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春の水

春の水

例句を挙げる。

あしはらの中ながるゝや春の水 久保田万太郎 草の丈
あひともにかちわたらむよ春の水 久保田万太郎 流寓抄
あひるにも一句よまばや春の水 幸田露伴 谷中集
あやまちて鴉の映る春の水 竹本健司
うごくため母は生れしか春の水 八田木枯
かわかわと鴉が外す春の水 永田耕衣 驢鳴集
くるぶしの際ぬけてゆく春の水 桂信子 遠い橋
ことに大きな石のうつれり春の水 久保田万太郎 流寓抄以後
この沼の魚に耳あり春の水 内田百間
さきざきに鳴りてことごと春の水 高澤良一 ぱらりとせ
さす棹の拳にのるや春の水 高井几董
さらさらと音を流して春の水 斉藤友栄
ざわざわと五六騎渉る春の水 会津八一
しがらみを抜けてふたたび春の水 鷹羽狩行(1930-)
しづかさや雨の後なる春の水 召波 五車反古
すゞりにも茶にもうれしや春の水 松岡青蘿
せせらぎのさかのぼるかに春の水 西山泊雲 泊雲
そんなことよく思ひつく春の水 岡田史乃
たく駝して石を除くれば春の水 夏目漱石 明治四十四年
ちゆつと吸ふ泥鱒がをりて春の水 矢島渚男 船のやうに
ちょろちょろとちょろっと春の水ながる 高澤良一 ぱらりとせ
とどこおる処はっきり春の水 高澤良一 寒暑
とび~につゞく木賊や春の水 五十嵐播水 播水句集
ひかりつゝくびれてながる春の水 高澤良一 さざなみやっこ
ひと吹きの風にまたたき春の水 村沢夏風
ひろごりて浅くなりたる春の水 五十嵐播水 埠頭
ひろ~と塵もとゞめず春の水 比叡 野村泊月
ほそ~と添水にいたる春の水 五十嵐播水 播水句集
ぽつかりと浮きし緋鯉や春の水 比叡 野村泊月
みかに汲めば甕のかがやき春の水 東洋城千句
めぐりあひて一つになりぬ春の水 会津八一
よれ~にうつる手摺や春の水 比叡 野村泊月
ステッキで叩いてゐるや春の水 阿部みどり女 笹鳴
バイオリンがセ口を追ひ越す春の水 今瀬剛一
フラスコのかたちにありぬ春の水 内田 美沙
ランボーを巡ってきたり春の水 高澤晶子 純愛
一つ根に離れ浮く葉や春の水 高浜虚子(1874-1959)
一の堰二の堰春の水溢る 廣江八重櫻
一人づつ抱いては渡す春の水 比叡 野村泊月
上京や友禅洗ふ春の水 河東碧梧桐
乞食釣ひとりを匿す春の水 石川桂郎 高蘆
五器皿を洗ふ我世や春の水 几董
人おとにこけ込亀や春の水 炭 太祇 太祇句選
人のゐるところに春の水たまり 今井杏太郎
仕事場へ丸太渡りに春の水 石川桂郎 高蘆
例へてコツプ一杯の春の水 藤本草四郎
倒れ木を踏めば応へて春の水 比叡 野村泊月
傷つきも傷つけもせず春の水 松浦由佳
児を抱いて覗かせゐるや春の水 比叡 野村泊月
割り算でといてみなさい春の水 三宅やよい
叩かれて川になりきる春の水 攝津幸彦 鹿々集
嘴先に春の水輪を重ね合ふ 加藤耕子
堀川や家の下行春の水 炭 太祇 太祇句選
堰板の裾より噴ける春の水 比叡 野村泊月
堰落ちしうたかたも亦春の水 明石いせ女
夕されば千鳥とぶ也春の水 高井几董
大堰やひろ~落つる春の水 比叡 野村泊月
宮居は塔の如く構えず春の水 楠本憲吉
宿とりし人杖洗ふ春の水 高田蝶衣
