人気ブログランキング | 話題のタグを見る

浅蜊

浅蜊

例句を挙げる。

あどけなき浅蜊も見逃さぬこころ 櫂未知子 蒙古斑
ぎしぎしの穂の立ち錆びし浅蜊掘り 遠藤梧逸
ことごとく浅蜊舌だすおぼろかな 柴田白葉女 『月の笛』
この曲の記憶のありて浅蜊汁 上窪則子
この辺と腰を下ろして浅蜊掘る 高澤良一 素抱
ちらつく雪浅蜊掻きても籠に満たず 小林康治 玄霜
をとこ立ちをんな屈める浅蜊舟 鍵和田[のり]子
ジーパンをたくしあげては浅蜊掻く 高澤良一 さざなみやっこ
バレンタインデー浅蜊が舌を出してをり 大森理恵
三月風吹く浅蜊を水に沈める 人間を彫る 大橋裸木
世話物の一幕に出る浅蜊売り 村上洋子
二三箇所試し掘りして浅蜊掘 高澤良一 素抱
五ツ六ツ面目の立つ大浅蜊 高澤良一 素抱
人様(ひとさま)の馬穴覗くは浅蜊の多寡 高澤良一 素抱
今朝秋のわづかの浅蜊洗ふ音 岡田 和子
傘さして浅蜊掘り居る女かな 比叡 野村泊月
凝視して浅蜊に水を掛けらるる 須川洋子
厨房に浅蜊のぞめきうしみつ時 高澤良一 素抱
口開かぬ浅蜊ごときは天の邪鬼 北見さとる
台風裡浅蜊に砂を吐かせをり 大串章 百鳥 以後
唇見せて浅蜊の殻は割れてあり 日原 傅
地震すぎて歯軋りのごと浅蜊磨ぐ 横山房子
夏隣る浅蜊の舌の餌痺れに 内田百間
夕日だるし浅蜊を量る音こぼれ 松村蒼石
大椀に三河の浅蜊朝ぐもり 皆吉爽雨
大浅蜊ほうらと気宇を吐き出せり 坊城 俊樹
妻と浅蜊は厨に泣きぬ明やすし 石原八束 空の渚
島人の呉れし浅蜊の呟けり 大串 章
引く潮にしたがひ浅蜊掘り進む 小野華泉
引越荷積みたる中の浅蜊汁 八牧美喜子
強風報浅蜊水吹き床濡らす 桜井博道 海上
手つかずの浅蜊掘り場の無きものか 高澤良一 素抱
手応えは浅蜊の嵩を上まはり 高澤良一 素抱
掬ふたび同じ音たて浅蜊売 小山祐司
掻き当ててゴッと鳴れるや鬼浅蜊 高澤良一 寒暑
新婚が祖父をもてなす浅蜊汁 伊藤トキノ
明烏浅蜊蛤目覚めよと 渡辺恭子
昼寝子の浅蜊の如きこゑ洩らす 高澤良一 素抱
曲目は何ぞ浅蜊の管楽器 高澤良一 寒暑
月さびて露が降る夜の浅蜊汁 廣江八重櫻
朝日真向浅蜊屋の声頭を越え行く 岩田昌寿 地の塩
杭頭掴んで浅蜊舟あがる 石田勝彦 秋興
松籟をききもやひゐる浅蜊舟 大野林火
極月や蜆・浅蜊は地に置かれ 鈴木真砂女 夕螢
次郎長の国かとすする浅蜊汁 伊藤 翠
死せる誰彼浅蜊の唄に近すぎる 栗林千津
母と見し映画白黒浅蜊汁 井上宗雄
母の忌の浅蜊ちひさく鳴きにけり 永島理江子
水張つて浅蜊もわれも寝る時刻 都筑智子
沖を見て放心の態浅蜊掘 高澤良一 素抱
波少し入れて濯ぎぬ浅蜊籠 中岡 毅雄
泥の浅蜊よいま叫ばねば鬱血す 佐藤鬼房 海溝
浅蜊つぶやき独りぐらしは埓もなし 稲垣きくの 牡 丹
浅蜊とる波濤の裏にうづくまり 豊東 蘇人
浅蜊に水いつぱい張つて熟睡す 菖蒲あや 路 地
浅蜊の斑人別帳をはづされて 有馬朗人 耳順
浅蜊の殻に同じ柄なし個を重んず 田川飛旅子 『使徒の眼』
浅蜊の舌別の浅蜊の舌にさはり 小澤實(1956-)
浅蜊の身肥ゆ頃ほひぞ百重波 高澤良一 素抱
浅蜊の黙岩色砂色もたらせしに 香西照雄 対話
浅蜊はこぶ零るるものはみな浅蜊 堀米秋良
浅蜊ほる母とほし白帆母の背に 秋元不死男
浅蜊らの小田原評定アルミ鍋 高澤良一 寒暑
浅蜊らの管弦楽団鍋の底 高澤良一 寒暑
浅蜊剥くことして日日を疑はず 遠藤梧逸
