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鵜飼

鵜飼

例句を挙げる。

くらやみは織部の世界鵜飼川 加藤春鼎
ぞろぞろと浪花女つれし鵜飼かな 飯田蛇笏 春蘭
つながれし筑紫次郎の鵜飼船 吉藤春美
なかなかに闇ととのはず鵜飼川 片山由美子 天弓
はやばやと檜山のもとに鵜飼待つ 京極杞陽 くくたち下巻
まず顔の浮きたつ鵜飼火をともす 今瀬剛一
ゆかた着の帯は錦繍鵜飼船 飯田蛇笏 春蘭
わがゆく道くらし鵜篝いま過ぎゆく 多佳子 (上の鵜飼)
上ミ鵜飼闇に鵜舟の一火過ぐ 近藤一鴻
二羽のみの昼の鵜飼や鵜は激す 藤田 宏
全長を嘴のごとくに鵜飼舟 八染藍子
原鶴は月ある夜も鵜飼舟 高濱年尾
同じ夢見しかに鵜飼終はりけり 藤田さち子
国盗の城をはるかに鵜飼待つ 樅山 茂
宵鵜飼果てし磧に雨そぼつ 内藤吐天
川風に肩おとしては鵜飼見る 萩原麦草 麦嵐
川風の舟や鵜飼へ反転す 小澤克己
布烏帽子鵜匠尖らす鵜飼前 松井利彦
広島忌近し見遺りて鵜飼の火 宮坂静生 春の鹿
愛鳥の週に繩取る初鵜飼 百合山羽公 寒雁
手松明走れば潜る徒鵜飼 森花文耶
新娶鵜飼の水も温めるや 石川桂郎 高蘆
施主の名の滲みし幟初弘法 鵜飼紫生
日暮れて山のちかづく鵜飼川 鈴木六林男
昼の川知らずいきなり鵜飼見る 山口波津女
柊挿すとつくに鬼の栖かな 鵜飼礼子
淋しさをもやひ真昼の鵜飼舟 加古宗也
満灯の踊り子船や鵜飼見る 高井北杜
畳上げ昼を舫ひし鵜飼船 河野頼人
神酒そそぎ川今宵より鵜飼川 松井利彦
篝火に影深めたる鵜飼かな 饗庭 洋
篝火の霧に暈もつ徒歩鵜飼 藤谷紫映
籠の鵜に鵜飼休みの雨しぶく 西村梛子
緑蔭の走り根に葬終へし人 鵜飼みね
羽根拡げ鵜飼終りし鵜が甘ゆ 右城暮石 上下
老なりし鵜飼ことしハ見えぬ哉 蕪村 夏之部 ■ 春泥舎會、東寺山吹にて有けるに
腕長の鵜飼の装に身を緊むる 橋本多佳子
見えを切る徒鵜飼の鵜掌に載つて 三好潤子
足半に脛をさびしく鵜飼舸子 石原舟月
足半も力抜くかに鵜飼終ふ 石川桂郎 高蘆
迅き流れを舟底に耐へ鵜飼待つ 津田清子 礼 拝
金華山軽雷北に鵜飼了ふ 飯田蛇笏 春蘭
雨にもゆる鵜飼が宿の蚊やりかな 蕪村遺稿 夏
雨急に鵜飼そこそこに終りけり 京極杞陽 くくたち下巻
飲食の箸流れくる鵜飼川 長田等
鵜の羽がながれて鵜飼はじまりし 萩原麦草 麦嵐
鵜供養の鵜飼装束そぞろ寒 岩島妙子
鵜飼い見し夜のわが首を撫でいたり 津沢マサ子 華蝕の海
鵜飼とは夜川の冷えを焼き焦がす 谷野予志
鵜飼どよみ掌中軽き一句帖 北野民夫
鵜飼の火川底見えて淋しけれ 鬼城
鵜飼の鵜アクアラングの足で立つ 山口誓子
鵜飼一生水の匂ひを陸に曳き 野澤節子 黄 炎
鵜飼名を勘作と申し哀れなり 漱石
鵜飼客雨鍋島も見えられし 松藤夏山 夏山句集
鵜飼宿くさぎの花の暗みなす 細見綾子
