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最近の嘱目句あれこれ28 2025年 (高澤良一)

最近の嘱目句あれこれ28 2025年 (高澤良一)


◼️春
川根茶の紅茶色合ひよかりけり
田楽に汚れし指先如何にせん
おお寒いと云う顔をして陶の雛
春なれば和花いけずの京都旅
毬それてのんのんとゆく春の庭
皆しゆんの大いさかひや春の昼
水(み)音のみクレソンしんと鎮まれり
乙鳥来る日と吉日の日めくりに
かはをそは藁ちと積んで家作り
ヤッホーと樹々の芽吹ける深谿へ
養花天天下無双のダービー馬
立小便よもぎの上から湯気上げて
ニセアカシヤ、黄金イタヤ、黄緑族(楓若葉)
和名ではせんだんの木やフラッシュダンサー(楓)
美味そうなかえでの名なりオレンジドリーム
潮騒を其処にて遮断椿垣
一斉に洗ふ硝子器夏近し
土讃線大歩危ゆけば花菜の黄
鳥雲にジーンズそもそも労働着



◼️夏
老鶯の朝っぱらから宮詣で
著莪の雨どどの木曽路に旅愉しめ
老鶯が立ち去る口笛吹くやうに
老鶯の夕づくほけきょう徹る路地
老鶯の遠ざかるこゑ又遠く
老鶯の遠ざかるこゑ尚続く
老鶯の奏づるほけ経「ほー」長く
老鶯の夕近ければ端折り啼き
人居なくなれば啼き出す老鶯が

大気吸ひうぐひすを聞き奥大井
郭公に命の洗濯奥大井

井川線
お客さん下駄を鳴らして男滝まで
大気吸ひ奥大井湖上駅
湖の色になずんで接岨峡
滝道の右へ左へ奥大井
接岨大橋渡れば白南風井川線
蚊いぶしのこっちへ煙がいけません
どぶ板や一寸へこへこして梅雨季(どき)
吸血の蛭払ひ退け眉開く
老鶯に泥む投宿三日程
梅雨入りか朝から雨が凄いなあ
詰め込みし米の汗かくめんぱかな
まん八の夏となりけり茶碗酒
解く手も乾いてゐたり笹粽
孑孒の一人遊びや田螺の田
卯の花の零れ放題山古志棚田
荒凡夫暑さが減れば酒買ひに
へらず口叩くのみでは去らぬ暑気
つり鐘の無音を吸ひ上げ居るやうな
野分来て暑さが減ること皆願ふ
銀行の横丁曲る揚花火
どの夏も作務衣一つがとつとき着
炭鉱夫並みにサクレと云ふ氷菓子(サクレは商品名)
蜘の子が四散大きな顔当り
サカイヤ薬局勧む藪蚊の失せ薬

一茶に「手に足におきどころなき暑哉」あれば
天帝はご存知暑さの置き処

木と云ふ木坊主にされて黒毛虫
空梅雨の寺の仁王も汗をかく
青畳蠅喜んで止まりけり
口ん中がぼうぼう梅雨のエノキダケ
濡れ縁の土台の下の蟻地獄
出航を見送る艀の海猫あばよ
鯖缶の蓋を沈めて冷房す

心疾患一級同士
同病の彼も逝ったか桜の実

梅雨晴間並みの明るさ水中花
食卓に造花のあぢさゐ飾りもして
脇腹に著莪の葉明り痩せ仁王
垂れ毛虫ぶらつく掲示板のまへ
糞暑き日が続くなり藷の花
からす麦生ふ職安の駐車場
最果に咲く花ジャパニーズローズの赤
見渡す限りジャパニーズローズの花畑
ニセアカシア嘘は性根を据えてつけ
闇底より金切り声挙げ蚊の襲来
老鶯に命もうけの日々なりき
日傘さしてはばからぬ日々始まれり
蟾出現西陣織りのガマ口大
夏物出すそんな季節になりゐたり
濡れ縁に出す夏物にハタキかけ
もうそろそろ替え時ベッドの春シーツ
例のごと朝のお勤め夏うぐいす
夏支度先づ扇風機など手始めに
夏物に大小ありて小物より

シーサイドライン
夏潮を視界に収めモノレール

梅雨の深夜闇底にゐて蚊遣焚く

アースノーマット(商品名)
液体を強く熱して蚊遣り焚く

あの頃
山手線で少し涼んで丸善へ

八重洲口 丸善へ
本買ひに出掛ける電車弱冷房

暁暗(あかつきやみ)いけめん老鶯来宅す

一昼夜水浸け種子にヒビ入る朝顔
夏旺ん硬くて丈夫藷の蔓
延々と続く緑の庭千坪
新緑の中に豪邸めちゃ素敵
癖のある鰹に合う酒作りをり
それ何、ほら桑の実
蛇苺食べたら不味いと云ふ話


◼️秋
八月の下駄を鳴らして奥大井
蜻蛉発つ時ぞカサリと音のして
行かなくてすむもの病院・赤い羽根
秋の暮ころりとなかなかいかぬ訳
西宇和の清見胃の腑を清潔に
老いてけり敬老の日を黙示され
ながらふる命茗荷の咲ける日々
赤黒く暮れてゆくなり実南天
蟷螂図日光街道千住宿
繊維質の牛蒡は捨てたもので無し
六角の射的パンパンこんぴら宮(六角精児)
花啄まれぬやうに光でおどろかし(鳥威し)
鳥威し梟形の光り板
缶からに焙煎ピーナツ素手掴み
缶からに焙煎ピーナツ手が止まらず


◼️冬
猛る焔に年季の見ゆる火吹竹
誰が見ても仕様事なしの畳替
胸張って佇つ木々なれば素っ裸
瞽女歌ふ雪が頰打つおけさ節
およげ鯛焼ももいろさんごが手を振るよ
折り紙をヒントに近未来ジャケットを
沖に目を遣る眼力の冬鴎

横浜港
冬鴎あらゆる国より船こそ通え

妍競ひ女同士のカーリング
カムアラウンドのスイープ抜群体育系

イートイン
ころじゃがでカルピスウォーター春隣

何かにつけ葱の千住は江戸の外

バラ売はせず
荒縄で束ねて売れり千住葱

千住葱甘くて太くて巻きがいい
千住葱どうかと学校給食にも
お餅どうやら食べ過ぎたのか太田胃酸
冬すみれ一輪落下隕石脇
冬銀河はやぶさ2号向かう先


◼️️新年
初日の出わが日の本は島国よ
デニム狩新年一回限りの渡米


◼️相撲

令和七年五月場所
呼び出しも夏場所二日目高らかに

本日の相撲も荒れて青あらし
おすもうさん首のうしろの何とか筋
負け知らずあったか熱海の熱海富士
調子づいて翔猿十番負け知らず
一日一日が勉強の場所幕の内
取り組みは二十一番幕の内
幕の内最初の取り組栃大海
インタヴュー明日からふんばるすまふを約す
努力家で攻めるすまふを佐田の海
しぶとさが攻め勝つすまふこれ狼雅(ろうが)
丁寧に解説豊真将の錣山

