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軍艦 の俳句

軍艦 の俳句

軍艦

アダリンが白き軍艦を白うせり 西東三鬼
カツ揚る沸騰空母沈むさまに 大原テルカズ
クーラーのしたで潜水艦つくる 大石雄鬼
くろがねの戦艦ドック星月夜 脇本星浪
このわたや空母ぞろりとみんなみへ 永末恵子
すぐそこに軍艦のゐる金魚玉 関口謙太
まぼろしの空母に種を蒔きゐたり 攝津幸彦 鹿々集
まぼろしの戦艦ゆけりさくら貝 白岩 三郎
ヨットハーバー見張りの如く軍艦浮く 影島智子
安珍の軍艦一ツわたし船 正岡子規
雲の峯艨艟雲に隠れ行く 雲の峯 正岡子規
艶笑劇場(バーレスク)地下の「戦艦ポチヨムキン」 高橋龍
遠景に軍艦 落花撥ね 撥ね 基地の少女 伊丹公子
沖へ軍艦髭垂直にきりぎりす 星野昌彦
沖を行く軍艦はあり盆の月 比叡 野村泊月
屋上に洗濯の妻空母海に 金子兜太
音もなく空母の燃ゆる春の海 星野石雀
夏の髪潜水艦になりたがる あざ蓉子
火のついた受話器 軍艦が見える部屋 伊丹公子
火のついてた受話器 軍艦がみえる部屋 伊丹公子
花みかん潜水艦の来てをりぬ 松下章子
花八つ手敵の母艦が潜む庭 高澤良一 随笑
改札より潜水艦の見えて冷ゆ 田中貞雄
海底に軍艦沈んで吐き出す海 大屋達治 繍鸞
海底の戦艦を発つ黒揚羽 高野ムツオ 雲雀の血
貝掘りのすたすたと行く沖に空母 寺井 谷子
顎引いて睡り空母を消す嬰児 五十嵐研三
刈草高く積み軍艦が見えなくなる 鴻巣又四郎
寒い朝巨大空母と茶の間に居り 国 しげ彦
岸釣の軍艦岩は人多し 天野 逸風子
眼をつむり軍船の豚にならう 藤後左右
駆逐艦沖に黒船祭来る 名高栄美子
空母「みどり」秋天に泌みいる血友病 攝津幸彦
空母仮泊の暮れる沖見え餅焦がす 畑稔
空母浮き枯葉ばかりが音たてる 柿本多映
空母来て日がな一日秋の蝿 木枝一翁子
屈強のタオルを運ぶ潜水艦 攝津幸彦
軍艦 いいえ 遊覧船 日暮黄浦江 伊丹公子 機内楽
軍艦が軍艦を撃つ春の海 高柳重信
軍艦が常の笑ひのあひるかな 攝津幸彦
軍艦が大きくなりぬ冬の暮 綾部仁喜 寒木
軍艦が沈んだ海の 老いたる 富澤赤黄男
軍艦が日傘の端で見えぬなり 波多江敦子
軍艦が乳房の上に浮かんでいた 暉峻康瑞
軍艦と鴨の一団入江統べ 高澤良一 石鏡
軍艦と呼ばるるビルやいなびかり 上谷昌憲
軍艦に四万六千日の波 高澤良一 素抱
軍艦に乗つて遥かな雪達磨 渡辺誠一郎
軍艦に鼠がすめり愚は人に 杉村聖林子
軍艦に遅れて着きぬ赤き靴 攝津幸彦
軍艦に天長節の夜会かな 数藤五城
軍艦に明るき祖父の葛湯かな 攝津幸彦 鹿々集
軍艦に落ちゆく鳥や春の鳥 中村 苑子
軍艦のあとかたもなき海市かな 荒木かず枝
軍艦のそばに鰡釣る小舟かな 福田把栗
軍艦のデッキの菊や佳節凪ぎ 飯田蛇笏 山廬集
軍艦のやうな靴ある梅雨の土間 砂山節子
軍艦の沖にかゝるや春の風 春風 正岡子規
軍艦の海苔麁朶に遠く掛りけり 海苔 正岡子規
軍艦の錆浮き上がるカステーラ 星野昌彦
軍艦の出入り眼下に菜を間引く 石松昌子
軍艦の全身見えて氷水 櫂未知子
軍艦の沈みしあとを群千鳥 千鳥 正岡子規
軍艦の泊まる港や植木市 栗原利代子
軍艦の帆檣高し渡り鳥 渡り鳥 正岡子規
軍艦の浮標に下りる千鳥哉 寺田寅彦
軍艦の迷路 鏡に兵の背後がある 伊丹公子 陶器の天使
軍艦の模型に死せり大蜻蛉 坂本久子
軍艦はみな火ともしておぼろかな 会津八一
軍艦は沈むが島は沈まぬぞ 藤後左右
軍艦へ身を寄せている貝がある 山本芒原
軍艦へ夕鯵運ぶボオト哉 楽々
軍艦も父も写真や花火の夜 脇本星浪
軍艦や流るる汗に鋼の膚 筑紫磐井 婆伽梵
軍艦をひとひねりする秋の暮 攝津幸彦
軍艦を見に行く舟や秋日和 秋日和 正岡子規
軍艦を桃と思ひて沈めたり あざ蓉子
軍艦を陸に封じて雲の峰 綾部仁喜 樸簡
軍艦何のかたまり青田闇からみえ 五十嵐研三
軍艦島見んと花野を抜けにけり 高田たみ子
軍艦曇る無音の沖や秋砂防 古沢太穂 古沢太穂句集
軍艦入港朝の艀に乳張らせ 金子兜太
軍船は海にしづみて花ぐもり 飯田蛇笏 山廬集
軍船よ浮ぶ豚舎よどうにかならう 藤後左右
軍船よ浮ぶ豚舎よ死にたくは無い 藤後左右
軍船よ浮ぶ豚舎よ着けばわかる 藤後左右
軍船よ浮ぶ豚舎よ負けはすまい 藤後左右
原子力空母卯浪を蹴立て発つ 稲畑廣太郎
高原を空母とおもふ良夜かな 仲寒蝉
妻は母艦 ぼくは母艦の灯へかえる 二見杏路
菜の花の沖に潜水艦浮かぶ 佐川広治
珊瑚生れもう戦艦の来ぬ青さ 玉城一香
秋かすむ戦艦といふこはれもの 松澤雅世
十五夜の沖軍艦の行く眩暈 下向良子
十五夜の潜水艦は水の中 攝津幸彦
春月の丘校舎成り艦艇沈み果てぬ 藤後左右
初汐やどつくにはいる軍船 初潮 正岡子規
初嵐軍艦悠然として來る 初嵐 正岡子規
松虫や兄は潜水艦乗りだ 相原左義長
榛名赤城も霞む軍艦の世は過ぎて 伊丹公子
深海に軍艦腐る磯遊び 吉田汀史
水羊羹軍艦いろに冷えている 山田雲洞
雪だるま兄は潜水艦だった 相原左義長
雪崩です沈みゆく白い軍艦です 田中芥子
戦艦が沈んでゆきし夜長かな 大口元通
戦艦にて父の越えけむ海原を飛機に越え来て父を越ええず 金子貞雄
戦艦の骨箱にして蕨萌ゆ 川崎展宏
戦艦の如く冬雲進みけり 本居三太
戦艦は海底にあり黄砂降る 大庭紫逢
戦艦描く鉛筆をまた十本削り 五十嵐研三
洗つた手から軍艦の錆よみがえる 林田紀音夫
潜水艦さくらのために浮上する 佐藤虎雄
潜水艦のごとく眠りぬ熱帯夜 森須 蘭
潜水艦のようにとんぼが飛んでいる 西川 徹郎
潜水艦繋がれ数え日の入江 高澤良一 石鏡
潜水艦全艦浮上夏来る 重松早由未
潜水艦泊つる呉港鰡飛べり 川口崇子
潜水艦浮いて若布も浮いて来る 原徹 銀化
潜水艦浮かびあがれば雨月なり 杉本雷造
潜水艦霧雨隠りにその艦尾 高澤良一 石鏡
窓のなき潜水艦に雪降れり 茨木和生 木の國
霜月の軍艦ひそむ入江かな 霜月 正岡子規
敵艦は撃たれ月光梅に照る 渡邊水巴 富士
敵艦を弔す水仙挿しゝばかり 渡邊水巴 富士
冬の波軍艦岩をひと呑みす 富内英一
冬雲や父軍艦に朱を掲げ 宇多喜代子
虹が出るあゝ鼻先に軍艦 秋元不死男
日暮れ胸裡に冥府の空母わだかまる 林田紀音夫
入学や軍艦冨士を校舎とし 大橋櫻坡子 雨月
猫の上の日向の汚れ空母近し 杉本雷造
梅雨入の大学病院軍艦めく 高澤良一 寒暑
白栄えて我がくれないの軍船 松田正徳
白鳥や空母浮んでなにもせず 和田悟朗
麦踏や沖にはみだす空母の灯 竹下流彩
病院は軍艦に似て終戦日 高澤良一 素抱
父の日のドックに乾く潜水艦 内田美紗 誕生日
風入るる軍艦榛名よりの文 高橋沢子(愛媛若葉)
分捕の軍艦見ゆる涼みかな 正岡子規
暮れてなほ母艦遊びや青木の実 高澤良一 素抱
明易や軍艦はまだ錆のまま 宇多喜代子 象
明月の夜の湾に肌漬けて青ざめてゐた軍艦 藤田秋泉
木瓜咲いて軍艦マーチ歌いだす 岸本マチ子
遊覧船の鏡裡に 軍艦と少年の首 伊丹公子
緑蔭に男は優しき潜水艦 夏石番矢
冷まじや軍艦のそば下駄流れゆき 納漠の夢
鷲の眼に濤と戦ふ巨艦あり 永田青嵐
泛く原理鴨と同じや軍艦は 高澤良一 石鏡
稻妻や敵艦遠く迯げて行く 稲妻 正岡子規
蠅生れ戦車軍艦復た還る 石塚友二

