人気ブログランキング | 話題のタグを見る

俳句で綴る変哲半生記(第一章)

俳句で綴る変哲半生記(第一章)

小沢昭一 岩波書店 平成二十四年十二月

先づは、端書きより

今で詠んだ句を集めましたら、およそ四千にもなり
ました。改めて眺めてみますと、どの句にも「自分」
というものがチラチラ出ているように思えます。
特に「駄句」にこそ私らしさが現れておりますので、
あれこれ選ばず、恥ずかしながら詠んだ句全てを載
せさせていただきました。まさに、これも私メの半
生記と申せましょう


第一章 俳句を知り初めしころ(昭和44年~53年)
第二章 句友がいれば、苦吟もまたたのし(昭和54年~63年)
第三章 駄句への愛着、迷句へのこだわり(平成元年~10年)
第四章 句縁で結ばれ、豊かな後半生(平成11年~24年)

以降は

第一章 俳句を知り初めしころ(昭和44年~53年)
よりの小生(高澤良一)の共鳴句

俳句との関わりにつき 変哲自身述べている箇所(短文)がある
ので以下にそれを掲ぐ

『それに、毎日の仕事の合い間に、ふっと俳句を作る時間になると
、たとえ苦吟していても、心が自分に戻るのです。長い間、どれだ
けそれで気持がほどけたかわかりません。脳のなかの血がゆるやか
に流れ出すような気分にさえなるのです。なるほどボケの予防にな
っているかもしれもせんですなぁ。小林一茶の晩年の、私の大好き
な句ですが、
今年から丸儲けぞよ娑婆遊び
・・・娑婆遊びというコトバに、うまいこと言うもんだと唸ってい
ますが、俳句は私にとって、ありがたい娑婆遊びです。』

今回私は私の好み、私の流儀で変哲句 凡そ4千句から合点する句
を手当たり次第抜いてみることとする。

後日 某誌を見ると 変哲100句というのがあって 小生が抽い
た句と大違い。いみじくも 変哲が別の處で言っている通り、〝選
者変われば 選変わる〟である。どっちも信用するな 自分自身の
目でみろーーーということ。
【】内は小生のコメント


南瓜はわせて主人(あるじ)民生委員なり
誰がかけし地蔵の首のからす瓜
手袋を肩に小便焼芋屋
薔薇植えて元銀幕の女王かな
浅草の風や腹掛竹牀几
ハンカチやリベラリストという教授
京成押上ひとを訪ねて残暑かな
かぼちゃからむ錆びし火の見の鉄梯子
さんま焼く煙夕映えまたあした
大根を煮る湯気の香やハイタダイマ
高楼(たかきや)にのぼれば浪花薄暑かな
おどおどとただおどおどと目高かな
蟲の音の蹴りても止まぬしげみ哉
栗食いてこれを終(しまい)と手をこする
りんどうを摘む下駄の緒のしめりかな
無愛想に道を答えしちゃんちゃんこ
床の間へ伸びた日脚の埃かな
陽炎を蹴散らし郊外電車かな
畏くも「ヒトリシズカね」とヒロヒト氏
雨の日はどこに宿るのかてふてふ
葱の花から関東平野は暮れる
泥はねて艶なり祭足袋はだし
秩父路の桑の実を掌に転がしつ
映写技師の太きズボンの薄暑かな
陽のありかわかるほどなる秋曇
落葉かけ合い遊びし杜(もり)よ兄弟(はらから)よ
蜜柑ぬくめてふところ手の帰りかな
閑(ひま)人も板につきたる新茶かな
本箱の場所変えてみる薄暑かな
大君の辺にこそ死なず老桜、アコリャコリャ
【下記を下敷きにした懐古詠か?
♪ 海行かば

作詞:大伴家持 作曲:信時 潔
歌唱:

(一)
海行かば 水漬(みづ)く屍(かばね)
山行かば 草生(くさむ)す屍
大君(おおきみ)の 辺(へ)にこそ死なめ
かへり見はせじ

(二)
海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
大君の 辺にこそ死なめ
かへり見はせじ

(三)
海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
大君の 辺にこそ死なめ
長閑(のど)には死なじ


