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宵の年 の俳句

宵の年 の俳句

去年

例句を挙げる。

こころの火落して睡る初昔 鈴木鷹夫
こんな句が先師にありて初昔 高澤良一 燕音
つくばひの氷一片初昔 井沢正江 湖の伝説
ひかり食む牛の反芻初昔 飯田綾子
わが影に初昔とは懐しき 原コウ子
初昔子は湯ぶとりか寝ぶとりか 赤松[ケイ]子
後山の月甕のごとし初昔 飯田蛇笏 春蘭
昆布の香厨に残る初昔 秋川ハルミ
樫の根の忘れ箒も初むかし 児玉南草
歯が一つかけたるままや初昔 遠山草太郎
灯を消してよりありありと初昔 鷲谷七菜子
練炭に残るほむらの初昔 岡田 耕治
美しき鯉魚と群れゐし初昔 上田五千石 琥珀
雲表にみゆる山巓初昔 飯田蛇笏
高砂や去年を捨てつつ初むかし 上島鬼貫
古年の礼ねんごろに母在せり 宮田正和
古年の老酒にうたの頬染めし 深谷雄大
古年の風かけのぼる椋大樹 山田みづえ
悔いもなく古年うせる侘寝かな 飯田蛇笏
手にし出づ吾が旧年のホ句手帳 河野静雲 閻魔
旧年という水槽のごときもの 矢島 惠
旧年の畑に忘れし手鍬かな 小泗
旧年の足跡すでに凍てゆるむ 角川源義
旧年の闇ためてゐる落葉山 中山一路
旧年を坐りかへたる机かな 素琴
竹林に旧年ひそむ峠かな 鶏二
かゝげたる燭の火明し宵の年 名和三幹竹
宿直する顔も古りたり宵の年 名和三幹竹
ちんぽ皆ぶらさげ正月の朝湯も去年の顔触れ 橋本夢道 無礼なる妻
はつ夢や正しく去年の放し亀 言水
ほりかけの臼に残るや去年の雪 沖の家
まだ去年の暦も棚に寒さ哉 横井也有 蘿葉集
ブルトーザー去年の位置のまゝにあり 岸風三樓
ペン措きて去年の日記となりにけり 佐々木遡舟
元朝や去年の火残る置炬燵 日野草城
初燈去年を雌伏の年として 倉田春名
北限に墨引くごとし去年の貨車 大郷石秋
去年となる一瞬生れし男の子あり 下村ひろし
去年に似てどこやら霞む年の内 鬼貫
去年に似て今春めくや人の顔 斧寛
去年の土つけしまま鍬立つてをり 大串章
去年の実の柘榴にありて雪降れり 永井龍男
去年の眉今朝は嬉しき霞かな 越前-簪 俳諧撰集玉藻集
去年の雨一碗に受け墓眠る 坂手美保子
去年の雪まゆみの赤き実にのれり 飴山實 『花浴び』
去年の鵯来たりて告げり山は雪 吉本和子
去年の鶴去年のところに凍てにけり 水原秋櫻子
去年よりの雪小止みなき初湯かな 久保田万太郎 流寓抄以後
去年よりも自愛濃くなる懐手 能村登四郎(1911-2002)
喞筒小屋覗けば去年の巨草みゆ 安井浩司 阿父学
寒駅の四囲の洩れ灯に去年の雪 永井龍男
憂き事も去年になりゆく懐しや 瓦全
手袋や去年となりたる昨日のこと 藤岡筑邨
暁は澄み町川去年の燈をとどむ 山本古瓢
樹も氷る池は去年より凍てにける 石橋辰之助 山暦
此の如く去年の暮にも思ひしか 青嵐
淡雪の降りすがりけり去年の雪 蓼太
温泉や水滑かに去年の垢 夏目漱石 明治三十一年
病室や大き火鉢の去年の灰 有働亨 汐路
病葉や石にも地にも去年のやう 前田普羅 新訂普羅句集
目を覚ます去年繙きしものの辺に 石川桂郎 四温
稿遅々と去年の大福焼きて食ぶ 永井龍男
筆はじめ去年よりの修羅走りだす 小檜山繁子
編み残す去年の毛糸のけぶりをり 中嶋秀子
膝をつきをりしは去年の雪ならむ 齋藤玄 『無畔』
若水や瓶の底なる去年の水 正岡子規
葉牡丹に少し残れり去年の雪 松浜
裏山の闇より去年に入りにけり 藤崎久を
読初といへども去年の栞より 都筑智子
酒酌んでこの座去年とはなりにけり 前田忠男
降り出でて忽ち白しさらば去年 林原耒井 蜩
雪のせて古巣は去年の夢見をり 堀口星眠 営巣期
餅焼いて去年がはるけくなりにけり 細川加賀
養生の去年の足許不如意かな 高澤良一 鳩信
高砂や去年を捨てつつ初むかし 上島鬼貫



宵の年 補遺

さまざまな聯それぞれの初昔 岡井省二 有時
初むかし高原しろき雲をとむ 飯田蛇笏 白嶽
初昔白き卓布にうすき翳 大野林火 月魄集 昭和五十六年
屠蘇祝ふ旧年のひげもじやもじやと 日野草城
後山の月甕のごとし初昔 飯田蛇笏 春蘭
新築の家に住まふも初昔 松崎鉄之介
旧年の一つ~の皆星なり 高野素十
旧年の足跡すでに凍てゆるむ 角川源義
旧年や哀楽いくつ忘じたる 飴山實 句集外
枕に手置いてはるかや初昔 鷲谷七菜子 一盞
梟の糞の乾びも初昔 岡井省二 大日
灯を消してよりありありと初昔 鷲谷七菜子 天鼓
美しき鯉魚と群れゐし初昔 上田五千石 琥珀
老人に赤子の寝息初昔 飯田龍太
門川の音追うてゐる初昔 大野林火 月魄集 昭和五十六年
雲表にみゆる山巓初昔 飯田蛇笏 椿花集

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:42 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初鶏 の俳句

初鶏 の俳句

初鶏

例句を挙げる。

「人の人たれ」初鶏鳥の鳥たるに 磯貝碧蹄館 握手
したたかに初鶏に餌を与へけり 会津八一
まつしろい初鶏のこえであろう 暁闇のうごき 吉岡禅寺洞
アパートの初鶏声をはりにけり 川上梨屋
人波へ初鶏とほく声張れり 石川かづ子
初鶏となりそこなひし鶏あるく 楸邨
初鶏にこたふる鶏も遠からぬ 阿部みどり女 笹鳴
初鶏に先立つ隣家の母の声 草田男
初鶏に北の底よりの鬨の声 平井照敏
初鶏に天地大きく明け初めし 熊谷 秋月
初鶏に孟甞君の竃かな 安藤十歩老
初鶏に応ふ鶏ゐる小学校 松岡博水
初鶏に海のくらさや耳が冷え 中拓夫 愛鷹
初鶏に海暗くあり耳が冷え 中拓夫
初鶏に目覚めて父母の家なりし 松本みどり
初鶏に神代の臼と申すべし 一茶
初鶏に糞ひり落せ初からす 会津八一
初鶏に覚めつゝありしとも思ふ 高濱年尾 年尾句集
初鶏に鋤鍬ばらの控へたり 露月句集 石井露月
初鶏のあとは松吹く嵐かな 筏井竹の門
初鶏のあとを雪折ひびきけり 岸田稚魚
初鶏のなほ眠る山従へて 原裕 新治
初鶏ののんどしきりにうごかせり 鷺風
初鶏のはばたき降りし秣飛ぶ 工藤節朗
初鶏のひと声闇を動かせり 伊藤芙美子
初鶏のめでたき声を夢うつゝ 高橋淡路女 梶の葉
初鶏の一声夢の向こうから 柳田芽衣
初鶏の入江を渡りきこえ来る 田中冬二 俳句拾遺
初鶏の刻つげてなほ風にあり 豊長みのる
初鶏の吾にあつまる戸口かな 会津八一
初鶏の吾を見てなく畑かな 会津八一
初鶏の声さやかなり宮の馬場 上村占魚 鮎
初鶏の声を遠くに火を使ふ 柿本多映
初鶏の声山光の空はしる 亜浪
初鶏の姿正して鳴きにけり 吉川よしえ
初鶏の家通り越す声に覚む 五十嵐研三
初鶏の更に遠きは浦隔つ 児玉小秋
初鶏の次の声待つ山河かな 遠藤若狭男
初鶏の次までの闇緊りをり 加藤楸邨
初鶏の百羽の鶏の主かな 池内たけし
初鶏の籠込の声と思はれず 鷹羽狩行
初鶏の薄目してまた鳴きにけり 石崎素秋
初鶏の言挙げぞする三輪の杜 原 柯城
初鶏の身近に啼けばおろかしく 加倉井秋を
初鶏の銘酒の里に谺して 木内彰志
初鶏の長鳴き地声出でにけり 池元 道雄
初鶏の長鳴けば風出でにけり 脇 祥一
初鶏の闇の彼方を透し見る 市川百杭
初鶏の面目かけて胸反らし 貫井爽水
初鶏の鳴いて展ける海の青 阿部美恵子
初鶏はいつも遠くの方で鳴く 秋を
初鶏は灯の見ゆる家か否か 会津八一
初鶏は若紫の声ひけり 平井照敏 天上大風
初鶏は遠くの方でばかり鳴く 加倉井秋を 『胡桃』
初鶏は鳴きぬ竃は焚きつけぬ 笠井歎水
初鶏やうごきそめたる山かづら 虚子
初鶏やしづかに長き老の息 風生
初鶏やはや御師町の高きより 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
初鶏やひそかにたかき波の音 久保田万太郎 流寓抄
初鶏やまだつごもりの人の顔 梨葉
初鶏やものぐさ太郎の碑をつつき 辻桃子
初鶏やカアテン垂れて冬薔藪 竹下しづの女
初鶏や上海ねむる闇の底 久保田万太郎(1889-1963)
初鶏や丘に登りて人が泣く 桑原三郎 晝夜
初鶏や動きそめたる山かづら 高浜虚子
初鶏や又市に住む甲斐ひとつ 蓼太
初鶏や大仏前の古き家 妻木 松瀬青々
初鶏や天地の凍に朗々と 月斗
初鶏や子連れの旅の靴履けば 皆川白陀
初鶏や宇陀の古道神ながら 鈴鹿野風呂
初鶏や家中柱ひきしまり 加藤楸邨
初鶏や富士白々と明心 友之
初鶏や庫裡の大炉の火明りに 臼田亞浪 定本亜浪句集
初鶏や彩羽躍つて臼の上 野村喜舟 小石川
初鶏や応へるこゑも闇の中 河野友人
初鶏や怒りほとほと酔に似る 加藤楸邨
初鶏や手にとるからに火うち石 星野麦人
初鶏や明けあを~と谿千戸 諏訪
初鶏や昔神達東ヘ 東洋城千句
初鶏や暁闇の星わかわかし 小西藤満
初鶏や津守の君が薄化粧 半自
初鶏や漸く静なる厨 浅井歌村
初鶏や皆潔斎の湯を了へつ 高田蝶衣
初鶏や稚児がいふこと皆新らし 加藤知世子 黄 炎
初鶏や背戸の海鳴りしづまりぬ 村山たか女
初鶏や蒸籠重ねの宵のまゝ 乙字俳句集 大須賀乙字
初鶏や農継ぐ家の深庇 塩田晴江
初鶏や野の八方に道通ず 鴻村
初鶏や頂上一戸谿十戸 近藤一鴻
地平の涯からも 初鶏のこえが きこえてくる 吉岡禅寺洞
大船の中に初鶏うたひけり 川村鳥黒
對岸の初鶏きくや泊り船 会津八一
放たれてより初鶏となりにけり 山口鉄石
放浪の厠にて聴く初鶏よ 堀井春一郎
木曽に来て初鶏のこの勁き声 所 山花
梁近き初鶏亡父の世も凍てし 栗生純夫 科野路
歩を止めて初鶏に声合せみる 江藤 ひで
浄闇のまだ初鶏を聞かずゐる 下村ひろし 西陲集
瓏々と初鶏謳ひつゞけけり 高橋淡路女 梶の葉
谷深く雪の初鶏きく十戸 京極高忠
間をおかずして初鶏につづきけり 澄雄

