人気ブログランキング | 話題のタグを見る

雑炊

雑炊

ありなしの葱雑炊に舌焼かん 森夢筆
いい仲間ゐて雑炊で締めくくる 松井のぶ
うつし世に情なからめや芋雑炊 森澄雉
かき雑炊太白すでに海の方 燕雀 星野麥丘人
すつぽんの雑炊すする光悦忌 倉持嘉博
どっこいしょ独りの夜の雑炊に 中田亮
みぞるゝや雑炊に身はあたたまる 蛇笏
みぞるるや雑炊に身はあたたまる 飯田蛇笏 山廬集
もの言へば雑炊焦げの舌にがし 草田男
やがて座も河豚雑炊に終りけり 高浜年尾
ゆつくりと腑にゆきわたる河豚雑炊 佐川広治
愛惜や鮭雑炊の塩加減 占魚
愛憎や鮭雑炊の塩加減 上村占魚
逢はずば知らぬ人のひとりや鴨雑炊 大石悦子 聞香
磯の香の雑炊うまく牡蠣まろし 水原秋櫻子 蘆雁
一運座河豚雑炊のあとにあり 百合山羽公 樂土
一人だけ雑炊あとはみんな蕎麦 久保田万太郎 草の丈
一人づつ減りてひとりの韮雑炊 中川須美子
一碗の湯気を奢りのにら雑炊 土方真帆
鵜の宿の鮎雑炊にあづかりぬ 阿波野青畝
鰻雑炊ここに一言居士のゐる 中原道夫
牡蛎雑炊煮えたつ迄のひとり言 平岡喜美子
牡蛎舟の牡蛎雑炊に散会す ゆか 久保しん一
牡蠣雑炊あつし葱の香振りかけて 水原秋櫻子 蘆雁
牡蠣雑炊われら明治に育ちけり 伊東余支江
牡蠣雑炊心通へる人と居て 佐藤絹子
牡蠣雑炊湯気ゆたかなる日も一人 北原志満子
何もかも雑炊としてあたたかく 種田山頭火
河豚雑炊あつしあつしとめでて吹く 秋櫻子
河豚雑炊とや吹くさまのをかしけれ 吉田鴻司
河豚雑炊眼鏡くもりてただうまし 水原秋櫻子 餘生
河豚雑炊刷毛目の鍋をあふれいづ 水原秋櫻子 餘生
河豚雑炊吹き吹き椀を替へにけり 水原秋櫻子 餘生
河豚雑炊餅に舌焼くたのしさよ 水原秋櫻子 餘生
河豚雑炊餅のうまさにまぎれ食ふ 水原秋櫻子 蘆雁
海に降る雪を見てこし菜雑炊 長谷川櫂 古志
蟹雑炊吹いて明るき濤頭 福島勲
鴨を得て鴨雑炊の今宵かな 松本たかし
鴨を得て鳴雑炊の今宵かな たかし
鴨雑炊雨に容赦のなかりけり 増成栗人
共に雑炊喰するキリスト生れよかし 中村草田男
共に雑炊食するキリスト生れよかし 中村草田男
胸の内みなまで言わず蟹雑炊 清水きよし
玉蔵す如くに頬や雑炊吹く 上野 泰
虎穴にて河豚雑炊の味をみる 村井和一
国籍を問へば雑炊煮えたぎる 櫂未知子 貴族
妻の顔まぢかに風つのる夜の雑炊 栗林一石路
妻留守の雑炊もまた佳しとせむ 安住敦
雑炊となりし宴に浪の音 中戸川朝人 尋声
雑炊にあたゝまりたる泊りかな 高野素十
雑炊にいたらず猪鍋脂に酔ひ 河野頼人
雑炊にたちまち霽るる葱のいろ 長谷川櫂 古志
雑炊にともし火ひくく下ろしけり 高橋淡路女 梶の葉
雑炊にぬくもり口は一文字 前田普羅
雑炊にぼんやり泛ぶ鴨の肉 鈴木鷹夫 春の門
雑炊に蟹のくれなゐひそめたり 山田明子
雑炊に顎動かせる髑髏かな 磯貝碧蹄館
雑炊に刈上餅をしづめけり 水原秋櫻子 餘生
雑炊に月の明りの栄花かな ハリマ 青蘿 五車反古
雑炊に月の明りの栄華哉 青蘿
雑炊に寺の子四方の襖より 赤松[ケイ]子
雑炊に生きて百書の志 遠藤梧逸
雑炊に舌をこがして勿体なし 富安風生
雑炊に舌打ちしたるさびしさよ 能村登四郎
雑炊に添へてちりめんじやこ少し 草間時彦
雑炊に非力ながらも笑ひけり
雑炊に琵琶聴く軒の霰かな 芭蕉
雑炊に卵二つをぽんと割る 星野 椿
雑炊のこれを名残や別霜 正岡子規 別れ霜
雑炊のなどころならば冬ごもり 其角
雑炊のほのぼのしさをすすりこむ 松澤昭 宅居
雑炊の恩ををくるや落葉掻 毛〔ガン〕
雑炊の具のぎんなんの三粒ほど 亭午 星野麥丘人
雑炊の色も雪間の薺かな 几董
雑炊の淡さ馴れ来し夏書かな 志田素琴
雑炊の点晴として卵かな 檜紀代
雑炊の湯気吹きこころ岐路に立つ 稲垣きくの 黄 瀬
雑炊の韮片よせて風邪長し 石川桂郎
雑炊の腹ごぼと鳴る火鉢かな 富田木歩
雑炊の腹へこまして談笑す 高浜虚子
雑炊の名もはやされて薺かな 支考
雑炊の薬味異なる夫婦かな 三橋鷹女
雑炊もみちのくぶりにあはれなり 山口青邨
雑炊も人のなさけもさびしかり 河野南畦