阿炎戦
回転よく突かれて仕舞へば俺の負け

張り手の阿炎踏んづかまえんと琴櫻

高安戦
大ノ里勝っても納得いかぬ顔

火吹男(ひょっとこ)の顔して高安塩を撒く

若元春戦
おおかみの顔して横綱 防衛戦

声援は五分五分 高安 大ノ里
どちらも負けるな 高安 大ノ里

遠藤戦 物言い
取り組みの途中出ていた獅司の脚

やや首を傾げて王鵬霧島戦
戦いはどっちに転ぶか琴櫻
豊昇龍気迫満点きのふけふ

豊昇龍針さし
難敵の若元春を真っ正面

豪の山戦
大栄翔千手万手の突角力

一門の先輩力士と大すまふ
琴櫻躰を使ふ大一番
玉鷲のすまふ人生まつしぐら
首投げは逆転の技豊昇龍
老いたれど玉鷲猪突猛進す
老いたれど玉鷲こんな長くとる
豊昇龍うおうまさかの突き落し
尊富士宇良を下して涼し顔
勝ちすまふの源拍手の皆さんよ(語る遠藤)
首ひねる明生 遠藤怪訝顔
翠富士敢闘努力の甲斐も無く
遠藤の根強き人気今場所も
遠藤の技ありすまふ見て拍手
渾身の一突きこれぞ隆の勝
頭から気迫を見せる隆の勝

能登
七尾市の巡業写真に大ノ里

時疾風戦
初顔の一番熱海富士が勝ち
朝は霧 日中は晴れ 千秋楽
九分九厘駄目なすまふにものいひ付く


◼️雑
こんなにもうるし塗るのか曲げわっぱ
山宿の飯美味かった曲げわっぱ
飯詰めて伝統工芸曲げわっぱ
うるし塗り桜の木の皮曲げわっぱ
ありつきたき井川めんぱの飯の味
足湯に入り夢うつつなる昼さがり
推敲の赤い直し字の瀟酒
テーラー鈴木ハタキ定規に丈測る

荒凡夫一茶
荒凡夫兜太と鮫とおいぬ様

のゝさまと封切り映画の背中の子
みどり児をあやすにもしもし亀の歌
カツ丼の日とやスーパーAコープ
雪隠は文化遺産と学芸員
図書館で富士の水売る販売機
電気器具 扇風、除湿 、空調機
句を評す若げの分際顧みず
新世界どーぞとAdoと初音ミク
東都遊覧 六三四の国のスカイツリー
電気使はず蚊が落ちるそんな便利を誰も欲る

徹子と美川の雑談
百歳まで「もう過ぐ」「いやいや未だあるよ」

美顔を問はれて
淡谷曰く「私は身体に投資して」
文体は軋んでは駄目句作りも
写真どれも別嬪 素(す)の淡谷
昼の番組徹子と美川の淡谷談
イングリッシュスコーンラズベリー お三時に
うしろ向き昭和男の立小便
雀ちゅんちゅんハローワークの軒先まで
堂暗(ぐれ)に筋骨隆と痩せ仁王
どんよりと雲が曇ってオホーツク
油臭きフラッシュダンサー ドガ以来
稚拙なる踊りを突如フラッシュダンサー(シネマ)
ここからは跳ねて帰ろうフラッシュダンサー(シネマ)
簡単に扱ふ死なり夕刊紙
簡単に死に居る死なり蚯蚓の死
簡単に扱ふ死なり手中の蝉
簡単に息を引きとる手中の蝉

斎藤玄に「死が見ゆるとはなにごとぞ花山椒」有れば
齢とっては何にも見えぬ緑内障

TV JAPONISM DESIGN
折り紙をヒントに宇宙望遠鏡
折り紙をヒントにファションテキスタイルを

作務衣姿のマカティアさんの紐育(京育ち)

NHK 浪曲特選・冬 六代目横綱 阿武松松緑之介
京山幸枝若 相撲話しをこの顔、この声

あんかけのどろと甘酢の中華飯
料理後の杏仁豆腐硬さよし
横濱市歌歌ひおん歳八十四
わが負ふは歩けぬ病ひ脊柱管狭窄(せきちゅうかん)

土佐ジロー飼育方法に工夫
美味い鶏ヘーベー当りの鶏の数

茜屋は西陣織のガマ口屋
新宿で商ふパン屋ボンヌール
職人芸未だ未だ生きてメリヤス屋

町工場
メリヤスを商売着安きものが好し
中人とはなんぞや入浴料金表
しばらくはロダンのポーズ入浴中
中華まんの旗なびきづめファミ店頭
鼻歌はお医者様でも草津の湯でも
数学は美学の一つトポロジー
単純は美学の一つトポロジー
めちゃくちゃ真っ直ぐな橋サイクロード
大リーグ両者気合ひの見ゆ試合(ヤンキーズvsドジャーズ)
チャリで登校途中の肝っ玉母さん

上野山
立ち止まる一歩足りない似顔絵に
手品師の鳩取り出だす摩訶不思議
牛たん食ぶほっぺ落っこちさうな娘と
チャリ漕いで横浜銭湯スタンプラリー
太陽系岩石降って来る軌道
ホ句を詠む行儀悪さに見込みあり

りゅうぐう然りベンヌ然り
たまらない魅力小惑星への旅

心臓が筋トレマッチョ状態で
歩け歩け心臓カチカチ心不全
安達太良山(あだたら)のある日ポカリと空展(ひら)けて
心せよ言葉に追ひ打ちかけぬ評
小田和正清唱ゼスチャ四分こゑ三分

突然に
スキマフェス開口一番ラブ・ストリー

チャリの旅みちのくお昼のご飯デカ

LIVE
透き通るリズムとギター小田和正
スキマフェスギター泣かせて小田和正

校歌熱唱ミーハー丸出しこころ旅

あらー燕製カレースプーンの口抜け感
宇宙旅行ブラボー!銀河を横切りて
ミネラル豊富高知の土産天日(てんぴ)塩

呑み鉄旅 奈半利線 御免(駅名)
カントリーウエスタンに浮かれてごめん・なはり線

呑み鉄旅残ったビールをのみ干しぬ
犬がひく森林鉄道写真に見て

すっかり夜
呑み鉄旅 ここで沈没駅御免
酒も長くは飲めずよ車中寝て仕舞ふ

彼と彼バイク屋三代安泰よ
傘さしてバイク屋覗き燕市散歩

燕市にて
無意味買ふ奥田民生の工具買い

まじつすかスプーン作りも五十年
研磨機等スプーン一本作る機器

呑み鉄本線こころ旅
琴平うどんパクパクパクつくどぜう髭(役作りの為髭を伸ばす)
酒やってうつぼの天麩羅ちょび髭男

安達太良山(あたたら)の顔見せ恥ずかし靄の中

ディラー巡りたかが古着よされど古着よ

超高額
ビンテージデニムに大戦モデルあり
ホビーなるデニムに値はない至福のみ


伊豆七島関連句

新島
さあおじゃれ 東京島酒もう一杯
かげろふ新島嘗て民宿二百軒
議員にして島酒作り捻り鉢巻
再会は祝いの島酒七福で
青酎は島の立派な産業で(青酎は青島で生産される焼酎)
流人島 鬼島 来てみりゃ情け島
新島高校生徒 藷焼酎作り
八丈島気質 おじゃれおじゃれののんべえ祭り

女子等も交えはたちの島酒デヴュー
青ヶ島商店一つ南風ふく
遠島の島に 島酒 島言葉
焼酎作り大谷渡りを横たへて(大谷渡りは植物の一種で醗酵機能がある)

