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黄鶲

黄鶲

とぎれつつ鳴く黄鶲や雨の中 長谷川草洲
黄鶲が出れば緋鶲雪の上 原石鼎 花影以後
黄鶲となつて去りにき市の中 加藤秋邨
黄鶲にこころせかれつ顔洗ふ 磐梯 水原秋櫻子
黄鶲に一つのキャンプ夜を待つも 望月たかし
黄鶲に焦土のごとく富士くだる 角川源義
黄鶲に水車は杵をあげにけり 坂本孝子
黄鶲に底つ岩根の父なりき 橋閒石 卯
黄鶲のくわつと水浴びはじめけり 市村究一郎
黄鶲のしきりに阿波の五月かな 山田みづえ
黄鶲の胸に黄灯し子育て森 平井さち子
黄鶲の胸毛恋しき枝移り 椎橋清翠
黄鶲の梢越す風よ吾野過ぎ 黒川憲三
黄鶲の富士くれなゐに暁けゆけり 角川源義
黄鶲の夕日まみれの歌つづく 堀口星眠
黄鶲やあはれ継橋はなやかに 渡辺夏舟
黄鶲や勤行の太鼓峰に鳴り 水原秋櫻子
黄鶲や四葩にあまる曉の色 角川源義
黄鶲や雪痕雲の中を行く 古舘曹人 樹下石上
黄鶲や沢辺に多き薊の座 水原秋櫻子
黄鶲や谷の朴の木みな高し 岡部六弥太
黄鶲や峠に波郷見しやうな 木村有宏
黄鶲や幡めぐらして三夜堂 伊藤なづな(童子)
黄鶲や朴の広葉に夜雨のこり 大島民郎
黄鶲や妙義一角雲うすれ 松澤白楊子(橡)
黄鶲や裏由布麓まで崩れ 雨宮美智子
黄鶲や葎に入ればびびと鳴る 依光陽子
黄鶲をおどろかしたる花鋏 飴山 實
黄鶲をはじいてをりぬ炭かまど 石田勝彦 百千
黄鶲を聴く生誕の楽として 堀口星眠 営巣期
黄鶲来て渓流見通しよき処 高澤良一 さざなみやつこ
軽井沢雨黄鶲の声濡れず 伊藤敬子
立春の黄鶲にあひ鶸をあげ 岡井省二 明野
冷酒に黄鶲のこゑ透りけり 土岐錬太郎

以上

# by 575fudemakase | 2019-04-23 06:58 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

2019年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句

2019年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句


 恋の雉子啼く渾身の羽広げ

(自然に叙述するなら、「恋の雉子渾身の羽広げ啼く」だろう)

 勿忘草中庭に植え転勤す

 無言劇のピエロに桜散りやまず

(無言劇 vs パントマイム)

 抱つこさる嬰もおめかし入学式

 風のさくら光のさくら咲き満ちて

 撫で牛の鼻ひんやりと花の冷え

(「花の冷え」の合わせが常套。)

 病む犬の襁褓を替ふる万愚節

 飛んできし帽子を載せて花筏

 白鳳の塔よりこぼる雀の子

 背戸のある暮らしが好きで蕨摘む

 天へ咲き人に咲きたる桜かな

(この句の評価は難しい。選者の俳句感が問われよう。句は選者に褌を締めて掛かって来いと言っている)

 長閑かり都電で巡る花の時

 潮干潟両肌脱ぎて現はるる

(少しオーバーと思ったが…)

 断捨離へアクセルを踏む竹の秋

 大宇多の家並を往き来つばくらめ

(大峯顕一門に既に掲句のような一句ありそうと踏むが…)

 総代の撞く彼岸会の誘いひ鐘

 水陽炎鼻緒を直しくれし人

 水影の日輪を鴨乱しけり

 森閑たる鑑真廟域囀れり

 春闌くる何かは為んと何もせず

(表現がどこかモタモタしている: 春闌くる何かは為んずと思へども。古語の「為んず」(せんず。意味は「…しようとする」))

 出石蕎麦皿積み上げて春惜しむ

 借景の富士も朧や朝寝坊

 蔀戸の弥陀に連翹明かりかな

(の vs 越し)

 次々とすずめ轍の落花浴

(表現がどこかモタモタしている:「落花浴」は言葉として熟しているだろうか?)

