつ 橋本多佳子
われによき師ありて北風をいそぐなり 桂信子 女身
トロッコを子が駆り北風の中を来る 橋本多佳子
フィナーレに似て寒風の大蘇鉄 岡本眸
プール涸れ屋上の如し北風吹き 秋元不死男
マグネシウムおのが煙と北風照らす 篠原梵 年々去来の花 皿
マスクして北風を目にうけてゆく 篠原梵 年々去来の花 雨
一仏の残りまします北風の中 山口青邨
一晩中北風の音土を打つ 金子兜太
一水を北風吹きくぼめ吹きくぼめ 清崎敏郎
一筋の縄北風によせやの標 右城暮石 句集外 昭和三十四年
人と並び落暉北風身にひびく 西東三鬼
何を為せとや北風強き誕生日 岡本眸
供花吹っとぶ 慌てる 北風の墓地の男 伊丹三樹彦
保税倉庫裸の馬車を北風におけり 安住敦
冠着の寒風遊ぶ子を転(こか)す 大野林火 雪華 昭和三十五年
冬の風人生誤算なからんや 飯田蛇笏 家郷の霧
冬の風黙つてをれば吹きにけり 岸田稚魚 紅葉山
切通し多羅尾寒風押し通る 山口誓子
北の窓日本海を塞ぎけり 正岡子規 北風
北吹いてうつつのことはみなかなし 福田蓼汀 山火
北吹くや赤城は雲を居らしめず 水原秋櫻子 新樹
北吹くや鉄のクルスの澄みのよき 大野林火 海門 昭和十一年
北吹けば国来々々と海氷来 角川源義
北風あたらしマラソン少女髪撥ねて 西東三鬼
北風あれて機音ゆく雲光るのみ 飯田蛇笏 家郷の霧
北風いそぐやひとをあざむき了せたり 大野林火 冬雁 昭和二十一年
北風うけて咲くこと散ること梨花は急く 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
北風がときに宣撫の声をさらふ 長谷川素逝 砲車
北風が呼べば日空は鎌の色 飯田龍太
北風が額を打つて余りに酷 西東三鬼
北風くる野の赫光り朝の愛 金子兜太
北風さむし人葬る地を深く掘りぬ 山口誓子
北風すさびたまとび瓦ふるひ落つ 長谷川素逝 砲車
北風つのるどこより早く厨に灯 岡本眸
北風つよしバンカーの砂吹きとびて 高浜年尾
北風とおなじ速さに歩きゐしなり 篠原梵 年々去来の花 皿
北風にあへなく折るゝ葱ばかり 日野草城
北風にうなじ伏せたる荷牛かな 村上鬼城
北風にまむき歩きて目に泪 星野立子
北風にわらふ共に家なき焼け出され 加藤秋邨
北風に一人の怒声蟹を競る 阿波野青畝
北風に二代目肩をゆすりゆく 西東三鬼
北風に向いて堀端通りかな 正岡子規 北風
北風に吹かれざるなき女の髪 右城暮石 句集外 昭和二十七年
北風に唄奪られねば土工佳し 津田清子 礼拝
北風に愛されて眼に水たまる 西東三鬼
北風に打つ鉄の皮ぽろぽろと 右城暮石 声と声
北風に振るシャツ 移民船 徐々に加速 伊丹三樹彦
北風に新緑の根を幣とせり 三橋敏雄
北風に棕櫚が葉鳴らすのみの窓 波多野爽波 鋪道の花
北風に棕櫚の葉光出しつづく 右城暮石 一芸
北風に比良のそゝれは*えりのなき 河東碧梧桐
北風に流れそめけり冬の雲 日野草城
北風に牛角(ぎゅうかく)を低くして進む 西東三鬼
北風に発掘の土盛り上げて 右城暮石 天水
北風に皆傾きし夏木かな 高野素十
北風に糞落し行く荷馬かな 河東碧梧桐
北風に群集が叫ぶ口赤し 西東三鬼
北風に莨火かばひ獄を出づ 秋元不死男
北風に藪の穂を見て歩くなり 右城暮石 句集外 昭和二年
北風に言葉うばはれ麦踏めり 加藤秋邨
北風に訪ひたき塀を添ひ曲る 杉田久女
北風に重たき雄牛一歩一歩 西東三鬼
北風に鍋燒温泉呼びかけたり 正岡子規 北風
北風に鍋燒温飩呼びかけたり 正岡子規 北風
北風に魚塩の便りなかりけり 河東碧梧桐
北風に鼻づら強き雄姿かな 村上鬼城
北風のここに一羽の鸚鵡飼ふ 三橋鷹女
北風のこの崖にきて逆まける 上村占魚 鮎
北風のひゆーらひゆーらと愚禿なぶる 金子兜太
北風のひるみを突いて走り出す 上田五千石『琥珀』補遺
北風の中氷挽きたるあと残る 岡本眸
北風の中酔人詫びる楽しげに 中村草田男
北風の人誰もかつては母に甘へし 細谷源二 砂金帯
北風の北区や岸田稚魚在りし 能村登四郎
北風の南にかはる小春哉 正岡子規 小春
北風の吹いて寒しや夏の嶋 高野素十
北風の吹きまく雲の尖りかな 上村占魚 鮎
北風の土に光りて山羊の綱 波多野爽波
北風の外壁ピーナツ売に鳴りどほし 伊丹三樹彦
北風の夜やほとほと熱き襁褓籠 下村槐太 光背
北風の奪へる声をつぎにけり 中村汀女
北風の眉引きいのち死なざりき 三橋鷹女
北風の空サーチライトが叉を求めあふ 篠原梵 年々去来の花 雨
北風の藪鳴りたわむ月夜かな 杉田久女
北風の道折れていきなり魚臭き 岡本眸
北風の階のぼり切るとき声出しぬ 岡本眸
北風の馬荒れ荒れて千住まで 渡邊白泉
北風はしり軽金属の街を研ぐ 西東三鬼
北風へ向く婦になべて包重し 野澤節子 未明音
北風へ壁も膨らむ楽の渦 林翔 和紙
北風も訪ひくるるものとして 後藤比奈夫
北風やおのが身かばふおのが身に 山口青邨
北風やかなしき楽の曲馬団 福田蓼汀 山火
北風やこの板の間は書を教ふ 波多野爽波
北風やほとけの足のぶうらぶら 飯田蛇笏 山廬集
北風やまつかうを打つ砂つぶて 上村占魚 球磨
北風や女逃げゆくモノレール 雨滴集 星野麥丘人
北風や山の妙義の屏風立ち 上村占魚 球磨
北風や椿油は瓶の底 波多野爽波
北風や獄出て道路縦横に 秋元不死男
北風や磐城国人は雪田打つ 村山故郷
北風や磧の中の別れ道 河東碧梧桐
北風や芋屋の煙なびきあへず 正岡子規 北風
北風より入り百の油火おどろかす 橋本多佳子
北風をくぐれる水の早さかな 中村汀女
北風をゆけばなけなしの髪ぼうぼうす 金子兜太
北風を来しとは誰も語らずに 中村汀女
北風を走り停まりて猫やさし 右城暮石 句集外 昭和二十四年
北風去つて欅の樹瘤微熱もつ 三橋鷹女
北風吹くや月あきらかに港の灯 杉田久女
北風吹くや遠くゆれをり森の木々 山口青邨
北風吹く窓黒牛の胴きてかがやく 加藤秋邨
北風吹けば忽ち瑠璃や海地獄 後藤比奈夫
北風吹けば砂粒うごく失語の浜 西東三鬼
北風吹けり外套のかげ墓にながく 大野林火 海門 昭和十三年
北風吹けり外套の影墓に長く 大野林火 早桃 海風抄
北風吹けり昨日も日本海に吹きぬ 山口誓子
北風吹けり船檣高く聳えゆくに 山口誓子
北風寒き阜頭に吾子の舟つけり 杉田久女
北風強く日ざしにごれる丸の内 松崎鉄之介
北風強く水夫のバケツの水を奪る 山口誓子
北風強し木橋どこか脚ゆるみ 廣瀬直人 帰路
北風昏くはくれむ弁を閉ぢにけり 臼田亜郎 定本亜浪句集
北風晴の径も無くて老い行くも 永田耕衣
北風沁む獄出て泪片眼より 秋元不死男
北風荒ぶ赤い帽子の児と船に 上村占魚 鮎
北風荒れて帆綱の軋り寝ても聞きぬ 山口誓子
北風降りてわが前檣を駆けめぐる 山口誓子
北風駆けり会堂に聖書一片散る 山口誓子
北風駈る草原吾子を駈らしめ 三橋鷹女
北風高し尼僧の穿きて木靴鳴る 飯田蛇笏 家郷の霧
千曲寒風戦友がどの村々にも 松崎鉄之介
友の子や眉宇父に似て寒風へ(金子兜太氏一家丹波に来る) 細見綾子
哨戒機北風に真向ひ音をたかむ 篠原梵 年々去来の花 雨
唐辛子干す北風聞くも明日ならむ 大野林火 月魄集 昭和五十六年
喬き木の北風に勝たんとするを見たり 細谷源二 砂金帯
園を打つ海の北風に鼻とがる 西東三鬼
墓に到いて柩吹かるる北風かな 下村槐太 光背
夕北風子のうたごゑの勁く濁らず 大野林火 早桃 太白集
夕北風朱色こき壺焼かるるか 大野林火 海門 昭和十二年
夜の北風はこの世にえにしなきこゑか 飯田龍太
天を覆ふ火の子北風の花の如し 村山故郷
天城雪なし猟人北風に吹かれ去ぬ 臼田亜郎 定本亜浪句集
天空に北風群れる山居かな 金子兜太
夫留守や戸揺るゝ北風におもふこと 杉田久女
姫蔓蕎麦咲かす鎌倉北風がこひ 松崎鉄之介
子を叱る声寒風にちぎれつつ 伊丹三樹彦
孤児肘を挙げぬ返しの寒風に 中村草田男
家にまつ女房もなし冬の風 正岡子規 冬の風
寄進名にて北風を板囲ひ 右城暮石 天水
寒月や北風氷る諏訪の海 正岡子規 寒月
寒風が四方の眠りの中を過ぐ 廣瀬直人 帰路
寒風となり大富士の声となる 齋藤玄 飛雪
寒風にま向き歩きて泪拭く 星野立子
寒風に吹かれし頭痛かも知れず 星野立子
寒風に吹かれて我も飛ばむとす 相生垣瓜人 負暄
寒風に吹きしぼらるゝ思ひかな 星野立子
寒風に吹き消されゆく日毎かな 相生垣瓜人 負暄
寒風に孤児なに物もなきところ 中村草田男
寒風に富雄川あり寝ては覚め 右城暮石 句集外 昭和二十二年
寒風に少女はつよき言葉持つ 右城暮石 声と声
