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白鳥帰る  の俳句

白鳥帰る  の俳句

白鳥帰る

例句を挙げる。

いつまでも見えて白鳥帰りけり 土屋秀穂
ひとこゑもなく白鳥帰りけり 永方裕子
伊勢の海ほのかに富士の雪を負ひ古き能褒野の白鳥帰る 与謝野鉄幹
手を膝に帰る白鳥見てをりぬ 成海 静
日本海凪ぐ日白鳥帰りけり 猪俣千代子
白鳥帰るころか辛夷の花咲いて 鈴木栄子
白鳥帰る一つ一つの生命にて 加藤瑠璃子
白鳥帰る宿の仏間に燭ともり 島田和世
白鳥帰る湖に入り来る海の水 土屋まさみ
白鳥帰る湖畔に青き常夜灯 本田義正
白鳥帰る足許から鳥立つやうに 鈴木 榮子
白鳥帰る長き看取りの窓辺かな 亀卦川永子
青空に白鳥帰る氷の如し 金箱戈止夫
髪吹かれいて白鳥帰る見えざるも 寺田京子 日の鷹

白鳥帰る 補遺

湖の藍染みし白鳥も帰る日ぞ 村山故郷
残る白鳥啼けばはるかな北に向き 能村登四郎
白鳥が帰つてゐると糸電話 有馬朗人 立志
白鳥のこゑごゑ帰るべき日数 佐藤鬼房
白鳥の羽づくろへるは帰るべく 岸田稚魚 筍流し
白鳥の帰らむといま高飛翔 岸田稚魚 筍流し
白鳥の帰北うながす斑雪山 野澤節子 八朶集
白鳥の残りの数をたづねけり 石田勝彦 秋興以後
白鳥は寝ねしや帰路の山かげに 佐藤鬼房
白鳥襲われて暁の帰投 金子兜太
病み残る白鳥若し遠ざくら 能村登四郎

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:39 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

農具市  の俳句

農具市  の俳句

農具市

例句を挙げる。

出来のよき野菜をならべ農具市 森田峠 三角屋根
売りながらつくる木槌や農具市 青木芳草
少年がてつぺんにゐし農具市 蟇目良雨
手に馴染む鍬の柄選ぶ農具市 羽吹利夫
朴の葉の大き結飯や農具市 石田あき子 見舞籠
水楢の芽吹く青空農具市 伊藤京子
火山灰少し降る日の農具市 大西八洲雄
犬が来て人の足嗅ぐ農具市 新谷ひろし
農具市即ち天皇誕生日 青柳志解樹
農具市深雪を踏みて固めけり 前田普羅 新訂普羅句集
農具市見て春草に横たはる 金子 蜂郎
鍬の柄に蝶ひらひらと農具市 目迫秩父
雪国の田は水びたし農具市 橘川まもる
雪打つて鍬試しをり農具市 高橋悦男

農具市 補遺

農具市深雪を踏みて固めけり 前田普羅 普羅句集
からくりを試しまはして農具市 阿波野青畝

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:37 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

納税期   の俳句

納税期   の俳句

納税期

例句を挙げる。

初燕納税通知封のまゝ 米沢吾亦紅 童顔
医療費をはじく算盤納税期 荒川邪鬼
海に向け寝返りを打つ納税期 松井国央
直ぐ触るる顎ひげの伸び納税期 中原道夫
納税期堀のあひるの眩しさよ 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
納税期鴨は汽水に遊びをり 高澤良一 随笑
術後の身所作の遅くて納税期 葉狩てる子
銀行の前に犬居り納税期 加藤石雲
駅前に溜まる自転車納税期 池田秀水

納税期 補遺

膿のごとき日を孕む雲納税期 楠本憲吉 孤客
納税期終りて逝くも律儀かな 松崎鉄之介
凧仰ぐ頸すじ固し納税期 岸田稚魚 負け犬


by 575fudemakase | 2017-04-30 05:34 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

春ショール   の俳句

春ショール   の俳句

春ショール

例句を挙げる。

さいはての句碑に掛けおく春ショール 角川照子
さんぐらすかけし仔細や春ショール 久保田万太郎 流寓抄以後
つゆほども神うたがはず春ショール 久保田万太郎 流寓抄以後
一瞥に怯みし伏目春ショール 稲垣きくの 牡 丹
人を見ぬ睫けむりて春ショール 柴田白葉女 花寂び 以後
大阪の灯の生き生きと春ショール 西村和子
春ショールいそいそと我何ならむ 殿村菟絲子
春ショールして茫々と歩むなり 柴田白葉女 牡 丹
春ショールひるがへり見ゆ石舞台 大石悦子 群萌
春ショールぽんぽんものをいふことよ 辻桃子
春ショール夜の躬包むに端余る 菖蒲あや あ や
春ショール夜は濃き靄となりにけり 坂間晴子
春ショール妬まるるほど愛は享けず 樋笠文
春ショール春の手ぶくろ春去れり 久保田万太郎 流寓抄以後
春ショール春をうれひてまとひけり 久保田万太郎 流寓抄
春ショール胸もと騒ぐ海の前 猪俣千代子 堆 朱
春ショール領布振るごとくして別る 稲垣きくの 牡 丹
春ショール頤でおさへて未知の土地 平井さち子 完流
汽車の尾をなほ見送れり春ショール 日野草城
目つむればいつも身近に春ショール 木村敏男
連れ立ちて仲見世をゆく春ショール 高澤良一 宿好
隠し井の一つ見てゐる春ショール 遠藤寛太郎

春ショール 補遺

折角の春のショールがすこし地味 後藤比奈夫
春のショール嬉しさ包みかねてをり 中村苑子
春ショール誰に急ぐとなけれども 中村汀女
春ショール身軽すぎるは不貞めく 岡本眸
春ショール出でては人にしたがひつ 中村汀女
春ショールはらりと精も根も尽き 岡本眸
山鳩が街越えて消ゆ春ショール 飯田龍太

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:31 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