◀︎拙句▶︎ お正月の俳句一連

賀状書くすらすらと書く間柄
あるあると皆で笑って福笑
一日を一生として迎ふ年
翔んで来て後頭を蹴る初烏
初金比羅えらいこっちゃと上る坂
はすかひに天井渡る嫁が君
初鴉其処の缶から突っついても
初雀パラパラ漫画に相似たり
グラマンの機銃掃射に遇ふ初夢
初景色シーパラダイスへモノレール
風格ある屋敷ゆづり葉茂らせて
楪の煌々朝日の当る家
二日目の風に当りにゆく海辺
初刷にサと目を通すイートイン
なもみ剥「いねが」の声も酒気帯びて
かまくらをなほ去りかねてあふぐ夜空
とんど果つ渚ぴちゃぴちゃやってをり
じぐざぐに階段上り初詣
年賀状の見本どーれと立ち寄りぬ
初がらすの年頭挨拶あっち向いてホイ
流鏑馬馬場突っ切りぞろぞろ詣で人
老の春時間の箍がゆるみ出し
大あくび年の始めの銭湯に
読み初めの柳橋新誌に目を開かれ
双六で足止め食うは大井川
どんどの火うっすら上総明けて来る
正月からかぁーかぁーからすにもて遊ばれ
笑ひ初めこの人らしきふるまいに
雨なれば三日四日はぐうたら寝
雑巾に運針と云ふ初しごと
初茜水平線は凛と在り
あらたまのシーパラダイスへモノレール
初売の弥次郎兵衛とは面白し
年明けとこけこっこうのおんどりが
積み上げて幸を二乗の福だるま
御降や地べた木賊と濡れ始め
五年日記初春なれば何と書く(妻へ)
月世界旅行どうやと初刷に
火星旅行なんぞよからむ初夢は
鷽替えのウソが書けぬとスマホ出し

北イタリアベローナにて (NHK 世界一入りにくい居酒屋)

居酒屋はみんなの溜り場ポルペッテ(ポルペッテ=揚げ団子)
夜は続くアプリティーボにワイン系
焼菓子はグラッパに浸け頂くもの(グラッパ=酒の種類)
みな手造り近所の馬肉専門店
肉を煮る肉の形がなくなるまで


以上
(妄言陳謝)


# by 575fudemakase | 2025-06-07 06:44 | ブログ | Trackback

最近の嘱目句あれこれ27 2025年 (高澤良一)

最近の嘱目句あれこれ27 2025年 (高澤良一)


◼️春
右に左に蛇行運転蜷の道
悶絶す天城育ちの沢山葵
石段に雛整然と構へる図
南海に船を投じてビキニデー
一色の海岸ぷちのシラス丼

松岡洋石 国連脱退
大昭和鳩・麦・鉄砲・降参・憲法

江之島にて
足くじく児も出て遠足島巡り
踏青のあの神奈川の蒼富士(序二段)

霞を撮るパースペクティブ充分に

田中美佐子さん NHKこころ旅
春光の神奈川をゆくこころ旅
春郊を五つのチャリンコこころ旅
礼文島(れぶん)霞む一方利尻は日本晴れ
下萌や何處から登ろ坊主山
ごにょごにょと蝌蚪の集散阿字ケ池
春一番埃っぽくて二重橋
ずずずいと入りて二月の大手門
日本列島覆ふ暖気も粗鰐型
種痘して空手チョップの力道山
その蕾のぼせるやうや更紗木瓜
草餅を作る材料二人分
干潟消すさざ波心地よき音色
囀りに心身浸し小半時
亀鳴かす局面疾うに過ぎてをり

鳥雲に横浜名物ジャックの塔(昭和2年再建)

【ジャックの塔、正式名称は横浜市開港記念会館の時計塔で、横浜市中区の公会堂として、神奈川県庁本庁舎(キングの塔)、横浜税関本関庁舎(クイーンの塔)と共に「横浜三塔」として知られています】

女の子にはみんな弱くてゆすらうめ
便箋の挿絵に一輪ゆすらうめ
永き日のにはとり柵を越え損ね(不器男句を鑑みて)
睦言(むつごと)のやうな花の名「ネモフィラ」と
モダンな花スイトピー活け横濱高野
遺さるるものに内弟子紫荊
芹摘んで行く水濁す真昼なり
年貫く棒詠む虚子の日なりけり
おらが春おらが一茶にあやかりて
雑詠はさへづるやうに流暢に
辛抱の十年選手海市詠む
同じ巣に生まれぎゃあぎゃあ乙鳥
蔦重の吉原細見目借時
のぼるのは桜見んため坊主山
こっそりと作る俳句や霾晦
夢に描く軽めの俳句おらが春
クレソンの足元に来て囁く水
青空に吸はるゝやうにぶらんこす
独り揺れゐたるぶらんこ力尽き
汐まねきまねき損ねて墜つ夕日
突風に素早く対応風車
日々温む日和に遠出埠頭まで
蜂の巣を素手で落とせる無鉄砲
郵便が来ぬ日酢漿摘んで見ぬ
世迷い言云つて過ごすか蜆蝶
巣作ると自我を丸出しぶんぶの蜾蠃(すがる)
それはもう端から滅茶苦茶蜷の道
比類なき言葉の閃き猫柳
七三てふ髪の分け方昭和の日
辺り一帯吹き寄せられてゐる石蓴
吉野山俯瞰桜の全体像
山桜の全貌山道見え隠れ
風の中耕す人のシルエット
血流をよくするものに鶏冠海苔
木の芽和え朝は何処から来るかしら
流氷のどんぶらこっことオホーツク
野に遊ぶ如き勉学ご時世よ
目借時書き漏らしある問診表
パサつける伊予柑損をしたりけり
春の雪草木に覆いかぶさりて

◼️夏
老鶯も諷詠の道同じゅうす
朝なさな妻と愉しみ聴く老鶯
透明醤油の製造順調フンドーダイ(会社名)
海鞘好きでどうせ行くなら彼の酒屋
歯を浮かせニイニイゼミの声帯模写
甲高きそのこゑが嫌(いや)蚊を抹殺
梅雨の日々埃かぶってさぼてんは
蜻蛉捕り蝉捕り東(トン)南(ナン)西(シャー)北(ぺー)と
長脛にひょっとしたらと蛭を見る
山麓の光を返す柿若葉
カフェラテに入れるシロップアマリリス
無沙汰の段謝りますとアマリリス
大傘持放ったらかしの能取岬
蟻に与ふつもり無けれど食べこぼし
仙台てふ枝垂葉桜吹かるゝ日
坊主山の脇道途絶えひめじょをん
楠大樹木暗(こぐれ)の闇を抱えけり
水中花人皆過去を飾り勝ち
とんぼの羽化今始まると云ふ相(すがた)
人の粗ばかり探して羽抜鶏
満を持し矍鑠と咲く泰山木
暑中見舞鉛筆書きの気安さに
老鶯の声聞き一座華やげり
老鶯のこゑのしんがり越天楽
老鶯の声を雄々しと聴く朝餉
啼くは海猫(ごめ)愛称クイーン横濱税関
重文の県庁羽ばたくかに皐月
厠より見ゆるあぢさゐ雨の日の

長嶋逝く
ひねもす梅雨けふのニュースは長嶋一色(2025年6月3日(火))
土砂降りの梅雨大きめの傘がよし
漁師の子ならむ浜辺でさっさと花火
阿波踊りじゃないが戦(いくさ)に踊らされ