寒風に帰り来し妻美しき 高田風人子
寒風に廻ふ換気筒わが家伍す 伊丹三樹彦
寒風に息を合はして運河さわぐ 右城暮石 句集外 昭和三十一年
寒風に打ち込む杭の頭裂け 右城暮石 句集外 昭和三十二年
寒風に旗の死者の名ひるがへる 廣瀬直人 帰路
寒風に晒されて濃き枝を剪る 廣瀬直人
寒風に未来を問ふな臍に聞け 中村草田男
寒風に汲むや便壺を攪拌して 右城暮石 句集外 昭和三十二年
寒風に牛叱るこゑのみ短か 桂信子 月光抄
寒風に眼を奪はれて線路越ゆ 右城暮石 句集外 昭和三十一年
寒風に立ちて国歌を敬ひあふ 山口誓子
寒風に立てり自転車老朽して 山口誓子
寒風に立てる噴水定型なし 山口誓子
寒風に自転車の燈が侮れず 右城暮石 句集外 昭和三十一年
寒風に葱ぬくわれに絃歌やめ 杉田久女
寒風に鍬を晒して午をゐず 上田五千石『田園』補遺
寒風のさ中のおもひ野を出でず 飯田龍太
寒風のつよければ振る旗おもし 長谷川素逝 砲車
寒風のひびきて草のみどり萌ゆ 飯田龍太
寒風のぶつかりあひて海に出づ 山口誓子
寒風のむすびめごとの雀かな 斎藤玄 雁道
寒風の中にとどまる骨の鯉 斎藤玄 雁道
寒風の凝つて星斗と砕けゝむ 日野草城
寒風の吹きあてにある萱の枯れ 右城暮石 句集外 昭和四年
寒風の天に電線裁るつなぐ 上田五千石『田園』補遺
寒風の屋根に日当り医者の妻 飯田龍太
寒風の揉む竹林の揉まれやう 右城暮石 一芸
寒風の樽の中より声ありし 鷹羽狩行
寒風の洗ひし鎧兜岳 右城暮石 一芸
寒風の濡らせしところまで波来ず 右城暮石 句集外 昭和二十二年
寒風の砂丘今日見る今日のかたち 山口誓子
寒風の荷役の船尾沖に向け 右城暮石 句集外 昭和三十一年
寒風の通天閣もの落すなよ 右城暮石 上下
寒風の陸灯船の灯が加はる 右城暮石 声と声
寒風の駅打水の我に及ぶ 右城暮石 句集外 昭和三十二年
寒風の鴨浮き鴉翔ちにけり 齋藤玄 飛雪
寒風やふくらむものは立ち上り 石田勝彦 秋興
寒風や妻もしもしと呼びしかと 右城暮石 句集外 昭和三十六年
寒風や砂を流るる砂の粒 石田勝彦 秋興
寒風や菜に飛ぶ虫の散り~に 渡邊水巴 白日
寒風や鉄火ちかみの膝頭 齋藤玄 飛雪
寒風や隊伍みじかき帰還兵 渡邊水巴 富士
寒風を吸ひては駈る力あり 三橋敏雄
寒風を少女等のみが燥げり 右城暮石 句集外 昭和三十年
寒風を振り落さんと灯のホテル 廣瀬直人 帰路
寒風を来し目に少し涙ため 星野立子
寒風を来りしをとめ十も老け 山口誓子
寒風を歩きつづけて医に到る 山口誓子
寒風を突いて人皆用ありげ 星野立子
寒風吹く何か面白き事無きやと 永田耕衣
寒風呂に上機嫌なる父子かな 飯田蛇笏 霊芝
寒風呂を出てなりはひの襤褸を着ぬ 飯田蛇笏 山響集
寒風無尽江東の黒き屋並 松崎鉄之介
寒風裡裸の軍鶏がときつくる 福田蓼汀 山火
寒風高く海へ出でんと茲をひたに 中村草田男
対岸の人と寒風もてつながる 西東三鬼
少年院の北風芋の山乾く 西東三鬼
少数の人が地を行く寒風吹き 永田耕衣
山際のあさぎ空より北風は来る 篠原梵 年々去来の花 雨
巻きそびれたる甘藍は北風まかせ 加藤秋邨
帰り来ぬ人北風に立つ日かな 河東碧梧桐
急に北風空の形相うち変り 上野泰 佐介
振り上ぐる鍬を北風来ては舐ぐ 西東三鬼
掏摸も出て閉づ百貨鋪に北風吹く 飯田蛇笏 山響集
敵さだかに見ゆ寒風の落暉また 飯田龍太
日ざし失せ十六万坪鉄と北風 大野林火 雪華 昭和三十五年
日もすがら北風の林のさわぐ音 長谷川素逝 村
日本海そこにあり北風の砂丘越す 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
星屑に冬の夜の風つのりけり 日野草城
昼くらく北風つよき日なりけり 長谷川素逝 砲車
月夜寒風行くに現世は蒼ざめて 香西照雄 対話
朔風に火を焚くこころ孤ならずや 上田五千石『琥珀』補遺
朔風のなき上手ひろひ初詣 阿波野青畝
朔風の天に円月の大孤独 日野草城
村は槇籬高く北風堰いて住む 長谷川素逝 村
東京いづこに行けど寒風と人流れ 松崎鉄之介
東京の大路越えがての母に北風 松崎鉄之介
枯原に北風つのり子等は去り 西東三鬼
樫山に北風雪を降らしけり 右城暮石 声と声
機翼現れ吾子の口笛北風に和す 三橋鷹女
歩いてゐて川がよく見える冬の風冬の日 中川一碧樓
歯車の噛みあへる音北風を切る 大野林火 早桃 太白集
殉教の遠眼差や北下し 佐藤鬼房
母の命よ寒風の崖そがれつづく 松崎鉄之介
母の連祷石から石へ寒風立て 赤尾兜子 蛇
水夫立てり太き洋袴を北風に 山口誓子
海に出て寒風の陸みすぼらし 右城暮石 声と声
海べりに旗立ち北風を裂きいたり 飴山實 おりいぶ
海苔採の眼のしよぼしよぼと北風まとふ 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
海雀を北風に群れしめ解纜す 橋本多佳子
温泉の煙北風しづまれば山かくす 深見けん二
濤音にちかづく北風の道となる 大野林火 早桃 太白集
灰白のビル魁然と朔風に 日野草城
炉にゐるや別の己れが北風を行き 松崎鉄之介
無人の家夜更けて戻る寒風裡「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
無電技士わかく北風航く夜をひとり 橋本多佳子
焼跡の北風を棕櫚うけて立つ 右城暮石 句集外 昭和二十六年
焼酎に胃をやきてすぐ寒風へ 右城暮石 上下
煉瓦塀ただ寒風の想夫恋 中村草田男
熔鉱炉火気の高みに人と北風 中村草田男
燃えさかる火中の北風をまざと見ぬ 大野林火 早桃 太白集
燦爛と硝子の屑や北風に 山口青邨
爆死幾万は一つの釦北風鳴る 加藤秋邨
猫入り寒風の闇へわが辞する 古沢太穂 三十代
猿山の岩まことしやか北風に 山口青邨
獄門を出て北風に背を押さる 秋元不死男
獅子の髪わが髪北風は乱し吹く 山口青邨
田を移るたびに北風つよき谷 飯田龍太
畦下に雀天国狂ひ北風 上田五千石『田園』補遺
疲れゐる身に北風はみじめすぎ 星野立子
白波しみじみ砲音なき日の北風に 古沢太穂 古沢太穂句集
百貨鋪の錦繍にまで北風吹く 飯田蛇笏 山響集
砂丘寒風抱き合ひて二人吹かれくる 松崎鉄之介
砂利を揚ぐ艀をゆきき北風の子よ 佐藤鬼房
砂採りの北風に屈伸するが見ゆ 松崎鉄之介
空は北風地にはりつきて監獄署 飯田蛇笏 山廬集
窟作りこんぶのやうな北風を塗り 三橋鷹女
竹藪に北風騒ぐ音ぞかし 日野草城
笊盛りの貝に水打ち北風哭けり 岡本眸
紡績女工の夕日の列よ北風の畦 飴山實 おりいぶ
縋るものなし寒風に取り縋る 三橋鷹女
耳傾く北風よりとほき物音に 大野林火 白幡南町 昭和二十八年
聖愛をともしくゆけば冬の風 飯田蛇笏 家郷の霧
肉病むのみ寒風玻璃戸を平手打 香西照雄 対話
臥してきく寒風の音草城忌 桂信子 晩春
舟子(ふなびと)よ北門を出て北風に 金子兜太
船室(キャビン)より北風の檣(マスト)の作業みゆ 橋本多佳子
草山の墓北風に吹きはれぬ 西島麦南 人音
藤の実のゆるるを眺め北風に 山口青邨
蜂巣反る孔に寒風つめこんで 三橋鷹女
蜑達も寒風に目をうるませて 中村草田男
製氷所もて北風の町尽くる 岡本眸
西晴れて寒風見えず絶えず吹く 相馬遷子 山河
見え透いてゐて寒風の荒ぶなり 相生垣瓜人 微茫集
豆煎るや床下に北風吹きこもり 加藤秋邨
軍歌に歩合ひゐしか北風遽かなり 草間時彦 中年
軍歌ふと泪こみあげ寒風裡 伊丹三樹彦
返りペンキ浴び寒風にペンキ塗る 右城暮石 句集外 昭和四十四年
退避するひとごゑ北風の垣曲る 大野林火 早桃 太白集
道のべに痢して鳴く鵜や冬の風 飯田蛇笏 山廬集
道のべや北風にむつむ女夫鍛冶 飯田蛇笏 山廬集
道祖神北風に磨かる膝頭 松崎鉄之介
遠筑波兵馬の鬨は北風に乗る 角川源義
部屋になほ北風を戻りし耳なじまぬ 篠原梵 年々去来の花 皿
門を入りさらに寒風の石の坂 香西照雄 対話
雲水の寒風呂いたくたしなみぬ 飯田蛇笏 山響集
電柱に貼りつき北風の新聞紙 鷹羽狩行
韃靼の朔風一夜北京澄む 松崎鉄之介
顔に手を触れず一日冬の風 右城暮石 声と声
風垣の片側北風にそそけ立つ 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
馬黒く白く北風かぎりなし 西東三鬼
鵜は舷に小夜の北風吹く屋形船 飯田蛇笏 山響集
鶏殺す竹林の天北風に鳴り 上田五千石『田園』補遺
鷲動かず紙屑北風にさらはるる 桂信子 月光抄
黒田節低唱しつつ北風を 高田風人子

