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朴の花

朴の花

例句を挙げる。

あな青き女帝の山河朴の花 野見山朱鳥
いちめんに郭公の雨や朴の花 渡邊水巴 富士
たまゆらに朴の花散る夏断かな 三谷露外
のぼり来し息とゝのふる朴の花 大橋敦子
ゆく水に朴の落葉の乗りしとき 藤田湘子 去来の花
わが死後の青空ならむ朴の花 石嶌岳
ケーブルの一揺れ朴の花越ゆる 谷口東人
三つ咲いて空を占めたる朴の花 岸田稚魚
前山にまぎれもあらず朴の花 石川桂郎 高蘆
北辰の直下にしとど朴の花 宇多喜代子
咲かむとす涙の壺の朴の花 佐藤美恵子
墨の香も朴の花香も楸邨忌 井浪立葉
壷にして深山の朴の花ひらく 水原秋櫻子
夕栄もなく谿暮れぬ朴の花 篠田悌二郎
夕空のいまが火の時朴の花 永田耕一郎
夕風となりたるころの朴の花 飴山實 『花浴び』以後
夜行バス明けそめ朴の花白し 大島民郎
大雷雨やりすごしたる朴の花 大橋敦子
天にある風の奔流朴の花 大岳水一路
天までのきざはしとして朴の花 佐藤美恵子
天上の妻への手紙朴の花 大嶽青児
天涯に雲の扉ひらく朴の花 野中亮介
天空へ自讃の朴の花を放ち 宇多喜代子
太陽にもつとも近く朴の花 下村梅子
女人合掌解くごと朴の花ひらく 猿橋統流子
子のために握飯は火どれ朴の花 下村槐太 天涯
安曇野は水鳴りとほす朴の花 猪俣千代子 堆 朱
宝髻のとうにくづれし朴の花 吉田紫乃
山に来る夕闇蒼し朴の花 長谷川翠
山また山霽また雨や朴の花 林翔 和紙
山刃伐の雨荒々し朴の花 石川文子
山峡の二里の往診朴の花 松尾白汀
山彦は湖に出てゆく朴の花 長田等
山路急なるとき朴の花匂ふ 高木石子
山鳩の羽摶つしづけさ朴の花 石田あき子 見舞籠
岨道の高くかかれる朴の花 富安風生
岨高く雨雲ゆくや朴の花 水原秋櫻子
峠の名空と伝へて朴の花 南 うみを
影ふみの影を匿い朴の花 渋谷道
徐々にさす雨後の月光朴の花 吉井莫生
愛鷹と富士なだれ合ふ朴の花 羽部洞然
手折り来し朴の花さす山の宿 楠目橙黄子 橙圃
指し示すゆびにあつまる朴の花 高澤良一 さざなみやっこ
斧置けば即ち日暮れ朴の花 神尾久美子 桐の木
日のみちを月またあゆむ朴の花 藤田湘子
日蓮の山をいそがず朴の花 小島千架子
日輪とならび懸れり朴の花 福田蓼汀 山火
明るさが水の始まり朴の花 今瀬剛一
明方の水音ひびく朴の花 皆川白陀
昏れさうで昏れぬあはひの朴の花 船津實生子
時の枷はらふ旅空朴の花 赤松[けい]子 白毫
晴曇の幾日揺がず朴の花 加藤知世子 黄 炎
月あれば月へ散華す朴の花 西田誠
月読の神の山なり朴の花 加藤三七子
朝は朝の智が働いて朴の花 高澤良一 鳩信
朝空を青一枚に朴の花 濱口秀村
朴の花かなしきときは遠くを見て 津田清子
朴の花しばらくありて風渡る 高野素十
朴の花そこより歩幅新たにす 加倉井秋を
朴の花その水上に山の神 井村美治子
朴の花そよがず四辺そよぎそむ 森田峠 逆瀬川
朴の花の匂いが降りてくる角度 池田澄子
朴の花もたらしくれし日の授業 木村蕪城 寒泉
朴の花今年見ざりし命かな 石田波郷
朴の花仰ぐ荒波見し目もて 朔多恭
朴の花会式に宝珠解かむとす 大橋敦子 匂 玉
朴の花十里木部落井戸一つ 羽部洞然
朴の花地に落ち傷むこと悼む 中島斌雄
