2月の拙句
2月の拙句
ねずみのこまくら句会 14年間の2月投句の拙句をリストアップする。
2013年
春泥を踵浮かせて渡りきる
川底で睡るどんぐり水澄めり
福寿草けふがあるから明日がある
住み潰すつもりの家の隙間風
寒木の梢(うれ)に一鳥声殺し
これからは女も愉しむ世と餅焼き
雨ほんの木瓜の莟をゆるめるほど
ぐりぐりの丸薬寒水もて嚥めり
寒釣のえらいこととは風のこと
鴛鴦を詠めるにヘタな形容詞
2012年
雨を吸ひ裸木どこかほのあたたか
万作の湿りを帯びて膨らむ芽
梟の己を遠望するまなざし
日脚のび一寸怪しき迂回地図
一つ大きくうなづく陛下初相撲
快晴をあらせいと嬉べり
例により今年はこそと気張るのだが
大寒の日なり蛇口の哭くことも
雑木林ゆけば引っつくやうな凍て
お鏡に罅の走れる年見据え
2011年
林檎選る林檎のうへに林檎置き
各々が夫々の息梅を前
雨に肩落とし泥んこ雪だるま
この家の子も一人っ子雪だるま
胴周りゆるき股引愛用す
冬の夜のヒューズが飛びし闇手探り
湯気たてゝ湯気こもる部屋満艦飾
湯の煮える音にも倦みて生あくび
手に素甘ひんやりむっちり雪が降る
剪定は強め強めに午前の日
2010年
高齢化すすむ結社と亀鳴けり
不良めく鴨ゐて四、五羽うち連れぬ
金盞花薄雲崎の日を篩ひ
熱燗に鼻っ柱のつよき人
雪形と敢へて云はざるまでのこと
会釈して行き交ふごとし鴨と鴨
春隣ピザのトマトの皮あかり
漁始めさねさし相模の水覗漁(みづきりょう)
裏切らぬ梅の赭さでありにけり
細枝の尖より氷ることたしか
2009年
走り根を張らねば春の断崖に
万作の万綻ぶといふまでには
雨水輪一つ一つの春めくや
表具師の鈴木とふ家木瓜咲かせ
葉芽花芽葉芽花芽の桜かな
恋猫のずっこける音濡れ縁より
雪雲に日當ってゐる大うなばら
薄氷の閉じ込めし泡突っつきぬ
心地よき風が言はせぬ清明と
何着やうすつかり春といふ訳には
2008年
おてんと様通して畑の桃咲ける
これしきの雨ものかはととんど燃ゆ
膝さすり寒さをこそぎおとす妻
裸木に雑念の余地なかるべし
落椿載するその掌をつめたくし
赤鬼にたてつく青鬼節分会
三椏の花哲学を想はする
飼育員春の象牙を抱かせ呉れ
剪られじと撥ねていやがる木瓜一枝
ミモザ濃し曇日も亦悪くなし
2007年
日の永しラジオは禿げを話題にし
猫はまだ己押さへて寒の日々
日向ぼこよいしょと起てば目がさまよひ
古電気毛布温度に斑があり
鍔迫り合ひサッカー風はアゲインスト
句を敲き敲き歩きぬ水っ洟
初日影取り込むソーラーハウスかな
寒茜けふの一切了はらせて
梅咲いて方代無心乞ふた寺(瑞泉寺)
ポンチョ被て弾初めストリートミュージッシャン
2006年
水差しに水満ちゆける音も寒
酷寒と蛇口ひねればさう聞こゆ
庭石の五、六あるきり寒日向
寒明けとふんぎりつけるやうに云ふ
寒の日に透けて水性ボールペン
何たること大寒の酒切らすとは
大寒の夜を閉づビロード地のカーテン
乾燥藷焙れば月(ルナ)の隕石孔(クレーター)
川に目を空に目を遣り寒一色
大寒の動かぬ雲を透く陽かな
2005年
なめらかにピッチングして春の航
檳榔樹そこから勇名(いさな)見えるかい
春の雲あたかも象の縫いぐるみ
踏切の傍に菜の花のほほんと
南房の花摘み濤色スターチス
懸大根げっそり沖に逆巻く涛
潮けむり大根台地のどん詰り
鎌倉五山一位禅林の梅固し
節分興行ぴん助一座かっぽれを
吹きつける新手の風に冬ひばり
2004年
探梅といふにはあっさり戻り来ぬ
幸せの容真上に春の雲
裏山はだうなってゐる旧七草
城郭の一部をなせる梅の花