初鶏 補遺

ある皇子の忍び歩行や初鳥狩 井原西鶴
さわがしし初鳥にして小綬鶏は 石川桂郎 高蘆
初とりや先年禮のいひはじめ 正岡子規 初鶏
初鶏となりそこなひし鶏あるく 鷹羽狩行
初鶏に先立つ隣家の母の声 中村草田男
初鶏に地の底よりの鬨の声 平井照敏
初鶏に藍甕の夜の深かりき 加藤秋邨
初鶏のあした~や無尽蔵 舎羅
初鶏のあとのしづまりかへりたる 鷹羽狩行
初鶏のあと刻きざむ音のみに 岸田稚魚 紅葉山
初鶏のあと雪折れのひびきけり 岸田稚魚
初鶏のかく羽ばたきて鬨なさず 鷹羽狩行
初鶏のこゑ土を跳ね水を跳ね 鷹羽狩行
初鶏のこゑ追うてやや遠目癖 飯田龍太
初鶏のはるかなひとつ亡き子あそぶ 加藤秋邨
初鶏の声さやかなり宮の馬場 上村占魚 鮎
初鶏の応へし声は川向う 鷹羽狩行
初鶏の殊に高らか新世紀 林翔
初鶏の火の声あげて闇の中 鷹羽狩行
初鶏の籠の声と思はれず 鷹羽狩行
初鶏の遅しとおもふ鳴き出でぬ 橋閒石 雪
初鶏の鳴き代りしは山手かな 鷹羽狩行
初鶏はあくびのなみだ此なみだ 野坡
初鶏は若紫の声ひけり 平井照敏 天上大風
初鶏も石中の火を見しならむ 加藤秋邨
初鶏やしづかに長き老の息 富安風生
初鶏やまたくりかへす月日かや 山口青邨
初鶏やまだ無理の効く選句業 鷹羽狩行
初鶏や家中柱ひきしまり 加藤秋邨
初鶏や山々さそひあひて覚め 鷹羽狩行
初鶏や山河は家の裏にのみ 鷹羽狩行
初鶏や庫裡の大炉の火明りに 臼田亜郎 定本亜浪句集
初鶏や本卦がへりの不思議寝に 上田五千石『天路』補遺
初鶏や水のごとくに闇の退き 鷹羽狩行
初鶏や雌を小突きて睦しき 阿波野青畝
初鶏や雨戸にむかし節の穴 鷹羽狩行
初鶏を聞きしおぼえや寝過しぬ 森澄雄
初鷄に眼をあく花の莟哉 正岡子規 初鶏
初鷄の二聲ばかり鳴きにけり 正岡子規 初鶏
初鷄の枕の上にうたひける 正岡子規 初鶏
初鷄の鳴くかと待てば犬吠ゆる 正岡子規 初鶏
初鷄もしるや義農の米の恩 正岡子規 初鶏
初鷄やねぐらの闇をいでゝ行 正岡子規 初鶏
初鷄や百萬石の聲つくり 正岡子規 初鶏
真榊に布留の初鶏揚りけり 阿波野青畝
耳に手をそへ初鶏を聞いてをり 飴山實 句集外
間をおかずして初鶏につづきけり 森澄雄

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:36 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初鶯 の俳句

初鶯 の俳句

初鶯

例句を挙げる。

まだ甘し初鶯の舌のネヂ 沢木欣一
わが映像初鴬の踏み渡る 長谷川かな女 牡 丹
初うぐひす父が遠くに眼をひらく 野澤節子 『飛泉』
初鶯旅は豊かに大切に 加藤知世子
初鶯秒針ひたに進みをり 多田裕計
城の方に初鴬の鳴きにけり 徳永山冬子
朝酒や初うぐひすを遠く置き 佐野鬼人
朝風に初鶯の声稚し 渡辺七三郎
東より忽と夜明の初鴬 殿村菟絲子
荷造りに掛ける体重初うぐひす ふけとしこ

初鶯 補遺

きさらぎの初うぐひすを朝耳に 日野草城

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:33 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初鴉 の俳句

初鴉 の俳句

初鴉

例句を挙げる。

いさゝかの水仕のこすや初鴉 石橋秀野
お篝を杉にあなどり初鴉 原石鼎
かんばせを見せてとまりし初烏 静塔
つかつかと来ぬ開墾田の初鴉 金子のぼる
ばらばらに飛んで向うへ初鴉 高野素十
ばら~に飛んで向うへ初鴉 素十
ひむがしの豊旗雲へ初鴉 梅子
ふるさとの夜具の重さよ初鴉 青陽人
わが自治の朝酒に影初がらす 原子公平
一夜にて呆けし街や初鴉 中里 結
三熊野の神の使の初鴉 滝川如人
今日は起きて聞くものにせん初鴉 竹冷句鈔 角田竹冷
初からす一筋の川東より 上村占魚
初烏一山雪に明くるかな 忍月
初烏三ツ四ツからは見えにけり 馬明
初烏我が家に声を落し行 南鴎
初烏松笠一つ落しけり 渡辺恭子
初烏足迹を洲にこぼしそめ 西本一都 景色
初烏雪と見えよとひるならん 会津八一
初鴉いつもの山より常の声 阿部みどり女 月下美人
初鴉どこ目指しゆく迅さかな 中島月笠 月笠句集
初鴉の声切れぎれのまま終り 岬雪夫
初鴉はや山の夜を蹴つて来し 中島月笠 月笠句集
初鴉はや氷上に奪ふもの 原田柿青
初鴉はや相摶てる卍かな 肥田埜勝美
初鴉ばさりばさりと飛び立てり 金子恵美
初鴉ゆくへあるこゑ落しけり 野澤節子
初鴉よべより明き月へ飛び 池内友次郎
初鴉らしく品よく啼きにけり 成瀬桜桃子 風色
初鴉わが散策を待ちゐたり 相生垣瓜人(1898-1985)
初鴉わたる向ふに男山 田上鯨波
初鴉一羽離れて鳩の天 上野澄江
初鴉人にぶつかり病具購う 田川飛旅子 花文字
初鴉佃大橋砥のごとく 永井龍男
初鴉吹雪うすれに続くなり 西本一都
初鴉声ごと吹かれ森を越ゆ 本宮哲郎
初鴉大虚鳥(おほをそどり)の声限り 草田男(俳人自照)
初鴉太嘴に啼く声のよし 新津香芽代
初鴉安土の田んぼをとんとんと 高澤良一 燕音
初鴉寺の内より人の聲 田中裕明 山信
初鴉屋根を離るゝ縁起哉 内田百間
初鴉山また山に声伸ばす 村越化石
初鴉廓の夜明もただならず 高浜虚子
初鴉暫く空に遊びけり 岸田稚魚 『萩供養』
初鴉波を恐るる気配なし 鈴木真砂女
初鴉波高ければ高く飛び 鈴木真砂女
初鴉熊野のしじま破りけり 朝木芳子
初鴉父母とゐる畳かな 上田操
初鴉白玉椿活ける手の凍え 渡邊水巴
初鴉百羽の鶴をいざなひぬ 吉野義子
初鴉砂利場の水に羽おろす 羽公
初鴉茜の空をほしいまま 五十島典子
初鴉詣でし上をわたりけり 宮津昭彦
初鴉起きよ起てよと啼きにけり 細川加賀
初鴉遥けき友を呼び得たり 春兆
初鴉雪原低くとびつづけ 小野池水
初鴉面を上げて鳴きにけり 皆川盤水
初鴉高きを縺れあひながら 鈴木恵美子
初鴉鳴けり鴉も数減りて 右城暮石 声と声
初鴉黒をおのれの色として 加藤有水
初鶏に糞ひり落せ初からす 会津八一
十年は咋日のことよ初鴉 永井龍男
吹雪きゐる四万の天より初烏 宮崎三木
吾がこころわれにある時初がらす 梅室
噴煙のあたりを去らず初がらす 米谷静二
地に降りて声つつしめる初鴉 宮岡計次
塔頭に稚き妻あり初鴉 龍男
塔頭に若き妻あり初鴉 永井龍男
夜をはなれゆく麦の芽と初鴉 龍太
夜を脱ける黒の真澄や初鴉 知世子
大屋根に啼かず飛ばずの初鴉 高橋絹代
大樟の風にあふられ初鴉 小島 健
天の原和田の原より初鴉 青畝
天平の甍より明け初鴉 鎌倉博史
妹よ二人の朝の初鴉 渡辺水巴 白日
寺鞍馬社口貴船や初鴉 尾崎迷堂 孤輪
山中の初烏とてなまぐさし 清水衣子
岬の浪覚めてをるなり初鴉 佐野まもる
川が瀬まで青うなりきぬ初鴉 薄多久雄
工場に老当直や初鴉 岡田日郎
己が羽の文字もよめたり初烏 蕪村
帰りにもクルスの塔に初鴉 中野道子
往診へ声やはらかき初鴉 高島筍雄
悪党のけふ瑞鳥や初鴉 金沢富水
我庵は上野に近く初鴉 内藤鳴雪
明け動く宮裏山や初烏 三幹竹
明渡る年のきげんや初鴉 壷仙
智恵伊豆の墓所はばからず初鴉 山岸 治子
木屋町に声つぶれたる初鴉 三嶋隆英
東雲や声の限りを初鴉 滝川愚仏
松江とは城より明くる初鴉 藤原杏池
楼門に打たぬ太鼓や初鴉 河野静雲 閻魔
浴みして伊豆に旅人や初鴉 竹冷句鈔 角田竹冷
潟翔けて風切青し初鴉 橋本義憲
瀬の石に乗り放心の初烏 西本一都 景色
熱湯を噴く巌天に初鴉 三鬼
目が合うて黄檗山の初鴉 古舘曹人
石人の三頭身や初鴉 黒米満男
程好き樹ありて止まりぬ初鴉 梶田竹外
老もまた耳の冥加や初鴉 又花坊 (古稀をこえし齢ながら)
落葉焚くやずん~と来る初鴉 中島月笠 月笠句集
葛城山を越へし羽音に初鴉 佐野美智
藍つよく初烏待つ丘の線 原裕 青垣
誰も云ふ鴉山より初鴉 三ツ谷謡村
赤ん坊おどろき易し初鴉 瀧澤伊代次
足もとにおよぶ波きて初鴉 稲垣きくの 黄 瀬
踏みはづし片羽根をつく初鴉 不死男
道に出て人のごとくに初鴉 山田みづえ 手甲
門前にこの松ありて初鴉 阿部みどり女 笹鳴
除夜の灯の峰に残りて初烏 四明
雪けつて屋根うつりせり初鴉 婆羅
雪山の大白妙に初烏 田村木国
雲のうら金泥ならむ初鴉 小枝秀穂女
顔洗ふ水しまりゆく初鴉 水谷文子
飛ぶといふこと美しき初鴉 倉田紘文
飯入れて櫃あたゝかし初鴉 廣江八重櫻
馬柵の戸に雲銜へをり初鴉 堀口星眠 営巣期
高き樹の高きにありて初鴉 北 羚羊
黒きもの又常盤なり初がらす 蓼太
黒潮の荒磯狭しと初鴉 楓巌濤
近江八幡
おめでとうさんと安土の田烏に 高澤良一 燕音