浅蜊剥く母毛糸編む娘かな 川端茅舎
浅蜊呟きゐたり酔後の水飲めば 細川加賀 『傷痕』
浅蜊売とび込み路地の朝起す 菖蒲あや
浅蜊売り濡れ手をふって銭を受く 小俣襄一
浅蜊売童女の声が引き戻す 菖蒲あや
浅蜊居る證しそこここ砂ゑくぼ 高澤良一 素抱
浅蜊掘めぼしきものは乏しくて 高澤良一 素抱
浅蜊掘りし手がからからになりゐたり 高澤良一 素抱
浅蜊掘る人が動けば鷺動く 金久美智子
浅蜊掘る大潮小潮小潮の日 高澤良一 素抱
浅蜊掘る太平洋を股のぞき 津田清子
浅蜊掘吾れは干潟の南端を 高澤良一 寒暑
浅蜊掘腰を伸ばして一くぎり 高澤良一 寒暑
浅蜊掘道具倒れと云うがあり 高澤良一 素抱
浅蜊椀無数の過去が口開く 加藤楸邨(1905-93)
浅蜊汁坐る高さにありて海 石川文子
浅蜊汁朝は働く意志厚し 大塚茂敏
浅蜊汁殻ふれ合ふもひとりの餉 永方裕子
浅蜊汁洋燈臭しと思ひけり 久米正雄 返り花
浅蜊減る海のさざ波聞きゐたり 高澤良一 素抱
浅蜊煮てガラスの音す鰯雲 猪俣千代子 堆 朱
浅蜊煮て西日呑み込む佃島 町田しげき
浅蜊縞流行りの縞もありぬべし 高澤良一 素抱
浅蜊舟かへる水脈ひくみをつくし 石原八束
浅蜊舟真黒に塗られ雨をゆく 西村公鳳
浅蜊船ゆさりゆさりと戻りけり 野口文吾
浅蜊飯食べて祭に遠くゐる 伊藤いと子
浅蜊鳴かせ主人(あるじ)十年病み申す 赤城さかえ
浅蜊鳴き浅蜊の山をまろび落つ 白岩三郎
浅蜊鳴くむかしの人は胸に栖む 石原八束 『仮幻』
浅蜊鳴く会ふは別れの宿世とも 石原八束 『風霜記』
浅蜊鳴く言はねばならぬことありて 菅原さだを
海牛の頭上を跨ぎ浅蜊掘 高澤良一 素抱
漂泊も隠栖もゆめ浅蜊喰ふ 藤田湘子
潮たるる浅蜊を下げて見舞はるる 稲垣 由江
潮に先づ足を浸して浅蜊掘 高澤良一 随笑
潮先に掘りし浅蜊を洗ひては 藤木呂九艸
潮底のしかと手応へ浅蜊掻き 沢木欣一
白飯や今日はさかえ忌浅蜊汁 橋本夢道 無類の妻
石炭色の浅蜊洗つても洗つても 滝春一
砂を吐くことも気怠き日の浅蜊 高室有子
結婚記念日厨の浅蜊舌出して 斎藤五子
縞柄も粋に浅蜊の月日かな 高澤良一 素抱
美しき小石がひとつ浅蜊汁 光永峡関
翁忌や深川に食ぶ浅蜊飯 大橋敦子
老農に浅蜊水吐く四月かな 秋元不死男
背ナの子に太陽と海浅蜊掘る 上野泰 春潮
良き妻は母に似てをり浅蜊汁 今泉貞鳳
花冷や浅蜊歯軋る真闇 石塚友二
薔薇園を出でて市井の浅蜊買ふ 岸風三樓
蛤に劣る浅蜊や笊の中 高濱虚子
蜆は紫衣浅蜊は幇斗目着たりけり 柳川春葉 ひこはえ
蝕了へし真昼や浅蜊潮噴ける 羽田岳水
親子三人風邪声寄せて浅蜊汁 増田龍雨 龍雨句集
逝く春の浅蜊煮つめる火色かな 石川桂郎 四温
金曜日が好きで韮・鯖・浅蜊買ふ 正木ゆう子
雛祭浅蜊は管を足にして 高澤良一 素抱
雪にじむこぼれ浅蜊の茶絣に 林翔 和紙
雪降りしあとの寒さや浅蜊汁 増田龍雨 龍雨句集
雲バラ色浅蜊一皿買ふ頭上 牧野白嶺
電柱の傍に老いぬ浅蜊売 中沢妙子
露路の桜に雨そそぎ朝を来る浅蜊売 人間を彫る 大橋裸木
顔上げるたびの煙突浅蜊掘り 三浦汎司
風のあとの雨ばらばらと浅蜊売 中拓夫 愛鷹
馬刀貝や浅蜊の笊に五六本 松藤夏山 夏山句集
黙々と手を運ぶのみ浅蜊掘 高澤良一 寒暑
「あさり、しじみョォ」貧乏路地を起しにくる 橋本夢道
あさり、うっかり閉じ忘れた口をとじる 住宅顕信 未完成
手応えのこれは大きな縞あさり 高澤良一 素抱