富士一つ浸せり春の水はろに 沢田はぎ女
小半とき河馬の見てゐる春の水 三好達治 路上百句
小舟にて僧都送るや春の水 蕪村遺稿 春
山寺の筧太らせ春の水 森定南楽
山買ふや山の境の春の水 石井露月
川いっぱい使って春の水ながる 高澤良一 鳩信
巫女の緋は春の水皺に綾なせる 阿部みどり女
帆の端のひたりて行くや春の水 大須賀乙字
席末に池を眺めや春の水 小澤碧童 碧童句集
幔幕の裾より見ゆる春の水 比叡 野村泊月
幔幕の裾を流れて春の水 比叡 野村泊月
平なる石より落つる春の水 比叡 野村泊月
弁天に烏甘ゆる春の水 八木三日女
影曳いてめぐる泡あり春の水 比叡 野村泊月
待春の水よりも石静かなる 倉田 紘文
掬ひたるものに眼のある春の水 大木あまり 火球
斯く迄に囁くものか春の水 高浜虚子
新らしき杭のまはりの春の水 小澤克己
日うつりや高瀬へ分つ春の水 也好
日が射してあふるる思ひ春の水 大木あまり 火球
日の当るところ日のいろ春の水 児玉輝代
日は落て増かとぞ見ゆる春の水 高井几董
日当たりて際立ち濁り春の水 高濱年尾
明日海に入る春の水おびただし 神生彩史
春の山春の水御魂鎮まりぬ 子規句集 虚子・碧梧桐選
春の水あともどりして児を抱く 比叡 野村泊月
春の水あふれひとりを持てあます 大高翔
春の水こもごも山を出で来る 三橋敏雄 畳の上
春の水さして邑知瀉見えそめぬ 前田普羅 新訂普羅句集
春の水すみれつばなをぬらし行 與謝蕪村
春の水ところどころに見ゆる哉 上島鬼貫(おにつら)(1661-1738)
春の水とは濡れてゐるみづのこと 長谷川櫂(1954-)
春の水にうたゝ鵜繩の稽古哉 蕪村 春之部 ■ 野望
春の水に洗う何年飯炊けるくろがねの釜を 安斎櫻[カイ]子
春の水に秋の木の葉を柳鮠 服部嵐雪
春の水ひととき蹲む鮒のせな 横光利一
春の水ふきあげられてちりぢりに 夏井いつき
春の水ふるき水草を梳る 軽部烏頭子
春の水やかろく能書の手を走らす 榎本其角
春の水や草鞋の流れ行く末は 古白遺稿 藤野古白
春の水ゆり動かして風強し 高木晴子 晴居
春の水わが歩みよりややはやし 谷野予志
春の水二本杉より流れいづ 比叡 野村泊月
春の水何が落ちても水輪かな 野村喜舟 小石川
春の水光琳模様ゑがきつつ 上村占魚(1920-96)
春の水喪の家の横を曲りゆく 横光利一
春の水四ツ手のうへをながれけり 橋本鶏二
春の水堰きゐる石の下よりも 阿部みどり女 笹鳴
春の水堰き止められて匂いけり 宇咲冬男
春の水堰越す時はひかり合ふ 皿井節子
春の水妹が垣根を流れけり 正岡子規
春の水岩のかたちにふくれけり 日原傳
春の水岩を抱いて流れけり 夏目漱石(1867-1916)
春の水岸へ岸へと夕かな 石鼎
春の水巌全面に滴れる 久米正雄 返り花
春の水所々に見ゆるかな 上島鬼貫
春の水揚屋揚屋の石の段 田中冬二 俳句拾遺
春の水束ねし瀧の蒼さかな 岩上明美
春の水東寺の西に見ゆるかな 暁台
春の水梭を出でたる如くなり 高浜虚子
春の水汲む胡桃林に住む娘らか 金子皆子
春の水渦のとけては顔になる 鈴木花蓑句集
春の水湧きつつ暗し南蛮井 下村ひろし 西陲集
春の水獺の潜けば黄となんぬ 青畝
春の水笑ましきまでの小舟かな 尾崎迷堂 孤輪
