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今年 去年今年 去年

今年 去年今年 去年

今年 去年今年 去年 の例句を挙げる。

●今年
あかあかとをとこが創る今年の火 小松崎爽青
あかぎれをかくそうべしや今年妻 前田普羅
あと厄もすみし今年の破魔矢かな 啼魚
うたたねに醒めて冴えざえ今年の灯 永井龍男
くらがりに野鍛冶今年の火を起す 松本陽平
しら~と今年になりぬ雪の上 伊藤松宇
たたかう今年へ蜜柑盛りあげられ輝く 赤城さかえ句集
ねじけたる木に花もなき今年かな 雑草 長谷川零餘子
わが前に広がり見ゆる今年かな 高木晴子 花 季
われを視る眼の水色に今年猫 飯田蛇笏 霊芝
ポストまで今年はじめて外にでて 永田耕一郎 雪明
二日暮れ今年も二日たちにけり 富安風生
今年から夫婦つきりの雑煮かな 松屋春鈴
今年この鏡わが家の何映す 辻田克巳
今年はと思ふことなきにしもあらず 正岡子規
今年はやありしことども鳥總松 吉屋信子
今年はや横光利一俗名たり 石塚友二 光塵
今年またひとつの硯洗ひをり 石川桂郎 含羞
今年また仕事窶れの単帯 小坂順子
今年また山河凍るを誰も防がず 細谷源二
今年また破魔矢を挿して壷古りぬ 吉屋信子
今年まだ珠のごとしや掌に乗りて 宮津昭彦
今年もや句作言葉の砂金堀 高澤良一 随笑
今年又延命院の炉辺の座に 星野立子
今年又患家に聞きし除夜の鐘 坂本ひろし
今年又注連縄売りが柳生から 高岡智照尼
休む機多し今年の機初め 高本時子
元日のわが素手よ今年また頼む 加藤秋邨 吹越
元朝や今年ものぼる白鷺城 五十嵐播水 播水句集
光溜るあられや今年海のこさじ 千代田葛彦 旅人木
切口に今年ひしめく年木かな 星野紗一
初寝覚今年なさねばなす時なし 中村草田男
初日記今年もおのれ欺くや 椎津虚彦
初深空今年占ふ鷹か鳶か 澄雄
初詣今年の鈴のよくひびき 町 春草
加茂川の流れつづきて今年かな 村山古郷
厨灯も今年の我の影も消す 岡田和子
口あける炭の俵の今年かな 斎藤松圃
家をめぐりて今年の夕日おくるなり 臼田亞浪 定本亜浪句集
寝台車着きぬ今年の灯をともし 高澤良一 さざなみやっこ
展けゆく海を今年の恵方とす 阿部美恵子
年の髪言はねど今年許しけり 篠田悌二郎 風雪前
強面(こわおもて)なる桐下駄の今年かな 永田耕衣 葱室
当年も施主の翁が門茶かな 民部里静
御降りや今年いかにと義父の問ふ 守屋明俊
我が句碑へ芭蕉の貌で行く今年 森ゆきお
放せば縮むゴム紐今年は佳き事来よ 細谷源二
旅先に鶴見て今年はじまりぬ 鈴木真砂女
柳箸今年は母の亡かりけり 小澤碧童 碧童句集
橿原の宮の太箸今年又 谷村 喜美子
気に入つてをりし今年の松を取る 高木晴子
流れつつ今年の水となりにけり 藤稿みのる
海鳴りや明星すでに今年星 大峯あきら
破魔矢手に今年を恃むこころ切 稲垣きくの 黄 瀬
磯馴松すでに今年の暾に染みて 岡本差知子
老妻の今年も割りぬ鏡餅 碧童
胸病んで今年驚く寒さかな 五城句集附短歌 数藤五城
観音の頬の木目を今年とす 山西雅子
起初めて今年は和歌のうらを見ん 伏見-問随 元禄百人一句
輪飾りの今年は汽車に揺るゝ家 正雄
長病みの今年も参る雑煮かな 正岡子規
雪ながら富士は今年のものらしき 井上井月
食積や今年なすべきこと多く 轡田進
鴨鍋に今年の顔としてありぬ 宇多喜代子 象
鹿の瞳に雪降る今年はじまれり 野見山ひふみ

●去年今年
「開・合」と妻よ鐘は聴くべし去年今年 橋本夢道 無類の妻