 四月馬鹿エレベーターの骨の透け

 山笑う遠くまできて泉汲む

 山寺の猫の弔ひ花ぐもり

 雑草とふ名の草の無し万愚節

(雑草 vs 荒草(あらくさ):文学的に荒草とやりたい。エープリルフールとやらずに古臭く万愚節とやったのも是又文学的)

 耕しの一服たのし缶コーヒー

 駒返る草峠路に開拓碑

 丘陵の風の育む新茶摘む

 祇王の名負ひて流るる花の川

(祇王の名負ひて…川。 …をどう埋めるかが勝負処。)

 鴨帰る束の間の影水に置き

 学僧の袖の膨らむ桜まじ

 花散るや坂ゆるゆると塔の見ゆ

(リズム的には、花散るや vs 花の散る)

 花びらをはなれがたきかな雨雫

(リズムが悪い:「雨雫花びら離れ難きとも」では少し改善される)

 花びらに降る雨粒の重さかな

(もう少し叙法に工夫がいるのでは?花びらに降る雨重し重しとも)

 花の雨隣人の死を人づてに

 乙艫の散歩がてらの汐干狩

(力を入れず叙した佳品)

 牡丹の芽なぜか気になる人のごとし

(この直喩、牡丹の芽は人の様だと言っている。かなり遠くにあるものを引っ張り出したので、一読後に多少の無理感が漂ったが、幾度も読み返すと此れも有りであると思えた。私の初案は次の通り。

「牡丹の芽なぜか気になる人と見え」「牡丹の芽なぜか気になる人なのか」純粋写生である)

 黄砂にも千年杉の不動なり

(黄砂にも千年の杉不動なり)

 炎なき独りの煮炊き花の冷

(「煮炊き」と言うと直ぐ火気を連想するが、この場合、単なる炊事と言う意味だろう。高齢になって火器の扱いを恐れる思いが込められている。)

 園児らの届く高さに甘茶仏

 雲雀東風舎利を納むる玄奘塔

 一人とて力それなり耕やせり

(「一人とて」に、夫(または妻)に先立たれた者を偲ぶ思いが籠もるようでスッと採れた。以前は二人して何とか完結する耕しであったのだろう。同一作者と思われる「耕しの一服たのし缶コーヒー」と云う句も、小品ながら軽快でいい。)

 ログハウスのテラスのランチ榛の花

(片仮名を並べた効果が出たように思う)

 やはらかき肌のぬくもり花の雨

 べからずの立て札多し花の山

(この「べからず」には、私も何度か体験している。冒頭から「べからず」を出したのが効いている。)

 ふと消ゆる命なるかな鳥雲に

 春の雨先を急がぬ旅なれど 

(なれど vs にして)

 はくれんの輪郭翳るとのぐもり

 はくれむの百の合掌朝日かげ

 つばくらめ艇庫を抜けて海へ出る

(よく見る景ではあるが気持良い句である)

 スイートピー風と戯れ蝶となる

 ジーンズの両腿に穴磯遊び

彼岸会の本堂に和す正信偈

 かるがもの胸で押しゆく花筏

 いかなごの光る糶場の流し水

 いかなごのくぎ煮の香り街に春

 雨一日濡れて巣籠る鸛(コウノトリ)

(鸛の姿態が彷彿)

まだ蕾む桜へ息のかかるほど

(グッドタイミングな季節感が出ている)

花のひと日灯ともし頃ともなりぬ

亀鳴かば我はどこから壊るるか

(思わず「おおっ」と思った一句である)