雑炊やこけしづくりの子沢山 瀧 春一
雑炊やこの風吹けば時化長し 高平春虹
雑炊やつくづく不肖なることも 永井龍男
雑炊やながき余生の厨ごと 和田 祥子
雑炊やひそかに暮らす病後の日 村山古郷
雑炊や一すぢ青き山の幸 鷹羽狩行
雑炊や格子戸暗きわが生家 村山古郷
雑炊や戯れ語の父のけぶらへる 大橋敦子 匂 玉
雑炊や古妻のたゞまめやかに 高橋淡路女 梶の葉
雑炊や後生大事ということを 高浜虚子
雑炊や後生大事といふことを
雑炊や信楽の鍋木曾の匙 上田五千石『風景』補遺
雑炊や酔ひても母に仕へけり 小林康治 『四季貧窮』
雑炊や世をうとめども子を愛す 小林康治
雑炊や戦後寒かりし若かりし 岡本眸
雑炊や息といふ風吹きに吹き 上田五千石『琥珀』補遺
雑炊や猫に孤独といふものなし 三鬼
雑炊や箸蕗味噌に度かさね 及川貞
雑炊や庇あらはに湖の風 『定本石橋秀野句文集』
雑炊や庇あらはに潮の風 石橋秀野
雑炊や病後の奇しき健啖に 皆吉爽雨
雑炊や母の幸せいと易き 佐藤恵美子
雑炊や頬かがやきて病家族 石田波郷
雑炊や頬かゞやきて病家族 石田波郷
雑炊や頬かがやきて病家族 波郷
雑炊や夜更かしの灯に茂吉の書 角川春樹
雑炊や老いては淡き目鼻立 岡本眸
雑炊や老の風邪には薬なき 水原秋櫻子
雑炊や茫々切手をなめる舌を出す 川口重美
雑炊をこのみしゆゑに遁世し
雑炊をして銀閣の界隈に 岸本尚毅
雑炊をすゝる母はも目をつむり 加藤蛙水子
雑炊をふきふき啜るひとり言 田中冬二 俳句拾遺
雑炊をよろこぶ我は戦中派 森田峠
雑炊を覚えて妻の留守に馴れ 小竹由岐子
雑炊を煮るおんどりを視野に入れ 荻田礼子
雑炊を吹きくぼませて二人かな 原 柯城
雑炊を吹きつ家系を思ひけり 堤白雨
雑炊を吹く音雪のしずる音 坪内稔典
雑炊を吹く日も空の氷河照る 坪内稔典
雑炊を炊かんシベリヤ風の夜は 高橋 向山
雑炊を焚き怒らすや焚きに焚き 山口誓子
死神の素通りしたり韮雑炊 小泉八重子
若き父となり雑炊を吹き凹ます 三谷昭
寂寞として啜りけり牡蠣雑炊 角川照子
舟で食ふ鮎雑炊のかくも揺れ 鈴木鷹夫 大津絵
春がしける日のなにもかも雑炊にしてゐる 種田山頭火 自画像 落穂集
書斎時を惜しみ雑炊はこばしむ 皆吉爽雨
薯雑炊好みし父の出世せず 松下 のぶ
職引いて雑炊好きな母のそば 高澤良一 随笑
唇を芹雑炊が焦がしけり 前田普羅
唇を芹雑炊が焦しけり 前田普羅
心に破戒牡蠣雑炊に舌こがす 籏こと
人日の葱雑炊となりにけり 田中玲子
吹きこぼれたる雑炊の韮匂ふ 清崎敏郎
西空透く夜は牡蠣雑炊ときめ 北原志満子
草枯に雑炊すゝる樵夫かな 加舎白雄
誰かしる今朝雑炊の蕪の味 惟然
探梅の記事あり雑炊の朝餉了ふ 原田種茅 径
昼は雑炊夜はシチューに風邪寄せず 高澤良一 随笑
直会の雑炊煮立つ神楽笛 佐川広治
冬晴れて雑炊腹のたよりなし 笠原ひろむ 『棕梠の花』
灯の町は見知らぬに似て鴨雑炊 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
日当りの良すぎる席の鴨雑炊 鈴木鷹夫 春の門
韮雑炊いよいよ素なる我が暮し 小原菁々子
韮雑炊吹きさますなり摂取不捨 殿村菟絲子
韮雑炊青ゆっくりと混りたる 成田清子
韮雑炊番茶ぬるめにたまはりぬ 寒食 星野麥丘人
韮雑炊命惜しまん気も少し 大石悦子 聞香
猫舌へ最後に回す鶏雑炊 岡田カヨ子
背筋丸めてゐたりしが鰻雑炊 神崎忠
箸がかりなき雑炊をかしこめり 上田五千石『琥珀』補遺
病むわれに妻あらばこそ芋雑炊 村山古郷
父が愚痴の舌焦がしけり鰻雑炊 大石悦子 群萌
父の座の高き炉端や鴨雑炊 長島喜代子
芳しき韮雑炊や放哉忌 水野蓮友
蓬雑炊共にすすりて鳩間節 影島智子
夜々の雪を友也菜雑炊 小林一茶
夜咄の牡蠣の雑炊秀衡椀 及川貞 夕焼
夕顔に雑炊あつき藁屋かな 越人
冷めぎはは漣立ちぬ牡蠣雑炊 鈴木鷹夫 大津絵
椀赤し鮎雑炊の熱し~ 高野素十
國捷ちて芋雑炊の煮えたぎる 飯田蛇笏 白嶽
臘八や今朝雑炊の蕪の味 惟然
艸がれに雑炊すゝる樵夫かな 加舎白雄
鶉雑炊なれば中千本に食む 岡井省二 鯨と犀