初鴉 補遺

いさゝかの水仕のこすや初鴉 石橋秀野
お篝を杉にあなどり初鴉 原石鼎 花影
さやに見てさやにも聞けり初鴉 相生垣瓜人 負暄
ばら~に飛んで向ふへ初鴉 高野素十
ほのほのや朝日よび出す初烏 正岡子規 初鴉
みささぎの松てつぺんの初鴉 村山故郷
よき衣の枕邊に在り初鴉 正岡子規 初鴉
一声の姿も見たし初がらす 成田蒼虬
一羽來て屋根にもなくや初烏 正岡子規 初鴉
二羽たちて三羽となりぬ初鴉 鷹羽狩行
初がらす一筋の川東より 上村占魚 鮎
初烏お城の森にさわぐなり 正岡子規 初鴉
初烏望遠鏡は許しをり 石田波郷
初烏熊野の御寺靜かなり 正岡子規 初鴉
初烏鳴くべし鵯は黙すべし 相生垣瓜人 負暄
初空や初日初鷄初鴉 正岡子規 初空
初鴉きぬきぬの恨みなかりけり 正岡子規 初鴉
初鴉はつかに声の澄めりけり 相生垣瓜人 負暄
初鴉ひと声落す波の上 鈴木真砂女
初鴉ひと声落す波の上 鈴木真砂女 居待月
初鴉ゆくへあるこゑ落しけり 野澤節子 八朶集以後
初鴉ゆさりと翔ちぬ杉の枝 岡井省二 山色
初鴉わが散策を待ちゐたり 相生垣瓜人 負暄
初鴉わが陋屋を見下せり 相生垣瓜人 負暄
初鴉上野の闇をはなれけり 正岡子規 初鴉
初鴉不二か筑波かそれかあらぬ 正岡子規 初鴉
初鴉何漁るでもなかりけり 清崎敏郎
初鴉初雀とて来りけり 星野立子
初鴉初鵜初鳶一つ空に 鈴木真砂女
初鴉初鵜初鳶一つ空に 鈴木真砂女 居待月
初鴉十四五羽とも数ふべし 相生垣瓜人 負暄
初鴉占めしは確か藁塚の尖 伊丹三樹彦
初鴉喪の年明けてゐたりけり 安住敦
初鴉大虚鳥(おほをそどり)こそ天翔けれ 中村草田男
初鴉大虚鳥(おほをそどり)の声限り 中村草田男
初鴉寒鴉にぞ様変へし 相生垣瓜人 負暄
初鴉山に大雪降らせけり 岸田稚魚 紅葉山
初鴉暫く空に遊びけり 岸田稚魚
初鴉波を恐るる気配なし 鈴木真砂女 居待月
初鴉波高ければ高く飛び 鈴木真砂女
初鴉波高ければ高く飛び 鈴木真砂女 卯浪
初鴉白玉椿活ける手の凍え 渡邊水巴 白日
初鴉石鎚のある方なれど 石田波郷
初鴉長鳴鳥におくれけり 阿波野青畝
初鴉鳴けり鴉も数減りて 右城暮石 声と声
古妻のいきたなしとや初鴉 正岡子規 初鴉
同舟のごと洲にわれと初鴉 鷹羽狩行
吹上の御所よりさつと初鴉 鷹羽狩行
吾こゝろわれにある時初がらす 桜井梅室
嘴の髭あらはに見たり初鴉 山口青邨
四方拜のお庭の霜や初鴉 正岡子規 四方拝
夜をはなれゆく麦の芽と初鴉 飯田龍太
天の原和田の原より初鴉 阿波野青畝
妹よ二人の朝の初鴉 渡邊水巴 白日
山里や枯木の枝の初烏 正岡子規 初鴉
岩壁に貝累々と初鴉 飯田龍太
川鴉相手にせざる初鴉 阿波野青畝
悪なれど町内の初鴉なり 藤田湘子 てんてん
我庵は上野に近く初鴉 内藤鳴雪
朝日影羽紫に初烏 正岡子規 初鴉
水中に啼く声沈む初鴉 秋元不死男
知恵長けしことを憎めど初鴉 阿波野青畝
磯寺の大杉小杉初烏 佐藤鬼房
社から寺から三輪の初鴉 中村草田男
祖師の森街に放てり初烏 山口青邨
紙の鶴舞ひ初鴉交錯す 山口青邨
藍つよく初烏待つ丘の線 原裕 青垣
誤たずみなひんがしへ初鴉 阿波野青畝
踏みはづし片羽根をつく初鴉 秋元不死男
道に出て人のごとくに初鴉 山田みづえ 手甲
遠空の遠声ながら初鴉 相生垣瓜人 負暄
里人の声真似ハ碇の初鴉 阿波野青畝
銀座出る新聞賣や初鴉 正岡子規 初鴉
雪嶺や名もまぶしくて初鴉 森澄雄
霜の大木に映る竈火や初鴉 原石鼎 花影
風吹て悲しさうなり初烏 正岡子規 初鴉
鬼瓦尾を上げて鳴く初鴉 松崎鉄之介

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:31 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初鳩 の俳句

初鳩 の俳句

初鳩

例句を挙げる。

初鳩に希望を言へり翔んでをり 松浦敬親
初鳩に日高くなりし野の社 坂田ゆきを
初鳩のくぐもり鳴くや塔の中 浅野草人
初鳩の光となりて飛び立ちぬ 小俣由とり
初鳩の番ひ庭木に来て睦む 菱田トクエ
初鳩の群れの大きな影走る 廣瀬直人
初鳩や創口かばふ懐手 吉田鴻司
初鳩や水平飛行して千木に 村山古郷
初鳩や真蒼に晴れし大欅 篠原一男
初鳩や空にひろがる涅槃の手 磯貝碧蹄館
初鳩を聴きたる障子あけにけり 野沢純
初鳩を開き撒きたる巨き掌よ 柳田芽衣
口笛に初鳩もどり声きざむ 寺田木公
由比ケ浜の風が初鳩ちらしけり 西 宇内
英霊よ白装束の初鳩よ 築城百々平

初鳩 補遺

初鳩の扇開きや宮翔つて 森澄雄

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:28 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初雀 の俳句

初雀 の俳句

初雀

例句を挙げる。

あさくさの雷門の初雀 今井杏太郎
いつ来ても嵯峨野は青し初雀 黒瀬としゑ
お手玉のごとくにあそぶ初雀 下村梅子
そこらぢゆう子供遊びて初雀 石橋秀野
つくばいに走る青竹初雀 高橋より子
ひとり遊びせむと生れて初雀 野中亮介
みささぎの帚目乱す初雀 木阪 登
やうやくに来たる一羽よ初雀 平子 公一
やつぱり来ましたと妻の初雀 加藤楸邨
やや寝すぎ雨戸を繰れば初雀 田中冬二 俳句拾遺
ゆりあぐるみどり児のあり初雀 長谷川かな女 牡 丹
をさな児の口まねでいふ初雀 川崎展宏
プランコに父と子揺れて初雀 川崎俊子
リハビリの呂律やや良し初雀 京谷圭仙
一の鳥居の高さが好きで初雀 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
一羽にて羽音も生まる初雀 齋藤玄 『狩眼』
一羽翔ち遅れつゝ翔ち初雀 上田春水
万葉の歌のみなとの初雀 岡部六弥太
不機嫌な一羽も居りて初雀 宮原双馨
初すずめ一合の酒冷ますまじ 古沢太穂
初雀かさこそ使ふ厠紙 高澤良一 宿好
初雀こぼれ七曜廻りだす 館 さくら
初雀そこまで我を近づくる 長野 豊子
初雀つひに翔たせてしまひけり 宮田春童
初雀ひとつあそべる青木かな 長谷川春草
初雀ふくら雀になりゐたり 石川文子
初雀ふくれて樹よりこぼれけり 堀部 守
初雀みみづく頭巾もて聞かん 吉田藤治
初雀みるみるふえてさくらの木 園田夢蒼花
初雀むさし野の寒気ふりしぼり 渡辺桂子
初雀やぶうぐひすのゆくへ哉 万太郎
初雀われらは耳をあかくして 知久芳子
初雀トコトコトッと石畳 高澤良一 宿好
初雀三つほど東本願寺 廣江八重櫻
初雀三ッ指ついて霜を来る 河合未光
初雀円ひろがりて五羽こぼれ 汀女
初雀厨のもの音より鋭し 原田種茅 径
初雀嘴よりひかりこぼしけり 稚魚
初雀地に口づけをくり返す 朝倉和江
初雀待ちて暮れたる狭庭かな 土屋 啓
初雀掠め庭木も輝ける 石塚友二
初雀方三寸をついばめり 島谷征良
初雀日輪いまだつばさなし 葛彦
初雀来てをり玉の水浴びに 島谷征良
初雀波切の路地をひゅんと抜け 高澤良一 燕音
初雀湧くや浦上の鐘鳴りて 朝倉和江
初雀湧く大仏の影法師 龍太
初雀羽音を残し消えてをり 高澤良一 随笑
初雀翅ひろげて降りにけり 鬼城
初雀飛び翔つことをすこしする 秋を
初雀鴟尾澄む簷に弾みをり 石野冬青
十字架の横木にとまれ初雀 田川飛旅子 『山法師』
南国のこの痩せぎすの初雀 日原傳
坂多き七味処の初雀 松本澄江
坪庭のかわらぬよしみ初雀 根岸たけを
塀弾み甍が弾み初雀 上野泰
墨竹の風しかと見ゆ初雀 十王
外流しに静かに下りて初雀 かな女
夜明から熱き炬燵や初雀 龍雨
夢殿の救世の御前や初雀 青々
妻の髪なほ睡りをり初雀 石田波郷
子宝の塚に日のあり初雀 富田潮児
寝埃がついてをるらん初雀 廣江八重櫻
小さき藁引つぱり合うて初雀 薪 豊子
屋敷田に光りこぼして初雀 影島智子
平凡に五十頭上の初雀 石田波郷
幸福に初雀より着ぶくれて 富安風生
廂より垂れたる松の初雀 風生
明けそめて熱き炬燵や初雀 増田龍雨 龍雨句集
晴れやかに酒色をおびし初雀 高木みつ子
晴着無き子どちも集へ初雀 香西照雄 素心
束の間のつぶらの永さ初雀 斎藤玄 雁道
枝移りやがて木移り初雀 高澤良一 随笑
校倉に膨れ相寄る初雀 黒田櫻の園
毛氈に初雀飛ぶ影を踏む 廣江八重櫻
泣きべその向うひそひそ初雀 松澤 昭
湯のまちの廂触れあひ初雀 阿部月山子
炭坑の煤を粧ひ初雀 有働 清一郎
燦々と光りを抱き初雀 長谷川秋子
畑隅を跳ねて大路へ初雀 高梨忠一
着殺しの作務衣一着初雀 赤松子
神杉に礫のごとし初雀 安川幸里
禅寺の砂を浴びゐる初雀 鈴間斗史
窮巷に影さへ見えず初雀 松浜
竹藪はまだ日のささず初雀 田中冬二 俳句拾遺
箒目をしめらす雨や初雀 白水郎
箒目を湿らす雨や初雀 白水郎句集 大場白水郎
米まきに来し天神や初雀 野村喜舟 小石川
米嚥んで胸すんなりと初雀 林 翔
紅跡の吸がら仄か初雀 小坂順子
累代に割り込む寿蔵初雀 斎藤一骨
肩あげの赤糸屑や初すずめ 中山純子
花蕊のごとき足跡初雀 金箱戈止夫
蓬莱の宮にこぼれて初雀 加藤耕子
藪へ来し日に初雀微光せり 福島小蕾
街の中藪一つもつ初雀 山口青邨
走り根と一問一答初雀 高澤良一 随笑
除々に明け一気にあけて初雀 那須乙郎
雪ならぬ霜の真白や初雀 尾崎迷堂 孤輪
霜除けの笹の小揺れに初雀 田中冬二 俳句拾遺
青籬の霜ほろほろと初雀 松本たかし
飛んでゐるときは初雀と思はず 加倉井秋を 午後の窓
首まげて石にのりけり初雀 田村了咲
参道に見るべきものは初雀 高澤良一 暮津

