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京極杞陽 100句

京極杞陽 100句

さる俳句雑誌を見ていたら 京極杞陽100句というのが
あった。これまで見たのもあれば初見とおもわれるものもある。
又忘れていたのもある。一寸コメントしてみたくなった。


●都踊はヨーイヤサほほゑまし
「都踊はヨーイヤサ」は囃子の一節、それに「ほほゑまし」を唯くっつけただけ。
即ち 言の葉の接ぎ方の妙。

●汗の人ギューッと眼つぶりけり
●香水や時折キッとなる婦人
ギューッもキッも促音。十二分に臨場感を伝える得る機能がある。
そこらへんを旨く俳句に使いたい。小生にも一句ある。

 冬鴎キッと長谷川一夫の眼  さざなみやっこ

句集「さざなみやつこ」を出したとき集中一句として下田稔さんが挙
げてくれた句である。

●可愛さう頬ざらざらで冷たさう
「さう」「さう」のリフレイン「ざらざら」の擬音が利いている

●スキー術変な呼吸がいゝ呼吸
●ハンカチは美しからずいゝ女
「いゝ」は話し言葉。どこかくだけたなれなれしい感触をもつ。
それが文語主体の俳句の中で使われると絶妙な効果を発揮する。

雨垂れのいい音のするみどりの日 中山純子
自作
口中に飛ばす枝豆いい感じ 素抱

「変な」も同種の効果を持つ一語。

春風や人形焼のへんな顔 大木あまり

「変な」の自作には

このところ変な陽気に蘇枋咲く さざなみやつこ
変なこと覚えてゐるよ瓜の種 素抱
変に高く咲いて菜の花月夜かな 未発表

●大衆にちがひなきわれビールのむ
上五七のひらきなおりがおもしろい

●性格が八百屋お七でシクラメン
●お夏追ふ清十郎の走馬燈
江戸情緒纏綿といったところ。

自作
ひやつく日笠森おせんに逢ひそな辻 随笑

●スエターの胸まだ小さし巨きくなれ
まじまじと ひめじょおん を見ている感じ

●木葉髪あはれゲーリークーパーも
 「箪笥の角を曲がってくる蠅」と
 この「ゲーリークーパー」にはガツンとやられた。
 やられたのは、私だけではあるまい。
 晩年は木の葉髪で、グレゴリーペックもそうだったが頬こけげっそ
 りってな感じの役者であった。
 ところで私にも役者の俳句がある。

 俳優伊藤雄之介逝く
 時代の眼涼しく使ふ雄之介 鳩信

 大河内伝次郎くしゃみして冒頭 寒暑
 夕焼けに挙句の果ての寅次郎 ぱらりとせ

かって 雄之介のあの匕首のような眼を「時代の眼」と言った人がいた。
時代といっても それは昭和。「七人の侍」の村長役のあのジロリとした眼だ。

 ラムネのごと Finの三文字昇り来る 未発表

●都鳥通運丸を君知るや
 君知るや と言えば虚子に以下の句がある。
 ここで通運丸とはなんじゃい?杞陽大人は
 ときおりこのような横槍を押し通す

 君知るや薬草園に紫蘭あり 虚子

●尾も首も見えざる蛇のうごかざる
前方に水平に蛇一匹を置いて、頭と尾を除いた空間を設定する。
そしてその空間で起きていることを描写するのである。
ここらへんの攻め方が先づ凡庸でない。
それとも頭隠して尻隠すの図か?

●白鳥のおばさんがほやむすめがほ
 ○○顔というのはよくやる手。中でも「おばさんがお」というのは
 どこか親しみが湧く。

 今時のおばさんはポシェットとか言うてやたらポケットのめちゃ多い
 小物を身につける。山妻と九州旅行した際の彼女等を揶揄した一句である。
 搭乗の際 同類のおばさんがいっぱい居たからである。

 有袋類おばさん秋の日向路へ 鳩信

 土筆の丘おばさんハミングして通る

●アダムの夜短しイヴの夜短し
対句的詠法。人類の初源をもってきたのがよい。

●蛍火の平泳ぎ又平泳ぎ
「平泳ぎ」のところは「犬掻き」でもいい。
そこのところを上品に言ったまでのこと。

●舟虫の舟虫に近づきとまり
たどたどしさが眼目。

●歴史とはたとへば著莪を血塗りもし
 当句を見ていたら 彼の中原大人の一句が
 湧いてきた。

 にはとりの血は虎杖に飛びしまま 中原道夫

も一つ思ひ至ったのは 鎌倉の北条高時の腹切りやぐらの光景。
比企一族への夜討ち等鎌倉時代は血塗られた時代である。

●マロングラッセ季題アップルパイ季題
どうみてもこの句は横柄である。
横柄を絵に描いたらこんな具合になるか?
by 575fudemakase | 2013-07-04 10:56 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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