軍艦 補遺

アダリンが白き軍艦を白うせり 西東三鬼
ガラスのコツプ--戦艦が炎えてゐる 富澤赤黄男
すれちがふ戦艦我等稼ぐなり 三橋敏雄
むつふじと軍艦の名よあはれ林檎 山口青邨
よろけ顕つ女神の尿の艨艟(いくさぶね) 佐藤鬼房
わが孤絶の 無燈の軍艦(ふね)は脱出せり 富澤赤黄男
われありぬ軍艦島に春の海 山口青邨
安珍の軍艦一ツわたし船 正岡子規
雲の峯艨艟雲に隠れ行く 正岡子規 雲の峯
屋上に洗濯の妻空母海に 金子兜太
灰色の艨艟据り浪寒し 日野草城
寒江に敵艦甲板以下浸り 山口誓子
軍艦が沈んだ海の 老いたる鴎 富澤赤黄男
軍艦に落ちゆく鳥や春の鳥 中村苑子
軍艦のデッキの菊や佳節凪ぎ 飯田蛇笏 山廬集
軍艦のどれもより朝の喇叭が鳴れり 尾崎放哉 大正時代
軍艦の沖にかゝるや春の風 正岡子規 春風
軍艦の海苔麁朶に遠く掛りけり 正岡子規 海苔
軍艦の沈みしあとを群千鳥 正岡子規 千鳥
軍艦の帆檣高し渡り鳥 正岡子規 渡り鳥
軍艦を見に行く舟や秋日和 正岡子規 秋日和
軍艦大鯨の水兵が受く破魔矢かな 山口青邨
軍艦入港朝の艀に乳張らせ 金子兜太
軍船は海にしづみて花ぐもり 飯田蛇笏 山廬集
月下ゆき<旗艦>誌かなしく背嚢に 伊丹三樹彦
燦めく空母 石段に子の拳銃昏れ 伊丹三樹彦
捨て犬の灰色にみる母艦浮き 赤尾兜子 虚像
秋の浪艦艇長き艫を牽く 山口誓子
初汐やどつくにはいる軍船 正岡子規 初潮
初嵐軍艦悠然として來る 正岡子規 初嵐
吹雪くらみの 僚艦 専らラッパ磨く 伊丹三樹彦
吹雪く渡舟 僚艦みたいに女囲み 伊丹三樹彦
潜水艦ぽっかり フォークダンスの男女の沖 伊丹三樹彦
霜月の軍艦ひそむ入江かな 正岡子規 霜月
敵艦は撃たれ月光梅に照る 渡邊水巴 富士
敵艦を弔す水仙挿しゝばかり 渡邊水巴 富士
溺愛の虻つれてゆく軍艦よ 飯島晴子
蝿生れ戦車軍艦復た還る 石塚友二 光塵
分捕の軍艦見ゆる涼みかな 正岡子規 納涼
霧雨の艦艇あをき夏衣の娘 佐藤鬼房
明笛鳴り軍艦通る月見草 中村草田男
稻妻や敵艦遠く迯げて行く 正岡子規 稲妻
藪漕ぎ抜けの島頂 昔 「敵艦見ゆ」 伊丹三樹彦
蠅生れ戦車軍艦復た還る 石塚友二 光塵
襁褓の隙空母仮泊の暑い海 飴山實 おりいぶ

by 575fudemakase | 2017-11-22 08:20 | 無季 | Trackback | Comments(0)

那智の滝 の俳句

那智の滝 の俳句

那智の滝

いのちなりけり元朝の那智の滝 松尾隆信
しばらくは滝と語りぬ那智の奥 市野沢弘子
せり上る都踊の那智の滝 大橋越央子
どこからも見えて那智滝冬に入る 路 清紫
みづからのしぶきにけぶり那智の滝 片山由美子 天弓
雲よりの那智の御滝神杉に 河野静雲
海からの風にたなびくや那智の瀧 長谷川櫂 虚空
近づけば木立に隠れ那智の滝 片山由美子 天弓
銀漢に鳴りとよもせる那智の滝 鈴木貞雄
結氷をゆるりと落とす那智の滝 小林茂晴
枯滝にして拝まるゝ那智の冬 高浜年尾
御ン滝の那智ぞ那智ぞと翻る 沼尻巳津子
轟きに虹を架けたり那智の瀧 五島高資
秋の海那智山滝を落しけり 内藤吐天
初空に那智の滝あり入港す 山下青葭
神にませばまこと美はし那智の滝
水貝やその足で発つ那智の滝 宇佐美魚目 天地存問
瑞籬や神にまします那智の滝 高橋淡路女 梶の葉
勢いを静めて落とす那智の滝 佐々木ゆき江
大那智の滝の上なる初御空 泊月
大那智の滝水那智を養へり 右城暮石 上下
大和蝉恋ひ来し果てや那智の滝 沼尻巳津子
滝をさゝげ那智の山々鬱蒼たり 相馬遷子 山国
滝を捧げ那智の山々鬱蒼たり 相馬遷子「山国」
滝茶屋や那智の巫女時計見に 高橋淡路女 梶の葉
滝涼し那智の巫女字を習ふ 橋本鶏二 年輪
瀧落ちて月光那智にあふれしむ 黒田杏子 花下草上
注連高く那智の瀧空雲置かず 下村ひろし 西陲集
那智に座す荒ぶる魂を滝となし 稲岡長
那智の滝たま~めをと遍路かな 高橋淡路女 梶の葉
那智の滝一尺見ゆる雛の家 吉本伊智朗
那智の滝見るたのしみの花の旅 星野立子
那智の滝秋の虹へと遡る 五島高資
那智の滝葉月の空に懸りける 加藤不二也
那智の瀧一尺見ゆる雛の家 吉本伊智朗
那智の瀧見し眸に巫女の燃えにけり 野見山朱鳥
那智を去る瞼に滝の落ちつづけ 山口超心鬼
那智滝の巌頭に佇ち青下界 角川源義
那智瀧のしぶきをあびし年もゆく 細見綾子
白でなし透明でなし那智の滝 宇多喜代子
白光の天上天下那智の滝 成田千空
白木蓮や遠くひかりて那智の滝 石原八束
磐石に置きし法皷や那智の滝 橋本鶏二 年輪
緋縅の蝶吹き上げよ那智の瀧 筑紫磐井 婆伽梵
碧落へ注連張つて那智一の滝 肥田埜勝美
補陀落やあらはにおはす那智の滝 高橋淡路女 梶の葉
補陀落や滝の聳ゆる波の上 春樹 (海上より那智の滝を望む)
望むべし神の滝縦一文字(那智瀧) 岸田稚魚 『萩供養』
万緑をしりぞけて滝とどろけり 七菜子 (那智)
命綱付けて注連張る那智の滝 後藤静一
薬草を掘るまなかひに那智の滝 上村英雄
落下する先も虚空や那智の滝 稲岡長
涸れ細りたりとはいへど那智の滝 森田峠 避暑散歩

那智の滝 補遺

うすもみぢしてよそほへり滝の山(那智の滝) 細見綾子
はるばると来しふだらくの滝の前(那智の滝三句) 細見綾子
ふだらくの那智瀧紅葉してあらむ 細見綾子
一月や素の水落す那智の瀧 森澄雄
稲架組みて那智の里人滝も見ず 村山故郷
沖邊より見ゆ天懸る瀧は那智 三橋敏雄
萱艸の花の朱の冴え那智の瀧(那智) 細見綾子
行く秋のふだらく山の鐘つきし(那智の滝) 細見綾子
時じくに秋空欠けて滝落つる(那智の滝) 細見綾子
秋の蝶ふたたび滝をよぎりたる(那智の滝二句) 細見綾子
昭和五十五年五月五日の那智御瀧 百合山羽公 樂土
大那智の滝一つ見て熊野去る 右城暮石 句集外 昭和三十九年
大那智の滝水那智を養へり 右城暮石 上下
滝の面のはつかな日ざし秋の虹(那智の滝) 細見綾子
滝をさゝげ那智の山々鬱蒼たり 相馬遷子 山国
滝落ちて朱の秋の蝶生れたり(那智の滝二句) 細見綾子
瀧しぶきにひたすら濡れてゐたりけり(那智の滝三句) 細見綾子
注連掛くる雪解小滝も那智の裔 上田五千石『琥珀』補遺
那智の滝まなかひに枝垂桜かな 山口青邨
那智の滝見るたのしみの花の旅 星野立子
那智の瀧高し巡禮道遠し 百合山羽公 樂土
那智の瀧木々草々の伏しなびき 阿波野青畝
那智詣かなひて滝の写真撮る 阿波野青畝
那智滝のしぶきをあびし年も行く 細見綾子
那智滝の大秋晴に会ひにけり 村山故郷
那智滝の巖頭に佇ち青下界 角川源義
那智瀧のしぶきをあびし年も行く 細見綾子 存問
盃の瀧水をのみほしにけり(那智の滝三句) 細見綾子
白毫の遠きを拝し那智の滝 鷹羽狩行


by 575fudemakase | 2017-11-22 08:16 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・9)

後評(2017・9)


お花畑天女のやうな雲流れ

恐らくお花畑には山霞等が流れていよう。俳句に詠んだのは目線上のお空の方。

同作者に秋簾の句があったが、アレは明治・大正・昭和初期あたりに既に詠まれてゐてもおかしくないと判断する故ここでは推さない。


歪なることまだ知らず青くわりん

当句に、何処か説教臭が籠もるのは、人に依っては瑕瑾と映ることがあるやもしれない。


青嵐仏横抱き螺髪彫る

仏師か?眼前如実である


葛の花誰も通らぬ道となり

もう誰も通らなくなった小径が葛原に消えている。


行き合ひの空より現れて滝一条

滝が自然に視野に入って来る…そこら辺の呼吸をうまく言い取っている


地獄草紙蛆虫眼ぎよろりかな

絵はマンガチックに出来あがっている。一寸稚拙にさえ感ずる程度に…。一言「ギョロリ」が効いた。今年 盛夏に三井記念美術館で 地獄絵展を見て来た。無論 地獄草紙も展観した。

上記の通りであった。


サングラス街騒シンとする思い

暗色に沈んでゆく想いはこんな感じか?


ゆく秋のこんなに深い空はじめて

独り言俳句のようなところがよい。「こんな」「あんな」は私も多用するところ。この措辞は

句の叙述に当たって、より具体性を与えるのでオススメしたいところ。(指示代名詞の効用)


頭を揺らし夏蚕は繭を作りゆく

夏蚕の頭部に焦点を当てて臨場感を引き出した。


溶けるほど雨に打たるる白芙蓉

雨に遭った芙蓉は正に溶けるが如くである。私は毎日咲いて散る芙蓉を見ているが全くこの通り。

材質感を完全に捉えている。芙蓉は白芙蓉でないと駄目だ。


ほらそことほつれをかがる蜘蛛を指す

逐一言葉を拾って一句と為した。この方の旨さは群を抜いている


鈴の緒のこんなに痩せてきて大暑

「こんなに痩せてきて」は一寸間延びして冗長感は否めないが、実体はシッカリ捉えてはいよう。


虫干の紐より帯のだらりかな

「紐」も「帯」もダラリとぶら下がることには大差はない。なのに、この作者は「帯」の方に敢えて、軍配を挙げる。駄目押しをやるのである。何故か。材質感を明示したいのである。


そのことの一瞬止まる遠花火

「そのことの一瞬止まる」とは進行する花火の一所作、一所作に目を配った時の言葉。この目配り、言い分がこの作者の独自なところ。凡人では「そのことの」は先ず出て来ない。


蓼科の霧閉ざしゆく小津旧居

小品で手堅い


川おこぜ父の近くで追ひし頃

「川おこぜ」なんて在の人の言う言葉であろう


鼠花火行き先を決めかねて果つ

大きな方向転換をするでもなく、足許近辺で愚図愚図しているのを見遣って、この小心者めがとでも内心言っているような一句。


汗の身を合掌一礼して正す

叙述に工夫がある。こんな事だって評価の対象になる。ゆめゆめ油断なさるな…


満月を載せて戻りぬ浚渫船

汚れた浚渫船をこう美しく詠むのも芸の裡


金輪際動く気のなき山椒魚

金輪際動かぬ蓮の間の水 は拙作。「金輪際」と「動く」「動かぬ」は昔から接着剤で貼り付けたような間柄。


滝となる水の真白に迸る

滝に豹変する前の水の本性につき言及した


城址も濠も名のみや蒲の絮

昔の痕跡を辿れるのも「蒲の絮」の御蔭。


白粉花飯盛墓の宿場あと

藤沢の宿には飯盛女がゐてその墓もあの辺りにあるからと誘いを受け吟行をした事もあった。

白粉花は、ちとつき過ぎの感もあるが、まぁこんなところかも…。


湯浴みして目瞑りをれば虫のソロ

「虫のソロ」が小憎い表現。


秋夕焼言の葉浮かぶ前に消ゆ

こんな風に持ってまわった表現が未だあったのか? 貶しているのではない。感心して居るのである。内心に起こって消えた一些事…。



以上


by 575fudemakase | 2017-11-22 06:00 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・11)

後評(2017・11)


2017年 11月 ねずみのこまくら句会の諸句


5諾へぬ電話の切れず夜の寒し

(これ実感。ご同情申し上げます。)

10この山の夕日集めて木守柿

(うーん 五七多少難無しとせず…厳しく言えば。)

11蝦夷鹿の雄叫びあとは風の音

(良いのか悪いのか?無論句は出来ていますよ…)

16寝座探す椋鳥の騒騒逢摩時

(こんな感じは確かある)

17秋祭り十枚こはぜゆるぎなし

(いざ出陣と言ったところ)

21上の子の鼻緒直せり七五三

(これは母親でなければ出来ない句)

26噂話あれ馬追の髭動く

(話ろくすっぽ聞いてないと言うこと?なら面白い。あれ松虫は確か唱歌の一小節。凝った句だ。)

31立冬や蒼天を突く避雷針

(詠み方としては正攻法)

33唇に残る通草の甘さかな

(局所を押さえたと思った)

39凍空の羽打つ音を返し来る

(ある程度の水準には行っているのでは?)

