<   2017年 10月 ( 15 )   > この月の画像一覧

もみぢの句いろいろ❗️

もみぢの句いろいろ❗️

拙句(高澤良一)


句の末尾は所収句集名。

また「ねず」は句集「ねずみのこまくら」、「もも」は句集「ももすずめ」、「さざ」は句集「さざなみやつこ」、「ぱら」は句集「ぱらりとせ」の略。


●薄紅葉

何處となく色づいて来ぬ瘤欅 宿好

先代の苦労咄や薄紅葉 寒暑

●桜紅葉

水の面に桜紅葉の心ばえ 鳩信

野毛山 動物園

長雨に櫻もみぢの目減りして 鳩信

桜もみぢどっちつかずの色合にて 燕音

幸田文

櫻もみぢ一片文(あや)の閼伽水に 随笑

●紅葉 もみぢ もみじ葉 紅葉川 紅葉山 紅葉冷 もみづる

もみずれりオランウータンの体毛も 鳩信

手始めに山の頂もみずれり 素抱

サワグルミ端正な葉のもみずれり 素抱

メイプルのもみぢ押し葉にして機内 ぱら

言葉かけ合ひ楷樹もみぢの愛好家 ぱら

どうかうもなく山茱萸の醜(しこ)もみぢ 鳩信

もみぢ葉は真言陀羅尼義趣を秘む 宿好

諸鳥のこゑも染るやもみぢ御所 宿好

大覚寺

さるすべりもみぢ見ながら渡り廊 宿好

滝口寺

横笛をおもひ染めたる色もみぢ 宿好

落柿舎の虫喰いもみぢ栞とす 宿好

一葉よりもみぢ始まる曼珠院 宿好

葉末よりもみぢ始る詩仙堂 宿好

永観堂

心鏡に写し参らむ照もみぢ 宿好

つまらなき色して梅のもみぢ葉は 随笑

もみぢして学問処の孔子木 寒暑

実習の指圧のいろはもみぢの手 素抱

城山公園

山寄りに町は造られ朴もみぢ 素抱

赤もみぢ黄もみぢとことん愉しめり 素抱

梓川ヤナギもみぢの散り込む瀬 素抱

濃尾バス尻を振り振りもみぢ山 素抱

カナダ行

もみづれるカナダを机上プランかな ぱら

建長寺扁額

大欅もみづる「天下禅林」に 燕音

不細工は不細工なりにもみづれり 宿好

虫瘤ももみづる頃となりにけり 宿好

北山

もみづれる高雄ホテルの絨緞も 宿好

もみづれる楓のいろは兵火のいろ 宿好

曼珠院

もみづれる寺に預かる幽霊図 宿好

雨の柿人間くさくもみづれり 宿好

秩父八番札所西膳寺

ぼけ封じ三尊に山もみづるよ 随笑

色鳥来これだけ森のもみづれば 随笑

もみづれる山の快挙と申すべき 寒暑

山深くもみづるものの一変す 寒暑

ロッジ風湯宿丸太ももみづるか 寒暑

今正にもみづる加仁湯の掛け湯浴ぶ 寒暑

日光沢しぶける岩ももみづらん 寒暑

秋楡のもみづる日比谷公会堂 素抱

天下の險もみづるにせよせぬにせよ 石鏡

人體展もみづるものに骨格筋 石鏡

そこはかともみづる沼の名無し草 石鏡

てっきりもみづる筈の漆が小火程度 石鏡

宿の餉にけとばしの出て紅葉季 ねず

柴屋寺

天柱山その脇山の紅葉かな もも

紅葉山人語鳥語に匹敵す 鳩信

拾ひ上ぐ紅葉の中の艶(あで)紅葉 燕音

上々に紅葉仕上がり龍王峡 燕音

逗子 端山 散策

息づける紅葉に急所あるごとし 燕音

神業の柱状節理崖紅葉 燕音

神護寺のここで一服紅葉茶屋 宿好

神護寺の紅葉明りに一凡夫 宿好

祇王寺の日暮紅葉の佛間にゐ 宿好

祇女尊女祇王尊女と紅葉観る 宿好

紅葉冷え佛御前のおん膝も 宿好

天竜寺

兵火八度かうむる寺にして紅葉 宿好

永観堂早紅葉(さもみじ)雨に色づけり 宿好

東福寺

朗々とわたる紅葉の回廊ぞ 宿好

会心の紅葉むらぎも熱くせり 宿好

裸木と紅葉半々山手線 宿好

間引かれて残る紅葉をうち仰ぐ 宿好

それならと紅葉の頃の宿をとり 随笑

この彩に安んじ梅の紅葉せり 随笑

打ちつけてめりこむ魚板紅葉寺 随笑

山麓駅造花紅葉も酣に 随笑

やあ紅葉八番札所のぽっくりさん 随笑

御婦人

ぼけ封じ肌着購ふ紅葉寺 随笑

おびんづるさまに前山紅葉して 随笑

同型の楓紅葉の全しや 随笑

塩原高尾辞世句

雪に上に高尾ゆかりの寺紅葉 寒暑

*寒風にもろくもくつる紅葉かな (高尾)

南部ばやし造花紅葉を稚児負ふて 寒暑

ロープウエイ

山麓と温度差五度の早紅葉 寒暑

履物のとり散らかって紅葉宿 寒暑

加仁湯

団体さん今到着の紅葉宿 寒暑

良寛の草書さながら色葉(いろは)散る 寒暑

紅葉沢落石すんでのところにて 寒暑

紅葉して引湯泉質二系統 寒暑

乗鞍の紅葉如何と登りつめ 素抱

檜原湖

湖畔亭紅葉そこそこ客そこそこ 石鏡

ポスターに紅葉づる鎌倉始発駅 石鏡

これはこれでと云ひつゝ桜紅葉みる 石鏡

紅葉冷猛禽類は眼をつぶり 石鏡

孫 美雨

吾に優るもみぢ葉拾ひ来て見する 石鏡

雨ありて一色増しぬ山紅葉 石鏡

鳩ノ巣渓谷

紅葉谿手すりがありて大助かり 石鏡

紅葉づれる断崖秩父古成層 石鏡

紅葉川聞けばカヌーで下るとよ 石鏡

鳩ノ巣の紅葉愛でつゝ見ず知らず 石鏡

紅葉冷え薄着後悔してみても 石鏡

二つ目の吊橋ここも紅葉佳し 石鏡

山女釣れ紅葉に腹を返しけり 石鏡

滝見茶屋ざっくばらんな紅葉かな 石鏡

油瀝青(アブラチヤン)紅葉づる日原街道ゆく 石鏡

山寺の紅葉の日照時間かな 石鏡

明るさは桜紅葉に優る君 石鏡

大巌が行く手を塞ぐ紅葉川 石鏡

●紅葉狩 紅葉見る

紅葉狩えらい上りとなりにけり さざ

紅葉狩薩摩おごじょのバスガイド 鳩信

紅葉狩落柿舎辺りで日が暮れて 宿好

好事家の嵯峨野もみぢといふを見に 宿好

町内の紅葉処を一巡り 随笑

女夫淵温泉

取敢へず終点で降り紅葉狩 寒暑

紅葉狩内助の功に報ゆべく 寒暑

紅葉狩こゑ掛けられてこゑ返し 石鏡

紅葉狩雨の足許ばかり見て 石鏡

紅葉狩眼鏡を拭いてさあこれから 石鏡

紅葉見る吾らに階(きざはし)魚道にも 石鏡

無線もて後尾と交信紅葉狩 石鏡

危ふきに女近寄る紅葉狩 石鏡

紅葉見の序で氷川の三本杉 石鏡

●黄葉(くわうえふ) 黄葉(もみじ)