山笑ふ  の俳句

山笑ふ  の俳句

山笑ふ

例句を挙げる。

あたらしき禰宜の装束山笑ふ 佐川広治
かるがると死後の約束山笑ふ 竹之内清江
ことごとく雲を放ちて山笑ふ 村田 脩
ほろ~と土まろばせて山笑ふ 星野立子
ぽつねんと砂漠の果の山笑ふ 有馬朗人 天為
みちのくの山笑ひをり昼の酒 青柳志解樹
みどり児に貝ほどの舌山笑ふ 辻美奈子
マラソンの一団くづれ山笑ふ 渡邊千枝子
ワープロは新仮名づかひ山笑ふ 佐藤星雲子
一族の真ん中に母山笑う 伊関葉子
一片の転勤辞令山笑ふ 辻田克巳
三畳の仏間より見え山笑ふ 長谷川双魚 風形
人に生死国に興亡山笑ふ 山田豊
人乗せて馬の機嫌や山笑ふ 龍胆 長谷川かな女
仔を連れし馬に羊に山笑める 吉良比呂武
伐口の大円盤や山笑ふ 阿波野青畝
余生とは歩くことらし山笑ふ 清水基吉
傘寿得て米寿を目ざす山笑ふ 竹下一記
僧房に菜をきざむ音山笑ふ 角川春樹 夢殿
切口の大円盤や山笑ふ 阿波野青畝
初孫はいとしき獣山笑ふ 増田耿子
動脈は赤で描かれ山笑ふ 柴田奈美
古墳あり窯址ありて山笑ふ 福井圭児
喪の年となりし今年も山笑ふ 仙田洋子 雲は王冠
噴煙の仁王立ちして山笑う 仲丸くら
外出のおしやれ眼鏡や山笑ふ 影島智子
大き日を掲げて笑ふ山いくつ 加藤耕子
天鈿女命笑へば山笑ふ 堀口星眠 青葉木菟
太陽を必ず畫く子山笑ふ 高田風人子
夫婦に荷一つづつ山笑ひけり 細川加賀 生身魂
女生徒が尻もちをつき山笑ふ 藤岡筑邨
山笑うたしかに長き馬の顔 仁平勝 東京物語
山笑う梯子のかかり具合かな 永末恵子 発色
山笑う消しゴムでその山を消す 清水冬視
山笑う生活保護を受けている 清水哲男(1938-)
山笑う隠れてもまた隠れても 二村典子
山笑ひ傘で刺し合ふ会社員 田川飛旅子 『山法師』
山笑ひ大きな月をあげにけり 内藤双柿庵
山笑ひ海ほほえんでゐる日かな 嶋田摩耶子
山笑ふあつけらかんと物忘れ 杉山青風
山笑ふうしろに富士の聳えつつ 島谷征良
山笑ふうしろの山も笑ふなり 石川静雪
山笑ふおほらかに乳あふれしめ 辻美奈子
山笑ふことに雑木の明るさに 安立公彦
山笑ふたしかに次の日も白髪 田波富布
山笑ふとはこの景と思ひけり 高木晴子
山笑ふどこに置いてもきしむ椅子 鈴木さち子
山笑ふふるさとびとの誰彼に 楠本憲吉
山笑ふみづうみ笑ひ返しけり 大串章 百鳥
山笑ふわが顔避けて鏡傷 河野南畦 『元禄の夢』
山笑ふ中に富士見て下りけり 雑草 長谷川零餘子
山笑ふ中の檜山は口重し 白岩てい子
山笑ふ二上山は笑はざる 川崎展宏
山笑ふ今日の日和や洗ひ張 井月の句集 井上井月
山笑ふ傷いつぱいのランドセル 多田 淑子
山笑ふ初めて穿きしスニーカー 八幡より子
山笑ふ土偶のやうに妊婦われ 仙田洋子
山笑ふ子供千人隠れゐて 平井照敏 天上大風
山笑ふ放して釣らす鱒釣場 小林勇二
山笑ふ日の古障子明けておく 野島島人
山笑ふ日や放れ家の小酒盛 井上井月(1822-86)
山笑ふ時計三十分おくれ 藤岡筑邨
山笑ふ木には戻れぬこけしかな 小林松風
山笑ふ村のどこかで子が生れ 尾形不二子
山笑ふ歳月人を隔てけり 鈴木真砂女 夕螢
山笑ふ灰となられてしまひけり 仙田洋子 雲は王冠
山笑ふ画室に白湯をいただきて 黒田杏子
山笑ふ神の茸ぞ命継げ 角川源義
山笑ふ聴けばきこゆる雨の音 千代田葛彦
山笑ふ胎動ときにへその裏 仙田洋子 雲は王冠以後
山笑ふ藁麦が羽織を着てゐたる 龍岡晋
山笑ふ野はさざ波の光満ち 手塚順
山笑ふ釘を使はぬ塔一つ 船木幸人
山笑ふ静けさに人働けり 玉木春夫
山見えぬ部屋に通され山笑ふ 田川飛旅子
川どれも海へ走れり山笑ふ 久野鈴一
帰郷する杜氏を見送り山笑ふ 伊東宏晃
手入良き仏足石や山笑う 脇本良太郎
手庇にすつと収まり山笑ふ 上井正司
故郷やどちらを見ても山笑ふ 正岡子規
朝日にも夕日にも山笑ひけり 岩淵喜代子
村一の長寿の父に山笑ふ 山田弘子
杖を曳く母の饒舌山笑ふ 河村玲波
杣の子に縁談のあり山笑ふ 長田穂峰
松かさでお手玉すれば山笑ふ 西本一都 景色
検問所奥なにごとか山笑ふ(メキシコ国境) 河野南畦 『元禄の夢』
検診の一つ褒められ山笑ふ 府中谷幸枝
権現の一の鳥居や山笑ふ 大橋敦子 手 鞠
機関士のまゝに定年山笑ふ 野崎 夢放
濯女の桶頭にのせて山笑ふ 遠藤梧逸
片方の耳を動かし山笑ふ 笹木弘
牛小屋に牛の新角山笑ふ 皆吉爽雨
生き死は人の世のこと山笑ふ 半田陽生
白球のゆくて筑波の山笑ふ 後藤郁子
穂が抜ける矢立の筆の山笑ふ 野村喜舟
笑ふ山から郵便夫来る足音す 今瀬剛一
笑ふ山に入りて親しき鼓動音 奈良文夫
笑ふ山を遶りて咽ぶ河瀬かな 青峰集 島田青峰
箱あれば物を仕舞ふ子山笑ひ 宮原 双馨
継体天皇杖に立ちまし山笑ふ 松山足羽
縄飛びを跳んで二つの山笑ふ 佐川広治
羽音みな空へ還りし山笑ふ 堀米秋良
胸襟をやうやく開き山笑ふ 松山足羽
腹に在る家動かして山笑ふ 高浜虚子
自然薯にみだらな話山笑ふ 中山純子 沙 羅以後
裏白やからから笑ふ山の姥 伊丹さち子
諍ひを水に流せし山笑ふ 関森勝夫
足軽ろきときは四方の山笑ふ 高木晴子 花 季
逆光に山笑ひつつ暮れなづむ 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
釉厚きピカソの皿や山笑ふ 岡田 貞峰
里鴉啼いて大きく山笑ふ 影島智子
金魚田の赤きさざなみ山笑ふ 橋本薫
長き汽車ひと呑みにして山笑ふ 小野 喬樹
青啄木鳥のこゑ透り山笑ひけり 堀口星眠 営巣期
面つけて忽ち女身山笑ふ 角川春樹
頂きに偽天守閣山笑ふ 井沢正江 湖の伝説
頂にたてば海見え山笑ふ 成瀬正とし 星月夜
食卓に塩こぼしつつ山笑ふ 皆吉司
馬叱ってそれから唄や山笑ふ 秋灰
騾に騎して行くやチヤハルの山笑ふ 遠藤梧逸
高浜虚子立つ背景の山笑ふ 成瀬正とし 星月夜
分校は四方の山の笑ふ中 今瀬剛一
初空や袋も山の笑ひより 千代尼
島山の笑ふをながめ磯づたひ 上村占魚 球磨
昼すぎて山の笑ふは憂かりけり 栗林千津
目の入りしこけしに山の笑ひけり 橋本榮治 麦生
神天降り大いに山の笑ふなり 角川春樹
笑ひ皺殖やして山の笑ひけり 林田江美
おほびらのまぐはひ岐神(くなど)山わらふ(上州中原の岐神三句) 上村占魚 『かのえさる』
山わらひはじめしころの夜の閏 灘稲夫
もうそろそろ山が笑ふと胡桃の木 高澤良一 ねずみのこまくら