以上
by 575fudemakase | 2014-03-25 07:06 | 春の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
未分類

以前の記事

2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...
魚屋三代目日記
My style

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

外山滋彦著「俳句的」の指摘し..
at 2024-03-28 07:13
山本覚馬
at 2024-03-28 05:53
【桜餅】といえばどっち派?全..
at 2024-03-27 05:17
あまおう」と「とちお...
at 2024-03-24 03:42
一茶 生きもの句帖 小学館文..
at 2024-03-18 13:28
シュリンクフレーションという..
at 2024-03-13 05:15
ザッピングzapping?き..
at 2024-03-11 01:51
書道 書・筆・墨・硯の俳句
at 2024-03-08 10:04
しょどう
at 2024-03-08 09:38
すずり
at 2024-03-08 09:35
筆の俳句
at 2024-03-08 09:26
墨の俳句
at 2024-03-08 09:04
書の俳句
at 2024-03-07 18:12
佐々木敏光句集 富士山麓・秋..
at 2024-03-07 05:49
山口昭男著 波多野爽波の百句..
at 2024-02-26 02:57
ザッピングzapping?
at 2024-02-24 00:32
私の俳句入門 大野林火編 有..
at 2024-02-21 01:39
茨木和生著 右城暮石の百句 ..
at 2024-02-20 03:20
季寄せを兼ねた 俳句手帖「春..
at 2024-02-11 18:17
我が家の梅 2024/02/..
at 2024-02-06 13:51

外部リンク

記事ランキング