50眠る児の掌よりこぼるる木の実かな

(「こぼるる」がいいのか「こぼれし」がいいのか)

52秋惜しむ小雨に浮かぶ石舞台

(石舞台がせり出したという感じ…烟る雨に…)

54断捨離の書棚がらんと文化の日

(私も目下その最中なのです。シーザーの「ガリア戦記」等はもう一度読みたいと残した 一冊)

57やや寒や首まで浸かる薪の風呂

(昔は皆こんなだったんじゃあ…と振り返る。)

58無花果を煮詰める雨のひと日かな

(この手の俳句は何処かで見たような…。昔「濱」の女流がよくやったのでは…。)

59同郷の牛飼の墓冬深し

(一つの物語が在るにはあるが…)

66禅林の玉砂利の音初紅葉

(オーソドックスな詠法。先づ間違いない詠法。)

79秋水の己貫くごとくゆく

(こんな秋水もあろう。心理を自句に託した。)

81秋耕の鍬音高し空高し

(内容は然程とは思うが、「高し」のリフレインに引き摺られる)

86仲見世に飴を切る音七五三

(東京の俳人ならこれぐらいはおちゃのこサイサイでは?出来てはいるが季語は未だ動くのでは?。)

87水琴窟ちんちんちんと冬に入る

(個人的には水琴窟は詠まないが、この句の七五はグーと思う)

91雁鳴くやわたし降りれば空のバス

(七五は魅力的。問題は「雁鳴く」。これ以上があるかと言う点?無論 原句で充分だが。その上…。今句会で小生が一番興味をもつたのは当句。というのは、大野林火の句に「紙漉きのこの婆死ねば一人減る 潺潺集 昭和四十一年」と言うのがあって、その口吻がこの句にも見られるのである。林火親しやである)

93千枚田守る田捨てし田草紅葉

(千枚田も荒れ出した… 市松模様に現実が…)

96化粧櫓渡り櫓と紅葉散る

(写生句 まあまあの作品)

97宮跡を巡り巡りて燕去ぬ

(未練を遺しながらと言う「情」が、吉と出るか凶と出るか?)

101絵屏風のラクダの隊商秋惜しむ

(平山郁夫の世界ですネ。それが判ったとして、この先だと言うのかここら辺でokと言うのか)

106投げ釣りや光のやうに秋の鱚

(「光のやうに」が出来ていると思う方おられると思うが、私はこここそ問題と認識している。

「光のやうに」ではまだ句を流しているレベルの話だ。)

110寄鍋を囲む二人となりにけり

(老俳人に類型がありそう。そこが一寸心配)

111日のぬくみ貰うて草のもみぢかな

(私好みの一句。叙し方も自然だし、句の構造もシンプル)

112たったいま掃いたばかりに山茶花散る

(内容は然程無いが語呂としては自然体。言い過ぎになるが、語呂だけでも俳句になるんだよと肝に命じたし!俳句をもっと広義に考えよ!が私の持論である。)

114採りたての蜜柑の届く駐在所

(駐在さんと「さん」が付く関係 。「駐在所」のところ「駐在さん」も有りかも?)

123ベランダの手摺ひやりと後の月

(「後の月」という季語は、どういうところでどう出すかが勝負処)

125黄落や鹿の歯形の残る木々

(類型なしとせずだが…)

126冬の苔日の差さぬ磴ぬめぬめと

(よくもまぁ誰も詠まぬマイナス部分の処を攻めた)

127吹き晴れの空の深さを鳥渡る

( 五七の鷹揚な持って行き方に吸い込まれる…)

132秋風や人の噂のブーメラン

(かなり省略しているが、判らないではない)

140ケリケリと渡り遅れし夜の鳧

(ケリを併せ過ぎた感もあるが、受け手により是非はマチマチか?)

141ぽきぽきと折れて水射す蓮の骨

(作者は「水射す」を言いたいんだろう?その時、蓮は単数、複数どちらが効くか?即ち「ガックリ」か「ぽきぽき」か?)

145日の落ちてぬくもり残る蜜柑山

(山窪のようなところにいるのかな?)

146ころり落つ青き柚子坊夕の鐘

(写生の一種と言ったらいいんでしょうネ 裏でリズムとっているネ)

147鮭のたうつ居繰網漁瀬の疾し

(報告 写生といったところでいやみはなく、スッキリ)

149人の影奪って秋の入日かな

(直ぐには判り難いが、ああそうかと腑に落ちるのでは…)

150白鳥の翔ちたる水のささ濁り

(出来てはいるが、まあまあと言うところか?)

151冬桜仰ぐそびらに天守閣

(寸景描写か?)

158鱗雲うろこ崩さず流れをり

(鱗雲全体が平行移動ということ。 ちょっとした発見)

159大熊手掲げ馴染みのコーヒー店

(下町の珈琲店といったところ… 私は珈琲ゼンゼン駄目だがいるいるコーヒー好き…)

161花八手かくれんぼするもの寄っといで

(「懐古」には弱い)

163葛咲くやくぐり抜けゆく川の音

(葛の紫に川音 清々しくていいじゃない)

166霜の朝硬き音立て牛乳瓶

(「硬き音立て」もいいが、それこそすこし硬き表現じゃあないか?私流だと 霜の朝ことり配達牛乳瓶 )

167猿のこしかけ夫亡き後も育ちをり

(「猿のこしかけ」はガンによいという噂を聴いたことがある。そこら辺の事が入っているんじゃないかこの句には…?)



以上



by 575fudemakase | 2017-11-22 05:52 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

火恋し の俳句

火恋し の俳句

火恋し

旅十日家の恋しく火恋し 勝又一透
無患子のぬばたまは火恋しかり 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
亡母恋ひし火恋し寝に入るのみの部屋 平井さち子 紅き栞
風聴くと風のつまづき火恋し 河野多希女
煤けても不動明王火恋し 高澤良一 宿好
田の匂ひかむりて恋し火恋し 三田きえ子
新刊書繰る手ひやつき火恋し 高澤良一 寒暑
火恋し鰊御殿に波を聴き 愛澤豊嗣
火恋し仏ひとゆれふたゆれす 松澤雅世
火恋し病みても父の酒欲りき 平賀扶人
火恋し田楽辻子(でんがくずし)の路なりに(田楽辻子は田楽師が住んでいた小路の意) 高澤良一 石鏡
火恋し妻を邪険にしてをりぬ 吉田未灰
火恋し雨の宿りも宇陀の奥 上田五千石
火恋しわが靴音をわが聞けば 佐々木六戈
火恋しや独り死なねばならぬとは 神尾久美子
火鉢恋ひ合ひて互に老楽師 佐野ヽ石
まへうしろ靄が火恋うて寄ると見ゆ 林原耒井 蜩
ブラウンシチュウ灯と火恋しき頃となり 高澤良一 随笑
ガス展の火の美しく火恋し 古賀まり子

火恋し 補遺

句集校正玉の疵疵の玉火恋し 山口青邨
火恋し雨の宿りも宇陀の奥 上田五千石 琥珀
火恋しとつぶやく父へ母へかな 岡本眸
火鉢欲しいつまで着るぞ里の紋 中村汀女
つづれさせ火消壺の火恋ひ鳴けり 阿波野青畝

火恋し 続補遺

たばねあふ足の見立も火燵欲 朱拙

以上



by 575fudemakase | 2017-11-18 16:26 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

松田雄姿集 俳人協会

自注 現代俳句シリーズ

松田雄姿集 俳人協会

平成29年10月25日 発行


共鳴句


雛の夜の十二頭に三姉妹

肥後手毬母より届く子の数だけ

父の田の雲雀を長く仰ぎけり

田を植ゑて常陸の山の定まれり

殉職の終始を梅雨の土砂降りに

この職のはじめ浅草鰯雲

冬耕の父にて絶ゆる農の系

麦秋の千手遊べる御手のなく

望郷は埋火に似て夜の酒

次女奔放三女慎重雑煮餅

抱きし子の確かな重み春立てり

若き日の夏帽今も旅が好き

春荒れや独楽の如き子あづかれる

げんげ田に子を遊ばせて耕せり

サーファーの黒光りして眠りをり

大根干し風に力の付きにけり

極月の寺に飼はれし白孔雀

梟を敬ひ熊を祀りけり

庭の萩括りて百寿の柩出す

嫁がせて一人卯波を聞きに行く

蟷螂は火星の農夫かもしれぬ

鶴一陣着きたる日より日々の鶴

夏の果水は流るること切に

何もかも妻任せなり年用意

開戦日一年生が七十に

高空に富士ある暮し初幟

富士の水七日温め田を植うる

春の雪慶事の積り行くごとく

雉撃たれ首柔らかく置かれあり

大花火昔警備に明け暮れて

赤き花赤く映して水澄めり

春の雪真珠の育つ海に降る

秋潮や門司に来てゐる猿回し

鮎を釣る川幅ほどの竿振って

振り出しは雷門や初日射す

遠山の暮れてゆくなり冷奴

洗ひ髪人魚のやうに座りけり

忠敬の一歩ここより日脚伸ぶ


以上


by 575fudemakase | 2017-11-12 11:20 | 句集評など | Trackback | Comments(0)

釣の拙句(高澤良一)

釣の拙句(高澤良一)