鵜飼川艪を練りこんで日ぐれ急 平井さち子 紅き栞
鵜飼待つ空のさざ波水浅葱 平賀扶人
鵜飼果つ余燼の艫に人か鵜か 皆吉爽雨 泉声
鵜飼果つ風に残りし火の匂ひ 坂手美保
鵜飼果てすべて影絵になりました 小堤香珠
鵜飼果て傘して風呂へ導かる 宮武寒々 朱卓
鵜飼果て少し欠けたる月のぼる 大橋敦子 匂 玉
鵜飼果て月代のある山残し 星野立子
鵜飼火に燃えてはたらく白髪かな 立花北枝
鵜飼火の遠ざかりゆく火色かな 宮坂静生 春の鹿
鵜飼火や魚の心も夏のむし 立花北枝
鵜飼舟過ぎたる後は風世界 今瀬剛一
鵜飼見て盆帷子の濡るゝこと 萩原麦草 麦嵐
鵜飼見の舟に舟寄せ商へる 林 富佐子
鵜飼見の酒樽に凭り酌みそめぬ 飯田蛇笏 春蘭
鵜飼見る今宵のための宿なりし 稲畑汀子
鵜飼見る舟「船徳」の竿づかひ 辻田克巳
鵜馴らしややがて鵜飼となる川に 高浜年尾
あかあかと鵜匠は夜の漢かな 旭蝸牛
あかつきの焚火をまたぐ鵜匠かな 葛三
あはれ鵜を使いて見せよ鵜匠たち 長谷川零余子
うき草に硯洗へり鵜匠の子 飯田蛇笏 山廬集
うつくしき雨おちて来し鵜舟かな 萩原麦草 麦嵐
うんもすんも言はぬ鵜匠の子を生せり 後藤綾子
おもしろうてやがてかなしき鵜舟哉 松尾芭蕉
こめかみで耐える鵜篝五つの闇 稲葉直
さし入りて西日さみしき鵜籠かな 石原舟月 山鵲
つかれ鵜のこゑごゑ鵜匠きゝわけて 橋本多佳子
つながれし鵜舟ゆるるや昼の月 水木 鈴子
ながれ出て舳のふりかわる鵜舟かな 飯田蛇笏 霊芝
ながれ藻にみよし影澄む鵜舟かな 飯田蛇笏 霊芝
ひろがれるさきの鵜舟の篝屑 鈴鹿野風呂 浜木綿
ふなばたの湿り鵜舟の出を待てり 高澤良一 ぱらりとせ
ほう~と瀬を落つ鵜舟大揺れに 佐野青陽人 天の川
もと力士花車今老鵜匠 伊藤柏翠
やうやくに紛ふかたなき鵜舟の灯 吉屋信子
わがゆく道くらし鵜篝いま過ぎゆく 多佳子 (上の鵜飼)
一語らひ声もらしつつ夜の鵜籠 野澤節子 黄 炎
一里先きの鵜舟明りやビール上ぐ 佐野青陽人 天の川
上ミ鵜飼闇に鵜舟の一火過ぐ 近藤一鴻
下り来る鵜舟の篝まだ小さく 高木晴子 晴居
下流より見る鵜篝は太古の火 松井利彦
並べある鵜籠をわたる蝶々かな 松藤夏山 夏山句集
五月闇蓑に火のつく鵜舟かな 許六
五橋てふ酒をたゝへて鵜舟かな 飴山實 『次の花』
今逢うて別るゝ鵜匠なつかしき 大谷句佛 我は我
個個にして鵜籠の内やなまぐさし 石川桂郎 高蘆
円陣をつくり燃えくる鵜舟かな 京極杞陽 くくたち下巻
切火して鵜舟々々の送らるる 京極杞陽
刻も吾もあやつられゐし鵜舟去りぬ 鍵和田[ゆう]子 浮標
向き変ふるとき鵜篝の岸照らす 岸風三樓
吹き煽つ篝に鵜匠かゝはらず 鈴鹿野風呂 浜木綿
城の月のぼり鵜匠の迎へ舟 島田万紀子
城山の真下の闇を鵜舟過ぐ 松井利彦
夏帯に彼の鵜篝を描きたり 後藤夜半 翠黛
夕影を待てるがごとき鵜籠かな 後藤夜半
