安住敦句集/柿の木坂だより
安住敦句集/柿の木坂だより
西嶋あさ子編
西嶋さんの選したもののうちから
私の好みの句を選んでみた。
先づ 敦が多用した季語の句を抜き去って見よう。
●秋風
秋風や夕餉すませて子と町に
秋風や引揚寮に兎飼はれ
秋風やへちまの花はきよく落つ
秋の風箸おきて妻何を泣くや
今はーー
秋風や褒めても叱つても呉れず
百ヶ日も過ぐ
秋風や暦の喪より心の喪墓
「春燈」続刊
秋風や家鴨は家鴨どちかたまり
八月四日、木下夕爾逝く。七日、追悼式あり
秋風や亡き友に二児われにも二児
須磨寺
秋風やのぞきからくり一の谷
秋風や麺麭の袋の巴里の地図
●墓
木下夕爾の墓に詣づ
墓もおどろくばかり夏菊抱へ来し
わが墓に雪積む景を見にゆくか
●死
八月十五日終戦
てんと虫一兵われの死なざりし
大野林火兄危篤
秋夕焼かく濃かる間も死はあらむ
●あるXX
ある朝の鵙ききしより日々の鵙
ある日ひとり萩括ることしてをりぬ
ある晴れた日に乙鳥(つばくらめ)かへりけり
ある日真砂女葱の高値を嘆じけり
●燕
学芸大学駅前通り
燕来るアンデルセンは麺麭屋の名で
ある晴れた日に乙鳥(つばくらめ)かへりけり
抜き去った結果は以下の通り。
雁啼くやひとつ机に兄いもと
兄いもとひとつの凧をあげにけり
春惜しむ食卓をもて机とし
散るさくら兄妹あひる逐ひにけり
田園調布
しぐるるや駅に西口東口
花冷のおのづと消えてゐしたばこ
鳥渡る終生ひとにつかはれむ
ランプ売るひとつランプを霧にともし
留守に来て子に凧買つてくれしかな
啄木忌いくたび職を替へてもや
伊東
秋の海見て来し下駄を脱ぎちらし
緑陰にして乞はれたる煙草の火
門川にうつる門火を焚きにけり
掃き寄せておいて落葉をまだ焚かず
ハンケチに鏝あてて春愁ひかな
啓蟄や庭とも畠ともつかず
雁ゆくや古き映画の二本立
麦秋や書架にあまりし文庫本
獅子舞の笛のきこえてここへは来ず
水仙の枯れゆく花にしたがふ葉
屑払ふにもかけひきや日脚伸ぶ
片みちは歩いて春を惜しみけり
梅雨の犬で氏も素性もなかりけり
世にも暑にも寡黙をもつて抗しけり
春昼や魔法の利かぬ魔法瓶
手にとりて冬帽古りしこと嘆ず
栄達に遠しはこべら道に咲き
水の辺に立つは鶏頭それも昏れぬ
白つつじ心のいたむことばかり
門出でて十歩すなはち秋の暮
五月六日、久保田先生急逝
小でまりの愁ふる雨となりにけり
自嘲
蓑虫の出来そこなひの蓑なりけり
亀鳴くや事と違ひし志
軽井沢小瀬温泉
はつはつと白きは辛夷ここは信濃
雛流し松籟これを悼みけり
河豚鍋や返しもならぬ人生事
「春燈」主宰と言へば聞えよけれども
水仙の水替へ海綿(スポンジ)の水も替ふ
まゆ玉やまづ真砂女来てきくの来て
芋食つてさも子を憂へざるふりす
うぐひすや母は亡けれど母の家
家鴨らに落花の情はなかるべし
源義、桂郎共に亡し
身辺のものよりかくは枯れ始む
新薬師寺、婆娑羅大将
一神将弓に箭番ふ鹿は射るな
凡朝顔のあと駄鶏頭育てけり
枯芙蓉気儘に生きし覚えなし
東福寺二句
紅葉寺重文百雪隠を遺す
冷まじきものに東司の糞壺よ
甲府常磐ホテル 二句
こほろぎの昼は遊べり石の上
風生先生逝く
喪にをりて春寒の一隠し弟子
蒲郡
草ひばり悲流離悲流離と鳴きつるよ
根深汁一日寝込めば世に遠し
朱欒の欒(ぼん)は団欒の欒(らん)まどゐせむ
岸風三楼逝く
通夜の夜の冷酒菊正君も飲め
大野林火兄逝く
白幡南町秋蝉鳴いてゐたりしか
舟虫の老いては遅鈍嘆じけり
しんかんとあめつちはあり寒牡丹
引くといふこと鴨にあり人にもあり
章魚食つて路通はその忌知れずなり
父の日といふ日がありて子が訪ひ来
雪の降る町といふ唄ありし忘れたり
-------------------------------
今回の私の全句集に、安住敦関連の一句がある。
秋風に安住敦の渋い顔 随笑
作者自身 どこで作ったか定かでない。
写真か何かを見ての作かもしれない。
西嶋あさ子編
西嶋さんの選したもののうちから
私の好みの句を選んでみた。
先づ 敦が多用した季語の句を抜き去って見よう。