以上

# by 575fudemakase | 2019-06-05 18:30 | 無季

茶漬

茶漬

*鮴茶漬梅雨のはたてとなりにけり 石田小坡
アメリカが終の栖家で鮭茶漬けの箸 高木敏子
いちにちを下京にゐる鱧茶漬 橋本榮治
いつよりの太閤嫌ひ鱧茶漬 福永法弘
うす縁や蓮に吹かれて夕茶漬 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
お茶漬けの味の夫婦や冬ぬくし 細井新三郎
お茶漬をさらさら桜月夜かな 鈴木鷹夫 春の門
けしの花詠て昼の茶漬哉 千川
さく~と氷カミツル茶漬哉 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
さわやかに茶漬の音の母と子等 石川桂郎 含羞
せつせつと茶漬に挑む鳥曇り 中尾硫苦
ひとごこち梅干茶漬かっこみて 高澤良一 素抱
ふるさとや残暑の朝の茶漬飯 村山古郷
ほのぐらく茶漬の音す雛疲れ 渋谷道
みそさゞい焼味噌と見て茶漬哉 支考
メーデーより帰り掻込む茶漬かな 成瀬正とし 星月夜
もどり来て夜深の茶漬さくら漬 能村登四郎
鮎茶漬日照雨がうしろ通りけり 石田小坡
一日を下京にゐる鱧茶漬 橋本榮治
雲仙の薫風入れよ鯛茶漬 水原秋櫻子 蘆雁
炎昼の干鱈の茶漬かっ込めり 高澤良一 寒暑
炎天へ打つて出るべく茶漬飯 川崎展宏
夏の夜のあつい茶漬に豆腐なし 琴風
花曇茶漬となりて米笑ふ 宮脇白夜
花冷や茶漬にのせし塩昆布 鈴木真砂女 夏帯
蚊屋つりて喰に出る也夕茶漬 一茶 ■文政三年庚辰(五十八歳)
蚊屋つりて喰ひに出る也夕茶漬 小林一茶
帰郷その夜昆布茶漬に酢茎漬 村山古郷
気づかひの梅干茶漬忝なし 高澤良一 素抱
魚島をすぎてもうまし鯛茶漬 水原秋櫻子 蘆雁
君も亦二の酉もどり鯛茶漬 能村登四郎
古漬胡瓜茶漬けの候となりにけり 高澤良一 暮津
行春にきのふもけふも茶漬哉 李由
紫陽花や土間ひんやりと茶漬店 行廣すみ女
時鳥茶漬かきこむ里の朝 時鳥 正岡子規
七種や茶漬に直す家ならび 朱拙
首途の茶漬やどこの貧乏神 支考
十六夜は知らぬ方にて茶漬哉 十六夜 正岡子規
初旅や島の昼餉の鯛茶漬 轡田 進
新月に刈萱活けて茶漬かな 渡辺水巴 白日
酢茎見て茶漬所望の御医者哉 露印
正月をあらひ流して茶漬かな 露川
青葉路の秩父の熱き茶漬飯 鷹羽狩行
雪の音の幽けさに独り茶漬かな 渡辺水巴 白日
茶漬して仏飯ほぐす夜の雁 那須 乙郎
茶漬すく人や水田の冬の月 魯九
茶漬一膳義士討入の日なりけり 森田真臣
茶漬食ふ五月某日薄情に 藤田湘子 てんてん
濡れきつて若葉やすらぐ鯛茶漬 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
梅干に茶漬と月とかり所帯 支考
兵用ふへき新涼の茶漬かな 尾崎紅葉
飽食の果ての茶漬や松の内 渡部抱朴子
餅あはひ大原に来て茶漬かな 松崎鉄之介
戻り来て夜深の茶漬さくら漬 能村登四郎
柚味噌にさら~まゐる茶漬かな 高浜虚子
柚味噌にさらさらまいる茶漬かな 高浜虚子
柚味噌にさらさらまゐる茶漬かな 高浜虚子
夕蝉や茶漬に浮かす塩こんぶ 村山古郷
余り多く酒たしなまず鱧茶漬 月斗
囀りやひとり昼餉の海苔茶漬 鈴木真砂女 夏帯
聲すでにあをば木菟なり鯛茶漬 岡井省二 鯛の鯛
芍薬は数寄の茶漬を咲にけり 露川
薑やひとりすさみの朝茶漬 尾崎紅葉