夜やいつの長良の鵜舟會て見し 蕪村遺稿 夏
天井に干鮎吊るし鵜匠宿 小原菁々子
夫送る三ツ燧を切りて鵜匠妻 松井利彦
宇治川の風手枕に鵜舟待つ 北見さとる
宝石の指を浸して鵜舟待つ 長田等
家に西日鵜匠もろとも田楽刺し 橋本多佳子
山の月鵜舟の細身照らすなり 吉野義子
山の端の月や鵜舟の片明り 井上井月
巌が根をこがしてはゆく鵜船かな 原石鼎 花影以後
川で消す鵜篝鉄も燃えゐるを 松井利彦
川上の空まづ焦げて鵜舟かな 籾山梓月
川端に鵜籠洗ふも年用意 藤井智子
布烏帽子鵜匠尖らす鵜飼前 松井利彦
帰りきし鵜舟を洗ふ星月夜 松岡英士
常に乗る鵜匠達にも熱(あつ)火の粉 山口誓子 方位
年のころ五十路あまりの鵜匠かな 高橋淡路女 梶の葉
幽火戸にもゆる夏野の鵜匠かな 飯田蛇笏 山廬集
影さして舟の鵜籠や蘆枯るゝ 飯田蛇笏 霊芝
急流の縞と鵜舟の炎かな 京極杞陽 くくたち下巻
手繩干す鵜匠の庭や樟若葉 園島十雨
日の暮の暗き鵜籠を覗き見る 岩田由美 夏安
早瀬ゆく鵜舟に闇のまとひつく 柴田奈美
昼の鵜や鵜匠頭の指ついばみ 西東三鬼
昼は子が鵜匠の真似をして遊ぶ 比奈夫
昼月や白木の鵜舟白緒結ひ 吉野義子
暁や鵜籠に眠る鵜の労れ 子規句集 虚子・碧梧桐選
月光のしたゝりかゝる鵜籠かな 飯田蛇笏
月出て手縄もつるゝ鵜舟かな 鳴鳳
月刎ぬる鵜舟の棹の素早さに 赤松[けい]子 白毫
月明の鵜匠の家の鵜も眠る 長田等
月見草花をあらたに鵜舟並む 石原舟月 山鵲
月読の国の鵜舟となりにけり 岡井省二
松風に干し重ねたる鵜籠かな 山西雅子
柳鮠吐いて淋しき鵜舟かな 萩原麦草 麦嵐
櫂さして置きならべある鵜籠かな 五十嵐播水 埠頭
櫂をもて荷ひ運びの鵜籠かな 松藤夏山 夏山句集
濁水が鳴る一瞬の鵜舟過ぎ 石川桂郎 高蘆
瀬に乗りて鵜篝が火を撒き散らす 松井利彦
瀬に据ゑて鵜舟の枯れの始まりぬ 関戸靖子
火の粉吐き突つ立つ鵜匠はたらく鵜 西東三鬼
烏帽子着て若き鵜匠の真顔なる 鈴鹿野風呂 浜木綿
焚き添ふる鵜篝薪を以て叩く 高濱年尾 年尾句集
煤けたる鵜匠が顔や朝朗 桃隣
父祖よりの鵜籠を継ぎて匠老ゆ つじ加代子
片白草式部職なる鵜匠の家 田中英子
甘え鵜に鵜匠や鬚のやさしかり 石川桂郎 高蘆
白日に据ゑて烟れる鵜籠かな 中島月笠 月笠句集
眠る鵜に鵜籠置場の軒浅し 石川桂郎 高蘆
竃火や餌飼ひ大事の鵜匠ゐて 石川桂郎 高蘆
竹割つて鵜籠つくろふ十二月 栗田やすし
箸持ちて鵜籠を覗く宵月夜 朱廸 五 月 月別句集「韻塞」
篝火におもて静けき鵜匠かな 橙圃 楠目橙黄子
篝火に影絵のごとき鵜匠かな 金久白楊
篝火に鵜匠の面輪静かなる 高橋淡路女 梶の葉
篝火の鵜匠の齢照らし出す 八染藍子
細道に篝こぼるる鵜舟かな 許六
縄さばきつゝ鵜篝を焚き継げり 上條 筑子
繋がるる鵜舟細身よ月見草 冨田みのる
繋りゐて鵜舟は鵜舟同士なる 大橋はじめ