待ち伏せ
幻の一機ラバウル夕焼けて
執拗にひねもす啼くや油蝉
簡単な蝉捕り夏も押し詰まり
ゲリラ雨ビル街叩くまのあたり
雛罌粟の色合いパステルカラー調
体重を左舷にあづけ蓴舟
乾坤の力を要す脱皮の蝉
尚喚きゐる蝉辺りが暮れて来た
もう見境なく四万六千日の蝉
蝉あゝと云ったっきり声無くて
俳諧はとにかく辛抱茨道
緑蔭に浸り読む本三連休
坊主鯖堪能したるこころ旅(TV NHK BS)
云ひ聞かせるやうに老鶯ほうほけきょ
とっぷりと辺りは暮れて扇置く
どっしりと構へて毎日俳句と蟇と
原爆の明るさダリのディドリーム
推測は当たらずダリの半睡眠
薔薇莟み明日は明日はと云ふ思ひ
くちなはの侵入許す其処鶏舎
草が揺れ水引っ張ってゆくはくちなは
くちなはが見え隠れして芹の森
鉢の金魚気に入らなければ向きを変え
ひたむきな蟻の穴掘り天ケ下
飛び発てる脚の軽さよ働き蜂
玻璃越しに吾を一と煽りエイの鰭
毒婦思はす牡丹のかほり婀娜婀娜し
ゴミ出しに衣類の濡るゝ青梅雨よ
ずぶ濡れの雨恨めしや吸葛
夕べの日幽然として金銀花
フライングソーサー五月が蒔き季よ
老齢者ばかりのこの路地銭葵
リチウムの時々発火嫌な世よ
桂の若葉小さきは小さく無限小
桂の若葉小さきは小さくでかきはでかく
桂の若葉は数多と云うより数無限
膝の蟻点眼鏡で無限大
手花火の火玉火花を撒き散らし
手花火の火玉弾みをつけて落ち
病葉の色をどうかう云ふてをる
尿に起つ素足センサーライトの界
rainbow と湯気立つやうな言葉添え
引っ込み思案の雷にして長引きさう
スカジャンの街ゆく白南風背に受けて
減塩を云はれどうしの夏が果て
交番に垣間見らるゝ水中花
青簾家を小さく使ふ術
無機より有機生まるゝ海底蟹這へる
大まかに計画練って蚊の退治
どうもこうも顔に寄り来る蚊の奴め
もう一度会へる気がして虹を見る
老鶯のとんだ方から次の声
老鶯の饒舌越えて只駄弁
工場育ち薄利多売の豆もやし

◼️秋
鬼やんま半日追い駆け蓮田んぼ
地芝居は打って変わって春の景
馬醉木の道今では鹿の通り道
取り敢えず一日百句ホ句の秋
滴らす生醤油九月一日の
難しき漢字を使ふ文化の日
朝顔は移植を嫌ふ今双葉
劇中にて壺焼えへらの宇野重吉
糞元気のばった追ひゆく運びとなり
黄落の神奈川県庁本庁舎
採れたての米がたまらむけふカツ丼
本物の「落穂拾い」はオルセーにて(美術の秋)

弁膜症
わが胸に斜めに切り傷キリギリス
蓮田に這ひつくばってとんぼ捕り
殿様ばった永六輔も顔負けの

不器男句に「あなたなる夜雨の葛のあなたかな」あれば
花葛のあなたこなたを打ちに雨
秋桜天気崩れて揺れどほし
樅と教会それにキツツキ軽井沢
船着場水面を叩く蓼の雨
水急ぐ数珠玉を過ぎ溝萩過ぎ
ごった返す市民プールをゆくとんぼ
背丈越すすすきが原の吾亦紅
栄光も一時のこと星流る
これ此処に来て蟷螂の末期の眼
思ふまゝ生き難き世と苦瓜が
煮リンゴの紅(くれなゐ)ひややかなる器
りんご焼いてどうなることかやったことない
腹の鳴る体操帰りの露けき道
水浸けの要らぬ朝顔西洋より
柿・メロン美味しいものは残す癖
想像つく百舌鳥の啼き方字面より
運動会死に物狂ひの棒倒し
天の川の踏破百年かかっても
マッチ擦るこれで三度目苧殻焚

◼️冬
底冷えを何とかしたきこの建て付け
焼鳥のつくねを妻と半分こ
焼鳥の「皮」大好きで又所望
偶にはと吉野屋すき家牛丼屋
スマホの他内ポケットには不織布マスク
妻のくさめくしゅんくしゅんと立て続け
寒暁の尿袋提げ一患者
寒暁の胸元横断手術痕
寒暁の病棟尿瓶を掻き集め
着ぶくれて変な処でスクワット
どうだんの雨にほころぶ冬芽千

母艦遊び
いくさ閑敵の空母を待ち伏せす
駆逐水雷ずるして自宅に上がり込み

軒氷柱ずどんと天地(あまつち)直結す
足許に屈み撒くもの麦の種子
見晴らしよくアロエを眼下漁師墓
佇って見よ島一番の日向の墓
闇の夜の初雪しんと松林
食欲旺盛たらこの一腹朝食に
寒暁の牡丹の凄みクンと嗅ぐ
一休の頓智冴ゆるや虎落笛
着重ねて春を返上そんな朝
着重ねて春を返上する寒さ
春遅々と待たねばならぬことばかり
底冷か千枚通しのやうに今朝
大諏訪の神の手に成る御神渡
手造りの湯豆腐収め老の腹
血迷ふて何をぬかすか燗酒に
いさぎよく散った若人花ひひらぎ
接骨木の冬芽に向かって投げつけ言葉
水鳥の陣離れ行く数羽
入れ替り一途に撞ける年の鐘
花ひひらぎ美事散り了えゐたりけり
その岩があたたかさうだと冬の蠅
尾白鷲棲み居る処はシリエトク(アイヌ語で知床はシリエトク)
冬の蠅あそこ曲がってここ曲がって
顔に当るは冬蚊かぷーんと音のして
年の火にあたっていけやと声掛かる
いぶりがっこ老いの歯当りよきがっこ
着ぶくれが背負うてよろよろ無洗米
規格外野菜買おうか何かにだう?
大袈裟に倒れてやろうか寒稽古
マスクせずに居ればなんやかんや云はれさう
薬局ですすめてもらふ風邪薬
大くさめ顔を横にし逃しけり
あられもなく寄生木困り果てた姿(なり)
客寄せの鮪解体最前列
ジャンパーのファスナージャムって立ち往生
ブルーツゥースイヤホン耳に嵌め除雪
人間が雑とは聞き捨てならぬ講(十夜)
もつ鍋のずしり重きをお買物

◼️️新年
見つかった版画ポッペン吹く女
下手くそな百人一首又とられ
福引や危ふく残る楊枝・栓抜き
かたまって芹摘む誰もが顔見知り
餅腹をこなしがてらの鎌倉行
きんきんと炭を熾して初座敷
心臓小さく拵え直し四方の春
キングプロテア思ひ出せない夢ありき
ぷるるんと顔を洗って四方の春
思ひ出し不可能初夢の色なんて
青天井目指す途中の吉書揚
停車位置ぴたりと決めし初電車
初閻魔平身低頭して御前
初夢で見る夢けふも近き尿
鏡餅一つ本物その他贋物
なるかならぬか其処の所は鷹揚に(成木責)
鏡餅真贋大小代金と
立教大一本釣りの初絵馬や
字が乱暴だがと思へる一賀状

◼️相撲
抽んでて松・樟・檜大ノ里
大髻掴んでいましたとり直し

◼️雑
何かしていた筈なんだが何だっけ
石破総理あんな事云って口濁す
シンプルで失敗知らずの親子丼
片頰に鎌倉の風汀をゆく
口にして俳句のリズム確かめをり
米不足あんな事云って口濁す
とん汁におみそれしました味噌好き外人

新潟 燕市
国宝級やかんもありさうこの工場
スプーン作り玉泉堂で修行して
燕市のグルメは銅の釜飯で
潜水艦潜りジェット機穹切り裂き
マンモスの駆けっこゴンドワナ大陸
柔剛を制すと云ふやがんばりや

エッセイスト 外山滋比古
へたに読むは剽窃止めておけ

運びとは良くなることか八十寿(ことぶき)
飄々とデカを演じて寺尾聰(あきら)
元も子もなくなるだからそれは止めとけ
振り飛車の誘惑に負け後手踏めり
明治期にタイムスリップして横濱