いち早く自然薯黄葉狐雨 ねず

そろそろと野老黄葉の竹のぼる もも

日が差して境内欅黄葉いろ さざ

凋落の一歩手前の黄葉とも さざ

そこそこに山吹黄葉したりけり さざ

独特の板谷楓(いたや)もみぢの明るさで さざ

うねる丘ぶだう黄葉の幾区画 さざ

いくらかは山吹黄葉してゐたり ぱら

葉先まで綺麗に蘿蔔(すずしろ)黄葉して ぱら

葛黄葉遠慮がちなる色合ひに 鳩信

神品の桂黄葉とうち仰ぎ 燕音

山芋の黄葉せる道和みけり 燕音

市庁舎のユリの木黄葉始まれり 宿好

初老とは欅黄葉を潜るに似て 宿好

くわりん皆もがれし後も黄葉して 宿好

胸を張るスクリバ石像黄葉冷え 随笑

貴(あて)人のごとく桂の黄葉みる 随笑

天つ日に透けざるは無し沢黄葉 寒暑

捨聖片瀬の黄葉舞ふ中を 寒暑

自然薯黄葉城山の径明るうす 素抱

亜高山帯のもみぢの色はと見て 素抱

乗鞍の黄葉にスリップして下山 素抱

栃黄葉打つ雨音に包まれし 素抱

阿弥陀光桂黄葉の押し照るは 素抱

乗鞍の雨来て黄葉素っ飛べり 素抱

楢の木沢もとより水楢黄葉して 素抱

黄葉どき髪膚完爾と硫黄泉 素抱

乗鞍の黄葉颪と云ふに遭ふ 素抱

先づ洒落た葉なりハルニレ黄葉とよ 素抱

週末のユリの木黄葉散り空きて 素抱

湘南キャンパス黄葉のもとの生演奏 石鏡

零余子黄葉始まってをり覚圓寺 暮津

●照葉

照葉して五體あられもなき岩湯 寒暑

●雑木紅葉

金時山もこもこ雑木紅葉せり ねず

自転車にて近場の雑木紅葉見に 石鏡

●柿紅葉

柿もみぢ柿に根負けして散りぬ もも

朝露のまだ干ぬ内の柿もみぢ 鳩信

しぐれては鄙ぶ高雄の柿もみぢ 宿好

柿紅葉やっぱりよかったこの径で 石鏡

柿紅葉栞にしたき一級品 石鏡

柿もみぢ明りに何ぞ云ひたくなる 石鏡

●漆(うるし)紅葉

山漆紅葉急なり滝の前 寒暑

●櫨(はぜ)紅葉

ゝゝ(ちよんちよん)と夏櫨紅葉したりけり さざ

櫨紅葉十(とを)を数えて湯壺出づ 寒暑

讃集めをり山中の櫨紅葉 石鏡

●銀杏黄葉 いてふもみぢ

二大樹の銀杏黄葉の消耗戦 燕音

銀杏黄葉落つときスイッチバックして 宿好

大銀杏黄葉間引かれ素寒貧 宿好

縣廳前馳すバス銀杏黄葉いろ 随笑

●錦木 にしきぎ

錦木の錦を蔵ふ季来たり 石鏡

●蔦紅葉

一番の冷え込みありぬ蔦紅葉 燕音

逗子市役所

全館を覆ふに足らぬ蔦紅葉 随笑

今市

蔦紅葉して今市の杉並木 寒暑

松のぼることたやすけれ蔦紅葉 寒暑

●草紅葉

幼な子の見て見て見ての草もみぢ 鳩信

アスピーテライン上りの草もみぢ 寒暑

草もみぢミニチュア火山の裾野にも 寒暑

揚舟の艫の下草もみぢして 石鏡

●水草紅葉

いち早く湯川水草黄葉せり 随笑

家鴨があがあ云ふなか水草紅葉せり 石鏡

●野山の錦 野の錦 山の錦

飛倉は野山の錦一っ跳び 鳩信

仁丹の看板のこる野の錦 寒暑

奥鬼怒

序の口の山の錦といふべかり 寒暑

●紅葉且つ散る

紅葉且つ散りて渓流走らする 寒暑

●黄落 黄落期

黄落のいてふ男時の杜抜けて さざ

黄落の骨うづむなら西林寺 ぱら

アムール虎右往左往の黄落期 鳩信

乗鞍の巖も黄落せんとせり 素抱

上高地乗鞍林道

黄落の泡の湯で乗る五人組 素抱

大正初期植ゑしカラマツ黄落期 素抱

黄落の雨の跳ね見ゆ木道に 素抱

木道の終端黄落振返る 素抱

黄落どき葉っぱのフレディ舞ふ林 石鏡

デイケアバス黄落に頭を振り振り来 石鏡


●欅紅葉 句集未所収


吹かれゐる欅もみぢの細葉かな

欅もみぢ若木ばかりの並木道

欅もみぢ潜り神社は正面より

産土の老若欅紅葉して

日表に欅もみぢの欅いろ

大欅もみぢいっぽん谿を統べ

訪うならば欅もみぢの頃がよし

二タもとの欅もみぢの色違ひ

雨往(い)んで欅もみぢに差し込む日

欅もみぢ一色二色三色かな

足柄の欅紅葉は神寂びて

頃合いの欅もみぢの彩と見ぬ

谷戸のそら欅もみぢの幽かな搖れ

欅もみぢ始まるところ指させる


以上


by 575fudemakase | 2017-10-25 14:55 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

冠雪 の俳句

冠雪 の俳句

冠雪

ある朝の冠雪富士の一部見ゆ 池田秀水
雲上に冠雪の富士七五三 甲斐遊糸 『冠雪』
冠雪の白山なりき稲を刈る 中西舗土
冠雪の白馬を天に鬼無里みち 町田しげき
冠雪の比叡ぞ見ゆれ初蹴鞠 西野白水
冠雪の富士在りし日の師のごとし 甲斐遊糸 『冠雪』
冠雪の風の流れに乗れる鷹 村越化石
冠雪の羅臼岳ゆさぶる春の雷 鈴木夢亭
冠雪やここ桃源と申さるる 宇多喜代子 象
冠雪を誇ることなし讃岐富士 中原道夫
山の鳥冠雪のあやうさに 宇多喜代子 象
振り返るたび冠雪の奥穂高 野見山ひふみ
早池峰山の冠雪茫と月日かな 桜井美枝子
富士勁し冠雪前の襞を張り 中戸川朝人
片岡球子ドカンと冠雪富士を置く 高澤良一 随笑
流鏑馬の馬首めぐらすに冠雪富士 高澤良一 鳩信

冠雪 補遺

その墓碑 その冠雪 なべて死は同形 伊丹三樹彦
その名伊那冠雪の嶺に目ざめけむ 加藤秋邨
冠雪富士見えたり鳥も賑わえり 金子兜太
腰癒えて冠雪富士見るそのしやツ面 金子兜太
真向ひに冠雪の富士鮮やかに(八ヶ岳山麓) 細見綾子
不忘の冠雪牧に牛見えず 阿波野青畝
富士冠雪と聞きぬ病ははかどらず 岸田稚魚 紅葉山
北勝ちに富士冠雪し初めにけり 三橋敏雄
緻密なる富士の冠雪白光す 山口誓子


by 575fudemakase | 2017-10-25 08:36 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