いそがしき妻も眠りぬ去年今年 草城
いつの間に一と眠りして去年今年 瀧春一
かけつづく去年今年なきまもりふだ 五十嵐播水
かなしびて口ずさむ古歌去年今年 上井正司
かの架構隙かさねつむ去年今年 竹中宏 句集未収録
この間逢ひしばかりに去年今年 高濱年尾 年尾句集
しろきものおちて来りぬ去年今年 久保田万太郎 流寓抄以後
たちくらむ行く手炎の噴く去年今年 石原八束 『幻生花』
つま恋ひのつまの日月去年今年 遠入 たつみ
なまけものぶらさがり見る去年今年 有馬朗人
ぬぎすての衣の乱れや去年今年 久米三汀
ひし~と戦身ぢかく去年今年 河野静雲
もの乞うて去年今年なき跣かな 下村梅子
わかみづや流るるうちに去年ことし若水・去年今年 千代尼
スープ煮る腰高鍋の去年今年 草間時彦
セピアとは眼裏のいろ去年今年 皆吉司
テレビ塔紅燈帯びて去年今年 百合山羽公 寒雁
ピカソの目ひとつあまりて去年今年 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
ピッケルに火影拭き込む去年今年 手島靖一
一文字に鐘を撞き出す去年今年 山口草堂
一本の釘ぬき忘る去年今年 古堅蒼江
一病に負けてしがなき去年今年 高浜年尾
世にあるも大夢のごとし去年今年 小見山希覯子
丸ビルの店子も減りて去年今年 稲畑廣太郎
仏壇のともりしままや去年今年 下田童観
仕事着の白を守りて去年今年 毛塚静枝
伏せられしカードそのまま去年今年 伊藤 梢
休漁を掟の舟や去年今年 青畝
会ひたしと思ふ人あり去年今年 高濱年尾
余生なほ海を職場に去年今年 道川虹洋
佛吹く空也の深息去年今年 加藤房子
信ずれば平時の空や去年今年 三橋敏雄 畳の上
卯から辰へ無事是貴人去年今年 高木青二郎
去年今年あをきを残すおかめ笹 石川桂郎 高蘆
去年今年いのち一つに何賭けし 鈴木真砂女 夕螢
去年今年いま純白の睡り来る 千代田葛彦
去年今年さかさまに見る夫の顔 二村典子
去年今年ともなき我に客もなし 星野立子
去年今年なかりしまゝに心の喪 藤崎久を
去年今年ひとすぢに火は燃えつづけ 朱鳥
去年今年ひとつの山の闇を越え 岩谷滴水
去年今年やぶれ襖のせんなさよ 梨屋
去年今年ゆふべあしたと竹そよぎ 石川桂郎 四温
去年今年わが家の誰も欠けざりし 岡田指行
去年今年一と擦りに噴くマッチの火 成田千空 地霊
去年今年亡き人夢にまた夢に 橋本榮治 越在
去年今年円舞曲なほつづきゐて 品川鈴子
去年今年北海道はとがりをり 奥坂まや
去年今年地はかたくなに凍てしまま 津田清子 二人称
去年今年墓に凭れる花の束 廣瀬直人
去年今年大志つくろふことのなし 深谷雄大
去年今年妻と云ふ名のかくれ蓑 河野多希女 彫刻の森
去年今年安房は樹の国花の国 角川源義 『西行の日』
去年今年憂き世に老の耳かさず 杉原竹女
去年今年抱きとる鯉の弓なりに 中田 剛
去年今年振子時計の大きかり 成川崖花
去年今年探れば妻の手そこにある 奈良文夫
去年今年揺れて小さき耳飾 三ヶ尻湘風
去年今年枯野を胸に皿洗ふ 小池文子 巴里蕭条
去年今年水の響きをわがものに 新谷ひろし
去年今年水湧いて水盛り上がり 廣瀬直人
去年今年泡きとる鯉の弓なりに 中田剛 珠樹以後
去年今年浜木綿かばふ炭俵 細見綾子
去年今年焼鳥屋のまえすぎにけり 深町一夫
去年今年理科年表を卓上に 行方克巳
去年今年相あふ針の時計塔 大東晶子
去年今年空を亙りぬ鯉の顔 森澄雄
去年今年老猫へ魚ほぐしやる 奈良文夫
去年今年肥満は猫に及びけり 今枝立青