以上

# by 575fudemakase | 2019-06-05 18:30 | 無季

カレー

カレー

あきかぜや皿にカレーを汚し食ふ 桜井博道 海上
オリーヴ葉カレーに煮込み酷暑なる 細見綾子
カレーに火通してをりぬ半夏生 仁平 勝
カレーに舌燃え冬晴の睡き午後 中拓夫 愛鷹
カレーの黄銀杏の黄母校通り抜け 大野林火 飛花集 昭和四十八年
カレーの香ただよふ雨の文化の日 大島民郎
カレーの匙なめて吾が妻秋日和 草間時彦 中年
カレーの市民なげく蒲公英枯芝に 山口青邨
カレー煮て置手紙して日短 千原 叡子
カレー臭い口で束ねるほとけの花 橋閒石
カレー食うて口中辛き花火かな 青木重行
カレー食つて眼の下熱し三鬼の忌 檜山惜彦
カレー食ぶ島の厄日の波頭 燕雀 星野麥丘人
カレー新鮮憲法記念日の卓に 木村勇一
カレー燃ゆ市門に乱る冬の雁 角川源義
カレー粉と 蝉の匂いの 夏休み 伊丹公子 ドリアンの棘
カレー捏ねる正面 タントラ人体図 伊丹三樹彦
かんばんのカレー西日の新世界 原 清水
スキー宿カレーの匂ふときが昼 藤野知寿子
つばくらめカレーの市民の頭上越え 高澤良一 寒暑
とりあへずカレーを秋の空港にて 正木ゆう子 悠
ライスカレーの匂ひに暮るる雪の六日町 田中冬二 若葉雨
阿蘇凍みて黄なるカレーの飯を食ふ 山口誓子
炎天を計るカレーの辛さもて 後藤比奈夫
何となく夜の塑像にカレーの香 田浪富布
河童忌の横須賀海軍カレー食ぶ 高澤良一 宿好
荷風忌や賛否臆せずカレー煮て 赤松[けい]子 白毫
我のみの汗かとカレー食べながら 森田峠 避暑散歩
教師俳人かじかみライスカレーの膜 西東三鬼
三日はやカレーの匂ふ白き家 西村倭文子
燦々と台風一過カレー煮よ 松澤昭 面白
子の四肢のゆたか大暑のカレー食ふ 河野南畦 『風の岬』
時には怒れカレーの好きな少年少女 日浅啓子
時頼忌人参目立つカレーかな 松崎鉄之介
鹿肉でありしカレーや避寒宿 榎本 享
秋の狩場の一軒のカレー店 伊藤多恵子
秋風やカレー一鍋すぐに空 辻 桃子
秋明菊カレーを食べし息に触れ 大林清子
女正月印度カレーを欲しけり 小島千架子
真夏日のライスカレーは嘘つかず 鈴木明(野の会)
辛口のカレーに夏を惜しみけり 木倉フミヱ
青芝に影せばわれもカレーの市民 山口青邨
雪渓をはるか眼下にカレー食ふ 長田等
蝉声の抑揚もなしカレー煮ゆ 有働亨 汐路
束の間に燈が消え冬のカレー店 鈴木鷹夫 渚通り
卒業期実習カレー匂ひ立つ 楠節子
大阪煙るカレーの皿と顔離せば 林田紀音夫
大試験子と新宿でカレー食ぶ 栗田やすし
大鍋のカレー空っぽ子供の日 西岡一彦
鱈売女ライスカレーを食べてゐる 田中冬二 冬霞
男からカレー匂へる浮巣かな 中村堯子 銀化
冬ざれの司祭館よりカレーの香 木場田秀俊
冬講義うしろ漂ふカレーの香 赤尾兜子 稚年記
二百十日心底辛きカレー食ふ 山下百合子
日の盛りカレー粉の素炒る香のす 高澤良一 暮津
熱泥のカレー煮立てて暑に対す 高澤良一 素抱
納涼船の速度の上のカレー店 鈴木鷹夫 渚通り
白き飯カレーと置かれあやめを言ふ 三橋鷹女
風鈴やカレーつくるに刻かけて 鈴木真砂女 夕螢
末枯れやカレー南蛮鴨南蛮 田中裕明
木犀の花屑カレー粉めく散歩 高澤良一 石鏡
夕涼のカレーの匂ひする家よ 如月真菜
螺旋階段カレーの辛き香へ降りる 多賀九江路
落第も二度目は慣れてカレーそば 小沢信男
鮨屋へのカレーの出前油照 山口恵子

以上

# by 575fudemakase | 2019-06-05 18:29 | 無季

料理1 の俳句

料理1 の俳句




料理の俳句
粥の俳句
ライス
弁当
駅弁
御飯
赤飯
雑炊
茶漬
カレー




和食

間引菜の軽き香異邦で摂る和食 北野民夫
祖母のゐて和食好む子若牛蒡 大橋敦子(雨月)
諾々と田螺和食ひすぎてをり 岡井省二 鯨と犀

洋食

クレソンやおほかた丸き洋食器 中川和子
鬼灯市はずれに灯す洋食屋 山崎祐子
末枯の浜に小さな洋食屋 田畑保英

折詰

やゝ寒く松茸飯の折詰も 高野素十
湖面標旗の個のはばたきへ折詰空(あ)く 堀葦男
床払折詰の河豚煮立ちけり 石川桂郎 高蘆
折詰に鯛の尾が出て隙間風 波多野爽波
折詰の紐の赤房初句会 猿橋統流子