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 17:53 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

コート の俳句

コート の俳句

コート

例句を挙げる。

さよならの手をしまひたる黒コート 内田美紗 浦島草
そのまゝといはれ会釈しコートぬぐ 星野立子
だぶだぶの黒いコートの手に椿 長谷川櫂 天球
わがコート赤し枯野に点なすや 山田弘子 螢川
アイロンをあてて着なせり古コート 杉田久女
グッピーに遭ひておもたき黒コート 吉田紫乃
コートのひと其処此処跼み犬ふぐり 川崎展宏
コートの袴たてるは洋画観てのこと 石川文子
コートみなきちんと畳み聖書会 森田峠
コートやゝ長しと思ひつゝ旅に 曾我鈴子
コート着し人のそがひや雪の道 原石鼎
コート着てジェット気流にもぐり込む 郡山やゑ子
コート着て母のさからふ風も見し 中村汀女
コート着て財布の位置が変りけり 能村研三 鷹の木
コート着ればすぐ秋雨の中ゆく母 野澤節子 黄 瀬
コート脱ぎつつ白鳥を想ひをり 折井紀衣
コート脱ぎ法身窟へ身を入るる 小川かん紅
コート脱ぎ現れいづる晴著かな 高浜虚子
コート脱ぐ間も言葉を交しをり 風間啓二
コート買ふ十一月の旅のため 西村和子 夏帽子
ミンクのコート着てマヌカンの小指反る 川村紫陽
俯向いてコートの襟の中に咳く 西海枝梟子
冷えきったコートよ中に弟が 池田澄子
処女らコートの白に統べられ霧の航 上野さち子
出かけんとせるコート脱ぎ客迎へ 丸山茨月
刑事飛び出しぬコートを手掴みに 松岡ひでたか
初日拝す夫のコートを着重ねて 伊藤いと子
別れても子の眸はりつくコートの背 青木喜久
十字軍より元気にて黒コート 櫂未知子 蒙古斑
吾妻コート藁屋の霜はあはれまし 尾崎紅葉
壁に吊るコートも疲れたる姿 三村純也
嵐ケ丘へ靡くコートを身に纏う 斎藤冬海
巫女の髪解かずに下向革コート 河野頼人
座席帯(シートベルト)毛皮コートにくひ込めり 品川鈴子
抱くやうに毛皮コートを脱がせやる 辻桃子
振のなきコート鎧へり近松忌 殿村莵絲子 花寂び 以後
捨ても着もせぬ緋のコートまた出しぬ 佐々木いく子
早梅の影をコートにお互ひに 川崎展宏
気づかひや借りしコートに夕立ばね 阿部みどり女 笹鳴
波音を離れコートの襟を立て 高澤良一 随笑
流木に赤きコートの掛けてゐる 中野貴美子
火の言葉つつみおほせしコート着る 島田夏子
男の愚痴聞くにコートは脱がざりし 内田美紗 誕生日
皮コート天守の闇を曳き出づる 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
約束の赤きコートの駈けて来る 阿部王一
羽衣か宮址に脱ぎし革コート 品川鈴子
藍の香の匂ふコートの仕付け取る 中 憲子
藤村の写真を前にコート脱ぐ 伊藤敬子
観音にまみゆと革のコート脱ぐ 品川鈴子
話題選るコートの中の胸の中 槫沼清子
豹紋の忘れコートがカフエテラス 増田治子
負け嫌ひにて火の色のコート着る 辻美奈子
逢ひたさが先立つコートまとひけり 早川志津子
遅れ着しことを詫びつゝコート脱ぐ 平野 竹圃
道服と吾妻コートの梅見哉 夏目漱石 明治三十二年
革釦絢爛たりし日のコート 岩井秀子
顔見世のしなやかにコート脱ぎにけり 伊藤京子
鴨を見るコートの下に喪服着て 深見けん二
黙つてゐる羊のコート温ければ 橋本美代子