朝冷 の俳句

朝冷 の俳句

朝冷

郷愁の朝冷えにゐるうすごろも 飯田蛇笏 雪峡
武具飾り朝冷つよき城下あり 大峯あきら 鳥道
朝冷や神の湧玉池の靄 佐野梧朗

朝冷 補遺

郷愁の朝冷えにゐるうすごろも 飯田蛇笏 雪峡
朝冷えの主が触れし馬に触れぬ 中村草田男
朝冷に夏炉を焚いておくことも 稲畑汀子

朝冷 続補遺

朝冷や蒲団にまとふあやめ刈 野坡


by 575fudemakase | 2017-10-16 09:58 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

雨冷 の俳句

雨冷 の俳句

雨冷

パスにがし雨冷えの夜を口あけて 鳥居おさむ
磯菊の雨冷えて来し目鼻かな 細川加賀
雨冷えて吾子を寝棺にうつしがたし 川島彷徨子 榛の木
雨冷えのくらがり鳴りだす冷蔵庫 西垣 脩
雨冷えの甘茶こくりとのみほせり 高澤良一 ももすずめ
雨冷えの汽笛みじかし忌を寄るのみ 古沢太穂 古沢太穂句集
雨冷えの桑もち込みて軒くらし 山本つぼみ
雨冷えの白花をつづり茜草 高槻弘文
雨冷のいもどのさんに詣でけり 山田みづえ
雨冷の広間に客のかしこまる 尾崎紅葉
雨冷ゆる日の甘酒をあつうせよ 高柳碧川
雨冷ゆる日は出てをらず*むつ五郎 本田杏花
雨冷を解いてくれたる春暖炉 永森とみ子
雲雀仰ぐ降り残る雨冷たからず 大熊輝一 土の香
夏炉焚き沙翁の町の雨冷か 山口青邨「雪国」
銀行一つ国境に雨冷ゆるかな 吉野義子
樹雨冷の香の火の紅手くらがり 古舘曹人 砂の音
稚鮎汲む朝の雨冷え残る瀬に 大曲鬼郎
東京の水甕に雨冷奴 鈴木鷹夫 風の祭
藤の雨冷えまさる火桶守りけり 碧雲居句集 大谷碧雲居
萩の葉のこま~と雨冷えにけり 草城
萩の葉のこまごまと雨冷えにけり 日野草城
夜寒人雨冷えを来て湯に沈む 高澤良一 暮津
榾雨冷の友白き髭もちて来ぬ 山口青邨

雨冷 補遺

蕗の雨冷えのぼりくる夜這ひ口 能村登四郎
萩の葉のこま~と雨冷えにけり 日野草城
樹雨冷の香の火の紅手くらがり 古舘曹人 砂の音
夏炉焚き沙翁の町の雨冷か 山口青邨
雨冷のいもどのさんに詣でけり 山田みづえ 草譜
雨冷えや刈り残したるからす麦 寒食 星野麥丘人
雨冷えの汽笛みじかし忌を寄るのみ 古沢太穂 古沢太穂句集

雨冷 続補遺

雨冷に羽織を夜の簑ならん 其角



by 575fudemakase | 2017-10-16 09:57 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