朴の花師恩は時を経て重し 吉川禮子
朴の花指のうごくはおそろしき 柿本多映
朴の花揺れしづまりて座を得たる 深見けん二
朴の花散る坑夫の墓女郎の墓 品川鈴子
朴の花日輪の蘂ほのぐらし 近藤しのぶ
朴の花暫くありて風渡る 高野素十
朴の花暮れず太白点りても 天田牽牛子
朴の花朝の山気を噴くごとし 関森勝夫
朴の花朝の雉子鳩ひとつゆく 百合山羽公 故園
朴の花樹海の昏れに漂へり 文挟夫佐恵 黄 瀬
朴の花水源林と記しあり 太田土男
朴の花瀬の音かはり滝ありぬ 殿村莵絲子 花 季
朴の花父を尊ぶごと対し 深見けん二
朴の花猶青雲の志 川端茅舎
朴の花白きはまれば微光かな 沢木欣一
朴の花諸枝に咲きて重ならず 肥田埜勝美
朴の花谺のごとく咲きふえし 山城英夫
朴の花谿みづふかくひびきあふ 柴田白葉女 花寂び 以後
朴の花越しに光りて最上川 稲畑汀子 汀子第三句集
朴の花軽く狂ひて旅したし 茨木和生 野迫川
朴の花遭難碑余白あるはかなし 福田蓼汀
朴の花風出て山を軽くせり 太田土男
朴の花齢おこたりなく来るに 吉田紫乃
枝先に遠由布抱き朴の花 藤間 蘭汀
永らえし酔眼にたつ朴の花 武田伸一
泉湧く朴の花影片寄せず 羽部洞然
深き谿ほど夕暮の朴の花 伊藤久夫
火を投げしごとくに雲や朴の花 野見山朱鳥
熱の目に旅のどこかの朴の花 加藤楸邨
病師吾に一語呉れけり朴の花 鈴木しげを
目を戻し再び天の朴の花 高澤良一 さざなみやっこ
終りつゝある朴の花なほ匂ふ 高浜年尾
谷ふかく滝こだまして厚朴の花 柴田白葉女 花寂び 以後
谷風に捲れしままや朴の花 細田静
走る霧よどむ霧あり朴の花 三村純也
輝きは谿間の朴の花にあり 高浜年尾
近寄りしことなき朴の花終へぬ 加倉井秋を 午後の窓
還らざる谺もありぬ朴の花 佐藤国夫
金婚は死後めぐり来む朴の花絶唱のごと蕊そそりたち 塚本邦雄
雲脚のふれつつ走る朴の花 福田蓼汀 山火
青梅雨の宙にただよふ朴の花 草間時彦
青淵の翳りのふかし朴の花 柴田白葉女 『月の笛』
青空が創りし朴の花白し 橋本鶏二
鞍馬より貴船へ下る朴の花 大橋越央子
風の空泰山朴の花芯見ゆ 栗田 直美
花朴を知命のいろとして見たり 丸山海道
花朴のたたかふ白さ滑川 鳥居美智子
業車まわし花朴よりも白 和知喜八 同齢
いかづちの二夜とどろき朴ひらく 谷口秋郷
みちのくは山に朴咲き魂迎へ 松村蒼石 寒鶯抄
リンカーンは髯の輪郭朴咲けり 大石雄鬼
一院の明るき日照雨朴咲いて 大橋敦子 勾 玉以後
乾坤のこゝに朴咲き鷹舞へり 田村木国
厚朴咲いてもろもろの芽生地にみだる 瀧春一 菜園
厚朴咲くや児童遊園の砂照りつ 原田種茅 径
厚朴咲くや濶葉の光ゆらめきつ 原田種茅 径
向き直りをらむ裏富士朴散華 赤松[ケイ]子
坊の外に朴咲くを思ひ読み更かす 吉野義子
天上に滝のひびきの朴散華 河野南畦 湖の森
天空に潮のひびき朴咲けり 永峰久比古
天辺の一花は雲に朴咲けり 堀之内和子
天間(あま)障子開く目の前朴咲ける 原 柯城
家々に朝ありこの家朴咲いて 及川貞 夕焼
山の恋朴咲くころは朴の下 木村蕪城 寒泉
山峡の聖のごとく朴咲けり 平沢桂二
峡空をわたる日輪朴散華 竹久雨町
師の句碑の歳月とある朴咲きぬ 伊東宏晃
庇にもおよぶ寂光朴ひらく 井沢正江 湖の伝説
待つことの世にまだありて朴咲けり 馬場移公子
