青梅 実梅
青梅 実梅
例句を挙げる。
●青梅
あたまをそつて帰る青梅たくさん落ちてる 尾崎放哉
あなかまと青梅盗む衣の音 無腸
いくさ日日青梅だまる葉かげかな 栗林一石路
かみ破てまだ青梅のにがき思 寺田寅彦
さびしさは銀青梅の育つ夜 菅原和子
しづくして青梅しみじみと青し 柴田白葉女 雨 月
たたきたたきて青梅のむしろ増え 今瀬剛一
ひるふかき青梅が黄にそまりゆき 室生犀星 犀星發句集
まして中年 青梅噛んでの眉間の皺 伊丹三樹彦 樹冠
一籠の青梅浸たす流れかな 蒼石
夏痩の青梅好む病かな 西山泊雲 泊雲句集
太宰忌や青梅の下暗ければ 小林康治
子への祷り青梅のかずかぎりなし 千代田葛彦 旅人木
少女の籠に青梅弾みつつ積まる 柴田白葉女
日影絶え青梅落ちぬ二つ三つ 柴田白葉女 遠い橋
昼酒の葉に青梅の紛らはし 石川桂郎 含羞
朝市や故郷の青梅選び買ふ 小泉はつゑ
朝拾ふ青梅の笊ぬれにけり 室生犀星 魚眠洞發句集
来信は梅の青梅(おうめ)の病院より 高澤良一 素抱
板屋根に青梅を採る籠置きし 龍胆 長谷川かな女
槐吹き逆吹く風の青梅に 石塚友二 光塵
死を賜ふとも青梅は空を埋め 中田剛 珠樹
母よりは小包大家より青梅 如月真菜
炭ついで青梅見ゆる寒さかな 室生犀星 魚眠洞發句集
牛の顔大いなるとき青梅落つ 石田波郷(1913-69)
独りという響き青梅のごとく 森田高司
男来て青梅を買う簡単なり 森下草城子
箱いつぱい青梅小僧母より来 有働 亨
簾外のぬれ青梅や梅雨明り 飯田蛇笏 霊芝
糸取女寮の青梅青柚かな 西本一都 景色
葉の色にありて青梅丸きかな 温亭句集 篠原温亭
見届けにゆく青梅と父の齢 原裕 新治
鈍き詩人青梅あをきまま醸す 中村苑子
雨やむ空青梅の採り尽されし 松村蒼石 雪
雨やんで青梅のいろ見ゆるなり 今井杏太郎
青梅が真つ暗がりの虚に落つ 廣瀬直人
青梅が籠に身をつめ夜の豪雨 野澤節子 黄 瀬
青梅が闇にびつしり泣く嬰児 西東三鬼(1900-62)
青梅たべてなむめうほうれんげきやうなり 筑紫磐井 花鳥諷詠
青梅とあそぶおもひの梅漬くる 朝倉和江
青梅とその葉と影のごときとき 井沢正江 晩蝉
青梅にうかべる雀斑地の夕焼 松村蒼石 寒鶯抄
青梅にうはの空なる人恋し 立花北枝
青梅にぱちぱちと火のおこりけり 岸本尚毅 選集「氷」
青梅に匂ひもあらば五月やみ 横井也有 蘿葉集
青梅に夏毛の鹿にそらは雨 森川暁水 淀
青梅に天(あま)ぎる雪や砂糖漬 椎本才麿
青梅に天ぎる雪や砂糖漬 才丸 選集「板東太郎」
青梅に手をかけて寝る蛙哉 一茶 ■寛政三年辛亥(二十九歳)
青梅に打鳴らす齒や貝のごと 蕪村遺稿 夏
青梅に眉あつめたる美人哉 蕪村 夏之部 ■ 洛東芭蕉菴落成日
青梅に青き炎のある時に摘む 平井照敏 天上大風
青梅に顔をしかめぬ味をしれ 上島鬼貫
青梅のあたりの風を見てゐたり 吉野裕之
青梅のおちゐて遊ぶ精舎の地 飯田蛇笏 山廬集
青梅のかたちづくりし釈奠 鈴鹿野風呂 浜木綿
青梅のたゝくや雨の石燈籠 寺田寅彦
青梅のつくしにいさむ旅出かな 上島鬼貫
青梅のところかまはず言葉数 古舘曹人 能登の蛙
青梅のなしと思へば見えそむる 誓子
青梅のにほひ侘しくもなかりけり 炭 太祇 太祇句選
青梅のぬくもつてゐてひろはれぬ 銀漢 吉岡禅寺洞
青梅のはねて泛く葉や夕泉 飯田蛇笏 山廬集
青梅のひよわきは落ち転がれる 高澤良一 ももすずめ
青梅のもつとも濡れて道成寺 細川加賀 生身魂
青梅の一つが見えてあまた見ゆ 岡本圭岳
青梅の一つ落ちたるうひ~し 高浜虚子
青梅の一枝漆黒の塀に垂れ 内藤吐天 鳴海抄
青梅の七つか三つ成にけり 妻木 松瀬青々
青梅の下をとほりて喪服透く 鷲谷七菜子 花寂び
青梅の中に佇ちゐて微熱あり 宗田安正
青梅の傘にふれしや一つ落ち 佐藤 八山
青梅の匂ひて雨を遠のかす 比奈夫
青梅の地を真つ直ぐに打ちし音 暮石
青梅の堅きを契り給ふべく 会津八一
青梅の家出て熊野へ流れ着く 中村苑子
青梅の尻見ゆ子には蒙古斑 文挟夫佐恵 雨 月