幕の内

飯蛸や女は好きな幕の内 中火臣
幕の内頼むも手順初芝居 鈴木栄子

定食

チューリップ朝酒つけし和定食 高井北杜
とろろ汁付く定食のAとB 蛯名八月
結局みんなおふくろ定食竹の秋 飯島晴子
月もこよひ食したまふや嘉定食 貞徳
十六の餅持てあます嘉定食 藤村克明(杉)
新暦も重んずべきか嘉定食 相生垣瓜人 負暄
定食で生きる男のクリスマス 中嶋いづる
定食にきつねがついて放生会 辻桃子
定食の皿はみ出して大秋刀魚 添野光子
定食の大盛飯に大秋刀魚 滑川洋一
定食の鱈汁てふを食べきれず 酒井一鍬
病中に嘉定食ちふ日も過ぎぬ 相生垣瓜人 負暄

アラカルト

かき氷キウイを添へてアラカルト 久米谷和子
木歩忌のトマトをのこす一品料理(アラカルト) 秋元不死男

薬膳

レシピ見て薬膳七草粥を炊く 相河美智子
薬膳茶少し濃くせり啄木忌 五味利恵子

お節

縁起名によぶもの多しお節詰 伊藤敬子

一の膳 二の膳 三の膳

としの夜の鰤や鰯や三の膳 去来
月山の茸づくしの三の膳 黒田杏子
鴫焼や高野の坊の一の膳 松根東洋城
正装に二の膳遠し焼栄螺 大井貞一
二の膳に胡麻豆腐あり夕蛙 館岡沙緻
二の膳も秀衡塗や菊なます 原子岱子
二の膳やさくら吹込む鯛の鼻 子珊
年の夜のぶりや鰯や三の膳 去来

突き出し

突き出しの蚕豆青し傘雨の忌 池田秀水

前菜

敬老の日の前菜や海老づくし 水原秋櫻子 蘆雁
兎愛し前菜なればなほ旨し 櫂未知子 貴族
洋前菜鮟鱇の胆でありけるよ 水原秋櫻子 蘆雁以後

メインディッシュ

猟名残メインディッシュはジビエかな 稲畑廣太郎

鉢物

下町の鉢物並べ竹牀几 坊城 中子
鉢物に土を足しやる小晦日 高澤良一 さざなみやつこ

デザート

デザートに一口珈琲日短か 辻田克巳
デザートに年々大き苺かな 高澤良一 素抱
デザートに枇杷の出で夜を本降りに 高澤良一 ねずみのこまくら
デザートのみかんに灯影殺到す 高澤良一 宿好
デザートは妻即製のシャーベット 森 國穂
デザートは日本の西瓜機内食 岡田佐久子

冷飯

あさつきに冷飯白し夏の月 左次
寒食や冷飯腹のすいて鳴る 村上鬼城
冷や飯がぞろぞろと来る春霞 坪内稔典
冷飯にうたてやのあさつき膾 尾崎紅葉
冷飯にうたてやの胡葱膾 尾崎紅葉
冷飯に鳴らして寒し銀の箸 長谷川かな女 雨 月
冷飯のこほりたるに茶をかけるべく 正岡子規 凍る
冷飯ぽろぽろさみだるる 種田山頭火
冷飯もなうて*はったいもそ~と 川端茅舎
冷飯を食ふ巨いなる鏡の裏 橋閒石 無刻
冷飯を味噌で握つて一茶の忌 桐生敬子

鯛飯

鯛飯の骨歯に刺さる冬隣 冨田みのる
鯛飯の鯛の骨抜く夜の秋 梶山さなゑ
鯛飯の椀のぬくみや十三夜 村山古郷
鯛飯を囲む渚や望の月 中川康子
梅雨深し鯛飯を食ふ伊予の宿 和田 珠

五目飯

五目飯ぎんなんを先づ拾ひ食べ 藤戸 洛
初秋や仏にあげて五目飯 小澤碧童 碧童句集
日月の消えるが荒し五目飯 竹本健司
福の豆入れて炊きたる五目飯 中ノあさ子

釜飯

いつさいぶちまける釜飯のうまさ 種田山頭火 草木塔
釜めしの駅弁うまし旅始 伊東白楊
釜飯のしじみが焦げて瀬田ぐもり 吉田紫乃
釜飯の焦げを握れば風薫る 武田和郎
釜飯の大きな栗を喜べり 大木あきら
釜飯を底より混ぜて一の酉 大工原朝代
酔いて二三が釜めし食いおり魚市閉ず 古沢太穂 火雲