コート 補遺

そのまゝといはれ会釈しコートぬぐ 星野立子
アイロンをあてゝ着なせり古コート 杉田久女
コートの木戸遠く鳴る摩羅がたつ白昼 金子兜太
コートの裏ちらと緑なるひる鍋 中川一碧樓
コート着てなほ言ひ足して出かけけり 中村苑子
コート脱ぐ日の山窪の父祖の墓 上田五千石『琥珀』補遺
コート著るうかつに羽織忘れたり 高浜年尾
コート身に巻きつけなほし山深む 岡本眸
シャンソニエに夜が 預かりコートの緋裏たたみ 伊丹三樹彦
ボタンとれしコート烏に啼かれづめ 岡本眸
借りて着る霧のコートが賞められて 後藤比奈夫
傘雨忌や利休ねずみの雨コート 鈴木真砂女 紫木蓮
句會にも着つゝなれにし古コート 杉田久女
彼岸過人のコートのレモンいろ 山口青邨
洗礼へ子が雪中を緋のコート 松崎鉄之介
玄武洞巡る コートの切なき赤 伊丹三樹彦
立冬かと呟きコート羽織りけり 林翔
老詩人コートの下の伊達者ぶり 中村苑子
色褪せしコートなれども好み着る 杉田久女
雨がまぶす婚近き身の黒コート 岡本眸
鴨を見るコートの下に喪服着て 深見けん二
黒コート身に断ちがたき一事あり 岡本眸

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 17:50 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

毛糸編む の俳句

毛糸編む の俳句

毛糸編む

例句を挙げる。

ある期待真白き毛糸編み継ぐは 菖蒲あや あ や
いくたびも十字架を重ね毛糸編む 対馬康子 愛国
いつの日の恋の始まり毛糸編む 石田仁子
いまは居ず暫く毛糸編みゐしが 上村占魚 鮎
いもうとを子とし毛糸を編みにけり 森川暁水 黴
うさぎほどの温もり膝に毛糸編む 西村和子 夏帽子
うしろより擁く腕欲し毛糸編み 上田五千石 田園
うなづくや毛糸編む手のたゆみなく 林原耒井 蜩
かく癒えて寝惜む汝や毛糸編む 瀧春一 菜園
かつぎ女の一人離れて毛糸編む 吉浜冬石
きつぱりと別れ来て夏毛糸編む 八木三日女 紅 茸
こころ吾とあらず毛糸の編目を読む 山口誓子
しあはせは遠くたしかに毛糸編む 林翔 和紙
それぞれの過去待つ毛糸編みなほし 秋月すが子
たそがるゝ戸口に立ちて毛糸編む 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
つまらなくなり毛糸編むこともやめ 菖蒲あや
なか~に毛糸編む手をおきもせず 鈴木喜久子
まだ編めぬ毛糸買ふなり回復期 朝倉和江
まだ誰のものとも見えぬ毛糸編む 奈良文夫
みどりごに毛糸編む幸もらひけり 平野 伸子
わが思ふそとに妻ゐて毛糸編む 宮津昭彦
アラスカの上空白き毛糸編む 小松原みや子
ウイスキーボンボン含み毛糸編む 行方克巳
ハイフェッツ聴きつつ毛糸は胡蝶編 加藤知世子
ルノアルの女に毛糸編ませたし 阿波野青畝(1899-1992)
一すぢの毛糸編む喪にこもりゐて 津田清子
久方の空いろの毛糸編んでをり 久保田万太郎
人の目を楽しませんと毛糸編む 森田峠 避暑散歩
人を待つこと不得意よ毛糸編む 嶋田摩耶子
人一人無き通り見て毛糸編む 京極杞陽 くくたち下巻
光ため影ため燈下毛糸編む 林 翔
冬夜背後のふくみ笑ひや毛糸編 中拓夫 愛鷹
冬晴れのこの明るさに毛糸編む 角川春樹
十指で編む毛糸童話を聞かせ居て 伊藤敬子
右手は日に左手は陰に毛糸編む 森田峠 避暑散歩
同情を愛情として毛糸編む 岩崎照子
啄木の歌が大好き毛糸編む 富安風生
夜といふ裾に坐りて毛糸編み 鷹羽狩行 遠岸
夫となる人に編みをる毛糸かな 長沼 典子
夫とゐて心独りの毛糸編む 宍戸富美子
妻が編む毛糸ほぐす子かたはらに 杉山 岳陽
妻よなほ未来あるかに毛糸編む 神保百合一
姑娘は門口が好き毛糸編む 下村非文
嫁して来て啄木が好き毛糸編む 杉岡せん城
子へ孫へことに曾孫へ毛糸編む 都筑智子
宝石を欲しがらぬ指毛糸編む 帰来ふじ子
家に児を置き来て毛糸編みつゞく 右城暮石 上下
家のこと何もせぬ娘が毛糸編む 口友静子
寄せ集めだんだら縞の毛糸編む 野見山ひふみ
小指にも役割のあり毛糸編 大西比呂
幸せを編み込んでゐる白毛糸 土橋いさむ
幸福は不意に来るもの毛糸編む 菖蒲あや 路 地
忘れたき事突きさして毛糸編む 中井啓子
思ひ出もだんだら模様毛糸編む 深町まさこ
愛情は泉のごとし毛糸編む 山口波津女
愛情を形にしたく毛糸編む 西塔松月
戦や子に手ほどきの毛糸編 加藤知世子
手がかりのなき青空や毛糸編む 仙田洋子 橋のあなたに
手を洗ひ来りて白き毛糸編む 高橋笛美
持ち歩き小さき暇を編む毛糸 嶋田摩耶子
新しき色を選びて毛糸編む 乙武佳子
新雪の山見えて居り毛糸編む 田中冬二 行人
時編むに似たるが愛し毛糸編み 余寧金之助
朝霧の雨ときまれば毛糸編む 殿村莵絲子
樫の扉に暖流の紺毛糸編む 中戸川朝人 残心
機上にてこゝろに毛糸編みつゝあリ 横山白虹
死ぬまでの暇つぶしとて毛糸編む 広瀬恵美子
母となる日の遠からず毛糸編み 遠藤若狭男
母の五指もの言ふごとく毛糸編む 今井美枝子
母の死後毛糸ばかりを編める子よ 石井とし夫
毛糸孜々と編めば詩もまた生るとよ 村越化石 山國抄
毛糸編はじまり妻の黙はじまる 加藤楸邨
毛糸編みそこねては編み年惜むか 石川桂郎 含羞
毛糸編みつつ米子まで行くといふ 辻田克巳
毛糸編みつづけ津軽の海渡る 木村八重
毛糸編みつゝの考へゆきもどり 竹腰朋子
毛糸編みつゝ愚かしく思ひつめ 神田敏子
毛糸編みつゞけ横顔見せつゞけ 右城暮石 上下
毛糸編みながらに口説かれて居る女 佐藤紅緑 紅緑句集
毛糸編みながらも涙ためてゐし 石井とし夫
毛糸編みをり妻の明日の暗からず 岡田 貞峰
毛糸編み上げし時間もプレゼント 山田弘子 こぶし坂
毛糸編み居てその胸が灯を点す 竹下しづの女句文集 昭和十一年
毛糸編み急ぐ心に今日も暮れ 高濱年尾 年尾句集
毛糸編み持ちて遊びに女来し 篠原 穂積
毛糸編み来世も夫にかく編まん 山口波津女
毛糸編むことを忘れてをりし指 稲畑汀子 汀子第三句集
毛糸編むこの刻も児は育ちつつ 都筑智子
毛糸編むたえてたのしさもなかりけむ 加藤楸邨
毛糸編むといふ愚かさを夫の前 上野さち子
毛糸編むとふ優しきことを忘れゐし 鈴木栄子
毛糸編むにつられ一眼読み更くも 村越化石
毛糸編むはしづけさに似て非なりけり 栗生純夫 科野路
毛糸編むひとりに重き夜のとばり 浅野 総子
毛糸編むほか何たのむものなからむ 右城暮石 声と声
毛糸編むまだ水母なす形にて 右城暮石 上下
毛糸編むや籠りゐる日は粧はず 山崎千枝子
毛糸編むわが体温を移しつつ 辻美奈子
毛糸編む一つの色にあいてきし 堤澄女
毛糸編む一つ想ひを追ひつづけ 波多野爽波 鋪道の花
毛糸編む一燈暗し肩凝らすな 榎本冬一郎 眼光
毛糸編む一縷の望絶つまじく 香西照雄 素心
毛糸編む人のうなじの疲れたる 波多野爽波 鋪道の花
毛糸編む何かに辿りつかむとし 小檜山繁子
毛糸編む何になるともまだ決めず 嶋田 淑子
毛糸編む何やら帽子らしきもの 石塚友二
毛糸編む余裕も出来て毛糸買ふ 西村和子 夏帽子
毛糸編む冬夜の汽笛吾れに鳴り 細見綾子
毛糸編む向かうの部屋を疑へり 松本文子
毛糸編む吾が眼差はやさしからむ 津田清子
毛糸編む夫象つてゆきつつあり 鈴木貞雄
毛糸編む女をやめてから久し 櫂未知子 貴族
毛糸編む妻に戦火の遠けれど 岸風三楼
毛糸編む妻のかなしみ知れど触れず 成瀬櫻桃子 風色
毛糸編む妻をはなれずあづかり子 森川暁水 黴
毛糸編む幸福を編み魅力を編む 上田春水子
毛糸編む座辺の明るさ暮れんとす 内藤吐天 鳴海抄
毛糸編む影婚歴の如く深し 楠本憲吉
毛糸編む愚痴の相槌うちながら 種市清子
毛糸編む愛は受け身の形して 柴田奈美
毛糸編む手さへ肩さへ細りけり 秦豊吉
毛糸編む機械かなしや膝を入れ 加倉井秋を 午後の窓
毛糸編む母に習ひし機結び 堀田千鶴子
毛糸編む母の好みの色を混ぜ 鎌田 栄
毛糸編む母の心の生れつゝ 稲畑汀子
毛糸編む母子の世界病みて知る 大野林火(1904-84)
毛糸編む気力なし「原爆展見た」とのみ 中村草田男
毛糸編む爪先で楽踏んでをり 行方克巳
毛糸編む牀の愛猫ゆめうつゝ 飯田蛇笏 霊芝
毛糸編む目をあげて遠き雲の嶺々 木下夕爾
毛糸編む看護婦のふと深き息を 藤後左右
毛糸編む短い返事ばかりして 谷口桂子
毛糸編む碧落しんと村の上 飯田龍太
毛糸編む紅のジヤケツの子が紅を 上村占魚 鮎
毛糸編む編めば夢魔来てすわりをり 仙田洋子 橋のあなたに
毛糸編む羽毛のやうな刻の中 猪俣千代子 秘 色
毛糸編む老いの刻々打ちこみて 橋本多佳子
毛糸編む胸中いまだひと許さず 樋笠文
毛糸編む膝に平穏かへり来し 石田あき子
毛糸編む船客時を愉しみぬ 飯田蛇笏 雪峡
毛糸編む若き母あり子と浜に 高濱年尾 年尾句集
毛糸編む長き睫毛とその影と 木下夕爾
毛糸編む音なき指の動作かな 本山キヨ子
気兼ねなきことが取り柄の毛糸編み 高澤良一 素抱
沈黙は妻の反抗毛糸編む 司馬圭子
浅蜊剥く母毛糸編む娘かな 川端茅舎
海軍の紺を選びて毛糸編む 鈴木栄子
涙痕を頬にひとすぢ毛糸編む 長田等
港で編む毛糸続きは故郷で編む 大串章 朝の舟
烈寒に先んぜられて毛糸編む 林翔 和紙
煖房なき車中毛糸を編みつゞく 右城暮石 上下
玉二つころげ相うち毛糸編む 斎藤八千代
生涯を決めるに毛糸編みながら 伊藤玉枝
白壁に消えも入らずに毛糸編み 平畑静塔
白指も編棒のうち毛糸編み 鷹羽狩行
白毛糸編みをり洗礼式前夜 長田等
白毛糸編むと手濯ぎ来て坐る 大橋敦子
眠ること忘れて編みし日の毛糸 高田よし子
石女の妻が夜々編む古毛糸 森川暁水 黴
祈りにも似し静けさや毛糸編む 戸川稲村
空と海の色二本どり毛糸編む 山田みづえ 木語
空想は翼を得たり毛糸編む 嶋田摩耶子
竿売りの声遠くなり毛糸編む 高野イツ子
純白に子をくるまんと編む毛糸 赤松[ケイ]子
紺毛糸編み山行の計煮つまる 都筑智子
編みかけのつづきの毛糸妻は編む 上村占魚 球磨
編みかけの毛糸を棚に海女の小屋 近藤巨松
編みかけの毛糸編む気のなき如く 後藤夜半 底紅
編みかけの毛糸見せられ親しさ増す 山口波津女
編み残す去年の毛糸のけぶりをり 中嶋秀子
編初の毛糸人形みどり児に 山口恵子
考へを針にひつかけ毛糸編む 上野泰(1918-73)
耳に日が射してひとりの毛糸編む 菖蒲あや
耳貸して毛糸編む手の小止みなく 麻田椎花
聖樹ともして彩やわらかき毛糸編む 浜 芳女
胸おくに第九奏でて毛糸編む 石川文子
胸中に編込模様毛糸選る 都筑智子
膝の上が女の世界毛糸編む 伊丹三樹彦 人中
船乗りの妻編む毛糸太きかな 今泉貞鳳
若からぬ寡婦となりつつ毛糸編む 桂信子
若き日の愁ひの眼伏せ毛糸編む 吉屋信子
若き日の指に戻らず毛糸編む 田口佐和子
虎落笛毛糸編む妻いも寝ずに 五十崎古郷句集
論理には弱くひたすら毛糸編む 岩崎照子
贈りたき人ゐて毛糸編む子かな 井田 美絵
赤好きで赤ばかりなる毛糸編む 横町陽子
足もとに鳩を遊ばせ毛糸編む 茂里正治
週末午下中座もまれに毛糸編む 平井さち子 完流
邦語ラジオ始まる頃よ毛糸編む 西岡敏子
銀婚の妻その孫に毛糸編む 百合山羽公 故園
隠し事ある日多弁に毛糸編む 小林沙丘子
隣席を一切無視し毛糸編む 右城暮石
離れて遠き吾子の形に毛糸編む 石田波郷
雨の駅に夫待つひとか毛糸編む 沢 聰
雲の色地の色毛糸編みからめ 依光陽子
青い鳥ゐるを信じて毛糸編む 菖蒲あや 路 地
青春のいま静のとき毛糸編む 山田弘子 螢川
食堂の隅にすわりて毛糸編む 京極杞陽 くくたち下巻
饒舌は聞き流すのみ毛糸編む 岡林知世子
いつの間にか遠くにありぬ毛糸玉 谷口桂子
ぎりぎりの忍従静かさの毛糸玉 齋藤愼爾
ひとり又解く挫折の毛糸玉 林 恒子
ふとりゆく妻の不安と毛糸玉 福永耕二(1938-80)
亡夫のもの解かれて毛糸玉となる 笠間照子
佳き日か車中靴に毛糸玉ころげ来て 川口重美
吾子ほどは遠くへ行かず毛糸玉 今瀬剛一
天心に太陽膝に毛糸玉 櫛原希伊子
妖精が黙つて押しゆく毛糸玉 林翔
妻の留守中も糸引く毛糸玉 右城暮石 声と声
姑との距離まだ少し毛糸玉 伊藤 琴
姑の小包お年玉毛糸玉 黒田杏子 花下草上
川流れいちにち赤き毛糸玉 下山光子
急ぎ立つ膝より走る毛糸玉 木下富士枝
春待つや捲いて太らす毛糸玉 成瀬桜桃子 風色
母の辺に日暮れてゐたり毛糸玉 猪俣千代子 堆 朱
毛糸玉ころがす妻の老眼鏡 荒川邪鬼
毛糸玉ころげ飛びたつ如迎へ 高橋笛美
毛糸玉ころり余生を多忙にす 中村恭子
毛糸玉まろぶ日差のある方へ 黛 執
毛糸玉らしき風呂敷包かな 上野泰 春潮
毛糸玉を拾つて欲しいとは頼まぬ 櫂未知子 蒙古斑
毛糸玉客迎ふるに付き来たり 白岩てい子
毛糸玉巣線閾乗り超えし 上野泰 春潮
毛糸玉幸さながらに巻きふとり 能村登四郎 咀嚼音
毛糸玉或る時いのちふつと無し 池田澄子
毛糸玉秘密を芯に巻かれけり 小澤克己
毛糸玉突き放しては今を編む 中村路子
毛糸玉繰るや心を繰るごとく 鈴木貞雄
毛糸玉膨らむ妻の胸もとに 冨田みのる
毛糸玉芯といふものなかりしよ 辻桃子 花
毛糸玉見てをり微震過ぎにけり 細川加賀 生身魂
毛糸玉追へば逃げゆくことばかり 野中 亮介
毛糸玉頬に押しあて吾子欲しや 岡本眸
看取居の膝にやせゆく毛糸玉 鈴木文子
編棒をさせばおちつく毛糸玉 栗生純夫 科野路
編棒を三本挿せる毛糸玉 京極杞陽 くくたち下巻
聖書まで転がり毛糸玉止まる 長田等
胸ふくるる思ひ毛糸玉大きくて 内藤吐天 鳴海抄
誰もゐぬ夜へ転がす毛糸玉 宮倉浅子
身ごもれる子に純白の毛糸玉 渡部良子
階下までわれに蹤ききし毛糸玉 小野恵美子