秋冷 の俳句

秋冷 の俳句

秋冷

雫しきりに秋冷の塔のなか 中田剛 珠樹
手が見えてをり秋冷といふべかり 斎藤梅子
手を浸し秋冷ひしと貴船川 小川濤美子
手燭消えしままの秋冷遺著の嵩 鍵和田[ゆう]子 浮標
樹々の間の秋冷日毎ぼや拾ひ 石橋辰之助 山暦
秀野忌の秋冷触るる薔薇の白 西島麦南
秋冷えの目覚め誘うて啼く雀 臼田亞浪 定本亜浪句集
秋冷えの姨捨に佇つ女身われ 柴田白葉女 『朝の木』
秋冷えは小樽の日向日陰の差 竹中碧水史
秋冷が韋駄天ばしり近江ノ国 澁谷道
秋冷と腕叩きて云へる人 高澤良一 暮津
秋冷にとり残されてゐたりけり 山田 弘子
秋冷の0番線といふホーム 片山由美子 風待月
秋冷のうぐひす張りを誰か来る 梶山千鶴子
秋冷のおろかに太る豚の首 石原舟月
秋冷のかます焼く火の透きとほり 高澤良一 石鏡
秋冷のささやきかはす形見かな 恩田侑布子
秋冷のさし込む膝を二タさすり 高澤良一 素抱
秋冷のさすがにしぼむ乳房かも 飯田蛇笏 椿花集
秋冷のとびらを敲く月よわが過去も愛する覚悟はあるか 松本典子
秋冷のにはかに到り老いしごと 山口波津女 良人
秋冷のはりまや橋に捕鯨砲 田中信義
秋冷のひと夜が明けぬ一位の木 鈴木鷹夫 大津絵
秋冷のひよどり草や落人部落 長谷川かな女 花寂び
秋冷のまなじりにあるみだれ髪 飯田蛇笏
秋冷の一幹として立ちつくす 鷲谷七菜子
秋冷の駅に慰霊の人ら降り 村松紅花
秋冷の仮死金色をなせりけり 柚木紀子
秋冷の家族にわかつ箸のかず 飯田龍太
秋冷の火口湖黄泉のごと湛ふ 伊東宏晃
秋冷の俄かに至る瀧の村 東原 芦風
秋冷の牛舎いのちという匂い 対馬康子 純情
秋冷の極みの滝の散れるかな 鷲谷七菜子 花寂び
秋冷の空とどまれば子の頭にも 原裕 葦牙
秋冷の径穴ありてみづのおと 飯田蛇笏 雪峡
秋冷の見渡すかぎり蔵の中 杉野一博
秋冷の現世なりし*まど曉けそむ 内藤吐天 鳴海抄
秋冷の黒牛に幹直立す 飯田龍太
秋冷の砂丘を雨の堅め降る(駿河濱岡砂丘) 上村占魚 『石の犬』
秋冷の彩違へたる湖二つ 竹屋睦子
秋冷の坂下りきたる蹄音 近藤きくえ
秋冷の山なだるるよ大伽藍 河野南畦 湖の森
秋冷の山の流水みたらしに 野澤節子
秋冷の山より山を眺めけり 大野風子
秋冷の山気にひらく掌 柴田白葉女
秋冷の自転車光る離別ばかり 鈴木六林男 後座
秋冷の書を買ふ怒り鎮めんため 山田みづえ 忘
秋冷の少年紙の匂いする 鈴木 映
秋冷の掌に溜む化粧水 ふけとしこ 鎌の刃
秋冷の上り框に山刀 瀧澤伊代次
秋冷の新月の那須今宵かな 及川貞 夕焼
秋冷の身におよぶまで雨後の幹 桂 信子
秋冷の身に及ぶまで雨後の幹 桂信子 黄 瀬
秋冷の水切れ易き旅の顔 青木重行
秋冷の瀬音いよ~響きけり 草城
秋冷の瀬音いよいよ響きけり 日野草城
秋冷の西本願寺門を閉づ 相沢透石
秋冷の草ちよぼちよぼと坑住址 奈良文夫
秋冷の男鯉となりぬ水摶つて 中尾杏子
秋冷の地をゆるがせて牛相撲 高橋悦男
秋冷の竹林や片襖なす 皆川白陀
秋冷の嬬恋キャベツ老が漬け 古賀まり子 緑の野以後
秋冷の土中掻き出す釜一つ 皆川白陀
秋冷の土鈴のごろりごろりかな 照敏
秋冷の東京に出て人體展(人体の不思議展東京国際フォーラム) 高澤良一 石鏡
秋冷の堂の裏ゆく女ごゑ 原裕 『出雲』
秋冷の道いつぱいに蔵の影 広瀬直人
秋冷の日々新たなる供養華 松村蒼石 寒鶯抄
秋冷の入みとほりたるかたつむり 綾部仁喜
秋冷の猫撫でやれば転がれり 瀧澤伊代次
秋冷の廃山いまは人に見す 大橋敦子 匂 玉
秋冷の白襖またはるかかな 飯田龍太
秋冷の白馬岳日毎夜毎の炉 石橋辰之助 山暦
秋冷の八溝山脈茜さす 柴田白葉女 花寂び 以後
秋冷の琵琶かき鳴らす回向かな 稲田眸子
秋冷の膝にのり来し子を抱く 堤靭彦
秋冷の病舎に残る水枕 藤原美規男
秋冷の風鈴ひびく肋かな 新田祐久
秋冷の壁の北海道大地図 成瀬正とし 星月夜
秋冷の木椅子に人も朽ちてゆく 横山 房子
秋冷の木箱二つに影ひとつ 茨木和生 遠つ川
秋冷の野に咲くものはこまやかに 川口咲子
秋冷の幽谷めきし耳の穴 栗林千津
秋冷の炉明りに蠅うごかざる 石橋辰之助 山暦
秋冷の檜山杉山匂ひけり 山田みづえ
秋冷の琥珀に入りし翅きはやか 矢島渚男 船のやうに
秋冷の襞ふかくして裏比叡 木内彰志
秋冷やかすかに魚の息を吐き 増田萌子
秋冷やか湖円錐に瑠璃深め 岡田貞峰
秋冷やともされて書架よろこべる 小宅容義
秋冷やもの憶ふ口一文字 成瀬正とし 星月夜
秋冷やわが手ながらもしびれをり 高濱年尾
秋冷やわが手乍らもしびれをり 高浜年尾
秋冷や音たて燃ゆるランプの灯 高木 杏子
秋冷や灰となるべき扉が閉まる 藤井伸子
秋冷や崖の脆きに指触れて 八木三日女 紅 茸
秋冷や古りし茅の輪をくぐるより 石川桂郎 高蘆
秋冷や座り馴れたる駅の椅子 松尾踏青
秋冷や山のこほろぎ日を歩き 藤田あけ烏
秋冷や山河光りを失へり 阿部みどり女
秋冷や指輪離さぬ薬指 小川公子
秋冷や枝に濡れたる登山帽 秋尾敏
秋冷や珠洲焼に濃き波状紋 千田一路
秋冷や人をむかへて慇懃に 飯田蛇笏 椿花集
秋冷や石畳ゆく馬車の音 野崎ゆり香
秋冷や石炭出づるこのあたり 成瀬正とし 星月夜
秋冷や濡縁古びゆく色に 高木晴子
秋冷や白き覆面の一病馬 有働亨 汐路
秋冷や包丁研げば鉄匂ふ 青木重行
秋冷や万象の一潦 西本一都
秋冷や夜の汐ときにおそろしき 鈴木真砂女
秋冷や落ちて来さうな白鳥座 穂坂日出子
秋冷や瑠璃色尽す山上湖 宮田俊子
秋冷や佛にのこる金の耳 古舘曹人 砂の音
秋冷ゆる胸にひびかふ舟の窓 阿部みどり女
秋冷を行くや草花親まず 清原枴童 枴童句集
秋冷を手に収めたる手櫛かな 中山須美子
秋冷を心地よきとも思ふ旅 稲畑汀子
舟べりの秋冷掴む別れかな 金箱戈止夫
出土の土師器黝く秋冷到りけり 阿部みどり女
女女しくゐて秋冷といふ語に溺る 下村槐太 天涯
女々しくゐて秋冷といふ語に溺る 槐太
神の鈴振り秋冷を払いけり 杉本美寿津
杉箸をもて秋冷の嶺を指す 大石悦子 聞香
性きつき梛に秋冷到りけり 高澤良一 燕音
聖歌彌撒に汝が声を聴く秋冷か 内藤吐天 鳴海抄
折鶴に秋冷満ちてくる夜かな 林桂
息とめて着る秋冷の弓道着 塩崎光江
乳搾る秋冷の地に祈るごと 宮坂静生 青胡桃
肌いたきまで秋冷の深山空 原 裕
頒けあふ秋冷汝が寝台より低くゐて 磯貝碧蹄館 握手
眉上げて唯秋冷といふばかり 高澤良一 暮津
苗一束秋冷に抱くは苦しき 汎 馨子
父の死に秋冷ゆる夜となりにけり 稲畑汀子 汀子第二句集
物売の来ぬ秋冷の夕べかな 阿部みどり女
暮雨暗し秋冷窓に迫るなり 六花
無名石仏彫って 秋冷 媽祖の町 伊丹公子 沿海
面打のいちまい畳秋冷ゆる 山口都茂女
夕まけて秋冷いたる岩燕(志賀高原) 角川源義 『秋燕』
夕澄みて秋冷の岳そろひけり 有働 亨
廊の蟻に秋冷いたるあはれさよ 角川源義
老柳に秋冷早も溺れる 深川正一郎
榧の木に秋冷いたる西行庵 角川春樹 夢殿
眞珠もて今日秋冷のイヤリング 坊城としあつ
磔像の釘に秋冷いたりけり 朝倉和江
槇の葉に秋冷いたる朝日ざし 松本可南