茶飯

ことしの木の芽が奈良茶飯にある蓋をとる 荻原井泉水
塩鮭焦して家常茶飯の茶飯とす 鈴木栄子
家常茶飯したたか雹に打たれけり 小池文子 巴里蕭条
歌よみよ我俳諧の奈良茶飯 正岡子規
寺にありて茶粥茶飯に冬籠 高浜虚子
朱椀まゐる一人茶飯や雨蛙 古舘曹人 能登の蛙
春窮の僧がつたへし奈良茶飯 大島民郎
神主も茶めし好也かみな月 寥松
水貝を出されて奈良の茶飯かな 曾祇もと子
千本のさくらの山の奈良茶飯 角川春樹 夢殿
浅漬の茶飯よろこぶ老医かな 吉田孤羊
茶飯とる汝は座禅の雨蛙 古舘曹人 能登の蛙
奈良茶飯出来るに間あり藤の花
日暮きて蟇鳴いてゐる奈良茶飯 森澄雄
芭蕉忌や我俳諧の奈良茶飯
芭蕉忌や茶飯にすべき米五升 星野麦人

鮨飯

鮨飯を写楽の顔の扇ぎをる 宇野千穂 銀化

握り飯 

お握りの海苔唇につく薄暑かな 中西舗土
からまつの霧がくもらす握り飯 稲垣きくの 牡 丹
たなぞこを焼く握り飯啄木忌 赤松[ケイ]子
どれかひとつはこのわたの握り飯 茨木和生 往馬
れんげ田のどまん中です握り飯 大倉淑子
愛語通り過ぐ秋山の握り飯 西東三鬼
握り飯ころがりさうな春の山 西川 織子
握り飯一つのこされ水見舞 阿波野青畝
握り飯割れば日がさし磯遊び 鷹羽狩行
握り飯二個持ち家出生身魂 右城暮石 散歩圏
鮎の腸入れたる握り飯貰ふ 茨木和生 丹生
稲妻や一万人の握り飯 蓼太 蓼太句集三編
塩効いて秋風冷(さま)す握り飯 秋元不死男
夏雲やずしりと母の握り飯 宮坂静生 青胡桃
夏山と日路いつぱいに握り飯 河口啼蔵
花守の手の大きくて握り飯 吉井秀風
花八手お握り載せやる広手亡し 香西照雄 素心
山雀や杣の頬張る握り飯 古藤みづ絵
初猟のまだあたたかき握り飯 大坂黎子
清明やラップに透ける握り飯 北村文男
僧になる青年若葉の握り飯 金子兜太
体育の日や磯の香の握り飯 鷹羽狩行
大皿に握り飯ある終戦日 都筑智子
二三人若草に座して握り飯 若草 正岡子規
麦刈のべんとう握り飯焼きて 細見綾子
麦秋や母のちからの握り飯 宮村明希
羅の人のくれたる握り飯 岸本尚毅 舜
囀りや受けていびつの握り飯 鷹羽狩行

おじや

おじやして一息つける雨の昼 高澤良一 素抱
かにかくに明日思ほゆおじやかな 上田五千石 天路
三寒の昼餉おじやに腹が足り 高澤良一 素抱
残りものみんなおじやになる暮らし 磯部芳子
風邪の子のついでのおじやもらひけり 小島健 木の実
利尻メカブおじやうましよ当店は 高澤良一 素抱

湯漬

一椀の湯漬をあます花の春 上田五千石 天路
丑三つを柚子湯漬りにまかせける 斎藤玄 狩眼
花守に一膳かるき湯漬飯 中原道夫
大ぶりの椀の湯漬や寒稽古 水原秋桜子
白雨に湯漬乞はゞやうつの山 一笑(金沢)

焼飯

焼飯に青山椒を力かな 桃隣
焼飯や草紙屋よびて座敷市 琴風
目刺焼き飯を汚して山の国 上山茂子 『父似』

炒飯

色鳥がそこに炒飯こきまぜよ 佐々木六戈 百韻反故 初學
は炎と睦む薄暑かな 櫂未知子 蒙古斑以後
炒飯を妻に分け置く一茶の忌 しかい良通

ピラフ

細雪部屋にピラフの匂い満つ 齊藤道子

パエリア

薔薇の芽やパエリアの貝多国籍 吉原文音

天丼

メーデーや妻の天丼えび二つ 雨滴集 星野麥丘人
隙間風天丼うまき今のうつつ 中村草田男
山茶花を散らし天丼とどきけり 小菅高雪
松過ぎの荷風ゆかりの天丼屋 渡辺二三雄
天丼と一声客や宝船 村山古郷
天丼の海老のいい色年詰る 高澤良一 宿好
天丼の大きな海老や春休み 草間時彦
天丼や暮も十日の馬喰町 藤田湘子 てんてん
天丼屋混みゐる昼や初大師 村山古郷
落葉臭き街歩き来て天丼 高澤良一 石鏡

カツ丼

カツ丼の見本ほんもの秋の風 中井亜由
紅葉かつ散るカツ丼を待つ間かな 土肥幸弘
浅草のカツ丼色の神輿かな 高澤良一 燕音

鰻丼

鰻丼を妻に振る舞ふ日なりけり 高澤良一 素抱
藪から棒に土用鰻丼はこばれて 横溝養三

パスタ スパゲッティ

スパゲッティするりと午後の鼓笛隊 湯川礼子
スパゲティくるくる食べる日焼の娘 阿部美代子
ピザ・パスタ何にでも合ふミニトマト 高澤良一 寒暑
ボジヨレーヌーボー烏賊墨和へのスパゲッティ 佐藤喜代子 『水の綺羅』
鰻入りパスタ何しろ思ひつき 泉田秋硯
茄で上がるパスタそろそろ雪女 山崎十生
山に雪どかつとパスタ茹でてをり 松永典子
新涼やスパゲッティに烏賊の墨 北見さとる
深鍋のパスタの踊る霜夜かな 栗山政子
冬芽に目和服にパスタ似合ひたる 金田咲子
冬兆すスパゲッティに鷹の爪 高澤良一 随笑
匂ひ立つ若菜のパスタ赤ワイン 白勢一間
夜は優雅に スパゲティ摂る 避暑姉妹 伊丹三樹彦
茹であげし娼婦のパスタ雛祭 柴野みちゑ