春寒の家押す風の音どすん
寒禽の影を翔たせて樫太枝
春の雲見てゐる我も押し移る
欠航にて安房の雛罌粟摘がふい
群衆の隙間に落ちぬ年の豆
あんこ玉薄皮冴えに冴えにけり
2003年
心配はご無用顔の海鼠とも
関取の錦を飾る太郎月
咳ヲシテコンコンチキノコンチキノ
水仙の里を名乗りて村ぐるみ
春水の無音の流れ片寄れる
鼻カラカラ胸ムカムカの風邪引いて
包装紙よりストックの首覗く
遠からず蛤となる雀これ
恐らくは霜バリバリの朝ならむ
この坂道これある哉の椿かな
2002年
祝儀値といふがありけり達磨市
校庭に水仙しんと授業中
赤青の傘の上から鬼の豆
節分の豆ならぬ雨降って来ぬ
節分の空賑はして雨降り来
立春のプライドといふカクテルほす
白鳥の懸命な貌着水まで
白鳥を指もて数ふ頭で数ふ
白鳥をかぞふる頭搖れゐたり
白鳥の飛来足掛け十五年
2001年
雪晴れの小枝に鳥の往き来あり
東京湾いちめんに雪ぶちまけて
昼の雪ますます粗くなりにけり
豆撒きの僧あちら向きこちら向き
をしどりの水皺立てつ伊達姿
小競り合ひしながら春の雪落ち来
界隈の恋猫にして横坐り
月も半ばのこゑきけば梅咲いてゐし
既にして接骨木の芽の出臍程
院長が指図して針納めしむ
2000年
風邪寝して唄ふかもめの水兵さん
咳ヲシテコンコンチキノコンチキノ
雛壇になし俳壇のよいしょぶり
水鳥に水の一年始まれり
俳諧の花おのづから自他の春
さんざんな日の食卓にほうれん草
さうなのよけふから寒の入なのよ
本復はまだ先のこと龍の玉
弟子といふひびきのどこか暖く
寿福寺や寿の字寿の字に梅の花
以上
ねずみのこまくら句会 14年間の2月投句の拙句をリストアップする。
2013年
春泥を踵浮かせて渡りきる
川底で睡るどんぐり水澄めり
福寿草けふがあるから明日がある
住み潰すつもりの家の隙間風
寒木の梢(うれ)に一鳥声殺し
これからは女も愉しむ世と餅焼き
雨ほんの木瓜の莟をゆるめるほど
ぐりぐりの丸薬寒水もて嚥めり
寒釣のえらいこととは風のこと
鴛鴦を詠めるにヘタな形容詞
2012年
雨を吸ひ裸木どこかほのあたたか
万作の湿りを帯びて膨らむ芽
梟の己を遠望するまなざし
日脚のび一寸怪しき迂回地図
一つ大きくうなづく陛下初相撲
快晴をあらせいと嬉べり
例により今年はこそと気張るのだが
大寒の日なり蛇口の哭くことも
雑木林ゆけば引っつくやうな凍て
お鏡に罅の走れる年見据え
2011年
林檎選る林檎のうへに林檎置き
各々が夫々の息梅を前
雨に肩落とし泥んこ雪だるま
この家の子も一人っ子雪だるま
胴周りゆるき股引愛用す
冬の夜のヒューズが飛びし闇手探り
湯気たてゝ湯気こもる部屋満艦飾
湯の煮える音にも倦みて生あくび
手に素甘ひんやりむっちり雪が降る
剪定は強め強めに午前の日
2010年
高齢化すすむ結社と亀鳴けり
不良めく鴨ゐて四、五羽うち連れぬ
金盞花薄雲崎の日を篩ひ
熱燗に鼻っ柱のつよき人
雪形と敢へて云はざるまでのこと
会釈して行き交ふごとし鴨と鴨
春隣ピザのトマトの皮あかり
漁始めさねさし相模の水覗漁(みづきりょう)
裏切らぬ梅の赭さでありにけり
細枝の尖より氷ることたしか
2009年
走り根を張らねば春の断崖に
万作の万綻ぶといふまでには
雨水輪一つ一つの春めくや
表具師の鈴木とふ家木瓜咲かせ
葉芽花芽葉芽花芽の桜かな
恋猫のずっこける音濡れ縁より
雪雲に日當ってゐる大うなばら
薄氷の閉じ込めし泡突っつきぬ
心地よき風が言はせぬ清明と
何着やうすつかり春といふ訳には
2008年
おてんと様通して畑の桃咲ける