少年

鯊釣の君らの今日の釣果はと・・・

釣人の呟き鯊に落としけり

鯊は水底で釣師は岸辺で虎視眈々

水底の冥さ帯ぶ鯊釣られたる

釣れたとも寒の鰈のこんなのが

寒釣のこっちも見ずに釣れねェと

花すすき揺るゝ辺ひねもす釣糸垂れ

秋草を手折るは釣れぬ証拠なり

帰省便り玄海灘に友釣ると

舟虫のしよぼしよぼ歩き雨に釣る

浦島草釣糸垂れてむかう向き

鯊を釣る舟が出てゐる大日向

鮎釣の雨暗に竿納めざり

菅笠の仰向くは鮎釣れるとき

だんだんと水の高鳴る岩魚釣


山峡の風戸(ふつと)で降りて鮎を釣る


下北路

烏賊釣りの漁火鬼の目ん玉大


陸中 龍泉洞

釣竿を青嶺に向けて川漁師

川ぐいと曲る青嶺を引き寄せて

釣人の居る瀬居らぬ瀬青山中


鯊釣の装備の一つ烏龍茶

烏賊釣船きんきらきんの百裸灯

入江より漕ぎ出て朝のカッチキ釣

*カツチキは烏賊の子

鯛釣草うらはらの世を明るうし

山女釣荒くれ岩をひょいひょいと


房州 富浦

釣人に野暮な問い掛け梅雨を云ひ


半分は遊びの鱚の渚釣り

釣り上げしねずっぽ三匹缶からに

釣人のにべ無き応(いら)えボソと梅雨

釣具店祭提灯戦がせて

根釣して葉山の鳶に啼かれける

秋風に釣れてひらひら海たなご

草叢にラジオ響かせ根釣人

根釣人脳梗塞のことをぽつり

突堤にリハビリ兼ねて根釣人

突堤に半日ねばる根釣人

根釣人帰り支度の函一つ

万緑の中の一川ルアー釣

ルアー釣箱根のみどり映す水

鯊を釣る頭上を鳶の胴ながれ

琵琶島の端(はな)にて鯊のよく釣れる

山女釣れ紅葉に腹を返しけり


以上


by 575fudemakase | 2017-11-10 06:17 | 自作 | Trackback | Comments(0)