開港記念会館
会館のステンドグラスは黒船図

神奈川県庁
県庁はフランク・ロイド・ライト調

永久(とことは)に記憶の中に長嶋茂雄
長嶋逝く言葉少なに肺炎と
雨傘のひいふうみいよ揺れゆくよ

駆逐水雷
敵陣の松に母艦が繋がれて

うがい薬収めうすずみ薬瓶
俳句には胆力大事癌を詠め
マントヒヒさらけ出したり紅蓮の臀部
全財産投げ出す気分でナポリタン
庭園演出の葉ものと云へばシロタエギク
つくづくと科学に弱し原子の重さ(永六輔と徹子の会話より)
船着き場辺りの石段水没す
筆談を黙って見てゐるお見合いシーン
句に乗せて波郷を語るしげを哉
身を置くは抒情を師系とする結社
目指せるは灰汁無き俳句素十さん
人間生まれ死ぬ時たった一人とぞ
海浜公園散歩がてらのラジオ体操
蔦重に源義を足して昭和の夜明け
吉原細見序文源内承知の介
皮肉、洒落詰め込み享保の狂歌集
わが齢はなんぼ黄表紙読んだのは
この俳句あまいと評者の口三味線

世界卓球 大藤沙月
攻めに攻む大藤卓球ぶっちぎり
風呂敷を広げるやうにマンタ現れ
菱形に降って湧いたるマンタかな
吾を煽るやうにマンタの一ッ掻き

卓球詠
いつの間に相手が壁になる卓球
卓球に流れ、流れ逃さぬ意固地
美誠パンチ瞬き一つする合間(伊藤美誠)
廻り込み伊藤危なげなき痛打
突っつきを突っつき返せば困った顔
勝った理由自分の殻を破ったから

屏風より虎を追ひ出す術作麼生
店長と昵懇の仲所望すころじゃが(ファミリーマートにて)
絹ずれの音の生まれるスクワット(ラジオ体操)
けざやかに実朝の文字殺生禁
いつまでも撫でられてゐる秋田犬
相通じるものにクーデターグラディエーター
女教師の云ひそな言葉あなたたち
いきり勃つ虎の咆哮虎図より
思い切り力いっぱい朝が来た
思い切り朝は何処から来るかしら
句作とは方言に近き言の葉だしにして
キリンは縦長 手長猿(てなが)は横長タテヨコ論
あのNASAが智慧を借りに来惑星イトカワ
バイキンマンえへらえへらの保育園
流行語 ゾンビも コマネチも 死に絶えて
北海道在住胡獱の居座る岬
フリスビー流行る言葉はすぐ廃れ
何をしに来たかを忘れ馬鹿笑い
熱湯に何か生まるゝ深海六千
私の詩形 貴方の詩形 言葉の型
人に吐息 俳句に切れ字 ああ無情
人数の段取りつけて大掃除
押し包むやうにターシャの語り口(ターシャテューダー)
日めくりの丁度半分過ぎし日々
ここも誤字だいぶ耄碌したと吾
山妻も老いたり又パン焦がしたり
肥後守一丁持って雑木山
ドローン飛ばす畜生戦争止めておけ
句敵が居ってやうやく私の句
幾何学を使ふ北斎漫画かな


以上
(妄言陳謝)

# by 575fudemakase | 2025-06-04 20:52 | ブログ | Trackback

最近の嘱目句あれこれ26 2025年 (高澤良一)

最近の嘱目句あれこれ26 2025年 (高澤良一)


◼️春

丸亀 ボートレースオールスター

レース前プロペラ調整根気よく
スタートの一線崩れて乱戦に
鍔迫り合ひウイリーモンキー小刻みに
ジェットコースター白詰草を眼下にす
突き当り蝶舞ひ上る大庇
真っ先に序文拝見万愚節
休耕田土砂崩ってるげんげ道
サイクリングロードげんげの広っぱ見て
げんげ踏みずずびずばずば流行り唄
ひばりも来て公民館ぽい一軒家(NHKこころ旅)美空ひばり
獺の泳ぎ素早く背を丸め
逝く人に順番ありて養花天
消しゴムの死蔵笑へり万愚節
やけくその馬券破りて養花天
どどどどと常闇破り雪崩音
芽山椒添へらる鰊蕎麦を食す
給食は又も鹿尾菜の交ぜご飯(小学校時代の思い出)
若きより俳句に手を染め草団子
雛流し了えてしまへば只の川
飛花落花人生無常と観念す
益鳥としての乙鳥眩しめり
蛍光灯光りて薄き受験棟
沛然たる雨に打たれて土蛙

◼️夏
丸亀、房州
涼、炊事、虫追い団扇東西に

老鶯が朝来て昼来て晩に来て
けふも又きのふに続き老鶯が
老鶯の妙なる声に目を細め
老鶯はもう立ち去るか雨小降り
震撼と老鶯のこゑ碧天より
碧天にこゑ転がして夏うぐひす

あれあれまあこんな処に竹の子が
滑莧あはれ可憐な花掲げ
青柿の蔕の辺りが緩んで落ち
要黐の赤芽を袖垣平屋の家
ペチュニア咲く雨に弱気が玉に瑕(きず)
灸花たまさか通る隠れ道
涼しげに地面に止まる筋揚羽
落下して頭でっかち油蝉
落下死の頭でっかち油蝉
一服の清涼白百日紅の木
落蝉の羽ばたき止めぬ灼け舗道
増築がすいすい捗る竹煮草
あこがれのハワイ航路の唄聞き遊船
青柿を濡らして去ぬる暁けの雨
新調の便器に夏も果てむとす
百年後は如何に御堂の蟻地獄
水遣りは朝っぱらから公園花壇
猛暑日の続く公園百日草
蛍光灯に小虫が乱舞夜の広場
蛍光灯に蛾共が乱舞夜の広場
ジェットコースターあっと近づく灼け大地
紙魚の食ふ本はあらかた処分せし
土いじり武蔵鎧を宝物
尾の欠けし瑠璃蜥蜴見て不憫がる
竹節虫(ななふし)の左右にゆらゆら錆鉄柵
全貌を見せたる虹にハイタッチ
蚊が目つむる挿し絵や函の横っ腹(電気かとり用かとりマット)
青梅雨の刺虫光帯び疾走
電気蚊とりの効きめは十と二時間程
青大将蛇腹滑らせ塀伝ひ
忘れ物に気付き戻るや真炎天
外国人ショートスティの流行る夏
訪日客ショートスティの流行る夏
父の背ナ流すが如く苔墓石
青すすき採り来て其のまま活けらるゝ
真夏日の餡ドーナツを摘み喰い
オアフ島に涼むと医師の絵葉書受く
何んべんも蟻行き違ふ木陰道
何やかや雑事に追はれ夏始め
自由自在にのさばり過ぎてアカンサス
あまりにも威勢よすぎてアカンサス
大仰に鋏広げて蜊蛄は
逞しきその花ダチュラ島育ち
帽子芸の早野凡平野毛祭
薯擦り器太鼓橋めく夏始め
手花火をかしゃかしゃ咲かせ信濃の闇
妻の居ぬ昼餉ちんたら餡かけ焼き蕎麦
旗・竿・ゴザ掲げ秩父の虫送り
薔薇の笑みキャメロン・ディアスは娼婦役
見るからに糖度の高きさくらんぼ
此処田舎銀座風鈴賑はへり
フェルメール人気を呼んで夏画廊
しぶき浴び大岩伝ひに蟹逃れ
ヒライソガニ波と戯れゐたりけり
恐る恐ることしも出たか家付き守宮
暑さうな音を振り撒きヘリコプター
文机に髑髏図広げ夕涼み
婀娜ぽい笑みを野いばら満面に
水上に身を乗り出して蓴菜採り
ドドンパのリズムに乗りて海の家
造花とて侮る勿れ水中花
レコード盤波打つ昭和の夜の秋
健康には只の麦茶がよろしくて
ラマダーンうつらうつらのジャワ夜明け
浮き輪吊る売店朝から大にぎわい(海浜公園)
この暑さ朝から続き参ったね
胡散臭そうな顔してどぜう鍋
チングルマ大雪溪に呑まれずに
ケルン そんなに積んでだうする馬鹿ったれ
海峡に間延び顔して昼顔は
日本丸の丸窓薄暑の厚硝子
ぎんぎんに冷えに冷えたる「おーいお茶」
大井川石の上からダイビング
広瀬川カジカガエルの徹るこゑ
消失の蜥蜴動悸を鎮めをり
書家死して千屈菜残す炎暑の庭
海老反りに好青年のダイビング
手花火をそろそろ沓脱石の庭
食卓を文机替りに夏見舞
ケチャ踊る舞台はウブドの真暗闇
延齢草丹精な花咲かせけり
最初から出目金目当ての金魚釣
金魚もいろいろ和金、琉金、オランダシシガシラ
箱釣りの隅に金魚を追い詰めて
紙魚跡を矯めつ眇めつ飽きもせず
水中花好きじゃないけど無きよりまし
薄き羽巻き取るごとくかなぶんぶん
洗ひ髪年寄り臭さをさと流し
母の日を祝ふ一周早けれど
醍醐味は土佐の鰹に土佐の酒
休耕田席捲したり姫女菀
かすみ網擲つやうに山法師
花街の雨のじゃじゃ降り花石榴
梅雨の路地伸子張りせり大漁旗
豆撒きてその後戸締り了へし妻
ブルーシート半壊家屋をつつむ初夏
大花火どんと開いて街浮上
氷より匙へ冷たさ伝染して
茅ヶ崎はサーフィン天国鼻歌出づ
あまりにも甘き水羊羹を叱す
晩涼の洗顔おしっこちびりさう
蚊帳吊草裂き損ねては又裂きて
十薬ははびこる以外に能は無し
単3も残り少なくなり晩夏
風鈴のちりんもりりりもなく無言
蛍の出電話で聞くも要を得ず
かき氷縦に突いたり斜めに突いたり
みんみん蝉啼けりホルトの木の高処
音無しの構へに徹す鉄風鈴
土蛙無言を通し悠然たり
手花火の残像昨夜の砂浜に
目を皿に毛虫の季節来てゐたり
金魚生きてたった一日涙せり
脱皮する容永久辺りの蝉
サングラス収まるものは収まりて
シュレッダーザーザーやりて梅雨最中
文字摺草長く捩花端折る花
気温ぐうんと上がり熱中症多発
気温ぐうんと上がり攪乱多発せり
家付きの守宮が顔出す階段脇
何やかや育てたところでへぼ胡瓜
一つ部屋にベッド二つや蚊遣香
ジェラートの底抜けあらゝあらゝかな
ジェラートを舐め舐め小町通りかな
擬宝珠の頭撫でつけ風の通りけり
扇風機のテープひらひら御徒町
灸花ひび割れ舗道下りゆく
涼しげに瀬音の交じる床料理
心太二つも買うてだうするの
茣蓙踏んで着席鴨川納涼床
手花火のどっちが了るこっちが先