初雀 補遺

しのゝめの物のはじめは初雀 飴山實 花浴び
そこらぢゆう子供遊びて初雀 石橋秀野
やつぱり来ましたと妻の初雀 加藤秋邨
ビル住みに屋上日和初雀 岡本眸
一羽にて羽音も生まる初雀 斎藤玄 狩眼
五羽六羽たちまち倍の初雀 鷹羽狩行
亡き妻を探しにきたる初雀 後藤比奈夫
初すずめ品をつくりて弾み歩す 上村占魚
初雀かつらぎ庵をぺちやくちや言ふ 阿波野青畝
初雀すでにまぎるゝ瀬音かな 石橋秀野
初雀でんぐり返し見せようぞ 藤田湘子 てんてん
初雀とも倶会一処会者定離 後藤比奈夫
初雀一羽見たきり神保町 加藤秋邨
初雀二三羽われを意識せり 岸田稚魚 紅葉山
初雀団欒せるに注目す 相生垣瓜人 負暄
初雀島の土よりほか踏まず 鈴木真砂女 都鳥
初雀手荒く軒を蹴りにけり 岸田稚魚 紅葉山
初雀湧く大仏の影法師 飯田龍太
初雀見えたる声のかはりけり 加藤秋邨
初雀配偶と駈けあへりけり 阿波野青畝
初雀飛ぶ橙の十あまり 大野林火 飛花集 昭和四十八年
初鴉初雀とて来りけり 星野立子
地を離ること一寸の初雀 上田五千石『田園』補遺
塀弾み甍が弾み初雀 上野泰
妻の家に酒酌まれをり初雀 伊丹三樹彦
常のごと猫の餌につき初雀 森澄雄
平凡に五十頭上の初雀 石田波郷
庇より下りて今日はも初雀 森澄雄
晴着無き子どちも集へ初雀 香西照雄 素心
束の間のつぶらの永さ初雀 斎藤玄 雁道
枝たひら二十羽ばかり初雀 山口青邨
白壁を逆袈裟掛に初雀 林翔
福藁にまづは声して初雀 森澄雄
竹藪あり爺婆をりて初雀 山口青邨
米嚥んで胸すんなりと初雀 林翔
街の中藪一つもつ初雀 山口青邨
随意や竹の都の初雀 路通
青籬の霜ほろほろと初雀 松本たかし
飼ひ鳥と声を通じて初雀 鷹羽狩行

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:25 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初声 の俳句

初声 の俳句

初声

例句を挙げる。

くくくくと鳩の初声をこぼしけり 田中午次郎
くくくくと鳩初声をこぼしけり 徳永山冬子
みやうみやうと海はるかより初声す 高澤良一 ももすずめ
フェリー接岸初声の飛び交へる中 高澤良一 寒暑
先導の鶴の初声ひびきけり 米森えいじ
初声のあと只眠き青蛙 原田喬
初声の千鳥を故郷に来て聞ける 石橋海人
初声の山雀小雀温泉の窓辺 上林白草居
初声の雀に如くはなかりけり 藤勢津子
初声の雀の中の四十雀 青柳志解樹
初声は初恋よりもささやきぬ 富安風生
初声は常の雀や目が覚めて 青木綾子
初声やきのふは人を弔ひし 勝又一透
初声やちひさく神のゐるあたり 水野真由美
初声や子の身空なるわが御空 赤尾兜子
初声や闇を離るる羽音して 梓沢あづさ
初声を聴きわけてまだ床を出ず 鷹羽狩行
初声を鶴ともきかめ松の花 上島鬼貫
己(おんどれ)といふ初声の通りけり 茨木和生 倭
帆柱に来て初声を高めけり 茨木和生
我が家の百羽の鶏の初声裡 成瀬正俊
手をひろげ初声という男の子 松田ひろむ
春めくはその馨しき初声よ 青峰集 島田青峰
白露や傀儡女の名は初声と 辻桃子
身をはしるものあり鵙の初声に 相馬遷子 山河
鵯の声初声にして透りけり 富安風生
鶯の初声潮騒とききにけり 遠藤千鶴

初声 補遺

ほとゝぎす蚊は初声より扣かるゝ 琴風
初声と思ひしことのゆめなりし 赤尾兜子 玄玄
初声に睡り誘われ存在す 金子兜太
初声のそれより高く風見鶏 鷹羽狩行
初声の戒壇院の石叩 岡井省二 有時
初声は雀なりしよ明けそめし 森澄雄
初声を鶴ともきかめ松の花 上島鬼貫
初恋の猫の初声かぼそけれ 林翔
山雀の初声なりと聞きたしよ 飯島晴子
祀られし男根女陰の初声や 金子兜太
羽ばたきとともに初声去りゆけり 鷹羽狩行
身をはしるものあり鵙の初声に 相馬遷子 山河
鵯の初声なれやけたたまし 相生垣瓜人 負暄
鵯の声初声にして透りけり 富安風生

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:23 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初東雲 の俳句

初東雲 の俳句

初東雲

例句を挙げる。

人形に初東雲の色の髪 鈴木伸一
内海や初東雲の島いくつ 小島花枝
初東雲あめつち富士となりて立つ 岡田貞峰
初東雲かがり火浴びて詣でけり 島田とし子
初東雲暁闇に幹潜みゐて 新谷ひろし
初東雲珊瑚の薄紅鮮しき 川口爽郎
木の中に初東雲の柳かな 武定巨口
残火棄つ初東雲の大川に 落合水尾
水仙に初東雲や洛の水 松瀬青々
汲みに出て初東雲の泉かな 田中兆木
裏山に初東雲の蒼からむ 松田ひろむ
阿倍館の初東雲や河曲る 宮 慶一郎
鵜の礁初東雲に見えわたり 富安風生
一生のあかときいくつ初曙 新谷ひろし
初あけぼの正倉院の塀に沿ふ 吉野義子

初東雲 補遺

かたびらの初あけぼのや水浅黄 配力
せめぎあふ初東雲の藍と紅 鷹羽狩行
つながるや初東雲の夫婦岩 阿波野青畝
除々に除々に初東雲といへる空 後藤比奈夫

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:19 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初日 の俳句