青梅の屋根打つ音や五月寒 永井荷風
青梅の打ち落す竿を打ちて落つ 久米正雄 返り花
青梅の掌に一途なる時の群れ 対馬康子 愛国
青梅の散らばつてをる上り口 川崎展宏
青梅の最も青き時の旅 細見綾子(1907-97)
青梅の熟れは腐ちや星なき地 中島斌男
青梅の生毛密なり婚約す 岡村東洋子
青梅の目にぎつしりと喪中かな 細川加賀 生身魂
青梅の真夜の土打つ音ならむ 高澤良一 さざなみやっこ
青梅の窓に落つるや薄明り 寺田寅彦
青梅の籠にみちくるくらさかな 黒田杏子 木の椅子
青梅の臀(しり)うつくしくそろひけり 室生犀星(1889-1962)
青梅の臀拭く布巾しろきかな 中田剛 珠樹以後
青梅の苦きを打ちし礫かな 尾崎紅葉
青梅の落ちたる音のひろがらず 細見綾子 花 季
青梅の落ちつぐ音よ月あらじ 林原耒井 蜩
青梅の落つる大地や雨上り 星野立子
青梅の記憶に長き塀のある 藤後左右
青梅の酸にとほくより責められて 秋元不死男
青梅の雨つよく妻ふるさとへ 石原舟月 山鵲
青梅の青の非情や緘口妻 橋本夢道 『無類の妻』以後
青梅の青選ばるる他はなし 後藤夜半 底紅
青梅の音の転がりにくきかな 後藤立夫
青梅びつしり女と女手をつなぎ 西東三鬼
青梅ふた粒づつ山道 北原白秋
青梅もためらひ傷の七つや八つ 櫂未知子 蒙古斑
青梅も拾はで雨の板戸かな 前田普羅
青梅も茜刷きけり臀のすぢ 室生犀星 犀星發句集
青梅も葉がくれ茜さしにけり 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅やきづゝきたれど葉を愛す 雑草 長谷川零餘子
青梅やこつりと落る石の上 寺田寅彦
青梅やずぶ濡れの山すぐそばに 櫻井博道
青梅やたゝき落して桶にみつ 寺田寅彦
青梅やとなりの檜葉もさし交す 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や仮に結べる垣の外 松瀬青々
青梅や夕日の色をすこしとめ 小杉余子 余子句選
青梅や女のすなる飯の菜 炭 太祇 太祇句選
青梅や妻がししむら目のあたり 岡本高明
青梅や客の驚く流れ水 石井露月
青梅や島といへども国分寺 角川源義 『冬の虹』
青梅や庫裏より声をかけらるる 石田阿畏子
青梅や指の匂ひの消えてゐし 田中裕明 櫻姫譚
青梅や昼もやす火の澄みとほる 槐太
青梅や机に通ふ朝嵐 露月
青梅や案内乞ひたる武家屋敷 上村占魚 鮎
青梅や椽に立ちたる写経生 会津八一
青梅や母にいろいろ塩の味 小檜山繁子
青梅や焼酎ひらく隼人達 幸田露伴 谷中集
青梅や病より起つ林和靖 子規句集 虚子・碧梧桐選
青梅や石堂あらばまた句すらん 原石鼎 花影以後
青梅や空しき籠に雨の糸 夏目漱石 明治四十一年
青梅や空腹感の心地よく 深澤厚子
青梅や築地くえゆく草の中 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や茅葺きかへる雨あがり 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や藁屋醒めゆく一つ星 柴田白葉女 『冬泉』
青梅や誰か盗みて鏡篋 妻木 松瀬青々
青梅や誰も己の死は見えず 大井雅人
青梅や足駄をさせる垣の枝 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や餓鬼大将が肌ぬいで 小林一茶 (1763-1827)
青梅や黄梅やうつる軒らんぷ 子規句集 虚子・碧梧桐選
青梅よ湖よ胎内にいるようだ 山本仁太郎
青梅をかきはじめなり果物帖 正岡子規
青梅をかむ時牙を感じけり 松根東洋城
青梅をちぎりて持ちて湯の道を 日野草城
青梅をふるさとびとよ打落し 久保田万太郎 草の丈
青梅をもぎ居る家や庭深し 会津八一
青梅を咬む歯に玉の響哉 浦四三子
青梅を噛み 中年よ なにつぶやく 富澤赤黄男
青梅を噛めばひとりの秋津島 田中信克
青梅を採りつくしたる顔洗ふ 岡本眸