舟上り鵜匠のたゝむ烏帽子かな 高橋淡路女 梶の葉
舳を並めて山影乱す鵜舟かな 雑草 長谷川零餘子
舷を叩いて鵜舟遠ざかる 楠目橙黄子 橙圃
荒き鵜のひつぱる鵜舟さかのぼり 細川加賀 生身魂
葬の火の渚につづく鵜舟かな 内藤丈草
衣かつぐ誰そ草やみや鵜舟去る 飯田蛇笏 山廬集
赤き火の闇より現るる鵜舟かな 坂井建
走馬燈はやし鵜篝暗くなる 内藤吐天 鳴海抄
踊舟二度も通りて鵜舟来る 田村了咲
遊船のたてこむ中の鵜舟かな 比叡 野村泊月
酒にある月の出汐の鵜舟かな 尾崎紅葉
鍛冶の火も筋に曇る鵜舟かな ぶん村 五 月 月別句集「韻塞」
闇ながら夜雨のきらめき鵜舟去る 鍵和田[ゆう]子 浮標
雨の夜の一つとなりし鵜船かな 雑草 長谷川零餘子
雨の日の鵜舟の屯ろ宿の下 鈴鹿野風呂 浜木綿
面白うてやがて悲しき鵜舟哉 芭 蕉
音もなく来し鵜船かな篝濃し 八木三日女 赤い地図
頭より鵜籠の中へ放たれし 伊藤敬子
頸たたき荒鵜なだめる鵜匠にて 中村明子
高きより先をあらそひ鵜舟の火 長田等
鮎食うて生臭き口鵜舟待つ 野澤節子 黄 炎
鵜のやさしさ鵜匠の腰の蓑を噛む 誓子
鵜の一生鵜匠の一生遡り 黒田杏子 花下草上
鵜の休みゐる間に鵜匠淦汲める 桑田青虎
鵜は籠に鵜篝の鋼火の曲げて 石川桂郎 高蘆
鵜を入れしまま干してある鵜籠かな 長谷川櫂 天球
鵜を抱きて鵜匠の話つづきけり 内田二三子
鵜を統べて長良鵜匠は連理の族 松井利彦
鵜匠とは鵜に似せたるや似てをるや 稲岡長
鵜匠や鵜を遊する草の花 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
鵜匠より金色の鮎抛げもらふ 西本一都 景色
鵜篝に水面の仔細移りつゝ 稲畑汀子
鵜篝に滝作し落つる灯虫あり 京極杞陽 くくたち下巻
鵜篝に照らし出されし川楊 京極杞陽 くくたち下巻
鵜篝に虚仮の世間ぞ面白き 筑紫磐井 婆伽梵
鵜篝のおとろへて曳くけむりかな 飯田蛇笏
鵜篝のはるか上まで灯のなき山 横山白虹
鵜篝のひとつ点るや隠れ里 小林葭竹
鵜篝のほめき覚えて尾ける舟 鈴鹿野風呂 浜木綿
鵜篝のわが前に来て火の粉ふく 塚原幾久
鵜篝の今年最後の火が過ぐる 長田等
鵜篝の去りたる闇の水匂ふ 山田弘子 螢川
鵜篝の岩隠れたるあたりかな 京極杞陽 くくたち上巻
鵜篝の早瀬を過ぐる大炎上 山口誓子(1901-94)
鵜篝の流れ流るゝ焔かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
鵜篝の火の弾けつつ近づき来 清崎敏郎
鵜篝の火を毟る水流れつつ 石川桂郎 高蘆
鵜篝の火入れは修羅の始めとも 杉山青風
鵜篝の火屑瀬水にしばし消えず 内藤吐天
鵜篝の火種そだてつ夕河原 原 柯城
鵜篝の炎狂ひて擦れ違ふ 殿村菟絲子
鵜篝の煙隠れの焔かな 京極杞陽 くくたち下巻