◼️秋
揚げに擦り生姜朝餉は旺盛よ
秋蝉の骸が一つ隠れ道
ゆきつけの蕎麦屋の風船葛かな
しろがねの雨粒つけて雨後のむべ
白無垢より薄ももいろへ酔芙蓉
秋の産院突っかけスリッパぺたぺたと
米作りの会津は空気が美味きとぞ(パンツエッタ・ジローラマ曰く)
こんな綺麗な人が棚田で米作り
ジローラマ余生を日本で米作り
今夏一の出来栄え薄墨江戸南瓜
ミリオンヒット!クミコのひばりのリンゴ追分
秋雨の降り出す見込み望み薄
飛ぶこころ瑞牆山の山頂で
墓掃除せっせと遣りて田沼去る(菩提寺 西林寺 栃木)
いろいろな云ひ方ありて溝萩、鼠尾草
林檎育て風土に根差す佳吟を
早起きが身について来ぬ蔓茘枝
鉛筆を削る気分も爽やかに
葉隠れの忍術使ふ隠元豆
牛膝のお土産つきの草野球
薙ぎ払ふ勢い持てり稲雀
猫じやらし生ふコンクリの駐車場
底紅のこっちを向いて真新し
大層な買ひ物したり黒西瓜
生身魂なんておだてゝ何のこっちゃ
生身魂なんて照れ臭時次郎(沓掛時次郎)
林火忌と二日違いの鉦叩
そこはかと鳴く虫徒然草序段

◼️冬
野菜サラダじゅうじゅうやりて感謝祭
たうもろこし茹であげサンクスギヴィングデー
踏んばって野辺地葉つきこかぶ掘り
考えて餃子の中身味ははむ
サッカーに犬も乱入草っ原
太平洋に向ひシュートしドリブルす
粗樫焚く煙突けむり出し渋る
もう一つ所望とこゑあり巻繊汁
桜剪り断面に塗る殺菌剤

◼️️新年
他所者のわたしが出向く初浅間

◼️相撲
次から次いろんな技をどすこい研
きめ出しの手だれ横綱照ノ富士
きめ出しの達人その技誇らしく

◼️雑
坊さんの親子の仕草相似たり
毎昼の徹子が好きな陽子がわが妻
子供の頃はマルコポーロが好きな子で(ジローラマ曰く)
徹子の部屋ちょい悪親爺のジローラマ
年寄れば犬も一員ジローラマ
ビートルズをハモリながらの自転車旅(NHKこころ旅)
格好よし型は古いがmyコスモ(私の愛車)
虐殺談『命』テーマの万博で
永久(とことは)に鋼は錆びず福竜丸
喉自慢喋り半分唄も半分(NHK)
蛭田川(びんだがは)に沿ひ行き、出た処太平洋
政治の季節どちらも荒くれトランプ・プーチン
春信の浮世絵一枚掛け蕎麦一杯
ダイヤモンドバックス相手に乱打戦
釣り堀の釣り人が見ゆ中央線
胸を張る学徒動員在りし日の
好色を笑ひ飛ばして主人世之介(井原西鶴)
云っとくが年寄り臭さは自分じゃわからむ
僕行った昭和レトロの体験湯
動物園獺の挙げたる寝息の音(ね)
水団てふ懐かしきもの御機嫌好う
風通しよき家棲んで四十年
ローカル線ならではの風小諸へと
悪なすびちゃっかり鉢の隅借りて
白内障はさて置き緑内障検査が先
ずん抜けるものの無ければスカイツリー
為すこと無き日もあり漂流者の気分
ふりかけが日常茶飯の昼餉の我れ
足許に上げ潮今が退け時ぞ
奈良美智の悪げありげな子の素顔
横須賀のカレーに欠かせぬ米問題(海軍カレー店)
庭作り中途半端に老いまじと
又の世に逝きたい奴には逝かせとけ
ながら族テレビちらちら足拍子
タクシーを待たせて置いて駆け込む家
街角ピアノ通りすがりの享く冥利
称名唱へみじめを至福に裏返し
街角ピアノ聞けばピアノは6歳より


以上
(妄言陳謝)

# by 575fudemakase | 2025-06-03 04:03 | ブログ | Trackback

最近の嘱目句あれこれ25  2025年 (高澤良一)

最近の嘱目句あれこれ25  2025年 (高澤良一)


◼️春
出っぱらぬやうに控へて新社員
プーアール茶ぬるめがよしと注がれけり
蜷の道あっちへ行ったりこっちへ行ったり
民宿の朝餉石蓴の御味御付け
駅前にて拾ふタクシー春浅し
開花には少し間のある標本木
八景島
風船を十(とを)も束ねて売れる人
桜草種子をだうする細か過ぎ
洗面はからすの行水啄木忌