青梅を洗ひ上げたり何の安堵 細見綾子 黄 炎
青梅を落としし後も屋根に居る 相生垣瓜人(1898-1985)
青梅を見つけ出したる旭かな 春海
青梅叩き落して西日の萎え葉 北原白秋
青梅拾うモーゼの十戒知らず老け 斎藤愼爾 夏への扉
青梅粒々土にこなれし語を遺す 赤城さかえ句集
青梅落ち貴種流離譚はじまれり 成瀬櫻桃子
青梅落つ三とせの服はたるみつつ 金子兜太 少年/生長
青梅落つ駈込寺に音立てて 斉藤夏風
青梅見あげてゐた子が走つた 北原白秋
青梅路や秋がすみして大菩薩 飯田蛇笏 霊芝
額寄せて奇遇や旅の青梅に 古舘曹人 能登の蛙
齢知る不安青梅地に転び 石塚友二
あかつきの実梅もつともしづかなり 柴田白葉女 雨 月
あたらしき畳に実梅しづかなり 中田剛 珠樹
あの家もこの家も留守実梅落つ 斎藤夏風
かりそめの風に葉ごもる実梅かな 斎藤空華 空華句集
さくわけや難波について豊後梅 井原西鶴
そのあとの風へうと鳴り実梅落つ 石嶌岳
どこからとなき雨雫実梅もぐ 後藤比奈夫 金泥
にぎやかに静かに実梅草の中 鷲谷七菜子 游影
びつしりと実梅でありし光則寺 及川貞 榧の實
ぶちまけし如く落ちたる実梅かな 行方克巳
よろこびて撰果機くぐる実梅かな 西岡一郎
わか歩くうしろに音し実梅落つ 文挟夫佐恵 黄 瀬
一塊の碧空実梅太らする 阿部みどり女
交りを紫蘇の染めたる小梅かな 秋色 俳諧撰集玉藻集
人の顔にぎやかとなり実梅落つ 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
仏壇に実梅の青の十ばかり 毛呂刀太郎
何となくみな見て通る落ち実梅 甲斐すず江
作務畑は荒れ放題の実梅かな(大宇陀大蔵寺) 細川加賀 『玉虫』
併せ干す小梅近より易くして 相生垣瓜人 微茫集
僧坊を借りての月日実梅落つ 長谷川素逝 暦日
分けてやるほどには実梅なつてゐず 緒方一風
原罪の股ぐら熱し実梅採り 熊谷愛子
塒鳥のおちつくまさ木のうすら赤い実 梅林句屑 喜谷六花
塔中の実梅を女人袂にす 下村槐太 天涯
塩漬けの小梅噛みつつ冷酒かな 徳川夢声
夕日いま高き実梅に当るなり 立子
夕闇の実梅のひまを埋めつくす 石嶌岳
大島の峠の籔の実梅かな 後藤 栄生
好もしき一つの音の実梅落つ 富安風生
実梅*もぐ下駄戞戞と蟻払ひ 亀井糸游
実梅もぎ神事といふはすぐ済みし 井尾望東
実梅もぐ最も高き枝にのり 杉田久女
実梅より雨一雫顔に受く 瀧澤伊代次
実梅仰ぎて心で犯す罪かぞふ 田川飛旅子 『外套』
実梅入れて底やぬけなん盥かな 月舟俳句集 原月舟
実梅打ち落して空をいためけり 大岳水一路
実梅採る母が長棹えっさっさ 高澤良一 寒暑
実梅籠三和土のくらさまとひたる 鈴木しげを
実梅落すらうぜきと爽かさもて 松村蒼石
実梅落ちいちにちさむき髪膚かな 古沢太穂 古沢太穂句集
実梅落ちはずむが見えて石畳 高濱年尾 年尾句集
実梅落ちまろびどこへも行けぬなり 行方克巳
実梅落ち光りしは風真昼時 金子麒麟草
実梅落つと言葉にならぬほどの音 加倉井秋を 午後の窓
実梅落つひそかな音の梅雨に入る 長谷川素逝 暦日
実梅落つ命惜しくも思ふなり 高木晴子 花 季
実梅落つ言葉にならぬほどの音 加倉井秋を 『午後の窓』
実梅落つ音に長居をして居たり 小原牧水
実梅落つ音の障子のうちに病む 長谷川素逝 暦日
実梅買ひ夜店の灯にも触れて来し 町田しげき
小梅干す伊豆の臥す波坐る波 中拓夫 愛鷹
小梅恵草行者白雲まとひ来ぬ 岡田日郎
弾みつゝ夜の深さへ実梅落つ 馬場移公子
成りものを包める生毛実梅にも 高澤良一 ぱらりとせ
我鬼窟の実梅落つべき小雨かな 芥川龍之介
或日実梅いたく落ちたる四月かな 月舟俳句集 原月舟
打たれたる実梅の傷のあさき溝 中田剛 珠樹
押し合ふて生つてゐるなる実梅かな 山口青邨
捧げ来しは実梅を叩き落とす棒 辻桃子
明け烏実梅ごろごろ落ちていて 寺井谷子
昴てふ邑へ吊橋実梅落つ 辻桃子 ねむ 以後
昼かまど燃えゐて雨の実梅かな 麦南