これしきの雨ものかはととんど燃ゆ
膝さすり寒さをこそぎおとす妻
裸木に雑念の余地なかるべし
落椿載するその掌をつめたくし
赤鬼にたてつく青鬼節分会
三椏の花哲学を想はする
飼育員春の象牙を抱かせ呉れ
剪られじと撥ねていやがる木瓜一枝
ミモザ濃し曇日も亦悪くなし
2007年
日の永しラジオは禿げを話題にし
猫はまだ己押さへて寒の日々
日向ぼこよいしょと起てば目がさまよひ
古電気毛布温度に斑があり
鍔迫り合ひサッカー風はアゲインスト
句を敲き敲き歩きぬ水っ洟
初日影取り込むソーラーハウスかな
寒茜けふの一切了はらせて
梅咲いて方代無心乞ふた寺(瑞泉寺)
ポンチョ被て弾初めストリートミュージッシャン
2006年
水差しに水満ちゆける音も寒
酷寒と蛇口ひねればさう聞こゆ
庭石の五、六あるきり寒日向
寒明けとふんぎりつけるやうに云ふ
寒の日に透けて水性ボールペン
何たること大寒の酒切らすとは
大寒の夜を閉づビロード地のカーテン
乾燥藷焙れば月(ルナ)の隕石孔(クレーター)
川に目を空に目を遣り寒一色
大寒の動かぬ雲を透く陽かな
2005年
なめらかにピッチングして春の航
檳榔樹そこから勇名(いさな)見えるかい
春の雲あたかも象の縫いぐるみ
踏切の傍に菜の花のほほんと
南房の花摘み濤色スターチス
懸大根げっそり沖に逆巻く涛
潮けむり大根台地のどん詰り
鎌倉五山一位禅林の梅固し
節分興行ぴん助一座かっぽれを
吹きつける新手の風に冬ひばり
2004年
探梅といふにはあっさり戻り来ぬ
幸せの容真上に春の雲
裏山はだうなってゐる旧七草
城郭の一部をなせる梅の花
春寒の家押す風の音どすん
寒禽の影を翔たせて樫太枝
春の雲見てゐる我も押し移る
欠航にて安房の雛罌粟摘がふい
群衆の隙間に落ちぬ年の豆
あんこ玉薄皮冴えに冴えにけり
2003年
心配はご無用顔の海鼠とも
関取の錦を飾る太郎月
咳ヲシテコンコンチキノコンチキノ
水仙の里を名乗りて村ぐるみ
春水の無音の流れ片寄れる
鼻カラカラ胸ムカムカの風邪引いて
包装紙よりストックの首覗く
遠からず蛤となる雀これ
恐らくは霜バリバリの朝ならむ
この坂道これある哉の椿かな
2002年
祝儀値といふがありけり達磨市
校庭に水仙しんと授業中
赤青の傘の上から鬼の豆
節分の豆ならぬ雨降って来ぬ
節分の空賑はして雨降り来
立春のプライドといふカクテルほす
白鳥の懸命な貌着水まで
白鳥を指もて数ふ頭で数ふ
白鳥をかぞふる頭搖れゐたり
白鳥の飛来足掛け十五年
2001年
雪晴れの小枝に鳥の往き来あり
東京湾いちめんに雪ぶちまけて
昼の雪ますます粗くなりにけり
豆撒きの僧あちら向きこちら向き
をしどりの水皺立てつ伊達姿
小競り合ひしながら春の雪落ち来
界隈の恋猫にして横坐り
月も半ばのこゑきけば梅咲いてゐし
既にして接骨木の芽の出臍程
院長が指図して針納めしむ
2000年
風邪寝して唄ふかもめの水兵さん
咳ヲシテコンコンチキノコンチキノ
雛壇になし俳壇のよいしょぶり
水鳥に水の一年始まれり
俳諧の花おのづから自他の春
さんざんな日の食卓にほうれん草
さうなのよけふから寒の入なのよ
本復はまだ先のこと龍の玉
弟子といふひびきのどこか暖く
寿福寺や寿の字寿の字に梅の花
以上
by 575fudemakase
| 2014-02-10 07:42
| 冬の季語
|
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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