髙田正子句集「花実」を読んで
髙田正子句集「花実」を読んで
亀の子のかたちに石の濡れてゐて
涼しさや御目差のはるかより
糸のやうなる涼風の来たりけり
雨だれの次なる雫夕焼けて
うたひつつ子はおくれゆく夏野かな
あをぞらのゆつくりうごく小春かな
一滴のはなれて落つる雪雫
左義長の火種といふがしづしづと
左義長の火柱に雨匂ふなり
ひと通るたびたんぽぽの光りけり
ひとまはりして流れ出す梅の花
靴よりも大きな落葉踏みてをり
セーターの中の迷子やちひさな手
跳ねてゆくランドセルにも花の影
この庭のここがいちばんあたたかく
水浴びを始めてゐたり雀の子
女坂とは梅を見るための坂
足跡の乾いてをりぬ梅の花
存分に炭熾りけり雛の間
まんまるな蜂に生まれて花に影
巣作りをするでもなくてずっとゐる
春昼の亀急がむとしてゐたり
春の雨柩の角を濡らしけり
遠ざかる人まだ見えて花大根
石垣のうへ何もなし花の雨
空低き日を耕しの音の中
やはらかき泥にくすぐりあうて蝌蚪
はつなつのおほきな雲の翼かな
牡丹の軽く綴ぢたるやうな花
白菖蒲より抜けてゆくしろさとは
ねぢばなのたどたどしくもねぢれ初め
孑孑の戻りてゆける水の闇
亀の子のすっかり浮いてから泳ぐ
ぶつかりてより山蟻の急ぎ出し
金亀子翅しまへずにゐたりけり
くちばしのあきっぱなしや烏の子
軽鳧の子もはばたくやうなことをして
緑蔭や訪へば主のやうに犬
青梅雨や拭いて光らす畳の目
あぢさゐの潦より立ちあがる
緑蔭に薄着の肩を入れにけり
かなたより空かげりくる山法師
蓮の花くだけてゐたる水のうへ
弁天堂まで蓮の葉蓮の葉
あまりにも暑きにすぎて諍へり
うすものの肩やはらかに語り終へ
千枚の田を貫いて天の川
水引の反りてすなはち花盛り
ほほづきの売れたる跡の湿りをり
ほほづきの次の荷濡れて届きけり
ひそやかな鋏の音を萩にたて
曼珠沙華おほきな蝶を受けとむる
燃え尽きて棒となりたる曼珠沙華
へうたんの形をなしてただしづか
跳んでゐる影のおほきな【ばった】かな
ひひらぎの花まっすぐにこぼれけり
きっちりと巻かれしホース冬に入る
音の佳き方へ歩める落葉道
濡れわたるひと夜の銀杏落葉かな
冬深し遺愛の時計みな止まり
冬桜けふの雨粒より暗し
冬菜畑さへぎるもののなかりけり
ここへ来て坐りたまへと榾を継ぎ
だんまりのきはまりて榾かへしけり
歩きゆく枯れつくしたる明るさに
風の音してこぼれ来ぬ寒雀
日だまりに出て水をのむ笹子かな
花咲いてしまひし籠の薺かな
流れたき形に水の凍りけり
小さき鳥乗せて氷のまはりけり
向うより子どものまねく茅の輪かな
(第二句集、二〇〇五年九月 ふらんす堂)
亀の子のかたちに石の濡れてゐて
涼しさや御目差のはるかより
糸のやうなる涼風の来たりけり
雨だれの次なる雫夕焼けて
うたひつつ子はおくれゆく夏野かな
あをぞらのゆつくりうごく小春かな
一滴のはなれて落つる雪雫
左義長の火種といふがしづしづと
左義長の火柱に雨匂ふなり
ひと通るたびたんぽぽの光りけり
ひとまはりして流れ出す梅の花
靴よりも大きな落葉踏みてをり
セーターの中の迷子やちひさな手
跳ねてゆくランドセルにも花の影
この庭のここがいちばんあたたかく
水浴びを始めてゐたり雀の子
女坂とは梅を見るための坂
足跡の乾いてをりぬ梅の花
存分に炭熾りけり雛の間
まんまるな蜂に生まれて花に影
巣作りをするでもなくてずっとゐる
春昼の亀急がむとしてゐたり
春の雨柩の角を濡らしけり
遠ざかる人まだ見えて花大根
石垣のうへ何もなし花の雨
空低き日を耕しの音の中
やはらかき泥にくすぐりあうて蝌蚪
はつなつのおほきな雲の翼かな
牡丹の軽く綴ぢたるやうな花
白菖蒲より抜けてゆくしろさとは
ねぢばなのたどたどしくもねぢれ初め
孑孑の戻りてゆける水の闇
亀の子のすっかり浮いてから泳ぐ
ぶつかりてより山蟻の急ぎ出し
金亀子翅しまへずにゐたりけり
くちばしのあきっぱなしや烏の子
軽鳧の子もはばたくやうなことをして
緑蔭や訪へば主のやうに犬
青梅雨や拭いて光らす畳の目
あぢさゐの潦より立ちあがる
緑蔭に薄着の肩を入れにけり
かなたより空かげりくる山法師
蓮の花くだけてゐたる水のうへ
弁天堂まで蓮の葉蓮の葉
あまりにも暑きにすぎて諍へり
うすものの肩やはらかに語り終へ
千枚の田を貫いて天の川
水引の反りてすなはち花盛り
ほほづきの売れたる跡の湿りをり
ほほづきの次の荷濡れて届きけり
ひそやかな鋏の音を萩にたて
曼珠沙華おほきな蝶を受けとむる
燃え尽きて棒となりたる曼珠沙華
へうたんの形をなしてただしづか
跳んでゐる影のおほきな【ばった】かな
ひひらぎの花まっすぐにこぼれけり
きっちりと巻かれしホース冬に入る
音の佳き方へ歩める落葉道
濡れわたるひと夜の銀杏落葉かな
冬深し遺愛の時計みな止まり
冬桜けふの雨粒より暗し
冬菜畑さへぎるもののなかりけり
ここへ来て坐りたまへと榾を継ぎ
だんまりのきはまりて榾かへしけり
歩きゆく枯れつくしたる明るさに
風の音してこぼれ来ぬ寒雀
日だまりに出て水をのむ笹子かな
花咲いてしまひし籠の薺かな
流れたき形に水の凍りけり
小さき鳥乗せて氷のまはりけり
向うより子どものまねく茅の輪かな
(第二句集、二〇〇五年九月 ふらんす堂)
by 575fudemakase
| 2013-07-04 09:23
| 句集評など
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
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いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
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いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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