山笑ふ 補遺

あらぬ方に滝水落し山笑ふ 村山故郷
お目当は菜飯田楽山笑ふ 百合山羽公 樂土以後
かづら橋渡れぬ一人山笑ふ 稲畑汀子
ダンプカー転覆ごとに山笑ふ 阿波野青畝
ぽつねんと砂漠の果の山笑ふ 有馬朗人 天為
まぐはひの神に鉄柵山笑ふ 森澄雄
をとめ手に墨すらしめて山笑ふ 上田五千石 天路
安曇野の真中に立てば山笑ふ 藤田湘子 神楽
伊香保とは屋根の上に屋根山笑ふ 阿波野青畝
異人墓地のうかれ女墓や山笑ふ 角川源義
雲かげのとんで次第に笑ふ山 高浜年尾
遠からず山笑ふ日も来たるべし 上田五千石『琥珀』補遺
蒲団着て山笑ふ姿や東山 正岡子規 山笑う
岩山と言ひて岩あり山笑ふ 山口青邨
恐ろしき灘をへだてて山笑ふ 正岡子規 山笑う
金山も朱鷺もまぼろし山笑ふ 鷹羽狩行
故郷やどちらを見ても山笑ふ 正岡子規 山笑う
口辺のまだこはばりて山笑ふ 能村登四郎
皇后の甲の形山笑ふ 阿波野青畝
高縄やこちが笑へば笑ふ山 正岡子規 山笑う
坂に裏おもてのありて山笑ふ 鷹羽狩行
山々のなかに秀でて山笑ふ 鷹羽狩行
山笑ふことなどありと思ほへず 上田五千石『風景』補遺
山笑ふつなぎとめられ石切夫 平畑静塔
山笑ふときをり村に旋風 森澄雄
山笑ふやその中に鐘懸けにけり 岡井省二 鯛の鯛
山笑ふわがふるさとは京に似し 山口青邨
山笑ふわれ詩を作り門を出でず 山口青邨
山笑ふ歌の宴に遅れつつ 上田五千石『天路』補遺
山笑ふ畦みちは手をつなぎあひ 鷹羽狩行
山笑ふ虎渓三笑のことをふと 山口青邨
山笑ふ歳月人を隔てけり 鈴木真砂女
山笑ふ三寶柑を臍みかん 百合山羽公 樂土
山笑ふ子供千人隠れゐて 平井照敏
山笑ふ神の茸ぞ命継げ 角川源義
山笑ふ赤きのぼりがはためきて(伊豆嵯峨沢温泉) 細見綾子
山笑ふ草大福といふも出て 森澄雄
山笑ふ転び上手の怪我もせず 鈴木真砂女 紫木蓮
山笑ふ奉納の能進みをり 大野林火 方円集 昭和五十二年
山笑ふ里人これに応へたり 高浜年尾
笑ふ山に向けし遅筆の机かな 鈴木真砂女
西行の命なりける山笑ふ 百合山羽公 樂土以後
石処大変貌し山笑ふ 阿波野青畝
赤石は是れ火山弾山笑ふ 阿波野青畝
村人の知恵のかぎりを山笑ふ 能村登四郎
太陽を必ず描く子山笑ふ 高田風人子
稚子達に山笑ふ窓を開きけり 村上鬼城
丁髷は長者の森よ山笑ふ 阿波野青畝
長城のいや涯になほ笑ふ山 鷹羽狩行
南国の土佐はいづこも山笑ふ 鷹羽狩行
伐口の大円盤や山笑ふ 阿波野青畝
秘めゐたる萌黄にはかに山笑ふ 上田五千石『風景』補遺
妙法蓮華経と谺山笑ふ 阿波野青畝
夜泣石いくつもありて山笑ふ 百合山羽公 樂土以後
旅嚢より辞書とり出せば山笑ふ 上田五千石『風景』補遺
黴びつける河原を白根山笑ふ 阿波野青畝

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:28 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

雪割り  の俳句

雪割り  の俳句

雪割

例句を挙げる。

伏流に堪へず雪割る紺真水 平井さち子 紅き栞
信号と雪割燈と相照らす 池田秀水
唇紅き女雪割る街に住み 沢木欣一
喪の家の裏口の雪割つてあり 井口光雄
夜も昼も雪割る音の死病い 寺田京子
寺道の雪割つてゐるひとりかな 茨木和生 倭
少しづつ少しづつ雪割りて住む 近藤惇
春の雪割箸問屋皿問屋 斉藤夏風
樅の影かぶり氷雪割るは誰 村越化石 山國抄
氷住みや雪割りし地へ夕日流す 村越化石 山國抄
町挙げて雪割る日和まぎれなし 有働亨 汐路
路地裏で母の雪割頓挫せり 安西 篤
雪割つて先駆の光つばくらめ 上田五千石
雪割の人寄せつけぬ父の背ナ 小沢比呂子
雪割の雪の流るる村はずれ 堀越胡流
雪割の雪燦爛と町さびし 岸田稚魚
雪割の雪黒く積む店の前 法師浜桜白
雪割や天より覗く馬の貌 水野真由美
雪割りて真青な笹をひらめかす 加藤楸邨
雪割りの夫のつるはし眩しめり 吉田紫乃
雪割りの奈落の命うごめけり 望月精光
雪割りの手ごころ花の芽のあり処 佐原トシ
雪割りの指揮の棒切雪に置く 前田普羅 新訂普羅句集
雪割りの鶴嘴その他土間せばむ 有働亨 汐路
雪割ると仄めくみどり鳩の胸 成田千空 地霊
雪割るは女の仮面剥ぐごとく 三谷昭 獣身
雪割れて朴の冬芽に日をこぼす 川端茅舎
雪割れの雪を山毛欅の根受け止めて 高澤良一 宿好
雪割れば去年の相もつ砂礫みち 平井さち子 紅き栞
兀兀と雪掘つてこの太蹄 金箱戈止夫
六十年山廬の雪消聞かれしと 『定本石橋秀野句文集』
午からは雪消す雨や針供養 大峯あきら 宇宙塵
夜通しの雨が雪消す西行忌 福田甲子雄
弔旗行く雪掘つてある墓場まで 矢島渚男 延年
春の雪切身にしても鱈は重し 鈴木真砂女 夕螢
杣人の雪消しといふ木の芽雨 岡村紀洋
松に帆や雪消の磯家まださむし 飯田蛇笏 山廬集
神の嶺も雪消したまふ田植かな 井沢正江 一身
門の雪切り拓きたる紀元節 遠藤梧逸
雪切りの始つて町の明るさよ 永沢紅陽
雪切りの雪ぞろぞろと流しけり 斎藤草村
雪切スコップ赤柄やたつき積みはじむ 平井さち子 完流
雪掘って鰌漁るや小百姓 月嶺句集 松田月嶺、名和三幹竹編、大須賀乙字選
雪掘つて出す啓蟄の消火栓 松倉ゆずる
雪掘つて和賀流の墓撫づるかな 太田土男
雪掘りて雪の甘みの葱蕪 細谷鳩舎
雪掘れば焚く榾ありぬ狩の宿 田村了咲
雪消しの雨しくしくと梅活けぬ 金尾梅の門 古志の歌

雪割り 補遺

その頃は雪割草も開くべし 高野素十
みんな夢雪割草が咲いたのね 三橋鷹女
わが庭にうつし宵なき雪割草 山口青邨
雲割つて雪割草の咲きゐるよ 鷹羽狩行
豪雪報ひしひし雪割草は知る 山口青邨
今日はこれ雪割草の花に虻 高野素十
今年また雪割草に花二つ 松崎鉄之介
砦あと雪割小桜遅咲きに 角川源義
春雪切々売買のならぬ生 上田五千石『琥珀』補遺
小屋に春呼んで雪割草ひと鉢 石川桂郎 高蘆
生きること傷つくことか雪割草 鷹羽狩行
雪割つて近づく一の鳥居まで 山口青邨
雪割つて近づく宝前一灯に 山口青邨
雪割つて口はきかずといふ顔す 加藤秋邨
雪割の雪燦爛と町さびし 岸田稚魚 負け犬
雪割草また一鉢の赤加ふ 松崎鉄之介
雪割草ゆめゆめ踏まるることなかれ 鷹羽狩行
雪割草花みづいろに神棲めり 角川源義
雪割草古き落葉のかげに咲く 山口青邨
雪割草採石夫には路傍の花 鷹羽狩行
雪国の人に雪割草の花 高野素十
土割つて雪割つて独活の芽の太き 能村登四郎

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:26 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