屛風 の俳句

屛風 の俳句

屛風

*こおろぎや一夜宿せし歯朶屏風 白雄
あかあかと屏風の裾の忘れもの 波多野爽波
あはあはと日の没したり金屏風 中西夕紀
アルプスを衝立として夏の湖 関森勝夫
いくたりか亡き句屏風の初茜 西村公鳳
いつもする枕屏風の安らかに 遠藤梧逸
うぐひすや螺鈿古りたる小衝立 久女(京都白川荘)
うすらひのとけゆく無双銀屏風 加藤耕子
カピタンの顔白く塗る屏風かな 由山滋子
かりがねの空ひきよせる鬼屏風 堺 信子
くらがりに七賢人の屏風かな 山口誓子
くらがりの屏風はいつも虎の居る 鳥海むねき
ここにゐる誰もが読めぬ屏風の字 山口昭男
このうしろ禍福のせめぐ屏風かな 宮武寒々 朱卓
この屏風たためば年も新なり 渡辺あらた
こもり居の妻の内気や金屏風 飯田蛇笏 山廬集
しめやかに起居見らるる屏風かな 吉武月二郎句集
すき焼や屏風絵の川流れゐて 池田秀水
それなりに屏風に影や豆雛 深見けん二 日月
それよりは家宝となりし金屏風 京極昭子
たゝまれし屏風の傍の黄水仙 上村占魚 鮎
たたみたる屏風の裏の雲母かな 片山由美子 風待月
たはれめの彦根屏風の絵にも萩 森澄雄
ちりかゝるむしろ屏風のもみち哉 散紅葉もみち<木+色> 正岡子規
ところどころつゝじ咲く也屏風岩 つつじ 正岡子規
なきがらに立てて屏風の山河かな 土屋秀穂
なきがらや光ひしひしと銀屏風 斉藤夏風
はしか子に古りし屏風をとり出だし 京極杞陽
はしか子に立てし屏風の南畫かな 京極杞陽
はせ川の河童屏風の雨月かな 竜岡 晋
ははそはの習はれし絵の屏風かな 後藤夜半 底紅
ビイドロの大衝立や夏座敷 会津八一
ひつそりと枇杷を食ひをる屏風かな 岸本尚毅 舜
ひらきゆく屏風に遊女現はるる 下村 梅子
ひんやりと屏風祭の二階かな 細川加賀
ふるさとや屏風へだてて舸子と寝る 木村蕪城
まつりの日屏風合の判者かな 炭 太祇 太祇句選後篇
みじか夜や枕にちかき銀屏風 蕪村 夏之部 ■ 雲裡房に橋立に別る
みなづきの何も描かぬ銀屏風 黒田杏子 花下草上
やうやくに座のあたたまる屏風かな 飯田蛇笏 山廬集
やはらなる風のゆきゝや葭屏風 堀谷 鋭子
わが書屋句屏風半双あれば足る 小田尚輝
をし鳥や廣間に寒き銀屏風 鴛鴦 正岡子規
安居寺大衝立の奥知らず 今村泗水
遺言は句屏風逆さに立てぬこと 京極杞陽
井戸の辺をすり抜け屏風運ばるる 波多野爽波 『骰子』
一声や屏風倒れて子規 時鳥 正岡子規
一双の秘蔵と見ゆる屏風かな 後藤夜半 底紅
一双の蕪村の屏風拝しけり 海老沢 貞子
一双の片方くらし金屏風 高浜虚子
一度見てそののち遠き屏風かな 橋本鶏二
一燈の世襲の闇の金屏風 森田雄
一瞥の屏風の朝臣がふりむきぬ 福田葉子
一枚の波屏風立ち磯焚火 上野泰
一雙の屏風の源氏物語 高橋淡路女 梶の葉
引きまはす襖の外も稲屏風 立花北枝
宇治に来て屏風に似たる茶つみかな 上島鬼貫
雨の雁ひとり屏風の月を見る 雁 正岡子規
瓜の花屏風の如き雨通る 辻桃子
瓜小屋や莚屏風に二間あり 村上鬼城
運ばむと四枚屏風に抱きつきぬ 後藤綾子
運ばるる屏風に闇のしたがひぬ 石田郷子
運ぶ人見えず屏風の這入りきし 細谷ふみを
影といふものの滲みつく屏風かな 長谷川櫂 天球
奥の間へ祭屏風の松つづき 皆吉爽雨
襖の絵より目を移す屏風の絵 後藤夜半
襖古り屏風古りけり花の宿 大峯あきら 宇宙塵
何ひとつ箸を付けざる葭屏風 中原道夫
夏山に対ふ衝立どかとあり 遠藤梧逸
夏山は寝覚の枕屏風かな 宗因「境海草」
河豚の座の屏風にふかき疵一つ 皆吉爽雨
河豚食ひし顔が屏風の上にのる 井沢正江
花嫁の輝くときの金屏風 今井千鶴子
花過ぎて秋の気もする銀屏風 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
花寂びて日月山水屏風かな 長谷川櫂 古志
蚊をとらふ眼が金屏の剥落に 古舘曹人 能登の蛙
会話にも屏風立てられをりにけり 稲畑廣太郎
海に入る日をこころとし屏風書く 宇佐美魚目 天地存問
海暗くなる金屏風立ち続け 永末恵子
海鼠噛む音しくしくと古屏風 鈴木鷹夫 大津絵
絵屏風に入つてみたき誕生日 浦川聡子
絵屏風に比叡三千坊納む 梶田ふじ子
絵屏風のむかう知つたる顔をして 大石悦子 聞香
絵屏風のわが世になりて古びたる 後藤夜半
絵屏風の山へ逃げゆく道細し 大石雄鬼
絵屏風の死際までも演技して 田浪富布
絵屏風の女を恋ひてかなしけれ 小貝一夢
絵屏風の中も雪降る加賀泊 橋本栄治
絵屏風の鶴の目つきが気になりぬ 夏井いつき
絵屏風の倒れかゝりし火桶かな 子規
絵屏風の年惜めよと展く四季 亀井糸游
絵屏風の撫子赤し子を憶ふ 撫子 正岡子規
絵屏風の名所尽しに遊ぶのみ 真下喜太郎
絵屏風の遊女は遊女いくら見ても 後藤比奈夫 めんない千鳥
絵屏風の洛中に入るさくらかな 神崎忠
絵屏風の龍虎発止と火花散る 邑上キヨノ
絵屏風や病後なごりの二三日 飯田蛇笏 山廬集
貝寄風をここに集めて屏風岩 檜 紀代
垣間見や屏風ものめく家の内 飯田蛇笏 山廬集
覚めてまた今日ある枕屏風かな 中山碧城
割床や屏風の裏に明易き 明け易し 正岡子規
鎌倉の駅を下りたる屏風売 西本一都
甘蔗ばなの影をさばくか石屏風 鳥居おさむ
岩つばめ湧かせ朝日の屏風岩 奈良文夫
岩屏風衿まだ固き水芭蕉 加藤耕子
貴船茶屋屋根も屏風もみな葭簀 岩崎三栄
起き臥しのすこし恙や葭屏風 大橋杣男
起居する灯のふためける屏風かな 吉武月二郎句集
祇園会や飾り屏風も巡行図 南光翠峰
義士屏風女の嗚咽えがかれず 上田フサ子
桔梗活けて屏風は狩野の繋馬 桔梗 正岡子規
汲み置きの水衰ふる屏風かな 山西雅子
居(すえ)風呂や屏風すわらぬ庭の隅 巴流 俳諧撰集「藤の実」
居籠や屏風の裾の筆硯 清原枴童 枴童句集
虚子屏風前に主客の白地かな 井上雪
凶事に金泥尽す屏風かな 大石悦子
曲水を繞らす雛の屏風かな 尾崎紅葉
金泥の無地の衝立春寒し 松藤夏山 夏山句集
金剥落秋冷まとひ屏風の虎 鍵和田[ゆう]子 未来図
金屏にともし火の濃きところかな 高浜虚子
金屏にものの翳ある寒さかな 武藤紀子
金屏にもんぺの新婦鼓のごとく 宮武寒々 朱卓
金屏にわたる虫ある牡丹かな 岡本松浜 白菊
金屏に雨吹きいるる野分かな 蓼太
金屏に宮様虚子を語らるる 星野椿
金屏に君が五木の子守唄 京極杞陽
金屏に袈裟ちかぢかと燭もゆる 飯田蛇笏 春蘭
金屏に人日の目見ず寒牡丹 岡本松浜 白菊
金屏に惜しみなき火の映りつつ 下村槐太 天涯
金屏に惜みなき火のうつりつつ 下村槐太 光背
金屏に昼を灯す雛の店 野見山ひふみ
金屏に灯火の影あるばかり 本田あふひ
金屏に旅して冬を籠る夜ぞ 加舎白雄
金屏のうしろのひとのゆききかな 橋本鶏二 年輪
金屏のかくやくとしてぼたんかな 蕪村「新花摘」
金屏のさかさに夜ごろ燭ともる 飯田蛇笏 春蘭
金屏の金くろずめり山桜 茨木和生 野迫川
金屏の金の剥落山桜 齋藤愼爾
金屏の金ンを放てる虚空かな 上野泰
金屏の金痩せにけり秋の風 小川軽舟
金屏の空の如くに翳りけり 上野泰
金屏の隅に追儺のこぼれ豆 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
金屏の虎が睨んでゐるところ 長谷川櫂 虚空
金屏の松の古さよ冬籠り 松尾芭蕉
金屏の松もふるさよ冬籠 芭蕉 芭蕉庵小文庫
金屏の畳んでありし寒さかな 大石悦子 聞香
金屏の羅は誰があきのかぜ 蕪村
金屏の裏に孵りてまだ飛ばず 中原道夫
金屏の裡の泊りに父の夢 木村蕪城
金屏や寒風描きあるごとく 長谷川櫂 虚空
金屏や刺繍屏風や亀城館 高野素十
金屏や晶子百首をちらしたる 土山紫牛
金屏や父の世に古りいまに古り 上田五千石 風景
金屏風わが生ぶ声の返りくる 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
金屏風何とすばやくたたむこと 飯島晴子(1921-2000)
金屏風何んとすばやくたたむこと 飯島晴子
金屏風傾城こもる秋の暮 秋の暮 正岡子規
金屏風松茸鍋にくもりけり 山田弘子
金屏風立てしがごとく焚火かな 川端茅舎
銀屏にとびつくごとく灯ともりぬ 上村占魚 『球磨』
銀屏に葵の花や社家の庭 野坡「小柑子」
銀屏に今はも心定まりぬ 星野立子
銀屏に今は心も定まりぬ 星野立子
銀屏に今日はも心定まりぬ 星野立子
銀屏に淡し愛子の柩影 伊藤柏翠
銀屏に燃ゆるが如き牡丹哉 牡丹 正岡子規
銀屏に萩を焚く火や光悦寺 橋本鶏二 年輪
銀屏に蕪村の打てる凍み米点 高澤良一 随笑
銀屏に魍魎あそぶ冬燈 富安風生
銀屏の銀の老い行くめでたさよ 池上浩山人
銀屏の古鏡の如く曇りけり 高浜虚子
銀屏の夕べ明りにひそとゐし 杉田久女
銀屏や崩れんとする白牡丹 牡丹 正岡子規
銀屏風にうつす緑や青葉山 盧元
銀屏風紅葉の風に立揺らぎ 京極杞陽 くくたち下巻
銀屏風無月ときめて直しけり 野村喜舟
銀屏風立てし残暑の月夜かな 尾崎紅葉
句を作る屏風の陰や年忘 山口青邨
句屏風の虚子に親しむ一日得し 丸川越司
駒鳥や霧吹きかへす屏風岩 豊長みのる
靴はいてから屏風絵を今一度 波多野爽波 『骰子』
傾城の昼寝はあつし金屏風 昼寝 正岡子規
傾城は屏風の萩に旅寐哉 萩 正岡子規
鶏の目のまはり雪降る金屏風 あざ蓉子
隙間風屏風の山河からも来る 鷹羽狩行
月花のあそびを描く屏風かな 小路智壽子
月蝕のしづかにすすむ金屏風 遠山陽子
月落ちて雲の屏風を星の閨 七夕 正岡子規
見馴れたる物静かなる屏風かな 後藤夜半 底紅
元日の日を満面に屏風巌 関森勝夫
元日やむしろ屏風に梅のかげ 元日 正岡子規
源氏物語の絵屏風立てて新年会 春日井智恵子
源氏屏風に追儺の物の音しける 長谷川かな女 雨 月
古き代の胡粉真白き屏風かな 阿波野青畝
古屏風の金泥淑気はた寒気 鈴木鷹夫
古屏風の潮汲ひとりうしろむき 宇佐美魚目 天地存問
古屏風の剥落とどむべくもなし 松本たかし
古屏風破れしあたりに桃源郷 飯島士朗
枯どぐい海鳴り返す崖屏風 山岸巨狼
虎尾草や鐘掛岸は屏風立ち 本田一杉
五月雨や色紙はげたる古屏風 斯波園女
光琳の金屏の前に祝はれし 石川 梨代
光琳の屏風の梅の香なりけり 細川加賀
公家町や春物深き金屏風 召波
向きかへてふたゝび眠る屏風かな 久保田万太郎 草の丈
紅花の船出を描く屏風かな 小林松代
黒田屏風鬨の声こめ描かれゐる 大橋敦子
今消ゆる夕日をどつと屏風かな 山口青邨
座敷わらし消えて屏風の残りけり 中嶋秀子
冴え返る屏風の銀や霽月忌 三由孝太郎
桜餅置けばなくなる屏風かな 岸本尚毅
三方の山を屏風に輪中秋 関森勝夫
山ざくらまことに白き屏風かな 山口青邨
山と水花と鳥ある屏風かな 後藤夜半
山はまだ知らぬ屏風の紅葉哉 乙由 (百地氏宅)
山靴を脱ぎ金屏の間にとほる 石川桂郎 高蘆
山桜活く玄関の板屏風 茨木和生 遠つ川
山宿の絵屏風なじむ泊りかな 新田千鶴子
山茶花の垣湖の衝立に 山口誓子
山脈のすそが崩れて金屏風 南村健治
山屏風かりがね寒き闇囲ひ 鳥越すみこ
子規選句稿を貼りたる屏風かな 茨木和生 倭
糸繰りの枠積む露地や屏風祭 小笠原貞子(耕)
紙雛に倒れ易くて金屏風 高澤良一 素抱
寺町の奥に秘蔵の屏風かな 平野美子
時雨来と屏風の歌仙隠りけり 阿波野青畝
時鳥鳴くや局の銀屏風 時鳥 正岡子規
次の間へ鈴虫籠を袖屏風 竹腰千恵子 『和景』
鹿の絵の屏風を立てて茶店かな 下村梅子
借りて来し屏風に馴れて住みなれて 上野 章子
借りものといへどめでたし金屏風 森川暁水 黴
手をひかれ屏風見あるく祭かな 大橋櫻坡子 雨月
狩衣をかけて日永し金屏風 日永 正岡子規
受賞者は花束を見ず金屏風 鈴木鷹夫 千年
秀頼の手といふ歌の屏風あり 下村梅子
秋光をさへぎる銀の屏風かな 前田普羅 新訂普羅句集
秋晴や屏風開きに八ヶ岳 岡田日郎
秋風のわたる六曲屏風かな 宇多喜代子
秋風の屏風の蔭の産湯かな 野村喜舟 小石川
秋風や筆みな動く筆屏風 会津八一
舟遊び屏風の如く島ひらき 上野泰 春潮
十三夜炉辺をへだつる小衝立 木村蕪城 一位
祝言の金屏梅に触れにけり 橋本鶏二 年輪