初日 の俳句

初日

例句を挙げる。

*えりの波煌いて来る初日の出 野田まこと
「あぶれ者が選ばれた者に」初日拝す 磯貝碧蹄館 握手
あしかびのごとき青年初日の出 原裕 葦牙
うかうかと張子のとらに初日哉 会津八一
うちはれて障子も白し初日影 鬼貫
うなゐらに花びらとなりふる初日 山口青邨
お玉杓子きはやかに散る池初日 林原耒井 蜩
かぎろひの長谷の初日を拝がめる 山田みづえ
ぐんぐんと初日波頭を躍り出づ 伊東宏晃
げにも春寐過しぬれど初日影 炭 太祇 太祇句選
この初日誰が帽の上を越して来しや 細谷源二
この道のはてなき初日あふぎけり 金尾梅の門 古志の歌
こやる窓初日生れぬ凧群れぬ 林原耒井 蜩
さすりゐる幹に初日のあたりけり 仙田洋子 雲は王冠
しばらくは初日とめたる格子かな 星野石木
しら粥の茶碗くまなし初日影 丈草
しろがねの潮たる初日濤をいづ 飯田蛇笏 雪峡
たしかなる予感柔らかき初日の出 殿村菟絲子 『晩緑』
たたみ目のゆがみし国旗初日に出す 桂信子 黄 炎
つくば峰のほのくれなゐの初日かな 安江眞砂女
にんげんは黒ずくめにて初日の出 正木志司子
ぬれ色や大かはらけの初日影 任行
ひとりゆく砂丘の雪や大初日 飯田蛇笏 春蘭
ふたもとの松も老いけり初日影 遠藤 はつ
ふと思ふ臍の緒のこと大初日 峰尾保治
ふるさとの伊勢猶恋し初日影 樗良
まつさらの闇おしやりて初日出づ 伊藤敬子
まなかひに暗き浪間や初日の出 増田龍雨 龍雨句集
むめが香の筋に立ちよる初日かな 支考
もみ合へる雲金色に初日出づ 戸川克巳
やうやくに谷の十戸へ初日影 佐藤和枝
よき子生せいま金色の初日の妻 大槻紀奴夫
らんらんと打ち延べされし初日いま 橋本夢道 無類の妻
わが庭の薮はむらさき初日の出 山口青邨
わが祈りかなはざらめや初日出づ 篠田悌二郎
わが藪の天狗の鼻をかけ初日 山口青邨
をかしげに夫婦老いをり初日中 知世子
ガンジスに身を沈めたる初日かな 黒田杏子(1938-)
シヤギリ澄むくんち初日の朝まだき 下村ひろし 西陲集
ミシガン湖凍りついたる初日かな 仙田洋子 雲は王冠
一切空赤く出でたる初日かな 野村喜舟 小石川
一塊のパン荒々し初日影 原 和子
一山の威のおのづから初日滝 つじ加代子
一木は神のよりしろ初日影 原裕 『王城句帖』
三山の初日御霊よ還りませ 右城暮石
九十九里ただの渚の初日かな 喜舟
九州場所の初日の頃はよく晴れて 寺澤てるよ
九州場所初日晴れたる魚市場 堀之内長一
亀の背に海老ほのあかし初日山 上島鬼貫
人ちらほら練兵場の初日かな 会津八一
伊勢路馳る馬車かつ~と初日影 金尾梅の門 古志の歌
低く来て初日帯びける鶫の羽 究一郎
低翔の鵜にしぶき立つ初日かな 益田ただし
何が走り何が飛ぶとも初日豊か 草田男
健かに母老い玉ふ初日かな 会津八一
傍らの子にも初日のさして来ぬ 長谷川かな女 雨 月
元旦の海かたぶけて初日の出 中勘助
先づは思ふべし草の戸にさす初日 細見綾子 黄 炎
先づ師碑に届きし日矢の初日影 関野八千代
光年の中の瞬の身初日燃ゆ 林翔
初国初日豊石窓命哉 夏石番矢 楽浪
初日あび神降臨の地にたてり 角川源義
初日いつもの鳶色の日輪となる 菅裸馬
初日いま大字聖書の天金に 田川飛旅子 『山法師』
初日いま天なる鶴に田の鶴に 兼折風外
初日いま楕円核爆発あるな 三橋敏雄 まぼろしの鱶
初日いま辛夷の花芽火の穂なす 小松崎爽青
初日いま阿蘇の萱原さゞめかす 原三猿子
初日うつる水族館の金魚かな 会津八一
初日おろがむは母より享けしかたち 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
初日かげ人に先さす恵かな 松岡青蘿
初日かげ枯草の穂とふきなびけ 梅の門
初日かげ積雪の牙に潮なぎぬ 飯田蛇笏 春蘭
初日さすあかき円葉の岩鏡 堀口星眠 営巣期
初日さすいま金色の盲導犬 佐藤瑛子
初日さすことも劫火の底の底 加藤楸邨
初日さすまつくらがりの町工場 平畑静塔
初日さすや古葉の中の枇杷の花 碧雲居句集 大谷碧雲居
初日さすや枯木ばかりに庭深く 白水郎句集 大場白水郎
初日さすや舶場守りの観世音 野村喜舟 小石川
初日さすわが表札をひと読みゆく 楸邨
初日さす坂道をまだ誰も来ず 角川春樹
初日さす大竹藪の青しぶき 神蔵器
初日さす戦後の畳やはらかし 桂信子 黄 炎
初日さす方よりとぶは伊勢の鵜か 杉本寛
初日さす朱雀通りの静さよ 碧梧桐
初日さす松はむさし野にのこる松 水原秋櫻子
初日さす横顔とわが一匹の鮫 鈴木六林男 国境
初日さす歩まねば明日近づかず 永田耕一郎 方途
初日さす波に四駆(よんく)を乗り入れぬ 染谷佳之子
初日さす瑞牆山の岩の間ゆ 相馬遷子 山國
初日さす畦老農の二本杖 西東三鬼
初日さす相模田圃へ出て父は 藤田湘子 春祭
初日さす硯の海に波もなし 正岡子規
初日さす細青竹の鶏の柵 柴田白葉女 花寂び 以後
初日さす裾くまなく真新し 荒武 蕾
初日さす鶏に菜を刻むかな 野村喜舟 小石川
初日とどく広野の月の落ちて行く 瀧井孝作
初日に決意少年のごと耳羞ぢて 林翔 和紙
初日の出ゆるく刻打つ大時計 中村苑子
初日の出わが家の門も直路もつ 石田波郷
初日の出わが影のびて穂高さす 渡辺 立男
初日の出凪何処までも海平ら 柑子句集 籾山柑子
初日の出喩ふ言葉も立ち往生 高澤良一 鳩信
初日の出塔の九輪に昇り来る 三好曲
初日の出塩壷に手をさしこめば 加藤楸邨
初日の出小田の塊磊々と 西山泊雲 泊雲句集
初日の出待つ岩壁に火を焚けり 吉澤利枝
初日の出東海に面す小城かな 古巌
初日の出海一杯の御旗かな 巌谷小波 さゝら波
初日の出見えずネクタイ緩めけり 吉田水乱
初日の壷太平洋に溢れ出す 橋本美代子
初日の花俳諧中間より銘々木々 井原西鶴
初日はや何怖くして佇つ我ぞ 永田耕衣 自人
初日まつ玄海色を得つゝあり 小原菁々子
初日よりゆっくり登る女坂 石井美江
初日乗せベコ千両の振分け荷 高澤良一 さざなみやっこ
初日仰ぐ雙親の愛一身に 轡田進
初日出づかもめ輪舞の渦を解き 松本 幹雄
初日出づ一人一人に真直ぐに 中戸川朝人
初日出づ一礁これに侍せりけり 轡田 進
初日出づ五彩に波を躍らせて 上村占魚 『自門』
初日出づ恵那のいただき今雛れ 太田嗟
初日出て海面百里の光り道 竹本仁王山
初日出る途端にわが眼ふさぎけり 阿波野青畝
初日半輪親しきものの眩しさに 香西照雄 素心
初日受く身体こそ資本病ひあるな 岩田昌寿 地の塩
初日呑むと夢みて発句栄ゆべく 正岡子規
初日噛んで口中赫し神の犬 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
初日四肢になんと坑夫の若いこと 河村正昭
初日射す弓師が店の框かな 野村喜舟
初日影さすや鞍馬の石段に 東洋城千句
初日影せめては伊勢へたよりせん 森鴎外
初日影まづ出でたりな生駒山 上島鬼貫
初日影ゆるきは父のあるところ 金田咲子 全身 以後
初日影万象己が彩放つ 高山洋子
初日影五尺の庵に入れ申す 古白遺稿 藤野古白
初日影人は馬上のものならし 竹冷句鈔 角田竹冷
初日影夜は明けていまだ富士見えず 古白遺稿 藤野古白
初日影子を抱きて常の野をありく 瀧春一 菜園
初日影流木はたちあがらむと 金尾梅の門
初日影焦都大阪市を照らす 草城
初日影煩悩あればこそ生きる 高木青二郎
初日影裏富士雪を新たにす 勝俣明翠
初日影鶴に餌を飼ふ人は誰 青蘿
初日待つ人声にゐて浜の宿 桂信子 緑夜
初日待つ浦の短かき波止に佇ち 松田 八洲丸
初日待つ百の金魚田視野におき 原 好郎
初日待つ雪嶺の色かはりつつ 五十嵐播水
初日待つ霜の手摺に寄りかかり 阿部みどり女
初日待つ鳶も鴉もまだ飛ばず 鈴木真砂女
初日拝す古稀の目がしらうるみけり 高橋青湖
初日拝す夫のコートを着重ねて 伊藤いと子
初日拝み聖のごとく野夫老いぬ 一戸耕雨
初日拝むまだ諦めてはをらず 井本農一
初日浴ぶ 一存在は 全存在 伊丹三樹彦 一存在
初日浴ぶ不死とも不老ともならず 仙田洋子 雲は王冠以後
初日海にひと武蔵野にい寝てあらむ 稲垣きくの 黄 瀬
初日炎ゆる涙も茜いろなさむ 稲垣きくの 黄 瀬
初日燦々死に価して生きたかり 磯貝碧蹄館 握手
初日燦西の涯まで海祓ふ 加田貞夫
初日生る一雲映えつつそを包みに 香西照雄 素心
初日粛然今も男根りうりうか 加藤楸邨
初日見る塔下の森に灯ありけり 癖三酔句集 岡本癖三酔
初日赫し戦後貧しき父と子に 石川桂郎 含羞
初日門枯れ太幹とならびたる 原石鼎 花影以後
初芝居のびし初日のあきにけり 久保田万太郎
剰り温泉のそそぐ荒磯の初日かな 宮武寒々 朱卓
加茂川や柳条長き初日影 大谷句佛 我は我
千葉県海上郡初日かな 小杉余子 余子句選
南窓や梅一輪の初日影 寺田寅彦
卵塔の一つは父や初日さす 小内春邑子
厨夫踏む帯のやうなる初日向 静塔
名水の玉なす雫初日さし 岡本まち子
啄木鳥のいつもくる木の初日影 三宅 句生
嘉儀候(かぎそろ)よやおら初日の梅心 上島鬼貫
国原にあまねく初日とゞきけり 稲岡長
土蔵から筋違にさす初日かな 一茶
地下電車地へ出て赤し妻へ初日 香西照雄 素心
地軸ずしと傾き太陽は初日と呼ばれ 原裕 投影
坂にひと太刀浴せしがごと初日の出 楠本憲吉