鵜篝の百の緋文字をしたたらす 加藤耕子
鵜篝の美しき修羅滑りくる 正木ゆう子
鵜篝の芯より火の粉はしり出づ 岸貞男
鵜篝の走れば水も燃え激つ 殿村菟絲子
鵜篝の靡けて映る巾ひろく 京極杞陽
鵜篝は昨夜のまぼろし水澄める 鍵和田[ゆう]子 浮標
鵜篝は靡きてすゝむ幡なして 山口誓子 方位
鵜篝へ風の炎の加はれり 山崎千枝子
鵜篝も鵜ごゑもうつつ総がらみ 西村公鳳
鵜篝やいのちあかあか人も鵜も 鍵和田[ゆう]子 浮標
鵜篝や月の山蔭山蔭に 鈴木花蓑句集
鵜篝や殺生図絵のかぐはしく 桂子
鵜篝や水面に弾む火のしづく 平井さち子 紅き栞
鵜篝や鵜の羽ばたきのしぶき浴ぶ 今牧茘枝
鵜篝よ我が船端は怺へつつ 沼尻巳津子
鵜篝をいでてながるる火の粉かな 京極杞陽 くくたち上巻
鵜篝を待つ間よ何を考へし 細見綾子 黄 炎
鵜篝を荒鵜は逃ぐるとも見ゆる 細川加賀 生身魂
鵜篝消す一気火の音水の音 中村明子
鵜籠の鵜コウと声あげ祓はるる 河本好恵
鵜籠舁きひと大股に土手を来る 加藤耕子
鵜縄無く鵜匠は竿を振り躍る 大場白水郎 散木集
鵜舟から日暮れ広がるやうすかな 一茶
鵜舟くる火明りの峰をかさねつゝ 皆吉爽雨
鵜舟にてぷえるとりこの生れかな 松澤昭 面白
鵜舟に在りわが身の火の粉うちはらひ 橋本多佳子
鵜舟の床こたびも美酒と朗友と 中村草田男
鵜舟去る寶満宮の暗闇に 橋本鶏二
鵜舟待つ橋の袂に時計店 川崎展宏
鵜舟待つ残照の膝忘れをり 石川桂郎 高蘆
鵜舟曳く身を折り曲げて雇われて 西東三鬼
鶏頭にかつぎ据ゑたる鵜籠かな 比叡 野村泊月
かをかをと疲れ鵜鵜綱ひきずつて 橋本多佳子
けだものとなりて餌を趁ふ荒鵜かな 佐野青陽人 天の川
すて舟にひとり濡れゐる荒鵜かな 中勘助
たぐらるゝ荒鵜は右往左往かな 埜村成行
たぐられていよよ荒鵜となりにけり 吉田鴻司
てつぺんに火の地獄ある荒鵜かな 細川加賀 生身魂
三伏の月の穢に鳴く荒鵜かな 飯田蛇笏(1885-1962)
上手ほど罪おそろしき鵜縄哉 多少
世わたりや鵜縄の上も十二筋 松岡青蘿
六月の波照りに鳴く荒鵜かな 松村蒼石 露
六本の鵜縄一本怠け縄 今瀬剛一
十二鵜の玉の緒つなぐ鵜縄かな 渡辺恭子
午過ぎの磧に干せる鵜縄かな 飯田蛇笏 霊芝
卯の花や鵜縄にぬるゝ家の内 松瀬青々
叱られて又疲れ鵜の入りにけり 一茶
声かけて鵜縄をさばく早瀬かな 涼菟
夜は別の貌して鵜縄つかひをり つじ加代子
川風や鵜縄つくらふ小手の上に 高井几董
潜きても鵜縄のうちの自由とは 稲岡長
火の波に透きて潜れる荒鵜かな 野見山朱鳥
疲れ鵜に川が束ねてありしかな 関戸靖子
疲れ鵜に水面の篝奈落なる 奥抜良人
疲れ鵜に水面を均らす夜空かな 渋谷道
疲れ鵜に闇を落ちゆく水のこゑ 岬木綿子
疲れ鵜のあやまたず乗る己が籠 下田稔
疲れ鵜のいつまで仰ぐ天の闇 関戸靖子
疲れ鵜のせうことなしの羽ひろげ 鷹羽狩行 七草