書屋あり実梅落つ音筆擱く音 松本たかし
最明寺殿の毒殺実梅に斑 高澤良一 寒暑
朝雲をうしろに幽らき実梅かな 松村蒼石 寒鶯抄
木曽に来ぬ実梅もつとも青き時 井上 雪
木洩日をこそばゆがりて実梅落つ 行方克巳
枝先に実梅と*かりん混りをり 中戸川朝人
枝打つて斜めに飛びし実梅かな 岸本尚毅 舜
楸邨や兜太の頭や青実梅 和知喜八 同齢
歯に当てゝいよいよ青き実梅かな 喜舟
水戸さまの裏の小梅や年の暮 道芝 久保田万太郎
汗の目が見る大粒の実梅かな 松村蒼石 雪
流れ来る実梅掬うてきりもなし 岸本尚毅 舜
燕子とぶ機窓の実梅紅さしぬ 西島麦南 人音
牛の顔大いなるとき実梅落つ 石田波郷
玉砕といふ豊後梅花しづか 萩原麦草 麦嵐
白砂に別雷の実梅かな(上賀茂神社) 波多野爽波 『骰子』
眉かいて待つ夜ほとほと実梅落つ 稲垣きくの 黄 瀬
福茶より懐紙に包む小梅の紅 岡本圭岳
竃火の燃えゐて雨の実梅かな 西島麦南 人音
紅差せる実梅落ちゐる雨情かな 中村汀女
紅梅に赤坂小梅顎引き 高澤良一 さざなみやっこ
船に来て茶市くづれの実梅売 下村ひろし 西陲集
色すでに草に紛れず実梅落つ 馬場移公子
落ちてゐる実梅を雨の襲ひけり 岸本尚毅 舜
落としても~ある実梅かな 柑子句集 籾山柑子
葉がくれにありと思ほゆ実梅かな 虚子
葉がくれに実梅熟れつゝ夕長し 相馬遷子 山国
蔵址や雨の石畳実梅落ち 及川貞 夕焼
裾頒けの実梅の山を三つに盛る 高澤良一 ねずみのこまくら
見えてゐる水の音を聴く実梅かな 田中裕明 花間一壺
貧われに倖の日か実梅稚し 杉山岳陽 晩婚
路地実梅いろ染めてより数を増し 椎塚つね子
追伸に本音漏らしぬ落実梅 奈良文夫
金色仏実梅は太ること止めず 鍵和田釉子
銭の出入りこの月はげし実梅落つ 鈴木真砂女 夕螢
鍬のえに鴬鳴や小梅村 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
雨降つて実梅に朱のはしりそむ 石嶌岳
雪嶺輝り伊那の小梅も咲くべかり 西本一都 景色
雹降るや幼き実梅打ちこぼし 塩谷はつ枝
霧薄れゆける限りを小梅草 茂里正治
青大将実梅を分けてゆきにけり 岸本尚毅(1961-)
青小梅庭一面に落ちにけり 原石鼎 花影以後
鞠拾ふ千代尼の塚の実梅かげ 佐藤美恵子
音楽の聞こえて来たる実梅かな 岸本尚毅 舜
馴れぬ竿振り疲れけり実梅打ち 伊藤紀秋
あひびきは梅の実よりもひそかなる 山口誓子
墓のみ前梅の実うつらうつらかな 松村蒼石 雪
少年のごとし梅の実を食めば酸し 山口誓子 遠星
梅の実のぞくほどの子になる シヤツと雑草 栗林一石路
梅の実のふくらむことよ三日臥す 石田あき子 見舞籠
梅の実の丸きにまろく雨つたふ 伊藤たけ
梅の実の二つ三つほど家かげかな 臼田亞浪 定本亜浪句集
梅の実の子と露の子と生れ合ふ 中川宋淵 命篇
梅の実の尻に子どものころの痣 宮坂静生
梅の実の朝曇りせるはしづかなり 秋櫻子
梅の実の熟せり母の老い深き 古藤 春世
梅の実の熟るゝにつれて穂麦かな 小杉余子 余子句選
梅の実の葉のかたまりしところかな 松藤夏山 夏山句集
梅の実や一つびとつの夕明り 長谷川春草
梅の実をもぐたび梯子軋みたり 中田剛 珠樹以後
梅の実を叩くを見つつはらはらす 相生垣瓜人 微茫集
梅の実を売り払ひたる梅雨入かな 正岡子規
梅の実を拾ひしことをいつまでも 藤田湘子
梅の実を映して黒きハイヤーよ 岸本尚毅 鶏頭
梅の実を盥にあける音のよし 野村喜舟
梅の実を黙し拾へば手に余り 植山露子
葉がくれに梅の実いつかまとまりぬ 今泉貞鳳
蚊帳裾に梅の実匂ふ雨夜かな 金尾梅の門 古志の歌
裏年の梅の実を*もぎ稿継ぎぬ 伊藤敬子
逆はず黙して梅の実をかぞふ 及川貞 夕焼
青や黄の梅の実甕に落ちつけり 百合山羽公 故園
以上
例句を挙げる。
●青梅
あたまをそつて帰る青梅たくさん落ちてる 尾崎放哉
あなかまと青梅盗む衣の音 無腸
いくさ日日青梅だまる葉かげかな 栗林一石路