堅き足袋はきて初日ををろがめり 鈴木白路子
夏休初日の蝶の飛立つて 樋笠文
外套を掛けし俥の初日かな 増田龍雨 龍雨句集
大あたま御慶と来けり初日影 巣兆
大いなる初日に艦の進むなり 松山足羽
大いなる初日据りぬのぼるなり 石鼎
大初日二見の巌を抱擁す 阿波野青畝
大初日海はなれんとして揺らぐ 上村占魚
大津絵の鬼に初日や庵の壁 柑子句集 籾山柑子
大濤にをどり現れ初日の出 高浜虚子(1874-1959)
天地人の恩あたたかき初日の出 高木青二郎
天蛇(テインブウ)蹴ね鳥化の岬初日鳴る 野ざらし延男
奥山や枯木の穂にも初日影 原石鼎 花影以後
女房の威儀のをかしく謡初 日野草城
妻と来てひれふりやまの初日かな 古舘曹人 樹下石上
子が洗ひし万年青の葉なり初日さす 林翔 和紙
寒牡丹展や初日は色固し 毛利不一
寒竹の芽の向き初日さしにけり 室生犀星 魚眠洞發句集
山兎跳ぶよ初日にさそはれて 小沢満佐子
山大に水長き里の初日かな 東洋城千句
岩をめぐりたゆたふ潮や初日の出 松藤夏山 夏山句集
巌の鵜の闇より黒し初日待つ 清水貴久子
巌頭に已に人をり初日の出 石田敬二
差し出でて崎々迎ふ初日の出 山口誓子 雪嶽
幸せにつゞくこの道初日の出 岩本 千代
床下に兎飼ふ家の初日かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
御幣鯛(おんべだい)献上の島初日さす 高澤良一 鳩信
忽と来て初日の波へ泳ぎ入る 飯塚樹美子
悉く吊革あそび初日さす 中山良章
我が郷の富士といふ山初日かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
我と世をのがれん身にも初日影 白雄
我れに四十の初日をかけよかゞやかに 青峰集 島田青峰
手の平に初日の恵み満ち足りぬ 中野三允
拍手の隣久しき初日かな 尾崎紅葉
招提をつゝむ初日の匂ひかな 松瀬青々
斧担ぎ行く杣の脊に初日かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
新しき千年ひらく初日かな 佐藤美恵子
新聞受までの素顔に初日受く 桂信子 花寂び 以後
旅にして梅一號の初日哉 幸田露伴 礫川集
旗色に比す日本の初日影 泉鏡花
日光に初日みなぎる旅にあり 磯野充伯
日光月光面輪通ひて初日中 中村草田男
明け切りて初日遅々たる水馬 林原耒井 蜩
昨日とおなじところに居れば初日さす 桂信子 黄 瀬
暁闇の海うごきだす初日の出 大久保灯志子
朝々の初日をろがみ年のくれ 原石鼎 花影以後
朝雫皺手につたふ初日哉 一茶 ■文政元年戊寅(五十六歳)
木に草に麦に先づ見る初日かな 来山
木綿縞着たる単純初日受く 細見綾子(1907-97)
東京湾上に道あり初日さす 益田 清
松の影濃くなりそめし初日かな 信子
松竹の間を濤に初日哉 幸田露伴 礫川集
枯れ草に國亡びたる初日かな 会津八一
枯草にまじる蓬の初日かな 渡辺水巴 白日
梺には水のつめたき初日かな 一鼠
森羅万象一つ一つに初日影 吉野義子
極東の一等国や初日の出 巌谷小波 さゝら波
極楽の島つ岩根の初日の出 坪内逍遥 歌・俳集
武蔵野は小さかりける初日哉 幸田露伴 礫川集
歳時記をかざし初日を眩しみぬ 館岡沙緻
殊更に初日待ちたる峠かな 蘇山人俳句集 羅蘇山人
水底に芽ぐむものあり初日出 紅緑
水底泥を喫む鴉の群にさす初日 大場白水郎 散木集
氷る岩肌初日さし金屏となりぬ 岡田日郎
氷塵の煌めく由布の初日の出 小西 藤満
沖の線血球となりし初日の出 原裕 『王城句帖』
沖の舟大き初日に抱かるる 関森勝夫
沖ゆく煤煙円舞の鳩も初日まみれ 小林康治 玄霜
波皺に鵜の現はるゝ初日かな 白水郎
波郷山河は虚子の山河よ初日影 五十崎朗
洋上にせりあがりくる初日の出 千原満恵
浄宮の梢氷れる初日かな 高田蝶衣
海の初日煙のごとく出でにけり 及川一行
海の禽さびしからずや初日の出 青畝
海原の初日いただく卒寿すぎ 阿部みどり女 『石蕗』
海坂の千里を一気初日射す 小川玉泉
海坂の波を越えくる初日影 田守としを
海底に藻の色顕ちて初日の出 桂信子
海老のつらに伊勢の初日や門飾 白砧
清正の烏帽子長き初日かな 会津八一
清盛の頭ほどなる初日かな 会津八一
渚ゆくわが足跡に初日かげ 年尾
満面に初日妻つれわたる畦 石川桂郎 含羞
爪立ちて未来迎へる初日の出 御崎敏江
物干に居る家遠き初日かな 会津八一
犬ころの雪ふみ分けて初日影 井月の句集 井上井月
独立樹全枝伸しきり初日浴ぶ 香西照雄 素心
猫と頒つ初日や子無き膝がしら 川辺きぬ子
玉砂利の初日に帽子外套置く 篠原梵 雨
琴唄の八重の潮路に初日さす 綾子
瑞穂の国学東京の初日かな 土橋石楠花
瓦屋根波も静に初日かな 尾崎紅葉
産髪に初日いただかさんと出づ 槐太
田にゐたる鴨が初日をよぎり飛ぶ 水原秋櫻子
甲斐の山覚めず初日の多摩郡 秋櫻子
男凧海の初日を曳き上る 高橋悦男
男根に初日当てたり神の犬 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
異人街静かに昇る初日かな 会津八一
病みぬけし胸に日矢さす初日かな 石田波郷
瘠ほぢやれ小松ヶ原も初日かな 幸田露伴 拾遺
白波のほかはふれざる初日うく 神蔵 器
白粥の茶碗くまなし初日影 内藤丈草
目つむりて華の如くに初日うく 照子
短檠も明れば長し初日影 乙由
石庭の石それ~の初日影 松本穣葉子
神の杉神の玄さに初日うく(秩父三峰神社七句) 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
神杉を射て砕けたる初日かな 稲岡長
秋場所の風のひだるき初日かな 星野麥丘人
穏かに松を離るる初日かな 矢頭萩花
竹も起て音吹きかはす初日かな 千代尼
簷に干す醪の櫂に初日かな 西山泊雲 泊雲句集
絵馬の文字ひとつひとつに初日かな 佐藤美恵子
群羊の一頭として初日受く 澤木欣一
羽つつき合ふ錦鶏に初日さす 甲子雄
自転の地球のしぶき浴び初日の出 小橋啓生
臼杵の玩具土産や初日護摩 高木蒼梧
船長に歌問はれけり初日出 会津八一
色々の雲の中より初日の出 夏目漱石
茅屋の奢り初日を居間に待つ 吉良比呂武
茜して初日上りし大都かな 龍胆 長谷川かな女
草の戸の我に溢るゝ初日かな 五百木飄亭
草の戸の真白き飯に初日さす 正雄
荒磯に敷きたる雪や初日いづ 水原秋桜子
菜の花の一りんざしの初日かな 龍岡晋
菜畠の初日の客となれりけり 杉風
萱原にいまはあまねき初日かな 清原枴童 枴童句集
蕋の金初日に匂ひ庵椿 風生
行燈に初日の絵品川の海 久米正雄 返り花
観音のまなぶた初日享けたまへ 鷲谷七菜子
觴に受けて芽出たし初日影 井月の句集 井上井月
誰恋ぞ田毎にみつる初日かげ 松岡青蘿
議事堂の右の肩より初日の出 今泉貞鳳
谷住みの小さき初日を拝むなり 藤原たかを
豚小舎に豚の仔ねむる初日かな 成瀬桜桃子 風色
貌出して牛が柱の初日舐む 永野鼎衣
贋作の一休の偈に初日かな 成瀬櫻桃子
起てど坐れど師の亡かりけり初日影 石川桂郎 含羞
踏まれたる邪鬼にもさせり初日影 加藤安希子
転びくる初日まみれの紀州犬 つじ加代子
遅れたり拝む初日雲に浮き 石川桂郎 四温
道真中大首上げて初日掻く 安井信朗
遥拝の初日のあとのハーブティ 佐藤君依
還暦の夫に大きな初日出づ 河本好恵
部屋中が光となりし初日かな 大久保橙青
野に初日膝へたばしる牛乳搾る 小原啄葉
野の低き木に小鳥飛ぶ初日かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
金剛の初日の如来をろがみぬ 上村占魚 『天上の宴』
金糸雀の箱にさゝやく初日かな 蘇山人俳句集 羅蘇山人
長命の媼に積藁の初日かな 長谷川かな女 雨 月
雪國の海なる初日哉 餘生遺稿 鈴木餘生、大曲省三編
雪隠の後ろに登る初日哉 会津八一
雲に一微紅みるみる初日大 富安風生
雲包む初日を空のをしむやは 上島鬼貫
雲抱くうすら初日に掌を合はす 下村ひろし 西陲集
霜とけて初日にけむる葎かな 鬼城
青き鴨波翔けめぐり初日いづ 水原秋櫻子
青雲の坩堝にたぎりおる初日 橋本夢道 無類の妻
音楽に初日さすもの皆入り来 加藤知世子 黄 炎
頬に初日下界を愛する郵便夫 磯貝碧蹄館 握手
額づけば初日の雲と杉のこゑ 山口草堂
顔見せやしばらく冬の初日影 高井几董
風塵のいま鮮しや初日享く 小林康治 玄霜
駒込の田圃で拝む初日かな 白水郎句集 大場白水郎
高山にまた父母の部屋初日さす 相馬遷子 雪嶺
高梢に寄生木昇り初日受く 高澤良一 ももすずめ
高檜葉の雪ふりこぼす初日かな 金尾梅の門 古志の歌
鮭の簀の寒気をほどく初日哉 左柳
鳥羽の海初日拝みてはや散りぬ 等々力進午
鳶の輪の大きく島の初日空 閑田梅月
鵯谺初日は千木にのみさしぬ 加倉井秋を
鶏にましらけをやる初日かな 会津八一
鶏百羽白き胸張り初日待つ 大槻九合草
鶴のあそび雲井にかなふ初日かな 千代尼
鷺の舞田川に初日あふれしめ 久田 澄子
鼻梁にて二千年紀の初日受く 辻美奈子
しづかさの鍬にさし入るはつ日かな 蓼太(根岸に蝸庵をしつらへて)
淡海を初手に染め上げ大日如来(だいにち)さん燕音
初日影取り込むソーラーハウスかな暮津