去年今年胡桃の中の音信じ 毛塚静枝
去年今年腑に落ちぬ世にならされて 大島ひろ子
去年今年航路真下の旅の町 龍太
去年今年袂にのこる紙の銭 石橋秀野
去年今年貫くパンのソーセージ 後藤貴子
去年今年貫く棒の如きもの 高濱虚子
去年今年貫く記念館の夢 稲畑廣太郎
去年今年針を進めて五分ほど 土生重次
去年今年闇にかなづる深山川 飯田蛇笏
去年今年闇の向ふに犬鳴いて 渡辺七三郎
去年今年障子明りに襲はれし 平畑静塔
去年今年集い鳴るかな船の笛 寺井谷子
去年今年雪夜雪片かさなり降る 斉藤美規
去年今年飛騨の紬に手を通す 藤田湘子
去年今年餅のしめりの時計音 桜井博道 海上
古ぼけし枕時計や去年今年 白水郎句集 大場白水郎
古時計捻子たつぷりと去年今年 薪 豊子
古足袋もそのまま履くや去年今年 龍男(毎日新聞連載小説の題名を決め、歳晩より仕事部屋に籠る)
句帳へとメモより写す去年今年 阿波野青畝
名作の鏡獅子人形去年今年 阿部みどり女 月下美人
吹きゝやすともしにもあり去年今年 二葉
吾に鞭賜ふ師のあり去年今年 森田峠 避暑散歩
命継ぐ深息しては去年今年 石田波郷
喪疲れの若人の瞳や去年今年 殿村莵絲子 雨 月
地の底の燃ゆるを思へ去年今年 桂信子
埋火の生きてつなぎぬ去年今年 森 澄雄
大凧の太綱むすぶ去年今年 原裕 正午
天心の月の左右なる去年今年 正江
天眼に洩れたるわれや去年今年 佐藤鬼房 「何處へ」以降
天窓を過ぎ行く星座去年今年 片山由美子
夫看とる去年今年とはいつの間に 及川貞
妹得しは私小説めく去年今年 伊丹三樹彦 人中
嫁ぐ日のぬか床守り去年今年 角川春樹
子に与ふ乳ほとばしり去年今年 槐太
学守る心にて去年今年なく 戸田河畔子
守り継ぐ一灯のあり去年今年 星野椿
寝袋に聴く風音や去年今年 望月たかし
小机の白毫光や去年今年 齋藤玄 飛雪
山に向き戸口一つや去年今年 村越化石 山國抄
山城の灯りて遠き去年今年 所 山花
山麓の駅舎灯りて去年今年 内池珠美
平凡を佳しとして来し去年今年 浅井青陽子
平凡を大切に生き去年今年 稲畑汀子
幻の花降りつつむ去年今年 原裕 青垣
心の灯ともしつゞけて去年今年 稲畑汀子 春光
心臓のポンプ順調去年今年 高澤良一 鳩信
念校を机の上に去年今年 山崎ひさを
我をのせ廻る舞台や去年今年 泰
抜けがての咳抱きつつ去年今年 馬場移公子
拝殿の奥煌々と去年今年 栗原澄子
捨てられぬものに埋もりて去年今年 毛塚静枝
救命棟煌々と灯り去年今年 水原春郎
旅寝して息つめてをり去年今年 澄雄
星は死し星は生まるる去年今年 有働亨
星よりも噴煙重し去年今年 阿波野青畝
星降りて水田にこぞる去年今年 不死男
暗きより火種をはこぶ去年今年 柿本多映
書きかけて去年今年なき原稿紙 吉屋信子
書きかけの原稿置きて去年今年 吉屋信子
月光に山野凍れり去年今年 相馬遷子 山国
木曽川や筏のうへの去年今年 吉田冬葉
本棚の波郷は老いず去年今年 八橋隆文
東天紅鳴きやまざるに去年今年 本橋定晴
松青く枝張る空や去年今年 村山古郷
枕辺に散らかりしもの去年今年 猿渡藜子
某嬢に二本線引く去年今年 櫂未知子 蒙古斑
椎敲を重ぬる一句去年今年 高浜虚子
榛の実が粉雪と語る去年今年 永峰久比古
檜葉垣に深き靄こめ去年今年 遠藤梧逸
歳月の継ぎ目は白し去年今年 齋藤愼爾
死ぬときは謙三として去年今年 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
残されし竹の中なる去年今年 石川桂郎 四温