マカロニ

マカロニが舌を焦しぬ風涼し 日野草城
マカロニの孔々々もおぼろの夜 岡井省二 鯛の鯛
鸚鵡も語挟み マカロニ午餐果てるは いつ 伊丹三樹彦

ラビオリ

フオアグラのラビオリ風も処暑のもの 上田五千石『琥珀』補遺


餃子

雲はいま餃子のかたち秋の暮 櫂未知子 蒙古斑
四月馬鹿餃子啖らひし口拭ひ 安住敦
春愁や餃子の襞を寄せをりて ふけとしこ 鎌の刃
鳥帰りたる夜の数の餃子かな 岡井省二 大日
満作を前に餃子のげっぷかな 高澤良一 寒暑
楊絮とぶ蔭に座を得て餃子(ちゃおず)売る 西村公鳳
絽紋服生けるは街に餃子食ぶ 文挟夫佐恵 黄 瀬
餃子の具ぎゆうぎゆう詰めて夏休み 寺澤佐和子
餃子の耳綴じつつ玻璃の雪聴きつつ 平井さち子 完流
餃子リャンコと注文とられ春の飯店 高澤良一 寒暑
餃子喰つて夜学教師となりにけり 藤田湘子 去来の花

春巻

春巻きを揚げぬ暗黒冬を越え 摂津幸彦

肉饅

ぶらんこに肉饅熱きをお手玉す 森下賢一

お好み焼

月光が只今(しこん)お好み焼である 岡井省二 鯨と犀

もんじや焼

暮春なる月島もんじや焼通り 能村登四郎

蛸焼

雛飾る縁に蛸焼食べてゐる 阿波野青畝
蛸焼きの紅に日のさす初詣 沢木欣一
蛸焼の玉のいづれも良夜なり 岡井省二 鯛の鯛
蛸焼の紅に日のさす初詣 沢木欣一
短日の掌に蛸焼の舟のこる 内田美紗 魚眼石
天文や蛸焼に星流れたる 岡井省二 鯛の鯛