疲れ鵜のなほ碧眼を失なはず 佐藤直子
疲れ鵜のなほ船ばたに気を配り 今泉貞鳳
疲れ鵜のひたひた歩く足音かな 中村明子
疲れ鵜のまたふなべりを踏みはづし 杉原史耕
疲れ鵜の互に嘴をかみ合はす 伊藤敬子
疲れ鵜の啼けば口中火の如し 八染藍子
疲れ鵜の嘴こじあけて餌を与ふ 棚山波朗
疲れ鵜の川見てゐしが振り向きぬ 関戸靖子
疲れ鵜の引上ざまに羽ばたける 鈴鹿野風呂 浜木綿
疲れ鵜の投げ餌を落とす舳先かな 後藤ひさし
疲れ鵜の水面眺めてゐたりけり 小島和江
疲れ鵜の漆黒を大抱へにし 細見綾子 黄 炎
疲れ鵜の瑠璃の泪目なせりけり 石川桂郎 高蘆
疲れ鵜の眼のある時は媚に似て 永井龍男
疲れ鵜の石にのりたり石となり 遠藤信子
疲れ鵜の石も濡らさず籠に入る 中村明子
疲れ鵜の籠しつとりと地を濡らす 加藤三七子
疲れ鵜の羽ばたきひとつ鳥屋の口 棚橋洋子
疲れ鵜の舷打つて上げらるる 細川加賀 生身魂
疲れ鵜の首はもつべき長さかな 今瀬剛一
疲れ鵜の鵜縄たるむをゆるさざる 岸田稚魚 『萩供養』
疲れ鵜の鵜縄ゆるめば啼きにけり 鷲谷七菜子 天鼓
疲れ鵜は籠に一声吐きにけり 佐藤美恵子
疲れ鵜を労はる己が指噛ませ 栗田やすし
疲鵜にいつまで水の修羅場かな 木村寿秀
疲鵜に指をかませて鵜匠かな 長谷川素逝
疲鵜のひらきてはとづ眼かな 岡田耿陽
疲鵜の細きうなじを並べけり 長谷川素逝
白雨去り鵜縄いよいよ緊りけり 近藤一鴻
眠り鵜のよべの疲れを残しける 冨田みのる
篝火に憑かれて狂ふ荒鵜かな 佐野青陽人 天の川
篝火に早瀬の荒鵜浮かび起ち 高井北杜
篝火や荒鵜を叱る眼の光 子規句集 虚子・碧梧桐選
篝火や鵜縄沈みて底浅く 雑草 長谷川零餘子
篝焚く左手鵜縄のいとまかな 大谷句佛 我は我
籠の蓋嘴打ちやまぬ荒鵜かな 岡田耿陽
舟梁の月に荒鵜を納めけり 雑草 長谷川零餘子
舟行の水脈の乱れの荒鵜かな 『定本石橋秀野句文集』
草の線荒鵜そこまで飛びのぼらず 林原耒井 蜩
荒鵜のうしろに海の横たはる 原裕 葦牙
蓑笠も荒鵜つかひや川おろし 李由 五 月 月別句集「韻塞」
血まなこの荒鵜に爆ぜる篝かな 高井北杜
責暗し鵜縄返って群烏 調和 選集「板東太郎」
通し鵜と十二鵜縄と疲れけり 石川桂郎 高蘆
頸たたき荒鵜なだめる鵜匠にて 中村明子
首結ひに枷の荒鵜の瀬越し舟 野澤節子 黄 炎
鵜仕舞の荒鵜の重き羽音かな 中尾杏子
鵜篝を荒鵜は逃ぐるとも見ゆる 細川加賀 生身魂
鵜縄さばきに双子あゆます水ほとり 文挟夫佐恵 遠い橋
鵜縄無く鵜匠は竿を振り躍る 大場白水郎 散木集

以上
by 575fudemakase | 2014-05-11 10:13 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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