春椎茸  の俳句

春椎茸  の俳句

春椎茸

例句を挙げる。


かさかさと山鳩のゐる春子かな 藺草慶子
かばかりの榾木に春子噴いてをり 田中立 子
すつぽんの春子を砂の鶸日和 石川桂郎 高蘆
なぐさみに摘みし春子や手に余る 市堀玉宗
三度笠めきて春子の被たる笠 後藤比奈夫 めんない千鳥
両神の春椎茸を摘みにけり 小林てる子
出自ただ西方とある春子かな 中原道夫
助人の先に来てゐる春子山 藤井美智子
大まかに春椎茸の量られぬ 蓬田紀枝子
如露の描く虹の小さき春椎茸 遠藤旅石
山神や春子の榾を玉垣に 羽部洞然
崩れ榾より椎茸の春子採る 森田 峠
急がざる白雲仰ぎ春子摘む 伊藤京子
持山に春子を殖やす鴉かな 猪俣千代子 堆 朱
撫でもする小さき頭の春子かな 森田幸夫
日はのぼり尽して暗し春子採り 神尾久美子 桐の木以後
日夏家の春椎茸びつしりつきゐたり 宮坂静生 春の鹿
春子榾井桁に組めり関ヶ原 澤井とき子
春子盗る猿は「さうさな十五頭」 高澤良一 ぱらりとせ
春椎茸ぞつくり生えて不思議な木 野澤節子
春椎茸の育つ暗がり学に倦む 鍵和田[ゆう]子 浮標
春椎茸雨足が見え波が見え 岸本尚毅 鶏頭
木喰の里の日溜り春子干す 渡辺菊子
杉の枝を翳す吉野の春子売り いわたとき
杉落葉嵩むがままの春椎茸 江口竹亭
林中の日ざし細やか春子榾 古賀まり子
猿除けを二重にしたる春椎茸かな 山本英子
神領部落春椎茸の榾も千木組みに 轡田 進
茂吉忌や春子のひだのひんやりと 大木あまり 火球
飛鳥川野積の榾の春椎茸 堀 文子

春椎茸 補遺

ごれんさんと呼ばれ春子を買はさるる 松崎鉄之介
すつぽんの春子を砂の鶸日和 石川桂郎 高蘆
甲斐の春子持鰍の目がつぶら 飯田龍太
三度笠めきて春子の被たる笠 後藤比奈夫
春子山そこを伊勢みち日の中ヘ 岡井省二 鹿野
掌に賞でぬれぬれと春椎茸かな 富安風生
雪じめる伐口さやに春子榾 上田五千石『天路』補遺
露次の春子らの合唱挙り覚め 石塚友二 方寸虚実

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:22 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