以上


# by 575fudemakase | 2019-04-21 18:03 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

ひたすら

ひたすら

あな痒ゆとひたすら掻ける妻あはれ 日野草城
うらやましひたすら花の歩好 凉菟
ぎす啼けり墓石ひたすら蔭に寄る 榎本冬一郎 眼光
くちづくるときひたすらに眉ながき 篠原鳳作
ずわい蟹ひたすら食らふ閑かさよ 斉木 永久
つづれさせとてひたすらに鳴きにけり 比田井文ゑ
ときに面あげてひたすら茶摘衆 鷹羽狩行
ともしびの中へひたすら柳ちる 阿波野青畝
はくれむのひたすら白く夜にありぬ 臼田亜郞 定本亜浪句集
はつゆきの入水ひたすらなるを見き 櫂未知子 蒙古斑以後
ひたすらがいのちか蝌蚪はひたすらに 及川 貞
ひたすらとなりし落花や昼すぎて 西条ゆき
ひたすらな寒中の顔見つ見られ 岸田稚魚 紅葉山
ひたすらな御柱道黍あらし 能村登四郎
ひたすらにうつむきてこそ落穂あり 静塔
ひたすらにおかめの器量熊手撰る 高橋淡路女
ひたすらにこの子たよりや夏休 阿部みどり女 笹鳴
ひたすらにそなたと許り渡り鳥 正岡子規 渡り鳥
ひたすらにとびてかなしき揚羽蝶 山口波津女 良人
ひたすらにひれ伏す草や滝しぶき 五十嵐播水 播水句集
ひたすらに杏*もぎいて空に酔う 金子千侍(陸)
ひたすらに炎天を行き伊良湖岬 比叡 野村泊月
ひたすらに牡丹の榾を焚くをとこ 道山昭爾
ひたすらに何を求めむ久女の忌 大橋敦子
ひたすらに蝦夷の花咲く風の中 相馬遷子 山国
ひたすらに蛾は顫へたり生きるもの 高屋窓秋
ひたすらに葛の裏ゆくことのある 齋藤玄 『無畔』
ひたすらに菊に対ひて疲れけり 中尾白雨 中尾白雨句集
ひたすらに客待つ富士の登山馬車 望月稔(風花)
ひたすらに胸を張るゆえ鳩愛され 細谷源二
ひたすらに熊蜂藤にありて去らず 高濱年尾 年尾句集
ひたすらに畦塗つて父消している 安藤涼二
ひたすらに胡地恋ひながら鳥帰る 阿波野青畝
ひたすらに荒磯伝ひの秋遍路 近藤一鴻
ひたすらに行き鴨を見ず鴨も見ず 飯田龍太
ひたすらに降り来る雪の疾さかな 野中てい子
ひたすらに咲くもののあり去年今年 伊藤 敬子
ひたすらに煮つまってゆく鯨鍋 宇多喜代子
ひたすらに灼けて摩文仁の甘蔗畑 竹中碧水史
ひたすらに春追い越して雲辺寺 小林いさを
ひたすらに順ふ冬の来りけり 雨滴集 星野麥丘人
ひたすらに食うて淋しき鰊かな 岸本尚毅 舜
ひたすらに生きむと螻蛄の泥まみれ 成瀬桜桃子
ひたすらに精霊舟のすゝみけり 吉岡禅寺洞
ひたすらに積る雪なり茂吉の忌 相馬遷子
ひたすらに赤し颱風前の薔薇 桂信子 黄 炎
ひたすらに祖先の墓を拝みけり
ひたすらに漕ぐ舟のあり比良八荒 中井冨佐女
ひたすらに草を刈り雲を狩りゆかん 関口晃代(紫)
ひたすらに虫媒一つ室の花 亀井糸游
ひたすらに纏ひて破るゝ外套かな 中村汀女
ひたすらに兎を逐へば比叡見ゆる 松尾いはほ
ひたすらに桃たべてゐる巫女と稚児 飯田龍太
ひたすらに読経三昧雪安居 古川禎子
ひたすらに日と露を巻く玉菜かな 阿部みどり女
ひたすらに入日惜みて汐まねき 河野静雲
ひたすらに波打ち寄せる寒九かな 飯田龍太
ひたすらに這ふ子おもふや笹ちまき 芥川龍之介
ひたすらに白子干しゐて海を見ず 村岡 緑
ひたすらに飯炊く燕帰る日も 三橋鷹女
ひたすらに飛べるときあり冬の雲 波多野爽波 鋪道の花
ひたすらに夫をたよりや根深汁 高橋淡路女 梶の葉