春の夜のともし火赤し金屏風 春の夜 正岡子規
春の夜や屏風の陰に物の息 春の夜 正岡子規
春の夜を屏風囲うて遊ひけり 春の夜 正岡子規
春雨やはなればなれの金屏風 許六
春寒き光琳屏風水流る 行方克己 無言劇
春暁や枕元なる歌屏風 高橋淡路女 梶の葉
春山にそむきて暗き屏風かな 菊池明雲
春山に二十四孝の屏風立つ 後藤夜半
春泥や屏風かついで高足駄 飯田蛇笏 山廬集
春灯や菊勇のかげ銀屏風に 田中冬二 俳句拾遺
春風に屏風の釘の浮いてをり 鈴木鷹夫 春の門
春望といふべし屏風一帆図 森澄雄 空艪
春立つや六枚屏風六歌仙 高浜虚子
春曉や夢の尾消ゆる屏風の絵 松根東洋城
初雪にさらりと鷹の屏風かな 才麿
初嵐衝立はたと倒れける 寺田寅彦
初屏風まへの座布団位あり 井沢正江 湖の伝説
初屏風天の橋立くりひろげ 大石悦子 百花
小屏風にかくれて寝ねし女かな 長谷川かな女
小屏風に人しはぶきす夕蚊遣 蚊遣 正岡子規
小屏風に茶を挽きかかる寒さかな 斜嶺 芭蕉庵小文庫
小屏風のうちの炬燵にくつろぎて 高濱年尾 年尾句集
小屏風の撫子見ても子を思ふ 撫子 正岡子規
少し読めて屏風の文字に待たさるる 田中英子
照明をぐんとしぼつて金屏風 河村信子
笑ふは花歌ふは鳥の屏風かな 上田五千石 琥珀
衝立に良寛の句や蕪蒸し 遠畑勝人
衝立のころびさうなる虫時雨 真山 尹
衝立のへだつ背二つ二日灸 井沢正江
衝立の遺墨の虎や仙忌 小原菁々子
衝立の奥も衝立貴船川床 梶山千鶴子
衝立の花鳥はなやか年忘れ 木国
衝立の金おとろひぬ河豚の宿 楠目橙黄子 橙圃
衝立の虎嘯はだかる写経門 塚田秋邦
衝立の向うよりこゑつつじ寺 高澤良一 暮津
衝立の向冬濤立て昏るる 中原道夫
衝立の繍ひ鳳凰も宵の春 軽部烏帽子 [しどみ]の花
衝立の達磨見まもる名刺受 小路智壽子
衝立の裏にねどこや榾の宿 橋本鶏二 年輪
衝立はしぐれてゐるか煮頃鮒 高橋龍
衝立や栗飯の香を隣なす 石川桂郎 高蘆
衝立や香水の香をその陰に 鈴木鷹夫 大津絵
象川の夜は聞ゆる屏風かな 大峯あきら
畳まれてひたと吸ひつく屏風かな 長谷川櫂
燭置けば金屏巌のごときかな 橋本鶏二 年輪
心ゆく絵紙屏風や冬籠 会津八一
新春の水かがやふや屏風松 落合水尾
真贋はともかく屏風ひらきけり 森村冬人
身に入むと立てし屏風の巡錫図 亀井糸游
身勝手を言ひそばめたる屏風かな 廣江八重櫻
人の世のうつりかはりし屏風かな 鈴木綾園
人の世の屏風の陰といふところ 後藤比奈夫
須磨の宿の屏風に描く千鳥哉 千鳥 正岡子規
水音をはさむ蛍の屏風哉 蛍 正岡子規
水辺の梅を画きし屏風哉 梅 正岡子規
雛の座にかち~山の屏風かな 虚吼
雛の座にかちかち山の屏風かな 相島虚吼
雛屏風舟遊びの図なりしかな 加藤三七子
雛屏風船遊びの図なりしかな 加藤三七子
杉本家屏風祭の案内状 黒田杏子 花下草上
世にうとくなりゆく身なり歌屏風 鈴木綾園
星よ借り着簾台(れんだい)屏風残る松 調古 選集「板東太郎」
晴天に神話ぐらつく金屏風 田中幸子
西海や二人で組んで屏風売 加倉井秋を
醒めきりし丑三ッ刻の金屏風 柴田白葉女
醒めきりし丑三ツ刻の金屏風 柴田白葉女 雨 月
青垣の山たたなはる雛屏風 上田五千石
青簾銀屏よりも撥の冴え 沢木欣一
石楠花や屏風にかこむ巫女だまり 古館曹人
折目正しき屏風より隙間風 鷹羽狩行
雪の精金粉わき立たせ金屏風 永井龍男
雪起しきくべくなりし屏風かな 京極杞陽
雪止みて墨絵の屏風伊賀連山 田中義明
雪信が屏風も見えつ雛祭 高井几董
雪深き夜の金屏風照らひけり 永井龍男
雪晴に明るき百花屏風かな 森田 愛子
雪積みしけはひにしらむ屏風かな 金尾梅の門 古志の歌
浅間嶺へ夕立雲の屏風立ち 深見けん二
曾良に代へ吾が供せん初屏風 山口昭利
相馬家の奔馬屏風も深む秋 宮坂静生 春の鹿
草花の屏風をたゝむ野分哉 也好
袖屏風して迎火を焚きにけり 町田裕康
大寒ややおら銀屏風起ちあがる 佃 悦夫
大石忌遊興の図の屏風展べ 大橋敦子
鷹の絵のかくも古りたる屏風かな 橋本鶏二 年輪
誰が袖を描く遊里の屏風かな 大森扶起子
炭売つて安堵屏風の大字読む 飯田蛇笏 山廬集
短夜やうすものかゝる銀屏風 短夜 正岡子規
短夜やともし火うつる銀屏風 短夜 正岡子規
短夜や枕にちかき銀屏風 蕪村
暖房や葭の衝立扉を隠す 山口誓子
地魚の白身をほぐす葭屏風 綾部仁喜 樸簡
蜘の子や一つ居て這ふ銀屏風 会津八一
竹騒や屏風の鳥の引くさまに 大木あまり
筑波嶺を屏風仕立てに薺摘む 杉本和子
丁子屋のいろはにほへと屏風かな 大石悦子 聞香
丁字屋のいろはにほへと屏風かな 大石悦子
鳥毛立屏風の女に桃供ふ 伊丹さち子
鳥毛屏風展示秋日を遮光して 野村慧二
通夜混みて屏風が倒れかゝりけり 森田峠 三角屋根
鉄瓶の坐りし屏風祭かな 明円のぼる
貼りまぜの屏風や失せし友の句も 及川貞 夕焼
貼りまぜも狂言綺語の屏風かな 高橋睦郎
田鳧啼く屏風しづかにたたまれし 黒田杏子 花下草上
冬ぬくし熔岩を屏風として住まふ 高濱年尾 年尾句集
冬の夜の小屏風立てゝ寐入りけり 筏井竹の門
冬枯や繪の嶋山の貝屏風 冬枯 正岡子規
唐へ行屏風も画やとしの暮 炭 太祇 太祇句選
桃山の屏風めぐらし地虫出づ 山口青邨
湯気立てて花鳥濡れたる屏風かな 橋本鶏二 年輪
内裏雛五曲の金の屏風背に 石井いさお
南蛮の絵屏風立てて曝涼会 若松克子
二位どのが田鶴(たづ)ゑがかせし屏風かな 筑紫磐井 野干
忍の城水攻屏風若葉寺 山口青邨
猫をみて描きし屏風の虎ならん 長谷川櫂 虚空
熱の瞳に動く屏風の花鳥かな 井久保巽
波音や応挙の銀の屏風より 三浦久子
波打てる畳に屏風傾ける 高浜虚子
破れ屏風なれど三十六歌仙 下村梅子
破れ屏風夫在りし日のままに置く 大和田享子
破浪忌や花も供へず屏風立て 飯田蛇笏 山廬集
梅の図の光琳写し雛屏風 大橋敦子 勾 玉以後
梅雨寒や句屏風をたて香をたき 武原はん女
梅雨寒や屏風を渡る蝸牛 庄司瓦全
梅雨鯰古地図にのれる屏風岩 足立 紅
萩寺の屏風に萩の發句哉 萩 正岡子規
萩屏風透けてほとけのけむりだす 河野多希女
伯母の忌の屏風払えば鴨の池 渋谷道
白山屏風そこに渓墨桜の裳 伊藤敬子
白鶴の銀と化したる屏風かな 大石悦子 百花
白屏風谷の魚どちさびはじむ 宇佐美魚目 秋収冬蔵
八けんの灯も衝立のかげも冬 久保田万太郎 流寓抄
抜け山ゆくまめやかものや肉屏風 加藤郁乎
晩秋や金屏除けて富士を見る 鈴木花蓑
尾を垂れて鼠ののれる屏風かな 京極杞陽
美酒や春の屏風のいろは歌 鈴木鷹夫 風の祭
百歳の双子姉妹や金屏風 富田昌宏
氷る岩肌初日さし金屏となりぬ 岡田日郎
病む床や花の春見る屏風越し 杉風
病床の目かくしとなり雛屏風 木場田秀俊
夫恋ひの百首屏風の黴寄せず 八牧美喜子
父ありしごとくに母の屏風かな 黒田杏子
父がたたみ兄の搬びし金屏風 星野恒彦
父の世のはなやかなりし屏風かな 堀内鴻乙
父の世の如金屏と寒牡丹 松本たかし
風音の屏風の内に聞えけり 高浜虚子
風神の衝立古りし生家かな 東畑孝子
風神の衝立立てて神の留守 下村梅子
風吹て禿寒がる屏風哉 寒し 正岡子規
物のけの消えて屏風に蚊の声す 蚊 正岡子規
物知の蘊蓄を聴く屏風かな 野中亮介
蓬莱の屏風の後ろ通りけり 会津八一
北風や山の妙義の屏風立ち 上村占魚 球磨
墨古りて屏風の富士のほのかなり 大橋櫻坡子 雨月
麻刈りて屏風に淋し山の影 麻 正岡子規
枕屏風花鳥の裏の何もなき 高橋淡路女
繭蔵の屏風隔てて婚衣裳 根岸善雄
万太郎のちよぼちよぼ文字屏風かな 中村千絵
茂林寺の縁起屏風に春蚊出づ 神田幸子
木の芽晴風の笛生む屏風岩 雨宮抱星
木曽谷へ霞屏風をめぐらせる 加藤耕子
夜の音遮り更けし屏風かな 吉武月二郎句集
夜の雪屏風一枚ものおもふ 中尾寿美子
夜は秋の死をたたみたる金屏風 井口荘子
夜よりも昼の淋しき屏風かな 岸本尚毅 舜
遊興の図の屏風のべ大石忌 大橋敦子
陽だまりの屏風に虎の寝息かな 岩尾可見
羅かけし屏風に透きて歌麿画 阿部みどり女
落箔のはげしき源氏屏風かな 島田みつ子
利休忌や乱を描きし屏風ある 角 光雄
裏妙義屏風のごとし後の月 上村占魚 球磨
里神楽庄司が屏風借られけり 小杉余子
立てひらく屏風百花の縫ひつぶし 松本たかし
立てまはす古き屏風や隙間風 阿部みどり女 笹鳴
流れ星山屏風して配流めく 文挟夫佐恵 遠い橋
流寓の屏風なきことふとさびし 木村蕪城 寒泉
流鏑馬の絵屏風飾るおん祭 九折和子
嶺屏風ひねもす立てて夏蚕飼ふ 細井みち
礼者迎へ衝立の虎躍り出づ 宮下翠舟
礼帳やたてまはしたる金屏風 高濱虚子
連れ立ちて屏風の裾より雁どち 高澤良一 寒暑
連峰を屏風びらきに桜かな 鷹羽狩行
浪音のをりをりとどく屏風かな 矢島久栄
六曲に委細尽しし屏風かな 大石悦子 百花
六曲の屏風に遊び六歌仙 堀 政尋
六双の屏風に描く気魄かな 高浜虚子
六双屏風並べてみんなみなしご 津のだとも子
六面の銀屏に灯のもみ合へり 上村占魚
囀や枕屏風の水の景 石嶌岳
屏風あり几張なかりし裸雛 後藤比奈夫 めんない千鳥
屏風から糸瓜の枯れに目をうつし 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
屏風たて子のぬぎしものそのもとに 上野章子
屏風とはかくあたたかき面に立つ 井沢正江 以後
屏風ともり姑の死顔に手を仕ふ 柴田白葉女
屏風には山を画書いて冬籠り 松尾芭蕉
屏風の金惜しむ本家は睡くなる 増山美島
屏風の図ひろげてみれば長恨歌 下村 梅子
屏風はる糊のかはきや秋の蝿 雨柳
屏風ほし老の望の外になし 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
屏風より榛の木立を見るとなく 田中裕明 花間一壺
屏風蔭看護疲の目をふさぎ 清原枴童 枴童句集
屏風絵にかゞまりて船の行火かな 長谷川零余子
屏風絵に丹波は古し薬喰 久保龍 『火口の蝶』
屏風絵の花鳥も古りぬ武家屋敷 松本 美簾
屏風絵の寒山拾得つぶやける 鈴木貞雄
屏風絵の雁の山河に薄日差す 鈴木鷹夫 大津絵
屏風絵の山河たたみて小正月 澤村昭代
屏風絵の松林を行く渺々と 大石香代子
屏風絵の仙人と座す山の寺 松永兼子
屏風絵の鷹が余白を窺へり 中原道夫
屏風絵の男女もわかず古びけり 大橋櫻坡子 雨月
屏風絵の田楽舞も日の永し 辻桃子
屏風絵の婆娑羅も湯女(ゆな)も勤化(くわんげ)かな 筑紫磐井 婆伽梵
屏風絵の文武秀でし女たち 鈴木幸一
屏風絵の鞴祭の絵ときなど 松本たかし
屏風岩河鹿が鳴けば谺する 塚田正子
屏風岩廻ればすぐに滝の前 比叡 野村泊月
屏風岩高く翔れる鴛鴦もあり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
屏風岩垂水ぞすなり著莪の花 木津柳芽 白鷺抄
屏風岩刳りたる湯壺雪囲ふ 中戸川朝人 星辰
屏風見えゐしに唐紙しまりたる 京極杞陽 くくたち上巻
屏風見に紅毛あがる祭宿 大橋櫻坡子 雨月
屏風祭幾世の人のよぎりけり 西村和子
屏風置き部屋の正面決りけり 稲畑汀子
屏風売つて家運を興すよしもなし 福田蓼汀 秋風挽歌
屏風売ゆらりと曲り荒磯道 岸田稚魚
屏風売ゆらりと曲る荒磯道 岸田稚魚
屏風売軒に疾風を躱しけり 白岩三郎
屏風碑の太陽は白踊子は黒 田村了咲
屏風立つ二つ返事のやりとりに 中原道夫
屏風立つ旅雁の屏風その一つ 後藤夜半 底紅
屏風立てて結界せばき起居かな 松本たかし
屏風立て紅梅殿と申しつつ 後藤夜半 底紅
慟哭の屏風の陰に身を寄せて 斎藤双風
稻妻に屏風をかこふ遊女かな 稲妻 正岡子規
簀屏風に柳垂れたる夜店かな 増田龍雨 龍雨句集
簀屏風を戸口に立てゝ蔵住ひ 渡辺そてつ
繪屏風に木槿を漏るゝ夕日哉 木槿 正岡子規
繪屏風の倒れかゝりし火桶かな 火桶 正岡子規
羚羊に雪吹き上ぐる屏風岩 津野美都江 『ひなげし』
葭屏風あらたまりては話なく 西村和子 かりそめならず
葭屏風立ててへだつる話かな 西村和子
葭屏風立てて待ちゐてくれたるよ 辻桃子
邯鄲の屏風のかげに飼はれをり 辻桃子
靉靆と雲を描きたる屏風かな 森田峠