かみ破てまだ青梅のにがき思 寺田寅彦
さびしさは銀青梅の育つ夜 菅原和子
しづくして青梅しみじみと青し 柴田白葉女 雨 月
たたきたたきて青梅のむしろ増え 今瀬剛一
ひるふかき青梅が黄にそまりゆき 室生犀星 犀星發句集
まして中年 青梅噛んでの眉間の皺 伊丹三樹彦 樹冠
一籠の青梅浸たす流れかな 蒼石
夏痩の青梅好む病かな 西山泊雲 泊雲句集
太宰忌や青梅の下暗ければ 小林康治
子への祷り青梅のかずかぎりなし 千代田葛彦 旅人木
少女の籠に青梅弾みつつ積まる 柴田白葉女
日影絶え青梅落ちぬ二つ三つ 柴田白葉女 遠い橋
昼酒の葉に青梅の紛らはし 石川桂郎 含羞
朝市や故郷の青梅選び買ふ 小泉はつゑ
朝拾ふ青梅の笊ぬれにけり 室生犀星 魚眠洞發句集
来信は梅の青梅(おうめ)の病院より 高澤良一 素抱
板屋根に青梅を採る籠置きし 龍胆 長谷川かな女
槐吹き逆吹く風の青梅に 石塚友二 光塵
死を賜ふとも青梅は空を埋め 中田剛 珠樹
母よりは小包大家より青梅 如月真菜
炭ついで青梅見ゆる寒さかな 室生犀星 魚眠洞發句集
牛の顔大いなるとき青梅落つ 石田波郷(1913-69)
独りという響き青梅のごとく 森田高司
男来て青梅を買う簡単なり 森下草城子
箱いつぱい青梅小僧母より来 有働 亨
簾外のぬれ青梅や梅雨明り 飯田蛇笏 霊芝
糸取女寮の青梅青柚かな 西本一都 景色
葉の色にありて青梅丸きかな 温亭句集 篠原温亭
見届けにゆく青梅と父の齢 原裕 新治
鈍き詩人青梅あをきまま醸す 中村苑子
雨やむ空青梅の採り尽されし 松村蒼石 雪
雨やんで青梅のいろ見ゆるなり 今井杏太郎
青梅が真つ暗がりの虚に落つ 廣瀬直人
青梅が籠に身をつめ夜の豪雨 野澤節子 黄 瀬
青梅が闇にびつしり泣く嬰児 西東三鬼(1900-62)
青梅たべてなむめうほうれんげきやうなり 筑紫磐井 花鳥諷詠
青梅とあそぶおもひの梅漬くる 朝倉和江
青梅とその葉と影のごときとき 井沢正江 晩蝉
青梅にうかべる雀斑地の夕焼 松村蒼石 寒鶯抄
青梅にうはの空なる人恋し 立花北枝
青梅にぱちぱちと火のおこりけり 岸本尚毅 選集「氷」
青梅に匂ひもあらば五月やみ 横井也有 蘿葉集
青梅に夏毛の鹿にそらは雨 森川暁水 淀
青梅に天(あま)ぎる雪や砂糖漬 椎本才麿
青梅に天ぎる雪や砂糖漬 才丸 選集「板東太郎」
青梅に手をかけて寝る蛙哉 一茶 ■寛政三年辛亥(二十九歳)
青梅に打鳴らす齒や貝のごと 蕪村遺稿 夏
青梅に眉あつめたる美人哉 蕪村 夏之部 ■ 洛東芭蕉菴落成日
青梅に青き炎のある時に摘む 平井照敏 天上大風
青梅に顔をしかめぬ味をしれ 上島鬼貫
青梅のあたりの風を見てゐたり 吉野裕之
青梅のおちゐて遊ぶ精舎の地 飯田蛇笏 山廬集
青梅のかたちづくりし釈奠 鈴鹿野風呂 浜木綿
青梅のたゝくや雨の石燈籠 寺田寅彦
青梅のつくしにいさむ旅出かな 上島鬼貫
青梅のところかまはず言葉数 古舘曹人 能登の蛙
青梅のなしと思へば見えそむる 誓子
青梅のにほひ侘しくもなかりけり 炭 太祇 太祇句選
青梅のぬくもつてゐてひろはれぬ 銀漢 吉岡禅寺洞
青梅のはねて泛く葉や夕泉 飯田蛇笏 山廬集
青梅のひよわきは落ち転がれる 高澤良一 ももすずめ
青梅のもつとも濡れて道成寺 細川加賀 生身魂
青梅の一つが見えてあまた見ゆ 岡本圭岳
青梅の一つ落ちたるうひ~し 高浜虚子
青梅の一枝漆黒の塀に垂れ 内藤吐天 鳴海抄
青梅の七つか三つ成にけり 妻木 松瀬青々
青梅の下をとほりて喪服透く 鷲谷七菜子 花寂び
青梅の中に佇ちゐて微熱あり 宗田安正
青梅の傘にふれしや一つ落ち 佐藤 八山
青梅の匂ひて雨を遠のかす 比奈夫
青梅の地を真つ直ぐに打ちし音 暮石
青梅の堅きを契り給ふべく 会津八一
青梅の家出て熊野へ流れ着く 中村苑子
青梅の尻見ゆ子には蒙古斑 文挟夫佐恵 雨 月
青梅の屋根打つ音や五月寒 永井荷風
青梅の打ち落す竿を打ちて落つ 久米正雄 返り花
青梅の掌に一途なる時の群れ 対馬康子 愛国
青梅の散らばつてをる上り口 川崎展宏