水のうへ風が旅する去年今年 新谷ひろし
水を買ふことにも馴れて去年今年 青木重行
永遠の海と空あり去年今年 星野椿
淋しさは淋しさとして去年今年 汀子
満州よりす去年今年なき車中客 楠目橙黄子 橙圃
炭二俵舟のみやげや去年今年 淇石
炭竃に燃えつづく火の去年今年 松本たかし
燃ゆる火にひしめく闇も去年今年 木下夕爾 定本木下夕爾句集
父みとる母居眠りて去年今年 遷子
父母と居て砂漠の如し去年今年 青木重行
牧谿の虎濛々と去年今年 飯島晴子
犀川の清韻嗄れず去年今年 西本一都 景色
猫抱けば水の音して去年今年 坪内稔典
病むといふ足枷をひき去年今年 上野泰
病癒えてや追はるるごとく去年今年 河野南畦 『焼灼後』
白光の一筋通ひ去年今年 平井照敏
眼の裏に風邪が潜みぬ去年今年 加藤知世子 花寂び
眼鏡置くいつもの位置や去年今年 能村研三 鷹の木
碇泊の汽笛が分つ去年今年 伊藤省三
神鈴のしかと分けたり去年今年 武田日出夫
移り気にあつめし皿や去年今年 渋谷道
窯焚の火色みつめて去年今年 木暮陶句郎
端座して何を待つべし去年今年 井沢正江
笹鳴に去年今年なく庵せり 高濱年尾 年尾句集
箱根口渋滞表示去年今年 原裕 『王城句帖』
篁に風吹いてゐる去年今年 角川春樹
篝火の一睡のゆめ去年今年 伊藤敬子
籾殻のほこほこ燃えて去年今年 遠藤梧逸
紙屑の中に我在り去年今年 戸石あや子
縁談に去年今年なきもつれかな 吉屋信子
纜を切つたる波や去年今年 鈴木太郎
翌ありとただ翌ありと去年今年 及川貞
老いて見る夢の浅しや去年今年 神 緑郎
考えると女で大人去年今年 池田澄子
胸倉の火は五位のこゑ去年今年 小檜山繁子
花火もて割印とせむ去年今年 和湖長六
若水や流るゝうちに去年今年 千代女
草ジャンパー利へ鳴り急ぐ去年今年 香西照雄 対話
荒ごとの齢にあらず去年今年 原裕 『王城句帖』
荒神輿舁き手手薄に去年今年 高澤良一 素抱
落石のこだま還らず去年今年 ほんだゆき
落葉して去年今年なき庵かな 野村泊月
藍甕に焚く温め火や去年今年 渡会 昌広
蛇ゆくごと去年今年なき寝汗の中 川口重美
蝋梅の安房に身を寄せ去年今年 角川源義 『西行の日』
蝕すぎし月光煙る去年今年 角川源義
読みさして方丈記あり去年今年 遠藤梧逸
読経あり別のこゑあり去年今年 福井啓子
赤福の茶屋の灯煌と去年今年 宮下翠舟
跫は忘れてしまふ去年今年 田川飛旅子 『使徒の眼』以後
路地裏もあはれ満月去年今年 鷹女
遺されし思ひいささか去年今年 鷹羽狩行
針に糸通してゐるや去年今年 細見綾子 黄 炎
銃帯びて去年今年なき勤めかな 松岡ひでたか
銭洗ふ真暗闇に去年今年 田村恵子
閑居して去年今年ともなかりけり 高橋淡路女 梶の葉
雲呑の鰭のゆるやか去年今年 櫂未知子 蒙古斑以後
革ジヤンパー利へ鳴り急ぐ去年今年 香西照雄
頭の中の左右あひたがふ去年今年 沼尻巳津子
骨疼く魔の刻をもて去年今年 西本一都 景色
魔女の札手許に残る去年今年 杉本寛
黒猫と鍵を預る去年今年 諸岡直子
齢のみ虚子に並べり去年今年 青木重行

●去年
こころの火落して睡る初昔 鈴木鷹夫
こんな句が先師にありて初昔 高澤良一 燕音
つくばひの氷一片初昔 井沢正江 湖の伝説
ひかり食む牛の反芻初昔 飯田綾子
わが影に初昔とは懐しき 原コウ子
初昔子は湯ぶとりか寝ぶとりか 赤松[ケイ]子
後山の月甕のごとし初昔 飯田蛇笏 春蘭
昆布の香厨に残る初昔 秋川ハルミ
樫の根の忘れ箒も初むかし 児玉南草
歯が一つかけたるままや初昔 遠山草太郎