以上


















# by 575fudemakase | 2019-06-05 18:28 | 無季

老の春

老の春

あひ年の先生待ちて老の春 赤星水竹居
あやまちて墨が宜し老の春 阿波野青畝
いつとなく妻の耳借る老の春 塩田月史
うれしさとやや淋しさと老の春 富安風生
かくれんぼしたる眼鏡や老の春 阿波野青畝
さすが罪なき猥談や老の春 阿波野青畝
さにつらふ花びら餅や老の春 相生垣瓜人
さればこそ人わらひけり老の春 調和
しみじみと老てふことや老の春 富安風生
それも応これも応なり老の春 岩田涼菟
それも応是もおうなり老の春 岩田涼菟
それも応是もをう也老の春 凉菟
つくねんとして居る如し老の春 相生垣瓜人 負暄
とはいへど涙もろしや老の春 高浜虚子
はゝそはの胎なつがしや老の春 阿波野青畝
へなへなの紙捻を笑ふ老の春 阿波野青畝
ほうらいの山まつりせむ老の春 蕪村
ほど~になすことおぼえ老の春 星野立子
ものしたる恋の讃め歌老の春 阿波野青畝
ゆがみ木の鏑矢の裔(すえ)や老の春 京-随流 元禄百人一句
ロールスロイス見たこともなし老の春 百合山羽公 樂土以後
わが耳を苦にせずなりて老の春 阿波野青畝
わが命紙の如しや老の春 深川正一郎
悪なれば色悪よけれ老の春 高浜虚子
為し得ること何をか残す老の春 富安風生
一つちがひの弟か兄か老の春 三橋敏雄
雲を得ることは望まず老の春 後藤比奈夫
猿蓑をさらに習はん老の春 阿波野青畝
下手謡稽古休まず老の春 高浜虚子
何もかも一が始めや老の春 阿波野青畝
何一つわが語録無し老の春 阿波野青畝
何事も知らずと答へ老の春 高浜虚子
甘味にも酔ひたりけらし老の春 相生垣瓜人 負暄
貫くも貫かざるも老の春 後藤比奈夫
岸ゆきゆゑかまはず掻きて老の春 阿波野青畝
顔撫でて眉堅かりし老の春 阿波野青畝
喜寿の賀を素直にうけて老の春 富安風生
喜壽の賀をすなほにうけて老の春 富安風生
起き出でゝあら何ともな老の春 高浜虚子
胸の火の消えざるかぎり老の春 阿波野青畝
琴碁書画それにもよらず老の春 曽良
銀行の娘を二三愛で老の春 飯田蛇笏 家郷の霧
桑さして栄行畑や老の春 杉風
恵比須ほど貌は更しな老の春 服部嵐雪
恵比須ほど皃は更しな老の春 嵐雪
見栄も無く誇も無くて老の春 高浜虚子
今年子規五十年忌や老の春 高浜虚子
彩色の淡きを好む老の春 阿波野青畝
子供等に双六まけて老の春 高浜虚子
斯の如く俳句を閲し老の春 高浜虚子
死を怖れざりしはむかし老の春 富安風生
詩人には真贋ありと老の春 阿波野青畝
児となるや腰に破魔弓老の春 玄札
児と成るや腰にはま弓老の春 高島玄札
七たびの亥年詩人の老の春 阿波野青畝
七十七叟と書く気おこらず老の春 百合山羽公 樂土
若きらと歯車合はぬ老の春 阿波野青畝
拾ひ読むいつぞやのメモ老の春 阿波野青畝
十句より一句を作り老の春 星野立子
書き留めて即ち忘れ老の春 高浜虚子
女人の香亦めでたしや老の春 飯田蛇笏
勝負せずして七十九年老の春 富安風生
酔生も夢死もよかりし老の春 後藤比奈夫
世に四五歩常に遅れて老の春 高浜虚子
世の中がふと面白く老の春 富安風生
生くることやうやく楽し老の春 富安風生
舌少し曲り目出度し老の春 高浜虚子
組み立てを解く大海老の春の殻 如月真菜
其他の事皆目知らず老の春 高浜虚子
大いなる耳垢掘れて老の春 阿波野青畝
長眉毛一本のべし老の春 百合山羽公 樂土以後
爪に火をともす育ちの老の春 阿波野青畝
弟子として虚子を敬ふ老の春 阿波野青畝
同し道歩み来りし老の春 高浜虚子
年を言ひ笑ひのたねの老の春 阿波野青畝
念仏と豆腐とふとし老の春 支考
白文の詩を奈何せん老の春 阿波野青畝
八つ口をほころばせたり老の春 阿波野青畝
八は"多""六"は"碌々"老の春 富安風生
八十の老の春とは人も知る 後藤夜半
微けしと言ふものならむ老の春 相生垣瓜人 負暄
美しき老の春著と敬いぬ 星野立子
美しき老の春著と敬ひぬ 星野立子
鼻かみて顔ほめられん老の春 尚白
稗鳥の譏らば譏れ老の春 相生垣瓜人 負暄
風下に立つが仕合せ老の春 後藤比奈夫
風雅とは大きな言葉老の春 高浜虚子
蓬莱の山まつりせん老の春 蕪村
忘るゝが故に健康老の春 高浜虚子
棒に当る犬を道づれ老の春 後藤比奈夫
眠りつつ入歯うとむや老の春 阿波野青畝
夢のなか母の声あり老の春 阿波野青畝
命惜してふこといつはらじ老の春 富安風生
目悪きことも合ッ点老の春 高浜虚子
勿体なと心して言ふ老の春 阿波野青畝
龍宮に三日居たれば老の春 支考
両の手に玉と石とや老の春 高浜虚子
恋の句を付ける企み老の春 阿波野青畝
老の春しんどしとこそ言はむずれ 相生垣瓜人 負暄
老の春とは暮の春のこと飯御代(おかはり) 三橋敏雄
老の春磁針古れども北を差す 阿波野青畝
老の春写真をくれと人いふも 高浜虚子
老の春若き人々讃へつゝ 星野立子
老の春初鼻毛抜き今からも 山口素堂
老斑もわが身の一つ老の春 阿波野青畝
傲岸と人見るままに老の春 高浜虚子
傲岸と人見るまゝに老の春 高浜虚子
寐たうちや金も利をくふ老の春 許六
筐底のものを忘れて老の春 阿波野青畝
耄碌と人に言はせて老の春 高浜虚子

以上

# by 575fudemakase | 2019-06-05 07:50 | 新年の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
未分類

以前の記事

2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...
魚屋三代目日記
My style

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

外山滋彦著「俳句的」の指摘し..
at 2024-03-28 07:13
山本覚馬
at 2024-03-28 05:53
【桜餅】といえばどっち派?全..
at 2024-03-27 05:17
あまおう」と「とちお...
at 2024-03-24 03:42
一茶 生きもの句帖 小学館文..
at 2024-03-18 13:28
シュリンクフレーションという..
at 2024-03-13 05:15
ザッピングzapping?き..
at 2024-03-11 01:51
書道 書・筆・墨・硯の俳句
at 2024-03-08 10:04
しょどう
at 2024-03-08 09:38
すずり
at 2024-03-08 09:35
筆の俳句
at 2024-03-08 09:26
墨の俳句
at 2024-03-08 09:04
書の俳句
at 2024-03-07 18:12
佐々木敏光句集 富士山麓・秋..
at 2024-03-07 05:49
山口昭男著 波多野爽波の百句..
at 2024-02-26 02:57
ザッピングzapping?
at 2024-02-24 00:32
私の俳句入門 大野林火編 有..
at 2024-02-21 01:39
茨木和生著 右城暮石の百句 ..
at 2024-02-20 03:20
季寄せを兼ねた 俳句手帖「春..
at 2024-02-11 18:17
我が家の梅 2024/02/..
at 2024-02-06 13:51

外部リンク

記事ランキング