青梅の最も青き時の旅 細見綾子(1907-97)
青梅の熟れは腐ちや星なき地 中島斌男
青梅の生毛密なり婚約す 岡村東洋子
青梅の目にぎつしりと喪中かな 細川加賀 生身魂
青梅の真夜の土打つ音ならむ 高澤良一 さざなみやっこ
青梅の窓に落つるや薄明り 寺田寅彦
青梅の籠にみちくるくらさかな 黒田杏子 木の椅子
青梅の臀(しり)うつくしくそろひけり 室生犀星(1889-1962)
青梅の臀拭く布巾しろきかな 中田剛 珠樹以後
青梅の苦きを打ちし礫かな 尾崎紅葉
青梅の落ちたる音のひろがらず 細見綾子 花 季
青梅の落ちつぐ音よ月あらじ 林原耒井 蜩
青梅の落つる大地や雨上り 星野立子
青梅の記憶に長き塀のある 藤後左右
青梅の酸にとほくより責められて 秋元不死男
青梅の雨つよく妻ふるさとへ 石原舟月 山鵲
青梅の青の非情や緘口妻 橋本夢道 『無類の妻』以後
青梅の青選ばるる他はなし 後藤夜半 底紅
青梅の音の転がりにくきかな 後藤立夫
青梅びつしり女と女手をつなぎ 西東三鬼
青梅ふた粒づつ山道 北原白秋
青梅もためらひ傷の七つや八つ 櫂未知子 蒙古斑
青梅も拾はで雨の板戸かな 前田普羅
青梅も茜刷きけり臀のすぢ 室生犀星 犀星發句集
青梅も葉がくれ茜さしにけり 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅やきづゝきたれど葉を愛す 雑草 長谷川零餘子
青梅やこつりと落る石の上 寺田寅彦
青梅やずぶ濡れの山すぐそばに 櫻井博道
青梅やたゝき落して桶にみつ 寺田寅彦
青梅やとなりの檜葉もさし交す 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や仮に結べる垣の外 松瀬青々
青梅や夕日の色をすこしとめ 小杉余子 余子句選
青梅や女のすなる飯の菜 炭 太祇 太祇句選
青梅や妻がししむら目のあたり 岡本高明
青梅や客の驚く流れ水 石井露月
青梅や島といへども国分寺 角川源義 『冬の虹』
青梅や庫裏より声をかけらるる 石田阿畏子
青梅や指の匂ひの消えてゐし 田中裕明 櫻姫譚
青梅や昼もやす火の澄みとほる 槐太
青梅や机に通ふ朝嵐 露月
青梅や案内乞ひたる武家屋敷 上村占魚 鮎
青梅や椽に立ちたる写経生 会津八一
青梅や母にいろいろ塩の味 小檜山繁子
青梅や焼酎ひらく隼人達 幸田露伴 谷中集
青梅や病より起つ林和靖 子規句集 虚子・碧梧桐選
青梅や石堂あらばまた句すらん 原石鼎 花影以後
青梅や空しき籠に雨の糸 夏目漱石 明治四十一年
青梅や空腹感の心地よく 深澤厚子
青梅や築地くえゆく草の中 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や茅葺きかへる雨あがり 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や藁屋醒めゆく一つ星 柴田白葉女 『冬泉』
青梅や誰か盗みて鏡篋 妻木 松瀬青々
青梅や誰も己の死は見えず 大井雅人
青梅や足駄をさせる垣の枝 室生犀星 魚眠洞發句集
青梅や餓鬼大将が肌ぬいで 小林一茶 (1763-1827)
青梅や黄梅やうつる軒らんぷ 子規句集 虚子・碧梧桐選
青梅よ湖よ胎内にいるようだ 山本仁太郎
青梅をかきはじめなり果物帖 正岡子規
青梅をかむ時牙を感じけり 松根東洋城
青梅をちぎりて持ちて湯の道を 日野草城
青梅をふるさとびとよ打落し 久保田万太郎 草の丈
青梅をもぎ居る家や庭深し 会津八一
青梅を咬む歯に玉の響哉 浦四三子
青梅を噛み 中年よ なにつぶやく 富澤赤黄男
青梅を噛めばひとりの秋津島 田中信克
青梅を採りつくしたる顔洗ふ 岡本眸
青梅を洗ひ上げたり何の安堵 細見綾子 黄 炎
青梅を落としし後も屋根に居る 相生垣瓜人(1898-1985)
青梅を見つけ出したる旭かな 春海
青梅叩き落して西日の萎え葉 北原白秋
青梅拾うモーゼの十戒知らず老け 斎藤愼爾 夏への扉
青梅粒々土にこなれし語を遺す 赤城さかえ句集