春の水背戸に田作らんとぞ思ふ 蕪村 春之部 ■ 野望
春の水苗木の桃の花盛 大谷句佛 我は我
春の水落ちて巌の赤かりし 山本洋子
春の水藻臥の蜷も得たりけり 加舎白雄
春の水醜の闘魚とひとは云へど 瀧春一 菜園
春の水離宮を出でゝ流れけり 四明句集 中川四明
春の水靨を見せて流れをり 渋沢渋亭
春の水音ばかりかな枯林 横光利一
春の水飛石づたひ遡る 比叡 野村泊月
春の水飲んで薄暗き友よ 橋本七尾子
春の水馬の奥歯に鳴りにけり 廣江八重櫻
春の水鳴るか鳴らぬか身を屈め 高澤良一 寒暑
春の水黙ってゐても春の水 高澤良一 燕音
昼舟に狂女のせたり春の水 蕪村
暮れつつも物ながれゆく春の水 多田裕計
木屋町や裏を流るゝ春の水 河東碧梧桐
杉の実の沈めるのみの春の水 岸本尚毅 舜
棒をもて少年春の水叩く 吉田木底
榛の影妻の影あり春の水 鈴木しげを
橋なくて日暮れんとする春の水 與謝蕪村
橋の欄譲りもたれて春の水 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
橋下を渉るあり春の水 比叡 野村泊月
水壺を提げて下り立つ春の水 比叡 野村泊月
水門を出て濁りけり春の水 古白遺稿 藤野古白
水音(みおと)またおろそかにせず春の水 高澤良一 寒暑
流れゆく呉越をつなぐ春の水 日原傳
流れ来て池をもどるや春の水 蕪村遺稿 春
流れ来て清水も春の水に入 蕪村遺稿 春
浮かびたる油に虹や春の水 岩田由美
海豹の泳ぐ手見ゆる春の水 磯貝碧蹄館
消えつつも減らぬ泡なり春の水 五十嵐播水 埠頭
渡れつゝほつるゝ泡や春の水 比叡 野村泊月
湖や堅田わたりを春の水 蕪村遺稿 春
湧くからに流るるからに春の水 夏目漱石 明治三十一年
満ちて在るいとけなさ哉春の水 永田耕衣 陸沈考
滝落ちて岩をめぐれば春の水 楠目橙黄子 橙圃
瀬がしらのひょいひょい白し春の水 日野草城
灌頂や瑠璃瓶中の春の水 松瀬青々
火うつせば水泡火となる春の水 大場白水郎 散木集
片手桶かたむき浮ぶ春の水 皿井旭川
物かはと女渡りぬ春の水 四明句集 中川四明
琴の糸さらすや湖へ春の水 幕内千恵
瓢亭の厠に春の水めぐる 高濱年尾 年尾句集
甕にあれば甕のかたちに春の水 吉野義子
田の神に約あり春の水走る 影島智子
疲れ寝すこし漓江の春の水になる 金子皆子
白書院春の水洟落したる 久米正雄 返り花
白鳥の並んで来たる春の水 阿部みどり女 笹鳴
白鳥の花振り別けし春の水 横光利一
白鴎をのせて夜に入る春の水 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
白鷺の一考つづく春の水 高澤良一 寒暑
石一つ踏みて渉りぬ春の水 比叡 野村泊月
石二つありて渡りぬ春の水 五十嵐播水 播水句集
石橋を二つ渡りぬ春の水 比叡 野村泊月
石菖に浅く流るゝ春の水 五十嵐播水 播水句集
磯山や小松が中を春の水 几董 五車反古
空のほか何も映らず春の水 高浜年尾
立ち向ふ籬越しなる春の水 比叡 野村泊月
立つひとに暮春の水屋憶昔亭 桂樟蹊子
立鴈のあしもとよりぞ春の水 蕪村遺稿 春
竹林の外をめぐりて春の水 比叡 野村泊月
竹林の奥春の水奏でそむ 木下夕爾
第三紀地層が搾る春の水 永野孫柳
筍の藪押しありく春の水 会津八一