秋冷 補遺

コタン暮れバスに秋冷もてあます 角川源義
どの村となく秋冷の来てゐたり 廣瀬直人
むらさきの秋冷こぞる淵のいろ 上田五千石『田園』補遺
雨澄んでゐる秋冷のさるすべり 鷲谷七菜子 天鼓
黄ばむもの赤らむものに秋冷えす 右城暮石 句集外 平成元年
黄金咲くみちのくの棺秋冷す 野見山朱鳥 幻日
牛曳いて消ゆ秋冷の桑がくれ 廣瀬直人 帰路
戸隠の秋冷にあり體操す 岡井省二 猩々
後めたき秋冷の右手となりゐたり 山田みづえ 忘
山国の秋冷に開け屋台蔵 藤田湘子 神楽
山荘の秋冷到るたちまちに 高浜年尾
獅子の笛吹く秋冷の肱を張り 伊藤白潮
紫陽花に秋冷いたる信濃かな 杉田久女
蛇踊り秋冷誘ふ辻の楽 角川源義
秋冷えの彫り痕粗き膝がしら 伊丹三樹彦
秋冷えの目覚め誘うて啼く雀 臼田亜郎 定本亜浪句集
秋冷にふれて小蕪の肌白し 鈴木真砂女
秋冷のかはせみ声をあやまたず 岡井省二 有時
秋冷のさすがにしぼむ乳房かも 飯田蛇笏
秋冷のさだまる岸の深みどり 飯田龍太
秋冷のふるさとを瞰る子のために 飯田龍太
秋冷のまなじりにあるみだれ髪 飯田蛇笏 家郷の霧
秋冷の一幹として立ちつくす 鷲谷七菜子 一盞
秋冷の一夜を経たる新墓域 飯田龍太
秋冷の雲少しづつ海に出る 廣瀬直人
秋冷の樫に葬家の煙り澄む 飯田龍太
秋冷の嬉々たる歩み戸を過ぎし 飯田龍太
秋冷の機中を飾る頬の肉 飯田龍太
秋冷の凝りて一剣伐折羅像 鷹羽狩行
秋冷の極みの滝の散れるかな 鷲谷七菜子 花寂び
秋冷の空とどまれば子の頭にも 原裕 葦牙
秋冷の径穴ありてみづのおと 飯田蛇笏 雪峡
秋冷の黒牛に幹直立す 飯田龍太
秋冷の三箇(さんが)二元(りゃんえん)の卵掌に 加藤秋邨
秋冷の重慶睡る裾に泊つ 中村汀女
秋冷の書を買ふ怒り鎮めんため 山田みづえ 忘
秋冷の丈あきらかに羽黒杉 鷲谷七菜子 游影
秋冷の新月の那須今宵かな 及川貞 夕焼
秋冷の人の気づかぬ梅林 廣瀬直人 帰路
秋冷の瀬音いよ~響きけり 日野草城
秋冷の勢ひゆるめぬ白瀬かな 鷲谷七菜子 游影
秋冷の石階靄の濃き方ヘ 廣瀬直人
秋冷の大きく干され舞衣裳 平井照敏
秋冷の朝の巨船のうごきそむ 岡井省二 前後
秋冷の土鈴のごろりごろりかな 平井照敏
秋冷の道いつぱいに蔵の影 廣瀬直人 帰路
秋冷の虹鱒とよぶ影仄か 飯田蛇笏 家郷の霧
秋冷の日々新たなる供養華 松村蒼石 寒鶯抄
秋冷の白襖またはるかかな 飯田龍太
秋冷の畔うるほひて渓こだま 飯田蛇笏 家郷の霧
秋冷の碑を見つ仰ぐ四囲の山(矢筈山麓、京子碑『茶の花』の遺句に) 飯田龍太
秋冷の膝掛紅き花模様 山口青邨
秋冷の魯公顔真卿の碑ぞ 安住敦
秋冷の檜山杉山匂ひけり 山田みづえ 忘
秋冷の舫ひて白き呉越丸 山田みづえ 草譜
秋冷やかにあぢけなき吾等が世 山口誓子
秋冷や何かの声に身を正す 能村登四郎
秋冷や古りし茅の輪をくぐるより 石川桂郎 高蘆
秋冷や人をむかへて慇懃に 飯田蛇笏
秋冷や船中泊も異国の夜 上田五千石『天路』補遺
秋冷や摩耶六甲と峯連ね 鈴木真砂女 夏帯
秋冷や夜の汐ときにおそろしき 鈴木真砂女
秋冷や佛にのこる金の耳 古舘曹人 砂の音
秋冷や呟きつかれたる夜の汗 飯田蛇笏 家郷の霧
秋冷喉にあり繊きあごを引く 日野草城
女女しくゐて秋冷といふ語に溺る 下村槐太 天涯
小漁港にて秋冷の叺編み 佐藤鬼房
城壁に秋冷にはか汽車ひびく 中村汀女
剃師来て剃る秋冷の朝の髪 能村登四郎
日がさしてゐて秋冷を覚えけり 清崎敏郎
如来にもある秋冷の耳ふたつ 鷲谷七菜子 游影
病床に秋冷身近なる思ひ 高浜年尾
富士遂に見ず秋冷の盆地去る 角川源義
父の死に秋冷ゆる夜となりにけり 稲畑汀子
木洩日もまた秋冷をまとふもの 後藤比奈夫
夕まけて秋冷いたる岩燕 角川源義
緑樹仰ぎて秋冷の座に会へり 飯田龍太
廊の蟻に秋冷いたるあはれさよ 角川源義
齋藤秀雄忌秋冷へ楽高まりぬ 林翔
聲いでてこの秋冷の岩の音 岡井省二 前後


by 575fudemakase | 2017-10-16 09:56 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

ひえびえ・ひやひや の俳句

ひえびえ・ひやひや の俳句

ひえびえ・ひやひや

あけるよりはやひやひやと氷室哉 氷室 正岡子規
いまは妻なしひえびえと青き竹を伐る 栗林一石路
お百度や胃のひやひやと十二月 角川春樹 夢殿
かたびらや汗ひえびえと座にたゆる 飯田蛇笏 山廬集
すさまじくひと木の桜ふぶくゆゑ身はひえびえとなりて立ちをり 岡野弘彦
てゝら干竿ひやひやと秋の海 見道
ひえびえとただ白きもの鶴病めり 宇佐美魚目 秋収冬蔵
ひえびえとなすこと溜る山の影 飯田龍太
ひえびえと闇のさだまる初秋かな 飯田蛇笏
ひえびえと雨月を祭る山の寺 有泉七種
ひえびえと鵜の川透きて蚊帳はじめ 長谷川双魚
ひえびえと鵜川の月の巌かな 飯田蛇笏 山廬集
ひえびえと下掃かれある栗林 綾部仁喜 樸簡
ひえびえと海に色ある小菊かな 藺草慶子
ひえびえと海女の裸に裸の影 飯田龍太
ひえびえと吉野葛餅雉子鳴く 飯田龍太
ひえびえと湖港の楡に秋の虹 石原舟月 山鵲
ひえびえと高野の杉の青山気 豊長みのる
ひえびえと妻の布団をたたみけり 岸本尚毅 舜
ひえびえと手摺見おろせば犇く貨車 古沢太穂 古沢太穂句集
ひえびえと春月のある行手かな 岸本尚毅 舜
ひえびえと春蘭の土こぼれたる 下田稔
ひえびえと朝顔さかりうすれけり 松村蒼石 雪
ひえびえと鳶泛いてゐる雛流し 本村轡
ひえびえと二日の夢に銀の檣 友岡子郷
ひえびえと来るものを知る黒髪(かみ)の芯 宇多喜代子
ひえびえと緑金ひかる薔薇の虫 飯田蛇笏 春蘭
ひえびえと霖すぎし菌山 松村蒼石 寒鶯抄
ひやひやとおとろへてゆく眼かな 黒田杏子
ひやひやときて鮪身を料しをり 菊地一雄
ひやひやとセルの胸辺に夜がたまる 猿橋統流子 『丹波太郎』
ひやひやとどこまで渚桂郎忌 岸田稚魚 『花盗人』
ひやひやとゐて楽めど妻子かな 河東碧梧桐
ひやひやと雲が来る也温泉の二階 夏目漱石 明治二十九年
ひやひやと火絶ちの月日登り窯 木野好枝
ひやひやと句座の空席眼で数ふ 小出秋光
ひやひやと空気を噛めば朝の月 内田美紗 誕生日
ひやひやと月も白しや秋の風 上島鬼貫
ひやひやと賢治の居間の燈りけり 辻桃子
ひやひやと鎖の垂るる夏の山 小島 健
ひやひやと最上紅染膝こぼる 蓬田紀枝子
ひやひやと三猿の顔擦りへつて 水越菖石
ひやひやと水の落ちゆく山の中 宇佐美魚目 秋収冬蔵
ひやひやと瀬にありし手をもちあるく 田中裕明 櫻姫譚
ひやひやと積木が上に海見ゆる 河東碧梧桐
ひやひやと赤貝のぬた春の雪 長谷川櫂 虚空
ひやひやと臓腑まさぐる超音波 中村 弘
ひやひやと竹を過ぎたる人の影 永方裕子
ひやひやと朝日うつりて松青し 冷やか 正岡子規
ひやひやと朝日さしけり松の中 正岡子規
ひやひやと日のさす秋の昼寝かな 長谷川櫂 虚空
ひやひやと白気の上る氷室かな 氷室 正岡子規
ひやひやと百姓帰る山の影 鷲谷七菜子 花寂び
ひやひやと風吹き入るゝ桜哉 桜 正岡子規
ひやひやと壁をふまえて昼寝哉 松尾芭蕉
ひやひやと壁をふまへて昼寝かな 芭 蕉
ひやひやと万多奈の丘の土の黴 阿部みどり女
ひやひやと明けて舟足遅きかな 魴子
ひやひやと夜の手が触れて眠草 高澤良一 暮津
ひやひやと陽水のこゑ裏返る 内田美紗 魚眼石
ひやひやと檜山に坐る水の音 田中裕明 櫻姫譚
ひやひやと蕣のさく垣根哉 士朗
みどりごは泣きつつ目ざむひえびえと北半球にあさがほひらき 高野公彦
よく晴れて景色の芯のひやひやと 内田美紗 魚眼石 以降
一円玉ひえびえマリア観世音 辻桃子
一夜ひえびえ居酒屋に霧かかりけり 川島彷徨子
雲雀湧くはじめ高音のひえびえと 飯田龍太
夏杉の幹ひえびえと楽焼窯 中拓夫 愛鷹
夏富士のひえびえとして夜を流す 飯田龍太
嫁菜摘む裾ひえびえと風通り 草間時彦
樫の瘤ひやひやと風とらへけり 小林道子 『下萌』
刈田の足あともひえびえと兵隊にとられてゆく年 栗林一石路
乾鮭の腹ひやひやと風の立つ 乾鮭 正岡子規
忌の近し触れてひえびえ小米花 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
古都首里 にふみみがかれし石畳、ひえびえとして風ふきとほる 嶋袋全幸
紅葉見や顔ひやひやと風渡る 闌更
山紅葉ひやひやするからもう帰ろ 高澤良一 石鏡
山葡萄までひやひやと眼のゆけり 岸田稚魚 『雪涅槃』
手に受くる絹糸の束ひやひやと 鈴木綾子
春蝉のひやひやと鳴くや山の松 河東碧梧桐
春蝉の音のひえびえとながさるる 飯田龍太
水引草風ひやひやと膝に来る 阿部みどり女
水羊羹匙ひやひやと使ひけり 高澤良一 素抱
怠りし机の朝やひやひやと 藤井巨文星
歎抄霞ひえびえ顔にせり 稲垣法城子
竹林に入るひやひやと暮れにけり 小島健 木の実
朝桜駒のひづめのひやひやと 朝桜 正岡子規
朝雉子のひやひや歩く茄子の畝 中山純子
芭蕉碑や木木ひやひやとよりそひて 小池文子 巴里蕭条
馬追の髪ひえびえとしたがへり 木下夕爾
馬追ひの影ひえびえとしたがへり 木下夕爾
白玉のひやひやういてゐるらん気 松澤昭 山處
畑打の音ひやひやととゞくなり 飴山實 少長集
八重桜日差が胸にひえびえと 川崎展宏
苗床の土ひえびえとあるを覗く 西垣脩
木の芽和に雨意ひえびえと到りけり 島田青峰
夜が去りて花ひえびえと蘭の露 野沢節子
陽炎の芯ひえびえと立ちにけり 綾部仁喜 寒木
翼なき空ひえびえと朝の卓 原裕 葦牙
蓮如忌や木櫃に米のひえびえと 長谷川櫂 古志
炉をひらく火のひえびえともえにけり 飯田蛇笏
老鶯に谷ひえびえとこだましぬ 飯田蛇笏
帷子や汗ひえびえと座にたゆる 飯田蛇笏
爐をひらく火のひえびえともえにけり 飯田蛇笏
簟ひやひや暗し祭笛 節子
蒟蒻の刺身ひやひや山紅葉 井桁白陶