毛糸編む 補遺

あたらしき毛糸の帽子六地蔵 飴山實 次の花
いくさ来むことを思ひて毛糸編む 山口青邨
いまは居ず暫く毛糸編みゐしが 上村占魚 鮎
うそぶきて思春の乙女毛糸編む 飯田蛇笏 山響集
おもひまたひとすぢ毛糸編みすすむ 上田五千石 風景
かぶらんと思ふは妻の毛糸帽 石田勝彦 百千
くらげなすもの編み初めの毛糸なり 上田五千石『琥珀』補遺
こころ吾とあらず毛糸の編目を読む 山口誓子
しあはせは遠くたしかに毛糸編む 林翔 和紙
すでにして嬰を抱くかたち毛糸編 岡本眸
そこばくの雑貨地に置き毛糸編む 伊丹三樹彦
ない知恵の出て愉しめり毛糸編む 阿波野青畝
ルノアルの女に毛糸編ませたし 阿波野青畝
一すじの毛糸編む喪にこもりゐて 津田清子 礼拝
乳児が身を反らす毛糸服白一色 右城暮石 句集外 昭和三十一年
乳児足を拡げ靴下毛糸厚し 右城暮石 句集外 昭和三十年
今一児ほし毛糸ゆたかに手首にかけ 能村登四郎
倖せのやうな毛糸を傍らに 石田勝彦 秋興
倖せの類型の中毛糸編む 能村登四郎
倦めば髪編む日中の毛糸編み 鷹羽狩行
出番なきまま転がれる毛糸玉 佐藤鬼房
古毛糸ほぐして再びは編まず 安住敦
壁にまぼろしの舵輪や毛糸編む 鷹羽狩行
声出して網の目数ふ毛糸編み 右城暮石 句集外 昭和四十八年
夜といふ裾に坐りて毛糸編み 鷹羽狩行
夫婦にて毛糸ぐるみの児をあやす 右城暮石 句集外 昭和四十四年
女には双膝ありて毛糸編む 鷹羽狩行
妖精が黙つて押しゆく毛糸玉 林翔
妻の留守中も糸引く毛糸玉 右城暮石 声と声
妻の膝に毛糸溢れをり抱かむや 草間時彦 中年
姉の赤妹の白毛糸編む 星野麥丘人 2003年
子にえらぶ白き毛糸や鳥渡る 鈴木真砂女 生簀籠
実盛の齢の吾の毛糸帽 松崎鉄之介
家に児を置き来て毛糸編みつゞく 右城暮石 上下
寸陰を惜み毛糸を編む子かな 杉田久女
愛憐し児が毛糸の襯衣を手首にす 山口誓子
手を休め毛糸の針の休みをり 上野泰 佐介
日食下妻が毛糸をはなさずに 右城暮石 句集外 昭和二十三年
早鐘の乳房しづめて毛糸編む 鷹羽狩行
春夜蒸す空いろ毛糸も手内職 古沢太穂 火雲
枯木に日病む夫に来て毛糸編む 森澄雄
染めかへの毛糸一竿萩に乾す 上村占魚
柱廊が影曳く子無き毛糸編み 中村草田男
格子なき牢の夜昼毛糸編み 鷹羽狩行
極月の毛糸の嵩を編みはじむ 中村汀女
毛糸あむ掌のなつかしや事告げむ 橋本多佳子
毛糸なほ編み足らず夜の髪を編む 鷹羽狩行
毛糸の編目ふやしつつ妻産月へ 伊藤白潮
毛糸巻く子と睦じく夜の卓に 杉田久女
毛糸巻く手貸しつゝ言ひ募らしむ 石塚友二 光塵
毛糸巻妻は昔の片ゑくぼ 加藤秋邨
毛糸帽 北方に友多くあれば 伊丹三樹彦
毛糸帽いぶかり見上ぐ辻の犬 水原秋櫻子 餘生
毛糸帽さて前後なし左右なし 藤田湘子 神楽
毛糸帽なかに角など隠すらし 平井照敏 猫町
毛糸帽もて一巡り 蒲の絮 伊丹三樹彦
毛糸帽出して被る頃 桂郎死す 伊丹三樹彦
毛糸帽寺の蘇鉄にかけておく 飯島晴子
毛糸帽老の長眉隠しけり 水原秋櫻子 餘生
毛糸毬ころげて深き子の眠り 伊丹三樹彦
毛糸玉らしき風呂敷包かな 上野泰 春潮
毛糸玉巣線閾乗り超えし 上野泰 春潮
毛糸玉幸さながらに巻きふとり 能村登四郎
毛糸玉点きしばかりの灯に選ぶ 岡本眸
毛糸玉玻璃へ音なき濤迫る 藤田湘子 途上
毛糸玉遠きはさびし引きつ編む 中村汀女
毛糸玉頬に押しあて吾子欲しや 岡本眸
毛糸着て雀走りに幼稚園 石塚友二 光塵
毛糸籠時計が鳴つて午後となる 岡本眸
毛糸編おのが抜毛も編み込んで 能村登四郎
毛糸編はじまり妻の黙はじまる 加藤秋邨
毛糸編みかけ母胎とはかく睡し 鷹羽狩行
毛糸編みそこねては編み年惜むか 石川桂郎 含羞
毛糸編みつつすでに笑の揺れゐる肩 加藤秋邨
毛糸編みつひに「許す」と云はざりき 岡本眸
毛糸編みつゞけ横顔見せつゞけ 右城暮石 上下
毛糸編み始むそびらを盾として 伊丹三樹彦
毛糸編み日浴び白鳥翔ちもせず 森澄雄
毛糸編むことを忘れてをりし指 稲畑汀子
毛糸編むこはひげの祖父うしろむき 佐藤鬼房
毛糸編むさまその影の祈るさま 鷹羽狩行
毛糸編むその背呼ばるる期待満ち 加藤秋邨
毛糸編むたえてたのしさもなかりけむ 加藤秋邨
毛糸編むときが女の思惟のとき 楠本憲吉 楠本憲吉集
毛糸編むほか何たのむものなからむ 右城暮石 声と声
毛糸編むまだ水母なす形にて 右城暮石 上下
毛糸編むや夫のこゑ幼かりし子のこゑ 橋本多佳子
毛糸編む一つ想ひを追ひつづけ 波多野爽波 鋪道の花
毛糸編む一縷の望絶つまじく 香西照雄 素心
毛糸編む人のうなじの疲れたる 波多野爽波 鋪道の花
毛糸編む何やら帽子らしきもの 石塚友二 磊[カイ]集
毛糸編む冬夜の汽笛吾に鳴り 細見綾子 桃は八重
毛糸編む君等は若ししあはせか 星野立子
毛糸編む夜が来て妻の指車 鷹羽狩行
毛糸編む影婚歴の如く深し 楠本憲吉 孤客
毛糸編む指に睡魔がからみだす 鷹羽狩行
毛糸編む母子の世界病みて知る 大野林火 青水輪 昭和二十三年
毛糸編む気力なし「原爆展見た」とのみ 中村草田男
毛糸編む牀の愛猫ゆめうつゝ 飯田蛇笏 霊芝
毛糸編む男に生れざりし幸 鷹羽狩行
毛糸編む碧落しんと村の上 飯田龍太
毛糸編む第一の縞赤第二の縞黒 山口青邨
毛糸編む紅のジヤケツの子が紅を 上村占魚 鮎
毛糸編む老の刻々打ちこみて 橋本多佳子
毛糸編む船客時を愉しみぬ 飯田蛇笏 雪峡
毛糸編居眠りてをり年を越す 森澄雄
毛糸買ふ顔見知りなる声交はし 右城暮石 句集外 昭和四十八年
浅蛸剥く母毛糸編む娘かな 川端茅舎
海色や揚舟ゆする毛糸編む 秋元不死男
海離れ来て耳痒し毛糸帽 岡本眸
湯の沸きの遅きを嘆く毛糸編 岡本眸
烈寒に先んぜられて毛糸編む 林翔 和紙
煌として音なき夜の毛糸編む 岡本眸
煖房なき車中毛糸を編みつゞく 右城暮石 上下
熱の妻がぎつしりと編む毛糸の目 能村登四郎
猫柳折りに ぴょんぴょん 毛糸帽 伊丹三樹彦
白指も編棒のうち毛糸編み 鷹羽狩行
白毛糸ぐるみの「おいしそうな顔」 右城暮石 上下
白毛糸何時まで着せて嬰児に 右城暮石 句集外 昭和三十三年
祝婚日編棒交叉して休む 鷹羽狩行
神は星座組むとき妻は毛糸編む 鷹羽狩行
紅き毛糸編み編棒の紅潮す 能村登四郎
編みかけのつづきの毛糸妻は編む 上村占魚 球磨
編みかけの毛糸編む気のなき如く 後藤夜半 底紅
編棒に絡み勝なる生活の苦 石塚友二 光塵
編棒動かす膝上み妻の小天地 伊藤白潮
考へを針にひつかけ毛糸編む 上野泰 佐介
胎の児に手の迅くして毛糸編む 鷹羽狩行
膝の上が女の世界毛糸編む 伊丹三樹彦
若からぬ寡婦となりつつ毛糸編む 桂信子 月光抄
蜑少女毛糸汚して編めるもの 山口誓子
袋から袋取り出し毛糸編む 右城暮石 句集外 昭和六十一年
貝剥きの頭上の笊に毛糸玉 岡本眸
選すわざも毛糸編機の音も夜寒 古沢太穂 火雲
酒客待つ姿勢に毛糸編みすすめ 伊丹三樹彦
銀婚の妻その孫に毛糸編む 百合山羽公 故園
陰深き市井の家に毛糸編む 山口誓子
隣席を一切無視し毛糸編む 右城暮石 句集外 昭和四十七年
離れて遠き吾子の形に毛糸編む 石田波郷
雲が見て過ぐ純白の毛糸編 林翔
額まで編めてきたりし毛糸帽 後藤比奈夫
鬱してはひつぱりては毛糸ほぐれしむ 加藤秋邨

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 17:47 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