筧より筧に落つる春の水 比叡 野村泊月
筬の音ことりと春の水暮るる 神尾久美子 桐の木
簪で饅釣るべし春の水 古白遺稿 藤野古白
籬より捨てたる塵や春の水 比叡 野村泊月
粗朶束の一つ転けたる春の水 石田勝彦 秋興
紐つけて遊ばす束子春の水 磯貝碧蹄館
美しき鯲(どぜう)うきけり春の水 舟泉
背を見せて魚泳ぐ春の水浅し 正岡子規
腰太く腕太く春の水をのむ 桂信子 黄 炎
舷にのせたる肱や春の水 比叡 野村泊月
船入れて瀬に驚くや春の水 会津八一
芹川のあたりは深し春の水 松岡青蘿
草ちよぼ~泥に澄みけり春の水 古白遺稿 藤野古白
草の中鳴りをひそめて春の水 高澤良一 ぱらりとせ
荷なひくる洗濯物や春の水 比叡 野村泊月
菫咲く野はいくすぢの春の水 宗長
落ちてゐる椿の下の春の水 高木晴子 晴居
落ち口をせく竹ぎれや春の水 比叡 野村泊月
蕗を先づ湯がいて春の水仕事 高澤良一 随笑
薪水のいとまの釣や春の水 飯田蛇笏 山廬集
蘆いまだ芽ぐまず春の水しょろり 幸田露伴 竹芝集
蛇を追ふ鱒のおもひや春の水 蕪村 春之部 ■ 野望
蛇穴を出でゝ石垣の春の水 河東碧梧桐
蛇籠よりのびし針金春の水 比叡 野村泊月
行く春の水そのままや杜若 千代尼
行春の水にすがたをうつす蟻 宇佐美魚目 天地存問
行燈を舟へはこぶや春の水 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
行舟に岸根をうつや春の水 炭 太祇 太祇句選
街道をこえてなめらに春の水 軽部烏帽子 [しどみ]の花
袖かざす御公家もおはせ春の水 一茶
袖垣の上より覗く春の水 比叡 野村泊月
詩の舟や硯を洗ふ春の水 会津八一
足の向く方は素描の春の水 橋石 和栲
這ふ虫のなか~はやし春の水 五十嵐播水 埠頭
里人よ八橋つくれ春の水 蕪村遺稿 春
野も山も冬のまゝじやに春の水 高井几董
野烏の腹に蹴て行春の水 敬雨
閣上の人が映れる春の水 比叡 野村泊月
雪に折し竹の下行春の水 高井几董
青竹の駒の口より春の水 比叡 野村泊月
静さや雨の後なる春の水 召波
音なくて涌井戸溢る春の水 大谷句佛 我は我
顔映し俄かにたるむ春の水 殿村莵絲子 牡 丹
飛石をふまへてかゞむ春の水 比叡 野村泊月
馬引て渡る女や春の水 正岡子規
高関に上ればひろし春の水 比叡 野村泊月
高閣を下りて到る春の水 比叡 野村泊月
鯉の下を鯉が通りぬ春の水 今瀬剛一
鯉はねて浅き盥や春の水 正岡子規
鳥寒し生駒につゞく春の水 移竹
鳴る處見つけて春の水鳴れり 高澤良一 ぱらりとせ
あふれんとして春水は城映す 今瀬剛一
うしろより見る春水の去りゆくを 山口誓子(1901-94)
おのが影置き春水を暗くせり きくちつねこ
かりそめに春水の翳生れては消ゆ 高澤良一 素抱
さゝながれ春水として畦に浸む 及川貞 夕焼
さゞめきてこそ春水といふべけれ 高橋潤
なめらかに絖の春水岩すべり 福田蓼汀 秋風挽歌
ひとりなれば佇つこと多し春水に 桂 信子
ふりむきて見し春水のよき流れ 高木晴子 晴居
みなかみに人住み春水濁りけり 前田普羅 能登蒼し
一桶の春水時す魚の棚 水巴
体内もほぼ春水となりにけり 鳥居おさむ
何の木か梢揃へけり明の春 水巴