ひたすらに風が吹くなり大旦 中川宋淵
ひたすらに風に耐えゐる羽化の蝶 川村河邨
ひたすらに便器を磨く秋の暮 小西 昭夫
ひたすらに眠りつづけて春の風邪 柿沼盟子
ひたすらに夢見る日なり梅雨の昼 岸田稚魚 紅葉山
ひたすらに鳴いて名を得し法師蝉 新津静香
ひたすらに面壁の声冬の虫 倉橋羊村
ひたすらに落ち来る雪ともつるる雪 高澤良一 随笑
ひたすらに露の世駈くる義士は此処 用名仁子
ひたすらに怺ふ唖蝉夕立つ中 赤尾兜子 玄玄
ひたすらに枸杞の芽を摘み去に支度 中里其昔
ひたすらに籠りし我に春近し 上村占魚 球磨
ひたすらの冬麗なる道とこそ 都筑智子
ひたすらの螻蛄の生き様愛しかり 牧 月耕
ひたすらは眼に満たしむる小春雲 斎藤玄 雁道
ひたすらを何にもとめむ久女の忌 大橋敦子 匂 玉
ひたすら種を播き続けをり種見えず 大串章
ひたすら飛ぶ 人の生死をみた鴎 伊丹公子 山珊瑚
ひたすら北へ西日晒しの宗谷線 松崎鉄之介
ひとり子の摘草あはれひたすらに 岡本眸
まひまひのひたすらなるにたしかな輪 波多野蟻杖 『風祭』
まんさくやひたすら濡るる崖の傷 草間時彦
むかうより差してひたすら秋日影 岡井省二 夏炉
もろこしを焼くひたすらとなりてゐし 中村汀女
わが山河いまひたすらに枯れゆくか 遷子
わが星のひたすら青む恵方道 佐藤鬼房
逢えばことなし女栗剥くひたすらに 三谷昭 獣身
移りゆく世をひたすらに雛作 福田蓼汀 山火
一隅の秋雨の漏りひたすらに 山口誓子
一隅の蝌蚪の偏りひたすらなる 山口誓子
一村晩霞ひたすら揺れる紅葉山 飯田龍太
一匹の青い犬となり ひたすら走れ 仲本彩泉
引く鴨のひたすらにして遠ざかる 百合山羽公
引鶴の翔ぶひたすらの細身かな 田中恵理
右近列福ひたすら雲雀鳴く日かな 阿波野青畝
雨戸操るひたすら暗き地虫の夜 山口誓子
雲晴れのひたすらあふれたり微笑 富澤赤黄男
雲丹を割く夫婦無口にひたすらに 笹森ノブ
雲涼し道ひとすぢにひたすらに 野見山朱鳥 愁絶
影絵消え長崎の墓碑ひたすら灼ける 穴井太 土語
炎天をただひたすらにいゆくなり 星野立子
煙から水へひたすら慈悲心鳥 鳴戸奈菜
牡丹の芽莟をつつむひたすらに 山口青邨
嫁ぐ娘とひたすらに摘む浜防風 佐藤信子
家壊わし男ひたすらなる焚火 井上雪
花も見ず何かひたすらなるものを 山口青邨
花恋ひのいまをひたすら水ながめ 上田五千石『琥珀』補遺
花蓮ひたすら茎に捧げらる 泉紫像
皆言葉なくひたすらに毛蟹食ぶ 能村登四郎
蟹を喰う真顔ひたすら 男同志 伊丹三樹彦
街桜走車ひたすら人を運び 鍵和田[ゆう]子 浮標
葛の蔓ひたすら垂れて地を探す 沢木欣一
寒蝉にひたすらしのぶ征旅かな 飯田蛇笏 白嶽
寒弾や母を師としてひたすらに 直江輝葉
汗の吾子ひたすらにわが眼を追へり 飯田蛇笏
眼つむれば泉の誘ひひたすらなる 橋本多佳子
岩群れてひたすら群れて薄暑かな 久保田万太郎 流寓抄
蟻ひたすら日向の土を嗅ぎにけり 中田剛 珠樹以後
蟻塚のほとりひたすら粉雪舞ふ 飯田龍太
泣く子にもひたすらまはる風車 藤野 重明
京にありて祭鱧食ぶひたすらに 金子兜太
暁けの波ひたすらなれば寒きびし 岡本眸
掘りいでし蟇やひたすら眼をつぶり 水原秋櫻子 秋苑
靴みがき伏してひたすら柳散る 吉屋信子
群歯朶のひたすら青し枯林 日野草城
激戦の地のひたすらに花野なる 坂井建
建国の日やひたすらに薬缶鳴る 松本 旭
元寇の浜にひたすらなる泳ぎ 後藤比奈夫
古墳よりひたすらに去る蛇に遇ふ 有馬朗人 母国
呼子鳥ひたすら鳴けり霧の崖 田中里佳