青梅落ち貴種流離譚はじまれり 成瀬櫻桃子
青梅落つ三とせの服はたるみつつ 金子兜太 少年/生長
青梅落つ駈込寺に音立てて 斉藤夏風
青梅見あげてゐた子が走つた 北原白秋
青梅路や秋がすみして大菩薩 飯田蛇笏 霊芝
額寄せて奇遇や旅の青梅に 古舘曹人 能登の蛙
齢知る不安青梅地に転び 石塚友二
あかつきの実梅もつともしづかなり 柴田白葉女 雨 月
あたらしき畳に実梅しづかなり 中田剛 珠樹
あの家もこの家も留守実梅落つ 斎藤夏風
かりそめの風に葉ごもる実梅かな 斎藤空華 空華句集
さくわけや難波について豊後梅 井原西鶴
そのあとの風へうと鳴り実梅落つ 石嶌岳
どこからとなき雨雫実梅もぐ 後藤比奈夫 金泥
にぎやかに静かに実梅草の中 鷲谷七菜子 游影
びつしりと実梅でありし光則寺 及川貞 榧の實
ぶちまけし如く落ちたる実梅かな 行方克巳
よろこびて撰果機くぐる実梅かな 西岡一郎
わか歩くうしろに音し実梅落つ 文挟夫佐恵 黄 瀬
一塊の碧空実梅太らする 阿部みどり女
交りを紫蘇の染めたる小梅かな 秋色 俳諧撰集玉藻集
人の顔にぎやかとなり実梅落つ 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
仏壇に実梅の青の十ばかり 毛呂刀太郎
何となくみな見て通る落ち実梅 甲斐すず江
作務畑は荒れ放題の実梅かな(大宇陀大蔵寺) 細川加賀 『玉虫』
併せ干す小梅近より易くして 相生垣瓜人 微茫集
僧坊を借りての月日実梅落つ 長谷川素逝 暦日
分けてやるほどには実梅なつてゐず 緒方一風
原罪の股ぐら熱し実梅採り 熊谷愛子
塒鳥のおちつくまさ木のうすら赤い実 梅林句屑 喜谷六花
塔中の実梅を女人袂にす 下村槐太 天涯
塩漬けの小梅噛みつつ冷酒かな 徳川夢声
夕日いま高き実梅に当るなり 立子
夕闇の実梅のひまを埋めつくす 石嶌岳
大島の峠の籔の実梅かな 後藤 栄生
好もしき一つの音の実梅落つ 富安風生
実梅*もぐ下駄戞戞と蟻払ひ 亀井糸游
実梅もぎ神事といふはすぐ済みし 井尾望東
実梅もぐ最も高き枝にのり 杉田久女
実梅より雨一雫顔に受く 瀧澤伊代次
実梅仰ぎて心で犯す罪かぞふ 田川飛旅子 『外套』
実梅入れて底やぬけなん盥かな 月舟俳句集 原月舟
実梅打ち落して空をいためけり 大岳水一路
実梅採る母が長棹えっさっさ 高澤良一 寒暑
実梅籠三和土のくらさまとひたる 鈴木しげを
実梅落すらうぜきと爽かさもて 松村蒼石
実梅落ちいちにちさむき髪膚かな 古沢太穂 古沢太穂句集
実梅落ちはずむが見えて石畳 高濱年尾 年尾句集
実梅落ちまろびどこへも行けぬなり 行方克巳
実梅落ち光りしは風真昼時 金子麒麟草
実梅落つと言葉にならぬほどの音 加倉井秋を 午後の窓
実梅落つひそかな音の梅雨に入る 長谷川素逝 暦日
実梅落つ命惜しくも思ふなり 高木晴子 花 季
実梅落つ言葉にならぬほどの音 加倉井秋を 『午後の窓』
実梅落つ音に長居をして居たり 小原牧水
実梅落つ音の障子のうちに病む 長谷川素逝 暦日
実梅買ひ夜店の灯にも触れて来し 町田しげき
小梅干す伊豆の臥す波坐る波 中拓夫 愛鷹
小梅恵草行者白雲まとひ来ぬ 岡田日郎
弾みつゝ夜の深さへ実梅落つ 馬場移公子
成りものを包める生毛実梅にも 高澤良一 ぱらりとせ
我鬼窟の実梅落つべき小雨かな 芥川龍之介
或日実梅いたく落ちたる四月かな 月舟俳句集 原月舟
打たれたる実梅の傷のあさき溝 中田剛 珠樹
押し合ふて生つてゐるなる実梅かな 山口青邨
捧げ来しは実梅を叩き落とす棒 辻桃子
明け烏実梅ごろごろ落ちていて 寺井谷子
昴てふ邑へ吊橋実梅落つ 辻桃子 ねむ 以後
昼かまど燃えゐて雨の実梅かな 麦南
書屋あり実梅落つ音筆擱く音 松本たかし
最明寺殿の毒殺実梅に斑 高澤良一 寒暑
朝雲をうしろに幽らき実梅かな 松村蒼石 寒鶯抄
木曽に来ぬ実梅もつとも青き時 井上 雪
木洩日をこそばゆがりて実梅落つ 行方克巳
枝先に実梅と*かりん混りをり 中戸川朝人