灯を消してよりありありと初昔 鷲谷七菜子
練炭に残るほむらの初昔 岡田 耕治
美しき鯉魚と群れゐし初昔 上田五千石 琥珀
雲表にみゆる山巓初昔 飯田蛇笏
高砂や去年を捨てつつ初むかし 上島鬼貫
古年の礼ねんごろに母在せり 宮田正和
古年の老酒にうたの頬染めし 深谷雄大
古年の風かけのぼる椋大樹 山田みづえ
悔いもなく古年うせる侘寝かな 飯田蛇笏
手にし出づ吾が旧年のホ句手帳 河野静雲 閻魔
旧年という水槽のごときもの 矢島 惠
旧年の畑に忘れし手鍬かな 小泗
旧年の足跡すでに凍てゆるむ 角川源義
旧年の闇ためてゐる落葉山 中山一路
旧年を坐りかへたる机かな 素琴
竹林に旧年ひそむ峠かな 鶏二
かゝげたる燭の火明し宵の年 名和三幹竹
宿直する顔も古りたり宵の年 名和三幹竹
ちんぽ皆ぶらさげ正月の朝湯も去年の顔触れ 橋本夢道 無礼なる妻
はつ夢や正しく去年の放し亀 言水
ほりかけの臼に残るや去年の雪 沖の家
まだ去年の暦も棚に寒さ哉 横井也有 蘿葉集
ブルトーザー去年の位置のまゝにあり 岸風三樓
ペン措きて去年の日記となりにけり 佐々木遡舟
元朝や去年の火残る置炬燵 日野草城
初燈去年を雌伏の年として 倉田春名
北限に墨引くごとし去年の貨車 大郷石秋
去年となる一瞬生れし男の子あり 下村ひろし
去年に似てどこやら霞む年の内 鬼貫
去年に似て今春めくや人の顔 斧寛
去年の土つけしまま鍬立つてをり 大串章
去年の実の柘榴にありて雪降れり 永井龍男
去年の眉今朝は嬉しき霞かな 越前-簪 俳諧撰集玉藻集
去年の雨一碗に受け墓眠る 坂手美保子
去年の雪まゆみの赤き実にのれり 飴山實 『花浴び』
去年の鵯来たりて告げり山は雪 吉本和子
去年の鶴去年のところに凍てにけり 水原秋櫻子
去年よりの雪小止みなき初湯かな 久保田万太郎 流寓抄以後
去年よりも自愛濃くなる懐手 能村登四郎(1911-2002)
喞筒小屋覗けば去年の巨草みゆ 安井浩司 阿父学
寒駅の四囲の洩れ灯に去年の雪 永井龍男
憂き事も去年になりゆく懐しや 瓦全
手袋や去年となりたる昨日のこと 藤岡筑邨
暁は澄み町川去年の燈をとどむ 山本古瓢
樹も氷る池は去年より凍てにける 石橋辰之助 山暦
此の如く去年の暮にも思ひしか 青嵐
淡雪の降りすがりけり去年の雪 蓼太
温泉や水滑かに去年の垢 夏目漱石 明治三十一年
病室や大き火鉢の去年の灰 有働亨 汐路
病葉や石にも地にも去年のやう 前田普羅 新訂普羅句集
目を覚ます去年繙きしものの辺に 石川桂郎 四温
稿遅々と去年の大福焼きて食ぶ 永井龍男
筆はじめ去年よりの修羅走りだす 小檜山繁子
編み残す去年の毛糸のけぶりをり 中嶋秀子
膝をつきをりしは去年の雪ならむ 齋藤玄 『無畔』
若水や瓶の底なる去年の水 正岡子規
葉牡丹に少し残れり去年の雪 松浜
裏山の闇より去年に入りにけり 藤崎久を
読初といへども去年の栞より 都筑智子
酒酌んでこの座去年とはなりにけり 前田忠男
降り出でて忽ち白しさらば去年 林原耒井 蜩
雪のせて古巣は去年の夢見をり 堀口星眠 営巣期
餅焼いて去年がはるけくなりにけり 細川加賀
養生の去年の足許不如意かな 高澤良一 鳩信
高砂や去年を捨てつつ初むかし 上島鬼貫

以上
by 575fudemakase | 2014-01-18 11:46 | 新年の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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