蜆  の俳句

蜆  の俳句


あさあさと潮の満干や蜆川 西島麦南 人音
あたたかや蜆ふえたる裏の川 高浜虚子
あぢさゐやしみじみうまき蜆汁 小川軽舟
いい人に少し疲れて蜆汁 幸村睦子
いまのまにやみし吹雪や蜆汁 龍岡晋
うつくしき砂に乏しき蜆哉 蜆 正岡子規
うらわかき月の出てゐる蜆買ふ 加倉井秋を 午後の窓
かたかたと木橋渡れば蜆村 成田千空
かちやかちやとかなしかりけり蜆汁 山口青邨
から~と鍋に蜆をうつしけり 松根東洋城
からし菜の薹立つ頃や蜆汁 蜆 正岡子規
から風に桝乾きたる蜆かな 増田龍雨 龍雨句集
くすくすと蜆が笑ふ夜の厨 内田白女
こころざし立てしことなし蜆汁 清水基吉
この野川蜆掻く子の濁し去る 武笠美人蕉
これといふ人なき家系蜆汁 岡本久一
サロマ湖の夕べ淋しき蜆とり 加藤斐子
すり鉢に薄紫の蜆かな 蜆 正岡子規
ただ待ちて一日過ぎたり水なかに蜆の動くを夜半に見てゐる 黒田淑子
たばこ吸ふ人の噂や蜆とり 游刀 俳諧撰集「藤の実」
つかのまの夕日のせたり蜆舟 藤井寿江子
つくろへるところの青き蜆籠 富安風生
とけしなき業に老けり蜆とり 嘯山
どこやらの業平蜆とは云へり 加藤郁乎
なみだ出て水に消えけり蜆舟 宇佐美魚目 天地存問
なみなみとけかちの国の蜆汁 伊佐山春愁
にぎやかな音の立ちけり蜆汁 大住日呂姿
のれん入れて風すさぶ夜の蜆汁 鈴木真砂女 夕螢
はげちょろの蜆の尻のすまし汁 高澤良一 宿好
ひき汐の蜆の穴もふせのはた 立花北枝
ひとつだけ大和蜆の口割らず 関 千恵子
ひとゆすりして嵩おなじ蜆籠 鷹羽狩行
ひとりにはひとりの音の蜆汁 石田勝彦
ふるさとに旅籠住ひや蜆汁 楠目橙黄子 橙圃
ほつほつと湖に影置く蜆舟 中島喜久子
ほんの少し家賃下りぬ蜆汁 渡邊水巴
まつくらな雨降りにけり蜆汁 石田郷子
みづうみの闇払ひゆく蜆舟 山崎千枝子
むき蜆花散る里の小店かな 高田蝶衣
むき蜆石山のさくら散にけり 蕪村遺稿 春
むき蜆石山の桜ちりにけり 蕪村
むき蜆石山の桜散にけり 蕪村
めそめそと雨の降る日や蜆汁 広江八重桜
ゆくゆくは出雲に栖みて蜆汁 松本雨生
よく見れば薄紫の蜆哉 蜆 正岡子規
れんこん屋の急な階段蜆汁 田中冬二 俳句拾遺
わが作のラジオ洩る夜の蜆汁 石川桂郎 含羞
われなりの養生訓や蜆汁 深見けん二 日月
暗黒の黒まじるなり蜆汁 攝津幸彦
伊勢るまで待ちて業平蜆かな 加藤郁乎
椅子固き汽車に遠出の蜆売 下田稔
椅子四つ空いて居るなり蜆汁 柏木 博
一と朝の紙漉き家族の蜆殻 加倉井秋を 『真名井』
一獲の蜆の暗きいのち買ふ 秋元不死男
一月や蜆の水に刃もの刺す 篠田悌二郎 風雪前
一時雨いさみてかくや蜆舟 水田正秀
一汁は伯耆の国の大蜆 有馬朗人
一冬を氷りし湖の蜆かな 東洋城千句
一攫の蜆の暗きいのち買ふ 秋元不死男
一籠の蜆にまじる根芹哉 芹 正岡子規
雨に蓑著て来し瀬田の蜆売 宇野素夕
雨やどり人が買ふゆゑ買ふ蜆 米澤吾亦紅
叡山の裏側冷えし蜆汁 萩原麦草 麦嵐
曳き売りの蜆渋民村ひとすぢ 福田蓼汀 秋風挽歌
曳売の光る水より蜆買ふ 杉本和子
駅頭の寝雪に蜆こぼしけり 前田普羅 能登蒼し
遠い菜の花むらさきの殻蜆捨つ 金子弘子
遠き恩返せぬままや蜆汁 中村啓子
遠伊吹風が痛しと蜆選る 栗田せつ子
遠足の子の提げつれし蜆かな 大場白水郎 散木集
音たてて組む卓袱台や蜆汁 堀井より子
夏闌けて蜆やすらふ水の中 宇佐美魚目 秋収冬蔵
嫁ヶ島くすぐる如く蜆掻く 田中静龍
家々の蜆が泣いて散るさくら 坪内稔典
暇あり蜆掘りなど致すべし 金久美智子
河豚供養蜆を撒いて了りけり 宮下翠舟
花の背戸柳の路次や蜆売 蜆 正岡子規
花も今塵に撰らるる蜆かな 斯波園女
快々と熱に昏めり蜆汁 目迫秩父
殻大き汁の蜆に暖雨かな 村越化石 山國抄
滑走路突き出す湖に蜆掻く 小原ひとし
竿揺すりゆすり出雲の蜆舟 野坂安意
還俗の膝にこぼすや蜆汁 会津八一
帰国子に先ずたつぷりと蜆汁 蒲沢康利
義仲をとぶらひたれば瀬田蜆 森澄雄
牛島や桜に早き蜆汁 蜆 正岡子規
橋番の娘なりけり蜆売 寺田寅彦
極月や蜆・浅蜊は地に置かれ 鈴木真砂女 夕螢
勤め今日限り蜆の汁熱し 柴岡弘城
近江の子近江に帰り蜆汁 岩本周熈
金婚も常のごと過ぐ蜆汁 石野冬青
月の窓に砂吐かせある蜆哉 国枝合歓女
堅田の灯またたきやまず蜆汁 山田春生
堅田の灯まばたきやまず蜆汁 山田春生
見たくなき芝居ばかりや蜆汁 大場白水郎 散木集
玄関を濡らしてゆきぬ蜆売 藤田あけ烏 赤松
舷に洗ひ置きたる蜆笊 中井余花朗
呼び歩く利根の蜆や暮の春 小杉余子 余子句選
湖の秋日に焼ける蜆採 長谷川櫂 天球
湖広く濁すかなしみ蜆採り 松村蒼石 雁
口あけぬ蜆死んでゐる 尾崎放哉
口重き蜑の老女の蜆売 井村経郷
工場の塀ぎは濡らし蜆売り 沢木欣一
工場の塀ぎわ濡らし蜆売り 澤木欣一
江戸詰モ已ニ久シヤ蜆汁 蜆 正岡子規
甲高き蜆売女の声を買ふ 中井善作
稿了の手のくぼみたり蜆汁 星野紗一
行く春の貝殻白し蜆塚 清水杏芽
行雲の種井にまじる蜆殼 角川源義
行春を嵯峨や御室の蜆売 行く春 正岡子規
黒松を出る日一髪蜆汁 齋藤玄 飛雪
黒人霊歌蜆の水の澄みにけり 大木あまり 山の夢
根の国の水脈引き帰る蜆舟 佐川広治
差し向ふも話のあらず蜆汁 須賀遊子 『保津川』
砂を吐く霞ヶ浦の生蜆 阿波野青畝
砂川の松こまやかや蜆取 河東碧梧桐
砂町は雨となりたる蜆売 西尾五山
砂抜きの出刃差し入れて蜆桶 成田智世子
砂利の音させて蜆を洗ひけり 杉山三知子
妻われを凡夫といへり蜆汁 辻田克巳
菜の花の岬を出でて蜆舟 川端茅舎(1897-1941)
坂東の札所にきたる蜆賣 黒田杏子 花下草上
朔北の星を泛べし蜆桶 岡澤康司
殺生はいつも切なし蜆汁 北原志満子
三寸の水を蜆のいのちかな 蜆 正岡子規
山さくらむき身蜆にこぼれけり 松瀬青々
山吹の雫の下や蜆籠 新海非風
山吹や荷をおろしたる蜆売 山吹 正岡子規
止めどなき流転舌やく蜆汁 稲垣きくの 牡 丹
紫に蜆のとるゝ氷かな 野村喜舟 小石川
紫の藤の細工や蜆殻 蜆 正岡子規
汐引けばかはる景色や蜆掘 白水郎句集 大場白水郎
宍道湖に長き棹立て蜆掻く 陣場直雄
宍道湖の今朝の濁りや蜆汁 辻桃子
七十の母の煮炊の蜆汁 柳沢洸洋
煮えてきて蜆おどろく冬深し 辻桃子
煮蜆の一つ二つは口割らず 成田千空
若草や水の滴たる蜆籠 夏目漱石 明治二十九年
若草や水の滴る蜆籠 漱石
手に満つる蜆うれしや友を呼ぶ 蜆 正岡子規
手拭に袂くゝりて蜆掘 蜆 正岡子規
秋雨や小石まじりの蜆漁 小川軽舟
舟拍子とり湖の蜆掻けりけり 西本一都 景色
住みなれて冬の蜆や向島 冬 正岡子規
十三湖濁る大景蜆汁 蓬田紀枝子
十三蜆土嚢のごとく土間に積む 樋笠文
汁碗の底に探せる蜆の実 米村辰を
春の雪蜆が万の舌を出す 坪内稔典
春昼や蜆こぼるる京の路地 斎藤朗笛
春風や白帆にまじる蜆舟 春風 正岡子規
初市の祝儀値弾む瀬田蜆 斎藤朗笛
勝手口ごとに馴染みの蜆売 山本圭穂
少しさめ薄紫の蜆汁 中嶋秀子
掌に盛れば蜆眩しくこぼれ落つ 山田みづえ
神立の宮を過ぎたる蜆舟 斉藤夏風
神話の国蜆舟には老夫婦 加藤水万
辛崎の朧問はばや蜆売 樗堂
人麿の詠みし浦曲の蜆籠 水原秋櫻子
人麿の詠みし浦田の蜆籠 水原秋桜子
諏訪日永蜆じよれんの棄てられて 田口彌生
諏訪蜆磨ぐを祭の宵とする 木村蕪城
吹き晴れて硯の水と蜆汁 攝津幸彦 鹿々集
水鏡見るそだちなし蜆取り 千代女
水垂るる籠ごと蜆買ひにけり 前田野生子
水切ればむらさき走る蜆かな 岡田耿陽
水替へてひと日蜆を飼ふごとし 大石悦子 聞香
水洟を袖にまるめて蜆売 宮坂静生 青胡桃
世のつねの浮き沈みとや蜆汁 鈴木真砂女
世帯裏見抜きて来しか蜆売 小原紫光 『めくら縞』
瀬水まだつめたき蜆掘りにけり 石原映水
瀬田川の蜆とる舟写し来し 長谷川かな女 雨 月
清水の舞台に置かれても蜆 櫂未知子 蒙古斑