己が影責めてひたすら鯖を裂く 川村華雪
己れ打つ音ひたすらに鉦叩 高橋悦男
故郷のひたすら灼ける父母の墓 山県よしゑ
五位鷺憑きてひたすら曇る冬木かな 石原舟月 山鵲
午後もまた雪片の業ひたすらに 山口誓子
鯉もかたまりてひたすら春を待つ 鷹羽狩行
厚目貼母ひたすらに老いゆくか 橋本榮治 麦生
向日葵に見られ働けりひたすらに 三橋鷹女
紅葉狩とはひたすらに歩むこと 黛まどか
行年をひたすら病臥するてふは 高浜年尾
合歓の花路ひたすらに空港へ 飯田龍太
穀象のひたすら逃ぐるほかはなし 来間鷹男
黒き蝶ひたすら昇る蝕の日へ 西東三鬼
今日暮れて髪洗ふことひたすらに 中山純子
祭礼に太鼓ひたすら貴船かな 阿波野青畝
山を出てひたすら歩む冬墓畔 飯田蛇笏
山桜ひたすら散つて己れ消す 津田清子
山茶花の散って くれない ひたすらな 伊丹三樹彦
山櫻ひたすら散つて己れ消す 津田清子
子を愛づる言葉ひたすら水温む 中村汀女
紫陽花の順路 ひたすら 病老死 伊丹三樹彦
寺男老いてひたすらさくら守る 鈴木真砂女 居待月
時は花ひたすら歩みつづけけり 前野雅生
室花に眠りひたすら世に隔つ 野澤節子
篠の子をひたすら食つて死ぬもよし 佐藤鬼房
尺蠖のひたすらの歩を風の中 渡邊千枝子
宗鑑忌雉はひたすら卵抱く 加藤憲曠
秋の蝉ひたすら野面ゆくごとし 栗林千津
秋の蝶ひたすらとべり岩畳 山口青邨
秋深む余命ひたすら浪費して 相馬遷子 山河
終バスのひたすら走る虎落笛 山田節子
十五夜の月ひたすらに待ちゐしが 細見綾子
春の海女ひたすらのぼる柑樹の間 飯田龍太
春ひたすら規しきものに亡師の書 楠本憲吉 孤客
初春のひたすら鳩でありにけり 平井照敏
初日拝む玄即新ひたすらに 山口青邨
除虫菊ひたすらに咲き兵の墓 工藤厚子「暖鳥句集」
宵闇の虫ひたすらに鳴きにけり 清崎敏郎
照紅葉ひたすら山を支へけり 雨宮抱星
情事がやわらか過ぎてひたすら海 長瀬甘吐
寝るときはひたすら眠れ浮寝鳥 吉田やまめ
真水による鰈ひたすら人急ぎ 金子兜太
身延山ひたすら空を亘る飛花 高澤良一 燕音
人間と分りひたすら螢遁ぐ 右城暮石 天水
人住まぬ炉べりのひたすらに黝し 加倉井秋を 午後の窓
水芭蕉齢ひたすら蒼ざめて 諸角せつ子
西明るし市電ひたすら雷雨衝く 右城暮石 声と声
青く疲れて明るい魚をひたすら食う 金子兜太
青蛙山河ひたすら青深む 板谷芳浄
青栗散らばる一路ひたすら朝の径 金子兜太
石獣のひたすら座せる大暑とも 高澤良一 ねずみのこまくら
赤きことただひたすらに木守柿 神尾久美子
雪の坂人いざ知らずひたすらに 岸田稚魚 紅葉山
雪はくらき空よりひたすらおりてきてつひに言へざりし唇に触る 藤井常世
雪降れるときひたすらに白き父 三橋敏雄
雪晴れのひたすらあふれたり微笑 富沢赤黄男
雪道をひたすらなもの橇の馬 細見綾子
蝉の空ひたすら青し蔵王堂 山本 洋子
ひたすら
蝉吟やひたすらねむる食中り 水原秋櫻子 霜林
川波のひたすらなるにきりぎりす 山口誓子
巣の蜂の晩夏ひたすらなる何ぞ 篠田悌二郎 風雪前
草の花ひたすら咲いてみせにけり 久保田万太郎
草萌ゆるひたすらなれや爆音下 加藤秋邨
大寒のひたすら凭れる机かな 安住敦
大灘のひたすらひかる晩夏かな 日美清史
大仏にひたすら雪の降る日かな 飯田龍太
瀧しぶきにひたすら濡れてゐたりけり(那智の滝三句) 細見綾子
炭は火になり急ぎつつひたすらに 細見綾子
炭は火になり急ぎつゝひたすらに 細見綾子
短日のひたすら遠き暮天かな 飯田龍太