初日 補遺

「天地大戯場」とかや初日出づ 金子兜太
あしかびのごとき青年初日の出 原裕 葦牙
いざ舟出初日いまこそ大全円 桂信子「草影」以後
いのちあれ机上未定稿初日射す 山口青邨
うちゆらぐ竹いさぎよし大初日 山口青邨
うなゐらに花びらとなりふる初日 山口青邨
おかめ笹初日にぬるる稿をつぐ 山口青邨
お遍路と別の旅ゆく初日傘 百合山羽公 樂土以後
お頂上つひにかくろふ初日かな 上田五千石『琥珀』補遺
げんげんの芽の出そろへる初日かな 永田耕衣
これよりは珊瑚の波や初日の出 阿波野青畝
しぐれたるけはひの土へ初日かな 鷲谷七菜子 游影
しろがねの潮たる初日濤をいづ 飯田蛇笏 雪峡
つむ~と障子に影や初日鳥 原石鼎 花影
はなやかに朱竹軒端に初日の出 山口青邨
はらはらと柳動くや初日影 政岡子規 初日影
はろかなるものへ礼して初日向 岡本眸
ひとりゆく砂丘の雪や大初日 飯田蛇笏 春蘭
ふるさとの猪垣にさす初日かな 細見綾子 牡丹
みどりごのお口あーんと初日さす 林翔
むさし野の靄のなかより初日の出 上村占魚
めつむりて初日が炎ゆる岳を前 山口青邨
めつむるまで初日見ざらんわが臍よ 加藤秋邨
ゆらゆらと柳うごくや初日影 政岡子規 初日影
ゆらゆらと柳動くや初日の出 政岡子規 初日
ゆりかごをゆすれ初日が溢れる時 有馬朗人 母国
よべ残灯日本橋に初日出づ 山口青邨
わがはひる工房すでに初日満つ 山口青邨
わが庭の藪はむらさき初日の出 山口青邨
わが藪の天狗の鼻をかけ初日 山口青邨
われより先対岸工区初日浴ぶ 古沢太穂 捲かるる鴎
ガンガの水汲んだばかりの 壺に初日 伊丹三樹彦
一切の空貫きて初日の出 桂信子「草影」以後
一村の泛びてきたる初日かな 鷲谷七菜子 一盞
一滴に初日あたれり松雫 桂信子 「草影」以後
一点口にからし初日の汐飛沫 中村草田男
一管の笛に するする 初日の出 伊丹三樹彦
万華鏡世をうつくしく初日の出 山口青邨
三代に生きありがたし初日影 山口青邨
三山の初日御霊よかへりませ 右城暮石 句集外 昭和十四年
不盡赤し筑波を見れは初日の出 政岡子規 初日
両神山は補陀落初日沈むところ 金子兜太
丸きもの初日輪飾り鏡餅 政岡子規 鏡餅
京に似し山を軒端に初日の出 山口青邨
人に酔ひ初日の方へ農青年 佐藤鬼房
今年も東より出る初日哉 政岡子規 初日
今日だけは初日を浴びよ足の裏 加藤秋邨
伊勢人のはがきに刷りし初日哉 政岡子規 初日
何が走り何が飛ぶとも初日豊か 中村草田男
先づは思ふべし草の戸にさす初日 細見綾子
光年の中の瞬の身初日燃ゆ 林翔
八柱の八根を初日鞘裹み 中村草田男
凸レンズを置けば光点初日射す 林翔
初場所の初日天皇見えをらる 石塚友二 玉縄以後
初日あび神降臨の地にたてり 角川源義
初日いま楕圓核爆發あるな 三橋敏雄
初日うらうら昭和元禄の花ふらし 山口青邨
初日うらうら草の戸落葉深きまま 山口青邨
初日うらうら賞与十円ほど残れり 日野草城
初日うらうら霜除の下紅粉花そだつ 山口青邨
初日かげ積雪の牙に潮なぎぬ 飯田蛇笏 春蘭
初日が撫す湾口海を越させぬ武器 古沢太穂 火雲
初日さし尾長の古巣燃えんとす 山口青邨
初日さすことも劫火の底の底 加藤秋邨
初日さすまことに古き旅鞄 山口青邨
初日さす五十鈴は波のかげを織る 阿波野青畝
初日さす千木を羨む鰹木か 鷹羽狩行
初日さす寝巻すがたのバルザック 有馬朗人 知命
初日さす座右一枚の鶴の羽 山口青邨
初日さす朱雀通りの静さよ 河東碧梧桐
初日さす松はむさし野にのこる松 水原秋櫻子 蘆刈
初日さす林の窪に池のあと 水原秋櫻子 殉教
初日さす深熊野青き渕湛へ 桂信子 花影
初日さす瑞牆山の岩の間ゆ 相馬遷子 山国
初日さす畦老農の二本杖 西東三鬼
初日さす硯の海に波もなし 政岡子規 初日
初日さす蓮田無用の茎満てり 西東三
初日さす金魚一鱗の庭の甕 山口青邨
初日さす鴨片寄りに多摩の湖 山口青邨
初日しづしづ徽宗皇帝の鳩に射す 山口青邨
初日にも覆面 河岸の白行者 伊丹三樹彦
初日に対し鳩の心と蛇の知恵 中村草田男
初日に決意少年のごと耳羞ぢて 林翔 和紙
初日のつと萬歳の聲どよみけり 政岡子規 初日
初日のぼる日照権をあらそふ街 山口青邨
初日の出塩壺に手をさしこめば 加藤秋邨
初日の出待つときめきは恋に似て 鈴木真砂女 紫木蓮
初日の出熊野一円おしだまる 桂信子 花影
初日の出蟻さながらに人動き 阿波野青畝
初日の出衆生即ち草の如 上野泰
初日の出隣のむすめお白粉未だつけず 政岡子規 初日
初日の前力をぬきて強歩せむ 中村草田男
初日は昇り海は寄りくる音たからか 中村草田男
初日まつ心しづかにたかぶりぬ 富安風生
初日ゆらら三幹の松かがやかに 山口青邨
初日より三日古びし山日影 上田五千石『風景』補遺
初日以前の 床踏み鳴らす 神馬の白 三橋敏雄
初日出づかの井戸に水湧きをらむ 桂信子「草影」以後
初日出づキャデイ早出の七時には 山口誓子
初日出づ五彩に波を躍らせて 上村占魚
初日出づ昔平家の海の上 百合山羽公 樂土
初日出づ野は低くしてはてに波 山口青邨
初日出で限りなく来る波の金 桂信子 草影
初日出る途端にわが眼ふさぎけり 阿波野青畝
初日半輪親しきものの眩しさに 香西照雄 素心
初日受く海蝕の岩前屈み 佐藤鬼房
初日受く疎梅一枝を高くして 百合山羽公 樂土
初日受け飲喜の白髪ありにけり 林翔
初日向初ぼこりにぞ酔ひにける 相生垣瓜人 負暄
初日呑むと夢みて發句榮ゆべく 政岡子規 初日
初日団々と 藁塚 胴震い 伊丹三樹彦
初日射この美しき地球に棲む 桂信子 草影
初日射す全きいろの石蕗の辺に 飯田龍太
初日射す嬰児泉の如く泣く 有馬朗人 母国
初日射す峠の道の岐れずに 廣瀬直人
初日射す深きねむりの一家族 有馬朗人 母国
初日射す焦土を知らぬ佃島 鈴木真砂女 居待月
初日射す軒の松よりペン皿に 山口青邨
初日射松よりこぼれ鶴の墓 山口青邨
初日差しこむすごい暗さの町工場 平畑静塔
初日差月桂樹越し軒端しのぎ 中村草田男
初日影ときをり翳りへッセの詩 伊丹三樹彦
初日影焦都大阪市を照らす 日野草城
初日待つかぐろきものに筆硯 鷹羽狩行
初日待つ人声にゐて浜の宿 桂信子 緑夜
初日待つ浜に知る人知らぬ人 鈴木真砂女 紫木蓮
初日待つ鳶も鴉もまだ飛ばず 鈴木真砂女 居待月
初日拜むべく思はずわれ無精なり 政岡子規 初日
初日拝む玄即新ひたすらに 山口青邨
初日早や身に負ふ荷さへぬくめ初む 中村草田男
初日未だ真紅のままの増す光 中村草田男
初日浮くや金波銀波の太平洋 政岡子規 初日
初日浴ぶ 一存在は 全存在 伊丹三樹彦
初日漏るおはらひ箱のほこり哉 政岡子規 初日
初日炸裂こごしき山をいま出づる 山口青邨
初日燦々海女の膝の間鯛一尾 中村草田男
初日生る一雲映えつつそを包みに 香西照雄 素心
初日粛然今も男根りうりうか 加藤秋邨
初日見ばや海に向いて松くねる處 政岡子規 初日
初日見る労も年々惜しみけり 相生垣瓜人 負暄
初日赫し戦後貧しき父と子に 石川桂郎 含羞
初日門枯れ太幹とならびたる 原石鼎 花影以後
初日閉づ韓国岳の一つ星 角川源義
初日静かにのぼる嬰児の眼の中を 有馬朗人 母国
初日頭上常に遙かに父への距離 有馬朗人 母国
初空や初日初鷄初鴉 政岡子規 初空
千の鶴嘴ひんがしに初日出づ 山口青邨
千木は反り鰹木は伏し初日待つ 鷹羽狩行
員数外下衆の一匹初日受く 佐藤鬼房
喜劇か悲劇かいまし初日のしづしづと 山口青邨
喜寿といふ大きな年の初日浴ぶ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
噴水のふきあげし初日うらうらと 山口青邨
地下電車地へ出て赤し妻へ初日 香西照雄 素心
坂にひと太刀浴せしがごと初日の出 楠本憲吉 方壺集
城山に初日 帰郷の眉上げる 三橋敏雄
堆書裡の本の山より初日射す 山口青邨
墨梅の軸にさしけり初日影 政岡子規 初日影
墨梅の軸にさしこむや初日の出 政岡子規 初日
多摩の子等頬朱に染め初日の出 山口青邨
夢殿の夢の扉を初日敲つ 中村草田男
大初日海はなれんとしてゆらぐ 上村占魚
大和から昇るべかりし初日かな 後藤比奈夫
大寺の初日は山のごときかな 平井照敏
大船のへさきに浮ぶ初日哉 政岡子規 初日
天の戸となる桜島初日まつ 阿波野青畝
天上の雲に初日の影ささず 平畑静塔
太古より光は真直ぐ初日出づ 桂信子 草影
奥山や枯木の穂にも初日影 原石鼎 花影以後
妻と来てひれふりやまの初日かな 古舘曹人 樹下石上
子が洗ひし万年青の葉なり初日さす 林翔 和紙
子の涎初日の前に壮んなり 伊丹三樹彦
居る雲は妨げもせず初日の出 阿波野青畝
山はみな杉の植林初日の出 右城暮石 散歩圏
山里や初日を拜む十時頃 政岡子規 初日
岩千鳥初日の中に舞ひつるる 上村占魚
岩頭の鵜めく人群初日今し 中村草田男
差し出でて崎々迎ふ初日の出 山口誓子
帆檣に人かき上る初日かな 政岡子規 初日
幕揚り初日うらうら登場人物はいまだ 山口青邨
庭荒るるこれもまたよし初日の出 山口青邨
我庵はお城の上に初日哉 政岡子規 初日
戒壇上一物も無し初日展ぶる 中村草田男
掌のなかの魚ぴちぴちと初日さす 飯田龍太
揚船の舷撫づる漁夫初日徐々と 中村草田男
新しき部屋ゆゑ初日右手より 桂信子「草影」以後
新しさすべての上に初日かな 細見綾子
新聞を門で受け取る初日哉 政岡子規 初日
旅に居て二十五階の初日浴ぶ 松崎鉄之介
日の丸は仰げず初日仰ぎ得し 林翔
日光月光面輪通ひて初日中 中村草田男
明方に上りし雨の初日かな 石塚友二 磊[カイ]集
明治百年一年を加う初日なり 荻原井泉水
昔馬上で兵統べし記憶 初日の出 楠本憲吉 楠本憲吉集
星は消え月はしらみて初日の出 政岡子規 初日
昨日とおなじところに居れば初日さす 桂信子 新緑
暁闇に褌(たふさぎ)代えて初日待つ 金子兜太
朝々の初日をろがみ年のくれ 原石鼎 花影以後
木々の影伸びて初日の影となる 稲畑汀子
木綿縞着たる単純初日受く 細見綾子 和語
本の山そこらに初日さしわたり 山口青邨
東大寺われも美鹿も初日浴ぶ 村山故郷
東天の杉の秀染めて初日の出 右城暮石 散歩圏 補遺 頑張れよ
林ゆき青鵐が鳴けり初日さす 水原秋櫻子雪蘆抄
枯芭蕉八柱立てり初日射す 松本たかし
枯草にまじる蓬の初日かな 渡邊水巴 白日
枯蔓の一縷初日に燃えんとす 山口青邨
椨の野の初日となれり五位の声 岡井省二 山色
楮束庭に林立初日待つ 右城暮石 散歩圏
正に生き仏 ガンガの初日浴び 伊丹三樹彦
死の灰ふる中雑草園初日射す 山口青邨
毘沙門や松にはさんで初日出 政岡子規 初日
沐浴の男 初日に三白眼 伊丹三樹彦
沐浴の鼓腹 初日と対面す 伊丹三樹彦
沖ゆく煤煙円舞の鳩も初日まみれ 小林康治 玄霜
波頭初日の染めてゐる間 高浜年尾
浜に朽ち杭は飛べない初日影 佐藤鬼房
浦びとの崎々に出て初日待つ 鷹羽狩行
海に流れ出でて初日の荒筵 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
海のはてにあれあれ初日浮き給ふ 政岡子規 初日
海の禽さびしからずや初日の出 阿波野青畝
海坂の 初日へと起つ 一浴身 伊丹三樹彦
海鳥に岩のぬめりや初日射 桂信子 草影
湖の面をつたふ光や初日出づ 桂信子 花影
湖心翔つ鴨や初日に胸を染め 山口青邨
満目の露を金とす 初日の出 伊丹三樹彦
満面に初日妻つれわたる畦 石川桂郎 含羞
満面の初日をはじく笑ひかな 大野林火 方円集 昭和五十年
漕ぎ寄るレイ売り 初日以前の手燭捧げ 伊丹三樹彦
漱水はガンガ 初日の赤光浴び 三橋敏雄
潮けぶりこめても初日さだかなり 水原秋櫻子 蘆雁
潮騒の明るうひゞく初日かな 日野草城
牛が鳴き馬が答えて初日かな 金子兜太
狂暴の曲線くれなゐに初日の出 山口青邨
独立樹全枝伸しきり初日浴ぶ 香西照雄 素心
狼煙台今は初日を拝む台 山口誓子
玉砂利の初日に帽子外套置く 篠原梵 年々去来の花 雨
琴歌の八重の潮路に初日さす 細見綾子
生々流転猫間障子の初日影 山口青邨
産髪に初日いただかさんと出づ 下村槐太 光背
田にゐたる鴨が初日をよぎり飛ぶ 水原秋櫻子 古鏡
男の横顔デッキに港初日さす 古沢太穂 捲かるる鴎
男山より女山にわたる初日影 上田五千石『風景』補遺
町の子に公園匂ふ初日影 岡本眸
白波をめくる海石や初日の出 鷹羽狩行
白髪に櫛を入れたり初日の出 橋閒石俳句選集 『和栲』以後(Ⅱ)
百の鵜のかたちつくりし初日待つ 阿波野青畝
真つ先に避雷針射す初日の出 平畑静塔
硬山をわが富士としぬ初日影 山口青邨
碇泊の船いつかなし初日満ち 山口青邨
磯に州に千鳥ちりばめ初日の出 鷹羽狩行
礁の鵜蹼照らす初日かな 阿波野青畝
秋の花すべてが消えて初日かな 金子兜太
稻かりて力無き冬の初日哉 政岡子規 冬の日
空近くあまりまばゆき初日哉 政岡子規 初日
窓に初日マゼランの船額の中 有馬朗人 母国
筆立の山鳥の尾の初日かな 山口青邨
筐底の塵に初日を拝まする 林翔
筑波根は二見に似たり初日の出 政岡子規 初日
箆サボテンおろかなれども初日影 山口青邨
紀の丘の早生碗豆に初日かな 阿波野青畝
荒杉を照りやはらげぬ初日の出 阿波野青畝
荒海の果敷雲に初日の出 中村草田男
葉牡丹の渦の潮よす初日の出 山口青邨
蓬莱の松にさしけり初日の出 政岡子規 初日
藪深き美男葛や初日影 山口青邨
蛤の口より伊勢の初日哉 政岡子規 初日
街頭の木に作り雪初日射す 山口青邨
観音のまなぶた初日享けたまへ 鷲谷七菜子 一盞
起きぬけやもうギラギラの初日の出 三橋敏雄
起てど坐れど師の亡かりけり初日影 石川桂郎 含羞
遅れたり拝む初日雲に浮き 石川桂郎 四温
野の果まで馬駈け抜けよ初日中 桂信子 草影
野良に先づ礼して初日出るを待つ 佐藤鬼房
金剛の初日の如来をろがみぬ 上村占魚
金粉のほめき牡丹畑に初日 山口青邨
針葉林しづかに出でて初日なる 桂信子 月光抄
雑華世界花屑句屑初日影 山口青邨
雪きらきら初日のぼりぬ馬の耳 政岡子規 初日
雲に一微紅みるみる初日大 富安風生
雲間赤め初日や少女像へまだ 古沢太穂 捲かるる鴎以後
青き鴨波翔けめぐり初日いづ 水原秋櫻子残鐘
額の帆船初日を浴びて疾走す 山口青邨
顔見世の初日見て来しこと言はず 後藤比奈夫
風塵のいま鮮しや初日享く 小林康治 玄霜
骨見せて 初日染まりの行者傘 伊丹三樹彦
高千穂は鷲羽うつごと初日影 角川源義
高山にまた父母の部屋初日さす 相馬遷子 雪嶺
鯉太り初日の金の水くぐる 桂信子 草影
鳥影の鶴にはならず初日影 山口青邨
鳥影もまた初日待つ 行者傘 伊丹三樹彦
鴉一羽初日の中を通りけり 政岡子規 初日
鴉飛ぶや初日見えそむる山の上 政岡子規 初日
黒犀とアカハシウシツツキと初日 金子兜太
齢い五十にいま炬火のごと初日の出 楠本憲吉 孤客