切株を突きて出づるや蜆舟 岸本尚毅 舜
雪ちるに捨つむらさきの蜆殻 松瀬青々
雪に買ふ近江の蜆つややかに 山口草堂
川蜆湖の蜆とわけて売る 新田裕村
戦争の砂漠が写り蜆汁 沢木欣一
洗ひゐる蜆触れ合ふ朝の音 塙告冬
洗ひ上げ飛白まぶしき蜆かな 今川美代子
銭数ふ唇すぼめ蜆売 西村和子 窓
銭入れし袂結んで蜆堀 蜆 正岡子規
喪のあけてまた喪に入るや蜆汁 川上梨屋
喪の明けて更に淋しや蜆汁 古川淳子
草の実や砂少し溜め蜆殻 照雄
草摘みの指のつづきの蜆貝 久保純夫 水渉記
足見せし蜆に深夜崩れけり 中島月笠 月笠句集
待日には来であなかまの蜆うり 高井几董
台秤地べたに蜆売りにけり 井上弘美
大空は虹してすてし蜆殻 松瀬青々
大盛の蜆ラーメンしぐれけり 赤坂とし子
大風とならん蜆の澄みやうよ 中島月笠 月笠句集
大風に閉ざす障子や蜆汁 阿部みどり女 笹鳴
大揺れの舟にふんばり蜆掻く 佐高冨美
短日の壁にぬられし蜆かな 龍岡晋
男出て蜆買ふなりつちふる中 森川 暁水
朝靄の湖かたむけて蜆掻く 西村梛子
潮引けばかはる景色や蜆掘 大場白水郎 散木集
追ひゆきて蜆を買ふや一葉忌 礒江沙知子
庭先の山吹黄なる蜆汁 遠藤梧逸
泥を吐く蜆が桶に青々忌 藤本安騎生
泥吐かす蜆の水のむらさきに 岡本セツ
天地創造了り蜆の動き出す 小林貴子
渡舟着くやおくれてあがる蜆売り 高橋淡路女
土舟や蜆こぼるゝ水のおと 加舎白雄
土舟や蜆こぼるる水の音 白雄
冬蜆砂吐いて身を軽ろくせり 鈴木真砂女
冬蜆店の雨だれひびきけり 阿波野青畝
東京の暮しはじまる蜆汁 山田弘子 螢川
桃柳桜の中を蜆売 蜆 正岡子規
童行く道の雫や蜆籠 蜆 正岡子規
二三合蜆にまじる丸雪かな 梅室
日曜やひとりに余す蜆汁 山田みづえ
日當りや手桶の蜆舌を吐く 寺田寅彦
入院の一夜明けたり蜆売 石田あき子 見舞籠
如月やうすむらさきの蜆殼 増田龍雨
梅多き寺島村や蜆売 蜆 正岡子規
秤られて明けのしづくの瀬田蜆 稲井優樹
伯耆大山椀の蜆の小さかり 櫻庭敏子
白き足見せて春ゆく蜆かな 中島月笠 月笠句集
八重桜咲きけり芋に蜆汁 蜆 正岡子規
蛤は俗に堕ちたる蜆哉 蜆 正岡子規
比良颪しぶきあぐ日も蜆舟 鈴鹿野風呂
飛鳥なる田溝にひろふ蜆かな 松瀬青々
氷上にとぼしき蜆掻きあげぬ 木村蕪城 一位
漂うてきてとどまりぬ蜆舟 関戸靖子
浜言葉なる気安さの蜆買ふ 山崎喜八郎
夫がゐる日の早灯し蜆汁 柴田白葉女
敷砂に蜆の殻や春の雨 比叡 野村泊月
浮雲や蜆舟など出てをりし 今井杏太郎
払暁の湖すべりゆく蜆舟 菊池育子
米食ふと聞けば嬉しき蜆哉 上野雲外
母方は近江の血筋蜆汁 高木秀慈
亡びたる国の光や蜆汁 高野ムツオ 蟲の王
北山雪いつまで見えて蜆肥ゆ 松村蒼石 雁
末伏の眼鏡くもらす蜆汁 稲垣きくの 牡 丹
名物の蜆乏しき桜哉 桜 正岡子規
明け初むる晩夏の湖に蜆舟 佐手恒子
明日食す蜆たしかめてより寝ねんとす 鮫島康子
鳴きもする諏訪の蜆や汽車の中 野村喜舟 小石川
夜の蜆うすむらさきの吐息せり 平井あい子
野田村に蜆あへけり藤の頃 上島鬼貫
野蒜咲き蜆貌なるひと日かな 桑原三郎 春亂
夕照や声かはし過ぐ蜆舟 闌更
欲捨てて今も生きをり蜆汁 村越化石
裏川に独り蜆を掘る女 高浜虚子
離婚と決めし夫へ食べさす蜆汁 清水美津枝
流れ星こぼれ蜆の子とつぶやく 加藤楸邨
量り売る蜆こぼるる雪の暮 山口草堂
零れては雪まみれなる蜆かな 中田剛 珠樹以後
連らなりて夕日の影の蜆舟 森 美知子
啜るとき真顔の夫や蜆汁 松村多美
喃わらべ蜆はいくら蛤は 蜆 正岡子規
彗星去り蜆の命一つ減る 長山遠志
戀といへど上澄あをき蜆汁 塚本邦雄 甘露
旱天に蜆掻く音のみ遺る 斎藤 玄
淦汲んで蜆を掻きに出づところ 川崎克
癇性の母でありしよ蜆汁 清水基吉
籠の日に蜆詰まりて夜の長き 岸本尚毅 舜
與次郎兵衛の頭大なる蜆哉 寺田寅彦
蜆かく舟も見えずよ冬の雁 河東碧梧桐
蜆かく妹が赤帯赤襷 寺田寅彦
蜆つぶさに子ら北ぐにの黒眸もつ 成田千空 地霊
蜆つぶやく時計を捲きて厨閉づ 石田あき子 見舞籠
蜆とり早苗に習ふこころかな 秋色 俳諧撰集玉藻集
蜆とるゝ砂に流のかすれかな 松瀬青々
蜆は紫衣浅蜊は幇斗目着たりけり 柳川春葉 ひこはえ
蜆は紫衣蛤仔は熨斗目着たりけり 柳川春葉
蜆は朝鰻は午後と漁仕分け 高澤良一 随笑
蜆より蜆へ箸のうつろふも 佐々木六戈 百韻反故 初學
蜆屋に提燈が出て春祭 綾部仁喜 樸簡
蜆桶巷の埃浮かべけり 鈴木真砂女
蜆貝の内側の色梨の空 細見綾子 黄 炎
蜆殻もとの流に捨てにけり 蜆 正岡子規
蜆殻捨てるさびしき音ありけり 岩田はつ
蜆殻友見送つてから乾く 桂信子 黄 瀬
蜆掘るや閑居の村の境川 蜆 正岡子規
蜆掘闇一寸をさぐりけり 正岡子規
蜆掘煙雨の中に動きけり 小笠原洋々
蜆採る音さざ波となりにけり 中川博秋 『加賀野』
蜆子にも逢はで漂ふ生海鼠かな 蓼太
蜆取り百たび掻きて日の暮るる 加藤岳雄
蜆取雨又風に又雨に 長谷川零余子
蜆舟いくたびも向き変へにけり 西嶋あさ子
蜆舟の今日南なる去ぬ燕 大谷句佛 我は我
蜆舟まぶしく蜆獲り納め 永井龍男
蜆舟雨に傾きつくしけり 増田龍雨 龍雨句集
蜆舟弓張るごとくいそしめり 阿波野青畝
蜆舟空やはらかくありにけり 岩田教子
蜆舟思はぬ方に着きにけり 関戸靖子
蜆舟少しかたぶき戻りけり安便 安住敦
蜆舟石山の鐘鳴りわたる 川端茅舎
蜆舟沈みて三井の鐘鳴れり 萩原麦草 麦嵐
蜆舟点じ古鏡のごとき湖 小林康治 『虚實』
蜆舟浮き桟橋に雨細し 横井かず子
蜆舟夕日の雫したたらす 福島 勲
蜆汁 話上手の妻が居て 八木實
蜆汁きのふ大火のありしかな 久保田万太郎 草の丈
蜆汁すすり叡山明けて来し 萩原麦草 麦嵐
蜆汁の身を剥し食いヒロシマ忌 橋本夢道 良妻愚母
蜆汁はなし八雲に及びけり 望月由紀子
蜆汁はや子も揃ふことまれに 中村汀女
蜆汁よくなる世とも思はれず 福森妙子
蜆汁一病もまた神の寵 藤村多加夫
蜆汁家計荒るるにまかせをり 小林康治
蜆汁家計荒るゝにまかせをり 小林康治
蜆汁家計荒るるにまかせをり 小林康治 『玄霜』
蜆汁家計荒るゝにまかせをり 小林康治 玄霜
蜆汁花ちる頃の寒さかな 小杉余子 余子句選
蜆汁妻の雀斑が病めりけり 小林康治
蜆汁煮ゆるや夢に藤の花 松瀬青々
蜆汁殊に小粒や諏訪泊り 三上秋翠
蜆汁終の栖の定まらず 木村速子
蜆汁深空のなかはさだまらず 飯島晴子
蜆汁人の死と壁一重かな 小林康治
蜆汁朝のカナリヤ鈴を振る 小原菁々子
蜆汁病みても母を哭かすかに 小林康治 玄霜
蜆汁父の大きな椀剥げて 林徹
蜆汁母の世消えてひさしきかな 松村蒼石 雁
蜆汁母在りし世を夢かとも 三森鉄治
蜆汁用なき人となつてをり 佐々木六戈 百韻反故 初學
蜆汁離るるひとは忘らるる 辻桃子
蜆汁粒を揃えて出されけり 松下敞子
蜆盛り歳末商戦始まれり 高澤良一 燕音
蜆川うす曇りして水の濃き 飯田蛇笏 山廬集
蜆川うもれて今の夜寒かな 松瀬青々
蜆洗ふ水たつぷりと雨降れり 林田紀音夫
蜆掻くかつて名うての暴れ川 衣川砂生
蜆掻く子の丈けをぬく芒かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
蜆掻淋しきまでに二人かな 野村喜舟
蜆買つて清浄の息吐きにけり 波多野爽波 『一筆』以後
蜆買ひにはかに雨の淋しけれ 永島靖子
蜆買ふ長屋の窓の高さ哉 蜆 正岡子規
蜆売ヘルン旧居をのぞきけり 土橋石楠花
蜆売りしばらく仰ぐ大手門 飯田龍太 春の道
蜆売り少し話して少し買ひ 遠藤善蔵
蜆売西行庵を出できたり 中 火臣
蜆売浪速は名なき橋多し 米沢吾亦紅
蜆売蜆の水に腹濡らし 大野朱香
蜆堀闇一寸をさぐりけり 蜆 正岡子規
蜆量る男やさしき声も入れ 久保田慶子
蜆笊抱へぽつくり寺通る 関戸靖子
蜆籠提げ行く道の雫かな 蜆 正岡子規
蝸牛や蜆の水をもつてこい 龍岡晋
鶯の根岸の里や蜆汁 蜆 正岡子規