旅霧らふ高み明りに朴ひらき 鷲谷七菜子 雨 月
晴るゝ日も嶽鬱々と厚朴咲けり 飯田蛇笏
月光にまぎれず白き朴咲けり 五十嵐播水
朝からの山の日和に朴咲いて 中島よし絵
朝の空掃きしごとくに朴咲きぬ 岸風三樓
朴ひらき大和に花を一つ足す 森澄雄 游方
朴ひらき宙におくつきあるごとし 橋本夜叉
朴ひらく工場音を北にして 北原志満子
朴ひらく故郷の山の名を知らず 岩田由美
朴ひらく甲武信の峡の月明に 天野北斗
朴咲いていよいよ雨露の藁廂 成田千空 地霊
朴咲いて夜は煌めく白鳥座 岡部六弥太
朴咲いて子の喧嘩場の鎮の山 大木あまり 火のいろに
朴咲いて山の眉目のひらきけり きくちつねこ
朴咲いて暮るるばかりよ羽前道 安東次男 裏山
朴咲いて栃咲いて雨煙リをり 高濱年尾
朴咲いて空のほそ道消えにけり 石寒太
朴咲いて空の渚を近うせり 上村占魚 『天上の宴』
朴咲いて遠世は女人禁ず山 野見山ひふみ
朴咲いて雲匂ふ日のつづきけり 平谷華潮
朴咲きぬ天界おのづから青し ほんだゆき
朴咲くと聞けば高野に帰りたく 森郁子
朴咲くや大空青を全開す 大岳水一路
朴咲くや津軽の空のいぶし銀 沢木欣一 赤富士
朴咲くや谺のごとく雲殖えて 福永耕二
朴咲くや銀漢低くひんがしに 佐野青陽人 天の川
朴咲くや雲より馬車の来るごとし 大串章 朝の舟
朴咲く夜森空いつになく展け 河野南畦 『空の貌』
朴咲く空寂といふ字を書きて見る 山口青邨
朴咲けり伐採音の頂点に 熊谷愛子
朴咲けり幾嶺かけて月の暈 金子 潮
朴咲けり水勢風を作る上 羽部洞然
朴咲けり遠くにありて老いし父母 落合よう子
朴咲けり雲のあかるさ遠くへ置き 鷲谷七菜子
朴咲けり雲ふくいくと過ぎし昼 鷲谷七菜子
朴咲けり馬の祭りの近ければ 戸塚時不知
朴咲けり高みにのぼり道平ら 中戸川朝人
朴咲けるもとの一石僧のごと 村越化石
朴散華とは希望無し誇りあり 高浜虚子
朴散華即ちしれぬ行方かな 川端茅舎(1897-1941)
朴散華月にもありし息づかひ 松山足羽
朴散華老いねば見えぬもののあり 野村久子
朴開く山雲と息合はせては 宮田正和
村ほろび朴咲くひかり誰も知らず 谷迪子
楼門は山門にして朴咲けり 高繁泰治郎
機関車の火夫に仰がれ朴咲けり 佐野青陽人 天の川
残雪光天より享けて朴ひらく 岡田貞峰
母の忌の面影を背に朴散華 橋留佳鳳
海人古墳の千の眠りに朴ひらく つじ加代子
渓とざす霧にたゞよひ朴咲けり 相馬遷子 山国
父が待ちし我が待ちし朴咲きにけり 川端茅舎
父在らば図らむ一事朴咲けり 福永耕二(1938-80)
片空のまつくらに朴咲けるなり 鈴木しげを
白といふ厚さをもつて朴開く 富安風生
示寂すといふ言葉あり朴散華 高浜虚子(川端茅舎永眠)
茂吉らが歌の雄ごころ朴咲けり 福永耕二
谿空に風殖やしつつ朴咲けり 村越化石 山國抄
郭公の恋むすぶ朴咲きにけり 堀口星眠 営巣期
雪の山朴ひらく日は嵐と決む 大木あまり 山の夢
雲にどよむ正午のサイレン朴咲けり 大野林火
雲往ける高さに谷戸の朴咲けり 伊東宏晃

以上
by 575fudemakase | 2014-05-12 08:43 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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