枝打つて斜めに飛びし実梅かな 岸本尚毅 舜
楸邨や兜太の頭や青実梅 和知喜八 同齢
歯に当てゝいよいよ青き実梅かな 喜舟
水戸さまの裏の小梅や年の暮 道芝 久保田万太郎
汗の目が見る大粒の実梅かな 松村蒼石 雪
流れ来る実梅掬うてきりもなし 岸本尚毅 舜
燕子とぶ機窓の実梅紅さしぬ 西島麦南 人音
牛の顔大いなるとき実梅落つ 石田波郷
玉砕といふ豊後梅花しづか 萩原麦草 麦嵐
白砂に別雷の実梅かな(上賀茂神社) 波多野爽波 『骰子』
眉かいて待つ夜ほとほと実梅落つ 稲垣きくの 黄 瀬
福茶より懐紙に包む小梅の紅 岡本圭岳
竃火の燃えゐて雨の実梅かな 西島麦南 人音
紅差せる実梅落ちゐる雨情かな 中村汀女
紅梅に赤坂小梅顎引き 高澤良一 さざなみやっこ
船に来て茶市くづれの実梅売 下村ひろし 西陲集
色すでに草に紛れず実梅落つ 馬場移公子
落ちてゐる実梅を雨の襲ひけり 岸本尚毅 舜
落としても~ある実梅かな 柑子句集 籾山柑子
葉がくれにありと思ほゆ実梅かな 虚子
葉がくれに実梅熟れつゝ夕長し 相馬遷子 山国
蔵址や雨の石畳実梅落ち 及川貞 夕焼
裾頒けの実梅の山を三つに盛る 高澤良一 ねずみのこまくら
見えてゐる水の音を聴く実梅かな 田中裕明 花間一壺
貧われに倖の日か実梅稚し 杉山岳陽 晩婚
路地実梅いろ染めてより数を増し 椎塚つね子
追伸に本音漏らしぬ落実梅 奈良文夫
金色仏実梅は太ること止めず 鍵和田釉子
銭の出入りこの月はげし実梅落つ 鈴木真砂女 夕螢
鍬のえに鴬鳴や小梅村 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
雨降つて実梅に朱のはしりそむ 石嶌岳
雪嶺輝り伊那の小梅も咲くべかり 西本一都 景色
雹降るや幼き実梅打ちこぼし 塩谷はつ枝
霧薄れゆける限りを小梅草 茂里正治
青大将実梅を分けてゆきにけり 岸本尚毅(1961-)
青小梅庭一面に落ちにけり 原石鼎 花影以後
鞠拾ふ千代尼の塚の実梅かげ 佐藤美恵子
音楽の聞こえて来たる実梅かな 岸本尚毅 舜
馴れぬ竿振り疲れけり実梅打ち 伊藤紀秋
あひびきは梅の実よりもひそかなる 山口誓子
墓のみ前梅の実うつらうつらかな 松村蒼石 雪
少年のごとし梅の実を食めば酸し 山口誓子 遠星
梅の実のぞくほどの子になる シヤツと雑草 栗林一石路
梅の実のふくらむことよ三日臥す 石田あき子 見舞籠
梅の実の丸きにまろく雨つたふ 伊藤たけ
梅の実の二つ三つほど家かげかな 臼田亞浪 定本亜浪句集
梅の実の子と露の子と生れ合ふ 中川宋淵 命篇
梅の実の尻に子どものころの痣 宮坂静生
梅の実の朝曇りせるはしづかなり 秋櫻子
梅の実の熟せり母の老い深き 古藤 春世
梅の実の熟るゝにつれて穂麦かな 小杉余子 余子句選
梅の実の葉のかたまりしところかな 松藤夏山 夏山句集
梅の実や一つびとつの夕明り 長谷川春草
梅の実をもぐたび梯子軋みたり 中田剛 珠樹以後
梅の実を叩くを見つつはらはらす 相生垣瓜人 微茫集
梅の実を売り払ひたる梅雨入かな 正岡子規
梅の実を拾ひしことをいつまでも 藤田湘子
梅の実を映して黒きハイヤーよ 岸本尚毅 鶏頭
梅の実を盥にあける音のよし 野村喜舟
梅の実を黙し拾へば手に余り 植山露子
葉がくれに梅の実いつかまとまりぬ 今泉貞鳳
蚊帳裾に梅の実匂ふ雨夜かな 金尾梅の門 古志の歌
裏年の梅の実を*もぎ稿継ぎぬ 伊藤敬子
逆はず黙して梅の実をかぞふ 及川貞 夕焼
青や黄の梅の実甕に落ちつけり 百合山羽公 故園
以上
by 575fudemakase
| 2014-06-07 00:58
| 夏の季語
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by 575fudemakase
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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