ひえびえ・ひやひや 補遺

あけるよりはやひやひやと氷室哉 正岡子規 氷室
かたびらや汗ひえびえと座にたゆる 飯田蛇笏 山廬集
さてわたしを作る一塊の土ひえびえとあり 荻原井泉水
なほありて生絹の時のひやひやと 岡井省二 前後
ひえびえとなすこと溜る山の影 飯田龍太
ひえびえと闇のさだまる初秋かな 飯田蛇笏 春蘭
ひえびえと一茶の知らぬものばかり 飯田龍太
ひえびえと鵜川の月の巌かな 飯田蛇笏
ひえびえと海女の裸に裸の影 飯田龍太
ひえびえと菊揺れ一機にはあらず 加藤秋邨
ひえびえと吉野葛餅雉子鳴く 飯田龍太
ひえびえと月に親しむ二重窓 飯田龍太
ひえびえと魂さまよへる花辛夷 飯田龍太
ひえびえと酌むや鞠子の梅月夜 上田五千石『琥珀』補遺
ひえびえと手摺見おろせば犇く貨車 古沢太穂 三十代
ひえびえと樟脳匂ふ秋袷 山口誓子
ひえびえと朝顔さかりうすれけり 松村蒼石 雪
ひえびえと日の坂をゆく人の距離 飯田龍太
ひえびえと夕桜旧漁師町 佐藤鬼房
ひえびえと緑金ひかる薔薇の虫 飯田蛇笏 春蘭
ひえびえと囁きあへる返り花 飯田龍太
ひえびえと霖すぎし菌山 松村蒼石 寒鶯抄
ひやひやとお釜なぎさの照り返し 佐藤鬼房
ひやひやとどこまで渚桂郎忌 岸田稚魚
ひやひやと鬼の洗濯岩に波 佐藤鬼房
ひやひやと玄室くらき残暑かな 阿波野青畝
ひやひやと水送りてはたたずめる 上田五千石 天路
ひやひやと朝日うつりて松青し 正岡子規 冷やか
ひやひやと朝日さしけり松の中 正岡子規 冷やか
ひやひやと白気の上る氷室かな 正岡子規 氷室
ひやひやと百姓帰る山の影 鷲谷七菜子 花寂び
ひやひやと風がもてくる若葉の香 林翔
ひやひやと風吹き入るゝ桜哉 正岡子規 桜
ひやひやと齢の華甲負ひにけり 上田五千石 天路
ひやひやと廬遮那佛ほの暗きかな 佐藤鬼房
夏富士のひえびえとして夜をながす 飯田龍太
嫁菜摘む裾ひえびえと風通り 草間時彦 櫻山
家々のひえびえ遠き春隣 飯田龍太
掛稲のかげひえびえとしみじみと 阿波野青畝
乾鮭の腹ひやひやと風の立つ 正岡子規 乾鮭
山葡萄までひやひやと眼のゆけり 岸田稚魚
次の汽車までひえびえと茜空 廣瀬直人
春蝉の音のひえびえとながさるる 飯田龍太
晴夜なり沼ひえびえと火の木影 佐藤鬼房
雪雀湧くはじめ高音のひえびえと 飯田龍太
大地ひえびえとして熱のある体をまかす 種田山頭火
短夜のひえびえ据る八ッ嶽 飯田龍太
竹の山ひやひやありぬ昼の酒 岡井省二 山色
朝桜駒のひづめのひやひやと 正岡子規 朝桜
爪とぐ猫幹ひえびえと桜咲く 西東三鬼
天の川のあざやかさもひえびえ風ふく 種田山頭火 草木塔
曇る坂ひえびえと喪主足早に 廣瀬直人 帰路
梅雨ひえびえ肌みづいろに水死仏 大野林火 雪華 昭和三十六年
畑打の音ひやひやととゞくなり 飴山實
鮒ずしの町ひやひやと桜の芽 鷲谷七菜子 一盞
亡き友とありひやひやと夏炉の火 大野林火 飛花集 昭和四十七年
翼なき空ひえびえと朝の卓 原裕 葦牙
老鴬に谷ひえびえとこだましぬ 飯田蛇笏 春蘭
老鶯に谷ひえびえとこだましぬ 飯田蛇笏 山響集
憑き落ちし面ひやひや風の秋 上田五千石『田園』補遺
暾近くて嶽ひえびえと錦せり 飯田蛇笏 心像