日向ぼこ の俳句

日向ぼこ の俳句

日向ぼこ

例句を挙げる。

「用なしだけんど死ねれんもんね」日向ぼこ 熊谷愛子
いい顔の皺が生きてる日向ぼこ 五十嵐直子
いくたびも日を失ひぬ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
いつの間にゐなくなりしや日向ぼこ 原希伊子
いのち一つ守りあぐねて日向ぼこ 久保より江
うしろにも眼がある教師日向ぼこ 森田峠 避暑散歩
うつつ世も来世もあらぬ日向ぼこ 山科帰雁
うとうとと生死の外や日向ぼこ 村上鬼城
おでこよりふらふらと起つ日向ぼこ 高澤良一 石鏡
おもかげのまなこ細さよ日向ぼこ 銀漢 吉岡禅寺洞
かたまつて同じ事務服日向ぼこ 岡本眸(1928-)
かなしみのほのと温くもる日向ぼこ 吉屋信子
かへる山ありて猿たち日向ぼこ 山口波津女
からからに枯れし芭蕉と日向ぼこ 篠原鳳作
きな臭くなるまで老婆日向ぼこ 太田寛郎
くるめきは日にわれにあり日向ぼこ 皆吉爽雨 泉声
けふの日の燃え極まりし日向ぼこ 松本たかし
ここちよき死と隣りあひ日向ぼこ 鷹羽狩行 八景
ここに母居たらと思ふ日向ぼこ 下村常子
この年のひとつの夢と日向ぼこ 村越化石
この庭のながめもあきぬ日向ぼこ 山口波津女 良人
こほろぎの日向ぼこりのいつか無し 遷子
こゝに得し独りの世界日向ぼこ 嶋田一歩
さみしさをあたためてをり日向ぼこ 山崎房子
じつと見て何も見てゐず日向ぼこ 西山 睦
すぐそこに未来を思ふ日向ぼこ 高木莞子
ずいずいずつころばし掌を握り添へ日向ぼこ 野川釈子 『苗』
そのときはそのときのこと日向ぼこ 岩田照良
その態(てい)は懺悔するさま日向ぼこ 高澤良一 素抱
たましひといふ大荷物日向ぼこ 千葉皓史
たましひの出で入りしては日向ぼこ 森澄雄
たましひはいつも先ゆく日向ぼこ 玉城一香
だんだんに人でなくなる日向ぼこ 奥坂まや
ちかよりて老婦したしく日向ぼこ 飯田蛇笏
ちかよりて老婦親しく日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
ちちははの墓をうしろに日向ぼこ 細川加賀 『玉虫』
ともあれと日向ぼこりに招じけり 中村汀女
どちらかと言へば猫派の日向ぼこ 和田順子
どつちみち地獄行きなり日向ぼこ 檜紀代
なにもかも無になるための日向ぼこ 本郷和子
なにもなき元日もよし日向ぼこ 中勘助
なによりの日にちが薬日向ぼこ 竹原梢梧
にんげんの縫目確かむ日向ぼこ 山崎十死生
にんげんの重さ失せゆく日向ぼこ 小倉涌史
はらわたの確と座りし日向ぼこ 勝山律子
ひとの釣る浮子見て旅の日向ぼこ 山口いさを
ひとり抱けばひとり背にくる日向ぼこ 毛塚静枝
ふところに手紙かくして日向ぼこ 鈴木真砂女 生簀籠
ふるさとにたよりおこたり日向ぼこ 中村汀女
ふるさとの山にもたれて日向ぼこ 山口いさを
ふるさとの朝日にあらで日向ぼこ 永田耕衣 陸沈考
ぽつかりと関東平野の日向ぼこ 安井昌子
まだ着居る国民服や日向ぼこ 京極杞陽
まなうらに駱駝の現るる日向ぼこ 高澤良一 ももすずめ
まなうらは火の海となる日向ぼこ 阿部みどり女
まなぶたは今万華鏡日向ぼこ 加藤三七子
まなぶたは今萬華鏡日向ぼこ 加藤三七子
ままごとにさそはれてゐる日向ぼこ 渡邉春生
みぞおちに日の匂ひゐる日向ぼこ 浜渦美好
みどり児の足先ぴんと日向ぼこ 今井千鶴子
みどり子の爪伸びさうな日向ぼこ 高瀬重彦
みどり子の足先ぴんと日向ぼこ 今井千鶴子
むつまじき老の夫婦や日向ぼこ 大橋櫻坡子 雨月
もう少し俳句つくらう日向ぼこ 上野 章子
ゆけむりの二階の窓に日向ぼこ 倉田紘文
よく聞こゆ耳を日に向け日向ぼこ 山口いさを
わが余生少したいくつ日向ぼこ 稲田桃村
わが心日向ぼこりになじめざる 田中裕明
わが性のなかに母ゐる日向ぼこ 国弘賢治
ゐながらに日向ぼこりの小書斎 上村占魚 球磨
アンパンの臍よりたべて日向ぼこ 安藤涼二
ジキル博士もハイド氏も老い日向ぼこ 吉田汀史
デスマスクある壁を背に日向ぼこ 石原八束 空の渚
フェミニズム投げ出し二人日向ぼこ 山岸竜治
ローズマリー日向ぼつこの海眺む 三宅優子
一人つく羽子に倦いたる日向ぼこ 上野泰 佐介
一標札に混み合ふ家族名日向ぼこ 香西照雄 素心
一生を島に老いたる日向ぼこ 上野泰 春潮
一碧の空に横たふ日向ぼこ 篠原鳳作 海の旅
一跨ぎ程の命や日向ぼこ 政所小枝
丁寧に仏具を磨き日向ぼこ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
三猿とならび腰かけ日向ぼこ 福田蓼汀
上げざりし瞼一線日向ぼこ 赤松[ケイ]子
不束のままに金婚日向ぼこ 松本昭子
世の中のことみな忘れ日向ぼこ 川口咲子
世の中を置いてけぼりの日向ぼこ 新明紫明
世をわすれ世に忘れられ日向ぼこ 松尾いはほ
両岸に両手かけたり日向ぼこ 斎藤 愼爾
両膝に幸せ集め日向ぼこ 村越化石
主曰く村一番の日向ぼこ 遠入たつみ
人として淋しき人の日向ぼこ 京極杞陽 くくたち下巻
人を恋ふ日にめぐり逢ひ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
人を見る目細く日向ぼこりかな 高浜虚子
人目には日向ぼこりと見られつゝ 小西照子
人間が猫に加はり日向ぼこ 山田弘子 こぶし坂
仔羊の三百頭の日向ぼこ 坊城としあつ
仕合せはこんなものかと日向ぼこ 湯川雅
伊太利の太陽の唄日向ぼこ 高浜虚子
伝へ聞く友の栄華や日向ぼこ 日野草城
何となくそこに身を置き日向ぼこ 小舟 悟
余生とはかかるものかや日向ぼこ 池上不二子
修羅の世を遠まなざしに日向ぼこ 老川敏彦
倖せに自ら甘え日向ぼこ 永井賓水
先づ風が頬を撫で来し日向ぼこ 稲畑広太郎
兎より亀が早しと日向ぼこ 西川 五郎
児を抱きて聖母さながら日向ぼこ 品川鈴子
八百の嘘つきをへし日向ぼこ 戸田 悠
公園に餌漁る鳩と日向ぼこ 高澤良一 石鏡
冬の蜂見るとしもなく日向ぼこ 田中冬二 俳句拾遺
冬日掬ふ如き両掌や日向ぼこ 池内友次郎
冬菊のごとき老女の日向ぼこ 小島千架子
凩や崖下はよき日向ぼこ 野村喜舟 小石川
切株を仲間のごとく日向ぼこ 村越化石 山國抄
別々のこと考へてゐる日向ぼこ 船越和香
前世にも日向ぼこりに飽かざりし 相生垣瓜人 明治草抄
前管猊下朱塗の下駄が日向ぼこ 結城美津女
医者ぎらひ注射ぎらひの日向ぼこ 武田忠男
十二支に入れぬ猫と日向ぼこ 北見さとる
半分は死に体にゐて日向ぼこ 松山和子
口あけて日向ぼこりの中にかな 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
否応なく自分と向き合ふ日向ぼこ 高澤良一 石鏡
吹かれ来て影の怒髪や日向ぼこ 香西照雄 素心
吾子とゐて吾子をわするゝ日向ぼこ 五十崎古郷句集
喧嘩の処置かんがへてひとり日向ぼこ 川島彷徨子 榛の木
国宝の風鐸を聞き日向ぼこ 束野淑子
地獄耳どうし耳寄せ日向ぼこ 岬雪夫
塞翁が馬とや大人の日向ぼこ 藤村瑞子
墓二三遠見えてゐる日向ぼこ 塘柊風
大仏の座禅倣ひて日向ぼこ 岡本郁三郎
大仏の掌にある思ひ日向ぼこ 鷹羽狩行 平遠
大寺のいくつほろびし日向ぼこ 小澤實(1956-)
大愚また大賢に似て日向ぼこ 下村梅子
大海を背にして日向ぼこりかな 柴崎七重
天界に雲の山川日向ぼこ 木田千女
天網はかくもやはらか日向ぼこ 橋本薫
太陽に吾も埃や日向ぼこ 平赤絵
太陽の下僕となりて日向ぼこ 大橋敦子
太陽の手をいただいて日向ぼこ 堀内薫
太陽も宇宙の塵か日向ぼこ 大塚千々二
夫余生吾れに託して日向ぼこ 犬飼久子 『寧日』
好きな人ばかりが死んで日向ぼこ 木田千女
好色の男なりしが日向ぼこ 松岡里江 『桜坂』
妊婦われ童話をよんで日向ぼこ 嶋田摩耶子
姉絵本弟積み木日向ぼこ 上野泰 佐介
婆こつくり金精さまと日向ぼこ 冨田みのる
子とありて燃えつるる耳日向ぼこ 皆吉爽雨 泉声
子は墨の髭など生やし日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
子等雀墓の一茶と日向ぼこ 加藤知世子 花寂び
寒天の干し場にひとり日向ぼこ 田中冬二 麦ほこり
寒霞渓客待つ馬の日向ぼこ 森谷栄子
少年や鴨をむしりて日向ぼこ 大橋櫻坡子 雨月
尼どちの頭の円光や日向ぼこ 原田翠芳
居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな 阿波野青畝
屑買に屑の天地や日向ぼこ 山本歩禅
山の色けふむらさきや日向ぼこ 軽部烏帽子 [しどみ]の花
山裾に立もたれたる日向ぼこ 松本たかし
岩雫すれ~に鴛鴦の日向ぼこ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
島見える日は島を見て日向ぼこ 小田初枝
師の墓と尽きぬ話の日向ぼこ 渡辺恭子
師を央の日向ぼつこや弟子も古り 杉本寛
年賀の座日向ぼこりを賜りし 岸田稚魚
幸せのはしにゐるらし日向ぼこ 神前昭巳
廃船に向き合ひてゐる日向ぼこ 寺島ただし
弥陀のごと耳目をやすめ日向ぼこ 井沢正江 一身
御地蔵と日向ぼこして鳴ち鳥 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
志と詞と死と日向ぼこりの中なるや 折笠美秋 虎嘯記
志よ詞と死と日向ぼこりの中なるや 折笠美秋
愛犬に噛まれてやるや日向ぼこ 杉本艸舟
慈母観音圖をおもひゐる日向ぼこ 国弘賢治
憂きことのいつしか些事に日向ぼこ 永野美千代
我が十指なにを成し得む日向ぼこ 藤井寿江子
手に足に青空染むとは日向ぼこ 篠原鳳作
手に足に青空染むと日向ぼこ 篠原鳳作
手に足に青空沁むと日向ぼこ 篠原鳳作 海の旅
折りとりし茎のうつろや日向ぼこ 中島月笠 月笠句集
撫で下す顔の荒れゐる日向ぼこ 松本たかし
日に酔ひて死にたる如し日向ぼこ 高浜虚子
日に酔ふといふことのあり日向ぼこ 松尾白汀
日光写真の少年なりし日向ぼこ 原子公平
日向ぼこあの世さみしきかも知れぬ 岡本眸
日向ぼこかうしてゐても腹が減る 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
日向ぼこがんを封じる寺にゐて 塩川雄三
日向ぼこしつ見極むる手帳の句 岩木躑躅
日向ぼこしていて人生に出遅れし 斎藤慎爾
日向ぼこしてにこ~と待たれゐし 星野立子
日向ぼこしてはをらぬかしてをりぬ 京極杞陽 くくたち上巻
日向ぼこしてゐて人生に出遅れし 齋藤愼爾
日向ぼこしてゐて寒くなりにけり 辻桃子 ねむ 以後
日向ぼこしてゐて父母が近かりき 大橋敦子
日向ぼこしてゐるさまの見下され 波多野爽波 鋪道の花
日向ぼこしてゐるやうな茶臼山 黒川悦子
日向ぼこしてゐる前に落葉舞ひ 高濱年尾 年尾句集
日向ぼこして光陰を惜みをり 後藤夜半 底紅
日向ぼこして眼をつむりそのままに 黒田杏子 花下草上
日向ぼこして聞き分くる物の音 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
日向ぼこして雲とあり水とあり 伊藤柏翠
日向ぼこし乍ら出来るほどの用 稲畑汀子
日向ぼこするにも何處か気の引けて 高澤良一 随笑
日向ぼこするコンドルに成り下がり 高澤良一 寒暑
日向ぼこする外はなしあの世では 秋澤猛
日向ぼこせり火の山に大島に 村松紅花
日向ぼこせり胎児より下降して 齋藤愼爾
日向ぼこせる中一人卵売り 太田土男
日向ぼこせる老い父の長睫毛 大石悦子 群萌
日向ぼこなら大仏のたなごころ 白井晟也
日向ぼこに影して一人加はれり 銀漢 吉岡禅寺洞
日向ぼこのあとの寒さの落葉かな 林原耒井 蜩
日向ぼこのやうな入院してゐたる 中山幸枝
日向ぼこの何やら心せかれゐる 阿部みどり女 笹鳴
日向ぼこの冠外せし老儒かな 楠目橙黄子 橙圃
日向ぼこの猫を仲間にてんご編む 西形佐太郎 『てんご』