初日 続補遺

うらやまし冨士の初日に向ふ旅 桜井梅室
おしあふて雀よろこぶ初日哉 錦江女
げにも春寐過しぬれど初日影 炭太祇
のあそび雲井にかなふ初日哉 千代尼
はづかしの初日射し込む古畳 班象 発句類聚
ふるさとの伊勢なを恋し初日かげ 樗良
まつは左右に開きて通す初日かな 素丸 素丸発句集
むさし野の初日や筆の穂に出ん 木因
三方の海老の赤みや初日影 昌房
久しさにひさしさや増初日の出 梢風尼
亀の背に海老ほのあかし初日山 佐藤鬼房
出霞のつゝみおほせぬ初日かな 浪化
初日かげ人に先さす恵かな 松岡青蘿
初日の花俳諧中間より銘々木々 井原西鶴
初日哉却老丹はのまねども 舎羅
初日影まづ出でたりな生駒山 佐藤鬼房
初日影尻たのもしき光かな 野童
初日影我茎立とつまればや 利牛
初日影笹の照葉の富貴さよ 怒風
初日影鶴に餌を飼ふ人は誰 松岡青蘿
去年の雪砂糖にとける初日かな 探志
嘉儀候(かぎそろ)よやおら初日の梅心 佐藤鬼房
夜に入にもひとつほしき初日哉 田川鳳朗
大あたま御慶と来けり初日影 建部巣兆
大空のせましと匂ふ初日かな 田川鳳朗
天の戸に朝寝はあらじ初日影 中川乙由
我と世をのがれん身にも初日影 白雄 白雄句集
我と世をのがれ身にも初日影 加舎白雄
我と人と深山ごゝろや初日影 加藤曉台
月花を年子にはらむ初日かな 梢風尼
有がたやまじりもなしの御初日 木因
木に草に麦に先見る初日かな 小西来山
洒掃の奇特見えけり初日影 桜井梅室
湖のくもでにかすむ初日かな 裾道
無夏の家掃ども塵よ初日影 角上
白粥の茶碗くまなし初日影 丈草
短檠も明れば永し初日影 中川乙由
竹も起て音吹かはす初日哉 千代尼
菜畑の初日の客となれりけり 杉風
蝶ならばはね割べきに初日影 土芳
行列のはれや初日の日本ばし 松井 俳諧五十三駅
西山の雪むらさきに初日かな 桜井梅室
誰恋ぞ田毎にみつる初日かげ 松岡青蘿
足をとな梅を見に寄ル初日哉 荻人
闇き夜をあかううけとる初日哉 芦角
雲包む初日を空のをしむやは 佐藤鬼房
顔見せやしばらく冬の初日影 高井几董
鮭の簀の寒気をほどく初日哉 左柳
鶴ほどに鳶の影さす初日かな 桜井梅室

以上

by 575fudemakase | 2017-03-21 05:15 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)

初茜 の俳句

初茜 の俳句

初茜

例句を挙げる。

いくたりか亡き句屏風の初茜 西村公鳳
みくじ凶結びて仰ぐ初茜 鈴木美代子
もの音のまだ生まれずに初茜 中丸涼
アルプスは雲より燃ゆる初茜 西本一都 景色
ゴッホ在らば画くべき橋の初茜 林翔 和紙
万葉の雲拡がれる初茜 美濃部古渓
初茜してふるさとのやすけさよ 木下夕爾
初茜して楢林櫟山 長谷川浪々子
初茜その名や飛んで都鳥 森澄雄
初茜とぢし瞼も薄あかり 加倉井秋を 午後の窓
初茜入江入江の動きそむ 帰山綾子
初茜啄木の川賢治の川 田村了咲
初茜地靄のしづく竹つたふ 宮岡計次
初茜夕茜さす海の国 原コウ子
初茜夜のしづみゐる海の色 永田耕一郎 雪明
初茜大藁庇浮かび出づ 富安風生
初茜天地ひびきあふごとし 今春朱村
初茜展望閣の灯の消され 小路紫峡
初茜庭木の影をまづ踏めり 飯山正雄
初茜復興の街照らし初む 稲畑廣太郎
初茜杉の千本ふちどりぬ 清水基吉
初茜母の竃火地に展く 竹中宏
初茜水の匂へる鞍馬道 板谷芳浄
初茜波より波の生れけり 小島花枝
初茜海士の墓域は渚まで 山口都茂女
初茜海底火山かも知れず 落合水尾
初茜海鳥の声空を駆く 杉戸道子
初茜海鵜は海面離れずに 千田一路
初茜神話童話と降るごとし 河野多希女
初茜羊の流れとどまらず 白澤良子
初茜鶏鳴松をのぼりけり 櫛原希伊子
利根川に引火するごと初茜 黒沢 清
北海の天かたむけて初あかね 伊藤凍魚
地球儀のペルーは小さし初茜 小野元夫
山相も林相もよし初茜 塩田月史
持ち時間ありと思へり初茜 森悠子
横たはる三河の山や初茜 岡島礁雨
海彦と山彦あそぶ初茜 樫村安津女
潮先のちら~見ゆる初茜 和田鳥峰
生ひたちの町に城あり初茜 岡本差知子
窓ありて水美しき初茜 原コウ子
鉄骨に血の気さし来て初茜 神谷九品
馬小屋に馬目ざめゐて初茜 有働 亨
鳰の子の行手ゆくてに初茜 佐野鬼人

初茜 補遺

これをしも余命と云うか初茜 橋閒石 微光
ゴッホ在らば画くべき橋の初茜 林翔 和紙
何鳥の廂をつゝく初茜 飴山實 次の花
初茜して寄生木は藻のごとし 鷹羽狩行
初茜その名や飛んで都鳥 森澄雄
初茜噴煙瘤の容なり 阿波野青畝
初茜犬捨てるとは何たる自由 金子兜太
初茜鏡台山を染めにけり 松崎鉄之介
初茜須磨も明石も灯をのこし 阿波野青畝
名ばかりの喜多見大橋初茜 山田みづえ 手甲
命祝ぐ傘寿迎へし初茜 森澄雄
天の原香久山あたり初茜 村山故郷
明星を消し忘れたる初茜 鷹羽狩行
木隠れの命濡らすや初茜 橋閒石 卯
輪を描く鳶の国見や初茜 鷹羽狩行
遠き日の日の丸讃歌初茜 林翔

以上




by 575fudemakase | 2017-03-21 05:10 | 新年の季語 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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