家あり一つ春風春水の真中に 夏目漱石 明治二十九年
山を出て来し春水のすべり易 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
座をかへて春水の音かはりけり 大橋櫻坡子 雨月
押し合ふといふ春水の高さあり 石田勝彦 秋興
日当りて春水浅く流れけり 五十嵐播水 播水句集
旧山河春水さばく杭一つ 百合山羽公 寒雁
昃れば春水の心あともどり 立子
春水といふべく寒し立ち去りぬ 高濱年尾 年尾句集
春水といふ輝きに不足なし 高澤良一 寒暑
春水となりて流転の始まれり 岡本まち子
春水となるコンクリートの岸浸けて 静塔
春水と行くを止むれば流れ去る 誓子
春水と見しも日のあるうちのこと 高濱年尾
春水にありとあらゆる小魚かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
春水にうつりて飛べる煙かな 比叡 野村泊月
春水にうつれる椿樹を高み 高橋淡路女 梶の葉
春水にけはしき心もて立てり 鳥羽紀子
春水にことば光りてゐたりけり 仙田洋子 雲は王冠
春水にさゞ波立つは日高散る 篠田悌二郎
春水にすつぽりうつる藁屋かな 橋本鶏二 年輪
春水にするどき波の立てるかな 岸本尚毅 選集「氷」
春水にのこれる橋のかかりをり 京極杞陽 くくたち下巻
春水にひらく小窓のありてよき 高木晴子 晴居
春水にふるへうつれる杭ぜかな 高橋淡路女 梶の葉
春水に下りて仰ぎぬ鷹ケ峰 五十嵐播水 播水句集
春水に下りる柴の戸開きにけり 五十嵐播水 播水句集
春水に塵捨てゝ住む二三軒 清原枴童
春水に帆あげしごとく麩が走る 横山白虹
春水に日輪をとりおとしけり 野見山朱鳥
春水に棹をしわめし渡舟かな 松藤夏山 夏山句集
春水に河馬のうたた寝四六時中 高澤良一 寒暑
春水に洗へば鳴海しぼりかな 野見山朱鳥
春水に浮くものゝ影花の形 右城暮石 上下
春水に浮べるボートおよそ百 宮下翠舟
春水に浮べる毬をとらんとて 比叡 野村泊月
春水に浸り靡かん狷介なり 香西照雄 素心
春水に淡きわが影おきにけり 柴田白葉女 『月の笛』
春水に溺れきつたる芦根かな 松村蒼石 春霰
春水に臨む茶房に寄つてみよか 京極杞陽
春水に苔漂はせ揺らぐ森 下村ひろし 西陲集
春水に落ちてつつたつ松葉あり 五十嵐播水 埠頭
春水に袂かゝへてかゞみもし 久保田万太郎 草の丈
春水に逆まに立ち去りにけり 上野泰 佐介
春水に食用蛙漆ぐろ 松村蒼石 寒鶯抄
春水に髑髏となりて映りけり 仙田洋子 橋のあなたに
春水に鵞鳥胸より入らんとす 田中朗々
春水のあるひはながれいそぎけり 久保田万太郎 草の丈
春水のおもむろに堰あふれけり 長倉閑山
春水のかなでそめつゝ紙漉けり 高濱年尾 年尾句集
春水のくらきに映る城櫓 京極杞陽 くくたち下巻
春水のそこひは見えず櫛沈め 鷹女
春水のただただ寄せぬかへすなき 中村汀女
春水のほとりの石に植木鉢 比叡 野村泊月
春水のみちにあふれてゐるところ 久保田万太郎 草の丈
春水の上いく筋も蝶の道 湯浅桃邑
春水の上の障子のあきにけり 比叡 野村泊月
春水の中の虫螻姑皆可愛 川端茅舎
春水の噴き出る岩の裂目かな 比叡 野村泊月
春水の堰の上なる渉り石 比叡 野村泊月