誰(た)が手に成る亀の看経水彩画

於 金澤文庫
東京より萬斎招んで薪能
何処より文庫へ瑠璃蝶飛んで来し

花吹雪あれよあれよの千鳥ヶ淵
乙鳥の滑空新幹線より速し
春泥に棒立ち上野の蓮の茎

嗚呼 就職
教師か保険屋 数学専攻したものの

下京で下がり下がってつちぐもり
競ひ啼く鷽の囀り負け知らず
鳥曇り六浦(むつら)は古き湊なり
洗濯鋏乱舞終日春一番
裂帛の白沈丁花汝を愛す
梅咲いて鎌倉散策十二所まで
部屋は散らかし放し風船天井に
春風はあくまで春風 手紙は手紙
吸ひ物に三つ葉浮かべて我が朝食
鳥雲にたらたら喋って切る電話
若布干しをれば野島の夕照す
雛つつみぐるぐる巻きの古新聞
ままごとのおさいははこべら砂場にて
春氷ずんずん突いて鯉の口
猫の恋成立したかしないのか
東慶寺駆け込むものは蜥蜴のみ
茶葉を蒸し、揉み揉み荒茶作りかな
細かき塵取り退け製茶大円団
黄砂払ひ私は東京のバスガール

◼️夏
日を替へて飲むは金麦・本麒麟
廃屋の地べたを焦がす凌霄花
のうぜんのひどく爛れて鄙の寺
雲間より雷公ずでんとおっこちぬ
研ぎ汁のちょろちょろ梅雨の流し口
研ぎ汁のあはあはとして月見ず月
梅雨入の深夜の推敲捗(はかど)るよ
五月雨月造花のあぢさゐ買ひもして
駅前の不動産屋を出れば西日
蚊の声ににじり寄らるは大迷惑
朝顔の芽出し種子殻帽冠り
明日以降真夏日続出熱中症
母艦遊びに最適な路地西日差す
えーと先づ朝顔は何處種物屋
柿咲くや菱形は誰の家紋にて
枇杷の種一瞬喉を通るかと
アマゾンの宅急便来て南風(はえ)のなか
英霊の眠る神社へ柳の芽
まつ毛伏せるやうに止むなり梅雨入あめ
歯医者さんへ
ハンケチをけふ取り換えて診察日
木落としの頭突き地表を一剥きに
大木に跨り大莫迦木落とし衆
口にして恐れ慄く御柱
此れはしたり一丁前に悪茄子

昔昔
横濱の次は品川汗の通勤

夏至間近神社の大楠亭々と
波一つ生まぬ大池亀泳ぐ

国芳の「相馬の古内裏」いと涼しげ

ここ六浦(むつら)苔むす寺のひめぢょをん

大漁の蝦蛄の皮剥きほまちとす

小柴港
帰途につく漁船次々蝦蛄満載
俯き加減笹百合にしくものぞ無し

どうやってあの声だすの夏うぐひす
老鶯の啼き方それを観察す
老鶯の真骨頂のこゑを今
買物メモセロリ・茄子・蕗・ひね生姜
城ヶ島目指して翔べり時鳥
海猫の糞岩場に白く懸かりけり
どた靴が置いてあるかに蟾蜍
釣堀が見ゆる四谷の中央線
黒板にジェファソンの文字独立祭
日に温む沓脱石と滑莧

金澤文庫旧館にて
清涼寺式釈迦の立像いと涼しげ

旧館の金澤文庫網戸に蠅
けふ文庫えらく暑しと胸団扇
あたふたと毛蟲火炙り逃れんと
芝刈って未だ未だ頑張り効く身体
Independence Dayはシーザーサラダの日
硬さうな梛の樹相や夏祓
炙らるゝ鮑躰をくねらせて
かぶりつく笹の葉みどりパンダ棟

佐渡ヶ島南部地区
朝食にギバサ等出て赤泊

ちょんちょんと水切り阿字ケ池の夏
海霧の軍港 潜水艦にはタラップ

屋根布団海の花火がよく見えて
三笠通りニガーが闊歩独立祭

米軍基地 横須賀
ベース有り独立祭のアドバルーン
はつなつの鯉を泳がせ滑川(なめりがわ)
苜蓿のうへに投げ出す汚れ踝
遊学の余地を与えず蛸漁師
大風に山藤のた打つ箱根山
乙舳の晴嵐八景の一つ
山椒魚の岩の如きが一寸動き
分度器の目盛精密煙る梅雨

石首魚
その魚触って見れば石頭

文字摺草ずりずり咲いて八景島

岩手駅前だったか
作り滝新幹線は北に延び
血抜きてふ技施して関マサバ
塔頭に喚ばれ一同筍飯
ダービーの出走待たる日焼顔
向日葵の素首容れて空邃し
真上からサクサク遣って氷水
さぼてん愛づ艀暮らしや蚊喰鳥
泡粒の次第に速しソーダ水
画廊はダリのfuck you世界 土用明け
山葵今やアジアの風味 いや世界の
七彩に染まり宴の花氷
荒るゝ日は陸に繋がれ屋形船
畳のうへ古式泳法伝授せる
泳法の熨斗(のし)はかう遣りかう遣って
どどどどと梅雨の底這ひ洗濯音
閻魔大王凡夫睨めつけ白眼(まなこ)
テレビニュースの合間の花火ピカどんと
朝靄を助っ人茶摘みに精を出し
老鶯が朝来て昼来て晩に来て
あれあれまあこんな処に竹の子が
滑莧あはれ可憐な花掲げ
青柿の蔕の辺りが緩んで落ち
老鶯が横切って見せ来て居ると
めくるめく梅雨の長身サインポール
亀の子のやうに出かけて旗日の湯屋
梅雨晴間亀遊館駐車場一ケ
戸袋の把手の辺りはえとりぐも
八千草の雨粒放つ万の綺羅
亀遊館出しなのカラーにリラックス
湯屋出でて煙草一服やればかはほり
若者の臀部の締まりよきはつなつ
菖蒲湯に長っ尻なる四人組
その色合ひなんと素敵な花ぎぼし
蓼喰ふ虫倣ふ思ひでホ句作り
蚊がぶんぶ山の手空襲ありし日の
向日葵植え子供110番の家
かたばみの横のその草何ちゅう草
ドローンめく蕺草万博開催中
十薬の十字づくめの散髪屋
サインポールくるくる招(よ)んでる梅雨晴れ間
神輿庫全開皐月の風通す
緑蔭にとん亭天城営業中
稲に似し雑草繁茂休耕田
フロリダイルカ尾鰭キックをみまふ夏
海面を吹き渡る風サーフィンす
老鶯の全身使って珠のこゑ

サウナ亀遊館
倶利迦羅紋紋一風呂浴び来てリラックス
片隅にマッサージコーナー首夏の浴場
浴場のフロント・ロビーに水中花

◼️秋
朝顔の植え替え了る朝のうち
秋晴れの総帆展帆すかっとす
卒塔婆の見する歳月盆の寺

それに加えるもの古新聞
迎え火の準備苧殻と燐寸函
地を舐める細火苧殻に燃え移る
精のつく食べ物今宵のとろろ汁
山芋摺る摺鉢右傾左傾して
震撼と虫音の絶へし石切場
赤松の林の何處かに松茸くん
バス停のお掃除ぎんなん取り退けて
作麼生(そもさん)と月が昇れる清見寺
大野分辺り犯せし禊川
鯊の眼は缶からの底きょろきょろと
唐黍食ふ湯気に其の貌撫でられて
老いを漂着と見なす輩が跋扈して
言葉だけの敬老なんて大変失礼こきの介
鼻に個性めがねに個性日本酒ソムリエ
天高く衛星予備校受業中
昭和生まれで鮭は激辛、味噌汁あつあつ
ベッド容れ満月覗く八畳間