日向ぼこひとりのときは雲を見て 熊滝逸女
日向ぼこふりかへりたるかほ暗し 橋本鶏二 年輪
日向ぼこほら吹き男ほらを吹き 中島弥市
日向ぼこまた爪をかむ継子かな 飯田蛇笏 山廬集
日向ぼこみんな小さな影を負ひ 山口 速
日向ぼこめく一年がもう仕舞 高澤良一 随笑
日向ぼこよいしょと起てば目がさまよひ 高澤良一 暮津
日向ぼこよりすつぽりと老婆が抜け 榎本冬一郎
日向ぼこ一家の舵をとりながら 京極杞陽
日向ぼこ一家の舵を守りながら 京極杞陽
日向ぼこ一茶の雀そこにいて 千葉すゝむ
日向ぼこ世間の事をみな忘れ 福井玲堂
日向ぼこ二つの眼にて何見やう 鈴木鷹夫 千年
日向ぼこ五体にこころゆきわたる 山口いさを
日向ぼこ亡き父の在る思ひかな 岩崎照子
日向ぼこ仏掌の上にゐる思ひ 大野林火
日向ぼこ何やら心せかれゐる 阿部みどり女
日向ぼこ佛掌の上にゐる思ひ 大野林火(1904-84)
日向ぼこ刻のくぼみに居るごとし いのうえかつこ
日向ぼこ前をいろんな人通る 堀 磯路
日向ぼこ吾を脱け出て吾を瞻る吾 高澤良一 石鏡
日向ぼこ呼ばれて去ればそれきりに 中村汀女
日向ぼこ団地は南へふくらみて 和田祥子
日向ぼこ地に倦みし面上げにけり 中島月笠 月笠句集
日向ぼこ壁にも笑窪あるごとし 宮脇白夜
日向ぼこ大王よそこどきたまへ 有馬朗人 知命
日向ぼこ天神橋の裏を見て 石倉啓補
日向ぼこ太陽の子と思ひけり 高田風人子
日向ぼこ女三代黙しおり 栗林幹子
日向ぼこ子に蟷螂とあだ名され 佐野青陽人 天の川
日向ぼこ子犬と孫と爺と婆 伊藤 勉
日向ぼこ少しの暇なほうれし 高木晴子 花 季
日向ぼこ干支に洩れたる猫とをり 村上喜代子
日向ぼこ平等院を借り申す 中野柿園
日向ぼこ年内といふ柵の内 高澤良一 随笑
日向ぼこ影のいちにん抜けいたり 鈴木慶子
日向ぼこ影の発する棒状悲鳴 野ざらし延男
日向ぼこ心温もるまでゐたり 西村和子 かりそめならず
日向ぼこ心貧しく居たりけり 瀧 春一
日向ぼこ放下かただの老人か 鈴木鷹夫 風の祭
日向ぼこ日向がいやになりにけり 久保田万太郎 流寓抄
日向ぼこ此所にも仕切る婆がゐて 中尾 幾
日向ぼこ死が近く見え遠く遣り 大野林火
日向ぼこ死後の極楽疑はず 田中政子
日向ぼこ母の日課となりにけり 鈴木昌江
日向ぼこ母の法悦淋しめり 大橋敦子
日向ぼこ汽笛が鳴れば顔もあげ 中村汀女
日向ぼこ湯浴のごとく人加ヘ 岡本眸
日向ぼこ溶けて流れて故郷無し 浜崎敬治
日向ぼこ熱血教師の好好爺 案田佳子
日向ぼこ父の血母の血ここに睦め 中村草田男
日向ぼこ犬にものぐさ太郎あり 辻田克巳
日向ぼこ猫に去られてしまひけり 高澤良一 随笑
日向ぼこ眼白とる子を妨げそ 大橋櫻坡子 雨月
日向ぼこ睡魔とあそび疲れけり 茂一郎
日向ぼこ神の集ひも日向ならむ 大野林火
日向ぼこ笑ひくづれて散りにけり 富安風生
日向ぼこ笑を含みてさびしげに 京極杞陽 くくたち下巻
日向ぼこ終生書生気質かな 脇本千鶴子 『てんと花』
日向ぼこ縞黒き辺ゆ衣ぬくもり 中戸川朝人 残心
日向ぼこ老いたるユダと隣り合ふ 吉田寿子
日向ぼこ老父の眼鏡日を聚む 田川飛旅子
日向ぼこ自分が見えていたりけり 渡辺倫太
日向ぼこ襁褓はづせし機嫌かな 大野伊都子
日向ぼこ見えざるものに己れの顔 西村和子 かりそめならず
日向ぼこ話を待ちて母がをり 古賀まり子 緑の野以後
日向ぼこ身に粛々とかくれなし 三浦紀水 『湖その後』
日向ぼこ身のうちそとに母の居て 長谷川せつ子
日向ぼこ遠目に墓の影据ゑて 阪上蝸牛子
日向ぼこ金色の爪伸びてくる 上田貴美子
日向ぼこ長身痩躯折り畳み 高澤良一 暮津
日向ぼこ雀ちか寄る爪音す 大城 周
日向ぼこ頬杖といふ杖もあり 村越化石
日向ぼこ頭の抽出より挿話 高澤良一 燕音
日向ぼこ鬱金の刻のありにけり 本宮鼎三
日向ぼこ鳥の死に処に思ひ馳せ 高澤良一 さざなみやつこ
日向ぼこ鴛鴦もするなり朴の花 岡本まち子
日向ぼこ黙しの時をいとほしむ 出田 浩子
日向ぼこ齢は花のごと萎れ 清水衣子
日向ぼっこ日向がいやになりにけり 久保田万太郎(1889-1963)
日向より盲ひて戻る日向ぼこ 阿部みどり女
昃ればすぐ立ち上り日向ぼこ 高濱年尾 年尾句集
昇天をまぬがれゐたり日向ぼこ 高澤良一 暮津
明治村髭の巡査の日向ぼこ 鈴木和子
昼月をつら~見上げ日向ぼこ 鈴木花蓑句集
時惜しみ惜しまず日向ぼこりかな 石塚友二 光塵
晩年の白一色の日向ぼこ 鷹羽狩行
曲り家の曲りに跼み日向ぼこ 西本一都
書簡うくことのためらひ日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
月の中よく見えてをり日向ぼこ 橋本鶏二
木賊の日遠くしざりぬ日向ぼこ 阿部みどり女
来し方は瓦礫の底や日向ぼこ 白井眞貫
松とるや鶏は田に犬日向ぼこ 躑躅
松の廊下日向ぼつこによささうな 正木ゆう子 静かな水
枯葉なんぞの匂ひわが身に日向ぼこ 山上樹実雄
根の国は胎のぬくもり日向ぼこ 齋藤愼爾
桃源のこゝろうとうと日向ぼこ 河野静雲
椅子ゆりて無欲に似たり日向ぼこ 吉川春藻
椋の実ののこる空あり日向ぼこ 石田郷子
極楽はこの世にありて日向ぼこ 森 輪花
次の世へ空席のあり日向ぼこ 田中荒砂
欲ばりな嫗いつまで日向ぼこ 黒田杏子 花下草上
歳月の影をうしろに日向ぼこ 榎本虎山
死ぬことも考へてゐる日向ぼこ 増田龍雨
死ぬことを忘れ歳々日向ぼこ 村越化石
死を悼み生をわらひて日向ぼこ 京極杞陽
死神もうつらうつらと日向ぼこ 遠藤若狭男
母親を一人占めして日向ぼこ 村中千穂子
水流れ刻はとどまる日向ぼこ 吉年虹二
氷遠が死語となるまで日向ぼこ 中里麦外
沖の漁場息子に譲り日向ぼこ 猿橋統流子
流人島指呼に婆らの日向ぼこ 池上樵人
流木を一人に一つ日向ぼこ 綾部仁喜 寒木
浄土とてこんなものかも日向ぼこ 有吉桜雲
浮寝鳥日向ぼこして樹にもあり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
炊きたてのごはんのような日向ぼこ 岸本陽子
焚火して日向ぼこして漁師老い 鈴木真砂女 生簀籠
無為といふ安らぎにあり日向ぼこ 和田一菜
無為にして化すものもなし日向ぼこ 中勘助
焦げ臭くなるまで一人日向ぼこ 寺西照子
父の座の父の匂ひの日向ぼこ 高野尚志
犬がものを言つて来さうな日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
犬という命と並び日向ぼこ 鳴戸奈菜
犬目開きわれ目を閉ざし日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
独り居の首ぬかれそう日向ぼこ 栗林千津
王侯の日向ぼこりに変りなし 辻本斐山
玻璃の外の風を見てゐる日向ぼこ 高濱年尾 年尾句集
生きてゐることを忘れて日向ぼこ 水谷仁志子
生きられる時間数へて日向ぼこ 島村ひろ子
男とか女を超えて日向ぼこ 櫂未知子 貴族
畦川や蝌蚪にもありし日向ぼこ 木村 風師
疾走するトラックの人ら日向ぼこ 渡辺水巴 白日
病み猫の鈴はづしやる日向ぼこ 木田千女
病める子の愚痴聞いてやる日向ぼこ 宮本ミユキ
病間や破船に凭れ日向ぼこ 杉田久女
百までは生きるつもりの日向ぼこ 菖蒲あや
目つむりて無欲に似たり日向ぼこ 上西左兌子
目つむれば倖せに似ぬ日向ぼこ 中村汀女
目つむれば宙に浮く吾日向ぼこ 高澤良一 宿好
目と鼻のぽかんと離れ日向ぼこ 安嶋都峯
目の横をとびゐる埃日向ぼこ 橋本鶏二
眉寄せて日向ぼこりの下手な人 奥坂まや
眼つむれば駆けりゐる血や日向ぼこ 松本たかし(1906-56)
眼の前に脱かれし下駄や日向ぼこ 飯田蛇笏 霊芝
着陸機待ちて給油車日向ぼこ 大島民郎
石がゐて吾が影がゐて日向ぼこ 村越化石
砂よけのかげにも一人日向ぼこ 阿部みどり女 笹鳴
磯臭くなるまで海の日向ぼこ 堀米洋江
禅寺の庭に座敷に日向ぼこ 高浜虚子
福耳の透きとほるまで日向ぼこ 檜紀代
稿送り骨の髄まで日向ぼこ 斉藤すず子
穏やかな気持もらひ日向ぼこ 長野敏子
空気銃向ける樹を見て日向ぼこ 阿部みどり女
笛吹いてむかしむかしの日向ぼこ 中川宗淵
笛吹いてむかし~の日向ぼこ 中川宋淵 命篇
笹山に那須嶽仰ぎ日向ぼこ 渡邊水巴 富士
籠りきり日向ぼっこのやうな日々 高澤良一 さざなみやつこ
納骨の日向ぼこりの中にをり 岸田稚魚
紙漉いてふぬけの爪よ日向ぼこ 田中英子
素直には喜べぬ長寿日向ぼっこ 桑田秋冬
紺青の空と触れゐて日向ぼこ 篠原鳳作 海の旅
綿入れの背のふつくらと日向ぼこ 田中冬二 冬霞
縁に腰そのまゝ日向ぼこりかな 高浜虚子
縁側にどうと倒れて日向ぼこ 京極杞陽 くくたち下巻
羅宇屋出て雷門に日向ぼこ 内海保子
美醜際立つ女生徒の日向ぼこ 楠節子
老境といふはいつより日向ぼこ 半田陽生
老木と同じ日向に日向ぼこ 村越化石
老犬の如くに我も日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
考への小は切捨て日向ぼこ 依田明倫
考へる人にも似たり日向ぼこ 斎藤和風
耳うとくほとけ顔して日向ぼこ 三宅まさ子
耳遠き故にうとまれ日向ぼこ 桐田句昧
胎内にゐるがごとくに日向ぼこ 中野貴美子
胎内のぬくさと思ふ日向ぼこ 吉沢紀子
胎内へ還るおとうと日向ぼこ 齋藤愼爾
胎内をくぐりし思ひの日向ぼこ 齋藤愼爾
胸もとを鏡のごとく日向ぼこ 大野林火
膝曲げて坐つて日向ぼこりかな 今井杏太郎
良寛の肩に似て来し日向ぼこ 小川原嘘帥
茂吉斯く足投げ出せり日向ぼこ 阿波野青畝
萩叢を刈ろと思へど日向ぼこ 銀漢 吉岡禅寺洞
虚子庵はがらんどうなり日向ぼこ 上野泰
蟷螂と日を分け合うて日向ぼこ 高澤良一 随笑
行きばなき猫と話しぬ日向ぼこ 山本智恵子
補聴器に拾ふ雑音日向ぼこ 原村明子
褒貶は彼方に在りて日向ぼこ 大本正貴
見つくせし海見る漁夫の日向ぼこ 河本美智雄
見て見ぬふり友と自称や日向ぼこ 香西照雄 素心
見のかぎり煙草むらさき日向ぼこ 『定本石橋秀野句文集』
見るかぎり煙草むらさき日向ぼこ 石橋秀野
話すことだんだん少な日向ぼこ 上野 章子
語らひの相手は猫や日向ぼこ 松尾忠子
象のごと開きて日向ぼこの耳 高澤良一 随笑
貝になりたしとも思はず日向ぼこりして 本土みよ治
越えられぬ川がいくつも日向ぼこ 齋藤愼爾
足入れてサンダル小さき日向ぼこ 依光陽子
足許の風の気になる日向ぼこ 稲畑汀子
身に芯のごときものあり日向ぼこ 高澤良一 石鏡
身のうちに老の来てゐる日向ぼこ 伊東月草
身の枷をはづしきれざる日向ぼこ 吉田 節子
身中の虫出でゆけり日向ぼこ 小島健 木の実
車ごと若人日向ぼこりかな 岩崎照子
過ぎしこと言はず聞かざる日向ぼこ 今井つる女
金柑に日のある間日向ぼこ 中村厚生
雀とぶそれも光芒日向ぼこ 皆吉爽雨
集めたる石も漁具にて日向ぼこ 茨木和生 遠つ川
雑沓を見て傘役の日向ぼこ 西本一都 景色
雑音に耳あそばせて日向ぼこ 竹下しづの女
雪の雄にしたがひて日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
雪を背に猿一列に日向ぼこ 五十嵐カズイ
雪落つる光飛び来ぬ日向ぼこ 鈴木花蓑句集
雲行くは行き園丁の日向ぼこ 下鉢清子
非常階段愛用日向ぼことして 鈴木 榮子
音のまろき母子の睦言日向ぼこ 中村純子 『花守』
顱頂剃ることものび~日向ぼこ 佐藤慈童
風強き玻璃戸のうちの日向ぼこ 上野泰 佐介
風邪気味の働くいやな日向ぼこ 阿部みどり女 笹鳴
飄と行く白雲高し日向ぼこ 貝塚放朗
飴の玉いつもふくんで日向ぼこ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
餉をつぐる家ぬち暗く日向ぼこ 西島麦南 人音
饅頭のあんこさながら日向ぼこ 浜崎敬治
鬼のこころに今とほくゐる日向ぼこ つじ加代子
鶏逃げし石の階日向ぼこ 原裕 葦牙
黒猿の黒き夫婦の日向ぼこ 三好達治 路上百句