春水の大鏡ある木の間かな 松本たかし
春水の平らか心平らかに 高野素十
春水の底の蠢動又蠢動 川端茅舎
春水の底より水輪生まれ来る 藤井 俊一
春水の底明るみて生くるもの 雷子
春水の庭を巡りて京の宿 武原はん女
春水の影も手を組む恋人ら 林翔
春水の日向に出でて網目状 高澤良一 鳩信
春水の暮れつつネオンとらへつつ 亀井糸游
春水の杭きれぎれに影放す 佐々木六戈
春水の水琴窟の音となる 山下美典
春水の油も塵も河の幅 汀女
春水の流れはやくて従きゆけず 山口波津女 良人
春水の流れは池に風さそふ 高木晴子 花 季
春水の浮き上り見ゆ木の間かな 松本たかし
春水の盥に鯉の*あぎとふかな 正岡子規
春水の眠りを覚ます石投げて 西東三鬼
春水の筧に入りて音すなり 槐太
春水の絶えずゆれゐる座敷かな 比叡 野村泊月
春水の縦横城内村といふ 高濱年尾 年尾句集
春水の縮緬皺や北風添へば 栗生純夫 科野路
春水の落つるをはさみ二タ座敷 松本たかし
春水の辺の石にこそ憩ふべく 高濱年尾 年尾句集
春水の隅にうつれる桜かな 上野泰 春潮
春水の音あるところ人佇てり 高濱年尾 年尾句集
春水の音無川の片ながれ 楠目橙黄子 橙圃
春水の高き舳が真向ひ来 中村汀女
春水の魚紋ほどけて鯉となる 橋本鶏二
春水の鰉召さるゝ帝かな 野村喜舟 小石川
春水の鳴り流るるを子に跳ばす 細見綾子 花寂び
春水はあしびの花のほとりゆく 松藤夏山 夏山句集
春水へ舟来日輪下敷きに 橋本鶏二
春水へ藪を負うたる草家かな 小杉余子 余子句選
春水やはしなく聞きし昼千鳥 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
春水やもつれほどける鯉の群 皿井旭川
春水ややすの柄青き童たち 木津柳芽
春水や四条五条の橋の下 蕪村
春水や夜高楼に上りけり 会津八一
春水や子を抛る真似しては止め 高浜虚子
春水や小魚ひらめくさゝ濁り 墨水句集 梅澤墨水
春水や岩をいなして通り過ぎ 上野泰 春潮
春水や幹のかたちをそれぞれに 井上雪
春水や日照雨の水輪二つ三つ 秋櫻子
春水や沈みをふせし鯉の影 楠目橙黄子 橙圃
春水や浮かせ木踏んで木工頭 比叡 野村泊月
春水や瀬石こえては深窪み 八木林之介 青霞集
春水や皇子にゆかりの吾嬬橋 鈴鹿野風呂 浜木綿
春水や肥をかついでかちわたる 小原菁々子
春水や船べりあゆむ太踵 楠目橙黄子 橙圃
春水や苔のついたる生簀箱 楠目橙黄子 橙圃
春水や草をひたして一二寸 夏目漱石 大正三年
春水や蛇籠の目より源五郎 高野素十
春水や轟々とし菖蒲の芽 高浜虚子
春水や重なり泳ぐ鯉の数 楠目橙黄子 橙圃
春水や録音マイク斜め持ち 松山足羽
春水や閑々として鳥二つ 雉子郎句集 石島雉子郎
春水や魚に親しく枝の禽 尾崎迷堂 孤輪
春水や黎明飛べる蜂の王 碧雲居句集 大谷碧雲居
春水をかちわたりしが柴がくれ 五十嵐播水 播水句集
春水をくぼめて雨の糸沈む 塙告冬
春水をささげつ川の流れゆく 折井眞琴
春水をせせらぐやうにしつらへし 高浜虚子
春水をたゝけばいたく窪むなり 高浜虚子
春水をへだてゝうつす写真かな 比叡 野村泊月
春水をむすぶと眼鏡石に置く 榎本冬一郎 眼光
春水をめぐりて竹の手摺かな 比叡 野村泊月