米国 フロリダ
街中の水辺にイルカ鰡を狩る

◼️冬
横須賀美術館 谷内六郎館
アロエ咲く道なりゆけば六郎館
領収書の大きさ揃え年を越す
大晦日の有人交番灯点して
回想
小春の土管生活用水垂れ流し
飛行音何処かのんびり師走の空
欠席の事前工作忘年会
押し込まれおしくらまんじゅう通勤車

横須賀美術館 谷内六郎館
アロエ咲く道なりゆけば六郎館

湯冷めせぬそんなお風呂を頂きに
接岸せる空母レーガン雪まみれ
雪冠るヴェルニー公園軍艦碑
北風(ならひ)吹きびらびら広告(びら)が鳴ってをり
鉢叩どなたか一人的外し
鱈の胆良くも悪くも煮え立ちぬ
鱈ちりの灰汁の捨て処にマグカップ
驚嘆の薄さを誇る土佐典具
典具帖紙世の中透けて見えるやう
富士描いて大観好みの雲肌麻紙
整然と光を透す土佐典具
楮と麻漉き上げられて雲肌麻紙
学歴はすっと読み飛ばされ厳冬
すき焼の鍋底漁って独り言

ブリューゲル絵画
雪中の狩人掠め飛ぶ一羽
館山の海岸ぷちの避寒宿
襖絵に夜色楼台絵図欲りしが
冬麗の手を切るやうなブラインド
靴磨きたりし悪たれ年の暮
駆け抜ける年が見えるよ鐘のそら

日産追浜工場 沖合
掩体壕其処から見えるかかいつぶり
茶作りの元祖は神農紀元前
気泡湯に五體突き上げられ師走

TV ダーウィンが来た
ジャンプしてバンドウイルカ何狩るか
イルカの狩り海中の大スペクタル

先師
紙子着て変る時代もどこ吹く風

◼️新年
新年早々歩く歩道や新横浜
初夢の初っ端覚えてをりにけり
髪伸びてゐぬかと覗く初鏡
此処弁天七福神の寺巡り
日めくりにこしたことなし初暦
蒼天に銀嶺綴り達磨市

◼️相撲
大ノ里 横綱へ昇格
待望の二人横綱時代来ぬ
応援の団扇パタパタ贔屓筋

◼️雑
胸に当て最初つめたき聴診器
動く歩道日本丸を横に見て
朝食の準備整い妻「よいしょ」
焼餃子パクつきぁ口の中ごちゃごちゃ
鳩の餌やり面白おかしく歌奴
病院の週刊新潮読み漁り
学校給食請け合うパン屋のコッペパン
歯音よき醤油せんべい薄っぺら
住職は干菓子が好きで鳩サブレ
どの道が箒に当る阿弥陀籤
駅前開発鉄柵めぐらし急ピッチ

老夫婦
めいめいが一ヶづゝ割る玉子ごはん

グッドハートクリニック
身の廻り身綺麗にしてエコーの日

徹子の部屋にて 黒澤曰く
仲代よおまえのいいとこ眼のちから

仲代曰く
三食を二食に減らしシネマ見し

貯金箱は持たずジプロックには硬貨

シーソーに馬乗り目を遣る浪の白

戦死者日米半々の激戦地
星条旗掲げるシーン硫黄島

シネマ「パットン大戦車軍団」
シネマ冒頭パットン将軍大写し

国芳のみかけハこハゐ人體図
鉄火肌国芳描く骸骨図

親友の渾名は絶壁呼び捨てに

宇都宮の焦げつき餃子美味しいじゃん
僕行った昭和レトロの体験湯

中華街見逃し中華の食べ歩き
ガチうまきハンバーク店元町の
富士さんのペンキ絵職人三人とか
亀遊館湯上がり牛乳飲みながら
ハンバーグ捏ね捏ねする音厨より
錆ついて昭和のアナログ体重計
宝物展学芸員はよく喋り

ペリー提督密命帯びてジパングへ
昔魚鯨の油を採りにペリーら
沙汰ある迄黒船待機小柴沖
黒船の江戸湾深度測定連日
江戸幕府痛し痒しのへぼ外交
角突き合ふペリーの面子(めんつ)幕府の面子(めんつ)
やっとのこと交渉成立バイバイにっぽん

篤き禱りあげ釈尊のどぜう髭
鬱蒼たる森の容に狂想曲

昔魚一手に捌く公設市
むかし魚売られ冷やっこきタイルのうへ
祖父の晩酌魚としさらし鯨等
懐かしの鎌倉魚屋(ととや)タイル張り

突き当りの石段上がれば頼朝墓
幻の白旗が見ゆ頼朝墓
何教ふ教官時代の芥川(横須賀海軍機関学校にて)

金澤文庫跡の発掘
宝永の灰かぶる井戸発掘中
抽斗に三角定規何の為
大学を出でてなりはひプログラマー
アーケード寂びてすずらん通りとぞ
まうまうと足湯湯畑前にして
駅弁は窓から顔出し峠の釜めし
釘ぎいと抜かれたまゝの素(す)の世界
真っ白に歯並びのよきアフリカ人

横濱 野毛
野次馬がわんさと大道詰め将棋
珈琲は苦手で紅茶お茶の水
口けんくわする妻にして手馴れたもん
トランプの婆を抜き取る兄の素手
誕生日それが良かろとパスワード
ダンボール箱を粉砕紙ゴミの日

ブリューゲル流の墜ち方バベルの塔
虫メガネ必須級(クラス)のバベルの塔
宇宙よりすってんころりのバベルの塔
超細密 ブリューゲル作 バベルの塔
会ふ度に鋭さの増す鴎の目
雑居ビルこんな処に換気扇
あんぱんの木村屋今も潰れずに
潰れるほど抱きしめたいぜ碁の勝者
空を馳せる車これぞと万博は
ヤクルトの勧誘NOと指と指
節榑立ち天に通ずる床柱

巨福山 建長寺
四六時中無限の清風発つ処

比企能員と高澤良一
能員の良一違い比企の乱
能員の台頭火種となる謀略
目を凝らせばゐるゐる何か水槽裡
ご飯仕掛け時刻は五時になるところ
まだ走るパンク修理でほっとした
自転車修理パンチ止まりで安上り
大将曰く「出張修理も金になる」
空気入れ無料の町の自転車屋さん

亀遊館 ぬいぐるみ
親亀・小亀・孫亀あいさつ「いらっしゃい」

東海林太郎
立ち姿不動髪形七三分け
都会っ子の歌手おぼろごゑ「泣かないで」

小坂一也
ヤッホーヤッホー小坂の青春サイクリング

上海ブルース
マドロスもの都会っ子ディク・ミネの歌
腰引けて「木曽路の女」しんみりと
電気風呂聞いただけでもビビリさう
シャツに手を通す如くに遺書記す


以上
(妄言陳謝)


# by 575fudemakase | 2025-05-27 06:10 | ブログ | Trackback

金子 敦著 句集 『ポケットの底』を読んで (高澤良一)

金子 敦著 句集 『ポケットの底』を読んで (高澤良一)
      ふらんす堂 2025年5月27日

句集 上木おめでとうございます。貴兄とは20歳違いの老頭児であります。
選、絞りに絞ったら以下の通りとなりました。

読初めの五ページほどで眠くなる
鶯餅おそらくここが眼の辺り
台風がベろんと夜を裏返す
夜は馬車になるかもしれぬ大南瓜
春昼やぱふんと終わるマヨネーズ
箱庭に青きリボンを置けば河
背に小さき手のひらの跡雪だるま
向かう側からも覗かれ熱帯魚


以上

追伸

囀りや食パン一切れづつに山
一切れを一斤にしたらどうだろうか。2次元から3次元に光景は一変。景色がよりヴィヴィッドになりそう…

夏蜜柑剥くや親指怒らせて
「怒らせて」の処、「酷使して」ではどうか。


# by 575fudemakase | 2025-05-24 16:28 | ブログ | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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