蜆 補遺

あさあさと潮の満干や蜆川 西島麦南 人音
うつくしき砂に乏しき蜆哉 正岡子規 蜆
おろされて 陽のほとぼりの五月蜆 伊丹三樹彦
かちやかちやとかなしかりけり蜆汁 山口青邨
かにかくに高原大根太つ腹 佐藤鬼房
からし菜の薹立つ頃や蜆汁 正岡子規 蜆
この湖は天竜に落つ蜆舟 山口青邨
こぼれ蜆が舌出す濡れし舗道の上 加藤秋邨
すり鉢に薄紫の蜆かな 正岡子規 蜆
つくろへるところの青き蜆籠 富安風生
つちかぜのいちにち吹けり蜆汁 森澄雄
どくだみの花咲くと洗ふ蜆かな 山口青邨
のれん入れて風すさぶ夜の蜆汁 鈴木真砂女
ひとゆすりして嵩おなじ蜆籠 鷹羽狩行
ひとりにはひとりの音の蜆汁 石田勝彦 秋興以後
ほんの少し家賃下りぬ蜆汁 渡邊水巴 白日
まむかへば蜆は小鬼の貌をして 山口青邨
モーター艇河の蜆を駭かす 山口誓子
もの捜す人二三ゐて蜆川 能村登四郎
ゆめかうつつか瀬田の蜆の身は白く 飯島晴子
よく見れば薄紫の蜆哉 正岡子規 蜆
レガッタの後の波立つ蜆かな 阿波野青畝
わが作のラジオ洩る夜の蜆汁 石川桂郎 含羞
一汁は伯耆の国の大蜆 有馬朗人 非稀
一日一晩経なば蜆も砂吐かむ 安住敦
一籠の蜆にまじる根芹哉 正岡子規 芹
雨の日の沖の明るき蜆舟 鷹羽狩行
浦山の雪はだら蜆掻き初めぬ 村山故郷
曳き売りの蜆渋民村ひとすぢ 福田蓼汀 秋風挽歌
駅頭の寝雪に蜆こぼしけり 前田普羅 能登蒼し
遠くより人の見てゐる蜆採り 飯田龍太
何変らず世紀終らむ蜆汁 藤田湘子 神楽
花の背戸柳の路次や蜆売 正岡子規 蜆
花夕べ堅田蜆といふ貰ふ 能村登四郎
柿の木の裸の幹や蜆汁 石田勝彦 雙杵
鴨めつきり減りし蜆を掻いてをり 安住敦
汗疹の児尻へに蜆採り倦まぬ 佐藤鬼房
義仲をとぶらひたれば瀬田蜆 森澄雄
牛島や桜に早き蜆汁 正岡子規 蜆
競漕の首尾見ながらや蜆舟 阿波野青畝
極月や蜆・浅蜊は地に置かれ 鈴木真砂女 夕螢
芹引くや転べる多摩の大蜆 三橋敏雄
戸の隙を雪散りこんで蜆籠 鷲谷七菜子 游影
湖広く濁すかなしみ蜆採り 松村蒼石 雁
口あいて居れば釣らるゝ蜆かな 河東碧梧桐
口あけぬ蜆死んでゐる 尾崎放哉 小豆島時代
更けし夜は瀬音のみなり蜆汁 水原秋櫻子 旅愁
江戸詰モ已ニ久シヤ蜆汁 正岡子規 蜆
行雲の種井にまじる蜆殻 角川源義
行春を嵯峨や御室の蜆売 正岡子規 行く春
黒松を出る日一髪蜆汁 齋藤玄 飛雪
砂を吐く霞ケ浦の生蜆 阿波野青畝
砂州のくちばしすいと延べ蜆川 鷹羽狩行
砂川や十露盤玉の玉蜆 中村草田男
菜の花の岬を出でゝ蜆舟 川端茅舎
三寸の水を蜆のいのちかな 正岡子規 蜆
山姥の蜆暗きへ納むるも 岡井省二 明野
山吹や荷をおろしたる蜆売 正岡子規 山吹
紫の藤の細工や蜆殻 正岡子規 蜆
手に満つる蜆うれしや友を呼ぶ 正岡子規 蜆
手拭に袂くゝりて蜆掘 正岡子規 蜆
舟虫に不漁かこちて蜆掻 松崎鉄之介
汁熱き諏訪の蜆の白肉食ふ 山口誓子
重くしてことりともせぬ蜆桶 能村登四郎
春風や白帆にまじる蜆舟 正岡子規 春風
人使ふことに疲るる蜆汁 鈴木真砂女 居待月
人麿の詠みし浦曲の蜆籠 水原秋櫻子 緑雲
水替へるたび鉄漿の玉蜆 百合山羽公 樂土
水買うて分つ蜆や隣同士 河東碧梧桐
世のつねの浮き沈みとや蜆汁 鈴木真砂女
雪ふつて今日は堅田に蜆無し 高野素十
銭入れし袂結んで蜆堀 正岡子規 蜆
草の実や砂少し溜め蜆殻 香西照雄
知らぬ間に位置変りをり蜆舟 鷲谷七菜子 一盞
朝日さす色の紫蜆かな 右城暮石 句集外 昭和十年
潮一褸のこす干潟や蜆舟 水原秋櫻子 緑雲
店の外に雪の降りゐる蜆桶 森澄雄
桃柳桜の中を蜆売 正岡子規 蜆
童行く道の雫や蜆籠 正岡子規 蜆
道の上蜆こぼしつ嘆きけり 藤田湘子 途上
乳母が家に娘来てをり蜆花 森澄雄
如月や蜆は濡れて店頭に 中村汀女
梅多き寺島村や蜆売 正岡子規 蜆
八重桜咲きけり芋に蜆汁 正岡子規 蜆
蛤は俗に堕ちたる蜆哉 正岡子規 蜆
避暑宿の朝蜆また夕蜆 阿波野青畝
鼻を磨り減らしむらさき蜆貝 山口青邨
氷上にとぼしき蜆掻きあげぬ 木村蕪城 一位
浜名湖のへりに漬けある蜆籠 富安風生
富士白く諏訪の蜆はむらさきに 山口青邨
放生河豚蜆礫をくらひけり 鈴木真砂女 居待月
北山雪いつまで見えて蜆肥ゆ 松村蒼石 雁
名物の蜆乏しき桜哉 正岡子規 桜
来て見れば蜆籠積む歌枕 水原秋櫻子 緑雲
老人の声の逃るゝ蜆汁 飯島晴子
喃わらべ蜆はいくら蛤は 正岡子規 蜆
浚ふ音やまねば噤む生き蜆 三橋敏雄
腓涼し蜆の溝を跳びにけり 岡井省二 猩々
蜆屋の別の桶には烏貝 阿波野青畝
蜆桶巷の埃浮かべけり 鈴木真砂女 都鳥
蜆貝の内側の色梨の空(山梨、永晶院あたり二句) 細見綾子
蜆殻もとの流に捨てにけり 正岡子規 蜆
蜆掘るや閑居の村の境川 正岡子規 蜆
蜆掘る舟静かさや蘆の花 河東碧梧桐
蜆舟にあらず田螺舟岸に着く 山口青邨
蜆舟は夫婦一組漕ぐと掻くと 安住敦
蜆舟ゐて景をなす昨日今日 桂信子 花影
蜆舟帰りしや湖荒れて来し 右城暮石 句集外 昭和五十三年
蜆舟弓張るごとくいそしめり 阿波野青畝
蜆舟湖に雪ふる日も出でて 山口青邨
蜆舟国引のこの湖に 阿波野青畝
蜆舟少しかたぶき戻りけり 安住敦
蜆舟石山の鐘鳴りわたる 川端茅舎
蜆舟川波やけにくらひけり 鈴木真砂女
蜆舟同じところをけふも掻く 山口青邨
蜆舟浮巣揺らして通りけり 安住敦
蜆舟玻璃戸に居れり雨戸開く 阿波野青畝
蜆汁さらさらと歯を流れけり 平井照敏 猫町
蜆汁はや子も揃ふことまれに 中村汀女
蜆汁家計荒るゝにまかせをり 小林康治 玄霜
蜆汁覚られたるが運の尽き 鈴木真砂女 夏帯
蜆汁近江より春立てりけり 阿波野青畝
蜆汁死よりも老いを恐れけり 鈴木真砂女 紫木蓮
蜆汁深空のなかはさだまらず 飯島晴子
蜆汁生きとし生きて諸涙(もろなみだ) 金子兜太
蜆汁病みても母を哭かすかに 小林康治 玄霜
蜆汁母の世消えてひさしきかな 松村蒼石 雁
蜆汁厄月の厄なかりけり 安住敦
蜆世音おはす花野の十字路 川端茅舎
蜆川うす曇りして水の濃き 飯田蛇笏
蜆船一つ出てゐる山背風かな 山田みづえ 草譜
蜆船曲り江をよき漁場として 山口誓子
蜆船妻ゐて河を暮しの場 山口誓子
蜆買つて清浄の息吐きにけり 波多野爽波
蜆買ふ長屋の窓の高さ哉 正岡子規 蜆
蜆売りしばらく仰ぐ大手門 飯田龍太
蜆売一顆こぼさず量り終ふ 能村登四郎
蜆売観音道ををしへけり 阿波野青畝
蜆売片荷の田螺泥のまま 阿波野青畝
蜆堀闇一寸をさぐりけり 正岡子規 蜆
蜆籠提げ行く道の雫かな 正岡子規 蜆
閾の溝あさき日ぐれの蜆汁 飯島晴子
鳰を見ておれば 代りの蜆汁 伊丹三樹彦
鶯の根岸の里や蜆汁 正岡子規 蜆