屛風 補遺

繪屏風の倒れかゝりし火桶かな 正岡子規 火桶
繪屏風に木槿を漏るゝ夕日哉 正岡子規 木槿
稻妻に屏風をかこふ遊女かな 正岡子規 稲妻
煖房や葭の衝立扉を隠す 山口誓子
炬燵に屏風立てて鳩のきている聲 荻原井泉水
濤屏風寄せては倒れ*はまなすに 山口青邨
屏風立て紅梅殿と申しつつ 後藤夜半 底紅
屏風立てて結界せばき起居かな 松本たかし
屏風立つ旅雁の屏風その一つ 後藤夜半 底紅
屏風売朽ちし錨に坐し憩ふ 草間時彦 中年
屏風売ゆらりと曲り荒磯道 岸田稚魚 負け犬
屏風売つて家運を興すよしもなし 福田蓼汀 秋風挽歌
屏風置き部屋の正面決りけり 稲畑汀子
屏風絵の蘆より鴨を追ふところ 松本たかし
屏風絵の中の打ちかけありし烏鷺 後藤比奈夫
屏風絵の漁翁がさげし鯉ひとつ 水原秋櫻子 緑雲
屏風の絵桃山時代よかりけり 後藤比奈夫
屏風して夜の物隠す桃の花 村上鬼城
屏風あり几張なかりし裸雛 後藤比奈夫
凩は屏風を浮かす如く吹く 山口青邨
六面の銀屏に灯のもみ合へる 上村占魚 鮎
露草は屏風這ひも上らん草の宿 山口青邨
龍描かれて金屏の畳まれず 鷹羽狩行
流寓の屏風なきことふとさびし 木村蕪城 寒泉
立てひらく屏風百花の縫ひつぶし 松本たかし
立ててある屏風や疵をかくすやうに 山口青邨
裏妙義屏風のごとし後の月 上村占魚
落款なき紅梅白梅図初屏風 山口青邨
遊船や倒れかかるか崖屏風 能村登四郎
遊君のうち連るる絵の屏風かな 阿波野青畝
夜の屏風牟婁の汐騒きこえずや 阿波野青畝
夢に鳴く八島屏風の千鳥かな 内藤鳴雪
夢に書く墨痕淋漓屏風 山口青邨
末枯の中なる屏風七小町 能村登四郎
枕屏風白き短冊あはれなり 山口青邨
枕屏風のひなげしの花と吾子遊ぶ 篠原梵 年々去来の花 皿
麻刈りて屏風に淋し山の影 正岡子規 麻
魔の鳥の鴉を描きし祭屏風 山口誓子
本屏風人形屏風雛飾る 星野立子
本陣の屏風に鋭目の鷹構へ 阿波野青畝
墨痕を淋漓のままに古屏風 鷹羽狩行
北風や山の妙義の屏風立ち 上村占魚 球磨
焚火して金屏風裡にあるが如 川端茅舎
物のけの消えて屏風に蚊の声す 正岡子規 蚊
福寿草何隠したる古屏風 村上鬼城
風吹て禿寒がる屏風哉 寒し 正岡子規
父の世の如金屏と寒牡丹 松本たかし
彦根屏風また春愁の図とも見る 能村登四郎
尾長来て躑躅の花を屏風とす 山口青邨
板屏風立てし板間の大爐かな 松本たかし
麦の芽や土の屏風の立ちつづき 山口青邨
爆竹に驚く屏風絵の龍も(横浜中華街) 鷹羽狩行
萩寺の屏風に萩の發句哉 正岡子規 萩
梅雨の寺銀屏墨の如く古り 野見山朱鳥 曼珠沙華
芭蕉忌の屏風に天女飛行せり 山口誓子
破浪忌や花も供へず屏風立て 飯田蛇笏 山廬集
濃紅葉と夜を隔てたる句の屏風 中村汀女
忍の城水攻屏風若葉寺 山口青邨
二上の屏風がこひに寒牡丹 能村登四郎
南蛮を富める国とし屏風の絵 後藤比奈夫
燈が入りてひとりさびしき屏風かな 森澄雄
桃山の屏風めぐらし地虫出づ 山口青邨
冬枯や繪の嶋山の貝屏風 正岡子規 冬枯
冬の医王金屏映ゆる館より(金沢郊外、湯涌温泉にて) 細見綾子
貼りまぜの屏風や失せし友の句も 及川貞 夕焼
朝焼の屏風のごとくうつくしく 山口青邨
丁子屋のいつもの屏風「いろはにほ」桂信子 花影
築山を屏風がこひに今年竹 鷹羽狩行
遅降を衝立の町冬を待つ 鷹羽狩行
蜘蛛が呪縛の六枚屏風に父祖の詩 三橋鷹女
短夜やともし火うつる銀屏風 正岡子規 短夜
短夜やうすものかゝる銀屏風 正岡子規 短夜
炭売つて安堵屏風の大字読む 飯田蛇笏 山廬集
瀧屏風をりをり黄鶺鴒放つ 石塚友二 曠日
大江山屏風立ちして冬の村 高野素十
泰平の世の美しき屏風かな 上野泰
蔵ふかきままの金屏鳥ぐもり 鷲谷七菜子 一盞
霜除を出て金屏に寒牡丹 松本たかし
草の家の屏風に張れり絵双六 尾崎放哉 大学時代
前山の漆屏風に天の川 水原秋櫻子 帰心
船からは屏風絵のさま島紅葉 鷹羽狩行
洗場や枯野に藁の衝立して 川端茅舎
浅間嶺へ夕立雲の屏風立ち 深見けん二
雪の宿屋の金屏風だ 尾崎放哉 小豆島時代
折目正しき屏風より隙間風 鷹羽狩行
石楠花や屏風にかこむ巫女だまり 古舘曹人 樹下石上
惜春の屏風絵に塗師・傘づくり 能村登四郎
青垣の山たたなはる雛屏風 上田五千石 森林
青あらし堰きて倒れし葭屏風 百合山羽公 樂土
水辺の梅を画きし屏風哉 正岡子規 梅
水音をはさむ蛍の屏風哉 正岡子規 蛍
須磨の宿の屏風に描く千鳥哉 正岡子規 千鳥
壬生狂言風が屏風を吹き倒す 右城暮石 句集外 昭和四十六年
人の世の屏風の陰といふところ 後藤比奈夫
衝立や栗飯の香を隣なす 石川桂郎 高蘆
衝立もすだれも葭簀川床料理 鷹羽狩行
衝立の夏山の絵や亀城館 高野素十
衝立の陰の声音や薬喰 桂信子 花影
衝立の陰に猫侍すどぜう鍋 村山故郷
衝立のはしに庭見ゆ石蕗の花 富安風生
衝立に隠れて暑き食事かな 村上鬼城
笑ふは花歌ふは鳥の屏風かな 上田五千石 琥珀
小屏風の撫子見ても子を思ふ 正岡子規 撫子
小屏風に竹四五本や雪もよひ 寒食 星野麥丘人
小屏風に人しはぶきす夕蚊遣 正岡子規 蚊遣
小百姓の屏風持ちけり今日の月 村上鬼城
春望といふべし屏風一帆図 森澄雄
春泥や屏風かついで高足駄 飯田蛇笏
春昼や彦根屏風の盲瞽女 安住敦
春宵の金屏風負ふここにあれば 山口青邨
春山に二十四孝の屏風立つ 後藤夜半 翠黛
春寒の銀屏ひきよせ語りけり 杉田久女
春は曙屏風の山に遊びけり 山口青邨
春の夜を屏風囲うて遊ひけり 正岡子規 春の夜
春の夜や屏風の陰に物の息 正岡子規 春の夜
春の夜のともし火赤し金屏風 正岡子規 春の夜
俊成卿九十の賀の雛屏風 飯島晴子
十三夜炉辺をへだつる小衝立 木村蕪城 一位
舟遊び屏風の如く島ひらき 上野泰 春潮
秋燈のま下にくぎる小衝立 星野立子
秋桜明かりの絵本を 屏風立て 伊丹三樹彦
狩衣をかけて日永し金屏風 正岡子規 日永
耳屏風して囀りを聴き分くる 右城暮石 句集外 昭和五十四年
而うして初ひぐらしや虚子屏風 藤田湘子 神楽
時鳥鳴くや局の銀屏風 正岡子規 時鳥
時雨来と屏風の歌仙隠れけり 阿波野青畝
詩の屏風廊板にして立てりけり 山口誓子
山坊すずし古屏風画中真紅の日 中村草田男
山茶花の垣湖の衝立に 山口誓子
山桜屏風に描けるより淡し 山口青邨
山靴を脱ぎ金屏の間にとほる 石川桂郎 高蘆
山の寺蕪村屏風を舒べて待つ 高野素十
山と水花と鳥ある屏風かな 後藤夜半 底紅
山ざくらまことに白き屏風かな 山口青邨
座布団の退いてありたる屏風かな 石田勝彦 秋興以後
今消ゆる夕日をどつと屏風かな 山口青邨
黒奴ゐる屏風の絵とは哀しけれ 後藤比奈夫
鉱の*つる春の屏風と申すべく 山口青邨
甲比丹の跣にならぬ屏風かな 阿波野青畝
公卿たちの短冊屏風背に春夜 大野林火 方円集 昭和五十一年
御手植の松へ躑躅屏風のいざなへる 山口青邨
古屏風の剥落とどむべくもなし 松本たかし
古き代の胡粉真白き屏風かな 阿波野青畝
元日やむしろ屏風に梅のかげ 正岡子規 元日
元日の屏風隠れに化粧かな 河東碧梧桐
軒ごとや背の荷ゆらりと屏風売 草間時彦 中年
見馴れたる物静かなる屏風かな 後藤夜半 底紅
月落ちて雲の屏風を星の閨 正岡子規 七夕
月光に屏風のもののあはれ合戦 山口青邨
月を銀に描きて黒し古屏風 山口青邨
隙間風屏風の山河からも来る 鷹羽狩行
鶏頭を屏風の如くわが書屋 山口青邨
傾城は屏風の萩に旅寐哉 正岡子規 萩
傾城の昼寝はあつし金屏風 正岡子規 昼寝
君が居に小屏風おくる萩の秋 石田波郷
靴はいてから屏風絵を今一度 波多野爽波
空間を画せりただの金屏風 山口誓子
句屏風の二双十二句身に沁めり 松崎鉄之介
句屏風の一句心を領し初め 上野泰
句屏風のおはんの家に遊びけり 山口青邨
句屏風に夏の句がなし面白し 星野立子
句を作る屏風の陰や年忘 山口青邨
銀屏風母の遺骨も蚊帳外に 中村草田男
銀屏を立ててめでたき百姓家 高野素十
銀屏や崩れんとする白牡丹 正岡子規 牡丹
銀屏の夕べ明りにひそと居し 杉田久女
銀屏の文字分かぬまで古りにけり 清崎敏郎
銀屏の前桔梗の挿されけり 河東碧梧桐
銀屏の前に五人の沈金師 高野素十
銀屏に魍魎あそぶ冬燈 富安風生
銀屏に燃ゆるが如き牡丹哉 正岡子規 牡丹
銀屏に今日はも心定まりぬ 星野立子
銀屏にとびつくごとく灯ともりぬ 上村占魚
銀無地の屏風をひらく淑気かな 能村登四郎
金屏風立てしがごとく焚火かな 川端茅舎
金屏風傾城こもる秋の暮 正岡子規 秋の暮
金屏風距つ相客祭宿 山口青邨
金屏風何んとすばやくたたむこと 飯島晴子
金屏風何も書かれぬまま立てり 山口誓子
金屏風ななめに立てて夏座敷 山口青邨
金屏風おはん白々と舞ひにけり 山口青邨
金屏や父の世に古りいまに古り 上田五千石 風景
金屏や刺繍屏風や亀城館 高野素十
金屏や一輪牡丹瓶の中 正岡子規 牡丹
金屏の裡の泊りに父の夢 木村蕪城 寒泉
金屏の如くに倒れ鯉游ぐ 野見山朱鳥 曼珠沙華
金屏の前に置かれし田植笠 高野素十
金屏の前に新婦の父としわれ 富安風生
金屏の前で耳うち呉れしこと 波多野爽波
金屏の人影過ぐる翳りかな 上野泰
金屏の晶子百歌や春火鉢 中村汀女
金屏の虎賓客をまじまじと 阿波野青畝
金屏の空の如くに翳りけり 上野泰
金屏の金ンを放てる虚空かな 上野泰
金屏の金には染り菊の白 後藤比奈夫
金屏のかげりもあらぬ今宵かな 上田五千石『天路』補遺
金屏のかげにうかがふ隙間風 富安風生
金屏のうちの我等や十二月 高野素十
金屏のうこんのいろにまぎれなし 岡井省二 有時
金屏に明暗はあり菖蒲の日 古舘曹人 砂の音
金屏に南国の蠅いまだつよく 中村草田男
金屏に灯さぬ間あり猫の恋 原石鼎 花影
金屏に昼の一間や露の宿 原石鼎 花影
金屏に惜みなき火のうつりつつ 下村槐太 光背
金屏に惜しみなき火の映りつつ 下村槐太 天涯
金屏に紅打ち重ぬ牡丹かな 中村汀女
金屏に銀髪これぞ年賀なる 林翔
金泥の雲屏風出て花の雲 山口誓子
橋に出て屏風掃きけり煤払ひ 原石鼎 花影
峡の栖寝ても雪光金屏風 飯田蛇笏 家郷の霧
桔梗活けて屏風は狩野の繋馬 正岡子規 桔梗
祇園会や衝立に透く塔ひとつ 鷹羽狩行
冠*えいの影は立ちけり雛屏風 山口青邨
鴨宿の屏風金屏とはゆかず 桂信子 花影
割床や屏風の裏に明易き 正岡子規 明け易し
掛大根屏風の如く書を読める 山口青邨
垣間見や屏風ものめく家の内 飯田蛇笏 山廬集
外は今暑きさなかよ葭屏風 星野立子
貝寄風や衝立のごと巌島 鷹羽狩行
絵屏風や病後なごりの二三日 飯田蛇笏 山廬集
絵屏風の遊女は遊女いくら見ても 後藤比奈夫
絵屏風の撫子赤し子を憶ふ 正岡子規 撫子
蚊をとらふ眼が金屏の剥落に 古舘曹人 能登の蛙
花暮るる山楽の屏風また古ぶ 山口青邨
花鳥の絵のはなやげる屏風かな 村山故郷
夏炉あり屏風うごかしつゝ掃除 阿波野青畝
何双も五百羅漢の屏風立つ 阿波野青畝
牡丹崩る屏風の牡丹崩るると 山口青邨
牡丹色とはむかしながらの屏風絵の 山口青邨
牡丹の屏風ことしも逝かんとす 山口青邨
鴬や螺鈿古りたる小衝立 杉田久女
襖あけ屏風に当りさうになる 清崎敏郎
遠望の山河さながら初屏風 鷹羽狩行
嬰児籠の児屏風の花鳥見て機嫌 山口青邨
瓜小屋や筵屏風に二タ間あり 村上鬼城
鵜の川の六双屏風金華山 鷹羽狩行
雨の雁ひとり屏風の月を見る 正岡子規 雁
稲架襖開き屏風の形せる 山口誓子
一枚の波屏風立ち磯焚火 上野泰
一双の秘蔵と見ゆる屏風かな 後藤夜半 底紅
一声や屏風倒れて子規 正岡子規 時鳥
一月や屏風絵めきて卯辰山 鷹羽狩行
一と日父が子とあそぶ暇葭屏風 中村汀女
井戸の辺をすり抜け屏風運ばるる 波多野爽波
囲爐裏火に照り輝くや板屏風 松本たかし
阿羅漢の屏風の間をはしりぬけ 阿波野青畝
をし鳥や廣間に寒き銀屏風 正岡子規 鴛鴦
わが前につつじむらさき屏風なす 山口青邨
わが寝ぬる枕屏風のただましろ 星野立子
わが宿の山を屏風の十三夜 山口青邨
やうやくに座のあたたまる屏風かな 飯田蛇笏
みちのく泊り屏風語中に「月支銭」中村草田男
みちのくの山里かなし屏風売 山口青邨
ほぼ真下より見て屏風岩つつじ 鷹羽狩行
ふるさとや屏風へだてて舸子と寝る 木村蕪城 一位
ひひなより屏風の金の世に古れる 上田五千石『琥珀』補遺
ははそはの習はれし絵の屏風かな 後藤夜半 底紅
ナイ夕ーの燈の衝立は吾に向く 山口誓子
とんでゐる屏風の蝶を向けてあり 阿波野青畝
とりいだす屏風ひらくや山桜 山口青邨
ともしびを剪れば明るき屏風かな 富安風生
ところどころつゝじ咲く也屏風岩 正岡子規 つつじ
つぼみ向きむき水仙の花屏風 鷹羽狩行
ちりかゝるむしろ屏風のもみち哉 散紅葉もみち<木+色> 正岡子規
ぢぢばばに紫つつじ屏風なす 山口青邨
たはれめの彦根屏風の絵にも萩 森澄雄
たゝまれし屏風の傍の黄水仙 上村占魚 鮎
さむかぜに衝立の句碑無季を書く 平畑静塔
こもり居の妻の内気や金屏風 飯田蛇笏 山廬集
こちばかり見てゐる人や屏風の絵 星野立子
くらはんか舟の賑ふ屏風の絵 後藤比奈夫
くらがりに七賢人の屏風かな 山口誓子
あきかぜのそよりと彦根屏風かな 鷲谷七菜子 一盞
あかあかと屏風の裾の忘れもの 波多野爽波
*こおろぎの高音夜の山屏風なす 右城暮石 句集外 昭和十五年