ひえびえ・ひやひや 続補遺

ひやひやと月も白しや秋の風 鬼貫


by 575fudemakase | 2017-10-16 09:54 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

秋湿り の俳句

秋湿り の俳句


肖像の並ぶ廊下や秋湿り 片山由美子

ひとりごと言うては答ふ秋湿り 深谷雄大

青の洞門歳月幽き秋湿り 関根紀恵

秋湿り写真在中の便り手に 青木つね子

揚菓子の拍子抜けして秋湿り 高澤良一 素抱

秋湿り別れの握手痛すぎる 山崎幸子

秋湿りここに極まる窟仏 川崎慶子

肖像は苦悩の気配秋じめり 赤尾恵以

秋湿り虚子の歩みし廊きしむ 松本澄江

秋湿り首都の窪地に貸本星 北野民夫

足の裏むずむず山の秋湿り 岡田史乃

陸の橋さびしと渉る秋じめり 上田五千石『琥珀』補遺

秋湿八切の渡しこれだけか 佐藤鬼房


by 575fudemakase | 2017-10-16 03:21 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・10)

後評(2017・10)



10屈みたる夜店に背後よりの声

(夜店では、後ろから無防備に声を懸けられる恐れがある…)

12雲映す満満のダム鵙日和

(状景をピシと堅めた一句)

13前垂れ・帽子地蔵も後の更衣

(世話役のおばあさんが見えてくる。)

14測量の一歩の碑文秋高し

(伊能忠敬か最上左内かの碑文?)

16夫の寝息聞きて認む良夜かな

(「認(したた)む」とあるから手紙か何かを書き付けているのか?)

18残る蚊に付き纏はるる動物園

(曇日の動物園と言った感じ?小さな古臭い動物園がふさわしい。)

20枯れ蟷螂迫る都電に斧振りあげ

(都電と言えば荒川線?何か勘違いして斧振り上げたか?)

24小鳥来る動物園の供養祭

(私的には、横浜 野毛動物園のつがるさんの末期を知っている。)

27椋一群千鳥破風の天守過ぐ

(キッチリと城を詠めた。)

31爽やかや大仏東(あずま)男振り

(「秋爽の大佛東(あずま)男振り」もあると思った)

39錆び鮎の水滴らす笹の上

(捕獲された一抹の哀れさは出ている。)

40師の家は水の上町月澄めり

(「水の上町」は確か濱の先達、上野さんの棲んだところ。これ知らない方には無縁の句だろう。知己には見逃せない一句。この解釈の多様さが俳句の面白さ。)

43街で遭ふ女医先生の夏帽子

(先生の別の一面見たような…)

49秋果盛る寂しがりやの夫忌日

(「夫忌日」は少し苦しい。ここは字余りの「夫の忌日」でよいのでは…)

52日時計を自慢の教会色鳥来

(ある程度立派な教会らしさが出た。)

54新松子監視カメラの屋敷うち

(首相官邸などこんな具合…)

57宿坊に御師の法話と猿酒

(古臭いが出来上がっている)

60老い母の採り零さじと零余子摘む

(「情」で攻めて来た)

63桐一葉太閤の太刀歯こぼれなし

(秀吉の家紋は確か桐。天守閣かどこかで詠んだのだろう)

64花野あり孔雀の遊ぶワイナリー

(「孔雀の遊ぶワイナリー」はいい。「花野あり」のところまだ上がありそうであるがこれでヨシとして置こう。)

66躓きて満月一瞬吹っ飛べり

(なかなか豪快である。)

68大阪城矢狭間(やざま)をよぎる月の猫

(「らしさ」は出ていると思う。大阪城なんかに行ったことはないんだが…)

73譲り合ひ汲める長寿の水澄めり

(滝の前などでよく見る光景)

74議事堂を弓張月の渡りゆく

(「弓張月」がどうして出てくるのか調べた。馬琴の椿説弓張月で、為朝の「鵺退治」と言うのがある。これが昨今国会で物議を醸している、与党の隠蔽体質暴きと関係あるのか?上記が無くとも「議事堂」と「弓張月」の関係は何となく面白い。どっちみち、時事俳句は一過性のもの。)

77亡き夫の机に月の客となる

(客と己れを客観視した。)

82望の夜の確と唐破風千鳥破風

(天守閣あたりだろうか?)

87東京の地下は洞なり雁渡し

(オリンピック目掛け東京は今、穴ポコだらけ。それに天空の雁を合わせた。)

91汐木焼く煙に釣瓶落としの日

(正統派ならこう来るのであろう。まあ常道。)

96秋の滝をんなが脚を組むやうに

(女が組むのであるから白足であろう。何処と無くエロチック)

98あさがほを破りしほどの雨上がる

(「破りしほど」の措辞がいい)

100水底の石を晒して水澄めり

(晒すとは、だれの目にもつく、むき出しの状態に置くことと辞書にある。「晒す」が効いている。)

104せり上がる城の煌煌月真澄

(色の表記はないが白。白鷺城といったところ…)

105何か始まる湖面に霧の這ひ出でて

(「何か始まる」が軽く意表を衝く)

109バスに乗り遅れて釣瓶落としかな

(気を落としたところに差し込んで来たのは…)

117空堀に萩や芒や月祀る

(城址にての月見。感じ出ている)

119民宿のおやじが頼り茸採り

(「おやじが頼り」などと打ち砕けてていい)

120駅弁も茶も売り切れや豊の秋

(何もかも売り切れていたか?)

122蔦紅葉搦め手登る二手三手 

(「二手三手」と追い込んだところが手柄)

130秋冷の池は五重の塔沈め

(よくある景だ。山口なら瑠璃光寺。)

145サフランの花を巡らせ人嫌ひ

(「人嫌ひ」と庭主の心理を描写した)

148手鏡に鏡のやうな月映す

(月、ピカピカしてたんだろうネ)

150篁の股間に谺ばつたんこ

(「股間に谺」とは大胆に言った)

155肩車ひ孫と爺の地蔵盆

(目線が肉親へと向いたところが面白かった)

165ストレッチャー入れてドア閉づそぞろ寒

(自分のこと言っているのだろうなぁ…)

166翅ふるはせ水吸ふ秋の揚羽かな

(よく見る光景だが、「秋の揚羽」で多少利いたか)

168かつて観し敦煌の月けふの月

(「懐古」には弱い)

178虎尾草のくすぐつてゐる山の空

(一寸と洒落たが許容できる範囲だ)

185夢結びしか山査子の実の真っ赤

(何の夢か判らんが達成感は真紅に通ず)

189富士薊もう一花の穂絮抱き

(もう一華やぎといったところ…。「一花」と「一華」では雲泥の差あり)


句の評などと言うものは、元来大層なものじゃない、読み手がそれを読んで、そこに

流れたたわい無い気分のようなものだと思っている。それ以上のものなんかじゃ決してない。


以上















by 575fudemakase | 2017-10-15 18:21 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