竹の子のひたすらに伸び時鳥 コウ子
茶をたてるひたすらなりしはたたがみ 小林康治 四季貧窮
茶摘唄ひたすらなれや摘みゐつゝ 湘子
昼は渚をひたすら歩み鵜と会いぬ 金子兜太
朝夕凍ひたすらに詫びつづけゐし 赤尾兜子 玄玄
蝶のとぶいまはひたすらなるさまに 山口青邨
蝶ひたすらとまる廃屋の菜の花に 赤尾兜子 歳華集
長き夜をひたすら没頭千字文 吉松矢重古
鳥帰るみづうみに出てひたすらに 大野林火 月魄集 昭和五十四年
渡りつぐ鶫ひたすら樺の空 浦野芳南
冬深し巨船ひたすら南溟へ 飯田龍太
灯火の中のひたすら柳散る 阿波野青畝
灯蛾ひたすら星照る夜空より来るも 藤田湘子 途上
祷りひたすらねんねこの児の泣きもせず 大串 章
筒鳥やひたすらキーを打つ窓辺 永沢達明
踏まるるをひたすら待ちて煙茸 鷹羽狩行
頭涼し麦生ひたすら蝶々行き 細見綾子
橡の実にひたすら瀬音澄みにけり 鈴木貞雄
鳶は輪をひたすらなぞり冬深む 中 拓夫
葱に雪なにかひたすら急がるる 駒敏郎 遠天
熱燗やひたすらといふ言葉あり 射場 秀太郎
納屋ぬちはひたすら暗し機を織る 伊丹三樹彦
農の閑愛書ひたすら冬凪す 飯田蛇笏
農閑の愛書ひたすら冬凪す 飯田蛇笏 心像
波騰(あ)げてひたすら青む加賀の国 飯田龍太
波騰げてひたすら青む加賀の国 飯田龍太
破れ蓮水はひたすら黙しいる 窪田久美
梅に宿る炉火ひたすらに焚きつぎて 木村蕪城 一位
梅の香のひたすら月の蝕もどり 伊藤京子
梅雨の闇ひたすらに水流れゐる 飯田龍太
白玉を姉はひたすら茄でる役 櫂未知子 貴族
櫨紅葉ひたすら濃ゆく国たたふ 五十嵐播水 埠頭
八十八夜ひたすらに眠りたし 松尾隆信
肥育馬の定めひたすら肥ゆる秋 茂木連葉子
飛花ひたすら風ある時も無き時も 高澤良一 素抱
飛魚も飛ばずひたすら凪ぎにけり 清崎敏郎
父の忌のひたすら草を引きゐたり 芦澤元子
文来ぬ日牛がひたすら夕焼けをり 川口重美
別れ来て只ひたすらに草を引く 中島 郁
片陰を出でゆきし犬ひたすらに 山口青邨
麻ひたすら其処より濁る沢の水 前田普羅
麻殻をひたすらに折る仕度あり 綾部仁喜 寒木
末枯のひたすらなるを羨しめり 三橋鷹女
明日あるを信じひたすら種を蒔く 稲田眸子
滅後半世紀ひたすらに石蕗黄なり 飯田龍太
夜の鉛筆をひたすら尖らす中年 伊藤完吾
夜霧とは川のひたすらなるときに 松山足羽
野の径にそひてひたすら秋の蝶 山口青邨
野菊抱きをりひたすらにきまぐれに 辻桃子
野分浪ひたすらなるや出洲に寄す 山口誓子
夕雲雀ひたすら高き川面かな 廣瀬直人 帰路
葉が咲けり伊賀はひたすら雲充ちて 藤田湘子 途上
葉洩れ日のひたすらなるや単帯 栗生純夫 科野路
裸木にひたすらな顔残したり 加藤秋邨
流速の嘆きひたすら金鳳華 岡本眸
恋猫の声ひたすらに闇の中 関根喜美
蓮の葉のひたすら青き梅雨かな 久保田万太郎 草の丈
論理には弱くひたすら毛糸編む 岩崎照子
脇投にひたすら徹しかすみ草 藤井恒子
曼珠沙華はじめひたすら立錐す 鳥居おさむ
唸り独楽少年の目のひたすらに 水原 春郎
囀の拙けれどもひたすらに 河野静雲
悴みてひたすら思ふ死とは何 桂信子 花影
籠堂留守ひたすらに滝落ちて 山口青邨
芍薬の肉のひたすらなる哀しみ 清水径子「清水径子全句集」
薔薇真赤ひたすらサキソホンを吹き 森田ていじ
蘆刈女ひたすら同じしぐさなる 石井とし夫
螢の世界をひたすらに行く大きな目 今瀬剛一
螢火のひたすら照らす黒きもの 鷹羽狩行
蟇の眼の何をひたすら見得たるか 高浜年尾
蟇ひたすら月に迫りけり 宮澤賢治