蜆 続補遺

たばこ吸入の噂や蜆とり 游刀
とけしなき業に老けり蜆とり 三宅嘯山
ひき汐の蜆の穴もふせのはた 北枝
みづうみの浅瀬覚えつ蜆取 黒柳召波
よる波に碁を打かける蜆かな 柳居 柳居発句集
一時雨いさみてかくや蜆舟 正秀
一升はからき海より蜆かな 其角 五元集
稲妻や蜆がら焼く野の匂ひ 臥高
花も今塵に撰らるゝ蜆かな 園女
言の葉や書つくさぬは瀬田蜆 野径
春の朝蜆はくろき物ぞかし 松窓乙二
春風の苦みや少し蜆汁 晩得 哲阿弥句藻
小息子の短気呵りぬ蜆とり 三宅嘯山
身の内が皆口になる蜆かな 立志 温故集
水海を呑干さんとや蜆貝 野紅
石ひとつ清き渚やむき蜆 其角
待日には来であなかまの蜆うり 高井几董
短夜や蜆くふさへもどかしき 夏目成美
土舟や蜆こぼるゝ水の音 加舎白雄
二三合蜆にまじる丸雪かな 桜井梅室
百両が松見に来たり蜆汁 鈴木道彦
浮鳥の見なれぬ顔や蜆とり 沾峨 江戸名物鹿子
又兵衛が自慢の味噌や蜆じる 三宅嘯山
野田村に蜆あへけり藤の頃 鬼貫
裸身や水鶏を尻に蜆とり 三浦樗良
旅心こまかにおもへ蜆売 松窓乙二
漣の蜆をざくともらひけり 道彦 続蔦本集
露切て風情なくすな籠の蜆 鈴木道彦
蜆とり早苗にならふ女かな 秋色 いつを昔
蜆とり比良の山風吹とても 寥松
蜆取海士の子共や村烏 魯九
蜆売芦のまろ屋のなじみなる 寥松

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:20 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

蓴生ふ  の俳句

蓴生ふ  の俳句

蓴生ふ

例句を挙げる。

両脚の見えで水輪や蓴生ふ 徳永山冬子
大藪をしぼれる水や蓴生ふ 笠原古畦
対岸の登四郎の句碑蓴生う 細井紫幸
水面へ光り押し上げ蓴生ふ 諸田宏陽子
空の青水の青得て蓴生う 景山 薫
蓴生う富士の伏流水ぞんぶん 若林つる子
蓴生う月にうるみて河童の碑 岡崎真也
蓴生ひ芹立ち蝌蚪は形を了ふ 石塚友二
蓴生ふところさざ波立つところ 高崎武義
蓴生ふる水の高さや山の池 高濱虚子
蓴生ふ月にうるみて河童の碑 岡崎真也
蓴生ふ池のみかさやはるの雨 蕪村
蓴生ふ池のみかさや春の雨 蕪村
蓴生ふ沼のひかりに漕ぎにけり 西島麦南 人音
蓴生ふ金毛閣に遊山せり 岡井省二
雨脚の見えで水輪や蓴生ふ 徳永山冬

蓴生ふ 補遺

蓴生れ金毛閣に登りけり 岡井省二 鯨と犀
蓴生ふ沼のひかりに漕ぎにけり 西島麥南 金剛纂
蓴生ひ芹立ち蝌蚪は形を了ふ 石塚友二 磯風
飽くほどの水の照りやう蓴生ふ 鷲谷七菜子 天鼓


by 575fudemakase | 2017-04-30 05:08 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

畦青む  の俳句

畦青む  の俳句

畦青む

例句を挙げる。

佐久の畦青むや墓もしめらへり 大野林火
手を揚げるだけの挨拶畦青む 佐々木禎
月光のほのめくや畦青みたり 千代田葛彦
椋鳥のしばらく宙に畦青む 堀口星眠 営巣期
横柄な遠野鴉に畦青む 高澤良一 宿好
機音のひびく丹後路畦青む 宇野直治
生涯を父の鋤きたる畦青む 吉田ひさ枝
畦青み雪嶺しざり秩父別(ちっぷべつ) 高澤良一 素抱
畦青む地吹雪除けも外されて 窪田竹舟
畦青む見ては心に笛を吹く 千代田葛彦 旅人木
雲垂れてつひに触れたる畦青む 水原秋櫻子
頬白か立ちたるあとの畦青む 相馬遷子 山河
田起しの小田の畦草なまなまと 高澤良一 宿好

畦青む 補遺

頬白か立ちたるあとの畦青む 相馬遷子 山河
佐久の畦青むや墓もしめらへり 大野林火 雪華 昭和三十四年
畦青みそのまま山につながれり 大野林火 月魄集 昭和五十五年
雲垂れてつひに触れたる畦青む 水原秋櫻子 残鐘

by 575fudemakase | 2017-04-30 05:05 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)


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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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