秋曇 の俳句

秋曇 の俳句

秋曇

しづけさのおのれに咽び秋曇 森澄雄 四遠
たらちねの母君の仆を秋曇 石塚友二 方寸虚実
つながれて犬秋曇の石に坐し 阿部みどり女
にはとりの飼はれて肥ゆる秋曇り 雨宮きぬよ
やうやくに黍の穂曲る秋曇り 飯田蛇笏
芦も鳴らぬ潟一面の秋ぐもり 室生犀星 魚眠洞發句集
一天に暁紅を刷り秋曇 富安風生
火にちかく邯鄲の鳴く秋ぐもり 飯田蛇笏 春蘭
江戸つ子は華堂氏で終り秋曇る 長谷川かな女 花 季
汐上げてゐる流木の秋ぐもり(桑名) 細川加賀 『生身魂』
秋陰や生木に五寸釘のあと 鯉江一童子
秋陰をまとへる海女の素描かな 大橋敦子
秋曇のどこかまぶしく海の上 阿部みどり女
秋曇の幹の褐色ドラン死す 桂信子 女身
秋曇の目の前にある松の幹 桂信子 遠い橋
秋曇や山路に深き轍あと 阿部みどり女
秋曇や手のなき兵士うしろむき 細谷源二 鐵
秋曇り上野に来れば晴れしかな 長谷川かな女 雨 月
秋曇赤城は桑のはてを占む 瀧春一 菜園
秋曇男の裏地いつも紺 香西照雄 素心
秋曇売れし後拭く屋台店 中村草田男
小車の花立ち伸びて秋曇り 東壷
大蘇鉄秋陰の根が海鳴りす 渡辺恭子
滝上や大瀬のよどむ秋曇り 飯田蛇笏 霊芝
断ってばかりの家居秋ぐもり 高澤良一 石鏡
鳶の輪の遠のいてゆく秋ぐもり 塩崎敦子
蝿たゞに死ぬ日をみたり秋曇 暁台
髪刈れば母また小さし秋曇 古賀まり子 緑の野以後
頒布振れば隔たる船や秋曇 杉田久女
文字を覆ふ秋曇の影淡きかな 阿部みどり女
弁当を覗かれている秋曇り 平山道子
珈琲は手の中の沼秋ぐもり 皆吉司
蘆も鳴らぬ潟一面の秋ぐもり 室生犀星

秋曇 補遺

しづけさのおのれに咽び秋曇 森澄雄
たらちねの母君の仆を秋曇 石塚友二 方寸虚実
やうやくに黍の穂曲る秋ぐもり 飯田蛇笏 春蘭
因果めくヂンタの音あり秋曇 中村草田男
円柱の高さに触れし秋ぐもり 岡井省二 五劫集
火にちかく邯鄲かきて秋ぐもり 飯田蛇笏 心像
火にちかく邯鄲の鳴く秋ぐもり 飯田蛇笏 春蘭
街道に暁の灯のこり秋曇 桂信子 花影
倶利伽羅をすぎて杉生の秋曇り 村山故郷
雑魚ばかり釣れる河口の秋曇り 橋閒石
山雀の眉間の白や秋曇 原石鼎 花影
首切る工場秋曇の水を運河に吐ざ 金子兜太
秋陰の身構へもなき烏城かな 山田みづえ 草譜
秋陰の濃く通夜堂といふとかや 後藤比奈夫
秋陰やある日銀座で鴉啼き 鈴木真砂女
秋曇とてはつきりと塔は見ゆ 後藤比奈夫
秋曇の幹の褐色ドラン死す 桂信子 女身
秋曇の巷蛸の重さも想ひ棄て 渡邊白泉
秋曇の林檎拭きをはり嘔吐せり 渡邊白泉
秋曇や手のなき兵士うしろむき 細谷源二 鐵
秋曇り午前はゐし藻刈舟 能村登四郎
秋曇る一本松の岩裂く根 西東三鬼
秋曇山なす錆び罐の顔鉄線の手等 金子兜太
秋曇男の裏地いつも紺 香西照雄 素心
秋曇売れし後拭く屋台店 中村草田男
船笛の頭上に割れて秋曇し 鷹羽狩行
滝上や大瀬のよどむ秋曇り 飯田蛇笏
啄みてただ秋陰の烏骨鶏 石田波郷
土耳古桔梗秋陰の天やはらかし 山田みづえ 手甲
蝿たゞに死ぬ日をみたり秋曇 加藤曉台
領布振れば隔たる船や秋曇 杉田久女


by 575fudemakase | 2017-10-15 09:20 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

2017年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


5星のこと良く知る人と登山小屋

6夫と繰る旅のアルバム月今宵

7ゆく川の流れは絶えず梅花藻咲く

10屈みたる夜店に背後よりの声

11蜂の子を目出度きものと奨めらる

12雲映す満満のダム鵙日和

13前垂れ・帽子地蔵も後の更衣

14測量の一歩の碑文秋高し

15丹精の新米くれて恵比須顔

16夫の寝息聞きて認む良夜かな

18残る蚊に付き纏はるる動物園

20枯れ蟷螂迫る都電に斧振りあげ

21露しぐれ萩は真白にうち伏して

24小鳥来る動物園の供養祭

27椋一群千鳥破風の天守過ぐ

29手捻りの猪口にて啜る走り蕎麦

31爽やかや大仏東(あずま)男振り

33己が身を先づは労はる敬老日

35滝音を心静かに茶屋にかな

39錆び鮎の水滴らす笹の上

40師の家は水の上町月澄めり

43街で遭ふ女医先生の夏帽子

47切り口に種の埋もる西瓜かな

49秋果盛る寂しがりやの夫忌日

50爽やかや車中にすくと盲導犬

52日時計を自慢の教会色鳥来

54新松子監視カメラの屋敷うち

57宿坊に御師の法話と猿酒

58師系みな子規に繋がる獺祭忌

59その中に姉の笛吹く虫時雨

60老い母の採り零さじと零余子摘む

63桐一葉太閤の太刀歯こぼれなし

64花野あり孔雀の遊ぶワイナリー

66躓きて満月一瞬吹っ飛べり

68大阪城矢狭間(やざま)をよぎる月の猫

73譲り合ひ汲める長寿の水澄めり

74議事堂を弓張月の渡りゆく

76従軍の子規仕込み杖身に入めり

77亡き夫の机に月の客となる

82望の夜の確と唐破風千鳥破風

87東京の地下は洞なり雁渡し

88立待の雨音強し早寝かな

91汐木焼く煙に釣瓶落としの日

93猪の皮山影に干す渓の宿

94葱を植う一日を畝に屈まりて

96秋の滝をんなが脚を組むやうに

98あさがほを破りしほどの雨上がる

100水底の石を晒して水澄めり

104せり上がる城の煌煌月真澄

105何か始まる湖面に霧の這ひ出でて

109バスに乗り遅れて釣瓶落としかな

111天守閣下りるに纏ふ秋思かな

117空堀に萩や芒や月祀る

118稲架掛けや稲たば少しねぢりては

119民宿のおやじが頼り茸採り

120駅弁も茶も売り切れや豊の秋

122蔦紅葉搦め手登る二手三手 

130秋冷の池は五重の塔沈め

134名月や水の冷くるダムの上

136木洩れ日の揺るる甘酒飲みにけり

141ポケットの柴栗ひとつお地蔵へ

144秋の声石の蛙の耳澄ます

145サフランの花を巡らせ人嫌ひ

148手鏡に鏡のやうな月映す

150篁の股間に谺ばつたんこ

153打ち損じなるも新蕎麦香り佳し

155肩車ひ孫と爺の地蔵盆

161吹かれゐて気ままがよろし葛の花

165ストレッチャー入れてドア閉づそぞろ寒

166翅ふるはせ水吸ふ秋の揚羽かな

168かつて観し敦煌の月けふの月

176秋刀魚焼く男ひとりの昼餉かな

178虎尾草のくすぐつてゐる山の空

180秋燕や空き家となれる軒端の巣

185夢結びしか山査子の実の真っ赤

186山霧に巻かれて下るループ橋

187残る虫鳴かずに縋る力石

189富士薊もう一花の穂絮抱き


以上















by 575fudemakase | 2017-10-14 22:20 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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