春水をめぐりて逢ふや橋の上 比叡 野村泊月
春水を一擲の後鯉沈む 山本歩禅
春水を上りし鶴の羽ばたける 星野立子
春水を傍へに使ふ鉋かな 石田勝彦 秋興
春水を手提げて重し魚を含む 草田男
春水を押しくぼまして風が吹く 阿部みどり女(1886-1980)
春水を指ざし居るや窓の人 比叡 野村泊月
春水を渉らんとして手をつなぐ 野村泊月
春水を渉りて到る扉かな 比叡 野村泊月
春水を渉りて袴ぬらしけり 比叡 野村泊月
春水を渉る向うに窓の人 比叡 野村泊月
春水を跨いでつゞく竹の垣 比叡 野村泊月
春水を踰る女を疎み待つ 清水基吉 寒蕭々
春水を離り春山を越えざりき 松原地蔵尊
春水一荷滴一滴もこぼさじと 栗生純夫 科野路
春水湧く人来てそこを掘り始む 安東次男 裏山
暁の春水よよとわれを過ぐ 原裕 葦牙
書を蔵す春水の豊かなるがごと 大木格次郎
歳月や微笑のごとき春水輪 山田みづえ
母癒えよ消えては生れる春水輪 渡辺恭子
沢にして迅き春水の流れけり 大橋櫻坡子 雨月
流れつつ春水の帯巌のうへ 橋本鶏二 年輪
渦をとき春水としてゆたかなる 林火
湯壷より高く春水躍りつゝ 山口青邨
滝壺を経て春水のいまは自適 鈴木栄子
父として子の髪を愛づ春水輪 有働亨 汐路
父と子と春水を跳ぶ竹撓はせ 石川桂郎 含羞
獨鈷より春水を撒き散らしけり 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
瓢亭の春水にとりまかれをり 下田実花
田の溝に鳴る春水とこそおもひ 石川桂郎 四温
立子病む春水の句の忘れめや 峠
竹の春水きらめきて流れけり 成瀬櫻桃子
羊群去る春水ながれ行くごとく 大串章
美しき春水にして深からず 成瀬桜桃子 風色
舁きゆくや春水垂るゝ四つ手網 大場白水郎 散木集
若やぐや息の童子も今朝は春 水哉 選集「板東太郎」
華蔵寺の春水の白湯まろやかに 西本一都
藻がなびき春水たるをためらへる 坂本山秀朗
誰も来ぬ春水の辺にわれ憩ふ 高浜年尾
走り来し子に春水の汀石 中村汀女
踊りゐて春水に身を映しけり 仙田洋子 橋のあなたに
道坂になり春水は離れ行き 上野泰 佐介
道浸す春水幾度渡りけん 松藤夏山 夏山句集
鍵かけし井に春水の滾ぎる音 栗生純夫 科野路
風少し出て春水に情あり 阿部みどり女 笹鳴
鯉の口出て春水の濁りけり 辻桃子
或る水の春を行く在り池の中 永田耕衣 殺佛
我影に家鴨寄り来ぬ水の春 臼田亞浪 定本亜浪句集
おもしろや水の春とは引板の音 園女 俳諧撰集玉藻集
地の春に水の絶景はじまりぬ 中村苑子


以上
by 575fudemakase | 2014-03-01 10:16 | 春の季語 | Trackback


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by 575fudemakase

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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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