以上

# by 575fudemakase | 2019-04-21 09:35 | 無季 | Trackback | Comments(0)

只管

只管

コルトレーン只管秋桜乱れ咲く 攝津幸彦 未刊句集
大瀧のしだれて只管打坐の巌 伊藤敬子
只管になること落花には如かず 高澤良一 鳩信
只管に巣立ちを待ちて家を解く 藤波康雄
只管に模索の日々や除夜の鐘 浅野如糧
只管写生白まんじゆさげ咲きにけり 加藤三七子
只管打坐寒鯉これを倣ひをり 藤田湘子
霧に鎮む禅林ただに只管打坐 河野南畦 湖の森
友二忌や友二に学ぶ只管打坐 星野麥丘人 2005年

以上

# by 575fudemakase | 2019-04-21 09:32 | 無季 | Trackback | Comments(0)

ひたむき

ひたむき

かりそめの踊いつしかひたむきに 大木あまり
ジキタリス子はひたむきに図面引き 北村菜々子
ひたむきな妃のスマイル露の玉 小林 円
ひたむきに鞍馬をさして寒詣 石田雨圃子
ひたむきに帰り着きしよ萩散れり 殿村 莵絲子
ひたむきに傾ぐ念仏踊かな 古橋成光
ひたむきに歳暮つかいひの急ぐなり 岡本松濱
ひたむきに歳暮使ひの急ぐなり 岡本松濱
ひたむきに子育てし日や三十三才 山元志津香
ひたむきに生きし日憶ふ鵙が啼き 伊東宏晃
ひたむきに雪の位相と暮らしをり 田中亜美
ひたむきに分速のなか小動物 宮崎斗士
ひたむきに恋へばか母も捨てて悔いず 安住敦
ひたむきのときにうとまし久女の忌 上 慶子
ひたむきの髪垂れてをり新社員 手島 靖一
ひたむき疲れ暖炉燠色やや暗み 香西照雄
外は満月ひたむきな語がふと躓く 赤城さかえ
寒鴉ひたむきに羽摶つ音頭上 瀧春一 菜園
雁渡るそのひたむきの顔見たし 今瀬剛一
建国の日やひたむきに薬罐鳴る 松本旭
向日葵にひたむきの顔近づき来 石田 波郷
山里はひたむきに柿の赤くて 種田山頭火 草木塔
山梔子の一花なれどもひたむきに 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
石榴手に水瓶は頭にひたむきに 小池文子 巴里蕭条
通ひ路やひたむき濡るゝ露葎 清水基吉 寒蕭々
鉄を截るいくさに行けずひたむきに截る 三谷昭 獣身
桃咲いて犬ひたむきに通りけり 橋石 和栲
末枯を来てひたむきに塔仰ぐ 橋閒石

以上

# by 575fudemakase | 2019-04-21 09:31 | 無季 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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