日向ぼこ 補遺

*陽炎や身を干海士の日向ぼこ 朱拙
『考へる人』の腰して日向ぼこ 山口誓子
あたたかや日向ぼこりのまたたきの 中村汀女
あをぞらは融通無碍よ日向ぼこ 大野林火 方円集 昭和四十九年
いくたびも日を失ひぬ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
いづこにも衰老のゐて日向ぼこ 山口誓子
うと~と生死の外や日向ぼこ 村上鬼城
おろかにも齢数へて日向ぼこ 村山故郷
お茶の間のテレビがきこえ日向ぼこ 星野立子
かたまつて同じ事務服日向ぼこ 岡本眸
けふの日の燃え極まりし日向ぼこ 松本たかし
ここちよき死と隣りあひ日向ぼこ 鷹羽狩行
こほろぎの日向ぼこりのいつか無し 相馬遷子 山河
せせらぎの音森の中に日向ぼこ 山口青邨
ちかよりて老婦親しく日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
ちび~の絵筆また捨て日向ぼこ 川端茅舎
ともあれと日向ぼこりに招じけり 中村汀女
ともしき血溶けて流るる日向ぼこ 松本たかし
のこされし日向ぼつこの日向かな 上田五千石『琥珀』補遺
ふところに手紙かくして日向ぼこ 鈴木真砂女 生簀籠
ふるさとのここのところの日向ぼこ 右城暮石 散歩圏
ぼたもちを山妻呉れる日向ぼこ 山口青邨
わかものの恋きいてやる日向ぼこ 日野草城
わが影のみす~失せぬ日向ぼこ 日野草城
ゐながらに日向ぼこりの小書斎 上村占魚 球磨
キヤンデーのくれなゐを舐め日向ぼこ 山口青邨
一人つく羽子に倦いたる日向ぼこ 上野泰 佐介
一標札に混み合ふ家族名日向ぼこ 香西照雄 素心
一生を島に老いたる日向ぼこ 上野泰 春潮
一聞いて一だけをして日向ぼこ 藤田湘子
三時までまだ十五分日向ぼこ 星野立子
人のゐて犬落ちつかぬ日向ぼこ 右城暮石 句集外 昭和四十六年
人を恋ふ日にめぐり逢ひ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
人声を誰ときゝ分け日向ぼこ 星野立子
今日は禁煙禁足の日たり日向ぼこ 村山故郷
伝へ聞く友の栄華や日向ぼこ 日野草城
倶生神伴ひつつも日向ぼこ 相生垣瓜人 負暄
冬帝に媚びるごとくに日向ぼこ 上田五千石 天路
切支丹灯籠人形を彫る日向ぼこ 山口青邨
前世にも日向ぼこりに飽かざりし 相生垣瓜人 明治草抄
南へ歩むよさながら日向ぼこ 中村草田男
口辺を拭ひて起てり日向ぼこ 岡本眸
吹かれ来て影の怒髪や日向ぼこ 香西照雄 素心
土の上に何やら動く日向ぼこ 桂信子 草影
壽命には日向ぼこりが薬ちふ 相生垣瓜人 負暄
大仏の掌にある思ひ日向ぼこ 鷹羽狩行
大木にかくれて日向ぼこりかな 山口青邨
大木に日向ぼつこや飯休み 村上鬼城
大根焚はじまる日向ぼこりかな 岸田稚魚 紅葉山
天声をさへぎる雲や日向ぼこ 鷹羽狩行
太幹の壁のやうなる日向ぼこ 富安風生
太陽と意の通じあひ日向ぼこ 鷹羽狩行
女の中の女疲れや日向ぼこ 山田みづえ 忘
姉絵本弟積み木日向ぼこ 上野泰 佐介
居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな 阿波野青畝
島裏のさびしさ告ぐよ日向ぼこ 中村汀女
干鰯血の気さすなり日向ぼこ 阿波野青畝
忘却の淵に沈みて日向ぼこ 上田五千石『琥珀』補遺
恍惚の死もありてよき日向ぼこ 能村登四郎
据ゑられし石のごとくに日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
授乳喜びてこの世に日向ぼこ 鷹羽狩行
揚舟に猫日向ぼこ海をなみし 中村草田男
撫で下す顔の荒れゐる日向ぼこ 松本たかし
方丈のまさら木の香に日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
日向ぼこ一足す一のわがたつき 星野麥丘人 2005年
日向ぼこ不意に悲しくなりて起つ 岡本眸
日向ぼこ仏掌の上にゐる思ひ 大野林火 方円集 昭和四十九年
日向ぼこ光の中に永くゐし 山口誓子
日向ぼこ共にしただの路傍の人 鷹羽狩行
日向ぼこ大きな山へ礼をなす 藤田湘子 神楽
日向ぼこ大望あとかたもなく消えて 上田五千石『琥珀』補遺
日向ぼこ大海原の青加へ 大野林火 飛花集 昭和四十七年
日向ぼこ大王よそこどきたまヘ 有馬朗人 知命
日向ぼこ天下分目のことなんど 山口青邨
日向ぼこ寄りし焼木に熱こもる 松崎鉄之介
日向ぼこ当り障りのなきやうに 桂信子「草影」以後
日向ぼこ心の波の今は消え 清崎敏郎
日向ぼこ挿話のごとく羽毛消え 鷹羽狩行
日向ぼこ教会鳩の柔毛降り 鷹羽狩行
日向ぼこ樹の伐られゆく山を見て 津田清子
日向ぼこ死が近く見え遠く遣り 大野林火 潺潺集 昭和四十二年
日向ぼこ温しといへば母に似む 中村汀女
日向ぼこ湯浴のごとく人加へ 岡本眸
日向ぼこ烏のこゑの盛り返す 飯島晴子
日向ぼこ父の血母の血ここに睦め 中村草田男
日向ぼこ犬の房尾は光なり 山口誓子
日向ぼこ獅子身中のふさぎの虫 鷹羽狩行
日向ぼこ玻璃戸拭かねばとも思ふ 星野立子
日向ぼこ疎まれてゐるごとくなり 大野林火 青水輪 昭和二十三年
日向ぼこ眼といふ翳り易きもの 岡本眸
日向ぼこ石のごとくにおしだまり 鈴木真砂女 卯浪
日向ぼこ神の裳裾に修道女 鷹羽狩行
日向ぼこ神の集ひも日向ならむ 大野林火 方円集 昭和四十九年
日向ぼこ神父の匂ひ抽んでて 鷹羽狩行
日向ぼこ笑ひくづれて散りにけり 富安風生
日向ぼこ老婆六人環礁図 鷹羽狩行
日向ぼこ蜜柑山にて糖化して 山口誓子
日向ぼこ覚めて燦たる句を得たり 山口青邨
日向ぼこ賢者なければ愚者なけむ 後藤比奈夫
日向ぼこ足下に外階段垂れて 岡本眸
日向ぼこ足袋の甲よりぬくもり来 松崎鉄之介
日向ぼこ青年患者すぐ飽きぬ 星野麥丘人
日向ぼこ飛鳥大仏ましりへに 阿波野青畝
日向ぼこ馬の藁喰む音聞え 大野林火 白幡南町 昭和三十年
日向ぼつこの僧の猥談ぼそぼそと 金子兜太
日向ぼつこは蠅もとんぼもみんないつしよに 種田山頭火 自画像 落穂集
時惜しみ惜しまず日向ぼこりかな 石塚友二 光塵
晩年の白一色の日向ぼこ 鷹羽狩行
書簡うくことのためらひ日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
木像のままに一茶の日向ぼこ 鷹羽狩行
枯れはてし芝に坐りぬ日向ぼこ 日野草城
柴刈の枯山まぎれ日向ぼこ 森澄雄
欠伸して顔の軋みし日向ぼこ 山口誓子
死ねる薬はふところにある日向ぼつこ 種田山頭火 自画像 落穂集
母の店へ末る客仰ぎ日向ぼこ 中村草田男
気乗り薄なる太陽と日向ぼこ 後藤比奈夫
火の山に向き切株に日向ぼこ 大野林火 青水輪 昭和二十四年
牧族は天与の日向ぼこりせり 阿波野青畝
犬も陸恋う眼の日向ぼこ 船溜り 伊丹三樹彦
猿山の日溜子猿日向ぼこ 山口青邨
獅子浄め去りたるあとに日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
生涯の海見て老の日向ぼこ 岡本眸
畑なかの猫とねめあひ日向ぼこ 飴山實 花浴び
疾走するトラックの人ら日向ぼこ 渡邊水巴 白日
病間や破船に凭れ日向ぼこ 杉田久女
白洲門くぐる罪もなく日向ぼこ 山口青邨
目つむれば倖せに似ぬ日向ぼこ 中村汀女
目も暗み耳も廢ひつつ日向ぼこ 相生垣瓜人 負暄
眼つむれば駈けりゐる血や日向ぼこ 松本たかし
眼の前に脱かれし下駄や日向ぼこ 飯田蛇笏 霊芝
石獣に倣ひてわれも日向ぼこ 鷹羽狩行
祝電や日向ぼこりを乱したる 阿波野青畝
神の鳩地に胸つけて日向ぼこ 山口誓子
笹山に那須嶽仰ぎ日向ぼこ 渡邊水巴 富士
翼なき肩を並べて日向ぼこ 鷹羽狩行
肥舟が大曲する日向ぼこ 山口青邨
胸もとを鏡のごとく日向ぼこ 大野林火 雪華 昭和三十九年
腹中もあたたまり来し日向ぼこ 右城暮石 散歩圏
自動車がぴかぴか通る日向ぼこ 日野草城
自画像のごとくにわれの日向ぼこ 鷹羽狩行
良きことに今年終るや日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
花野見え枯野見えつつ日向ぼこ 後藤比奈夫
藪の気を吸ひつつ背は日向ぼこ 中村草田男
虚子庵はがらんどうなり日向ぼこ 上野泰
血天井日向ぼこりをして上ワ目 阿波野青畝
裏山に梅ありと思ひ日向ぼこ 山口青邨
見て見ぬふり友と自称や日向ぼこ 香西照雄 素心
見ぬ振りをすること出来ず日向ぼこ 星野立子
見のかぎり煙草むらさき日向ぼこ 石橋秀野
観音のふところに届て日向ぼこ 高浜年尾
豹変の豹も君子も日向ぼこ 有馬朗人 立志
貧富とは如何なるものか日向ぼこ 星野立子
通宝の銭形日向ぼこ広場 山口誓子
遊ぶことばかり考へ日向ぼこ 星野立子
過去の失せ未来失せつつ日向ぼこ 後藤比奈夫
遠き癩者いつ思ひゐし日向ぼこ 大野林火 白幡南町 昭和三十年
鉄砲州の稲荷に日向ぼこりの子 村山故郷
銅像の正造に強ふ日向ぼこ 平畑静塔
関守の裔また老ゆる日向ぼこ 山口青邨
阿蘇の神森出でて来て日向ぼこ 角川源義
障子あけて業平像と日向ぼこ 大野林火 方円集 昭和五十年
離れ去る刻を見送り日向ぼこ 後藤比奈夫
雪の雄にしたがひて日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
雪の鶏雄にしたがひて日向ぼこ 飯田蛇笏 心像
青凍ての空きらきらと日向ぼこ 日野草城
風強き玻璃戸のうちの日向ぼこ 上野泰 佐介
餉をつぐる家ぬち暗く日向ぼこ 西島麦南 人音
騒がしき娘たちやな日向ぼこ 星野立子
骨格に残る偉丈夫日向ぼこ 松崎鉄之介
鶏逃げし石の階日向ぼこ 原裕 葦牙
鹿も鹿どうし寄りあひ日向ぼこ 鷹羽狩行
麦飯が腹いつぱいの日向ぼつこり 種田山頭火 自画像 落穂集
黒白のさかひを出入り日向ぼこ 鷹羽狩行
齢かれこれとかぞへて日向ぼこ 鷹羽狩行

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 17:43 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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