屛風 続補遺

*こおろぎや一夜宿せし歯朶屏風 白雄 白雄句集
*蟋蟀や一夜宿せし歯朶屏風 加舎白雄
あつき日やふつと見かゝる屏風の画 成田蒼虬
かげろふや障子かげろふ金屏風 介我
ながき夜を我にむかふや屏風の檜 夏目成美
なき魂の何を耻て歟立屏風 三宅嘯山
はしらかす屏風のうちや年忘 浪化
ほとゝぎす鳴や屏風に寒山寺 桜井梅室
まつりの日屏風合の判者かな 炭太祇
もみぢ見や寺の屏風のやまざくら 三宅嘯山
わくら葉に立や屏風の木地のふち 荷兮
衣がへ躍らば屏風越ぬべし 琴風
引まはす襖戸の外も稲屏風 北枝
宇治に来て屏風に似たる茶つみかな 鬼貫
鴬も屏風ひとへの初音かな りん女
黄鳥の影たゝみこむ屏風かな 桜井梅室
家わたりや屏風摺小木白ぼたん 支考
菓子売の莚屏風や春の風 許六
海棠の朝の香たゝむ屏風かな 桜井梅室
金屏にあらたまりけり百千鳥 凉菟
金屏に雨吹いるゝ野分かな 蓼太 蓼太句集初編
金屏に乾く時雨のやどりかな 中川乙由
金屏に鶴の歩みや秋の色 露川
金屏に夢見て遊ぶ師走かな 支考
金屏に旅して冬を籠る夜ぞ 加舎白雄
金屏のかくやくとしてぼたんかな 与謝蕪村
金屏の隠者となりて花の春 木因
銀屏に葵の花や社家の庭 野坡
銀屏の夜や七夕の嫁入前 支考
五月雨や色紙はげたる古屏風 園女
公家町や春物深き金屏風 黒柳召波
三か月の影まつ雛の屏風哉 野紅
山はまだしらぬ屏風の紅葉かな 中川乙由
山川や金屏移る華の宿 露川
残されて屏風一重や置火燵 りん女
施餓鬼火や不二を屏風に駿河浜 田川鳳朗
春雨やはなれ~の金屏風 許六
春雨や離れ~の金屏風 許六
暑日や産婦も見えて半屏風 黒柳召波
小屏風に山里涼し腹の上 丈草
小屏風に茶を挽かゝる寒サ哉 斜嶺
小屏風やたてはさまるゝ秋の蝶 夏目成美
小屏風や弟通さぬ雛の関 越人
青柳にのまるゝひなの屏風かな 風国
雪信が屏風も見えつ雛祭 高井几董
扇置秋を屏風の折め哉 沙明
大年や屏風傘味噌畳 〔ブン〕村
竪横と屏風に暮て時雨かな 浪化
短冊の屏風を見たり秋のくれ 黒柳召波
虫ぼしにあそぶ八島の屏風哉 如行
土べたに屏風立けり里祭 卓池
唐へ行屏風も画やとしの暮 炭太祇
年棚の下や屏風の梅の花 岱水
病ム床や花の春見る屏風越 杉風
風の来る道に屏風や后の月 嵐青
仏名や屏風見くらす小僧哉 浪化
物売も橋に屏風や冬籠 露川
楊貴妃を屏風で囲ふ煤払ヒ 許六
蘭の香やほのかに光る金屏風 知足
臨終の屏風張せて老の松 琴風
屏風さへ見れば睡たし梨子の花 寂芝
屏風にて庵仕双らべん冬ごもり 土芳
屏風にて押出す猫の別哉 土芳
屏風にも見しか此絵は秋のくれ 支考





by 575fudemakase | 2017-11-07 08:47 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

百合鴎 補遺

百合鴎 補遺

もの言ひてゑくぼ生まるるゆりかもめ 岡井省二 夏炉
ゆりかもめ水に羽根打ち胸打ちて 細見綾子
ゆりかもめ来て霜月の柏尾川 石塚友二 玉縄以後
宇治や来て時雨のいろのゆりかもめ 古沢太穂 捲かるる鴎以後
見あげゐてふつうのかほやゆりかもめ 岡井省二 有時
見上げゐてときをかへたるゆりかもめ 岡井省二 五劫集
松島の中州未完やゆりかもめ 佐藤鬼房
正月の耳福といへばゆりかもめ 森澄雄
生きる日の海は孤ならずゆりかもめ 高屋窓秋
大雪や洲の雪穴のゆりかもめ 松村蒼石 雁
着ごころの三日の着物ゆりかもめ 岡井省二 山色
鉄鉢をのぞきに春のゆりかもめ 岡井省二 猩々
百合鴎少年をさし出しにゆく 飯島晴子
百合鴎西より晴れて西寒し 三橋敏雄
百合鴎中洲が白くなる程に 山口誓子
名にし負はば鴎の中のゆりかもめ 山田みづえ 草譜
夕ずつや揺るるほかなき百合鴎 橋閒石 微光
洛中は物日の音ぞゆりかもめ 藤田湘子

by 575fudemakase | 2017-11-01 08:03 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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