●秋風
秋風や夕餉すませて子と町に
秋風や引揚寮に兎飼はれ
秋風やへちまの花はきよく落つ
秋の風箸おきて妻何を泣くや
今はーー
秋風や褒めても叱つても呉れず
百ヶ日も過ぐ
秋風や暦の喪より心の喪墓
「春燈」続刊
秋風や家鴨は家鴨どちかたまり
八月四日、木下夕爾逝く。七日、追悼式あり
秋風や亡き友に二児われにも二児
須磨寺
秋風やのぞきからくり一の谷
秋風や麺麭の袋の巴里の地図
●墓
木下夕爾の墓に詣づ
墓もおどろくばかり夏菊抱へ来し
わが墓に雪積む景を見にゆくか
●死
八月十五日終戦
てんと虫一兵われの死なざりし
大野林火兄危篤
秋夕焼かく濃かる間も死はあらむ
●あるXX
ある朝の鵙ききしより日々の鵙
ある日ひとり萩括ることしてをりぬ
ある晴れた日に乙鳥(つばくらめ)かへりけり
ある日真砂女葱の高値を嘆じけり
●燕
学芸大学駅前通り
燕来るアンデルセンは麺麭屋の名で
ある晴れた日に乙鳥(つばくらめ)かへりけり
抜き去った結果は以下の通り。
雁啼くやひとつ机に兄いもと
兄いもとひとつの凧をあげにけり
春惜しむ食卓をもて机とし
散るさくら兄妹あひる逐ひにけり
田園調布
しぐるるや駅に西口東口
花冷のおのづと消えてゐしたばこ
鳥渡る終生ひとにつかはれむ
ランプ売るひとつランプを霧にともし
留守に来て子に凧買つてくれしかな
啄木忌いくたび職を替へてもや
伊東
秋の海見て来し下駄を脱ぎちらし
緑陰にして乞はれたる煙草の火
門川にうつる門火を焚きにけり
掃き寄せておいて落葉をまだ焚かず
ハンケチに鏝あてて春愁ひかな
啓蟄や庭とも畠ともつかず
雁ゆくや古き映画の二本立
麦秋や書架にあまりし文庫本
獅子舞の笛のきこえてここへは来ず
水仙の枯れゆく花にしたがふ葉
屑払ふにもかけひきや日脚伸ぶ
片みちは歩いて春を惜しみけり
梅雨の犬で氏も素性もなかりけり
世にも暑にも寡黙をもつて抗しけり
春昼や魔法の利かぬ魔法瓶
手にとりて冬帽古りしこと嘆ず
栄達に遠しはこべら道に咲き
水の辺に立つは鶏頭それも昏れぬ
白つつじ心のいたむことばかり
門出でて十歩すなはち秋の暮
五月六日、久保田先生急逝
小でまりの愁ふる雨となりにけり
自嘲
蓑虫の出来そこなひの蓑なりけり
亀鳴くや事と違ひし志
軽井沢小瀬温泉
はつはつと白きは辛夷ここは信濃
雛流し松籟これを悼みけり
河豚鍋や返しもならぬ人生事
「春燈」主宰と言へば聞えよけれども
水仙の水替へ海綿(スポンジ)の水も替ふ
まゆ玉やまづ真砂女来てきくの来て
芋食つてさも子を憂へざるふりす
うぐひすや母は亡けれど母の家
家鴨らに落花の情はなかるべし
源義、桂郎共に亡し
身辺のものよりかくは枯れ始む
新薬師寺、婆娑羅大将
一神将弓に箭番ふ鹿は射るな
凡朝顔のあと駄鶏頭育てけり
枯芙蓉気儘に生きし覚えなし
東福寺二句
紅葉寺重文百雪隠を遺す
冷まじきものに東司の糞壺よ
甲府常磐ホテル 二句
こほろぎの昼は遊べり石の上
風生先生逝く
喪にをりて春寒の一隠し弟子
蒲郡
草ひばり悲流離悲流離と鳴きつるよ
根深汁一日寝込めば世に遠し
朱欒の欒(ぼん)は団欒の欒(らん)まどゐせむ
岸風三楼逝く
通夜の夜の冷酒菊正君も飲め
大野林火兄逝く
白幡南町秋蝉鳴いてゐたりしか
舟虫の老いては遅鈍嘆じけり
しんかんとあめつちはあり寒牡丹
引くといふこと鴨にあり人にもあり
章魚食つて路通はその忌知れずなり
父の日といふ日がありて子が訪ひ来
雪の降る町といふ唄ありし忘れたり
-------------------------------
今回の私の全句集に、安住敦関連の一句がある。
秋風に安住敦の渋い顔 随笑
作者自身 どこで作ったか定かでない。
写真か何かを見ての作かもしれない。
by 575fudemakase
| 2013-07-04 08:31
| 句集評など
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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