寝つかれぬ宿の浴衣や遠蛙
祭の甘い闇に不良少年少女
はじけるに間のある青さほうせん花
白蟻の広告バス停は秋ひでり
つらら陽に輝く朝の旅立ちや
ゆく年や下駄からからとポストまで
湯の中のわが手わが足春を待つ
初電話今年も妻の動かす家庭
時計屋の微動だにせぬ金魚かな
偏屈の夫へつくる梅酒かな
夜店へ向いて百円玉のまっしぐら
【登場人物が掻き消されて 代わりに 百円玉が主人公に
すり替わっている。この倒錯がおもしろい。もちろん
子供のお小遣いの一句】
背の痒くしきりに痒く夜長かな
催促にゆく決断や年の内
行くピエロ帰るピエロよ寒夕焼
【ピエロには企業戦士たるサラリーマン像を思ひ重ねればよいか?】
鴨南に温ったまったる夜風かな
散人の色紙ありけりカキフライ
七草の半ばそろえばよしとせり
枯芝や紙ヒコーキの落ちしまま
鰻重の朱塗りのてりや牡丹雪
鏡台のうるしの照りや日脚伸ぶ
やどかりは歩みし分を流されぬ
蚊柱の露地や「三郎ごはんだよォ」
声かけて昼寝の足の返事あり
【随分とズボラな句である。横着にも片足を挙げて返事としたか?】
日帰りの親子に荒き土用波
風の夜に月走る月走るなり
【掲句には雲が省かれている。雲と月との関係を詠んだ句。
もっとスッキリした表現形は
風の夜に月走りまた走るなり
ぐらいでよいのだろう
実際に走ったのは雲。静止する月に次々流れるのは雲。それを
〝月走る〟と倒置したのは
嘗て 〝波打つ崖〟を表現するに 波を静止させ〝崖進む〟とやった
論法と同じ】
寄せ鍋の遅刻を待ってトロ火かな
寄せ鍋に万事めでたく高笑い
湯ざめしてまた入る湯に目をとじぬ
寒月や女房と腕を組んでみる
氷蹴りつつ通学のひとりっ子
紅梅や靴下ではく庭の下駄
【この場違いのような感覚おもしろい】
ハンカチや話はとんとまとまらず
打水や今日半どんのブリキ職
焼酎や浮世をすねてみたものの
夏やせや働き盛りとひとの言う
深川のその日稼ぎの水の秋
破れ蓮の葉末小魚につつかれて
この街に小鳥来ること有難く
取的の下駄のひびきや都鳥
円鏡のラジオせわしや年用意
獅子舞の思いのほかに老いし手や
小さんらしきラジオ聞こえて春炬燵
川沿いの道を行こうよ春なれば
【これぐらい自然に俳句を述べられればよいんだが・・・】
主あまり見かけぬ家や藤の咲く
溝さらいさらいし泥に生きるもの
溝さらい「子供はどいたどいた」かな
【こんな口調も好みだね】
小さき子にキョトンと鯊は釣られけり
障子貼りまずはほうじ茶すすりけり
by 575fudemakase | 2013-07-30 08:04 | 句集評など | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
未分類

以前の記事

2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...
魚屋三代目日記
My style

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

外山滋彦著「俳句的」の指摘し..
at 2024-03-28 07:13
山本覚馬
at 2024-03-28 05:53
【桜餅】といえばどっち派?全..
at 2024-03-27 05:17
あまおう」と「とちお...
at 2024-03-24 03:42
一茶 生きもの句帖 小学館文..
at 2024-03-18 13:28
シュリンクフレーションという..
at 2024-03-13 05:15
ザッピングzapping?き..
at 2024-03-11 01:51
書道 書・筆・墨・硯の俳句
at 2024-03-08 10:04
しょどう
at 2024-03-08 09:38
すずり
at 2024-03-08 09:35
筆の俳句
at 2024-03-08 09:26
墨の俳句
at 2024-03-08 09:04
書の俳句
at 2024-03-07 18:12
佐々木敏光句集 富士山麓・秋..
at 2024-03-07 05:49
山口昭男著 波多野爽波の百句..
at 2024-02-26 02:57
ザッピングzapping?
at 2024-02-24 00:32
私の俳句入門 大野林火編 有..
at 2024-02-21 01:39
茨木和生著 右城暮石の百句 ..
at 2024-02-20 03:20
季寄せを兼ねた 俳句手帖「春..
at 2024-02-11 18:17
我が家の梅 2024/02/..
at 2024-02-06 13:51

外部リンク

記事ランキング